JP7120631B2 - 貯穀害虫検知方法および貯穀害虫検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、貯穀害虫を検知する新規な方法および、貯穀害虫を検知する新規な装置に関する。
食品に対する異物混入の3割は昆虫であり、農産物貯蔵から食卓までのどこでも起こり得る問題である。中でも穀物は、貯蔵や流通過程でメイガ等の貯穀害虫が大量発生し、食害されることがある。被害穀物は、外観の悪化はもとより食味の劣化や不快臭により、その価値は大きく低下する。
これまでの穀物の殺虫処理法としては、主に臭化メチルを用いた燻蒸が行われていたが、臭化メチルはオゾン層破壊物質であるとの理由で、2015年に検疫用等一部を除き生産と使用が全廃された。そのため、臭化メチル燻蒸の代替となる殺虫技術の開発がいくつか提案されている。有望な代替技術として、リン化水素燻蒸や炭酸ガス処理がある(例えば、非特許文献1、2参照)が、リン化水素燻蒸は抵抗性害虫が出現する問題があり、炭酸ガス処理は処理時間が長い(10日程度)等の問題がある。また、ガンマ線や高エネルギー電子線を用いた放射線照射による殺虫方法も提案されているが(例えば、特許文献1および非特許文献3参照)、照射装置が高価であるなどの問題があり、日本では実用化は進んでいない。
化学薬剤の使用は、安価で安定した防除効果が得られる反面、食品への残留、環境破壊、抵抗性害虫の発生を誘発することから、その使用を最小化する総合的害虫管理(以下、「IPM」という。)への移行が推進されている。IPMの実践にはモニタリングにより、貯穀害虫の発生を把握することが必要である。目視による監視も行われるが、害虫の発生数が多くならないと発見が難しいため、穀物倉庫や食品工場等で害虫を定期的にモニタリングする、トラップによる監視が主流である。トラップには、フェロモントラップ、粘着トラップ、餌(ベイト)トラップ、ライトトラップ等が汎用されている。トラップの種類によって特性は異なり、目的に応じて使い分けが可能となるが、総じて、高い運動能力を有する成虫が対象となる。このため、孵化した幼虫時期の害虫をトラップし、モニタリングすることは難しいという問題がある。トラップにより貯穀害虫(成虫)が見つかった場合は、概略100倍程度の幼虫が存在する可能性が高く、トラップにより貯穀害虫の発生を把握してからの駆除対応では遅く、薬剤の使用を最小化できないという課題があった。
これらのことから、孵化した幼虫時期の貯穀害虫の発生を検知できる方法や装置の開発が求められていた。
「輸入農産物の防虫・くん蒸ハンドブック」、サイエンスフォーラム発行、1995年 農林水産省生産局植物防疫課監修「植物検疫くん蒸作業主任者テキスト 改訂5版」、日本くん蒸技術協会発行、2002年 「放射線照射による小麦の殺虫に関する研究成果報告書(付録)」、食品照射研究運営会議、1983年
特開平10-215765号公報
本発明は、孵化した幼虫時期の貯穀害虫の発生を検知する方法と、この検知装置を提供することを課題としている。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、貯穀害虫の幼虫が成長するときに、プレノール(3-メチル-2-ブテン-1-オール)、イソプレノール(3-メチル-3-ブテン-1-オール)、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドから選択される1種以上を発生することを、新たに見出した。すなわち、貯穀環境下において、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドを監視することにより、孵化した幼虫時期の貯穀害虫の発生を検知できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.下記(1)、(2)の工程を含むことを特徴とする、貯穀害虫検知方法。
(1)貯穀環境下の気体を採集する工程
(2)前記気体中のプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知する工程
2.貯穀害虫が鱗翅目類および甲虫目(鞘翅目)から選択される1種以上であることを特徴とする、1.に記載の貯穀害虫検知方法。
3.下記(1)~(3)の手段を含むことを特徴とする、貯穀害虫検知装置。
(1)貯穀環境下の気体を採集する手段
(2)前記気体中のプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知する手段
(3)前記検知結果に基づき貯穀害虫の有無を報知する手段
本発明の貯穀害虫検知方法または貯穀害虫検知装置によれば、貯穀環境下の気体中の、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドから選択される1種以上を監視することにより、孵化した幼虫時期の貯穀害虫の発生、すなわち、貯穀害虫の発生を早期に検知することができる。
本発明によれば、従来から使用されているトラップよりも、早期に貯穀害虫の発生を検知することが可能であるため、穀物類の被害が小さいうちに防除対策を実施することができ、有効な防除効果を得ることができる。
実施例1における、ノシメマダラメイガのプレノールの発生量の動向を示す図である。 実施例1における、ノシメマダラメイガのイソプレノールの発生量の動向を示す図である。 実施例2における、貯穀害虫種ごとのプレノールの発生量の動向を示す図である。 実施例2における、貯穀害虫種ごとのイソプレノールの発生量の動向を示す図である。 実施例2における、貯穀害虫種ごとの、分子イオンピーク(m/z=86)のマスクロマトグラムを示す図である。 実施例3における、コクゾウムシのイソプレノールの発生量の動向を示す図である。 実施例4における、貯穀害虫種ごとのプレノールの発生量の動向を示す図である。 実施例4における、貯穀害虫種ごとのイソプレノールの発生量の動向を示す図である。 実施例5における、コクゾウムシとコクヌストモドキのイソプレノールの発生量の動向を示す図である。 実施例6における、コクゾウムシとコクヌストモドキのジメチルジスルフィドの発生量の動向を示す図である。 実施例6における、コクゾウムシとコクヌストモドキのジメチルトリスルフィドの発生量の動向を示す図である。 実施例7における、貯穀害虫種ごとのジメチルジスルフィドの発生量の動向を示す図である。 実施例6における、貯穀害虫種ごとのジメチルジスルフィドの発生量の動向を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における、貯穀害虫からの保護対象は穀物類である。本発明において、この穀物類は、米、小麦、大麦、トウモロコシ、大豆、小豆、蕎麦等の各種穀物やその粉体類はもとより、パスタ、素麺、蕎麦等の乾麺等の各種乾燥穀物類加工食品をも含む用語として定義づけられる。また、貯穀環境とは、これら穀物類を保存/保管する穀物倉庫、穀物類を移送する穀物輸送船や輸送車、穀物類を加工する食品工場等の構造物のほか、穀物類を保存または移送する際に使用する紙、麻、樹脂製の袋や樹脂製の容器を意味する。
本発明は、貯穀害虫の幼虫が成長するときに、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドから選択される1種以上を発生することを、新たに見出したことに基づくものであり、貯穀環境下の気体を採集し、気体中のプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知することが、本発明の主たる構成となる。
<プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドについて>
プレノールは下記化学構造を有し、化学式がC10O、化学名が「3-メチル-2-ブテン-1-オール」のアルコール化合物である。沸点は約142℃であり、揮発性を有し、果物のような香りを持つため、香料としても使用される化合物である。
Figure 0007120631000001
イソプレノールは下記化学構造を有し、化学式がC10O、化学名が「3-メチル-3-ブテン-1-オール」のアルコール化合物である。沸点は130~132℃であり、揮発性を有し、プレノールと同様に香料としても使用される化合物である。
Figure 0007120631000002
ジメチルジスルフィドは下記化学構造を有し、化学式がC、二硫化メチルとも呼称される化合物である。沸点は110℃であり、揮発性を有し、食品用香料としても使用される化合物である。
Figure 0007120631000003
ジメチルトリスルフィドは下記化学構造を有し、化学式がC、三硫化メチルとも呼称される化合物である。沸点は165~170℃であり、揮発性を有し、ジメチルジスルフィドと同様に食品用香料としても使用される化合物である。
Figure 0007120631000004
<(1)貯穀環境下の気体の採集について>
本発明の貯穀害虫検知方法は(1)貯穀環境下の気体を採集する工程を、また、本発明の貯穀害虫検知装置は(1)貯穀環境下の気体を採集する手段を有するものであり、貯穀環境下の気体に含まれる、揮発性有機化合物(以下、「VOC」という。)中のプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無により、貯穀害虫の存在を検知するものである。
この気体の採集については、穀物類が貯蔵されている環境下の気体(空気)を採取し、後の分析のために当該気体を蓄積することができれば特に制限されない。必要に応じて、採集した気体を濃縮する機能を付加してもよい。濃縮する機能としては、例えば、エアポンプ等により貯穀環境下の気体を濃縮カラムに送気して、採集した気体中のVOCを吸着剤に吸着させ、吸着剤を加熱することにより吸着され濃縮されたVOCを得る方法が挙げられる。濃縮カラムとしては、吸着型充填剤やポーラスポリマー等の吸着剤をカラム内に充填し、連続的に貯穀環境下の気体を流過させて吸着剤にVOCを吸着させる様式が挙げられる。吸着剤としては、例えば、ジーエルサイエンス社製のMS3A、MS4A、MS13X、TenaxTA、TenaxGR、PorapakS、PorapakQ、MonoTrap(登録商標)、ゲステル社製のTwister、スペルコ社製の固相マイクロ抽出(SPME)ファイバー等が挙げられ、その容量は、例えば、0.01~5mLが好適である。吸着剤を加熱する条件は、濃縮カラムに充填された吸着剤の種類などに応じて適宜設定すればよく、例えば、TenaxTAを吸着剤とした場合には、濃縮カラムを200~250℃に加熱すればよい。加熱方法はどのような方法であってもよく、金属線などの発熱材を濃縮カラムに巻き付けて加熱する方法、濃縮カラムをジャケットで覆いジャケット内に加熱媒体を流して加熱する方法、濃縮カラムに熱風を吹き付けて加熱する方法などを例示することができる。
<(2)プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無の検知について>
上述の(1)貯穀環境下の気体の採集により得られたVOCを分析する手法は、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知できる手法であれば特に制限はされないが、ガスクロマトグラフィー(以下、「GC」という。)やガスクロマトグラフィー質量分析法(以下、「GC-MS法」という。)による分析が好適である。中でも、種々のVOCが発生する貯穀環境下において、確実にプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知するためにも、質量分析の前に、GCによりVOC成分を分離するGC-MS法がより好適である。GC-MS法において、GCへのサンプル導入法は特に制限されず、加熱脱着法、溶剤抽出法等の公知の方法を利用できる。特に、本発明においては、微量の高揮発性成分の解析となるため、溶剤抽出法よりも加熱脱着法がより適切である。
上述の吸着剤として、TenaxTAやTenaxGRを用いる場合には、貯穀環境下の気体を吸着させた後、吸着剤を含む濃縮カラムにヘリウム等の不活性ガスを通過させながら急加熱することで、VOCをガス状に脱離させ、続いてGC-MS法により分析を行うことで、主たるVOCの分析を行うことができる。また、加熱による手法の他、吸着剤に吸着された成分を溶媒に逆抽出して利用することもできる。この場合、抽出溶媒をエバポレーター等により濃縮する方法や、濃縮せずにGC-MSに大量注入する方法(例えば、ゲステル社やアイスティサイエンス社の手法)を選択し得る。
貯穀害虫の幼虫が成長時に発生するガスは、非常に複雑な成分組成であるため、着目する成分を分析時に単一ピークとして検出することは、重要である反面困難でもある。
例えば、本発明において着目したイソプレノールは、ペンタン-1-オール(化学式:C12O)と分離して検出することが難しく、GC-MSのトータルイオンカレントクロマトグラム(TICC)では識別することができない。一方、貯穀害虫の幼虫が成長する試験全期間における、発生ガス各成分の質量電荷比(m/z)を検討した結果、プレノールとイソプレノールの分子イオンピーク(m/z=86)は、マスクロマトグラム(MC)においてベースピーク(スペクトル中でもっとも強度の強いピーク)ではないものの、孵化した幼虫時期の貯穀害虫の発生を検知するために、利用可能なピークであることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。今後、プレノールとイソプレノールの分子イオンピークに着目する本発明において、EIイオン化法に比べてソフトなイオン化法であるCIイオン化法を採用し、フラグメンテーションを少なくして、検出を容易にすることも可能である。
また、イオン分子反応を利用したイオン分子反応型質量分析計(IMR-MS)(例えば、オーストリアのV&F社製の「ソフトイオン化質量分析計 Airsense(商品名)」等)を使用すれば、ガスクロマトグラフィーによる分離が不要となる。
また、本発明において着目したジメチルジスルフィドとジメチルトリスルフィドは、貯穀害虫の幼虫が成長する試験全期間における発生ガス各成分の質量電荷比(m/z)を、データ解析ソフトを使用して解析し、発生ガス量が多く検出が容易な成分として選抜したものである。ジメチルジスルフィドとジメチルトリスルフィドの分子イオンピークは、それぞれm/z=94、m/z=126である。
本発明において着目したジメチルジスルフィドは、特定悪臭物質に指定されている物質であり、環境中の定量技術が既に多数開発されている。ジメチルジスルフィドを検出する簡易な方法として、例えば、検知管としては、株式会社ガステック社製のパイロテック用検知管である「硫化ジメチルNo.53」が、小型の選択式センサーを装着したガス警報器としては、ドレーゲルジャパン社製の「Drager X-am 5600」があり、ジメチルトリスルフィドについても、これらを利用することができる。
貯穀環境下から採集された気体を分析して、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド何れかの存在や、その比率を確認することにより、発生した貯穀害虫種を推測することも可能であると考える。
<(3)前記検知結果に基づく貯穀害虫の有無の報知について>
本発明の貯穀害虫検知装置は、(3)前記検知結果に基づき貯穀害虫の有無を報知する手段を有するものである。貯穀環境下の気体中に、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の存在が検知された場合には、貯穀害虫が検知されたことを、例えば、画像、文字、色彩の表示若しくは発光等による視覚的な方法、音声等の聴覚的な方法、またはそれらの組み合わせにより報知を行うことができる。視覚的な方法で報知を行う場合、例えば、表示デバイスとして、画像または文字を表示することにより報知を行う。また、LED等の発光素子を発光させることにより報知を行ってもよい。聴覚的な方法で報知を行う場合、例えば、スピーカ等の音発生デバイスとして、アラーム音や音声ガイド等を出力することにより報知を行う。報知は、視覚的または聴覚的な方法に限られず、貯穀環境の管理者が認識可能な任意の方法であってもよい。例えば、振動パターン等により、報知を行ってもよい。
<本発明の貯穀害虫検知装置について>
本発明の貯穀害虫検知装置は、貯穀環境下の気体を採集する手段である採集部、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知する手段である検知部、さらに、前記検知結果に基づき貯穀害虫の有無を報知する手段である報知部を有するものである。この採集部は、貯穀環境下の気体を吸引するエアポンプ部、吸着剤を内包し加熱部を有する濃縮カラム部から構成されていることが好適である。また、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドだけを検知する場合は、検知する手段として電気化学式センサーを使用することができる。この場合は、電気化学式センサーに貯穀環境下から採集した気体を暴露させるか、貯穀環境下の気体を電気化学式センサーに送気する構成が好適である。
採集部と検知部は連結されていて、貯穀環境下の気体を採集後、引き続きプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知する作業を自動的に行ってもよい。また、採集部と検知部は連結されていていなくても、貯穀環境下の気体を採集後、目的に応じたタイミングでプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知する作業を人為的に行ってもよい。
検知部において、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の存在が検知された場合には、報知部において速やかに貯穀害虫の存在を報知できるように、検知部と報知部は連動していることが好ましい。
<本発明の貯穀害虫検知方法について>
本発明の貯穀害虫検知方法の態様としては、(1)貯穀環境下の気体を採集する工程のみ貯穀環境下で行い、(2)前記気体中のプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知する工程は、貯穀環境下とは離れた場所で行うことも含むものである。例えば、複数の穀物倉庫や食品工場等において、貯穀環境下の気体を採集し、採集した気体サンプルを、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知できる分析センター等に集約して、一括して貯穀害虫の存在を検知する工程を行うこともできる。採集した気体サンプルの形態としては、例えば、単に採集した気体を無処理のままアルミニウムバッグに充填する形態や、貯穀環境下に一定時間載置して吸着剤に貯穀環境下の気体を採集する形態のほか、吸着剤を充填した捕集管に貯穀環境下の気体を採集する形態等が挙げられる。この態様であれば、貯穀環境下ごとにプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知できる分析装置等を配する必要がなく、有用である。
一方、カントリーエレベーター等の巨大な穀物倉庫では、複数個所において貯穀環境下の気体を採集し、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知することにより、サイロ様の巨大タンク中における貯穀害虫の発生場所を把握することが可能となる。貯穀害虫の発生場所を限定できることにより、被害穀物を最小限に抑えることができるほか、防除対策の手間や費用を抑えることができ、IPMの観点からも有用である。
また、包装された袋中の気体を採集し、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知することにより、袋ごとの貯穀害虫の発生の有無を確認することが可能である。非常に多くの袋体の中から、貯穀害虫が発生している袋体を発見することができ、穀物類の損失を最小限に抑えることができ有効である。
<貯穀害虫について>
本発明が対象とする貯穀害虫は、穀物類を加害する害虫を意味する。具体的には、例えば、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、バクガ、ガイマイツヅリガ、イッテンコクガ、コクガ、カシノシマメイガ、コメノシマメイガ、コイガ、コクマルハキバガ、トウモロコシトガリホソガ等の鱗翅目害虫、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、コクヌストモドキ、ヒラタコクヌストモドキ、ノコギリヒラタムシ、コナナガシンクイムシ、サビカクムネヒラタムシ、カクムネヒラタムシ、タバコシバンムシ、ジンサンシバンムシ、コメノゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ヒメゴミムシダマシ、ガイマイゴミムシダマシ、ヒメアカカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、コクヌスト、アズキゾウムシ、インゲンゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシ、アカイロマメゾウムシ、オオメノコギリヒラタムシ、ハウカクムネヒラタムシ、トルコカクムネヒラタムシ、カシミールコクヌストモドキ、オオツノコクヌストモドキ、ヒメコクヌストモドキ、コヒメコクヌストモドキ、チビタケナガシンクイムシ、ホソチビコクヌスト、クロヒラタコクヌストモドキ、コメノケシキスイ、クリヤケシキスイ、セマルヒョウホンムシ、ナガヒョウホンムシ、ブラジルマメゾウムシ、ホソマメムシ、カドコブホソヒラタムシ、ヒメフタトゲホソヒラタムシ、トゲムネキスイ、チビマルホソカタムシ、コゴメゴミムシダマシ、ゴミムシダマシ等の甲虫目(鞘翅目)害虫、ヒラタチャタテ、カツブシチャタテ、ツヤコチャタテ、コチャタテ、ソウメンチャタテ、ウスグロチャタテ等の囓虫目害虫、ヤマトシミ、マダラシミ、セイヨウシミ等の総尾目害虫などの成虫や幼虫を挙げることができる。
本発明は、上記に例示した害虫を含む貯穀害虫全般に対し、その発生を早期に検知する点において、優れた効果を発揮する。中でも、本発明は、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、バクガ、ガイマイツヅリガ、イッテンコクガ、コクガ、カシノシマメイガ、コメノシマメイガ、コイガ、コクマルハキバガ、トウモロコシトガリホソガの鱗翅目害虫、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、コクヌストモドキ、ヒラタコクヌストモドキ、ノコギリヒラタムシ、コナナガシンクイムシ、サビカクムネヒラタムシ、カクムネヒラタムシ、タバコシバンムシ、ジンサンシバンムシ、コメノゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ヒメゴミムシダマシ、ガイマイゴミムシダマシ、ヒメアカカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、コクヌスト、アズキゾウムシ、インゲンゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシ、アカイロマメゾウムシ、オオメノコギリヒラタムシ、ハウカクムネヒラタムシ、トルコカクムネヒラタムシ、カシミールコクヌストモドキ、オオツノコクヌストモドキ、ヒメコクヌストモドキ、コヒメコクヌストモドキ、チビタケナガシンクイムシ、ホソチビコクヌスト、クロヒラタコクヌストモドキの甲虫目(鞘翅目)害虫、ヒラタチャタテ、カツブシチャタテ、ツヤコチャタテ、コチャタテ、ソウメンチャタテ、ウスグロチャタテの囓虫目害虫、ヤマトシミ、マダラシミ、セイヨウシミの総尾目害虫に対して有効であり、特に、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、バクガ、ガイマイツヅリガ、イッテンコクガの鱗翅目害虫、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、コクヌストモドキ、ヒラタコクヌストモドキ、ノコギリヒラタムシ、コナナガシンクイムシ、サビカクムネヒラタムシ、カクムネヒラタムシ、タバコシバンムシ、ジンサンシバンムシ、コメノゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ヒメゴミムシダマシ、ガイマイゴミムシダマシ、ヒメアカカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、コクヌスト、アズキゾウムシ、インゲンゾウムシの甲虫目(鞘翅目)害虫、ヒラタチャタテ、カツブシチャタテ、ツヤコチャタテ、コチャタテの囓虫目害虫、ヤマトシミ、マダラシミの総尾目害虫の発生を早期に検知する点において、より優れた効果を発揮する。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の技術範囲はこれらにより限定されるものではない。
プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知する方法/手段は以下の通りである。
<分析装置>
GC-MS:Agilent 5973(アジレント・テクノロジー社製)
GCカラム:DB-Wax(60m length, 0.25mmi.d., 0.25μm df)の先端に、中空(無修飾)のフューズドシリカキャピラリーカラム(0.57m length, 0.10mm i.d.)をつないで使用した。
<分析条件>
分析温度は40℃で1分保持後、4℃/分で240℃まで昇温させ8分間保持した。
キャリアガス流量:1.0mL/分(コンスタントフロー)
質量分析計:m/zが20~400の範囲をスキャン
イオン化電圧:70eV
<実施例1>ノシメマダラメイガのプレノールとイソプレノールの発生量の動向検討
(1)揮発性成分(VOC)の採集
ガラス容器(iwaki NEWクリアパック、容量:1L)に玄米(100g)とノシメマダラメイガの卵(概略200個)を入れてふたをし、25℃の実験室内に静置し、経時的に揮発性成分の分析を行った。
当該容器のふたは、注入口セプタム(島津社製)を備えた開口部を2個備えており、それぞれの開口部は、注射針とルアーロックジョイントを用いて、吸着剤(TenaxTA)を充填した捕集管(TDUチューブ、ゲステル社製)を接続した。1つの捕集管は、大気吸引ポンプ(SP208-100Dual II、ジーエルサイエンス社製)に接続し、100ml/minの速度で吸引することにより、試験ガラス容器内中の揮発性成分(VOC)を捕集管に導入し、成分を吸着剤に吸着させることにより採集を行った。吸引するガス量は5Lとした。他方の捕集管は開放とし、試験ガラス容器内から吸引された空気を補充した。その際、補充される空気に実験室内の揮発性成分(VOC)が混入することを避けるため、捕集管中の吸着剤により実験室内の揮発性成分(VOC)を捕捉した。
(2)分析
吸着剤に採集された揮発性成分(VOC)は加熱脱着ユニット(TDU、ゲステル社製)を用いて加熱脱着した。加熱脱着の条件は、40℃で30秒間保持した後、12℃/秒で240℃まで昇温して5分間保持し、スプリットレスモードでキャリアガス(ヘリウム)を流した。加熱脱着ユニットとクールドインジェクションシステムのトランスファーラインは300℃とした。昇温気化型注入口を予め-40℃に冷却し、加熱脱着時間中はソルベントベントモード、流速60ml/分で揮発性成分(VOC)をクライオフォーカスした。
加熱脱着終了後、GCの分析開始と同時に、注入口を12℃/秒で240℃まで急速昇温し、5分間保持し揮発性成分(VOC)をGC/MSシステムに導入した。
(3)試験経過
揮発性成分(VOC)により貯穀害虫の発生を検知するためには、貯穀害虫が発生していない穀物類のヘッドスペースガス(HSG)と比較して、相違する成分に着目する。網羅的に解析するメタボロミクスを利用し統計的に処理しても良いが、今回は目視による経時的な差分解析を行った。
トータルイオンカレントクロマトグラム(TICC)では顕著な差は認められなかったが、においに違いがあることから、リテンションタイム(RT)が一致するピークのスペクトルを1つずつ比較したところ、RTが20.9分のピークにおいて、貯穀害虫が発生していない試験区(コントロール)ではm/z=86のピークが無いにも関わらず、ノシメマダラメイガを放飼した試験区にはm/z=86のピークが存在することが確認された。
m/z=86のピークをモニターすると、試験開始直後から発生していることや、経時的に増加することも明らかとなった。さらに時間が経過すると、RTが23.2分にもm/z=86のピークが現れた。この2つのm/z=86のピークについて、詳細に検討した結果、RTが20.9分のピークに存在するm/z=86のピークはイソプレノールであり、RTが23.2分のピークがプレノールであり、86はそれぞれの分子量であることが、明らかとなった。
経時的に測定した、ノシメマダラメイガのプレノールの発生量を図1に、イソプレノールの発生量を図2に示した。図1、2の縦軸は、m/z=86のマスクロマトグラムのピーク面積の対数値とした。
ノシメマダラメイガの卵は数日で孵化し幼虫となり、1~2ヶ月かけて成虫となる。図1、2に示すとおり、試験開始から3日後からイソプレノールが検知され、理由は不明であるもののプレノールも試験開始から30日後から検知され、貯穀環境下の気体を採集し、当該気体中のプレノールおよび/またはイソプレノールを検知することにより、貯穀害虫を検知できることが明らかとなった。
上記「実施例1の(1)揮発性成分(VOC)の採集」に記載した方法以外にも、MonoTrap(登録商標)RGPS-TD(ジーエルサイエンス社製)を試験ガラス容器内に入れ、24時間静置した。これを加熱脱着して分析することにより、貯穀害虫を検知できることが確認された。
貯穀環境の大きさに応じて、複数個のMonoTrap(登録商標)を載置する手法も、本発明の実施に有用であることが確認できた。
また、ノシメマダラメイガ以外の貯穀害虫について、卵から孵化した幼虫が成長時に発生するガスの成分を分析した結果、プレノールおよび/またはイソプレノールは全ての検討種において発生が確認された。
次いで、貯穀害虫種別のプレノールとイソプレノールの発生量について、実施例2において検証する。
<実施例2>貯穀害虫種別のプレノールとイソプレノールの発生量の動向検討1-1
貯穀害虫として、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、ガイマイツヅリガを使用して、実施例1と同様の試験を行った。
経時的に測定した、貯穀害虫種ごとのプレノール発生量を図3に、イソプレノールの発生量を図4に示した。また、試験開始から15日目と65日目の各貯穀害虫種ごとの、分子イオンピーク(m/z=86)のマスクロマトグラムを図5に示した。
図3、4に示すとおり、貯穀害虫種により発生量に差異はあるものの、プレノールおよび/またはイソプレノールは全てにおいて発生が確認された。
なお、図4におけるコントロールの1日目のデータは、使用した吸着剤の再生が不十分であったため、イソプレノールが検知されてしまったコンタミネーションによるものと考えられる。後日再試験により、貯穀害虫が発生していない試験区(コントロール)において、1日目からイソプレノールの発生が無いことを確認し、コンタミネーションが原因と結論付けた。
<実施例3>貯穀害虫種別のイソプレノールの発生量の動向検討2-1
貯穀害虫として、コクゾウムシ、コクヌストモドキを使用して、実施例1と同様の試験を行った。
経時的に測定した、コクゾウムシのイソプレノール発生量を図6に示した。
コクゾウムシの卵は数日で孵化し幼虫となり、1ヶ月程度で成虫となる。図6に示すとおり、試験開始から14日後からイソプレノールが検知され、貯穀環境下の気体を採集し、当該気体中のイソプレノールを検知することにより、貯穀害虫を検知できることが明らかとなった。
コクヌストモドキは穀物類の粉を好むためか、玄米を餌とする本試験系では増殖速度が遅く、試験開始から26日以降からイソプレノールが検知された。
この試験により、鱗翅目害虫に属する貯穀害虫以外にも甲虫目(鞘翅目)に属する貯穀害虫の発生を検知できることが確認された。
<実施例4>貯穀害虫種別のプレノールとイソプレノールの発生量の動向検討1-2
上述のとおり、実施例2では、使用した吸着剤の再生が不十分だったことに由来すると考えられる測定データ値があったので、再試験を実施した。
貯穀害虫として、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、ガイマイツヅリガを使用して、実施例2のガラス容器の容量を500mLに変更し、試験を2反復で実施した以外は同様に試験を行った。
経時的に測定した、貯穀害虫種ごとのプレノール発生量の平均値を図7に、イソプレノールの発生量の平均値を図8に示した。
図7、8に示すとおり、貯穀害虫種により発生量に差異はあるものの、プレノールおよび/またはイソプレノールは全てにおいて発生が確認された。また、今回はコンタミネーション等の問題なく正常な試験結果が得られた。
<実施例5>貯穀害虫種別のイソプレノールの発生量の動向検討2-2
実施例3では、コクヌストモドキのイソプレノールの発生を検知できたものの、発生量が微量であったため、m/z=86のマスクロマトグラムのピーク面積の対数値として明示することが出来なかった。そこで、実施例3のガラス容器の容量を500mLに変更し、試験期間を長くして2反復で実施した以外は同様に試験を再度実施した。
経時的に測定した、コクゾウムシとコクヌストモドキのイソプレノール発生量の平均値を図9に示した。
図9に示すとおり、コクゾウムシは試験開始22日に、コクヌストモドキは試験開始53日に、イソプレノールが検知された。
この試験により、鱗翅目害虫に属する貯穀害虫以外にも甲虫目(鞘翅目)に属する貯穀害虫についても、貯穀環境下の気体を採集し、当該気体中のイソプレノールを検知することにより、貯穀害虫を検知できることが明らかとなった。
<実施例6>貯穀害虫種別のジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドの発生量の動向検討3-1
貯穀害虫として、コクゾウムシ、コクヌストモドキを使用した実施例5の実験で、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドの発生推移を調査した。モニターピークは、ジメチルジスルフィドがm/z=94のピーク、ジメチルトリスルフィドがm/z=126のピークである。
経時的に測定した、ジメチルジスルフィド発生量を図10に、ジメチルトリスルフィド発生量を図11に示した。
図10、11に示すとおり、コクゾウムシとコクヌストモドキでは、発生量に差異はあるものの、ジメチルジスルフィドおよび/またはジメチルトリスルフィドの発生が確認された。
なお、試験開始直後から20日後の間は、非常に多くの種類のガスが発生するため、ジメチルジスルフィドとジメチルトリスルフィドのピークを他のM/z=94およびm/z=126のイオンを有する成分と明確に区別することが出来ず、図面上、ガス発生量が増減するデータの「振れ」が見られるが、この間においても、ジメチルジスルフィドとジメチルトリスルフィドが共に発生していることは確認できた。
この試験により、甲虫目(鞘翅目)に属する貯穀害虫についても、貯穀環境下の気体を採集し、当該気体中のジメチルジスルフィドやジメチルトリスルフィドを検知することにより、貯穀害虫を検知できることが明らかとなった。
<実施例7>貯穀害虫種別のジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドの発生量の動向検討3-2
貯穀害虫として、ノシメマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、スジマダラメイガ、ガイマイツヅリガを使用した実施例4の実験において、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドの発生推移を調査した。
経時的に測定した、貯穀害虫種ごとのジメチルジスルフィド発生量を図12に、ジメチルトリスルフィド発生量を図13に示した。
図12、13に示すとおり、ノシメマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、スジマダラメイガ、ガイマイツヅリガにおいて、発生量に差異はあるものの、ジメチルジスルフィドおよび/またはジメチルトリスルフィドの発生が確認された。
この試験により、鱗翅目害虫に属する貯穀害虫に属する貯穀害虫についても、貯穀環境下の気体を採集し、当該気体中のジメチルジスルフィドやジメチルトリスルフィドを検知することにより、貯穀害虫を検知できることが明らかとなった。
本発明の貯穀害虫検知方法または貯穀害虫検知装置によれば、貯穀環境下の気体中の、プレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上を監視することにより、孵化した幼虫時期の鱗翅目害虫のみならず、甲虫目(鞘翅目)害虫等の様々な貯穀環境下における害虫の発生、すなわち、貯穀害虫の発生を早期に検知することができる。
さらに、本発明によれば、従来から使用されているトラップよりも、早期に貯穀害虫の発生を検知することが可能であるため、穀物類の被害が小さいうちに防除対策を実施することができ、有効な防除効果を得ることができる。

Claims (2)

  1. 下記(1)、(2)の工程を含み、貯穀害虫が鱗翅目類および甲虫目(鞘翅目)から選択される1種以上であることを特徴とする、貯穀害虫検知方法。
    (1)貯穀環境下の気体を採集する工程
    (2)前記気体中のプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知する工程
  2. 下記(1)~(3)の手段を含み、貯穀害虫が鱗翅目類および甲虫目(鞘翅目)から選択される1種以上であることを特徴とする、貯穀害虫検知装置。
    (1)貯穀環境下の気体を採集する手段
    (2)前記気体中のプレノール、イソプレノール、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドから選択される1種以上の有無を検知する手段
    (3)前記検知結果に基づき鱗翅目類および甲虫目(鞘翅目)から選択される1種以上の貯穀害虫の有無を報知する手段
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