以下、添付図面を参照して、医用画像処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下、医用画像処理装置を含む医用情報処理システムを例に挙げて説明する。図1に示す医用情報処理システム1においては、各装置が1台ずつ示されているが、実際にはさらに複数の装置を含むことができる。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1は、医用画像処理装置100と、医用画像診断装置200と、サーバ装置300とを備える。医用画像処理装置100と、医用画像診断装置200と、サーバ装置300とは、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)2により、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、医用画像処理装置100は、PACS(Picture Archiving and Communication System)のビューアとして用いられる。
医用画像診断装置200は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET-CT装置、又はこれらの装置群等である。なお、医用画像診断装置200は、モダリティ装置とも呼ぶ。
例えば、医用画像診断装置200は、被検体を撮影することにより複数の医用画像データ(複数のアキシャル断面の再構成画像)を生成する。具体的には、医用画像診断装置200は、被検体を撮影することにより投影データやMR信号等のデータを収集し、収集したデータから、被検体の体軸方向に沿った複数のアキシャル面の医用画像データを再構成する。また、医用画像診断装置200は、複数のアキシャル断面から、ボリュームデータ(3次元の医用画像データ)を生成する。なお、医用画像診断装置200は、ボリュームデータから、サジタル断面の画像や、コロナル断面の画像等、任意の断面における画像を生成してもよい。
例えば、医用画像診断装置200は、検査オーダーに応じて患者の医用画像データを収集する。そして、医用画像診断装置200は、付帯情報としてDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)タグが付加された医用画像データをサーバ装置300に送信する。また、医用画像診断装置200は、医用画像データを医用画像処理装置100に送信してもよい。
付帯情報は、例えば、患者ID、検査ID、装置ID、画像シリーズID等を含み、DICOM規格に従って規格化されている。患者IDは、患者、すなわち、医用画像診断装置200により撮影された被検体を識別するための情報である。検査IDは、検査内容を識別するための情報である。装置IDは、医用画像診断装置200を識別するための情報である。画像シリーズIDは、医用画像診断装置200による1回の撮影を識別するための情報であり、例えば、撮影された被検体の部位、画像生成時刻、スライス厚、スライス位置等を含む。
サーバ装置300は、医用画像診断装置200から受信した医用画像データを記憶する。そして、サーバ装置300は、医用画像処理装置100からの取得要求に応じた医用画像データを医用画像処理装置100に送信する。なお、サーバ装置300に保管された医用画像データには、患者ID、検査ID、装置ID、画像シリーズID等の付帯情報が付加されている。このため、医用画像処理装置100は、患者ID、検査ID、装置ID、画像シリーズID等を用いた検索を行うことで、必要な医用画像データをサーバ装置300から取得することができる。
医用画像処理装置100は、病院内の各診療科に配置され、各診療科に勤務する医師によって操作される画像処理装置であり、PC(Personal Computer)やタブレット式PC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等である。例えば、医用画像処理装置100は、放射線科に配置され、読影医によって操作される画像処理装置であり、読影医の操作に応じて各種画像処理や画像データの表示を行う。読影医は、医用画像処理装置100に表示された画像データを用いて読影を行う。
以下、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100の詳細について説明する。図2は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100の構成の一例を示す図である。図2に示すように、医用画像処理装置100は、入力インターフェース110と、ディスプレイ120と、通信インターフェース130と、記憶回路140と、処理回路150とを有する。
入力インターフェース110は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等を有し、医用画像処理装置100に対する各種操作の入力を操作者から受け付け、操作者から受け付けた指示や設定の情報を処理回路150に転送する。例えば、入力インターフェース110は、操作者から、医用画像データの取得要求や画像処理条件等を受け付ける。
ディスプレイ120は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路150による制御のもと、画像データを操作者に表示したり、入力インターフェース110を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。通信インターフェース130は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。
記憶回路140は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などであり、後述の処理回路150によってサーバ装置300から取得された医用画像データを記憶する。また、記憶回路140は、処理回路150による処理結果を記憶する。ここで、記憶回路140は、図2に示すように、医用画像データとして、例えば、付帯情報が付加された複数の第1医用画像データ141を記憶する。また、記憶回路140は、付帯情報が付加された複数の第2医用画像データ142を記憶する。
処理回路150は、医用画像処理装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路150は、入力インターフェース110から転送された指示に応じて、医用画像の取得処理や、画像処理、画像表示等を実行する。例えば、処理回路150は、図2に示すように、画像取得機能151、特定機能152、画像生成機能153及び表示制御機能154を実行する。ここで、例えば、図2に示す処理回路150の構成要素である画像取得機能151、画像生成機能153及び表示制御機能154が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路140に記録されている。処理回路150は、各プログラムを記憶回路140から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図2の処理回路150内に示された各機能を有することとなる。なお、本実施形態で説明する画像取得機能151は、特許請求の範囲に記載した取得部に対応する。また、本実施形態で説明する画像生成機能153は、特許請求の範囲に記載した生成部に対応する。また、表示制御機能154は、特許請求の範囲に記載した表示制御部に対応する。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable GateArray:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
以上、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1及び医用画像処理装置100の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100は、例えば、読影レポートを作成する読影医に用いられる。
例えば、医用画像診断装置200としてのX線CT装置は、被検体をヘリカルスキャンすることにより複数の医用画像データ(複数のアキシャル断面の再構成画像)から構成されるボリュームデータを生成する。読影医は、ボリュームデータを用いて読影を行い、読影レポートを作成する。ここで、読影医は、読影を行う際に、前回の検査において被検体を撮影した複数の第1医用画像データ141(図2を参照)と、今回の検査において被検体を撮影した複数の第2医用画像データ142(図2を参照)とを比較する場合がある。
前回検査時と今回検査時では、医用画像データのスライス厚が異なる場合がある。例えば、複数の第1医用画像データ141は、前回検査時において、7mmのスライス厚で被検体が撮影されることで生成される。また、複数の第2医用画像データ142は、今回検査時において、1mmのスライス厚で被検体が撮影されることで生成される。
前回検査時と今回検査時とでスライス厚が異なる場合、医用画像データの画質も異なる。このため、医用画像処理装置100の処理回路150は、今回検査時における複数の第2医用画像データ142に対して畳み込み処理を行い、前回検査時のスライス厚に対応するスライス厚となる複数の畳み込み画像データ(例えば、MIP(Maximum Intensity Projection)画像データ)を生成することにより、読影医は、医用画像処理装置100において、前回検査時における複数の第1医用画像データ141と今回検査時における複数の第2医用画像データ142(この場合、複数の畳み込み画像データ)とを比較する。
そして、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100は、読影の効率を向上させるために、以下の処理を行う。まず、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100は、複数の第2医用画像データ142において、複数の第1医用画像データ141のそれぞれと位置が対応する対応医用画像データを特定する。そして、複数の対応医用画像データのそれぞれについて、対応医用画像データを含み、かつ、第1スライス厚に対応するスライス厚となる第2医用画像データ群を特定する。その後に、複数の第2医用画像データ群に対して畳み込み処理を行う。
図3は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100の画像取得機能151、特定機能152、画像生成機能153による処理の一例を説明するための図である。
まず、画像取得機能151は、サーバ装置300から、付帯情報が付加された複数の第1医用画像データ141A、141B、141C、・・・を取得する。また、画像取得機能151は、サーバ装置300から、付帯情報が付加された複数の第2医用画像データ142A~142Yを取得する。複数の第1医用画像データ141A、141B、141C、・・・は、上述の複数の第1医用画像データ141であり、前回検査時において、第1スライス厚(7mmのスライス厚)で被検体の胸腹部が撮影されたときに生成される。複数の第2医用画像データ142A~142Yは、上述の複数の第2医用画像データ142であり、今回検査時において、第2スライス厚(1mmのスライス厚)で被検体の腹部が撮影されたときに生成される。
特定機能152は、複数の第2医用画像データ142A~142Yにおいて、複数の第1医用画像データ141A、141B、141C、・・・のそれぞれとスライス位置が対応する対応医用画像データを特定する。例えば、特定機能152は、複数の第2医用画像データ142A~142Yにおいて、画像内の臓器などの特徴点(例えば、Anatomical Landmark)を用いた位置合わせを行うことにより、複数の第1医用画像データ141A、141B、141C、・・・のそれぞれとスライス位置が対応する対応医用画像データを特定する。ここで、対応医用画像データの検索範囲を狭めるために、付帯情報を用いてもよい。例えば、特定機能152は、まず、第1医用画像データ141Aに付加された付帯情報により、対応医用画像データの検索範囲を、第2医用画像データ142A~142Iに狭める。次に、特定機能152は、第2医用画像データ142A~142Iにおいて、上記特徴点を用いた位置合わせを行うことにより、第1医用画像データ141Aとスライス位置が対応する対応医用画像データを特定する。
図3に示すように、第1医用画像データ141Aのスライス位置と、第2医用画像データ142Dのスライス位置とが対応する場合、特定機能152は、第2医用画像データ142Dを対応医用画像データとして特定する。第1医用画像データ141Bのスライス位置と、第2医用画像データ142Iのスライス位置とが対応する場合、特定機能152は、第2医用画像データ142Iを対応医用画像データとして特定する。第1医用画像データ141Cのスライス位置と、第2医用画像データ142Tのスライス位置とが対応する場合、特定機能152は、第2医用画像データ142Tを対応医用画像データとして特定する。
そして、特定機能152は、複数の対応医用画像データ(第2医用画像データ142D、142I、142T)のそれぞれについて、対応医用画像データを含み、かつ、第1スライス厚に対応するスライス厚となる第2医用画像データ群を特定する。例えば、第2医用画像データ群は、対応医用画像データが中心となるように特定される。具体的には、第2医用画像データ群は、第1スライス厚に対応するスライス厚となるように7個の第2医用画像データとして特定され、かつ、対応医用画像データは、その中心となるように7個の第2医用画像データのうちの4番目の第2医用画像データとして特定される。図3に示すように、対応医用画像データが第2医用画像データ142Dである場合、特定機能152は、第2医用画像データ142Dを中心とする7個の第2医用画像データ142A~142Gを第2医用画像データ群として特定する。対応医用画像データが第2医用画像データ142Iである場合、特定機能152は、第2医用画像データ142Iを中心とする7個の第2医用画像データ142F~142Lを第2医用画像データ群として特定する。対応医用画像データが第2医用画像データ142Tである場合、特定機能152は、第2医用画像データ142Tを中心とする7個の第2医用画像データ142Q~142Wを第2医用画像データ群として特定する。
画像生成機能153は、複数の第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wに対して畳み込み処理を行うことによって、図3に示すように、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれに対する複数の畳み込み画像データ143A~143Cを生成する。
ここで、図3に示すように、複数の第2医用画像データ群(第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142W)のうち、隣接する第2医用画像データ群142A~142G、142F~142Lには、畳み込み処理に重複して使用される第2医用画像データ142F、142Gが含まれる場合がある。すなわち、特定機能152による処理が行われた場合、畳み込み処理の対象となる医用画像データ(第2医用画像データ142F、142G)が重複することがある。ここで、本実施形態では、特定機能152が、上述の位置合わせを行うことにより、前回検査時における複数の第1医用画像データ141A~141Cのスライス位置に対応する第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wを特定している。このため、画像生成機能153は、複数の第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wに対して畳み込み処理を行うことにより、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれに対して、画質が略同一であり、かつ、スライス位置が略同一である複数の畳み込み画像データ143A~143Cを生成することができる。
これにより、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100は、読影医にとって、前回検査時における複数の第1医用画像データ141A~141Cと今回検査時における複数の第2医用画像データ142A~142Y(この場合、複数の畳み込み画像データ143A~143C)とを比較し易くすることができ、読影の効率を向上させることができる。
図4は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100の表示制御機能154による処理の一例を説明するための図である。表示制御機能154は、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付けて表示する領域121をディスプレイ120に表示させる。図4に示すように、例えば、領域121の左側には第1医用画像データ141Aが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Aが表示される。ここで、ディスプレイ120に対して入力インターフェース110による操作(マウス操作、スクロール操作など)が行われた場合、その操作に応じて、次の医用画像データとして、領域121の左側には第1医用画像データ141Bが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Bが表示される。同様に、ディスプレイ120に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、次の医用画像データとして、領域121の左側には第1医用画像データ141Cが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Cが表示される。このように、表示制御機能154は、比較読影に適した2つの画像データ(すなわち、画質が略同一であり、かつ、スライス位置が略同一である2つの画像データ)を同期して表示させることができ、読影の効率を向上させることができる。
次に、図5を用いて、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100の処理について説明する。図5は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100による処理の手順を示すフローチャートである。
図5のステップS101は、処理回路150が記憶回路140から画像取得機能151に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS101では、処理回路150が、複数の第1医用画像データ141A~141C、及び、複数の第2医用画像データ142A~142Yを取得する。例えば、処理回路150は、入力インターフェース110によって受け付けられた取得要求に基づいて、サーバ装置300から、複数の第1医用画像データ141A~141C、及び、複数の第2医用画像データ142A~142Yを取得する。
図5のステップS102、S103は、処理回路150が記憶回路140から特定機能152に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS102では、処理回路150が、複数の第2医用画像データ142A~142Yにおいて、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれと位置が対応する対応医用画像データ(第2医用画像データ142D、142I、142T)を特定する。ステップS103では、処理回路150が、複数の対応医用画像データ(第2医用画像データ142D、142I、142T)のそれぞれについて、対応医用画像データを含み、かつ、第1スライス厚に対応するスライス厚となる第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wを特定する。
図5のステップS104は、処理回路150が記憶回路140から画像生成機能153に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS104では、処理回路150が、複数の第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wに対して畳み込み処理を行うことによって、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれに対する複数の畳み込み画像データ143A~143Cを生成する。
図5のステップS105は、処理回路150が記憶回路140から表示制御機能154に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS105では、処理回路150が、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付ける領域121をディスプレイ120に表示させる。
上述したように、第1の実施形態によれば、画像取得機能151は、第1スライス厚で被検体が撮影された複数の第1医用画像データ141A~141Cと、第1スライス厚とは異なる第2スライス厚で被検体が撮影された複数の第2医用画像データ142A~142Yとを取得する。特定機能152は、複数の第2医用画像データ142A~142Yにおいて、画像内の特徴点を用いた位置合わせを行うことにより、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれとスライス位置が対応する対応医用画像データ142D、142I、142Tを特定する。そして、特定機能152は、複数の対応医用画像データ142D、142I、142Tのそれぞれについて、対応医用画像データを含み、かつ、第1スライス厚に対応するスライス厚となる第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wを特定する。画像生成機能153は、複数の第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wに対して畳み込み処理を行うことによって、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれに対して、画質が略同一であり、かつ、スライス位置が略同一である複数の畳み込み画像データ143A~143Cを生成する。
ここで、畳み込み処理が、今回検査時における複数の医用画像データ142に対して先頭画像から「指定の厚み」または「指定の枚数」にて行われる場合、前回検査時と今回検査時において、医用画像データの位置にズレが発生する場合がある。例えば、前回検査時と今回検査時とで病院が異なる等の理由によりモダリティ装置(医用画像診断装置200)が異なる場合、前回検査時と今回検査時では、複数の医用画像データの先頭画像の位置が異なる場合がある。また、例えば、前回検査時では胸腹部を第1スライス厚(例えば7mmのスライス厚)で撮影し、今回検査時では腹部を第2スライス厚(例えば1mmのスライス厚)で撮影した場合、被検体の撮影範囲が異なるため、前回検査時と今回検査時では、複数の医用画像データの先頭画像の位置が異なる場合がある。また、前回検査時と今回検査時とで被検体の呼吸や心拍の違いにより臓器(肺や横隔膜など)の位置が若干異なる場合があるため、前回検査時と今回検査時では、複数の医用画像データの先頭画像の位置が異なる場合がある。したがって、今回検査時における複数の医用画像データ142に対して先頭画像から畳み込み処理を行う場合、前回検査時と今回検査時において、医用画像データの位置にズレが発生する場合がある。この場合、医用画像データを用いて読影を行い、読影レポートを作成する読影医などの負担が増大する。読影は病気の診断や治療方針を決定するための重要な作業であるため、読影医等の負担を軽減するために、読影を効率よく行うための技術が望まれる。
一方、第1の実施形態では、上述のように、特定機能152が、複数の第2医用画像データ142A~142Yにおいて、画像内の特徴点を用いた位置合わせを行うことにより、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれとスライス位置が対応する対応医用画像データ142D、142I、142Tを特定し、複数の対応医用画像データ142D、142I、142Tのそれぞれについて、対応医用画像データを含み、かつ、第1スライス厚に対応するスライス厚となる第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wを特定する。画像生成機能153は、複数の第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wに対して畳み込み処理を行うことによって、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれに対して、画質が略同一であり、かつ、スライス位置が略同一である複数の畳み込み画像データ143A~143Cを生成する。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100は、読影医にとって、前回検査時における複数の第1医用画像データ141A~141Cと今回検査時における複数の第2医用画像データ142A~142Y(複数の畳み込み画像データ143A~143C)とを比較し易くすることができ、読影の効率を向上させることができる。
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能154は、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付ける領域121をディスプレイ120に表示させる。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100は、比較読影に適した2つの画像データ(すなわち、画質が略同一であり、かつ、スライス位置が略同一である2つの画像データ)を同期して表示させることができ、読影の効率を向上させることができる。
また、第1の実施形態によれば、複数の第2医用画像データ群(第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142W)のうち、隣接する第2医用画像データ群142A~142G、142F~142Lには、畳み込み処理に重複して使用される第2医用画像データ142F、142Gが含まれる。ここで、本実施形態では、先頭画像から「指定の厚み」または「指定の枚数」にて畳み込み処理を行う方法とは異なり、特定機能152が、上述の位置合わせを行うことにより、前回検査時における複数の第1医用画像データ141A~141Cのスライス位置に対応する第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wを特定している。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100では、画像生成機能153は、複数の第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wに対して畳み込み処理を行うことにより、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれに対して、画質が略同一であり、かつ、スライス位置が略同一である複数の畳み込み画像データ143A~143Cを生成することができる。
(第1の変形例)
図6は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100の画像生成機能153による他の処理の一例を説明するための図である。特定機能152による処理が行われた場合、複数の第2医用画像データ142A~142Yの中に、特定機能152により特定されない第2医用画像データが存在する。例えば、第2医用画像データ142M~142Pは、特定機能152により特定されていないため、畳み込み処理に使用されていない(図3を参照)。未使用部分については、前回検査時と今回検査時とで被検体の呼吸や心拍の違いにより臓器(肺や横隔膜など)の大きさが若干異なったことにより、第2医用画像データ142M~142Pが生成されたものと考えられる。そこで、本実施形態では、未使用部分を加味して、図6に示すように、画像生成機能153は、複数の第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wのうち、特定されない第2医用画像データ142M~142Pに隣接する第2医用画像データ群142F~142L、142Q~142Wに、特定されない第2医用画像データ142M~142Pを含めて、畳み込み処理を行ってもよい。
この場合、第2医用画像データの個数を調整して畳み込み処理が行われる。例えば、画像生成機能153は、第2医用画像データ142M~142Pのうち、2個の第2医用画像データ142M、142Nを、第2医用画像データ群142F~142Lに含める場合、図6に示すように、第2医用画像データ142Iを中心とする11個の第2医用画像データ142D~142Nに対して畳み込み処理を行うことによって、畳み込み画像データ143Bを生成する。同様に、画像生成機能153は、第2医用画像データ142M~142Pのうち、2個の第2医用画像データ142O、142Pを、第2医用画像データ群142Q~142Wに含める場合、図6に示すように、第2医用画像データ142Tを中心とする11個の第2医用画像データ142O~142Yに対して畳み込み処理を行うことによって、畳み込み画像データ143Cを生成する。
(第2の変形例)
図7は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100の表示制御機能154による他の処理の一例を説明するための図である。表示制御機能154は、比較読影に適した表示方法として、図7に示すように、更に、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cと複数の第2医用画像データ142A~142Yとの位置関係を表示する領域をディスプレイ120に表示させてもよい。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、医用画像処理装置100が、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付けて表示する領域121をディスプレイ120に表示させる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、複数の第2医用画像データの中に、特定されない第2医用画像データが存在する場合、更に、上記特定されない第2医用画像データをディスプレイ120に表示させることもできる。第2の実施形態では、上記特定されない第2医用画像データをディスプレイ120に表示させる場合について説明する。なお、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100と比較して、表示制御機能154による処理内容が異なる。以下、これを中心に説明する。
図8及び図9は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100の表示制御機能154による処理の一例を説明するための図である。特定機能152による処理が行われた場合、複数の第2医用画像データ142A~142Yの中に、特定機能152により特定されない第2医用画像データが存在する。例えば、第2医用画像データ142M~142Pは、特定機能152により特定されていないため、畳み込み処理に使用されていない(図3を参照)。未使用部分については、前回検査時と今回検査時とで被検体の呼吸や心拍の違いにより臓器(肺や横隔膜など)の大きさが若干異なったことにより、第2医用画像データ142M~142Pが生成されたものと考えられる。そこで、本実施形態では、例えば、表示制御機能154は、特定されない第2医用画像データ142M~142Pを、領域121とは別の領域で表示させる。
具体的には、図8及び図9に示すように、表示制御機能154は、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付けて表示する領域121と、特定されない第2医用画像データを表示する領域122とを重ねてディスプレイ120に表示させる。例えば、領域121、122は、それぞれ表示の位置が異なるタブ121a、122aを含み、表示制御機能154は、領域121と領域122との一方の領域の全体と、領域121と領域122との他方の領域のタブのみとをディスプレイ120に表示させる。図8及び図9に示すように、タブ121aには、領域121を識別するための「比較用」が表記され、122aには、領域122を識別するための「未使用」が表記されている。
まず、表示制御機能154は、領域121の全体と、領域122のタブ122aとをディスプレイ120に表示させる。この場合、図8に示すように、例えば、領域121の左側には第1医用画像データ141Aが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Aが表示される。ここで、領域121に対して入力インターフェース110による操作(マウス操作、スクロール操作など)が行われた場合の表示制御機能154の動作は、第1の実施形態の場合(図4を参照)と同じである。すなわち、領域121に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、次の医用画像データとして、領域121の左側には第1医用画像データ141Bが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Bが表示される。次に、領域121に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、次の医用画像データとして、領域121の左側には第1医用画像データ141Cが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Cが表示される。
例えば、表示制御機能154が領域121の全体と領域122のタブ122aとをディスプレイ120に表示させているときに、領域122のタブ122aに対して入力インターフェース110による操作(マウス操作など)が行われた場合、表示制御機能154は、領域122の全体と、領域121のタブ121aとをディスプレイ120に表示させる。この場合、図9に示すように、領域122には、特定されない第2医用画像データとして、第2医用画像データ142Mが表示される。ここで、ディスプレイ120の領域122に対して入力インターフェース110による操作(マウス操作、スクロール操作など)が行われた場合、その操作に応じて、次の特定されない第2医用画像データとして、領域122には第2医用画像データ142Nが表示される。次に、ディスプレイ120の領域122に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、領域122には第2医用画像データ142Oが表示される。同様に、次に、ディスプレイ120の領域122に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、領域122には第2医用画像データ142Pが表示される。
例えば、表示制御機能154が領域122の全体と領域121のタブ121aとをディスプレイ120に表示させているときに、ディスプレイ120の領域121のタブ121aに対して入力インターフェース110による操作(マウス操作など)が行われた場合、表示制御機能154は、領域121の全体と、領域122のタブ122aとをディスプレイ120に表示させる(図8を参照)。ここで、領域121に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合の表示制御機能154の動作は、第1の実施形態の場合(図4を参照)と同じである。
図10は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100の表示制御機能154による他の処理の一例を説明するための図である。本実施形態では、例えば、表示制御機能154は、特定されない第2医用画像データ142M~142Pを領域121で表示させる。
具体的には、表示制御機能154は、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付けて表示する領域121をディスプレイ120に表示させる。例えば、領域121の左側には第1医用画像データ141Aが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Aが表示される(図4を参照)。ここで、領域121に対して入力インターフェース110による操作(マウス操作、スクロール操作など)が行われた場合、その操作に応じて、次の医用画像データとして、領域121の左側には第1医用画像データ141Bが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Bが表示される。
次に、領域121に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、図10に示すように、特定されない第2医用画像データとして、領域121の左側には何も表示されず(例えば全体を黒又は白で表示)、領域121の右側には第2医用画像データ142Mが表示される。同様に、次に、領域121に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、特定されない第2医用画像データとして、領域121の左側には何も表示されず、第2医用画像データ142Nが表示される。同様に、次に、領域121に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、特定されない第2医用画像データとして、領域121の左側には何も表示されず、第2医用画像データ142Oが表示される。同様に、次に、領域121に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、特定されない第2医用画像データとして、領域121の左側には何も表示されず、第2医用画像データ142Pが表示される。
次に、領域121に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、次の医用画像データとして、領域121の左側には第1医用画像データ141Cが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Cが表示される。
上述したように、第2の実施形態によれば、複数の第2医用画像データ142A~142Yの中に、特定機能152により特定されない第2医用画像データ142M~142Pが存在する場合、表示制御機能154は、更に、特定されない第2医用画像データ142M~142Pをディスプレイ120に表示させる。従って、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100(画像処理装置)は、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付けて読影医に提示することに加えて、特定されない第2医用画像データ142M~142Pについても読影医に提示することができる。
(第3の実施形態)
上述した第2の実施形態では、医用画像処理装置100が、更に、特定されない第2医用画像データ142M~142Pをディスプレイ120に表示させる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付けて表示する領域121と、特定されない第2医用画像データ142M~142Pを表示する領域122とを並べてディスプレイ120に表示させることもできる。第3の実施形態では、領域121と領域122とを並べてディスプレイ120に表示させる場合について説明する。なお、第3の実施形態に係る医用画像処理装置100は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100と比較して、表示制御機能154による処理内容が異なる。以下、これを中心に説明する。
図11は、第3の実施形態に係る医用画像処理装置100の表示制御機能154による処理の一例を説明するための図である。本実施形態では、例えば、表示制御機能154は、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cと、特定機能152により特定されない第2医用画像データ142M~142Pと、をそれぞれシリーズ化して表示させる。
具体的には、表示制御機能154は、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとを第1シリーズとしてシリーズ化し、特定機能152により特定されない第2医用画像データ142M~142Pを第2シリーズとしてシリーズ化する。そして、表示制御機能154は、第1シリーズの表示として、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付けて表示する領域121をディスプレイ120に表示させる。また、表示制御機能154は、第2シリーズの表示として、特定されない第2医用画像データ142M~142Pを表示する領域122を、領域121に並べてディスプレイ120に表示させる。図11に示すように、例えば、領域121の左側には第1医用画像データ141Aが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Aが表示され、領域122には、特定されない第2医用画像データ142Mが表示される。
ここで、ディスプレイ120の第1シリーズの表示(領域121)に対して入力インターフェース110による操作(マウス操作、スクロール操作など)が行われた場合、その操作に応じて、次の医用画像データとして、領域121の左側には第1医用画像データ141Bが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Bが表示される。同様に、領域121に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、次の医用画像データとして、領域121の左側には第1医用画像データ141Cが表示され、領域121の右側には畳み込み画像データ143Cが表示される。
一方、ディスプレイ120の第2シリーズの表示(領域122)に対して入力インターフェース110による操作(マウス操作、スクロール操作など)が行われた場合、その操作に応じて、次の特定されない第2医用画像データとして、領域122には第2医用画像データ142Nが表示される。次に、領域122に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、領域122には第2医用画像データ142Oが表示される。同様に、次に、領域122に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、領域122には第2医用画像データ142Pが表示される。
上述したように、第3の実施形態によれば、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付けて表示する領域121と、特定されない第2医用画像データ142M~142Pを表示する領域122とを並べてディスプレイ120に表示させる。従って、第3の実施形態に係る医用画像処理装置100は、複数の第1医用画像データ141A~141Cと複数の畳み込み画像データ143A~143Cとをそれぞれ対応付けて読影医に提示することに加えて、特定されない第2医用画像データ142M~142Pについても読影医に提示することができる。
(第4の実施形態)
さて、これまで第1~第3の実施形態について説明したが、上記した第1~第3の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した第1~第3の実施形態では、第2スライス厚の第2医用画像データ群142A~142G、142F~142L、142Q~142Wから、第1スライス厚の畳み込み画像データ143A~143Cを生成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、第1スライス厚の第1医用画像データ141A~141Cから、第2スライス厚の医用画像データ群を生成することもできる。
図12及び13は、第4の実施形態に係る医用画像処理装置100の画像生成機能153による処理の一例を説明するための図である。例えば、図12に示すように、画像生成機能153は、AI(Artificial Intelligence)等のアルゴリズムを用いて、被検体が今回までに実施した検査の医用画像データ(複数の第1医用画像データ141A~141C及び複数の第2医用画像データ142A~142Yを含む)から、被検体の腹部の形状、及び、画像のコントラストや画質等を学習する。なお、AI等のアルゴリズムは経験から学習していくものであるため、学習に用いられる医用画像データは、同一の被検体でなくてもよい。ここで、図13に示すように、複数の畳み込み画像データ143A~143Cのうち、所見がある少なくとも1つの畳み込み画像データ(例えば、畳み込み画像データ143A)が指定される。この場合、複数の第1医用画像データ141A~141Cのうち、指定された畳み込み画像データ143Aに対応する第1医用画像データは、第1医用画像データ141Aである。そこで、画像生成機能153は、AI等のアルゴリズムを用いた処理によって、上記指定された畳み込み画像データ143Aから、第2スライス厚の第3医用画像データ群144A~144Gを生成する。
図14は、第4の実施形態に係る医用画像処理装置100の表示制御機能154による処理の一例を説明するための図である。表示制御機能154は、第1医用画像データ141Aから生成された第3医用画像データ群144A~144Gと、畳み込み画像データ143Aに対して畳み込み処理を解除したときの第2医用画像データ群142A~142Gと、をそれぞれ対応付けて表示する領域123をディスプレイ120に表示させる。図14に示すように、例えば、領域123の左側には第3医用画像データ群144Aが表示され、領域123の右側には第2医用画像データ群142Aが表示される。ここで、領域123に対して入力インターフェース110による操作(マウス操作、スクロール操作など)が行われた場合、その操作に応じて、次の医用画像データとして、領域123の左側には第3医用画像データ群144Bが表示され、領域123の右側には第2医用画像データ群142Bが表示される。同様に、領域123に対して入力インターフェース110による操作が行われた場合、その操作に応じて、次の医用画像データとして、領域123の左側には第3医用画像データ群144Cが表示され、領域123の右側には第2医用画像データ群142Cが表示される。
上述したように、第4の実施形態によれば、画像生成機能153は、複数の畳み込み画像データ143A~143Cのうちの少なくとも1つの畳み込み画像データ(畳み込み画像データ143A)が指定された場合、複数の第1医用画像データ141A~141Cのうち、指定された畳み込み画像データ143Aに対応する第1医用画像データ141Aから、第2スライス厚の第3医用画像データ群144A~144Gを生成する。そして、表示制御機能154は、第3医用画像データ群144A~144Gと、指定された畳み込み画像データ143Aを構成する第2医用画像データ群142A~142Gと、をそれぞれ対応付けて表示する領域123をディスプレイ120に表示させる。従って、第4の実施形態に係る医用画像処理装置100は、前回検査時から推測される第2スライス厚の第3医用画像データ群144A~144Gと、今回検査時における第2スライス厚の第2医用画像データ群142A~142Gとを比較し易くすることができ、読影の効率を向上させることができる。
ここで、第4の実施形態において、画像生成機能153は、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれに対して、第2スライス厚の第3医用画像データ群を生成してもよい。この場合、表示制御機能154は、複数の第1医用画像データ141A~141Cのそれぞれに対して生成された第3医用画像データ群と、複数の畳み込み画像データ143A~143Cのそれぞれを構成する第2医用画像データ群と、を対応付けて表示する領域をディスプレイ120に表示させる。
また、上述した第1~第4の実施形態では、医用画像処理装置100が各種処理を実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、サーバ装置300において各種処理が実行される場合であってもよい。この場合、サーバ装置300が、処理回路150と同様の処理回路を有し、上述した処理を実行する。
また、各実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、各実施形態で説明した表示方法は、予め用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上、説明したとおり、各実施形態によれば、読影の効率を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。