JP7088902B2 - キメラ抗原受容体タンパク質をコードする核酸およびキメラ抗原受容体タンパク質を発現するtリンパ球 - Google Patents
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そのため、本分野では、上記欠点を克服するCAR Tリンパ球による腫瘍治療方法が切望されている。
scFv(EGFR)-CD8-CD3ζ、
scFv(EGFR)-CD8-CD137-CD3ζ、
scFv(EGFR)-CD28-CD28-CD3ζ、
scFv(EGFR)-CD28-CD28-CD137-CD3ζ、
およびこれらの組み合わせのようなキメラ抗原受容体タンパク質から選ばれ、ここで、関連キメラ抗原受容体タンパク質における1番目のCD28はその膜貫通領域を、2番目のCD28はその細胞内シグナル領域を表す。
本発明の第四は、本発明の核酸または本発明の当該核酸を含有する上記組み換えプラスミド、あるいは当該プラスミドを含むウイルスシステムを形質導入した遺伝子組み換えTリンパ球を含む。本分野の通常の核酸形質導入方法は、非ウイルスの形質導入方法もウイルスによる形質導入方法も本発明に使用することができる。非ウイルスの形質導入方法は、エレクトロポレーション法およびトランスポゾン法を含む。最近、Amaxa社によって研究開発されたnucleofectorヌクレオフェクション装置は、直接外来遺伝子を細胞核に導入して目的遺伝子の効率的なトランスフェクションを実現することができる。
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例で具体的な条件が示されていない実験方法は、通常の条件、例えばSambrookら、「モレキュラー・クローニング:研究室マニュアル(New York:Cold Spring Harbor laboratory Press,1989)」に記載の条件に従い、実施例で試薬の会社の説明書があると明記された場合、説明書のお薦めの条件に従う。
(1)Fv(EGFR)配列の増幅
scFv(EGFR)配列の増幅は、本実験室で構築した一本鎖二重機能抗体ヌクレオチド806/CD3またはhu7B3/CD3を鋳型とし、鋳型の配列はそれぞれ中国特許出願201210094008.xにおける配列番号10および11を参照する。増幅に使用されたプライマー対は、
上流プライマー5’-gacatcctgatgacccaatctccatcctc-3’(配列番号5)および下流プライマー5’- tgcagagacagtgaccagagtcccttgg-3’ (配列番号6)を806 scFv(EGFR)の増幅に、
そして上流プライマー5’-gatattcagatgacccagagcccg-3’(配列番号7)および下流プライマー5’-gctgctcacggtcaccagggtg-3’ (配列番号8)をhu7B3 scFv(EGFR)の増幅に使用した。
2つの場合とも、目的増幅バンドの大きさは720 bpである。PCR増幅条件は、前変性:94℃、4min、変性:94℃、40s、アニーリング:58℃、40s、伸長:68℃、40sで25サイクル後、68℃、10minで伸長させた。PCR増幅バンドはアガロースゲル電気泳動によって予想の断片サイズに合うことが確認された。
陰性コントロールscFv(CD19)の配列はGenBankのFMC63-28Z(HM852952.1)配列によって決められ、配列は上海鋭勁生物技術有限公司によって全遺伝子合成で得られた。
キメラ抗原受容体タンパク質のほかの部分およびこれらの部分を連結するヒンジ領域の増幅は、1mlのTrizol(Invitrogen社)を1×107の健常者の末梢血の単核球(上海市血液中心から提供)に入れて細胞を分解させた後、フェノール-クロロホルム法で全RNAを抽出し、ImProm-II(登録商標) 逆転写キット(promaga社)逆転写でcDNAを製造した。上記で製造されたcDNAを鋳型として、それぞれ:
(a)上流プライマー 5’-accacgacgccagcgccg-3’ (配列番号19)および下流プライマー 5’-cacccagaaaataataaag-3’ (配列番号20)でアセンブリしてCD8αヒンジ領域-CD28膜貫通領域を得、アセンブリ条件は、CD8αヒンジ領域(50 ng)+CD28膜貫通領域(50 ng)で、前変性:94℃、4min、変性:94℃、30s、アニーリング:60℃、30s、伸長:68℃、30sで5サイクル後、68℃、10minで伸長させ、DNAポリメラーゼおよび上・下流プライマーを補充した後、PCR増幅を25サイクル行い、増幅条件は、前変性:94℃、4min、変性:94℃、30s、アニーリング:60℃、30s、伸長:68℃、30sで25サイクル後、68℃、10minで伸長させた。理論上のサイズは216 bpである。増幅産物はアガロースゲル電気泳動によって理論上のサイズと一致することが確認された。
本実施例で使用されたベクターシステムは、第三世代の自己不活性化レンチウイルスベクターシステムに属し、当該システムは計3つのプラスミド、すなわちタンパク質Gag/Pol、Revタンパク質をコードするパッケージングプラスミドpsPAX2、VSV-Gタンパク質をコードするエンベローププラスミドPMD2.Gおよび空ベクターpPWT-eGFPに基づいた目的遺伝子CARをコードする組み換え発現ベクターを有する。
5’-attcaaagtctgtttcacgctactagctagtccg-3’(配列番号25)
5’-gtgaaacagactttgaattttgaccttctgaagttggcaggagacgttgagtccaac-3’(配列番号26)
5’-agcggcaggagcaaggcggtcactggtaaggccatgggcccagggttggactcaacgtc-3’(配列番号27)
5’-ctcctgccgctggccttgctgctccacgccgccaggccggacatcctgatgacccaatc-3’(配列番号28)
上流プライマー 5’-cttacgcgtcctagcgctaccggtcgccaccatggtgagcaagggcgaggag-3’ (配列番号29)および下流プライマー 5’-gctactagctagtccggacttgtacagctcgtccatg-3’ (配列番号30)で増幅して目的遺伝子eGFPを得、pWPT-eGFP空ベクターを鋳型とし、PCR増幅条件は、前変性:94℃、4min、変性:94℃、40s、アニーリング:56℃、40s、伸長:68℃、40sで25サイクル後、68℃、10minで伸長させ、理論上のサイズは735 bpで、増幅産物はアガロースゲル電気泳動によって理論上のサイズと一致することが確認された。
前記のように、eGFP-F2A-CARは一本のmRNAに転写されるが、eGFPおよび抗EGFR287-302キメラ抗原受容体といった二つのタンパク質に翻訳され、CD8αシグナルペプチドの作用によって抗EGFR287-302キメラ抗原受容体を細胞膜に局在化させる。
6~10代目まで培養した293T細胞(ATCC:CRL-11268)を10 cmシャーレに6×106の密度で接種し、37℃、5% CO2で一晩培養し、トランスフェクションへの使用に備えた。培地は10%牛胎児血清(PAA社)含有DMEM(PAA社)で、翌日、トランスフェクションの約2時間前に、培養液を無血清DMEMに変えた。
4.1 20 μgの空プラスミドpWPT-eGFP(mockコントロール)または20 μgの目的遺伝子プラスミドpWPT-eGFP-F2A-CARを、それぞれ15 μgのパッケージングプラスミドPAX2および6 μgのエンベローププラスミドpMD2.Gとともに500 μLのMillQ水に溶解させ、均一に混合した。
4.2 62 μLの2.5M CaCl2(Sigma社)を一滴ずつ入れ、1200 rpm/minで均一に渦流混合した。
4.3 最後に500 μLの 2×HeBS(280mM NaCl、10mM KCl、1.5mM Na2HPO4・2H2O、12mMブドウ糖、50mM Hepes(Sigma 社)、pH 7.05、0.22 μMろ過・除菌)を一滴ずつ入れ、1200 rpm/minで10s均一に渦流混合した。
4.4 直ちにシャーレに一滴ずつ入れ、軽く均一に振とうし、37℃、5% CO2で4~6 h培養した後、10%牛胎児血清含有DMEMに変えた。
一日目は、1×105/mLで293T細胞を96ウェル培養プレートに100 μL/ウェルで接種し、37℃、5% CO2で培養し、培養液は10%牛胎児血清含DMEMであった。二日目は、培養上清を50 μL/ウェル捨て、新鮮な上記培養液を50μL /ウェルで追加し、最終濃度が6 μg/mLのポリブレンを含有させ、37℃、5% CO2で30 minインキュベートした。ウイルス原液を10 μL/ウェルで、またはウイルス濃縮液を1 μL/ウェルで入れ、5倍に希釈し、勾配を4つにし、重複ウェルを2つにし、37℃、5% CO2で培養した。感染から48 h後、フローサイトメーターによりeGFPを検出し、陽性率が5~20%の細胞数が好適で、力価(U/mL)=陽性率×希釈倍数×100×104で力価を算出した。リン酸カルシウムトランスフェクション法でパッケージングされたウイルスの力価は約0.5~2×106 U/mLで、濃縮後測定されたウイルスの力価は約2×107 U/mLであった。
健常者の末梢血から密度勾配遠心法によりヒト末梢血単核球(上海市血液センターから提供)を得、末梢血単核球からCD8+ Tリンパ球磁気ビーズ(Stem Cell Technologies)ネガティブ分離方法によってCD8+ Tリンパ球を得、分離されたCD8+ Tリンパ球について、フローサイトメトリーによってCD8+ Tリンパ球の純度を検出し、CD8+ Tリンパ球の陽性率≧95%のものが好適で、次の操作に進めた。Quantum 007リンパ球培地液(PAA社)を約1×106/mLの密度で入れて培養し、且つ細胞:磁気ビーズの比率が1:1になるように抗CD3およびCD28抗体の両者で覆われた磁気ビーズ(Invitrogen社)と、最終濃度100 U/mLの組換えヒトIL-2(上海華新生物高技術有限公司)を入れ、24 h刺激培養した。その後、MOI≒5で上記組み換えレンチウイルスを用いてCD8+ Tリンパ球を感染した。感染された細胞を一日おきに5×105/mLの密度で継代するとともに、リンパ球培養液に最終濃度100 U/mLの組換えヒトIL-2を追加した。
フローサイトメーター検出方法を用いて蛍光活性化細胞選別装置(FACSCalibur、Becton Dickinsonから)によっていくつかの上皮由来の腫瘍細胞の表面EGFR287-302エピトープの露出状況を検出した。使用された材料は以下の通りである。
(1)本実験室で構築された当該サイトを識別するモノクローナル抗体CH12(構築方法は中国特許CN 101602808B実施例1~4を参照)を一次抗体とした(最終濃度20 μg/ml、100 μL/サンプル)。
(2)FITCで標識されたヒツジ抗ヒトIgGを二次抗体とした(AOGMA社)。
1.対数増殖期の表3に示された各腫瘍細胞を6 cmシャーレに接種し、接種の細胞密度が約90%で、37℃のインキュベーターで一晩培養した。
2.10 mMのEDTAで細胞を消化し、200 g×5 minで遠心して細胞を収集した。~1×107/mLの濃度で1%ウシ胎児血清含有リン酸塩緩衝液(1%NBS/PBS)に最懸濁させ、100 μl/管の量でフローサイトメーター専用管に入れた。
3.200 g×5 minで遠心し、上清を捨てた。
4.実験群はそれぞれ被験抗体CH12を入れ、同時に一つのコントロール群は陰性コントロールとして無関連抗体を入れ、もう一つのコントロール群は抗体が入っていないPBSブランクコントロールである。各抗体の最終濃度はいずれも20 μg/mlで、各管に100ulずつ入れた。氷浴に45分間置いた。
6.上清を捨て、1:50で希釈したFITCで標識されたヒツジ抗ヒトIgGを各管に100 μlずつ入れた。氷浴に45分間置いた。
7.各管に1%NBS/PBSを2mlずつ入れ、200 g×5 minで遠心し、計二回行った。
8.上清を捨て、300 μlの1%NBS/PBSに最懸濁させ、フローサイトメーターで検出した。
9.フローサイトメーターのデータ解析ソフトWinMDI 2.9でデータを解析した。
体外毒性実験で使用された材料は以下の通りである。
標的細胞はそれぞれ上記表に示された6種類の細胞である。エフェクター細胞は、体外で12日間培養され、FACSによってキメラ抗原受容体の発現が検出された陽性細胞で、キメラ抗原受容体陽性(CAR+)のCD8+ Tリンパ球と記す。
エフェクター細胞対標的細胞比は場合によりそれぞれ3:1、1:1および1:3または5:1、2.5:1および1:1とし、標的細胞数は10000/ウェルとし、異なるエフェクター細胞対標的細胞比でエフェクター細胞を対応させた。各群ではいずれも重複ウェルを4つとし、4つの重複ウェルの平均値を取った。検出時間は18hまたは20hである。
各実験群:各標的細胞+異なるキメラ抗原受容体を発現するCD8+ Tリンパ球。
コントロール群1:標的細胞最大放出LDH。
コントロール群2:標的細胞自発放出LDH。
コントロール群3:エフェクター細胞自発放出LDH。
本発明のscFv(EGFR)-806-Z CAR+を発現するCD8+Tリンパ球および806-28BBZ CAR+のCD8+Tリンパ球は、腫瘍細胞U87-EGFRvIIIに対して非常に顕著な細胞毒性を示し、それぞれ55.5%および85%と高かった。
また、上記本発明のCD8+Tリンパ球の細胞毒性は高度腫瘍特異性のもので、EGFR287-302エピトープを露出する腫瘍細胞U87-EGFRvIIIに対する高細胞毒性に対し、EGFR287-302エピトープを露出しない腫瘍細胞U87に対して低い細胞毒性を示し、両者の場合いずれも2%未満であった。同時に、実験結果の信頼性の証拠としてのブランクコントロールの空プラスミド(mock)で形質移入されたT細胞および陰性コントロールとして元のT細胞におけるエフェクター分子の影響を評価するキメラ抗原受容体806-δZ遺伝子組み換えT細胞もいずれもU87およびU87-EGFRvIIIに対してほとんど同様の低い細胞毒性を示した。上記実験はエフェクター細胞対標的細胞比が5:1で、作用時間20 hの場合測定された。
一方、陰性コントロールとして非特異性scFvのキメラ抗原受容体における影響を評価するキメラ抗原受容体CD19-BBZ CAR+のCD8+Tリンパ球は、三つの膵臓腺癌細胞系に対する細胞毒性がいずれも10%未満で、かつエフェクター細胞対標的細胞比勾配に対する依存性を示していない。
Claims (8)
- ヒトTリンパ球を含む組成物であって、該ヒトTリンパ球が、ヒトTリンパ球の表面にキメラ抗原受容体タンパク質を含み、ここでキメラ抗原受容体タンパク質が、ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)の287~302番目のアミノ酸エピトープに結合する細胞外結合領域を含み、キメラ抗原受容体タンパク質が、膜貫通領域および細胞内シグナル領域をさらに含み、細胞外結合領域、膜貫通領域および細胞内シグナル領域が、順に連結されている、前記組成物。
- 膜貫通領域が、CD8またはCD28の膜貫通領域およびヒンジ領域の配列を含む、請求項1に記載の組成物。
- 細胞内シグナル領域が、CD3ζ、FcεRIγ、CD28、CD137、CD134の細胞内シグナル領域の配列、およびこれらの組み合わせから選ばれる、請求項1または2に記載の組成物。
- キメラ抗原受容体タンパク質が、
scFv(EGFR)-CD8-CD3ζ、
scFv(EGFR)-CD8-CD137-CD3ζ、
scFv(EGFR)-CD28-CD28-CD3ζ、
scFv(EGFR)-CD28-CD28-CD137-CD3ζ
または、これらの組み合わせのいずれか1つであり、ここで、前記キメラ抗原受容体タンパク質における1番目のCD28はその膜貫通領域を、2番目のCD28はその細胞内シグナル領域を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。 - 組成物が、癌の処置に用いるためである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
- 処置が、EGFRvIIIの発現またはEGFRの高度発現を伴う上皮由来の癌性腫瘍の処置を含む、請求項5に記載の組成物。
- 癌が、非小細胞肺癌、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、頭頚部扁平上皮癌、膠細胞腫、膵臓腺癌、食道癌、胃癌、前立腺癌、結腸癌、またはこれらの組み合わせを含む、請求項5または6に記載の組成物。
- 癌が、膵臓腺癌である、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物。
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C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
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TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
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