JP7091676B2 - 超音波探傷方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波探傷方法に関する。特に、本発明は、きずの位置や個数を正確に算出可能な超音波探傷方法に関する。
従来、超音波探傷によって算出した鋼片におけるきずの位置や個数などの情報は、製品の品質保証(合格・不合格判定)に活用されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、鋼片におけるきずの位置や個数などの情報は、鋼片の造り込み情報を反映していることから、製鋼工程での製造パラメータの良否判断にも活用されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献1、2に記載のような超音波探触子を複数個配置して用いる超音波探傷方法では、空間分解能に乏しいため、きずの位置や個数を正確に算出できないという問題がある。各超音波探触子の寸法を小さくして、配置する超音波探触子の個数を増やすだけでは、送信される超音波の指向性が広くなるだけで空間分解能は向上しない。
上記の問題に対し、複数の振動子を具備するアレイ型超音波探触子及び2次元画像化手法を用いた超音波探傷方法が提案されている。具体的には、アレイ型超音波探触子を鋼片の側面に対向するように配置し、アレイ型超音波探触子が鋼片からエコーを受信することで出力される探傷信号に信号処理(開口合成処理やTFM(Total Focusing Method)など)を施すことで、鋼片の長手方向に直交する方向の断面についての2次元画像を生成し、この2次元画像を用いてきずを検出する超音波探傷方法が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。2次元画像化手法として用いられる開口合成処理やTFMは、アレイ型超音波探触子に対向する方向の被探傷材の断面の座標空間をメッシュに分割し、アレイ型超音波探触子で同時に多点計測した反射源からの探傷信号の伝搬時間と振幅値を、被探傷材とアレイ型超音波探触子との位置関係及び音速情報に基づいて、所定のメッシュ内に積算させることで反射源の像を再構成する手法である。
上記のアレイ型超音波探触子及び2次元画像化手法を用いた超音波探傷方法によれば、高い空間分解能を有する2次元画像を生成できるため、各アレイ型超音波探触子の探傷領域内単独では、きずの位置や個数を正確に算出することが可能である。
しかしながら、従来のアレイ型超音波探触子及び2次元画像化手法を用いた超音波探傷方法には以下に述べるような問題がある。以下、図1及び図2を適宜参照しつつ、従来のアレイ型超音波探触子及び2次元画像化手法を用いた超音波探傷方法の問題について説明する。
図1及び図2は、従来のアレイ型超音波探触子及び2次元画像化手法を用いた超音波探傷方法の問題点を説明する説明図である。
図1(a)に示すように、1つのアレイ型超音波探触子1から送信された超音波は、シュー5及び接触媒質(図示せず)を介して、アレイ型超音波探触子1に対向する鋼片BLの側面から鋼片BLの内部に入射する。そして、鋼片BLに存在するきず等で反射したエコーは、接触媒質(図示せず)及びシュー5を介してアレイ型超音波探触子1で受信され、探傷信号として出力される。ここで、超音波を鋼片BLの側面に対して略垂直に送受信する垂直探傷を行う場合、図1(b)に示す探傷信号波形のように、送信エコー(送信パルス)Tに次いで強大な表面エコーSが観測され、5波から10波程度(距離に換算すると側面から数mm~十数mm)は表面エコーSが持続する。このため、表面エコーSが持続する領域にきずが存在する場合、きずエコーが表面エコーSに埋没して探傷することができない。すなわち、表面エコーSが持続する領域が不感帯になる。なお、鋼片BLの底面(アレイ型超音波探触子1を配置した側面と反対側の側面)近傍にきずが存在する場合、時間軸上で底面エコーBの前方にきずエコーが出現するため、きずエコーが底面エコーに埋没することなく底面直前まで探傷可能である。
鋼片BLの断面全体を探傷するには、例えば、複数のアレイ型超音波探触子1を用いて互いに異なる方向から鋼片BLを探傷することで、各アレイ型超音波探触子1の不感帯を補う方法が考えられる。具体的には、図1(c)に示すように、4つの各アレイ型超音波探触子1(1A~1D)を鋼片BLの4つの各側面に対向するように配置する。そして、図1(a)に示すように、深さ方向(各アレイ型超音波探触子1と鋼片BLとの対向方向)については鋼片BLの中心Cよりやや各アレイ型超音波探触子1寄りの深さから底面までの範囲で、幅方向(各アレイ型超音波探触子1と鋼片BLとの対向方向に直交する方向)については両側面に亘る範囲に探傷領域Aを設定すればよい。これにより、各アレイ型超音波探触子1の不感帯を他のアレイ型超音波探触子1の探傷領域Aで補うことが可能である。また、各アレイ型超音波探触子1の探傷領域Aが互いに重複する部分を有することになるため、未探傷領域が生じるおそれを回避可能である。
前述のように、各アレイ型超音波探触子の探傷領域内単独では、きずの個数を正確に算出可能である。しかしながら、上記のように探傷領域Aが互いに重複する部分を有する複数のアレイ型超音波探触子1を用いて探傷する場合に、アレイ型超音波探触子1毎に独立してきずの個数を算出したのでは、きずの位置によっては個数を重複して算出してしまうという問題がある。
例えば、図2(a)~図2(d)に示すように、鋼片BLの中心にきずFが発生していると、このきずFは、アレイ型超音波探触子1Aの探傷領域AA内に位置する(図2(a))。また、きずFは、アレイ型超音波探触子1Bの探傷領域AB内にも位置する(図2(b))。また、きずFは、アレイ型超音波探触子1Cの探傷領域AC内にも位置する(図2(c))。さらに、きずFは、アレイ型超音波探触子1Dの探傷領域AD内にも位置する(図2(d))。したがい、この場合、アレイ型超音波探触子1毎に独立してきずFの個数を算出すると、実際には1個のきずFしか発生していないにも関わらず、4個のきずが発生していると、間違った個数を算出してしまう。
図2(e)に示す領域A4では、4つのアレイ型超音波探触子1の探傷領域Aが重複している。また、領域A3では、3つのアレイ型超音波探触子1の探傷領域Aが重複している。さらに、領域A2では、2つのアレイ型超音波探触子1の探傷領域Aが重複している。前述の鋼片BLの中心にあるきずFのように、領域A4内に位置するきずは、実際の個数の4倍の個数に算出されてしまう。同様に、領域A3内に位置するきずは、実際の個数の3倍の個数に算出され、領域A2内に位置するきずは、実際の個数の2倍の個数に算出されてしまう。
特開昭58-24858号公報 特開平1-297551号公報 特開昭62-9759号公報 特開2011-203037号公報 特開2009-236668号公報
本発明は、きずの位置や個数を正確に算出可能な超音波探傷方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、第1の方法として、被探傷材の側面の形状を測定する形状測定工程と、複数の振動子をそれぞれ具備する複数のアレイ型超音波探触子を前記被探傷材の側面に対向するように配置し、前記複数のアレイ型超音波探触子を前記被探傷材の長手方向に相対移動させることで前記被探傷材を探傷する探傷工程と、前記探傷工程において前記複数のアレイ型超音波探触子からそれぞれ出力される探傷信号に対して信号処理を施すことで、前記アレイ型超音波探触子毎に前記被探傷材の長手方向に直交する方向の断面についての2次元画像を生成する2次元画像生成工程と、前記2次元画像生成工程において生成された前記アレイ型超音波探触子毎の前記2次元画像を合成して、前記被探傷材の断面全体の2次元画像である全体2次元画像を生成する全体2次元画像生成工程と、前記全体2次元画像生成工程において生成された前記被探傷材の長手方向の複数の断面についての前記全体2次元画像を合成して、前記被探傷材全体の3次元画像である全体3次元画像を生成する全体3次元画像生成工程と、を含み、前記探傷工程において、前記被探傷材の長手方向から見た場合に前記複数のアレイ型超音波探触子の探傷領域のいずれもが重複する部分である重複探傷領域を有するように、前記複数のアレイ型超音波探触子を配置し、前記全体2次元画像生成工程において、前記形状測定工程において測定した前記被探傷材の側面の形状に基づき、前記アレイ型超音波探触子毎の前記2次元画像の前記重複探傷領域内に位置する所定の基準位置の座標を算出し、該算出した基準位置が全て一致するように前記2次元画像を合成することで、前記全体2次元画像を生成する、超音波探傷方法を提供する。
本発明の第1の方法に係る超音波探傷方法によれば、探傷工程において、複数のアレイ型超音波探触子を用いて被探傷材を探傷し(被探傷材に対して超音波を送受信して探傷信号を出力し)、2次元画像生成工程において、複数のアレイ型超音波探触子からそれぞれ出力される探傷信号に対して信号処理を施すことで2次元画像を生成する。次いで、全体2次元画像生成工程及び全体3次元画像生成工程を実行することで、被探傷材全体の3次元画像である全体3次元画像を生成する。このように、本発明の第1の方法に係る超音波探傷方法は、アレイ型超音波探触子及び2次元画像化手法を用いた超音波探傷方法であるため、高い空間分解能を有する2次元画像を生成することができ、最終的に生成される全体3次元画像を用いてきずの位置を正確に算出することが可能である。
また、本発明の第1の方法に係る超音波探傷方法によれば、探傷工程において、被探傷材の長手方向から見た場合に複数のアレイ型超音波探触子の探傷領域のいずれもが重複する部分である重複探傷領域を有するように、複数のアレイ型超音波探触子を配置し、全体2次元画像生成工程において、アレイ型超音波探触子毎の2次元画像の重複探傷領域内に位置する所定の基準位置(例えば、被探傷材の中心位置)が全て一致するように2次元画像を合成する。具体的には、例えば、2次元画像生成工程においてアレイ型超音波探触子毎に生成した複数の2次元画像のそれぞれに対して回転や平行移動の座標変換を施すことで、各2次元画像の所定の基準位置を全て一致させた後、全体2次元画像を構成する各画素の濃度が、対応する各2次元画像を構成する各画素の最大濃度に等しくなるように、全体2次元画像を生成する。これにより、各2次元画像にきずが存在しているとしても、それらが同じきずである場合には、生成した全体2次元画像には1つのきずしか存在しないことになる。したがい、最終的に生成される全体3次元画像を用いてきずの個数を正確に算出することが可能である。
なお、各2次元画像の所定の基準位置(例えば、被探傷材の中心位置)は、被探傷材の形状・寸法や、被探傷材と各アレイ型超音波探触子との位置関係に基づき、幾何学的に算出可能である。しかしながら、例えば、被探傷材が鋼片である場合、圧延工程の設定不良等に起因して、鋼片の形状・寸法が設計値からずれることもある。このように、被探傷材の形状・寸法が設計値からずれる場合には、設計値通りであることを前提として幾何学的に算出される各2次元画像の基準位置(理想状態での基準位置)も実際の基準位置からずれる場合がある。このずれ量が大きいと、各2次元画像の基準位置が全て一致するように各2次元画像を合成する際に誤差が生じ、きずの個数を正確に算出できなくなる可能性もある。上記の可能性を回避するには、被探傷材の側面の形状を測定し、その測定結果に応じて、実際の基準位置の座標を算出することが好ましい。このため、本発明の第1の方法に係る超音波探傷方法では、被探傷材の側面の形状を測定する形状測定工程を含み、前記全体2次元画像生成工程において、前記形状測定工程において測定した前記被探傷材の側面の形状に基づき、前記アレイ型超音波探触子毎の前記2次元画像における前記基準位置の座標を算出し、該算出した基準位置が全て一致するように前記2次元画像を合成することで、前記全体2次元画像を生成する。このように、測定した被探傷材の実際の側面の形状に基づき、各2次元画像の実際の基準位置の座標を算出し、算出した基準位置が全て一致するように各2次元画像を合成するため、各2次元画像を合成する際の誤差が低減され、被探傷材の形状・寸法が設計値からずれる場合であっても、きずの個数を正確に算出可能である。
また、アレイ型超音波探触子としては、一方向に配列された複数の振動子を具備する1次元アレイ型超音波探触子の他、直交する二方向にマトリックス状に配列された複数の振動子を具備する2次元アレイ型超音波探触子を用いることができる。
なお、アレイ型超音波探触子として2次元アレイ型超音波探触子を用いる場合、本発明の第1の方法に係る超音波探傷方法の2次元画像生成工程においては、2次元画像が被探傷材の長手方向について複数同時に生成されることになる。2次元画像生成工程における「2次元画像を生成する」とは、このように被探傷材の長手方向について複数同時に2次元画像を生成する場合も含む概念である。
同様に、アレイ型超音波探触子として2次元アレイ型超音波探触子を用いる場合、本発明の第1の方法に係る超音波探傷方法の全体2次元画像生成工程においては、全体2次元画像が被探傷材の長手方向について複数同時に生成されることになる。全体2次元画像生成工程における「全体2次元画像を生成する」とは、このように被探傷材の長手方向について複数同時に全体2次元画像を生成する場合も含む概念である。
上記本発明の第1の方法に係る超音波探傷方法では、全体2次元画像生成工程において、アレイ型超音波探触子毎の2次元画像を合成して、被探傷材の断面全体の2次元画像である全体2次元画像を先に生成した後、全体3次元画像生成工程において、被探傷材の長手方向の複数の断面についての全体2次元画像を合成して、全体3次元画像を生成している。
しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、アレイ型超音波探触子毎の2次元画像を被探傷材の長手方向の複数の断面について合成して3次元画像を先に生成した後、このアレイ型超音波探触子毎の3次元画像を合成して全体3次元画像を生成することも可能である。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、第2の方法として、被探傷材の側面の形状を測定する形状測定工程と、複数の振動子をそれぞれ具備する複数のアレイ型超音波探触子を前記被探傷材の側面に対向するように配置し、前記複数のアレイ型超音波探触子を前記被探傷材の長手方向に相対移動させることで前記被探傷材を探傷する探傷工程と、前記探傷工程において前記複数のアレイ型超音波探触子からそれぞれ出力される探傷信号に対して信号処理を施すことで、前記アレイ型超音波探触子毎に前記被探傷材の長手方向に直交する方向の断面についての2次元画像を生成する2次元画像生成工程と、前記2次元画像生成工程において生成された前記被探傷材の長手方向の複数の断面についての前記2次元画像を合成して、前記アレイ型超音波探触子毎に前記被探傷材の3次元画像を生成する3次元画像生成工程と、前記3次元画像生成工程において生成された前記アレイ型超音波探触子毎の前記3次元画像を合成して、前記被探傷材全体の3次元画像である全体3次元画像を生成する全体3次元画像生成工程と、を含み、前記探傷工程において、前記被探傷材の長手方向から見た場合に前記複数のアレイ型超音波探触子の探傷領域のいずれもが重複する部分である重複探傷領域を有するように、前記複数のアレイ型超音波探触子を配置し、前記全体3次元画像生成工程において、前記形状測定工程において測定した前記被探傷材の側面の形状に基づき、前記アレイ型超音波探触子毎の前記3次元画像の前記重複探傷領域内に位置する所定の基準位置の座標を算出し、該算出した基準位置が全て一致するように前記3次元画像を合成することで、前記全体3次元画像を生成する、超音波探傷方法を提供する
本発明の第2の方法に係る超音波探傷方法によっても、第1の方法に係る超音波探傷方法と同様に、きずの位置や個数を正確に算出可能である。
本発明の第2の方法に係る超音波探傷方法においても、第1の方法に係る超音波探傷方法と同様に、被探傷材の側面の形状を測定する形状測定工程を含み、前記全体3次元画像生成工程において、前記形状測定工程において測定した前記被探傷材の側面の形状に基づき、前記アレイ型超音波探触子毎の前記3次元画像における前記基準位置の座標を算出し、該算出した基準位置が全て一致するように前記3次元画像を合成することで、前記全体3次元画像を生成する。このように、測定した被探傷材の実際の側面の形状に基づき、各3次元画像の基準位置の座標を算出し、算出後の基準位置が全て一致するように各3次元画像を合成するため、各3次元画像を合成する際の誤差が低減され、被探傷材の形状・寸法が設計値からずれる場合であっても、きずの個数を正確に算出可能である。
ここで、本発明の第1の方法に係る超音波探傷方法において、前述のように、各2次元画像の所定の基準位置(例えば、被探傷材の中心位置)は、被探傷材の形状・寸法や、被探傷材と各アレイ型超音波探触子との位置関係に基づき、幾何学的に算出可能である。
しかしながら、例えば、被探傷材が鋼片である場合、圧延工程の設定不良等に起因して、鋼片の形状・寸法が設計値からずれることもある。このように、被探傷材の形状・寸法が設計値からずれる場合には、設計値通りであることを前提として幾何学的に算出される各2次元画像の基準位置(理想状態での基準位置)も実際の基準位置からずれる場合がある。このずれ量が大きいと、各2次元画像の基準位置が全て一致するように各2次元画像を合成する際に誤差が生じ、きずの個数を正確に算出できなくなる可能性もある。
上記の可能性を回避するには、被探傷材の側面の形状を測定し、その測定結果に応じて、実際の基準位置の座標を算出することが好ましい。
本発明の第1の方法に係る超音波探傷方法において、具体的には、前記全体2次元画像生成工程において、前記形状測定工程において測定した前記被探傷材の側面の形状に基づき、前記アレイ型超音波探触子毎の前記2次元画像における前記基準位置の座標を算出し、前記アレイ型超音波探触子の理想状態からの傾き角と、前記算出した基準位置と前記アレイ型超音波探触子の所定位置との相対位置関係とに基づき、前記算出した基準位置が全て一致するように前記2次元画像に対して座標変換を施して前記2次元画像を合成することで、前記全体2次元画像を生成することが好ましい。
ただし、前記アレイ型超音波探触子の理想状態からの傾き角は、前記被探傷材の側面の形状が変形していない設計通りの理想状態であるときの前記アレイ型超音波探触子の姿勢を基準とし、前記形状測定工程において前記被探傷材の側面の形状を測定した際の前記アレイ型超音波探触子の姿勢の前記基準からの傾き角を意味する。
また、アレイ型超音波探触子の所定位置としては、アレイ型超音波探触子の中心位置を例示できる。アレイ型超音波探触子にシューが取り付けられている場合、アレイ型超音波探触子の中心位置はシューの中心位置を意味する。
本発明の第2の方法に係る超音波探傷方法において、具体的には、前記全体3次元画像生成工程において、前記形状測定工程において測定した前記被探傷材の側面の形状に基づき、前記アレイ型超音波探触子毎の前記3次元画像における前記基準位置の座標を算出し、前記アレイ型超音波探触子の理想状態からの傾き角と、前記算出した基準位置と前記アレイ型超音波探触子の所定位置との相対位置関係とに基づき、前記算出した基準位置が全て一致するように前記3次元画像に対して座標変換を施して前記3次元画像を合成することで、前記全体3次元画像を生成することが好ましい。
前記アレイ型超音波探触子の理想状態からの傾き角の意味は、前述の通りである。また、アレイ型超音波探触子の所定位置の例示は、前述の通りである。
本発明の第1及び第2の方法に係る超音波探傷方法を適用する前記被探傷材が断面略矩形の鋼片である場合、前記探傷工程において、前記鋼片の4つの側面にそれぞれ対向するように、4つの前記アレイ型超音波探触子を配置することが好ましい。
本発明によれば、きずの位置や個数を正確に算出可能である。
従来のアレイ型超音波探触子及び2次元画像化手法を用いた超音波探傷方法の問題点を説明する説明図である。 従来のアレイ型超音波探触子及び2次元画像化手法を用いた超音波探傷方法の問題点を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態に係る超音波探傷方法を実施するための超音波探傷装置の概略構成を示す図である。 第1実施形態に係る超音波探傷方法の概略工程を示すフロー図である。 図4に示す全体2次元画像生成工程S13の具体的手順を説明する説明図である。 被探傷材である鋼片BLの形状変形例を模式的に示す図である。 好ましい全体2次元画像生成工程S13の具体的手順を説明する説明図である。 好ましい全体2次元画像生成工程S13の具体的手順を説明する説明図である。 超音波探触子の理想状態からの傾き角を説明する説明図である。 第2実施形態に係る超音波探傷方法の概略工程を示すフロー図である。 図10に示す全体3次元画像生成工程S24の具体的手順を説明する説明図である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の実施形態について、被探傷材が断面略矩形の鋼片である場合を例に挙げて説明する。
<第1実施形態>
まず、第1実施形態について説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係る超音波探傷方法を実施するための超音波探傷装置の概略構成を示す図である。図3(a)は、全体構成を示す側面図である。図3(b)は、図3(a)の矢符Yの方向から見た図である。ただし、図3(b)では、制御・信号処理装置2、速度計3及び形状測定装置4の図示は省略している。図3(c)は、アレイ型超音波探触子周辺の詳細を示す拡大図である。
図3(a)、(b)に示すように、超音波探傷装置100は、アレイ型超音波探触子(以下、適宜「超音波探触子」と略称する)1と、制御・信号処理装置2とを備える。また、第1実施形態の超音波探傷装置100は、好ましい構成として、速度計3と、形状測定装置4とを備える。
図3(a)、(b)に示すように、超音波探触子1は、搬送ローラRによって長手方向(Y方向)に搬送される断面略矩形の鋼片BLの各側面に対向するように4つ(超音波探触子1A~1Dの4つ)配置されている。第1実施形態の各超音波探触子1は、一方向に配列された複数(例えば、64個)の振動子11を具備する1次元アレイ型超音波探触子とされている。各超音波探触子1は、振動子11の配列方向が鋼片BLの各側面に沿うように(Y方向に垂直なX方向又はZ方向に沿うように)、なお且つ、鋼片BLの長手方向から見た場合に4つの超音波探触子1の探傷領域のいずれもが重複する部分である重複探傷領域を有するように、配置されている。
また、図3(a)に示すように、4つの超音波探触子1は、鋼片BLの長手方向について互いに位置をずらして(各超音波探触子1から送信される超音波のビーム幅以上の間隔を隔てて)配置されている。
4つの超音波探触子1を鋼片BLの長手方向について同じ位置に配置することも可能である。しかしながら、4つの超音波探触子1から同時に超音波を送受信する場合、一の超音波探触子1から送信した超音波が他の超音波探触子1で受信されることでノイズが生じる。このため、4つの超音波探触子1を鋼片BLの長手方向について同じ位置に配置する場合には、4つの超音波探触子1から超音波を送受信するタイミングをずらす必要があり、必要な探傷時間が増加する。
第1実施形態のように、4つの超音波探触子1を鋼片BLの長手方向について互いに位置をずらして配置することにより、4つの超音波探触子1から同時に超音波を送受信することができ、高速に探傷可能である。
さらに、図3(c)に示すように、超音波探触子1Aには、樹脂製のシュー5が取り付けられており、シュー5と鋼片BLの側面(超音波探触子1Aに対向する側面)B1との間に水などの接触媒質Wが導入される。超音波探触子1Aから送信された超音波は、シュー5及び接触媒質Wを介して、鋼片BLの側面B1から鋼片BLの内部に入射し、鋼片BLに存在するきず等で反射したエコーが、接触媒質W及びシュー5を介して超音波探触子1Aで受信される。シュー5には、倣いローラ6が取り付けられている。超音波探触子1Aから超音波を送受信する鋼片BLの側面B1に隣接する一方の側面B2に倣いローラ6が接触することで、鋼片BLに曲がりが生じていたとしても、シュー5ひいては超音波探触子1Aが鋼片BLに追従して所定位置に位置決めされる。図3(c)では、便宜上、超音波探触子1Aのみを例に挙げて説明したが、他の超音波探触子1B~1Dについても同様である。
制御・信号処理装置2は、4つの各超音波探触子1からの超音波の送受信を制御すると共に、4つの各超音波探触子1から出力される探傷信号に対して信号処理(第1実施形態では、開口合成処理)を施すことで、鋼片BLの長手方向(Y方向)に直交する方向の断面(XZ平面)についての2次元画像(第1実施形態では、開口合成像)を生成する。
制御・信号処理装置2は、パルサー、レシーバー、増幅器、A/D変換器、波形メモリなど、いわゆる超音波探傷用の探傷器が具備する公知の手段を備えることで超音波の送受信を制御する。また、制御・信号処理装置2には、波形メモリに記憶された探傷信号に対して信号処理を施すことで2次元画像を生成する等の所定のプログラムがインストールされている。2次元画像化手法に用いられる信号処理(開口合成処理等)については、例えば、前述した特許文献5に記載のような公知の内容を適用できるため、ここではその具体的な内容の記載を省略する。
速度計3は、鋼片BLの長手方向への搬送速度を測定する装置であり、例えば、レーザドップラ速度計等の非接触式速度計を好適に用いることができる。ただし、速度計3はこれに限るものではなく、例えば、搬送ローラRに取り付けられ搬送ローラRの回転速度を測定するパルスジェネレータと、搬送ローラRの回転速度を鋼片BLの搬送速度に換算する演算部とを具備する構成を採用することも可能である。速度計3で測定した鋼片BLの搬送速度は、制御・信号処理装置2に入力される。
形状測定装置4は、鋼片BLの側面の形状を測定する装置であり、例えば、2次元レーザ距離計を好適に用いることができる。第1実施形態の形状測定装置4は、上下に一対の2次元レーザ距離計4A、4Bから構成されている。形状測定装置4で測定した鋼片BLの側面の形状は、制御・信号処理装置2に入力される。
以下、上記の構成を有する超音波探傷装置100を用いた第1実施形態に係る超音波探傷方法について説明する。
図4は、第1実施形態に係る超音波探傷方法の概略工程を示すフロー図である。図4に示すように、第1実施形態に係る超音波探傷方法は、探傷工程S11、2次元画像生成工程S12、全体2次元画像生成工程S13及び全体3次元画像生成工程S14を含む。また、第1実施形態に係る超音波探傷方法は、好ましい方法として、形状測定工程S10及びきず検出・きず個数算出工程S15を含む。形状測定工程S10は必ずしも実行しなくてもよいが、鋼片BLの形状・寸法が設計値から大きくずれる場合があるときには実行した方が好ましい。以下、各工程S10~S15について順次説明する。最初に形状測定工程S10を実行しない場合について説明する。
探傷工程S11では、4つの超音波探触子1を鋼片BLの長手方向に相対移動させることで鋼片BLを探傷する。すなわち、4つの超音波探触子1から鋼片BLに対して超音波を送受信して探傷信号を出力する。本実施形態では、4つの超音波探触子1から同じタイミングで超音波を送受信している。4つの超音波探触子1から出力された探傷信号は、制御・信号処理装置2に入力され、記憶される。第1実施形態では、4つの超音波探触子1を静止する一方、鋼片BLを搬送ローラRによって長手方向に搬送することで、4つの超音波探触子1を鋼片BLの長手方向に相対移動させている。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、鋼片BLを静止し、4つの超音波探触子1を鋼片BLの長手方向に移動させる方法を採用することも可能である。
2次元画像生成工程S12では、制御・信号処理装置2が、探傷工程S11において4つの超音波探触子1からそれぞれ入力され記憶された探傷信号に対して信号処理(開口合成処理)を施す。これにより、超音波探触子1毎に鋼片BLの長手方向に直交する方向の断面(XZ平面)についての2次元画像(開口合成像)が生成される。
全体2次元画像生成工程S13では、制御・信号処理装置2が、2次元画像生成工程S12において生成された超音波探触子1毎の2次元画像を合成して、鋼片BLの断面全体の2次元画像である全体2次元画像を生成する。前述のように、4つの超音波探触子1は鋼片BLの長手方向について互いに位置をずらして配置されているため、2次元画像生成工程S12において同じタイミングで生成される超音波探触子1毎の2次元画像は、鋼片BLの長手方向の位置が異なる。このため、全体2次元画像生成工程S13において、制御・信号処理装置2は、速度計3で測定した鋼片BLの搬送速度に基づき、鋼片BLの長手方向の同じ位置についての各2次元画像を選択し、これら選択した各2次元画像を合成する。
具体的には、全体2次元画像生成工程S13では、制御・信号処理装置2が、超音波探触子1毎の2次元画像の重複探傷領域内に位置する所定の基準位置(第1実施形態では、鋼片BLの中心位置)が全て一致するように2次元画像を合成することで、全体2次元画像を生成する。例えば、2次元画像生成工程S13において、超音波探触子1毎に生成した複数の2次元画像のそれぞれに対して座標変換を施すことで、各2次元画像の基準位置(鋼片BLの中心位置)を全て一致させた後、全体2次元画像を構成する各画素の濃度が、対応する各2次元画像を構成する各画素の最大濃度に等しくなるように、全体2次元画像を生成する。以下、この点につき、図5を参照しつつ、より具体的に説明する。
図5は、全体2次元画像生成工程S13の具体的手順を説明する説明図である。
図5(a)に示すように、超音波探触子1Aについて生成される2次元画像は、超音波探触子1Aの探傷領域A(AA)内に存在する鋼片BLの断面を含んでいる。いずれの超音波探触子1についても、探傷領域Aは、深さ方向(超音波探触子1と鋼片BLとの対向方向)については鋼片BLの中心よりやや超音波探触子1寄りの深さから底面までの範囲で、幅方向(超音波探触子1と鋼片BLとの対向方向に直交する方向)については両側面に亘る範囲に設定されている。したがい、この2次元画像は、鋼片BLの形状・寸法や、鋼片BLと超音波探触子1Aとの位置関係に基づき、幾何学的に算出される鋼片BLの中心位置Cを含んでいる。
ここで、図5(a)の左図に示すように、全体2次元画像生成前の超音波探触子1Aについて生成される2次元画像の座標系が、超音波探触子1Aの中心(本実施形態の場合は、シュー5が取り付けられているため、具体的にはシュー5の中心)が鋼片BLと接する点OA(0,0)をXaZa座標の原点とするXaYaZa直交座標系であるとする。そして、超音波探触子1Aと鋼片BLとの対向方向についての鋼片BLの設計寸法を2L、超音波探触子1Aと鋼片BLとの対向方向に直交する方向についての鋼片BLの設計寸法を2Mとする。このとき、鋼片BLの形状(矩形)・寸法が設計値通りの理想状態である場合、本実施形態で基準位置とする鋼片BLの中心位置CのXaZa座標はC(0,-L)となる。
一方、図5(a)の右図に示すように、生成される全体2次元画像の座標系が鋼片BLの中心位置C(0,0)をXZ座標の原点とするXYZ直交座標系(YはYaと共通)であるとする。
この場合、超音波探触子1Aについて生成されるXaYaZa直交座標系の2次元画像の基準位置(鋼片BLの中心位置)C(0,-L)がXYZ直交座標系の全体2次元画像の基準位置(鋼片BLの中心位置)C(0,0)に一致するように、XaYaZa直交座標系の2次元画像を座標変換する。
上記のような座標変換としては、下記の式(1)で表わされるアフィン変換を例示できる。
Figure 0007091676000001
座標変換が回転である場合、回転角をθ(ここでは、反時計回りを正の値とする)とすると、上記式(1)の係数e=cosθ、g=-sinθ、f=sinθ、h=cosθ、j=0、k=0となる。
また、座標変換が平行移動である場合、e=cos0°=1、g=-sin0°=0、f=sin0°=0、h=cos0°=1、j=X方向の移動量、k=Y方向の移動量となる。
図5(a)に示す例の場合、XaYaZa直交座標系の2次元画像の基準位置C(0,-L)は、以下の式(1A)に従い、XYZ直交座標系の全体2次元画像の基準位置C(0,0)に変換されることになる。
Figure 0007091676000002
図5(b)に示すように、超音波探触子1Bについて生成される2次元画像は、超音波探触子1Bの探傷領域A(AB)内に存在する鋼片BLの断面を含んでいる。そして、この2次元画像も、幾何学的に算出される鋼片BLの中心位置Cを含んでいる。
図5(b)の左図に示すように、全体2次元画像生成前の超音波探触子1Bについて生成される2次元画像の座標系が、超音波探触子1Bの中心(本実施形態の場合は、シュー5が取り付けられているため、具体的にはシュー5の中心)が鋼片BLと接する点OB(0,0)をXbZb座標の原点とするXbYbZb直交座標系(YbはYと共通)であるとする。このとき、鋼片BLの形状・寸法が設計値通りの理想状態である場合、本実施形態で基準位置とする鋼片BLの中心位置CのXbZb座標はC(0,-M)となる。
この場合、超音波探触子1Bについて生成されるXbYbZb直交座標系の2次元画像の基準位置(鋼片BLの中心位置)C(0,-M)がXYZ直交座標系の全体2次元画像の基準位置(鋼片BLの中心位置)C(0,0)に一致するように、XbYbZb直交座標系の2次元画像を座標変換する。
図5(b)に示す例の場合、座標変換がアフィン変換であると、XbYbZb直交座標系の2次元画像の基準位置C(0,-M)は、以下の式(1B)に従い、XYZ直交座標系の全体2次元画像の基準位置C(0,0)に変換されることになる。
Figure 0007091676000003
そして、図5(b)の右図に示すように、前述のようにXaYaZa直交座標系の2次元画像を座標変換した2次元画像(超音波探触子1Aについて生成された座標変換後の2次元画像)と、XbYbZb直交座標系の2次元画像を座標変換した2次元画像(超音波探触子1Bについて生成された座標変換後の2次元画像)とを合成する。この合成画像を構成する各画素のうち、超音波探触子1Aについて生成された座標変換後の2次元画像と、超音波探触子1Bについて生成された座標変換後の2次元画像との重複領域(図5(b)の右図のハッチングを施した領域)にある画素の濃度は、いずれかの2次元画像の画素のうち濃度の大きい方の画素の濃度に設定される。合成画像を構成する各画素のうち、重複領域以外にある画素の濃度は、いずれかの2次元画像の画素の濃度に設定される。
図5(c)に示すように、超音波探触子1Cについて生成される2次元画像は、超音波探触子1Cの探傷領域A(AC)内に存在する鋼片BLの断面を含んでいる。そして、この2次元画像も、幾何学的に算出される鋼片BLの中心位置Cを含んでいる。
図5(c)の左図に示すように、全体2次元画像生成前の超音波探触子1Cについて生成される2次元画像の座標系が、超音波探触子1Cの中心(本実施形態の場合は、シュー5が取り付けられているため、具体的にはシュー5の中心)が鋼片BLと接する点OC(0,0)をXcZc座標の原点とするXcYcZc直交座標系(YcはYと共通)であるとする。このとき、鋼片BLの形状・寸法が設計値通りの理想状態である場合、本実施形態で基準位置とする鋼片BLの中心位置CのXcZc座標はC(0,-L)となる。
この場合、超音波探触子1Cについて生成されるXcYcZc直交座標系の2次元画像の基準位置(鋼片BLの中心位置)C(0,-L)がXYZ直交座標系の全体2次元画像の基準位置(鋼片BLの中心位置)C(0,0)に一致するように、XcYcZc直交座標系の2次元画像を座標変換する。
図5(c)に示す例の場合、座標変換がアフィン変換であると、XcYcZc直交座標系の2次元画像の基準位置C(0,-L)は、以下の式(1C)に従い、XYZ直交座標系の全体2次元画像の基準位置C(0,0)に変換されることになる。
Figure 0007091676000004
そして、図5(c)の右図に示すように、前述のようにXaYaZa直交座標系の2次元画像を座標変換した2次元画像(超音波探触子1Aについて生成された座標変換後の2次元画像)と、前述のようにXbYbZb直交座標系の2次元画像を座標変換した2次元画像(超音波探触子1Bについて生成された座標変換後の2次元画像)と、XcYcZc直交座標系の2次元画像を座標変換した2次元画像(超音波探触子1Cについて生成された座標変換後の2次元画像)とを合成する。この合成画像を構成する各画素のうち、超音波探触子1A~1Cについて生成された座標変換後の各2次元画像の重複領域にある画素の濃度は、いずれかの2次元画像の画素のうち最も大きい画素の濃度(最大濃度)に設定される。合成画像を構成する各画素のうち、重複領域以外にある画素の濃度は、いずれかの2次元画像の画素の濃度に設定される。
図5(d)に示すように、超音波探触子1Dについて生成される2次元画像は、超音波探触子1Dの探傷領域A(AD)内に存在する鋼片BLの断面を含んでいる。そして、この2次元画像も、幾何学的に算出される鋼片BLの中心位置Cを含んでいる。
図5(d)の左図に示すように、全体2次元画像生成前の超音波探触子1Dについて生成される2次元画像の座標系が、超音波探触子1Dの中心(本実施形態の場合は、シュー5が取り付けられているため、具体的にはシュー5の中心)が鋼片BLと接する点OD(0,0)を原点とするXdYdZd直交座標系(YdはYと共通)であるとする。このとき、鋼片BLの形状・寸法が設計値通りの理想状態である場合、本実施形態で基準位置とする鋼片BLの中心位置CのXdZd座標はC(0,-M)となる。
この場合、超音波探触子1Dについて生成されるXdYdZd直交座標系の2次元画像の基準位置(鋼片BLの中心位置)C(0,-M)がXYZ直交座標系の全体2次元画像の基準位置(鋼片BLの中心位置)C(0,0)に一致するように、XdYdZd直交座標系の2次元画像を座標変換する。
図5(d)に示す例の場合、座標変換がアフィン変換であると、XdYdZd直交座標系の2次元画像の基準位置C(0,-M)は、以下の式(1D)に従い、XYZ直交座標系の全体2次元画像の基準位置C(0,0)に変換されることになる。
Figure 0007091676000005
そして、図5(d)の右図に示すように、前述のようにXaYaZa直交座標系の2次元画像を座標変換した2次元画像(超音波探触子1Aについて生成された座標変換後の2次元画像)と、前述のようにXbYbZb直交座標系の2次元画像を座標変換した2次元画像(超音波探触子1Bについて生成された座標変換後の2次元画像)と、前述のようにXcYcZc直交座標系の2次元画像を座標変換した2次元画像(超音波探触子1Cについて生成された座標変換後の2次元画像)と、XdYdZd直交座標系の2次元画像を座標変換した2次元画像(超音波探触子1Dについて生成された座標変換後の2次元画像)とを合成する。この4つの2次元画像を合成した合成画像が全体2次元画像である。全体2次元画像を構成する各画素の濃度は、いずれかの2次元画像の画素のうち濃度の最も大きい画素の濃度(最大濃度)に設定される。
なお、以上に説明した座標変換により、鋼片BLの同じ位置に対応する各超音波探触子について生成される2次元画像における位置は、基準位置(鋼片BLの中心位置)に限らず、全て全体2次元画像における同じ位置に変換される。
例えば、超音波探触子1Aについて生成されるXaYaZa直交座標系の2次元画像の原点OA(0,0)は、以下の式(1E)に従い、XYZ直交座標系の全体2次元画像の位置(0,L)に変換されることになる。
Figure 0007091676000006
一方、XaYaZa直交座標系における原点OA(0,0)は、超音波探触子1Dについて生成されるXdYdZd直交座標系の2次元画像では位置(L,-M)になる。この超音波探触子1Dについて生成されるXdYdZd直交座標系の2次元画像の位置(L,-M)は、以下の式(1F)に従い、XYZ直交座標系の全体2次元画像の同じ位置(0,L)に変換されることになる。
Figure 0007091676000007
以上に説明した手順により、全体2次元画像生成工程S13では、制御・信号処理装置2が、超音波探触子1毎の2次元画像の重複探傷領域内に位置する所定の基準位置(第1実施形態では、鋼片BLの中心位置C)が全て一致するように2次元画像を合成することで、全体2次元画像を生成する。
全体3次元画像生成工程S14では、制御・信号処理装置2が、全体2次元画像生成工程S13において生成された鋼片BLの長手方向の複数の断面についての全体2次元画像を合成して、鋼片BL全体の3次元画像である全体3次元画像を生成する。具体的には、制御・信号処理装置2は、速度計3で測定した鋼片BLの搬送速度に基づき、鋼片BLの長手方向に所定のピッチ(例えば、5mm、10mm、20mmピッチなど)で全体2次元画像を生成し、この所定のピッチで生成された全体2次元画像を合成して、全体3次元画像を生成する。
きず検出・きず個数算出工程S15では、制御・信号処理装置2が、全体3次元画像生成工程S14で生成された全体3次元画像に基づき、きずを検出し、検出したきずの個数を算出する。具体的には、所定のしきい値を超える濃度を有するボクセル領域を2値化してきずとして検出し、この検出したきずの個数を算出する。この際、必要に応じて、2値化したボクセル領域に対して膨張収縮処理等の公知の画像処理を適用することが好ましい。これにより、同じきずに対応するボクセル領域であるにも関わらず2値化によって分離した近接するボクセル領域を一つに纏めることができ、一つのきずとして正確に個数を算出できることが期待できる。
なお、形状測定工程S10を実行する場合、形状測定工程S10では、形状測定装置4によって鋼片BLの側面の形状を測定する。そして、全体2次元画像生成工程S13では、制御・信号処理装置2が、形状測定工程S10において測定した鋼片BLの側面の形状に基づき、超音波探触子1毎の2次元画像における基準位置(鋼片BLの中心位置)Cの座標を算出し、該算出した基準位置Cが全て一致するように2次元画像を合成することで、全体2次元画像を生成する。第1実施形態では、図4に示すように、探傷工程S11より前に測定工程S10を実行しているが、本発明はこれに限るものではない。測定工程S10の結果は、全体2次元画像生成工程S13で用いられるため、全体2次元画像生成工程S13より前に実行すれば十分である。また、形状測定工程S10を実行するために用いる形状測定装置4は、第1実施形態では各超音波探触子1よりも鋼片BLの搬送方向上流側に配置しているが、これに限るものではなく、各超音波探触子1よりも鋼片BLの搬送方向下流側に配置することも可能である。
以下、形状測定工程S10において測定した鋼片BLの側面の形状に基づき、全体2次元画像生成工程S13において、超音波探触子1毎の2次元画像における基準位置(鋼片BLの中心位置)Cの座標を算出し、該算出した基準位置Cが全て一致するように2次元画像を合成することで、全体2次元画像を生成する点について、具体的に説明する。
図6は、被探傷材である鋼片BLの形状変形例を模式的に示す図である。図6に示すように、圧延工程の設定不良等に起因して、鋼片BLの形状が例えば矩形から菱形に変形することがある。このように、鋼片BLが変形した場合、鋼片BLの形状・寸法が設計値通りの理想状態であることを前提として幾何学的に算出される各2次元画像の基準位置(鋼片BLの中心位置)Cも実際の基準位置からずれる場合がある。このずれ量が大きいと、各2次元画像の基準位置Cが全て一致するように各2次元画像を合成する際に誤差が生じ、きずの個数を正確に算出できなくなる可能性もある。上記の可能性を回避するには、形状測定工程S10において、鋼片BLの側面の形状を測定し、その測定結果に応じて、全体2次元画像生成工程S13において、実際の基準位置Cの座標を算出することが好ましい。
具体的には、例えば、形状測定工程S10において、形状測定装置4を構成する一方の2次元レーザ距離計4A(図3)で、鋼片BLの側面B1、B2の形状を測定し、他方の2次元レーザ距離計4B(図3)で、鋼片BLの側面B3、B4の形状を測定する。次いで、全体2次元画像生成工程S13において、測定した側面B1~B4の各形状を構成する各点にそれぞれ最小二乗法を適用して近似直線L1~L4を算出する。次いで、各近似直線L1~L4の交点P1~P4を算出する。最後に、交点P1及び交点P3を通る直線と、交点P2及び交点P4を通る直線との交点を、実際の基準位置である鋼片BLの中心位置C’として算出することが可能である。なお、各XiYiZi直交座標系(i=a~d)における実際の基準位置C’の座標は、形状測定装置4(2次元レーザ距離計4A、4B)と、各超音波探触子1A~1Dとの位置関係に基づき、幾何学的に演算可能である。
本実施形態の好ましい方法では、前述のように、全体2次元画像生成工程S13において、基準位置C’が全て一致するように2次元画像を合成することで、全体2次元画像を生成する。具体的には、超音波探触子1の理想状態からの傾き角と、基準位置C’とアレイ型超音波探触子1の所定位置(例えば、超音波探触子1の中心)との相対位置関係(例えば、基準位置C’から超音波探触子1の中心が鋼片BLと接する点に向かうベクトル)とに基づき、基準位置C’が全て一致するように2次元画像に対して座標変換を施して2次元画像を合成することで、全体2次元画像を生成する。以下、この点につき、図7~図9を参照しつつ、より具体的に説明する。
図7及び図8は、好ましい全体2次元画像生成工程S13の具体的手順を説明する説明図である。
図7(a)に示すように、好ましい全体2次元画像生成工程S13では、図7(a)の左図に示す全体2次元画像生成前の超音波探触子1Aについて生成される2次元画像のXaYaZa直交座標系を、図7(a)の右図に示す全体2次元画像のXYZ直交座標系に座標変換する。この際、図5(a)を参照して前述した理想状態の場合と異なり、基準位置Cではなく基準位置C’が一致するように座標変換することになる。
具体的には、まず、図7(b)に示すように、XYZ直交座標系の原点(基準位置C’)に、XaYaZa直交座標系の原点(超音波探触子1Aの中心が鋼片BLと接する点OA)が一致するように、XaYaZa直交座標系の2次元画像を平行移動させる。次いで、図7(c)に示すように、超音波探触子1Aの理想状態からの傾き角θだけXaYaZa直交座標系の2次元画像を回転させる。傾き角の意味は後述する。最後に、XYZ直交座標系における超音波探触子1Aの中心が鋼片BLと接する点をOA(XOA,ZOA)とすると、図7(c)の矢符で示すように、XYZ直交座標系における原点(基準位置C’)から点OA(XOA,ZOA)に向かうベクトル分だけXaYaZa直交座標系の2次元画像を平行移動させることで、図7(d)に示すXYZ直交座標系の2次元画像(図7(a)の右図と同じ2次元画像)に座標変換する。
上記の座標変換を数式で表わすと、以下の式(1G)となる。
Figure 0007091676000008
また、図8(a)に示すように、好ましい全体2次元画像生成工程S13では、図8(a)の左図に示す全体2次元画像生成前の超音波探触子1Dについて生成される2次元画像のXdYdZd直交座標系を、図8(a)の右図に示す全体2次元画像のXYZ直交座標系に座標変換する。この際、図5(d)を参照して前述した理想状態の場合と異なり、基準位置Cではなく基準位置C’が一致するように座標変換することになる。
具体的には、まず、図8(b)に示すように、XYZ直交座標系の原点(基準位置C’)に、XdYdZd直交座標系の原点(超音波探触子1Dの中心が鋼片BLと接する点OD)が一致するように、XdYdZd直交座標系の2次元画像を平行移動させる。次いで、図8(c)に示すように、理想状態の場合の回転角90°(式(1D)参照)から超音波探触子1Dの理想状態からの傾き角θを減算した値である(90°-θ)だけXdYdZd直交座標系の2次元画像を回転させる。傾き角の意味は後述する。最後に、XYZ直交座標系における超音波探触子1Dの中心が鋼片BLと接する点をOD(XOD,ZOD)とすると、図8(c)の矢符で示すように、XYZ直交座標系における原点(基準位置C’)から点OD(XOD,ZOD)に向かうベクトル分だけXdYdZd直交座標系の2次元画像を平行移動させることで、図8(d)に示すXYZ直交座標系の2次元画像(図8(a)の右図と同じ2次元画像)に座標変換する。
上記の座標変換を数式で表わすと、以下の式(1H)となる。
Figure 0007091676000009
説明は省略するが、超音波探触子1Bについて生成される2次元画像のXbYbZb直交座標系を全体2次元画像のXYZ直交座標系に座標変換する場合や、超音波探触子1Cについて生成される2次元画像のXcYcZc直交座標系を全体2次元画像のXYZ直交座標系に座標変換する場合も、同様の手順で座標変換すればよい。
図9は、超音波探触子の理想状態からの傾き角を説明する説明図である。図9では、超音波探触子1Aの理想状態からの傾き角θを例に挙げて説明するが、他の超音波探触子1B~1Dについても、理想状態からの傾き角の意味は同じである。図9に示すように、超音波探触子1Aの理想状態からの傾き角θは、図9(a)に示す鋼片BLの側面の形状が変形していない理想状態(矩形)であるときの超音波探触子1Aの姿勢を基準(0°)とし、図9(b)に示す鋼片BLの側面の形状が変形した状態(菱形)であるときの超音波探触子1Aの姿勢の前記基準からの傾き角を意味する。
この傾き角θは、超音波探触子1Aが配置されている鋼片BLの側面B1の傾きと同等であるため、例えば、形状測定工程S10において測定した鋼片BLの側面B1の傾き(近似直線L1)の傾きから算出することが可能である。また、2次元CCDカメラ等の撮像手段を用いて鋼片BLの長手方向から超音波探触子1Aを撮像し、この撮像画像から超音波探触子1Aの傾きを算出して傾き角θとすることも可能である。他の超音波探触子1B~1Dの傾き角についても同様である。
また、超音波探触子1Aの中心が鋼片BLと接する点OA(XOA,ZOA)の座標については、例えば、以下のようにして算出可能である。本実施形態のように、倣いローラ6を具備する構成の場合、図9に示す倣いローラ6が鋼片BLと接する接点61から、超音波探触子1Aの中心が鋼片BLと接する点OA(XOA,ZOA)に向かう相対ベクトルは、倣いローラ6とシュー5との配置関係から一意に決まる。このため、倣いローラ6が鋼片BLと接する接点61の座標を算出できれば、点OA(XOA,ZOA)を一意に算出可能である。接点61の座標は、例えば、図9に示すように、形状測定結果から算出した近似直線L1から距離W(倣いローラ6とシュー5との配置関係から一意に決まる距離)だけ離れた直線L1’と、形状測定結果から算出した近似直線L2との交点として算出可能である。
或いは、傾き角θと同様に、鋼片BLの長手方向から超音波探触子1A(シュー5)を撮像した撮像画像に基づき、点OA(XOA,ZOA)の座標を算出してもよい。
他の超音波探触子1B~1Dの中心が鋼片BLと接する点の座標についても同様である。
第1実施形態に係る超音波探傷方法によれば、2次元画像生成工程S12で生成した各2次元画像にきずが存在しているとしても、それらが同じきずである場合には、全体2次元画像生成工程S13で生成した全体2次元画像には1つのきずしか存在しないことになる。したがい、全体3次元画像生成工程S14で最終的に生成される全体3次元画像を用いて、きず検出・きず個数算出工程S15できずの位置を正確に検出することができると共に、きずの個数を正確に算出することが可能である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る超音波探傷方法を実施するための超音波探傷装置の構成は、図3に示す超音波探傷装置100と同じである。
第1実施形態に係る超音波探傷方法では、全体2次元画像生成工程S13において、超音波探触子1毎の2次元画像を合成して、鋼片BLの断面全体の2次元画像である全体2次元画像を先に生成した後、全体3次元画像生成工程S14において、鋼片BLの長手方向の複数の断面についての全体2次元画像を合成して、全体3次元画像を生成している。
これに対し、第2実施形態に係る超音波探傷方法では、超音波探触子1毎の2次元画像を鋼片BLの長手方向の複数の断面について合成して3次元画像を先に生成した後、この超音波探触子1毎の3次元画像を合成して全体3次元画像を生成する点だけが、第1実施形態と異なる。以下、第2実施形態に係る超音波探傷方法について、主に第1実施形態と異なる点を具体的に説明する。
図10は、第2実施形態に係る超音波探傷方法の概略工程を示すフロー図である。図10に示すように、第2実施形態に係る超音波探傷方法は、探傷工程S21、2次元画像生成工程S22、3次元画像生成工程S23及び全体3次元画像生成工程S24を含む。また、第2実施形態に係る超音波探傷方法も、好ましい方法として、形状測定工程S20及びきず検出・きず個数算出工程S25を含む。形状測定工程S20は必ずしも実行しなくてもよい。
第2実施形態に係る超音波探傷方法の形状測定工程S20、探傷工程S21、2次元画像生成工程S22及びきず検出・きず個数算出工程S25は、それぞれ第1実施形態に係る超音波探傷方法の形状測定工程S10、探傷工程S11、2次元画像生成工程S12及びきず検出・きず個数算出工程S15と同じ内容であるため、説明を省略し、以下では、3次元画像生成工程S23及び全体3次元画像生成工程S24について説明する。
3次元画像生成工程S23では、制御・信号処理装置2が、2次元画像生成工程S22において生成された鋼片BLの長手方向の複数の断面についての2次元画像を合成して、超音波探触子1毎に鋼片BLの3次元画像を生成する。具体的には、制御・信号処理装置2は、速度計3で測定した鋼片BLの搬送速度に基づき、鋼片BLの長手方向に所定のピッチ(例えば、5mm、10mm、20mmピッチなど)で超音波探触子1毎の2次元画像を生成し、この所定のピッチで生成された超音波探触子1毎の2次元画像を合成して、3次元画像を生成する。
全体3次元画像生成工程S24では、制御・信号処理装置2が、3次元画像生成工程S23において生成された超音波探触子1毎の3次元画像を合成して、鋼片BL全体の3次元画像である全体3次元画像を生成する。
具体的には、全体3次元画像生成工程S24では、制御・信号処理装置2が、超音波探触子1毎の3次元画像の重複探傷領域内に位置する所定の基準位置(第2実施形態でも、鋼片BLの中心位置)が全て一致するように3次元画像を合成することで、全体3次元画像を生成する。
図11は、全体3次元画像生成工程S24の具体的手順を説明する説明図である。
図11(a)に示すように、超音波探触子1Aについて生成される3次元画像は、超音波探触子1Aの探傷領域AA(図5(a)参照)内に存在する鋼片BLの断面を含んでいるため、鋼片BLの形状・寸法や、鋼片BLと超音波探触子1Aとの位置関係に基づき、幾何学的に算出される鋼片BLの中心位置C1を含んでいる。
図示は省略するが、超音波探触子1Bについて生成される3次元画像は、鋼片BLの形状・寸法や、鋼片BLと超音波探触子1Bとの位置関係に基づき、幾何学的に算出される鋼片BLの中心位置C2を含んでいる。また、超音波探触子1Cについて生成される3次元画像は、鋼片BLの形状・寸法や、鋼片BLと超音波探触子1Cとの位置関係に基づき、幾何学的に算出される鋼片BLの中心位置C3を含んでいる。さらに、超音波探触子1Dについて生成される3次元画像は、鋼片BLの形状・寸法や、鋼片BLと超音波探触子1Dとの位置関係に基づき、幾何学的に算出される鋼片BLの中心位置C4を含んでいる。
第1実施形態に係る超音波探傷方法の全体2次元画像生成工程S13と同様に、全体3次元画像生成工程S24では、制御・信号処理装置2が、超音波探触子1毎の3次元画像の重複探傷領域内に位置する所定の基準位置(鋼片BLの中心位置C1~C4)が全て一致するように、各3次元画像を回転・平行移動させて各3次元画像を合成することで、図11(b)に示すような全体3次元画像を生成する。
第2実施形態に係る超音波探傷方法によれば、3次元画像生成工程S23で生成した各3次元画像にきずが存在しているとしても、それらが同じきずである場合には、全体3次元画像生成工程S24で生成した全体3次元画像には1つのきずしか存在しないことになる。したがい、全体3次元画像を用いて、きず検出・きず個数算出工程S25できずの個数を正確に算出することが可能である。
なお、以上に説明した第1、第2実施形態に係る超音波探傷方法では、被探傷材が断面略矩形の鋼片である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、断面略円形の材料(鋼片、棒鋼、線材)など、種々の被探傷材に適用可能である。
1,1A,1B,1C,1D・・・アレイ型超音波探触子
2・・・制御・信号処理装置
3・・・速度計
4・・・形状測定装置
100・・・超音波探傷装置
BL・・鋼片

Claims (4)

  1. 被探傷材の側面の形状を測定する形状測定工程と、
    複数の振動子をそれぞれ具備する複数のアレイ型超音波探触子を前記被探傷材の側面に対向するように配置し、前記複数のアレイ型超音波探触子を前記被探傷材の長手方向に相対移動させることで前記被探傷材を探傷する探傷工程と、
    前記探傷工程において前記複数のアレイ型超音波探触子からそれぞれ出力される探傷信号に対して信号処理を施すことで、前記アレイ型超音波探触子毎に前記被探傷材の長手方向に直交する方向の断面についての2次元画像を生成する2次元画像生成工程と、
    前記2次元画像生成工程において生成された前記アレイ型超音波探触子毎の前記2次元画像を合成して、前記被探傷材の断面全体の2次元画像である全体2次元画像を生成する全体2次元画像生成工程と、
    前記全体2次元画像生成工程において生成された前記被探傷材の長手方向の複数の断面についての前記全体2次元画像を合成して、前記被探傷材全体の3次元画像である全体3次元画像を生成する全体3次元画像生成工程と、
    を含み、
    前記探傷工程において、前記被探傷材の長手方向から見た場合に前記複数のアレイ型超音波探触子の探傷領域のいずれもが重複する部分である重複探傷領域を有するように、前記複数のアレイ型超音波探触子を配置し、
    前記全体2次元画像生成工程において、前記形状測定工程において測定した前記被探傷材の側面の形状に基づき、前記アレイ型超音波探触子毎の前記2次元画像の前記重複探傷領域内に位置する所定の基準位置の座標を算出し、該算出した基準位置が全て一致するように前記2次元画像を合成することで、前記全体2次元画像を生成する、超音波探傷方法。
  2. 前記全体2次元画像生成工程において、
    前記形状測定工程において測定した前記被探傷材の側面の形状に基づき、前記アレイ型超音波探触子毎の前記2次元画像における前記基準位置の座標を算出し、前記アレイ型超音波探触子の理想状態からの傾き角と、前記算出した基準位置と前記アレイ型超音波探触子の所定位置との相対位置関係とに基づき、前記算出した基準位置が全て一致するように前記2次元画像に対して座標変換を施して前記2次元画像を合成することで、前記全体2次元画像を生成する、請求項1に記載の超音波探傷方法。
    ただし、前記アレイ型超音波探触子の理想状態からの傾き角は、前記被探傷材の側面の形状が変形していない設計通りの理想状態であるときの前記アレイ型超音波探触子の姿勢を基準とし、前記形状測定工程において前記被探傷材の側面の形状を測定した際の前記アレイ型超音波探触子の姿勢の前記基準からの傾き角を意味する。
  3. 被探傷材の側面の形状を測定する形状測定工程と、
    複数の振動子をそれぞれ具備する複数のアレイ型超音波探触子を前記被探傷材の側面に対向するように配置し、前記複数のアレイ型超音波探触子を前記被探傷材の長手方向に相対移動させることで前記被探傷材を探傷する探傷工程と、
    前記探傷工程において前記複数のアレイ型超音波探触子からそれぞれ出力される探傷信号に対して信号処理を施すことで、前記アレイ型超音波探触子毎に前記被探傷材の長手方向に直交する方向の断面についての2次元画像を生成する2次元画像生成工程と、
    前記2次元画像生成工程において生成された前記被探傷材の長手方向の複数の断面についての前記2次元画像を合成して、前記アレイ型超音波探触子毎に前記被探傷材の3次元画像を生成する3次元画像生成工程と、
    前記3次元画像生成工程において生成された前記アレイ型超音波探触子毎の前記3次元画像を合成して、前記被探傷材全体の3次元画像である全体3次元画像を生成する全体3次元画像生成工程と、
    を含み、
    前記探傷工程において、前記被探傷材の長手方向から見た場合に前記複数のアレイ型超音波探触子の探傷領域のいずれもが重複する部分である重複探傷領域を有するように、前記複数のアレイ型超音波探触子を配置し、
    前記全体3次元画像生成工程において、前記形状測定工程において測定した前記被探傷材の側面の形状に基づき、前記アレイ型超音波探触子毎の前記3次元画像の前記重複探傷領域内に位置する所定の基準位置の座標を算出し、該算出した基準位置が全て一致するように前記3次元画像を合成することで、前記全体3次元画像を生成する、超音波探傷方法。
  4. 前記全体3次元画像生成工程において、
    前記形状測定工程において測定した前記被探傷材の側面の形状に基づき、前記アレイ型超音波探触子毎の前記3次元画像における前記基準位置の座標を算出し、前記アレイ型超音波探触子の理想状態からの傾き角と、前記算出した基準位置と前記アレイ型超音波探触子の所定位置との相対位置関係とに基づき、前記算出した基準位置が全て一致するように前記3次元画像に対して座標変換を施して前記3次元画像を合成することで、前記全体3次元画像を生成する、請求項3に記載の超音波探傷方法。
    ただし、前記アレイ型超音波探触子の理想状態からの傾き角は、前記被探傷材の側面の形状が変形していない設計通りの理想状態であるときの前記アレイ型超音波探触子の姿勢を基準とし、前記形状測定工程において前記被探傷材の側面の形状を測定した際の前記アレイ型超音波探触子の姿勢の前記基準からの傾き角を意味する。
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