JP7093988B2 - 透過型薄膜太陽電池 - Google Patents

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Description

本開示は、透過型薄膜太陽電池に関する。
自然エネルギーの利用として太陽光をエネルギー源とする太陽電池が注目されている。農業分野における太陽電池の活用技術としては、営農と太陽電池による太陽光発電とを両立する技術(いわゆるソーラーシェアリング)が検討されている。
ソーラーシェアリングの一態様として、透光性のない太陽電池(シリコン系太陽電池パネル)を農地に設置すること等が挙げられる。このとき、発電量の確保を考慮すれば、太陽電池パネルの設置面積は大きくすることが好ましい。しかし、太陽電池パネルにより農地に日陰ができるため、農作物への悪影響が懸念される。このため、現状では、農作物の収穫量の減少を抑えるために、ある程度の空間を担保して太陽光パネルが設置されることとなる。農作物の生育に適した日照量を確保するために必要な太陽電池パネルの設置面積は、農地全体の30%程度と試算されており、現状では、発電と農業の両立において農地が十分有効に利用されているとは言い難い。
従来の太陽電池を農地に利用する技術としては、例えば、農耕地の一部に太陽電池パネルを設置し、該太陽電池パネルで得られる電力で補助光源を駆動し、農地の他部で栽培する植物に、太陽光とともに前記補助光源から発する補助光を照射して生育させる植物栽培方法が提案されている(特開2011-200163号公報参照)。
また、太陽光放射のない場合、補助の照射光が使用される温室が提案されている。すなわち、第1波長領域では実質的に透光性である薄膜太陽電池モジュールであって、太陽放射を受け取り、第1波長領域とは異なる第2波長領域中の太陽放射を電気エネルギーへ変換するように構成された光電層と、光電層により透過された第2波長領域の放射を選択的に反射するように、光電層に対向して配置された選択的反射層と、第2波長領域における放射を吸収して、電気エネルギーへ変換する追加の光電層とを備え、選択的反射層が光電層と追加の光電層との間に配置され、第1波長領域が350~500nmの第1の波長バンドと600~700nmの第2の波長バンドとを含み、第2波長領域が500~600nmの波長範囲を含む、前記薄膜太陽電池モジュールが開示されている(特表2014-522101号公報参照)。
また、太陽光などの外光の一部、具体的には植物の光合成への寄与が小さい波長の光を吸収し光合成への寄与の大きい波長の光に変換する蛍光体と、蛍光体から放射された光の一部を誘導する蛍光導光体と、蛍光導光体を受光する太陽電池素子とを有する採光部を備える植物栽培装置が提案されている(国際公開WO2012/141091パンフレット)。
しかし、特開2011-200163号公報に記載の技術では、農地を太陽電池の設置と作物栽培とでシェアしているため太陽電池を設置した部分では作物栽培ができず、発電量の最大化を追求した場合、農作物の生育に必要な日照量を確保できず、農地としての機能が損なわれるおそれがある。
一方、特表2014-522101号公報に記載の技術では、透光性の薄膜太陽電池モジュールを温室に使用し、太陽光の波長を発電と光合成とに分けて利用することが開示されている。また、特表2014-522101号公報では、500nm~600nmの波長を選択的に反射し、電気エネルギーに変換しているが、光合成に寄与する波長の光に変換することの提案はなされていない。
本発明の一実施形態の目的は、調光機能と透過型有機ELシートとを有し、太陽光の強度に拘わらず、太陽電池の下の光環境を所望の状態に制御することができる透過型薄膜太陽電池を提供することにある。
課題を解決するための手段は、以下の実施形態を含む。
<1> 太陽光の少なくとも一部を透過する太陽電池シート、透過型有機EL(エレクトロルミネッセンス)シート、および、太陽光の透過量を調節する調光部、を有する透過型薄膜太陽電池。
<2> 太陽光の入射側から、前記太陽電池シート、前記調光部、および前記透過型有機ELシートを、この順に有する<1>に記載の透過型薄膜太陽電池。
<3> 太陽光の入射側から、前記太陽電池シート、前記透過型有機ELシート、および前記調光部を、この順に有する<1>に記載の透過型薄膜太陽電池。
<4> 前記太陽電池シートが、選択的光透過性を有する<1>~<3>のいずれか1つに記載の透過型薄膜太陽電池。
<5>前記選択的光透過性は可視光領域の光を透過する特性である<4>に記載の透過型薄膜太陽電池。
<6> 前記太陽電池シートが、有機薄膜太陽電池シートである<1>~<5>のいずれか1つに記載の透過型薄膜太陽電池。
<7> 前記太陽電池シートの太陽光の入射側とは反対側に、前記太陽電池シートを介して入射した光の波長を変換する波長変換部をさらに有する<1>~<6>のいずれか1項に記載の透過型薄膜太陽電池。
<8> さらに、前記太陽電池シートを透過した透過光の光量を測定する光量測定手段を有し、前記光量測定手段により測定した透過光の光量が所定の光量に達しない場合に、前記透過型有機ELシートにエネルギーを付与して発光させる<1>~<7>のいずれか1つに記載の透過型薄膜太陽電池。
本発明の一実施形態によれば、調光機能を有し、太陽光の受光量に係わらず、所望の光環境を維持することができる透過型薄膜太陽電池を提供することができる。
本開示の透過型薄膜太陽電池の一例である第1の実施形態の構成を示す概略断面図である。 本開示の透過型薄膜太陽電池の別の例である第2の実施形態の構成を示す概略断面図である。 波長変換部を更に有する本開示の透過型薄膜太陽電池の一例である第3の実施形態構成を示す概略断面図である。 日中の太陽光の光量が大きい場合における薄膜太陽電池30の使用態様および光の状態を示す概略図である。 日中の太陽光の光量が適度な場合における薄膜太陽電池30の使用態様および光の状態を示す概略図である。 好天の日中、朝又は夕方に、必要に応じて太陽光の透過光量を制御する場合における薄膜太陽電池30の使用態様および光の状態を示す概略図である。 夜間、太陽光が照射されない場合における薄膜太陽電池30の使用態様および光の状態を示す概略図である。 雨天または曇天時、太陽光の光量が比較的小さい場合における薄膜太陽電池30の使用態様および光の状態を示す概略図である。 実施例1の透過型薄膜太陽電池1の透過光の分光放射照度を示すグラフである。 実施例1の透過型薄膜太陽電池1の、太陽光の照射下で測定した電流-電圧特性を示すグラフである。 波長変換部を有する実施例2の透過型薄膜太陽電池2の透過光の分光放射照度を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本開示の透過型薄膜太陽電池(以下、単に「薄膜太陽電池」と称することがある)は、太陽光の少なくとも一部を透過する太陽電池シート(以下、単に「太陽電池シート」と称することがある)、透過型有機ELシート(以下、単に「有機ELシート」と称することがある)、および、太陽光の透過量を調節する調光部(以下、単に「調光部」と称することがある)を有する。薄膜太陽電池は、太陽電池シート、有機ELシートおよび調光部を有し、必要に応じて、さらに他の部材を有してもよい。
なお、本明細書に説明する薄膜太陽電池の各実施形態において、薄膜太陽電池を構成する部材を「この順に有する」とは、当該部材を各実施形態における所定の構成順に有することを意味し、それ以外の任意の部材を有することを妨げない。
以下、薄膜太陽電池の構成について図を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態の薄膜太陽電池10の層構成を示す概略断面図である。
本実施形態の薄膜太陽電池10は、太陽光の受光側から、太陽電池シート12、調光部14、および有機ELシート16をこの順に有する。なお、太陽光の受光側を、図1に矢印で示す。
薄膜太陽電池10の受光側とは反対側に、光環境が調整又は制御される領域がある(以下、光環境が調整又は制御される領域を、「光環境調整領域」と称することがある。なお、図1おいて、薄膜太陽電池10の受光側とは反対側における(A)で示される領域が、光環境調整領域の一例である。図示はされないが、図2、図3においても、薄膜太陽電池20、30の受光側とは反対側の領域が、図1において(A)で示される領域と同様の光環境調整領域となる。
光環境調整領域としては、例えば、植物を育成するビニールハウス、太陽光利用型植物工場、家禽、豚などの動物を育成する鶏舎、畜舎、魚類の養殖場などの、薄膜太陽電池の受光側とは反対側における領域が挙げられる。
太陽電池シート12は、太陽光の少なくとも一部を透過するため、太陽電池シート12を透過した光(透過光)は調光部14に到達する。さらに、透過光は、調光部14を透過して有機ELシート16に到達し、さらに有機ELシート16を透過して光環境調整領域に到達する。調光部14は、光環境調整領域に到達する透過光の量を調節する。
例えば、太陽光が強過ぎて、葉物野菜等が日焼けを起こすような光量であるときは、調光部14により太陽光の透過光を所望の光量まで低下させることができる。
夜間、曇天時あるいは太陽光の光量を低下させる必要がない場合には、調光部14は光量調整を行なわず、受光した光をそのまま透過させる。
調光部14に、後述するように、クロミック材料を用いる場合には、光量計などのセンサーを用いなくても、調光部14自体が、受光量に応じて変色し、光透過性を制御することができる。しかし、調光部14は、クロミック材料を用いた態様に限定されるものではない。
有機ELシート16は、エネルギーを付与されることで発光する。太陽光の光量が少ない場合には、有機ELシート16にエネルギーを付与して発光させ、植物などに必要な光量を供給する。有機ELシート16へ付与するエネルギーは、既述の太陽電池シート12で発電された電力を用いてもよく、外部電源より電力として供給されたエネルギーであってもよい。
第1の実施形態の薄膜太陽電池10によれば、照射される太陽光の光量が多い場合には、太陽電池シート12による発電が効率よく行なわれ、調光部14が必要以上の太陽光透過を抑制するため、光環境調整領域には、設計値どおりの光量が到達する。他方、照射される太陽光の光量が少ない場合には、調光部14は太陽光の透過を抑制せず、かつ、有機ELシート16が発光して光環境調整領域に所望の波長の光を必要な光量で供給することができる。
このため、本実施形態の薄膜太陽電池10を、例えば、ビニールハウスにおいて、屋根シートなどの樹脂シートとともに、あるいは屋根シートに代えて適用すると、ビニールハウス内に光環境調整領域ができ、天候に拘らず、光環境が所定の条件に制御され、植物の成長に好適な光量が供給される。
本実施形態の薄膜太陽電池10には、さらに、太陽電池シート12に入射し、太陽電池シート12を透過した透過光の光量を測定する光量測定手段(不図示)を有していてもよい。光量測定手段として、植物の光合成にとっての光環境の測定に用いられる照度計、あるいは光合成有効波長領域に感度を有する光量子センサー等が好ましく使用される。かかる光量測定手段を有することで、透過光の光量が、例えば、植物の育成に必要な量に達していない場合に、有機ELシート16にエネルギーを付与して発光させるよう設計することができる。薄膜太陽電池が、光量測定手段と、光量測定手段により測定された結果を予め設定した値と比較及び判定を行う判定手段と、かかる判定手段による判定に従って有機ELシートへのエネルギー付与に反映させる反映手段と、波長変換素子とを備えることで、有機ELシート16の発光を制御することができ、光環境調整領域の光環境を容易かつ精密に制御できる。
また、有機ELシート16を発光させるエネルギーに、太陽電池シート12により発電されたエネルギーを蓄電して、必要に応じて適用することで、好適な光環境を維持するに際しての省エネルギー効果も期待できる。
なお、薄膜太陽電池の構成は、第1の実施形態に限定されない。
図2は、薄膜太陽電池の第2の実施形態を示す概略断面図である。図2に示す第2の実施形態の薄膜太陽電池20では、太陽光の受光側から、太陽電池シート12、有機ELシート16、および調光部14をこの順に有する。本実施形態では、太陽電池シート12を透過した光は、有機ELシート16を透過光環境調整領域に供給される。有機ELシート16は、供給される光量が不足した場合、エネルギーの付与により発光する。調光部14では、太陽電池シート12を透過した太陽光と、有機ELシート16にて発光した光の双方について、調整可能とすることで、光環境調整領域に到達する光量を好適に制御する。
以下、本開示の薄膜太陽電池が備え得る各部材について詳細に説明する。
(太陽光の少なくとも一部を透過する太陽電池シート:太陽電池シート)
本実施形態の薄膜太陽電池10および20に用いられる太陽電池シート12は、太陽光の少なくとも一部を透過する太陽電池シートであれば特に制限はない。太陽光の少なくとも一部を透過する太陽電池シートとしては、例えば、有機半導体を用いた有機薄膜太陽電池シート、色素増感太陽電池、ペロブスカイト太陽電池、有機無機ハイブリッド型太陽電池、タンデム型太陽電池、CuO型太陽電池等が挙げられる。また、太陽電池シートは、シリコン型、化合物半導体等を用いた無機太陽電池シートであってもよい。
太陽電池シートとしては、可撓性を有し、塗布で製造可能であるため製造コストが低く、大型化に有利であるという観点から、有機薄膜太陽電池シートが好ましく、有機半導体を用いた透過型太陽電池シート等がさらに好ましい。
有機薄膜太陽電池シートの光透過および吸収波長は、いずれも材料の選択により適宜設定することができる。
本明細書において、太陽電池シートが、「太陽光の少なくとも一部を透過する」とは、太陽電池シートが、太陽光の全光のうち、少なくとも一部を透過させて、太陽電池シートの受光側とは反対側へ透過させること意味する。
太陽光の少なくとも一部とは、例えば、太陽光において、全光のうち、可視光領域、紫外光領域、赤外光領域の少なくともいずれかの波長の光、太陽光の全光のうち、光量の少なくとも一部の光などを指す。
太陽電池シートは、選択的光透過性を有すること、言い換えれば、光環境調整領域に好適な特定の波長の光を選択的に透過させ得ることが好ましい。
例えば、光環境調整領域に置いて植物を栽培する場合には、上記のなかでも、太陽電池シートの選択的光透過性が、植物の成長に有用な可視光領域(400nm~700nm)の波長の光を透過する特性であることが好ましい。
太陽電池シートは、受光面にあたる光の一部を透過し、残りは、散乱されたり、或いは、太陽電池シートに吸収されて発電に使用されたりする。
太陽電池シートに用いられる材料を選択することにより、特定の光の波長を選択的に透過したり、吸収したりするため、透過させる光の量と変換効率を調整できる。
本開示好ましい態様では、太陽電池シートが選択的光透過性を有するが、その場合には、本開示の薄膜太陽電池自体もまた、選択的光透過性を有することになり、薄膜太陽電池の受光側とは反対側の光環境調整領域に対し、選択的に好ましい光量及び好ましい波長の少なくともいずれかの光を到達させ得ることはいうまでもない。
太陽電池シートが太陽光の少なくとも一部を透過する場合の、透過率は、特に限定されないが、薄膜太陽電池の入射光に対する透過率が10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
透過率は、例えば、薄膜太陽電池の受光側とは反対側の透過光について、予め定められた波長領域における分光放射照度を分光放射計にて測定し、入射光(太陽光)の分光放射照度に対する比率を測定することにより算出できる。
太陽電池シート12の選択的光透過性の好ましい態様としては、例えば農業用途で植物栽培に用いる場合、光合成に大きく寄与する透過波長400nm以上500nm未満(青色)および透過波長600nm以上800nm未満(赤色)の少なくともいずれか一方の光を透過することが好ましい。可視光領域に吸収をもつ薄膜太陽電池であれば、透過波長400nm以上500nm未満(青色)および透過波長600nm以上800nm未満(赤色)の少なくともいずれかにおける光透過率が大きく、透過波長500nm以上600nm未満(緑色)の光が、太陽電池シートに吸収されて発電に利用されることが好ましい。
既述の態様、即ち、選択的光透過性として青色領域及び赤色領域の少なくともいずれかの領域における良好な光透過性を有する太陽電池シートを選択することにより、有用な波長の太陽光による植物の育成効果を損なわず、発電を行なうことができる。
また、太陽電池シートが選択的光透過性を有する場合、例えば、ある種の動植物に有害な紫外線を吸収して発電することにより、光環境調整領域への紫外線到達を抑制し、光環境調整領域における光環境を、動植物により適するものとすることができる。
太陽電池シート12の厚みは、太陽光の少なくとも一部を透過しうる限り、特に制限はない。例えば、100μm~500μmのシートから、目的に応じた厚みのシートを選択して用いることができる。
太陽電池シート12は、市販品を用いることができる。市販品としては、三菱化学株式会社のジオア太陽光発電システムにおける有機太陽電池などが挙げられる。
(透過型有機ELシート:有機ELシート)
薄膜太陽電池10および20は、有機ELシート16を有する。
有機ELシート16は、太陽光の少なくとも一部を透過しうるシートであれば特に制限なく、公知の有機ELシートを適宜選択して使用することができる。有機ELシート16は、可撓性を有するシートであることが好ましい。
なお、「太陽光の少なくとも一部を透過しうる」とは、既述の太陽電池シートにおいて述べたのと同様のことを意味し、有機ELシートは、太陽電池シートが透過する光の少なくとも一部を透過させ得ることが好ましい。
有機ELシート16は、両面発光型でも、片面発光型でもよい。なかでも、発光された光が光環境調整領域に直接到達して効率よく使用されるという観点から、片面発光型が好ましい。
有機ELシート16は、薄膜太陽電池10または20に一体に積層されていてもよい。
既述のように、有機ELシート16の発光に適用される電力は、外部電源より、供給してもよく、太陽電池シート12で発電した電力を蓄電したものを電源として発光させてもよい。有機ELシート16の発光エネルギーとして、その少なくとも一部として太陽電池シート12による発電エネルギーを使用することで、本実施形態の薄膜太陽電池のランニングコストをより低減することができ、好ましい。
有機ELシートとしては、一対の電極間に、発光層または発光層を含む複数の有機層を有する有機ELシートが挙げられる。
有機ELシート16では、様々な発光ドーパントを発光層に混合させることによって発光色を変えることができる。このため、例えば、植物の生育に寄与する波長域の光を発光する有機ELシート16を作製することができる。また、有機ELシート16は面発光なので、発光ダイオード(LED)光源の如き点光源とは異なり、光ムラができ難いという特徴があり、光ムラによる植物の生育ムラを防止することができる。また、消費電力も少ないというメリットもある。さらに、本実施形態において使用される透過型有機ELシートは、発光していない場合には、太陽光を透過させ、植物に必要な太陽光を供給可能であることが好ましい。
有機ELシートのより具体的な例としては、例えば、透明電極(酸化インジウム錫:ITO)付のポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム上に、N,N’-ジナフチル-N,N’-ジフェニルベンジジジン(α-NPD)を正孔輸送層、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)を電子輸送性発光層、上部電極としてGa-Zn-O(GZO)を透明電極として有する可視光透過型の有機ELシートが挙げられる。
(太陽光の透過量を調節する調光部:調光部)
実施形態の薄膜太陽電池10および20は、調光部14を備える。調光部14は、太陽光の透過量を調節することができる限りにおいて、特に材料、構成に制限はない。調光部14としては、例えば、受光量に応じて色が変化するクロミック材料のシート、液晶フィルム、遮光性を有する開閉可能なブラインド、遮光性を有する着脱可能な布帛、液体流路を有する部材であって流路に半透明或いは遮光性の液体を供給することで光透過性を制御する部材などが挙げられるが、これらに限定されない。
なかでも、特に光量を測定して、その結果に応じて調光操作を必要とせず、光量を一定に維持することができるという観点から、調光部16としては、クロミック材料を備える調光部が好ましい。クロミック材料としては、公知のクロミック材料、例えば、フォトクロミック材料、ガスクロミック材料、エレクトロクロミック材料等が好ましく挙げられる。
また、市販の調光デバイスを、そのまま調光部として採用することもできる。
(任意の部材)
実施形態の薄膜太陽電池は、太陽電池シート、有機ELシート、および調光部に加え、任意の部材をさらに有していてもよい。
任意の部材としては、例えば、太陽光の少なくとも一部を、植物の光合成に適する或いは、光合成を抑制する波長の光に変換する波長変換部、薄膜太陽電池の物理的強度を向上させるための補強シート、隣接するシートまたは部材同士の接着性を向上させる接着層、太陽電池への水分の浸入、酸素透過等を抑制する封止材、保護シート等が挙げられる。
(波長変換部)
実施形態の薄膜太陽電池は、太陽光の入射側とは反対側に、太陽電池シートを介して入射した光(透過光)の波長を変換する波長変換部をさらに有することが好ましい。
薄膜太陽電池が波長変換部を備えることで、太陽電池シート或いは有機ELシートにより吸収される、植物の光合成に有効な波長域の光を補強したり、動植物に有害な紫外線等を吸収し、光環境調整領域への到達量を抑制したりすることができる。
波長変換部は、例えば、太陽光のうち、有害な紫外線や青色光領域の光を吸収して、有用な可視光線に変換し、植物の光合成反応に有用な波長域の光を蛍光として放射することが好ましく、したがって、250nm~650nmの波長域の光を吸収して、波長域450nm~700nmの蛍光を発するものが好ましい。蛍光発光波長域がこの範囲内であれば、薄膜太陽電池を植物の育成に使用する場合、十分な植物に対する光合成の促進効果を得ることができる。
波長変換部としては、例えば、特許第5505630号公報に記載の蛍光放射性ネット、或いは、蛍光放射性シートが好ましく挙げられる。
蛍光放射性ネット或いは蛍光放射性シートは、波長域250~320nmの紫外線を減衰させることができる。蛍光放射性ネット或いは蛍光放射性シートは、いずれもネットまたはシートを形成しうる熱可塑性樹脂と蛍光染料、蛍光顔料などの蛍光色素とを含有する。蛍光色素としては、例えば、ペリレン系色素、ピレン系色素、キサンテン系色素、チオキサンテン系色素、クマリン色素などが挙げられる。蛍光色素は1種のみを用いてもよく、目的に応じて2種以上を併用してもよい。
本実施形態の薄膜太陽電池10には、さらに、太陽電池シート12に入射し、太陽電池シート12を透過した透過光の光量を測定する光量測定手段を有することができる。
光量測定手段として、植物の光合成にとっての光環境の測定に用いられる照度計、あるいは光合成有効波長領域に感度を有する光量子センサー等が挙げられる。かかる光量測定手段を有することで、透過光の光量が所定の量に達していない場合に、有機ELシート16にエネルギーを付与して発光させるよう設計することができる。
図3は、波長変換部を備える薄膜太陽電池の第3の実施形態を示す概略断面図である。図3に示す薄膜太陽電池30は、図1に示す薄膜太陽電池10が波長変換部18をさらに備えた構成を有する。
図3に示す薄膜太陽電池30は、受光側から、太陽電池シート12、調光部14、有機ELシート16および波長変換部18をこの順に備える。
植物の育成を例に挙げれば、第3の実施形態の薄膜太陽電池30では、太陽光のうち、植物の光合成に有用な波長帯域の光は、薄膜太陽電池30を透過して植物に到達する。光合成に有用ではない波長帯域の光の一部は、太陽電池シート12において発電に用いられる。また、光合成に有用ではない波長帯域の光の一部は、波長変換部18に到達し、波長変換部で所望の波長の光、例えば、光合成に必要な波長帯域の光に変換されて植物に照射され、光合成に必要な波長帯域の光が補強される。
第3の実施形態の薄膜太陽電池30においても、夜間、雨天、曇天時等の太陽光が十分に照射されない場合には、太陽電池シート12により発電され、蓄電された電力あるいは外部電源から供給される電力を使って有機ELシート16が発光することにより、植物の光合成に必要な光量を確保することができる。
波長変換部18を有する薄膜太陽電池の構成は、図3に示す態様には限定されず、例えば、受光側から、太陽電池シート12、調光部14、波長変換部18および有機ELシート16をこの順に備える態様、受光側から、太陽電池シート12、有機ELシート16、調光部14、および波長変換部18をこの順に備える態様。太陽電池シート12、有機ELシート16、波長変換部18および調光部14をこの順に備える態様であってもよい。なお、光環境の制御を行なうための選択の幅が拡がるという観点からは、波長変換部18を有する場合、図3に示す薄膜太陽電池30の構成であることが好ましい。
第3の実施形態の薄膜太陽電池によれば、太陽光の透過性の制御、太陽電池シートによる発電、有機ELシートによる光照射、そして、好適な態様においては、さらに波長変換部による必要な波長帯域の光の補強を組み合わせることで、目的とする光環境を長時間に亘り維持することができる。また、光環境を所望により調整することができるため、その応用範囲は広い。
以下、図3に示す第3の実施形態の薄膜太陽電池30を植物栽培に使用した場合の例を挙げ、詳細に説明する。
図4は、真夏の好天の日中等、太陽光の光量が大きい場合の薄膜太陽電池30の使用態様および光の状態を示す概略図である。以下の図4~図8では、光を(a)~(f)の符号を付した矢印または矩形で表し、矢印又は矩形で区画された領域の面積は光量を模式的に示している。
図4~図8において、薄膜太陽電池30の受光側と反対側の、模式的に植物が記載されている領域が、図1において(A)で示す光環境調整領域に相当する。
図4中、(a)の領域は太陽からの照射光の内、植物の生育に寄与する太陽光を示し、(b)で示す領域は調光部14により減光された植物の生育に寄与する太陽光を示し、(c)で示す領域は、植物の生育にあまり寄与しない太陽光の一部で太陽電池シート12に吸収され、発電に供される太陽光を示す。(d)で示す領域は、植物の生育にあまり寄与しない太陽光の一部を示し、(e)は、(d)で示す光が調光部14により減光され、波長変換部18において蛍光色素に吸収される光を示し、(f)は、波長変換部18を介して波長変換され、植物の光合成に大きく寄与する光を示す。
図4に示すように、真夏の好天の日中は太陽光が強過ぎるので、育成される植物が日焼けを起こすような葉物野菜等である場合には、図4に示すように、植物の生育に寄与する太陽光(a)の一部が調光部14にて遮光され、植物の育成に適する光量とされた残部(b)が調光部14および透明な有機ELシート16を通過して植物に照射され、植物の育成に供される。
植物の光合成にあまり寄与しない波長域の光(c)は、太陽電池シート12に吸収され、発電に使用される。植物の光合成にあまり寄与しない波長域の光のうち一部(d)は、調光部14にて減光され、波長変換部18に吸収される光(e)であり、波長変換部18にて波長変換され、植物の光合成に大きく寄与する光(f)として植物に照射される。
図4に示す如き、光環境が植物の育成に好適な場合、有機ELシート16は発光を行なわない。
図5は、好天の日中における太陽光の光量が適度な場合の薄膜太陽電池30の使用態様および光の状態を示す概略図である。
図5中、(a)、(c)、(d)および(f)は図4に示すのと同様の光を示す。
図5に示すように、好天の日中で太陽光の光量が適度な場合には、調光部14による遮光は行わない。
植物の生育に寄与する太陽光(a)は、調光部14および透明な有機ELシート16を通過して植物の育成に十分な量で植物に照射される。植物の光合成にあまり寄与しない波長域の光(c)は、太陽電池シート12に吸収され、発電に使用される。また、植物の光合成にあまり寄与しない波長域の光のうち一部(d)は、波長変換部18を介して、植物の光合成に寄与する波長の光(f)に変換され、植物に照射される。その結果、植物の育成に有用な光環境を維持することができる。
図5に示す如き、光環境が植物の育成に好適な場合、有機ELシート16は発光を行なわない。
図6は、薄膜太陽電池30の調光部14により植物に照射される光量を調整する場合の使用態様および光の状態を示す概略図である。
図6中、(a)および(b)は図4に示すのと同様の光を示す。
夏季のように日照時間が長い場合、朝、夕の予め決められた時間帯に調光部14により太陽光(a)を遮光することで、調光部14および透明な有機ELシート16を通過して植物に照射される光(b)をほぼ0とすることにより、太陽光の照射時間を制御する短日処理を行なって、所望の日照時間を得ることができる。
また、図4と同様に、太陽光のうち、植物の光合成にあまり関与しない波長域の光(c)は、太陽電池シート12に吸収され、発電に使用される。
図7は、夜間等、太陽光が照射されない場合の薄膜太陽電池30の使用態様および光の状態を示す概略図である。図6中、(g)は有機ELシート16にて発光した光を示す。
図7に示すように、太陽光が得られない夜間、或いは、日照時間が短い冬期の朝または夕刻においても、必要に応じて有機ELシート16から供給される光(g)が植物に照射され、植物の育成に有用な光(g)の植物への照射を、任意の時間に亘り継続することができる。この方法を適用することで、長時間、一定の光量を照射することにより、植物の育成を促進することができる。また、一日の間の必要な時間に継続して一定の光量を照射することもできる。
次に、曇天または雨天時における第3の実施形態の薄膜太陽電池30の態様について説明する。なお、(a)~(g)の符号は、図4~図7に示すのと同様の光を示している。
図8は、雨天または曇天の日中における薄膜太陽電池30の使用態様および光の状態を示す概略図である。
図8に示すように、雨天または曇天の日中においても、僅かではあるが植物の生育に寄与する太陽光(a)は照射されている。植物の生育に寄与する太陽光(a)の受光量が少ないため、調光部14では遮光を行なわず、受光した太陽光(a)は、調光部14および透明な有機ELシート16を通過して植物に照射される。太陽光のうち植物の光合成にあまり寄与しない波長域の光(c)は太陽電池シート12に吸収され、発電に使用される。
一方で、太陽光の受光量が少ないと、植物の育成に十分な光量が得られないため、有機ELシート16にエネルギーを付与して発光させ、有機ELシート16が発光した光(g)が、植物に照射される。その結果、太陽光の照射量が少ない、雨天又は曇天時においても、植物の育成に有用な光環境を維持することができる。なお、有機ELシート16が発光した光(g)の一部は、波長変換部18を介して、植物の光合成により大きく寄与する波長に変換されて植物に照射されることがある。
図4~図8に記載の例より、本実施形態の薄膜太陽電池30を用いることで、一日を通して、季節を問わず、或いは、好天、曇天、雨天等の天候に拘らず、植物の育成に好適な光環境を維持することができることがわかる。
既述の本実施形態の薄膜太陽電池を農作物の育成に用いる場合、例えば、調光部を操作して、朝から夕刻において、日射量が多い場合に遮光する調光機能と、昼間において日射量が少ない場合および夜間の有機ELシートによる照明とを組み合わせることにより、太陽光利用型植物工場、ビニールハウス等において、季節による日照時間の変動に関わらず、農作物に毎日一定時間、所望の照度の光を供給することができる。
これにより、農作物の生育、出荷等のタイミングを制御することが可能となり、計画生産による高収益農業の実現を図ることができる。
公知の人工光型植物工場では、例えば、LED光源などの光照射にかかるエネルギーは100%外部より供給される電気エネルギーである。これに対し、本実施形態の薄膜太陽電池では、太陽光をそのまま利用することができ、さらに農作物の育成に寄与しない波長帯域の光を用いて発電できるため。コストの低減を図ることができる。
本実施形態の薄膜太陽電池は調光部を有するため、調光機能により、真夏の過度な光を遮光し、温室内の温度の所望されない上昇、農作物への光障害等を効果的に抑制することができる。
植物育成工場、ビニールハウスなどに本実施形態の薄膜太陽電池を使用する場合、設備の全てに薄膜太陽電池を使用する必要はなく、太陽光の受光面の少なくとも一部に、薄膜太陽電池を適用するのみであっても本開示効果を奏する。一方で、太陽光の受光面の全領域に本開示の薄膜太陽電池を用いることができるため、大面積での発電が可能となり、発電した電力を外部に供給することもできる。
なお、既述のように、公知の光を透過しない太陽電池パネルでは、植物の育成環境を維持するためには、農地の総面積の30%程度の使用が限度であるが、本開示の薄膜太陽電池では、農地の総面積の100%に設置が可能であり、太陽電池シートによる発電効率が、従来の固定式無機太陽電池パネルの発電効率よりも若干低い場合であっても、総発電量はより大きくなることが期待される。
また、農作物などの植物のみならず、鶏舎、畜舎、魚類の養殖池などに本開示の薄膜太陽電池を使用することで、生育環境を、動物の成育に好適な光環境に制御することができる。さらに、宇宙空間での利用、例えば、スペースコロニーで人間が生活する際に、本開示の薄膜太陽電池を適用することで、好適な光環境を制御することが期待される。
以下に本開示の薄膜太陽電池を、実施例を挙げて詳細に説明するが、本開示の薄膜太陽電池は以下に示す実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
太陽光の受光側から、太陽電池シート、調光部、および有機ELシートをこの順に備える図1に示す層構成の薄膜太陽電池1を作製した。各部材の詳細は以下の通りである。
太陽電池シート:(有機薄膜太陽電池シート)Power Plastic、Midium Red:Konarka社
調光部:調光フィルム(LCF-1103DHA、日立化成(株))
有機ELシート:透明電極(ITO)付のPENフィルム上に、α-NPDを正孔輸送層、Alq3を電子輸送性発光層、GZOを上部透明電極として有する有機シート
(光透過性の評価)
得られた薄膜太陽電池1の光透過性を、薄膜太陽電池1を透過した光の照度として、分光放射計(携帯型分光放射計 MS-720、英弘精機株式会社製)にて測定し評価した。その結果を図9のグラフに示す。
図9に明らかなように、波長450nmおよび650nm近傍の照度が高く、光透過性が良好であり、特に光合成に好適な、赤色波長帯域の光透過性に優れることが確認された。
(発電特性の評価)
得られた薄膜太陽電池1の発電特性を、直流電圧電流源モニタ(6241A:ADCMT)及びソーラーシミュレータ((株)システムハウス・サンライズ:自動計測ソフトGP-IBライブラリ)を用いて、測定評価した。その結果を図10のグラフに示す。
図10は、図9において、光透過性を測定したのと同様の、実際の太陽光が照射下で測定した、薄膜太陽電池1の電流-電圧特性である。
また、図10におけるのと同じ、実際の太陽光の照射下で測定した薄膜太陽電池1の特性を下記表1に示す。
Figure 0007093988000001
(有機ELシートの発光の評価)
得られた薄膜太陽電池1において、有機ELシートの発光特性を以下の方法で評価した。
発光特性の評価に用いた測定装置は、電圧源及び電流計としてADCMT 6241A、輝度計はコニカミノルタセンシング LS-100である。また、測定用ソフトとしてシステムハウス・サンライズW32-R6243IVL3-Rを使用した。
薄膜太陽電池1の輝度-電圧特性を表2に示す。
表2の結果より、薄膜太陽電池1は、前記表1に記載の有機薄膜太陽電池を用いることで、有機ELシートを発光させることが可能であることがわかる。また、有機ELシートは、夜間、雨天、曇天時等において、植物の育成に有用な太陽光の不足を補うに足る発光特性を持っていることがわかる。
Figure 0007093988000002
(植物栽培への適用)
幅150cm、長さ210cm、高さ190cmのモデルビニールハウスを作製し、得られた薄膜太陽電池1を、モデルビニールハウスの天面に配置した。
対照例として、同じサイズであり、天面に透明の塩化ビニルシートを配置した比較モデルビニールハウスを作製した。
モデルビニールハウスと比較モデルビニールハウスとを屋外に配置し、同じ条件にて、内部で葉物野菜であるサンチェを栽培した。4週間経過後にサンチェの生育状態を比較した。天面に実施例1の薄膜太陽電池1を設置したモデルビニールハウスを用いた場合、比較モデルビニールハウスを用いた場合に比べ、植物の生育がより順調であることが確認された。
[実施例2]
図1に示す層構成の実施例1の薄膜太陽電池1において、有機薄膜太陽電池シート12を、以下の構成の太陽電池シート12に代え、さらに、有機ELシート16の受光方向とは反対側に、下記波長変換部18を備えた以外は、実施例1と同様にして、図3に示す層構成の、波長変換部18を有する実施例2の有機薄膜太陽電池2を作製した。
太陽電池シート:有機薄膜太陽電池シート(ITO透明電極付透明PENフィルムに、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)と、[6,6]フェニル-C61-酪酸メチル(PCBM)とを混合したバルクヘテロ構造の発電層を作製後、GZO透明電極を成膜した透明太陽電池シート)
波長変換部:BASF社製のLumogen Red 305 を0.02質量%含有するポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製の蛍光性フィルム
(光透過性の評価)
得られた薄膜太陽電池2の光透過性を、実施例1の薄膜太陽電池1と同様にして評価した。その結果を図11のグラフに示す。
図11に明らかなように、波長450nmおよび650nm近傍の照度が大きく、光透過性が良好であり、特に光合成に好適な、赤色波長帯域の光透過性に優れ、その他の波長域よりも赤色波長帯域の光透過性がより大きいことが確認された。
また、図11と図9との対比において、薄膜太陽電池が、波長変換部をさらに備えることで、植物の光合成に大きく寄与する波長帯域の光照射量がより向上することが分かる。
本実施形態の薄膜太陽電池は、太陽光の受光量に係わらず、所望の光環境を維持することができるため、植物育成工場、ビニールハウスなどの農作物育成施設、および鶏舎、畜舎、養殖池などの動物飼育施設への適用に好適である。
2016年1月21日に出願された日本国特許出願2016-010051の開示は参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (9)

  1. 太陽光の少なくとも一部を透過する太陽電池シートと、植物の生育に寄与する光合成有効波長域の光を発光する透過型有機ELシート陽光の透過量を調節する調光部、を有し、
    前記太陽電池シートは、太陽光の波長400nm以上500nm未満および600nm以上800nm未満の少なくとも何れか一方の光を選択的に透過する特性を含み、
    前記調光部は、調光部自体が、受光量に応じて変色し、光透過性を制御する、
    植物栽培に用いられる透過型薄膜太陽電池。
  2. 前記太陽電池シートは、太陽光の波長500nm以上600nm未満の光を吸収する特性を含む請求項1に記載の透過型薄膜太陽電池。
  3. 前記太陽電池シートは、太陽光の紫外線吸収する特性を含む請求項1又は請求項2に記載の透過型薄膜太陽電池。
  4. 太陽光の入射側から、前記太陽電池シート、前記調光部、および前記透過型有機ELシートを、この順に有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の透過型薄膜太陽電池。
  5. 太陽光の入射側から、前記太陽電池シート、前記透過型有機ELシート、および前記調光部を、この順に有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の透過型薄膜太陽電池。
  6. 前記太陽電池シートが、有機太陽電池シートである請求項1~請求項のいずれか1項に記載の透過型薄膜太陽電池。
  7. 前記太陽電池シートの太陽光の入射側とは反対側に、前記太陽電池シートを介して入射した光の波長を変換する波長変換部をさらに有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の透過型薄膜太陽電池。
  8. 前記波長変換部は、熱可塑性樹脂と、ペリレン系色素、ピレン系色素、キサンテン系色素、チオキサンテン系色素、及びクマリン系色素からなる群より選択される少なくとも1種の蛍光色素とを含み、波長域250~320nmの紫外線を減衰させる蛍光放射性ネット、又は、蛍光放射性シートを含み、太陽光の250nm~650nmの波長域の光を吸収して、波長域450nm~700nmの蛍光を発する請求項に記載の透過型薄膜太陽電池。
  9. さらに、前記太陽電池シートを透過した透過光の光量を測定する光量測定手段を有し、前記光量測定手段により測定した透過光の光量が所定の光量に達しない場合に、前記透過型有機ELシートにエネルギーを付与して発光させる、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の透過型薄膜太陽電池。
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