JP7104394B2 - 炎症性疾患又は虚血性疾患の改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は、炎症性腸疾患、炎症性関節炎、全身性エリテマトーデスなどの炎症性疾患、虚血性疾患の病態を改善するための医薬に関する。
クローン病や潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患(IBD)は、大腸及び小腸に慢性の炎症や潰瘍を引きおこす疾患である。その治療法としては、サラゾスルファピリミジン、メサラジン、副腎皮質ステロイド、抗TNFα抗体等、免疫抑制剤の投与が主に採用されている。関節リウマチなどの炎症性関節炎は、慢性の関節炎により関節の疼痛や破壊、その結果機能障害をきたす疾患である。その治療法としては、副腎皮質ステロイド、抗TNFα抗体等、免疫抑制剤の投与が主に用いられている。全身性エリテマトーデスは腎臓、中枢神経、肺、皮膚など全身の様々な臓器に炎症きたす自己免疫疾患である。治療には副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤の投与が用いられているが、根治療法はなく寛解と増悪を繰り返し慢性の経過をたどる。
また、虚血性疾患としては、脳梗塞、一過性脳虚血発作等の虚血性脳血管障害、及び狭心症、心筋梗塞等の虚血性心疾患がある。両者ともに、発症初期、すなわち急性期の治療が極めて重要であり、例えば脳梗塞巣の拡大をいかに防止するかが生死あるいは後遺症防止の点から重要である。これらの急性期の治療には、経静脈的血栓溶解療法等が行なわれている。
しかしながら、炎症性腸疾患、炎症性関節炎、全身性エリテマトーデスなどの炎症性疾患、虚血性疾患の急性期における治療手段は、未だ十分でなく、新たな治療手段の開発が望まれている。
一方、Mucosal associated invariant T(MAIT)細胞は、自然リンパ球の一種であり、ヒトのCD4陰性CD8陰性のT細胞を解析する中で、iNKT細胞とともにインバリアント鎖(Vα7.2iTCR)をもつT細胞として報告された。その後、マウスホモログであるVα19iT細胞が腸管粘膜固有層やパイエル板に多く存在することから、MAIT細胞とされた。MAIT細胞の抗原提示分子であるMR1分子に結合したリボフラビンの前駆体を抗原として認識することが知られている。また、Kjer-Nielsen Lらにより、リボフラビン合成の中間代謝物が抗原としてMAIT細胞を活性化することが報告されている(非特許文献1、特許文献1)。また、本発明者は、潰瘍性大腸炎患者の腸管組織において、MAIT細胞が増加していること、全身性エリテマトーデス患者において、MAIT細胞の活性化状態が疾患活動性と関連していることを報告した(非特許文献2、3)。
US2015/0166542A1
Nature 2012 Vol 29: 491(7426): 717-723 J. Gastroenterology and Hepatology, 31(2016): 965-972 Arthritis Res Ther. 19 (2017):58
前述の如く、炎症性腸疾患、炎症性関節炎、全身性エリテマトーデスなどの炎症性疾患及び虚血性疾患の急性期における新たな治療手段の開発が望まれており、本発明はこれらの疾患の新たな改善剤を提供することを課題とする。
そこで本発明者は、MAIT細胞の機能と種々の疾患との関係について検討してきたところ、MAIT細胞機能を活性化する成分ではなく、MAIT細胞機能を抑制する成分が、炎症性疾患を改善し、また虚血性疾患の急性期の症状を改善することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔3〕を提供するものである。
〔1〕MAIT細胞機能抑制剤を有効成分とする炎症性疾患改善剤又は虚血性疾患急性期の改善剤。
〔2〕炎症性腸疾患、炎症性関節炎、全身性エリテマトーデス又は虚血性疾患急性期の改善剤である〔1〕記載の改善剤。
〔3〕MAIT細胞機能抑制剤が、次の一般式(1)
Figure 0007104394000001
(式中、R1は炭素数1~12の炭化水素基を示し、R2は炭素数1~12の炭化水素基、ホルミル基又はアルカノイル基を示す)
で表されるプテリジン誘導体又はその塩である〔1〕又は〔2〕記載の改善剤。
本発明によれば、炎症性疾患の病態の改善剤及び脳梗塞に代表される虚血性疾患の急性期の改善剤が提供できる。
MR1リガンド作用後のMAIT細胞上の活性化マーカー(CD69)の発現レベルを示す。 MR1リガンド投与マウスにおけるMAIT細胞上の活性化マーカー(CD69)の発現レベルを示す。 MAIT細胞の欠損によりオキサゾロン腸炎が軽症化したことを示す。 MR1リガンド(MR1L-I)投与によりオキサゾロン腸炎の臨床所見が軽症化したことを示す。 MAIT細胞の欠損により脳梗塞体積が減少したことを示す。 MAIT細胞の欠損により梗塞巣におけるマイクログリアが減少したことを示す。 化合物(1-c)投与による脳梗塞巣の体積減少を示す。 MAIT細胞の欠損により関節炎が軽症化したことを示す。 MAIT細胞の欠損により全身性エリテマトーデスモデルマウスの生存率が改善し、抗dsDNA抗体価が低下したことを示す。
本発明の改善剤の有効成分は、MAIT細胞機能抑制剤である。MAIT細胞機能抑制剤としては、MAIT細胞の抗原提示分子であるMR1に結合し、MAIT細胞の活性化を抑制する成分が挙げられる。ここで、MAIT細胞の活性化の有無は、CD69の発現の増幅により確認することができるので、MAIT細胞機能抑制剤としては、MAIT細胞によるCD69の発現を抑制する成分であるのが好ましい。
MAIT細胞機能抑制剤の具体例としては、例えば、次の一般式(1)
Figure 0007104394000002
(式中、R1は炭素数1~12の炭化水素基を示し、R2は炭素数1~12の炭化水素基、ホルミル基又はアルカノイル基を示す)
で表されるプテリジン誘導体又はその塩が挙げられる。
一般式(1)中、R1で示される炭素数1~12の炭化水素基としては、炭素数1~12のアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数2~12のアルキニル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数6~12のアリール基等が挙げられる。このうち、炭素数1~12のアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数2~12のアルキニル基、炭素数3~12のシクロアルキル基が好ましく、炭素数1~12のアルキル基がより好ましい。ここで、アルキル、アルケニル又はアルキニルは、直鎖及び分岐鎖のいずれでもよい。さらには、R1としては炭素数1~6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基等がさらに好ましい。
2は、炭素数1~12の炭化水素基、ホルミル基又はアルカノイル基を示す。炭素数1~12の炭化水素基としては、前記R1と同様に炭素数1~12のアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数2~12のアルキニル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数6~12のアリール基が挙げられる。R2の好ましい炭化水素の例もR1の場合と同様である。
アルカノイル基としては、炭素数2~12のアルカノイル基が挙げられ、炭素数2~6のアルカノイル基が好ましい。具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基等が挙げられる。
式(1)のプテリジン誘導体の塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の鉱酸塩、酢酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
式(1)のプテリジン誘導体は、例えば、次の反応式に従って製造できる。
Figure 0007104394000003
(式中、Xはヒドロキシ基又は活性エステル残基を示し、R1及びR2は前記と同じ)
すなわち、式(2)の2-アミノプテリジン-3-オン類に脂肪酸又はその活性エステル類を反応させることにより、式(1)のプテリジン誘導体が得られる。
脂肪酸の活性エステル類としては、酸無水物、N-ヒドロキシスクシンイミドによるエステル等が挙げられる。反応は、塩基の存在下に0℃~150℃で1~30時間反応させればよい。塩基としては、亜硫酸ナトリウム、ピリジン等が挙げられる。
また、R2がホルミル基である化合物(1)は、上記反応の他、次の反応式に従って製造することもできる。
Figure 0007104394000004
(式中、R1は前記と同じ)
すなわち、前記の反応で得られる式(4)の化合物を酸化することにより、式(5)のホルミル体が得られる。
酸化剤としては、二酸化セレン等が用いられる。酸化反応は、酢酸等の溶媒中で二酸化セレンを室温~100℃で1~10時間反応させればよい。
活性化タイプのリガンドであるメチル-8-D-リビチルルマジン(Methyl-8-D-ribityllumazine)刺激によりMAIT細胞上の活性化マーカーであるCD69の発現が増幅する。これに対し、一般式(1)の化合物ではCD69の発現は認められなかった。また、前記活性化リガンドと一般式(1)の化合物と同時に作用させると、活性化リガンドによるMAIT細胞の活性化が抑制される。これらの一般式(1)の化合物の作用はインビボでも確認された。従って、一般式(1)の化合物は、MAIT細胞機能抑制剤である。
後記実施例に示すように、MAIT細胞機能抑制剤は、炎症性腸疾患の腸炎症状を改善する作用を有し、また脳梗塞に代表される虚血性疾患の急性期における病巣の拡大が抑制される。従って、MAIT細胞機能抑制剤は、炎症性疾患改善剤又は虚血性疾患急性期改善剤として有用である。
炎症性疾患としては、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患、関節リウマチや強直性脊椎炎などの炎症性関節炎、全身性エリテマトーデスが挙げられる。また虚血性疾患としては、脳梗塞、一過性脳虚血発作等の虚血性脳血管障害、狭心症、心筋梗塞等の虚血性心疾患が挙げられる。ここで急性期とは、虚血性疾患発症から1~2週間以内をいう。また、炎症性腸疾患の病態の改善には、腹痛、下痢、体重減少、発熱、血便、粘血便、血性下痢等の改善、内視鏡所見による潰瘍、びらん、出血、隆起性病変などの改善が挙げられる。炎症性関節炎の病態の改善には、疼痛関節および腫脹関節の減少、血液検査による炎症所見の改善、エコーやMRI検査を用いた滑膜炎症の改善が挙げられる。全身性エリテマトーデスの病態改善には、関節炎や発熱などの症状の改善、抗dsDNA抗体価の減少、血球減少や補体減少などの血液検査の改善、蛋白尿の改善などが挙げられる。虚血性疾患の急性期の症状の改善には、梗塞部位の拡大防止作用が挙げられる。
MAIT細胞機能抑制剤は、経口又は非経口的に投与することができる。MAIT細胞機能抑制剤は、薬学的に許容される担体と組み合わせることによって薬学組成物とすることができる。薬学的に許容される担体として、賦形剤、結合剤、緩衝剤、増粘剤、安定化剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等の公知のものを使用することができ、通常の方法により製剤化することができる。
経口投与用製剤としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられる。
この経口投与用製剤は製剤分野において通常用いられる添加剤を配合し、公知の方法に従って製造することができる。このような添加剤としては、例えば乳糖、マンニトール、無水リン酸水素カルシウム等の賦形剤;ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤;でんぷん、カルボキシメチルセルロース等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤等が挙げられる。非経口的には、注射剤、直腸投与製剤、局所投与剤等として投与することができ、なかでも注射剤が好ましい。
注射剤としては、例えば無菌の溶液又は懸濁液等が挙げられる。これらの注射剤は、例えば本発明化合物又はその薬学的に許容しうる塩を日局注射用水に溶解又は懸濁することにより製造される。必要により塩化ナトリウム等の等張化剤;リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム等の緩衝剤;溶解補助剤等を配合してもよい。また、用時溶解型(粉末充填、凍結乾燥)の注射剤とすることができ、この場合、マンニトール、乳糖等の賦形剤を添加して、通常の方法で製造することができる。
直腸投与製剤としては坐剤等が挙げられる。坐剤は例えばMAIT細胞機能抑制剤をカカオ脂、マクロゴール等の基剤に溶解又は懸濁した後、鋳型に注いで成形して製造される。また、液又はクリームを注入用の容器に入れ、直腸投与製剤とすることもできる。
局所投与製剤は液剤、点眼剤、クリーム、軟膏、ゲル製剤、スプレー剤、粉剤等が挙げられる。液剤は、本発明化合物又はその薬学的に許容しうる塩を水に加え、安定化剤、溶解剤、増粘剤、分散剤、懸濁化剤等を必要に応じて加えて製造することができる。この増粘剤としては、ゼラチン、ヒアルロン酸ナトリウム、高分子デキストラン、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等を用いることができる。点眼剤は、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤のほかに防腐剤を加えて製造することができる。クリーム及び軟膏は、水性又は油性の基剤、例えば水、流動パラフィン、植物油(ピーナッツ油、ひまし油等)、マクロゴール等を用いて製造することができる。ゲル製剤は、公知の方法により、ゼラチン、ペクチン、カラゲナン、寒天、トラガント、アルギン酸塩、セルロースエーテル(メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース等)、ペクチン誘導体、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン等を用いて製造することができる。スプレー剤は本発明化合物又はその薬学的に許容しうる塩を水等に溶解又は懸濁した後、スプレー容器に入れて製造することができる。粉剤とする場合は、本発明化合物又はその薬学的に許容しうる塩をそのまま使用することもできるが、適当な賦形剤と混合して製造することができる。
MAIT細胞機能抑制剤の投与量は対象とする疾患や症状、投与対象の年齢、体重、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。通常、経口投与の場合、成人(体重約60kg)1日当たりのMAIT細胞機能抑制剤の投与量は、1~3000mg、好ましくは1~800mg、さらに好ましくは1~500mgであり、これを1回で、あるいは2~4回に分けて投与する。また、静脈内投与される場合は、通常、成人1日の投与量は体重1kgあたり0.1~50mg、好ましくは0.1~30mg、より好ましくは0.1~20mgであり、1日1回~複数回に分けて投与する。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
参考例1(一般式(1)の化合物の製造)
(1)2-アミノ-6-メチルプテリジン-4(3H)-オン(1-a)の合成
Figure 0007104394000005
3,5,6-トリアミノ-4-ヒドロキシピリミジン(8g)と水(800mL)の懸濁液に亜硫酸ナトリウム(96.0g)を加えて撹拌した。
混合物が透明溶液になった時点で0~5℃に冷却した。2-オキソプロパナール(8g)の30%水溶液及び亜硫酸水素ナトリウム(3.8g)及び水(80mL)の溶液を40分かけて滴下し、5℃に保持した。混合物を室温で1晩撹拌した。黄色の固体を濾過で採取し、水、エタノールで洗浄し、減圧下に蒸発乾固し、黄色個体として2-アミノ-6-メチルプテリジン-4(3H)-オン(1-a)を4.72g(収率80%)得た。
1H NMR(300MHz,DMSO-d6):δ2.57(s,3H),8.52-8.51(br s,2H),8.68(s,1H).
(2)N-(6-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロプテリジン-2-イル)イソブチルアミド(1-b)の合成
Figure 0007104394000006
化合物(1-a)(4.71g)のイソ酪酸(100mL)溶液にイソ酪酸無水物(10mL)及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)(0.5g)を加え、80℃で2時間撹拌し、透明溶液を濾過した。濾液を室温まで冷却し、3時間放置した。結晶を採取し、酢酸エチルで洗浄し、蒸発乾固し、化合物(1-b)(4.08g、収率62%)を赤色固体として得た。
1H NMR(300MHz,DMSO-d6):δ1.12(d,J=6.9Hz,6H),2.59(s,3H),2.80-2.71(m,1H),8.78(s,1H),11.86(s,1H),12.28(s,1H).
(3)N-(6-ホルミル-4-オキソ-3,4-ジヒドロプテリジン-2-イル)イソブチルアミド(1-c)の合成
Figure 0007104394000007
化合物(1-b)(2.0g)の酢酸(50mL)溶液に二酸化セレン(0.9g)を加え、室温で3時間撹拌した。さらに、二酸化セレン(0.9g)を添加し、100℃に加熱し、4時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濾過した。得られた固体を酢酸で洗浄し、濾液を濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解した。混合物を濾過し、濾液を濃縮して2.2gの固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH 250:1)で精製し黄色個体を得、さらに粉砕及び凍結乾燥して360mgの化合物(1-c)を得た。
1H NMR(300MHz,DMSO-d6):δ1.13(d,J=6.6Hz,6H),2.82-2.75(m,1H),9.27(s,1H),10.07(s,1H),12.17(br s,1H),12.42(br s,1H).
LCMS[mobile phase:from 95% water(0.1%TFA)and 5% CH3CN to 5% water(0.1% TFA)and 95% CH3CN in 6.5min],purity is >98%,Rt=2.543min;MS Calcd.:261;MS Found:262(M+1)+.
実施例1
(方法)
MAIT細胞T細胞受容体(TRAV1.2-TRAJ33,TRBV13.2)遺伝子を導入したJurkat細胞にMR1リガンドを0、1、10μMの濃度で添加し、24時間後のJurkat細胞上の活性化マーカー(CD69)の発現量をフローサイトメーター法により評価した。
(結果)
得られた結果を図1に示す。図1より、活性化タイプのリガンド(メチル-8-D-リビチルルマジン:以下及び図にはMR1L-Aと記載する)刺激によりMAIT細胞上の活性化マーカー(CD69)の発現が増幅したが、化合物(1-c)ではCD69の発現は認めなかった。MR1L-Aと化合物(1-c)(以下及び図にはMR1L-Iと記載する)を同時に作用させると、MR1L-AによるMAIT細胞の活性化が抑制された。
実施例2
(方法)
Vα19T細胞受容体トランスジェニックマウスにMR1L-I(化合物(1-c))を25mg/kgで経胃投与し、その6時間後にMR1L-Aを5mg/kg経胃投与した。16時間後に肝臓および脾臓におけるNK1.1陽性T細胞(MAIT細胞を多く含む細胞群)における活性化マーカーの発現をフロサイトメトリー法により評価した。
(結果)
結果を図2に示す。図2よりMR1L-Aの投与によりMAIT細胞は活性化したが、化合物(1-c)を前投与するとMR1L-Aによる活性化が抑制された。
実施例3
(方法)
MR1KOマウスおよび野生型マウスの皮膚に3%オキサゾロン溶液を150μl塗布し、その5日後に1%オキサゾロン溶液200μlを大腸に注入し腸炎を誘導した。連日臨床所見(生存率、体重、便性状)を観察し、4日後に安楽死させたマウスから大腸を採取し、病理組織的解析を行った。
(結果)
結果を図3に示す。図3より、MAIT細胞が存在しないMR1KOマウスでは野生型(WT)マウスに比較して、オキサゾロン腸炎の臨床所見および病理所見の改善を認めた。
実施例4
(方法)
C57BL/6マウスの皮膚に3%オキサゾロン溶液を150μl塗布し、その5日後に0.2%オキサゾロン溶液200μlを大腸に注入して腸炎を誘導した。腸炎誘導からMR1L-I(化合物(1-c))20mg/kgの経胃的投与を隔日、計4回行った。臨床所見(生存率、体重、便性状)を観察し、注腸4日後に安楽死させたマウスから大腸を採取し、病理組織的解析を行った。
(結果)
結果を図4に示す。図4より、オキサゾロン腸炎誘導時より化合物(1-c)を経胃的投与を隔日行い、腸炎症状への効果を検証した。その結果化合物(1-c)投与により腸炎の臨床学的所見の軽症化が確認された。
実施例5
(方法)
MR1KOマウスおよび野生型マウスの中大脳動脈を1時間閉塞し、再灌流24時間後に安楽死させたマウスから脳を採取し、梗塞巣の体積について比較を行った。梗塞巣におけるIba-1陽性ミクログリア細胞の評価を行った。
(結果)
結果を図5及び図6に示す。図5より、MAIT細胞を欠損するMR1KOマウスおよび野生型マウスに脳梗塞を施したところ、MR1KOマウスにおける梗塞巣が野生型マウスに比較し縮小した。図6より、MAIT細胞欠損マウスでは、梗塞巣周囲における炎症性グリアの活性化が抑制された。
実施例6
(方法)
野生型マウスの中大脳動脈を1時間閉塞し、再灌流直後にMR1-L(化合物(1-c))15mg/kgを経静脈的に投与した。24時間後に安楽死させたマウスから脳を採取し、梗塞巣の体積の評価を行った。
(結果)
結果を図7に示す。図7より、化合物(1-c)投与により脳梗塞巣(24時間)の体積が減少した。
実施例7
(方法)
II型コラーゲン150μgとフロイントアジュバントと混和して作成したエマルジョンをMR1KODBA/1Jマウスおよび野生型DBA/1Jマウスの皮内に2回免疫し、コラーゲン誘導関節炎を惹起した。MR1KOマウスおよび野生型マウスに抗II型コラーゲン抗体を経静脈的に投与し、コラーゲン抗体誘導関節炎を惹起した。関節炎症状を評価し重症度をスコア化した。
(結果)
結果を図8に示す。図8より、MR1欠損によりコラーゲン誘導関節炎および抗体誘導関節炎の軽症化が確認された。
実施例8
(方法)
全身性エリテマトーデスの自然発症マウスモデルであるFcγRII-/-YaaマウスをMR1欠損マウスと交配し、MR1KOFcγRII-/-YaaマウスとFcγRII-/-Yaaマウスにおける生存率と血清抗dsDNA抗体価を比較した。
(結果)
結果を図9に示す。図9より、MR1欠損によりループスモデルにおける生存率の改善、血清抗dsDNA抗体価の減少を認めた。

Claims (2)

  1. 次の一般式(1)
    Figure 0007104394000008
    (式中、R 1 は炭素数1~6のアルキル基を示し、R 2 はホルミル基を示す)
    で表されるプテリジン誘導体又はその塩を有効成分とする炎症性疾患改善剤又は虚血性疾患急性期改善剤。
  2. 炎症性腸疾患、炎症性関節炎、全身性エリテマトーデス又は虚血性疾患急性期の改善剤である請求項1記載の改善剤。
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