JP7083471B2 - 推定装置、推定プログラムおよび推定方法 - Google Patents

推定装置、推定プログラムおよび推定方法 Download PDF

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Description

この発明は推定装置、推定プログラムおよび推定方法に関し、特にたとえば、被験者の催眠暗示に対する被暗示性の高低を推定する、推定装置、推定プログラムおよび推定方法に関する。
この発明の背景技術は無かった。たとえば、非特許文献1によれば、催眠暗示に対する感受性または被暗示性の高さを推定または判定する方法が開示される。具体的には、催眠誘導と12項目の催眠暗示から構成されたリラクセーション教示の音声が参加者に提示され、音声の提示をすべて終えた後に、参加者がハーヴァード集団催眠感受性尺度形式Aの各催眠暗示項目に対する行動的反応をどの程度付随的に体験したと感じたかを回答する。この回答に基づいて、参加者の催眠暗示に対する行動的催眠反応性すなわち被暗示性の高さが推定または判定されていた。
Shor, R. E., & Orne, E. C. (1962). Harvard group scale of hypnotic susceptibility. Consulting Psychologists Press.
しかし、上記のような推定方法では、参加者のような被験者は、ハーヴァード集団催眠感受性尺度形式Aの各催眠暗示項目に対して回答する必要があり、面倒であった。また、回答は自己申告であるため、被暗示性の高さを客観的に推定することができなかった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、推定装置、推定プログラムおよび推定方法を提供することである。
この発明の他の目的は、被験者の脳波信号に基づいて催眠暗示に対する被暗示性の高低を推定することができる、推定装置、推定プログラムおよび推定方法を提供することである。
第1の発明は、暗示音声を聞く被験者の脳波信号に基づいて当該被験者の被暗示性の高低を推定する推定装置であって、暗示音声を聞く被験者の脳波信号を取得する取得手段と、取得手段によって取得された脳波信号を周波数解析する解析手段と、解析手段によって周波数解析された脳波信号の差分エントロピーのベクトルを算出する算出手段と、複数の被験者の各々について算出手段によって算出された差分エントロピーのベクトルと、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果を用いて学習を行うことにより、被暗示性の高低を識別する識別器を構築する構築手段と、取得手段によって、識別器の構築における複数の被験者とは異なる他の被験者が暗示音声を聞く時の脳波信号を取得し、取得された当該脳波信号を解析手段によって周波数解析し、周波数解析された当該脳波信号の差分エントロピーのベクトルを算出手段によって算出し、当該差分エントロピーのベクトルを識別器に入力することにより、当該他の被験者の被暗示性の高低を推定する推定手段を備え、構築手段は、複数の被験者の各々について算出手段によって算出された差分エントロピーのベクトルのうち、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果に基づいて被暗示性の高低を分類した第1分類結果と、当該第1分類結果に基づいて差分エントロピーを所定のクラスリングのアルゴリズムにより被暗示性の高低を分類した第2分類結果が一致する当該差分エントロピーのベクトルを用いて学習を行う、推定装置である。
第2の発明は、第1の発明に従属し、取得手段は、被験者の前頭部、側頭部、中心溝、頭頂部および後頭部に配置された複数の電極の各々で検出された脳波信号の各々を取得する。
第3の発明は、第1の発明に従属し、取得手段は、被験者の前頭部に配置された複数の電極の各々で検出された脳波信号の各々を取得する。
の発明は、第1から第の発明までのいずれかに従属し、解析手段は、脳波信号のθ波、α波およびβ波の周波数帯域のパワーの値であるパワースペクトル密度を算出する。
の発明は、暗示音声を聞く被験者の脳波信号に基づいて当該被験者の被暗示性の高低を推定する推定プログラムであって、コンピュータのプロセッサに、暗示音声を聞く被験者の脳波信号を取得する取得ステップと、取得ステップにおいて取得した脳波信号を周波数解析する解析ステップと、解析ステップにおいて周波数解析した脳波信号の差分エントロピーのベクトルを算出する算出ステップと、複数の被験者の各々について算出ステップにおいて算出した差分エントロピーのベクトルと、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果を用いて学習を行うことにより、被暗示性の高低を識別する識別器を構築する構築ステップと、取得ステップにおいて、識別器の構築における複数の被験者とは異なる他の被験者が暗示音声を聞く時の脳波信号を取得し、取得した当該脳波信号を解析ステップにおいて周波数解析し、周波数解析した当該脳波信号の差分エントロピーのベクトルを算出ステップにおいて算出し、当該差分エントロピーのベクトルを識別器に入力することにより、当該他の被験者の被暗示性の高低を推定する推定ステップを実行させ、構築ステップは、複数の被験者の各々について算出ステップにおいて算出した差分エントロピーのベクトルのうち、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果に基づいて被暗示性の高低を分類した第1分類結果と、当該第1分類結果に基づいて差分エントロピーを所定のクラスリングのアルゴリズムにより被暗示性の高低を分類した第2分類結果が一致する当該差分エントロピーのベクトルを用いて学習を行う、推定プログラムである。
の発明は、暗示音声を聞く被験者の脳波信号に基づいて当該被験者の被暗示性の高低を推定する推定方法であって、(a)暗示音声を聞く被験者の脳波信号を取得するステップと、(b)ステップ(a)において取得した脳波信号を周波数解析する解析ステップと、(c)ステップ(b)において周波数解析した脳波信号の差分エントロピーのベクトルを算出するステップと、(d)複数の被験者の各々についてステップ(c)において算出した差分エントロピーのベクトルと、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果を用いて学習を行うことにより、被暗示性の高低を識別する識別器を構築するステップと、(e)ステップ(a)において、識別器の構築における複数の被験者とは異なる他の被験者が暗示音声を聞く時の脳波信号を取得し、取得した当該脳波信号をステップ(b)において周波数解析し、周波数解析した当該脳波信号の差分エントロピーのベクトルをステップ(c)において算出し、当該差分エントロピーのべクトルを識別器に入力することにより、当該他の被験者の被暗示性の高低を推定するステップを含み、ステップ(d)は、複数の被験者の各々についてステップ(c)において算出した差分エントロピーのベクトルのうち、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果に基づいて被暗示性の高低を分類した第1分類結果と、当該第1分類結果に基づいて差分エントロピーを所定のクラスリングのアルゴリズムにより被暗示性の高低を分類した第2分類結果が一致する当該差分エントロピーのベクトルを用いて学習を行う、推定方法である。
この発明によれば、被験者の脳波信号に基づいて催眠暗示に対する被暗示性の高低を推定することができる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1は第1実施例の推定システムの電気的な構成の一例を示すブロック図である。 図2は被験者がブレインキャップを装着した場合の複数の電極の配置状態を示す模式的な図である。 図3は被暗示性の高い被験者および被暗示性の低い被験者の脳波信号に基づいて算出された差分エントロピーを学習して識別器を構築する学習の工程を説明するための図である。 図4は学習の工程とは関係の無い被験者の被暗示性の高低を推定する推定の工程を説明するための図である。 図5は図1に示す推定装置に内蔵されるRAMのメモリマップの一例を示す図である。 図6は図1に示す推定装置に内蔵されるCPUの構築処理の一例を示すフロー図である。 図7は図1に示す推定装置に内蔵されるCPUの推定処理の一例を示すフロー図である。 図8(A)はハーヴァードテストにおけるアンケートの回答に基づいて被暗示性の高低を分類された被験者の差分エントロピーのベクトルの特徴空間における分布を示すθ-α面についてのグラフであり、図8(B)はK平均法により被暗示性の高低を分類された差分エントロピーのベクトルの特徴空間における分布を示すθ-α面についてのグラフである。 図9は、K平均法の適用前において、被暗示性が高いおよび被暗示性が低いと判定された複数の被験者について電極F3で検出された脳波信号に基づいて算出された差分エントロピーの分布を示す3次元のグラフである。 図10は、K平均法の適用後において、被暗示性が高いおよび被暗示性が低いと判定された複数の被験者について電極F3で検出された脳波信号に基づいて算出された差分エントロピーの分布を示す3次元のグラフである。 図11は、K平均法の適用前と適用後におけるSVM識別器の性能評価を示すテーブルである。 図12は機械学習の指標を示すテーブルである。 図13は前頭部、側頭部、中心溝、頭頂部および後頭部の14個の電極を用いる場合と前頭部の3個の電極を用いる場合において、K平均法の適用前と適用後におけるSVM識別器の性能評価を示すテーブルである。
<第1実施例>
図1は第1実施例の推定システム10の電気的な構成を示すブロック図である。推定システム10は、推定装置12を含み、推定装置12は、表示装置14およびA/D変換器16に接続される。また、A/D変換器16は、脳波検出器18に接続される。
なお、図1に示す推定システム10の電気的な構成は単なる一例であり、限定されるべきでない。たとえば、推定装置12は表示装置14を含んでいてもよい。また、後述するように、脳波信号に基づいて算出された差分エントロピーのベクトルが推定装置12に入力されればよいため、A/D変換器16および脳波検出器18は推定装置12に接続されていなくてもよい。
推定装置12は、汎用のパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータであり、CPU30を含み、CPU30は、内部バスを介して、HDD32、RAM34、表示制御部36、入力装置38および入出力インターフェース(以下、「入出力I/F」という)40に接続される。表示装置14は、表示制御部36に接続され、A/D変換器16は、入出力I/F40に接続される。
HDD32は、推定装置12の主記憶装置であり、オペレーティングシステムおよび各種のアプリケーションプログラムを記憶する。RAM34は、揮発性のメモリであり、CPU30のワーキング領域およびバッファ領域として使用される。
表示制御部36は、表示装置14のドライバであり、CPU30の制御の下で、被験者の催眠暗示に対する被暗示性を識別器を用いて推定した推定結果などを表示するための表示信号を出力する。
入力装置38は、キーボード、コンピュータマウスおよびタッチパッド(またはタッチパネル)の少なくとも1つを意味する。
入出力I/F40は、A/D変換器16からの信号を受信する。A/D変換器16は、脳波検出器18から入力されるアナログの脳波信号を増幅するとともに、デジタルの信号に変換して、入出力I/F40を介してCPU30に入力する。この第1実施例では、脳波検出器18によって検出される被験者の脳活動の信号は、たとえば、脳波(EEG:Electroencephalogram)信号であるものとする。
なお、図1では、A/D変換器16と入出力I/F40を有線接続するように記載してあるが、これらは無線接続されるように変更されてもよい。
脳波検出器18は、ブレインキャップとも呼ばれ、キャップに複数の電極が設けられる。複数の電極は、図2に示すように、国際10-20法に基づいて配置されている。この図2は、被験者がブレインキャップを装着した場合の複数の電極の配置状態を被験者の頭部の上方から見た模式的な図である。
図示は省略するが、基準電極が被験者の右耳に装着され、接地電極が被験者の額に装着される。なお、人体には、脳波以外に筋電などによる比較的大きな電流が流れており、その影響を無くすために基準電極を設け、この基準電極での測定値(基準電位)をブレインキャップに設けられた電極での測定値から減算するようにしてある。
脳波検出器18(ブレインキャップ)で検出される脳波信号は、上述したように、A/D変換器16で増幅およびデジタル変換されて、推定装置12に与えられる。
ただし、脳波信号のサンプリングの速度は128サンプル/秒であり、ノイズを低減するために、脳波検出器18には、50Hzのノッチフィルタが設けられる。また、脳波検出器18で検出された脳波信号には、アーティファクトの除去およびバンドパスフィルタによるフィルタリングされる。アーティファクトの除去は手動で行われる。また、この第1実施例では、バンドパスフィルタは、0.5Hz~30Hzの帯域を通過させる。つまり、図1では省略したが、一例として、脳波検出器18で検出され、ノッチフィルタでノイズを除去された脳波信号は、アーティファクトを除去され、さらに、バンドパスフィルタによってフィルタリングされた後に、A/D変換器16に与えられる。
一般的には、催眠に掛かり易い(感受性または被暗示性が高い)かどうかを判断する手法として、shor & Orne (1962)のハーヴァード集団催眠感受性尺度形式Aを用いた感受性または被暗示性(以下、単に「被暗示性」ということにする)のテスト(以下、「ハーヴァードテスト」という)が挙げられる。このハーヴァードテストでは、被験者は椅子に座り、音楽再生装置から出力される暗示音声を聞き(暗示音声刺激を受け)ながら、暗示音声に従い身体を動かしたり静止したりする。
この第1実施例では、暗示音声は、誘導、催眠暗示1-10および覚醒の12項目の前後に、2つのベースライン(催眠前ベースライン、催眠後ベースライン)を加えた14項目に分かれている。ハーヴァードテストでは、自己申告により、各催眠暗示項目に対して行動的に反応したか反応していないかの2件法で回答するアンケートが実施される。アンケートに回答した結果、行動的に反応した場合には、1点が付与され、行動的に反応していない場合には、点数は付与されない。合計点は、0~12点の範囲であり、被験者の催眠暗示に対する被暗示性の高さが13段階で評価または判定される。
しかし、このようなハーヴァードテストでは、被験者は、アンケートに回答する必要があり、面倒である。また、アンケートに対する回答は、自己申告であるため、被験者の催眠暗示に対する被暗示性を客観的に推定または判定することができない。
したがって、この第1実施例では、被験者がアンケートに回答しなくても、被暗示性を客観的に推定または判定できる装置および方法を提案することにする。以下、具体的に説明する。
簡単に説明すると、被暗示性の高いまたは低い2つの被験者グループについて記憶された脳波信号の差分エントロピーを抽出し、被暗示性を分類(または推定)するために、これらの差分エントロピーの特徴におけるサポートベクターマシン(SVM)を構築し、このSVMを用いて上記の被権者グループに属していない他の被験者の催眠暗示に対する被暗示性を推定または判定する。
上記のような構成の推定システム10では、ハーヴァードテストを行う被験者に脳波検出器18が装着され、被験者が暗示音声を聞いている脳波信号が検出される。この第1実施例では、前頭部(F3、Fz、F4)、側頭部(C3、C4、T7、T8)、中心溝(P3、Pz、P4)、頭頂部(Cz)および後頭部(O1、Oz、O2)に配置された14個の電極(14チャネル)の各々について脳波信号が検出される。これらの14個の電極については、図2において斜線を付して示してある。
なお、これらの14個の電極を使用するのは、催眠に関わる部分であることが発明者らの実験の結果から推定されるためである。
推定装置12は、ハーヴァードテストにおける暗示音声を聞く複数の被験者から検出された脳波信号と当該複数の被験者のハーヴァードテストにおけるアンケートの回答結果を用いて学習する工程(以下、単に「学習の工程」ということがある)を実行し、学習の工程によって構築された識別器を用いて、学習の工程における複数の被験者とは異なる他の被験者であって、ハーヴァードテストにおける暗示音声を聞く当該被験者の脳波信号に基づいて当該被験者の催眠暗示に対する被暗示性を推定または判定する工程(以下、単に「推定の工程」ということがある)を実行する。
図3は学習の工程を示す概略図である。図3に示すように、脳波信号は、14個の電極の各々で検出され、各脳波信号に対してアーティファクトの除去が行われる。ただし、脳波信号は、アーティファクトを除去されると、バンドパスフィルタによってフィルタリングされた後に、14個の時間帯(セグメント)に分断される。上述したように、暗示音声は14項目に分かれており、各項目の間には無音区間が設けられる。この無音区間における脳波信号は無視される。また、14項目のうち、催眠暗示1-10の時間帯についての脳波信号が使用または抽出される。
抽出された催眠暗示1-10の各項目に対応する時間帯における脳波信号は、周波数解析される。周波数解析では、各チャンネル(電極)について、10項目に対応する時間帯の脳波信号の各々(以下、「項目毎の脳波信号」という)がフーリエ変換され、所定の周波数帯域(θ波、α波、β波)のパワーの値についてのパワースペクトルが算出される。
なお、θ波、α波およびβ波の周波数待機についてのパワースペクトルを算出するのは、これらの差分エントロピーが催眠暗示に対する被暗示性の高低を推定するための要素と考えられるからである。
続いて、各電極について、項目毎の脳波信号におけるθ波、α波およびβ波の各々の差分エントロピーが数1に従って算出される。一般的に、連続ランダム変数Xに対して、この連続ランダム変数Xの確率密度関数をP(x)とすれば、連続ランダム変数Xの微分エントロピーh(x)は、数2のように定義される。
ここで、文献(Shi, L. C., Jiao, Y. Y., & Lu, B. L. (2013, July). Differential entropy feature for EEG-based vigilance estimation. In Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC), 2013 35th Annual International Conference of the IEEE (pp. 6627-6630). IEEE.)によれば、バンドパスフィルタによってフィルタリングされた脳波信号はガウス分布に従うことが示唆されている。このため、差分エントロピーは、数1で示すことができる。数1において、hiは周波数帯i(θ波、α波またはβ波)についての差分エントロピーである。
[数1]

Figure 0007083471000001
[数2]

Figure 0007083471000002
[数3]

Figure 0007083471000003
算出された各項目についての差分エントロピーのベクトルは、すべて学習器(分類器)に入力される。ただし、差分エントロピーのベクトルは、脳波信号を周波数解析したθ波、α波およびβ波の各成分についての差分エントロピーを要素とする。
また、ハーヴァードテストにおけるアンケートに対する回答に基づく被暗示性の高低についての結果が教師信号として学習器に入力される。被暗示性が低い場合には教師信号として「0」が学習器に入力され、被暗示性が高い場合には教師信号として「1」が学習器に入力される。この第1実施例では、学習器としてSVMが用いられる。学習した結果、識別器(または分類器)としてのSVM(SVM識別器)が構築される。
ここで、SVMは、2つのクラス、この第1実施例では、被暗示性が高いクラスと低いクラスに属しているいくつかの点を分類する幾多の超平面の中で、最大限に2つのクラスのいくつかの点と距離を維持するものを探す教師有りのアルゴリズム(分類器)である。
ただし、複数の被験者の各々について脳波信号が検出されるとともに、各被験者についてのハーヴァードテストにおけるアンケートに対する回答に基づく被暗示性の高低についての結果(以下、「ハーヴァードテストに基づく判定結果」ということがある)が得られる。したがって、或る被験者についての脳波信号に基づいて算出された差分エントロピーと当該或る被験者についてのハーヴァードテストに基づく判定結果は、ペアでSVMの学習に利用される。
また、上述したように、ハーヴァードテストのアンケートに対する回答に基づいて、各被験者の被暗示性は13段階(0-12点)で評価される。このうち、評価が0-3点である被験者が被暗示性の低い者(グループ)に分類され、評価が8-12点である被験者が被暗示性の高い者(グループ)に分類され、評価が4-7点である被験者については学習のサンプルから除去した。つまり、評価が4-7点である被験者について検出された脳波信号については、学習に使用されない。このため、評価が4-7点である被験者について検出された脳波信号については、アーティファクトの除去以降の処理は実行されない。
なお、学習の工程においては、46名の被験者がハーヴァードテストに参加した。ただし、46名の被験者は、平均年齢が24.2歳であり、その標準偏差は6.4である。この46名の被験者のうち、被暗示性が低いと分類された被験者は9名であり、被暗示性が高いと分類された被験者は7名である。
図4は推定の工程を示す概略図である。図3および図4を比較して分かるように、学習の工程および推定の工程では、検出された脳波信号がSVMに入力されるまでの処理は同じであり、図3を用いて説明した通りである。したがって、図4においては、各段階で実行される処理の詳細についての説明は省略する。
この第1実施例では、図4に示すように、上記の学習の工程の複数の被験者とは異なる他の被験者が暗示音声を聞いている場合に各電極で検出された脳波信号に基づいて算出された差分エントロピーがSVM(識別器)に入力される。すると、SVMは、被暗示性が高い確率Pを出力される。確率Pが0.5以上であれば、この他の被験者の催眠暗示に対する被暗示性が高いと推定または判定され、確率Pが0.5未満であれば、この他の被験者の催眠暗示に対する被暗示性が低いと推定または判定される。
図5は図1に示した推定装置12に内蔵されるRAM34のメモリマップ300の一例を示す図である。図5に示すように、RAM34はプログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302は、情報処理プログラムを記憶し、情報処理プログラムは、脳波信号取得プログラム302a、周波数変換プログラム302b、分散算出プログラム302c、差分エントロピー算出プログラム302d、学習プログラム302eおよび推定プログラム302fなどを含む。
脳波信号取得プログラム302aは、脳波検出器16から出力され、アーティファクト除去され、14個の時間帯に分割され、催眠暗示の音声を聞いている場合の10個のセグメントのそれぞれについてA/D変換器16で増幅およびデジタル変換された脳波信号を取得するためのプログラムであり、CPU30は、取得した脳波信号をデータ記憶領域304に時系列に従って記憶する。
周波数変換プログラム302bは、脳波信号取得プログラム302aに従って検出した各電極の各項目の各脳波信号を周波数変換(この第1実施例では、フーリエ変換)し、各脳波信号について、θ波、α波およびβ波を成分とする周波数スペクトルを得るためのプログラムである。
分散算出プログラム302cは、周波数変換プログラム302bに従って周波数変換された各脳波信号のθ波、α波およびβ波の各々についての分散を数3に従って算出するためのプログラムである。
差分エントロピー算出プログラム302dは、分散算出プログラム302cに従って算出した各分散を用いて、各脳波信号の周波数成分i毎の差分エントロピーを数1に従って算出するためのプログラムである。このため、各電極で検出され、各項目に対応して分割された各々の脳波信号について、θ波、α波およびβ波の各々の差分エントロピーを要素とする差分エントロピーのベクトルが算出される。
なお、脳波信号検出プログラム302a、周波数変換プログラム302b、分散算出プログラム302cおよび差分エントロピー算出プログラム302dは、学習の工程においては、被暗示性が低いと分類された複数の被験者および被暗示性が高いと分類された複数の被験者のそれぞれについて実行され、推定の工程においては、学習の工程の複数の被験者とは異なる他の被験者について実行される。
学習プログラム302eは、差分エントロピー算出プログラム302dに従って算出した全被験者についての各電極の各項目についての差分エントロピーのベクトルとアンケートの回答に基づく被暗示性の高低のペアを学習し、識別器を構築するためのプログラムである。
推定プログラム302fは、差分エントロピー算出プログラム302dに従って算出した推定の工程における他の被験者についての各電極の各項目の差分エントロピーのベクトルが、被暗示性の高いクラスに属する確率Pを算出するためのプログラムである。この確率Pに応じて、被験者の催眠暗示に対する被暗示性の高低が推定される。
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、コンピュータとしての推定装置12の動作を制御するために必要な他のプログラムも記憶される。
データ記憶領域304には、結果データ304a、脳波信号304b、パワースペクトルデータ304c、差分エントロピーデータ304dおよび推定結果データ304eが記憶される。
結果データ304aは、予め複数人の被験者について、ハーヴァードテストを行い、ハーヴァードテストにおけるアンケートへの回答結果に基づく被暗示性の高低を分類(判定)した結果についてのデータである。
脳波信号304bは、各電極で検出された脳波信号に対して種々の処理を施して入力されたデジタルの脳波信号である。パワースペクトルデータ304cは、脳波信号304bを、各電極の各項目について周波数解析し、θ波、α波およびβ波の各周波数帯域のパワーの値について算出したパワースペクトルのデータである。
差分エントロピーデータ304dは、周波数解析された脳波信号について数3に従って分散を算出し、各電極の各項目について数1に従って算出された差分エントロピーのベクトルについてのデータである。
推定結果データ304eは、SVM識別器を用いて、学習の工程における複数の被験者とは異なる他の被験者について推定された被暗示性が高いか被暗示性が低いかを示すデータである。
図示は省略するが、データ記憶領域304には、情報処理プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、情報処理プログラムの実行に必要なカウンタ(タイマ)およびフラグが設けられたりする。
図6は図1に示した推定装置12に内蔵されるCPU30の構築処理(学習の工程の処理)の一例を示すフロー図である。図6に示すように、CPU30は、構築処理を開始すると、ステップS1で、暗示音声を聞いているときのすべての被験者のうち、ハーヴァードテストにおけるアンケートの結果に基づく判定結果が、催眠暗示に対する被暗示性が高い被験者または低い被験者についての脳波信号304bを取得する。つまり、14個の所定の電極の各項目についての脳波信号304bを取得する。この脳波信号304bは、予めHDD32または外部メモリに保存され、HDD32または外部メモリから取得される。外部メモリは、推定12に着脱可能なメモリでも良いし、ネットワーク上に設けられたコンピュータのメモリでも良い。
次のステップS3では、被験者毎に、各電極についての脳波信号304bを、各項目について(セグメント単位で)周波数解析(たとえば、フーリエ変換)する。この第1実施例では、各脳波信号のθ波、α波およびβ波が取得される。
続くステップS5では、被験者毎に、各電極について、セグメント単位で得られたθ波、α波およびβ波の各々についての分散を数3に従って算出する。さらに、ステップS7で、被験者毎に、各電極について、セグメント単位で得られた脳波信号の差分エントロピーのベクトルを算出する。ただし、脳波信号の各周波数成分iの差分エントロピーは数1に従って算出される。
さらに、ステップS9で、ステップS7で算出した全ての差分エントロピーのベクトルを、アンケートの回答に基づいて判定された判定結果とともにSVMに入力し、学習して、構築処理を終了する。このステップS9の学習により、識別器が構築される。
ただし、ステップS9では、或る被験者についての差分エントロピーのベクトルと当該或る被験者のアンケート結果に基づく判定結果がペアでSVMの学習に利用される。また、被暗示性が低いと判定された被験者については判定結果(つまり、教師信号)として「0」が入力され、被暗示性が高いと判定された被験者については判定結果として「1」が入力される。
図7は図1に示した推定装置12に内蔵されるCPU30の推定処理(推定の工程の処理)の一例を示すフロー図である。以下、推定処理について説明するが、図6に示した構築処理と同じ処理については簡単に説明する。
図7に示すように、CPU30は、推定処理を開始すると、ステップS21で、暗示音声を聞いているときの被験者の脳波信号304bを取得する。この被験者は、上記の構築処理における複数の被験者とは異なる別の被験者である。
次のステップS23では、各電極についての脳波信号304bを、セグメント単位で周波数解析する。続くステップS25では、各電極について、セグメント単位で得られたθ波、α波およびβ波の各々についての分散を数3に従って算出する。さらに、ステップS27で、各電極について、セグメント単位で得られた差分エントロピーのベクトルを算出する。
さらに、ステップS29で、ステップS27で算出した全ての差分エントロピーのベクトルを識別器(SVM)に入力し、識別器の出力すなわち被暗示性が高い確率Pに基づいて、被験者についての被暗示性の高低が推定または判定される。
そして、ステップS31で、判定結果を出力し、推定処理を終了する。たとえば、CPU30は、判定結果を視認可能に表示装置14に出力する。ただし、CPU30は、推定装置12に接続されたプリンタに判定結果を出力しても良いし、他のコンピュータに判定結果を記載した電子メールを送信しても良い。
この第1実施例によれば、ハーヴァードテストにおいて暗示音声を聞いている複数の被験者の脳波信号と、ハーヴァードテストにおけるアンケートへの回答結果に基づく当該複数の被験者の各々の被暗示性の高低についての判定結果とを用いて学習することにより、識別器を構築し、この識別器を用いて、暗示音声を聞いている他の被験者の脳波信号に基づいて、当該他の被験者についての催眠暗示に対する被暗示性の高低を推定することができる。このため、他の被験者がアンケートに回答する手間を省くことができ、しかも被暗示性の高低を客観的に推定することができる。
<第2実施例>
第2実施例の推定システム10は、複数の被験者の脳波信号に基づいて算出された差分エントロピーのベクトルのうち、ハーヴァードテストにおけるアンケートの回答結果により分類されたグループ(クラス)とK平均法により分類(クラスタリング)されたクラスが不一致を示す差分エントロピーのベクトルを学習に使用しないようにした以外は、第1実施例の推定システム10と同じであるため、重複した説明は省略する。
図8(A)はハーヴァードテストにおけるアンケートの回答に基づいて被暗示性の高低を分類された被験者の差分エントロピーのベクトルの特徴空間における分布を示すθ-α面についてのグラフであり、図8(B)はK平均法により被暗示性の高低を分類された差分エントロピーのベクトルの特徴空間における分布を示すθ-α面についてのグラフである。
なお、図8(A)および図8(B)では、簡単のため、θ-α面のグラフを示すが、実際には、β波の成分を含む3次元のグラフで表現される。また、図8(A)では、アンケートの結果に基づいて被暗示性が高いと判定された被験者についての差分エントロピーのベクトルを四角の印で示し、アンケートの結果に基づいて被暗示性が低いと判定された被験者についての差分エントロピーを丸の印で示す。
図8(A)では、アンケートの回答に基づいて各被験者に対して判定された被暗示性が高いことまたは低いことが、対応する差分エントロピーのベクトルにラベリングされる。図8(A)に示すグラフにおいて、被暗示性が高い差分エントロピーのベクトルの分布と、被暗示性が低い差分エントロピーのベクトルの分布を知ることができる。各分布の中心(または重心)を算出し、各分布の中心を用いてK平均法により差分エントロピーのベクトルをクラスタリングすると、図8(B)に示すように分類される。図8(B)もまた、被暗示性が高いクラスタに分類された差分エントロピーのベクトルを四角の印で示し、被暗示性が低いクラスタに分類された差分エントロピーのべクトルを丸の印で示す。
図8(A)および図8(B)からも分かるように、アンケートの回答に基づく被暗示性の高低の分類結果と、K平均法による分類結果が一致しない差分エントロピーのベクトルは、学習データ(学習のサンプル)から削除される。つまり、アンケートの回答に基づく被暗示性の高低の分類結果と、K平均法による分類結果が一致する差分エントロピーのベクトルのみがSVMに入力される。図8(B)では、学習データから削除される差分エントロピーのベクトルの印を黒で塗り潰してある。
このようにして、第2実施例の推定装置12では、学習データが精錬化される。したがって、精錬化された識別器が構築される。このため、推定結果の確度が向上されると考えられる。
図9はK平均法の適用前(精錬化前)において複数の被験者(第1実施例の学習の工程に用いた16名の被験者)について電極F3で検出された脳波信号に基づいて算出された差分エントロピーのベクトルの分布を示す3次元(θ、α、βの成分)のグラフである。図9において、被暗示性が高いと判定された被験者の差分エントロピーのベクトルについてはひし形の印で示し、被暗示性が低いと判定された被験者の差分エントロピーのベクトルについてはアスタリスクの印で示してある。このことは図10も同じである。
図8(A)および図8(B)を用いて説明したように、図9に示す学習データすなわち差分エントロピーのベクトルを精錬化すると、図10に示すように、差分エントロピーのベクトルの分布は変化される。図9および図10を比較して分かるように、被暗示性の高い差分エントロピーの分類(クラス)と、被暗示性の低い差分エントロピーのクラスがくっきりと分かれている。
図11はK平均法の適用前と適用後における電極毎のホールドアウト検証に基づくSVM識別器の性能についてのテーブル1を示す。ここで、ホールドアウト検証とは、標本群のうちの何割かを学習データとするとともに、残りを評価データ(テストデータ)として検証(評価)を行うことを意味する。なお、K平均法の適用前の識別器は、第1実施例の識別器に相当する。
また、この第2実施例では、識別器の性能は、機械学習の評価の尺度で示される。具体的には、機械学習の評価の尺度として、Accuracy(正解率)、Precision(精度または適合率)、Recall(再現率)、Specificity(特異度)が、数4に従ってそれぞれ算出される。
[数4]

Figure 0007083471000004
ただし、図12のテーブル2に示すように、数4において、TPは、テストデータに対する識別器の推定結果および実際の結果(すなわち、アンケートの回答に基づく判定結果)の両方について被暗示性が高いデータの数を示し、TNは、テストデータに対する識別器の推定結果および実際の結果の両方について被暗示性が低いデータの数を示す。また、FPは、テストデータに対する識別器の推定結果が被暗示性が高く実際の結果が被暗示性が低い、データの数を示す。さらに、FNは、テストデータに対する識別器の推定結果が被暗示性が低く実際の結果が被暗示性が高い、データの数を示す。
図11のテーブル1からも分かるように、すべての尺度において、K平均法の適用後の方が、K平均法の適用前と比較して、SVM識別器の性能が改善している。
第2実施例では、識別器を構築する際に、入力する差分エントロピーのベクトルを、K平均法を適用することにより精錬化する以外は、第1実施例と同じであるため、学習処理および推定処理等の重複する内容についての説明は省略する。
第2実施例によれば、SVM識別器を構築するための差分エントロピーを精錬化するので、SVM識別器の性能が改善される。このため、ハーヴァードテストにおけるアンケートへの回答に基づく被暗示性の判定結果に反することなく、暗示音声を聞いている被験者の脳波信号に基づく被暗示性の高低についての推定結果の確度を向上させることができる。
なお、第2実施例では、精錬化の手法の一例としてK平均法を使用するようにしたが、これに限定される必要はない。K平均法に代えて、多様体学習およびt-SNEなどの他のクラスタリング手法(クラスタリングのアルゴリズム)を用いることもできる。
<第3実施例>
第3実施例の判定システム10は、脳波信号を検出する脳波検出器18の電極の数を低減するとともに、判定装置12において数を低減した電極で検出された脳波信号に基づいて学習処理および推定処理を実行するようにした以外は、第1実施例と同じであるため、重複した説明は省略する。
第2実施例で示した図11のテーブル1を参照して分かるように、前頭部についての電極F3、Fz、F4および中心溝についての電極P3、Pz、P4で検出された脳波信号に基づくSVM識別器の性能は、K平均法の適用前および適用後に拘わらず高いことを示す。また、第2実施例において、K平均法を適用した際に、学習に使用せずに除去された差分エントロピーのベクトルが比較的多く存在した。さらに、論文(Gruzelier, J. H. (2006). Frontal functions, connectivity and neural efficiency underpinning hypnosis and hypnotic susceptibility. Contemporary Hypnosis, 23(1), 15-32.)には、前頭の脳活動が催眠状態を反映していることが指摘される。
このため、14個すべての電極で検出された脳波信号に基づく差分エントロピーのベクトルを入力する場合のSVM識別器の性能(以下、「全チャネル性能」という)と、前頭部についての電極F3、Fz、F4で検出された脳波信号に基づく差分エントロピーのベクトルのみを入力する場合のSVM識別器の性能(以下、「前頭チャネル性能」という)を、K-分割交差検証により、図13に示すテーブル3にまとめた。
ここで、K-分割交差検証とは、標本群をK個に分割し、K-1個を学習データ(訓練事例)とするとともに、残りの1個を評価データ(テスト事例)として交差検証(性能評価)をK回行い、K回の検証結果を平均して1つの推定結果を得ることを意味する。この第3実施例では、K=10とした。
なお、全チャネル性能および前頭チャネル性能は、第2実施例で説明したように、K平均法により、学習時に入力される差分エントロピーのベクトルを精錬化した場合についても検証した。
テーブル3を参照して分かるように、K平均法の適用前および適用後のいずれの場合にも、前頭チャネル性能の方が全チャネル性能よりも高いと言える。また、K平均法の適用後においては、前頭部の電極F3、Fz、F4については、正解率が98.59%であり、前頭チャネル性能が非常に高いことを示す。
以上より、前頭部の電極F3、Fz、F4に絞った方がSVM識別器の性能が良いことが分かる。また、電極の数を減らすことができるため、脳波検出器18の製造コストを低減することができるとともに、推定装置12における処理負荷を軽減するkとができる。
第3実施例によれば、前頭部の電極F3、Fz、F4に絞ることにより、SVM識別器の性能を高くすることができる。
また、第3実施例によれば、第2実施例と同様に、K平均法を適用して、学習に使用する差分エントロピーのべクトルを精錬化することにより、さらにSVM識別器の性能を高くすることができる。
なお、上述の各実施例では、学習器および識別器の一例としてSVMを使用するようにしたが、これに限定される必要はない。SVMに代えて、ニューラルネットワーク、線形判別分析および二次判別分析などの他の教師有り学習器および識別器を用いることもできる。
また、上述の各実施例で示した具体的な数値は単なる一例であり、限定されるべきではなく、実施される製品等に応じて適宜変更可能である。
10 …推定システム
12 …推定装置
14 …表示装置
16 …A/D変換器
18 …脳波検出部(ブレインキャップ)
30 …CPU
32 …HDD
34 …RAM
40 …入力I/F

Claims (6)

  1. 暗示音声を聞く被験者の脳波信号に基づいて当該被験者の被暗示性の高低を推定する推定装置であって、
    前記暗示音声を聞く被験者の脳波信号を取得する取得手段と、
    前記取得手段によって取得された脳波信号を周波数解析する解析手段と、
    前記解析手段によって周波数解析された脳波信号の差分エントロピーのベクトルを算出する算出手段と、
    複数の前記被験者の各々について前記算出手段によって算出された差分エントロピーのベクトルと、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果を用いて学習を行うことにより、被暗示性の高低を識別する識別器を構築する構築手段と、
    前記取得手段によって、前記識別器の構築における前記複数の被験者とは異なる他の被験者が前記暗示音声を聞く時の脳波信号を取得し、取得された当該脳波信号を前記解析手段によって周波数解析し、周波数解析された当該脳波信号の差分エントロピーのベクトルを前記算出手段によって算出し、当該差分エントロピーのベクトルを前記識別器に入力することにより、当該他の被験者の被暗示性の高低を推定する推定手段を備え
    前記構築手段は、複数の前記被験者の各々について前記算出手段によって算出された差分エントロピーのベクトルのうち、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果に基づいて被暗示性の高低を分類した第1分類結果と、当該第1分類結果に基づいて前記差分エントロピーを所定のクラスリングのアルゴリズムにより被暗示性の高低を分類した第2分類結果が一致する当該差分エントロピーのベクトルを用いて前記学習を行う、推定装置。
  2. 前記取得手段は、前記被験者の前頭部、側頭部、中心溝、頭頂部および後頭部に配置された複数の電極の各々で検出された脳波信号の各々を取得する、請求項1記載の推定装置。
  3. 前記取得手段は、前記被験者の前頭部に配置された複数の電極の各々で検出された脳波信号の各々を取得する、請求項1記載の推定装置。
  4. 前記解析手段は、前記脳波信号のθ波、α波およびβ波の周波数帯域のパワーの値であるパワースペクトル密度を算出する、請求項1からまでのいずれかに記載の推定装置。
  5. 暗示音声を聞く被験者の脳波信号に基づいて当該被験者の被暗示性の高低を推定する推定プログラムであって、
    コンピュータのプロセッサに、
    前記暗示音声を聞く被験者の脳波信号を取得する取得ステップと、
    前記取得ステップにおいて取得した脳波信号を周波数解析する解析ステップと、
    前記解析ステップにおいて周波数解析した脳波信号の差分エントロピーのベクトルを算出する算出ステップと、
    複数の前記被験者の各々について前記算出ステップにおいて算出した差分エントロピーのベクトルと、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果を用いて学習を行うことにより、被暗示性の高低を識別する識別器を構築する構築ステップと、
    前記取得ステップにおいて、前記識別器の構築における前記複数の被験者とは異なる他の被験者が前記暗示音声を聞く時の脳波信号を取得し、取得した当該脳波信号を前記解析ステップにおいて周波数解析し、周波数解析した当該脳波信号の差分エントロピーのベクトルを前記算出ステップにおいて算出し、当該差分エントロピーのべクトトルを前記識別器に入力することにより、当該他の被験者の被暗示性の高低を推定する推定ステップを実行させ
    前記構築ステップは、複数の前記被験者の各々について前記算出ステップにおいて算出した差分エントロピーのベクトルのうち、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果に基づいて被暗示性の高低を分類した第1分類結果と、当該第1分類結果に基づいて前記差分エントロピーを所定のクラスリングのアルゴリズムにより被暗示性の高低を分類した第2分類結果が一致する当該差分エントロピーのベクトルを用いて前記学習を行う、推定プログラム。
  6. 暗示音声を聞く被験者の脳波信号に基づいて当該被験者の被暗示性の高低を推定する推定方法であって、
    (a)前記暗示音声を聞く被験者の脳波信号を取得するステップと、
    (b)前記ステップ(a)において取得した脳波信号を周波数解析する解析ステップと、
    (c)前記ステップ(b)において周波数解析した脳波信号の差分エントロピーのベクトルを算出するステップと、
    (d)複数の前記被験者の各々について前記ステップ(c)において算出した差分エントロピーのベクトルと、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果を用いて学習を行うことにより、被暗示性の高低を識別する識別器を構築するステップと、
    (e)前記ステップ(a)において、前記識別器の構築における前記複数の被験者とは異なる他の被験者が前記暗示音声を聞く時の脳波信号を取得し、取得した当該脳波信号を前記ステップ(b)において周波数解析し、周波数解析した当該脳波信号の差分エントロピーのベクトルを前記ステップ(c)において算出し、当該差分エントロピーのべクトルを前記識別器に入力することにより、当該他の被験者の被暗示性の高低を推定するステップを含み、
    前記ステップ(d)は、複数の前記被験者の各々について前記ステップ(c)において算出した差分エントロピーのベクトルのうち、当該複数の被験者の各々についての被暗示性テストの結果に基づいて被暗示性の高低を分類した第1分類結果と、当該第1分類結果に基づいて前記差分エントロピーを所定のクラスリングのアルゴリズムにより被暗示性の高低を分類した第2分類結果が一致する当該差分エントロピーのベクトルを用いて前記学習を行う、推定方法。
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