JP7096076B2 - 燃料電池監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池監視装置に関する。
特許文献1には、燃料電池からの出力電流に交流信号を印加して燃料電池のインピーダンスを算出することによって、燃料電池の含水量を推定する技術が開示されている。
特開2014-203562号公報
しかしながら、燃料電池の運転条件によっては、従来技術によって推定された燃料電池の含水量と実際の含水量との間にズレが生じてしまうという問題があった。
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、燃料ガス及び酸化ガスの供給を受けて直流電流を出力する燃料電池スタックを監視する燃料電池監視装置が提供される。この燃料電池監視装置は、異なる複数の周波数の交流成分を含む交流信号を前記燃料電池スタックの前記直流電流に重畳する信号重畳部と、前記燃料電池スタックの前記直流電流に前記交流信号が重畳されることによって発生する応答電流の電圧値又は電流値を用いて、前記燃料電池スタックの含水量を推定する含水量推定部と、前記燃料電池スタックの前記直流電流の電流値と、前記反応ガスの供給流量とを用いて、前記反応ガスの前記直流電流を出力するために必要とされる理論流量に対する前記供給流量の比率であるストイキ比を算出するストイキ比算出部と、前記ストイキ比算出部によって算出されたストイキ比が予め定められた基準ストイキ比よりも小さな場合に、前記含水量推定部によって推定された含水量の推定値を前記推定値よりも小さくなるように補正する補正部と、を備える。
この形態の燃料電池監視装置によれば、燃料ガス又は酸化ガスのストイキ比が基準ストイキ比よりも小さな場合に、燃料電池スタックの含水量の推定値が当該推定値よりも小さな値に補正されるので、含水量推定の精度を向上させることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料電池含水量の推定方法、燃料電池システム等の形態で実現することができる。
第1実施形態における燃料電池システムの構成を示す概略図。 含水量推定値の補正処理を示すフローチャートの一例。 信号重畳の際の直流電流と交流電流の時間変化を例示する図。 第1拡散抵抗の算出を説明するための機能ブロック図。 コールコールプロット図。 コールコールプロット図。 単セル内の含水量と第1拡散抵抗との対応関係を示す特性図。 酸化ガスストイキ比が異なる際の含水量推定値と含水量実測値を示す図。 酸化ガスのストイキ比が変化した際の含水量のズレ量の変化を示す図。 補正後の含水量推定値と含水量実測値を示す図。 第2実施形態における含水量の制御処理を示すフローチャートの一例。 燃料電池スタックの電流-電圧特性線を示す図。
・第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態における燃料電池システム900の構成を示す概略図である。燃料電池システム900は、例えば、動力源として車両に搭載される。燃料電池システム900は、燃料電池スタック20と、酸化ガス供給系30と、燃料ガス供給系50と、制御装置90と、図示しない冷却系等とを備える。
燃料電池スタック20は、例えば固体高分子形燃料電池スタックである。燃料電池スタック20は、反応ガスである燃料ガス及び酸化ガスの供給を受けて発電する。燃料ガスとしては、例えば水素を採用可能であり、酸化ガスとしては、例えば空気を採用可能である。燃料電池スタック20は、直流電流を出力する。燃料電池スタック20は、複数の単セル21が積層されることによって構成されている。各単セル21は、電極及び電解質膜によって構成された膜電極接合体の両面にガス拡散層が配置された膜電極ガス拡散層接合体と、膜電極ガス拡散層接合体の両面に配置された2枚のセパレータとを有する。電解質膜は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す固体高分子薄膜によって構成されている。電極は、例えばカーボンによって構成されている。電極には、発電反応を促進するための白金触媒が設けられている。各セパレータには、反応ガスと冷却媒体がそれぞれ流れる反応ガス流路と冷却媒体流路とが設けられている。反応ガスは、燃料電池スタック20の反応ガス用マニホールド(図示せず)を介して、各単セル21の反応ガス流路に流れて、発電に利用される。
酸化ガス供給系30は、酸化ガスを燃料電池スタック20に供給する。酸化ガス供給系30は、ガス供給流路31と、ガス排出流路34とを有する。ガス供給流路31の一端は、燃料電池スタック20と接続しており、他端は、大気に開放されている空気の入口である。ガス供給流路31には、エアフロメータ32と、エアコンプレッサ(ACP)33とが設けられている。ACP33は、制御装置90からの制御信号に応じて、空気を取り込んで圧縮して燃料電池スタック20に供給する。エアフロメータ32は、ACP33に取り込まれる空気の流量を測定する。この空気流量は、燃料電池スタック20に供給される空気流量とほぼ同一である。なお、空気流量は、ACP33の回転数を調整することによって調整可能である。ガス排出流路34は、燃料電池スタック20から排出される酸化オフガスを燃料電池スタック20の外部に導く。ガス排出流路34には、背圧弁35が設けられている。背圧弁35は、制御装置90からの制御信号に応じて燃料電池スタック20に供給される酸化ガスの圧力を調節する。
燃料ガス供給系50は、燃料ガスタンク51と、ガス供給流路52と、ガス還流流路56と、排出流路58と、を備える。燃料ガスタンク51は、高圧の燃料ガスを貯蔵する。ガス供給流路52は、燃料ガスタンク51と燃料電池スタック20とを接続し、燃料ガスタンク51内の燃料ガスを燃料電池スタック20に導く。ガス供給流路52には、開閉弁53と、インジェクタ54と、燃料ガス流量センサ55とが設けられている。インジェクタ54は、制御装置90からの制御信号に応じて、燃料ガスを燃料電池スタック20に向かって噴射する。燃料ガス流量センサ55は、燃料電池スタック20に供給される燃料ガスの流量を測定する。ガス還流流路56は、燃料電池スタック20から排出される燃料オフガスをガス供給流路52に導く。ガス還流流路56には、燃料ガスポンプ57が設けられている。燃料ガスポンプ57は、制御装置90からの制御信号に応じて、燃料オフガスを圧縮して燃料電池スタック20に供給する。排出流路58は、ガス還流流路56に接続されている。排出流路58には、図示しない気液分離器と開閉弁59とが設けられている。気液分離器は、燃料オフガスからそれに含まれる液体を分離する。分離された液体は、開閉弁59を介して外部に排出される。
燃料電池スタック20には、交流電流を利用する負荷70が電気的に接続されている。燃料電池スタック20から出力された直流電流は、制御装置90からの制御信号に応じて、DC/DCコンバータ(図示せず)によって昇圧され、DC/ACインバータ(図示せず)によって交流電流に変換され、負荷70に供給される。電流センサ71は、燃料電池スタック20から出力される電流の値を計測する。電圧センサ72は、燃料電池スタック20の両端の電圧の値を計測する。
制御装置90は、中央処理装置と主記憶装置とを備えるマイクロコンピュータによって構成されており、具体的にはECU(Electronic Control Unit)である。制御装置90は、発電要求に応じて、燃料電池システム900の各構成部を制御する。制御装置90は、燃料電池監視装置91を有する。燃料電池監視装置91は、燃料電池スタック20の含水量を監視する装置である。燃料電池監視装置91は、信号重畳部92と、含水量推定部93と、ストイキ比算出部94と、補正部95とを備える。信号重畳部92は、異なる複数の周波数の交流成分を含む交流信号を燃料電池スタック20から出力される直流電流に重畳する。交流成分として、交流電流又は交流電圧を採用できる。含水量推定部93は、燃料電池スタック20の出力直流電流に信号重畳部92による交流信号が重畳されることによって発生する応答電流の電圧値又は電流値を用いて、燃料電池スタック20の含水量を推定する。この詳細は後述する。ストイキ比算出部94は、燃料電池スタック20から出力される直流電流の電流値と、燃料電池スタック20に供給される燃料ガス又は酸化ガスの供給流量とを用いて、燃料ガス又は酸化ガスのストイキ比を算出する。「ストイキ比」とは、燃料電池スタック20の発電反応において要求される直流電流を出力するために必要とされる反応ガスの理論流量に対する反応ガスの供給流量の比率である。要求出力を確保するために、反応ガスの供給流量は理論流量以上に設定されることが好ましい。すなわち、反応ガスのストイキ比が1.0以上に設定されることが好ましい。燃料電池スタック20から出力される直流電流の電流値を用いて、反応ガスの理論流量を算出することができる。補正部95は、ストイキ比算出部94によって算出されたストイキ比に応じて、含水量推定部93によって推定された含水量の推定値を補正する。この詳細は後述する。
図2は、燃料電池監視装置91で行われる燃料電池スタック20の含水量推定値の補正処理を示すフローチャートの一例である。ステップS110において、信号重畳部92は、燃料電池スタック20が定常状態で発電している状態で、燃料電池スタック20の出力電流に対して、周波数の異なる2つの交流電流を重畳する。ここで、図3を用いてステップS110を説明する。
図3は、燃料電池スタック20の発電による直流電流(直流成分)と、信号重畳部92からの交流電流(交流成分)の時間変化を例示する図である。図3に示すように、交流成分は、2つの周波数成分を有する。2つの周波数のうち、低い方の周波数を低周波数fL、高い方の周波数を高周波数fHと呼ぶ。低周波数fLは、例えば1~150Hzである。高周波数fHは、例えば200Hz以上である。このように、低周波数fL及び高周波数fHは、両者の比較において高低と呼ばれているだけであり、一般的な意味での「低周波」や「高周波」とは関係の無い呼び方である。
図2に戻り、ステップS120において、燃料電池監視装置91は、燃料電池スタック20から発生する応答電流の電圧値を取得する。燃料電池スタック20の出力電流に交流電流を重畳させると、交流の応答電流が発生する。この応答電流の電圧値は、電圧センサ72から取得できる。燃料電池監視装置91は、電圧センサ72から取得した電圧値を単セル21の数で割って単セル21の電圧値を取得する。ステップS130において、含水量推定部93は、燃料電池スタック20の含水量を推定する。図2の例では、ステップS130において、燃料電池スタック20の単セル21の含水量が推定される。ステップS130において、含水量推定部93は、まず、ステップS110の信号重畳部92による交流電流の電流値と、ステップS120で取得される単セル21の電圧値とを用いて、例えば高速フーリエ変換(FFT)法によって、異なる周波数毎の単セル21のインピーダンスの絶対値及び位相角を算出する。ここで、図4、図5、図6及び図7を用いて、単セル21のインピーダンスを利用して単セル21の含水量を推定する方法の一例を説明する。
図4は、第1拡散抵抗Rwetの算出を説明するための機能ブロック図である。第1拡散抵抗Rwetとは、燃料電池スタック20内部のフラッディングに依拠して変化する拡散特性を示すパラメータ(単位:s/m)である。第1拡散抵抗Rwetは、後述する含水量の算出に用いられる。
第1拡散抵抗Rwetの算出のための機能は、抵抗算出部533a、限界電流密度算出部533b、ガス拡散抵抗算出部533c、第2拡散抵抗算出部533d、及び第1拡散抵抗算出部533eから構成される。含水量推定部93は、これらの機能を、プログラムの実行によって実現する。
抵抗算出部533aは、プロトン移動抵抗Rmem及びガス反応抵抗Rctを単セル21毎に算出する。プロトン移動抵抗Rmemは、抵抗過電圧を抵抗換算した成分である。抵抗過電圧は、電解質膜の乾燥に伴って増大する。ガス反応抵抗Rctは、活性化過電圧及び濃度過電圧を抵抗換算した成分である。
抵抗算出部533aは、高周波数fHのインピーダンスに基づきプロトン移動抵抗Rmemを算出する。抵抗算出部533aは、低周波数fLのインピーダンス及びプロトン移動抵抗Rmemを用いて、ガス反応抵抗Rctを算出する。
以下、プロトン移動抵抗Rmem及びガス反応抵抗Rctの算出方法について図5及び図6を用いて説明する。図5及び図6は、コールコールプロット図である。コールコールプロット図は、周波数とインピーダンスとの関係を複素平面上に示した特性図である。
図6に示すように、高周波数fHにおけるインピーダンスの実軸の値がプロトン移動抵抗Rmemに相当し、円弧状のインピーダンスの軌跡と実軸とが交わる2つの交点間の値がガス反応抵抗Rctに相当する。
プロトン移動抵抗Rmemの算出は、高周波数fHにおけるインピーダンスの絶対値R1及び位相θ1を、以下の数式F1に適用することで実現される。
mem=R1cosθ1…(F1)
低周波数fL、高周波数fHそれぞれにおけるインピーダンスの絶対値R1、R2、及び位相θ2を、以下の数式F2、F3に適用して、低周波数fLにおけるインピーダンス中のガス反応抵抗Rctの特性を示す成分を算出する。
φ=tan-1[(R2sinθ2)/{(R2cosθ2)-Rmem}]…(F2)
A=(R2sinθ2)/sinφ…(F3)
前述の数式F2、F3によって得られたφ、及びAを、以下の数式F4に適用して、ガス反応抵抗Rctを算出する。
ct=A/cosφ…(F4)
図4に戻り、限界電流密度算出部533bは、限界電流密度Ilimを算出する。具体的には、限界電流密度Ilimを以下の数式F5~F9によって算出する。
lim={eβ/(eβ-1)}I…(F5)
β=(ηcnF)/(2RT)…(F6)
ηc=Eo-E-ηa-ηR…(F7)
ηa=(RT/2αF)ln(I/Io)…(F8)
ηR=IRmem…(F9)
数式F5~F9における「F」はファラデー定数、「R」は気体定数、「T」は温度、「n」は定数、「I」は電流密度、「Io」は交換電流密度、「E」は制御電圧、「Eo」は理論起電圧、「ηc」は濃度過電圧、「ηa」は活性化過電圧、「ηR」は抵抗過電圧、「α」は電荷移動係数(定数)を示している。
ガス拡散抵抗算出部533cは、ガス拡散抵抗Rtotalを算出する。ガス拡散抵抗Rtotalは、反応ガスの触媒層への拡散の困難性を示すパラメータ(単位:s/m)である。ガス拡散抵抗Rtotalは、第1拡散抵抗Rwet及び第2拡散抵抗Rdryの和に相当する(Rtotal=Rwet+Rdry)。第2拡散抵抗Rdryは、ドライアップに依拠して変化する拡散特性を示す。
ガス拡散抵抗算出部533cは、予め記憶されている関数に基づいて、ガス拡散抵抗Rtotalを算出する。この関数は、ガス拡散抵抗Rtotal、並びに限界電流密度Ilim及びガス反応抵抗Rctの相関性をモデル化することによって定められる。具体的には、本実施形態のガス拡散抵抗算出部533cは、限界電流密度Ilim及びガス反応抵抗Rctを、以下の数式F10に適用してガス拡散抵抗Rtotalを算出する。
total=ρ(Ilim/Rctξ…(F10)
数式F10中のρ及びξは、セル11内の反応ガスのガス濃度を変化させた際の限界電流密度によって予め計測しておいたガス拡散抵抗の実測値と推定値とをフィッティングして設定する定数である。ガス拡散抵抗の推定値は、ガス反応抵抗Rct、及び限界電流密度Ilimから算出される。
数式F10は、上記相関性をモデル化した数式の一例である。数式F10は、ガス反応抵抗Rct、及び限界電流密度Ilimそれぞれをガス拡散抵抗Rtotal及び反応ガスのガス濃度を変数とする関数として定義し、各関数から反応ガスのガス濃度に関する項を除去することで導出される。
第2拡散抵抗算出部533dは、第2拡散抵抗Rdryを算出する。第2拡散抵抗Rdryは、プロトン移動抵抗Rmemと同様に、燃料電池スタック20内部の湿度RHの低下に応じて増大する特性を有する。プロトン移動抵抗Rmemは、以下の数式F11に示すように、湿度RHに相関性を有する。第2拡散抵抗Rdryは、以下の数式F12に示すように、拡散係数Ddryに反比例する。拡散係数Ddryは、湿度RHに相関性を有する。
RH∝B(RmemC…(F11)
dry∝D(σ/Ddry)…(F12)
数式F11中の「B」及び「C」は定数を示している。また、数式F12中の「D」は定数、「σ」は単セル21に含まれるガス拡散層の厚みを示している。
第2拡散抵抗算出部533dは、予め記憶されたプロトン移動抵抗Rmemと湿度RHとの相関関係を規定した制御マップを用いて、プロトン移動抵抗Rmemから燃料電池スタック20内の湿度RHを算出する。
第2拡散抵抗算出部533dは、予め記憶された湿度RHと拡散係数Ddryとの相関関係を規定した制御マップ、及び数式F12を用いて、先に算出した湿度RHから第2拡散抵抗Rdryを算出する。
第1拡散抵抗算出部533eは、ガス拡散抵抗Rtotalから第2拡散抵抗Rdryを減算した値を、第1拡散抵抗Rwet(=Rtotal-Rdry)として算出する。次に、第1拡散抵抗Rwetを利用した含水量の推定について説明する。
図7は、単セル21の第1拡散抵抗Rwetが変化した際の単セル21内部における含水量の実測値の変化を示す図である。ここでいう含水量は、発電によって1つの単セル21内に生成された生成水の質量のことである。図7に示す特性線Q1は、数式F13によって近似的に表すことができる。
W=10-8wet 4-10-7wet 3-10-5wet 2+7Rwet -4…(F13)
数式F13中の「W」は、含水量推定値を示している。従って、単セル21の含水量は、第1拡散抵抗Rwetを用いて推定することができる。図7の例では、特性線Q1は、発電のために燃料電池スタック20に供給される酸化ガスが予め定められた基準ストイキ比を満足した際の曲線である。基準ストイキ比は、含水量推定値を補正する(後述)ために設定される値であり、例えば1.0~3.0の範囲内の値を採用可能である。
図2に戻り、ステップS140において、信号重畳部92は、燃料電池スタック20への交流電流の重畳を解除する。ステップS150において、燃料電池監視装置91は、電流センサ71から、燃料電池スタック20から出力される直流電流の電流値を取得する。なお、ステップS140,S150は、省略されてもよい。この場合は、燃料電池スタック20から出力される直流電流の電流値を取得する代わりに、燃料電池スタック20への交流電流の重畳による応答電流の値に対して、フーリエ変換を用いて発電による直流成分の値を求めてもよい。
ステップS160において、燃料電池監視装置91は、酸化ガス供給系30のエアフロメータ32から、酸化ガスの供給流量を取得する。ステップS170において、ストイキ比算出部94は、ステップS150で取得された燃料電池スタック20の出力電流値とステップS160で取得された酸化ガスの供給流量とを用いて、酸化ガスのストイキ比を算出する。ステップS180において、補正部95は、ステップS170で算出された酸化ガスのストイキ比が上述した基準ストイキ比よりも小さいか否かを判定する。ステップS180において、補正部95は、酸化ガスのストイキ比が基準ストイキ比よりも小さいと判定した場合(ステップS180、Yes)には、ステップS190に移行し、ステップS130で推定された単セル21の含水量の推定値を補正する。ここで、図8、図9及び図10を用いて、含水量推定値の補正の詳細を説明する。
図8は、酸化ガスのストイキ比がs1~s5のそれぞれとなった場合の含水量推定値Wと含水量実測値を示す図である。含水量推定値Wは、図2に示すステップS130によって推定された単セル21の含水量の推定値である。含水量実測値は、質量測定器具で実際に測定した単セル21の含水量の実測値である。各ストイキ比は、s1<s2<s3<s4<s5を満足する。基準ストイキ比の値はs5である。直線G0上に位置する点は、含水量推定値Wと含水量実測値とが一致する点である。反応ガスのストイキ比は、フラッディングに依存した拡散抵抗、すなわち第1拡散抵抗Rwetに影響を与えるので、酸化ガスのストイキ比が変化すると、第1拡散抵抗Rwetに基づく含水量推定値Wが変化する。図7の説明によれば、第1拡散抵抗Rwetと含水量推定値Wとの関係は基準ストイキ比の条件下で求められているので、図8では、ストイキ比が基準ストイキ比s5である点は、ほぼ直線G0上に位置する。図8に示す各点において、直線G0から右側にずれるほど、含水量推定値Wが含水量実測値より大きくなる。図8によれば、酸化ガスのストイキ比が小さくなるほど、含水量推定値Wが含水量実測値より大きくなる傾向が見られる。なお、図8に示したほとんどの点は、直線G0と平行する破線で囲まれた領域Re内に分布している。
図9は、酸化ガスのストイキ比xが変化した際の含水量のズレ量yの変化を示す図であり、図8に示す各値によって求められた図である。「含水量のズレ量y」は、図8において各点が直線G0から横にずれた量yである。図9に示す特性線Q2は、数式F14によって表すことができる。
y=ax+b…(F14)
数式F14中の「a」及び「b」は定数を示している。図9によれば、酸化ガスのストイキ比xが基準ストイキ比s5となると、含水量のズレ量yは0である。酸化ガスのストイキ比xが基準ストイキ比s5より小さくなると、含水量のズレ量yは大きくなる。
図8と図9の説明から分かるように、酸化ガスのストイキ比が基準ストイキ比s5より小さくなるほど、含水量推定値Wが含水量実測値より大きくなる。従って、酸化ガスのストイキ比が基準ストイキ比s5よりも小さな場合に、含水量推定値Wを推定値Wよりも小さくなるように補正すれば、含水量推定の精度を向上させることができる。含水量推定値Wの補正は、例えば数式F15によって行うことができる。
W1=W(1-y)…(F15)
数式F15中の「W1」は、補正後の含水量推定値を示している。
図10は、酸化ガスのストイキ比がs1~s5のそれぞれとなった場合の補正後の含水量推定値W1と含水量実測値を示す図であり、図8に対応する図である。図10に示す各点は、直線G0と平行する破線で囲まれた領域Re1内に分布している。領域Re1は、図8に示す領域Reよりも小さいので、補正後の含水量推定値W1は、補正前より含水量実測値に近いと言える。従って、含水量推定値WをW1に補正すれば、含水量推定の精度を向上させることができる。
図2に戻り、補正部95は、ステップS190を実行した後、含水量推定値の補正処理を終了する。ステップS180に戻り、補正部95は、酸化ガスのストイキ比が基準ストイキ比以上であると判定した場合(ステップS180、No)には、ステップS195に移行し、含水量推定値を補正せずに処理を終了する。
以上説明したように、第1実施形態では、酸化ガスのストイキ比が基準ストイキ比s5より小さくなるほど、単セル21の含水量推定値Wが含水量実測値より大きくなる。ここで、燃料電池監視装置91の補正部95は、酸化ガスのストイキ比が基準ストイキ比s5よりも小さな場合に、含水量推定値Wを推定値Wよりも小さな値W1に補正するので、含水量推定の精度を向上させることができる。
なお、第1実施形態では、酸化ガスのストイキ比を用いて基準ストイキ比を設定し、含水量推定値の補正を行っているが、発電条件に応じて燃料電池スタック20内の生成水がアノード側とカソード側の間で移動する場合があるので、酸化ガスのストイキ比の代わりに、燃料ガスのストイキ比を用いて基準ストイキ比を設定し、燃料ガスのストイキ比と基準ストイキ比とを比較して含水量推定値の補正を行ってもよい。
・第2実施形態:
図11は、本発明の第2実施形態における燃料電池スタック20の含水量の制御処理を示すフローチャートの一例であり、図2に対応する図である。図11は、図2に示す第1実施形態に比べて、燃料電池スタック20の含水量を適正値に制御するステップが加わっている。「適正値」とは、燃料電池スタック20の内部状況に応じて所期の運転状態に適した含水量の値である。
図11では、ステップS210において、制御装置90は、ステップS130で推定された含水量推定値が適正値より小さいか否かを判定する。制御装置90は、含水量推定値が適正値より小さい場合(ステップS210、Yes)には、ステップS220に移行する。ステップS220において、制御装置90は、例えば酸化ガス供給系30のACP33の回転数を減らすことによって、酸化ガスのストイキ比を減少させる。この結果、燃料電池スタック20の含水量が増加する。ステップS210に戻り、制御装置90は、含水量推定値が適正値以上の場合(ステップS210、No)には、ステップS215に移行する。ステップS215において、制御装置90は、ステップS130で推定された含水量推定値が適正値より大きいか否かを判定する。制御装置90は、含水量推定値が適正値より大きい場合(ステップS215、Yes)には、ステップS225に移行する。ステップS225において、制御装置90は、例えば酸化ガス供給系30のACP33の回転数を増やすことによって、酸化ガスのストイキ比を増加させる。この結果、燃料電池スタック20の含水量が減少する。ステップS215に戻り、制御装置90は、含水量推定値が適正値と一致する場合(ステップS215、No)には、処理を終了する。
ステップS220又はステップS225の処理によって酸化ガスのストイキ比が変化するので、制御装置90は、ステップS230において、ステップS130と同様な手順で燃料電池スタック20の含水量を推定する。この後、制御装置90は、含水量の推定値を補正する場合(ステップS190)には、ステップS240において、補正後の含水量推定値が適正値よりも小さいか否かを判定する。ステップS240において、制御装置90は、補正後の含水量推定値が適正値よりも小さいと判定した場合(ステップS240、Yes)には、ステップS220に移行する。一方、ステップS240において、制御装置90は、補正後の含水量推定値が適正値以上の場合(ステップS240、Yes)には、ステップS245に移行する。ステップS245において、制御装置90は、補正後の含水量推定値が適正値よりも大きいか否かを判定する。ステップS245において、制御装置90は、補正後の含水量推定値が適正値よりも大きいと判定した場合(ステップS245、Yes)には、ステップS225に移行する。一方、ステップS245において、制御装置90は、補正後の含水量推定値が適正値と一致する場合(ステップS245、Yes)には、処理を終了する。なお、制御装置90は、含水量の推定値を補正しない場合(ステップS195)には、ステップS210に移行する。
図12は、燃料電池スタック20の電流-電圧特性線を示す図である。特性線Q3は、図11に示す含水量の制御処理が行われる場合の特性線である。特性線Q4は、図11に示す含水量の制御処理が行われない場合の特性線であり、比較例である。図12から分かるように、図11に示す含水量の制御処理を行えば、低負荷の場合は出力電力を0.40%向上させることができ、高負荷の場合は出力電力を2.96%向上させることができる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
20…燃料電池スタック、21…単セル、30…酸化ガス供給系、31…ガス供給流路、32…エアフロメータ、33…エアコンプレッサ(ACP)、34…ガス排出流路、35…背圧弁、50…燃料ガス供給系、51…燃料ガスタンク、52…ガス供給流路、53…開閉弁、54…インジェクタ、55…燃料ガス流量センサ、56…ガス還流流路、57…燃料ガスポンプ、58…排出流路、59…開閉弁、70…負荷、71…電流センサ、72…電圧センサ、90…制御装置、91…燃料電池監視装置、92…信号重畳部、93…含水量推定部、94…ストイキ比算出部、95…補正部、533a…抵抗算出部、533b…限界電流密度算出部、533c…ガス拡散抵抗算出部、533d…第2拡散抵抗算出部、533e…第1拡散抵抗算出部、900…燃料電池システム

Claims (2)

  1. 反応ガスの供給を受けて直流電流を出力する燃料電池スタックを監視する燃料電池監視装置であって、
    異なる複数の周波数の交流成分を含む交流信号を前記燃料電池スタックの前記直流電流に重畳する信号重畳部と、
    前記燃料電池スタックの前記直流電流に前記交流信号が重畳されることによって発生する応答電流の電圧値又は電流値を用いて、前記燃料電池スタックの含水量を推定する含水量推定部と、
    前記燃料電池スタックの前記直流電流の電流値と、前記反応ガスの供給流量とを用いて、前記反応ガスの前記直流電流を出力するために必要とされる理論流量に対する前記供給流量の比率であるストイキ比を算出するストイキ比算出部と、
    前記ストイキ比算出部によって算出されたストイキ比が予め定められた基準ストイキ比よりも小さな場合に、前記含水量推定部によって推定された含水量の推定値を前記推定値よりも小さくなるように補正する補正部と、
    を備える燃料電池監視装置。
  2. 請求項1に記載の燃料電池監視装置であって、
    前記補正部は、前記ストイキ比算出部によって算出されたストイキ比が前記基準ストイキ比よりも小さな場合に、前記ストイキ比算出部によって算出されたストイキ比が小さくなるほど前記推定値が小さくなるように前記推定値を補正する、
    燃料電池監視装置。
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