JP7083663B2 - ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を検出する方法及びキット - Google Patents
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Description
特許文献4は、カスパーゼ活性の検出にルシフェリン基質を使用している。
すなわち本発明は、以下の実施形態を包含する:
[1] ペプチド部分と、アミノルシフェリン部分とを含む合成基質
及びルシフェラーゼを用いる、ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を検出する方法。
[2] 前記合成基質のペプチド部分が、
i) アルギニンからなる、
ii) X1-(アルギニン)からなるジペプチド(式中、X1は任意のアミノ酸である)、又は
iii) X1-X2-(アルギニン)からなるトリペプチド(式中、X1及びX2は、それぞれ独立に任意のアミノ酸である)、
である、1に記載の方法。
[3] 前記合成基質がペプチド部分のN末端側に保護基を有し、該保護基がベンジルオキシカルボニル基(Z)、t-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)又はベンゾイル基(Bzo)である、1又は2に記載の方法。
[4] 前記合成基質がZ-Phe-Arg-アミノルシフェリン、Bzo-L-Arg-アミノルシフェリン、Bzo-D-Arg-アミノルシフェリン、Phe-Arg-アミノルシフェリン、及びArg-アミノルシフェリンからなる群より選択される、1~3のいずれかに記載の方法。
[5] i) ジンジパイン活性を含みうる試料又は被験体に由来する生物学的試料と、前記合成基質とを接触させる工程、
ii) 前記試料及び合成基質を含む系とルシフェラーゼとを接触させる工程、及び
iii) アミノルシフェリン及びルシフェラーゼによる発光を測定する工程、
を含む、
1~4のいずれかに記載の方法。
[6] i) ルシフェラーゼと前記合成基質とを接触させる工程、
ii) 前記ルシフェラーゼ及び合成基質を含む系とジンジパイン活性を含みうる試料又は被験体に由来する生物学的試料とを接触させる工程、及び
iii) アミノルシフェリン及びルシフェラーゼによる発光を測定する工程、
を含む、
1~4のいずれかに記載の方法。
[7] 被験体に由来する生物学的試料が、唾液、歯垢、歯石又は舌苔の採取物である、5又は6に記載の方法。
[8] 発光の測定により、ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を定量的に測定する、1~7のいずれかに記載の方法。
[9] ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌の検出により、歯周病の診断を補助する、1~8のいずれかに記載の方法。
[10] ペプチド部分と、アミノルシフェリン部分とを含む合成基質
並びにルシフェラーゼを含む、ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を検出するためのキット。
[11] 前記合成基質のペプチド部分が、
i) アルギニンからなる、
ii) X1-(アルギニン)からなるジペプチド(式中、X1は任意のアミノ酸である)、又は
iii) X1-X2-(アルギニン)からなるトリペプチド(式中、X1及びX2は、それぞれ独立に任意のアミノ酸である)、
10に記載のキット。
[12] 前記合成基質がペプチド部分のN末端側に保護基を有し、該保護基がベンジルオキシカルボニル基(Z)、t-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)又はベンゾイル基(Bzo)である、10又は11に記載のキット。
[13] 前記合成基質がZ-Phe-Arg-アミノルシフェリン、Bzo-L-Arg-アミノルシフェリン、Bzo-D-Arg-アミノルシフェリン、Phe-Arg-アミノルシフェリン、及びArg-アミノルシフェリンからなる群より選択される、10~12のいずれかに記載のキット。
[14] ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を定量的に測定するための、10~13のいずれかに記載のキット。
[15] 歯周病診断用である、10~14のいずれかに記載のキット。
ある実施形態において本発明は、この合成基質を用いる、ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を検出する方法を提供する。
i) アルギニンからなる、
ii) X1-(アルギニン)からなるジペプチド(式中、X1は任意のアミノ酸である)、又は
iii) X1-X2-(アルギニン)からなるトリペプチド(式中、X1及びX2は、それぞれ独立に任意のアミノ酸である)、
であり得る。X1やX2は、典型的には20種の天然アミノ酸であり得る。
並びにこれらの基質を脱保護した基質Phe-Arg-アミノルシフェリン、Arg-アミノルシフェリンからなる群より選択され得る。
Z-Tyr-Arg-アミノルシフェリン、Tyr-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Trp-Arg-アミノルシフェリン、Trp-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Met-Arg-アミノルシフェリン、Met-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Leu-Arg-アミノルシフェリン、Leu-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Ile-Arg-アミノルシフェリン、Ile-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Val-Arg-アミノルシフェリン、Val-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Ala-Arg-アミノルシフェリン、Ala-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Gly-Arg-アミノルシフェリン、Gly-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Pro-Arg-アミノルシフェリン、Pro-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Cys-Arg-アミノルシフェリン、Cys-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Gln-Arg-アミノルシフェリン、Gln-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Asn-Arg-アミノルシフェリン、Asn-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Thr-Arg-アミノルシフェリン、Thr-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Ser-Arg-アミノルシフェリン、Ser-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Glu-Arg-アミノルシフェリン、Glu-Arg-アミノルシフェリン、
Z-Asp-Arg-アミノルシフェリン、Asp-Arg-アミノルシフェリン、
Z-His-Arg-アミノルシフェリン、His-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Tyr-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Trp-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Met-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Leu-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Ile-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Val-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Ala-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Gly-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Pro-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Cys-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Gln-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Asn-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Thr-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Ser-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Glu-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-Aps-Arg-アミノルシフェリン、
Boc-His-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Tyr-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Trp-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Met-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Leu-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Ile-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Val-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Ala-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Gly-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Pro-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Cys-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Gln-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Asn-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Thr-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Ser-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Glu-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-Aps-Arg-アミノルシフェリン、
Fmoc-His-Arg-アミノルシフェリン、
Z-X1-X2-Arg-アミノルシフェリン[式中、X1及びX2は、それぞれ独立に任意のアミノ酸]、
Boc-X1-X2-Arg-アミノルシフェリン[式中、X1及びX2は、それぞれ独立に任意のアミノ酸]、
Bzo-X1-X2-Arg-アミノルシフェリン[式中、X1及びX2は、それぞれ独立に任意のアミノ酸] 及び
Fmoc-X1-X2-Arg-アミノルシフェリン[式中、X1及びX2は、それぞれ独立に任意のアミノ酸]。合成基質は、一般的な有機合成の手法により合成しうる。本発明の基質の合成に当たり、保護基は必要となることがあるが、このことは必ずしも、ジンジバリス菌の検出に用いる合成基質中に当該保護基が必須であることを意味しない。すなわち、本明細書では、便宜上合成基質の部分として保護基を記載したが、これを脱保護してから、保護基を有しない合成基質をジンジバリス菌の検出に用いてもよい。すなわち、本発明の合成基質には、脱保護され、保護基を有しないものも包含されるものとする。本発明の合成基質の誘導体若しくは均等物についても同様である。また所望の化合物の生成は、薄層クロマトグラフィーやNMRにより確認することができる。
i) サンプルと合成基質とを接触させる工程、
ii) サンプル及び合成基質を含む系とルシフェラーゼとを接触させる工程、及び
iii) アミノルシフェリン及びルシフェラーゼによる発光を測定する工程、
を含み得る。測定された発光量は、適当な参照と比較することができる。例えば参照により、バックグラウンドノイズについて補正することができる。サンプルはジンジパイン活性を含み得る試料又は被験体に由来する生物学的試料であり得る。発光の測定は経時的にモニタリングしてもよい。或いは、発光の測定は、一定時間経過後に行ってもよい。この様な態様を本明細書において、蓄積型の測定ということがある。
i) 合成基質とルシフェラーゼとを予め接触させる工程、
ii) サンプルと、前記合成基質及びルシフェラーゼを含む系とを接触させる工程、及び
iii) 発光を測定する工程、
を含みうる。この系では、i)の工程において、一定時間ルシフェラーゼと合成基質試薬とを反応させることにより、合成基質の分解などで生じたアミノルシフェリンが消費され、バックグラウンド発光が低減された状態にでき、高感度な測定が可能になる。すなわち、この系では、バックグラウンドの発光が十分に低減されているため、コントロールを差し引くことなく測定された発光量をそのまま、当該サンプルについての発光量とすることができる。ii)の工程において、ジンジパイン活性により生成するアミノルシフェリン量とルシフェラーゼにより消費されるアミノルシフェリン量が平衡状態になり、iii)の工程でジンジパインの活性に応じた発光量が得られる。このような態様を本明細書において、平衡型の測定ということがある。サンプルの発光量が多い場合には、希釈系列を作製して測定を行ってもよい。ジンジパイン活性量が既知のサンプルについての発光量から検量線を作成し、活性量未知のサンプルに含まれるジンジパイン活性を決定し得る。この実施形態では、ルシフェラーゼを通常よりも多めに用いてもよい。
i) サンプルとルシフェラーゼを予め接触させる工程、
ii) 前記サンプル及びルシフェラーゼを含む系と合成基質とを接触させる工程、及び
iii) 発光を測定する工程、
を含みうる。この実施形態では、ルシフェラーゼを通常よりも多めに用いてもよい。
以下を含む合成基質試薬を調製する。
アミノルシフェリン部分を有する合成基質 0.1mM
これをサンプル、例えばジンジパイン活性を有する可能性のあるサンプルと接触させる。
以下を含むルシフェリン測定用試薬を調製する。
アデノシン三リン酸2Na 1mM
トリシン(pH7.8) 50mM
エチレンジアミン四酢酸(EDTA) 1mM
酢酸マグネシウム 12.5mM
スクロース 1(重量)%
ウシ血清アルブミン(BSA) 0.5(重量)%
ルシフェラーゼ 0.5GLU/mL
なお、この測定用試薬は場合により還元剤をさらに含んでもよい。
以下を含む活性測定試薬(平衡型)を調製する。
0.1mL 0.1mM合成基質溶液
1mL ルシフェリン測定用試薬
活性測定試薬(平衡型)は、室温にて60分静置して、ブランク発光量が十分下がったことを確認して、発光測定に使用する。なお、この活性測定試薬は場合により還元剤をさらに含んでもよい。またルシフェリン測定用試薬は上記と同様である。
ある実施形態では、本発明の方法又はキットを用いて、ジンジバリス菌用或いは歯周病用の薬剤候補化合物のスクリーニングを行うことができる。例えば、ある実施形態では、ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を含むサンプルに、薬剤候補化合物、或いは化合物ライブラリーを適用する。次いで、一定期間培養するなどして薬剤候補化合物を作用させる。次いで、サンプル又は培養物を採取し、残存するジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌の量を測定する。これを適当なネガティブコントロールやポジティブコントロールと比較することにより、当該候補化合物が、ジンジバリス菌に作用するか否かを決定しうる。すなわち、本発明の試験サンプルは、被験体由来のものに限定されず、ジンジバリス菌培養物なども含みうる。このスクリーニングは慣用の技術を用いてハイスループット化してもよい。
材料及び方法
特に断らない限り、化合物は市販品を用いた。6-アミノ-2-シアノベンゾチアゾール(CAS No. 7724-12-1)、及びH-L-Arg(Pbf)-OH(CAS No. 200115-86-2)は市販品を用いることができる(シグマ社)。別法として、6-アミノ-2-シアノベンゾチアゾールは、2-クロロベンゾチアゾールから出発して、HNO3及びH2SO4を用いて6位をニトロ化し、次いでニトロ基をFe存在下で還元し(アミノ基とし)、クロロ基をKCNを用いてシアノ基に置換することにより合成し得る。Bzo-Arg(Pbf)-OHは、H-Arg(Pbf)-OHをベンゾイル化して取得し得る(Hidaka, Y. et al., FEBS Lett. 2005, 579, 4088参照)。
Arg-EP酵素溶液を用いた反応性の確認
ジンジバリス菌に含まれるアルギニン特異的システインプロテアーゼ(Arg-ジンジパイン)と同様にアルギニンのC末端側を切断するプロテアーゼの活性を示す、アルギニルエンドペプチダーゼ(Arg-EP)を用いて、本発明の発光法の反応性を確認した。
Arginylendopeptidase(Arg-EP)は、(タカラバイオ、製品コード7308)は、酵素希釈バッファーを用いて、各濃度に希釈した。酵素希釈バッファーは、添付のAg-EP 5×バッファー(250mM リン酸ナトリウム(pH8.0))を、滅菌超純水にて5倍希釈し調製した。希釈前のArg-EP(Lot.C401AB)の原液は、0.8U/mg protein、1.13mg/mLであり、0.9U/mLと算出した。
Bzo-L-Arg-アミノルシフェリン、Bzo-D-Arg-アミノルシフェリン、Z-Phe-Arg-アミノルシフェリンを50mMになるようにジメチルスルホキシド(和光純薬工業)にて溶解し、0.1mMになるように、基質希釈液(50mM Tricine(同仁化学)、5mM L-システイン(シグマ・アルドリッチ)、pH7.5)にて500倍希釈し、これを発光基質溶液とした。
1mM アデノシン三リン酸2Na(オリエンタル酵母)、50mM トリシン(pH7.8)1mM EDTA・2Na(同仁化学)、12.5mM 酢酸マグネシウム四水和物(和光純薬工業)、1% スクロース(和光純薬工業)、0.5% ウシ血清アルブミン(シグマ・アルドリッチ)、0.5GLU/mL LUC-H(ルシフェラーゼ)(キッコーマンバイオケミファ、Code:61314)になるように調製し、これをルシフェリン測定用試薬とした。
10μL 各発光基質溶液(0.1mM)に、10μL 各濃度のArg-EP酵素溶液を添加し、これを反応液とし、25℃にて静置した。2分後、反応液を2μL採取し、100μLのルシフェリン測定用試薬に添加し、混合後、発光量をルミテスターC-110(キッコーマンバイオケミファ)にて測定した。
各基質溶液におけるArg-EPを用いた発光測定における発光量を図1から図3に示した。Arg-EPの濃度に応じた発光量が得られたことから、本法は、アルギニンのC末端側を切断する酵素活性を有する酵素を定量性よく検出することが可能な方法であると言える。
ジンジバリス菌ライセートの調製
歯周病の主な原因として知られているPorphyromonas gingivalis JCM8525、Porphyromonas gingivalis JCM12257を培養して、ライセートを調製した。
10μL 0.1mM 各発光基質溶液に、各希釈の微生物ライセートを10μL添加し、25℃にて2分間静置した。この反応液を2μL採取し、100μLのルシフェリン測定用試薬に添加し、混合後、発光量をルミテスターC-110(キッコーマンバイオケミファ)にて測定した。
発光測定法(蓄積型)による各微生物ライセートに対する反応性
ジンジパインを有するPorphyromonas gingivalis JCM8525、及びJCM12257では、高い発光量を示したのに対して、ジンジパインを持たないEscherichia coliでは低い発光量であり、ジンジバリス菌特異的に検出可能な方法であることが確認された(図4参照)。
発色基質を用いた歯周病原菌検出用試薬であるバナペリオ(BANAMet LLC社、Code:13200100)を用いて、本キットはN-ベンゾイル-DL-アルギニル-βナフチルアミド・塩酸塩を基質とし、2,5-ジメトキシ-4-([4-ニトロフェニル]アゾ)ベンゼンジアゾニウムクロライド・1/2塩化亜鉛を発色剤とするキットである。
バナペリオによるジンジバリス菌検出の判定結果を表1に示した。またそのときのバナカードの写真を図5に示した。
発光測定法(蓄積型)による各微生物ライセートの測定
10μL 0.1mM各発光基質溶液に、各希釈の微生物ライセートを10μL添加し、25℃にて5分間静置した。この反応液を2μL採取し、100μLのルシフェリン測定用試薬に添加し、混合後、発光量をルミテスターC-110(キッコーマンバイオケミファ)にて測定した。
各基質を用いた場合の発光量を、図6から8に示した。尚、図はライセートの代わりにライセート希釈用のPBSを検体としてときのブランク発光量を差し引いたものをプロットした。
発光測定法(平衡型)による各微生物ライセートの測定
活性測定試薬(平衡型)の調製
0.1mLの0.1mM各発光基質溶液(終濃度8.3μM)に0.1mLの50mM L-システインを加え、1mLのルシフェリン測定用試薬を添加したものを活性測定試薬(平衡型)とした。活性測定試薬(平衡型)は、室温にて60分静置して、ブランク発光量が十分下がったことを確認して、発光測定に使用した。
100μLの活性測定試薬(平衡型)に10μLの各希釈率のライセートを添加し、室温にて10分間静置した。10分静置後の発光量をルミテスターC-110(キッコーマンバイオケミファ)にて測定した。
活性測定試薬(平衡型)を用いた場合の発光量を図9から11に示した。直線性に優れた検量線が得られ、いずれも1000倍希釈の微生物ライセートでも測定可能であった。1000倍希釈のライセートを測定したときのシグナルノイズ比(S/N比)が、Bzo-L-Arg-アミノルシフェリンでは2.1、Bzo-D-Arg-アミノルシフェリンでは、1.7、Z-Phe-Arg-アミノルシフェリンでは、18であり、このことから、比較例1では10又は20倍の検出限界であることから、本発明の発光基質を用いた方法では、従来法と比較して、大幅に高感度に測定できると言える。
1) Wang, P. et al., Chem. Commun. 2013, 49, 8644.
2) Takakura, H. et al., Chem. Asian J. 2011, 6, 1800.
3) Reddy, G. R. et al., J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 13586.
4) WO2004/37251 A1, 2004.
5) Li, J. et al., Anal. Chem. 2014, 86, 2747.
6) US2011/0213124 A1, 2011.
7) Bergmann, M. et al., J. Biol. Chem. 1939, 127, 643.
8) Hidaka, Y. et al., FEBS Lett. 2005, 579, 4088.
9) Carpino, L. A. et al., Tetrahedron Lett. 1993, 34, 7829.
10) Kunishima, M. et al., Tetrahedron, 2001, 57, 1551-1558.
Claims (11)
- ペプチド部分と、アミノルシフェリン部分とを含む合成基質
及びルシフェラーゼを用いる、ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を検出する方法であって、
前記合成基質のペプチド部分が、
i) アルギニンからなる、
ii) X1-(アルギニン)からなるジペプチド(式中、X1は任意のアミノ酸である)、又は
iii) X1-X2-(アルギニン)からなるトリペプチド(式中、X1及びX2は、それぞれ独立に任意のアミノ酸である)、
ものであり、
前記合成基質がペプチド部分のN末端側に保護基を有している場合には、当該保護基がベンジルオキシカルボニル基(Z)、t-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)又はベンゾイル基(Bzo)である、
前記方法。 - 前記合成基質がZ-Phe-Arg-アミノルシフェリン、Bzo-L-Arg-アミノルシフェリン、Bzo-D-Arg-アミノルシフェリン、Phe-Arg-アミノルシフェリン、及びArg-アミノルシフェリンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- i) ジンジパイン活性を含みうる試料又は被験体に由来する生物学的試料と、前記合成基質とを接触させる工程、
ii) 前記試料及び合成基質を含む系とルシフェラーゼとを接触させる工程、及び
iii) アミノルシフェリン及びルシフェラーゼによる発光を測定する工程、
を含む、
請求項1又は2に記載の方法。 - i) ルシフェラーゼと前記合成基質とを接触させる工程、
ii) 前記ルシフェラーゼ及び合成基質を含む系とジンジパイン活性を含みうる試料又は被験体に由来する生物学的試料とを接触させる工程、及び
iii) アミノルシフェリン及びルシフェラーゼによる発光を測定する工程、
を含む、
請求項1又は2に記載の方法。 - 被験体に由来する生物学的試料が、唾液、歯垢、歯石又は舌苔の採取物である、請求項3又は4に記載の方法。
- 発光の測定により、ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を定量的に測定する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
- ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌の検出により、歯周病の診断を補助する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
- ペプチド部分と、アミノルシフェリン部分とを含む合成基質
並びにルシフェラーゼを含む、ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を検出するためのキットであって、
前記合成基質のペプチド部分が、
i) アルギニンからなる、
ii) X1-(アルギニン)からなるジペプチド(式中、X1は任意のアミノ酸である)、又は
iii) X1-X2-(アルギニン)からなるトリペプチド(式中、X1及びX2は、それぞれ独立に任意のアミノ酸である)、
であり、
前記合成基質がペプチド部分のN末端側に保護基を有している場合には、当該保護基がベンジルオキシカルボニル基(Z)、t-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)又はベンゾイル基(Bzo)である、前記キット。 - 前記合成基質がZ-Phe-Arg-アミノルシフェリン、Bzo-L-Arg-アミノルシフェリン、Bzo-D-Arg-アミノルシフェリン、Phe-Arg-アミノルシフェリン、及びArg-アミノルシフェリンからなる群より選択される、請求項8に記載のキット。
- ジンジパインを産生する微生物又はジンジバリス菌を定量的に測定するための、請求項8又は9に記載のキット。
- 歯周病診断用である、請求項8~10のいずれか1項に記載のキット。
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