JP7100849B2 - 酸素ラジカル活性化水溶液および農作物の生産方法 - Google Patents

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Description

本明細書の技術分野は、酸素ラジカル活性化水溶液および農作物の生産方法に関する。
プラズマ技術は、電気、化学、材料の各分野に応用されている。プラズマの内部では、電子やイオン等の荷電粒子の他に、原子や分子等の中性粒子や紫外線が発生する。これらプラズマの内部で発生する生成物のうち、不対電子を有する粒子(原子、分子、イオンを含む)のことをラジカルという。このような紫外線やラジカルには、殺菌効果があることが知られている。
例えば、特許文献1には、培養液に大気圧プラズマを照射することによりプラズマ殺菌水溶液が開示されている(特許文献1の請求項1等参照)。プラズマ殺菌水溶液は、大腸菌等の菌類を殺菌することができる(特許文献1の図6-8等参照)。
特開2016-150923号公報
しかし、培養液は多種類の成分を含有しており、動物細胞の培養に用いられる。そのため、このプラズマ殺菌水溶液を農作物の栽培に用いることができるか定かではない。また、このプラズマ殺菌水溶液は、酸性条件下で高い殺菌効果を奏する。また、特許文献1の段落[0076]には、NO2 - 、NO3 - 等の発生について記載されている。これらのイオンは、水溶液を酸性にする。酸性水溶液を水耕栽培等の農作物の生産に用いることは適切ではない。
本明細書の技術は、前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、ほぼ中性を呈しながらも殺菌効果を奏するとともに農作物の成長を促進する酸素ラジカル活性化水溶液および農作物の生産方法を提供することである。
第1の態様における酸素ラジカル活性化水溶液は、20mM以上80mM以下のフェニルアラニンを含有する水溶液に酸素ラジカルを照射したものである。
この酸素ラジカル活性化水溶液は、ほぼ中性を呈しながらも殺菌効果を奏する。さらには、この酸素ラジカル活性化水溶液は、農作物の生長を促進する。
本明細書では、ほぼ中性を呈しながらも殺菌効果を奏するとともに農作物の成長を促進する酸素ラジカル活性化水溶液および農作物の生産方法が提供されている。
第1の実施形態におけるプラズマ発生装置の概略構成を示す図である。 第1の実施形態におけるプラズマ発生装置の照射部を示す斜視図である。 第1の実施形態におけるプラズマ発生装置の内部構造を示す図である。 第1の実施形態の変形例におけるプラズマ発生装置の概略構成を示す図である。 照射距離と三重項酸素原子の密度との関係を示すグラフである。 ラジカルの照射距離とラジカル密度との関係を示すグラフである。 酸素の含有率とラジカル密度との関係を示すグラフである。 超純水に酸素ラジカルを照射した場合のpHの変化量を示すグラフである。 リン酸緩衝液に酸素ラジカルを照射した場合のpHの変化量を示すグラフである。 酸素ラジカルの直接照射法を説明するための図である。 酸素ラジカルの間接照射法を説明するための図である。 大腸菌の生菌数の測定方法を説明するための図である。 フェニルアラニン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 フェニルアラニン溶液に対してArガスを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 フェニルアラニン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合における酸素ラジカル活性化溶液の寿命を示すグラフである。 トリプトファン溶液に対して酸素ラジカルを直接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 トリプトファン溶液に対してArガスを直接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 トリプトファン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 トリプトファン溶液に対してArガスを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 トリプトファン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合における酸素ラジカル活性化溶液の寿命を示すグラフである。 フェナントロリン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 フェロイン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 ベンゼン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 アラニン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 その他の有機化合物溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。 カイワレに対する酸素ラジカル活性化水溶液の成長促進効果についての実験方法を説明するための図である。 リン酸緩衝液のリン酸の濃度とカイワレの長さとの関係を示すグラフである。 フェニルアラニン溶液の濃度とカイワレの長さとの関係を示すグラフである。
以下、具体的な実施形態について、酸素ラジカル活性化水溶液とその製造方法および農作物の生産方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。
ラジカルとは、不対電子を備える中性粒子である。厳密には、三重項酸素原子は不対電子を有しない。しかし、本明細書において、酸素ラジカルは、三重項酸素原子と一重項酸素分子とを含むこととする。
(第1の実施形態)
1.酸素ラジカル活性化水溶液
本実施形態の酸素ラジカル活性化水溶液は、酸素ラジカルにより活性化された水溶液である。この酸素ラジカル活性化水溶液は、ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物を含有する水溶液に酸素ラジカルを照射したものである。この酸素ラジカル活性化水溶液では、pHが5以上8以下である。つまり、中性または弱酸性であるといえる。また、条件次第でpHは6以上8以下とすることもできる。
ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物は、例えば、アミノ酸である。ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物は、例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、リボフラビン、葉酸、フェナントロリン、フェロインである。
2.プラズマ発生装置
2-1.装置全体の構成
本実施形態の酸素ラジカル活性化水溶液とその製造方法および農作物の生産方法に用いられるプラズマ発生装置100について説明する。プラズマ発生装置100は、酸素ラジカルを発生させる装置である。図1は、プラズマ発生装置100の概略構成を示す図である。図1に示すように、プラズマ発生装置100は、チャンバー110と、載置台120と、ガス供給部130と、ガス排出部140と、プラスチックカバー150と、ラジカル照射部200と、を有している。
チャンバー110は、ラジカル照射部200を収容するとともに、大気から遮断したガスを収容するためのものである。載置台120は、プラズマを照射する対象物を載置するための台である。また、載置台120は、プラズマの照射方向に対して垂直な方向にスライドできるようになっている。そのため、プラズマ生成物を対象物に照射する際に、対象物に均等にプラズマ生成物を照射することができる。
ガス供給部130は、チャンバー110の内部にガスを供給するためのものである。ガス排出部140は、チャンバー110の内部からガスを排出するためのものである。プラスチックカバー150は、ラジカルを照射している間に、プラスチックカバー150の内部にチャンバー110の雰囲気が入るのを防止するためのものである。そのため、外部の大気の影響を排除した状態で、ラジカルを好適に対象物に照射できる。
ラジカル照射部200は、プラズマ発生領域に発生するプラズマ生成物のうちラジカルを照射するためのものである。ここで、プラズマ生成物とは、プラズマ発生領域に発生する化学種等のことをいうものとする。つまり、プラズマ生成物として、イオン、電子、ラジカル、光等が挙げられる。ラジカル照射部200は、これらのプラズマ生成物のうち酸素ラジカルを照射する。具体的には、ラジカル照射部200は、三重項酸素原子と一重項酸素分子とを照射する。また、ラジカル照射部200は、オゾンを照射することもある。なお、後述するように、ラジカル照射部200は、紫外線等の光を照射することはない。また、ラジカル照射部200は、電子やイオンを照射することもない。
図1に示すように、ラジカル照射部200は、照射口210と、プラズマガス供給部220と、電力供給部230と、ロボットアーム240と、を有している。照射口210は、ラジカルを対象物に照射するためのものである。プラズマガス供給部220は、ラジカル照射部200にプラズマガスを供給するためのものである。電力供給部230は、ラジカル照射部200の各部に電力を供給するためのものである。ロボットアーム240は、ラジカル照射部200を移動させるためのものである。
図2は、照射口210を示す斜視図である。照射口210は、2つのスリット211を有している。スリット211は、長さ16mm、幅0.5mmで開口している開口部である。スリット211から、ラジカルが照射される。照射口210は、スリット211の幅方向に移動することができるようになっている。対象物にまんべんなくラジカルを照射するためである。
2-2.ラジカル照射部
図3は、ラジカル照射部200の内部構造を示す図である。ラジカル照射部200は、照射口210の他に、放電部250と、中間構造部260と、ノズル部270と、を有している。
放電部250は、その内部にプラズマ発生領域を有している。そのため放電部250は、対向する電極対を有している。そして、その電極対の間の空間でプラズマが発生する。そのプラズマは、イオン、電子、ラジカル、紫外線等を含んでいる。
中間構造部260は、上記のプラズマから、イオンと、電子と、紫外線と、を除去する構造体である。そのため、プラズマから発生したもののうち、ラジカルを含む中性粒子がノズル部270に供給される。
ノズル部270は、ラジカルを含む中性粒子を照射口210のスリット211に送出するためのものである。つまり、本実施形態のラジカル照射部200は、対象物に、プラズマ生成物のうち中性粒子を吹き付けるものである。この中性粒子には、ラジカルとアルゴン原子とが含まれている。
3.ラジカルの照射量
3-1.面積照射量と体積照射量
ラジカルの照射量には、面積照射量と体積照射量とがある。面積照射量は、平坦面の上に配置されている対象物にラジカルを直接照射する場合に用いる。体積照射量は、液体にラジカルを照射する場合に用いる。
3-2.面積照射量の定義
ここで、ラジカルの面積照射量は、次式で表される。
AD = RD × V1 × ET × S1 / S2
AD:ラジカルの面積照射量(cm-2
RD:ラジカル密度(cm-3
V1:ラジカルの流速(m/sec)
ET:ラジカルの照射時間(sec)
S1:照射口の面積(cm2
S2:照射する領域の面積(cm2
面積照射量は、照射する領域に照射される単位面積あたりの三重項酸素原子の数である。ここで、ラジカル密度RDは、三重項酸素原子の密度である。
なお、ラジカルのフラックスは、次式で表される。
F1 = RD × V1
F1:フラックス(cm-2/sec)
3-3.体積照射量の定義
液体に供給されるラジカルの体積照射量は、次式で表される。
VD = RD × V1 × ET × S1 / C1
VD:ラジカルの体積照射量(cm-3
RD:ラジカル密度(cm-3
V1:ラジカルの流速(m/sec)
ET:ラジカルの照射時間(sec)
S1:照射口の面積(cm2
C1:液体の容積(cm3
体積照射量は、液体の容積に対して供給される三重項酸素原子の数である。ここで、ラジカル密度RDは、三重項酸素原子の密度である。
4.酸素ラジカル活性化水溶液の製造方法
本実施形態の酸素ラジカル活性化水溶液の製造方法は、水溶液に酸素ラジカルを照射する。ここで用いる水溶液は、ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物を含有する。また、酸素ラジカルを照射するために、プラズマ発生装置100を用いればよい。酸素ラジカルの照射時間は、例えば、3分以上20分以下である。
ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物は、例えば、アミノ酸である。ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物は、例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、リボフラビン、葉酸、フェナントロリン、フェロインである。
5.農作物の生産方法
5-1.水溶液準備工程
まずは水溶液を準備する。具体的には、ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物を含有する水溶液を準備する。ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物は、例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、リボフラビン、葉酸、フェナントロリン、フェロインである。
5-2.酸素ラジカル活性化水溶液製造工程
次に、プラズマ発生装置100を用いて、水溶液に酸素ラジカルを照射する。実際には、三重項酸素原子と一重項酸素分子との両方を水溶液に照射する。これにより、酸素ラジカル活性化水溶液が製造される。
5-3.栽培工程
酸素ラジカル活性化水溶液を農作物の土壌に供給する。また、農作物に直接供給してもよい。例えば、酸素ラジカル活性化水溶液を農作物に直接かけてもよいし、水耕栽培をしてもよい。酸素ラジカル活性化水溶液を供給することを除いて、従来のように農作物を栽培する。
6.本実施形態の効果
本実施形態の酸素ラジカル活性化水溶液は、中性条件下であっても殺菌効果を奏する。また、製造時に、亜硝酸イオン、硝酸イオンが水溶液に供給されるわけではない。したがって、製造時における酸素ラジカル活性化水溶液は中性である。そして、原材料の環式化合物がアミノ酸であれば、農作物を成長させる効果を有する。そのため、本実施形態の酸素ラジカル活性化水溶液は、農作物に悪影響を与えうる菌類を殺菌するとともに、農作物の成長を促進することができる。
7.変形例
7-1.酸素ラジカル
本実施形態では、三重項酸素原子と一重項酸素分子との両方を水溶液に照射する。しかし、三重項酸素原子と一重項酸素分子との少なくとも一方を水溶液に照射してもよい。また、さらにオゾンを照射することとしてもよい。
7-2.ラジカル密度
ラジカル密度は、三重項酸素原子で定義した。三重項酸素原子の代わりに、一重項酸素分子を用いてもよい。または、三重項酸素原子と一重項酸素分子との和を用いてもよい。
7-3.プラズマガス
プラズマを発生させるガスはアルゴンに限らない。その他の希ガスであってもよい。
7-4.真空紫外吸収分光法
また、プラズマ照射装置におけるプラズマ条件を、真空紫外吸収分光法を用いることによりフィードバックをかけることとするとよい。これにより、電子密度やガス温度、そしてラジカル密度を調整することができる。
図4は、プラズマ発生装置300の概略構成を示す図である。プラズマ発生装置300は、図1で説明したプラズマ発生装置100に、ラジカル等の中性粒子を測定する真空紫外吸収分光器350を付加したものである。なお、プラスチックカバー150については、図4では省略してある。また、既にプラズマ発生装置100で説明した構成については、記載を省略する。
真空紫外吸収分光器350は、真空紫外ランプ310と、MgF2 窓311と、排気口312と、光電子増倍管320と、MgF2 窓321と、排気口322と、を有している。真空紫外吸収分光器350は、真空紫外ランプ310から放出された光を、MgF2 窓311と、MgF2 窓321との間の吸収長Lで吸収させ、光電子増倍管320で検出された吸収スペクトルを解析することにより、ラジカル等の種類を特定するためのものである。そして、その吸収スペクトルの強度から、そのラジカル密度を測定することができる。
7-5.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
A.ラジカルの測定
A-1.測定装置
酸素ラジカル活性化水溶液の殺菌効果を説明する前に、プラズマ発生装置100とそのプラズマ発生装置100から照射されるラジカルとの関係について説明する。ラジカルの測定のために、プラズマ発生装置300を用いた。
A-2.プラズマの条件
ここで、実験で用いた条件について説明する。表1に示すように、放電部250のプラズマ発生領域で発生したプラズマの密度は、2×1016cm-3であった。そして、照射距離、すなわち、照射口211から対象物までの距離を10mmとした。そして、その照射距離における三重項酸素原子の密度は、2.25×1014cm-3であった。また、その照射距離におけるラジカルの流速は、10.4m/sであった。
プラズマガスとして、Arと酸素ガスとの混合ガスを用いた。このプラズマガスにおけるガスの総流量は、5.0slmであった。プラズマガスに含まれるO2 の含有率は、0.6%であった。なお、雰囲気ガスとしてArガスを供給した。そのため、ラジカルは、酸素原子を含むもののみ生成される。ただし、Arガス等を除く。例えば、窒素原子を含むものは生成されない。すなわち、発生するラジカルは、三重項酸素原子ラジカル(O(3 Pj ))および一重項酸素分子ラジカル(O2 (1 Δg ))である。また、オゾンが発生することもある。
[表1]
プラズマ密度(発生領域) 2×1016cm-3
照射距離 10mm
三重項酸素原子の密度(照射領域) 2.25×1014cm-3
流速(照射領域) 10.4m/s
プラズマガス Ar+O2
総流量 5.0/min
O2 の含有率 0.6%
雰囲気ガス Arガス
A-3.実験結果
図5は、スリット211から対象物までの照射距離と、三重項酸素原子の密度との関係を示すグラフである。図5に示すように、三重項酸素原子の密度は、照射距離が離れるにつれて、指数関数的に減少する。そして、スリット211から対象物までの照射距離が10mmのとき、三重項酸素原子の密度は、2.25×1014cm-3である。
図6は、ラジカルの照射距離と、ラジカル密度との関係を示すグラフである。図6の横軸は、ラジカルの照射距離である。図6の縦軸の一方は、ラジカル密度である。図6の縦軸の他方は、D値である。D値については、後述する。三重項酸素原子の密度は、ラジカルの照射距離が大きくなるほど、指数関数的に減少する。一方、一重項酸素分子の密度は、ラジカルの照射距離が大きくなってもほぼ一定で変わらない。
図7は、表1のプラズマガスにおけるO2 の含有率とラジカル密度との関係を示すグラフである。図7の横軸は、プラズマガスにおける酸素濃度である。図7の縦軸の一方は、ラジカル密度である。図7の縦軸の他方は、D値である。D値については、後述する。図7に示すように、酸素濃度が0.6%の付近で三重項酸素原子の濃度が最も高い。そのため、表1に示すように、酸素濃度を0.6%程度とすると、三重項酸素原子の密度が高い中性粒子を対象物に照射することができる。また、三重項酸素原子の濃度が高いほど、D値は低い。
ここで、D値とは、プラズマを照射し続けることにより、菌数が初期の10%以下となる時間を表したものである。この値が小さいほど、殺菌効果が強い。図6において、三重項酸素原子の密度が高いほど、D値は小さいという傾向が見られる。このように、菌類の殺菌効果は、三重項酸素原子に由来すると考えられる。図7に示すように、三重項酸素原子の密度が高いほど、D値は小さい。すなわち、殺菌効果は高い。なお、図7におけるD値は、出芽酵母についての値である。
B.酸素ラジカルとpH
B-1.測定方法
プラズマ発生装置100を用い、実験Aと同様のプラズマ条件で実験した。酸素ラジカルを照射する対象物として、超純水とリン酸緩衝液(PB)を用いた。
B-2.実験結果
図8は、超純水に酸素ラジカルを照射した場合のpHの変化量を示すグラフである。図8の横軸は酸素ラジカルの照射時間である。図8の縦軸はpHである。図8に示すように、酸素ラジカルの照射時間が長いほど超純水のpHは小さくなる。およそ30秒以上の酸素ラジカルの照射により、pHは6以下になる。
図9は、リン酸緩衝液(PB)に酸素ラジカルを照射した場合のpHの変化量を示すグラフである。図9の横軸は酸素ラジカルの照射時間である。図9の縦軸はpHである。図9に示すように、酸素ラジカルを照射しても、リン酸緩衝液のpHは6.3でほぼ一定であった。
C.殺菌効果
C-1.実験方法
プラズマ発生装置100を用いて、大腸菌の懸濁液に酸素ラジカルを直接照射または間接照射した。プラズマの条件は、実験Aと同様である。また、酸素ラジカルを照射する原材料を表2にまとめた。
[表2]
原材料の化合物 種類 有機構造
フェニルアラニン アミノ酸 ベンゼン環
トリプトファン アミノ酸 ベンゼン環、ピロール環
フェナントロリン - ベンゼン環、ピリジン環
フェロイン - ベンゼン環、ピリジン環
ベンゼン - ベンゼン環
チロシン アミノ酸 ベンゼン環
リボフラビン ビタミン ベンゼン環、プテリジン環
葉酸 ビタミン ベンゼン環、プテリジン環
アラニン アミノ酸 -
C-1-1.直接照射法
図10は、酸素ラジカルの直接照射法を説明するための図である。まず、シャーレに大腸菌の懸濁液0.3mLと表2の原材料を含む溶液2.7mLとを混合して混合溶液を作製する。次に、シャーレの混合溶液に向かって酸素ラジカルを照射する。
C-1-2.間接照射法
図11は、酸素ラジカルの間接照射法を説明するための図である。まず、シャーレに表2の原材料を含む溶液3mLを入れる。次に、この溶液に酸素ラジカルを照射する。次に、酸素ラジカルを照射した溶液に大腸菌の懸濁液を混入する。そして、この混合溶液を数時間振とうさせる。この方法では、大腸菌の懸濁液に酸素ラジカルを直接照射するわけではない。
C-1-3.生菌数の測定方法
図12は、生菌数の測定方法を説明するための図である。まず、酸素ラジカルを処理した混合溶液に対して10倍希釈を4回繰り返す。そして、その希釈液を0.1mLの普通寒天培地(NA培地)に滴下する。コンラージ棒を用いて培地全体に大腸菌を広げる。その後、インキュベーターを用いて37℃で大腸菌を24時間培養する。その後、コロニーカウント法を用いて生菌数を測定する。この方法における検出限界は10個である。そのため、各グラフにおいて、生菌数が10個である場合には、大腸菌は死滅していると考えて差支えない。
C-2.実験結果
酸素ラジカル等を照射する溶液として、表2の原材料とリン酸緩衝液(PB)との混合溶液を用いた。そのため、pHは6.3であった。
C-2-1.フェニルアラニン
図13は、フェニルアラニン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図13の横軸は、酸素ラジカルを照射した溶液を大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間である。図13の縦軸は大腸菌の生菌数である。フェニルアラニンの濃度は80mMであった。フェニルアラニン溶液の体積は3mLであった。このときの気温は23.9℃であった。湿度は42.2%であった。
図13に示すように、酸素ラジカルを照射したものは、時間の経過とともに大腸菌の生菌数が減少している。また、酸素ラジカルの照射時間が15分のサンプルの生菌数が、酸素ラジカルの照射時間が10分のサンプルの生菌数に比べて早く減少している。照射時間が15分のサンプルでは、20時間程度の経過時間で大腸菌がほぼ死滅している。照射時間が10分のサンプルでは、70時間程度の経過時間で大腸菌がほぼ死滅している。このように、大腸菌は、酸素ラジカル活性化水溶液を供給することにより死滅した。
図14は、フェニルアラニン溶液に対してArガスを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図14の横軸は、Arガスを照射した溶液を大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間である。図14の縦軸は大腸菌の生菌数である。フェニルアラニンの濃度は80mMである。フェニルアラニン溶液の体積は3mLであった。このときの気温は23.9℃であった。湿度は42.2%であった。
図14に示すように、単なるアルゴンガスをフェニルアラニン溶液に照射しただけの溶液は、大腸菌を死滅させることが出来なかった。
図15は、フェニルアラニン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合における酸素ラジカル活性化溶液の寿命を示すグラフである。図15の横軸は、酸素ラジカルを照射した溶液を大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間である。図15の縦軸は大腸菌の生菌数である。フェニルアラニンの濃度は80mMであった。フェニルアラニン溶液の体積は3mLであった。
図15に示すように、製造後0日経過後のフェニルアラニン活性化水溶液は、強い殺菌作用を示した。製造後7日経過後のフェニルアラニン活性化水溶液は、ある程度の殺菌作用を示した。製造後14日経過後のフェニルアラニン活性化水溶液は、ほとんど殺菌作用を示さなかった。ここで、例えば、「製造後7日経過後」とは、フェニルアラニン溶液に酸素ラジカルを照射してから7日経過したフェニルアラニン活性化溶液を示している。つまり、酸素ラジカルの照射から大腸菌の懸濁液との混合までに、フェニルアラニン活性化水溶液を7日間放置した場合を示している。
C-2-2.トリプトファン
図16は、トリプトファン溶液に対して酸素ラジカルを直接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図16の横軸は、トリプトファン溶液と大腸菌の懸濁液との混合溶液への酸素ラジカルの照射時間である。図16の縦軸は大腸菌の生菌数である。トリプトファン溶液の濃度は1mMであった。混合溶液の体積は3mLであった。このときの温度は24.3℃であった。湿度は40.7%であった。
図16に示すように、トリプトファン溶液と大腸菌の懸濁液との混合溶液に酸素ラジカルを照射し始めてから3分程度で大腸菌のほとんどは死滅した。5分以上の酸素ラジカルの照射により、大腸菌はほとんど死滅した。
図17は、トリプトファン溶液に対してArガスを直接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図17の横軸は、トリプトファン溶液と大腸菌の懸濁液との混合溶液へのアルゴンガスの照射時間である。図17の縦軸は大腸菌の生菌数である。トリプトファンの濃度は1mMであった。混合溶液の体積は3mLであった。このときの温度は24.4℃であった。湿度は70.7%であった。
図17に示すように、トリプトファン溶液と大腸菌の懸濁液との混合溶液に酸素ラジカルを照射しても、殺菌効果は得られなかった。
図18は、トリプトファン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図18の横軸は、酸素ラジカルを照射した溶液を大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間である。図18の縦軸は大腸菌の生菌数である。トリプトファン溶液の濃度は1mMであった。トリプトファン溶液の体積は3mLであった。
図18に示すように、トリプトファン溶液に酸素ラジカルを照射した活性化水溶液は殺菌効果を示した。酸素ラジカルを10分間照射した活性化水溶液は、大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間が10時間程度で大腸菌を殺菌した。酸素ラジカルを5分間照射した活性化水溶液は、大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間が20時間程度で大腸菌を殺菌した。
図19は、トリプトファン溶液に対してArガスを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図19の横軸は、Arガスを照射した溶液を大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間である。図19の縦軸は大腸菌の生菌数である。トリプトファン溶液の濃度は1mMであった。トリプトファン溶液の体積は3mLであった。
図19に示すように、トリプトファン溶液にArガスを照射して、その照射した溶液と大腸菌の懸濁液とを混合しても、殺菌効果は得られなかった。
図20は、トリプトファン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合における酸素ラジカル活性化溶液の寿命を示すグラフである。図20の横軸は、酸素ラジカルを照射した溶液を大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間である。図20の縦軸は大腸菌の生菌数である。トリプトファン溶液の濃度は50mMであった。トリプトファン溶液の体積は3mLであった。
図20に示すように、トリプトファン溶液に酸素ラジカルを照射してから0日経過後の酸素ラジカル活性化水溶液は、10時間程度の処理時間で大腸菌を殺菌した。トリプトファン溶液に酸素ラジカルを照射してから7日経過後の酸素ラジカル活性化水溶液は、50時間程度の処理時間で大腸菌を殺菌した。
C-2-3.フェナントロリン
図21は、フェナントロリン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図21の横軸は、フェナントロリン溶液に酸素ラジカルを照射してから大腸菌の懸濁液と混合し、振とうを開始してからの経過時間である。図21の縦軸は大腸菌の生菌数である。1,10フェナントロリン溶液の濃度は1.5mMであった。1,10フェナントロリン溶液の体積は3mLであった。
図21に示すように、1,10フェナントロリンに酸素ラジカルを10分間照射した活性化水溶液は、24時間程度の経過時間で大腸菌をほぼ死滅させた。1,10フェナントロリンに酸素ラジカルを5分間照射した活性化水溶液は、36時間程度の経過時間で大腸菌をほぼ死滅させた。
C-2-4.フェロイン
図22は、フェロイン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図22の横軸は、フェロイン溶液に酸素ラジカルを照射してから大腸菌の懸濁液と混合し、振とうを開始してからの経過時間である。図22の縦軸は大腸菌の生菌数である。フェロイン溶液の濃度は0.5mMであった。フェロイン溶液の体積は3mLであった。
図22に示すように、フェロイン溶液に酸素ラジカルを照射した活性化水溶液は、殺菌効果を示した。
C-2-5.ベンゼン
図23は、ベンゼン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図23の横軸は、酸素ラジカルを照射した溶液を大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間である。図23の縦軸は大腸菌の生菌数である。ベンゼン溶液の濃度は80mMであった。ベンゼン溶液の体積は3mLであった。
図23に示すように、ベンゼンに酸素ラジカルを照射した活性化水溶液は殺菌効果を示した。ベンゼンに酸素ラジカルを15分照射した活性化水溶液は、50時間程度の経過時間で大腸菌を死滅させた。ベンゼンに酸素ラジカルを10分照射した活性化水溶液は、70時間程度の経過時間で大腸菌を死滅させた。
C-2-6.アラニン
図24は、アラニン溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図24の横軸は、酸素ラジカルを照射した溶液を大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間である。図24の縦軸は大腸菌の生菌数である。アラニン溶液の濃度は80mMであった。アラニン溶液の体積は3mLであった。
図24に示すように、アラニン溶液に酸素ラジカルを照射した活性化水溶液は殺菌作用を示さなかった。
C-2-7.その他の有機化合物
図25は、その他の有機化合物溶液に対して酸素ラジカルを間接照射した場合の大腸菌の生菌数を示すグラフである。図25の横軸は、酸素ラジカルを照射した溶液を大腸菌の懸濁液に混合してからの経過時間である。図25の縦軸は大腸菌の生菌数である。各溶液の体積は3mLであった。
図25に示すように、チロシンに酸素ラジカルを照射した活性化水溶液は、ある程度の殺菌作用を示した。リボフラビン、葉酸(Folate)に酸素ラジカルを照射した活性化水溶液は、やや弱い殺菌作用を示した。リボフラビンに酸素ラジカルを照射した活性化水溶液は、50%程度の大腸菌を死滅させた。
D.成長促進効果
D-1.実験方法
図26は、カイワレに対する酸素ラジカル活性化水溶液の成長促進効果についての実験方法を説明するための図である。図26に示すように、まず、シャーレに不織布と脱イオン再蒸留水30mLとを入れ、その上にカイワレの種子を20個置く。次に、温度23℃、湿度60%の条件で2日間栽培する。これにより、カイワレは発芽する。次に、発芽したカイワレの種子を栽培用キットにセットする。そして、活性化水溶液等をカイワレの種子に供給する。次に、温度23℃、湿度60%の条件で2日間栽培する。このようにして得られたカイワレの長さを測定する。
D-2.実験結果
図27は、リン酸緩衝液のリン酸の濃度とカイワレの長さとの関係を示すグラフである。図27の縦軸はカイワレの長さである。ここで、リン酸は肥料の一種である。しかし、高濃度のリン酸緩衝液はカイワレ大根に肥料焼けを引き起こすおそれがある。ここで、93mMのリン酸緩衝液は原液である。原液を用いると、カイワレ大根は成長しなかった。図27に示すように、0.93mMのリン酸緩衝液を用いると、カイワレ大根が最も育った。
図28は、フェニルアラニン溶液の濃度とカイワレの長さとの関係を示すグラフである。図28の縦軸はカイワレの長さである。図28において、「PB」の表記は、リン酸緩衝液のみの場合を示している。原液は、80mMのフェニルアラニン溶液を原材料とする酸素ラジカル活性化水溶液を示している。そして、各希釈率に応じてカイワレの長さが示されている。
図28に示すように、リン酸緩衝液のみを用いた場合には、カイワレの長さは20mm程度であった。80mMのフェニルアラニン溶液を原材料とする酸素ラジカル活性化水溶液を用いた場合には、カイワレの長さは25mm程度であった。1.5倍希釈(53.3mM)のフェニルアラニン溶液を原材料とする酸素ラジカル活性化水溶液を用いた場合には、カイワレの長さは35mm程度であった。2倍希釈(40mM)のフェニルアラニン溶液を原材料とする酸素ラジカル活性化水溶液を用いた場合には、カイワレの長さは30mm程度であった。3倍希釈(26.7mM)のフェニルアラニン溶液を原材料とする酸素ラジカル活性化水溶液を用いた場合には、カイワレの長さは30mm程度であった。
E.実験のまとめ
表3は、殺菌効果をまとめた表である。
[表3]
原材料の化合物 種類 有機構造 殺菌効果
フェニルアラニン アミノ酸 ベンゼン環 有り
トリプトファン アミノ酸 ベンゼン環、ピロール環 有り
フェナントロリン - ベンゼン環、ピリジン環 有り
フェロイン - ベンゼン環、ピリジン環 有り
ベンゼン - ベンゼン環 有り
チロシン アミノ酸 ベンゼン環 有り(弱い)
リボフラビン ビタミン ベンゼン環、プテリジン環 有り(弱い)
葉酸 ビタミン ベンゼン環、プテリジン環 有り(弱い)
アラニン アミノ酸 - 無し
表3に示すように、フェニルアラニン、トリプトファン、フェナントロリン、フェロイン、ベンゼン、チロシン、リボフラビン、葉酸に酸素ラジカルを照射した活性化水溶液は、殺菌効果を示した。しかし、アラニンに酸素ラジカルを照射した活性化水溶液は、殺菌効果を示さなかった。
このように、ベンゼン環等を有する環式化合物の酸素ラジカル活性化水溶液は、殺菌効果を示すと考えられる。また、ベンゼン環を有する環式化合物のうち、ベンゼン環を有するアミノ酸の酸素ラジカル活性化水溶液は、殺菌効果を有すると考えられる。また、ベンゼン環およびプテリジン環を有する環式化合物は、比較的弱い殺菌効果を示した。
なお、リボフラビンおよび葉酸については、リン酸緩衝液(PB)に対する溶解度が低かった。そのため、より適切な水溶液を選択することにより、より高い殺菌効果を奏するものと期待される。
実験C、Dから、20mM以上50mM以下のフェニルアラニンを原材料とする酸素ラジカル活性化水溶液は、殺菌作用と農作物の成長促進作用との両方を備えていると考えられる。
(付記)
第1の態様における酸素ラジカル活性化水溶液は、ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物を含有する水溶液に酸素ラジカルを照射したものである。
第2の態様における酸素ラジカル活性化水溶液においては、pHが5以上8以下である。
第3の態様における酸素ラジカル活性化水溶液においては、環式化合物は、アミノ酸である。
第4の態様における酸素ラジカル活性化水溶液においては、環式化合物は、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、リボフラビン、葉酸、フェナントロリン、フェロインのうちのいずれかである。
第5の態様における酸素ラジカル活性化水溶液の製造方法は、ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物を含有する水溶液に酸素ラジカルを照射する工程を有する。
第6の態様における農作物の生産方法においては、ベンゼン環とピロール環とピリジン環とのうち少なくとも1つ以上を有する環式化合物を含有する水溶液を準備し、水溶液に酸素ラジカルを照射して酸素ラジカル活性化水溶液を製造し、酸素ラジカル活性化水溶液を用いて農作物を栽培する。
第7の態様における農作物の生産方法においては、酸素ラジカル活性化水溶液のpHが5以上8以下である。
100…プラズマ発生装置
110…チャンバー
120…載置部
130…ガス供給部
140…ガス排出部
200…ラジカル照射部
210…照射口
211…スリット
250…放電部
260…中間構造部
270…ノズル部

Claims (5)

  1. 20mM以上80mM以下のフェニルアラニン を含有する水溶液に酸素ラジカルを照射したものであること
    を特徴とする酸素ラジカル活性化水溶液。
  2. 1mM以上50mM以下のトリプトファン を含有する水溶液に酸素ラジカルを照射したものであり、
    殺菌作用を有すること
    を特徴とする酸素ラジカル活性化水溶液。
  3. 20mM以上80mM以下のフェニルアラニン を含有する水溶液を準備し、
    前記水溶液に酸素ラジカルを照射して酸素ラジカル活性化水溶液を製造し、
    前記酸素ラジカル活性化水溶液を用いて農作物を栽培すること
    を特徴とする農作物の生産方法。
  4. 1mM以上50mM以下のトリプトファン を含有する水溶液を準備し、
    前記水溶液に酸素ラジカルを照射して酸素ラジカル活性化水溶液を製造し、
    前記酸素ラジカル活性化水溶液を用いて農作物を栽培すること
    を特徴とする農作物の生産方法。
  5. 請求項3または請求項4に記載の農作物の生産方法において、
    前記酸素ラジカル活性化水溶液のpHが5以上8以下であること
    を特徴とする農作物の生産方法。
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