JP7081945B2 - 温度管理装置、温度管理システム、温度管理方法、およびプログラム - Google Patents
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Description
他方、サーマルカメラのコストが高いことから、少ないサーマルカメラによってプラント全体の異常を検出したいという要求がある。特許文献1に記載された移動体などにサーマルカメラを取り付けることで、少ないサーマルカメラで多くの場所の温度を計測することが可能であるが、移動体の走行および自己位置推定には誤差が含まれ、またサーマル画像は、可視光画像と比較して輪郭がぼけるため、移動体に取り付けられたサーマルカメラによって定点観測画像を得ることは困難である。サーマル画像は、対象物が発する赤外線の強度によって表され、赤外線は対象物から放射状に発せられるため、サーマルカメラと対象物との距離が遠いほどサーマル画像における対象物の輪郭がぼける。
本発明の目的は、任意の位置においてサーマルカメラが撮像した温度分布に基づいて適切に温度の監視を実現することができる温度管理装置、温度管理システム、温度管理方法、およびプログラムを提供することにある。
《全体構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る異常検出システムの構成を表す概略図である。
異常検出システム1は、プラントなどの対象施設Pの温度を監視し、対象施設Pの異常を検出するためのシステムである。異常検出システム1は、巡回点検装置10と異常検出装置20とを備える。異常検出システム1は、温度管理システムの一例である。異常検出装置20は、温度管理装置の一例である。
巡回点検装置10は、サーマルカメラ13を備え、予め定められた経路を走行する。これにより、巡回点検装置10は、経路を走行しながら、対象施設P内の温度分布を計測する。巡回点検装置10は、移動体の一例である。
異常検出装置20は、巡回点検装置10が計測した温度分布に基づいて、対象施設Pを高さ方向から平面視した平面マップに、温度をマッピングする。以下、温度をマッピングした平面マップを、温度マップMと呼ぶ。なお、巡回点検装置10による巡回の開始前(初回起動時)は、温度マップMの値がないため、初期値として対象施設Pの周辺温度の平均値、対象施設Pの温度の設計値、または他の対象施設Pの実績値が記録されていてもよい。異常検出装置20は、温度マップMに基づいて対象施設Pのうち異常が生じている箇所を特定する。異常検出装置20は、対象施設P内に設けられてもよいし、対象施設Pと遠隔の地に設けられてもよい。また、異常検出装置20は、巡回点検装置10に設けられてもよい。
図2は、本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の構成を示す概略図である。
巡回点検装置10は、本体11と、移動装置12と、サーマルカメラ13と、デプスカメラ14と、制御装置15とを備える。
移動装置12は、走行可能に本体11を支持する。移動装置12の例としては、車輪、無限軌道、脚機構などが挙げられる。なお、移動装置12として図2に示すように無限軌道を採用することで、その場での転回が可能となり、巡回点検装置10の回転半径を小さくすることができる。また、巡回点検装置10は水中または空中を移動するものであってもよい。この場合、移動装置12としては、プロペラなどのスラスタが用いられる。移動装置12は、制御装置15が出力する信号に従って走行する。
また制御装置15は、サーマルカメラ13およびデプスカメラ14が撮像した温度分布Tおよび距離分布Lと、検出した位置および方位を示す位置情報とを異常検出装置20に送信する。このとき、制御装置15は、デプスカメラ14が出力した距離分布Lと位置情報とに基づいて生成された三次元位置情報Dに、サーマルカメラ13が出力した温度分布Tをマッピングしたもの(三次元温度分布DT)を、異常検出装置20に送信してもよい。制御装置15は、三次元温度分布生成装置の一例である。
図3は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。
異常検出装置20は、温度マップ記憶部201、正常温度マップ記憶部202、温度分布取得部203、部分領域特定部204、温度記録部205、マップ出力部206、領域指定部207、温度時系列出力部208、閾値決定部209、異常特定部210を備える。
部分領域特定部204は、温度分布取得部203が取得した温度分布T、距離分布L、および位置情報に基づいて、温度分布Tに表される各温度が温度マップMにおけるいずれの部分領域Rに属するかを特定する。
温度記録部205は、部分領域特定部204が特定した部分領域Rごとに、温度分布取得部203が取得した温度分布Tにおける当該部分領域Rの代表温度を、温度マップMに記録する。温度分布Tの代表温度としては、例えば、温度分布Tの最高値、平均値または中央値が挙げられる。なお、温度マップMのある部分領域Rに既に温度が記録されており、新たに得られた温度分布Tに係る当該部分領域Rの代表温度が既に記録されている温度より高い場合には、温度記録部205は、新たに得られた温度分布Tに係る代表温度で温度マップMの当該部分領域Rの温度を更新する。他方、新たに得られた温度分布Tに係る代表温度が既に記録されている温度以下である場合には、温度記録部205は、温度マップMの当該部分領域Rの温度を更新しない。
これにより、温度マップMには、巡回点検装置10の1回の巡回点検における各部分領域Rの代表温度が記録される。
《巡回点検装置の巡回点検処理》
図4は、本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の動作を示すフローチャートである。
巡回点検装置10の制御装置15は、予め定められた巡回点検のタイミングに、所定の経路に沿って移動装置12の走行制御を開始する(ステップS01)。制御装置15は、移動装置12の制御中、巡回点検装置10の位置および方位を計測する(ステップS02)。制御装置15は、巡回点検装置10の位置と経路上の所定の撮像ポイントとの距離が所定の閾値未満になったか否かを判定する(ステップS03)。すなわち制御装置15は、巡回点検装置10が撮像ポイントに到達したか否かを判定する。
上記手順により、巡回点検装置10は、対象施設Pの少なくとも異常の検知が必要な位置を含む温度分布Tを、異常検出装置20に送信することができる。なお、第1の実施形態においては、巡回点検装置10は、撮像ポイントで情報を取得するたびに、取得した情報をステップS05において異常検出装置20に送信するが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、巡回点検装置10は、ステップS6で経路の終点に到達したときに、各撮像ポイントで取得した情報をまとめて異常検出装置20に送信してもよい。
図5は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の温度マップ更新処理を表すフローチャートである。
図6は、本発明の一実施形態に係る温度マップの更新処理の例を表す図である。
異常検出装置20の温度分布取得部203は、巡回点検装置10から温度分布T、距離分布L、撮像時刻および位置情報を取得する(ステップS21)。部分領域特定部204は、取得した距離分布Lと位置情報とに基づいて、図6に示すように温度分布Tの撮像範囲の三次元位置を示す三次元位置情報Dを特定する(ステップS22)。例えば、部分領域特定部204は、位置情報に含まれる位置および方位に基づいて距離分布Lの座標系を回転させることで、距離分布Lを三次元位置情報Dに変換する。サーマルカメラ13の撮像範囲とデプスカメラ14の撮像範囲とが一致している場合、変換した三次元位置情報Dは温度分布Tの撮像範囲の三次元位置を表す。サーマルカメラ13の撮像範囲とデプスカメラ14の撮像範囲とが一致しない場合、部分領域特定部204は、三次元位置情報Dからサーマルカメラ13の撮像範囲との重複部分を切り出す。
温度記録部205は、特定した代表温度が温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度より高い場合(ステップS26:YES)、温度マップ記憶部201が記憶する温度マップMのうち当該部分領域Rの温度を、ステップS25で特定した温度に書き換える(ステップS27)。他方、特定した代表温度が温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度以下である場合(ステップS26:NO)温度記録部205は、温度マップMを書き換えない。
図7は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の異常検知処理を示すフローチャートである。
温度記録部205によってある時間帯に係る温度マップMが完成すると、異常検出装置20の温度時系列出力部208は、温度マップ記憶部201から最新の温度マップMを読み出し、各温度マップMの各部分領域Rに係る温度を特定する(ステップS41)。閾値決定部209は、正常温度マップ記憶部202から正常温度マップM0を読み出し、正常温度マップM0の各部分領域Rに係る正常温度を特定する(ステップS42)。閾値決定部209は、各部分領域Rに係る正常温度に所定のオフセット値を加算することで、異常の判定に用いる温度閾値thを決定する(ステップS43)。各部分領域Rのオフセット値は、例えば、当該部分領域Rに位置する機器の設計値に対する安全率や温度変化率などに基づいて決定される。オフセット値は、補正値の一例である。
上記手順によって、異常検出装置20は、サーマルカメラ13の撮像画像に基づいて対象施設Pの異常の箇所を検出し、これを利用者に報知することができる。
図8は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の温度マップ出力処理を示すフローチャートである。
異常検出装置20が発したアラート等に基づいて利用者が異常検出装置20に温度マップMの出力指示を送信すると、マップ出力部206は、温度マップ記憶部201が記憶する最も新しい時間帯に関連付けられた温度マップMを出力する(ステップS61)。温度マップMは、図9に示すように例えばディスプレイに表示される。図9は、本発明の一実施形態に係る温度マップを表示する画面の例を示す図である。
このとき、領域指定部207は、出力した温度マップM上のXY平面を横断する線Lによる部分領域Rの指定を受け付ける(ステップS62)。例えば、利用者が温度マップMのうち温度変化を認識したい部分領域Rをクリック等により選択した場合に、領域指定部207は、当該クリックされた部分領域Rを通り、Y座標方向に伸びる直線である線Lを特定し、線L上を通る複数の部分領域Rを特定する。また例えば、利用者が温度マップMのXY平面上の2点をクリック等により選択した場合に、領域指定部207は、当該クリックされた2点を通り、X座標方向に伸びる直線である線Lを特定し、線L上を通る複数の部分領域Rを特定する。また、XY平面を横断する線Lは、直線に限られず、曲線や折線であってもよい。
これにより、異常検出装置20は、利用者に異常の状況を視認させることができる。
このように、第1の実施形態に係る異常検出装置20は、巡回点検装置10のサーマルカメラ13が計測した温度分布Tを用いて適切に対象施設Pの異常の特定のように供する温度マップMを生成することができる。すなわち、異常検出装置20は、サーマルカメラ13が計測した温度分布Tを、対象施設Pの計測領域を区切る複数の部分領域Rにマッピングすることで、巡回点検装置10の位置誤差およびサーマルカメラが計測する温度分布のぼけがあったとしても、温度に基づく異常検出の用に供する情報を生成することができる。また、第1の実施形態に係る異常検出システム1によれば、1つのサーマルカメラ13が計測した様々な地点の温度分布Tから、対象施設Pの計測領域全体の温度マップMを生成することができる。
第1の実施形態に係る異常検出システム1は、正常温度マップ記憶部202が記憶する正常温度に所定のオフセット値を加算することで異常の判定に用いる温度閾値thを決定する。一方、対象施設Pが運転によって温度が変化する機器(例えば、タービン、ボイラ、リアクタなど)を備える場合、当該機器の運転状態によって異常と判定すべき温度が異なることがある。また、夏季や冬季など、対象施設Pの環境温度が変化する場合にも、当該環境温度によって異常と判定すべき温度が異なることがある。第2の実施形態に係る異常検出システム1は、対象施設Pの状態に基づいて異常の判定に用いる閾値を決定する。
図11は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。
第2の実施形態に係る異常検出装置20は、第1の実施形態に係る構成に加え、さらに状態取得部211を備える。
状態取得部211は、マップ出力部206が出力する温度マップMに係る計測時間帯における対象施設Pの状態を取得する。対象施設Pの状態とは、対象施設Pの環境温度、対象施設Pに設置された機器の状態などが挙げられる。例えば、対象施設Pがガスタービンプラントである場合、対象施設Pの機器の状態としては、燃料流量、ガスタービンの負荷、ロータの回転数、発電量などが挙げられる。
具体的には、閾値決定部209は、対象施設Pの環境温度が高いほど、各正常温度から温度閾値thを求めるためのオフセット値を増加させる。これにより、閾値決定部209は、図12に示すように、環境温度が高いほど温度閾値thを高くすることができる。図12は、本発明の一実施形態において環境温度が異なる場合における正常温度と閾値との関係の例を示す図である。図12に示す例では、各部分領域R1~R5の正常温度T0と、環境温度が第1温度である場合の温度閾値th11と、環境温度が第2温度である場合の温度閾値th12との関係を示す。第1温度は第2温度より低い温度である。環境温度が第1温度である場合、閾値決定部209は、第1温度からオフセット値O11を算出する。閾値決定部209は、部分領域R1~R5それぞれの正常温度T0にオフセット値O11を加算することで、温度閾値th11を決定する。他方、環境温度が第2温度である場合、閾値決定部209は、第2温度からオフセット値O12を算出する。オフセット値は環境温度が高いほど大きくなるため、オフセット値O12はオフセット値O11より大きい値となる。閾値決定部209は、部分領域R1~R5それぞれの正常温度T0にオフセット値O12を加算することで、温度閾値th11より高い温度閾値th12を決定する。このように、閾値決定部209は、状態取得部211が取得した対象施設Pの環境温度に応じて適切な温度閾値thを求めることができる。
巡回点検装置10による巡回点検処理、および異常検出装置20による温度マップ更新処理は、第1の実施形態と同様である。
図15は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の異常検知処理を示すフローチャートである。
異常検出装置20の温度時系列出力部208は、温度マップ記憶部201から最新の温度マップを読み出し、各温度マップMの各部分領域Rに係る温度を特定する(ステップS141)。次に、状態取得部211は、対象施設Pの管理装置等から当該対象施設Pの状態情報(環境温度情報および機器の運転情報)を取得する(ステップS142)。また、閾値決定部209は、正常温度マップ記憶部202から正常温度マップM0を読み出し、各部分領域Rに係る正常温度を特定する(ステップS143)。閾値決定部209は、取得した状態情報に基づいて、各部分領域Rにおける温度についての温度閾値thのオフセット値を決定する(ステップS144)。すなわち、閾値決定部209は、状態取得部211が取得した環境温度情報に基づいて、対象施設Pの環境温度が高いほど各部分領域Rのオフセット値を増加させる。また、閾値決定部209は、状態取得部211が取得した機器の運転情報に基づいて、対象施設Pの機器の負荷が高いほど、当該機器が位置する部分領域Rのオフセット値を増加させ、また当該機器の近傍の部分領域Rのオフセット値を増加させる。閾値決定部209は、各部分領域Rに係る正常温度に決定したオフセット値を加算することで、温度閾値thを決定する(ステップS145)。
図16は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の温度マップ出力処理を示すフローチャートである。
利用者が異常検出装置20に温度マップMの出力指示を送信すると、マップ出力部206は、温度マップ記憶部201が記憶する最も新しい時間帯に関連付けられた温度マップMを出力する(ステップS161)。温度マップMは、例えばディスプレイに表示される。
このとき、領域指定部207は、出力した温度マップM上のXY平面を横断する線Lによる部分領域Rの指定を受け付ける(ステップS162)。領域指定部207が複数の部分領域Rの指定を受け付けると、温度時系列出力部208は、温度マップ記憶部201から複数の温度マップMを読み出し、各温度マップMにおいて特定された複数の部分領域Rに係る温度の時系列を特定する(ステップS163)。次に、状態取得部211は、対象施設Pの管理装置等から当該対象施設Pの各計測時間帯における機器の状態を取得する(ステップS164)。また、閾値決定部209は、正常温度マップ記憶部202から正常温度マップM0を読み出し、特定された複数の部分領域Rに係る正常温度を特定する(ステップS165)。閾値決定部209は、状態取得部211が取得した機器の状態に基づいて、温度時系列の各計測時間帯の各部分領域Rにおける温度についてのオフセット値を決定する(ステップS166)。閾値決定部209は、各部分領域Rの正常温度に、各部分領域Rの各計測時間帯に係るオフセット値を加算することで、各部分領域Rの各計測時間帯に係る温度閾値thを決定する(ステップS167)。
このように、第2の実施形態に係る異常検出装置20は、複数の部分領域Rそれぞれの温度と、各部分領域Rの状態とに基づいて、異常が発生している部分領域Rを特定する。具体的には、第2の実施形態に係る異常検出装置20は、複数の部分領域Rの正常温度と複数の部分領域Rの状態とに基づいて異常の検出に用いる温度閾値thを決定する。これにより、異常検出装置20は、対象施設Pの環境温度や機器の運転等によって、一時的に温度が上昇し、または下降している部分領域Rについても、適切に異常の発生を特定することができる。
第1、第2の実施形態に係る異常検出システム1は、図9に示すように、計測領域を所定の大きさのグリッドで分割した複数の部分領域Rの温度を表す温度マップMを生成する。一方、対象施設Pを構成する機器によって、または、対象施設Pの内的または外的な要因によって、必要とされる異常の検知の細かさが異なることがある。例えば、対象施設Pを構成する機器のうち主要な機器、機器が密集している箇所、運転中の機器などについては、他の箇所と比較してより細かい範囲での検知が求められることがある。第3の実施形態に書かある異常検出システム1は、部分領域Rの大きさを動的に変更して温度マップMを生成し、また異常を検出する。
図17は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。
第3の実施形態に係る異常検出装置20は、第2の実施形態に係る構成に加え、さらに形状変更部212を備える。
形状変更部212は、利用者の指示に基づいて、または状態取得部211が取得した状態に基づいて、部分領域Rの形状を変更する。具体的には、形状変更部212は、計測領域内の特定の範囲について、分割に用いるグリッドサイズを決定する。つまり、形状変更部212は、特定の範囲を覆うグリッドの大きさを変更することで、部分領域Rの形状を変更する。図18は、本発明の一実施形態に係る部分領域の形状の変更の例を示す図である。例えば、形状変更部212は、利用者から、温度マップMのうちX軸方向に2つY軸方向に2つ並んだ4つの部分領域Rを含む範囲s1と、グリッドサイズの入力を受け付ける。図18に示す例では、形状変更部212は、グリッドサイズとして、標準のグリッドサイズの2倍の値が入力される。形状変更部212は、計測領域内の範囲s1を、標準のグリッドサイズの2倍のグリッドサイズで分割することで、範囲s1内の部分領域Rbの形状を決定する。また例えば、形状変更部212は、状態取得部211から取得した範囲s2に位置する機器の状態が、所定の運転を開始したことを示す場合、範囲s2を、標準のグリッドサイズの半分のグリッドサイズで分割することで、範囲s2内の部分領域Rdの形状を決定する。
このように、第3の実施形態によれば、異常検出装置20は、利用者の指示、対象施設Pの内的要因または外的要因に基づいて、計測領域内の特定の範囲の部分領域の形状を変更する。これにより、異常検出装置20は、計測領域内の特定の範囲について部分領域を小さくすることで対象施設Pの所定の機器に係る温度異常を検知する精度を集中的に向上することができ、異常の点検の効率を向上することができる。
なお、形状変更部212は、計測領域の全範囲について部分領域の大きさを変更してもよい。つまり、「計測領域内の特定の範囲」は、計測領域内の一部の範囲と計測領域の全範囲を含む。
対象施設Pの特性は、経年劣化等によって変化することがある。すなわち、正常温度マップM0に記録された初期値は、上述したように対象施設Pの設計値等によって決定されるため、対象施設Pの劣化等により正常温度が初期値から変化する可能性がある。そこで、第4の実施形態に係る異常検出システム1は、正常温度マップ記憶部202が記憶する正常温度マップM0を、温度マップ記憶部201が記憶する温度マップMに基づいて更新する。
図19は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。
第4の実施形態に係る異常検出装置20は、第3の実施形態に係る構成に加え、さらに正常温度特定部213および正常温度更新部214を備える。
正常温度特定部213は、温度マップ記憶部201が記憶する温度マップMに係る各部分領域の温度を、状態取得部211が取得した対象施設Pの状態に基づいて標準化する。温度の標準化は、例えば、温度マップMに係る温度から閾値決定部209が決定したオフセット値を減算することなどによって行うことができる。正常温度特定部213は、標準化した各部分領域の各計測時間帯の温度に基づいて、正常温度を特定する。
正常温度更新部214は、正常温度特定部213が特定した正常温度で、各部分領域Rの正常温度を更新する。
図20は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の正常温度マップの更新処理を示すフローチャートである。図21は、本発明の一実施形態に係る更新前後の正常温度マップの例を示す図である。
異常検出装置20が温度マップMに基づいて異常の検出を行うと、異常検出装置20の正常温度更新部214は、正常温度マップM0の更新を行うか否かを判定する(ステップS81)。例えば、正常温度更新部214は、温度マップMについていずれの部分領域にも異常がないと判定された場合に、正常温度マップM0を更新すると判定してもよい。また例えば、正常温度更新部214は、温度マップMについてある部分領域Rに異常が生じていると判定された場合に、正常温度マップM0を更新しないと判定してもよいし、異常が生じていない部分領域Rについて正常温度マップM0を更新すると判定してもよい。
第4の実施形態に係る異常検出装置20は、複数の計測時間帯に係る複数の部分領域Rの温度に基づいて、複数の部分領域Rそれぞれの正常温度を特定し、当該正常温度に基づいて正常温度マップM0を更新する。これにより、異常検出装置20は、更新された部分領域Rの正常温度を用いて異常が発生している部分領域Rを特定することができる。したがって、異常検出装置20は、対象施設Pの劣化等、対象施設Pの温度特性が徐々に変化する場合にも、適切に異常の検出をすることができる。
第1から第4の実施形態に係る異常検出装置20は、巡回点検装置10と別個に設けられる。これに対し、第5の実施形態においては、巡回点検装置10が異常検出装置20を備える。
図22は、本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の構成を示す外観図である。
第5の実施形態に係る巡回点検装置10は、第1の実施形態の構成に加え、異常検出装置20をさらに備える。なお、図22に示す例においては、制御装置15と異常検出装置20とが別個に設けられるが、これに限られず、異常検出装置20は制御装置15に組み込まれてもよい。第5の実施形態に係る巡回点検装置10は、温度管理装置の一例である。
第5の実施形態に係る巡回点検装置10は、所定の経路に沿って対象施設P内を走行しながら、温度マップを更新する。
図23は、本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の温度マップ更新処理を示すフローチャートである。
巡回点検装置10の制御装置15は、予め定められた巡回点検のタイミングに、所定の経路に沿って移動装置12の走行制御を開始する(ステップS181)。制御装置15は、移動装置12の制御中、巡回点検装置10の位置および方位を計測する(ステップS182)。制御装置15は、巡回点検装置10の位置と経路上の所定の撮像ポイントとの距離が所定の閾値未満になったか否かを判定する(ステップS183)。
このように、第5の実施形態によれば、巡回点検装置10は、自走しながら温度マップMを最新の状態に更新することができる。
第5の実施形態に係る巡回点検装置10は、所定の撮像ポイントにおいて温度分布Tおよび距離分布Lを収集し、温度マップMを更新する。これに対し、第6の実施形態に係る巡回点検装置10は、温度マップMに基づいて移動先を計画しながら温度マップMを更新することで、精度の高い温度マップMを生成する。第6の実施形態に係る巡回点検装置10は、第5の実施形態と同様に異常検出装置20を備える。
図24は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。
第6の実施形態に係る異常検出装置20は、第1の実施形態の構成に加え、さらに三次元マップ記憶部215、経路算出部216、経路出力部217を備える。
図25は、本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の温度マップ更新処理を示すフローチャートである。
巡回点検装置10の制御装置15は、予め定められた巡回点検のタイミングに、初期値に係る経路または経路出力部217が出力した経路に沿って移動装置12の走行制御を開始する(ステップS201)。制御装置15は、移動装置12の制御中、巡回点検装置10の位置および方位を計測する(ステップS202)。制御装置15は、巡回点検装置10の位置と経路上の撮像ポイントとの距離が所定の閾値未満になったか否かを判定する(ステップS203)。
図26は、本発明の一実施形態に係る温度マップの更新処理の例を表す図である。
このように、第6の実施形態によれば、巡回点検装置10は、サーマルカメラ13の死角を特定し、三次元マップに基づいて死角を撮像可能な撮像ポイントに移動するための経路を算出する。これにより、巡回点検装置10は、温度マップMにおける高温箇所の特定の精度を向上させることができる。
図26に示すように、ある地点から得られた温度分布T1に基づいて生成された三次元温度分布DT1には、機器Qが設置される部分領域Rqにおいて、死角が生じている。部分領域Rqの代表温度が正常温度より高い場合、異常検出装置20は、当該部分領域Rqに異常が発生している可能性があるため、当該死角を撮像可能な撮像ポイントを特定し、巡回点検装置10を当該撮像ポイントへ移動させる。巡回点検装置10は異動後の撮像ポイントにおいて温度分布T2を得て、三次元温度分布DT2を生成する。図26に示す例においては、機器Qのうち三次元温度分布DT1において死角となっていた箇所がヒートスポットとなっている。したがって、三次元温度分布DT2に基づいて生成された温度マップM2における部分領域Rqの代表温度は、三次元温度分布DT1に基づいて生成された温度マップM1における部分領域Rqの代表温度と比較して高い温度となる。
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
上述の実施形態に係る巡回点検装置10は、撮像ポイントごとに撮像を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る巡回点検装置10は、一定時間ごと、または一定距離ごとに温度分布Tおよび距離分布Lを撮像してもよいし、温度分布Tおよび距離分布Lを動画像として撮像してもよい。なお、動画像を撮像することは、複数のフレーム画像(静止画像)を撮像することと等価である。
図27は、本発明の少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。
上述の異常検出装置20および巡回点検装置10の制御装置15は、それぞれコンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した温度マップ記憶部201および正常温度マップ記憶部202に対応する記憶領域をストレージ93に確保する。
10 巡回点検装置
11 本体
12 移動装置
13 サーマルカメラ
14 デプスカメラ
15 制御装置
20 異常検出装置
201 温度マップ記憶部
202 正常温度マップ記憶部
203 温度分布取得部
204 部分領域特定部
205 温度記録部
206 マップ出力部
207 領域指定部
208 温度時系列出力部
209 閾値決定部
210 異常特定部
211 状態取得部
212 形状変更部
213 正常温度特定部
214 正常温度更新部
Claims (23)
- 地面に沿った方向に向いたサーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を取得する温度分布取得部と、
前記サーマルカメラの撮像範囲の距離分布を得る距離計測装置による前記距離分布に基づいて、温度の計測領域を高さ方向から平面視した平面マップから分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定する部分領域特定部と、
特定された前記部分領域に関連付けて、当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録する温度記録部と
を備える温度管理装置。 - 前記温度分布取得部は、前記温度分布を計測時間帯別に取得し、
前記温度記録部は、前記計測時間帯別に、特定された前記部分領域に関連付けて、前記計測時間帯に計測され、かつ当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録する
請求項1に記載の温度管理装置。 - 指定された前記部分領域に関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力する温度時系列出力部を備える
請求項2に記載の温度管理装置。 - 前記温度時系列出力部は、指定された前記計測領域の横断線上に位置する複数の部分領域それぞれに関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力する
請求項3に記載の温度管理装置。 - 前記温度記録部によって記録された前記複数の部分領域それぞれの温度に基づいて、前記計測領域のうち異常が発生している部分領域を特定する異常特定部を備える
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の温度管理装置。 - 前記複数の部分領域それぞれの正常温度と前記計測領域の状態とに基づいて、前記複数の部分領域それぞれの異常の特定に用いる閾値を決定する閾値決定部をさらに備え、
前記異常特定部は、前記複数の部分領域それぞれの温度と、前記複数の部分領域それぞれの閾値とに基づいて、異常が発生している部分領域を特定する
請求項5に記載の温度管理装置。 - 前記閾値決定部は、前記計測領域の環境温度に基づいて前記複数の部分領域の補正値を決定し、前記複数の部分領域の正常温度と前記複数の部分領域の補正値とに基づいて、前記複数の部分領域それぞれの閾値を決定する
請求項6に記載の温度管理装置。 - 前記閾値決定部は、前記計測領域に設けられた機器の状態に基づいて、前記機器が位置する前記部分領域の補正値を決定し、前記機器が位置する前記部分領域の正常温度と前記補正値とに基づいて、前記機器が位置する前記部分領域の閾値を決定する
請求項6または請求項7に記載の温度管理装置。 - 前記閾値決定部は、前記計測領域に設けられた機器の状態に基づいて、前記機器の近傍の前記部分領域の補正値を決定し、前記機器が位置する前記部分領域の正常温度と前記補正値とに基づいて、前記機器の近傍の前記部分領域の閾値を決定する
請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の温度管理装置。 - 複数の計測時間帯に係る前記複数の部分領域の温度に基づいて、前記複数の部分領域それぞれの正常温度を特定する正常温度特定部を備え、
前記異常特定部は、前記複数の部分領域それぞれの温度と、前記複数の部分領域それぞれの前記正常温度とを比較することで、異常が発生している部分領域を特定する
請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の温度管理装置。 - 前記計測領域内の特定の範囲について前記複数の部分領域の形状を変更する形状変更部をさらに備える
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の温度管理装置。 - 前記計測領域は、グリッドによって前記複数の部分領域に分割され、
前記形状変更部は、前記特定の範囲を覆う前記グリッドの大きさを変更する
請求項11に記載の温度管理装置。 - 移動装置と、
前記移動装置に設置され、撮像範囲の温度分布を計測するサーマルカメラと、
位置を特定する位置特定装置と
をさらに備え、
前記温度分布取得部は、前記サーマルカメラが計測した前記温度分布を取得し、
前記部分領域特定部は、前記位置特定装置が特定した前記位置に基づいて前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定する
請求項1から請求項12の何れか1項に記載の温度管理装置。 - 前記温度分布に基づいて、前記計測領域のうち前記サーマルカメラの死角を特定し、前記計測領域の三次元マップに基づいて前記死角を撮像可能な位置に前記移動装置を移動させるための経路を算出する経路算出部
をさらに備える請求項13に記載の温度管理装置。 - 前記経路算出部は、前記温度分布に係る温度と前記複数の部分領域の正常温度とに基づいて、前記経路を算出するか否かを判定する
請求項14に記載の温度管理装置。 - 前記撮像範囲の距離分布を計測する距離計測装置をさらに備え、
前記経路算出部は、前記距離分布に基づいて前記経路上に障害物があるか否かを判定し、前記経路上に前記障害物がある場合に、前記障害物を避ける経路を算出する
請求項14または請求項15に記載の温度管理装置。 - 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の温度管理装置と移動体とを備え、
前記移動体は、
移動装置と、
前記移動装置に設置され、撮像範囲の温度分布を計測するサーマルカメラと、
位置を特定する位置特定装置と
を備え、
前記温度分布取得部は、前記サーマルカメラが計測した前記温度分布を取得し、
前記部分領域特定部は、前記位置特定装置が特定した前記位置に基づいて前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定する
温度管理システム。 - 前記移動体は、
前記撮像範囲の距離分布を計測する距離計測装置と、
前記位置特定装置が特定した前記位置と、前記距離計測装置が計測した前記距離分布と、前記サーマルカメラが計測した前記温度分布とに基づいて、前記温度分布を三次元位置情報に関連付けた三次元温度分布を生成する三次元温度分布生成装置と
を備える請求項17に記載の温度管理システム。 - 地面に沿った方向に向いたサーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を取得するステップと、
前記サーマルカメラの撮像範囲の距離分布を得る距離計測装置による前記距離分布に基づいて、温度の計測領域を高さ方向から平面視した平面マップから分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するステップと、
特定された前記部分領域に関連付けて、当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するステップと
を有する温度管理方法。 - コンピュータに、
地面に沿った方向に向いたサーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を取得するステップと、
前記サーマルカメラの撮像範囲の距離分布を得る距離計測装置による前記距離分布に基づいて、温度の計測領域を高さ方向から平面視した平面マップから分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するステップと、
特定された前記部分領域に関連付けて、当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するステップと
を実行させるためのプログラム。 - サーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を計測時間帯別に取得する温度分布取得部と、
温度の計測領域から分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定する部分領域特定部と、
前記計測時間帯別に、特定された前記部分領域に関連付けて、前記計測時間帯に計測され、かつ当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録する温度記録部と、
指定された前記計測領域の横断線上に位置する複数の部分領域それぞれに関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力する温度時系列出力部と
を備える温度管理装置。 - サーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を計測時間帯別に取得するステップと、
温度の計測領域から分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するステップと、
前記計測時間帯別に、特定された前記部分領域に関連付けて、前記計測時間帯に計測され、かつ当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するステップと、
指定された前記計測領域の横断線上に位置する複数の部分領域それぞれに関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力するステップと
を有する温度管理方法。 - コンピュータに、
サーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を計測時間帯別に取得するステップと、
温度の計測領域から分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するステップと、
前記計測時間帯別に、特定された前記部分領域に関連付けて、前記計測時間帯に計測され、かつ当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するステップと、
指定された前記計測領域の横断線上に位置する複数の部分領域それぞれに関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力するステップと
を実行させるためのプログラム。
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