JP7093674B2 - 測量支援装置、及び測量支援プログラム - Google Patents
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Description
TLSは、パルスレーザで測量対象を走査し、その反射レーザの位相や往復時間などによって対象の三次元形状を計測するレーザスキャナである。
TLSによる測量は、TLSの設置地点を移動しながら測量範囲をくまなくスキャンすることにより行われる。スキャンによって得られた点群データからは、対象の地形はもちろんのこと、三次元モデル、二次元平面図、立体図、縦横断面図などを生成することができる。
そのため、計測漏れを防いで測量範囲の全てを適切に計測するためには、TLSの性能や地形に適したTLSの配置を計画する必要がある。
このような測量計画を行う技術として、特許文献1の「測定方法及び測定システム」がある。この技術は、地表にラインを設置し、当該ラインに沿って測量するものである。
しかし、TLSの設置地点が多いほど計測回数が増えるため、測量作業に要するコストが高くなるほか、データが膨大となって後の処理が困難になるという問題があった。
(2)請求項2に記載の発明では、前記取得した測量範囲の全てに渡って、1の地上レーザスキャナにおける計測可能距離の範囲に複数個の前記設置地点の候補地点を設定する候補地点設定手段を具備し、前記可能領域算出手段が、前記設定した候補地点の各々について前記地上レーザスキャナを設置した場合の計測可能領域を求め、前記設置地点設定手段は、前記求めた計測可能領域が前記測量範囲の全てを覆うように、前記設定した候補地点から前記設置地点を選択することにより前記設置地点を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の測量支援装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記設置地点設定手段が、前記候補地点の中から所定の基準に従って最初の候補地点を選択し、その後、既に設定した前記設置地点の少なくとも1つを計測可能領域とする前記候補地点から次の設置地点を選択することにより、前記設置地点を逐次選択していく、ことを特徴とする請求項2に記載の測量支援装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記設置地点設定手段が、前記候補地点に地上レーザスキャナを設置した場合の計測可能領域の範囲を前記所定の基準として、最初の候補地点を選択する、ことを特徴とする請求項3に記載の測量支援装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記設置地点設定手段が、既に設定した何れかの設置地点を計測可能領域とする前記候補地点を所定の条件により評価する評価手段を具備し、前記設置地点設定手段は、前記評価がなされた候補地点から前記評価を用いて、次の設置地点を選択する、ことを特徴とする請求項3、又は請求項4に記載の測量支援装置を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、前記評価手段が、直前までに設定した設置地点によっては前記計測可能領域に含まれていない領域を計測可能領域とする前記候補地点を高く評価する、ことを特徴とする請求項5に記載の測量支援装置を提供する。
(7)請求項7に記載の発明では、前記設置地点設定手段が、更に、前記候補地点から、既に設置した最寄りの設置地点までの斜距離を用いて次の設置地点を選択する、ことを特徴とする請求項6に記載の測量支援装置を提供する。
(8)請求項8に記載の発明では、前記設置地点設定手段は、前記評価の高さに前記斜距離の積が最も高い候補地点を前記設置地点に設定する、ことを特徴とする請求項7に記載の測量支援装置を提供する。
(9)請求項9に記載の発明では、前記標高データを使用して求まる前記測量範囲の高低差に基づいて、当該測量範囲の三次元的な地形に対応する三角網を生成する三角網生成手段を具備し、前記可能領域算出手段は、前記生成した三角網を構成する三角領域のうち、前記地上レーザスキャナによって計測可能な前記三角領域を特定することにより、前記計測可能領域を求める、ことを特徴とする請求項1から請求項8までのうちの何れか1の請求項に記載の測量支援装置を提供する。
(10)請求項10に記載の発明では、前記可能領域算出手段は、前記地上レーザスキャナから見て、前記生成した三角領域のうちの2つの三角領域31が重なっている場合、遠い方の三角領域を計測可能領域から除外する、ことを特徴とする請求項9に記載の測量支援装置を提供する。
(11)請求項11に記載の発明では、前記可能領域算出手段は、前記地上レーザスキャナのレーザビームと前記三角領域が同一平面上にある場合、当該三角領域を前記計測可能領域から除外する、ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の測量支援装置を提供する。
(12)請求項12に記載の発明では、前記可能領域算出手段は、前記地上レーザスキャナのレーザビームが前記三角領域の表面を裏側から走査する場合、当該三角領域を前記計測可能領域から除外する、ことを特徴とする請求項9、請求項10、又は請求項11に記載の測量支援装置を提供する。
(13)請求項13に記載の発明では、前記可能領域算出手段は、前記地上レーザスキャナから1の三角領域の2つの頂点を見込む平面が他の三角領域と干渉する場合、当該1の三角領域を計測可能領域から除外する、ことを特徴とする請求項9、請求項10、請求項11、又は請求項12に記載の測量支援装置を提供する。
(14)請求項14に記載の発明では、測量を行う測量範囲を取得する測量範囲取得機能と、前記取得した測量範囲の標高データを取得する標高データ取得機能と、前記取得した標高データを使用して求まる前記測量範囲の高低差に基づいて、前記取得した測量範囲内に設置した地上レーザスキャナによる計測可能な計測可能領域を求める可能領域算出機能と、前記取得した測量範囲の全てが前記計測可能領域となる地上レーザスキャナの設置地点を設定する設置地点設定機能と、前記設定した設置地点を出力する出力機能と、をコンピュータに実現させる、ことを特徴とする測量支援プログラムを提供する。
測量支援装置1は、標高データ、例えば、国土地理院で提供されている(標高・傾斜度3次メッシュ:以下標高メッシュという)を用いることにより、測量範囲25の三次元形状をTINによる三角網30で表現し、更に、TLS3を設置する候補の候補地点33を測量範囲25に多数発生させる。
そして、測量支援装置1は、図5(a)に示したように、候補地点33から三角網30を構成する三角領域31にレーザを照射できるか否かにより、当該三角領域31が当該候補地点33から計測可能か否かを判定する。
そして、測量支援装置1は、当該分布を用いて測量範囲25の全ての三角領域31が計測可能となるような候補地点33を選択し、これら候補地点33をTLS3の設置地点51に設定する。
図1は、地上レーザスキャナの計測可能領域6を説明するための図である。
以下、地上レーザスキャナをTLS(Terrestrial Laser Scanner)と略記する。
図に示したTLS3は、三脚上に設置され、1秒間に百万発程度のパルスレーザを発射するレーザ発振器を内蔵している。
TLS3には、計測可能な有効距離である計測可能距離35(図5)が規定されており、TLS3は、当該計測可能距離35以内の対象を計測することができる。
そして、コンピュータを用いて点群データを解析すると、測量対象の三次元形状を復元することができる。
図に示したように、水平方向にx軸、y軸が設定されており、高さ方向にz軸が設定されている。
TLS3は、計測可能距離35以内にあり、かつ、レーザ照射が可能な領域(地形の起伏などによってレーザの進路が妨げられない領域)を計測することができる。
この例では、外周線5aで囲まれた閉領域が計測可能領域6aとなる。三脚の真下の脚下領域7aにはレーザが届かないため、この領域は、計測可能領域6aから除かれる。
以上のように、設置地点51の適切な配置には、標高差(高低差)に基づく測量現場の起伏の解析が重要であり、以下に説明する測量支援装置1(図2)は、測量範囲25の起伏を記録した標高メッシュデータを用いて適切な設置地点51を自動的に計算する。
測量支援装置1は、例えば、パーソナルコンピュータを用いて構成されており、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、入力部13、出力部14、通信制御部15、記憶部16などがバスラインで接続されて構成されている。
ROM11は、読み出し専用のメモリであって、CPU10を動作させるための基本的なプログラムやパラメータを記憶している。
RAM12は、読み書きが可能なメモリであって、CPU10が設置地点51の適切な配置を探索する探索処理を行う際のワーキングメモリを提供する。
RAM12は、例えば、測量範囲25、標高メッシュデータ、計測条件、設置地点51の候補地点、設置地点51、・・・などを上記処理の過程で一時的に記憶する。
出力部14は、ディスプレイやスピーカなどの出力装置を備えている。ディスプレイは、測量範囲を指定するための地図や航空写真、あるいは、各種の設定画面などを表示する。
通信制御部15は、CPU10が通信ネットワーク上のサーバ装置と通信して、電子図面データ、三次元設計データ、標高メッシュデータ、地図データ、及び航空写真データなどをサーバからダウンロードしたり、生成した出力データをサーバにアップロードしたりする際の中継を行う。
計測条件設定画面100は、測量支援装置1にTLS3の性能などの計測条件を入力する画面であって、測量支援装置1は、計測条件設定画面100をディスプレイに表示する。
測量支援装置1は、ここで入力された値(パラメータ)に基づいて、設置地点51の配置を計算する。
ユーザは、新規の計測条件を設定する場合は「新規」を選択し、既に設定してある計測条件を編集する場合は「編集」を選択する。図の例では、「編集」が選択されている。
「機械高」は、三脚に乗せたTLS3の高さを入力する欄であり、「計測範囲」は、レーザビームを上向きに振る仰角を入力する欄である。そして、「有効測距範囲」は、計測可能な有効距離である計測可能距離35を入力する欄である。
図の例では、機械高は1.200m、計測範囲は60.0000度、及び有効測距範囲は30.000mに設定されている。
一方、測量支援装置1は、新規編集選択欄101で「編集」が選択されている場合は、計測条件呼出欄103で選択されている計測条件での値を表示し、これら値に対する編集を受け付ける。
一方、キャンセルボタン111は、入力内容をキャンセルするためのボタンであり、ユーザがキャンセルボタン111を選択すると、測量支援装置1は、入力内容を消去する。
これらの処理のうち、配置対象となる地図データの選択、及び測量範囲の設定はユーザが行い、他の処理はCPU10が測量支援プログラムに従って自動的に行う。
以下、これらの処理について説明する。
測量支援装置1は、工事計画時の設計データとして納品された電子図面データや三次元設計データの指定をユーザからキーボード操作やマウス操作を介して受け付け、これらを記憶部16からRAM12に読み出す。
測量支援装置1は、当該位置情報に基づいて、現場の標高メッシュデータ、地図データ、及び航空写真データを記憶部16からRAM12に読み出すとともに、当該縮尺情報に基づいてこれらデータの縮尺を設定して電子図面データと三次元設計データの上に自動配置する。
図3は、測量範囲の設定を説明するための図である。
この図は、測量支援装置1のディスプレイが表示した測量範囲の設定画面の例を示している。
図示しないがディスプレイは、地図データを用いた現場の地図や航空写真データを用いた現場の航空写真など、ユーザが適宜選択した画像を表示しており、ユーザは、これらの画像を背景として参照しながら測量範囲25の設定作業を行う。
図の例では、ユーザは、地図上でマウスポインタを移動しながら、例えば、外周の輪郭が変化する変化点26a→変化点26b→・・・→変化点26j→変化点26aの各位置でクリック操作を行う。
このように、測量支援装置1は、写真測量を行う測量範囲25を取得する測量範囲取得手段を備えている。
これらのうち、(1)と(3)の場合は、TLS3を設置できないため、測量支援装置1は、計測除外範囲28に後述の候補地点33(図4)を配置せず、(2)の場合は、TLS3を設置できるため候補地点33を配置する。
なお、TLS3を設置できない計測除外範囲(1)と(3)については、別途設置対象除外範囲として、当該範囲を変化点を指定するようにしてもよい。
図4は、三角網の設定を説明するための図である。
測量支援装置1は、測量範囲25が確定すると、測量範囲25の各地点の標高を標高メッシュデータから読み取り、地表の地点を連続する三角領域31で覆った三角網30を生成する。
この三角網30は、TIN(Triangulated Irregular Network)と呼ばれるものであって、三角領域31の頂点は、当該地点の水平方向のxy座標値と、高さ方向のz座標値(標高値)を有している。
なお、測量支援装置1は、計測除外範囲28に対しては、(1)のレーザの遮蔽物がない場合は、地表面や池の水面に三角網30を生成し、(2)や(3)のレーザの遮蔽物がある場合は、後述するように垂直方向に三角網30を生成する。
このように、測量支援装置1は、測量範囲25の標高データを取得する標高データ取得手段を備えている。
このように測量支援装置1は、標高データを使用して求まる測量範囲25の高低差に基づいて、測量範囲25の三次元的な地形に対応する三角網30を生成する三角網生成手段を備えている。
次に、測量支援装置1は、測量範囲25を碁盤の目状に等間隔に区切り、その格子点にTLS3の設置地点51の候補である候補地点33を配置する。図では、白抜きの円で示してある。
各候補地点33は、当該地点のxy座標値と、当該地点の標高値に三脚による高さh(計測条件入力欄105で入力した機械高)を加えた高さ方向のz座標値を有している。
そのため、候補地点33の配置頻度は、本実施形態の場合機器の制約から、TLS3の計測可能距離35以内に複数個の候補地点33が存在する程度であって、全体で最大500個程度であるが、可能な限り多く設定することが望ましい。
測量支援装置1は、これら候補地点33の中から実際にTLS3を設置する設置地点51を探索(検索)する。
また、上述したように計測除外範囲28が(1)と(3)の場合にはTLS3を設置できないため、測量支援装置1は、計測除外範囲28に候補地点33を配置せず、(2)の場合には、TLS3を設置できるので候補地点33を配置する。
図5(a)は、ある候補地点33が配置された測量範囲25の部分を、候補地点33を通る鉛直面による断面図を模式的に示している。
この図に示したように、候補地点33は、地表から高さh(図示せず)の位置に設定されており、この位置にTLS3を設置した場合、TLS3は、計測可能距離35以内の対象を三次元計測することができる。計測可能距離35は、計測条件入力欄105で入力した有効測距範囲である。
このような地形に対して、測量支援装置1は、障害物40以外の領域に関しては、標高メッシュデータによる地形に基づいて三角網30を生成する。
なお、本実施形態では、障害物40の形状を垂直方向の三角網30で単純化したが、建物や樹木などの形状で三角網30を生成してもよい。
このように三角網30を設定した後、測量支援装置1は、障害物40の領域を除いて候補地点33を設定する。
条件1~条件5は、計測可能距離35の範囲外にある三角領域31や、測量現場の地面の高低差や障害物のためにレーザビームの陰になって計測できない三角領域31を識別するための条件である。
そして、測量支援装置1が有する可能領域算出手段は、三角網30を構成する三角領域31のうち、地上レーザスキャナ(TLS3)によって計測可能な三角領域31を特定することにより、計測可能領域6を求める。
なお、図5(a)中の破線矢印は、三角領域31を計測できない場合のレーザビームの例を示しており、実線矢印は、三角領域31を計測できる場合のレーザビームの例を示している。
図5(a)の例では、条件1により、測量支援装置1は、三角領域31aと三角領域31lを計測不可と判定し、計測可能領域6(図示しない)から除外する。
これは、TLS3のレーザビームの光路と三角領域31が同一平面内にある場合である。この場合は、三角領域31の表面を走査することができないため計測可能領域6から除外する。
このように、測量支援装置1が有する可能領域算出手段は、地上レーザスキャナ(TLS3)のレーザビームと三角領域31が同一平面上にある場合、当該三角領域31を計測可能領域6から除外する。
図6(a1)に示したように、三角領域31と候補地点33からのレーザビームの光路が同一平面上にある場合、候補地点33から三角領域31を見ると、図6(a2)に示したように、三角領域31の頂点41a、頂点41b、頂点41cが同一直線上に並んだ線に見える。
そこで、測量支援装置1は、2つの頂点41が重なって見えるか否か、又は、3つの頂点41が同一直線上にあるように見えるか否かによって、条件2に該当するか否かを判定する。
図5(a)に示した例では、候補地点33に設置されたTLS3が発射するレーザビームの光路は、三角領域31fを裏側から表側に貫通しているため、三角領域31fは裏向きに見えている。そのため、測量支援装置1は、三角領域31fを計測可能領域6から除外する。
このように、測量支援装置1が有する可能領域算出手段は、地上レーザスキャナ(TLS3)のレーザビームが三角領域31の表面を裏側から走査する場合、当該三角領域31を計測可能領域6から除外する。
図6(b)に示したように、測量支援装置1は、三角領域31の重心から三角領域31の表方向に法線45を設定する。
そして、測量支援装置1は、候補地点33と三角領域31の重心を結ぶ線と法線45のなす角度θを計算し、θが直角より大きい場合に、当該三角領域31が裏向きに見えていると判定する。
図5(a)に示した例では、三角領域31hは、候補地点33の真下にあり、脚下領域7を含むため、測量支援装置1は、三角領域31hを計測不可と判定し、計測可能領域6から除外する。
測量支援装置1は、条件1~条件4によって除外されなかった三角領域31について、全ての2つの三角領域31の組み合わせについて当該条件を適用し、その成否を判定する。但し、条件4で除外された三角領域は、他の三角領域31について条件5を判断する際に、重なりの判断対象としては除外しない。
また、三角領域31kは、候補地点33から見て、障害物40を構成する三角網30と重なっており、かつ、障害物40よりも遠い位置にある。
このため、測量支援装置1は、三角領域31eと三角領域31kを計測不可と判定し、計測可能領域6から除外する。
ここでは、一例として、図6(c)に示したように、三角領域31pと三角領域31qの組み合わせについて考える。
次に、測量支援装置1は、三角領域31pの頂点41a~頂点41cのうちの2つの頂点を選択する。ここでは、頂点41aと頂点41bを選択したものとする。
すなわち、平面Zで仕切られる両側の空間のうち、三角領域31pの残りの頂点41cが一方側の空間に位置し、3頂点qの全てが他方側の空間に位置している場合、判断対象となっている三角領域31pと三角領域31qとは重ならないと判断する。この判断は最終判断である。
図6(c)の例では、頂点41cが平面Zの左側(手前側)に存在し、三角領域31qの3頂点qが平面Zの右側(奥側)に存在しているため、両者は重ならないと判断する。
例えば、図6(c)の例において、判定対象が三角領域31pと三角領域31rであった場合、平面Zに対して、三角領域31rの3頂点のうちの頂点41dが、頂点41cと同じ側の空間に位置しているため、三角領域31pと三角領域31rとは重なっている可能性があると判断する。
すなわち、測量支援装置1は更に、三角領域31pの他の2頂点、例えば頂点41bと頂点41cに対して同様の処理を行う。
測量支援装置1は、頂点41b、頂点41cと候補地点33の3点を通る平面Z2(図示しない)を想定し、残りの頂点41aと3頂点qの全てとが、平面Z2に対して異なる側に位置していれば重ならないと最終判断をする。
この場合にも、頂点41bと3頂点qの全てとが平面Z3に対して異なる側に位置していれば両三角領域31p、31qは重なっていないと最終判断し、3頂点qの少なくとも1つが頂点41bと同じ側に位置する場合には重なっている可能性があると判断する。
すなわち、他方の三角領域31qのいずれか2点と候補地点33による平面Z4、Z5、Z6に対する、三角領域31qの残りの頂点と、三角領域31pの3頂点p(41a、41b、41c)の位置関係を判断する。
そして、何れの場合にも重なっている可能性があると判断した場合、すなわち、6枚の平面Zの全てに対して、一方の三角領域31の3頂点のうちの平面Z上にない頂点と、他方の三角領域31の3頂点の少なくとも1つが同じ側にある場合に、三角領域31pと三角領域31qとは重なっていると最終判断する。
すなわち、測量支援装置1は、候補地点33から三角領域31pの重心点までの距離と、三角領域31qの重心点までの距離のそれぞれを計算する。
そして、後方地点33から重心までの距離が大きい方の三角領域31を、遠い方の三角領域と判断し、当該三角領域を計測可能領域6から除外する。
一方の三角領域31pにおける2つの頂点と候補地点33を通る平面Zの想定は上記と同じである。
そして想定した平面Zが、他方の三角領域31q(又は、三角領域31r)を分断しているか否かを判断する。例えば、図6(c)において、三角領域31rは平面Zにより分断されているが、三角領域31pは平面Zにより分断されていない。
以上の判断を、6枚のZ平面に対して順次行い、途中で分断されていないと判断された場合には、当該判断時点で重ならないと最終判断をする。
一方、6枚全てのZ平面が、他方の三角領域を分断している場合には、両三角領域は重なっていると最終判断する。重なっていると最終判断した場合の、削除する三角領域31の決定は上述と同じである。
ここでは、一例として、図6(d)に示したように、三角領域31mと三角領域31nの組み合わせについて考える。
次に、測量支援装置1は、三角領域31mの頂点41a~頂点41cのうちの2つの頂点を選択する。ここでは、頂点41aと頂点41bを選択したものとする。
図の例では、当該無限延長図形が三角領域31nと交わるため、測量支援装置1は、測量範囲25から見て三角領域31mと三角領域31nは重なっており、三角領域31mは遠い方にあると判断する。
このように、測量支援装置1は、三角領域31mについて最大3回確認する。
このように、測量支援装置1は、三角領域31mと三角領域31nの組み合わせについて最大6回確認を行う。
当該6回の確認作業で交わりが確認できなかった場合、測量支援装置1は、三角領域31mと三角領域31nは、候補地点33から見て重なっていないと判定する。
また、地上レーザスキャナ(TLS3)から、1の三角領域31の3頂点を結ぶ3本の半直線で形成される三角錐の内側に他の三角領域31が存在する場合、地上レーザスキャナ(TLS3)から遠い方の三角領域31を計測可能領域6から除外することも可能である。
この図に示したように、三角領域31c、三角領域31d、三角領域31g、三角領域31iと、これらに隣接する網掛けした三角領域31が計測可能な三角領域31となり、他の白抜きの三角領域31は、計測可能でない三角領域31となる。
当該平面図は、三角領域31の一部を示しており、測量支援装置1は、計測可能距離35以内の全ての三角領域31に対して当該判定を行う。
そして、測量支援装置1は、計測可能と判定した三角領域31で覆われた領域を当該候補地点33に対する計測可能領域6としてRAM12に記憶する。
図7の各図は、測量支援装置1が設置地点51を選択する手順を説明するための図である。
測量支援装置1は、以下の方法により測量範囲25の全域が計測可能領域6となるような設置地点51の配置を候補地点33から選択して設定する。
このように、測量支援装置1の有する可能領域算出手段は、候補地点33の各々について地上レーザスキャナ(TLS3)を設置した場合の計測可能領域6を求めている。
このように、測量支援装置1の有する設置地点設定手段は、候補地点33の中から所定の基準(候補地点33に地上レーザスキャナ(TLS3)を設置した場合の計測可能領域6の範囲、より具体的には三角領域31の数)に従って最初の候補地点33を選択する。
なお、この図では、計測可能領域6aを正方形とし、その内部が全て計測可能となっているが、これは模式図であり、実際には、計測可能領域6aは、複雑な形状の外周線5a(図1参照)によって囲まれ、内部には、計測不可の三角領域31による計測不能な領域が地形の起伏や障害物40などに応じて虫食い状に含まれている。
測量支援装置1は、このようにして、測量範囲25の全領域が計測可能領域6となるまで設置地点51を逐次設定していく。
そして、当該設置地点設定手段は、既に設定した何れかの設置地点51を計測可能領域6とする候補地点33を所定の条件により重要度で評価する評価手段を備えており、当該ランク付けによる評価がなされた候補地点33から当該評価を用いて、次の設置地点51を選択する。
測量支援装置1は、重要度の計算に用いる係数を次のように設定している。
重要度A(係数10):脚下領域7を含んでいるため(TLS3の設置地点51の真下であるため)計測対象となっていない三角領域31に対する係数。
重要度B(係数1):まだ計測対象となっていない三角領域31に対する係数。ただし重要度Aに該当するものを除く(これを含める変形例も可能である)。
重要度C(係数0.1):脚下領域7を含んでおり(TLS3の設置地点51の真下にあり)、2個以上の設置地点51から計測対象となっている三角領域31に対する係数。
重要度D(係数0.01):既に計測対象となっている三角領域31に対する係数。
重要度A、Bが示すように、測量支援装置1の有する評価手段は、直前までに設定した設置地点33によっては計測可能領域6に含まれていない領域を計測可能領域6とする候補地点33を高く評価する。
例えば、上の例で斜距離が15mであった場合、当該候補地点33のランクは、15×20.4=306となる。
測量支援装置1は、このようにして各候補地点33のランクを計算し、最もランクの高い候補地点33に次の設置地点51を設定する。
これにより、測量範囲25のうち設置地点51aと設置地点51bの周囲の部分が計測可能領域6aと計測可能領域6bによって覆われる。
これにより、測量範囲25のうち設置地点51a、設置地点51b、及び設置地点51cの周囲の部分が計測可能領域6a、計測可能領域6b、及び計測可能領域6cによって覆われる。
そして、測量支援装置1は、TLS3の配置を決定すると、当該配置を規定するデータをRAM12に出力する。
このように、測量支援装置1は、設定した設置地点を出力する出力手段を備えている。
以下の処理は、記憶部16が記憶する測量支援プログラムに従ってCPU10が行うものである。
そして、CPU10は、RAM12に記憶した電子図面データから測量対象となる地区の位置情報と縮尺を読み取ってRAM12に記憶する。
そして、CPU10は、RAM12に記憶した地図データや航空写真データに、RAM12に記憶した縮尺を適用し、ディスプレイに地図や航空写真を表示する。
ユーザの入力が完了すると、CPU10は、RAM12に記憶した変化点26を頂点とする多角形の測量範囲25を生成してRAM12に記憶する(ステップ5)。
そして、CPU10は、生成した各候補地点33に対して条件1~条件5を適用することにより、当該候補地点33から計測可能な三角領域31を検索し、候補地点33と当該候補地点33から計測可能な三角領域31を対応づけてRAM12に記憶する(ステップ20)。
次に、CPU10は、既に設定した設置地点51を計測可能な三角領域31として含む候補地点33をRAM12にて検索する。そして、CPU10は、検索した各候補地点33についてランクを計算してRAM12に記憶する(ステップ30)。
次に、CPU10は、測量範囲25の全領域を計測可能な三角領域31で網羅することにより計測可能領域6としたか否かを判断する(ステップ40)。
一方、測量範囲25の全領域を計測可能な三角領域31で網羅した場合(ステップ40;Y)、CPU10は、設置地点51の配置をRAM12に出力して(ステップ45)、処理を終了する。
ユーザが出力データの保存を指定すると、CPU10は、RAM12に記憶した出力データを記憶部16にファイル出力して記憶する。
説明した実施形態では、設置地点51の設定ロジックに従って、設置地点51を一意的に設定していった。
本変形例では、設置地点51の位置を微調整するロジックを加えることにより、設置地点51の数を減らすことを目指す。
そこで、測量支援装置1は、図9(b)に示したように、設置地点51cをその周囲の点、例えば、設置地点51c2に移動してみる。
すると、計測可能領域6cが計測可能領域6c2に移動し、その結果、計測可能領域6a~6c2がカバーする面積が増加する。
微調整による設置地点51の移動先は複数あるため、選択される可能性のある設置地点51の組み合わせは多数存在する。
測量支援装置1は、これら組み合わせの中から設置地点51の個数がより少なくなるような設置地点51の組み合わせを探索する。
例えば、設置地点51aに関しては、ランク第1位の候補地点33を選択し、設置地点51bに関しては、ランク第3位の候補地点33を選択し、・・・といったように、複数の候補地点33の選択肢を用意して、これらを組み合わせてみることにより、設置地点51の個数が減るかどうか試みる。
例えば、図2(b)で説明したように、計測条件設定画面100から有効測距範囲(計測可能距離35)等の入力を行うが、
例えば、設定操作を簡単にするために、計測条件設定画面100によるレーザの照射に関する設定項目として、有効測距範囲(計測可可能距離35)に限定している。
これに対して、照射距離だけでなく、照射ピッチ(水平方向と垂直方向)についても、ユーザの設定項目として計測条件設定画面100から入力できるようにしてもよい。
更に、特殊設定として、レーザの反射強度を調節するために、被測定対象(例えば、舗装など黒っぽいところ用)を指定する設定項目を設けるようにしてもよい。
これに対して、三次元設計データや高さを持った電子図面データを標高データとして使用するようにしてもよい。
また、既存の点群データを標高データとして使用するようにしてもよい。
これにより、工事中や工事後を基準にした設置位置の検討等を行うことが可能になる。
これは、測量範囲25のうち、指定された計測除外範囲28を除く全範囲を計測対象としているためである。
しかし、TLS3の計測可能距離35=30m、脚下領域7の半径=1mとした場合、最大でも29m毎にTLS3を設置する必要がある。
そこで、脚下領域7の半径が1m程度と比較的狭い領域であることから、TLS3の脚下領域7を計測除外範囲28に含めるようにしてもよい。
これにより、TLS3の計測可能距離35=30mの場合、TLS3の設置間隔が最大60m(実質的には重複部分を考慮して50m程度)となるため、設置数を少なくすることが可能である。
そこで、脚下領域7の周辺が平坦か否かにより、除外するか否かを決定するようにしてもよい。
すなわち、TLS3から半径Sm(例えば、S=5)の領域内の標高データを取得し、その最大値と最小値の差Δが閾値Tm(例えば、T=0.5)未満であれば、当該TLS3の脚下領域7を計測除外範囲28に含め、差Δが閾値Tm以上であれば計測除外範囲に含めない(除外せずに計測対象とする)。
3 TLS
5 外周線
6 計測可能領域
7 脚下領域
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 入力部
14 出力部
15 通信制御部
16 記憶部
25 測量範囲
26 変化点
27 変化点
28 計測除外範囲
30 三角網
31 三角領域
33 候補地点
35 計測可能距離
39 窪地
40 障害物
41 頂点
45 法線45
100 計測条件設定画面
101 新規編集選択欄
103 計測条件呼出欄
105 計測条件入力欄
110 OKボタン
111 キャンセルボタン
Claims (14)
- 測量を行う測量範囲を取得する測量範囲取得手段と、
前記取得した測量範囲の標高データを取得する標高データ取得手段と、
前記取得した標高データを使用して求まる前記測量範囲の高低差に基づいて、前記取得した測量範囲内に設置した地上レーザスキャナによる計測可能な計測可能領域を求める可能領域算出手段と、
前記取得した測量範囲の全てが前記計測可能領域となる地上レーザスキャナの設置地点を設定する設置地点設定手段と、
前記設定した設置地点を出力する出力手段と、
を具備したことを特徴とする測量支援装置。 - 前記取得した測量範囲の全てに渡って、1の地上レーザスキャナにおける計測可能距離の範囲に複数個の前記設置地点の候補地点を設定する候補地点設定手段を具備し、
前記可能領域算出手段は、前記設定した候補地点の各々について前記地上レーザスキャナを設置した場合の計測可能領域を求め、
前記設置地点設定手段は、前記求めた計測可能領域が前記測量範囲の全てを覆うように、前記設定した候補地点から前記設置地点を選択することにより前記設置地点を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測量支援装置。 - 前記設置地点設定手段は、前記候補地点の中から所定の基準に従って最初の候補地点を選択し、その後、既に設定した前記設置地点の少なくとも1つを計測可能領域とする前記候補地点から次の設置地点を選択することにより、前記設置地点を逐次選択していく、
ことを特徴とする請求項2に記載の測量支援装置。 - 前記設置地点設定手段は、前記候補地点に地上レーザスキャナを設置した場合の計測可能領域の範囲を前記所定の基準として、最初の候補地点を選択する、
ことを特徴とする請求項3に記載の測量支援装置。 - 前記設置地点設定手段は、既に設定した何れかの設置地点を計測可能領域とする前記候補地点を所定の条件により評価する評価手段を具備し、
前記設置地点設定手段は、前記評価がなされた候補地点から前記評価を用いて、次の設置地点を選択する、
ことを特徴とする請求項3、又は請求項4に記載の測量支援装置。 - 前記評価手段は、直前までに設定した設置地点によっては前記計測可能領域に含まれていない領域を計測可能領域とする前記候補地点を高く評価する、
ことを特徴とする請求項5に記載の測量支援装置。 - 前記設置地点設定手段は、更に、前記候補地点から、既に設置した最寄りの設置地点までの斜距離を用いて次の設置地点を選択する、
ことを特徴とする請求項6に記載の測量支援装置。 - 前記設置地点設定手段は、前記評価の高さに前記斜距離の積が最も高い候補地点を前記設置地点に設定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の測量支援装置。 - 前記標高データを使用して求まる前記測量範囲の高低差に基づいて、当該測量範囲の三次元的な地形に対応する三角網を生成する三角網生成手段を具備し、
前記可能領域算出手段は、前記生成した三角網を構成する三角領域のうち、前記地上レーザスキャナによって計測可能な前記三角領域を特定することにより、前記計測可能領域を求める、
ことを特徴とする請求項1から請求項8までのうちの何れか1の請求項に記載の測量支援装置。 - 前記可能領域算出手段は、前記地上レーザスキャナから見て、前記生成した三角領域のうちの2つの三角領域31が重なっている場合、遠い方の三角領域を計測可能領域から除外する、
ことを特徴とする請求項9に記載の測量支援装置。 - 前記可能領域算出手段は、前記地上レーザスキャナのレーザビームと前記三角領域が同一平面上にある場合、当該三角領域を前記計測可能領域から除外する、
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の測量支援装置。 - 前記可能領域算出手段は、前記地上レーザスキャナのレーザビームが前記三角領域の表面を裏側から走査する場合、当該三角領域を前記計測可能領域から除外する、
ことを特徴とする請求項9、請求項10、又は請求項11に記載の測量支援装置。 - 前記可能領域算出手段は、前記地上レーザスキャナから1の三角領域の2つの頂点を見込む平面が他の三角領域と干渉する場合、当該1の三角領域を計測可能領域から除外する、
ことを特徴とする請求項9、請求項10、請求項11、又は請求項12に記載の測量支援装置。 - 測量を行う測量範囲を取得する測量範囲取得機能と、
前記取得した測量範囲の標高データを取得する標高データ取得機能と、
前記取得した標高データを使用して求まる前記測量範囲の高低差に基づいて、前記取得した測量範囲内に設置した地上レーザスキャナによる計測可能な計測可能領域を求める可能領域算出機能と、
前記取得した測量範囲の全てが前記計測可能領域となる地上レーザスキャナの設置地点を設定する設置地点設定機能と、
前記設定した設置地点を出力する出力機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする測量支援プログラム。
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