JP7120553B2 - イブルチニブを有効成分として含む退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物 - Google Patents

イブルチニブを有効成分として含む退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物 Download PDF

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Description

本発明は、イブルチニブ(Ibrutinib)を有効成分として含む退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物に関する。
退行性脳疾患は、加齢に伴って発生する退行性疾患の中でも脳で発生する疾患のことを意味し、主な症状と侵される脳部位を考慮して区分することができるが、代表的なものとしてアルツハイマー疾患(Alzheimers disease)やパーキンソン疾患などが含まれる。退行性脳疾患は、老化による神経退化と遺伝的環境要因によりタンパク質が凝集されて神経細胞が死滅することにより引き起こされるものと知られている。
また、退行性脳疾患は、特定脳細胞の死滅又は退化が一時的に又は長期間かけて進行するものがあるが、一度死んだ脳細胞は再生不可能であるため、結局、致命的な脳機能の損失につながり発生するものとして知られており、特に、認知機能、感覚機能、運動機能、全身機能の進行性低下を伴う脳機能不全は、結局、性格と行動の変化をもたらし、患者を自分自身の面倒を見られなくなる状態に至らしめる。このような脳細胞死滅の主な経路としては酸化ストレスによる酸化毒性、興奮毒性、アポトーシス(apoptosis)などが提示されており、それぞれ特異な信号伝達過程を通して細胞死滅を誘発する。具体的に、脳卒中、脳損傷、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease,AD)、パーキンソン病患者における脳細胞死滅の主な原因としては、活性酸素種(Reactive Oxygen Species)の蓄積後におけるタンパク質、核酸、脂質の酸化的損傷が提示されており、特に、フリーラジカル(free radicals)による酸化ストレスは、体内の各組織で起こる細胞死滅の主な原因として報告されており、脳神経疾患で生じる細胞死滅の主なメカニズムの一つとしても提示されてきた(Schapira,A.H.,Curr.Opin.Neurol.,9(4):260-264,1996)。
また、ミクログリア(microglia)とアストロサイト(astrocyte)の活性は退行性脳神経疾患の発病及び進行にかかわると報告されており、ミクログリアは中枢神経系(CNS)に常在する兔疫細胞であり、外部の刺激により活性化されて免疫反応及び炎症反応を誘発するものとして知られている。ミクログリアは、中枢神経系で一次的な免疫機能を行う細胞であり、細長い棘と薄い細胞体の模様を維持した状態から、外部から流入したり内部で発生する毒素が存在することになると、これら毒素から神経細胞を保護するために太くて短い棘と肥大した細胞体をもつ活性化された模様に変化する。
しかし、バクテリアの内毒素であるリポポリサッカライド(lipopolysaccharide,LPS)、インターフェロン-γ、ベータアミロイド又はガングリオシドのような物質によりミクログリアが活性化されると、正常状態のミクログリアとは異なり食作用を活発にし、細胞増殖してTNF-α、IL-1β及びIL-6などのようなサイトカイン、ケモカイン、iNOS(inducible nitric oxide synthase)、COX-2(cyclooxygenase-2)などの遺伝子を発現させ炎症メディエーターを生成する。このようなミクログリアの活性化は、損傷した細胞を取り除き外部から侵入するバクテリアやウイルスから神経細胞を保護する一面があるが、iNOSによって生成される一酸化窒素(NO)とCOX-2により生成されるプロスタグランジン、TNF-αなどは神経細胞にも毒性を示すため、結果的にミクログリアの活性化は神経細胞の損傷を悪化させることになる。したがって、ミクログリアの適切な活性化抑制は、退行性脳疾患を治療することができる一つの方法になり得る。
また、アストロサイトは、脳の発生過程だけでなく正常な脳活動を維持するのに重要な役割を行う。脳におけるアストロサイトは、神経細胞が分泌する神経伝達物質を適切に取り除いたり脳でのイオン濃度を調節したりしながら神経細胞の活性を補助する役割を行うことが明らかになっており、この他にも神経幹細胞が神経細胞に分化するのに決定的な役割をすることが明らかになっている。
しかし、アストロサイトは、脳に傷害を負ったとき、増殖が活発になりスウェリング(swelling)が起きてアストログリオーシス(astrogliosis)のような反応性アストロサイトに活性化される。このような反応性アストロサイトは、HIV性認知症、脳損傷、虚血性脳疾患、アルツハイマー病などで観察されている。よって、持続的なアストロサイトの活性化は、結局、神経細胞の死滅をもたらす。したがって、アストロサイトの適切な活性化抑制も退行性脳疾患を治療することができるもう一つの方法になり得る。
現在、退行性脳疾患を治療するために使用されている治療法としては、薬物治療法、手術治療法及び物理治療法などがあるが、薬物治療の場合、一般的に脳で不足となったドーパミンを補い、ドーパミン不足による神経伝達物質の不均衡を合わせ、神経細胞の破壊を予防又は遅延させ、また、その他鬱病などの症状を調節するための薬物が使用されている。
しかし、このような薬物は、死んでしまった神経細胞を再び生き返らせることができないため、完治を目的とするものではなく症状の調節を目的とするという限界があって、より効果的に退行性脳疾患を予防又は治療することができる新たな治療剤の至急開発が望まれているのが実情である。
一方、イブルチニブは、B細胞悪性腫瘍を標的とする抗癌剤として知られており、悪性腫瘍B細胞が制御不可能に成長し分裂するように刺激する信号を遮断する作用をすることが明らかになっている。このようなイブルチニブは、2013年11月にマントル細胞リンパ腫の治療に対して、2014年2月には慢性リンパ球性白血病の治療に対してアメリカFDAの承認を受けた。
しかし、未だイブルチニブが退行性脳疾患を治療することができる治療剤として使用可能であることを糾明した例がない。
よって、本発明者等は、従来抗癌剤として知られているイブルチニブが退行性脳疾患を予防又は治療することができる治療剤として使用可能であることを確認することにより本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、イブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、試験管内でイブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を脳神経細胞に処理する段階を含む、ミクログリア又はアストロサイトの活性抑制方法を提供することにある。
さらに、本発明のまた他の目的は、試験管内でイブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を脳神経細胞に処理する段階を含む、LPSによって誘導されるミクログリアの細胞移動を抑制する方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、イブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の一実施例において、上記組成物は、ミクログリア又はアストロサイトの活性を抑制して、活性化されたミクログリア又は活性化されたアストロサイトが神経細胞に及ぼす損傷を抑制する効果を有するものであり得る。
本発明の一実施例において、上記組成物は、ミクログリアの細胞移動を抑制する活性を有するものであり得る。
本発明の一実施例において、上記ミクログリア又はアストロサイトの活性;又はミクログリアの細胞移動は、LPSによって誘導されるものであり得る。
本発明の一実施例において、上記組成物は、アミロイドプラークの抑制又はタウタンパク質のリン酸化抑制活性を有するものであり得る。
本発明の一実施例において、上記組成物は、神経細胞で記憶力と学習力に関与する樹状突起棘(dendritic spine)の数及びシナプトフィジン(synaptophysin)及びPSD-95のパンクタ数(puncta number)を増加させて機能的シナプスを増加させるものであり得る。
本発明の一実施例において、上記組成物は、アルツハイマー疾病モデルで長期記憶力を向上させるものであり得る。
本発明の一実施例において、上記退行性脳疾患は、アルツハイマー、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、多発性神経萎縮、てんかん、脳疾患(encephalopathy)、脳卒中、記憶障害、認知障害及び学習障害からなる群から選択されるものであり得る。
また、本発明は、試験管内でイブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を脳神経細胞に処理する段階を含む、ミクログリア又はアストロサイトの活性を抑制する方法を提供する。
また、本発明は、試験管内でイブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を脳神経細胞に処理する段階を含む、LPSによって誘導されるミクログリアの細胞移動を抑制する方法を提供する。
本発明は、イブルチニブの退行性脳疾患に対する治療剤の用途に関するものであり、ミクログリア及びアストロサイトの活性を効果的に抑制することにより炎症性サイトカインの生産を減少させて炎症を抑制し、活性化されたミクログリア及びアストロサイトが神経細胞に及ぼす損傷に対する保護効果に優れているばかりか、退行性脳疾患の原因であるアミロイドプラーク及びタウ(Tau)リン酸化を抑制する効果があり、アミロイドβ分解酵素であるIDEの発現水準を増加させてアミロイドプラークの生成を抑制しアルツハイマー疾病動物モデルで長期記憶を向上させる効果があり、さらに、記憶力及び学習力に連関する樹状突起棘の数を増加させて記憶力及び学習力の増進により退行性脳神経疾患を予防、改善及び治療できることから、イブルチニブを退行性脳疾患の予防又は治療剤として有用に使用することができる。
ミクログリアに対するイブルチニブの細胞毒性有無を確認した結果を示したものであり、図1Aはイブルチニブを100、250、500、750、1000nM濃度別に処理した後、細胞生存度を分析したものであり、図1Bはイブルチニブを1、5、10、25、50μM濃度別に処理した後、細胞生存度を分析したものであり、図1CはLPSによって刺激されたBV2ミクログリア、及びイブルチニブを前処理した後、LPSによって刺激されたBV2ミクログリアの細胞形態を顕微鏡で観察した写真を示したものである。 BV2ミクログリアにイブルチニブを前処理した後、各前炎症性サイトカインの発現水準をRT-PCRを通して確認した結果を示したものであり(図2A~2F)、図2Gは分析細胞を抗CD11b抗体、COX-2抗体又は抗CD11b及びIL-1β抗体を用いて染色された細胞を顕微鏡で観察したものであり、図2H及び2Iはイブルチニブ処理によるIL-1β、COX-2の発現水準を確認した結果を示したものである。 BV2ミクログリアにイブルチニブを前処理した後、LPSによって誘導された前炎症性サイトカインの水準をRT-PCRを通して確認した結果を示したものである(図3A~3F)。 初代培養ミクログリアにイブルチニブを前処理した後、LPSによって誘導された前炎症性サイトカインの発現水準をRT-PCRを通して確認した結果を示したものである(図4A~4F)。 初代培養アストロサイトにイブルチニブを前処理した後、LPSによって誘導された前炎症性サイトカインの発現水準をRT-PCRを通して確認した結果を示したものである(図5A~5F)。 BV2ミクログリアにTLR4抑制剤であるTAK242、イブルチニブ及びLPSを各条件別に処理し、細胞内で発現するL-1β及びCOX-2のmRNA水準をRT-PCRを用いて分析した結果を示したものである。 ERK/AKT信号伝逹に及ぼすイブルチニブの役割を分析した結果であり、BV2ミクログリアにイブルチニブを前処理した後、ERK/AKT信号伝達抗体を用いてこれらタンパク質のリン酸化程度を分析したもので、図7A~7CはERKのリン酸化程度を確認したものである。 図8A~8Cは、BV2ミクログリアにイブルチニブを前処理した後(1時間)、AKTのリン酸化程度を確認したものであり、図8D~8Fは、イブルチニブの処理時間をより長くした後(5時間)、AKTのリン酸化程度を確認した結果を示したものである。図8G~8Iは、イブルチニブを前処理し、LPSを処理した群におけるCOX-2及びIL-1β mRNA水準を確認した結果を示したものである。 BV2ミクログリアをイブルチニブ(1μM)で前処理した後、細胞下分画化(subcullar)を行って核とサイトゾル分画ではp-STAT3水準をウエスタンブロットで確認した結果を示したものであり(図9C~9D)、抗p-STAT3(s727)及び抗CD11b抗体を用いた免疫細胞化学染色による顕微鏡観察結果(図9E)及びp-STAT3の水準を確認した結果(図9F)を示したものである。 イブルチニブがLPSによって刺激されたミクログリアの移動を調節することができるかを確認した結果を示したものであり、培養されたミクログリアにイブルチニブを前処理した後、細胞にスクラッチをつけ、イブルチニブ処理による細胞移動程度を顕微鏡で確認した結果(10A)及び移動した細胞数を確認した結果(10B)を示したものである。 マウス動物モデルのcortex及びhippocampusでLPSによるミクログリアの活性化及びイブルチニブによるミクログリア活性化抑制効果をミクログリアマーカーであるIBa-1発現水準で確認したものであり、抗IBa-1抗体を用いた免疫組織化学染色結果を示したものである(図11A~11C)。 マウス動物モデルのcortex及びhippocampusでLPSによるアストロサイトの活性化及びイブルチニブによるアストロサイト活性化抑制効果をアストロサイトマーカーであるGFAP発現水準で確認したものであり、抗GFAP抗体を用いた免疫組織化学染色結果を示したものである(図12A~12C)。 アルツハイマー誘発疾病モデル(5x FAD mice)でイブルチニブ処理による記憶力及び学習力行動分析のためにY迷路実験と新規物質探索試験を行った結果を示したものである(図13A~13B)。 アルツハイマー誘発疾病モデル(Tauを過剰発現させたPS19 mice)でイブルチニブ処理による記憶力及び学習力行動分析のためにY迷路実験と新規物質探索試験を行った結果を示したものである(図14A~14B)。 イブルチニブ(1μM)の認知行動向上メカニズムのうち樹状突起棘数の変化を分析するために、初代培養海馬神経細胞(primary hippocampal neurons)にGFPを導入して形質転換してから、イブルチニブ(1μM)又はビヒクルを24時間処理した後、免疫組織化学染色を行って樹状突起棘数の変化結果を示したものである(図15A~15B)。 イブルチニブ(5μM)の認知行動向上メカニズムのうち樹状突起棘数の増加を分析するために、初代培養海馬神経細胞にGFPを導入して形質転換してから、イブルチニブ(5μM)又はビヒクルを24時間処理した後、免疫組織化学染色を行って樹状突起棘数の変化結果を示したものである(図16A~16B)。 イブルチニブが機能的シナプス(functional synapse)に影響を与えるかを確認するために、初代培養海馬神経細胞にGFPを導入して形質転換してから、抗シナプトフィジン抗体と抗PSD-95抗体を用いて免疫組織化学染色を行ってパンクタ数の変化を確認した結果を示したものである(図17A~17D)。 イブルチニブの認知行動向上分子メカニズム研究を実験した研究結果であり、初代培養海馬神経細胞にGFPを導入して形質転換してから、抗p-FAK抗体を用いて免疫組織化学染色を行った結果を示したものである(図18A~18B)。 イブルチニブによる樹状突起棘数の変化を確認するために、正常マウスの脳にイブルチニブ(10mg/kg、I.P)又はビヒクルを毎日2週間腹腔投与した後、hippocampus CA1部位でゴルジ(Golgi)染色を行って樹状突起棘数の結果を示したものである(図19A~19D)。 アルツハイマー疾病動物モデルでイブルチニブによる樹状突起棘数の変化を確認するために、アルツハイマー動物モデル(PS 19 mice)の脳にイブルチニブ(10mg/kg、I.P)又はビヒクルを毎日2週間腹腔投与した後、hippocampus CA1及びcortical layer V部位でゴルジ染色を行って樹状突起棘数の結果を示したものである(図20A~20H)。 アルツハイマー疾病動物モデル(5xFAD)のcortex及びhippocampusでイブルチニブ処理によるアミロイドプラーク抑制効果を確認したものであり、抗4G8抗体を用いた免疫組織化学染色結果を示したものである(図21A~21E)。 アルツハイマー疾病動物モデル(5xFAD)のcortex及びhippocampusでイブルチニブ処理によるアミロイドプラークの減少に対する分子メカニズムを確認するために抗IDE抗体を用いて免疫組織化学染色を行った結果を示したものである(図22A~22E)。 アルツハイマー疾病動物モデル(5xFAD)のcortex及びhippocampusでイブルチニブ処理による総タウ(Total Tau)タンパク質の発現変化を確認するために抗Tau-5抗体を用いて免疫組織化学染色を行った結果を示したものである(図23A~23E)。 アルツハイマー疾病動物モデル(5xFAD)のcortex及びhippocampusでイブルチニブ処理によるタウ(Tau)リン酸化変化効果を確認するために抗AT8抗体を用いて免疫組織化学染色を行った結果を示したものである(図24A~24E)。 アルツハイマー疾病動物モデル(5xFAD)のcortex及びhippocampusでイブルチニブ処理によるタウ(Tau)リン酸化変化を確認するために抗AT100抗体を用いて免疫組織化学染色を行った結果を示したものである(図25A~25E)。 アルツハイマー疾病動物モデル(5xFAD)のcortex及びhippocampusでイブルチニブ処理によるタウ(Tau)リン酸化変化効果を確認するために抗AT180抗体を用いて免疫組織化学染色を行った結果を示したものである(図26A~26E)。 アルツハイマー疾病動物モデル(5xFAD)のcortex及びhippocampusでイブルチニブ処理によるタウ(Tau)タンパク質のリン酸化を調節する遺伝子であるp-CDKの変化を確認するために抗p-CDK5抗体を用いて免疫組織化学染色を行った結果を示したものである(図27A~27E)。
本発明は、イブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することに特徴がある。
イブルチニブは、先に従来技術でも言及したように、B細胞悪性腫瘍を標的とする抗癌剤として知られており、免疫疾患に対する治療可能性についての研究が報告されている。しかし、未だイブルチニブの脳疾患に対する治療可能性については研究されていない。
よって、本発明ではイブルチニブが退行性脳疾患治療剤として使用可能であることを最初に糾明した。
本発明の一実施例によれば、イブルチニブがミクログリア又はアストロサイトの活性を抑制して、活性化されたミクログリア又は活性化されたアストロサイトが神経細胞に及ぼす損傷を抑制する効果があることを確認した。それだけでなく、本発明では、活性化されたミクログリアの細胞移動をイブルチニブ処理時に効果的に抑制することにより、活性化されたミクログリアの細胞移動による退行性脳疾患の発病を抑制できることが分かった。
脳で大食細胞の役割をするミクログリア(microglial cell)は、中枢神経系(central nervous system,CNS)内の免疫反応を調節する重要なエフェクター細胞(effector cell)である。これらの活性化は、薬物や毒素による異物を取り除き、神経成長因子を分泌してCNSの恒常性を維持するのに重要な役割をする。しかし、損傷したニューロンから発生する信号、外部刺激によって変形された非正常な形態のタンパク質の蓄積、病原体の浸透のような有害なストレスに露出すると、ミクログリアの活性が過剰に増加して神経細胞の損傷を誘発することにより、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、多発性硬化症、脳梗塞などのような退行性脳疾患を引き起こし得る。したがって、ミクログリアの過度な活性に対する抑制方法は、退行性脳疾患の新たな治療方法になり得る。
具体的に、過度に活性化されたミクログリアは、正常状態のミクログリアとは異なり、食作用を活発にし、細胞増殖し、TNF-α、IL-1β及びIL-6等のようなサイトカイン、ケモカイン、iNOS(inducible nitric oxide synthase)、COX-2(cyclooxygenase-2)等の遺伝子を発現させて炎症メディエーターを生成する。ミクログリアの活性化は、損傷した細胞を取り除き、外部から侵入するバクテリアやウイルスから神経細胞を保護する一面があるが、iNOSによって生成される一酸化窒素(NO)とCOX-2によって生成されるプロスタグランジン、TNF-αなどは神経細胞にも毒性を示すため、結果的にミクログリアの活性化は神経細胞の損傷を悪化させることになり、退行性脳疾患の原因として作用する。
また、アストロサイトも正常な脳活動を維持するのに重要な役割をすることが知られており、特に、神経細胞のシナプス形成、シナプス数調節、シナプス機能、神経幹細胞の神経への分化に役割をすることが知られている。しかし、このようなアストロサイトが過度に反応性を有することになると、すなわち、過度な活性化状態を維持することになると、神経細胞の死滅をもたらし、隣合う神経細胞の死滅も誘導するなど、退行性脳疾患の原因として作用することになる。したがって、アストロサイトの過度な活性化に対する抑制も退行性脳疾患の新たな治療方法になり得る。
上記ミクログリア及びアストロサイトの過度な活性化原因物質としては、バクテリアの内毒素であるリポポリサッカライド(lipopolysaccharide,LPS)、インターフェロン-γ、ベータアミロイド及びガングリオシドなどが含まれることができるが、本発明の一実施例で望ましくはリポポリサッカライドであり得る。
また、本発明の他の一実施例では、イブルチニブがBV2ミクログリアでLPSによって誘導される前炎症性サイトカインの発現水準を有意に抑制できることを確認し、特に、イブルチニブ処理による前炎症性サイトカイン抑制効果は、神経細胞タイプ別に特異的な結果も確認し、初代培養アストロサイトではイブルチニブによる前炎症性サイトカイン抑制効果を示さないのに対して、ミクログリアではCOX-2及びIL-6の前炎症性サイトカインの水準を効果的に抑制させることを示した。
また、本発明者等は、イブルチニブの脳神経細胞保護効果に作用する機作を確認した結果、イブルチニブがTRL4とLPSとの間の相互作用を防止してLPS刺激による前炎症性反応を抑制できることが確認され、イブルチニブの前炎症反応調節はAKT信号伝達に依存的であることを確認することができた。
特に、退行性脳疾患の一種であるパーキンソン病の場合、活性化されたミクログリアでTRL4とLPSとの間の活発な相互作用が観察されることが知られており、脳炎症反応にAKTが関与していることが知られている。
よって、本発明の実験結果によれば、イブルチニブは、ミクログリアの表面に存在するTRL4受容体とLPSの反応を効果的に抑制できることを確認し、ミクログリアでLPSによって誘導されるp-AKT(活性型AKT)の水準を効果的に抑制することにより、退行性脳疾患の発病に関与する細胞内信号伝達を減少又は抑制できるということを確認した。
また、本発明の他の実験結果によれば、アルツハイマーが誘発されたマウス動物モデルを対象としてイブルチニブ処理によるアルツハイマー治療効果分析を行ったが、イブルチニブ処理時、アミロイド分解酵素であるIDEの発現が増加することが示され、これによりアルツハイマーの原因となるアミロイドプラーク数が顕著に減少することを確認することができた。それだけでなく、イブルチニブを処理した群は、イブルチニブを処理していない群に比べて、アルツハイマーの原因となるタウタンパク質のリン酸化が顕著に減少することを確認した。さらに、本発明の一実施例で、イブルチニブを処理した群は、イブルチニブを処理していない群に比べて、樹状突起棘数が増加し、シナプトフィジン又はPSD-95のパンクタ数が増加(すなわち、機能的シナプス(functional synaspe)の増加)し、長期記憶力が向上することを確認した。
よって、本発明のイブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩は退行性脳疾患の治療剤として使用可能であり、イブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に投与する段階を含む退行性脳疾患の治療方法を提供することができる。
本発明による上記退行性脳疾患は、これに制限されるものではないが、アルツハイマー、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、多発性神経萎縮、てんかん、脳疾患(encephalopathy)、脳卒中、記憶障害、認知障害及び学習障害からなる群から選択されるものであり得る。
本発明の退行性脳神経疾患の予防又は治療用組成物は、薬学的に許容可能な担体を含むことができる。薬学的に許容可能な担体を含む上記組成物は、経口又は非経口の様々な剤形であり得る。製剤化する場合には普通使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調製される。
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、一つ以上の化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調製される。また、単純な賦形剤以外にステアリン酸マグネシウム、タルクなどのような潤滑剤も用いられる。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当し、よく用いられる単純希釈剤である水、流動パラフィン以外に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれることができる。
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレエートのような注射可能なエステルなどが用いられることができる。坐剤の基剤としては、ウィテプゾール(witepsol)、マクロゴ-ル、tween61、カカオ脂、ラウリナム、グリセロゼラチンなどが用いられることができる。
上記薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれか一つの剤形を有することができる。
また、これら薬学的組成物は、上述のように、神経退行及び/又はこれと連関した症状をはじめとする多様な疾患を治療するために投与されることができる。
上記本発明の組成物は薬学的に有効な量で投与する。用語“薬学的に有効な量”とは、医学的治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスクの割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量水準は個体種類及び重症度、年齢、性別、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出割合、治療期間、同時使用される薬物を含む要素及びその他医学分野によく知られている要素によって決定されることができる。
本発明の組成物は、個別治療剤として投与することも、他の治療剤と併用して投与することもでき、従来の治療剤とは順次又は同時に投与することができ、単一又は多重投与することができる。上記要素をいずれも考慮して副作用なしに最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要である。本発明の薬剤学的組成物の一般的な投与量は、成人基準で0.001~100mg/kgの範囲内である。
上記薬学的組成物の投与経路は、目的組織に到逹できる限り、如何なる一般的な経路を通して投与されてもよい。本発明の組成物は、目的とするところによって、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与されることができるが、これに限られない。また、上記組成物は、活性物質が標的細胞に移動できる任意の装置により投与されることができる。
本発明の組成物は、退行性脳疾患の予防及び治療のために、単独で、手術、ホロモン治療、薬物治療及び生物学的反応調節剤を用いる方法と併用して使用することができる。
さらに、本発明は、試験管内でイブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を脳神経細胞に処理する段階を含む、ミクログリア又はアストロサイトの活性を抑制する方法を提供することができる。
また、本発明は、試験管内でイブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を脳神経細胞に処理する段階を含む、LPSによって誘導されるミクログリアの細胞移動を抑制する方法を提供することができる。
また、本発明は、試験管内でイブルチニブ又はこれの薬学的に許容可能な塩を脳神経細胞に処理する段階を含む、アミロイドプラークの抑制、タウリン酸化の阻害又は長期記憶力の向上方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。これら実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に極限されないことは当業界で通常の知識を有する者にとって自明なことである。
<準備例及び実験方法>
細胞株及び培養条件
BV2ミクログリア(BV2 microglial cells;Dr.Kyung-Ho Suk博士から入手)を5%ウシ胎児血清(FBS,Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)が含有されたDMEM/高含量グルコース(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)培地を用いて5%CO2培養器で培養した。
野生型マウス(wild type mice)
全ての実験は韓国脳研究院(IACUC-2016-0013)が承認された動物実験及び指針に則って行った。C57BL6/NマウスはOrientBio Companyから購入して使用し、雄C57BL6/N(8週、25~30g)マウスは病源菌のない施設で22℃の周囲温度で12時間の明暗周期下において飼育した。飼育したマウスへの薬物注入は、イブルチニブ(10mg/kg)又はビヒクル(DMSO)を3日間腹腔内(i.p)投与し、LPS(10mg/kg,i.p)を3時間連続的に注射した。3時間後、4%パラホルムアルデヒド(PFA)溶液を用いて野生型マウスを灌流及び固定させ、脳組織をフラッシュ凍結させた後、クリオスタット(cryostat)で40mm厚みになるように切片化した。各脳切片は免疫組織化学染色に使われた。脳切片をPBSで洗浄し、室温で0.2%トリトンX-100及び1%BSAを含有するPBSで1時間恒温培養して透過性を有するようにし、1時間後、一次抗体を4℃で一晩反応させ、組織を0.5%BSAで3回洗浄した後、室温で1時間、二次抗体を反応させた(ビオチン-結合された抗ウサギ抗体(1:400、Vector実験室))。その後、脳切片を0.5%BSAで洗浄し、常温でavidin-biotin複合溶液(Vector Laboratories,Burlingame,CA)において1時間培養した。0.1M PB緩衝液で3回洗浄した切片は、0.003%H2O2を含有する0.1M PBで0.5mg/ml 3,3’-ジアミノベンジジン(DAB,Sigma-Aldrich)を用いて反応結果の信号を検出した。切片は0.1M PBですすぎ、ゼラチンコートスライドに載せた後、明視野顕微鏡(Leica)を用いてイメージ分析を行った。
アルツハイマー誘発マウス動物モデルの製作(5x FAD mice)
5xFADマウス(ストックナンバー.008730、B6SJL-Tg APPSwFlLon、PSEN1*M146L*L286V6799Vas/Mmjax)F1世代をジャクソン研究所から入手し、形質転換雄マウス(5xFAD)をジャクソン研究所から購買した雌C57BL/6Jと共に置いた。5xFADは、K670N、M671L(Swedish)、I716V(Florida)、及びV717I(London)を有する突然変異ヒトAPP(695)と2個のFAD変異(M146L及びL286V)を有するヒトPS1に伴うヒト家族性アルツハイマー病(Familial Alzheimers Disease,FAD)変異を過剰発現するものとして知られている。上記形質転換は、マウスThy1プローモーターによって調節されて脳で過剰発現されるようにし、5xFAD形質転換に対するジェノタイピングは、ジャクソン研究所のジェノタイピングプロトコルによって提供されるPCR方法で行った。
5xFADマウスに対するジェノタイピング
4週齢マウスから尾を切りはなし、これから誘電体DNAを抽出した。尾を塩基性溶解溶液で95℃、2時間インキュベーションした後、中性化溶液で反応を終了した。Prime Taq Premix(GeNetBio,Korea)を用いてPCR反応を行い、PCR生成物を1.5%アガロースゲルで電気泳動により分離した。本発明で使われたプライマー配列は、次の通りである:
フォワードプライマー:5-AATAGAGAACGGCAGGACCA-3
リバースプライマー:5-GCCATGAGGGCACTAATCAT-3
PCR増幅は、94℃で30秒間変性、60℃で30秒間アニーリング及び72℃で90秒間延長のサイクルを35回繰り返し行い、PCR生成物をEco Dye(1:5000,Korea)と共に1.5%アガロースゲル上で電気泳動により分離した。
免疫組織化学及び免疫蛍光分析
実験に用いたマウス動物を灌流溶液(0.9%NaCl,Sigma)及び4%パラホルムアルデヒド溶液(Millipore)を用いて灌流及び固定し、脳組織を凍結組織切片機(Leica)で切断し(40mm厚み)、免疫蛍光及び免疫組織化学染色を行った。免疫蛍光染色のために、薄片をPBSで洗浄してから、次の一次抗体とインキュベーションした。アミロイドプラークを検出することができるAnti-4G8抗体、アミロイド分解酵素であるAnti-IDE抗体、タウリン酸化検出のための抗体Anti-AT8を用いた。抗体は、0.5%BSAを含有するPBSで希釈し、ゆっくりシェイクしながら4℃で一晩インキュベーションした。翌日、組織を0.5%BSAを含有するPBSで洗浄し、555-コンジュゲーション-Anti-ラビットIgG(1:200,Molecular Probe)と共に室温で1時間インキュベーションした。組織をゼラチンコートされたカバーガラス上に載せ、DAPI含有マウント溶液(Vector Laboratories)を上に加えた。染色された組織を共焦点顕微鏡(TI-RCP,Nikon)で撮影した。免疫組織化学のために、薄片をPBSで洗浄しインキュベーションし、室温で0.2%Triton X-100及び1%BSAと共にPBS内で1時間処理して透過性を有するようにした。次いで、一次抗体をゆっくりシェイクしながら4℃で一晩インキュベーションした。翌日、上記組織を0.5%BSAと共にPBSで3回洗浄し、次の二次抗体と共に1時間室温でビオチン-コンジュゲーションされたAntiラビット抗体(anti-rabbit antibody)(1:400,Vector Laboratories)と反応させた。薄片を0.5%BSAと共にPBSで再び洗浄し、アビジン-ビオチン複合体(avidin-biotin complex)溶液において1時間室温でインキュベーションした。0.1M PB(phosphate buffer)内で3回洗浄した後、0.003%Hを含有する0.1M PB内の0.5mg/ml3,3-ジアミノベンジジン(3,3-diaminobenzidine)(DAB,Sigma)で薄片をインキュベーションしてシグナルを検出した。そして、薄片を0.1M PBで洗浄した後、ゼラチンコートされたスライド上に載せ、明視野顕微鏡(Leica)で観察した。
抗体及び抑制剤
一次抗体としては、rat-anti-mouse CD11b(1:400,abcam),rabbit-anti-COX2(1:1000,abcam),rabbit-anti-IL-1b(1:200,abcam),rabbit-anti-GFAP(1:5000,neuromics),rabbit-anti-Iba1(1:1000,Wako),goat-anti-IbaI(1:500,Wako),rabbit-anti-AKT(1:1000,Santa Cruz),p-AKT(Ser473,Thr308)(1:1000,Cell Signaling),rabbit-anti-ERK(1:1000,Santa Cruz),rabbit-anti-p-ERK(Thr42/44)(1:1000,Cell Signaling),rabbit-anti-STAT3(1:1000,Cell Signaling),rabbit-anti-p-STAT3(Ser727,abcam),mouse-anti-synaptophysin(1:200,Sigma),mouse-anti-PSD95(1:200,Neuromab),rabbit-anti-pFAK(1:500,Cell signaling),mouse-anti-4G8(1:500,Biolegend),rabbit-anti-IDE(1:200,Abcam),rabbit-anti-NEP(1:200, Millippore),mouse-anti-Tau5(1:200,Invitrogen),mouse-anti-AT8(1:200,Invitrogen),mouse-anti-AT100(1:200,Invitrogen),mouse-anti-180(1:200,Invitrogen),rabbit-anti-pCDK5(1:200,Biosource)を用いた。また、抑制剤としては、TLR4 inhibitor(TAK-242,500nM)、AKT inhibitor(MK2206,10mM)を用いた。
MTTアッセイ
細胞生存力は、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)分析法を用いた。細胞を96ウェルプレートに分注し、FBSの存在又は不在下で24時間、多様な濃度のイブルチニブ(100nM~1μM、1 μM -50μM)を処理した。その後、細胞を0.5mg/ml MTTで処理し、37℃で3時間、5%CO2培養器で培養した後、580nmで吸光度を測定した。
初代培養ミクログリア及びアストロサイト
一次混合されたグリア(glia)細胞は、Sprague Dawleyマウスの大脳皮質から分離して培養し、すなわち、マウス皮質を10%FBS及びペニシリン-ストレプトマイシン溶液(5000単位/mlペニシリン、5mg/mlストレプトマイシン、Corning、USA)を含有する高ブドウ糖DMEM培地に単一細胞として分注し、75-cmTフラスコ(0.5半球/フラスコ)に2週間漬けておいた。ミクログリアを収穫するために、プレートを120rpmで2時間一定に振った後、培地を収集し、15分間1500rpmで遠心分離した後、細胞ペレットをプレートに1x10細胞/24ウェルになるように再懸濁した。一旦ミクログリアが収集されたら、フラスコの残りの細胞を0.1%トリプシンを用いて収穫してアストロサイト個体群を得た。アストロサイトとミクログリアをPoly-D-Lysine(Sigma)であらかじめコーティングされた12ウェルプレート(35mm)で培養した後、これを実験に使用した。
RT-PCR
全体RNAはTriZol(Invitrogene)を用いて細胞から抽出した。oligoDT(GeNetBio,Korea)が含まれたSuperscript cDNA Premix Kit IIを用いて全RNAをcDNAに逆転写し、Prime Taq Premix(GeNetBio,韓国)を用いて行われたRT-PCR産物は、Eco Dye(1:5000,Korea)を含んだ1.5%アガロースゲルで電気泳動により分離した。電気泳動されたRT-PCRは、Image J(NIH)とFusion(Korea)を用いてイメージ分析した。
兔疫細胞化学法
BV2ミクログリアを4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、PBSで3回洗浄した後、抗CD11b及び抗IL-1β又は抗CD11b及び抗COX2抗体をGDBバッファ(0.1%ゼラチン、0.3%Triton X-100、16mM リン酸ナトリウム pH7.4及び450mM NaCl)において4℃で一晩反応させた。翌日、細胞をPBSで3回洗浄し、室温で1時間、二次抗体と反応させた。二次抗体は、マウスAlexaFluor 488及びウサギAlexaFluor 555(1:200、Molecular Probes、USA)を用いた。その後、共焦点顕微鏡(ニコン、日本)を用いてイメージを単一平面で撮影し、ImageJソフトウェアを用いて分析した。
ウェスタンブロット
イブルチニブがERK/AKT信号伝逹に影響を与えて神経炎症を変化させることができるかを調べるために、BV2ミクログリアをイブルチニブ(1μM)又はビヒクルで1時間処理した後、LPS(1μg/ml)又はPBSで45分間処理した。45分後、プロテアーゼ及びホスファターゼ抑制剤(Roche,USA)を含有するRIPA緩衝液を用いて細胞を溶解した。ウェスタンブロットは、従来一般的なウェスタンブロット方法により行い、イメージはFusionソフトウェア又はImageJソフトウェアを用いて分析した。
創傷治癒アッセイ(Wound healiing assay)
BV2ミクログリアを12ウェルプレートに接種し、細胞が80~90%になるように培養した後、細胞スクラッチャー(SPL,Korea)で引っ掻いて傷をつけた。スクラッチ直後にイメージを撮影し、その後、イブルチニブ(500nM)又はビヒクルで1時間細胞に処理してから、LPS又はPBSで24時間処理した。24時間後、イメージを再び撮影して創傷治癒程度を分析した(Nam et al.,2017)。
細胞質及び核分画(Cytosol and nuclear fractionation)
BV2ミクログリアを細胞質分画用緩衝液(10mM HEPES pH8.0、1.5mM MgCl2、10mM KCl、0.5mM DTT、300mM サッカロース、0.1%NP-40及び0.5mM PMSF)を用いて溶解した。溶液を添加し、5分後、細胞溶解物を10,000rpm、4℃で1分間遠心分離して上澄液を細胞質分画で分離して保管した。ペレットは、氷上で15分間、核分画用緩衝液(10mM HEPES pH8.0、20%グリセロール、100mM KCl、100mM NaCl、0.2mM EDTA、0.5mM DTT及び0.5mM PMSF)で溶解した。その後、4℃で10,000rpm、15分間遠心分離し、ウェスタンブロット分析は、anti-STAT3(s727)、PCNA及びβ-actin抗体を用い、Fusionソフトウェアを用いて分析した。
Y迷路試験(Y maze)
正常動物(wild type mice)あるいはアルツハイマー誘発動物モデル(5xFAD mice,PS19 mice)にイブルチニブを投与したときの短期記憶力向上能力を検証するために、各アームの長さが42cm、幅が3cm、高さが12cmであり、3つのアームの角度が120度からなるY字型の迷路の一アームの端に動物を位置させ、5分間訪問したアームを記録した。その後、Percent alteration=(alteration回数/triads回数)×100を求めて短期記憶力の尺度として用いた。
alteration:3つの相異なるアームに順に入った場合に1点付与
triads:全体訪問回数-2
新規物質探索試験(Novel object recognition test, NOR Test)
正常動物(wild type mice)あるいはアルツハイマー誘発動物モデル(5xFAD mice、PS19 mice)にイブルチニブを投与したときの長期記憶力向上能力を検証するために、42×42×25cmの大きさの箱において模様と大きさが同一の2個の物体を隅に位置させた後、動物を箱の真ん中から出発させ、動物が物体に関心を示す時間を5分間記録した。24時間後、2個の物体のうち1個を新規なものに取り替えてから、既存物体と新規物体に接近した時間をそれぞれ測定し、新たな物体に対する選好度を分析して長期記憶分析指標として使用した。
統計処理
Graphpad Prism 4 ソフトウェアを用いて両側T検定又はANOVAによりすべてのデータを分析した。post-hoc分析は、TukeyのMultiple Comparisonテストで行い、有意性はp<0.05に設定した。データは平均±S.E.Mで示した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
<実施例1>
イブルチニブのBV2ミクログリアに対する細胞毒性有無の確認
イブルチニブがBV2ミクログリアに対する細胞毒性を有するかを確認するために、BV2ミクログリアにビヒクル又はイブルチニブ(100、250、500、750、1000nM)をそれぞれ24時間処理し、MTT分析を行った。また、BV2ミクログリアにビヒクル又はイブルチニブをより高い濃度である1、5、10、25、50μMで24時間それぞれ処理し、MTT分析を行った。
分析の結果、図1に示されているように、イブルチニブがBV2ミクログリアに対して25μM濃度までは細胞毒性を誘発しないことが分かる。その反面、50μM濃度では細胞死滅が発生することが示されており、25μM濃度までは細胞に対して比較的毒性を誘発しないことが分かった(図1A~1B参照)。
また、本発明者等は、イブルチニブがLPS-誘導BV2ミクログリアで細胞形態を変形させることができるかどうかを試験するために、BV2ミクログリアをイブルチニブ(1μM)又はビヒクルで30分間前処理し、LPS(1μg/ml)又はPBSで5時間30分処理した。その後、細胞を固定させ、抗CD11b抗体で免疫染色した。
分析の結果、図1cに示されているように、LPSによって刺激されたBV2ミクログリアは、ビヒクル処理群と比較して細胞体が薄くて長い形態を示すことが分かる。一方、イブルチニブを前処理した群は、細胞体がLPS処理により薄くて長い形態に変化することが減少することと示されている(図1C参照)。
<実施例2>
イブルチニブ処理による、LPSで誘導された前炎症性サイトカインの水準減少効果の分析
イブルチニブをBV2ミクログリアに1μMの濃度で30分間前処理した後、LPS(1μg/ml)又はPBSで5時間30分処理した。その後、RNAを分離し、炎症性サイトカイン水準をRT-PCRを用いて測定した。このとき、mRNA水準分析は、炎症性サイトカインIL-1β、COX-2、IL-6、TNF-αの水準を測定した。
分析の結果、図2に示されているように、イブルチニブを前処理した結果、LPSで増加したIL-1β、COX-2、IL-6、TNF-αの発現がイブルチニブ処理により減少したことが示されているのに対して、iNOSは発現減少程度がIL-1β、COX-2、IL-6、TNF-αの減少に比べてあまり減っていないことが示されている(図2A~2F参照)。
また、本発明者等は、上記のようなRT-PCRの結果を免疫細胞化学分析を通して再検証し、上記実験に用いられた細胞を抗CD11b抗体及びCOX-2抗体又は抗CD11b及びIL-1β抗体で免疫染色した後、確認した。また、ここで対照群として、イブルチニブの代わりにビヒクルを処理した群を用いた。
その結果、図2のG~Iに示されているように、ミクログリアでLPSによって増加されたCOX-2と IL-1β の濃度が、イブルチニブ処理時、減少することを確認することができた。
よって、このような結果を通して本発明者等は、本発明のイブルチニブがBV2ミクログリアで発生する炎症反応を抑制できることを知ることができた。
さらに、本発明者等は、上記方法とは異なり、ミクログリアにイブルチニブを後処理した場合にも炎症性サイトカインの発現減少を上記結果のように誘導することができるかを確認するために、ミクログリアにLPS(1mg/ml)又はPBSを30分間前処理した後、イブルチニブ(1mM)を5時間30分処理してから、RT-PCRを行った。
その結果、上記図2の結果とは異なり、イブルチニブを後処理した場合はIL-6の発現水準のみを有意に抑制することが示されている(図3参照)。
<実施例3>
初代培養ミクログリア(primary microglial cells)におけるイブルチニブ処理による前炎症性サイトカイン抑制効果の分析
初代培養ミクログリアとアストロサイトでイブルチニブ処理が炎症反応を調節することができるかを確認するために、ミクログリアにビヒクル又はイブルチニブ(1μM)を30分間処理し、LPS(1μg/ml)又はPBSで5時間30分処理した後、炎症性サイトカイン水準をRT-PCRで分析した。
その結果、ミクログリアでイブルチニブを前処理した場合、COX-2及びIL-6の前炎症性サイトカインの水準を他のサイトカインに比べて有意に減少させることが示されている(図4A~4F参照)。
また、本発明者等は、イブルチニブが初代培養アストロサイトでも前炎症性サイトカインの発現水準に影響を与え得るかを確認するために、初代培養アストロサイトにビヒクル又はイブルチニブ(1μM)を30分間前処理し、LPS(1μg/ml)又はPBSで5時間30分処理した後、炎症性サイトカイン数値をRT-PCRを用いて測定した。
分析の結果、特異なことだが、初代培養アストロサイトではイブルチニブが前炎症性サイトカインの発現水準に影響を与えることができないことが示されている(図5参照)。このような結果は、イブルチニブの前炎症性サイトカインに対する影響が細胞タイプによって反応するということを意味する。
<実施例4>
イブルチニブのTLR4受容体抑制活性による、LPSで誘導された前炎症性サイトカインの水準抑制効果の分析
LPSがミクログリアの細胞表面にあるTLR4受容体と相互作用するということが知られている。よって、イブルチニブが細胞表面でLPS/TLR4受容体の相互作用を抑制して脳神経の炎症を調節することができるかを分析した。これを確認するために、BV2ミクログリアにTAK242(TLR4抑制剤、500nM)又はビヒクルで30分間前処理し、イブルチニブ(1μM)又はビヒクルで30分間処理した後、LPS(1μg/ml)又はPBSで5時間処理した。その後、全RNAを分離し、RT-PCRを用いてIL-1β及びCOX-2のmRNA水準を測定した。
分析の結果、イブルチニブは、LPSによって誘導されたBV2ミクログリアでCOX-2及び IL-1β のmRNA水準を有意に減少させることが示されている(図6A~6C参照)。また、TLR4の抑制は、LPSによって誘導されたBV2ミクログリアでイブルチニブの存在下においてIL-1β及びCOX-2mのRNA水準をより減少させることが示されている(図6A~6C参照)。
よって、このような結果を通して本発明者等は、イブルチニブがTRL4とLPSとの相互作用を防止してLPS刺激による前炎症性反応を抑制できることが分かった。
<実施例5>
イブルチニブのAKT信号伝逹を通した、LPSで誘導された前炎症性反応変化の分析
最近の研究結果によると、AKT及びERK信号伝達がグリア細胞(REF)で前炎症性サイトカインの調節に重要な役割をすると報告されている。よって、本発明者等は、LPS媒介脳炎症反応調節にイブルチニブが役割をするかを確認するために、ERK/AKT信号伝逹に及ぼすイブルチニブの作用を分析した。このために、BV2ミクログリアをイブルチニブ(1μM)又はビヒクルで1時間前処理し、LPS(1μg/ml)又はPBSで45分間処理した後、ERK/AKT信号伝達抗体を用いて信号伝達に関与する因子の発現変化をウェスタンブロットにより確認した。
その結果、予想外にもイブルチニブはLPSによって誘導されたBV2細胞でp-ERKを変化させないことが示されている(図7A~7C参照)。しかし、イブルチニブがBV2ミクログリアでLPSによって誘導されたp-AKT水準を顕著に減少させることを確認することができた(図8A~8C参照)。
上記のような結果により、イブルチニブがLPSによるAKT信号伝逹を調節することができるかを調査した。このために、BV2ミクログリアをイブルチニブ(1μM)又はビヒクルで5時間前処理し、LPS(1μg/ml)又はPBSで45分間処理した後、抗p-AKTを用いたウェスタンブロットを行った。
その結果、イブルチニブをより長時間処理した場合、LPSによって誘発されたp-AKT水準を有意に減少させることを確認することができた(図8D~8F参照)。
また、本発明者等は、イブルチニブがAKT信号伝達を通して炎症反応を調節するかを確認した。このために、BV2ミクログリアをMK2206(AKT抑制剤、10μM)又はビヒクルで30分間前処理し、イブルチニブ(1μM)又はビヒクルで30分間処理した後、LPS(1μg/ml)又はPBSで5時間処理し、RT-PCRを用いてCOX-2と IL-1β のmRNA水準を測定した。
その結果、上記結果と同様に、イブルチニブで前処理し、LPSで処理した群でCOX-2と IL-1β のmRNA水準が減少することが示されており(図8G~8I参照)、また、MK2206、イブルチニブ及びLPSで処理した群は、LPS及びMK2206で処理した群と比較してCOX-2及びIL-1betaのmRNA水準が減少することが示されている(図8G~8I参照)。このような結果から、イブルチニブの前炎症反応調節はAKT信号伝達に依存的であることが分かった。
<実施例6>
イブルチニブの核内におけるLPSで誘導されたp-STAT3の水準減少効果の分析
転写因子であるSTAT3は、LPSによる炎症誘発サイトカインの水準調節に重要な役割をすることが知られている。よって、イブルチニブが炎症反応を変化させるためにSTAT3を要するかを確認した。このために、BV2ミクログリアをイブルチニブ(1μM)又はビヒクルで30分間前処理し、LPS(1μg/ml)又はPBSで5時間30分処理した後、細胞下分画(subcellular)を行った。
分析の結果、イブルチニブは、LPSによって刺激された核のp-STAT3水準を減少させ(図9A~9B)、サイトゾルのp-STAT3水準も減少傾向を示した(図9C~9D参照)。
上記結果を検証するために、抗p-STAT3(s727)及び抗CD11b抗体を用いて兔疫細胞化学法を実施した。その結果、BV2ミクログリアでイブルチニブがLPSによって誘導された核内のp-STAT3水準を下向き調節することが示されている(図9E~9F参照)。このような結果は、イブルチニブが脳神経炎症反応を変形させるSTAT3信号伝逹に依存的であることを示す。
<実施例7>
イブルチニブによるミクログリアの細胞移動抑制効果の分析
イブルチニブがLPS刺激によるミクログリアの移動を調節することができるかを確認する実験を行った。このために、イブルチニブ(500nM)又はビヒクルでミクログリアに23時間30分前処理し、LPS(100ng/ml)又はPBSで30分間処理した後、創傷治癒分析法を行った。すなわち、細胞が培養されたプレートにスクラッチをつけ、細胞がスクラッチされた部分へ移動するが、イブルチニブがその移動を調節できるかを分析した。
その結果、イブルチニブを前処理した群は、LPS単独処理群に比べて、LPS刺激によるミクログリアの移動が有意に減少することが示されている(図10A~10B参照)。
すなわち、このような結果は、イブルチニブがLPSによる神経細胞の移動を抑制することができるため、神経細胞の移動による退行性脳疾患の発病を抑制又は治療できることを示唆する。
<実施例8>
マウス動物モデルにおいてLPSで刺激されたミクログリア及びアストロサイトの活性に対するイブルチニブの抑制効果の分析
最近の研究結果によると、活性化されたミクログリア及びアストロサイトは退行性脳疾患の発病に関連があることが知られている。よって、本発明者等は、イブルチニブが退行性脳疾患の治療剤として使用可能であることを確認するために、動物モデルを対象としてLPSによって誘導されたミクログリア及びアストロサイトの活性化に対するイブルチニブの効果を分析した。これを確認するために、野生型マウスにイブルチニブを3日間腹腔内注射し(10mg/kg/日)、抗IBa-1(図11A~11C)及び抗GFAP抗体(図12A~12C)で免疫組織化学染色を行った。
その結果、LPSが注射された野生型マウスはミクログリア及びアストロサイトの活性化が上向き調節されることが示されているのに対して、イブルチニブ投与によりミクログリア及びアストロサイトの活性化は有意に抑制されることが示されている。よって、本発明者等は、このような結果を通してイブルチニブが野生型マウスでLPSにより誘導されたミクログリア及びアストロサイトの活性化を調節できることが分かり、特に、これら細胞の活性化を抑制することにより退行性脳疾患を予防又は治療できることが分かった。
<実施例9>
アルツハイマー誘発動物モデルでイブルチニブ処理による記憶力と学習力関連行動変化の分析
イブルチニブが記憶力及び学習力にどのような影響を及ぼすかを確認するために、アルツハイマー誘発動物モデル(5xFAD,PS19 mice)にイブルチニブ(10mg/kg,i.p.)又はビヒクルを14日間処置した後、短期記憶行動評価のためにY迷路試験(Y-maze)を、長期記憶行動評価のために新規物質探索試験(Novel object recognition test,NOR)を行った。
その結果、アルツハイマー疾病誘発動物モデルのうち5xFADマウスにイブルチニブを処置した場合、長期記憶が顕著に増加することを行動学的に確認した(図13A~13B)。また、アルツハイマー疾病誘発モデルのうちPS19マウスにイブルチニブを処置した群は、長期記憶が向上する傾向を示した(図14A~14B参照)。
よって、本発明者等は、このような結果を通してイブルチニブがアルツハイマー動物モデルマウスで学習及び記憶力を向上させることを確認することができた。
<実施例10>
初代培養海馬神経細胞(primary hippocampal neurons)においてイブルチニブ処理による樹状突起棘数の増加及び形成関連遺伝子の発現促進効果の分析
イブルチニブの認知行動向上メカニズムを分析するために、初代培養海馬神経細胞(primary hippocampal neurons)にGFPをトランスフェクション(transfection)した後、イブルチニブ1又は5μMを24時間処理した。その後、樹状突起棘数の変化を観察し、プレシナプス(pre synaptic)指標であるシナプトフィジン抗体とポストシナプス(post-synaptic)マーカー因子であるPSD-95抗体を用いて染色した後、パンクタ数及びそれによる発現程度を確認した。
その結果、初代培養海馬神経細胞においてイブルチニブ1μM又は5μM処置群全てでビヒクル処置群に比べて樹状突起棘数が有意に増加し(図15A~15B、図16A~16B)、イブルチニブ5μM処置群でビヒクル処置群に比べてシナプトフィジン及びPSD-95のパンクタ数が顕著に増加したことを確認した(図17A~17D)。よって、イブルチニブは海馬で機能的シナプスの増加を通して認知行動向上効果を現わすことを確認することができた。
<実施例11>
初代培養海馬神経細胞(primary hippocampal neurons)でイブルチニブの樹状突起棘数増加による分子メカニズム研究
イブルチニブの記憶行動向上メカニズムを分析するために、初代培養海馬神経細胞にGFPをトランスフェクション(transfection)した後、イブルチニブ5μM又はビヒクルを24時間処理した。その後、樹状突起棘数の調節に関与するp-FAK抗体を用いて染色した後、発現程度を確認した。
その結果、イブルチニブ5μM処置群でビヒクル処置群に比べてp-FAK発現が顕著に減少したことを確認した(図18A~18B)。よって、イブルチニブは海馬でFAKシグナル伝達(signaling)を阻害するため、樹状突起棘数を調節することを確認した。
<実施例12>
正常マウス及びアルツハイマー誘発動物モデルでイブルチニブ処理による樹状突起棘数増加効果の分析
イブルチニブの認知行動向上メカニズムを分析するために、正常マウス及びアルツハイマー誘発動物モデルであるPS19 mice(3ヶ月齢)にイブルチニブを(10mg/kg,i.p)を14日間注射し、マウスの脳を摘出してゴルジ染色を行った後、cortex及びhippocampus部位神経細胞(AO部位、BS位置)の突起棘数を分析した。
その結果、正常マウスでイブルチニブ処置群のhippocampus CA1神経細胞の突起棘数がビヒクル処置群に比べて増加したことを確認した(図19A~19D)。また、アルツハイマー動物モデル(PS19 mice)でイブルチニブ処置群のhippocampus神経細胞の突起棘数がビヒクル処置群に比べて顕著に増加したことを確認し(図20A~20D)、その反面、アルツハイマー動物モデルでイブルチニブ処置群のcortical layer V神経細胞の突起棘数はビヒクル処置群に比べて特別な変化がないことを確認した(図20E~20H)。よって、イブルチニブが樹状突起棘の密度増加を通して認知機能を向上させることをインビボでも確認した。
<実施例13>
アルツハイマー動物マウスでイブルチニブによるアミロイドプラーク抑制効果の分析
本発明者等は、イブルチニブが退行性脳疾患の治療剤として使用可能であることを確認するために、アルツハイマーが誘発されたマウス動物モデルを対象としてイブルチニブを処理した時の、アミロイドプラークの数、アミロイド分解酵素であるIDE、NEPの発現量を分析した。
これを確認するために、アルツハイマー動物マウス(5xFAD mice)にイブルチニブ(10mg/kg,i.p)又はビヒクルを14日間注射し、抗4G8抗体、抗IDE抗体を用いて免疫組織化学染色及び顕微鏡観察を行った。
その結果、図21に示されているように、アミロイドを検出することができる抗4G8抗体を用いた免疫組織化学染色によると、cortex及びhippocampusの両方でイブルチニブを処理した群が処理していない群に比べてアミロイドプラークが顕著に減少したことを確認することができた(図21A~21E)。さらに、イブルチニブがどのようにアミロイドプラークを減少させるかに対する分子メカニズム実験として、先ずアミロイド分解酵素であるIDEの発現水準を確認した結果、図21に示されているように、cortex及びhippocampusの両方でイブルチニブを処理した群が処理していない群に比べてアミロイド分解酵素であるIDEの発現が増加したことを確認することができた(図22A~22E)。すなわち、イブルチニブは、IDEの発現増加を通してアルツハイマーの誘発原因となるアミロイドプラークを抑制できることを示唆している。
<実施例14>
アルツハイマー動物マウスでイブルチニブによるタウリン酸化調節効果の分析
本発明者等は、イブルチニブが退行性脳疾患の治療剤として使用可能であることを確認するために、イブルチニブがタウリン酸化も調節することができるかを確認する。そのために、アルツハイマー動物モデルである5xFAD(3ヶ月齢)マウスを対象としてイブルチニブを処理した時の、タウ発現変化及びタウリン酸化変化有無を分析した。これを確認するために、アルツハイマー誘発マウスにイブルチニブ(10mg/kg,i.p)又はビヒクルを14日間注射し、抗Tau5抗体、抗CDK抗体、抗AT8抗体、抗AT100抗体及び抗AT180抗体を用いて免疫組織化学染色及び顕微鏡観察を行った。
その結果、図23に示されているように、総タウ(Total Tau)を検出できる抗Tau5抗体を用いた免疫組織化学染色によると、5xFADマウスのcortex及びhippocampusでイブルチニブを処理した群が処理していない群に比べてTau5の発現には有意な差異を示さなかった(図23A~23E)。しかし、図24乃至26に示されているように、タウリン酸化の有無を検出できる抗AT8抗体、抗AT100抗体及び抗AT180抗体、タウリン酸化に関与するタンパク質を検出できる抗pCDK5抗体を用いた免疫組織化学染色結果によると、抗AT8抗体を用いて免疫組織化学染色をした結果、5xFADマウスのcortexでのみイブルチニブ処理時にタウリン酸化が有意に減少したことを確認することができた(図24A~24E)。そして、抗AT100抗体を用いて免疫組織化学染色をした結果、5xFADマウスのcortexとhippocampusの両方でイブルチニブ処理時にタウ酸化が有意に減少したことを確認することができた(図25A~25E)。抗AT180抗体を用いて免疫組織化学染色をした結果、5xFADマウスのcortexではイブルチニブ処理時にタウリン酸化が有意に減少したことを確認することができ、hippocampusではイブルチニブ処理時にタウリン酸化が減少する傾向を確認した(図26A~26E)。さらに、タウリン酸化を誘導する遺伝子である、抗CDK抗体を用いて免疫組織化学染色をした結果、5xFADマウスのcortexとhippocampusの両方でイブルチニブ処理時にCDKリン酸化が有意に減少したことを確認することができた(図27A~27B)。
結論として、本発明者等は、イブルチニブがアミロイドプラーク、タウリン酸化、脳炎症抑制及び記憶力向上をいずれも調節できることを確認することにより、イブルチニブは退行性脳疾患を予防、改善又は治療することができる新たな治療剤として使用可能であることが分かった。
以上、本発明についてその望ましい実施例を中心に考察した。本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲において変形された形態で具現され得ることを理解することができるはずである。よって、開示されている実施例は、限定的な観点ではなく説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、上述の説明ではなく特許請求範囲に示されており、それと同等の範囲内にある全ての差異点は本発明に含まれるものとして解釈されなければならないと言える。

Claims (7)

  1. イブルチニブ(ibrutinib)又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、アルツハイマー病の予防又は治療用薬学的組成物。
  2. 上記組成物は、ミクログリア(microglia)又はアストロサイト(astrocyte)の活性を抑制して、活性化されたミクログリア又は活性化されたアストロサイトが神経細胞に及ぼす損傷を抑制する効果を有することを特徴とする、請求項1に記載のアルツハイマー病の予防又は治療用薬学的組成物。
  3. 上記組成物は、ミクログリアの細胞移動を抑制する活性を有することを特徴とする、請求項1に記載のアルツハイマー病の予防又は治療用薬学的組成物。
  4. ミクログリア又はアストロサイトの活性;又はミクログリアの細胞移動は、LPS(Lipopolysaccharides)によって誘導されることを特徴とする、請求項2又は3に記載のアルツハイマー病の予防又は治療用薬学的組成物。
  5. 上記組成物は、アミロイドプラーク抑制又はタウタンパク質のリン酸化抑制活性を有することを特徴とする、請求項1に記載のアルツハイマー病の予防又は治療用薬学的組成物。
  6. 上記組成物は、神経細胞で樹状突起棘(dendritic spine)の数、シナプトフィジン(synaptophysin)の数及びPSD-95のパンクタ(puncta)数を増加させることを特徴とする、請求項1に記載のアルツハイマー病の予防又は治療用薬学的組成物。
  7. 上記組成物は、アルツハイマー疾病動物モデルで長期記憶を向上させることを特徴とする、請求項1に記載のアルツハイマー病の予防又は治療用薬学的組成物。
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