JP7086417B2 - 体液のリピドミクス解析に基づいて癌を診断する方法 - Google Patents

体液のリピドミクス解析に基づいて癌を診断する方法 Download PDF

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Description

本発明は、体液のリピドミクス解析に基づいて癌を診断する方法に関連する。この方法は、ハイスループットなスクリーニングに好適であり、選択性および特異度が高い。
癌は、最も深刻な人間の疾患の一つであり、世界中で多くの死者を出している。癌には多くの種類があり、通常は、腫瘍細胞が増殖し始めたときの原発臓器によって分類される。一つの特定の臓器の癌であっても、いくつかの疾病のサブタイプが存在すので、この疾患は非常に複雑かつ異質である。そのため、個々の患者の完全な回復(または、少なくとも部分的な回復)の可能性を高めるためには、個別化された治療が必要となる。癌の早期診断は最重要課題であり、世界中で多くの研究チームが研究している。これは、癌の早期診断により、生存および回復の可能性が顕著に高まる場合があるからである。しかし残念ながら、初期ステージにおける多くの癌タイプは、無症状であるか、あるいは軽度の症状しか生じさせない。そのため、患者の診断が遅くなりすぎてしまうのが一般的な状況である。疾患が早期に認識されれば、予後がずっとよくなる。しかし、現在利用可能な診断方法は、複雑で、費用がかかり、労力を要するため、日常的な集団スクリーニングには不向きである。したがって、癌のスクリーニングおよび診断のための新規な方法、ならびに様々な癌タイプを鑑別するための新規な方法を継続的に開発する必要がある。この方法は、迅速で、経済的であり、侵襲性が限定的であり、日常的なハイスループットスクリーニングに適しており、充分な感度および特異度を有している(すなわち、偽陽性および偽陰性である結果の割合が少ない)。
体液試料(最も多くは血液試料)を用いた、特定のバイオマーカーに基づく種々の方法が検討されている。これら暫定的なバイオマーカーは、タンパク質、糖タンパク質、タンパク質の切断産物および短鎖RNA(miRNAなど)であることが多い。これらのバイオマーカーを用いた診断は、通常、免疫化学的方法またはPCRを利用する。
乳癌は、皮膚癌を除くと、女性において最も頻繁に見られる癌タイプであり、複数の癌サブタイプが存在する。身体の診察、マンモグラフィおよび細針による吸引が、乳癌の診断に一般的な手法である。一方、前立腺癌は、男性において最も頻繁に見られる癌タイプである。その症状は、尿の機能障害と関連していることがある。他の癌タイプとしては、腎臓癌がある。主なサブタイプには、腎細胞癌、移行上皮癌、ウィルムス腫瘍がある。血尿、腹部のしこり、体重減少などの症状を呈することがある。これら全ての癌タイプの生存率は、癌ステージおよび癌が他の臓器に転移したかどうかに強く依存している。癌が疑われる症例では、超音波、コンピュータ断層撮影または磁気共鳴画像法が用いられる。癌を確認するために、通常は針生検を行い、癌組織試料を顕微鏡下で観察する。
膵臓癌は、全癌のうち最も致命的であり、最も生存率が低い腫瘍に属する。2020年までに、膵臓癌は、米国および欧州における癌関連死の中で第2位の死因になると予想されている。膵臓癌を初期ステージで診断するのは非常に難しい。膵臓は体内の深部にあるため、日常的な身体検査では、早期の腫瘍を医療関係者が見たり触れたりすることができない。膵臓癌が他の臓器に転移してしまうまでは、通常は無症状である。遺伝的性質により膵臓癌の危険性が高い場合や、この疾患に関連しうる兆候や症状を示している場合には、特定の検査および試験を行うことがある。膵臓癌が本格的に疑われる場合に最もよく実施されるのは、画像検査である(コンピュータ断層撮影、核磁気共鳴画像法、腹部超音波検査または超音波内視鏡検査、胆管膵管造影、ソマトスタチン受容体シンチグラフィー、陽電子放出断層撮影、血管造影法など)。スクリーニング試験や検査を利用して、無症状かつ当該疾患の既往歴がない人における疾患の有無を調べることがある。しかし、膵臓癌のリスクが高いまたは膵臓癌の疑いがある患者に用いられる画像検査は、大規模集団スクリーニングには適用できない。さらに、画像検査には、初期ステージにおける腫瘍の検出感度の限界がある場合もある。膵臓癌の確定診断のために経皮的、内視鏡的または外科生検を行うことがあるが、これらの侵襲的方法は、やはり日常的な集団スクリーニングには適用できない。
これまでに、膵臓癌を診断するための血液検査が何種類か考案されている(糖鎖抗原19-9(CA19-9)、癌胎児性抗原(CEA)、Kirsten-ras(KRAS)など)。残念ながら、これらの試験は感度および特異度が低いため、早期診断のために臨床診療で使用できない。初期ステージでの検出を充分可能にし、膵臓癌による死亡の危険性を低下させるであろうスクリーニング試験は、これまでに開発されていない。信頼性のある早期膵臓癌の検出に喫緊の要請があるが、現時点では、危険性のある人に対する膵臓癌の日常的なスクリーニングを推奨する主要な専門家集団はいない。
他の方法論および他の種類のバイオマーカーに基づく診断方法を開発することが望ましい。
このスクリーニング方法は、いくつかの要件を満たす必要がある。例えば、早期診断された疾患に対する利用可能な治療があり、後期診断と比較して有意に良好な予後を有していることが挙げられる。また、試料処理能力が充分に高く、高リスクな個人の少なくとも一部に対して、集団スクリーニングを実施することができることも挙げられる。さらに、早期診断によって得られる利益と対比したときに、スクリーニング価格が医療システムの許容範囲であることも挙げられる。血液または尿の採取は、一般的な予防医療の一部である。集団スクリーニングのためには、血液分析に基づくハイスループット技法が不可欠である。血液分析により陽性の結果が出された後、画像検査法(磁気共鳴分光法)などのさらなる検査を行うべきである。しかし、このような検査に対する喫緊の要請があるにもかかわらず、DNA、RNAまたはタンパク質の分析に主に基づいて血液から癌を分析する研究は、これまでのところ限られたものしかない。先行研究において、癌の発生において脂質が重要な役割を果たすことが明ている。このことは、腫瘍組織および細胞株の分析において実証されている(E. Cifkova, M. Holcapek, M. Lisa, D. Vrana, J. Gatek, B. Melichar, Anal. Bioanal. Chem. 407 (2015) 991-1002, E. Cifkova, M. Lisa, R. Hrstka, D. Vrana, J. Gatek, B. Melichar, M. Holcapek, Rapid Commun. Mass Spectrom. 31 (2017) 253-263)。しかし、ハイスループットスクリーニングに適用できる、採取可能な体液においては未だ実証されていない。ヒト体液のリピドミクス解析に向けた最初の試みはMetanomicsによって提示されている(米国特許出願公開第2013/0140452号、国際公開第2016/207391号)。しかし残念ながら、実用化するには感度および特異度が低すぎた。
体液分析の主要な問題は、初期ステージの腫瘍では、モニタリングされる代謝産物および脂質の調節異常に対して及ぼす影響が小さ過ぎる場合があることである。研究されている癌タイプの影響よりも、生物学的変動の影響の方がが大きいという状況に陥ることがある。そのために、体液中において統計的に関連性のある差異が検出できないおそれがある。
本発明は、この技術が現状抱えている問題および課題を克服することを目的とする。本発明はまた、初期ステージの癌をも診断する方法であって、日常的なハイスループット集団のスクリーニングに使用できる方法を提供することを目的とする。
本明細書において、脂質化合物は、「化合物のクラスの略称、炭素数:二重結合数」と表記する。該当する場合には、クラスの略称の前に、同位体標識に関する情報を記載する場合がある。本特許出願において使用される脂質の注記および略称に関して、さらに詳細な説明を表1に示す。
Figure 0007086417000001
本発明は、複数のヒトの癌タイプを診断するための、リピドミクス解析を用いた方法を提供する。本発明の主な利点は、最初期ステージを含む全ての癌ステージにおいて、リピドミクスプロファイリングが良好に機能することである。この点は、プロテオミクス解析と他の方法との組合せに基づいた、従前公開されている研究とは異なる。従前の研究では、ステージ1における感度は40%に過ぎず(J.D. Cohen et al., Science 359 (2018) 926)、早期診断には全く有用ではなかった。癌のスクリーニングにおけるリピドミクス解析の成功を説明する基本的かつ比較的単純な仮説とは、「腫瘍細胞は非常に急速に分裂するので、これらの細胞は、新しい腫瘍細胞が脂質二重層を形成するための大量のビルディングブロックを必要としている」というものである。この過程は、健康な生物における通常の細胞分裂よりも遥かに急速である。そのため、腫瘍細胞と正常細胞とのリピドーム組成は必ず異なっており、これらの変化は採取可能な体液にも反映されている。
主要な問題点は、初期の腫瘍および様々な癌タイプでは、体液中で観測される代謝産物および脂質の調節異常に及ぼす影響が小さすぎる場合があることである。生物学的変動による影響が研究対象である癌タイプによる影響よりも大きく、その結果、体液においては統計的に関連する差異を見いだせないかもしれない。
本発明は、この技術の現状の問題および課題を解決することを目的とする。本発明は、生物の体液の分析によって癌を診断する方法を提供することを目的とする。この方法は、初期ステージであっても複数の癌タイプを鑑別することができ、日常的なハイスループット集団のスクリーニングに使用できる。
したがって、本発明は、患者の身体から採取された体液のリピドミクス解析に基づいて癌を診断する方法を提供する。この方法は、下記の工程を含む。
(a)試料に内部標準セットを加える工程であって、当該内部標準セットは上記試料に存在する脂質クラスの各々に対して1つ以上の内部標準を含んでいる工程。
(b)工程(a)の後に、上記試料を、液液リピドミクス抽出または固相リピドミクス抽出によって処理する工程。
(c)処理された上記試料を、質量分析法によって測定する工程。
(d)51種類以上の脂質の濃度(より好ましくは、質量分析法の検出閾値を超えるレベルで存在する全ての脂質の濃度)を決定する工程であって、(i)上記脂質クラスに対応する上記内部標準を定量用に用いて、(ii)相対濃度を用いて、または、(iii)濃度比および/または信号強度を用いて、脂質の濃度を決定する工程。
(e)上記脂質の決定された濃度を統計評価する工程であって、上記統計評価は、決定された上記脂質濃度と、癌性パターン(あるいは任意構成で、特定の癌性パターン)および非癌性パターンとの比較に基づいて、上記患者が癌に罹患している確率のレベルを決定する(あるいは任意構成で、上記患者が特定の癌タイプに罹患している確率のレベルを決定する)工程。ここで、上記癌性パターンまたは上記特定の癌性パターンならびに非癌性パターンは、既知の癌試料群および既知の非癌試料群に対する上記脂質濃度の統計解析によって決定される。上記統計評価は、男女を区別して実施する。
本発明の方法は、健康な者と癌患者とを鑑別できる。それに加えて、本発明の方法は、様々な癌タイプ同士を鑑別できる。癌性パターンは、患者が癌に罹患していることを一般的に表す。特定の癌性パターンは、患者が特定の癌タイプに罹患していることを表す。
本発明の一実施形態においては、患者の身体から採取された体液のリピドミクス解析に基づいて膵臓癌を診断する方法を提供する。この方法は、下記の工程を含む。
(a)試料に内部標準セットを加える工程であって、当該内部標準セットは上記試料に存在する脂質クラスの各々に対して1つ以上の内部標準を含んでいる工程。
(b)工程(a)の後に、液液リピドミクス抽出によって上記試料を処理する工程。
(c)処理された上記試料を、質量分析法によって測定する工程。
(d)31種類以上または51種類以上の脂質の濃度(好ましくは、60種類以上または120種類以上または230種類以上の脂質の濃度、より好ましくは、質量分析法の検出閾値を超えるレベルで存在する全ての脂質の濃度)を決定する工程であって、(i)上記脂質クラスに対応する上記内部標準を定量用に用いて、(ii)脂質の相対濃度を用いて、または、(iii)濃度比および/または信号強度を用いて、脂質の濃度を決定する工程。
(e)上記脂質の決定された濃度を統計評価する工程であって、上記統計評価は、決定された上記脂質濃度と、膵臓癌パターンおよび非癌性パターンとの比較に基づいて、上記患者が膵臓癌に罹患している確率のレベルを決定する工程。ここで、上記癌性パターンおよび非癌性パターンは、既知の膵臓癌試料群および既知の非癌試料群に対する上記脂質濃度の統計解析によって決定される。上記統計評価は、男女を区別して実施する。
この実施形態において、膵臓癌の診断方法に有効な31種類以上の脂質には、以下が含まれる。
Figure 0007086417000002
「体液」という用語には、体液および体液の成分が含まれる。本発明において使用される体液は、血漿、血清、血液、尿、オンコソーム、エキソソーム、細胞外小胞から選択されることが好ましい。エキソソームおよび他の細胞外小胞(EV)を、体液(オンコソームおよびマイクロベシクル)または細胞培養培地から単離することは、本技術分野で周知である。通常は、分画遠心法または超遠心法によって単離される(多くの場合、ショ糖密度勾配と組合される)。
好適な実施形態においては、51種類以上、120種類以上、230種類以上、400種類以上、406種類以上、440種類以上、450種類以上または500種類以上の脂質の濃度が決定される。
好適な一実施形態においては、体液が血液、血漿または血清である場合に、51種類以上の脂質の濃度を決定する。
本発明の方法において濃度が決定されるべきである、特に好ましい51種類以上の脂質群を、下記表2に示す。より好ましい脂質群を、下記表3に示す。これらの脂質は、体液が血液、血漿または血清である場合に、特に有効である。
好適な他の実施形態においては、体液が尿である場合に、75種類以上の脂質の濃度を決定する。特に好ましい75種類以上の脂質群を、下記表4に示す。
患者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
特定の癌タイプの例としては、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、頭頸部癌、結腸癌、肝臓癌、大腸癌、食道癌、小腸癌、膀胱癌、脳腫瘍、子宮頸癌、甲状腺癌、喉頭癌、皮膚癌が挙げられる。
特定の癌タイプは、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵臓癌および胃癌であることが好ましい。
内部標準は、関連する脂質クラスに構造的に近い、脂質型化合物でなければならない。通常、内部標準は、関連する脂質クラスに典型的な構造(とりわけ極性頭部構造)を有している化合物である。ただし、この化合物は、(i)天然に存在する脂質より鎖が短い脂肪酸アシル(例えば、12:0鎖または14:0鎖)、(ii)奇数個の炭素原子を有している脂肪酸アシル(例えば、17:0鎖、17:1鎖または19:1鎖)、または、(iii)同位体で標識したアナログ(例えば、D7-Chol、D7-CE16:0)を含んでいる。
脂質クラスを下記に示す。
Figure 0007086417000003

内部標準セット(IS)の例は、下記表の通りである。
Figure 0007086417000004
本明細書において脂質化合物は、「化合物のクラスの略称 炭素数:二重結合数」と表記する。該当する場合には、同位体による標識に関する情報をクラスの略称の前に表記することがある。
試料を処理する前に内部標準を加えることにより、内部標準も目的化合物と同様の影響を受けるので、ピペッティングの誤差などに起因する僅かな差異を補償できる。このことによって、個々の脂質の定量の信頼性がより良好になる。
液液リピドミクス抽出は、本技術分野において周知である。有機相および水相を有する二層系を形成している、塩素化アルカン、ジアルキルエーテル、アルコールおよび水混合物から選択される溶媒を使用できる。好ましくは、クロロホルム、メチル-tert-ブチルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノールおよび/またはブタノールが使用される。最も好ましくは、クロロホルム-メタノール-水系が用いられる([E. Cifkova, M. Holcapek, M. Lisa, D. Vrana, J. Gatek, B. Melichar, Anal. Bioanal. Chem. 407 (2015) 991-1002]または[E. Cifkova, M. Lisa, R. Hrstka, D. Vrana, J. Gatek, B. Melichar, M. Holcapek, Rapid Commun. Mass Spectrom. 31 (2017) 253-263]などに記載の通り)。脂質が含まれている液液抽出系の有機相を回収し、さらなる処理に使用する。試料成分の移動および溶解度には時間依存性があるので、1回のバッチで測定される全ての試料について、常に同様の抽出工程を実施されることが非常に好ましい。とりわけ、同じ時間をかけて各試料を抽出することが非常に好ましい。通常は、有機溶媒を蒸発させ、残渣を質量分析測定用の溶媒中に再溶解させることによって、有機相を処理する。質量分析測定に好適な溶媒の例としては、塩素化アルカン、アルカンおよびアルコールが挙げられる。好ましくは、クロロホルムまたはジクロロメタン、ヘキサンおよびC1~C4アルコールである。最も好ましくは、クロロホルムおよび2-プロパノールの混合物(例えば、体積比が1:1)、ヘキサン:2-プロパノール:クロロホルム=7:1.5:1.5の混合物、または、クロロホルム-メタノール-2-プロパノール(1:2:4 v/v/v)である。さらなる成分を添加してもよい(酢酸アンモニウム、酢酸など)。特に定義しない限り、アルカンとは、C1~C6アルカンを意味し、好ましくはC1~C4アルカンを意味する。
液液抽出中または液液抽出後に、試料からタンパク質を除去することが好ましい。タンパク質は、脂質分析を望ましからず妨害しうるためである。
質量分析法は、ショットガン質量分析、液体クロマトグラフィ-質量分析(LC/MS)、超高性能液体クロマトグラフィ-質量分析(UHPLC/MS)、超臨界流体クロマトグラフィ-質量分析(SFC/MS)、超高性能超臨界流体クロマトグラフィ-質量分析(UHPSFC/MS)、およびマトリクス支援レーザ脱離イオン化質量分析(MALDI/MS)から選択される。
本発明の方法においては、プール試料の使用が有用である。プール試料とは、同体積の試料を複数個混合することによって調製される試料である。この混合試料には、癌患者由来の試料および健康なボランティア由来の試料が含まれている。男性に由来する試料と女性に由来する試料との比率は、測定されたバッチにおける試料とおおよそ同じであるべきである。「おおよそ同じ」という用語は、測定されたバッチにおける男性:女性の比率からのズレが20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下であることを表す。プール試料は、50~100個の試料をプールして得ることが好ましい。
本発明において使用される質量分析に基づく方法の全てに適用できるように、混合物中の内部標準の濃度を注意深く検討した。内部標準の濃度は、好ましくは、天然に存在する脂質の濃度範囲とすべきである。しかし、同じ脂質クラスの中でも、濃度範囲は顕著に変化する。そのため、各脂質クラスの中で最も多く天然に存在する脂質種の濃度の10~100%とすることが好ましく、20~80%とすることがより好ましい。
質量分析測定においては、他の任意の試料と同様に処理したプール試料(内部標準混合物を添加し、液液抽出および他の任意の試料処理工程を経たプール試料)を、充分な検証および品質管理に使用する。試料の測定シーケンスにおいては、試料の順序をランダム化する。こうして、測定シーケンスの特定の部分において、非癌性試料および癌性試料を測定することを回避する。
プール試料を使用して、日内確度および日内精度(ならびに、日間確度および日間精度)を監視してもよい。
様々な濃度の内部標準混合物を加えた試験試料またはプール試料を調製すると、さらに有利である。
脂質の検出限界(LOD)は、信号対ノイズ比に基づいて決定することが好ましい(S/N=3など)。
様々な濃度の内部標準混合物を加えたプール試料を使用して、定量下限(LLOQ)および定量上限(ULOQ)を決定する。これら限界は、検量線の線形範囲の始点および終点に対応している。検量線とは、脂質の濃度に対する信号の従属関係である。検量線の線形範囲はLLOQからULOQまでの間であり、この範囲ならば脂質の濃度を測定できる。
質量分析法のLLOQを超えるレベルで存在している全ての脂質の濃度を、通常は「リピドミクスプロファイル」と呼ぶ。
脂質クラスに対応する内部標準を定量に用いる質量分析法において、LLOQを超えULOQ未満のレベルで存在する全ての脂質の濃度の定量(濃度の決定)は、下記の処理および補正を含むことが好ましい:
(a)同位体補正(deisotoping):ある脂質よりも2質量単位だけ分子量が小さい他の脂質であって、同位体の寄与によってM+2になっている脂質の信号強度の補正(例えば、二重結合が1つだけ多い脂質の、同位体による干渉)。あるいは、ある脂質よりも1質量単位だけ分子量が小さい他の脂質であって、同位体の寄与によってM+1になっている脂質の信号強度の補正(例えば、PCサブグループとSMサブグループとの間の干渉)。この補正は、測定されたスペクトルにおける既知の強度に基づいて、計算されたM+2の相対強度(またはM+1の相対強度)を減算することにより実施する。
(b)特定の試料に関して検出されていない脂質種の信号を、全ての試料において上記脂質種に関して観測された最低濃度の50~100%(好ましくは60~100%、より好ましくは60~70%、80~90%、70~100%、67%または80%)によって置換するゼロフィリング処理。
定量の確度および信頼性は、以下の対策によって確保され、または向上する:
(a)各クラスにおける脂質種の定量のために、外因性脂質クラスである内部標準を1つ以上使用する。
(b)質量分析(MS)と組合せた脂質クラス分離クロマトグラフィまたはクロマトグラフ分離を全く伴わないMSのいずれかを使用して、脂質(サブ)クラスである内部標準と、同じ脂質クラスに属する被分析物とを共溶出させ、共イオン化する。この同時処理は、試料の処理前に内部標準を添加することにより確実になる。
(c)所定数の試料の後に注入する品質管理試料として、内部標準を加えたプール試料を使用する。
(d)各試料における各内部標準の信号応答を抽出することにより、測定を制御する。また、測定シーケンスの間、内部標準の信号応答を毎日評価すること。
(e)ゼロフィリング処理。
(f)同位体補正。
これらの対策により、再現性の低下、ロバスト性の欠如、経時的な信号シフト、イオン抑制/増強、キャリーオーバー効果および汚染による質量分析計の応答変化のうちの1つ以上を防止する。
したがって、これらの対策は、再現性の低下、ロバスト性の欠如、経時的な信号シフト、イオン抑制/増強、キャリーオーバー効果および汚染による質量分析計の応答変化を防止することによって、測定品質の管理に役立つ。
数百個の試料において数百種類の脂質を決定する際には、様々な理由により、いくつかの脂質分子について期待される信号が検出されないことがある。このとき、確立された分析実務に従うと、上述の濃度は「LLOQ未満」と報告すべきである。十全に確立されたこの分析アプローチは、リピドミクス定量の場合にうまく機能しない。このようなアプローチに基づくMDAは健康群/疾病群の分解能が高くなく、癌の検出に許容可能な感度および選択性を提供できない場合がある。このアプローチは、欠落している信号の全てについて、対応する被分析物の真の濃度がLLOQ未満である状況に適している(クロマトグラフィによって充分に分離された少数の被分析物を決定する場合など)。しかし、リピドミクス定量における状況は、非常に異なっている。リピドミクス定量では、1つの試料あたり約150~400種類の脂質を定量化し、それらの多く(ショットガンの場合は全て)は共溶出している。そのため、濃度がLLOQ未満である以外の他の理由により、信号の欠如が発生しうる。これは、主としてイオン化抑制のためであり、または信号の低下をもたらす他の理由のためである(システムの汚染、移動相の不純物、クロマトグラフィカラムのブリードなど)。リピドミクス解析は非常に複雑であるので、最良の分析実務および慎重な分析作業をもってしても、いくつかの信号が適切に記録および処理されないことが通常に起こりうる。そこで、本発明者らは、新規なゼロフィリングアプローチを開発した。このアプローチでは、何らかの理由で欠落している値を、全ての試料において当該脂質種に関して観測された最低濃度の75~85%(好ましくは80%)により置換する。このアプローチは、後続の統計解析の質を顕著に改善する。本発明者らの予備段階の成果によると、ゼロフィリングアプローチを実行しなかった場合には、癌検出の質が顕著に悪化するか、または検出が不可能であった。ゼロフィリングの後で、2重測定の平均および標準偏差を計算する。
統計評価は、多変量データ解析(MDA)によって行われることが好ましい。MDAは、教師なし統計的方法(主成分分析(PCA)など)であってもよいし、教師あり統計的方法(潜在構造判別分析への直交射影(OPLS-DA)など)であってもよい。
「癌性パターン」とは、癌患者から得られる体液試料に典型的な脂質濃度のパターンを意味する。癌性パターンは、通常、様々な癌タイプに罹患している患者から得られた試料の、健康なボランティアから得られた試料に対する統計解析によって得られる。
「特定の癌性パターン」とは、特定の癌タイプに罹患している患者から得られる体液試料に典型的な脂質濃度のパターンを意味する。特定の癌性パターンは、通常、(i)特定の癌タイプに罹患している患者から得られた試料の、健康なボランティアから得られた試料に対する統計解析、および/または、(ii)特定の癌タイプに罹患している患者から得られた試料の、他の特定の癌タイプに罹患している患者から得られた試料に対する統計解析によって得られる。
「膵臓癌パターン」とは、膵臓癌患者から得られる体液試料に典型的な脂質濃度のパターンを意味する。膵臓癌パターンは、通常、膵臓癌患者から得られた試料の、健康なボランティアから得られた試料に対する統計解析によって得られる。
「非癌性パターン」とは、健康なボランティア(癌に罹患していない被験体)から得られる体液試料に典型的な脂質濃度のパターンを意味する。「非癌性試料」または「非癌試料」という用語は、健康なボランティア(癌に罹患していない被験体)から得られる体液試料を指す。
統計評価は、下記を含んでいることが好ましい。
(a)データの前処理(中心化、スケーリングおよび/または変換など)。中心化は、データセットの平均に比例して変化を相関させる。スケーリングは、モデルにおける種々の濃度範囲の影響を一元化する(単位分散(UV)およびパレートスケーリング)。これによって、低い濃度(恐らく同様に重要)が極めて高い濃度に隠されないようにする。対数変換は、データを正規分布に整理する。適切な前処理は、結果の質に重大な影響を及ぼす。
(b)外れ値、測定不備および他の影響因子の特定に使用されるPCA分析。PCA分析はまた、群間の差異を視覚化してもよいし、他の試料と比較した品質管理(QC)試料をクラスタ化してもよい。
(c)癌患者群と健康なボランティアとを分離するための判別分析(OPLS-DA)。判別分析は、男女を区別して実施する。
(d)統計パラメータの割付けおよび予測力の評価。
統計的方法を使用して、まず、健康なボランティアの体液および診断された癌患者の体液のリピドミクスプロファイルに基づく統計モデル(癌性パターン、特定の癌性パターンおよび非癌性パターン)を構築する。次に、これらの統計モデルを使用して、癌性パターンおよび非癌性パターンの差異を可視化する。また、これらの統計モデルを使用し、癌性パターン、特定の癌性パターンまたは非癌性パターンに判定される測定された脂質濃度に基づいて、患者が癌もしくは特定の癌(膵臓癌など)に罹患している、または健康である確率のレベルを決定する。
好ましくは、統計データを用いる評価工程においては、まず、評価される患者が癌に罹患している(または健康である)確率について、評価される試料を評価する。次に、評価される患者が癌に罹患している確率が所定のレベルを超えている場合には(例えば、所定のレベルとは、50%、60%、70%、80%または90%であってもよい)、評価される試料を評価して特定の癌を決定する。
感度および特異度とは、健康なボランティア群由来の試料と癌患者群由来の試料とを正しく割当てる方法の予測力を表す。感度および特異度の値は、分類が既知および未知である試料に関して、70%超でなくてはならず、好ましくは80%超または85%超であり、より好ましくは90%超である。いくつかの実施形態において、感度および特異度の値は、分類が既知および未知である試料に関して、95%超である。
発明者らが得たデータによると、本発明の方法の膵臓癌に関する感度および選択性は、例えばOPLS-DAモデルについては、分類が既知である試料では100%であり(検査した被験体:292)、分類が未知である試料では95%である(検査した被験体:73)。この感度および選択性は、他の公知の膵臓癌診断方法によって達成可能な選択性および感度よりも良好である。また、本発明者らによって得られたデータが示すところによると、ステージ1~2(初期ステージ)の患者が、本発明の方法を使用するスクリーニングにおいて鑑別できる。このことは、本発明の方法の大きな利点を表している。初期ステージの癌を鑑別できるならば、結果として、癌を成功裡に治療しうる時点において患者を鑑別できるのである。
本発明の方法による試料処理能力は、最新の自動化された標準的な質量分析ラボにおける1台の質量分析装置で一年あたり、4,000個以上の試料であり、好ましくは10,000個以上の試料である。多重化および高度な自動化に関する公知の方法によれば、試料処理能力をさらに増大さられる。
癌疾患の存在を診断するために(または、特定の癌タイプを診断するために)決定される適切な脂質セットは、通常、健康なボランティア群および癌患者群に関して、検出可能な脂質の全てを分析することによって得られる。健康な試料と癌試料(または、健康な試料と特定の癌試料;または、第1の特定癌試料と第2の特定癌試料)において存在量が異なっている脂質は、決定される脂質セットに含めることが好ましい。
Figure 0007086417000005
表2に記載されている脂質種の最小限のリストは、癌試料と健康な試料との鑑別に特に好適である。一般的に、モデルの感度および特異度に反映される予測力が高いほど、より多くの種が含めて統計モデルを構築する。したがって、生物の体液中にある脂質のうち、可能な限り多くの種類を定量することが有用である。統計的に関連する種のみを含めれば、p値および/またはVIP値(p値<0.05およびVIP値>1)によって決定される変数を削減できる。最小限の脂質リストを作成するためには、様々な癌タイプを分析する際に、両方の基準を満たす種のみを含める。試験された3種類のMSに基づく方法全てについて折衷した結果、表2に示されるリストは、本発明の方法において一般的に適用可能である。
Figure 0007086417000006
Figure 0007086417000007
Figure 0007086417000008
Figure 0007086417000009
個々の癌タイプに関する好適な脂質セットは、下記表に示す通りである。
Figure 0007086417000010
Figure 0007086417000011
Figure 0007086417000012
Figure 0007086417000013
Figure 0007086417000014
Figure 0007086417000015
Figure 0007086417000016
Figure 0007086417000017
Figure 0007086417000018
Figure 0007086417000019
Figure 0007086417000020
本発明の方法においては、膵臓癌の診断に、51種類以上(好ましくは120種類以上)の脂質を含むリピドミクスプロファイルが使用される。好適な一実施形態において、非常に信頼性の高い統計モデルの構築のために検出すべき脂質は、好ましくは、少なくとも表15に記載の脂質セットである。あるいは、検出すべき脂質は、表28、表29、表30または表31に記載されている脂質セットである。
Figure 0007086417000021
Figure 0007086417000022
Figure 0007086417000023
Figure 0007086417000024
以下の説明において、T1、T2、T3、T4、TisおよびTxは、TNM分類による癌(原発腫瘍)のステージである。T1は、癌のごく初期のステージである。Tisは、上皮内癌を意味する。Txは、腫瘍を評価できないことを意味する。
両性における、健康なコントロール(N)の170個の血漿試料と、癌患者(T)の282個の血漿試料と、分類が未知(X)の38個の血漿試料と、品質管理(Q)とのPCA統計モデル(UHPSFC/MSのデータから生成)。 両性における、健康なコントロール(N)の血漿試料と、癌性の血漿試料(腫瘍ステージT1、T2、T3、T4、TisおよびTx)とのOPLS-DA統計モデル(UHPSFC/MSのデータから生成)。 非癌性の血漿試料と癌性の血漿試料との比較において、最も上方調節および下方調節された脂質種を表すSプロット。 男性における、健康なコントロール(N)の血漿試料と、乳癌患者、腎臓癌患者および前立腺癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3、T4およびTx)の血漿試料とのOPLS-DA統計モデル(UHPSFC/MSのデータから生成)。 男性における、健康なコントロール(N)の血漿試料と、乳癌患者(T)の血漿試料とのOPLS-DA統計モデル(UHPSFC/MSのデータから生成)。 男性における、健康なコントロール(N)の血漿試料と、前立腺癌患者(腫瘍ステージT2、T3、Tx)の血漿試料とのOPLS-DA統計モデル(UHPSFCのデータから生成)。 男性における、健康なコントロール(N)の血漿試料と、腎臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3およびTx)の血漿試料とのOPLS-DA統計モデル(UHPSFCのデータから生成)。 女性における、健康なコントロール(N)の血漿試料と、乳癌タイプ患者および腎臓癌タイプ患者(腫瘍ステージT1、T2、T3、T4およびTx)の血漿試料とのOPLS-DA統計モデル(UHPSFC/MSのデータから生成)。 女性における、健康なコントロール(N)の血漿試料と、乳癌患者(腫瘍ステージT1、T2、TisおよびTx)の血漿試料とのOPLS-DA統計モデル(UHPSFC/MSのデータから生成)。 女性における、健康なコントロール(N)の血漿試料と腎臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3およびTx)の血漿試料とのOPLS-DA統計モデル(UHPSFCのデータから生成)。 両性における、健康なコントロール(N)の170個の試料と、腎臓癌患者(T)の111個の試料と、品質管理のプール試料(Q)である24個の試料とのPCA統計モデル(MALDI-MSのデータから生成)。 両性における、健康なコントロール(N)の170個の試料と、腎臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3およびTx)の111個の試料とのOPLS-DA統計モデル(MALDI-MSのデータから生成)。 男性における、健康なコントロール(N)の75個の試料と、腎臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3およびTx)の80個の試料とのOPLS-DA分析(MALDI-MSのデータから生成)。 女性における、健康なコントロール(N)の95個の試料と、腎臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3およびTx)の32個の試料とのOPLS-DA分析(MALDI-MSのデータから生成)。 両性における、健康なコントロール(N)の70個の試料と、腎臓癌患者(T)の101個の試料と、品質管理のプール試料(Q)である24個の試料とのPCA分析(MALDI-MSのデータから生成)。 両性における、健康なコントロール(N)の70個の試料と、腎臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3およびTx)の101個の試料とのOPLS-DA分析(MALDI-MSのデータから生成)。 男性における、健康なコントロール(N)の34個の試料と、腎臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3およびTx)の72個の試料とのOPLS-DA分析(MALDI-MSのデータから生成)。 女性における、健康なコントロール(N)の36個の試料と、腎臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3およびTx)の29個の試料とのOPLS-DA分析(MALDI-MSのデータから生成)。 男性における、乳癌の血漿試料と、腎臓癌の血漿試料と、前立腺癌の血漿試料とのOPLS-DA統計モデル。 男性における、前立腺癌の血漿試料と、腎臓癌の血漿試料との区別のためのOPLS-DAプロット統計モデル。 女性における、乳癌の血漿試料と、腎臓癌の血漿試料との区別のためのOPLS-DA統計モデル。 両性における、健康なコントロール(N)の79個の試料と、膵臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3、T4およびTx)の213個の試料とのOPLS-DA分析(UHPSFC/MSおよびショットガンのデータから生成)。 男性における、健康なコントロール(N)の49個の試料と、膵臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3、T4およびTx)の109個の試料とのOPLS-DA分析(UHPSFC/MSおよびショットガンのデータから生成)。 女性における、健康なコントロール(N)の30個の試料と、膵臓癌患者(腫瘍ステージT1、T2、T3、T4およびTx)の104個の試料とのOPLS-DA分析(UHPSFC/MSおよびショットガンのデータから生成)。 UHPSFC/MSおよびショットガンのデータに基づく、女性の未知の試料が膵臓癌患者であることのOPLS-DA統計モデル予測。 UHPSFC/MSおよびショットガンのデータに基づく、男性の未知の試料が膵臓癌患者であることのOPLS-DA統計モデル予測。
[試料の採取]
癌患者および健康なボランティアのヒト体液試料(通常は血液または尿)は、病院内で採取する。他の種類の試料は、血液から分離する(血漿、血清、オンコソーム、エキソソーム、細胞外小胞など)。ヒト被験体の血液は、病院で使用される標準的かつ充分に確立された方法で、抗凝固剤含有チューブ(EDTA、ヘパリンクエン酸などが入ったチューブ)中に採取する。その後、血清または血漿は、当業者に周知の標準化されたプロトコルで分離する。病院では-80℃にて保存し、ドライアイス(-20℃)入りの生物学的輸送袋を使用して病院から分析実験室へ輸送し、分析まで-80℃にて再度保存する。
[内部標準セット(内部標準混合物)の調製]
一般的に、脂質種の定量には、内部標準混合物が用いられる。各脂質クラスの内部標準は、当該脂質クラスに属する目的化合物と同様に振舞う。試料の処理の前に内部標準を加えると、内部標準も目的化合物と同様に影響を受けるので、例えばピペッティングの誤差による僅かな差異を補償できる。
特定の実施形態においては、2~4mgの各標準を、分析天秤を使用して2mLのHPLCガラスバイアル中に秤取し、対応する体積の(クロロホルム:2-プロパノール-2:8)に溶解させて、最終濃度を2μg/μL、2.1μg/μL、1μg/μLまたは0.25μg/μLとする。
各脂質クラスの標準物質を一緒に混合して、本明細書中に示される全てのタイプのMS分析に利用される内部標準混合物とする(表16を参照)。
全実験を実施するに充分な量の、1つの内部標準混合物を調製することが好ましい。混合物を複数回のバッチで調製すると、内部標準の僅かな濃度差に起因する定量の変動が生じる可能性があるので、これを回避するためである。内部標準混合物の部分標本を調製し、-80℃で保存してもよい。
Figure 0007086417000025
[試料の処理]
抽出の前に、全ての試料に適切な内部標準混合物を添加する。用いる内部標準混合物は、どの体液およびどの質量分析法を用いるかによって変わる。
リピドミクス抽出は、クロロホルム-メタノール-水抽出系を使用して、充分に確立された手順で行うことが好ましい(本発明者らの先行研究で公開されている。E. Cifkova, M. Holcapek, M. Lisa, D. Vrana, J. Gatek, B. Melichar, Anal. Bioanal. Chem. 407 (2015) 991-1002; E. Cifkova, M. Lisa, R. Hrstka, D. Vrana, J. Gatek, B. Melichar, M. Holcapek, Rapid Commun. Mass Spectrom. 31 (2017) 253-263)。抽出する試料の順序は、ランダム化する。
25μLの血清または血漿、17.5μLの内部標準混合物、2mLのクロロホルム(2×1mL)、および、1mLのメタノールを、ガラスバイアル(4mL)に移す。生体試料にはタンパク質も含まれており、このため、試料が粘着性および粘液性を帯びる場合がある。ピペットは、25μLの血清または血漿を吸引し、吸引中に粘液性成分で詰まらないようにせねばならない。ガラスバイアルを密封し、40℃の超音波浴に10分間入れて均質化させる。その後、バイアルを開くときの有機溶媒の蒸発を確実に止めるために、試料を室温にする。600μLの水を各試料に加える。試料を密封し、1分間ボルテックスする。1回のバッチ(1回の研究)で使用する全ての試料について、常に同じ抽出工程を施すことが重要である。質量分析用の標的脂質は、有機層(下層)によく溶解する。その後、3000rpmで3分間試料を遠心分離して、有機層と水層とを分離する(有機2つの層の間に、白い沈殿物の形態としてタンパク質層が形成される)。水層(上層)は、ガラスピペットで除去する。目的化合物を含んでいる有機溶媒を30℃の窒素気流下で蒸発させ、残留物(目的化合物)を含んでいるガラスバイアルを-80℃で保存する。
分析の前に、試料を室温にする(バイアルを開封するときに、大気中の水分を吸収しないようにする)。次に、抽出および蒸発(前の工程)の残留物を、500μLのクロロホルム:2-プロパノール(1:1 v/v)に溶解させる。全ての試料に使用するための充分な量の溶媒混合物(クロロホルム:2-プロパノール(1:1 v/v)混合物)を調製することが望ましい。これは、溶媒混合物の個々のバッチ間の変動を回避するためである。試料を注意深く1分間ボルテックスして、目的化合物を確実に溶解させる。この溶液を0.2μmシリンジフィルタで濾過して、MS分析の障害となる未溶解成分を除去する。バイアルをPTFEキャップで密封し、-80℃で保存する。
尿試料に関しては、逆相固相抽出を行う。2mLのヒト尿と、メタノールに溶解させた3μLの内部標準混合物とを、200mg tC18カートリッジ(Sep-Pak Vac、粒径37μm~55μm)(Waters, Milford, MA, USA)にロードする。このとき、内部標準混合物の組成は、SufoHexCer d18:1/12:0(濃度:1.7μg/mL)およびD4タウロコール酸(濃度:16.7μg/mL)である。また、200mg tC18カートリッジは、事前に3mLのメタノールでプライミングし、その次に3mLの水でプライミングしておく。3mLの水でカラムを洗浄し、3mLのメタノールで研究対象の脂質を溶出する。溶出液を回収した後、穏やかな窒素気流下で蒸発させ、測定前に300μLのメタノール混合物に再溶解させる。
[UHPSFC/MS分析用の試料調製]
ヘキサン:2-プロパノール:クロロホルム(7:1.5:1.5)の混合物で、濾液を5倍または20倍に稀釈し、HPLCバイアルに移す。UHPSFC/MS分析のために、稀釈された濾液を注入したバイアルをスリットキャップで密封し、オートサンプラーに設置する。
[ショットガンMS分析用の試料調製]
クロロホルム:メタノール:2-プロパノール(1:2:4 v/v/v)の混合物で、試料に応じて濾液を10倍稀釈する。この混合物は、7.5mmol/Lの酢酸アンモニウムおよび1%の酢酸を含んでいる。
[MALDI-MS分析用の試料調製]
MALDIマトリクス9-アミノアクリジン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)を、メタノール:水混合物(4:1 v/v)に溶解させて、濃度を5mg/mLまたは10mg/mLとする。得られた混合物を、具体的な脂質抽出物(1:1 v/v)と混合する。なお、マトリクスと混合する前に、脂質抽出物をメタノールで稀釈できる(1:1、1:2または1:3 v/v)が、あまり好ましくない。抽出物/マトリクス混合物の堆積量は、1μLとする。dried droplet法を用いた結晶化によって、ターゲットプレート上に試料を堆積させる。液滴の核酸を防止するために、稀釈済抽出物/マトリクス混合物を堆積させる前に、MALDIプレートスポット上に少量のクロロホルムを堆積させる。
[質量分析法(MS法)の開発および検証]
リピドミクス定量のための、主にMSに基づく3つの方法を特別に開発した(本明細書において詳細に記載する)。この方法においては、プール試料の使用が有用である。プール試料とは、100人未満の被験体を対象とする小規模な研究用に関しては、全ての試料を同体積ずつ混合した混合物である。本研究では、無作為に選択した癌患者の試料および健康なボランティアの試料を、同体積ずつ混合してプール試料を調製する。このとき、選択する男性と女性との割合が、試料セットにおける男性と女性との割合と同じになるようにする。プール試料を用いて、質量分析方法を開発および最適化する。測定における充分な検証およびQCのために、定量すべき各脂質クラスの内部標準混合物を添加したプール試料を用いる。試料の順序は、試料シーケンスにおいて常にランダム化されている。これにより、シーケンス中の特定の部分のみの非癌性試料および癌性試料を測定することを回避する。
検証作業に先立って、3種類の濃度レベルでシステム適性テストを実施した(これらの濃度レベルは、通常、低濃度レベル、中濃度レベルおよび高濃度レベルとして報告されている)。全ての濃度レベルは、線形なダイナミック・レンジ内に存在せねばならない。低濃度レベルは定量下限(LLOQ)に近く、中濃度レベルは線形なダイナミック・レンジの中央にあり、高濃度レベルは定量上限(ULOQ)に近い。特定の実施形態においては、表16に従って調製した5μL、17.5μLおよび30μLのIS混合物を、それぞれ、低濃度レベル、中濃度レベルおよび高濃度レベルとして用いる。選択性、確度、精度、検量線、検出限界および定量限界、マトリクス効果、キャリーオーバーおよび安定性などの検証パラメータを決定した。個々のパラメータは、脂質クラスの特性を表すISに関して決定した。(i)低濃度レベル、中濃度レベルおよび高濃度レベルのIS混合物を、抽出に先立って添加したプール血清試料に由来する3個の抽出物と、(ii)適当な無添加の血清試料に由来する3~6個の抽出物と、を用いて選択性を決定した。低濃度レベル、中濃度レベルおよび高濃度レベルにて、抽出後に添加したプール血清試料を用いて、確度および精度を検討した。各濃度レベルにつき3個の試料を用いて、日内確度および日内精度を検討した。異なる2日間に行われた3回の独立試行において、低濃度レベル、中濃度レベルおよび高濃度レベルの3個の試料を用いて、日間確度および日間精度を評価した。LLOQおよびULOQは、それぞれ、線形範囲の始点および終点に対応していた。内部標準混合物の再構成イオンクロマトグラムから観察される、あるいは、内部標準混合物のニュートラルロス(NL)および前駆体イオン(PI)質量スペクトル(ショットガンMS)から観察される信号/ノイズ比(S/N=3)に基づいて、検出限界(LOD)を決定した。低濃度、中濃度および高濃度について、抽出前に添加した試料の信号応答と、抽出後に添加した試料の信号応答の比率を計算して、抽出による回収率を決定した。種々の濃度において、抽出前に添加した試料の信号応答と、標準のみの信号応答との比率を計算して、処理効率を決定した。抽出後に添加した試料の信号応答と、標準のみの信号応答との比率から、マトリクス効果を計算した。高濃度レベル(稀釈係数10)の検定試料の後に、純粋な溶媒でブランク試料を注入することによって、各ISについてキャリーオーバーを評価した。大量の試料セットの分析で得られた結果の信頼性を、機器内にて、凍結融解安定性試験により評価した。中濃度レベルで添加した血漿抽出物の安定性は、オートサンプラー中にて、一定の時間間隔(0時間、4時間、8時間、12時間、16時間、24時間)で測定した。凍結融解試験用の試料は、補助なしで完全に融解させた直後に、オートサンプラー中にて分析した。
Figure 0007086417000026
検定用に、全ての方法において最適化されたISの混合物を、何種類かの稀釈物にして使用した。これは、個々の脂質クラスに適した濃度範囲で検定するためである。質量分析法の稀釈係数に応じて、対応する量のマトリクスを使用した。例えば、UHPSFC/MSでは、1:5稀釈の試料抽出物を使用する。そのため、プール試料であるブランク血漿を、1/5添加した(詳細には表17を参照)。
[UHPSFC/MS]
超臨界流体クロマトグラフィとは、吸着剤(カラム固定相)から化合物を取出すための主成分として超臨界二酸化炭素(移動相)を採用し、極性の異なる化合物を分離する手段である。超臨界二酸化炭素へ有機溶媒(通常はメタノール)を加えることにより、UHPSFCの適用範囲が広がり、より極性の高い化合物をカラムから取出せるようになる。一般的に、(i)化合物の溶解性が、極性溶媒よりも水またはアルコールに対するものの方が高い場合、あるは、(ii)化合物の溶解性が、非極性溶媒よりもヘキサンなどに対するものの方が高い場合には、化合物を区別できる。固定相、移動相および目的化合物の性質(極性または非極性など)に応じた相互作用が働く。例えば、極性化合物は極性固定相と相互作用する傾向にあり、極性化合物を固定相から取出すためには、極性移動相を使用すれば化合物を固定相から取出せる。特定の固定相を用いることによる移動相特性の最適化により相互作用を入念に調節すれば、化合物を分離できる。固定相の寸法および特性の最適化(吸着剤の小粒径化および球形粒子化など)により、効率を向上させることができる。そのため、超高性能超臨界流体クロマトグラフィ(UHPSFC)と呼ばれている。
特に以下の点を考慮すれば、クロマトグラフ分離を、脂質クラスの分離用に最適化できる。脂質クラスには、共通する主要構造部分(極性頭部基)が存在しており、これらは、保持メカニズムを支配する相互作用の主要な寄与因子である。脂質クラスには、炭化水素鎖の長さおよび構造(二重結合など)が異なる、多数の脂質種が含まれる場合がある。内部標準は脂質(サブ)クラスごとに加えられるので、クラス内部標準と比較することにより、当該特定の脂質(サブ)クラス内の全ての脂質種を特定および定量できる。
(MS分析)
高分解度の精密質量分析計を検出器として使用すれば、脂質を特定および定量できる。これは、各脂質種のm/z値が定義されており、試料中の濃度に依存した信号応答を示すためである。イオン化(それゆえ、目的化合物の信号応答)を改善するために、添加剤(酸および緩衝液など)を試料または移動相に添加する。UHPSFC/MSの場合には、酸性メタノールなどのメイクアップ溶媒の使用により、感度がさらに改善される。
ある特定の実施形態において、本明細書で後述する結果を得る際にUHPSFC/MS法に適用される全てのパラメータの詳細は、下記の通りである。
(機器)
・Acquity Ultra Performance Convergence Chromatography (UPC2)システムに、ハイブリッド四重極型トラベリングウェーブイオンモビリティ飛行時間型質量分析計Synapt G2 Siを接続したもの(Waters製)
(クロマトグラフの設定)
・固定相:Acquity BEH UPC2カラム(100×3mm、1.7μm、Waters)
・流量:1.9mL/分
・注入量:1μL
・カラム温度:60℃
・アクティブバックプレッシャーレギュレーター(ABPR):1800psiに設定
・勾配モード:CO2、ならびに、30mMの酢酸アンモニウムおよび1%の水を含有するメタノール
・勾配:開始時の添加剤濃度は1%、5分間で51%に増加、1分間一定の後、開始条件にてフラッシュバック(総作動時間:7.5分間)
・注入針の洗浄:生体試料を注入した後に、ヘキサン:2-プロパノール:水(1:2:0.5 v/v)混合物カラムで洗浄
・高速勾配を用いてブランクを注入。0分(添加剤濃度:1%)、1.4分(添加剤濃度:51%)、1.6分(添加剤濃度:51%)、1.8分(添加剤濃度:1%)、4.8分(添加剤濃度:1%)
・メイクアップ溶出液:HPLC515ポンプ(Waters)、メイクアップ流量:0.25mL/分、1%の水および任意で0.1%のギ酸を含んでいるメタノール。
(ESI-MSの設定)
・キャピラリー電圧:3kV
・サンプリングコーン:20V
・ソースオフセット:90V
・ソース温度:150℃
・乾燥温度:500℃
・コーンガス流量:50Lh-1
・乾燥ガス流量:1000Lh-1
・ネブライザーガス:4bar
・陽イオンモードにおいて、分解度モードまたは感度モード
・質量範囲(m/z):50~1200
・スキャン時間:0.15秒間(連続モード)
・ロックマス:ペプチド(ロイシンエンケファリン)
・スキャン時間:0.1秒間、30秒間隔。
分析の際、シーケンス中の試料はランダム化して、同じタイプの試料が連続して測定されないように(例えば、健康な試料(非癌性試料)ばかりが連続して測定されないように)せねばならない。これにより、ある時点でエラーが発生した場合に、一種類の試料だけが影響を受ける状況を回避する。さらに、所定量の試料を測定した後にQC試料を測定して、装置性能を検証することが重要である。
生体試料を測定する前に、注入をせずにブランク試料およびQC試料を測定して、装置の性能を確認する。その後、生体試料を用いて測定を続ける。全ての試料を2回繰り返して測定し、20試料の注入または40+40回の注入(試料注入+洗浄液注入)の後、QC試料およびブランク試料を測定する。各試料の各内部標準のピーク面積を評価し、Microsoft Excelファイルに結果をエクスポートすることによって、研究の全体を通して、測定および試料調製を管理する。QC試料とは、血清または血漿試料の抽出物の、部分標本である。
ロックマスは分析中に連続的に測定されるが、ロックマス較正はオンラインには適用しない。これは、予備調査の結果、オンライン較正を用いると質量確度が悪化することが判明したためである。さらに、連続モードを採用して、装置の分解度をモニタリングできるようにする。測定後、MassLynxソフトウェア(Waters製)を使用して、生データのノイズを低減する。これにより、質量スペクトルが改善し、ファイルサイズも大幅に小さくなる。そのため、さらに処理すべきファイルを用意に取扱えるようになる。ロックマス較正を適用して、プロファイルモードから重心モードに変換することによって、ファイルをさらに処理する。これにより、質量確度が向上し、ファイルサイズもさらに低減する。ファイルサイズは、データ処理に重要である。ファイルサイズや試料数が膨大にあると、処理ソフトによる処理が困難になる。その結果、連続的にエラーが発生し、処理に時間および手間がかかるようになる。
測定制御、プロファイルモードおよびオフラインロックマス較正、ならびにノイズ低減に関する全ての検討により、データ品質が改善された。
[ショットガンMS]
本明細書において後述する実験は、ESIプローブを装備した四重極型リニアイオントラップ質量分析計6500QTRAP(Sciex, Concord, ON, Canada)により実施した。調節パラメータの設定は、下記の通りである。
・イオンスプレー電圧:5200V
・カーテンガス:20psi
・ソース温度:50℃
・イオンソースガス(1):15psi
・イオンソースガス(2)10psi
MS/MSスキャンの測定は、スキャン速度:1000Da/秒、クラスタ分離電位:80V、エントランス電位:10V、および表18に記載の衝突エネルギーとした。Agilent1290バイナリポンプおよびAgilent1260オートサンプラーから構成される液体クロマトグラフAgilent1290シリーズ(Agilent Technologies)を使用して、フローインジェクションにより試料を導入する。流速3μL/分のクロロホルム:メタノール:2-プロパノール(1:2:4 v/v/v、7.5mmol/Lの酢酸アンモニウムおよび1%の酢酸を含有)混合物に、50μLの試料を注入する。分析時間は12分間とし、オートサンプラー温度は20℃とする。分析が終わる度に、メタノール:2-プロパノール:水(2:2:1 v/v/v、7.5mmol/Lの酢酸アンモニウムおよび1%の酢酸を含有)混合物を用いて、LC/MSシステムを洗浄する。LipidViewソフトウェアを用いて測定データ実験を抽出する。条件は、質量許容差:0.3Da、最小S/N:5、最小強度:1%とする。スキャンタイプ、m/z値、およびピーク強度によってキャラクタライズされれている生データを、.txtデータとしてエクスポートする。Microsoft Excelマクロスクリプトを用いて生データをさらに処理し、脂質を検出および定量する。脂質クラスは、スキャンタイプによりキャラクタライズする。プール試料に含まれている特定された脂質から蓄積されたデータベースに基づくm/z値(質量許容差:0.3Da)に従って、選択されたMS/MSスキャン中の個々の脂質種を検出する。その後、イオン強度を同位体補正する。脂質クラス内部標準の強度に関連する較正されたイオン強度に基づいて、脂質種の濃度を計算する。
Figure 0007086417000027
[MALDI質量分析]
窒素UVレーザ(337nm、60Hz、ビーム直径:約80μm×100μm)を備えている超高分解度MALDI質量分析計LTQ Orbitrap XL(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて、質量スペクトルを測定した。LTQ Orbitrap装置は、陰イオンモードにて標準質量範囲(m/z):400~2000で作動させる。質量分解度は、R=100,000に設定する(m/z=400における半値幅により定義する)。個々のデータ取得中には、ステップサイズ:250μmのジグザグ方向(または外向き螺旋方向)に試料を移動させる。最大値の15%に相当するレーザエネルギーと、2マイクロスキャン/スキャン(36箇所の異なる位置におけるマイクロスキャンのたびに、レーザ照射を2回行う)とを、測定ごとに蓄積させて、再現可能な信号を得る。各試料(スポットマトリクスと体液抽出物との混合物)は、5回スポットする。1つの試料の総捕捉時間には5回の連続したスポットが含まれており、約10分間である。各測定は、1つの平均MALDI-MSスペクトル(数千のm/z値が含まれている)によって表される。次に、自動的にピークの割付けが行われる。特定のm/zピークと、Excelマクロスクリプトを用いた特定工程によって作成されたデータベースに基づく脱プロトン化分子とがマッチングされる。このピーク割付けにより、研究された脂質について存在するm/zのリストと、各試料に関する特定のスペクトルにおける平均強度が生成される。この平均強度は、さらなる統計評価に使用される。
[データ処理および定量]
データ処理は、MSベンダーソフトウェア(Waters、SciexまたはThermo Scientificなど)から、データ処理ソフトウェア(Microsoft Excelなど)へと、データをエクスポートすることから始まる。データ処理ソフトウェアは、高度なExcelスクリプトなどを使用してさらなる工程(とりわけ、同位体補正(表19、20)およびゼロフィリング)を半自動的に実行する。品質管理試料(QC試料)を定期的に注入して質量分析計の応答が正確かつ一定であるかを確認する必要がある。QC試料とは、通常は、定量すべき全ての脂質クラスに対する内部標準を含んでいるプール試料である。20回の注入ごとにプール試料を注入し、個々の内部標準の応答を時間に対してプロットする。内部標準の応答が低下し過ぎたときは、装置の不具合の兆候である。試料の注入が多過ぎるために、通常は、質量分析計の洗浄が必要となる。洗浄は、通常、約数百個の試料を処理するごとに行う。しかし、調製された試料抽出物の質、イオンソースの幾何学的形状、およびシステム構成に強く依存することがある。
以下の実施例では、のSynapt G2Si装置(Waters製)を利用したUHPSFC/MS測定の例を説明する。しかし、他のMS方法および任意の装置ベンダーの異なるMSプラットフォームにも、同様のアプローチが適用できる。ノイズを低減し、ロックマス較正を施し、変換を施したファイルを、MarkerLynxソフトウェアでさらに処理する。血清または血漿試料とQC試料のみを含んでいる縮小シーケンス表を、MassLynxで作成せねばならない。縮小シーケンス表には、試料名に対応する接尾辞が付されている(sample_nr20_AFAMM)。次に、シーケンス全体を通じた、各脂質クラスのタイムスキャン範囲を決定せねばならない(例えば、CEには、m/z:250~350が使用される)。各脂質クラスについて、MarkerLynxおよび対応するタイムスキャン範囲により、この方法を作成する(質量ピーク分離:50mDa、マーカー強度閾値:3000を組合せてもよい)。各脂質クラスについての方法をシーケンスに適用し、結合強度に対するm/z値が含まれているMarkerLynx表を作成する。この表をテキストファイルにエクスポートし、自作データベースにインポートして、Microsoft Excelを使用して脂質種を特定および定量する。特定のために、MarkerLynxから得られたm/z値を、数百種類の脂質種のデータベースとして蓄積されている正確なm/z値と比較する。データベースは、組織試料および血漿試料中に存在する種を評価することにより作成した。特定した脂質種を同位体補正し、(サブ)クラスISの強度および濃度に対する濃度を計算することによって定量化する。こうして、脂質種濃度と個々の試料との対応表が得られる。ゼロフィリング工程を実行する。個々の脂質種に関して、複数の注入試料の平均値を計算する。被験体が列であり、各脂質が行である最終的なデータマトリクスを使用して、絶対定量のために、さらにMDA統計評価を行う。相対定量について、1つのクラス内の個々の種の濃度は、1個の試料内の当該脂質クラスの濃度の合計に関連している。得られた表は、絶対定量に加えて統計評価にも使用する。
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[統計評価]
測定したすべての被験体の個々の脂質の測定濃度を、統計ソフトウェア(例えば、SIMCA from Umetrics, Sweden)にインポートする。適切な変換とスケーリングを選択する。通常は、対数変換ならびにパレートスケーリングまたはUVスケーリングを選択する。スケーリングおよび変換は、PCA分析に基づいている。この分析では、健康な人および膵臓癌患者が正規分布であることが望ましい。また、PCA分析は、潜在的な外れ値を見つけるためにも使用される。この場合、モデルに対する外れ値の影響をテストし(外れ値を除外し、モデルを確認する)、測定方法を問題として取上げる。測定値が外れ値であった場合には、技術的課題が特定されたら、当該測定値をデータセットから除外する。PCA法は、他の影響因子を見出すために使用される(性別または年齢など)。PCA分析において、QC試料は密接にクラスタ化していなければならない。通常は、PCAグラフの中央付近に位置している。
次の工程は、男性および女性について、膵臓癌患者群と健康なボランティア群とを分離するために、判別分析(OPLS-DA)を使用することである。スケーリングおよび変換はPCAの結果に基づいているが、最終的なモデルを見つけねばならない。全てのデータに対してモデルをフィッティングし、影響力のある共変量については異なる層としてもフィッティングする。異なる脂質群を用いてモデルを構築し、健康/癌の分離に及ぼす影響を調べる。複数の要因に基づいて、最終的なモデルが選択される。要因の例としては、適合性が良いこと(全ての既知の試料が正しく分類されること)、モデルが安定していること(影響を及ぼしすぎる観察結果がないこと)、予測能が高いこと(最初は自動的に行われ、次に無作為な観察結果群を用いて手動で行われる交差検証による)、および、重要でない脂質の除去に対する生物学的推論および耐性が挙げられる。最終モデルを用いて未知の試料を特定し、この予測に基づいて感度および特異度を推定する。この目的のために、受信者動作特性曲線(ROC曲線)をプロットし、曲線下面積(AUC)を計算する。最終的な分類によって、良好な予測能についてモデルを再度テストする。モデルの最後の検証の後、最も調節が異常である脂質を、Sプロットまたはローディングプロットを用いて特定する。脂質の調節が異常であると特定する限界は、例えば、Sプロットのpが0.1超であり、pcorrが0.4超である。これらの最も調節が以上である脂質に関して、異なる層について膵臓癌群および健康なボランティア群の平均値を比較する箱ひげ図を用いて、正確な生物学的解釈を見つける。
[実験結果]
本発明によれば、検査対象の患者が癌に罹患しているか否かを判定できる。すなわち、健康な人と癌患者とを鑑別できる。さらに、本発明によれば、具体的な癌タイプ(本明細書では、癌の局在とも称する)も判定できる。特定の癌タイプ(または局在)の判定は、通常、検査対象の患者が癌に罹患していると判定した後の第2ステップとして行われる。
通常は、健康な人と癌患者とを鑑別する感度および特異度は高い(80%超または90%超にも達する)。特定の癌タイプ同士を鑑別する感度および特異度は、通常は低い。
〔実施例A:癌患者および健康なボランティアのヒト血漿のUHPSFC/MSによるリピドミクス解析〕
異なる癌タイプ(腎臓癌、前立腺癌および乳癌)に罹患している様々な患者の体液試料と、健康なボランティアの体液試料とに関して、UHPSFC/MSを使用して脂質プロファイルを分析した。一般的に、脂質種の絶対濃度および相対濃度を使用して、異なる健康状態にある試料の差を決定できる。以下では、試料群の間の差および試料の調製または測定における誤差を視覚化するために、絶対濃度を統計解析に用いた。中心化、変換およびパレートスケーリングを実施した後、外れ値および計測誤差を特定するために、全ての試料のPCAを行った。
図1は、健康なボランティアの170個の試料と、癌患者の282個の試料と、分類が未知である38個の試料とのPCA分析の結果を示す。
望ましくないパラメータ(分析日など)や説明がつかない外れ値のために教師なしPCAが有意なクラスタ化を示さない場合には、教師ありOPLS-DA分析を実施して、予測にも適用可能である統計モデルを改善する。不要なクラスタ化または外れ値が特定すると、その理由を特定するための追加調査が必要となる。
OPLS-DA分析のためには、分類(非癌性試料群および癌性試料群)に従って試料を定義せねばならない。OPLS-DA分析によって、試料群の間の違いを視覚化できる。両群間の差を意味する、明確な区別があることが好ましい。しかし、試料の生物学的変動のために生物の体液中の脂質パターンの差異が充分に大きくないか、あるいは、測定した脂質プロファイルにおいては調査した癌タイプが生物の体液中で充分に大きな差異を示さないために、両群に小さな重複が存在する場合がある。一般的に、癌タイプのみならず癌ステージに応じても、脂質プロファイルにおける差の程度も変化することが予期される。
図2は、両性における、健康試料(N、青色)および癌試料(T)のOPLS-DA分析を示す。
図2は、非癌性試料および癌性試料を鑑別できることを示している。しかし、偽陽性および偽陰性を伴う、両方の種類の試料が重複する一定領域が存在している。これは、現実の生体試料の分析においては、常に見込まねばならない。鑑別に関与する脂質種を理解するために、Sプロットを作成する(図3)。Sプロットにより、調査した全ての試料に関して、最も上方調節された脂質種(グラフの右上隅)および最も下方調節された脂質種(左下隅)を視覚化できる。
モデルの予測は、OPLS-DAプロットにおいて最も多く存在するものだけでなく、モデルを構築する全ての構成要素に直面している。
感度とは、試料を癌性試料として正しく予測する、モデルの予測力を表す。特異度とは、健康であると正しく予測された試料を表す。例えば、両性の健康な試料および癌性試料を含んでいるOPLS-DAモデルにおいて、合計で282個の癌試料が含まれており、そのうち252個の試料が癌試料と予測されたが、30個の試料は健康な試料と予測されたとする。このときの感度は、89.4%である。170個の健康な試料がモデルに含まれており、137個の試料が健康であると予測され、33個の試料が癌試料と予測されたとする。これのときの特異度は、80.6%である。性別および癌タイプごとに分けて統計解析を行うと、感度および特異度が向上しうる。図4は、男性の様々な癌タイプに関する、非癌性試料および癌性試料のOPLS-DAプロットを示す。
様々な癌タイプについて男性の試料を統計解析することにより、感度:93.0%、特異度:81.3%となる。
両性についての結果と比較すると、感度は89.4%から93.0%に向上し、特異度は80.6%から81.3%に向上している。
健康な試料との比較において各々の癌タイプを別々に統計解析することにより、感度および特異度が向上しうる。例えば、図5は、男性における、非癌性試料および乳癌に罹患している癌性試料を分析するためのOPLS-DAプロットを示す。
男性に関して、非癌性被験体および乳癌に罹患している癌性被験体の鑑別は明白である。ただし、れ以上の試料を病院から提供されなかったので、ごく少数の男性の乳癌試料しかモデルに含まれていない点に留意しなければならない。感度および特異度は、100%である。
図6は、男性における、非癌性試料および前立腺癌に罹患している癌性試料を分析するためのOPLS-DAプロットを示す。前立腺癌の分析に対する感度は86.6%であり、特異度は94.7%である。
図7は、男性における、非癌性試料および腎臓癌に罹患している癌性試料を分析するためのOPLS-DAプロットを示す。男性において、腎臓癌試料の分析に対する感度は90.1%であり、特異度は90.7%である。
図8は、女性における、非癌性試料および癌性試料を分析するためのOPLS-DAプロットを示す。女性において、健康な試料および癌試料の分析に対する感度は88.0%であり、特異度は87.4%である。
図9は、女性における、非癌性試料および乳癌に罹患している癌性試料を分析するためのOPLS-DAプロットを表す。女性において、乳癌試料の分析に対する感度は87.2%であり、特異度は93.7%である。
図10は、女性における、非癌性試料および腎臓癌に罹患している癌性試料を分析するためのOPLS-DAプロットを表す。女性において、腎臓癌試料の分析に対する感度は74.2%4であり、特異度は100%である。
〔実施例B:腎臓癌患者および健康なボランティアの体液(血漿、尿)のMALDI-MSによるリピドミクス解析〕
この実施例では、様々な腎臓癌患者および健康なボランティアの体液試料(血漿、尿)の脂質プロファイルについて、MALDI-MSを用いて分析した。血漿試料では、試料群の間の差および試料の調製または測定における誤差を視覚化するために、絶対濃度(内部標準に対して正規化したもの)を統計解析に使用した。これに対し尿試料では、この目的のために相対濃度を使用した。血漿試料について示される統計モデルは、以下の74個の変数を含んでいる。
SM32:1、SM33:1、SM34:2、SM34:1、SM34:0、SM35:1、SM36:2、SM36:1、SM36:0、SM37:1、SM38:2、SM38:1、SM39:2、SM39:1、SM40:3、SM40:2、SM40:1、SM41:3、SM41:2、SM41:1、SM42:3、SM42:2、SM42:1、SM43:3、SM43:2、SM43:1、Sul32:1(OH)、Sul34:2、Sul34:1、Sul34:2(OH)、Sul34:1(OH)、Sul34:0(OH)、Sul36:1、Sul36:1(OH)、Sul38:2、Sul38:1、Sul38:2(OH)、Sul38:1(OH)、Sul40:2、Sul40:1、Sul41:2、Sul40:2(OH)、Sul41:1、Sul40:1(OH)、Sul40:0(OH)、Sul42:3、Sul42:2、Sul41:2(OH)、Sul42:1、Sul41:1(OH)、Sul40:0(2OH)、Sul42:3(OH)、Sul42:2(OH)、Sul42:1(OH)、Sul42:2(2OH)、Sul42:1(2OH)、Sul42:0(2OH)、SulfoHex2Cer42:2、PI32:1、PI32:0、PI34:2、PI34:1、PI36:4、PI36:3、PI36:2、PI36:1、PI38:6、PI38:5、PI38:4、PI38:3、PI38:2、PI40:6、PI40:5、PI40:4
尿試料について示される統計モデルは、以下の46個の変数を含んでいる。
ヒドロキシプレグネノロン硫酸、C21H34O7S硫酸、C21H34O8S硫酸、コルチゾール硫酸、リトコール酸硫酸、コレステロール硫酸、グリコケノデオキシコール酸硫酸、タウロリトコール酸、タウロデオキシコール酸、スルホグリコリトコール酸、タウロコール酸、グリコケノデオキシコール酸硫酸、Sul34:1、Sul34:1(OH)、Sul36:1(OH)、Sul38:1、Sul38:1(OH)、Sul40:2、Sul40:1、Sul40:2(OH)、Sul41:1、Sul40:1(OH)、Sul40:0(OH)、Sul42:2、Sul41:2(OH)、Sul42:1、Sul41:1(OH)、Sul41:0(OH)、Sul40:0(2OH)、Sul42:2(OH)、Sul42:1(OH)、Sul42:0(OH)、Sul41:0(2OH)、Sul43:1(OH)、Sul42:1(2OH)、Sul42:0(2OH)、Sul43:0(2OH)、SulfoHex2Cer34:1、SulfoHex2Cer38:1、SulfoHex2Cer40:1、SulfoHex2Cer40:1(OH)、SulfoHex2Cer42:2、SulfoHex2Cer42:1、SulfoHex2Cer40:0(2OH)、SulfoHex2Cer42:1(OH)、SulfoHex2Cer42:0(2OH)。
図11は、両性における、健康なボランティア(N)の170個の血漿試料と、腎臓癌患者(T)の111個の血漿試料と、品質管理のプール試料(Q)である24個の血漿試料とのPCAの結果を示す。教師なしPCAモデルからでも、癌性試料群と健康な試料群との分離は明らかである。図12に示された教師ありOPLS-DAモデルを用いると、遥かによく群が分離される。このときの感度は76.6%であり、特異度は95.3%であり、確度は87.9%である。特定の性別について別々に統計解析を行うと、感度および特異度がさらに向上する(図13、14)。80人の腎臓癌患者と75人の健康なボランティア(コントロール)との血漿試料を統計解析すると、男性においては、感度:90%、特異度:93.3%(確度:91.6%)となる。32人の腎臓癌患者と95人の健康なボランティアとの血漿試料を統計解析すると、女性においては、感度:83.9%、特異度:98.9%(確度:95.2%)となる。尿試料についても、性別ごとに分けることにより、癌予測能の向上が認められている。図15は、両性に関して、健康なボランティアの70個の尿試料(男性34個、女性36個)と、腎臓癌患者の101個の尿試料(男性72個、女性29個)と、品質管理のプール試料(Q)である16個の尿試料とのPCA分析の結果を示す。両性についてのOPLS-DAモデルを、図16に示す。このモデルは、感度:87.1%、特異度:82.9%(確度:85.4%)である。それぞれの性別ごとのモデルに分離させると、男性においては、感度:93.1%、特異度:91.2%(確度:92.5%)となる(図17)。女性においては、感度:86.2%、特異度:88.9%(確度:87.7%)となる(図18)。
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Figure 0007086417000071
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Figure 0007086417000076
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〔実施例C:様々な癌性試料を鑑別するための、癌患者のヒト血漿のUHPSFC/MSによるリピドミクス解析〕
本発明の目的は、体液の中から非癌性試料と癌性試料とを鑑別することだけでなく、体内における癌の局在を予測することにもある。生物の体液中で判定可能な癌タイプによって、脂質プロファイルに差異があることが見出された。ここでもまた、OPLS-DAは、脂質プロファイルの最も軽微な差異を視覚化するツールとなりうる。
図19は、男性における、様々な癌タイプの試料(乳癌、腎臓癌、前立腺癌)のOPLS-DAプロットを表す。同図は、異なる癌タイプの脂質プロファイルには差異があることを裏付けている。
図20は、男性における、前立腺癌試料と腎臓癌試料との鑑別のためのOPLS-DAプロットを示す。男性について、感度は76.1%であり、特異度は80.3%である。
図21は、女性における、乳癌試料と腎臓癌試料との鑑別のためのOPLS-DAプロットを表す。女性について、感度は74.2%であり、特異度は96.8%である。
〔実施例D:膵臓癌の診断に関する実験結果〕
膵臓癌患者および健康なボランティアについて、男性(M)および女性(F)のヒト血清中において定量化した全ての脂質を、比、p値およびT値と併せて要約する。ショットガン測定の結果は表28に記載する。UHPSFC/MS測定の結果は表29に記載する。MALDI-MS測定の結果はは表30に記載する。
[ショットガンおよびUHPSFC/MSのデータを用いる、既知の分類に基づく膵臓癌モデル]
ショットガンおよびUHPSFC/MSのデータセットのいずれも、292個の既知の血清試料に基づいて統計モデルを構築する。これらの統計解析には、絶対濃度(内部標準に対して正規化したもの)を使用する。まず、教師なしPCA法によって、データが正常に分布しているかどうかを確認する。この分布により、癌患者クラスと健康なボランティア(コントロール)クラスとが部分的に分離されていることが、既に示される。次に、教師ありOPLS-DAモデルを作成して、非癌性血清試料クラスと癌性血清試料クラスとの分離を向上させる(図22)。この実施例は、UHPSFC/MSおよびショットガンMSを使用して得られたデータを組み合わせたものであるが、特異度は98.7%であり、感度は98.6%であった(確度は98.6%)。これらのモデルには、使用される全ての脂質(完全なリピドーム)が含まれており、SIMCAソフトウェアによって自動的に計算されるものである。次に、図23(男性)および図24(女性)について、性別ごとに分離した後のOPLS-DA統計モデルを示す。これらのモデルによって、非癌性試料と癌性試料との鑑別がさらに向上する。このモデルにおいて、男性の場合は感度:100%、特異度:100%(確度:100%)であり、女性の場合は感度:100%、特異度:95.9%(確度:98.7%)であった。両群の間に差異が存在しており、膵臓癌分類のためのモデルの信頼性が視覚的に明らかになっている点が注目に値する。
[ショットガンおよびUHPSFC/MSのデータを用いる、未知の分類に基づく膵臓癌モデル]
次の工程は、分類を隠した未知の試料のために、既知の分類を有する試料に基づいて作成したOPLS-DAモデルの質を検証することである。癌患者である確率を、4つの最終モデル(1.ショットガンMSのOPLS-DA、2.UHPSFC/MSのOPLS-DA、3.全データのOPLS-DA、4.全データのサポートベクターマシン(SVM))と、最終的な全モデルの平均(最終割付けに使用される)とを使用して推定する。推定値が0.5超である場合に観察結果を腫瘍と分類し、確率が0.5未満である場合に観察結果を健康なボランティアと分類する(図25、26)。三角形のマークは観察結果「確実に健康」を示し、四角形のマークは観察結果「健康」を示し、星形のマークは観察結果「癌」を示し、菱形のマークは観察結果「確実に癌」を示す。期待通り、モデルの予測能は非常に良好であった(73個の未知の試料のうち、誤って分類されたのは4個であった)。表31、32に、結果として得られた試料の割付けを示す。
Figure 0007086417000078
Figure 0007086417000079
Figure 0007086417000080
Figure 0007086417000081
Figure 0007086417000082
Figure 0007086417000083
Figure 0007086417000084
Figure 0007086417000085
Figure 0007086417000086
Figure 0007086417000087
Figure 0007086417000088
Figure 0007086417000089
Figure 0007086417000090
Figure 0007086417000091
[ヒト血清、血漿、尿または他の体液のリピドミクス解析に基づく、膵臓癌患者の早期スクリーニングおよび治療のモニタリングのための試料処理能力の計算]
100個のヒト血清(血漿、尿または他の種類の体液)試料に関する計算
(器具類)
・1台のMSシステム(ショットガンMS、UHPSFC/MSまたはMALDI-MS)
・バイオセーフティレベル(BSL)2体制にある試料調製用の実験室
Figure 0007086417000092
1000個のヒト血漿試料に関する計算
7×10=70労働日-幾分かの多重化と可能な週末自動運転による削減=約3箇月。
MSシステム1台あたりの年間試料数
1000(3箇月あたり)×4=約4000試料/年。
試料調製のさらなる自動化、データ処理、タスクの多重化、および解析時間の短縮により、試料処理能力を最低でも2倍以上に向上させることができる。
本発明の方法は、リスク因子(年齢、性別、BMI、遺伝的性質、リスク行動など)に基づいた、母集団全体または選抜集団の集団スクリーニングに使用できる。集団スクリーニングにおいて所定の閾値を超えて陽性であった被験体は、その後、追加検査および追加試験を受診できる(コンピュータ断層撮影または他の高度な画像検査法など)。このスクリーニング方法は、非侵襲的であり、ハイスループットな形態で実施でき、初期ステージの癌を検出できる。それゆえ、この方法は、初期ステージ癌を含む様々な癌タイプに対する日常的なスクリーニングに好適な、これまでに知られていなかった方法である。この分析方法は、食品医薬品局または欧州医薬品庁(EMEA)など権威ある機関の勧告に沿って、充分に検証されている。

Claims (12)

  1. 患者の身体から採取された体液のリピドミクス解析に基づいて癌を診断するための方法であって、
    上記体液は、血清、血漿、血液および尿から選択され、
    上記癌は、膵臓癌または腎臓癌であり、
    下記の工程を含む方法:
    (a)試料に内部標準セットを加える工程であって、当該内部標準セットは上記試料に存在する脂質クラスの各々に対して1つ以上の内部標準を含んでいる工程;
    (b)工程(a)の後に、上記試料を、液液リピドミクス抽出または固相リピドミクス抽出によって処理する工程;
    (c)処理された上記試料を、質量分析法によって測定する工程;
    (d)51種類以上の脂質の濃度を決定する工程であって、(i)上記脂質クラスに対応する上記内部標準を定量用に用いて、(ii)相対濃度を用いて、または、(iii)濃度比および/または信号強度を用いて、脂質の濃度を決定する工程;
    (e)上記脂質の決定された濃度を統計評価する工程であって、上記統計評価は、決定された上記脂質濃度と、特定の癌性パターンおよび非癌性パターンとの比較に基づいて、上記患者が腎臓癌または膵臓癌に罹患している確率のレベルを示す工程;
    ここで、上記特定の癌性パターンおよび非癌性パターンは、既知の癌試料群および既知の非癌試料群に対する上記脂質濃度の統計解析によって決定され、
    上記統計評価は、男女を区別して実施し、
    上記51種類以上の脂質は、以下の脂質の全てを含んでいる。
    Figure 0007086417000093
  2. 上記工程(d)では、質量分析法の検出閾値を超えるレベルで存在する全ての脂質の濃度を決定する、請求項1に記載の方法。
  3. 患者の身体から採取された体液のリピドミクス解析に基づいて膵臓癌を診断するための方法であって、
    上記体液は、血清、血漿、血液および尿から選択され、
    下記工程を含む方法:
    (a)試料に内部標準セットを加える工程であって、当該内部標準セットは上記試料に存在する脂質クラスの各々に対して1つ以上の内部標準を含んでいる工程;
    (b)工程(a)の後に、液液リピドミクス抽出によって上記試料を処理する工程;
    (c)処理された上記試料を、質量分析法によって測定する工程;
    (d)31種類以上の脂質の濃度を決定する工程であって、(i)上記脂質クラスに対応する上記内部標準を定量用に用いて、(ii)相対濃度を用いて、または、(iii)濃度比および/または信号強度を用いて、脂質の濃度を決定する工程;
    (e)上記脂質の決定された濃度を統計評価する工程であって、上記統計評価は、決定された上記脂質濃度と、膵臓癌パターンおよび非癌性パターンとの比較に基づいて、上記患者が膵臓癌に罹患している確率のレベルを示す工程;
    ここで、上記膵臓癌パターンおよび非癌性パターンは、既知の膵臓癌試料群および既知の非癌試料群に対する上記脂質濃度の統計解析によって決定され、
    上記統計評価は、男女を区別して実施し、
    上記31種類以上の脂質は、以下の脂質の全てを含んでいる。
    Figure 0007086417000094
  4. 上記工程(d)では、質量分析法の検出閾値を超えるレベルで存在する全ての脂質の濃度を決定する、請求項3に記載の方法。
  5. 上記患者は、哺乳動物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. (i)上記内部標準は、外因性脂質化合物であり、上記外因性脂質化合物は、
    関連する脂質クラスに典型的な極性頭部構造と、
    天然に存在する脂質よりも鎖が短い脂肪酸アシル、または、炭素原子数が奇数個である脂肪酸アシルと、を有している、
    あるいは、
    (ii)上記内部標準は、同位体で標識されている、関連する脂質クラスの脂質のアナログである、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 内部標準セットは、以下の全てを含んでいる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
    Figure 0007086417000095
  8. 上記質量分析法は、ショットガン質量分析、超高性能液体クロマトグラフィ-質量分析、超高性能超臨界流体クロマトグラフィ-質量分析、および、マトリクス支援レーザ脱離イオン化質量分析から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 同体積の試料を複数個混合して調製したプール試料を、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法により処理し、
    上記プール試料は、膵臓癌患者由来の試料および健康なボランティア由来の試料を含んでおり、
    上記プール試料を、(i)日内確度および日内精度の監視用、および/または、(ii)日間確度および日間精度の監視用、および/または、(iii)定量の下限および上限の決定用、および/または、(iv)試料セットの測定中の品質管理用に用いる、
    請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 上記工程(c)では、複数の試料を測定し、
    試料の測定シーケンスにおいて、試料の順序はランダム化されている、
    請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 上記工程(d)では、脂質クラスに対応する上記内部標準を定量に用いて、質量分析法の定量下限を超えるレベルで存在する全ての脂質の濃度を決定し、
    上記工程(d)は、下記の処理および補うちの1つ以上を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法:
    (a)同位体補正;
    (b)特定の試料に関して検出されていない脂質種の信号を、全ての試料において上記脂質種に関して観測された最低濃度の50~100%によって置換するゼロフィリング処理。
  12. 上記統計評価は、下記のいずれか1つ以上を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法:
    (a)データの前処理;
    (b)影響因子の特定のためのPCA分析;
    (c)膵臓癌患者群と健康なボランティア群とを分離するための、男女を区別して実施するOPLS-DAによる判別分析;
    (d)統計パラメータの割付けおよび予測力の評価。
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