JP7098250B2 - 地盤変位抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基礎工事や地盤改良において、その隣接地の既設構造物や地盤に変位を与えないようにする地盤変位抑制方法に関する。
サンドコンパクションパイル(SCP)工法や高圧噴射工法等により地盤改良する際は、その隣接地の既設構造物や周辺地盤に変位を与えるため、施工域と変位対象物の間を形成している変位伝達経路に図6(これは特許文献1に開示のものである)に例示されるような地盤変位抑制方法が採用される。
(1)同(a)の抑制構成は、変位伝達経路に鋼矢板20を埋設し変位要因を遮断したり分断する方法である。この構成では鋼矢板に代えて固化改良体とする態様もある。
(2)同(b)の抑制構成は、変位伝達経路に設けた縦穴21で変位要因を吸収する方法である。この構成では、縦穴に代えて掘削により穴内を単にほぐした態様(以下、この構成を緩衝杭という)、特許文献2に開示のごとく縦穴に細長い単一の袋体を埋設し、該袋体内に流体を充填した態様もある。
(3)同(c)の抑制構成は、文献2の態様だと、深度によって異なる地盤変位が発生すると、袋体のうち大きな地盤変位を受ける箇所のみが大きく変位し、その箇所が最大変位量に達し、この最大変位量に達した後も地盤変位を受けると、地盤変位が隣接地に伝達されるためその対策である。構成特徴は、縦穴上下方向に積層状態で埋設され、それぞれ流体を充填した複数の可撓性袋体2と、複数の袋体2の圧力をそれぞれ調整可能な圧力調整手段3と、地盤中の深度毎の地盤変位を検出する地盤変位検出手段4と、その検出状態に基づいて圧力調整手段3を制御する制御手段6とを備えている。
特許第4459021号公報 特開2001-152476号公報
上記従来の地盤変位抑制のうち、上記(1)の構成では地盤変位により鋼矢板の固定力を超える地盤圧力を受けると低減抑制効果が低くなり、また、使用後の現場回復作業では鋼矢板等を撤去しなくてはならず費用と手間が係る。上記(2)のうち、縦穴だけの構成では崩れ易く補修が困難であり、緩衝杭の構成では抑制効果が不十分であった。また、上記(3)の構成では縦穴形成、複数の袋体積層、地盤変位検出手段の設置及び圧力調整手段との連繋など複雑化し高価となる。
本発明の目的は、以上のような背景から、上記(2)及び(3)のように変位伝達経路で変位要因を吸収する地盤変位抑制方法として、より吸収効率を向上し、また、使用後の現場回復を比較的簡単に行えるようにすることにある。他の目的は、以下の内容説明のなかで明らかにする。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、地盤改良域と隣接する既設構造物又は周辺地盤との間に変位吸収杭を設け、該変位吸収杭により地盤改良に伴う地盤変位や振動を抑制する地盤変位抑制方法において、前記変位吸収杭は、地盤下の原位置土に注入処理液を吐出して混入ないしは含浸させることで作成されて、弾性杭状をなし、地盤改良に伴う地盤変位や振動の吸収により一部が地表側へ押し出されることを特徴としている。
以上の本発明は、以下の請求項のごとく具体化されることがより好ましい。すなわち、
(ア)請求項2の発明は、前記変位吸収杭は、高吸水性高分子を水に混ぜてゲル状に処理すると共に、流動化剤を混入して圧送ポンプにより配管を通して移送可能に処理した前記注入処理液を用いて、昇降及び回転される貫入部材により地盤を掘削しながら所定深さまで貫入し、該貫入又は/及び引き抜き過程で掘削によりほぐされる原位置土に前記注入処理液を吐出して混入ないしは含浸させることにより作成される構成である。ここで、高吸水性高分子は、例えば実施例で使用したポリアクリル酸塩系高吸収性樹脂であり、吸水力(量)が水中で自重の100倍以上のものが好ましい。また、この構成では、高吸水性高分子を充分な水を用いることなく、つまりゲル状に処理することが重要となる。これは高吸水性高分子として水と反応する部分を残すためである。また、この構成では、ゲル状の高吸収性高分子溶液をポンプ圧送可能にするため流動化剤を混入することも重要となる。なお、貫入部材は、例えば杭基礎などの施工に使われるオーガ(オーガ削孔機)、それに類似の掘削機である。通常は、オーガ先端側より本発明の注入処理液を吐出できる構成である。
(イ)請求項3の発明は、前記貫入部材の貫入速度と前記注入処理液の吐出流量により前記原位置土に対する前記注入処理液の注入率を40~100%の範囲に収まるよう調整管理する構成である。この注入率の範囲は、一般的に高い程好ましいが、40%よりも低くなると変位吸収度合いが悪くなるため下限値以上になるよう調整することである。
(ウ)請求項4の発明は、前記変位吸収杭の含有水を排水可能にする強制排水剤の水溶液である強制排水剤溶液に、前記流動化剤の粘性を損失可能にする塑性化剤を混入した復元溶液を用いて、該復元溶液を地中に作成された前記変位吸収杭に吐出して混入ないしは含浸させることにより使用後の変位吸収杭のN値を上げるよう復元処理する構成である。この強制排水剤は、変位吸収杭に含浸されている水を強制的に排出する塩化カルシウムなどの添加剤である。塑性化剤は、原位置土が流動化剤で流動化された状態から元の性状に戻すための添加剤である。
請求項1の発明は、地盤変位吸収用の変位吸収杭により地盤変位を吸収する点から上記(2)の緩衝杭と同様なタイプとなる。しかし、本発明の変位吸収杭は、弾性杭状をなしており、地盤改良に伴う地盤変位や振動の吸収により変位吸収杭の一部が地表側へ押し出される。この結果、本発明の変位吸収杭では、変位吸収作用が目視で確認可能となる。この点は、従来の緩衝杭では期待できず、目視確認により信頼性が得られる。
請求項2の発明では、本発明の変位吸収杭の造成は高吸水性高分子のゲル状水溶液に流動化剤を混入してポンプ圧送可能に処理した注入処理液を用いて、該注入処理液を、貫入部材により地盤を掘削しながら所定深さまで貫入又は/及び引き抜き過程で掘削によりほぐされる原位置土に吐出して混入ないしは含浸させる。このため、本発明の変位吸収杭は、通常の基礎工事や地盤改良に用いられるオーガ削孔機や機械攪拌式柱状改良機等を用いて容易に作成できる。この変位吸収杭の利点は、図1及び図2に示されるごとく上記したスパイラルで単にほぐしただけの緩衝杭に比べ地盤変位吸収作用を向上でき、また、使用後の現状回復操作が請求項4から分かるごとく容易となる。
請求項3の発明は、請求項1の変位吸収杭として、原位置土に対する請求項1の注入処理液を、注入率40~100%の範囲に収まるよう調整することが地盤変位を最も効率よく吸収できる。この注入率の下限値は、対象の地盤改良域の土質性状などによっても変化するが、本発明者らが行った各種試験及び経験則から最適と判断された値である。
請求項4の発明は、変位吸収杭を使用した後、元の地盤状態ないしはそれに近い状態まで回復する操作として、例えば請求項1の注入処理液を原位置土に混入ないしは含浸させる操作で使用したオーガ削孔機などの機器類を用いて、強制排水剤溶液に塑性化剤を混入した復元溶液を地中の変位吸収杭中に吐出して混入ないしは含浸させるため経費を抑えて容易に復元操作できる。
本発明の地盤変位抑制方法による変位吸収杭と従来の緩衝杭(スパイラルで単にほぐしただけのもの)の水平方向の変位吸収効果を比較した一例を示すグラフである。 上記変位吸収杭と従来の緩衝杭(スパイラルで単にほぐしただけのもの)の鉛直方向の変位吸収効果を比較した一例を示すグラフである。 図1及び図2の変位吸収効果を調べたときの試験条件を模式的に示し、(a)は平面図、(b)は鉛直方向の断面図である。 図1及び図2の地盤変位抑制方法による変位吸収杭と復元処理後のもの深度-N値(換算N値)を比較した一例を示すグラフである。 (a)は砂杭造成前状態における変位吸収杭の模式断面図、(b)は砂杭造成状態における変位吸収杭の模式断面図である。 (a)から(c)は特許文献1に開示されている図5及び図6と図1である。
以下、本発明の地盤変位抑制方法の具体的構成を明らかにする。この説明では、本発明の地盤抑制方法を実施例で行った図3を参照して説明した後、本発明方法の変位吸収杭と比較例として従来のオーガ削孔機のスパイラルで単にほぐしただけの緩衝杭の変位吸収効果を調べたときの実施例1、変位吸収杭を復元処理する実施例2について述べる。
(地盤変位抑制用変位吸収杭)図3において、この地盤変位抑制方法は、図1や図2の地盤変位対策効果を調べたときの現場実験状況を模式的に示しており、地盤改良域Aと隣接する既設構造物又は周辺地盤Bとの間に変位吸収用の変位吸収杭2を複数本設け、それら変位吸収杭2により地盤改良に伴う地盤変位や振動を抑制する構成である。要部の変位吸収杭2は、予め作った所定の注入処理液を、例えば土木工事用の昇降機構により貫入されたり引き抜かれる貫入部材として、オーガ削孔機のスパイラルを介して地盤下の原位置土に混入して形成される。すなちわ、各変位吸収杭2は、昇降及び回転されるオーガ削孔機のスパイラルにより地盤を掘削しながら所定深さまで貫入し、該貫入又は/及び引き抜き過程で掘削によりほぐされる原位置土に注入処理液を吐出して混入ないしは含浸させることにより作成される。
ここで、前記注入処理液は、高吸水性高分子を水に混ぜてゲル状つまり寒天やプリン等のごとく半固体状で流動性がない状態に処理した後、該ゲル状の高吸水性高分子に流動化剤を混入して圧送ポンプにより配管を通して移送可能に処理したものである。以下、使用される高吸水性高分子と水及び流動化剤の選択基準や作用について明らかにする。
(1)高吸水性高分子(Super Absorbent Polymer、以下、SAPという)は、例えば紙おむつ等の吸収体として用いられ、高い水分保持性能を有する高分子であり、吸収性ポリマー、高吸収性樹脂、高分子吸収体などと称されることもある。このSAPは、親水性の直鎖状あるいは分子状高分子の架橋体であり、吸水力が高く増粘性及び凝集性並びに分散性を有さないか極低いものが用いられる。また、SAPは、一般的に吸水力(量)が水中で自重の10倍以上のものとされているが、吸水力(量)が水中で自重の100倍ないしはそれ以上に高いものを用いることが好ましい。
すなわち、吸水性高分子のうち、合成ポリマー系のSAPには、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリエチレンオキシド系などが知られているが、用途に応じて、幹となる親水樹脂鎖の種類を変えることで水に対する吸収能力を変化させることができ、架橋密度を変えることで水を吸って膨潤したゲルの強度を変えることができる。そのため、例えば、ポリアクリル酸塩系の吸水性ポリマーと言っても、分散性を有したり吸水力が自重の10倍より小さいものもある。本発明では、そのような吸水力の小さい吸水性ポリマーは除外され、吸水力が水中で自重の10倍以上、好ましくは100倍かそれ以上のSAP、例えばポリアクリル酸塩系SAPなどを用いる。市販品としては、例えば、実施例で用いた株式会社ハイモ製のポリアクリル酸架橋タイプの『ハイモサブ300』が挙げられる。これは、白色粉状であり、吸水力(量)が水中で300倍以上である。
(2)水は、高吸水性高分子がゲル状を呈する量だけ使用される。この場合、高吸水性高分子は自重の数百倍から約千倍までの水を吸収したり保持できるが、水の中にナトリウムやカリウムなどの陽イオンが存在すると吸収力が著しく低下する。このため、使用する水は、高吸水性高分子に影響する多様な成分を含む工業用水や海水は避けて、中性の水道水を用いることが好ましい。
(3)流動化剤は、水に加えたゲル状の高吸水性高分子の粘性を高め、水の分離を抑制してポンプ圧送性を向上させる添加剤である。好ましくは、粘性を高め水の分離を抑制するアニオン系高分子凝集剤であり、他にノニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤などでもよい。これらは、高分子の親水基と高分子の網の内部に水分を保持する性能に優れている。なお、アニオン系高分子凝集剤としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリルアミド2-メチルプロパンスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸などの単独重合体あるいはアクリルアミドとの共重合体が挙げられる。
次に、本発明の注入処理液の好適な配合例及び作成方法について述べる。まず、SAPに対する水の配合量は、SAPの種類によっても異なるが、SAPがゲル状を呈するようになる割合である。実施例では、ミキサー内に1,000L当たりの水を入れ、そこに10kgのSAP(ハイモサブ300)を投入し攪拌させることで吸水したSAPがゲル状を呈した。また、ゲル状となったSAPに対する流動化剤の配合量は、ポンプ圧送可能な流動化を保つようになる割合である。流動化剤が少な過ぎると流動化せず、配管内で分離したり目詰まりしたりして圧送不能となり、逆に多過ぎても流動化効果は変わらず、却ってコストを上昇させることになる。実施例では、ミキサー内のゲル状のSAPに5kgの流動化剤(アニオン系高分子凝集剤)を投入し攪拌することで、ポンプ圧送可能な流動性の注入処理液を作成した。
変位吸収杭の造成では、例えば、オーガ削孔機ないしはそれに類似の掘削機が用いられ、オーガ先端側より本発明の注入処理液を吐出させて地盤下の原位置土に混入ないしは含浸させる。実施例では、オーガ削孔機(スパイラルの直径500mm)により地盤を掘削しながら所定深さまで貫入し、該貫入過程で掘削によりほぐされる原位置土に注入処理液を吐出して混入ないしは含浸させることで変位吸収杭2を作成した。この場合、注入処理液の注入率は、貫入速度と注入量で管理され、通常は40~100%の範囲、より好ましくは約60%である。なお、注入処理液の吐出は、貫入及び引き抜き過程、或いは引き抜き過程でもよい。作成された変位吸収杭2は、柔らかいゴムのような性状で、指で押すと反力を感じる。また、絞っても容易には脱水されない。硬さは図4に示されるごとく換算N値で深度2~5mにおいて約1以下と小さくなっている。
(変位吸収杭の原地盤への復元方法)使用後の変位吸収杭2は、図4に示されるごとくそのN値(換算N値)が約1以下になっているため復元処理することが好ましい。この復元操作では、変位吸収杭2の含有水を排水可能にする強制排水剤の水溶液である強制排水剤溶液に、流動化剤の粘性を損失可能にする塑性化剤を混入した復元溶液を使用する。この復元溶液は、地中に作成された変位吸収杭2中に吐出して混入ないしは含浸されることにより、変位吸収杭2を元の地盤ないしはそれに近い状態まで復元可能となる。
ここで、強制排水剤は、変位吸収杭に含浸されている水を強制的に排出する塩化カルシウム、塩化ナトリウムなどの塩である。作用的には、例えば、ポリアクリル酸塩系SAPが水を吸収すると、イオンを電離するが、強制排水剤の水溶液である強制排水剤溶液を外からかけると、分子内外のイオン濃度は外では濃く、内では薄くなるため、浸透圧により水が内から外へでていく現象を応用する。なお、強制排水剤としては、塩化マグネシウムや塩化アルミニウムなどでも差し支えない。
塑性化剤は、原位置土に混入された流動化剤とイオン的に吸着することで不溶化し粘性を損失させる。例えば、流動化剤がアニオン系高分子剤の場合には分子量10~10のカチオン系高分子剤を、流動化剤がカチオン系高分子剤の場合には分子量10~10のアニオン系高分子剤を利用する。これは、電気的に流動化剤を中和させて水と分離させて元の土に戻す。すなわち、土の粒子間の間隙水は、粘性のない通常の水に戻り土粒子の摩擦は回復する。この添加量は、少な過ぎると、流動化土が塑性化せず、添加が多過ぎるとコスト的に高くなる。
次に、復元溶液の作成方法として、実施例では、ミキサー内に1,000Lの水を入れ、そこに塩化カルシウム100kgと、塑性化剤8kgを投入し攪拌して作成した。施工方法は、オーガ削孔機が用いられ、オーガ先端側より復元溶液を吐出しながら貫入させる。この場合、復元溶液の注入率は、貫入速度と注入量で管理され、通常は5~15%の範囲、より好ましくは約10%である。なお、復元溶液の吐出は、貫入及び引き抜き過程、或いは引き抜き過程でもよい。以上の復元処理により、変位吸収杭2のN値(換算N値)は図4より深度-0.5~-5.0mにおいて約2.5以上の硬さとなる。
(実施例1)この実施例1は、図3において、地盤改良域Aと既設構造物又は周辺地盤B(以下、周辺地盤Bという)の境界に本発明の変位吸収杭2を等間隔に6本造成した。周辺地盤Bには、6本の変位吸収杭2の中間位置(端から3番目と4番目の間)で、同図のごとく直線上にあって1000mm間隔で4本の地表面変位計4を設置した。その後、地盤改良域Aには、同図のごとく砂圧入式静的締固め工法により3列で各3本づつ、合計9本の砂杭1を打設した。1列目の砂杭1は変位吸収杭2の杭芯から1000mm、2列目の砂杭1は1列目の砂杭2から1700mm、3列目の砂杭1は2列目の砂杭2から1700mm離れている。各列において、3本の砂杭1は、6本の変位吸収杭2のうち、端から1番目と2番目の間、端から3番目と4番目の間、端から5番目と6番目の間に打設されている。
一方、比較例としては、以上の実施例用エリアとは別の比較例用エリアにおいて、図3の変位吸収杭2に代えて、従来のオーガ削孔機のスパイラルで単にほぐしただけの緩衝杭3と砂杭1を、実施例の変位吸収杭2と砂杭1と同じ条件で打設した。勿論、比較例用エリアは、地盤性状ないしは状態が実施例用エリアと同じである。
(結果)図1及び図2は以上の実施例と比較例の試験結果をグラフに示している。図1と図2は、1列の砂杭1の杭芯からの離間距離2m、3m、4m、5mの箇所において、各地表面変位計4で計測された水平変位(mm)と鉛直変位(mm)を示している。水平変位としては、図1により、1列目の砂杭1の杭芯から2m離間した箇所と3m離間した箇所で比較すると、変位吸収杭2では約11mmと9mm変位するのに対し、緩衝杭3では約20mmと19mm変位する。従って、変位吸収杭2では、緩衝杭3に比べ地盤抑制効果として水平変位で約2倍の抑制効果が得られる。鉛直変位としては、図2により、1列目の砂杭1の杭芯から2m離間した箇所と3m離間した箇所で比較すると、変位吸収杭2では約5mmと4mm変位するのに対し、緩衝杭3では約14mmと7mm変位する。従って、変位吸収杭2では、緩衝杭3に比べ地盤抑制効果として鉛直変位でも約2倍以上の抑制効果が得られる。
ところで、以上の各変位吸収杭2は、砂杭1の造成に起因した地盤変位などを吸収するが、その吸収に伴って変位吸収材料(原位置土に本発明の注入処理液を混入ないしは含浸させたもの)の一部が地表面に絞り出されるようにして押し出される。図5はその現象を模式的に示したものである。同(a)の模式断面図は、上記した要領にて造成した変位吸収杭2を示しているが、隣接地の地盤改良域Aには砂杭1を未だ打設していない状態である。同(b)の模式断面図は、地盤改良式Aに所定本数の砂杭1を造成した状態での変位吸収杭2の弾性変形を模式化したものである。
この構成では、変位吸収杭2が砂杭造成に伴う地盤変位や振動に起因した変位応力(対応側面に加わる負荷ないしは変位応力)により砂杭1の片側ないしは対応側面から全体ないしは局部的に押圧され、それに伴って一部を地表面より押し出す。換言すると、この現象は、従来の緩衝杭3では生じないことから、変位吸収杭2の物性の一つである流動性と共に弾性杭状に基づくものである。弾性杭状は、例えば、変位吸収杭を手で触ると、ネバネバ感ないしは弾性感を与える。
(実施例2)この実施例2は、上記実施例1と同様に複数本の変位吸収杭を造成し、造成1週間後に2本の変位吸収杭の換算N値(表中ではN値と省略)を計測した。また、残りの4本の変位吸収杭2は本発明の復元処理を施工し、復元処理した11週間後に2本の変位吸収杭の換算N値を計測した。次の表1はその計測結果をまとめたものである。
(表1)
Figure 0007098250000001
また、図4は深度(m)と換算N値の関係を示している。すなわち、本発明の変位吸収杭は、復元処理することにより深度-0.5~-5.0mにおいて、換算N値で約1.5以上硬くなることが分かる。なお、換算N値は、JIS A1221規定のスウェーデン式ウンディング試験において、ロッドを回転させて25cmめり込むのに何回転するのかを数え、その回数から算出される標準貫入試験におけるN値に相当する値である。
なお、以上の形態例や実施例は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、請求項で特定される技術要素を備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更可能なものである。
1・・・・・砂杭
2・・・・・変位吸収杭
3・・・・・緩衝杭
4・・・・・地表面変位計(地盤変位検出計)
A・・・・・地盤改良域
B・・・・・既設構造物又はその周辺地盤

Claims (4)

  1. 地盤改良域と隣接する既設構造物又は周辺地盤との間に変位吸収杭を設け、該変位吸収杭により地盤改良に伴う地盤変位や振動を抑制する地盤変位抑制方法であって、
    前記変位吸収杭は、地盤下の原位置土に注入処理液を吐出して混入ないしは含浸させることで作成されて、弾性杭状をなし、地盤改良に伴う地盤変位や振動の吸収により一部が地表側へ押し出されることを特徴とする地盤変位抑制方法。
  2. 前記変位吸収杭は、高吸水性高分子を水に混ぜてゲル状に処理すると共に、流動化剤を混入して圧送ポンプにより配管を通して移送可能に処理した前記注入処理液を用いて、
    昇降及び回転される貫入部材により地盤を掘削しながら所定深さまで貫入し、該貫入又は/及び引き抜き過程で掘削によりほぐされる原位置土に前記注入処理液を吐出して混入ないしは含浸させることにより作成されることを特徴とする請求項1に記載の地盤変位抑制方法。
  3. 前記貫入部材の貫入速度と前記注入処理液の吐出流量により前記原位置土に対する前記注入処理液の注入率を40~100%の範囲に収まるよう調整管理することを特徴とする請求項2に記載の地盤変位抑制方法。
  4. 前記変位吸収杭の含有水を排水可能にする強制排水剤の水溶液である強制排水剤溶液に、前記流動化剤の粘性を損失可能にする塑性化剤を混入した復元溶液を用いて、該復元溶液を地中に作成された前記変位吸収杭に吐出して混入ないしは含浸させることにより使用後の変位吸収杭のN値を上げるよう復元処理することを特徴とする請求項2に記載の地盤変位抑制方法。
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