JP7081945B2 - 温度管理装置、温度管理システム、温度管理方法、およびプログラム - Google Patents

温度管理装置、温度管理システム、温度管理方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、温度管理装置、温度管理システム、温度管理方法、およびプログラムに関する。
特許文献1には、プラント内を走行する移動体の移動を補助する技術が開示されている。
特許第5106903号公報
ところで、プラント内に設置されたサーマルカメラ(たとえば、赤外線カメラ)による定点観測画像を用いて、プラント内の異常を検出する技術が知られている。すなわち、サーマルカメラの定点観測画像を用いることで、プラント内の所定箇所の温度の変化を検出することができる。
他方、サーマルカメラのコストが高いことから、少ないサーマルカメラによってプラント全体の異常を検出したいという要求がある。特許文献1に記載された移動体などにサーマルカメラを取り付けることで、少ないサーマルカメラで多くの場所の温度を計測することが可能であるが、移動体の走行および自己位置推定には誤差が含まれ、またサーマル画像は、可視光画像と比較して輪郭がぼけるため、移動体に取り付けられたサーマルカメラによって定点観測画像を得ることは困難である。サーマル画像は、対象物が発する赤外線の強度によって表され、赤外線は対象物から放射状に発せられるため、サーマルカメラと対象物との距離が遠いほどサーマル画像における対象物の輪郭がぼける。
本発明の目的は、任意の位置においてサーマルカメラが撮像した温度分布に基づいて適切に温度の監視を実現することができる温度管理装置、温度管理システム、温度管理方法、およびプログラムを提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、温度管理装置は、サーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を取得する温度分布取得部と、温度の計測領域から分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定する部分領域特定部と、特定された前記部分領域に関連付けて、当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録する温度記録部とを備える。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る温度管理装置は、前記温度分布取得部は、前記温度分布を計測時間帯別に取得し、前記温度記録部は、前記計測時間帯別に、特定された前記部分領域に関連付けて、前記計測時間帯に計測され、かつ当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するものであってよい。
本発明の第3の態様によれば、第2の態様に係る温度管理装置は、指定された前記部分領域に関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力する温度時系列出力部を備えるものであってよい。
本発明の第4の態様によれば、第3の態様に係る温度管理装置は、前記温度時系列出力部は、指定された前記計測領域の横断線上に位置する複数の部分領域それぞれに関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力するものであってよい。
本発明の第5の態様によれば、第1から第4の何れかの態様に係る温度管理装置は、前記温度記録部によって記録された前記複数の部分領域それぞれの温度に基づいて、前記計測領域のうち異常が発生している部分領域を特定する異常特定部を備えるものであってよい。
本発明の第6の態様によれば、第5の態様に係る温度管理装置は、前記複数の部分領域それぞれの正常温度と前記計測領域の状態とに基づいて、前記複数の部分領域それぞれの異常の特定に用いる閾値を決定する閾値決定部をさらに備え、前記異常特定部は、前記複数の部分領域それぞれの温度と、前記複数の部分領域それぞれの閾値とに基づいて、異常が発生している部分領域を特定するものであってよい。
本発明の第7の態様によれば、第6の態様に係る温度管理装置は、前記閾値決定部は、前記計測領域の環境温度に基づいて前記複数の部分領域の補正値を決定し、前記複数の部分領域の正常温度と前記複数の部分領域の補正値とに基づいて、前記複数の部分領域それぞれの閾値を決定するものであってよい。
本発明の第8の態様によれば、第6または第7の態様に係る温度管理装置は、前記閾値決定部は、前記計測領域に設けられた機器の状態に基づいて、前記機器が位置する前記部分領域の補正値を決定し、前記機器が位置する前記部分領域の正常温度と前記補正値とに基づいて、前記機器が位置する前記部分領域の閾値を決定するものであってよい。
本発明の第9の態様によれば、第6から第8の何れかの態様に係る温度管理装置は、前記閾値決定部は、前記計測領域に設けられた機器の状態に基づいて、前記機器の近傍の前記部分領域の補正値を決定し、前記機器が位置する前記部分領域の正常温度と前記補正値とに基づいて、前記機器の近傍の前記部分領域の閾値を決定するものであってよい。
本発明の第10の態様によれば、第5から第9の何れかの態様に係る温度管理装置は、複数の計測時間帯に係る前記複数の部分領域の温度に基づいて、前記複数の部分領域それぞれの正常温度を特定する正常温度特定部を備え、前記異常特定部は、前記複数の部分領域それぞれの温度と、前記複数の部分領域それぞれの前記正常温度とを比較することで、異常が発生している部分領域を特定するものであってよい。
本発明の第11の態様によれば、第1から第10の何れかの態様に係る温度管理装置は、前記計測領域内の特定の範囲について前記複数の部分領域の形状を変更する形状変更部をさらに備えるものであってよい。
本発明の第12の態様によれば、第11の態様に係る温度管理装置は、前記計測領域は、グリッドによって前記複数の部分領域に分割され、前記形状変更部は、前記特定の範囲を覆う前記グリッドの大きさを変更するものであってよい。
本発明の第13の態様によれば、第1から第12の何れかの態様に係る温度管理装置は、移動装置と、前記移動装置に設置され、撮像範囲の温度分布を計測するサーマルカメラと、位置を特定する位置特定装置とをさらに備え、前記温度分布取得部は、前記サーマルカメラが計測した前記温度分布を取得し、前記部分領域特定部は、前記位置特定装置が特定した前記位置に基づいて前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するものであってよい。
本発明の第14の態様によれば、第13の態様に係る温度管理装置は、前記温度分布に基づいて、前記計測領域のうち前記サーマルカメラの死角を特定し、前記計測領域の三次元マップに基づいて前記死角を撮像可能な位置に前記移動装置を移動させるための経路を算出する経路算出部をさらに備えるものであってよい。
本発明の第15の態様によれば、第14の態様に係る温度管理装置は、前記経路算出部は、前記温度分布に係る温度と前記複数の部分領域の正常温度とに基づいて、前記経路を算出するか否かを判定するものであってよい。
本発明の第16の態様によれば、第14または第15の態様に係る温度管理装置は、前記撮像範囲の距離分布を計測する距離計測装置をさらに備え、前記経路算出部は、前記距離分布に基づいて前記経路上に障害物があるか否かを判定し、前記経路上に前記障害物がある場合に、前記障害物を避ける経路を算出するものであってよい。
本発明の第17の態様によれば、温度管理システムは、第1から第12の何れかの態様に係る温度管理装置と移動体とを備え、前記移動体は、移動装置と、前記移動装置に設置され、撮像範囲の温度分布を計測するサーマルカメラと、位置を特定する位置特定装置とを備え、前記温度分布取得部は、前記サーマルカメラが計測した前記温度分布を取得し、前記部分領域特定部は、前記位置特定装置が特定した前記位置に基づいて前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定する。
本発明の第18の態様によれば、第17の態様に係る温度管理システムは、前記移動体は、前記撮像範囲の距離分布を計測する距離計測装置と、前記位置特定装置が特定した前記位置と、前記距離計測装置が計測した前記距離分布と、前記サーマルカメラが計測した前記温度分布とに基づいて、前記温度分布を三次元位置情報に関連付けた三次元温度分布を生成する三次元温度分布生成装置とを備えるものであってよい。
本発明の第19の態様によれば、温度管理方法は、サーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を取得するステップと、温度の計測領域から分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するステップと、特定された前記部分領域に関連付けて、当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するステップとを有する。
本発明の第20の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、サーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を取得するステップと、温度の計測領域から分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するステップと、特定された前記部分領域に関連付けて、当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するステップとを実行させる。
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、温度管理装置は、任意の位置においてサーマルカメラが撮像した温度分布に基づいて適切に温度の監視を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る異常検出システムの構成を表す概略図である。 本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の温度マップ更新処理を表すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る温度マップの更新処理の例を表す図である。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の異常検知処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の温度マップ出力処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る温度マップを表示する画面の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る温度時系列画面の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態において環境温度が異なる場合における正常温度と閾値との関係の例を示す図である。 本発明の一実施形態において機器の負荷が異なる場合における正常温度と閾値との関係の例を示す図である。 本発明の一実施形態において機器の輻射熱が異なる場合における正常温度と閾値との関係の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の異常検知処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の温度マップ出力処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る部分領域の形状の変更の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の正常温度マップの更新処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る更新前後の正常温度マップの例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の構成を示す外観図である。 本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の温度マップ更新処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の温度マップ更新処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る温度マップの更新処理の例を表す図である。 本発明の少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
〈第1の実施形態〉
《全体構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る異常検出システムの構成を表す概略図である。
異常検出システム1は、プラントなどの対象施設Pの温度を監視し、対象施設Pの異常を検出するためのシステムである。異常検出システム1は、巡回点検装置10と異常検出装置20とを備える。異常検出システム1は、温度管理システムの一例である。異常検出装置20は、温度管理装置の一例である。
巡回点検装置10は、サーマルカメラ13を備え、予め定められた経路を走行する。これにより、巡回点検装置10は、経路を走行しながら、対象施設P内の温度分布を計測する。巡回点検装置10は、移動体の一例である。
異常検出装置20は、巡回点検装置10が計測した温度分布に基づいて、対象施設Pを高さ方向から平面視した平面マップに、温度をマッピングする。以下、温度をマッピングした平面マップを、温度マップMと呼ぶ。なお、巡回点検装置10による巡回の開始前(初回起動時)は、温度マップMの値がないため、初期値として対象施設Pの周辺温度の平均値、対象施設Pの温度の設計値、または他の対象施設Pの実績値が記録されていてもよい。異常検出装置20は、温度マップMに基づいて対象施設Pのうち異常が生じている箇所を特定する。異常検出装置20は、対象施設P内に設けられてもよいし、対象施設Pと遠隔の地に設けられてもよい。また、異常検出装置20は、巡回点検装置10に設けられてもよい。
《巡回点検装置の構成》
図2は、本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の構成を示す概略図である。
巡回点検装置10は、本体11と、移動装置12と、サーマルカメラ13と、デプスカメラ14と、制御装置15とを備える。
本体11は、巡回点検装置10の外郭をなす筐体であって、制御装置15を内包する。
移動装置12は、走行可能に本体11を支持する。移動装置12の例としては、車輪、無限軌道、脚機構などが挙げられる。なお、移動装置12として図2に示すように無限軌道を採用することで、その場での転回が可能となり、巡回点検装置10の回転半径を小さくすることができる。また、巡回点検装置10は水中または空中を移動するものであってもよい。この場合、移動装置12としては、プロペラなどのスラスタが用いられる。移動装置12は、制御装置15が出力する信号に従って走行する。
サーマルカメラ13は、本体11に取り付けられ、撮像方向の対象物の温度分布Tを取得する。サーマルカメラ13は、例えば移動装置12の移動方向を向くように取り付けられる。温度分布Tは、サーマルカメラ13の撮像範囲を表す二次元平面上の温度の分布を表す。サーマルカメラ13は、例えば赤外線カメラなどによって実現される。
デプスカメラ14は、サーマルカメラ13と略同じ方向を向くように本体11に取り付けられ、デプスカメラ14から撮像方向の対象物までの距離分布Lを取得する。距離分布Lは、デプスカメラ14の撮像範囲を表す二次元平面上の距離の分布を表す。デプスカメラ14は、例えばToF(Time of Flight)カメラなどによって実現される。デプスカメラ14は、距離計測装置の一例である。なお、他の実施形態に係る巡回点検装置10は、デプスカメラ14に代えて、LiDAR(Light Detection and Ranging)装置や、二眼ステレオカメラなどの他の距離計測装置を備えてもよい。
制御装置15は、巡回点検装置10の位置および方位を検出し、予め定められた経路に従って移動装置12の走行を制御する。例えば、制御装置15は、GNSS(Global Navigation Satellite System)に係る信号に基づいて位置および方位を検出してもよいし、図示しない方位センサおよび距離センサに基づく自律航法によって位置および方位を検出してもよいし、デプスカメラ14が出力する距離分布を用いたSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により位置および方位を検出してもよい。制御装置15は、自己の位置および方位を検出する際に、可視光画像を併用してもよい。制御装置15は、位置特定装置の一例である。なお、移動装置12が走行する経路は、対象施設Pのうち少なくとも異常の検出をすべき位置がサーマルカメラ13およびデプスカメラ14によって網羅的に撮像されるような経路に設定される。
また制御装置15は、サーマルカメラ13およびデプスカメラ14が撮像した温度分布Tおよび距離分布Lと、検出した位置および方位を示す位置情報とを異常検出装置20に送信する。このとき、制御装置15は、デプスカメラ14が出力した距離分布Lと位置情報とに基づいて生成された三次元位置情報Dに、サーマルカメラ13が出力した温度分布Tをマッピングしたもの(三次元温度分布DT)を、異常検出装置20に送信してもよい。制御装置15は、三次元温度分布生成装置の一例である。
《異常検出装置の構成》
図3は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。
異常検出装置20は、温度マップ記憶部201、正常温度マップ記憶部202、温度分布取得部203、部分領域特定部204、温度記録部205、マップ出力部206、領域指定部207、温度時系列出力部208、閾値決定部209、異常特定部210を備える。
温度マップ記憶部201は、対象施設Pを高さ方向から平面視した平面マップであって、温度の計測領域を所定の大きさのグリッドで分割した複数の部分領域Rの温度を表す温度マップMを記憶する。部分領域Rの大きさは、巡回点検装置10の位置特定誤差、運転誤差、サーマルカメラ13の誤差等に基づいて決定されるとよい。温度マップ記憶部201は、巡回点検装置10による巡回ごとに生成される。巡回点検装置10の巡回点検の周期は予め定められており、ある巡回点検の開始時刻から次の巡回点検の開始時刻までの時間帯ごとに、温度マップMが生成される。
正常温度マップ記憶部202は、対象施設Pを高さ方向から平面視した平面マップであって、温度マップと同じ大きさの複数の部分領域Rの正常時の温度を表す正常温度マップM0を記憶する。各部分領域の正常温度は、例えば、当該部分領域Rに位置する機器の設計値、過去の実績値などに基づいて決定される。
温度分布取得部203は、巡回点検装置10から、温度分布T、距離分布L、および位置情報を取得する。
部分領域特定部204は、温度分布取得部203が取得した温度分布T、距離分布L、および位置情報に基づいて、温度分布Tに表される各温度が温度マップMにおけるいずれの部分領域Rに属するかを特定する。
温度記録部205は、部分領域特定部204が特定した部分領域Rごとに、温度分布取得部203が取得した温度分布Tにおける当該部分領域Rの代表温度を、温度マップMに記録する。温度分布Tの代表温度としては、例えば、温度分布Tの最高値、平均値または中央値が挙げられる。なお、温度マップMのある部分領域Rに既に温度が記録されており、新たに得られた温度分布Tに係る当該部分領域Rの代表温度が既に記録されている温度より高い場合には、温度記録部205は、新たに得られた温度分布Tに係る代表温度で温度マップMの当該部分領域Rの温度を更新する。他方、新たに得られた温度分布Tに係る代表温度が既に記録されている温度以下である場合には、温度記録部205は、温度マップMの当該部分領域Rの温度を更新しない。
これにより、温度マップMには、巡回点検装置10の1回の巡回点検における各部分領域Rの代表温度が記録される。
マップ出力部206は、温度マップ記憶部201が記憶する最新の温度マップMを出力する。マップ出力部206は、例えば温度マップMを図示しないディスプレイに表示してもよいし、図示しないプリンタに印刷させてもよいし、外部の端末装置に送信してもよい。温度マップMは、例えばXY平面に複数の部分領域Rをとり、Z軸に各部分領域Rの温度をとった三次元グラフによって表されてもよいし、XY平面からなる二次元平面上の各部分領域Rを温度に応じた色で塗り分けたサーモグラフィによって表されてもよい。
領域指定部207は、利用者から温度マップMのうち温度変化を確認したい部分領域Rの指定を受け付ける。本実施形態に係る領域指定部207は、計測領域を横断する線Lの入力を受け付け、当該線L上に位置する複数の部分領域Rを、温度変化を確認したい部分領域Rとする。線Lは計測領域の横断線の一例である。
温度時系列出力部208は、領域指定部207によって指定された複数の部分領域Rの温度の時系列を表す温度時系列画面TSを出力する。温度時系列出力部208は、例えば温度時系列画面TSを図示しないディスプレイに表示してもよいし、図示しないプリンタに印刷させてもよいし、外部の端末装置に送信してもよい。温度時系列画面TSは、例えばX軸に指定された部分領域Rを並べ、Y軸を時間軸とし、Z軸に各部分領域Rの各時刻における温度をとった三次元グラフによって表されてもよいし、X軸に部分領域Rを並べY軸を時間軸とした二次元平面を、各時刻における各部分領域Rの温度に応じた色で塗った画像によって表されてもよい。
異常特定部210は、領域指定部207によって指定された複数の部分領域Rの温度と、正常温度マップM0が示す複数の部分領域Rの正常温度とに基づいて、異常が発生している部分領域Rを特定する。第1の実施形態に係る異常特定部210は、部分領域Rの温度が正常温度から特定される温度閾値th以上である場合に、当該部分領域Rに異常が発生していると判定する。
次に、第1の実施形態に係る異常検出システム1の動作について説明する。
《巡回点検装置の巡回点検処理》
図4は、本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の動作を示すフローチャートである。
巡回点検装置10の制御装置15は、予め定められた巡回点検のタイミングに、所定の経路に沿って移動装置12の走行制御を開始する(ステップS01)。制御装置15は、移動装置12の制御中、巡回点検装置10の位置および方位を計測する(ステップS02)。制御装置15は、巡回点検装置10の位置と経路上の所定の撮像ポイントとの距離が所定の閾値未満になったか否かを判定する(ステップS03)。すなわち制御装置15は、巡回点検装置10が撮像ポイントに到達したか否かを判定する。
巡回点検装置10の位置と経路上の所定の撮像ポイントとの距離が所定の閾値未満になった場合(ステップS03:YES)、制御装置15は、サーマルカメラ13に温度分布Tを撮像させ、デプスカメラ14に距離分布Lを撮像させる(ステップS04)。巡回点検装置10は、撮像された温度分布Tおよび距離分布Lを、撮像時刻と、その時点における巡回点検装置10の位置および方位を示す位置情報とに関連付けて、異常検出装置20に送信する(ステップS05)。
巡回点検装置10の位置と経路上の所定の撮像ポイントとの距離が所定の閾値以上である場合(ステップS03:NO)、または温度分布T、距離分布L、撮像時刻および位置情報を異常検出装置20に送信すると(ステップS05)、制御装置15は、巡回点検装置10の位置と経路の終点との距離が所定の閾値未満になったか否かを判定する(ステップS06)。すなわち制御装置15は、巡回点検装置10が経路の終点に到達したか否かを判定する。巡回点検装置10の位置と経路の終点との距離が所定の閾値以上である場合(ステップS06:NO)、制御装置15は、ステップS01に処理を戻し、移動装置12の制御を継続する。他方、巡回点検装置10の位置と経路の終点との距離が所定の閾値未満になった場合(ステップS06:YES)、制御装置15は、巡回点検処理を終了し、次の巡回点検のタイミングまで待機する。
上記手順により、巡回点検装置10は、対象施設Pの少なくとも異常の検知が必要な位置を含む温度分布Tを、異常検出装置20に送信することができる。なお、第1の実施形態においては、巡回点検装置10は、撮像ポイントで情報を取得するたびに、取得した情報をステップS05において異常検出装置20に送信するが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、巡回点検装置10は、ステップS6で経路の終点に到達したときに、各撮像ポイントで取得した情報をまとめて異常検出装置20に送信してもよい。
《異常検出装置の温度マップ更新処理》
図5は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の温度マップ更新処理を表すフローチャートである。
図6は、本発明の一実施形態に係る温度マップの更新処理の例を表す図である。
異常検出装置20の温度分布取得部203は、巡回点検装置10から温度分布T、距離分布L、撮像時刻および位置情報を取得する(ステップS21)。部分領域特定部204は、取得した距離分布Lと位置情報とに基づいて、図6に示すように温度分布Tの撮像範囲の三次元位置を示す三次元位置情報Dを特定する(ステップS22)。例えば、部分領域特定部204は、位置情報に含まれる位置および方位に基づいて距離分布Lの座標系を回転させることで、距離分布Lを三次元位置情報Dに変換する。サーマルカメラ13の撮像範囲とデプスカメラ14の撮像範囲とが一致している場合、変換した三次元位置情報Dは温度分布Tの撮像範囲の三次元位置を表す。サーマルカメラ13の撮像範囲とデプスカメラ14の撮像範囲とが一致しない場合、部分領域特定部204は、三次元位置情報Dからサーマルカメラ13の撮像範囲との重複部分を切り出す。
温度記録部205は、温度分布取得部203が取得した温度分布Tを三次元位置情報Dにマッピングすることで、図6に示すように三次元温度分布DTを特定する(ステップS23)。次に、温度記録部205は、複数の部分領域Rのうち、三次元位置情報Dに係る位置を含むものを1つずつ選択し、ステップS25からステップS27の処理を実行する(ステップS24)。
温度記録部205は、三次元温度分布DTから、選択した部分領域Rに含まれる位置の代表温度を特定する(ステップS25)。次に、温度記録部205は、特定した代表温度が、取得した撮像時刻を含む時間帯に係る温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度より高いか否かを判定する(ステップS26)。なお、温度マップMに当該部分領域Rの温度が記録されていない場合、温度記録部205は、特定した代表温度が温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度より高いものと判断する。
温度記録部205は、特定した代表温度が温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度より高い場合(ステップS26:YES)、温度マップ記憶部201が記憶する温度マップMのうち当該部分領域Rの温度を、ステップS25で特定した温度に書き換える(ステップS27)。他方、特定した代表温度が温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度以下である場合(ステップS26:NO)温度記録部205は、温度マップMを書き換えない。
ステップS25からステップS27の処理により三次元位置情報Dに係る位置を含む各部分領域Rについて温度マップMの更新がなされると、異常検出装置20は、温度マップMの更新処理を終了し、巡回点検装置10による次の温度分布Tの送信を待機する。
《異常検出装置の異常検知処理》
図7は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の異常検知処理を示すフローチャートである。
温度記録部205によってある時間帯に係る温度マップMが完成すると、異常検出装置20の温度時系列出力部208は、温度マップ記憶部201から最新の温度マップMを読み出し、各温度マップMの各部分領域Rに係る温度を特定する(ステップS41)。閾値決定部209は、正常温度マップ記憶部202から正常温度マップM0を読み出し、正常温度マップM0の各部分領域Rに係る正常温度を特定する(ステップS42)。閾値決定部209は、各部分領域Rに係る正常温度に所定のオフセット値を加算することで、異常の判定に用いる温度閾値thを決定する(ステップS43)。各部分領域Rのオフセット値は、例えば、当該部分領域Rに位置する機器の設計値に対する安全率や温度変化率などに基づいて決定される。オフセット値は、補正値の一例である。
異常特定部210は、複数の部分領域Rの温度と温度閾値thとを比較し、温度が温度閾値th以上である部分領域R、または当該部分領域Rの前回の計測時間帯に係る温度との差が所定の温度差閾値以上である部分領域Rがあるか否かを判定する(ステップS44)。温度が温度閾値th以上の部分領域R、または温度差が温度差閾値以上である部分領域Rがある場合(ステップS44:YES)、異常特定部210は、その部分領域Rに異常があると判定し、異常の発生個所を出力する(ステップS45)。例えば、異常特定部210は、利用者が保有する携帯端末に異常の発生を通知する。また例えば異常特定部210は、異常の発生を特定したときにアラーム音を出力する。他方、すべての部分領域Rにおいて温度が温度閾値th未満であり、かつすべての部分領域Rにおいて温度差が温度差閾値未満である場合(ステップS44:NO)、異常特定部210は、対象施設Pに異常がないと判定する。
上記手順によって、異常検出装置20は、サーマルカメラ13の撮像画像に基づいて対象施設Pの異常の箇所を検出し、これを利用者に報知することができる。
《異常検出装置の温度マップ出力処理》
図8は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の温度マップ出力処理を示すフローチャートである。
異常検出装置20が発したアラート等に基づいて利用者が異常検出装置20に温度マップMの出力指示を送信すると、マップ出力部206は、温度マップ記憶部201が記憶する最も新しい時間帯に関連付けられた温度マップMを出力する(ステップS61)。温度マップMは、図9に示すように例えばディスプレイに表示される。図9は、本発明の一実施形態に係る温度マップを表示する画面の例を示す図である。
このとき、領域指定部207は、出力した温度マップM上のXY平面を横断する線Lによる部分領域Rの指定を受け付ける(ステップS62)。例えば、利用者が温度マップMのうち温度変化を認識したい部分領域Rをクリック等により選択した場合に、領域指定部207は、当該クリックされた部分領域Rを通り、Y座標方向に伸びる直線である線Lを特定し、線L上を通る複数の部分領域Rを特定する。また例えば、利用者が温度マップMのXY平面上の2点をクリック等により選択した場合に、領域指定部207は、当該クリックされた2点を通り、X座標方向に伸びる直線である線Lを特定し、線L上を通る複数の部分領域Rを特定する。また、XY平面を横断する線Lは、直線に限られず、曲線や折線であってもよい。
領域指定部207が複数の部分領域Rの指定を受け付けると、温度時系列出力部208は、温度マップ記憶部201から複数の(例えば直近の所定個数の)温度マップMを読み出し、指定された複数の部分領域Rに係る温度を特定する(ステップS63)。また、閾値決定部209は、正常温度マップ記憶部202から正常温度マップM0を読み出し、指定された複数の部分領域Rに係る正常温度を特定する(ステップS64)。閾値決定部209は、各部分領域Rの正常温度に所定のオフセット値を加算することで、各部分領域Rの温度閾値thを決定する(ステップS65)。
温度時系列出力部208は、図10に示すように、複数の時間帯および複数の部分領域Rに係る温度閾値thと、ステップS63で特定した温度の時系列とを表す温度時系列画面TSを出力する(ステップS68)。図10は、本発明の一実施形態に係る温度時系列画面の例を示す図である。温度時系列画面TSを出力することで、利用者は、選択した部分領域Rの温度と温度閾値thとを視認することができる。これにより、利用者は、異常が発生している箇所を特定することができる。例えば、利用者は温度が温度閾値thを超えた部分領域Rについて異常があると推定してもよいし、温度の変化率が相対的に高い部分領域Rについて異常があると推定してもよい。
これにより、異常検出装置20は、利用者に異常の状況を視認させることができる。
《作用・効果》
このように、第1の実施形態に係る異常検出装置20は、巡回点検装置10のサーマルカメラ13が計測した温度分布Tを用いて適切に対象施設Pの異常の特定のように供する温度マップMを生成することができる。すなわち、異常検出装置20は、サーマルカメラ13が計測した温度分布Tを、対象施設Pの計測領域を区切る複数の部分領域Rにマッピングすることで、巡回点検装置10の位置誤差およびサーマルカメラが計測する温度分布のぼけがあったとしても、温度に基づく異常検出の用に供する情報を生成することができる。また、第1の実施形態に係る異常検出システム1によれば、1つのサーマルカメラ13が計測した様々な地点の温度分布Tから、対象施設Pの計測領域全体の温度マップMを生成することができる。
また、第1の実施形態に係る異常検出装置20は、温度分布Tを計測時間帯別に取得し、計測時間帯別に、温度マップMの各部分領域Rに関連付けて、その計測時間帯に計測され、かつ当該部分領域Rに含まれる撮像範囲に係る温度分布Tの代表温度(例えば、温度分布のうち最も高い温度)を記録する。これにより、同じ部分領域Rの温度が異なる時刻または位置から計測されるため、温度マップMの精度を向上させることができる。
また、第1の実施形態に係る異常検出装置20は、部分領域Rの指定受け付け、当該部分領域Rの計測時間帯別の温度を出力する。すなわち異常検出装置20は、指定された部分領域Rの温度の時系列を出力する。これにより、利用者は、異常の被疑箇所について温度のトレンドを検証することができる。
第1の実施形態に係る異常検出装置20は、指定された計測領域を横断する線L上に位置する複数の部分領域Rそれぞれについて計測時間帯別の温度を出力する。これにより、利用者は、被疑箇所の周囲を含めて温度のトレンドを検証することができる。
第1の実施形態に係る異常検出装置20は、温度マップMに係る複数の部分領域Rそれぞれの温度に基づいて、異常が発生している部分領域Rを特定する。これにより、異常検出装置20は、精度よくかつ早期に異常が発生している部分領域Rを利用者に報知することができる。
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態に係る異常検出システム1は、正常温度マップ記憶部202が記憶する正常温度に所定のオフセット値を加算することで異常の判定に用いる温度閾値thを決定する。一方、対象施設Pが運転によって温度が変化する機器(例えば、タービン、ボイラ、リアクタなど)を備える場合、当該機器の運転状態によって異常と判定すべき温度が異なることがある。また、夏季や冬季など、対象施設Pの環境温度が変化する場合にも、当該環境温度によって異常と判定すべき温度が異なることがある。第2の実施形態に係る異常検出システム1は、対象施設Pの状態に基づいて異常の判定に用いる閾値を決定する。
《異常検出装置の構成》
図11は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。
第2の実施形態に係る異常検出装置20は、第1の実施形態に係る構成に加え、さらに状態取得部211を備える。
状態取得部211は、マップ出力部206が出力する温度マップMに係る計測時間帯における対象施設Pの状態を取得する。対象施設Pの状態とは、対象施設Pの環境温度、対象施設Pに設置された機器の状態などが挙げられる。例えば、対象施設Pがガスタービンプラントである場合、対象施設Pの機器の状態としては、燃料流量、ガスタービンの負荷、ロータの回転数、発電量などが挙げられる。
第2の実施形態に係る閾値決定部209は、状態取得部211が取得した対象施設Pの状態に基づいて閾値を決定する。例えば、閾値決定部209は、対象施設Pの状態に基づいて閾値を求めるためのオフセット値を特定し、正常温度にオフセット値を加算することで閾値を決定する。
《閾値の決定方法》
具体的には、閾値決定部209は、対象施設Pの環境温度が高いほど、各正常温度から温度閾値thを求めるためのオフセット値を増加させる。これにより、閾値決定部209は、図12に示すように、環境温度が高いほど温度閾値thを高くすることができる。図12は、本発明の一実施形態において環境温度が異なる場合における正常温度と閾値との関係の例を示す図である。図12に示す例では、各部分領域R1~R5の正常温度T0と、環境温度が第1温度である場合の温度閾値th11と、環境温度が第2温度である場合の温度閾値th12との関係を示す。第1温度は第2温度より低い温度である。環境温度が第1温度である場合、閾値決定部209は、第1温度からオフセット値O11を算出する。閾値決定部209は、部分領域R1~R5それぞれの正常温度T0にオフセット値O11を加算することで、温度閾値th11を決定する。他方、環境温度が第2温度である場合、閾値決定部209は、第2温度からオフセット値O12を算出する。オフセット値は環境温度が高いほど大きくなるため、オフセット値O12はオフセット値O11より大きい値となる。閾値決定部209は、部分領域R1~R5それぞれの正常温度T0にオフセット値O12を加算することで、温度閾値th11より高い温度閾値th12を決定する。このように、閾値決定部209は、状態取得部211が取得した対象施設Pの環境温度に応じて適切な温度閾値thを求めることができる。
また、閾値決定部209は、対象施設Pの機器の負荷が高いほど、当該機器が位置する部分領域Rの正常温度に係るオフセット値を増加させる。これにより、閾値決定部209は、図13に示すように、機器の負荷が高いほど当該機器が位置する部分領域の温度閾値thを高くすることができる。図13は、本発明の一実施形態において機器の負荷が異なる場合における正常温度と閾値との関係の例を示す図である。図13に示す例では、各部分領域R1~R5の正常温度T0と、部分領域R3に位置する機器の負荷が第1負荷である場合の温度閾値th21と、当該機器の負荷が第2負荷である場合の温度閾値th22との関係を示す。第1負荷は第2負荷より低い負荷である。機器の負荷が第1負荷である場合、閾値決定部209は、第1負荷からオフセット値O21を算出する。閾値決定部209は、当該機器が位置する部分領域R3の正常温度T0にオフセット値O21を加算することで、温度閾値th21を決定する。他方、機器の負荷が第2負荷である場合、閾値決定部209は、第2負荷からオフセット値O22を算出する。オフセット値は機器の負荷が高いほど大きくなるため、オフセット値O22はオフセット値O21より大きい値となる。閾値決定部209は、機器が位置する部分領域R3の正常温度T0にオフセット値O22を加算することで、温度閾値th21より高い温度閾値th22を決定する。このように、閾値決定部209は、状態取得部211が取得した対象施設Pの機器の負荷に応じて適切な温度閾値thを求めることができる。
また、閾値決定部209は、対象施設Pの機器の輻射熱の影響で当該機器の周囲の機器の温度が上昇する場合、当該周囲の機器が位置する部分領域Rの正常温度に係るオフセット値を増加させる。これにより、閾値決定部209は、図14に示すように、負荷が高い機器の周囲の部分領域Rの閾値を高くすることができる。図14は、本発明の一実施形態において機器の輻射熱が異なる場合における正常温度と閾値との関係の例を示す図である。図14に示す例では、各部分領域R1~R5の正常温度T0と、部分領域R3に位置する機器の負荷が第1負荷である場合の温度閾値th21と、当該機器の負荷が第2負荷である場合の温度閾値th22および温度閾値th23との関係を示す。第1負荷は第2負荷より低い負荷である。機器の負荷が第2負荷であるときに、当該機器の輻射熱が近傍の部分領域R2およびR4に影響を与える場合、閾値決定部209は、第2負荷からオフセット値O22とオフセット値O23とを算出する。オフセット値O22は、第2負荷で動作する機器が位置する部分領域Rに係るオフセット値であり、オフセット値O23は、第2負荷で動作する機器の近傍の部分領域Rに係るオフセット値である。オフセット値O23は、オフセット値O22より小さい値である。閾値決定部209は、第2負荷で動作する機器が位置する部分領域R3の正常温度T0にオフセット値O22を加算することで、温度閾値th22を決定する。また、閾値決定部209は、第2負荷で動作する機器の近傍の部分領域R2およびR4の正常温度T0にオフセット値O23を加算することで、温度閾値th21より高く温度閾値th22より低い温度閾値th23を決定する。このように、閾値決定部209は、状態取得部211が取得した対象施設Pの機器の輻射熱の影響に応じて適切な温度閾値thを求めることができる。
次に、第2の実施形態に係る異常検出システムの動作について説明する。
巡回点検装置10による巡回点検処理、および異常検出装置20による温度マップ更新処理は、第1の実施形態と同様である。
《異常検出装置の異常検知処理》
図15は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の異常検知処理を示すフローチャートである。
異常検出装置20の温度時系列出力部208は、温度マップ記憶部201から最新の温度マップを読み出し、各温度マップMの各部分領域Rに係る温度を特定する(ステップS141)。次に、状態取得部211は、対象施設Pの管理装置等から当該対象施設Pの状態情報(環境温度情報および機器の運転情報)を取得する(ステップS142)。また、閾値決定部209は、正常温度マップ記憶部202から正常温度マップM0を読み出し、各部分領域Rに係る正常温度を特定する(ステップS143)。閾値決定部209は、取得した状態情報に基づいて、各部分領域Rにおける温度についての温度閾値thのオフセット値を決定する(ステップS144)。すなわち、閾値決定部209は、状態取得部211が取得した環境温度情報に基づいて、対象施設Pの環境温度が高いほど各部分領域Rのオフセット値を増加させる。また、閾値決定部209は、状態取得部211が取得した機器の運転情報に基づいて、対象施設Pの機器の負荷が高いほど、当該機器が位置する部分領域Rのオフセット値を増加させ、また当該機器の近傍の部分領域Rのオフセット値を増加させる。閾値決定部209は、各部分領域Rに係る正常温度に決定したオフセット値を加算することで、温度閾値thを決定する(ステップS145)。
異常特定部210は、各部分領域Rについて温度と閾値とを比較し、温度が温度閾値th以上である部分領域R、または当該部分領域Rの前回の計測時間帯に係る温度との差が所定の温度差閾値以上である部分領域Rがあるか否かを判定する(ステップS146)。温度が温度閾値th以上の部分領域Rがある場合、または温度差が温度差閾値以上の部分領域Rがある場合(ステップS146:YES)、その部分領域Rに異常があると判定し、異常の発生個所を出力する(ステップS147)。他方、すべての部分領域Rにおいて温度が温度閾値th未満であり、かつすべての部分領域Rにおいて温度差が温度差閾値未満である場合(ステップS146:NO)、異常特定部210は、対象施設Pに異常がないと判定する。
《異常検出装置の温度マップ出力処理》
図16は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の温度マップ出力処理を示すフローチャートである。
利用者が異常検出装置20に温度マップMの出力指示を送信すると、マップ出力部206は、温度マップ記憶部201が記憶する最も新しい時間帯に関連付けられた温度マップMを出力する(ステップS161)。温度マップMは、例えばディスプレイに表示される。
このとき、領域指定部207は、出力した温度マップM上のXY平面を横断する線Lによる部分領域Rの指定を受け付ける(ステップS162)。領域指定部207が複数の部分領域Rの指定を受け付けると、温度時系列出力部208は、温度マップ記憶部201から複数の温度マップMを読み出し、各温度マップMにおいて特定された複数の部分領域Rに係る温度の時系列を特定する(ステップS163)。次に、状態取得部211は、対象施設Pの管理装置等から当該対象施設Pの各計測時間帯における機器の状態を取得する(ステップS164)。また、閾値決定部209は、正常温度マップ記憶部202から正常温度マップM0を読み出し、特定された複数の部分領域Rに係る正常温度を特定する(ステップS165)。閾値決定部209は、状態取得部211が取得した機器の状態に基づいて、温度時系列の各計測時間帯の各部分領域Rにおける温度についてのオフセット値を決定する(ステップS166)。閾値決定部209は、各部分領域Rの正常温度に、各部分領域Rの各計測時間帯に係るオフセット値を加算することで、各部分領域Rの各計測時間帯に係る温度閾値thを決定する(ステップS167)。
温度時系列出力部208は、各部分領域Rの各計測時間帯に係る閾値thと、ステップS163で特定した温度の時系列とを表す温度時系列画面TSを出力する(ステップS168)。温度時系列画面TSを出力することで、利用者は、選択した部分領域Rの温度と温度閾値thとを視認し、異常が発生している箇所を特定することができる。
《作用・効果》
このように、第2の実施形態に係る異常検出装置20は、複数の部分領域Rそれぞれの温度と、各部分領域Rの状態とに基づいて、異常が発生している部分領域Rを特定する。具体的には、第2の実施形態に係る異常検出装置20は、複数の部分領域Rの正常温度と複数の部分領域Rの状態とに基づいて異常の検出に用いる温度閾値thを決定する。これにより、異常検出装置20は、対象施設Pの環境温度や機器の運転等によって、一時的に温度が上昇し、または下降している部分領域Rについても、適切に異常の発生を特定することができる。
なお、第2の実施形態に係る異常検出装置20は、対象施設Pの状態に基づいて温度閾値thのオフセット値を決定し、正常温度とオフセット値とを加算することで温度閾値thを決定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る異常検出装置20は、対象施設Pの状態に基づいてスケール係数を決定し、正常温度にスケール係数を乗算することで温度閾値thを決定してもよい。また、他の実施形態に係る異常検出装置20は、対象施設Pの状態に基づいてオフセット値およびスケール係数を決定し、正常温度にスケール係数を乗算し、これにオフセット値を加算することで温度閾値thを決定してもよい。オフセット値およびスケール係数は、いずれも補正値の一例である。
〈第3の実施形態〉
第1、第2の実施形態に係る異常検出システム1は、図9に示すように、計測領域を所定の大きさのグリッドで分割した複数の部分領域Rの温度を表す温度マップMを生成する。一方、対象施設Pを構成する機器によって、または、対象施設Pの内的または外的な要因によって、必要とされる異常の検知の細かさが異なることがある。例えば、対象施設Pを構成する機器のうち主要な機器、機器が密集している箇所、運転中の機器などについては、他の箇所と比較してより細かい範囲での検知が求められることがある。第3の実施形態に書かある異常検出システム1は、部分領域Rの大きさを動的に変更して温度マップMを生成し、また異常を検出する。
《異常検出装置の構成》
図17は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。
第3の実施形態に係る異常検出装置20は、第2の実施形態に係る構成に加え、さらに形状変更部212を備える。
形状変更部212は、利用者の指示に基づいて、または状態取得部211が取得した状態に基づいて、部分領域Rの形状を変更する。具体的には、形状変更部212は、計測領域内の特定の範囲について、分割に用いるグリッドサイズを決定する。つまり、形状変更部212は、特定の範囲を覆うグリッドの大きさを変更することで、部分領域Rの形状を変更する。図18は、本発明の一実施形態に係る部分領域の形状の変更の例を示す図である。例えば、形状変更部212は、利用者から、温度マップMのうちX軸方向に2つY軸方向に2つ並んだ4つの部分領域Rを含む範囲s1と、グリッドサイズの入力を受け付ける。図18に示す例では、形状変更部212は、グリッドサイズとして、標準のグリッドサイズの2倍の値が入力される。形状変更部212は、計測領域内の範囲s1を、標準のグリッドサイズの2倍のグリッドサイズで分割することで、範囲s1内の部分領域Rbの形状を決定する。また例えば、形状変更部212は、状態取得部211から取得した範囲s2に位置する機器の状態が、所定の運転を開始したことを示す場合、範囲s2を、標準のグリッドサイズの半分のグリッドサイズで分割することで、範囲s2内の部分領域Rdの形状を決定する。
第3の実施形態に係る部分領域特定部204は、温度分布取得部203が取得した温度分布T、距離分布L、および位置情報に基づいて、温度分布Tに表される各温度が、形状変更部212が形状を決定した複数の部分領域のいずれの部分領域Rに属するかを特定する。
これにより、第3の実施形態に係るマップ出力部206は、形状変更部212によって決定された形状の部分領域Rd、部分領域Rmを含む温度マップMを出力する。また、第3の実施形態に係る異常特定部210は、部分領域R、ならびに形状変更部212によって決定された形状の部分領域Rdおよび部分領域Rmのそれぞれについて、異常を特定する。
《作用・効果》
このように、第3の実施形態によれば、異常検出装置20は、利用者の指示、対象施設Pの内的要因または外的要因に基づいて、計測領域内の特定の範囲の部分領域の形状を変更する。これにより、異常検出装置20は、計測領域内の特定の範囲について部分領域を小さくすることで対象施設Pの所定の機器に係る温度異常を検知する精度を集中的に向上することができ、異常の点検の効率を向上することができる。
なお、形状変更部212は、計測領域の全範囲について部分領域の大きさを変更してもよい。つまり、「計測領域内の特定の範囲」は、計測領域内の一部の範囲と計測領域の全範囲を含む。
〈第4の実施形態〉
対象施設Pの特性は、経年劣化等によって変化することがある。すなわち、正常温度マップM0に記録された初期値は、上述したように対象施設Pの設計値等によって決定されるため、対象施設Pの劣化等により正常温度が初期値から変化する可能性がある。そこで、第4の実施形態に係る異常検出システム1は、正常温度マップ記憶部202が記憶する正常温度マップM0を、温度マップ記憶部201が記憶する温度マップMに基づいて更新する。
《異常検出装置の構成》
図19は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。
第4の実施形態に係る異常検出装置20は、第3の実施形態に係る構成に加え、さらに正常温度特定部213および正常温度更新部214を備える。
正常温度特定部213は、温度マップ記憶部201が記憶する温度マップMに係る各部分領域の温度を、状態取得部211が取得した対象施設Pの状態に基づいて標準化する。温度の標準化は、例えば、温度マップMに係る温度から閾値決定部209が決定したオフセット値を減算することなどによって行うことができる。正常温度特定部213は、標準化した各部分領域の各計測時間帯の温度に基づいて、正常温度を特定する。
正常温度更新部214は、正常温度特定部213が特定した正常温度で、各部分領域Rの正常温度を更新する。
正常温度特定部213は、任意のデータ取得期間(例えば、直近の3日、直近の1年、すべての時間帯)を設定し、当該データ取得期間の温度マップMに基づいて正常温度マップM0を更新してもよい。例えば、正常温度特定部213は、対象施設Pの劣化や定期点検のタイミング等に応じてデータ取得期間を変更することで、より適切に正常温度マップM0を更新することができる。このとき、正常温度特定部213は、部分領域Rごとに異なる期間に基づいて正常温度を更新してもよい。例えば、正常温度特定部213は、対象施設Pを構成する機器ごとに劣化速度が異なる場合、当該機器が設置される部分領域Rごとにデータ取得期間を変更することで、より一層適切に正常温度マップM0を更新することができる。
《異常検出装置の正常温度マップの更新処理》
図20は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の正常温度マップの更新処理を示すフローチャートである。図21は、本発明の一実施形態に係る更新前後の正常温度マップの例を示す図である。
異常検出装置20が温度マップMに基づいて異常の検出を行うと、異常検出装置20の正常温度更新部214は、正常温度マップM0の更新を行うか否かを判定する(ステップS81)。例えば、正常温度更新部214は、温度マップMについていずれの部分領域にも異常がないと判定された場合に、正常温度マップM0を更新すると判定してもよい。また例えば、正常温度更新部214は、温度マップMについてある部分領域Rに異常が生じていると判定された場合に、正常温度マップM0を更新しないと判定してもよいし、異常が生じていない部分領域Rについて正常温度マップM0を更新すると判定してもよい。
正常温度更新部214が正常温度マップM0の更新を行わないと判定した場合(ステップS81:NO)、正常温度マップM0の更新を行わずに処理を終了する。他方、正常温度更新部214が正常温度マップM0の更新を行うと判定した場合(ステップS81:YES)、正常温度特定部213は、各部分領域Rについて、複数の計測時間帯(例えば、3日間)に係る温度マップMを読み出す(ステップS82)。また、状態取得部211は、各計測時間帯における対象施設Pの状態を取得する(ステップS83)。正常温度特定部213は、取得した対象施設Pの状態に基づいて、各部分領域の各計測時間帯に係る温度を標準化する(ステップS84)。正常温度特定部213は、各部分領域について、標準化された温度の平均値を算出することで、各部分領域Rの正常温度を特定する(ステップS85)。正常温度更新部214は、特定された各部分領域Rの正常温度で、正常温度マップM0を更新する(ステップS86)。これにより、異常検出装置20は、図21に示すように、正常温度マップM0を更新することができる。
《作用・効果》
第4の実施形態に係る異常検出装置20は、複数の計測時間帯に係る複数の部分領域Rの温度に基づいて、複数の部分領域Rそれぞれの正常温度を特定し、当該正常温度に基づいて正常温度マップM0を更新する。これにより、異常検出装置20は、更新された部分領域Rの正常温度を用いて異常が発生している部分領域Rを特定することができる。したがって、異常検出装置20は、対象施設Pの劣化等、対象施設Pの温度特性が徐々に変化する場合にも、適切に異常の検出をすることができる。
〈第5の実施形態〉
第1から第4の実施形態に係る異常検出装置20は、巡回点検装置10と別個に設けられる。これに対し、第5の実施形態においては、巡回点検装置10が異常検出装置20を備える。
《巡回点検装置の構成》
図22は、本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の構成を示す外観図である。
第5の実施形態に係る巡回点検装置10は、第1の実施形態の構成に加え、異常検出装置20をさらに備える。なお、図22に示す例においては、制御装置15と異常検出装置20とが別個に設けられるが、これに限られず、異常検出装置20は制御装置15に組み込まれてもよい。第5の実施形態に係る巡回点検装置10は、温度管理装置の一例である。
《巡回点検装置の温度マップ更新処理》
第5の実施形態に係る巡回点検装置10は、所定の経路に沿って対象施設P内を走行しながら、温度マップを更新する。
図23は、本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の温度マップ更新処理を示すフローチャートである。
巡回点検装置10の制御装置15は、予め定められた巡回点検のタイミングに、所定の経路に沿って移動装置12の走行制御を開始する(ステップS181)。制御装置15は、移動装置12の制御中、巡回点検装置10の位置および方位を計測する(ステップS182)。制御装置15は、巡回点検装置10の位置と経路上の所定の撮像ポイントとの距離が所定の閾値未満になったか否かを判定する(ステップS183)。
巡回点検装置10の位置と経路上の所定の撮像ポイントとの距離が所定の閾値未満になった場合(ステップS183:YES)、制御装置15は、サーマルカメラ13に温度分布Tを撮像させ、デプスカメラ14に距離分布Lを撮像させる(ステップS184)。
異常検出装置20の部分領域特定部204は、デプスカメラ14が撮像した距離分布Lと位置情報とに基づいて三次元位置情報Dを特定する(ステップS185)。温度記録部205は、サーマルカメラ13が撮像した温度分布Tを三次元位置情報Dにマッピングすることで、三次元温度分布DTを特定する(ステップS186)。次に、温度記録部205は、複数の部分領域Rのうち、三次元位置情報Dに係る位置を含むものを1つずつ選択し、ステップS188からステップS190の処理を実行する(ステップS187)。
温度記録部205は、三次元温度分布DTから、選択した部分領域Rに含まれる位置の代表温度を特定する(ステップS188)。次に、温度記録部205は、特定した代表温度が、取得した撮像時刻を含む時間帯に係る温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度より高いか否かを判定する(ステップS189)。温度記録部205は、特定した代表温度が温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度より高い場合(ステップS189:YES)、温度マップ記憶部201が記憶する温度マップMのうち当該部分領域Rの温度を、ステップS188で特定した代表温度に書き換える(ステップS190)。他方、特定した代表温度が温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度以下である場合(ステップS189:NO)温度記録部205は、温度マップMを書き換えない。
ステップS188からステップS190の処理により三次元位置情報Dに係る位置を含む各部分領域Rについて温度マップMの更新がなされると、または、ステップS183において巡回点検装置10の位置と経路上の所定の撮像ポイントとの距離が所定の閾値以上である場合(ステップS183:NO)、制御装置15は、巡回点検装置10の位置と経路の終点との距離が所定の閾値未満になったか否かを判定する(ステップS191)。巡回点検装置10の位置と経路の終点との距離が所定の閾値以上である場合(ステップS191:NO)、制御装置15は、ステップS181に処理を戻し、移動装置12の制御を継続する。他方、巡回点検装置10の位置と経路の終点との距離が所定の閾値未満になった場合(ステップS191:YES)、制御装置15は、温度マップ更新処理を終了し、次の巡回点検のタイミングまで待機する。
《作用・効果》
このように、第5の実施形態によれば、巡回点検装置10は、自走しながら温度マップMを最新の状態に更新することができる。
〈第6の実施形態〉
第5の実施形態に係る巡回点検装置10は、所定の撮像ポイントにおいて温度分布Tおよび距離分布Lを収集し、温度マップMを更新する。これに対し、第6の実施形態に係る巡回点検装置10は、温度マップMに基づいて移動先を計画しながら温度マップMを更新することで、精度の高い温度マップMを生成する。第6の実施形態に係る巡回点検装置10は、第5の実施形態と同様に異常検出装置20を備える。
《異常検出装置の構成》
図24は、本発明の一実施形態に係る異常検出装置の構成を示す概略図である。
第6の実施形態に係る異常検出装置20は、第1の実施形態の構成に加え、さらに三次元マップ記憶部215、経路算出部216、経路出力部217を備える。
三次元マップ記憶部215は、対象施設Pの形状を示す三次元マップを記憶する。マップ出力部206は、温度分布取得部203が取得する距離分布Lおよび位置情報に基づいて逐次更新される。三次元マップは、例えば距離分布Lおよび位置情報を用いたSLAMによって更新される。なお、初期状態において三次元マップ記憶部215には、対象施設PのCAD(Computer-Aided Design)データなどに基づく初期三次元マップが記憶される。
経路算出部216は、温度記録部205が生成する三次元温度分布DTと三次元マップ記憶部215が記憶する三次元マップとに基づいて、撮像ポイントを決定する。経路算出部216は、例えば、三次元温度分布DTにおける死角を撮像可能な位置、正常温度マップ記憶部202に基づいて異常が発生している可能性が高い箇所を撮像可能な位置などを、撮像ポイントに決定する。なお、本実施形態において「死角(dead zone)」とは、障害物の影となって撮像されない領域をいう。経路算出部216は、温度分布取得部203が取得した位置情報と三次元マップ記憶部215が記憶する三次元マップとに基づいて、決定した撮像ポイントおよび予め定められた撮像ポイントを経由して移動するための経路の候補を算出する。具体的には、経路算出部216は、三次元マップ記憶部215が記憶する三次元マップに基づいて障害物の位置を特定し、障害物に触れずに巡回点検装置10と撮像ポイントとを接続する経路を算出する。
経路出力部217は、経路算出部216が算出した経路の候補の一つを選択し、制御装置15に出力する。これにより、制御装置15は、経路出力部217が出力した経路に従って移動装置12を制御する。経路出力部217が選択する経路は、例えば走行距離が最も短い経路、転回角度が最も少ない経路などが挙げられる。
《巡回点検装置の温度マップ更新処理》
図25は、本発明の一実施形態に係る巡回点検装置の温度マップ更新処理を示すフローチャートである。
巡回点検装置10の制御装置15は、予め定められた巡回点検のタイミングに、初期値に係る経路または経路出力部217が出力した経路に沿って移動装置12の走行制御を開始する(ステップS201)。制御装置15は、移動装置12の制御中、巡回点検装置10の位置および方位を計測する(ステップS202)。制御装置15は、巡回点検装置10の位置と経路上の撮像ポイントとの距離が所定の閾値未満になったか否かを判定する(ステップS203)。
巡回点検装置10の位置と撮像ポイントとの距離が所定の閾値未満になった場合(ステップS203:YES)、制御装置15は、サーマルカメラ13に温度分布Tを撮像させ、デプスカメラ14に距離分布Lを撮像させる(ステップS204)。
異常検出装置20の部分領域特定部204は、デプスカメラ14が撮像した距離分布Lと位置情報とに基づいて三次元位置情報Dを特定する(ステップS205)。部分領域特定部204は、特定した三次元位置情報Dに基づいて、三次元マップ記憶部215が記憶する三次元マップを更新する(ステップS206)。温度記録部205は、サーマルカメラ13が撮像した温度分布Tを三次元位置情報Dにマッピングすることで、三次元温度分布DTを特定する(ステップS207)。次に、温度記録部205は、複数の部分領域Rのうち、三次元位置情報Dに係る位置を含むものを1つずつ選択し、ステップS209からステップS214の処理を実行する(ステップS208)。
温度記録部205は、三次元温度分布DTから、選択した部分領域Rに含まれる位置の代表温度を特定する(ステップS209)。次に、温度記録部205は、特定した代表温度が、取得した撮像時刻を含む時間帯に係る温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度より高いか否かを判定する(ステップS210)。温度記録部205は、特定した代表温度が温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度より高い場合(ステップS210:YES)、温度マップ記憶部201が記憶する温度マップMのうち当該部分領域Rの温度を、ステップS209で特定した代表温度に書き換える(ステップS211)。
次に、経路算出部216は、正常温度マップ記憶部202から正常温度マップM0を読み出し、選択した部分領域Rに係る正常温度を特定する(ステップS212)。経路算出部216は、ステップS209で特定した代表温度が正常温度を超えるか否かを判定する(ステップS213)。代表温度が正常温度を超える場合(ステップS213:YES)、経路算出部216は、三次元マップ記憶部215が記憶する三次元マップと三次元温度分布DTとを比較し、選択した部分領域Rについて、三次元温度分布DTに温度がマッピングされない死角があるか否かを判定する(ステップS214)。死角がある場合(ステップS214:YES)、経路算出部216は、三次元マップに基づいて当該死角を撮像可能な撮像ポイントを特定し、当該撮像ポイント及び予め定められた撮像ポイントを経由するように経路を算出する(ステップS215)。
他方、特定した代表温度が温度マップMに既に記録された当該部分領域Rの温度以下である場合(ステップS210:NO)温度記録部205は、温度マップMを書き換えず、また経路算出部216は新たな経路を算出しない。また、代表温度が正常温度を以下である場合(ステップS213:NO)、および選択した部分領域Rについて死角がない場合(ステップS214:NO)、経路算出部216は新たな経路を算出しない。
ステップS209からステップS214の処理により三次元位置情報Dに係る位置を含む各部分領域Rについて温度マップMの更新がなされると、または、ステップS183において巡回点検装置10の位置と経路上の所定の撮像ポイントとの距離が所定の閾値以上である場合(ステップS183:NO)、経路算出部216は、ステップS206で更新された三次元マップに基づいて現在の経路上に障害物があるか否かを判定する(ステップS215)。経路上に障害物がある場合(ステップS215:YES)、経路算出部216は、三次元マップに基づいて、障害物を避けて撮像ポイントを経由する経路を算出する(ステップS216)。
制御装置15は、巡回点検装置10の位置と経路の終点との距離が所定の閾値未満になったか否かを判定する(ステップS217)。巡回点検装置10の位置と経路の終点との距離が所定の閾値以上である場合(ステップS217:NO)、制御装置15は、ステップS201に処理を戻し、移動装置12の制御を継続する。他方、巡回点検装置10の位置と経路の終点との距離が所定の閾値未満になった場合(ステップS217:YES)、制御装置15は、温度マップ更新処理を終了し、次の巡回点検のタイミングまで待機する。
《作用・効果》
図26は、本発明の一実施形態に係る温度マップの更新処理の例を表す図である。
このように、第6の実施形態によれば、巡回点検装置10は、サーマルカメラ13の死角を特定し、三次元マップに基づいて死角を撮像可能な撮像ポイントに移動するための経路を算出する。これにより、巡回点検装置10は、温度マップMにおける高温箇所の特定の精度を向上させることができる。
図26に示すように、ある地点から得られた温度分布T1に基づいて生成された三次元温度分布DT1には、機器Qが設置される部分領域Rqにおいて、死角が生じている。部分領域Rqの代表温度が正常温度より高い場合、異常検出装置20は、当該部分領域Rqに異常が発生している可能性があるため、当該死角を撮像可能な撮像ポイントを特定し、巡回点検装置10を当該撮像ポイントへ移動させる。巡回点検装置10は異動後の撮像ポイントにおいて温度分布T2を得て、三次元温度分布DT2を生成する。図26に示す例においては、機器Qのうち三次元温度分布DT1において死角となっていた箇所がヒートスポットとなっている。したがって、三次元温度分布DT2に基づいて生成された温度マップM2における部分領域Rqの代表温度は、三次元温度分布DT1に基づいて生成された温度マップM1における部分領域Rqの代表温度と比較して高い温度となる。
また、第6の実施形態によれば、巡回点検装置10は、温度分布に係る温度と部分領域の正常温度とに基づいて、死角を撮像するための撮像ポイントを経由する経路を算出するか否かを判定する。これにより、巡回点検装置10は、サーマルカメラ13の死角のうち、異常が生じている可能性のある箇所の温度を更新するように経路を算出することができる。なお、第6の実施形態に係る巡回点検装置10は、温度分布に係る温度が部分領域の正常温度を超える場合に、撮像ポイントを経由する経路を算出するが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、巡回点検装置10は、温度分布に係る温度が部分領域の正常温度に所定のオフセットを加算した値を超える場合に、撮像ポイントを経由する経路を算出してもよい。また、他の実施形態においては、巡回点検装置10は、温度分布に係る温度と部分領域の正常温度との差が所定の閾値を超える場合に、撮像ポイントを経由する経路を算出してもよい。
また、第6の実施形態によれば、巡回点検装置10は、デプスカメラ14の距離分布に基づいて経路上に障害物があるか否かを判定し、経路上に障害物がある場合に、障害物を避ける経路を算出する。これにより、巡回点検装置10は、移動中に障害物を検知し、これを避けて撮像ポイントへ移動することができる。なお、第6の実施形態に係る巡回点検装置10は、デプスカメラ14の距離分布を用いて更新された三次元マップに基づいて経路上に障害物があるか否かを判定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る巡回点検装置10は、デプスカメラ14の距離分布に基づいて直接障害物を検出してもよい。
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
上述の実施形態に係る巡回点検装置10は、撮像ポイントごとに撮像を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る巡回点検装置10は、一定時間ごと、または一定距離ごとに温度分布Tおよび距離分布Lを撮像してもよいし、温度分布Tおよび距離分布Lを動画像として撮像してもよい。なお、動画像を撮像することは、複数のフレーム画像(静止画像)を撮像することと等価である。
上述の実施形態に係る異常検出システム1は、巡回点検装置10が複数の位置における温度分布Tを計測し、異常検出装置20が当該温度分布Tに基づいて温度マップMを生成し、異常の検出を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る異常検出システム1においては、巡回点検装置10が異常検出装置20の一部または全部の機能を有していてもよい。すなわち、他の実施形態に係る巡回点検装置10は、計測した温度分布Tに基づいて温度マップMを生成し、異常検出装置20が当該温度マップMを出力し、または異常の有無を検出してもよい。また例えば、他の実施形態に係る巡回点検装置10は、計測した温度分布Tに基づいて温度マップMを生成し、さらに当該温度マップMを出力し、または異常の有無を検出してもよい。
また、上述の実施形態に係る異常検出システム1は、温度分布Tに含まれる各部分領域Rの最大温度に基づいて温度マップMを生成するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る異常検出システム1においては、温度分布Tに含まれる各部分領域Rの温度の平均値や中央値など、他の代表温度に基づいて温度マップMを生成してもよい。
また、上述の実施形態に係る異常検出装置20は、撮像した温度分布Tから1または複数の部分領域Rの温度を特定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る異常検出装置20は、撮像した温度分布Tのうち1つの代表温度を特定し、当該代表温度の位置が属する1つの部分領域Rを特定してもよい。すなわち、異常検出装置20は、1の温度分布Tに基づいて複数の部分領域Rの温度を特定してもよいし、1の部分領域Rのみの温度を特定してもよい。
また、上述の実施形態に係る温度マップMは、所定の大きさのグリッドで分割された複数の部分領域Rの温度を表すが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る温度マップMは、対象施設Pの機器の大きさや重要度に応じて、図18の下段に示すように部分領域Rの大きさが初めから互いに異なっていてもよい。例えば、対象施設Pの主たる機器が位置する部分領域Rは他の部分領域Rより小さいものであってもよい。また、計測領域は、必ずしもグリッド状に分割されなくてもよく、例えばハニカム形状や機器の形状など、他の形状によって分割されてもよい。また、他の実施形態においては、部分領域Rの大きさは、機器の状態や環境温度などの要因に基づいて決定されてもよい。
また、上述の実施形態に係る異常検出装置20は、正常温度マップM0と対象施設Pの状態とに基づいて温度閾値thを特定し、当該温度閾値thと温度マップMに係る温度とを比較することで、異常を検出するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る異常検出装置20は、複数の計測時間帯の温度マップMと各時間帯の対象施設Pの状態とに基づいて、機械学習モデルを更新し、学習済みモデルに温度マップMと対象施設Pの状態とを入力することで、異常を検出してもよい。機械学習モデルとしては、例えばニューラルネットワークモデル、隠れマルコフモデル、エキスパートシステムモデルなどが挙げられる。例えばニューラルネットワークモデルを用いる場合、異常検出装置20は、オートエンコーダによって、出力層から入力層と同じ値が出力させるように入力層および中間層を学習させ、オートエンコーダの入力層に入力した値と出力層から出力された値の差に基づいて異常が生じている部分領域を検出することができる。
また、第4の実施形態に係る異常検出装置20は、部分領域Rの温度を対象施設Pの状態に基づいて標準化することで正常温度マップM0を更新するが、上述のように学習済みモデルに基づいて異常を検出する場合は、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る異常検出装置20は、機械学習モデルの再学習によって正常温度マップM0を更新してもよい。例えば、例えばニューラルネットワークモデルを用いる場合、異常検出装置20は、新たに得られた温度マップMのバックプロパゲーションによって機械学習モデルを再学習させることができる。
また、上述の実施形態に係る異常検出装置20は、計測領域を横切る線L上に存在する複数の部分領域Rに係る温度の時系列を出力するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る異常検出装置20は、選択された1つの部分領域Rについて温度の時系列を出力してもよい。
また、上述の実施形態に係る異常検出装置20は、温度マップMを出力し、当該温度マップMのうち指定された部分領域Rに係る温度の時系列を出力し、温度マップMに基づいて異常の検出を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る異常検出装置20は、温度マップMを生成する一方で、温度マップMを出力しなくてもよいし、指定された部分領域Rに係る温度の時系列を出力しなくてもよいし、温度マップMに基づいて異常の検出を行わなくてもよい。
また、上述の実施形態に係る異常検出システム1は、1台の巡回点検装置10の自動走行によって検出された温度分布Tに基づいて温度マップMを生成するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る異常検出システム1は、複数の巡回点検装置10が検出された温度分布Tに基づいて温度マップMを生成してもよいし、人間が巡回点検装置10を運ぶことで検出された温度分布Tに基づいて温度マップMを生成してもよい。
〈コンピュータ構成〉
図27は、本発明の少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。
上述の異常検出装置20および巡回点検装置10の制御装置15は、それぞれコンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した温度マップ記憶部201および正常温度マップ記憶部202に対応する記憶領域をストレージ93に確保する。
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ93に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
1 異常検出システム
10 巡回点検装置
11 本体
12 移動装置
13 サーマルカメラ
14 デプスカメラ
15 制御装置
20 異常検出装置
201 温度マップ記憶部
202 正常温度マップ記憶部
203 温度分布取得部
204 部分領域特定部
205 温度記録部
206 マップ出力部
207 領域指定部
208 温度時系列出力部
209 閾値決定部
210 異常特定部
211 状態取得部
212 形状変更部
213 正常温度特定部
214 正常温度更新部

Claims (23)

  1. 地面に沿った方向に向いたサーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を取得する温度分布取得部と、
    前記サーマルカメラの撮像範囲の距離分布を得る距離計測装置による前記距離分布に基づいて、温度の計測領域を高さ方向から平面視した平面マップから分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定する部分領域特定部と、
    特定された前記部分領域に関連付けて、当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録する温度記録部と
    を備える温度管理装置。
  2. 前記温度分布取得部は、前記温度分布を計測時間帯別に取得し、
    前記温度記録部は、前記計測時間帯別に、特定された前記部分領域に関連付けて、前記計測時間帯に計測され、かつ当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録する
    請求項1に記載の温度管理装置。
  3. 指定された前記部分領域に関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力する温度時系列出力部を備える
    請求項2に記載の温度管理装置。
  4. 前記温度時系列出力部は、指定された前記計測領域の横断線上に位置する複数の部分領域それぞれに関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力する
    請求項3に記載の温度管理装置。
  5. 前記温度記録部によって記録された前記複数の部分領域それぞれの温度に基づいて、前記計測領域のうち異常が発生している部分領域を特定する異常特定部を備える
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の温度管理装置。
  6. 前記複数の部分領域それぞれの正常温度と前記計測領域の状態とに基づいて、前記複数の部分領域それぞれの異常の特定に用いる閾値を決定する閾値決定部をさらに備え、
    前記異常特定部は、前記複数の部分領域それぞれの温度と、前記複数の部分領域それぞれの閾値とに基づいて、異常が発生している部分領域を特定する
    請求項5に記載の温度管理装置。
  7. 前記閾値決定部は、前記計測領域の環境温度に基づいて前記複数の部分領域の補正値を決定し、前記複数の部分領域の正常温度と前記複数の部分領域の補正値とに基づいて、前記複数の部分領域それぞれの閾値を決定する
    請求項6に記載の温度管理装置。
  8. 前記閾値決定部は、前記計測領域に設けられた機器の状態に基づいて、前記機器が位置する前記部分領域の補正値を決定し、前記機器が位置する前記部分領域の正常温度と前記補正値とに基づいて、前記機器が位置する前記部分領域の閾値を決定する
    請求項6または請求項7に記載の温度管理装置。
  9. 前記閾値決定部は、前記計測領域に設けられた機器の状態に基づいて、前記機器の近傍の前記部分領域の補正値を決定し、前記機器が位置する前記部分領域の正常温度と前記補正値とに基づいて、前記機器の近傍の前記部分領域の閾値を決定する
    請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の温度管理装置。
  10. 複数の計測時間帯に係る前記複数の部分領域の温度に基づいて、前記複数の部分領域それぞれの正常温度を特定する正常温度特定部を備え、
    前記異常特定部は、前記複数の部分領域それぞれの温度と、前記複数の部分領域それぞれの前記正常温度とを比較することで、異常が発生している部分領域を特定する
    請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の温度管理装置。
  11. 前記計測領域内の特定の範囲について前記複数の部分領域の形状を変更する形状変更部をさらに備える
    請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の温度管理装置。
  12. 前記計測領域は、グリッドによって前記複数の部分領域に分割され、
    前記形状変更部は、前記特定の範囲を覆う前記グリッドの大きさを変更する
    請求項11に記載の温度管理装置。
  13. 移動装置と、
    前記移動装置に設置され、撮像範囲の温度分布を計測するサーマルカメラと、
    位置を特定する位置特定装置と
    をさらに備え、
    前記温度分布取得部は、前記サーマルカメラが計測した前記温度分布を取得し、
    前記部分領域特定部は、前記位置特定装置が特定した前記位置に基づいて前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定する
    請求項1から請求項12の何れか1項に記載の温度管理装置。
  14. 前記温度分布に基づいて、前記計測領域のうち前記サーマルカメラの死角を特定し、前記計測領域の三次元マップに基づいて前記死角を撮像可能な位置に前記移動装置を移動させるための経路を算出する経路算出部
    をさらに備える請求項13に記載の温度管理装置。
  15. 前記経路算出部は、前記温度分布に係る温度と前記複数の部分領域の正常温度とに基づいて、前記経路を算出するか否かを判定する
    請求項14に記載の温度管理装置。
  16. 前記撮像範囲の距離分布を計測する距離計測装置をさらに備え、
    前記経路算出部は、前記距離分布に基づいて前記経路上に障害物があるか否かを判定し、前記経路上に前記障害物がある場合に、前記障害物を避ける経路を算出する
    請求項14または請求項15に記載の温度管理装置。
  17. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の温度管理装置と移動体とを備え、
    前記移動体は、
    移動装置と、
    前記移動装置に設置され、撮像範囲の温度分布を計測するサーマルカメラと、
    位置を特定する位置特定装置と
    を備え、
    前記温度分布取得部は、前記サーマルカメラが計測した前記温度分布を取得し、
    前記部分領域特定部は、前記位置特定装置が特定した前記位置に基づいて前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定する
    温度管理システム。
  18. 前記移動体は、
    前記撮像範囲の距離分布を計測する距離計測装置と、
    前記位置特定装置が特定した前記位置と、前記距離計測装置が計測した前記距離分布と、前記サーマルカメラが計測した前記温度分布とに基づいて、前記温度分布を三次元位置情報に関連付けた三次元温度分布を生成する三次元温度分布生成装置と
    を備える請求項17に記載の温度管理システム。
  19. 地面に沿った方向に向いたサーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を取得するステップと、
    前記サーマルカメラの撮像範囲の距離分布を得る距離計測装置による前記距離分布に基づいて、温度の計測領域を高さ方向から平面視した平面マップから分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するステップと、
    特定された前記部分領域に関連付けて、当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するステップと
    を有する温度管理方法。
  20. コンピュータに、
    地面に沿った方向に向いたサーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を取得するステップと、
    前記サーマルカメラの撮像範囲の距離分布を得る距離計測装置による前記距離分布に基づいて、温度の計測領域を高さ方向から平面視した平面マップから分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するステップと、
    特定された前記部分領域に関連付けて、当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するステップと
    を実行させるためのプログラム。
  21. サーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を計測時間帯別に取得する温度分布取得部と、
    温度の計測領域から分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定する部分領域特定部と、
    前記計測時間帯別に、特定された前記部分領域に関連付けて、前記計測時間帯に計測され、かつ当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録する温度記録部と
    指定された前記計測領域の横断線上に位置する複数の部分領域それぞれに関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力する温度時系列出力部と
    を備える温度管理装置。
  22. サーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を計測時間帯別に取得するステップと、
    温度の計測領域から分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するステップと、
    前記計測時間帯別に、特定された前記部分領域に関連付けて、前記計測時間帯に計測され、かつ当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するステップと
    指定された前記計測領域の横断線上に位置する複数の部分領域それぞれに関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力するステップと
    を有する温度管理方法。
  23. コンピュータに、
    サーマルカメラによる撮像範囲の温度分布を計測時間帯別に取得するステップと、
    温度の計測領域から分割された複数の部分領域のうち、前記撮像範囲が含まれる部分領域を特定するステップと、
    前記計測時間帯別に、特定された前記部分領域に関連付けて、前記計測時間帯に計測され、かつ当該部分領域に含まれる前記撮像範囲に係る温度分布の代表温度を記録するステップと
    指定された前記計測領域の横断線上に位置する複数の部分領域それぞれに関連付けられた前記計測時間帯別の温度を出力するステップと
    を実行させるためのプログラム。
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