以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なお、図中にX軸、Y軸、Z軸が記載されている場合、各軸は互いに直交している。そして図1では、Z軸方向は、前輪60FRから後輪60RRへの方向を示し、X軸方向は、フレーム50における左から右へ向かう方向を示している。また、フレーム50において、X軸方向を“右”、X軸方向に対して反対方向を“左”とし、Z軸方向の反対方向を“前”、Z軸方向を“後”とする。また、Y軸方向を“上”、Y軸方向の反対方向を“下”とする。また、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの軸回りにおける角速度は、X軸方向から見た回転に対する角速度をピッチ角速度とし、Y軸方向から見た回転に対する角速度をヨー角速度とし、Z軸方向から見た回転に対する角速度をロール角速度とする。なお、それぞれの角速度における大きさは、X軸、Y軸、Z軸におけるそれぞれの方向から見て時計回りの回転に対する角速度の大きさを“正”とし、X軸、Y軸、Z軸におけるそれぞれの方向から見て反時計回りの回転に対する角速度の大きさを“負”とする。
●[第1の実施の形態の概略全体構成(図1)]
図1を用いて本発明を実施するための形態の概略構成を説明する。図1は本実施の形態の歩行支援装置10を説明する図である。歩行支援装置10は、レール30R、30L(アーム部に相当)と、駆動制御手段40と、フレーム50と、前輪60FR、60FLと、後輪60RR、60RLと、駆動手段64R、64L(例えば電動モータ)と、コントロールパネル70と、バッテリーBと、回生電力回収手段65と、を有している。
図1に示すように、フレーム50は、左右方向に対して対称の形状をしており、フレーム50の右側にはレール30R、左側にはレール30Lがフレーム50の前後方向に沿って延びるようにそれぞれ設けられている。使用者はフレーム50の開放されている側からレール30Rとレール30Lとの間に入り、歩行支援装置10を操作する。前輪60FR、60FLは、フレーム50における前方下端に設けられた従動輪(旋回自在なキャスタ輪)である。
また、フレーム50には、外気温を検出する外気温センサー54と、X軸Y軸Z軸のそれぞれの軸方向における歩行支援装置10の傾きを検出する3軸加速度・角速度センサー52が設けられている。後輪60RR、60RLは、フレーム50における後方下端に設けられた駆動輪であり、ベルト62を介して駆動手段64R、64Lでそれぞれ駆動される。図1に示す例では、駆動輪である後輪は左右一対であって、それぞれ独立に駆動手段により駆動される例を示している。この後輪60RR、60RLにより、歩行支援装置10を前進、後進、右旋回、左旋回させることができる。
レール30Rは、使用者が把持可能な可動持ち手20R(把持部に相当)と、固定持ち手20FR(把持部に相当)と、を有している。レール30Lは、使用者が把持可能な可動持ち手20L(把持部に相当)と、固定持ち手20FL(把持部に相当)と、を有している。可動持ち手20Rは、レール30Rに設けられてレール30Rに沿って使用者の歩行の腕の振りに合わせて前後方向に移動可能とされている。また、可動持ち手20Lは、レール30Lに設けられてレール30Lに沿って使用者の歩行の腕の振りに合わせて前後方向に移動可能とされている。
フレーム50におけるレール30R、30Lのそれぞれには、固定持ち手20FR、20FLがそれぞれ設けられている。なお、レール30R、30Lは、上方向に凹状に湾曲した形状に限定されず、直線形状としても良い。
図1に示すように、コントロールパネル70は、例えばフレーム50の上部であって使用者による操作が容易な位置に設けられている。コントロールパネル70は、メインスイッチ72と、アシスト量調整ボリューム74aと、負荷量調整ボリューム74bと、モード手動切替手段76aと、モード自動切替手段スイッチ76bと、モニター78と、を有している。
歩行支援装置10は、動作モードとして、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作に対して負荷を付与するトレーニングモードと、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作の負荷を軽減するアシストモードと、を有する。動作モード切替手段76は、モード手動切替手段76aと、モード自動切替手段スイッチ76bと、モード自動切替手段76ATと、を有している(図7参照)。モード手動切替手段76aは、使用者の手動操作によって、歩行支援装置10における動作モードを切り替える。モード手動切替手段76aは、「アシストモード」と「トレーニングモード」の2つの動作モードの状態を選択できる(図9参照)。
モード自動切替手段スイッチ76bは、駆動制御手段40が、自動的に動作モードを切り替えることを許可するスイッチである。モード自動切替手段スイッチ76bがオンの場合、駆動制御手段40におけるモード自動切替手段76ATは、モード手動切替手段76aで選択された情報と図18及び図19の条件を基に、動作モードを自動的に切り替える。
アシスト量調整ボリューム74aはアシストモードにおけるアシスト力の大きさ(アシスト量)を、負荷量調整ボリューム74bはトレーニングモードにおける負荷の大きさ(負荷量)を、それぞれ調整するボリュームである。
モニター78は、動作モード情報を表示するモニターで、動作モード情報を表示する他、例えばバッテリーBの充電量、歩行履歴、使用者の身体状態の情報、使用者の身体情報履歴、周囲の雰囲気状態、負荷量・アシスト量、歩行支援装置10における動作履歴、車体の状態等を表示する。
●[歩行支援装置10の詳細な構造(図2~図6)]
図2~図6を用いて、歩行支援装置10の構造について詳細に説明する。なお、歩行支援装置10は、コントロールパネル70と駆動制御手段40とバッテリーBと回生電力回収手段65を除き、フレーム50における左右において対称な構造であるため、左側の説明を省略して主に右側の構造について説明する。図2は、可動持ち手20R、固定持ち手20FR及びレール30Rの構成及び機能を説明する斜視図である。また、図3は、図2におけるIII-III方向から見た可動持ち手20Rの断面図である。図4は、図2におけるIV-IV方向から見た可動持ち手20Rの断面図である。図5は、図2における固定持ち手20FRを拡大した斜視図である。図6は、図5におけるVI-VI方向から見た固定持ち手20FRの断面図である。
図2に示すように、レール30Rは、可動持ち手20Rと、プーリーPB、PFと、ワイヤーWと、を有している。レール30Rは、上方向に凹状に湾曲した形状を有し、前後方向に沿って上方向に開口する可動持ち手20Rの可動範囲であるレールスリット部38を有している。また、レール30Rは、前後方向における両端に、プーリーPB、PFがそれぞれ設けられている。ワイヤーWは、前方に配置されたプーリーPFと後方に配置されたプーリーPBに掛けられ、それぞれの回転を連動させる。また、モータ32Rと右持ち手位置検出手段34R(例えばエンコーダ)と持ち手移動制限手段35Rは、プーリーPFに対して同軸に設けられている。図4に示すように、アンカー部22Bのワイヤー接続部WAにはワイヤーが固定され、ワイヤー孔WHにはワイヤーが固定されることなく挿通されている。そしてアンカー部22Bには可動持ち手20Rが接続されている。これにより、モータ32Rは、プーリーPFを回転させてワイヤーWをプーリー間で回転させることで、可動持ち手20Rの移動をアシスト又は、可動持ち手20Rの移動に負荷を掛けることができる。右持ち手位置検出手段34Rは、レール30Rにおける可動持ち手20Rの移動に伴うプーリーPFの回転量を駆動制御手段40へ出力する。
図3に示すように、可動持ち手20Rは、持ち手軸部21aと、軸部嵌入孔21bと、スライダ22と、グリップ部26aと、スイッチグリップ部26bと、ブレーキレバーBKLと、を有している。また、スライダ22は、持ち手保持部22Aとアンカー部22Bからなる。
図3に示すように、付勢手段24の一方端が持ち手軸部21aに接続され、他方端が軸部嵌入孔21bの底部に接続されている。持ち手軸部21aの付勢手段24が接続されている端部には円周方向に鍔部21cが設けられている。また、軸部嵌入孔21bにおける開口の内側壁面には、内鍔部20cが設けられている。これにより、グリップ部26aは、持ち手軸部21aと分離することなく、持ち手軸部21aの長手方向に沿って上下にスライド可能である。すなわち、可動持ち手20Rは、突出方向への伸縮を可能とする伸縮機構を有している。
持ち手軸部21aの付勢手段24が接続されていない側には、持ち手支持軸JKが設けられている。持ち手支持軸JKは、軸の先端が略球状に形成されており、持ち手保持部22Aに設けられた凹部とボールジョイントを形成する。これにより、可動持ち手20Rは、持ち手保持部22Aに対して開口で規制される範囲内で前後左右に傾けることができる(図3、図4参照)。この傾き量を検出する右持ち手傾き検出手段33Rが、持ち手保持部22Aの開口において設けられ前後左右から持ち手支持軸JKに対して配置されている。右持ち手傾き検出手段33Rは、例えば持ち手支持軸JK側面と持ち手保持部22Aの開口との間にバネを設け、そのバネの伸縮伸長による圧力を検出する圧力センサーでもよい。
図3に示すように、スイッチグリップ部26bは、グリップ付勢手段28(例えばバネ)により、グリップ部26aとスイッチグリップ部26bとの間に所定の隙間を生じるように設けられている。把持検出手段25Rは、使用者が可動持ち手20Rを把持するとスイッチグリップ部26bがグリップ部26a側へ移動し圧力が掛けられてオンして、圧力が掛からなくなるとオフする。把持検出手段25Rは、例えば圧力スイッチかプッシュスイッチで良い。
図3に示すように、グリップ部26aの一部には心拍数体温センサー27aが設けられている。心拍数体温センサー27aは、使用者が可動持ち手20R(20L)を把持した場合、使用者の心拍数と体温を所定周期で計測する。使用者の心拍数は、例えば、赤外線を用いて手における把持している部分の血流を測定して計測しても良い。また、使用者の体温は、例えば、温度変化に応じて変わるサーミスタにおける抵抗の変化や、使用者が把持している部分が発する赤外線の変化を測定して計測しても良い。
ブレーキレバーBKLは、一方端がグリップ部26aにおける前側下方に接続されている。使用者が、ブレーキレバーBKLを把持してグリップ部26a側に引くと、前輪60FR、60FL、後輪60RR、60RLの回転をロックし、そのロック状態が維持され、さらに引くとロックを解除する機構を有する(図示省略)。
図2に示すように、レール30Rには、フレーム50に対する可動持ち手20Rの移動の許可と禁止を行う持ち手移動制限手段35Rが設けられている。例えば持ち手移動制限手段35Rは、モータ32Rの回転をロックするロック機構を有し、モータ32Rの回転をロックすることで持ち手の移動を禁止し、モータ32Rの回転のロックを解除することで、レールに対する(すなわち、フレームに対する)持ち手の移動を許可する。
図2と図4に示すように、アンカー部22Bに設けられたワイヤー孔WHにはワイヤーWの一方が挿通されており、ワイヤーWの他方がワイヤー接続部WAに接続されている(固定されている)。また、可動持ち手20Rは、持ち手保持部22Aとアンカー部22Bを接続するくびれた部分がレールスリット部38を摺動して、レール30R上を移動できる。
信号ケーブル36は、一方がアンカー部22Bに接続されて、他方が駆動制御手段40に接続されており、把持検出手段25Rと右持ち手傾き検出手段33Rからの検出信号を駆動制御手段40へ伝達する。信号ケーブル36は、例えば、フレキシブルケーブル等の柔軟性を有するケーブルであれば良い。駆動制御手段40は、右持ち手位置検出手段34Rからの検出信号に基づいて、レール30R上における可動持ち手20Rの位置を検出することができる。駆動制御手段40は、右持ち手傾き検出手段33Rからの検出信号に基づいて、可動持ち手20Rが前後左右のどの方向にどれだけ傾いているか、を検出することができる。駆動制御手段40は、把持検出手段25Rからの検出信号に基づいて、可動持ち手20Rが使用者に把持されているか否か、を検出することができる。
図5に示すように、固定持ち手20FR(20FL)は、グリップ部26Faとスイッチグリップ部26Fbを有している。心拍数体温センサー27bは、使用者が可動持ち手20Rを把持した場合、所定周期で使用者の心拍数と体温を計測する。心拍数体温センサー27bにおける使用者の心拍数と体温の計測は、心拍数体温センサー27aと同一であるため説明は省略する。
図6に示すように、スイッチグリップ部26Fbは、グリップ付勢手段28(例えばバネ)により、グリップ部26Faとスイッチグリップ部26Fbとの間に所定の隙間を生じるように設けられている。把持検出手段25FRは、使用者が固定持ち手20FRを把持するとスイッチグリップ部26Fbがグリップ部26Fa側へ移動し圧力が掛けられてオンして、圧力に比例した検出信号を出力し、圧力が掛からなくなるとオフする。把持検出手段25FRは、例えば感圧センサー等加えられた圧力に比例した検出信号を出力するものであれば良い。
●[歩行支援装置10の機能及び各動作モードにおける処理(図7~図17)]
図7~図17を用いて、歩行支援装置10の機能及び各動作モードにおける処理について詳細に説明する。
●[歩行支援装置10の駆動制御手段40の入出力(図7)]
図7は、歩行支援装置10(図1参照)における駆動制御手段40(例えばCPUを備えた制御装置)の入出力を説明するブロック図である。図7に示すように、駆動制御手段40は、状態検出手段80からの情報と、記憶手段44に記憶された情報と、コントロールパネル70からの情報と、が入力される。駆動制御手段40は、入力された情報に基づいて、モータ32R、32Lと、持ち手移動制限手段35R、35Lと、駆動手段64R、64Lと、を制御する。
駆動制御手段40は、歩行支援装置10を進行させる目標となる目標進行速度(VR、VL)になるように駆動手段64R、64Lを制御して、駆動輪である後輪60RR、60RLを駆動する。なお、目標進行速度VRは、使用者の動作に基づいて歩行支援装置10における後輪60RRを進行させる目標進行速度であり、目標進行速度VLは、使用者の動作に基づいて歩行支援装置10における後輪60RLを進行させる目標進行速度である(図1参照)。
●[状態検出手段80の構成及び機能]
図7で示すように、状態検出手段80は、把持部状態検出手段81と、身体状態検出手段82と、車体状態検出手段83と、雰囲気状態検出手段84と、から構成されている。
把持部状態検出手段81は、可動持ち手作用力検出手段81aと、可動持ち手移動量検出手段81bと、固定持ち手作用力検出手段81cと、で構成されている。
可動持ち手作用力検出手段81aは、把持検出手段25R、25Lと、右持ち手傾き検出手段33Rと、左持ち手傾き検出手段33Lと、を有している。可動持ち手作用力検出手段81aは、使用者の可動持ち手20R、20L(図1参照)の把持の有無と、使用者が把持している可動持ち手20R、20Lを前方に押す力及び後方に引く力である可動持ち手作用力と、を検出し、検出した状態に応じた信号を、駆動制御手段40に出力する。
可動持ち手移動量検出手段81bは、右持ち手位置検出手段34Rと、左持ち手位置検出手段34Lと、を有している。右持ち手位置検出手段34Rは、レール30Rにおける可動持ち手20Rの位置である右可動持ち手位置HPRを検出する。左持ち手位置検出手段34Lは、レール30Lにおける可動持ち手20Lの位置である左可動持ち手位置HPLを検出する。可動持ち手移動量検出手段81bは、使用者が可動持ち手20R、20Lを把持して腕を振って歩行する際のレール30R、30L(図1参照)に対する可動持ち手20R、20Lの所定時間における移動量を検出し、検出した量に応じた信号を、駆動制御手段40に出力する。
固定持ち手作用力検出手段81cは、把持検出手段25FR、25FLを有している。固定持ち手作用力検出手段81cは、使用者の固定持ち手20FR、20FLの把持の有無と、使用者が把持している固定持ち手20FR(20FL)(図1参照)を前方に押す力及び後方に引く力である固定持ち手作用力と、を検出し、検出した状態に応じた信号を、駆動制御手段40に出力する。
身体状態検出手段82は、使用者の身体状態を検出する手段であり、心拍数体温センサー27a、27bと、身体情報履歴82aと、を有している。身体状態検出手段82は、使用者の身体状態、例えば、使用者の心拍数、体温を心拍数体温センサー27a、27bにより検出し、検出した状態に応じた信号を駆動制御手段40に出力する。
身体状態検出手段82は、身体情報履歴82aにおいて使用者の身体情報の履歴(例えば、心拍数、体温、歩数)を記憶する。なお、歩数は、例えば使用者が前後方向に往復1回腕振りした場合の歩数を2歩として、可動持ち手移動量検出手段81bからの情報に基づき算出する。
車体状態検出手段83は、歩行支援装置10の動作履歴を含む歩行支援装置10の状態を検出する手段であり、進行速度取得手段56Rと、進行速度取得手段56Lと、3軸加速度・角速度センサー52と、動作履歴情報58と、を有している。
進行速度取得手段56Rと進行速度取得手段56Lは、駆動手段64R、64Lにそれぞれ接続されて、後輪60RR、60RL(図1参照)のそれぞれにおける前方又は後方へ進行する進行速度(VdR、VdL)に相当する検出信号を、駆動制御手段40に出力する。
3軸加速度・角速度センサー52は、X軸Y軸Z軸の3方向の軸のそれぞれに対して加速度を計測するとともに、3方向のそれぞれの軸を中心とした回転における角速度を計測する。3軸加速度・角速度センサー52は、例えば、歩行支援装置10が傾斜面を進行している場合、傾斜面に対する車両におけるX軸Y軸Z軸のそれぞれの傾きに応じた検出信号を駆動制御手段40に出力する。また、3軸加速度・角速度センサー52は、歩行支援装置10の車体に加えられた加速度の変化(車体への衝撃)も検出し、検出した加速度の変化に応じた信号を駆動制御手段40に出力する。また、3軸加速度・角速度センサー52は、歩行支援装置10の車体のピッチ角速度、ヨー角速度、ロール角速度も検出し、検出した角速度に応じた信号を駆動制御手段40に出力する。
3軸加速度・角速度センサー52は、歩行支援装置10を旋回させる力である装置旋回力(ヨー角速度)を検出する旋回力計測手段の機能も有しており、検出したヨー角速度に応じた信号を駆動制御手段40へ出力する。
車体状態検出手段83は、動作履歴情報58において歩行支援装置10の動作履歴(例えば、歩行距離、歩行時間)を記憶し、歩行支援装置10の状態(例えば、歩行支援装置の進行速度、車体の傾き、進行速度)を検出する。
雰囲気状態検出手段84は、使用者の周囲の雰囲気状態(例えば、外気温)を検出する手段であり、外気温センサー54を有している。雰囲気状態検出手段84は、外気温を外気温センサー54により検出し、検出した状態に応じた信号を駆動制御手段40に出力する。
●[前方評価速度VRhf、VLhfと後方評価速度VRhb、VLhbの算出]
駆動制御手段40は、可動持ち手20R、20L(図1、図2参照)の移動量に基づいて、フレーム50に対する可動持ち手20R、20Lの前方向への移動速度である前方評価速度(VRhf、VLhf)と、フレーム50に対する可動持ち手20R、20Lの後方向への移動速度である後方評価速度(VRhb、VLhb)と、を算出する。なお、フレーム50に対する可動持ち手20R、20Lの移動速度の大きさは、前方向の移動の場合を“正”とし、後方の場合を“負”とする。
前方評価速度(VRhf、VLhf)又は後方評価速度(VRhb、VLhb)は、例えば、使用者が前方又は後方へ腕を振る場合の可動持ち手(20R、20L)の移動速度から積分して算出する。具体的には、以下の手順に従って導出する。なお、左右の可動持ち手で処理が同じであるため、右の可動持ち手20Rにおける前方評価速度(VRhf)と後方評価速度(VRhb)についてのみ説明する。
右の可動持ち手20Rの前方評価速度(VRhf)の導出:駆動制御手段40は、所定間隔で計測された可動持ち手20Rの移動量に基づいて、可動持ち手20Rの移動速度を求める。駆動制御手段40は、求めた可動持ち手20Rの移動速度の内、可動持ち手20Rが前方へ移動する前方移動速度(移動速度の大きさが“正”)のみを積算(積分処理)する。駆動制御手段40は、積算した可動持ち手20Rの前方移動速度を所定時間で割ることで(平均処理)、前方評価速度(VRhf)を導出する。
右の可動持ち手20Rの後方評価速度(VRhb)の導出:駆動制御手段40は、所定間隔で計測された可動持ち手20Rの移動量に基づいて、可動持ち手20Rの移動速度を求める。駆動制御手段40は、求めた可動持ち手20Rの移動速度の内、可動持ち手20Rが後方へ移動する後方移動速度(移動速度の大きさが“負”)のみを積算(積分処理)する。駆動制御手段40は、積算した可動持ち手20Rの前方移動速度を所定時間で割ることで(平均処理)、後方評価速度(VRhb)を導出する。
●[負荷量・アシスト量変更手段74による負荷量とアシスト力の大きさの変更]
負荷量・アシスト量変更手段74は、アシスト量調整ボリューム74aと、負荷量調整ボリューム74bと、を有している。アシスト量調整ボリューム74aは、アシストモードにおけるアシスト力の大きさ(アシスト量)を調整する調整量(アシスト調整量)に応じた検出信号を、駆動制御手段40に出力する。負荷量調整ボリューム74bは、トレーニングモードにおける負荷の大きさ(負荷量)を調整する調整量(負荷調整量)に応じた検出信号を、駆動制御手段40に出力する。負荷量・アシスト量変更手段74は、アシストモードの場合では、状態検出手段80からの情報とアシスト調整量に基づいてアシスト量を変更する。負荷量・アシスト量変更手段74は、トレーニングモードの場合では、状態検出手段80からの情報と負荷調整量に基づいて負荷量を変更する。
●[負荷量・アシスト量変更手段74における学習手段74cの機能]
負荷量・アシスト量変更手段74は、学習手段74cを有しており、雰囲気状態検出手段84を用いて検出した使用者の周囲の雰囲気状態、車体状態検出手段83を用いて検出した歩行支援装置10の動作履歴、身体状態検出手段82を用いて検出した使用者の身体状態に基づいて、トレーニングモードの場合では負荷量を調整し、アシストモードの場合ではアシスト量を調整する。学習手段74cにおける学習手段は、例えば、記憶手段44に記憶されている使用者の過去の使用履歴(歩行時間、歩行距離、負荷量、アシスト量)や使用者の過去の身体情報履歴(心拍数、体温、歩数)に基づいて適切な負荷量や適切なアシスト量を決定する。これにより、過度に負荷を使用者に付与することもなく、過度に使用者をアシストすることがないため、より適切に使用者の体力の減衰を抑制(体力維持)することができる。
●[記憶手段44における機能]
記憶手段44は、情報を記憶する手段であり、駆動制御手段40の求めに応じて情報の記憶と読み出しを行う。記憶手段44は、状態検出手段80において取得された情報、駆動制御手段40における演算結果、歩行支援装置10の動作履歴、使用者の歩行における過去のアシストモードにおけるアシスト量、トレーニングモードにおける負荷量等の情報を記憶する。
●[コントロールパネル70における機能]
コントロールパネル70は、使用者が歩行支援装置10を操作するのに必要なスイッチ類とモニター78を提供する。使用者は、メインスイッチ72をONの状態にすることで、歩行支援装置10を進行可能な状態にする。使用者は、アシスト量調整ボリューム74aと負荷量調整ボリューム74bにより、トレーニングモードにおける負荷量とアシストモードにおけるアシスト量を調整できる。また、使用者は、モード手動切替手段76aを切り替えることで、所望する動作モード(「アシストモード」、「トレーニングモード」)を選択できる。モード自動切替手段スイッチ76bがオンされた場合、駆動制御手段40は、使用者が選択した動作モードと所定の動作モードの間で自動的に動作モードを切り替える。
●[駆動制御手段40における各動作モードにおける処理手順(図8~図17)]
図8~図17を用いて、駆動制御手段40(図7参照)における歩行支援装置10(図1参照)の動作モードの判定と、判定した動作モードに基づく処理について詳細に説明する。
●[各動作モードの概略と動作モードへ移行する条件(図8~図10)]
図8は各検出手段の出力に基づいて決められる歩行支援装置10の動作モードを説明する状態遷移図である。図9は、図8における判定モードJDMから各動作モードへ移行する条件と判定モードJDMへ戻る条件を示した図である。図10は、歩行支援装置10の駆動制御手段40の全体処理の手順を説明するフローチャートである。
●[電源ON/OFFにおける動作と動作モードの判定の概略]
図8は各検出手段の出力に基づいて決められる歩行支援装置10の動作モードを説明する図である。図8に示すように、歩行支援装置10は、判定モードJDMと、アシストモード1(AM1)と、アシストモード2(AM2)と、アシストモード3(AM3)と、トレーニングモード1(TR1)と、トレーニングモード2(TR2)と、トレーニングモード3(TR3)と、から構成される動作モードを有している。
駆動制御手段40は、メインスイッチ72(図7参照)がオン(電源ON)の状態にされると、記憶手段44に記憶されている動作履歴を読出し動作履歴情報58に書き込む。その後、駆動制御手段40は、歩行支援装置10を判定モードJDMに移行させる。判定モードJDMに移行後、駆動制御手段40は、状態検出手段80により各状態を取得して、歩行支援装置10を取得した各状態に基づく動作モードに移行する。駆動制御手段40は、メインスイッチ72がオフ(電源OFF)の状態にされると、動作履歴情報58における動作履歴に関する情報(例えば、歩行距離、歩行時間)を記憶手段44に記憶して動作を終了する。
●[固定持ち手把持モードと可動持ち手把持モードの概略の説明]
図8に示すように、動作モードは、固定持ち手把持モードFXHMと、可動持ち手把持モードFRHMから構成されている。固定持ち手把持モードFXHMは、使用者が固定持ち手20FR、20FL(図1参照)を把持して、歩行支援装置10を進行させて歩行する場合である。可動持ち手把持モードFRHMは、使用者が可動持ち手20R、20L(図1参照)を把持して、歩行支援装置10を進行させて歩行する場合である。
可動持ち手把持モードFRHMは、可動持ち手20R、20Lを把持しているが腕を振らない腕振り無し歩行モードNHM1と、腕を振る腕振り有り歩行モードYHMと、から構成されている。固定持ち手把持モードFXHMは、使用が固定持ち手20FR、20FLを把持しているため、腕を振らない腕振り無し歩行モードNHM2である。
可動持ち手把持モードFRHMにおける腕振り無し歩行モードNHM1は、使用者は可動持ち手20R、20Lを把持しているが、レール30R、30L(図1参照)の所定の位置に固定されており、固定持ち手把持モードFXHM(腕振り無し歩行モードNHM2)に相当する。腕振り有り歩行モードYHMは、使用者は可動持ち手20R、20Lを把持して、レール30R、30Lの前後方向に沿って移動させて歩行支援装置10を進行させて歩行する場合である。
可動持ち手把持モードFRHMにおける腕振り有り歩行モードYHMは、トレーニングモード1(TR1)と、アシストモード1(AM1)と、から構成されている。可動持ち手把持モードFRHMにおける腕振り無し歩行モードNHM1は、アシストモード2(AM2)と、トレーニングモード2(TR2)と、から構成されている。固定持ち手把持モードFXHMは、アシストモード3(AM3)と、トレーニングモード3(TR3)と、から構成されている。
●[トレーニングモードとアシストモードにおける機能の説明(図8)]
アシストモード1(AM1)は、歩行支援装置10の使用者の身体の動作の負荷を軽減することができる。具体的には、可動持ち手20R、20Lの前後方向の移動に対してモータ32R、32Lにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(腕振り)が無負荷状態の動作(腕振り)となるアシスト力よりも所定量大きいアシスト力を付与して、可動持ち手20R、20Lを移動させることができる。また、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)が無負荷状態の動作(歩行)となるアシスト力よりも所定量大きいアシスト力で、歩行支援装置10を進行させることができる。これにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行、腕振り)の負荷を軽減することができる。
アシストモード2(AM2)、及びアシストモード3(AM3)は、歩行支援装置10の使用者の身体の動作の負荷を軽減することができる。具体的には、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)が無負荷状態の動作(歩行)となるアシスト力よりも所定量大きいアシスト力で、歩行支援装置10を進行させることができる。これにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)の負荷を軽減することができる。
トレーニングモード1(TR1)は、回生電力回収手段65を動作させながら歩行支援装置10を進行させる。回生電力回収手段65は、後輪60RR、60RLに接続されており(図1参照)、回転エネルギーを電力に変換し回収する(図1、図7参照)。また、トレーニングモード1(TR1)は、可動持ち手20R、20Lの前後方向の移動に対してモータ32R、32Lにより負荷を付与して、歩行支援装置10を進行させることができる。これにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行、腕振り)に対して負荷を付与することができる。
トレーニングモード2(TR2)は、回生電力回収手段65を動作させながら歩行支援装置10を進行させる。従って、使用者は、アシストモード2(AM2)と比較して、歩行支援装置10を進行させるために、より強い力で歩行支援装置10を押したり又は引いたりする必要がある。これにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)に対して負荷を付与することができる。
トレーニングモード3(TR3)は、回生電力回収手段65を動作させながら歩行支援装置10を進行させる。従って、使用者は、アシストモード3(AM3)と比較して、歩行支援装置10を進行させるために、より強い力で歩行支援装置10を押したり又は引いたりする必要がある。これにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)に対して負荷を付与することができる。
●[各動作モードへの判定と判定モードJDMへの移行の判定(図9)]
図9は、図8における判定モードJDMから各動作モードへ移行する条件と判定モードJDMへ戻る条件を示した図である。図9において、条件C1~条件C6は図8における判定モードJDMから各動作モードへ移行する条件であり、条件CR1~条件CR6は各動作モードから判定モードJDMへ戻る条件である。なお、図9において、“-”は、状態が“0”又は“1”のどちらでも良いことを示している。
各動作モードへ移行は、モード手動切替手段76a(図7参照)と、可動持ち手(20R、20L)の状態(図1参照)と、固定持ち手(20FR、20FL)の状態(図1参照)と、で判定される。各動作モードから判定モードJDMへ戻る条件は、現在の動作モ―ドと、可動持ち手(20R、20L)の状態と、固定持ち手(20FR、20FL)の状態と、で判定される。
図9において、可動持ち手把持状態は、把持検出手段25R、25L(図3参照)により、使用者が可動持ち手20R、20Lのいずれか一方を把持していると検出した場合“1=把持有”、両方を把持していないと検出した場合“0=把持無”となる。
固定持ち手把持状態は、把持検出手段25FR、25FL(図6参照)により、使用者が固定持ち手20FR、20FLのいずれか一方を把持していると検出した場合“1=把持有”、両方を把持していないと検出した場合“0=把持無”となる。
可動持ち手20R、20Lにおける腕振りの状態は、右持ち手位置検出手段34Rと、左持ち手位置検出手段34Lのいずれか一方から、可動持ち手20R、20Lの移動に伴う検出信号が出力され場合、“1=有”、そうでない場合“0=無”となる。
駆動制御手段40は、条件C1~条件C6のいずれか一つが成立した場合、動作モードを各条件に対応した動作モードにする。以下、判定モードJDMから各動作モードへ移行の判定について詳細に説明する。
●[アシストモード(AM1~AM3)の判定]
モード手動切替手段76aの選択が“アシストモード”で、可動持ち手把持状態が“1=把持有”で、腕振り状態が“1=有”で、固定持ち手把持状態が“0=把持無”の場合、条件C1が成立して、駆動制御手段40は、動作モードを判定モードJDMからアシストモード1(AM1)へ遷移させる。
モード手動切替手段76aの選択が“アシストモード”で、可動持ち手把持状態が“1=把持有”で、腕振り状態が“0=無”で、固定持ち手把持状態が“0=把持無”の場合、条件C2が成立して、駆動制御手段40は、動作モードを判定モードJDMからアシストモード2(AM2)へ遷移させる。
モード手動切替手段76aの選択が“アシストモード”で、可動持ち手把持状態が“0=把持無”で、腕振り状態が“0=無”で、固定持ち手把持状態が“1=把持有”の場合、条件C3が成立して、駆動制御手段40は、動作モードを判定モードJDMからアシストモード3(AM3)へ遷移させる。
●[判定モードJDMからトレーニングモード(TR1~TR3)の判定]
モード手動切替手段76aの選択が”トレーニングモード”で、可動持ち手把持状態が“1=把持有”で、腕振り状態が“1=有”で、固定持ち手把持状態が“0=把持無”の場合、条件C4が成立して、駆動制御手段40は、動作モードを判定モードJDMからトレーニングモード1(TR1)へ遷移させる。
モード手動切替手段76aの選択が”トレーニングモード”で、可動持ち手把持状態が“1=把持有”で、腕振り状態が“0=無”で、固定持ち手把持状態が“0=把持無”の場合、条件C5が成立して、駆動制御手段40は、動作モードを判定モードJDMからトレーニングモード2(TR2)へ遷移させる。
モード手動切替手段76aの選択が”トレーニングモード”で、可動持ち手把持状態が“0=把持無”で、腕振り状態が“0=無”で、固定持ち手把持状態が“1=把持有”の場合、条件C6が成立して、駆動制御手段40は、動作モードを判定モードJDMからトレーニングモード3(TR3)へ遷移させる。
●[各動作モードおける判定モード(JDM)へ移行の判定]
駆動制御手段40は、条件CR1~条件CR6のいずれか一つが成立した場合、現在の動作モード(図8参照)を終了し判定モードJDMに移行する。以下、各動作モードから判定モードJDMへ移行する判定について詳細に説明する。
現在のモードが“アシストモード1(AM1)”で、可動持ち手把持状態が“0=把持無”の場合、その他の状態に関わらず条件CR1が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをアシストモード1(AM1)から判定モードJDMへ遷移させる。
現在のモードが“アシストモード2(AM2)”で、可動持ち手把持状態が“0=把持無”の場合、その他の状態に関わらず条件CR2が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをアシストモード2(AM2)から判定モードJDMへ遷移させる。
現在のモードが“アシストモード3(AM3)”で、固定持ち手把持状態が“0=把持無”の場合、その他の状態に関わらず条件CR3が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをアシストモード3(AM3)から判定モードJDMへ遷移させる。
現在のモードが“トレーニングモード1(TR1)”で、可動持ち手把持状態が“0=把持無”の場合、その他の状態に関わらず条件CR4が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをトレーニングモード1(TR1)から判定モードJDMへ遷移させる。
現在のモードが“トレーニングモード2(TR2)”で、可動持ち手把持状態が“0=把持無”の場合、その他の状態に関わらず条件CR5が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをトレーニングモード2(TR2)から判定モードJDMへ遷移させる。
現在のモードが“トレーニングモード3(TR3)”で、固定持ち手把持状態が“0=把持無”の場合、その他の状態に関わらず条件CR6が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをトレーニングモード3(TR3)から判定モードJDMへ遷移させる。
●[全体処理の手順を説明するフローチャート(図10)]
図10は、歩行支援装置10(図1参照)の駆動制御手段40(図7参照)における全体処理の手順を説明するフローチャートである。歩行支援装置10の駆動制御手段40の処理手順について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、各処理における動作モードは、説明の都合上、必要な場合を除き図8における符号を省略する。
駆動制御手段40の全体処理は、状態検出手段80による各状態の取得(ステップS100)と、取得した各状態に基づき動作モードの判定(ステップS200)と、歩行支援装置10を進行させる目標進行速度の算出(ステップS170、ステップS300~ステップS800)と、目標進行速度になるように駆動輪である後輪60RR、60RL(図1参照)を駆動(ステップS180)する処理と、で構成されている。なお、駆動制御手段40は、起動された場合、所定時間間隔(例えば数[ms]間隔)にて、全体処理を実行する。
●[状態検出手段80による各状態の取得(ステップS100)]
以下、ステップS100(状態検出手段80による各状態の取得)について詳細に説明する。
ステップS100において、駆動制御手段40は、状態検出手段80(把持部状態検出手段81、身体状態検出手段82、車体状態検出手段83、雰囲気状態検出手段84)からの情報(検出信号)を取得して、検出した種々の状態(入力状態)を記憶手段44に記憶する。駆動制御手段40は、状態検出手段80により取得した情報に基づいて、前方評価速度VRhf、VLhfと後方評価速度VRhb、VLhbを算出して、記憶手段44に記憶する。駆動制御手段40は、状態検出手段による各状態の取得(ステップS100)を終了し、全体処理へ戻る。
例えば、駆動制御手段40は、ステップS100において、以下の入力状態を検出して、記憶手段44に記憶する。
●[把持部状態(固定持ち手20FR、20FLと可動持ち手20R、20Lの状態)]
固定持ち手把持状態:使用者が固定持ち手20FR、20FLのいずれか一方を把持しているか否か。
固定持ち手作用力:使用者が把持している固定持ち手20FR、20FLを前方に押す力及び後方に引く力。
可動持ち手把持状態:使用者が可動持ち手20R、20Lのいずれか一方を把持しているか否か。
可動持ち手作用力:使用者が把持している可動持ち手20R、20Lを前方に押す力及び後方に引く力。
腕振りの状態:使用者が、可動持ち手20R、20Lのいずれか一方を把持して腕を前後方向に振っているか否か。
前方評価速度(VRhf、VLhf):フレーム50に対する可動持ち手20R、20Lの前方向への移動速度。
後方評価速度(VRhb、VLhb):フレーム50に対する可動持ち手20R、20Lの後方向への移動速度。
右可動持ち手位置(HPR):レール30Rにおける可動持ち手20Rの位置。
左可動持ち手位置(HPL):レール30Lにおける可動持ち手20Lの位置。
●[使用者の身体状態]
心拍数、体温:使用者の歩行支援装置10を使用している際の心拍数、体温。
●[歩行支援装置10の車体状態]
進行速度(VdR、VdL):後輪60RR、60RLのそれぞれにおける前方又は後方へ進行する進行速度(後輪60RR、60RLにおける回転数に相当)。
加速度:歩行支援装置10に加えられるX軸Y軸Z軸の3方向の軸のそれぞれに対して加速度。
角速度:X軸Y軸Z軸の3方向のそれぞれの軸を中心とした回転における角速度(ピッチ角速度、ヨー角速度、ロール角速度)。
累積の歩行時間:記憶手段44に記憶されている使用者の歩行支援装置10による歩行の累積時間。
累積の歩行距離:記憶手段44に記憶されている使用者の歩行支援装置10による歩行の累積距離。
の歩行、累積の歩行距離。
●[周りの雰囲気状態]
外気温:歩行支援装置10の周りの外気の温度。
●[コントロールパネル70からの出力情報]
メインスイッチ72の状態:歩行支援装置10のメインスイッチであり、ON(動作)又はOFF(停止)の状態。
モード手動切替手段76aの状態:使用者により選択された歩行支援装置10の動作モード。
モード自動切替手段スイッチ76bの状態:スイッチがON(動作モード自動切替動作)又はOFF(動作モード自動切替停止)の状態。
アシスト調整量:アシストモードにおけるアシスト力の大きさを調整する調整量。
負荷調整量:トレーニングモードにおける負荷の大きさを調整する調整量。
●[取得した各状態に基づき動作モードの判定(ステップS200)]
ステップS200(取得した各状態に基づき動作モードの判定)において、駆動制御手段40は、記憶手段44に記憶されている状態検出手段により取得した各状態を読出し、これらの情報に基づき図9に従って、条件の成立する動作モード(図8参照)を判定して、ステップS110(図10参照)へ進む。
ステップS110において、駆動制御手段40は、判定した動作モードがアシストモード3(AM3)の場合(Yes)は、ステップS300に進み、アシストモード3(AM3)でない場合(No)は、ステップS120に進む。
ステップS120において、駆動制御手段40は、判定した動作モードがトレーニングモード3(TR3)の場合(Yes)は、ステップS400に進み、トレーニングモード3(TR3)でない場合(No)は、ステップS130に進む。
ステップS130において、駆動制御手段40は、判定した動作モードがアシストモード2(AM2)の場合(Yes)は、ステップS500に進み、アシストモード2(AM2)でない場合(No)は、ステップS140に進む。
ステップS140において、駆動制御手段40は、判定した動作モードがトレーニングモード2(TR2)の場合(Yes)は、ステップS600に進み、トレーニングモード2(TR2)でない場合(No)は、ステップS150に進む。
ステップS150において、駆動制御手段40は、判定した動作モードがトレーニングモード1(TR1)の場合(Yes)は、ステップS700に進み、トレーニングモード1(TR1)でない場合(No)は、ステップS160に進む。
ステップS160において、駆動制御手段40は、判定した動作モードがアシストモード1(AM1)の場合(Yes)は、ステップS800に進み、アシストモード1(AM1)でない場合(No)は、ステップS170に進む。
ステップS170において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の目標進行速度=0に設定して(判定モード)、ステップS180に進む。
ステップS180において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の目標進行速度(VR、VL)を、前進の場合は前進の目標進行速度である目標前進速度(VfdR、VfdL)に、後進の場合は後進の目標進行速度である目標後進速度(VbdR、VbdL)に、それ以外は“0”に、なるように駆動手段64R、64Lをそれぞれ制御し後輪60RRと後輪60RLを駆動して、全体処理を終了する。
●[アシストモード3における処理(ステップS300)]
図11は、歩行支援装置10の駆動制御手段40におけるアシストモード3(AM3)の処理の手順を説明するフローチャートである(図1、図7、図8参照)。図11のフローチャートを用いて、ステップS300(アシストモード3における処理)を説明する。
ステップS310において、駆動制御手段40は、固定持ち手作用力検出手段81cからの情報に基づき固定持ち手20FR、20FLへの使用者の作用力が前方向の場合(Yes)は、ステップS320に進み、固定持ち手20FR、20FLへの使用者の作用力が前方向でない場合(No)は、ステップS330に進む。
ステップS320において、駆動制御手段40は、固定持ち手20FR、20FLへの作用力と負荷量・アシスト量変更手段74により導出されたアシスト量に応じた目標前進速度(VfdR、VfdL)を算出して、アシストモード3における処理(ステップS300)を終了し、全体処理へ戻る。
ステップS330において、駆動制御手段40は、固定持ち手20FR、20FLへの作用力と負荷量・アシスト量変更手段74により導出されたアシスト量に応じた目標後進速度(VbdR、VbdL)を算出して、アシストモード3における処理(ステップS300)を終了し、全体処理へ戻る。
アシストモード3(AM3)(図8参照)において、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)が無負荷状態の動作となるアシスト力よりも所定量大きいアシスト力で歩行支援装置10を進行させることができる。これにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)の負荷を軽減することができる。
●[トレーニングモード3における処理(ステップS400)]
図11は、歩行支援装置10の駆動制御手段40におけるトレーニングモード3(TR3)の処理の手順を説明するフローチャートである(図1、図7、図8参照)。図11のフローチャートを用いて、ステップS400(トレーニングモード3における処理)を説明する。なお、回生電力回収手段65は動作させており、使用者の作用力に応じて歩行支援装置10に対してアシスト力を発生させない。
ステップS410において、駆動制御手段40は、固定持ち手作用力検出手段81cからの情報に基づき固定持ち手20FR、20FLへの使用者の作用力が前方向の場合(Yes)は、ステップS420に進み、固定持ち手20FR、20FLへの使用者の作用力が前方向でない場合(No)は、ステップS430に進む。
ステップS420において、駆動制御手段40は、固定持ち手20FR、20FLへの作用力に応じた目標前進速度(VfdR、VfdL)を算出して、トレーニングモード3における処理(ステップS400)を終了し、全体処理へ戻る。
ステップS430において、駆動制御手段40は、固定持ち手20FR、20FLへの作用力に応じた目標後進速度(VbdR、VbdL)を算出して、トレーニングモード3における処理(ステップS400)を終了し、全体処理へ戻る。
トレーニングモード3(TR3)(図8参照)において、回生電力回収手段65を動作させながら歩行支援装置10を進行させるため、使用者は、アシストモード3(AM3)と比較して、歩行支援装置10を進行させるために、より強い力で歩行支援装置10を押したり又は引いたりする必要がある。これにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)に対して負荷を付与することができる。
●[アシストモード2における処理(ステップS500)]
図12は、歩行支援装置10の駆動制御手段40におけるアシストモード2(AM2)の処理の手順を説明するフローチャートである(図1、図7、図8参照)。図12のフローチャートを用いて、ステップS500(アシストモード2における処理)を説明する。
ステップS510において、駆動制御手段40は、モータ32R、32Lを駆動してレール30R、30Lにおける移動を持ち手移動制限手段35R、35Lにより制限して所定の位置に固定して、ステップS520へ進む。
ステップS520において、駆動制御手段40は、可動持ち手作用力検出手段81aからの情報に基づき可動持ち手20R、20Lへの使用者の作用力が前方向の場合(Yes)は、ステップS530に進み、可動持ち手20R、20Lへの使用者の作用力が前方向でない場合(No)は、ステップS540に進む。
ステップS530において、駆動制御手段40は、可動持ち手20R、20Lへの作用力と負荷量・アシスト量変更手段74により導出されたアシスト量に応じた目標前進速度(VfdR、VfdL)を算出して、アシストモード2における処理(ステップS500)を終了し、全体処理へ戻る。
ステップS540において、駆動制御手段40は、可動持ち手20R、20Lへの作用力と負荷量・アシスト量変更手段74により導出されたアシスト量に応じた目標後進速度(VbdR、VbdL)を算出して、アシストモード2における処理(ステップS500)を終了し、全体処理へ戻る。
アシストモード2(AM2)において、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)が無負荷状態の動作となるアシスト力よりも所定量大きいアシスト力で歩行支援装置10を進行させることができる。これにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)の負荷を軽減することができる。
●[トレーニングモード2における処理(ステップS600)]
図12は、歩行支援装置10の駆動制御手段40におけるトレーニングモード2(TR2)の処理の手順を説明するフローチャートである(図1、図7、図8参照)。図12のフローチャートを用いて、ステップS600(トレーニングモード2における処理)を説明する。なお、回生電力回収手段65は動作させており、使用者の作用力に応じて歩行支援装置10に対してアシスト力を発生させない。
ステップS610において、駆動制御手段40は、モータ32R、32Lを駆動してレール30R、30Lにおける移動を持ち手移動制限手段35R、35Lにより制限して所定の位置に固定して、ステップS620へ進む。
ステップS620において、駆動制御手段40は、可動持ち手作用力検出手段81aからの情報に基づき可動持ち手20R、20Lへの使用者の作用力が前方向の場合(Yes)は、ステップS630に進み、可動持ち手20R、20Lへの使用者の作用力が前方向でない場合(No)は、ステップS640に進む。
ステップS630において、駆動制御手段40は、可動持ち手20R、20Lへの作用力に応じた目標前進速度(VfdR、VfdL)を算出して、トレーニングモード2における処理(ステップS600)を終了し、全体処理へ戻る。
ステップS640において、駆動制御手段40は、可動持ち手20R、20Lへの作用力に応じた目標後進速度(VbdR、VbdL)を算出して、トレーニングモード2における処理(ステップS600)を終了し、全体処理へ戻る。
トレーニングモード2(TR2)(図8参照)において、回生電力回収手段65を動作させながら歩行支援装置10を進行させるため、使用者は、アシストモード2(AM2)と比較して、歩行支援装置10を進行させるために、より強い力で歩行支援装置10を押したり又は引いたりする必要がある。これにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)に対して負荷を付与することができる。
●[トレーニングモード1における処理(ステップS700)]
図13は、歩行支援装置10の駆動制御手段40におけるトレーニングモード1(TR1)の処理の手順を説明するフローチャートである(図1、図7、図8参照)。図13のフローチャートを用いて、ステップS700(トレーニングモード1における処理)を説明する。回生電力回収手段65は動作させており、使用者の作用力に対してアシスト力を発生させない。
ステップS702において、駆動制御手段40は、記憶手段44から歩行支援装置10の進行速度(VdR、VdL)を取得して、ステップS704に進む。
ステップS704において、駆動制御手段40は、可動持ち手20R、20Lの移動に負荷量・アシスト量変更手段74により導出された負荷量の負荷を付与するようにモータ32R、32Lを制御して、ステップS706に進む。
ステップS706において、駆動制御手段40は、可動持ち手移動量検出手段81bからの情報に基づき右の可動持ち手20Rと左の可動持ち手20Lの両方が移動している、つまり左右両方の腕の振りがある場合(Yes)は、ステップS1200(装置旋回力方向の判定)に進み、左右両方の腕の振りがない場合(No)は、ステップS1300(旋回の判定)に進む。
ステップS708において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“右”である場合(Yes)は、ステップS710に進み、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“右”でない場合(No)は、ステップS712に進む。
ステップS710において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR+ΔVα(所定の速度)に設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL-ΔVαに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。なお、ΔVαは、装置旋回力(ヨー角速度)の大きさに対応した所定の速度であり、あらかじめ記憶手段44に記憶されている。これにより、右の後輪60RRの回転数を左の後輪60RLの回転数より大きくして、右への装置旋回力を軽減する。
ステップS712において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“左”である場合(Yes)は、ステップS714に進み、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“左”でない場合(No)は、ステップS716に進む。
ステップS714において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR-ΔVαに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL+ΔVαに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。これにより、左の後輪60RLの回転数を右の後輪60RRの回転数より大きくして、右への装置旋回力を軽減する。
ステップS716において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“前”である場合(Yes)は、ステップS718に進み、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“前”でない場合(No)は、ステップS720に進む。
ステップS718において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR+ΔVαに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL+ΔVαに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS720において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR-ΔVαに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL-ΔVαに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS742において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向が“左旋回A”である場合(Yes)は、ステップS744に進み、歩行支援装置10の進行方向が“左旋回A”でない場合(No)は、ステップS746に進む。
ステップS744において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR+ΔVr(所定の速度)に設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdLに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。なお、ΔVrは、進行速度(VdR、VdL)に対応した所定の速度であり、あらかじめ記憶手段44に記憶されている。
ステップS746において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向が“右旋回A”である場合(Yes)は、ステップS748に進み、歩行支援装置10の進行方向が“右旋回A”でない場合(No)は、ステップS750に進む。
ステップS748において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR-ΔVrに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdLに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS750において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向が“左旋回B”である場合(Yes)は、ステップS752に進み、歩行支援装置10の進行方向が“左旋回B”でない場合(No)は、ステップS754に進む。
ステップS752において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdRに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL-ΔVrに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS754において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向が“右旋回B”である場合(Yes)は、ステップS756に進み、歩行支援装置10の進行方向が“右旋回B”でない場合(No)は、ステップS758に進む。
ステップS756において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdRに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL+ΔVrに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS758において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdRに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdLに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS722において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度と同じである場合(Yes)は、ステップS724に進み、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度と同じでない場合(No)は、ステップS726に進む。
ステップS724において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標前進速度VfdR=VdR’に設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標前進速度VfdL=VdL’に設定して、トレーニングモード1における処理(ステップS700)を終了して、全体処理に戻る。
ステップS726において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度より小さい場合(Yes)は、ステップS728に進み、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度より小さくない場合(No)は、ステップS730に進む。
ステップS728において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標前進速度VfdR=VdR’+ΔVd(所定の速度)に設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標前進速度VfdL=VdL’+ΔVd(所定の速度)に設定して、トレーニングモード1における処理(ステップS700)を終了して、全体処理に戻る。なお、ΔVdは、目標進行速度(VdR’、VdL’)を補正するため、目標進行速度の大きさに対応した所定の速度であり、あらかじめ記憶手段44に記憶されている。
ステップS730において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標前進速度VfdR=VdR’-ΔVdに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標前進速度VfdL=VdL’-ΔVdに設定して、トレーニングモード1における処理(ステップS700)を終了して、全体処理に戻る。
トレーニングモード1(TR1)(図8参照)は、可動持ち手20R、20Lの前後方向の移動に対してモータ32R、32Lにより負荷を付与して、歩行支援装置10を進行させることができる。これにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(腕振り)に対して負荷を付与することができる。
駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rが前方向に移動、かつ、左の可動持ち手20Lが後方向に移動していると検出した場合、左方向への装置旋回力を軽減するように、左の後輪60RLの回転数が、右の後輪60RRの回転数よりも大きくなるように制御する。駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rが後方向に移動、かつ、左の可動持ち手20Lが前方向に移動していると検出した場合、右方向への装置旋回力を軽減するように、右の後輪60RRの回転数が、左の後輪60RLの回転数よりも大きくなるように制御する。
駆動制御手段40は、可動持ち手20Lが停止し、可動持ち手20Rが後方に移動している場合(右旋回A)、又は、可動持ち手20Rが停止し、可動持ち手20Lが前方に移動している場合(右旋回B)と、を使用者が歩行支援装置10を右に旋回したいと所望していると判定する。駆動制御手段40は、右旋回Aと判定した場合、右の駆動輪である後輪60RRを目標進行速度(VdR)よりも所定の速度(ΔVr)小さくなるように駆動手段64Rを制御する。また、駆動制御手段40は、右旋回Bと判定した場合、左の駆動輪である後輪60RLを目標進行速度(VdL)よりも所定の速度(ΔVr)大きくなるように駆動手段64Lを制御する。
駆動制御手段40は、可動持ち手20Lが停止し、可動持ち手20Rが前方に移動している場合(左旋回A)、又は、可動持ち手20Rが停止し、可動持ち手20Lが後方に移動している場合(左旋回B)と、を使用者が歩行支援装置10を左に旋回したいと所望していると判定する。駆動制御手段40は、左旋回Aと判定した場合、右の駆動輪である後輪60RRを目標進行速度(VdR)よりも所定の速度(ΔVr)大きくなるように駆動手段64Rを制御する。また、駆動制御手段40は、左旋回Bと判定した場合、左の駆動輪である後輪60RLを目標進行速度(VdL)よりも所定の速度(ΔVr)小さくなるように駆動手段64Lを制御する。
歩行支援装置10の進行速度(VdR、VdL)と使用者の歩行速度が同じである場合、使用者が前後に振る腕の振り速度の大きさが同じであるとすると、前方向の評価速度Vhfdと後方向の評価速度Vhbdの大きさは同じになる。一方、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度より小さい場合、使用者の歩行速度と歩行支援装置10の進行速度との差により、前方向の評価速度Vhfdの大きさが後方向の評価速度Vhbdの大きさよりも大きくなる。従って、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度と使用者の歩行速度とのズレを補正するため、使用者の歩行速度が歩行支援装置10の進行速度よりも大きい場合、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR’+ΔVdに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL’+ΔVdに設定する。これにより、歩行支援装置10の進行速度と使用者の歩行速度のズレを補正することができる。
●[アシストモード1における処理(ステップS800)]
図14は、歩行支援装置10の駆動制御手段40におけるアシストモード1(AM1)の処理の手順を説明するフローチャートである(図1、図7、図8参照)。図14のフローチャートを用いて、ステップS800(アシストモード1における処理)を説明する。なお、アシストモード1の処理は、可動持ち手の移動をアシストするためのアシスト力を付与するようにモータ(32R、32L)を駆動する制御(ステップS804)を除き、ステップS700(トレーニングモード1における処理)と同じである。
ステップS802において、駆動制御手段40は、記憶手段44から歩行支援装置10の進行速度(VdR、VdL)を取得して、ステップS804に進む。
ステップS804において、駆動制御手段40は、可動持ち手20R、20Lの移動に負荷量・アシスト量変更手段74により導出されたアシスト量のアシスト力を付与するようにモータ32R、32Lを制御して、ステップS806に進む。
ステップS806において、駆動制御手段40は、可動持ち手移動量検出手段81bからの情報に基づき右の可動持ち手20Rと左の可動持ち手20Lの両方が移動している、つまり左右両方の腕の振りがある場合(Yes)は、ステップS1200(装置旋回力方向の判定)に進み、左右両方の腕の振りがない場合(No)は、ステップS1300(旋回の判定)に進む。
ステップS808において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“右”である場合(Yes)は、ステップS810に進み、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“右”でない場合(No)は、ステップS812に進む。
ステップS810において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR+ΔVα(所定の速度)に設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL-ΔVαに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。なお、ΔVαは、装置旋回力(ヨー角速度)の大きさに対応した所定の速度であり、あらかじめ記憶手段44に記憶されている。これにより、右の後輪60RRの回転数を左の後輪60RLの回転数より大きくして、右への装置旋回力を軽減する。
ステップS812において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“左”である場合(Yes)は、ステップS814に進み、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“左”でない場合(No)は、ステップS816に進む。
ステップS814において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR-ΔVαに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL+ΔVαに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。これにより、左の後輪60RLの回転数を右の後輪60RRの回転数より大きくして、左への装置旋回力を軽減する。
ステップS816において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“前”である場合(Yes)は、ステップS818に進み、歩行支援装置10の装置旋回力方向が“前”でない場合(No)は、ステップS820に進む。
ステップS818において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR+ΔVαに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL+ΔVαに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS820において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR-ΔVαに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL-ΔVαに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS842において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向が“左旋回A”である場合(Yes)は、ステップS844に進み、歩行支援装置10の進行方向が“左旋回A”でない場合(No)は、ステップS846に進む。
ステップS844において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR+ΔVr(所定の速度)に設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdLに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。なお、ΔVrは、進行速度(VdR、VdL)に対応した所定の速度であり、あらかじめ記憶手段44に記憶されている。
ステップS846において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向が“右旋回A”である場合(Yes)は、ステップS848に進み、歩行支援装置10の進行方向が“右旋回A”でない場合(No)は、ステップS850に進む。
ステップS848において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdR-ΔVrに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdLに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS850において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向が“左旋回B”である場合(Yes)は、ステップS852に進み、歩行支援装置10の進行方向が“左旋回B”でない場合(No)は、ステップS854に進む。
ステップS852において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdRに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL-ΔVr(所定の速度)に設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS854において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向が“右旋回B”である場合(Yes)は、ステップS852に進み、歩行支援装置10の進行方向が“右旋回B”でない場合(No)は、ステップS858に進む。
ステップS856において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdRに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdL+ΔVr(所定の速度)に設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS858において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標進行速度VdR’=VdRに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標進行速度VdL’=VdLに設定して、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)に進む。
ステップS822において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度と同じである場合(Yes)は、ステップS824に進み、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度と同じでない場合(No)は、ステップS826に進む。
ステップS824において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標前進速度VfdR=VdR’に設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標前進速度VfdL=VdL’に設定して、アシストモード1における処理(ステップS800)を終了して、全体処理に戻る。
ステップS826において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度より小さい場合(Yes)は、ステップS828に進み、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度より小さくない場合(No)は、ステップS830に進む。
ステップS828において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標前進速度VfdR=VdR’+ΔVd(所定の速度)に設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標前進速度VfdL=VdL’+ΔVdに設定して、アシストモード1における処理(ステップS800)を終了して、全体処理に戻る。なお、ΔVdは、目標進行速度(VdR’、VdL’)を補正するため、目標進行速度の大きさに対応した所定の速度であり、あらかじめ記憶手段44に記憶されている。
ステップS830において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の右の駆動輪である後輪60RRの目標前進速度VfdR=VdR’-ΔVdに設定し、左の駆動輪である後輪60RLの目標前進速度VfdL=VdL’-ΔVdに設定して、アシストモード1における処理(ステップS800)を終了して、全体処理に戻る。
アシストモード1(AM1)(図8参照)は、可動持ち手20R、20Lの前後方向の移動に対してモータ32R、32Lにより、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(腕振り)が無負荷状態の動作(腕振り)となるアシスト力よりも所定量大きいアシスト力を付与して、可動持ち手20R、20Lを移動させることができる。また、使用者の歩行に伴う使用者の身体の動作(歩行)が無負荷状態の動作(歩行)となるアシスト力よりも所定量大きいアシスト力で、歩行支援装置10を進行させることができる。
駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rが前方向に移動、かつ、左の可動持ち手20Lが後方向に移動していると検出した場合、右方向への装置旋回力を軽減するように、右の後輪60RRの回転数が、左の後輪60RLの回転数よりも大きくなるように制御する。駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rが後方向に移動、かつ、左の可動持ち手20Lが前方向に移動していると検出した場合、左方向への装置旋回力を軽減するように、左の後輪60RLの回転数が、右の後輪60RRの回転数よりも大きくなるように制御する。
●[装置旋回力方向の判定(ステップS1200)]
図15は歩行支援装置10の駆動制御手段40における装置旋回力方向の判定の処理の手順を説明するフローチャートである(図1、図7参照)。図15のフローチャートを用いて、ステップS1200(装置旋回力方向の判定)を説明する。
ステップS1202において、駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rと左の可動持ち手20Lにおける、前方評価速度(VRhf、VLhf)と後方評価速度(VRhb、VLhb)を含む使用者腕振り状態を記憶手段44から取得して、ステップS1204に進む。
ステップS1204において、駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rの前方評価速度の絶対値|VRhf|がΔVherrより大きい場合(Yes、右の可動持ち手20Rが前方に移動していると判定)は、ステップS1206に進み、絶対値|VRhf|がΔVherrより大きくない場合(No)は、ステップS1220に進む。なお、ΔVherrは、あらかじめ決められている所定の値であり、記憶手段44に記憶されている。
ステップS1206において、駆動制御手段40は、左の可動持ち手20Lの後方評価速度の絶対値|VLhb|がΔVherrより大きい場合(Yes、左の可動持ち手20Lが後方に移動していると判定)は、ステップS1210に進み、駆動制御手段40は、絶対値|VLhb|がΔVherrより大きくない場合(No)は、ステップS1208に進む。
ステップS1208において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向を“前”に設定して、装置旋回力方向の判定(ステップS1200)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS708へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS808に進む。この場合、使用者は、可動持ち手20R、20Lを前後方向に振ることなく把持した状態で、歩行支援装置10を前方に押しながら歩行している状態である(直進と判定)。
ステップS1210において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の動作モードが“アシストモード”である場合(Yes)は、ステップS1212に進み、“アシストモード”でない場合(No)は、ステップS1214に進む。
ステップS1212において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向を“右”に設定して、装置旋回力方向の判定(ステップS1200)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS708へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS808に進む。この場合、使用者は、可動持ち手20Rを前方向に振り、可動持ち手20Lを後方向に振っている状態であり、アシスト力の反作用として歩行支援装置10に右方向の装置旋回力が生じる状態である(右方向の装置旋回力と判定)。
ステップS1214において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向を“左”に設定して、装置旋回力方向の判定(ステップS1200)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS708へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS808に進む。この場合、使用者は、可動持ち手20Rを前方向に振り、可動持ち手20Lを後方向に振っている状態であり、負荷の反作用として歩行支援装置10に左方向の装置旋回力が生じる状態である(左方向の装置旋回力と判定)。
ステップS1220において、駆動制御手段40は、前方評価速度の絶対値|VLhf|がΔVherrより大きい場合(Yes、左の可動持ち手20Lが前方に移動していると判定)は、ステップS1222に進み、|VLhf|がΔVherrより大きくない場合(No)は、ステップS1224に進む。
ステップS1222において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の動作モードが“アシストモード”である場合(Yes)は、ステップS1226に進み、“アシストモード”でない場合(No)は、ステップS1228に進む。
ステップS1224において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向を“後”に設定して、装置旋回力方向の判定(ステップS1200)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS708へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS808に進む。この場合、使用者は、可動持ち手20R、20Lを前後方向に振ることなく把持した状態で、歩行支援装置10を後方に引いている状態である。
ステップS1226において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向を“左に設定して、装置旋回力方向の判定(ステップS1200)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS708へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS808に進む。この場合、使用者は、可動持ち手20Rを後方向に振り、可動持ち手20Lを前方向に振っている状態であり、アシスト力の反作用として歩行支援装置10に左方向の装置旋回力が生じる状態である(左方向の装置旋回力と判定)。
ステップS1228において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の装置旋回力方向を“右”に設定して、装置旋回力方向の判定(ステップS1200)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS708へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS808に進む。この場合、使用者は、可動持ち手20Rを後方向に振り、可動持ち手20Lを前方向に振っている状態であり、負荷の反作用として歩行支援装置10に右方向の装置旋回力が生じる状態である(右方向の装置旋回力と判定)。
駆動制御手段40は、アシストモードの場合、右の可動持ち手20Rが前方向に移動、かつ、左の可動持ち手20Lが後方向に移動していると検出した場合、右方向への装置旋回力が生じていると判定する。また、駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rが後方向に移動、かつ、左の可動持ち手20Lが前方向に移動していると検出した場合、左方向への装置旋回力が生じていると判定する。
駆動制御手段40は、トレーニングモードの場合、右の可動持ち手20Rが前方向に移動、かつ、左の可動持ち手20Lが後方向に移動していると検出した場合、左方向への装置旋回力が生じていると判定する。また、駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rが後方向に移動、かつ、左の可動持ち手20Lが前方向に移動していると検出した場合、右方向への装置旋回力が生じていると判定する。
●[旋回の判定(ステップS1300)]
図16は歩行支援装置10の駆動制御手段40における旋回の判定の処理の手順を説明するフローチャートである(図1、図7参照)。図16のフローチャートを用いて、ステップS1300(旋回の判定)を説明する。
ステップS1302において、駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rと左の可動持ち手20Lにおける、前方評価速度(VRhf、VLhf)と後方評価速度(VRhb、VLhb)を含む使用者腕振り状態を記憶手段44から取得して、ステップS1304に進む。
ステップS1304において、駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rの前方評価速度の絶対値|VRhf|がΔVherrより小さく、かつ、後方評価速度の絶対値|VRhb|がΔVherrより小さい場合(Yes、右の可動持ち手20Rが停止と判定)は、ステップS1320に進み、そうでない場合(No)は、ステップS1306に進む。なお、ΔVherrは、あらかじめ決められている所定の値であり、記憶手段44に記憶されている。
ステップS1306において、駆動制御手段40は、左の可動持ち手20Lの前方評価速度の絶対値|VLhf|がΔVherrより小さく、かつ、後方評価速度の絶対値|VLhb|がΔVherrより小さい場合(Yes、左の可動持ち手20Lが停止と判定)は、ステップS1310に進み、そうでない場合(No)は、ステップS1308に進む。
ステップS1308において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向を“直進”に設定して、旋回の判定(ステップS1300)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS742へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS842に進む。この場合、可動持ち手20Rと20Lが前後方向に移動している状態であり、駆動制御手段40は、使用者が直進を所望していると判定する(直進)。
ステップS1310において、前方評価速度の絶対値|VRhf|がΔVherrより大きい場合(Yes、右の可動持ち手20Rが前方に移動していると判定)は、ステップS1312に進み、絶対値|VRhf|がΔVherrより大きくない場合(No)は、ステップS1314に進む。
ステップS1312において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向を“左旋回A”に設定して、旋回の判定(ステップS1300)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS742へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS842に進む。この場合、可動持ち手20Lが停止し、可動持ち手20Rが前方に移動している状態であり、駆動制御手段40は、使用者が歩行支援装置10の左旋回を所望していると判定する(左旋回A)。
ステップS1314において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向を“右旋回A”に設定して、旋回の判定(ステップS1300)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS742へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS842に進む。この場合、可動持ち手20Lが停止し、可動持ち手20Rが後方に移動している状態であり、駆動制御手段40は、使用者が歩行支援装置10の右旋回を所望していると判定する(右旋回A)。
ステップS1320において、駆動制御手段40は、左の可動持ち手20Lの前方評価速度の絶対値|VLhf|がΔVherrより小さく、かつ、後方評価速度の絶対値|VLhb|がΔVherrより小さい場合(Yes、左の可動持ち手20Lが停止と判定)は、ステップS1324に進み、そうでない場合(No)は、ステップS1322に進む。
ステップS1322において、前方評価速度の絶対値|VLhf|がΔVherrより大きい場合(Yes、左の可動持ち手20Lが前方に移動していると判定)は、ステップS1326に進み、絶対値|VLhf|がΔVherrより大きくない場合(No)は、ステップS1328に進む。
ステップS1324において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向を“直進”に設定して、旋回の判定(ステップS1300)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS742へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS842に進む。この場合、可動持ち手20Rと20Lがともに停止している状態であり、駆動制御手段40は、使用者が旋回を所望していないとして判定する(直進)。
ステップS1326において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向を“右旋回B”に設定して、旋回の判定(ステップS1300)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS742へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS842に進む。この場合、可動持ち手20Rが停止し、可動持ち手20Lが後方に移動している状態であり、駆動制御手段40は、使用者が歩行支援装置10の右旋回を所望していると判定する(右旋回B)。
ステップS1328において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行方向を“左旋回B”に設定して、旋回の判定(ステップS1300)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS742へ進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS842に進む。この場合、可動持ち手20Rが停止し、可動持ち手20Lが前方に移動している状態であり、駆動制御手段40は、使用者が歩行支援装置10の左旋回を所望していると判定する(左旋回B)。
駆動制御手段40は、可動持ち手20Lが停止し、可動持ち手20Rが後方に移動している場合(右旋回A)、又は、可動持ち手20Rが停止し、可動持ち手20Lが前方に移動している場合(右旋回B)と、を使用者が歩行支援装置10を右に旋回したいと所望していると判定する。駆動制御手段40は、可動持ち手20Lが停止し、可動持ち手20Rが前方に移動している場合(左旋回A)、又は、可動持ち手20Rが停止し、可動持ち手20Lが後方に移動している場合(左旋回B)と、を使用者が歩行支援装置10を左に旋回したいと所望していると判定する。
●[歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定(ステップS1400)]
図17は歩行支援装置10の駆動制御手段40における歩行支援装置10の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定の処理の手順を説明するフローチャートである(図1、図7参照)。図17のフローチャートを用いて、ステップS1400(歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定)を説明する。
ステップS1402において、駆動制御手段40は、可動持ち手移動量検出手段81bからの情報に基づき右の可動持ち手20R又は左の可動持ち手20Lが移動している、つまり可動持ち手の振りが有る場合(Yes)は、ステップS1404に進み、左可動持ち手の振りがない場合(No)は、ステップS1430に進む。
ステップS1404において、駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rと左の可動持ち手20Lの両方が移動している、つまり左右両方の腕の振りがある場合(Yes)は、ステップS1406に進み、左右両方の腕の振りがない場合(No、)は、ステップS1408に進む。
ステップS1406において、駆動制御手段40は、左右の可動持ち手20R、20Lの評価速度(VRhf、VRhb、VLhf、VLhb)に基づいて、前方向の評価速度Vhfdと、後方向の評価速度Vhbdを、決定して、ステップS1414に進む。なお、右の可動持ち手20Rの移動量が“正”で、左の可動持ち手20Lの移動量が“負”の場合(使用者の右の腕が前方向に振られ、左の腕が後方向に振られている場合)、前方向の評価速度Vhfdは前方評価速度VRhfに、後方向の評価速度Vhbdは後方評価速度VLhbと決定される。また、右の可動持ち手20Rの移動量が“負”で、左の可動持ち手20Lの移動量が“正”の場合(使用者の左の腕が前方向に振られ、右の腕が後方向に振られている場合)、前方向の評価速度Vhfdは前方評価速度VLhfに、後方向の評価速度Vhbdは後方評価速度VRhbと決定される。
ステップS1408において、駆動制御手段40は、可動持ち手移動量検出手段81bからの情報に基づき右の可動持ち手20Rだけが移動している、つまり右の腕の振りである場合(Yes)は、ステップS1410に進み、右の腕の振りでない場合(No)は、ステップS1412に進む。
ステップS1410において、駆動制御手段40は、右の可動持ち手20Rの評価速度(前方評価速度VRhf、後方評価速度VRhb)に基づいて前方向の評価速度(Vhfd=VRhf)と後方向の評価速度(Vhbd=VRhb)を決定して、ステップS1414に進む。
ステップS1412において、駆動制御手段40は、左の可動持ち手20Lの評価速度(前方評価速度VLhf、後方評価速度VLhb)に基づいて前方向の評価速度(Vhfd=VLhf)と後方向の評価速度(Vhbd=VLhb)を決定して、ステップS1414に進む。
ステップS1414において、駆動制御手段40は、前方向の評価速度Vhfdと後方向の評価速度Vhbdの差の絶対値|Vhfd+Vhbd|があらかじめ設定されているΔVerrより小さい場合(Yes)は、ステップS1418に進み、|Vhfd+Vhbd|があらかじめ設定されているΔVerrより小さくない場合(No)は、ステップS1420に進む。なお、前方向の評価速度Vhfdを“正”とし、後方向の評価速度Vhbdを“負”としているため、これらの差は、これらの和(Vhfd+Vhbd)となる。
ステップS1418において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度を“使用者の歩行速度と同じ”に設定して、歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定(ステップS1400)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS722に進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS822に進む。
ステップS1420において、駆動制御手段40は、前方向の評価速度の絶対値|Vhfd|が後方向の評価速度の絶対値|Vhbd|より大きい場合(Yes)は、ステップS1422に進み、前方向の評価速度の絶対値|Vhfd|が後方向の評価速度の絶対値|Vhbd|より大きくない場合(No)は、ステップS1424に進む。
ステップS1422において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度を“使用者の歩行速度より小さい”に設定して、歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定(ステップS1400)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS722に進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS822に進む。
ステップS1424において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度を“使用者の歩行速度より大きい”に設定して、歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定(ステップS1400)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS722に進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS822に進む。
ステップS1430において、駆動制御手段40は、右可動持ち手位置HPRと左可動持ち手位置HPLに基づき可動持ち手20R、可動持ち手20Lがレール30R、30Lの後方に位置していると判定した場合(Yes)は、ステップS1432に進み、前方に位置していると判定しない場合(No)は、ステップS1434に進む。
ステップS1432において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度を“使用者の歩行速度より小さい”に設定して、歩行支援装置10の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定(ステップS1400)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS722に進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS822に進む。
ステップS1436において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度を“使用者の歩行速度より大きい”に設定して、歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定(ステップS1400)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS722に進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS822に進む。
ステップS1438において、駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度を“使用者の歩行速度と同じ”に設定して、歩行支援装置の進行速度と使用者の歩行速度とのズレ判定(ステップS1400)を終了して、ステップS700において呼ばれた場合はステップS722に進み、ステップS800において呼ばれた場合はステップS822に進む。
歩行支援装置10の進行速度(VdR、VdL)と使用者の歩行速度が同じである場合、使用者が前後に振る腕の振り速度の大きさが同じであるとすると、前方向の評価速度Vhfdと後方向の評価速度Vhbdの大きさは同じになる。一方、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度より小さい場合、使用者の歩行速度と歩行支援装置10の進行速度との差により、前方向の評価速度Vhfdの大きさが後方向の評価速度Vhbdの大きさよりも大きくなる。歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度より大きい場合、使用者の歩行速度と歩行支援装置10の進行速度との差により、前方向の評価速度Vhfdの大きさが後方向の評価速度Vhbdの大きさよりも小さくなる。駆動制御手段40は、歩行支援装置10の進行速度(VdR、VdL)が使用者の歩行速度より小さい場合、歩行支援装置10の進行速度(VdR、VdL)を増加させて、歩行支援装置10の進行速度が使用者の歩行速度より大きい場合、歩行支援装置10の進行速度を減少させる。これにより、歩行支援装置10の進行速度と使用者の歩行速度とのズレを補正して、使用者が前後に振る腕の振り速度に応じて、歩行者の歩行支援装置10の進行を適正に制御できる。
また、使用者が前後に腕を振らない場合、例えば、歩行支援装置10を従来の歩行器のように、両手で押して歩行する場合や、両手で引いている場合でも、可動持ち手20R、20Lのレール30R、30Lにおける位置が前後方向の中央になるように、歩行支援装置10の進行速度を制御する。これにより、歩行支援装置10の進行速度と使用者の歩行速度とのズレを補正して、使用者が前後に腕を振らない場合であっても、歩行者の歩行支援装置10の進行を適正に制御できる。
●[動作モードを自動で切り替える場合の処理(図18、図19)]
図18は、身体状態と雰囲気状態と車体状態に基づいて動作モードを移行するモード移行条件を説明する図である。図19は、動作モードを自動で切り替える場合における各動作モードへ移行する条件を説明する図である。モード自動切替手段スイッチ76bがオンの場合、駆動制御手段40は、モード手動切替手段76aで選択された情報を基に、図10のステップS200(取得した各状態に基づき動作モードの判定)において、図9と、図18と、図19と、において示した条件に従って動作モードを判定する。
駆動制御手段40は、条件S1~条件S6のいずれか一つが成立した場合、動作モードを各条件に対応した動作モードにする。なお、図18と図19において、“-”は、状態が“0”又は“1”のどちらでも良いことを示している。
図18において、モード移行条件は、身体状態と、雰囲気状態と、車体状態と、に基づいて決められる。駆動制御手段40は、全ての状態が“1”の場合のみモード移行条件を“1=異常無”とし、いずれかの条件が“0”である場合には、“0=異常有”とする。
身体状態は、例えば、使用者の心拍数、体温である。駆動制御手段40は、心拍数体温センサー27a、27bで取得した心拍数、体温を記憶手段44にあらかじめ記憶されている所定の値と比較して、その所定の値を超えた場合“異常=0”と、それ以外の場合を“正常=1”とする。
雰囲気状態は、例えば、外気温である。駆動制御手段40は、外気温センサー54で取得した外気温を記憶手段44にあらかじめ記憶されている所定の値と比較して、その所定の値を超えた場合“不快=0”と、それ以外の場合を“快適=1”とする。
車体状態は、例えば、車体の傾斜、車体への衝撃(体に加えられた加速度の変化)、歩行距離、歩行時間である。駆動制御手段40は、3軸加速度・角速度センサー52で取得した情報に基づいて、記憶手段44にあらかじめ記憶されている所定の値と比較して、車体の傾斜が所定の値を超えた場合“有=0”と、それ以外の場合を“無=1”とする。駆動制御手段40は、3軸加速度・角速度センサー52で取得した情報に基づいて、記憶手段44にあらかじめ記憶されている所定の条件と比較して、条件を満たす場合は車体への衝撃“有=0”と、それ以外の場合を“無=1”とする。
駆動制御手段40は、歩行距離が記憶手段44に記憶された歩行距離の履歴に基づいて、所定の距離よりも長い場合は“長=0”と、それ以外の場合を“短=1”とする。駆動制御手段40は、歩行時間が記憶手段44に記憶された歩行時間の履歴に基づいて、所定の時間よりも長い場合は“長=0”と、それ以外の場合を“短=1”とする。
図19において、駆動制御手段40は、条件S1~条件S6に基づいて、図8におけるアシストモード3(AM3)とトレーニングモード3(TR3)の間、アシストモード2(AM2)とトレーニングモード2(TR2)の間、又は、トレーニングモード1(TR1)とアシストモード1(AM1)の間を切り替える。
条件S1と条件S2は、トレーニングモード1(TR1)とアシストモード1(AM1)の間における、動作モードの判定を切り替える条件である。モード手動切替手段76aが”トレーニングモード1”で、可動持ち手把持状態が“1=把持有”で、腕振り状態が“1=有”で、固定持ち手把持状態が“0=把持無”で、モード移行条件が“1=異常無”の場合、条件S1が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをアシストモード1(AM1)からトレーニングモード1(TR1)へ遷移させる。モード手動切替手段76aが”トレーニングモード1”で、可動持ち手把持状態が“1=把持有”で、腕振り状態が“1=有”で、固定持ち手把持状態が“0=把持無”で、モード移行条件が“0=異常有”の場合、条件S2が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをトレーニングモード1(TR1)からアシストモード1(AM1)へ遷移させる。
条件S3と条件S4は、アシストモード2(AM2)とトレーニングモード2(TR2)の間における、動作モードの判定を切り替える条件である。モード手動切替手段76aが”トレーニングモード2”で、可動持ち手把持状態が“1=把持有”で、腕振り状態が“0=無”で、固定持ち手把持状態が“0=把持無”で、モード移行条件が“1=異常無”の場合、条件S3が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをアシストモード2(AM2)からトレーニングモード2(TR2)へ遷移させる。モード手動切替手段76aが”トレーニングモード2”で、可動持ち手把持状態が“1=把持有”で、腕振り状態が“0=無”で、固定持ち手把持状態が“0=把持無”で、モード移行条件が“0=異常有”の場合、条件S4が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをトレーニングモード2(TR2)からアシストモード2(AM2)へ遷移させる。
条件S5と条件S6は、アシストモード3(AM3)とトレーニングモード3(TR3)の間における、動作モードの判定を切り替える条件である。モード手動切替手段76aが”トレーニングモード2”で、可動持ち手把持状態が“0=把持無”で、腕振り状態が“0=無”で、固定持ち手把持状態が“1=把持有”で、モード移行条件が“1=異常無”の場合、条件S5が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをアシストモード3(AM3)からトレーニングモード3(TR3)へ遷移させる。モード手動切替手段76aが”トレーニングモード2”で、可動持ち手把持状態が“0=把持無”で、腕振り状態が“0=無”で、固定持ち手把持状態が“1=把持有”で、モード移行条件が“0=異常有”の場合、条件S6が成立して、駆動制御手段40は、動作モードをトレーニングモード3(TR3)からアシストモード3(AM3)へ遷移させる。
●[本願の効果]
以上に説明したように、歩行支援装置は、アーム部に対する把持部の前方又は後方への使用者の腕の振りに起因する歩行支援装置を旋回させる力である装置旋回力を計測し、装置旋回力を軽減するように駆動手段を制御して、駆動輪を駆動する。これにより、使用者の歩行を支援することと、使用者の左右の腕の振りによる歩行支援装置に生じる旋回力を軽減(抑制)することとができる。
本発明の、歩行支援装置は、本実施の形態で説明した構成、構造、形状、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態では、歩行支援装置を四輪車として2個の駆動輪を設けた例を説明したが、歩行支援装置を三輪車にして、左右の二輪を駆動輪とし、残りの一輪をキャスタ輪としてもよい。また、本発明は、自立歩行を支援する歩行車、高齢者の歩行を補助するとともに荷物を積載可能なシルバーカー、手押し車にも適用できる。
本実施の形態の説明では、評価速度の算出を積分を用いて算出したが、その他の方法により求めても良い。また、フローチャートにおける処理の順番は、本実施の形態で示した順番に限定されず、作用効果を維持できる範囲内で変更できる。