以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施の形態における給湯装置に備えられる制御系統の一例を示す概略ブロック図である。また、図2は、図1に示す給湯装置の概略構成を示す作動原理図である。本実施の形態における給湯装置は、例えば燃料ガス等の燃料を燃焼させて水を加温する燃焼加熱式のガス給湯装置である。図1に示すように、給湯装置1は、燃焼部2と、燃焼部2を制御する第1制御部31と、第1制御部31と相互に通信可能な第2制御部32とを備えている。
図2に示す給湯装置1は、給湯機能と風呂の追い焚き機能とを備えた多機能型の給湯装置である。給湯装置1は、燃料ガスを燃焼する燃焼部2と、燃焼部2へ燃料ガスを供給する燃料ガス供給路(燃料系統)221と、燃焼部2に空気を供給する送風機222と、給湯流路203と、追い焚き流路204と、追い焚き流路204に設けられた風呂ポンプ241と、コントローラ205とを備えている。給湯流路203と追い焚き流路204とは浴槽注湯路239を介して接続されている。さらに、給湯装置1は、燃焼部2で生じた潜熱を回収した際に生じたドレンを回収するためのドレン回収機構207を備えている。なお、図2においては、給湯流路203における、給湯水量センサ、入水温度センサ、出湯温度センサ等の各種センサの図示を省略している。
燃焼部2にはバーナ部224が設けられており、このバーナ部224に燃料ガス供給路221から燃料ガスが供給される。燃料ガス供給路221には、燃料ガスの供給と遮断とを切り替える元ガス電磁弁225と、燃料ガスの供給量を調整するためのガス比例弁226とが設けられている。また、バーナ部224には、風呂ガス電磁弁230、複数の給湯能力切替ガス電磁弁228、および給湯ガス電磁弁229が設けられている。
給湯流路203は、水道等から送給された水を給水入口231から後述する給湯側熱交換部233へ送る往路部232と、水を燃焼部2で生成された燃焼ガスと熱交換させて加熱する給湯側熱交換部233と、湯を給湯側熱交換部233から給湯出口234へ送る復路部235とを形成する配管から構成されている。復路部235には、給湯の水量を調整するために、給湯水量を調整する水量調整弁236と、浴槽注湯路239を開放または遮断する注湯開閉弁237と、浴槽注湯路239の給湯水量を検出する注湯水量センサ238とが設けられている。
追い焚き流路204は、風呂水を戻り口242から後述する追い焚き側熱交換部244へ送る戻り部243と、風呂水を燃焼部2で生成された燃焼ガスと熱交換させて加熱する追い焚き側熱交換部244と、加熱された風呂水を追い焚き側熱交換部244から往き口245へ送る往き部246とを形成する配管から構成されている。風呂ポンプ241は、追い焚き流路204のうち戻り部243に設けられている。
ドレン回収機構207は、給湯側熱交換部233および追い焚き側熱交換部244で生じた排ガス中の水蒸気が凝縮したドレンが流れるドレン排水路250と、ドレンを中和するための中和器247と、中和されたドレンを一時貯留するドレンタンク248と、ドレンタンク248に貯留されたドレンをドレン排出口251から外部へ排出するためのドレンポンプ249とを備えている。
コントローラ205は、制御装置208およびスイッチング電源装置206を含んでいる。制御装置208は、CPU、ROM、およびRAM等で構成されたマイクロコントローラや集積回路を備えている。
制御装置208は、本実施の形態における第1制御部31および第2制御部32を含んでいる。制御装置208は、燃焼部2との間に、燃料ガス供給路221に設けられた、元ガス電磁弁225、ガス比例弁226、燃焼部2のバーナ部224に設けられた、風呂ガス電磁弁230、給湯能力切替ガス電磁弁228、および給湯ガス電磁弁229のオンオフまたは開度を制御するための信号経路(図示せず)が設けられている。コントローラ205は、制御装置208に記憶された制御プログラムに従ってバーナ部224へ供給する燃料ガスの供給または遮断の切り替え制御および燃料ガスの流量制御を行う。
燃焼部2の給湯側熱交換部233と追い焚き側熱交換部244との間には燃焼部2内部を仕切る仕切板261が設けられる。仕切板261には、燃焼部2内部の給湯側熱交換部233側空間と、追い焚き側熱交換部244側空間とを連通する連通孔(図示せず)が設けられる。仕切板261の連通孔の近傍には温度センサ4が設けられる。温度センサ4は、燃焼部2の内部の温度、より具体的には連通孔を通過する排気ガスの温度を検出する。
給湯側熱交換部233および追い焚き側熱交換部244には、それぞれ熱交換用フィン(図示せず)が設けられており、過度の温度上昇を防止するように構成されている。このため、熱交換用フィンが目詰まり等を起こすと、熱交換後の排気がうまく行えず、燃焼部2内部の温度が上昇する排気閉塞が生じ得る。
このような状況を検出し、熱交換用フィンの閉塞による燃焼バランスの崩れから生じるCO(一酸化炭素)排出量の増加を防止するために、制御装置208は、温度センサ4で検出された燃焼部2の内部の温度に基づいて燃焼部2を制御する安全制御を行う。より具体的には、制御装置208は、安全制御として、燃焼部2に燃料を供給するための燃料系統を遮断する制御を実行する。すなわち、制御装置208は、温度センサ4で検出された燃焼部2の内部の温度が所定のしきい値以上である場合に、元ガス電磁弁225を閉弁する制御を実行し、燃料ガスのバーナ部224への供給を遮断する。
さらに、制御装置208には、送風機222、風呂ポンプ241およびドレンポンプ249をはじめとする各電装品等との間に、各電装品等を制御する信号経路(図示せず)が設けられている。コントローラ205は、制御装置208に記憶された制御プログラムに従って給湯装置1の各種制御を実行する。制御プログラムには、各電装品の運転に関する各種プログラムが含まれており、これらのプログラムに基づいて各電装品の制御が行われる。
コントローラ205には、図示されない外部電源から電力が供給され、スイッチング電源装置206によって、この給湯装置1で用いられる電源(例えば各ポンプを駆動するDC141V電源やその他の機器を駆動するDC15V電源等)が生成される。スイッチング電源装置206により必要に応じた電圧に変換されて、制御装置208や、燃焼部2、送風機222、風呂ポンプ241、ドレンポンプ249、各種電磁弁、各種センサ等の各電装品へ供給される。
制御装置208による浴槽への湯張り給湯制御時において、給水入口231から往路部232を介して供給された水が、燃焼部2で発生した燃焼ガスによって給湯側熱交換部233で加熱され、加熱された湯が、復路部235、浴槽注湯路239を順に経た後、追い焚き流路204で2方向に分岐し、往き口245または戻り口242から給湯対象(風呂浴槽)に供給される。
これらの給湯装置1の全般的な制御は、第1制御部31によって行われる。したがって、第1制御部31は、主制御部(メイン(マスタ)マイコン)として機能し、第2制御部32は、副制御部(サブ(スレーブ)マイコン)として機能する。なお、メインマイコンとサブマイコンとは、基板の大きさ、処理能力、記憶容量等が互いに異なっていてもよいし、同じでもよい。
第1制御部31は、第1端子31a、第2端子31b、第3端子31c、第4端子31dおよび第5端子31eを備えている。また、第2制御部32は、第1端子32a、第2端子32bおよび第3端子32cを備えている。第1制御部31の第1端子31aおよび第2制御部32の第1端子32aは、後述する温度センサ4の検出値に基づくアナログ電圧信号が入力される。
第1制御部31の第2端子31bは、第2制御部32の第2端子32bと通信可能に接続され、第2制御部32の第2端子32bから出力される信号が第1制御部31の第2端子31bに入力される。第1制御部31の第3端子31cは、第2制御部32の第3端子32cと通信可能に接続され、第1制御部31の第3端子31cから出力される信号が第2制御部32の第3端子32cに入力される。
第1制御部31の第4端子31dは、燃焼部2と通信可能に接続され、燃焼部2に制御信号を出力する。第1制御部31の第5端子31eは、後述する抵抗回路5に切替信号を送信する。
温度センサ4は、検出対象である温度の値によって抵抗値が変化するサーミスタである。温度センサ4には抵抗回路5が直列接続される。本実施の形態において、抵抗回路5は、電源(電源電圧Vcc)に接続され、温度センサ4は、グランドGNDに接続される。すなわち、抵抗回路5は、プルアップ抵抗として機能する。これにより、温度センサ4と抵抗回路5との間の中間点6の検出電位Vthは、温度センサ4と抵抗回路5の抵抗値との分圧比により定められ、抵抗回路5の抵抗値が一定であれば、温度センサ4の抵抗値変化に応じて検出電位Vthが変化する。このようにして、温度センサ4の抵抗値変化がアナログ電圧信号(検出電位Vth)に変換される。
本実施の形態において、温度センサ4と並列にコンデンサ8が接続されている。コンデンサ8は、温度センサ4の温度検出結果に基づく電圧値(検出電位Vth)を平滑化する。これにより、検出電位Vthからノイズが除去され、温度センサ4における抵抗変化に応じた高精度の検出電位Vthが得られる。
この検出電位Vthに基づくアナログ電圧信号Saは、第1制御部31および第2制御部32に入力される。第2制御部32は、入力されたアナログ電圧信号Saに基づく第2の値を第1制御部31に送信するよう構成される。また、第1制御部31は、入力されたアナログ電圧信号に基づく第1の値を、第2制御部32から送られる第2の値と比較する。第1制御部31は、当該比較結果に基づいて安全制御を行うよう構成される。例えば、第1制御部31は、安全制御として、燃焼部2に燃料を供給するための燃料系統を遮断する制御を実行する。なお、安全制御は、このような燃料系統の遮断制御に限られず、種々の安全制御が適用可能である。
なお、中間点6と第1制御部31の第1端子31aとの間、および、中間点6と第2制御部32の第1端子32aとの間には、それぞれ抵抗素子71,72が介挿されている。したがって、第1の値および第2の値は、それぞれ検出電位Vthから抵抗素子71,72の抵抗値分変化した電圧値となる。抵抗素子71,72の抵抗値は、互いに異なる抵抗値に設定され得る。温度センサ4、抵抗回路5、平滑コンデンサ8および抵抗素子71,72は、温度検出回路9を構成する。
第1制御部31は、第1端子31aに入力されるアナログ電圧信号Saに基づく第1の値と、第2端子31bに入力される第2制御部32からの第2の値とを比較して、温度検出回路9の故障診断を行う。例えば、第1制御部31は、燃焼停止時に取得された第1の値と第2の値との差が所定の基準値以上である場合、温度検出回路9が故障していると判定する。このような故障診断により、例えば、第1端子31a,32aまたは抵抗素子71,72が配線から浮いた状態となるオープン故障、第1制御部31または第2制御部32の内部回路の故障等を判定することができる。
さらに、第1制御部31は、第1の値および/または第2の値自体に基づいても故障診断を行い得る。例えば、温度検出回路9における配線が断線すること等によるオープン故障が生じた場合、第1端子31aに入力される電圧値が電源電圧Vccに基づく値となる。すなわち、第1制御部31は、第1の値が所定値未満の場合に、オープン故障と判定し得る。また、温度センサ4の取り付け不良等によるショート故障が生じた場合、第1端子31aに入力される電圧値がグランド電圧に基づく値となる。すなわち、第1制御部31は、第1の値が所定値以上の場合に、ショート故障と判定し得る。
しかしながら、抵抗回路5の抵抗値を、燃焼部2の内部の温度制御用に最適化された抵抗値とした場合、上記第1の値が所定値未満であることに基づくオープン故障を判定することが困難な場合が生じ得る。
図3は、本実施の形態における抵抗回路の抵抗値と温度と電圧との関係を示すグラフである。本実施の形態において、温度センサ4が検出すべき燃焼部2の内部の温度範囲として例えば第1制御部31の温度制御領域である50℃から300℃の範囲が想定されている。このため、温度制御のための抵抗回路5の抵抗値(第1抵抗値)Rcは、当該50℃から300℃の範囲において高精度な温度取得が可能な抵抗値に設定される。図3において温度制御用の第1抵抗値Rcを抵抗回路5の抵抗値として採用した場合のアナログ電圧(検出電位Vth)の温度変化は、グラフVcのように示される。
一方、第1の値が所定値未満であることに基づくオープン故障は、温度に換算して約-30℃未満であると想定される。しかしながら、グラフVcにおいて約-10℃未満の領域Taは、ほとんど電圧値が変化しない。また、温度センサ4の検出温度は、戸外に設置された給湯装置1の給湯停止時(燃焼停止時)においては外気温とほぼ同じ温度になるため、第1の値は、正常時においても-10℃前後に対応する値になり得る。このため、グラフVcのような特性を有するような、温度制御のための第1抵抗値Rcを用いた場合、第1制御部31は、オープン故障であるのか単に外気温が低いのかを判別することができない。
そこで、本実施の形態においては、オープン故障検出用の抵抗値(第2抵抗値)Reを用いた温度検出が温度制御のための温度検出(第1抵抗値Rcを用いた温度検出)に併せて行われる。より具体的には、抵抗回路5は、第1制御部31の第5端子31eから出力される切替信号Ssに基づいて抵抗回路5の抵抗値を第1抵抗値Rcと第2抵抗値Reとの間で切り替え可能に構成されている。
本実施の形態において、抵抗回路5は、温度センサ4に直列に接続される第1抵抗素子51と、第1抵抗素子51に並列に接続される第2抵抗素子52と、第2抵抗素子52に直列に接続され、第2抵抗素子52と第1抵抗素子51との接続または遮断を切り替えるスイッチ素子53と、を備えている。スイッチ素子53は、例えばトランジスタ等により構成される。本実施の形態においてスイッチ素子53は、第2抵抗素子52より電源電圧側(高電位側)に設けられているが、これに代えて、スイッチ素子53は、第2抵抗素子52より温度センサ4側(低電位側)に設けられてもよい。なお、抵抗回路5は、2つの抵抗値間で切り替え可能な構成である限り、これに限定されない。
切替信号Ssがスイッチ素子53をオフする信号(H出力)である場合、スイッチ素子53は、オフ状態となり、第2抵抗素子52には電流が流れない。このため、抵抗回路5の抵抗値は、第1抵抗素子51の抵抗値R1となる。この抵抗値R1が温度制御のための第1抵抗値Rcとなる。一方、切替信号Ssがスイッチ素子53をオンする信号(L出力)である場合、スイッチ素子53は、オン状態となり、第1抵抗素子51および第2抵抗素子52の双方に電流が流れる。このため、抵抗回路5の抵抗値は、互いに並列に接続された第1抵抗素子51の抵抗値R1と第2抵抗素子52の抵抗値R2との和(R1・R2/(R1+R2))となる。この抵抗値がオープン故障検出用の第2抵抗値Reとなる。
図3においてオープン故障検出用の第2抵抗値Reを抵抗回路5の抵抗値として採用した場合のアナログ電圧(検出電位Vth)の温度変化は、グラフVeのように示される。第2抵抗値Reを抵抗回路5の抵抗値として採用した場合、温度制御領域(50℃から300℃)の一部の領域(約150℃以上)においては電圧変化が小さく、高精度な温度取得はできない。しかし、-10℃未満の領域Ta(図3における-50℃から-10℃の範囲)における電圧変化を大きくすることができる。この結果、上記オープン故障を適切に判定することができる。なお、第2抵抗値Reを採用した場合、上述のように約150℃以上においては電圧変化が小さいため、ショート故障を適切に判定することができない。このため、ショート故障は、温度制御用の第1抵抗値Rcを採用した場合の電圧値に基づいて判定される。
このように、本実施の形態における温度検出回路9が出力するアナログ電圧(温度センサ4の検出温度に基づく検出電位Vth)は、抵抗回路5の抵抗値が第1抵抗値Rcである場合と、第2抵抗値Reである場合との2種類が存在することになる。したがって、適切な安全制御を行うために、第1制御部31に入力されたアナログ電圧信号Saに基づく第1の値と、第2制御部32から入力される第2の値との比較において、比較対象同士が、抵抗回路5の抵抗値が同じ場合に得られた値である必要がある。
そこで、本実施の形態において、第1制御部31は、第2の値を所定回数受信することをトリガとして切替信号Ssを出力するよう構成されている。
図4は、本実施の形態における抵抗回路の抵抗値切替制御の流れを示すフローチャートである。第1制御部31は、切替信号Ssの出力状態(L出力またはH出力)を切り替えるごとにその出力状態を内部メモリ等の記憶部(図示せず)に記憶する。また、第1制御部31および第2制御部32は、温度検出回路9から出力されるアナログ電圧信号Saに基づく値を所定の期間ごとに周期的に取得する。
第1制御部31は、第1の値の取得処理を行う。まず、第1制御部31は、温度検出回路9からのアナログ電圧信号Saの受信(第1端子31aへの入力)を待ち受ける。アナログ電圧信号Saを所定の回数(n回)受信後、n回目に受信したアナログ電圧信号Saに基づく値(電圧値)を第1の値として記憶部に記憶する。このとき、第1制御部31は、切替信号Ssの出力状態(H出力またはL出力)を記憶部から読み出し、第1の値を当該出力状態と関連付けて記憶する。
また、第1制御部31は、第1の値の取得処理に平行して第2の値の取得処理を行う。上述の通り、第2制御部32は、所定の期間ごとにアナログ電圧信号Saに基づく値(第2の値)を取得している。第2制御部32は、当該第2の値を第1制御部31に送信する。図4に示すように、第1制御部31は、第2制御部32からの第2の値を含む信号Sbの受信を待ち受ける(ステップS1)。
第2制御部32からの信号Sbを受信した場合(ステップS1でYes)、第1制御部31は、受信回数N(初期状態はN=0)をカウントアップ(N=N+1)する(ステップS2)。第1制御部31は、第2制御部32からの信号Sbをn回受信したか否かを判定する(ステップS3)。例えば、第1制御部31は、N≧nであるか否かを判定する。
受信回数Nがn回未満である場合(ステップS3でNo)、第1制御部31は、再度第2制御部32からの信号Sbを待ち受ける(ステップS1)。受信回数Nがn回に達した場合(ステップS3でYes)、第1制御部31は、切替信号Ssの出力状態を読み出し(ステップS4)、出力状態がH出力であるかL出力であるかを判定する(ステップS5)。
切替信号Ssの出力状態がH出力である場合(ステップS5でYes)、第1制御部31は、n回目の受信信号に基づく第2の値を、H出力(すなわち、第1抵抗値Rc)における第2の値(第1の値との比較対象)として記憶部に記憶する(ステップS6)。さらに、第1制御部31は、切替信号Ssの出力状態をL出力に切り替え、当該切替信号Ssを出力する(ステップS7)。この結果、抵抗回路5の抵抗値が第1抵抗値Rcから第2抵抗値Reに切り替えられる。
切替信号Ssの出力状態がL出力である場合(ステップS5でNo)、第1制御部31は、n回目の受信信号に基づく第2の値を、L出力(すなわち、第2抵抗値Re)における第2の値(第1の値との比較対象)として記憶部に記憶する(ステップS8)。さらに、第1制御部31は、切替信号Ssの出力状態をH出力に切り替え、当該切替信号Ssを出力する(ステップS9)。この結果、抵抗回路5の抵抗値が第2抵抗値Reから第1抵抗値Rcに切り替えられる。
第2制御部32からの信号Sbをn回受信した後、第1制御部31は、受信回数Nをリセット(N=0に)する(ステップS10)。その後、第1制御部31は、引き続き第2制御部からの信号Sbの受信を待ち受ける(ステップS1)。以降は同様にして、第1制御部31は、第2制御部32からの信号Sbをn回受信するごとに第2の値を記憶するとともに、切替信号Ssの出力状態を切り替える(ステップS2~S10)。
なお、図3において、受信回数Nのリセットは、切替信号Ssの出力状態切り替え工程後に行われる態様となっているが、これに限られず、受信回数Nをリセットしてから切替信号Ssの出力状態を切り替えてもよいし、これらの工程を並行して行ってもよい。
また、第1制御部31は、第1の値も第2制御部32からの信号Sbをn回受信するごとに取得する。この結果、記憶部には、切替信号Ssの切替タイミングに応じた第1の値と第2の値との組み合わせがそのときの切替信号Ssの出力状態に関連付けられた状態で記憶される。これにより、第1制御部31は、切替信号Ssを出力してから第2制御部32からの信号(第2の値)を受信した回数(受信回数)Nが所定回数nに達したときの第2の値を用いて安全制御のための比較処理を行う。
なお、抵抗素子71,72の抵抗値が互いに異なる場合は、正常時においても第1の値と第2の値とが異なることになる。この場合は、第1制御部31は、抵抗素子71,72の抵抗値差に応じて第1の値または第2の値を補正して比較してもよいし、抵抗値差に応じた第1の値と第2の値との差分が所定範囲内にあるか否かを判定することを比較処理として行ってもよい。また、第2制御部32がアナログ電圧信号に基づく値を生成する際に、正常時における第1の値と第2の値とに差が出ないような値を第2の値として生成してもよい。
上記構成によれば、第2制御部32が、温度センサ4の検出値に基づくアナログ電圧信号Saから得られた第2の値を第1制御部31に送信し、第1制御部31が、第2制御部32から送信される第2の値(信号Sb)の受信回数をトリガとして温度センサ4に直列接続される抵抗回路5の抵抗値を切り替える切替信号Ssを送信する。これにより、切替信号Ssの送信間隔(一の切替信号Ssが送信されてから次の切替信号Ssが送信されるまでの期間)において、第2制御部32から送信される第2の値(信号Sb)の受信回数Nが一定値(所定回数n)となる。
この結果、第1制御部31は、第2制御部32から送信される信号Sbに含まれる第2の値が抵抗回路5における抵抗値が何れの場合のものであるかを第2制御部32から情報を得ることなく取得できる。言い換えると、第2制御部32が受信するアナログ電圧信号Saに基づく検出値が、抵抗回路5の抵抗値が何れの場合のときの検出値であるかを第2制御部32自身が識別する必要がなくなる。したがって、抵抗回路5の抵抗値の切替情報を第2制御部32が取得することなく、温度センサ4に接続される抵抗回路5の抵抗値が変化しても適切な安全制御を行うことができる。
これにより、適切な安全制御を行うために、第2制御部32に切替信号Ssの情報を伝達する構成を追加する必要がなくなるため、既存の回路素子に対して回路素子点数の増加を防止することができ、これによるコストアップを抑制することができる。また、適切な安全制御を行うために、第2制御部32からの信号Sbにおいて第2の値に、切替信号Ssの情報を付加する必要がなくなるため、第1制御部31と第2制御部32との間の通信量の増加を防止することができる。
また、本実施の形態においては、第2制御部32が、温度センサ4の検出値に基づくアナログ電圧信号Saから得られた第2の値を含む信号Sbを第1制御部31に周期的に送信する。したがって、切替信号Ssの送信周期も一定となり、安全制御のための比較処理を周期的に行うことができる。
なお、上述したように、温度センサ4には、電圧平滑用のコンデンサ8が並列接続されている。このため、切替信号Ssの出力状態の切り替えに基づいて、抵抗回路5の抵抗値が変化すると、抵抗回路5の抵抗値と温度センサ4の抵抗値との分圧比の変化により、同じ温度を検出した場合でも中間点6における検出電位Vthが変化する。このとき、抵抗回路5の抵抗値(RcまたはRe)とコンデンサ8の静電容量とで定められる時定数に基づいて、検出電位Vthが抵抗回路5の抵抗値と温度センサ4の抵抗値との分圧比に基づく電圧値となるまでに時間遅れが生じる。
そこで、第2の値を取得するタイミング(切替信号Ssの出力状態を切り替えるタイミング)として設定される、第2制御部32からの信号Sbの受信回数(所定回数)nは、第1制御部31が切替信号Ssを出力してから第2の値を含む信号Sbを受信した回数が所定回数nに達するまでの時間T1が、第1抵抗値Rcと第2抵抗値Reとの間の抵抗値の切り替え後、アナログ電圧信号Saが安定するまでの時間T2よりも長くなるように設定される。すなわち、第2制御部32からの信号Sbの受信周期をTとすると、時間T1=T・nとなるため、T1>T2よりn>T2/Tに設定される。
例えば、第2制御部32からの信号Sbの受信周期Tが100m秒であり、アナログ電圧信号Saが安定するまでの時間T2が150m秒である場合、所定回数nは、n>150/100を満たす整数値、すなわちn=2以上に設定される。
これにより、切替信号Ssにより抵抗回路5の抵抗値が切り替わってから温度センサ4の検出値が安定するまでの時間を考慮し、当該検出値が安定した後のアナログ電圧信号Saからの第2の値を用いて比較処理を行うことにより、より精度の高い比較処理を行うことができる。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
例えば、上記実施の形態において、抵抗回路5は、温度センサ4より高電位側に接続されるプルアップ抵抗として構成されている例について示したが、これに代えて、温度センサ4より低電位側に接続されるプルダウン抵抗として構成されてもよい。
また、切替信号Ssの出力状態を切り替えるための第2制御部32からの信号Sbの受信回数(所定回数)nは、1回以上であればよい。すなわち、例えば、第2制御部32からの信号Sbを受信するごとに、第1制御部31が、切替信号Ssの出力状態を切り替えるように構成されてもよい。
また、上記実施の形態においては、サーミスタのような温度センサを用いた構成に基づいて説明したが、検出対象の値の変化に伴って変化する抵抗値を用いて検出値が出力されるセンサであれば、温度センサ以外のセンサでもよい。特に、(1)広い検出範囲(抵抗値範囲)において高精度な検出を行う必要がある、(2)センサ出力を用いて検出回路の異常診断を行う、および、(3)上記(1)および(2)を実現するために、センサに接続されるプルアップ抵抗またはプルダウン抵抗の抵抗値を複数の抵抗値の中から選択的に切り替えるような構成に、本発明は好適に適用される。
また、上記実施の形態においては、第2制御部32が、第2の値を周期的に(所定の期間ごとに)取得し、当該第2の値を第1制御部31に周期的に送信するよう構成された例に基づいて説明したが、第2の値の取得または第2の値の第1制御部31への送信(信号Sbの送信)は、周期的でなくてもよい。
また、上記実施の形態においては、給湯機能および風呂の追い焚き機能を備えた給湯装置1に基づいて説明したが、給湯機能および風呂の追い焚き機能に加えて温水暖房機能を備えた給湯装置等、本発明は、少なくとも給湯機能を備えている給湯装置に適用可能である。また、給湯装置は燃焼加熱式以外の給湯装置であってもよい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。