JP7100614B2 - 木質繊維ボードおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る木質繊維ボードの製造方法は、木削片を木質繊維に解繊し、解繊した木質繊維から木質繊維ボードを製造する方法であり、中質繊維板(MDF)などの乾式の木質繊維ボードを製造する方法である。
解繊工程S11を図3を参照しながら、以下に説明する。まず、実施形態の木質繊維ボード1の出発材料として、チップ状の木削片を準備する。木削片としては、例えば、スギ、マツ、ヒノキなどの針葉樹を原料とした木削片Tを準備する。
この工程では、解繊された繊維Fに接着剤を添加後に乾燥させて、マット状に集積する(木質マットを成形する)。接着剤は、熱硬化性樹脂かなる接着剤、熱可塑性樹脂からなる接着剤のいずれであってもよい。熱硬化性樹脂としては、常温硬化型または熱硬化型の熱硬化性樹脂でよく、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、またはアルキド樹脂等を挙げることができる。
この工程では、成形された木質マットをプレス機に投入して、加圧及び加熱(熱圧)することにより、木質繊維ボードを成形する。具体的には、木質マットを、成形装置に投入し、加熱温度を160℃~260℃、加圧条件として、0.2MPa~5MPaで加圧保持時間30秒~5分間で熱圧する。
〔実施例1〕
木削片として、図3に示すリファイナを用いて、大きさ数センチの針葉樹チップ(スギ)を、0.7MPaの圧力で、蒸煮温度165℃にし、蒸煮時間を6分で蒸煮した後、この針葉樹チップの加熱温度を保持した状態で、針葉樹チップをリファイナで解繊した。刃型の間隔は、従来設定されている間隔の2倍に設定した。解繊した繊維の重量を測定し、JIS Z 8801-1(2006)に準拠して、目開きが500μmの篩で分級し、目開きが500μmの篩を通過しない繊維集合体の総質量を測定し、その割合を測定した。この結果を表1に示す。なお、図5Aは、目開きが500μmの篩に通過しなかった繊維集合体の一例を示した写真である。
実施例1と同じようにして、針葉樹チップをリファイナで解繊した。実施例1と相違する点は、実施例1に対して、繊維集合体の割合がより多くなるように、刃型の間隔、蒸煮温度、および蒸煮時間を調整した。そして、実施例1と同様に、目開きが500μmの篩を通過しない繊維集合体の総質量を測定し、その割合を測定した。この結果を表1に示す。
実施例1と同じようにして、針葉樹チップをリファイナで解繊した。実施例1と相違する点は、実施例1に対して、繊維集合体の割合が少なくなるように、刃型の間隔を狭くし、蒸煮温度、および蒸煮時間を調整した。そして、実施例1と同様に、目開きが500μmの篩を通過しない繊維集合体の総質量を測定し、割合を測定した。この結果を表1に示す。
実施例2と同じようにして、針葉樹チップをリファイナで解繊した。実施例1と相違する点は、実施例2に対して、繊維集合体の割合が多くなるように、刃型の間隔を広げつつ、蒸煮温度、および蒸煮時間を調整した。そして、実施例1と同様に、目開きが500μmの篩を通過しない繊維集合体の総質量を測定し、割合を測定した。この結果を表1に示す。
実施例1、2および比較例1、2の木質繊維ボードに対して、JIS A 5905に準拠した平面引張強さ試験を、それぞれに対して複数回行った。具体的には木質繊維ボードの表面に接着剤を塗布し、金属片を接着し、金属片を木質繊維ボードから引き剥がした時の応力を測定し、平均値を算出した。この結果を表1に示す。なお、これらの試験を複数回行って、応力の標準偏差も算出し(表1参照)、バラツキが無いことを確認した。
以下に、湿度変化に伴う木質繊維ボードの寸法変化に影響する繊維とその最適な割合について、実験を行った。
実施例1と同様の条件で、針葉樹チップを解繊し、繊維を得た。この繊維に対して、目開き500μm、目開き250μm、目開き150μmの篩を用いて順次分級した。目開きが500μmの篩を通過しない繊維を繊維Aとし、目開きが500μmの篩を通過するが、目開きが250μmの篩を通過しない繊維を繊維Bとし、目開きが250μmの篩を通過するが、目開き150μmの篩を通過しない繊維を繊維Cとし、目開きが150μmの篩を通過する繊維を繊維Dとした。なお、繊維A~Cは、繊維集合体であり、繊維Dは、単繊維であった。次に、繊維A~Dの割合を測定した。さらに、単繊維である繊維Dの平均長さを測定した。この結果を表2に示す。なお、単繊維の一例となる写真を図5Bに示した。
実施例2と同様の条件で、針葉樹チップを解繊した。なお、実施例2と相違する点は、単繊維である繊維Dの割合が多くなるように(具体的には67質量%)、刃型の間隔、蒸煮温度、および蒸煮時間を調整した。得られた繊維A~Dの割合を測定した。さらに、単繊維である繊維Dの平均長さを測定した。この結果を表2に示す。
実施例2と同様の条件で、針葉樹チップを解繊した。なお、実施例2と相違する点は、単繊維である繊維Dの割合が多くなるように(具体的には67質量%)、かつ、単繊維の平均長さが短くなるように、刃型の間隔、蒸煮温度、および蒸煮時間を調整した。得られた繊維A~Dの割合を測定した。さらに、単繊維である繊維Dの平均長さを測定した。この結果を表2に示す。
実施例3および比較例3、4で作製した木質繊維ボードに対して、温度20℃、湿度RH65%で3日間養生し、温度40℃、湿度RH90%で7日間静置した(吸湿試験)後、木質繊維ボードの長さを測定し、その後、温度40℃、湿度RH30%で7日間静置した(放湿試験)後、木質繊維ボードの長さを測定し、これらの寸法から、木質繊維ボードの面方向に沿った寸法変化率を測定した。この結果を表2に示す。
〔実施例4〕
実施例1と同様の条件で、針葉樹チップを解繊し、繊維を得た。単繊維(上述した繊維D)を抽出し、1.6mm以上の単繊維の個数の割合を測定した。また、単繊維全体の平均長さを測定した。さらに、解繊したすべての繊維(上述した繊維A~D)の平均長さを測定した。この結果を表3に示す。なお、1.6mm以上の単繊維の個数は、任意のサンプル数200個に対して、測定した個数である。
実施例4と同様の条件で、針葉樹チップを解繊し、繊維を得た。実施例4と相違する点は、単繊維の平均長さが短くなるように、蒸煮時間を12分に調整した。得られた繊維A~Dの割合を測定した。なお、解繊した繊維に対する単繊維の割合を50質量%以上確保している。実施例4と同様に、1.6mm以上の単繊維の個数の割合を測定し、単繊維全体の平均長さを測定し、解繊したすべての繊維の平均長さを測定した。この結果を表3に示す。
比較例4と同様の条件で、針葉樹チップを解繊し、繊維を得た。なお、解繊した繊維に対する単繊維の割合を50質量%以上確保している。実施例4と同様に、1.6mm以上の単繊維の個数の割合を測定し、単繊維全体の平均長さを測定し、解繊したすべての繊維の平均長さを測定した。この結果を表3に示す。
実施例4と同様の条件で、針葉樹チップを解繊し、繊維を得た。実施例4と相違する点は、単繊維の平均長さが短くなるように、刃型の間隔を2分の1にし、蒸煮温度を155℃にし、および蒸煮時間6分にした。なお、解繊した繊維に対する単繊維の割合を50質量%以上確保している。実施例4と同様に、1.6mm以上の単繊維の個数の割合を測定し、単繊維全体の平均長さを測定し、解繊したすべての繊維の平均長さを測定した。この結果を表3に示す。なお、この比較例7の解繊したすべての繊維の平均長さは、先行技術文献と同程度のものである。また、1.6mm以上の単繊維の個数の割合は少なく、それよりも短い単繊維の割合が多い。
Claims (4)
- 水分を含む雰囲気下で針葉樹を原料とする木削片を加熱した後、加熱した木削片から繊維に解繊する解繊工程と、
前記解繊した繊維を加圧及び加熱することで木質繊維ボードを成形する成形工程と、を含む木質繊維ボードの製造方法であって、
前記解繊工程において、前記木削片から、単繊維と、単繊維に解繊される前の状態の繊維集合体と、を生成し、
前記解繊工程において、目開きが500μmの篩を通過しない繊維集合体が、前記解繊した繊維に対して、15質量%~32質量%の範囲となるように、前記木削片を解繊するとともに、
前記単繊維が、前記解繊した繊維に対して、50質量%以上となり、
前記単繊維の長さが1.6mm以上の単繊維の個数が、前記単繊維の総数に対して、40%~65%となるように、前記木削片を解繊することを特徴とする木質繊維ボードの製造方法。 - 水分を含む雰囲気下で針葉樹を原料とする木削片を加熱した後、加熱した木削片から繊維に解繊する解繊工程と、
前記解繊した繊維を加圧及び加熱することで木質繊維ボードを成形する成形工程と、を含む木質繊維ボードの製造方法であって、
前記解繊工程において、前記木削片から、単繊維と、単繊維に解繊される前の状態の繊維集合体と、を生成し、
前記解繊工程において、目開きが500μmの篩を通過しない繊維集合体が、前記解繊した繊維に対して、15質量%~32質量%の範囲となるように、前記木削片を解繊するとともに、
前記単繊維が、前記解繊した繊維に対して、50質量%以上となり、
前記単繊維の平均長さが、1.5mm~2.0mmとなるように、前記木削片を解繊することを特徴とする木質繊維ボードの製造方法。 - 針葉樹を原料とする木削片を解繊した繊維から成形された木質繊維ボードであって、
前記繊維は、単繊維と、単繊維に解繊される前の状態の繊維集合体と、を備えており、
前記木質繊維ボードには、目開きが500μmの篩を通過しない繊維集合体が、前記繊維に対して、15質量%~32質量%の範囲で含有し、
前記単繊維が、前記繊維に対して、50質量%以上であり、
前記単繊維の長さが1.6mm以上の単繊維の個数が、前記単繊維の総数に対して、40%~65%であることを特徴とする木質繊維ボード。 - 針葉樹を原料とする木削片を解繊した繊維から成形された木質繊維ボードであって、
前記繊維は、単繊維と、単繊維に解繊される前の状態の繊維集合体と、を備えており、
前記木質繊維ボードには、目開きが500μmの篩を通過しない繊維集合体が、前記繊維に対して、15質量%~32質量%の範囲で含有し、
前記単繊維が、前記繊維に対して、50質量%以上であり、
前記単繊維の平均長さが、1.5mm~2.0mmであることを特徴とする木質繊維ボード。
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