JP7112239B2 - 軌道回路劣化度推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軌道回路の故障を検知する技術に関する。
軌道回路に故障が発生すると、列車位置の誤検知等が生じ、深刻な事故を招く危険性がある。従って、軌道回路の故障を検知する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、無絶縁軌道回路において、送信機から送信した列車検知信号の電圧成分値と電流成分値の変動を監視して、ケーブル断線等の無絶縁軌道回路の故障を検知する技術が記載されている。
特開2011-000989号公報
従来、軌道回路の故障は、リレーの不正落下等の異常が発生した後、当該異常を検知することで検知されている。従って、リレーの不正落下等の異常の発生を排除することはできない。
上記の背景に鑑み、本発明は、軌道回路の劣化度を推定し、軌道回路の故障の発生を未然に防ぐことを可能とする手段を提供する。
上述した課題を解決するために、本発明は、軌道回路の検知区間の車両の通過に伴うリレーの落下から扛上までの時間に基づき推定される当該車両の速度と、前記リレーの動作と無関係に特定された当該通過における当該車両の速度との比率又は差に基づき、前記軌道回路の劣化度を推定する軌道回路劣化度推定装置を第1の態様として提案する。
第1の態様の軌道回路劣化度推定装置によれば、軌道回路の劣化度が推定されるため、軌道回路の故障の発生を未然に防ぐことができる。
第1の態様の軌道回路劣化度推定装置によれば、軌道回路の在線検知区間を通過する列車の速度が変化する場合であっても、軌道回路の劣化度が推定される。
の態様の軌道回路劣化度推定装置において、前記検知区間の複数の列車の通過の各々に関する前記比率又は前記差の統計量に基づき前記軌道回路の劣化度を推定する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
の態様の軌道回路劣化度推定装置によれば、軌道回路のリレーの落下から扛上までの時間が外部環境の変化等によりばらつく場合であっても、軌道回路の劣化度が推定される。
の態様の軌道回路劣化度推定装置において、速度に応じた前記統計量の変化に基づき前記軌道回路の部品のうち劣化している部品を特定する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
の態様の軌道回路劣化度推定装置によれば、劣化すると速度に依存してリレーの落下から扛上までの時間に影響を与える部品がある場合、当該部品の劣化度が特定される。
乃至第のいずれかの態様の軌道回路劣化度推定装置において、前記検知区間の複数の列車の通過の各々に関する前記比率又は前記差の経時変化に基づき前記軌道回路の劣化度を推定する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
の態様の軌道回路劣化度推定装置によれば、劣化するとリレーの落下から扛上までの時間に与える影響の経時変化に特徴がある部品がある場合、当該部品の劣化度が特定される。
一実施形態に係る軌道回路劣化度推定システムの全体構成を示した図。 一実施形態に係る軌道回路劣化度推定装置の機構構成を示した図。 一実施形態に係るリレー動作ログデータの構成例を模式的に示した図。 一実施形態に係る積算距離ログデータの構成例を模式的に示した図。 一実施形態に係る運行スケジュールデータの構成例を模式的に示した図。 一実施形態に係る劣化度推定テーブルの構成例を模式的に示した図。 一実施形態に係る軌道回路劣化度推定装置が行う処理のフローを示した図。 一実施形態に係る軌道回路劣化度推定装置が速度比率により軌道回路の劣化度を判定する理由を説明するための図。 一変形例に係る軌道回路劣化度推定装置が速度比率の統計量に基づき軌道回路の劣化度を推定する方法を説明するためのグラフ。 一変形例に係る軌道回路劣化度推定装置が速度に応じた速度比率の統計量の変化に基づき軌道回路の劣化した部品を特定する方法を説明するためのグラフ。 一変形例に係る軌道回路劣化度推定装置が速度比率の経時変化に基づいて軌道回路の劣化度を推定する方法を説明するためのグラフ。
[実施形態]
以下に本発明の一実施形態に係る軌道回路劣化度推定システム1を説明する。図1は、軌道回路劣化度推定システム1の全体構成を示した図である。軌道回路劣化度推定システム1は、軌道9を走行する列車8が軌道9の所定区間(以下、「検知区間」という)に在線していることを検知する軌道回路11と、軌道回路11が有するリレー112が実際に行った落下と扛上のタイミングを記録するレコーダ12と、列車8の走行距離を積算するタコジェネレータ13と、タコジェネレータ13により算出される走行距離の積算値を記録するレコーダ14と、列車の運行スケジュールを示すデータを配信する運行スケジュール配信サーバ15と、軌道回路劣化度推定装置16を備える。軌道回路劣化度推定装置16は、レコーダ12、レコーダ14及び運行スケジュール配信サーバ15の各々と、例えば無線通信によりデータ通信を行うことができる。なお、列車8は軌道9を走行する列車の総称である。
本実施形態において、軌道回路11は、無絶縁軌道回路であり、電源111、リレー112及びフィルタ113と、それらの装置と軌道9のレールとを電気的に接続する送電線を備える。リレー112は、検知区間に列車8が在線していない期間中は扛上状態であるが、検知区間に列車8が在線している期間中は、電源111から出力される電力が列車8により短絡しリレー112に到達しないため、落下状態となる。
フィルタ113は、軌道回路11の検知区間に隣接する区間の軌道9のレールからリレー112に到達しようとする電力をカットする。軌道回路11の検知区間に隣接する区間は、軌道回路11と同種であるが、軌道回路11とは用いる電力の周波数帯が異なる軌道回路によって列車8の在線が検知される。そのため、フィルタ113がなければ、当該他の軌道回路の電源から出力される電力がリレー112に到達してしまい、検知区間に列車8が在線していないのに落下状態となる等の誤動作が生じる。フィルタ113は、電源111が出力する電力は通すが、隣接する区間に配置された軌道回路の電源が出力する電力は減衰させることで、リレー112の誤動作を防止する役割を果たす。
軌道回路劣化度推定装置16のハードウェアは一般的なコンピュータであり、プログラム等を記憶するメモリと、メモリに記憶されているプログラムに従いデータ処理を行うプロセッサと、外部の装置との間でデータの受け渡しを行うインタフェースを備える。
図2は、軌道回路劣化度推定装置16の機構構成を示した図である。すなわち、コンピュータは、本実施形態に係るプログラムに従うデータ処理を行うことによって、図2に示す構成部を備える装置として機能する。以下に、軌道回路劣化度推定装置16が備える機能構成を説明する。
リレー動作ログ取得部161は、レコーダ12から、リレー112の落下及び扛上のタイミングの履歴を示すリレー動作ログデータを取得する。図3は、リレー動作ログデータの構成例を模式的に示した図である。リレー動作ログデータは、リレー112の動作を識別するリレー動作IDと、リレー動作IDにより識別されるリレー112の動作を構成する落下の時刻と扛上の時刻とを時系列で示す。
なお、本実施形態において、「リレー112の動作」は、リレー112の落下と落下の後に行われた扛上により構成されるものとする。
積算距離ログ取得部162(図2参照)は、軌道9を走行する列車8のレコーダ14から、列車8の走行距離の積算値(以下、「積算距離」という)の履歴を示す積算距離ログデータを取得する。図4は、積算距離ログデータの構成例を模式的に示した図である。積算距離ログデータは、車両IDにより識別される列車8の各々に関し積算距離ログ取得部162により取得され、時刻と積算距離を時系列で示す。積算距離ログデータに格納される時刻は、所定時間(例えば、10秒)の経過毎の時刻である。
運行スケジュール取得部163(図2参照)は、運行スケジュール配信サーバ15から軌道9を走行する列車8の各々に関する運行スケジュールのうち、軌道回路11の検知区間の走行時刻と検知区間の走行時における推定される速度を示すデータを取得する。図5は、運行スケジュール取得部163が取得するデータ(以下、「運行スケジュールデータ」という)の構成例を模式的に示した図である。運行スケジュールデータは、軌道回路11の検知区間を走行する列車8を識別する車両IDと、車両IDにより識別される列車8が検知区間に進入する予定時刻(進入予定時刻)と、車両IDにより識別される列車8が検知区間を走行する際の予定速度を、進入予定時刻の昇順で示す。
記憶部164(図2参照)は、リレー動作ログ取得部161により取得されたリレー動作ログデータ、積算距離ログ取得部162により取得された積算距離ログデータ、運行スケジュール取得部163により取得された運行スケジュールデータを記憶する。また、記憶部164は、劣化度推定部165により用いられる劣化度推定テーブル(後述)を記憶する。
劣化度推定部165は、記憶部164に記憶されているリレー動作ログデータ、積算距離ログデータ及び運行スケジュールデータを用いて、軌道回路11の劣化度を推定する。本実施形態において、軌道回路11の劣化度は、「低」「中」「高」の3段階のいずれかであるものとする。劣化度「低」は軌道回路11の劣化が進んでおらず、良好な状態が維持されていることを意味する。劣化度「高」は軌道回路11の劣化が進んでおり、すぐさま点検、部品の交換、修理等が必要な状態であることを意味する。劣化度「中」は劣化度「低」と劣化度「高」の間の状態を示し、近々、点検、部品の交換、修理等が必要となる状態であることを意味する。
図6は、劣化度推定部165が軌道回路11の劣化度の推定に用いる劣化度推定テーブルの構成例を模式的に示した図である。劣化度推定テーブルはリレー動作IDにより識別されるリレー112の動作の各々に応じたデータレコードの集まりであり、データフィールドとして「推定速度」、「実測速度」、「速度比率」、「劣化度」を有する。
「推定速度」には、リレー動作ログデータ(図3参照)に基づき推定される、列車8が検知区間を走行した時の速度(以下、「推定速度」という)が格納される。「実測速度」には、積算距離ログデータ(図4参照)に基づき特定される、列車8が検知区間を走行した時の速度(以下、「実測速度」という)が格納される。
「速度比率」には、推定速度と実測速度の比率(以下、「速度比率」という)が格納される。なお、本実施形態において、速度比率は推定速度を実測速度で除算した値であるものとするが、実測速度を推定速度で除算した値が速度比率として用いられてもよい。
「劣化度」には、上述した劣化度を示す「高」「中」「低」のいずれかが格納される。
図7は、軌道回路劣化度推定装置16の劣化度推定部165が行う処理のフローを示した図である。劣化度推定部165は、例えばユーザの操作に応じて、図7のフローに従う処理を行う。まず、劣化度推定部165は、リレー動作ログデータ(図3参照)の先頭のデータレコードから順に、データレコードを1つ選択する(ステップS101)。ステップS101の選択は、劣化度の推定の対象とするリレー112の動作の選択を意味する。以下、劣化度の推定の対象として選択されたリレー112の動作を、「判定対象動作」という。
続いて、劣化度推定部165は、ステップS101で選択したデータレコードに格納されている落下時刻から扛上時刻までの時間を、検知区間の長さである軌道回路長Lで除算して、推定速度を算出する(ステップS102)。劣化度推定部165は劣化度推定テーブル(図6参照)に新しいデータレコードを追加して、「リレー動作ID」に、ステップS101においてリレー動作ログデータから選択したデータレコードに格納されているリレー動作ID、すなわち判定対象動作のリレー動作IDを格納し、「推定速度」にステップS102において算出した推定速度を格納する。
劣化度推定部165は、ステップS102の処理と並行して、判定対象動作に応じた列車8を特定する(ステップS103)。具体的には、劣化度推定部165は、運行スケジュールデータ(図5参照)から、「進入予定時刻」に、ステップS101で選択したデータレコードに格納されている落下時刻に最も近い時刻が格納されているデータレコードを検索し、検索したデータレコードの車両IDにより識別される列車8を、判定対象動作をリレー112に行わせた列車8として特定する。
なお、ステップS103の処理において、劣化度推定部165が、リレー112の落下時刻と列車8の進入予定時刻の比較に加え、ステップS102において算出した推定速度と、運行スケジュールデータが示す予定速度との比較等を行うことで、運行スケジュールが乱れた場合であっても、判定対象動作に応じた列車8の特定を正しく行えるようにしてもよい。
劣化度推定部165は、続いて、ステップS103において特定した列車8の実測速度を算出する(ステップS104)。具体的には、劣化度推定部165は、まず、ステップS103において運行スケジュールデータから検索したデータレコードの車両IDに応じたデータテーブルを積算距離ログデータ(図4参照)から読み出す。続いて、劣化度推定部165は、読み出したデータテーブルから、ステップS101においてリレー動作ログデータから選択したデータレコードの落下時刻に最も近い時刻を格納するデータレコードと、ステップS101においてリレー動作ログデータから選択したデータレコードの扛上時刻に最も近い時刻を格納するデータレコードを検索する。劣化度推定部165は、積算距離ログデータのデータテーブルから検索した2つのデータレコードの積算距離の差を、それらのデータレコードの時刻の差で除算して、実測速度を算出する。
劣化度推定部165は劣化度推定テーブル(図6参照)の最後のデータレコードの「実測速度」にステップS104において算出した実測速度を格納する。
ステップS102及びS104に続いて、劣化度推定部165は、ステップS102において算出した推定速度を、ステップS104において算出した実測速度で除算して、速度比率を算出する(ステップS105)。劣化度推定部165は劣化度推定テーブル(図6参照)の最後のデータレコードの「速度比率」にステップS105において算出した速度比率を格納する。
続いて、劣化度推定部165は、ステップS105において算出した速度比率を所定の閾値と比較した結果に基づき、判定対象動作に基づく軌道回路11の劣化度を推定する(ステップS106)。具体的には、劣化度推定部165は、例えば、速度比率が0.97以上1.03未満であれば劣化度「低」、速度比率が0.95以上0.97未満、又は、1.03以上1.05未満であれば劣化度「中」、速度比率が0.95未満、又は、1.05以上であれば劣化度「高」と判定する。
劣化度推定部165は劣化度推定テーブル(図6参照)の最後のデータレコードの「劣化度」にステップS106において判定した劣化度を格納する。
続いて、劣化度推定部165は、リレー動作ログデータに、ステップS101において未選択のデータレコードが有るか否かを判定する(ステップS107)。リレー動作ログデータに、ステップS101において未選択のデータレコードが有る場合(ステップS107;Yes)、劣化度推定部165は処理をステップS101に戻し、ステップS101以降の処理を繰り返す。一方、ステップS101において未選択のデータレコードが無い場合(ステップS107;No)、劣化度推定部165は図7に示す一連の処理を終了する。
上述したように、劣化度推定部165は、列車8が検知区間を走行した時の推定速度と実測速度の比率(速度比率)に基づき、軌道回路11の劣化度を推定する。図8は、速度比率により軌道回路11の劣化度が判定可能であることを説明するための図である。
図8(A)は、劣化していない状態の軌道回路11のリレー112の動作を示したグラフである。図8(A)のグラフの横軸は時刻であり、縦軸はリレー112に供給される電力のレベルである。リレー112は、供給されている電力のレベルが所定の閾値より高い状態から低い状態へと変化したタイミングで落下し、供給されている電力のレベルが所定の閾値より低い状態から高い状態へと変化したタイミングで扛上する。
図8(A)のグラフの上方には、実際に列車8が検知区間に在線した期間が示されている。軌道回路11が劣化していない場合、リレー112が落下している期間は、列車8が検知区間に在線している期間と概ね一致する。
図8(B)は、軌道回路11が劣化し、リレー112に供給される電力のレベルが全体的に低下している場合のリレー112の動作を示したグラフである。例えば、フィルタ113が劣化して、電源111から供給される電力の一部をカットしているような場合、リレー112は図8(B)に示されるような動作を行う。すなわち、リレー112は、実際に列車8が検知区間に進入するより早く落下し、列車8が検知区間から退出した後、遅れて扛上する。
図8(C)は、軌道回路11が劣化し、リレー112に供給される電力のレベルが全体的に上昇している場合のリレー112の動作を示したグラフである。例えば、フィルタ113が劣化して、隣接する区間の軌道回路の電源から供給される電力が十分にカットされていないような場合、リレー112は図8(C)に示されるような動作を行う。すなわち、リレー112は、実際に列車8が検知区間に進入した後、遅れて落下し、列車8が検知区間から退出する前に扛上する。
図8(A)の場合、速度比率は概ね1となる。一方、図8(B)の場合、速度比率は1より大きくなり、図8(C)の場合、速度比率は1より小さくなる。このように、速度比率は軌道回路11の劣化度の高低を示す。そのため、劣化度推定部165は速度比率に基づき、軌道回路11の劣化度を推定する。
軌道回路劣化度推定システム1によれば、リレー112が実際に行った動作毎に劣化度が判定される。従って、例えば軌道回路11の保守作業者は、軌道回路劣化度推定システム1により生成される劣化度推定テーブルの「劣化度」に格納されているデータに基づき、例えば「中」の比率が所定の閾値以上となった場合に点検、部品の交換、修理等を行うことによって、軌道回路11の故障を未然に防ぐことができる。
[変形例]
上述した実施形態は様々に変形することができる。以下にそれらの変形の例を示す。なお、上述した実施形態および以下に示す変形例は適宜組み合わされてもよい。
(1)上述の実施形態において、軌道回路劣化度推定装置16の劣化度推定部165は、列車8が軌道回路11の検知区間を走行した際の、リレー動作ログデータに基づく推定速度と、積算距離ログデータに基づく実測速度との比率(速度比率)に基づき、軌道回路11の劣化度を推定する。列車8が検知区間を走行する際の速度が概ね一定であれば、劣化度推定部165は速度比率に代えて、推定速度と実測速度とに基づき軌道回路11の劣化度を推定してもよい。例えば、劣化度推定部165は、推定速度と実測速度(概ね一定)との差を、所定の閾値と比較した結果に基づき、軌道回路11の劣化度を推定してもよい。
(2)上述した実施形態において、軌道回路劣化度推定装置16の劣化度推定部165は、リレー動作ログデータが示すリレー112の動作の各々に関し、軌道回路11の劣化度の推定を行う。これに代えて、劣化度推定部165が、検知区間の複数の列車の通過の各々に関する速度比率の統計量に基づき、軌道回路11の劣化度を推定してもよい。
図9は、劣化度推定部165が速度比率の統計量に基づき軌道回路11の劣化度を推定する方法を説明するためのグラフである。図9のグラフの横軸は実測速度であり、縦軸は推定速度である。図9のグラフ(散布図)において、○は、軌道回路11が劣化していない状態において劣化度推定部165が生成した劣化度推定テーブル(図6参照)に格納される推定速度と実測速度の組み合わせを示す点である。
図9のグラフ(散布図)において、△は、軌道回路11が劣化して、リレー112が図8(B)に示すような動作をしている状態において劣化度推定部165が生成した劣化度推定テーブル(図6参照)に格納される推定速度と実測速度の組み合わせを示す点である。また、×は、軌道回路11が劣化して、リレー112が図8(C)に示すような動作をしている状態において劣化度推定部165が生成した劣化度推定テーブル(図6参照)に格納される推定速度と実測速度の組み合わせを示す点である。
図9に示す線A0は○で示される散布図を直線で近似したグラフであり、概ね、原点を通る傾きが1の直線となる。線A1は△で示される散布図を直線で近似したグラフであり、線A2は×で示される散布図を直線で近似したグラフである。このように、軌道回路11が劣化すると、実測速度と推定速度の関係を示す直線の傾きが1から乖離する。従って、劣化度推定部165は、例えば劣化度推定テーブルに格納される実測速度と推定速度の関係を近似した直線の傾きを所定の閾値と比較することによって、軌道回路11の劣化度を推定してもよい。
上述の例では、劣化度推定部165は実測速度と推定速度の関係を直線で近似する。これに代えて、劣化度推定部165が実測速度と推定速度の関係を曲線で近似してもよい。
図10は、軌道回路11が劣化した状態で生成された劣化度推定テーブルに格納される実測速度と推定速度の関係を近似した曲線を例示した図である。曲線A3は、実測速度が速くなる程、速度比率が大きくなっていることを示している。また、曲線A4は、実測速度が速くなる程、速度比率が小さくなっていることを示している。
曲線A3と曲線A4の形状の差は、軌道回路11の部品のうち劣化している部品が異なるために生じている可能性がある。従って、劣化度推定部165が、実測速度と推定速度の関係を近似した曲線の形状、すなわち、速度に応じた速度比率の統計量の変化に基づき、軌道回路11の部品のうち劣化している部品を特定してもよい。
具体的には、劣化度推定部165は、過去に点検等により劣化している部品が特定された軌道回路11に関し生成された劣化度推定テーブルに格納されている実測速度と推定速度の関係を近似した曲線の中から、劣化度の推定対象の軌道回路11に関し生成された劣化度推定テーブルに格納されている実測速度と推定速度の関係を近似した曲線と形状が類似しているものを特定する。そして、劣化度推定部165は、形状が類似する曲線に応じた軌道回路11において劣化していた部品を、劣化度の推定対象の軌道回路11における劣化している部品として特定する。
(3)劣化度推定部165が、検知区間の複数の列車8の通過の各々に関する速度比率の経時変化に基づき、軌道回路11の劣化度を推定してもよい。図11は、この変形例において劣化度推定部165が軌道回路11の劣化度を推定する方法を説明するためのグラフである。
図11のグラフの横軸は時刻であり、縦軸は速度比率である。なお、横軸の時刻は数ヶ月~数年の長期に渡る時間における時刻である。すなわち、図11のグラフは、速度比率の経時変化を示している。図11のグラフにおいて、時刻t0は現在を示す。図11のグラフのうち実線部分は劣化度推定テーブルに格納されている実測速度と推定速度に基づき算出された速度比率の経時変化を示し、破線部分は実線部分から推定される速度比率の経時変化である。
劣化度推定部165は、図11のグラフの実線部分を外挿し破線部分を推定し、推定した破線部分が示す速度比率が所定の閾値に達する時刻t1を推定する。この変形例によれば、保守作業者等は、軌道回路11の部品交換等を行うべきタイミングを事前に知ることができる。
(4)上述した実施形態において、軌道回路劣化度推定システム1は列車8の実測速度をタコジェネレータ13が計測する積算距離に基づき特定する。列車8の実測速度は、列車8の検知区間の通過における、リレー112の動作と無関係に特定された列車8の速度である限り、どのような方法で特定されてもよい。例えば、列車8に搭載されたGNSS(Global Navigation Satellite System)が計測する列車8の位置の経時変化に基づき、列車8の実測速度が特定されてもよい。
また、列車8の実測速度として、運行スケジュールデータ(図5参照)に格納される予定速度が用いられてもよい。列車8が運行スケジュールデータに示される予定速度を守って走行する限り、予定速度は実際の列車8の速度とみなせる。
また、同じ運行スケジュールに従い過去に列車8が検知区間を走行した際の実測速度(又は、それらが複数ある場合はそれらの統計量)を、その後の列車8の走行に関する実測速度として用いてもよい。また、特急、快速、各駅停車等の列車種別が同じ別の列車8が過去に検知区間を走行した際の実測速度(又は、それらが複数ある場合はそれらの統計量)を、その後の列車8の走行に関する実測速度として用いてもよい。
(5)上述した実施形態において、軌道回路11は無絶縁軌道回路であるものとしたが、軌道回路11の種別は無絶縁軌道回路に限られず、有絶縁軌道回路等であってもよい。
(6)上述した実施形態において、劣化度推定部165が推定する劣化度は「低」「中」「高」の3区分であるものとしたが、劣化度の区分数は3つに限られない。また、例えば速度比率そのものを劣化度の推定値として用いてもよい。
(7)軌道回路11の検知区間をL、検知区間を走行するために要する時間をT、検知区間を走行するときの速度をVとすると、V=L/Tという関係が成立する。ここで、Lは一定であるため、VとTは反比例の関係を有する。従って、本願において、「車両の速度に基づき軌道回路の劣化度を推定する」ことと「車両が検知区間を走行するために要する時間に基づき軌道回路の劣化度を推定する」こととは同義である。
1…軌道回路劣化度推定システム、8…列車、9…軌道、11…軌道回路、12…レコーダ、13…タコジェネレータ、14…レコーダ、15…運行スケジュール配信サーバ、16…軌道回路劣化度推定装置、111…電源、112…リレー、113…フィルタ、161…リレー動作ログ取得部、162…積算距離ログ取得部、163…運行スケジュール取得部、164…記憶部、165…劣化度推定部。

Claims (4)

  1. 軌道回路の検知区間の車両の通過に伴うリレーの落下から扛上までの時間に基づき推定される当該車両の速度と、前記リレーの動作と無関係に特定された当該通過における当該車両の速度との比率又は差に基づき、前記軌道回路の劣化度を推定する軌道回路劣化度推定装置。
  2. 前記検知区間の複数の列車の通過の各々に関する前記比率又は前記差の統計量に基づき前記軌道回路の劣化度を推定する
    請求項に記載の軌道回路劣化度推定装置。
  3. 速度に応じた前記統計量の変化に基づき前記軌道回路の部品のうち劣化している部品を特定する
    請求項に記載の軌道回路劣化度推定装置。
  4. 前記検知区間の複数の列車の通過の各々に関する前記比率又は前記差の経時変化に基づき前記軌道回路の劣化度を推定する
    請求項乃至のいずれか1項に記載の軌道回路劣化度推定装置。
JP2018081535A 2018-04-20 2018-04-20 軌道回路劣化度推定装置 Active JP7112239B2 (ja)

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