JP7095825B1 - 車両用外装部品 - Google Patents
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Abstract
Description
上記の構成によれば、フィルム本体部の周縁部の複数箇所に設けられた拡張部において、係合突部の開口部に対する係合が行なわれる。従って、拡張部がフィルム本体部の周縁部の1箇所に設けられ、その拡張部の開口部に係合突部が係合される場合に比べ、フィルム本体部が基材から剥がれにくくなる。
上記の構成によれば、基材を樹脂成形する際の熱によって、フィルム本体部の基材との境界部分が溶融しやすい。従って、フィルム本体部が基材に対し密着した状態で貼り付けられた車両用外装部品が得られる。
なお、以下の記載に関し、車両の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって車両の前進時の左右方向と一致するものとする。
基材21は、エンブレム20の骨格部分を構成している。基材21は、樹脂材料、本実施形態ではPC(ポリカーボネート)樹脂によって板状に形成されている。図1に示すように、基材21は、これを前方から見た形状が、上下方向よりも左右方向に寸法の大きな楕円形状をなしている。図3に示すように、基材21は、その厚み方向における両面に表面22及び裏面23を有している。基材21は、その表面22が車両10の前方を向き、かつ裏面23が車両10の後方を向くように、起立した状態で配置される。基材21は、前方へ膨らむように緩やかに湾曲している。
図2に示すように、ヒータフィルム31は、エンブレム20に融雪機能を付加するためのものである。ヒータフィルム31は、ミリ波の透過性を有するフィルム基材(図示略)上に、通電により発熱するヒータ線(図示略)を配線することにより構成されている。フィルム基材は、樹脂材料、本実施形態ではPC樹脂によって形成されている。フィルム基材は、基材21の表面22に対応した形状、すなわち、前方へ膨らむように緩やかに湾曲した三次元形状をなしている。
<特徴部分>
図2に示すように、ヒータフィルム31は、フィルム本体部32の周囲に拡張部33を備えている。拡張部33は、フィルム本体部32の周縁部の互いに周方向に離れた複数箇所、本実施形態では3箇所に設けられている。各拡張部33は、フィルム本体部32の周縁部から外方へ延びている。図4に示すように、各拡張部33は、基材21の周縁部に沿って曲げられて後方へ延びている。
各拡張処理部41は、拡張部33の上記厚み方向における片側であり、かつ開口部34が開口されている側に基部42を備えている。拡張処理部41毎の基部42は、基材21の周縁部から後方へ延びている。各拡張処理部41は、基部42の前端部43において、基材21の周縁部に繋がっている。
図5に示すように、基材21の周方向に隣り合う基部42間には、同基材21の周縁部に沿って周方向に延びるフランジ部46が、同基部42に対し一体に形成されている。フランジ部46は、基材21の周縁部から後方へ突出している。基材21の周方向に隣り合う拡張処理部41毎の基部42は、上記フランジ部46によって連結されている。また、フィルム本体部32の周縁部を挟んで上記フランジ部46とは反対側には、補助被覆部47が形成されている。フィルム本体部32の周縁部は、上記補助被覆部47によって被覆されている。補助被覆部47はフランジ部46に接合されている。
<(1)フィルム基材の作成について>
(1-1)例えば、フィルム基材形成用の原反(原板)が、打ち抜き、レーザカット等の手段によってトリミングされる。このトリミングは、ヒータフィルム31が平らにされたときの同ヒータフィルム31の外形形状(輪郭)に沿って行なわれる。また、このとき、開口部34の形状に沿ってトリミングが行なわれる。上記トリミングにより、平坦なフィルム基材が得られる。続いて、上記フィルム基材は、プレス加工されることによって、フィルム本体部32に対応する箇所が前方へ膨らむように湾曲し、かつ拡張部33に対応する箇所が後方へ延びる三次元形状となるように賦形される。すると、目的とする形状を有するフィルム基材が得られる。
(2-1)図6に示す金型装置51が用いられて、基材21及び拡張処理部41の基部42が樹脂成形(一次成形)される。金型装置51は、固定型52と、同固定型52に接近及び離間する可動型53とを備えている。賦形されたヒータフィルム31がインサート部材として固定型52に配置される。金型装置51が型締めされることにより、ヒータフィルム31及び固定型52と、可動型53との間にキャビティ54が形成される。図7に示すように、上記キャビティ54に溶融状態の樹脂材料(PC材料)が充填される。溶融状態の樹脂材料は、拡張部33における開口部34(孔)内にも入り込む。開口部34(孔)は溶融状態の樹脂材料によって充填される。上記のように、キャビティ54及び開口部34(孔)に充填された樹脂材料が冷却及び硬化されると、基材21、基部42及び係合突部44が形成される。
(2-2)次に、図8に示す金型装置61が用いられて、被覆部45が樹脂成形(二次成形)される。金型装置61は、固定型62と、同固定型62に接近及び離間する可動型63とを備えている。上記中間体55がインサート部材として固定型62に配置される。金型装置61が型締めされることにより、中間体55及び固定型62と、可動型63との間にキャビティ64が形成される。上記キャビティ64に溶融状態の樹脂材料(PC樹脂)が充填され、冷却及び硬化されると、被覆部45が形成される。
<(3)フィルム本体部32の基材21からの剥離抑制について>
(3-1)図4に示すように、基材21の表面22に貼り付けられたフィルム本体部32の周囲には拡張部33が位置する。拡張部33に形成された開口部34には、基材21に繋がった拡張処理部41の係合突部44が入り込んだ状態で係合されている。表現を変えると、開口部34には係合突部44が引っ掛かっている。そのため、フィルム本体部32は、開口部34及び係合突部44により、基材21の表面22に密着した状態に保持される。従って、本実施形態によると、フィルム本体部32が、熱、湿度等から影響を受けて、収縮したり膨張したりしても、基材21から剥がれるのを抑制できる。
(3-5)本実施形態では、フィルム本体部32の周縁部の複数箇所(3箇所)に設けられた拡張部33において、係合突部44の開口部34に対する係合が行なわれている。従って、拡張部33がフィルム本体部32の周縁部の1箇所に設けられ、その拡張部33の開口部34に係合突部44が係合される場合に比べ、フィルム本体部32を基材21からより剥がれにくくすることができる。
<(4)ミリ波の透過性について>
図3に示すミリ波レーダ装置13からミリ波が送信されると、そのミリ波は、エンブレム20を透過する。透過したミリ波は、先行車両、歩行者等を含む車両前方の物体に当たって反射された後、再びエンブレム20を透過し、ミリ波レーダ装置13によって受信される。ミリ波レーダ装置13は、送信及び受信した上記ミリ波に基づき、物体を認識し、車両10と同物体との距離、相対速度等を検出する。
<(5)融雪機能について>
(5-1)エンブレム20、主として意匠面(前面)に氷雪が付着するとミリ波が減衰され、ミリ波レーダ装置13の検出性能が低下するおそれがある。この点、本実施形態のエンブレム20は、ヒータフィルム31を備えている。ヒータフィルム31のヒータ線に通電されることにより、同ヒータ線が発熱する。ヒータ線が発した熱の一部は、エンブレム20の意匠面を含む各部に伝達される。この熱により、上記意匠面等に付着している氷雪を融解させたり、氷雪が意匠面等に付着するのを抑制したりすることができる。その結果、氷雪の付着が原因でミリ波レーダ装置13の検出性能が低下するのを抑制できる。
(6-1)上記(3-1)で説明したように、本実施形態では、フィルム本体部32が基材21から剥がれるのを抑制している。そのため、フィルム本体部32が剥がれることが原因でエンブレム20の外観が低下するのを抑制できる。
・図1において、基材21を前方から見た形状が、上記実施形態とは異なる形状、例えば、円形、多角形等に変更されてもよい。
<拡張処理部41,82について>
図9~図13は、拡張処理部41,82の変更例を示している。
図11~図13の変更例におけるエンブレム20が組み込まれた車両10を前方から見ると、被覆部45,83が見えるおそれがある。そのため、図11~図13において二点鎖線で示すように、被覆部45,83の前方に別部材91を配置して、同被覆部45,83を見えにくくすることが望ましい。別部材91は、既存の部品であってもよいし、新規に設けられたものであってもよい。
・拡張部33における開口部34の数が変更されてもよい。
・拡張処理部41,82は、基材21の周縁部とは異なる箇所で、同基材21に繋げられてもよい。
・開口部34は、拡張部33の厚み方向における一方の面において開口する凹部によって構成されてもよい。この場合にも、係合突部44,85を開口部34に係合させることで、上記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
<機能性フィルムについて>
・機能性フィルムとして、上記実施形態とは異なる機能が付与された機能性フィルムが用いられてもよい。この機能性フィルムには、加飾を目的とした加飾フィルムも含まれる。
・ヒータフィルム31のフィルム基材と、基材21とは、互いに異なる種類の樹脂材料によって形成されてもよい。
<その他>
・エンブレム20をフロントグリル11又は車体に組付けるための取付部は、上述したように基材21の樹脂成形(一次成形)時に一緒に形成されてもよい。また、上記取付部は、被覆部45,83,84の樹脂成形(二次成形)時に一緒に形成されてもよい。さらに、上記取付部は、基材21、被覆部45,83,84とは別に形成されてもよい。
・上記車両用外装部品は、エンブレム20のほかに、オーナメント、マーク等にも適用可能である。
21…基材
22…表面
23…裏面
31…ヒータフィルム(機能性フィルム)
32…フィルム本体部
33…拡張部
34…開口部
41,82…拡張処理部
42…基部
44,85…係合突部
45,71,83,84…被覆部
81…連通孔
Claims (8)
- 樹脂材料により板状に形成され、かつ厚み方向における両面に表面及び裏面を有する基材と、
前記基材の前記表面又は前記裏面に貼り付けられたフィルム本体部を有する機能性フィルムと
を備える車両用外装部品であり、
前記機能性フィルムは、前記フィルム本体部の周囲に拡張部をさらに備え、
前記拡張部には、同拡張部の厚み方向における少なくとも一方の面において開口する開口部が形成され、
前記基材には、樹脂材料により形成された拡張処理部が繋がっており、
前記拡張処理部は、前記開口部に入り込んだ状態で同開口部に係合する係合突部を備えている車両用外装部品。 - 前記拡張処理部は、前記拡張部の前記厚み方向における片側であり、かつ前記開口部が開口されている側に基部を備えており、
前記拡張処理部は、前記基部において前記基材に繋がっており、
前記係合突部は、前記基部から前記厚み方向へ突出して、前記開口部に係合されている請求項1に記載の車両用外装部品。 - 前記開口部は、前記拡張部の前記厚み方向に貫通された孔により構成され、
前記開口部は、前記拡張部の前記厚み方向における両方の面において開口され、
前記拡張処理部は、前記拡張部を挟んで前記基部とは反対側に被覆部を備えており、
前記基部から突出する前記係合突部は、前記孔を埋めた状態で前記被覆部に接合されている請求項2に記載の車両用外装部品。 - 前記被覆部は、前記係合突部とは別部材により構成され、
前記被覆部は、前記係合突部と同一種類の樹脂材料により形成されている請求項3に記載の車両用外装部品。 - 前記開口部は、前記拡張部の厚み方向に貫通された孔により構成され、
前記開口部は、前記拡張部の前記厚み方向における両方の面において開口され、
前記拡張処理部は、前記拡張部の前記厚み方向における片側に基部を備え、
前記拡張処理部は、前記基部において前記基材に繋がっており、
前記基部には、同基部の厚み方向に貫通し、かつ前記孔に連通する連通孔が形成されており、
前記拡張処理部は、前記拡張部及び前記基部を、同拡張部及び同基部の配列方向における両側から挟み込む箇所に一対の被覆部を備え、
前記係合突部は、前記孔及び前記連通孔に係合した状態で両被覆部を連結している請求項1に記載の車両用外装部品。 - 前記開口部は、前記拡張部の複数箇所に設けられ、
前記係合突部は、前記拡張処理部の複数箇所に設けられ、
複数の前記開口部には、前記係合突部が係合されている請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用外装部品。 - 前記拡張部は、前記フィルム本体部の周縁部の複数箇所に設けられている請求項6に記載の車両用外装部品。
- 前記機能性フィルム及び前記基材は、同一種類の樹脂材料により形成されている請求項1~7のいずれか1項に記載の車両用外装部品。
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