(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称で特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によって説明され得る。
図1は、第1の実施の形態に係る積層造形システム1を概略的に示す例示的な断面図である。積層造形システム1は、システムの一例である。積層造形システム1は、三次元プリンタ2と、測定装置3と、出力装置4、制御部5とを有する。三次元プリンタ2は、積層造形部の一例である。なお、本実施形態では、システムの一例である積層造形システム1が積層造形部の一例である三次元プリンタ2を有するが、システムは、積層造形部が省略されても良い。
本実施形態の積層造形システム1は、例えば、測定装置3が設けられた三次元プリンタ2と、当該三次元プリンタ2に接続されるとともに出力装置4及び制御部5を含んだコンピュータと、を備えたシステムである。なお、積層造形システム1は、三次元プリンタ2、測定装置3、出力装置4、及び制御部5を備える一つの装置であっても良いし、別々の三次元プリンタ2、測定装置3、出力装置4、及び制御部5が互いに接続されたシステムであっても良い。
三次元プリンタ2は、積層造形(付加造形)により、三次元形状を有する物体11を造形する。積層造形では、複数の層11aの形成及び層11aの積み重ねにより、物体11が造形される。層11aは、層状に形成された、物体11の一部分である。本実施形態では、積み重ねられた複数の層11aにより物体11が形成される。しかし、物体11が加工されることにより、最終的な物体11の一部分と、積層造形が行われる間に形成される層11aとが異なることになっても良い。
本実施形態の三次元プリンタ2は、いわゆるパウダーベッド方式の三次元プリンタである。なお、三次元プリンタ2は、レーザデポジション方式のような、他の方式の三次元プリンタであっても良い。
三次元プリンタ2は、例えば、粉末状の材料15が層状に供給された材料層16を形成し、材料層16を形成する材料15を固化することで物体11の層11aを形成する。材料層16の形成と、材料15の固化と、の繰り返しにより、物体11が造形される。図1は、材料層16を二点鎖線で区切って模式的に示す。物体11は、例えば、ベースプレート18の上に造形され、造形完了後にベースプレート18から切り離される。
図1に示すように、パウダーベッド方式の三次元プリンタ2は、処理槽21と、造形槽22と、材料槽23と、供給装置24と、光学装置25とを有する。なお、他の方式の三次元プリンタ2は、当該方式に対応した種々の部品及び装置を有する。
処理槽21は、例えば、密封可能な箱状に形成される。処理槽21の内部に、処理室21aが設けられる。処理室21aには、造形槽22、材料槽23、供給装置24、及び光学装置25が収容される。なお、造形槽22、材料槽23、供給装置24、及び光学装置25の少なくとも一部が、処理室21aの外にあっても良い。
処理槽21の処理室21aに、供給口31と、排出口32とが設けられる。例えば、処理槽21の外部に設けられたガス供給装置が、窒素及びアルゴンのような不活性ガスを、供給口31から処理室21aに供給する。例えば、処理槽21の外部に設けられたガス排出装置が、排出口32から処理室21aの気体を排出する。
造形槽22に、複数の材料層16が順次形成される。言い換えると、複数の材料層16は、造形槽22で積み重ねられる。造形槽22において、各材料層16に、物体11の層11aが形成される。造形槽22は、載置台35と、周壁36と、昇降機37とを有する。
図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、造形槽22の幅に沿う。Y軸は、造形槽22の奥行き(長さ)に沿う。Z軸は、造形槽22の高さに沿う。
載置台35は、例えば、正方形の板材である。なお、載置台35の形状はこれに限らず、矩形のような他の四角形(四辺形)、多角形、円、及び幾何学形状のような他の形状を呈する部材であっても良い。載置台35は、上面35aを有する。上面35aは、四角形の略平坦な面である。
載置台35の上面35aに、ベースプレート18が載置される。ベースプレート18は、例えば、物体11と同じ材料によって作られた板材である。なお、ベースプレート18はこれに限られない。
ベースプレート18は、略平坦な造形面18aを有する。造形面18aは、材料15が供給されて材料層16が形成される、被供給面Sを形成し得る。なお、被供給面Sは、ベースプレート18の造形面18aに限らず、例えば、載置台35の上面35aによって形成されても良い。また、被供給面Sに材料層16が形成されると、当該材料層16が次の被供給面Sを形成する。このように、被供給面Sは、載置台35及びベースプレート18の上に順次形成される。
周壁36は、Z軸方向に延びる四角形の筒状に形成される。周壁36の内側に、載置台35が配置される。周壁36は、四角形の枠状に形成されるとともに開放された上端36aを有する。
昇降機37は、例えば、油圧昇降機である。昇降機37は、周壁36の内部で載置台35をZ軸方向(上下方向)に移動可能である。載置台35が最も上方に移動した場合、載置台35の上面35aと、周壁36の上端36aとは、略同一平面を形成する。
被供給面Sは、周壁36の上端36aから、例えば10μm下方に配置される。被供給面Sに材料層16が形成され、当該材料層16が次の被供給面Sを形成すると、昇降機37は載置台35を10μm降下させる。これにより、被供給面Sと周壁36の上端36aとの間の距離は、10μmに保たれる。なお、被供給面Sと周壁36の上端36aとの間の距離は、これに限られず、例えば任意に変更され得る。
材料槽23は、造形槽22に隣接して配置される。材料槽23は、材料15を収容する。材料槽23が収容可能な材料15の量は、造形槽22に供給可能な材料15の量と大よそ同じか、より多い。材料槽23は、支持台41と、周壁42と、昇降機43とを有する。
支持台41は、例えば、正方形の板材である。支持台41の形状及び大きさは、造形槽22の載置台35の形状及び大きさと大よそ等しい。なお、支持台41の形状及び大きさはこれに限られない。支持台41は、材料槽23に収容された材料15を支持する。
周壁42は、Z軸方向に延びるとともに、支持台41を囲む四角形の筒状に形成される。材料槽23の周壁42は、例えば、造形槽22の周壁36と一体に形成される。周壁42は、四角形の枠状に形成されるとともに開放された上端42aを有する。周壁42の上端42aは、造形槽22の周壁36の上端36aに連続する。
昇降機43は、例えば、油圧昇降機である。昇降機43は、周壁42の内部で支持台41をZ軸方向に移動可能である。昇降機43が支持台41を上昇させると、支持台41に支持される材料15の一部が、周壁42の上端42aより上に押し上げられる。
供給装置24は、ブレード45を有する。ブレード45は、材料槽23の上に配置され、Y軸に沿う方向に延びる。ブレード45のY軸に沿う方向における長さは、載置台35のY軸に沿う方向における長さと大よそ等しいか、より長い。ブレード45は、X軸に沿って、材料槽23の上から造形槽22の上へ移動可能である。
材料槽23の材料15の一部が、周壁42の上端42aより上に押し上げられると、ブレード45は当該材料15を造形槽22に向かって押す。これにより、ブレード45は、材料槽23の材料15を造形槽22の被供給面Sに供給し、被供給面Sに材料層16を形成する。
ブレード45は、材料15を被供給面Sに供給しながら、材料層16の表面16aを均す。これにより、材料層16が形成されると、材料層16の表面16aが略平坦になる。材料層16の表面16aは、造形槽22の周壁36の上端36aと略同一平面を形成する。このため、一つの材料層16の厚さは、10μmとなる。なお、一つの材料層16の厚さはこれに限られない。
供給装置24は、ブレード45に限らず、他の装置によって被供給面Sに材料層16を形成しても良い。例えば、供給装置24は、ブレード45の代わりにローラによって材料15を押し、材料層16の表面16aを均しても良い。また、供給装置24は、例えば、材料15を吐出するヘッドや、材料15を噴射するノズルによって材料層16を形成しても良い。
光学装置25は、発振素子を有しレーザ光Lを出射する光源、レーザ光Lを平行光に変換する変換レンズ、レーザ光Lを収束させる収束レンズ、及び、レーザ光Lの照射位置を移動させるガルバノスキャナのような、種々の部品を有する。図1は、レーザ光Lを二点鎖線で概略的に示す。レーザ光Lは、材料15を溶融又は焼結可能である。光学装置25は、レーザ光Lのパワー密度を変更可能である。
光学装置25は、造形槽22よりも上方に位置する。なお、光学装置25は他の場所に配置されても良い。光学装置25は、上記光源が出射したレーザ光Lを、上記変換レンズによって平行光に変換する。光学装置25は、上記ガルバノスキャナによりレーザ光Lの反射方向を調整し、上記収束レンズによってレーザ光Lを収束させることで、レーザ光Lを材料層16の表面16aの所望の位置に照射する。
光学装置25は、レーザ光Lを材料層16に照射することにより、材料層16の材料15を溶融又は結合する。これにより、光学装置25は、材料層16の表面16aを形成する材料層16の、レーザ光Lが照射された部分を結合させ、物体11の一部である層11aを形成する。
なお、三次元プリンタ2は、光学装置25に限らず、他の装置によって材料層16を結合させ、層11aを形成しても良い。例えば、三次元プリンタ2は、材料層16に接着剤のような凝固剤を塗布することで、材料層16の当該凝固剤が塗布された部分を結合させても良い。
以上の三次元プリンタ2は、供給装置24によりZ軸方向に材料層16を積み重ね、各材料層16に物体11の層11aを形成する。このため、積層造形において、物体11の層11aは、X-Y平面に広がる略二次元形状に形成されるとともに、Z軸方向に積み重ねられる。
測定装置3は、材料層16に形成された層11aの二次元画像を生成する。測定装置3は、カメラ51と、測距計52とを有する。カメラ51は、例えば、天然色の二次元画像を撮影可能なCCDカメラである。なお、カメラ51は、3Dカメラや、白黒の二次元画像を撮影可能な他のカメラであっても良い。測距計52は、例えば、レーザスキャナである。
図2は、第1の実施形態の三次元プリンタ2及び測定装置3の一部を概略的に示す例示的な斜視図である。カメラ51及び測距計52は、造形槽22の上方に配置される。言い換えると、カメラ51及び測距計52は、造形槽22からZ軸の正方向(Z軸の矢印が示す方向、上方向)に離間した位置に配置される。
例えば、カメラ51は、X軸方向及びY軸方向において造形槽22の略中央に配置されるとともに、Z軸方向において材料層16の表面16aの全域を撮影可能な位置に配置される。また、例えば、測距計52は、X軸方向及びY軸方向においてカメラ51から離間した位置に配置されるとともに、Z軸方向において材料層16の表面16aの全域を走査可能な位置に配置される。なお、カメラ51及び測距計52の位置は、この例に限られない。
カメラ51は、層11aが形成されると、層11aを含む材料層16の表面16aの二次元画像を撮影する。言い換えると、カメラ51は、積層造形が行われる間において、形成された複数の層11aのそれぞれの二次元画像を撮影する。
測距計52は、層11aが形成されると、レーザ光により材料層16の表面16aを全面スキャンすることで層11aの形状を検出する。測定装置3は、測距計52の検出結果により、層11aの二次元画像を生成することができる。言い換えると、測距計52は、積層造形が行われる間において、形成された複数の層11aのそれぞれの二次元画像を取得することができる。なお、測距計52が層11aの二次元画像を生成する代わりに、制御部5が、測距計52の検出結果に基づいて二次元画像を生成しても良い。
カメラ51及び測距計52によりそれぞれ得られる層11aの二次元画像は、積層造形において層11aが積み重ねられるZ軸方向に、当該層11aを見た画像である。言い換えると、層11aの二次元画像は、層11aを含む材料層16が形成(印刷)される被供給面S(印刷面)と直交する方向に、層11aを見た画像である。層11aの二次元画像は、この例に限られない。
図1に示す本実施形態の出力装置4は、例えば、画像を表示するディスプレイである。出力装置4は、この例に限らず、例えば、画像を印刷可能なプリンタ、データファイルを記録媒体に記録可能な補助記憶装置、又はネットワーク経由でデータファイルを送信可能な通信装置のような、他の出力が可能な装置であっても良い。
本実施形態では、便宜的に、制御部5が、三次元プリンタ2、測定装置3、及び出力装置4を制御する。なお、三次元プリンタ2、測定装置3、及び出力装置4がそれぞれ個別の制御部を有しても良い。
制御部5は、例えば、CPU61、ROM62、RAM63、及びストレージ64のような種々の電子部品を有する。ストレージ64は、HDDやSSDのような情報を記憶、変更、削除可能な装置である。
図3は、第1の実施形態の制御部5の構成を機能的に示す例示的なブロック図である。制御部5は、例えば、CPU61がROM62又はストレージ64に格納されたプログラムを読み出し実行することで、図3に示す各部を実現する。
図3に示すように、制御部5は、記憶部101と、造形制御部102と、撮像制御部103と、再構築部104と、画像出力部105と、比較部106と、強調部107と、評価部108と、停止指示部109とを備える。再構築部104は、画像生成部の一例である。強調部107は、区別部の一例である。なお、図3に示す各部は、あくまで制御部5の機能的構成の一例であり、制御部5の機能的構成は他の表現もされ得る。以下に説明する各部の機能は、特に記載が無い場合、例えば制御部5のCPU61(プロセッサ)によって具体的に実現される。
記憶部101は、RAM63やストレージ64に設けられる。記憶部101は、設計データ111、複数の層データ112、複数の二次元画像113、三次元画像114、差異データ115、及び評価データ116を含む、種々の情報を記憶する。設計データ111は、設計情報の一例である。差異データ115は、三次元形状と三次元画像との差異の一例である。評価データ116は、差異が第1の閾値を下回っているか否かの情報の一例である。
造形制御部102は、積層制御部102aと、結合制御部102bとを有し、パウダーベッド方式の三次元プリンタ2における積層造形を制御する。なお、三次元プリンタ2が他の方式により積層造形を行う場合、造形制御部102は、他の構成を有しても良い。
積層制御部102aは、造形槽22、材料槽23、及び供給装置24を制御し、被供給面Sに材料層16を形成させる。結合制御部102bは、光学装置25を制御し、材料層16の少なくとも一部を結合させ、当該材料層16に層11aを形成させる。結合制御部102bは、物体11の設計データ111から生成された複数の層データ112に基づき、光学装置25に層11aを形成させる。
設計データ111は、例えば、物体11の積層造形に用いられるCAD/CAM用のデータファイルである。設計データ111は、物体11の三次元形状111aに係る情報を含む。本実施形態における三次元形状111aは、物体11の形状と、物体11の各部の色と、に係る情報である。なお、設計データ111は、物体11の寸法公差のデータや、物体11の材料のデータのような種々の情報をさらに含んでも良い。
層データ112は、物体11の層11aを含む材料層16に係る情報である。本実施形態では、結合制御部102bが、物体11の設計データ111に基づき、複数の層データ112を生成する。結合制御部102bは、生成された層データ112を記憶部101に記録する。
撮像制御部103は、測定装置3を制御し、形成された層11aの二次元画像113を取得する。例えば、撮像制御部103は、カメラ51を制御し、カメラ51が撮影した二次元画像113を取得する。撮像制御部103は、例えば、二次元画像113から、画像処理により、層11aを示す部分を抜き出し、材料15を示す部分を消去する。さらに、撮像制御部103は、測距計52を制御し、測距計52の検出結果から二次元画像113を生成(取得)することが可能である。
撮像制御部103は、例えば、カメラ51により取得した二次元画像113を、測距計52の検出結果に基づき修正し、記憶部101に記憶させる。これにより、カメラ51が撮影した二次元画像113の歪みが修正される。なお、撮像制御部103は、カメラ51により取得した二次元画像113と、測距計52により取得した二次元画像113とのいずれか一方を、二次元画像113として記憶部101に記憶させても良い。
上述のように、撮像制御部103は、積層造形が行われる間において、測定装置3から、形成された複数の層11aのそれぞれの二次元画像を取得する。測定装置3及び撮像制御部103は、画像取得部の一例である。
再構築部104は、複数の二次元画像113に基づき、物体11の少なくとも一部の三次元画像114を作成する。再構築部104は、作成した三次元画像114を記憶部101に記憶させる。
図4は、第1の実施形態の三次元画像114の作成方法の一例を概略的に示す図である。図4に示すように、本実施形態において、再構築部104は、二次元画像113を積み重ねることで三次元画像114を作成する。
上述のように、測定装置3によって得られる層11aの二次元画像113は、積層造形において層11aが積み重ねられるZ軸方向に、当該層11aを見た画像である。このため、複数の二次元画像113をZ軸方向に積み重ねることで、実際の物体11に近似する三次元画像114を作成することが可能である。
各層11aの二次元画像113が取得されている場合、再構築部104は、二次元画像113に実際の層11aの厚さと同一の厚さを持たせた層モデル113aを生成する。再構築部104は、当該層モデル113aをZ軸方向に積み重ねることで、三次元画像114を作成する。
一方、所定の間隔で層11aの二次元画像113が取得されている場合、再構築部104は、例えば、二次元画像113に所定の間隔に対応する厚さを持たせた層モデル113aを生成する。再構築部104は、当該層モデル113aをZ軸方向に積み重ねることで、三次元画像114を作成する。
図3に示す画像出力部105は、再構築部104が作成した三次元画像114を出力する。本実施形態では、画像出力部105は、三次元画像114のデータファイルを出力し、記憶部101に記憶させる。言い換えると、画像出力部105は、三次元画像114を記憶部101に保存する。
さらに、画像出力部105は、ディスプレイである出力装置4に、三次元画像114を表示させる。なお、画像出力部105は、プリンタである出力装置4に三次元画像114を二次元画像として印刷させても良いし、補助記憶装置である出力装置4によって記録媒体に三次元画像114のデータファイルを記録させても良いし、通信装置である出力装置4によって三次元画像114のデータファイルを送信しても良い。このように、本実施形態における画像出力部105が行う三次元画像114の出力は、種々の態様であって良い。
比較部106は、画像出力部105が記憶部101に記憶させた三次元画像114と、物体11の設計データ111に含まれる当該物体11の少なくとも一部の三次元形状111aとを比較して、三次元形状111aと三次元画像114との差異を出力する。本実施形態では、比較部106は、三次元形状111aと三次元画像114との差異を示す差異データ115を出力し、記憶部101に記憶させる。
三次元形状111aと三次元画像114との差異は、例えば、三次元形状111aにおける基準点と所定の位置(座標)との二点間の距離と、三次元画像114における基準点と所定の位置(座標)との二点間の距離と、の差異として算出される。なお、三次元形状111aと三次元画像114との差異は、この例に限られず、二つの三次元形状の間の差異を表すための種々の方法により算出されて良い。
三次元形状111a及び三次元画像114の基準点は、種々の方法で設定されることができる。例えば、積層造形において最初の層11aが形成されると、当該層11aの所定の位置(座標)が三次元画像114の基準点とされ、三次元形状111aで当該所定の位置に対応する位置(座標)が、三次元形状111aにおける基準点とされる。基準点として設定される位置は、例えば、画像認識技術における特徴点である。
三次元形状111a及び三次元画像114の基準点は、上記の例に限られない。例えば、結合制御部102bが、設計データ111の物体11の中又は外に、基準点となる座標を追加しても良い。積層造形において、結合制御部102bは、当該座標に基づく部分を固化させて基準を作成する。三次元画像114に含まれることになる当該基準が、三次元画像114の基準点に設定され得る。
本実施形態の比較部106は、三次元形状111aの色と三次元画像114の色との差異をさらに出力する。三次元形状111aの色と三次元画像114の色との差異は、例えば、三次元画像114の各位置における色相、彩度、及び明度と、三次元形状111aの各位置における色相、彩度、及び明度との差異として算出される。なお、三次元形状111aの色と三次元画像114の色との差異は、この例に限られない。
強調部107は、記憶部101に記憶された三次元画像114及び差異データ115を読み出す。強調部107は、差異データ115に基づき、三次元形状111aと異なる部分が他の部分と区別された三次元画像114を出力する。例えば、強調部107は、三次元形状111aと異なる部分が、例えば赤色で強調表示される三次元画像114を、記憶部101に保存する。なお、強調部107は、この例に限られず、三次元形状111aと異なる部分を、例えば、線で区切ったり、説明文を付けたりすることで、他の部分と区別させても良い。
強調部107は、三次元形状111aと三次元画像114との差異が大きい部分を抽出し、当該部分が他の部分と区別された三次元画像114を出力しても良い。例えば、強調部107は、差異データ115と、予め設定された閾値とを比較し、当該閾値を上回る差異が生じた部分が、例えば赤色で強調表示される三次元画像114を出力しても良い。
強調表示された三次元画像114は、画像出力部105が出力した三次元画像114に上書きされても良いし、画像出力部105が出力した三次元画像114とは別に保存されても良い。また、三次元画像114のデータファイルは、例えば、ソフトウェアによって、画像出力部105に出力された三次元画像114と、強調部107によって強調表示された三次元画像114と、に切り替えて表示可能であっても良い。また、強調部107は、三次元形状111aと異なる部分が、例えば赤色で強調表示される三次元画像114を出力装置4に表示させても良い。
評価部108は、差異データ115に基づき、評価データ116を出力する。例えば、評価部108は、差異データ115と、予め設定された閾値とを比較し、差異データ115が閾値を下回っていれば、造形された物体11の品質を保証する評価データ116を出力し、記憶部101に記憶させる。評価部108が用いる閾値は、第1の閾値の一例であり、例えば設計データ111に含まれる物体11の寸法公差である。
停止指示部109は、差異データ115に基づき、造形制御部102に積層造形を停止させる。例えば、停止指示部109は、差異データ115と、予め設定された閾値とを比較し、差異データ115が閾値を上回った場合、造形制御部102に積層造形を停止させる。停止指示部109が用いる閾値は、第2の閾値の一例であり、例えば設計データ111に含まれる物体11の寸法公差である。評価部108が用いる閾値と停止指示部109が用いる閾値とは、同一であっても良いし、互いに異なって良い。
本実施形態の積層造形システム1は、例えば、中空の物体11を造形可能である。中空の物体11の内部形状は、実測することが難しい。また、例えば複数種類の材料15により物体11が作られることで、物体11が複数の色を有することが可能である。本実施形態の積層造形システム1によれば、物体11の内部形状や、物体11の色を容易に検査することが可能である。
図5は、第1の実施形態の積層造形システム1が物体11を造形及び検査する手順の一例を概略的に示すフローチャートである。以下、積層造形システム1が粉末状の材料15から物体11を造形するとともに、当該物体11を検査する手順の一例について説明する。なお、積層造形システム1が物体11を造形及び検査する方法は、以下に説明されるものに限らない。
まず、積層造形システム1の制御部5に、例えば外部のパーソナルコンピュータから、物体11の設計データ111が入力される(S10)。記憶部101に、入力された設計データ111が記憶される。なお、制御部5において設計データ111が作成されても良い。
次に、結合制御部102bは、設計データ111の三次元形状111aを、複数の層に分割する(スライス)。結合制御部102bは、スライスされた三次元形状111aを、例えば複数の点や直方体(ピクセル)の集まりに変換する(ラスタライズ、ピクセル化)。このように、結合制御部102bは、取得した物体11の設計データ111から、複数の二次元形状の層11aのデータを生成する(S11)。
次に、結合制御部102bは、上記複数の層11aのデータから、複数の材料層16のデータである層データ112を生成する(S12)。層データ112は、上記複数の層11aのデータと同様に、複数のピクセルの集まりである。層データ112は、材料15が結合されて層11aを形成する部分と、材料15が粉末状のまま残される部分と、の情報をそれぞれ含む。結合制御部102bは、生成された層データ112を記憶部101に記録する。
次に、積層制御部102aは、材料槽23及び供給装置24を制御し、造形槽22の被供給面Sに材料層16を形成させる(S13)。ベースプレート18が被供給面Sを形成する場合、材料層16は、ベースプレート18の被供給面Sに形成される。材料層16が被供給面Sを形成する場合、積層制御部102aによって新たに形成される材料層16は、被供給面Sを形成する材料層16に積み重ねられる。
次に、結合制御部102bは、光学装置25を制御し、材料層16の少なくとも一部を結合させ、物体11の層11aを形成させる(S14)。さらに、例えば、層11aの表面が、ミーリングによって整形されても良い。
結合制御部102bは、層データ112に基づいて光学装置25に層11aを形成させる。ただし、層データ112における層11aの形状と、光学装置25が形成した層11aとの間に形状誤差が生じる場合がある。
次に、撮像制御部103は、測定装置3を制御し、形成された層11aの二次元画像113を取得させる(S15)。撮像制御部103は、測定装置3のカメラ51及び測距計52によって、層11aの二次元画像113を取得する。撮像制御部103は、二次元画像113を記憶部101に記憶させる。
次に、再構築部104は、三次元画像114の作成を行う(S16)。再構築部104は、記憶部101から二次元画像113を取得し、当該二次元画像113から層モデル113aを生成する。再構築部104は、層モデル113aを厚さ方向(Z軸方向)に積み重ねる。積み重ねられた層モデル113aは、既に形成され且つ積み重ねられた複数の層11aに近似する三次元画像114を形成する。すなわち、再構築部104は、複数の二次元画像113から、物体11の少なくとも一部の三次元画像114を作成する。
次に、画像出力部105は、三次元画像114を出力する(S17)。画像出力部105は、再構築部104が作成した三次元画像114のデータファイルを出力し、記憶部101に記憶させる。
次に、比較部106は、三次元画像114と、設計データ111の三次元形状111aとを比較する(S18)。比較部106は、三次元画像114と三次元形状111aとの差異データ115を出力し、記憶部101に記憶させる。
次に、停止指示部109は、差異データ115が許容範囲内にあるか否かを判断する(S19)。停止指示部109は、差異データ115と閾値とを比較することで、差異データ115が当該閾値を下回っているか否かを判断する。
差異データ115が閾値を上回っている場合(S19:No)、停止指示部109は、造形制御部102に以降の積層造形を停止させるとともに、アラームを発する(S20)。積層造形が停止されると、例えば、積層造形システム1のユーザは、当該アラームに応じて、より精度の高い物体11が得られるよう、三次元プリンタ2の設定を変更できる。また、三次元プリンタ2は、光学装置25のレーザ光Lによって層11aの一部を蒸発させたり、フライス加工によって層11aの一部を切削したりすることで、層11aの形状を修正しても良い。さらに、三次元プリンタ2は、少なくとも一つの材料層16を削り、積層造形をやり直しても良い。
停止指示部109は、差異データ115が閾値を下回っていると判断すると(S19:Yes)、全ての材料層16の形成が完了したか否かを判断する(S21)。全ての材料層16の形成が完了していない場合(S21:No)、積層制御部102aは、造形槽22、材料槽23、及び供給装置24を制御し、材料層16を再度形成させる(S13)。三次元プリンタ2は、材料層16の形成、層11aの形成、二次元画像113の取得、三次元画像114の作成、三次元画像114の出力、三次元形状111aと三次元画像114との比較、及び差異データ115の評価(S13~S19)を繰り返すことで、物体11を造形する。全ての材料層16の形成が完了した場合(S21:Yes)、三次元プリンタ2は、物体11の積層造形を終了する。
最後の層11aの二次元画像113を含む三次元画像114が作成されると、完成品としての物体11を表す三次元画像114が得られる。各層11aに形状誤差が無ければ、当該三次元画像114は、設計データ111の三次元形状111aに一致又は近似する。
造形された物体11は、粉末状の材料15から取り出され、ベースプレート18から切り離される。積層造形システム1のユーザは、処理槽21の処理室21aから、物体11を取り出すことができる。
次に、強調部107は、差異データ115に基づき、三次元画像114における三次元形状111aと異なる部分を強調表示させる(S22)。なお、強調部107は、差異データ115に基づき、三次元形状111aと異なる部分の強調度合に強弱を設けても良い。例えば、強調部107は、差異が大きい部分をより赤色に近い色で表示し、差異が小さい部分をより元の色に近い色で表示しても良い。
次に、三次元画像114が出力される(S23)。例えば、強調部107が、三次元形状111aと異なる部分が強調表示された三次元画像114のデータファイルを出力し、記憶部101に記憶させる。
次に、評価部108は、差異データ115が品質保証範囲内にあるか否かを判断する(S24)。評価部108は、差異データ115と閾値とを比較することで、差異データ115が当該閾値を下回っているか否かを判断する。なお、評価部108の閾値と停止指示部109の閾値とが同一である場合、評価部108による比較は省略されても良い。
評価部108は、差異データ115が閾値を下回っていると判断すると(S24:Yes)、造形された物体11の品質を保証する評価データ116を出力し、記憶部101に記憶させる(S25)。
積層造形システム1のユーザは、記憶部101に記憶された三次元画像114と、差異データ115と、評価データ116とを得ることができる。積層造形システム1のユーザは、物体11の納入先に対して、三次元画像114と、差異データ115と、評価データ116とを、物体11の製造検査データとして提供することができる。
物体11の納入先は、物体11が設計データ111の通りに造形されたことを、三次元画像114と、差異データ115と、評価データ116とに基づき検査することができる。例えば、ソフトウェア上で三次元画像114の寸法を検査することで、実測すること無しに造形された物体11の寸法を検査することが可能である。さらに、評価データ116を確認することで、造形された物体11の寸法の誤差が公差の範囲内であるか否かを確認することが可能である。すなわち、三次元画像114と、差異データ115と、評価データ116とは、造形された物体11の品質保証に用いられ得る。
評価部108は、差異データ115が閾値を上回っていると判断すると(S24:No)、評価データ116の出力を許可せずに省略する。なお、評価部108は、差異データ115が閾値を上回っていることを示す評価データ116を出力し、記憶部101に記憶させても良い。
層11aが形成され、三次元画像114が作成される際に、当該三次元画像114に含まれる二次元画像113は、削除されても良い。この場合、新たに形成された層11aの二次元画像113と、既に作成された三次元画像114とが積み重ねられることで、新たな三次元画像114が作成される。これにより、記憶部101における二次元画像113のデータ量の増大が抑制される。
三次元画像114は、物体11の全てを表すソリッドデータに限らず、物体11の表面を表すサーフェスデータや、物体11を線により示すワイヤフレームデータであっても良い。これにより、三次元画像114のデータ量の増大が抑制される。
さらに、例えば、三次元画像114は、中空の物体11の内面のみを示すサーフェスデータ又はワイヤフレームデータであっても良い。これにより、三次元画像114のデータ量の増大が抑制される。この場合、実測が困難な中空の物体11の内面の寸法を、三次元画像114、差異データ115、及び評価データ116により検査することが可能となる。一方、物体11の外面は、内面に比べて容易に実測可能である。
また、以上の説明においては、層11aが形成される毎に、三次元画像114が作成され、三次元画像114と三次元形状111aとが比較された。しかし、複数の層11aが形成される毎に、又は全ての層11aが形成された後に、三次元画像114が作成され、三次元画像114と三次元形状111aとが比較されても良い。
以上説明された第1の実施形態に係る積層造形システム1では、積層造形が行われる間において、形成された複数の層11aのうち二つ以上のそれぞれの二次元画像113が取得される。そして、物体11の少なくとも一部の三次元画像114が、当該二次元画像113に基づき作成され、出力される。三次元画像114が出力されることで、当該三次元画像114を物体11の設計データ111と比較したり、三次元画像114で表される物体11の寸法をコンピュータのプログラムにより算出したりするような、種々の方法で、物体11を破壊すること無く、物体11の寸法を検査することが可能となる。従って、物体11を実測すること無く、物体11の寸法を容易に検査することが可能となり、物体11の歩留まりが向上する。
二次元画像113は、積層造形において複数の層11aが積み重ねられるZ軸方向に、層11aを見た画像である。このため、積層造形が行われる間において形成された層11aの二次元画像113は、物体11の断面を表す。当該二次元画像113に基づき作成された三次元画像114は、物体11の外観のみならず内部形状を示し得る。従って、物体11の内部形状を実測すること無く、当該三次元画像114に基づき物体11の寸法を容易に検査することが可能となり、物体11の歩留まりが向上する。
本実施形態では、積層造形が行われる間において、形成された層11aの二次元画像113が取得される。これにより、完成した物体11からX線のような電磁的手段により断面の画像を得る方法と比べ、物体11の大きさ及び材料にかかわらず、短時間で、安く、明りょうな二次元画像113を得ることができる。従って、物体11の寸法検査において、精度が向上するとともに、コストが低減される。
三次元画像114を作成する際に、二次元画像113を積み重ねることで三次元画像114が作成される。これにより、物体11の三次元画像114を容易に作成することが可能となる。
物体11の設計データ111の三次元形状111aと、三次元画像114と、を比較して、三次元形状111aと三次元画像114との差異データ115が出力される。これにより、出力された差異データ115から、造形された物体11の寸法の精度を容易に知得することが可能となる。
二次元画像113は、カメラ51により撮影される。さらに、設計データ111の三次元形状111aの色と、三次元画像114の色と、の差異データ115が出力される。これにより、X線のような電磁的手段により物体11を検査する場合と異なり、造形された物体11の色を容易に検査することが可能となる。
差異データ115に基づき、三次元形状111aと異なる部分が他の部分と区別された三次元画像114が出力される。これにより、出力された三次元画像114から、造形された物体11の寸法の精度を容易に知得することが可能となる。
評価部108は、差異データ115が閾値を下回っているか否かの評価データ116を出力する。これにより、物体11が設計データ111の通りに造形されたか否かを容易に判別でき、造形された物体11の寸法の精度を容易に知得することができる。例えば、差異データ115が閾値を下回っている旨の情報は、造形された物体11の品質を保証するための情報として利用され得る。
停止指示部109は、三次元形状111aと三次元画像114との差異データ115が閾値を上回った場合、積層造形を停止させる。これにより、設計データ111との差異が大きい物体11の積層造形に時間及びコストが費やされ続けることが抑制される。
積層造形システム1は、積層造形によって物体11を造形する三次元プリンタ2を備える。これにより、三次元プリンタ2が造形した物体11の寸法を容易に検査することが可能となる。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図6乃至図9を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図6は、第2の実施形態に係る積層造形システム1及びコンピュータ80を概略的に示す例示的な断面図である。積層造形システム1は、第1の実施形態と同様に構成される。コンピュータ80は、例えば、パーソナルコンピュータのような種々のコンピュータである。
コンピュータ80は、例えば、物体11の納入先に設けられる。なお、コンピュータ80は、この例に限られず、積層造形システム1のユーザにより用いられても良い。コンピュータ80は、出力装置81と、制御部82とを有する。コンピュータ80は、例えば、入力装置のような他の装置をさらに有しても良い。
出力装置81は、例えば、画像を表示するディスプレイである。制御部82は、例えば、CPU91、ROM92、RAM93、及びストレージ94のような種々の電子部品を有する。
コンピュータ80は、例えば、通信回線95によりネットワーク経由で積層造形システム1に接続される。なお、コンピュータ80は、積層造形システム1から切り離されて独立していても良い。
図7は、第2の実施形態の制御部5,82の構成を機能的に示す例示的なブロック図である。第1の実施形態と同じく、制御部5は、例えば、CPU61がROM62又はストレージ64に格納されたプログラムを読み出し実行することで、図7に示す各部を実現する。
図7に示すように、第2の実施形態の制御部5において、第1の実施形態の強調部107及び評価部108が省略される。なお、第2の実施形態の制御部5は、強調部107及び評価部108を備えても良い。
第2の実施形態の制御部5は、通信制御部121をさらに有する。通信制御部121は、例えば、積層造形システム1とコンピュータ80との間の通信のような、通信回線95を介した通信を制御する。
コンピュータ80の制御部82は、記憶部201と、通信制御部202と、比較部203と、強調部204と、評価部205とを備える。制御部82は、例えば、CPU91がROM92又はストレージ94に格納されたプログラムを読み出し実行することで、図7に示す各部を実現する。
記憶部201は、RAM93やストレージ94に設けられる。記憶部201は、設計データ111、三次元画像114、差異データ115、及び評価データ116を含む、種々の情報を記憶する。
積層造形システム1は、例えば、当該積層造形システム1のユーザが納入先から受領した設計データ111に基づき、物体11を造形する。このため、積層造形システム1の記憶部101に記憶された設計データ111と同一の設計データ111が、コンピュータ80の記憶部201に記憶されている。
通信制御部202は、例えば、積層造形システム1とコンピュータ80との間の通信のような、通信回線95を介した通信を制御する。コンピュータ80は、通信制御部202により、積層造形システム1から三次元画像114を受信することができる。
比較部203は、記憶部201に記憶された三次元画像114と、物体11の設計データ111に含まれる当該物体11の少なくとも一部の三次元形状111aとを比較して、三次元形状111aと三次元画像114との差異を出力する。また、比較部106は、三次元形状111aの色と三次元画像114の色との差異をさらに出力する。比較部203は、三次元形状111aと三次元画像114との差異を示す差異データ115を出力し、記憶部201に記憶させる。
強調部204は、記憶部201に記憶された三次元画像114及び差異データ115を読み出す。強調部204は、差異データ115に基づき、三次元形状111aと異なる部分が他の部分と区別された三次元画像114のデータファイルを出力し、記憶部201に記憶させる。
評価部205は、差異データ115に基づき、評価データ116を出力する。例えば、評価部205は、差異データ115と、予め設定された閾値とを比較し、差異データ115が閾値を下回っていれば、造形された物体11の品質を保証する評価データ116を出力し、記憶部201に記憶させる。評価部205が用いる閾値は、例えば設計データ111に含まれる寸法公差である。
図8は、第2の実施形態の積層造形システム1が物体11を造形する手順の一例を概略的に示すフローチャートである。図8に示すように、第2の実施形態の積層造形システム1は、第1の実施形態と同じ手順(S10~S21)によって、物体11を造形する。
積層造形システム1は、物体11を造形するとともに、三次元画像114のデータファイルを出力し、記憶部101に記憶させる。例えば、積層造形システム1は、物体11の納入先に、通信制御部121により通信回線95を介して、三次元画像114のデータファイルを送信する。なお、積層造形システム1のユーザは、この例に限らず、例えば、三次元画像114のデータファイルが記録されたDVDのような記録媒体を納入先に渡しても良いし、納入先がアクセス可能なサーバに三次元画像114のデータファイルを保存しても良い。
図9は、第2の実施形態のコンピュータ80が物体11の寸法を検査する手順の一例を概略的に示すフローチャートである。以下、コンピュータ80が物体11を検査する手順の一例について説明する。なお、コンピュータ80が物体11を検査する方法は、以下に説明されるものに限らない。
まず、コンピュータ80の制御部82に、三次元画像114が入力される(S100)。制御部82は、例えば、通信制御部202により通信回線95を介して、積層造形システム1から三次元画像114を取得する。なお、制御部82は、この例に限らず、DVDのような記録媒体から三次元画像114を取得しても良いし、通信制御部202により通信回線95を介して、サーバから三次元画像114を取得しても良い。
次に、比較部203は、三次元画像114と、設計データ111の三次元形状111aとを比較する(S101)。比較部203は、三次元画像114と三次元形状111aとの差異データ115を出力し、記憶部201に記憶させる。
次に、強調部204は、差異データ115に基づき、三次元画像114における三次元形状111aと異なる部分を強調表示させる(S102)。なお、強調部204は、差異データ115に基づき、三次元形状111aと異なる部分の強調度合に強弱を設けても良い。
次に、三次元画像114が出力される(S103)。例えば、強調部204が、三次元形状111aと異なる部分が強調表示された三次元画像114のデータファイルを出力し、記憶部201に記憶させる。さらに、強調部204は、三次元画像114を出力装置81に表示させても良い。
次に、評価部205は、差異データ115が品質保証範囲内にあるか否かを判断する(S104)。評価部205は、差異データ115と閾値とを比較することで、差異データ115が当該閾値を下回っているか否かを判断する。
評価部205は、差異データ115が閾値を下回っていると判断すると(S104:Yes)、造形された物体11の品質を保証する評価データ116を出力し、記憶部201に記憶させる(S105)。
物体11の納入先は、積層造形システム1から入手した三次元画像114と、記憶部201に記憶された差異データ115及び評価データ116とを得ることができる。納入先は、物体11が設計データ111の通りに造形されたことを、三次元画像114と、差異データ115と、評価データ116とに基づき検査することができる。すなわち、積層造形システム1が出力した三次元画像114は、造形された物体11の品質保証に用いられ得る。
評価部205は、差異データ115が閾値を上回っていると判断すると(S104:No)、評価データ116の出力を許可せずに省略する。なお、評価部205は、差異データ115が閾値を上回っていることを示す評価データ116を出力し、記憶部201に記憶させても良い。
以上説明された第2の実施形態のように、積層造形システム1が三次元画像114を出力することで、積層造形システム1から独立したコンピュータ80が物体11を容易に検査することができる。すなわち、物体11の寸法の検査は、積層造形システム1によって行われても良いし、納入先のコンピュータ80によって行われても良い。
以上説明された少なくとも一つの実施形態によれば、積層造形が行われる間において、形成された複数の層のうち二つ以上のそれぞれの二次元画像が取得される。そして、物体の少なくとも一部の三次元画像が、当該二次元画像に基づき作成され、出力される。三次元画像が出力されることで、当該三次元画像を物体の設計情報と比較したり、三次元画像で表される物体の寸法をコンピュータのプログラムにより算出したりするような、種々の方法で物体の寸法を検査することが可能となる。従って、物体を実測することなく、物体の寸法を容易に検査することが可能となり、物体の歩留まりが向上する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲の内容を付記する。
[1]
複数の層の形成及び当該複数の層の積み重ねにより物体を造形する積層造形が行われる間において、形成された前記複数の層のうち二つ以上のそれぞれの二次元画像を取得することと、
前記二次元画像に基づき前記物体の少なくとも一部の三次元画像を作成することと、
前記三次元画像を出力することと、
を具備する、積層造形された物体の検査方法。
[2]
前記二次元画像は、前記積層造形において前記複数の層が積み重ねられる方向に、前記層を見た画像である、[1]の積層造形された物体の検査方法。
[3]
前記三次元画像を作成する際に、前記二次元画像を積み重ねることで前記三次元画像が作成される、[1]又は[2]の積層造形された物体の検査方法。
[4]
前記積層造形に用いられた前記物体の設計情報に含まれる当該物体の少なくとも一部の三次元形状と、前記三次元画像と、を比較して、前記三次元形状と前記三次元画像との差異を出力すること、をさらに具備する、[1]乃至[3]のいずれか一つの積層造形された物体の検査方法。
[5]
前記二次元画像を取得する際に、カメラにより、形成された前記複数の層のうち二つ以上のそれぞれの前記二次元画像を撮影し、
前記差異を出力する際に、前記三次元形状の色と前記三次元画像の色との差異をさらに出力する、
[4]の積層造形された物体の検査方法。
[6]
前記差異に基づき、前記三次元形状と異なる部分が他の部分と区別された前記三次元画像を出力すること、をさらに具備する[4]又は[5]の積層造形された物体の検査方法。
[7]
前記差異と第1の閾値とを比較して、前記差異が前記第1の閾値を下回っているか否かの情報を出力すること、をさらに具備する[4]乃至[6]のいずれか一つの積層造形された物体の検査方法。
[8]
前記差異と第2の閾値とを比較して、前記差異が前記第2の閾値を上回った場合、前記積層造形を停止すること、をさらに具備する[4]乃至[7]のいずれか一つの積層造形された物体の検査方法。
[9]
複数の層の形成及び当該複数の層の積み重ねにより物体を造形する積層造形が行われる間において、形成された前記複数の層のうち二つ以上のそれぞれの二次元画像を取得する画像取得部と、
前記二次元画像に基づき前記物体の少なくとも一部の三次元画像を作成する画像生成部と、
前記三次元画像を出力する画像出力部と、
を具備するシステム。
[10]
前記二次元画像は、前記積層造形において前記複数の層が積み重ねられる方向に、前記層を見た画像である、[9]のシステム。
[11]
前記画像生成部は、前記二次元画像を積み重ねることで前記三次元画像を作成する、[9]又は[10]のシステム。
[12]
前記積層造形に用いられた前記物体の設計情報に含まれる当該物体の少なくとも一部の三次元形状と、前記三次元画像と、を比較して、前記三次元形状と前記三次元画像との差異を出力する比較部、をさらに具備する、[9]乃至[11]のいずれか一つのシステム。
[13]
前記画像取得部は、形成された前記複数の層のうち二つ以上のそれぞれの前記二次元画像を撮影するカメラを有し、
前記比較部は、前記三次元形状の色と前記三次元画像の色との差異をさらに出力する、
[12]のシステム。
[14]
前記差異に基づき、前記三次元形状と異なる部分が他の部分と区別された前記三次元画像を出力する区別部、をさらに具備する[12]又は[13]のシステム。
[15]
前記差異と第1の閾値とを比較して、前記差異が前記第1の閾値を下回っているか否かの情報を出力する評価部、をさらに具備する[12]乃至[14]のいずれか一つのシステム。
[16]
前記差異と第2の閾値とを比較して、前記差異が前記第2の閾値を上回った場合、前記積層造形を停止する停止指示部と、をさらに具備する[12]乃至[15]のいずれか一つのシステム。
[17]
前記積層造形によって前記物体を造形する積層造形部、をさらに具備する[9]乃至[16]のいずれか一つのシステム。