以下、本発明の電子機器、並びに、該電子機器を備えるウェラブル機器および携帯機器を、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて、説明する。最初に、添付の図面を参照して、本発明の電子機器を詳述する。
<電子機器>
<<第1実施形態>>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子機器の分解斜視図である。図2は、図1に示す電子機器の断面分解斜視図である。図3は、図1に示す電子機器の分解斜視図である。図4は、図1に示す電子機器の上面図である。図5は、図3に示す振動部の分解斜視図である。図6は、図5に示す振動部の板バネの上面図である。図7は、図3に示す振動部の断面図である。図8は、図3に示す振動部の振動特性を説明するためのグラフである。図9は、図3に示す共振部材の分解斜視図である。図10は、図3に示す共振部材の上面図である。図11は、図1に示す電子機器の動作を説明するためのモデル図である。
なお、以下の説明では、図1~3、5、7、および9の上側を「上」または「上方」と言い、下側を「下」または「下側」と言い、左側を「左」または「左側」といい、右側を「右」または「右側」と言う。また、図4では、電子機器の内部構造を示すため、筐体の上側部材が省略されている。なお、本発明の電子機器の内部構造をより明確に示すため、図1および図2の斜視図の角度と、図3の斜視図の角度は、各図のXYZ軸に示されているように、異なっている。
図1に示す電子機器1は、自身の内部または外部に設けられた図示しない制御装置から供給された制御信号に応じて、対象であるユーザーの身体(例えば、手、手首、腕、足等)を叩くことにより、対象に刺激を与える機能を有している。
図1~3に示すように、電子機器1は、対象に対向する第1の面211と、第1の面211と反対側の第2の面221とを有する筐体2と、筐体2内に設けられ、所定の方向(上下方向)に振動可能な振動部3と、振動部3に接続され、それぞれ異なる共振周波数を有する複数の共振子42(42a~42d)を有する共振部材4と、共振部材4と筐体2の第1の面211との間に設けられたスペーサー5と、を備えている。
電子機器1は、筐体2の第1の面211が対象と対向、接触した状態で用いられる。図1~3に示すように、筐体2の第1の面211には、複数の貫通孔212が形成されている。振動部3が振動すると、振動部3の振動が共振部材4に印加され、共振部材4の複数の共振子42a~42dが共振する。複数の共振子42a~42dの任意の1つ以上が所定の値以上の振幅で共振すると、所定の値以上の振幅で共振している共振子42a~42dの任意の1つ以上の叩打部422が貫通孔212を介して筐体2の外部に突出し、対象を叩き、対象に叩打による刺激を与える。このような構成により、電子機器1は、振動による刺激とは異なる、叩打による新しい刺激を、ユーザーに提供することができる。以下、電子機器1の各コンポーネントについて詳述する。
(筐体2)
筐体2は、平面視において略正方形の形状を有する箱状部材であり、その内部に電子機器1の各コンポーネントを収納する機能を有している。また、平面視における筐体2の角部には、R面取り加工が施されている。図2に示すように、筐体2は、上側部材21と、下側部材22とから構成されている。
上側部材21は、略正方形の板状部材であり、筐体2のカバーとして機能する。また、上側部材21は、筐体2の第1の面211を構成している。上側部材21の後述する複数の共振子42a~42dの叩打部422のそれぞれに対応する位置には、複数の貫通孔212が形成されている。また、上側部材21の略中央部には、後述する振動部3のシャフト32を挿通させるためのシャフト挿通孔213が形成されている。さらに、上側部材21の平面視における各辺の略中央部には、雌ネジ部214が、下側に向けて突出するように形成されている。
下側部材22は、平面視において上側部材21と対応する形状を有し、上面側が開放された有底の角筒部材である。また、下側部材22の底板222が、筐体2の第2の面221を構成している。上側部材21と下側部材22とによって規定される筐体2の内部空間内に電子機器1の各コンポーネントが収納される。
図3に示すように、下側部材22は、底板222と、底板222の縁部から上側に向かって突出するよう形成された周壁223とから構成されている。また、底板222と周壁223とは一体的に形成されている。底板222の略中央部には、後述する振動部3のシャフト32を挿通させるためのシャフト挿通孔224が形成されている。さらに、底板222の上側部材21の雌ネジ部214に対応する位置には、ネジ挿通孔225が形成されている。また、周壁223には、振動部3と、筐体2の外部に設けられた制御機器等の外部機器とを電気的に接続するための配線を挿通させるための開口226が形成されている。
上側部材21と下側部材22とによって規定される筐体2の内部空間内に電子機器1の各コンポーネントが収容された状態で、下側部材22の周壁223上に上側部材21を載置し、さらに、下側部材22の底板222に形成されたネジ挿通孔225にネジを挿通し、上側部材21に形成された雌ネジ部214に螺合させることにより、筐体2が組み立てられる。
筐体2の上側部材21および下側部材22の構成材料としては、金属材料、セラミック材料、樹脂材料、カーボン材等の剛性材料が挙げられる。構成材料として金属材料を用いた場合、打ち抜き加工や折り曲げ加工により、上側部材21および下側部材22を成形することができ、筐体2の成形が容易となる。また、費用や重量の観点からは、樹脂材料を用いて上側部材21および下側部材22を構成することが好ましい。また、上側部材21および下側部材22は、それぞれ同一の剛性材料で構成されていてもよいし、それぞれ異なる種類の剛性材料で構成されていてもよい。
(振動部3)
振動部3は、筐体2の内部または外部に設けられた図示しない制御装置から供給された制御信号に応じて、所定の方向(上下方向)に振動する機能を有している。図4に示すように、振動部3は、筐体2内において、下側部材22の底板222の略中央部上に固定的に設けられている。振動部3は、制御装置から供給された制御信号に応じて、所定の方向に振動することができれば特に限定されないが、例えば、図5~7に示すようなVCM(Voice Coil Motor)型の共振点を1つ持つユニットを振動部3として用いることができる。
図5に示すように、振動部3は、振動部3を駆動するための回路基板31と、振動部3の中心軸として機能するシャフト32と、回路基板31から供給される電気信号が流れるコイル33と、リング状の板バネ保持部34と、板バネ保持部34上に保持されるリング状の板バネ35と、板バネ35を固定するための板バネ留め部36と、板バネ35に、振動可能に接続された外側ヨーク37と、外側ヨーク37に取り付けられたマグネット38と、シャフト32を支持するためのベアリング39と、マグネット38の下側に取り付けられた内側ヨーク40と、を備えている。
回路基板31は、筐体2の下側部材22の底板222上に固定的に設けられている。また、コイル33の両端部(電気信号供給端)は、回路基板31に接続されている。回路基板31は、図示しない制御機器に電気的に接続されており、制御機器から供給される制御信号に応じて、コイル33に電気信号を供給する。制御機器が筐体2の外部に設けられている場合には、回路基板31は、筐体2の下側部材22の周壁223に形成された開口226を挿通する配線を介して、制御機器と電気的に接続される。なお、回路基板31は、筐体2の外部に設けられた制御機器と無線通信を実行する通信機能を有していてもよい。この場合、回路基板31は、制御機器と電気的に接続されておらず、通信機能を用いて制御機器と無線通信を行うことによって、制御機器から制御信号を受信し、受信した制御信号に応じてコイル33に電気信号を供給する。
また、回路基板31の筐体2の下側部材22のシャフト挿通孔224に対応する位置には、シャフト32を挿通させるためのシャフト挿通孔が形成されている。回路基板31は、制御機器から供給される制御信号に応じて、コイル33に電気信号を供給することができれば特に限定されないが、フレキシブルプリント基板(FPC)を回路基板31として用いることができる。
シャフト32は、振動部3の中心軸として機能する。図1および2に示すように、電子機器1が組み立てられた状態において、シャフト32の両端部は、筐体2の上側部材21のシャフト挿通孔213および下側部材22のシャフト挿通孔224内に挿入され、支持される。このように、シャフト32の両端部は、筐体2によって支持されているので、後述する共振部材4によって振動部3が傾くことや、電子機器1の落下衝撃等によって振動部3が筐体2の面方向に移動してしまうことを防止することができる。
図5に戻り、コイル33は、円筒形状を有しており、回路基板31上に固定的に設けられている。前述のように、コイル33の両端部(電気信号供給端)は、回路基板31に接続されており、回路基板31から供給された電気信号は、コイル33内を流れる。また、図5および7に示すように、コイル33は、振動部3が組み立てられた状態において、リング状の板バネ35の中央開口部の内側に位置している。
板バネ保持部34は、リング状の部材であって、その上面において板バネ35を保持する機能を有している。板バネ保持部34の内径は、コイル33の外径よりも大きく、板バネ保持部34の高さは、コイル33の高さよりも低い。図7に示すように、振動部3が組み立てられた状態において、板バネ保持部34は、コイル33の外側に位置している。
図6に示すように、板バネ35は、外周部351と、外周部351よりも径の小さい内周部352と、外周部351と内周部352とを接続する複数の接続部353とを備えている。板バネ35は、金属材料から構成されている薄板状部材であり、外周部351、内周部352、および接続部353は、一体的に形成されている。また、板バネ35は、内周部352によって規定された中央開口部を有しており、中央開口部の径は、コイル33の外径よりも大きい。
図7に示すように、板バネ35の外周部351は、板バネ保持部34と板バネ留め部36との間で保持され、板バネ35の外周部351が筐体2に対して固定される。一方、板バネ35の内周部352は、筐体2に対して振動可能となっている。図7に示すように、筐体2に対して振動可能な板バネ35の内周部352上には、外側ヨーク37の下端部が固定されている。後述するように、外側ヨーク37には、マグネット38が取り付けられている。そのため、板バネ35の内周部352が筐体2に対して振動すると、外側ヨーク37と共にマグネット38が筐体2に対して振動する。前述のように、筐体2にはコイル33が固定的に設けられているので、マグネット38は、コイル33に対して振動することができる。
図5に戻り、板バネ留め部36は、リング状の本体361と、本体361の縁部から下方に突出するよう形成された複数の爪部362と、を備えている。本体361は、板バネ35の外周部351に対応した形状を有しており、振動部3が組み立てられた状態において、板バネ35の外周部351を上から係止する。図7に示すように、複数の爪部362は、振動部3が組み立てられた状態において、板バネ保持部34と係合する。このように、振動部3が組み立てられた状態において、板バネ留め部36は、板バネ35を上側から係止している。そのため、電子機器1の落下衝撃等によって、板バネ35が板バネ保持部34から離脱してしまうことを防止することができる。
図5に戻り、外側ヨーク37は、磁性材料から構成され、下側に向かって開口する円筒状の本体371と、本体371の外周面から外側に突出するように形成されたフランジ部372と、を備えている。外側ヨーク37の本体371の下端部は、板バネ35の内周部352上に接続されている。これにより、外側ヨーク37は、筐体2に対して振動可能となっている。
外側ヨーク37の本体371の内径は、コイル33の外径よりも大きい。そのため、図7に示すように、振動部3が組み立てられた状態において、コイル33は、外側ヨーク37の本体371の内側に位置している。また、本体371の筐体2の上側部材21のシャフト挿通孔213に対応する位置には、シャフト32を挿通させるためのシャフト挿通孔が形成されている。
外側ヨーク37のフランジ部372は、後述する共振部材4をその上面において保持する機能を有している。フランジ部372は、本体371から外側に向かって突出するリング状の部材であり、本体371と一体的に形成されている。
マグネット38は、中央開口部を有する円筒形状を有している。図7に示すように、マグネット38は、外側ヨーク37の本体371の中央下面上に、固定的に設けられている。マグネット38の外径は、コイル33の内径よりも小さい。そのため、図7に示すように、マグネット38は、振動部3が組み立てられた状態において、コイル33の内側に、コイル33と離間した状態で設けられている。また、外側ヨーク37の本体371の内径は、コイル33の外径よりも大きいので、振動部3が組み立てられた状態において、コイル33は、外側ヨーク37の本体371とマグネット38との間に位置している。
内側ヨーク40は、マグネット38の外径と略等しい外径を有し、外側ヨーク37と同様の磁性材料によって構成されたリング状の部材である。内側ヨーク40の略中央部には、シャフト32を挿通させるためのシャフト挿通孔が形成されている。内側ヨーク40は、マグネット38の下面に取り付けられている。
なお、マグネット38は、外側ヨーク37および内側ヨーク40と、マグネット38自身の磁力によって接着されている。また、マグネット38の磁力に加え、接着剤等によって、マグネット38が、外側ヨーク37および内側ヨーク40に、さらに接着されていてもよい。これにより、マグネット38の外側ヨーク37からの離脱や、内側ヨーク40のマグネット38からの離脱をより確実に防止することができる。
図7に示すように、マグネット38は、そのS極面が外側ヨーク37と接触しており、そのN極面が内側ヨーク40に接触するよう設けられている。そのため、マグネット38のN極面から発せられた磁力線は、内側ヨーク40、コイル33、および外側ヨーク37の本体371を通過し、マグネット38のS極面に入る。すなわち、振動部3においては、マグネット38、内側ヨーク40、および外側ヨーク37によって、コイル33を貫く磁力線の磁気回路が形成されている。
そのため、コイル33に回路基板31から電気信号が供給されると、マグネット38を図7中の上下方向に移動させる駆動力が発生する。上述のように、マグネット38は、板バネ35の内周部352上に接続された外側ヨーク37に取り付けられているので、マグネット38を上下方向に駆動させる駆動力が発生すると、外側ヨーク37と共にマグネット38が上下方向に振動する。このような構成により、振動部3は、図示しない制御装置から回路基板31に供給される制御信号に応じて、振動を発生させることができる。
ベアリング39は、マグネット38の中央開口部内に配置されている。マグネット38がコイル33に対して振動する際、マグネット38の中央開口部内に設けられたベアリング39によってシャフト32が支持されることから、マグネット38の面方向への変位が抑制され、マグネット38の振動方向がシャフト32の軸方向に限定される。
このような構成を有する振動部3の回路方程式は、下記式(1)で表される。
ここで、tは時間[秒]、iはコイル33内を流れる電流[A]、Rはコイル33の抵抗[Ω]、eはコイル33の電圧[V]、Lはコイル33のインダクタンス[H]、Keはコイル33の逆起電力定数[V/(m/s)]、xはマグネット38の変位[m]である。
図8には、上述の構成を有する振動部3の振動特性の1例が示されている。図8のx軸は振動部3の振動の周波数であり、y軸は各周波数における振動の片振幅(パワー)である。上述の構成を有する振動部3は、共振点を1つ有しており、特定の周波数において、振動の振幅が大きくなる。図8の例では、振動部3は、約108Hzにおいて振動の振幅が最大となる。すなわち、図8の例では、振動部3は、約108Hzに共振ピークを有している。
図1~3に示すように、このような振動部3は、シャフト32の両端部が筐体2の上側部材21のシャフト挿通孔213および下側部材22のシャフト挿通孔224内にそれぞれ挿入され、支持された状態で、筐体2の下側部材22の底板222の略中央部上に配置される。
(共振部材4)
図3に戻り、共振部材4は、振動部3に直接接続され、振動部3から印加される振動によって共振するよう構成されている。共振部材4は、金属材料で構成された薄板部材であり、図9および10に示すように、振動部3の外側ヨーク37のフランジ部372上に載置される基部41と、基部41に接続され、それぞれ異なる共振周波数を有する複数の共振子42(42a~42d)と、を備えている。また、基部41および複数の共振子42a~42dは、一体的に形成されている。
基部41は、振動部3の外側ヨーク37のフランジ部372に対応するリング形状を有している。基部41の内径は、外側ヨーク37の本体371の外径と略等しく、基部41の外径は、外側ヨーク37のフランジ部372の外径と略等しい。そのため、図2に示すように、電子機器1が組み立てられた状態において、基部41は、外側ヨーク37のフランジ部372上に載置され、接着剤やネジ留め等の任意の固定手段によって外側ヨーク37に固定されている。このように、共振部材4は、振動部3に直接接続されている。そのため、振動部3の振動を、他の部材を介さずに、共振部材4に直接印加することができる。
このように、本発明の電子機器1では、振動部3の振動が、伝達部材等の他の部材を介さずに、共振部材4に直接印加される。そのため、背景技術の欄において述べた従来の電子機器とは異なり、本発明の電子機器1では、振動部3の振動を共振部材4に伝達するための伝達部材等の他の部材を用いる必要がない。そのため、本発明の電子機器1では、伝達部材等の他の部材によって振動部3の振動が減衰せずに、共振部材4に直接印加される。その結果、共振部材4の共振子42a~42dの共振の振幅が、伝達部材等の他の部材の減衰によって小さくなることがない。したがって、本発明の電子機器1は、共振部材4の複数の共振子42a~42dを共振させるために、振動部3の振動を効率的に利用することができ、より小さな消費電力で共振部材4の複数の共振子42a~42dを大きく共振させることができる。
また、本発明の電子機器1では、振動部3の振動が、伝達部材等の他の部材を介さずに、複数の共振子42a~42dを有する共振部材4に直接印加されるので、振動部3が振動を開始してから、振動部3の振動が共振部材4に印加されるまでのタイムラグが存在しない。そのため、本発明の電子機器1では、従来の電子機器と比較して、振動部3が振動を開始してから、共振部材4の共振子42a~42dが共振を開始し、対象であるユーザーに実際に刺激を与えるまでのタイムラグが小さい。すなわち、本発明の電子機器1は、優れた即応性を有している。
図9および10に戻り、複数の共振子42a~42dのそれぞれは、その一方の端部が基部41に接続された固定端であり、他方の端部が自由端である略L字状の腕部421と、腕部421の自由端上に設けられた叩打部422と、各共振子42a~42dの質量を調節するために腕部421の下面に取り付けられた錘423と、を備えている。また、各共振子42a~42dは、それぞれの腕部421の長さ、および/または、それぞれの腕部421、叩打部422、および錘423の合計質量(重さ)がそれぞれ異なるように構成されている。これにより、各共振子42a~42dの共振周波数が、それぞれ異なるようになっている。
図示の例では、各共振子42a~42dの腕部421の先端側に、幅広部分が形成されている。各共振子42a~42dの腕部421の幅広部分の長さはそれぞれ異なっており、さらに、幅広部分の下面には、それぞれ質量の異なる錘423が取り付けられている。これにより、各共振子42a~42dの質量(重さ)がそれぞれ異なるようになっている。図示の例では、共振子42aの腕部421に取り付けられている錘423の質量が最も大きく、次いで、共振子42bの腕部421に取り付けられている錘423の質量が大きく、次いで、共振子42cの腕部421に取り付けられている錘423の質量が大きく、共振子42dの腕部421の質量に取り付けられている錘423が最も小さくなっている。このような構成により、各共振子42a~42dの共振周波数が、それぞれ異なったものとなっている。なお、各共振子42a~42dの腕部421の長さ、および/または、各共振子42a~42bの腕部421、叩打部422、および錘423の合計質量を調整することにより、各共振子42a~42dの共振周波数を、それぞれ異なったものとしてもよい。
共振子42a~42dのそれぞれは、振動部3の上下方向の振動によって、上下方向に共振するよう構成されており、それぞれ異なる共振周波数Frを有している。
複数の共振子42a~42dは、腕部421の長さ、および/または、腕部421、叩打部422、および錘423の合計質量を調整することにより、それぞれ異なる共振周波数Frを有するよう構成されている。
なお、複数の共振子42a~42dは、共振周波数Frが、それぞれ√1.5倍以上離れるよう構成されているのが好ましく、√1.6倍以上離れるよう構成されているのがより好ましく、√2倍以上離れるよう構成されているのがさらに好ましい。各共振子42a~42dの共振周波数Frのそれぞれの比が、上記値より小さいと、各共振子42a~42dの共振間の相互干渉が発生してしまい、各共振子42a~42dの共振を制御することが困難となってしまう。一方、各共振子42a~42dの共振周波数Frのそれぞれの比が、上記値以上であれば、各共振間の振動伝達率が1以下になるので、各共振子42a~42dの共振間の相互干渉が抑制される。その結果、各共振子42a~42dの共振を制御することが容易となる。
例えば、複数の共振子42a~42dの共振周波数Frのうち、最も低周波のものが40Hzであり、√1.5倍ずつ各共振子42a~42dの共振周波数Frを離す場合、40Hz、約48Hz、60Hz、約73Hzが各共振子42a~42dの共振周波数Frとなる。
また、各共振子42a~42dの共振周波数Frは、振動部3の振動特性を考慮して設定されていることが好ましい。例えば、図8に示す振動部3の振動特性の場合、振動部3の共振ピークである約108Hzから外れた低周波数帯域に、各共振子42a~42dの共振周波数Frを割り当てるよう、複数の共振子42a~42dを構成することが好ましい。
振動部3の共振ピークから外れた低周波数帯域、例えば、図8中の40Hz~80Hzの帯域では、振動部3の振動の振幅(パワー)の変化が比較的小さい。そのため、振動部3の共振ピークから外れた低周波数帯域に、各共振子42a~42dの共振周波数Frを割り当てることにより、複数の共振子42a~42dのそれぞれに略等しいパワーを与えることができる。
また、振動部3の共振ピークから外れた低周波数帯域では、振動部3の駆動音が小さい。そのため、振動部3の共振ピークから外れた低周波数帯域に各共振子42a~42dの共振周波数Frを割り当てることにより、電子機器1の駆動音を小さくすることができる。
また、背景技術において説明した従来の電子機器のように、共振を用いて対象に刺激を与える場合、上述のような低周波数帯域の共振では、振動強度を出しにくいことがよく知られている。すなわち、共振による刺激を対象に与える場合、低周波数帯域の共振は、振動強度が弱く、対象に十分な刺激を与えることができない。特に、従来の電子機器を用いたウェアラブル機器が、対象であるユーザーの刺激に対する感度が低い箇所、例えば、腕に取り付けられて使用された場合に、ユーザーは、低周波数帯域の共振による刺激を感じ取ることが困難である。そのため、従来の電子機器は、低周波数帯域の刺激を有効に活用することが困難である。
一方、本発明の電子機器1は、叩打による刺激を対象であるユーザーに与える。ユーザーは、共振による刺激よりも、叩打による刺激のほうが感じ取りやすい。換言すれば、叩打による刺激は、共振による刺激よりも、ユーザーに与える刺激の強度が強い。そのため、本発明の電子機器1を用いた場合、従来の電子機器と異なり、ユーザーは、低周波数帯域の刺激を、より明確に感じ取ることができる。このように本発明の電子機器1は、叩打による刺激を対象に与えることから、低周波数帯域の刺激を有効に活用することができる。そのため、本発明の電子機器1は、従来有効に活用することが困難だった低周波数帯域の刺激を含む、より多様な刺激を対象に与えることができる。
このように、複数の共振子42a~42dは、低周波数帯域において、それぞれ異なる共振周波数Frを有している。そのため、振動部3が振動すると、振動部3に取り付けられている共振部材4も振動し、その結果、各共振子42a~42dがそれぞれ異なる共振周波数で上下方向に共振する。
このような電子機器1の振動部3の振動および共振子42a~42dの共振は、図11に示すモデル図で表すことができる。図11中において、m0は振動部3の可動部である外側ヨーク37、マグネット38、ベアリング39、および内側ヨーク40の合計質量、Ksp0は板バネ35のバネ定数、m1~m4は各共振子42a~42dの腕部421、叩打部422、および錘423の合計質量、Ksp1~Ksp4は各共振子42a~42dの腕部421のバネ定数である。
図11に示すモデル図から明らかなように、振動部3が振動すると、振動部3の振動が複数の共振子42a~42dに直接印加される。その結果、複数の共振子42a~42dは、それぞれの共振周波数Frで共振する。
また、図1および2に示すように、共振部材4は、振動部3が振動していない初期状態において、複数の共振子42a~42dは、筐体2の上側部材21(第1の面211)および下側部材22(第2の面221)と離間して配置されている。そのため、共振子42a~42dは、振動部3の振動によって、上下方向に共振することができる。
振動部3が振動し、振動部3の振動によって共振子42a~42dが共振すると、共振子42a~42dの腕部421の自由端が、上下方向に振動する。共振子42a~42dの共振の振幅、すなわち、腕部421の自由端の振動の振幅が所定の値以上となると、腕部421の自由端上に設けられている叩打部422が、筐体2の第1の面211(上側部材21)に形成されている貫通孔212を介して、筐体2の外部に突出する。
上述のように、電子機器1は、筐体2の第1の面211が、対象であるユーザーの身体(例えば、手、手首、腕、足等)と対向、接触した状態で用いられる。そのため、腕部421の振動により、叩打部422が、貫通孔212を介して、筐体2の外部に突出すると、叩打部422が対象であるユーザーを繰り返し叩くこととなる。このような構成により、電子機器1は、叩打部422により対象を繰り返し叩き、振動による刺激とは異なる、叩打による新しい刺激を、対象に与えることができる。
一方、共振子42a~42dの共振の振幅、すなわち、腕部421の自由端の振動の振幅が所定の値未満であるときには、叩打部422は、筐体2の外部に突出しない。この場合、叩打部422は、対象であるユーザーを叩かない。したがって、振動部3は、自身の振動の各共振子42a~42dの共振周波数Frに対応する周波数のパワーを調整、すなわち、各共振子42a~42dの腕部421の自由端の振動の振幅を調整することにより、複数の共振子42a~42dのいずれを用いて対象を叩き、対象に叩打による刺激を与えるかを選択することができる。
(スペーサー5)
図3に戻り、スペーサー5は、略中央部にシャフト32を挿通させるためのシャフト挿通孔51を有する円板状の部材であり、筐体2の上側部材21を下側から支持している。図2に示すように、スペーサー5は、電子機器1が組み立てられた状態において、振動部3の外側ヨーク37の本体371と筐体2の上側部材21との間に位置している。
このように、本発明の電子機器1では、図示しない制御装置からの制御信号に応じて振動部3が振動することにより、共振部材4の複数の共振子42a~42dが共振する。さらに、各共振子42a~42dの共振の振幅、すなわち、腕部421の自由端の振動の振幅が所定の値以上となると、腕部421の自由端上に設けられた叩打部422が、筐体2の第1の面211上に形成させた貫通孔212を介して筐体2の外側に突出し、対象を叩く。これにより、本発明の電子機器1は、振動による刺激とは異なる、叩打による新しい刺激を、対象に与えることができる。
なお、本実施形態では、振動部3は、制御装置からの制御信号に応じて、複数の共振子42a~42dのそれぞれの共振周波数Frを重畳した振動を発生させ、さらに、自身の振動の複数の共振子42a~42dのそれぞれの共振周波数Frに対応する周波数のパワー(振幅)を変更可能に構成されている。
例えば、複数の共振子42a~42dの共振周波数Frが、40Hz、約48Hz、60Hz、約73Hzである場合、振動部3は、制御装置からの制御信号に応じて、40Hz、約48Hz、60Hz、および約73Hzを重畳した振動(40Hz、約48Hz、60Hz、約73Hzの振動を全て含む振動)を発生させるよう構成されている。
また、この場合、振動部3は、自身の振動の40Hz、約48Hz、60Hz、および約73Hzの各周波数のパワー(振幅)を変更可能である。そのため、振動部3は、各共振子42a~42dの共振の振幅、すなわち、各共振子42a~42dの腕部421の自由端の振動の振幅の大きさを調整することができ、複数の共振子42a~42dのいずれの叩打部422を用いて対象を叩き、対象に叩打による刺激を与えるかを選択することができる。
例えば、振動部3は、制御装置からの制御信号に応じて、自身の振動のうち、40Hzの振動のパワーのみを大きくし、複数の共振子42a~42dのうち、40Hzの共振周波数Frを有する共振子の共振の振幅、すなわち、腕部421の自由端の振動の振幅を、所定の値以上とすることができる。これにより、複数の共振子42a~42dのうち、40Hzの共振周波数Frを有する共振子の叩打部422のみを用いて対象を叩き、対象に叩打による刺激を与えることができる。
また、振動部3は、制御装置からの制御信号に応じて、自身の振動のうち、40Hzおよび60Hzの振動のパワーを大きくし、複数の共振子42a~42dのうち、40Hzの共振周波数Frを有する共振子と60Hzの共振周波数Frを有する共振子の共振の振幅、すなわち、腕部421の自由端の振動の振幅を、所定の値以上とすることができる。これにより、複数の共振子42a~42dのうち、40Hzの共振周波数Frを有する共振子の叩打部422と、60Hzの共振周波数Frを有する共振子の叩打部422とを用いて対象を叩き、対象に叩打による刺激を与えることができる。このように、電子機器1は、複数の共振子42a~42dの叩打部422の任意の2つ以上の組み合わせ、または、全てを用いて対象を叩き、対象に叩打による刺激を与えることができる。
また、本実施形態においては、振動部3は、複数の共振子42a~42dのそれぞれの共振周波数Frを重畳した振動を発生させる。そのため、振動部3が振動している間、全ての共振子42a~42dが常に共振していることとなる。
一般に知られているように、共振による振動は、振動開始から振動が安定し、所定の振幅となるまでの応答時間が長い。そのため、複数の共振子42a~42dが常に共振していない場合には、振動部3が複数の共振子42a~42dのいずれかを選択して、対象を叩き、刺激を与えようとしても、共振子42a~42dの選択された1つを共振させ、その腕部421の振動の振幅が所定の値以上になるまでに、比較的長い時間を要する。そのため、振動部3が駆動している間、複数の共振子42a~42dが常に共振していない場合には、複数の共振子42a~42dの選択したいずれか1つの叩打部422で対象をすぐに叩き、対象に刺激を与えることができず、即応性に劣る。
一方、本実施形態では、振動部3が駆動している間、複数の共振子42a~42dが常に共振しているので、振動部3が複数の共振子42a~42dのいずれかを選択した後、複数の共振子42a~42dのうちの選択された1つの叩打部422を用いて、すぐに対象を叩き、対象に叩打による刺激を与えることができる。すなわち、本実施形態の電子機器1は、即応性に優れる。
<<第2実施形態>>
次に、図12を参照して、本発明の電子機器1の第2実施形態を説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係る電子機器の斜視図である。
以下、第2実施形態の電子機器1について、第1実施形態の電子機器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。第2実施形態の電子機器1は、筐体2の第1の面211(上側部材21)に形成された複数の貫通孔212が弾性フィルム215によって覆われている点を除き、第1実施形態の電子機器1と同様である。
図12に示すように、本実施形態では、筐体2の第1の面211に形成された複数の貫通孔212が、弾性フィルム215で覆われている。弾性フィルム215は、ゴム、エラストマー等の弾性材料で構成されており、接着剤や熱融着等により、筐体2の第1の面211(上側部材21)に取り付けられている。
本実施形態では、振動部3の振動によって複数の共振子42a~42dが共振し、複数の共振子42a~42dの任意の1つ以上の共振の振幅、すなわち、腕部421の自由端の振動の振幅が所定の値以上となると、腕部421の自由端上に設けられている叩打部422が、対応する貫通孔212を覆っている弾性フィルム215を叩く。
前述のように、電子機器1は、筐体2の第1の面211が対象であるユーザーの身体(例えば、手、手首、腕、足等)と対向、接触した状態で用いられる。そのため、本実施形態においては、叩打部422は、弾性フィルム215を介して、対象を叩き、対象に叩打による刺激を与える。
本実施形態では、筐体2の第1の面211に形成されている貫通孔212が弾性フィルム215で覆われているため、筐体2の内部空間が密閉されている。そのため、筐体2内に水や埃等が入ることを防止することができる。
また、本実施形態では、叩打部422は、対象であるユーザーの身体を、弾性フィルム215を介して叩くので、ユーザーに与えられる刺激がよりソフトになる。そのため、電子機器1によってユーザーに与えられる刺激のフィーリングを向上させることができる。
なお、複数の貫通孔212を覆う弾性フィルム215のそれぞれの厚さは、それぞれ異なっていてもよいし、互いに同じであってもよい。弾性フィルム215の厚さによってユーザーに与える刺激を調整することができる。また、複数の貫通孔212を覆う弾性フィルム215のそれぞれは、全て同じ弾性材料で構成されていてもよいし、それぞれ異なる弾性材料で構成されていてもよい。
また、本実施形態においては、複数の貫通孔212は全て弾性フィルム215によって覆われているが、本発明はこれに限られない。例えば、複数の貫通孔212のうちのいくつかのみが弾性フィルム215によって覆われており、残りの貫通孔212が弾性フィルム215によって覆われていないような様態も、本発明の範囲内である。
このような構成の第2実施形態の電子機器1によっても、上述した第1実施形態の電子機器1と同様の効果を発揮することができる。
<<第3実施形態>>
次に、図13を参照して、本発明の電子機器1の第3実施形態を説明する。図13は、本発明の第3実施形態に係る電子機器の斜視図である。
以下、第3実施形態の電子機器1について、第1実施形態の電子機器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。第3実施形態の電子機器1は、筐体2の第1の面211(上側部材21)に複数の貫通孔212が形成されていない点を除き、第1実施形態の電子機器1と同様である。
図13に示すように、本実施形態では、筐体2の第1の面211に複数の貫通孔212が形成されていない。そのため、振動部3の振動によって複数の共振子42a~42dが共振し、複数の共振子42a~42dの任意の1つ以上の共振の振幅、すなわち、腕部421の自由端の振動の振幅が所定の値以上となると、腕部421の自由端上に設けられている叩打部422が、筐体2の上側部材21を介して、対象であるユーザーの身体(例えば、手、手首、腕、足等)を叩く。
前述のように、電子機器1は、筐体2の第1の面211がユーザーの身体と対向、接触した状態で用いられる。そのため、叩打部422が筐体2の上側部材21を介してユーザーの体を叩くと、叩打による刺激がユーザーの身体に伝達される。その結果、ユーザーは、振動とは異なる新しい刺激を感じ取ることができる。
なお、図示の形態では、筐体2の第1の面211に貫通孔212が全く形成されていないが、本発明はこれに限られない。例えば、複数の貫通孔212の一部のみが筐体2の第1の面211に形成されているような様態も、本発明の範囲内である。
このような構成の第3実施形態の電子機器1によっても、上述した第1および第2実施形態の電子機器1と同様の効果を発揮することができる。
<<第4実施形態>>
次に、本発明の電子機器1の第4実施形態を説明する。以下、第4実施形態の電子機器1について、第1実施形態の電子機器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第4実施形態の電子機器1は、制御装置から供給される制御信号に応じて振動部3が発生させる振動が第1実施形態の電子機器1と異なる点を除き、第1実施形態の電子機器1と同様である。
上述した第1実施形態の電子機器1における振動部3は、複数の共振子42a~42dのそれぞれの共振周波数Frを重畳した振動を発生させるよう構成されているのに対し、本実施形態の振動部3は、制御装置から供給される制御信号に応じて、自身の振動の周波数を変更可能に構成されている。
例えば、複数の共振子42a~42dの共振周波数Frが、40Hz、約48Hz、60Hz、約73Hzである場合、振動部3は、制御装置からの制御信号に応じて、40Hz、約48Hz、60Hz、および約73Hzの少なくとも1つに対応する周波数の振動を発生させるよう構成されている。
この場合、振動部3は、制御装置からの制御信号に応じて、40Hzの振動を発生させることにより、複数の共振子42a~42dのうち、40Hzの共振周波数Frを有する共振子の叩打部422のみを用いて対象を叩き、刺激を発生させることができる。また、振動部3は、制御装置からの制御信号に応じて、40Hzおよび60Hzの周波数を含む振動を発生させることにより、複数の共振子42a~42dのうち、40Hzの共振周波数Frを有する共振子および60Hzの共振周波数Frを有する共振子の叩打部422を用いて対象を叩き、対象に叩打による刺激を与えることができる。
このように、本実施形態の電子機器1は、振動部3の振動の周波数を変更することにより、複数の共振子42のいずれの叩打部422を用いて対象を叩き、刺激を発生させるかを選択することができる。
本実施形態では、振動部3は、複数の共振子42a~42dのうち、選択した1つ以上の共振周波数Frに対応する周波数のみを含む振動を発生させる。そのため、振動部3が駆動している間であっても、複数の共振子42a~42dのうち、選択した1つ以上以外は共振していない。そのため、振動部3は、複数の共振子42a~42dのうち、選択した1つ以上以外を共振させるための振動を発生させる必要がない。これにより、振動部3の振動に要する消費電力を低減させることができる。
このような構成の第4実施形態の電子機器1によっても、上述した第1~第3実施形態の電子機器1と同様の効果を発揮することができる。
以上、本発明の電子機器を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。例えば、上述の第1~第4実施形態の任意の構成を組み合わせることができる。
本発明の属する分野および技術における当業者であれば、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、記述された本発明の電子機器の構成の変更を実行可能であろうし、変更された構成を有する電子機器もまた、本発明の範囲内である。
例えば、上述の第1~第4実施形態においては、共振部材4は、4つの共振子42a~42dを備えているが、共振子の数はこれに限られない。共振部材4は、共振子を複数有していればよく、共振子の数が2、3、5、それ以上であるような様態もまた、本発明の範囲内である。
また、上記記載では、叩打による刺激が与えられる対象は、ユーザーであるとして、本発明の電子機器1が説明されたが、本発明はこれに限られない。例えば、他のデバイスや部材が本発明の電子機器1の筐体2の第1の面211に対向、接触するよう設けられ、叩打による刺激が他のデバイスや部材に与えられるような様態も、本発明の範囲内である。
<ウェアラブル機器>
次に、上述の本発明の電子機器1を備えるウェアラブル機器について詳述する。図14は、本発明のウェアラブル機器を示す概略図である。図15は、図14に示すウェアラブル機器の使用様態を説明するための図である。
図14に示すウェアラブル機器500は、ユーザーの腕に装着された状態で用いられる。ウェアラブル機器500は、ユーザーの腕に巻きつけられるベルト510と、ベルト510に保持された本体520と、を備えている。
本体520は、携帯電話、スマートフォン、またはゲーム機のコントローラーと同様の通信機器としての機能を有する通信装置521と、通信装置521からの命令に応じて本発明の電子機器1を制御する制御装置522と、制御装置522によって制御され、対象に叩打による刺激を与える電子機器1と、を備えている。
図15に示すように、電子機器1は、筐体2の第1の面211が、対象であるユーザーの腕に対向するように設けられている。通信装置521が所定の動作を行ったときに、制御装置522から電子機器1に所定の制御信号が供給される。電子機器1に所定の制御信号が供給されると、供給された制御信号に応じて電子機器1の振動部3が駆動し、叩打による刺激をユーザーに提供する。これにより、様々な情報をユーザーに通知することができる。
例えば、通信装置521が電話を着信したときに、電子機器1は、ユーザーに叩打による刺激を提供することにより、ユーザーに電話を着信したことを通知することができる。また、対象を叩き、対象に叩打による刺激を与える共振子42a~42dの叩打部422の組み合わせと、様々な情報とを関連付けることにより、様々な情報をユーザーに通知することができる。
例えば、通信装置521が電話を着信したときと、通信装置521が電子メールを受信したときで、対象を叩き、対象に叩打による刺激を与える共振子42a~42dの叩打部422の組み合わせを変えることにより、ユーザーは、電子機器1から与えられる刺激によって、電話を着信したのか、電子メールを受信したのかを判別することができる。
なお、図示の形態は、本発明のウェアラブル機器500の1例にすぎず、ウェアラブル機器500は、腕時計型であってもよく、ゴーグル型であってもよい。
<携帯機器>
次に、上述の本発明の電子機器1を備える携帯機器について詳述する。図16は、本発明の携帯機器を示す概略図である。
図16に示す携帯機器600は、ユーザーの手によって把持された状態で用いられる。携帯機器600は、携帯電話、スマートフォン、ゲーム機のコントローラー等と同様の通信機器としての機能を有する通信装置610と、通信装置610からの命令に応じて本発明の電子機器1を制御する制御装置620と、制御装置620によって制御され、対象に叩打による刺激を与える電子機器1と、を備えている。
通信装置610が所定の動作を行ったときに、制御装置620から電子機器1に所定の制御信号が供給される。電子機器1に所定の制御信号が供給されると、供給された制御信号に応じて電子機器1の振動部3が駆動し、複数の共振子42a~42dが共振する。その結果、共振子42a~42dの叩打部422による刺激がユーザーに提供される。これにより、様々な情報をユーザーに通知することができる。
例えば、通信装置610が電話を着信したときに、電子機器1は、ユーザーに叩打による刺激を提供することにより、ユーザーに電話を着信したことを通知することができる。また、対象を叩き、対象に叩打による刺激を与える共振子42a~42dの叩打部422の組み合わせと、様々な情報とを関連付けることにより、様々な情報をユーザーに通知することができる。
例えば、通信装置610が電話を着信したときと、通信装置610が電子メールを受信したときで、対象を叩き、対象に叩打による刺激を与える共振子42a~42dの叩打部422の組み合わせを変えることにより、ユーザーは、電子機器1から与えられる刺激によって、電話を着信したのか、電子メールを受信したのかを判別することができる。
以上、本発明のウェアラブル機器および携帯機器を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
本発明の属する分野および技術における当業者であれば、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、記述された本発明のウェアラブル機器および携帯機器の構成の変更を実行可能であろうし、変更された構成を有するウェアラブル機器および携帯機器もまた、本発明の範囲内である。