まず、図1Aおよび図2により本実施の形態によるプリフォームの概要について説明する。図1Aおよび図2は、本発明の第1の実施の形態によるプリフォームを示す断面図であり、互いに同一のプリフォームを示している。
このうち口栓部11の外周には、プリフォーム10を2軸延伸ブロー成形してプラスチックボトル40(図3)を作製した後、図示しないキャップを螺合するためのねじ部13が設けられている。なお、口栓部11の形状は、従来一般的なもの(例えばPCO1810規格に対応するもの)を用いても良い。
胴部20は、ブロー成形によりボトルの形状となるように膨らませられる部分であり、サポートリング12側の首部21と、首部21に連結された胴中部22と、胴中部22に連結された底部23とを有している。
首部21は、長さ方向に肉厚及び胴径が変化する形状からなっている。この場合、首部21は、口栓部11側から胴中部22側に向けて徐々に縮径する形状からなっている。しかしながら、これに限らず、首部21の径は、口栓部11側から胴中部22側に向けて徐々に拡大しても良い。また首部21は口栓部11側に位置するとともに、肉厚が最小となる最小肉厚部21Aを有している。そして首部21はこの最小肉厚部21Aから胴中部22側に向けて徐々に肉厚が拡大する。
胴中部22は、略円筒形状からなっており、その胴径及び肉厚がほとんど変化しない形状からなっている。なお、プリフォーム10を射出成形により作製するとき、金型から抜き取りやすくするための抜き勾配を設けるため、胴中部22は、首部21側よりも底部23側の胴径が若干細くなるように作られていても良い。また同様の理曲で、肉厚も若干変化していてもよい。
底部23は、図1Aの例ではほぼ半球状であるが、円錐形状であったり、角に丸みを持った円柱形状であったり、その他の形状であっても良い。なお、底部23にはプリフォーム10を射出成形により作製する際のゲートが設けられているが、図1Aではゲートを省略した形状を示している。
図1Aにおいて、胴部20の胴中部22における肉厚Tは、3.8mm以下とすることが好ましい。肉厚Tを3.8mm以下とすることにより、プラスチックボトル40をブロー成形により作製する際、溶融した合成樹脂の熱がブロー成形金型に伝達するまでの距離が長くなることが防止され、冷却時間を短くすることができる。これにより、成形サイクルタイムが長くなって製造効率が低下する不具合を防止することができる。なお、胴中部22における肉厚が長さ方向に変化する場合、肉厚Tは、胴中部22の長さ方向中央部における肉厚によって定義する。
また、胴部20の長さLは、サポートリング12の底面と底部23の先端部との間の距離であり、40mm以上135mm以下、例えば92.5mmとすることが好ましい。
さらに、胴部20の胴中部22における径Dは、胴中部22の肉厚中心における直径であり、13mm以上31mm以下、例えば22.2mmとすることが好ましい。なお、胴中部22における径が長さ方向に変化する場合、径Dは、胴中部22の長さ方向中央部における肉厚中心径によって定義する。また首部21のサポートリング12側端部の径D1は例えば25.8mmとなっており、首部21の胴中部22側端部の径D2は、例えば22.5mmとなっている。また最小肉厚部21Aの長さは、例えば4.5mmとなっている。
この場合、胴中部22の肉厚Tと、胴部20の長さLと、胴中部22の径Dとの間で、T×L/D≧12.7という関係が成立する。T×L/Dの値を12.7以上とすることにより、プリフォーム10をブロー成形し、プラスチックボトル40を作製した後、このプラスチックボトル40にクリープ変形(満注容量の増加による変形)が発生することを抑えることができる。
T×L/Dの値を12.7以上とすることにより、クリープ変形が抑えられる理由は以下のとおりである。一般に、PET等の合成樹脂は、延伸される事で強度が増すことが知られている。プラスチックボトルに内圧を加えたとき、プラスチックボトルは径方向に膨らむ力を受け、膨張する(クリープ変形する)。これを抑えるには、ブロー成形時にPET等の合成樹脂製のプリフォームが径方向に大きく延伸されれば良い。ブロー成形時にPプリフォームが径方向に大きく延伸された場合、ブロー成形後のプラスチックボトルが、内圧によって径方向に延伸することが抑えられるためである。そのためには、プリフォーム10の胴中部22の肉厚Tを大きくすると、径方向の延伸が大きくなる。逆に胴中部22の径Dを大きくすると径方向の延伸は小さくなる。更に、プリフォーム10は、ブロー成形時に径方向だけでなくボトルの高さ方向にも延ばされるが、高さ方向へ延ばされるとプリフォーム10は肉厚が薄くなり、従って径方向の延伸が小さくなる。そのため高さ方向の延伸が少ない、すなわち胴部20の長さLが長ければ径方向の延伸が大きくなるためである。このように、胴中部22の肉厚Tを大きくし、胴部20の長さLを長くし、胴中部22の径Dを小さくすることにより、ブロー成形時にプリフォームを径方向に大きく延伸させ、ブロー成形後のプラスチックボトルが径方向に延伸することを抑えることができる。
この場合、T1が0.8×Tより大きいとき、プリフォームからボトルを成形する場合に底部23は胴中部22に比べて延伸の程度は小さいので、底部23が過度に厚くなってしまう。他方、T1が0.7×Tより小さいとき、プリフォーム成形の際、口栓部11に射出樹脂が十分に行き渡らなくなり、プリフォーム10を精度良く成形することがむずかしくなる。
これに対して本実施の形態によれば、T1=(0.7~0.8)×Tとすることにより、底部23を過度に厚くすることなく、かつプリフォーム10を精度良く成形することができる。
また、図2において、胴部20の全長に対するサポートリング12直下からの距離を比率で表したものである胴部首下距離をXとし、胴部首下距離がXとなる位置における胴部の断面積比をYとする。すなわち、胴部首下距離Xとは、胴部20のうち、首部21のうちサポートリング12直下の位置を0%とし、底部23の先端の位置を100%としたときの、首部21のサポートリング12直下(X=0%の位置)からの距離を、比率で表したものである(0%≦X≦100%)。また断面積比Yとは、胴部首下距離Xが0%から100%までの間における、胴部20の水平方向の断面積が最も小さい箇所における値をSminとし、最も大きい箇所における値をSmaxとし、そして胴部首下距離X=Mの時の断面積の値をSMとしたとき、(SM-Smin)/(Smax-Smin)の式によって求めたものである。なお、断面積SMの値は、当該箇所における胴径(DM)と肉厚(TM)とから計算で求めることが出来る。すなわち、胴部20のうち、断面積が最も小さい箇所における断面積比Yは0%となり、断面積が最も大きい箇所における断面積比Yは100%となる。
上記関係が成立することにより、プリフォーム10のブロー成形性を良好にすることができる理由は以下のとおりである。すなわち胴部首下距離Xが20%前後となる領域は、首部21の下部であってその断面積が胴中部22に向けて拡大していく領域であり、上記関係式を満たさないとYが急激に変化し、プリフォーム10の首部21にブロー成形で伸びやすい部分と延びにくい部分の2つの領域が生じるのに対し、上記関係式を満たすとYが緩やかに変化することでブロー成形での伸びやすさも緩やかに変化するためである。
さらに、断面積比Yが95%である箇所の胴部首下距離Xが18.8%~20.2%であり、断面積比Yが90%である箇所の胴部首下距離Xが16.9%~17.8%であることが好ましい。さらにまた、断面積比Yが100%である箇所の胴部首下距離Xと、断面積比Yが90%である箇所の胴部首下距離Xとの差が5.6%~8.0%であることが好ましい。
なお、プリフォーム10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)を使用する事が好ましく、植物由来のバイオマス系プラスチック、例えばPLA(ポリ乳酸)を用いる事も可能である。
次に、図3により、このようなプリフォーム10を2軸延伸ブロー成形する事により作製された、プラスチックボトルの一例について説明する。なお、上述したプリフォーム10を用いて作製されるプラスチックボトルは、これに限定されないことは勿論である。これに限定されず、後述する図9、図10の様なボトルもある。
図3において、プラスチックボトル40は、口栓部41と、口栓部41下方に設けられた円筒状の胴部42と、胴部42に連続して設けられた底部43とを備えている。また口栓部41と胴部42との間に首部44が設けられている。首部44と胴部42との間には、肩部48が形成されている。
さらに口栓部41外周には、図示しないキャップを螺合するためのねじ部46(上述したプリフォーム10のねじ部13に対応する)が設けられ、口栓部41外周のうちねじ部46下方部分には、外方に突出する環状のサポートリング47(上述したプリフォーム10のサポートリング12に対応する)が形成されている。
底部43は、いわゆるペタロイド底形状をなしている。すなわち底部43は、周方向に等間隔に配置され下方へ突出する複数個のペタロイド脚45を有している。このペタロイド脚45の個数は、プラスチックボトル40を安定して正立させるという観点、および軽量化ボトルの成形性を良好にするという観点から、5個~9個とする事が好ましい。
このようなプラスチックボトル40のサイズ(容量)は限定されるものではなく、どのようなサイズのボトルからなっていても良いが、例えば260ml~600mlとすることができる。プラスチックボトル40の肉厚は、底部43のペタロイド脚45において0.15mm~0.50mmとする事ができる。
まずPET(ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂製ペレットを図示しない射出成形機に投入し、このペレットが射出成形機によって加熱溶融される。その後ペレットは溶融プラスチックとなって、プリフォーム10に対応する内部形状を有する射出成形金型内に射出及び加圧される。
所定時間の経過後、射出成形金型内で溶融プラスチックが冷却固化し、プリフォーム10が形成される。その後、射出成形金型を分離し、射出成形金型内から図1Aおよび図2に示すプリフォーム10を取り出す。
プリフォーム10は、次にブロー成形機内の加熱部において加熱される(加熱工程:図4参照)。この加熱工程において、プリフォーム10は加熱部のヒーターL1~L7によって例えば90℃~130℃の温度に加熱される。
加熱工程の後、加熱されたプリフォーム10は、図示しない搬送装置によって図示しないブロー成形部に送られる。ブロー成形部に送られたプリフォーム10は、ブロー成形部のブロー成形金型内に挿着される。その後、延伸ロッドが伸長するとともにプリフォーム10内へ高圧エアを供給することによってプリフォーム10を延伸させ、2軸延伸ブロー成形が行なわれる(ブロー成形工程)。このようなブロー成形によって、図3に示すプラスチックボトル40が得られる。
ブロー成形工程で成形されたプラスチックボトル40は、エア搬送手段またはネック搬送手段により、ブロー成形部から図示しない充填機内に搬送される。またはプラスチックボトル40は一時的に保管されて、ボトル成形工場から充填工場に輸送され、充填工場では充填機内に搬送される。
その後、充填機内でプラスチックボトル40内に飲料(内容物)が充填される。このようにして飲料が充填された後、図示しないキャップによって密閉され、さらにラベル等が付される。キャップによって密閉されるまでの各工程が無菌状態である方が更に好ましい。このようにしてプラスチックボトル40と内容物とキャップとから構成される商品ボトルが製造される。
このように、本実施の形態によれば、胴中部22の肉厚をTとし、胴部20の長さをLとし、胴中部22の径をDとしたとき、T×L/Dの値が12.7以上となっている。これにより、プリフォーム10をブロー成形し、プラスチックボトル40を作製した後、このプラスチックボトル40にクリープ変形が発生することを抑えることができる。また、本実施の形態によれば、胴部首下距離をXとし、胴部首下距離がXとなる位置における胴部の断面積比をYとしたとき、16%≦X≦22%の範囲において、Y≧-0.0088X4+0.7276X3-22.656X2+316.6X-1586.9という関係が成立する。これにより、プリフォーム10をブロー成形してプラスチックボトル40を作製する際に、ブロー成形性を良好にすることができる。
次に、本実施の形態の具体的実施例を説明する。
まず、以下に挙げる8種類のプリフォーム10(実施例1~実施例4、および比較例1~比較例4)を射出成形により作製した。各プリフォーム10の胴中部22における肉厚T、胴部20の重量(胴部重量)、胴部20の長さ(胴部長さ)L、胴中部22の径(胴径)D、及び肉厚T×胴部20の長さL/胴中部22の径Dの値は、それぞれ表1に示すとおりである。なお、各プリフォーム10の口栓部11の形状は、従来一般的なPCO1810規格に対応するものを用いた。
〔クリープ耐性〕
表1に示す各プリフォーム10を用いて、内容量500mlのペタロイド形状のプラスチックボトル40(図3参照)をブロー成形して得た。このプラスチックボトル40は、口栓部41を除いたボトルの胴部42の高さが184.57mmであり、最大胴径φが67mmであった。各プラスチックボトル40について、満注容量を測定した後、プラスチックボトル40にガスボリュームが4になるよう炭酸水を充填し、密栓した。このプラスチックボトル40を22℃で24時間保存し、続いて38℃で24時間保存した。その後、プラスチックボトル40内の炭酸水を排出し、プラスチックボトル40の満注容量を測定した。このときの満注容量の増加量(表1参照)に基づいてクリープ耐性を評価した。
ここで、肉厚T×胴部の長さL/胴中部の径Dの値と、上述した満注容量の増加量とをグラフにプロットした結果、負の相関(相関係数:-0.91)が観察された(図5参照)。
上述した満注容量の増加量は、プラスチックボトル40の内容量(500ml)の5%以内に収まることが好ましいため、クリープ変形の基準は、満注容量の増加量が25ml以上増加したか否かに設定した。クリープ変形の基準を満たすものは、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、及び比較例1と比較例3となった。そして図5に示す近似直線に基づき、満注容量の増加量25ml以下を満足する肉厚×胴部長さ/胴径(T×L/D)の値は、12.7以上となった。
〔製造効率〕
次に、各プリフォーム10について、製造効率の面を評価した。一般に、プリフォーム10は射出成形によって製造される。射出成形時には、溶融したPETが金型内に流入し、金型内で冷却固化される。このとき、プリフォーム10の胴中部22における肉厚(T)が大きいと、溶融したPETの熱が金型に伝達するまでの距離が長いため、冷却時間が長くなり(図6参照)、成形サイクルタイムが長くなって製造効率が低下するおそれがある。射出成形時におけるプリフォーム10の冷却時間は、13秒以下が好ましいため、この観点から肉厚(T)は3.8mm以下とすることが好ましい。この場合、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、及び比較例2と比較例4とが当てはまる。
〔ブロー成形性〕
次に、各プリフォーム10について、ブロー成形性を評価した。具体的には、6種類のプリフォーム10(実施例1~実施例4、および比較例1~比較例2)をブロー成形することにより、内容量500mlのペタロイド形状のプラスチックボトル40(図3参照)を作製した。このプラスチックボトル40は、口栓部41を除いたプラスチックボトル40の胴部42の高さが184.57mmであり、最大胴径φが67mmであった。
この場合、1個取りのブロー成形機(ドイツ国、SIG Corpoplast社製、LB01)を使用した。各プリフォーム10をブロー成形機に設けられた複数の棒状のヒーターL1~L7でおよそ90℃から130℃に加熱した。なおヒーターL1~L7は、図4に示すようにプリフォーム10の高さ方向に沿って間隔を空けて配置されていた。ヒーターL1~L7の出力は、ヒーターL1が2500Wで、ヒーターL2~L7が2000Wである。ブロー成形の際には、プラスチックボトル40の肩部48の肉厚が胴部42の肉厚の90~110%になるようにヒーターL1~L7の条件を調整した。ヒーターL1~L7による加熱時間は全て17秒である。このときのヒーターL1~L7の出力を表2に示す。
実施例1~4のプリフォーム10については、ヒーターL1~L7の出力が最も高いものでも62%に抑えられたため、加熱時間を短縮するためにヒーターL1~L7の出力を高める余裕が大きかった。しかしながら、比較例1~2のプリフォームについては、最も高いヒーターL1~L7の出力は76%~92%となり、ヒーターL1~L7の出力を高めて加熱時間を短縮する余裕が少ないことが判明した。また各ヒーターL1~L3の出力の最大と最小の差(L1~L3のmax-min)は、実施例1~4については13%~16%であるのに対し、比較例1~2については34%~56%と差が大きい事が判った。これは比較例1~2のプリフォームに関しては、ヒーターL1またはL2の出力が特に高いためであり、これはプリフォームの首部が伸びにくいことが原因であった。以上より、実施例1~4のプリフォーム10はブロー成形性が良好であり、比較例1~2のプリフォームはブロー成形性が良好でないと言えた。
次に、実施例1~4のプリフォーム10および比較例1~2のプリフォームのそれぞれについて、プリフォーム10の首部21の形状について調査した。各プリフォーム10の首部21の変化を表したグラフを、図7及び図8に示す。
図7及び図8において、グラフの横軸「胴部首下距離X」とは、上述したように、胴部20のサポートリング12直下の位置を0%とし、底部23の先端の位置を100%としたときの、サポートリング12直下の位置からの距離を、比率であらわしたものである(図2参照)。また、「断面積比Y」とは、上述したように、胴部首下距離Xが0%から100%までの間で、断面積が最も小さい箇所における断面積をSminとし、断面積が最も大きい箇所における断面積をSmaxとし、胴部首下距離がMである時の断面積の値をSMとしたとき、(SM-Smin)/(Smax-Smin)という式によって求めたものである。
図8は、図7の部分拡大図であり、胴部首下距離Xが12%~27%の範囲かつ断面積比Yが75%~100%の範囲を拡大して示す図である。図8に示すように、ブロー成形性が良好であった実施例1~4のプリフォーム10は、胴部首下距離Xおよび断面積比Yに関して、16%≦X≦22%の範囲において、Y≧-0.0088X4+0.7276X3-22.656X2+316.6X-1586.9という関係が成立していた。
また、ブロー成形性が良好であった実施例1~4のプリフォーム10は、断面積比Yが95%の箇所における胴部首下距離Xが18.8%~20.2%であり、断面積比Yが90%の箇所における胴部首下距離Xが16.9%~17.8%であり、かつ断面積比Yが100%の箇所における胴部首下距離Xと断面積比Yが90%の箇所における胴部首下距離Xとの差が5.6%~8.0%であった。一方、ブロー成形性が良好でなかった比較例1~2のプリフォームは、断面積95%の箇所における胴部首下距離Xの値が22.2%~23.1%であり、断面積比Yが90%の箇所における胴部首下距離Xの値が20,5%~21.9%であり、かつ断面積比Yが100%の箇所における胴部首下距離Xの値と断面積比Yが90%の箇所における胴部首下距離Xとの差が4.5%~4.7%であった。
上述した実施例1~4および比較例1~2に係るプリフォームについて、クリープ耐性、製造効率及びブロー成形性の結果をまとめると、表3のとおりであった。
このように、実施例1~4のプリフォーム10は、クリープ耐性、製造効率及びブロー成形性のいずれもが良好であったのに対し、比較例1~2のプリフォームは、クリープ耐性、製造効率及びブロー成形性のうち少なくとも1つが良好ではなかった。
〔ブロー成形性2〕
次に、実施例1のプリフォーム10および比較例2のプリフォームについて、上記と異なる方法によりブロー成形性を評価した。
この場合、実施例1および比較例2のプリフォームを用い、図9に示す内容量500mlのプラスチックボトル(角ボトル)60及び図10に示す内容量500mlのプラスチックボトル(丸ボトル)70をブロー成形により作製した。ここでは、それぞれの強度が最適になるようにブロー成形機を設定して、プラスチックボトル60、70を得た。
(1)座屈
各プラスチックボトル60、70に水を500ml充填して閉栓した後、プラスチックボトル60、70の上部に対して0.8mm/秒の速度で鉛直下方に向けて荷重を加え、各プラスチックボトル60、70が3mm変位したときの荷重の大きさを用いて座屈強度を評価した。座屈強度が大きいほど強いと言える。
(2)側壁
各プラスチックボトル60、70に水を500ml充填して閉栓した後、各プラスチックボトル60、70を横向きに倒し、倒したプラスチックボトル60、70の上にそれぞれボトルの長手方向と平行に幅1cmの鉄の棒を乗せた。この鉄の棒に0.8mm/秒の速度で荷重を加え、荷重が58.8Nに達したときの各プラスチックボトル60、70の変形量の大きさによって側壁の強さを評価した。この側壁の変形量が小さいほどプラスチックボトル60、70の強度が高いといえる。
それぞれのプラスチックボトル60、70の強度を評価した結果を表4に示す。
なお、表4中、側壁の対面側とは、プラスチックボトル(角ボトル)60を、その一つの側面61が下方を向くように置き、その対向する側面61に鉄の棒を乗せて評価したものである。また、側壁の対角側とは、同様に、プラスチックボトル(角ボトル)60を、その一つの角部62が下方を向くように置き、その対向する角部62に鉄の棒を乗せて評価したものである。
表4中、側壁の柱面側とは、プラスチックボトル(丸ボトル)70を、その1つの柱面71が下方を向くように置き、その対向する柱面71側に鉄の棒を乗せて評価したものである。また、側壁のパネル面側とは、同様に、プラスチックボトル(丸ボトル)70を、そのパネル面72が下方を向くように置き、その対向するパネル面72に鉄の棒を乗せて評価したものである。
さらに、重量分布(g)とは、各プラスチックボトル60、70の接地面からの所定距離の箇所でボトルをそれぞれ切断し、それぞれの部分(207mm~140mm、140mm~105mm、105mm~70mm、70mm~35mm、35mm~0mmの各部分)の重量を計測したデータである。この重量が大きければその部分のボトルの肉厚が厚いといえる。
実施例1のプリフォームを用いて作製されたプラスチックボトル60、70は、比較例2のプリフォームを用いて作製されたプラスチックボトル60、70よりも、いずれの強度も優れていた。その理由は、各プラスチックボトル60、70のうち十分な強度をもつ部分の肉厚を薄くし、その分、強度の弱い部分の肉厚を厚くする事が出来たためである。
次に図1Bにより本実施の形態の変形例について述べる。図11に示す変形例は、プリフォームの各部の形状、寸法が異なるのみであり、他の部分は図1Aに示す実施の形態と略同一である。図1Bに示す変形例において、図1Aに示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図1Bにおいて、胴部20の胴中部22における肉厚Tは、3.8mm以下とすることが好ましい。肉厚Tを3.8mm以下とすることにより、プラスチックボトル40をブロー成形により作製する際、溶融した合成樹脂の熱がブロー成形金型に伝達するまでの距離が長くなることが防止され、冷却時間を短くすることができる。これにより、成形サイクルタイムが長くなって製造効率が低下する不具合を防止することができる。なお、胴中部22における肉厚が長さ方向に変化する場合、肉厚Tは、胴中部22の長さ方向中央部における肉厚によって定義する。
また、胴部20の長さLは、サポートリング12の底面と底部23の先端部との間の距離であり、40mm以上135mm以下、例えば92.5mmとすることが好ましい。
さらに、胴部20の胴中部22における径Dは、胴中部22の肉厚中心における直径であり、13mm以上31mm以下、例えば24.0mとすることが好ましい。なお、胴中部22における径が長さ方向に変化する場合、径Dは、胴中部22の長さ方向中央部における肉厚中心径によって定義する。また首部21のサポートリング12側端部の径D1は例えば25.8mmとなっており、首部21の胴中部22側端部の径D2は、例えば2443mmとなっている。また最小肉厚部21Aの長さは、例えば3mmとなっている。また、図1Bに示す変形例において、プリフォーム201は500mlのプラスチックボトル成形用のものであり。その樹脂材料は、23.8gとなっている。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
<実施の形態1>
この実施の形態では、図11(A)に示すプリフォーム201が殺菌の対象物である凹状体とされる。本発明の殺菌方法及び装置によれば、プリフォーム201に限らず、プリフォーム201をブロー成形して得られる同図(B)に示すボトル202、その他の各種材料で各種の形態に形成された容器を殺菌することができる。
プリフォーム201は、図11(A)に示すように、全体として凹状形であり、雄ネジ203aを有する口栓部203、口栓部203に続く有底筒状の胴部204、口栓部203の下端に形成されたフランジ部205等を備え、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を射出成形することにより一体で形成される。射出成形されたプリフォーム201は後述するように殺菌液を噴射された後、収納体に入れられて運搬、保管され、有底筒状の胴部204がブロー成形され、図11(B)に示すようなより大きな容積を有するボトル202とされる。そして、ボトル202には内容物が充填され、図示しないキャップ等で打栓される。
プリフォーム201を殺菌する装置は、図12及び図13に示す構成を有しており、殺菌液を計量し、この計量した殺菌液をプリフォーム201の凹部内に噴射し、噴射された殺菌液からその量の多寡を判別し、適量の殺菌液の付着したプリフォーム201のみを収納体であるコンテナ206内に開口部から収納し、その後コンテナ206の開口部を塞いで所定時間保持してプリフォーム入り収納体を作成するようになっている。
殺菌液は、例えば過酸化水素水溶液を揮発性の溶剤で希釈したものが使用される。殺菌液中の過酸化水素の濃度は例えば0.1~10重量%とされる。溶剤としては例えばエチルアルコール、メチルアルコール、アセトン、イソプロピルアルコール又は複数種の溶剤を混ぜた混合溶剤が用いられる。殺菌液としては過酸化水素水溶液を単独で用いることもできるが、揮発性の溶剤で希釈することにより、過酸化水素溶液がプリフォーム201の内面に速やかに薄い被膜となって拡がることになる。従って、過酸化水素の蒸発が促進され、凹状体であるプリフォーム201の内面の殺菌時間が短縮される。
殺菌装置は、具体的には、図12及び図13に示すように、凹状体であるプリフォーム201を搬送する手段である搬送装置207と、殺菌液を計量して搬送中のプリフォーム201の凹部内に噴射する手段である噴射装置208と、噴射装置208に殺菌液を供給する手段である殺菌液供給装置212と、噴射装置208から噴射される殺菌液を撮像して液量の適否を判別する手段である液量判別装置209と、殺菌液の付着したプリフォーム201を封入する収納体であるコンテナ206とを具備する。
搬送装置207は、複数個のターンテーブル207a,207bを備える。各ターンテーブル207a,207bはその回りに多数のプリフォーム201を把持するクランプ210を等間隔で有し、ターンテーブル207a,207b同士が隣接して同じ周速度で回転しつつ、クランプ210間でプリフォーム201を授受するようになっている。上流側のターンテーブル207aには例えば射出成形機211が供給コンベア207cを介して接続される。射出成形機211で射出成形されたプリフォーム201が供給コンベア207cによってターンテーブル207aのクランプ210に渡される。射出成形機211が他の場所に置かれている場合は、射出成形された多数のプリフォーム201が供給コンベア207cの入口まで図示しないコンテナ等により運搬され、供給コンベア207cからターンテーブル207aへと供給される。下流側のターンテーブル207bには排出コンベア207dを介して収納体であるコンテナ206が連結される。下流側のターンテーブル207bにより搬送されつつ噴射装置208により殺菌液を噴射されたプリフォーム201は下流側のターンテーブル207bから排出コンベア207d上に放出され、排出コンベア207dはプリフォーム201をコンテナ206内に投入する。ターンテーブル207a,207bはプリフォーム201を正確に授受することができるように一定間隔で間欠送りされるようになっているが、連続的に送るようにすることも可能である。
殺菌液供給装置212は、クッションタンク213を備える。クッションタンク213は垂直方向に長いタンクであり、殺菌液の導入管214、循環管215a,215b、ドレイン管216等が接続される。クッションタンク213内には上レベルセンサ217aと下レベルセンサ217bが取り付けられ、上下のレベルセンサ217a,217b間に殺菌液の液面218が来るように殺菌液の流入量が制御される。
導入管214は、一端が殺菌液貯留タンク219からクッションタンク213へと伸び、他端が循環管215bに接続される。導入管214には、供給ポンプ220、フィルタ221、バルブ222,223が設けられる。循環管215a,215bはクッションタンク213に対し環状に連結される。循環管215a,215bには循環ポンプ224、各種バルブ225,226,227、濃度計228等が設けられ、溶剤貯留タンク229、ドレイン管230等が接続される。
濃度計228は、殺菌液の濃度を管理するための装置であり、例えば殺菌液に吸収される紫外線量を検出することにより殺菌液の濃度を測定するUV濃度計が用いられる。もちろん、UV濃度計に限らず、可視光、赤外光を吸収させる方式の濃度計、光の屈折量を検出して濃度を測定する方式の濃度計等も使用可能である。
この殺菌液供給装置212には、殺菌液の調合装置が付属する。図14に示すように、この調合装置231は、過酸化水素水を貯留した殺菌剤貯留タンク232と、殺菌剤を計量する殺菌剤計量タンク233と、揮発性の溶剤である例えばエチルアルコールを貯留した溶剤貯留タンク234と、溶剤を計量する溶剤計量タンク235と、殺菌剤と溶剤を混合する混合タンク236と、混合された殺菌液を貯留する殺菌液貯留タンク219と、これら各種タンク間を結ぶ管路とを具備する。管路上には各種バルブ、ポンプ等が配置される。各種バルブ、ポンプ等の制御により、過酸化水素水が殺菌剤貯留タンク232から殺菌剤計量タンク233を経て混合タンク236に所定量送られ、溶剤が溶剤貯留タンク234から溶剤計量タンク235を経て混合タンク236に所定量送られ、混合タンク236で過酸化水素水と溶剤とが混合され殺菌液が作られる。この殺菌液は殺菌液貯留タンク219に貯留され、この殺菌液貯留タンク219がクッションタンク213の近傍まで運搬される。もちろん、殺菌液貯留タンク219とクッションタンク213とを配管で直結してもよい。
この殺菌液供給装置による殺菌処理は、以下のように進行する。
まず、殺菌装置の稼動に先立ち、殺菌装置内の殺菌液交換プロセスを次の要領で行う。
クッションタンク213と循環管215a,215bのドレイン管216のバルブを開いて前回の稼動に使用した殺菌液をすべて排除する。
次に、溶剤貯留タンク229からのバルブ226を切り替え、循環ポンプ224を作動させて溶剤をドレイン管230のバルブから排出させつつ、濃度計228のゼロレベルを設定する。
濃度計228のゼロレベルが設定されると、バルブ226を切り換え、殺菌液をドレイン管230のバルブから排出させつつ、殺菌液の濃度を計測する。濃度が設定範囲外であれば濃度計228からの信号で警報が発せられる。これにより、殺菌液の交換プロセスが停止され、再度殺菌液が調合され、濃度計228のゼロレベル設定からやり直される。
調合した殺菌液の濃度が正常であることが確認されると、バルブ226を閉じ、供給ポンプ220を作動させて全配管内を殺菌液で満たし、クッションタンク213内の液面218が上レベルセンサ217aに達したところで供給ポンプ220を停止させる。
これにより、殺菌液交換プロセスが終了し、殺菌工程が可能な状態になる。
殺菌工程の開始にあたって、バルブ223を閉じ、循環ポンプ224によりクッションタンク213内の殺菌液を循環管215a、濃度計228、循環管215bを通って循環させる。濃度計228による殺菌液の濃度の監視は殺菌工程中常時行う。殺菌液の濃度が設定範囲外になると、濃度計228からの信号で警報が発せられる。濃度の異常が検出されると、殺菌装置が停止し、再度殺菌液が調合され、濃度計228のゼロレベル設定からやり直される。
殺菌工程中、殺菌液が消費されクッションタンク213内の液面218が下レベルセンサ217bに達すると、供給ポンプ220が作動し、液面218が上レベルセンサ217aに達するまでクッションタンク213内に殺菌液を供給する。
噴射装置208は、クッションタンク213と協働して殺菌液を計量するようになっている。すなわち、図12及び図13に示すように、噴射装置208はクッションタンク213と殺菌液の導管237により連結され、噴射装置208内にはクッションタンク213内の殺菌液の液面218と同じ高さの液面218で殺菌液が溜まるようになっている。殺菌液の液高を噴射装置208の外から監視することができるように、噴射装置208には液面計238が取り付けられている。図示例では噴射装置208がターンテーブル207a上の前後二つのプリフォーム201に対向するように配置される。もちろん、噴射装置208はひとつのプリフォーム201に対向するように一基のみ配置してもよいし、三つ以上のプリフォーム201に対向するように三基以上配置してもよい。
この噴射装置208は、噴射装置208内にクッションタンク213の液高と同じ液高で一定量溜まった殺菌液を計量し一定方向に噴出させる装置であり、図15に示すように、先端にノズル239aを有するシリンダ239を備える。シリンダ239にはクッションタンク213からの導管237が連結され、導管237の連結箇所よりも上方にオーバーフロー用の開口239bが形成される。
オーバーフロー用の開口239bにはパイプ239cが取り付けられ、オーバーフローする殺菌液がシリンダ239の外壁面をプリフォーム201の方に伝い落ちることがないよう措置される。
シリンダ239内には、シリンダ239内の殺菌液を定量取り込む筒状の枡弁240と、枡弁240内をスライド可能なプランジャ241と、プランジャ241の中心をスライド可能なノズル239aに対向するニードル弁242とが設けられる。枡弁240、プランジャ241及びニードル弁242はエア等の作動流体を利用した図示しないエアシリンダ装置によりそれぞれ駆動されるようになっている。作動流体による駆動に限らず、サーボモータ等による駆動方式を採用することも可能である。
噴射装置208は、図16に示すように動作し、ノズル239a下にプリフォーム201が到達すると、プリフォーム201の凹部の開口に向かって殺菌液を一定量ずつ噴射する。まず、図15に示すように、枡弁240がノズル239a側に降下して一定量の殺菌液を計量して捕捉し(図16A)、ニードル弁242が上昇してノズル239aを開け(図16B)、プランジャ241が降下して枡弁240内の殺菌液をノズル239aから矢印方向に噴射させる(図16C)。この殺菌液の噴射量はプリフォーム201の容積、内表面積等によって相違するが、大体0.05~100μリットルの範囲内における所定の容量である。殺菌液をプリフォーム201に対して噴射すると、ニードル弁242が降下してノズル239aを閉じ(図16D)、続いて枡弁240が上昇する(図16E)。最後にプランジャ241が上昇し(図16F)、殺菌液がクッションタンク213からシリンダ239内に流入する。以上の動作がプリフォーム201ごとに繰り返され、各プリフォーム201内に殺菌液が計量された量だけ噴射される。
なお、殺菌液の噴射手段としては、ここに示した噴射手段に限るものではなく、ラインの生産能力に追従する噴射速度を有し、噴射量が安定していれば、他の噴射方式を採用することも可能である。
噴射装置208はその軸心がプリフォーム201の軸心の延長線上に来るように配置してもよいが、望ましくは図17(A)に示すように、搬送装置207上のプリフォーム201に対して軸心が傾斜し軸心同士が交差するように設置される。これにより、噴射された殺菌液はプリフォーム201の側壁である胴部204又は口栓部203の内面に付着し側壁の内面上を伝い落ちるので、それだけ殺菌液が凹状体であるプリフォーム201の凹部内に広い範囲で付着し、殺菌効果が高まる。
液量判別装置209は、噴射装置208から噴射される殺菌液を撮像して噴射量の適否を判別するためのもので、図12及び図13に示すように、噴射装置208のノズル239aから吐出される殺菌液を照明するランプ243と、吐出される殺菌液を撮像するカメラ244とを備える。
カメラ244は例えばCCDカメラであり、ランプ243により照明された殺菌液を撮像するようになっている。カメラ244によって撮られた画像は画像コントローラ245を介してモニタ246に映し出される。図18(A)に示すように、モニタ246の画面246aには噴射装置208のノズル239aの画像239dと、ノズル239aから直線状に噴射される殺菌液の画像247と、プリフォーム201の口栓部203の画像203bとが映し出される。
液量判別装置209は、殺菌液の画像247の部分をウインドウ248により切り取り、プリフォーム201が噴射装置208の下に来るタイミングにおいて殺菌液の存否を判別し殺菌液が存在しないことを検知すると殺菌不良の旨の信号を発する。また、液量判別装置209は、ウインドウ248内の殺菌液の画像247における画素数をカウントし、カウント値が予め設定した所定の画素数よりも多すぎる場合と少なすぎる場合に殺菌不良の信号を発する。
図13に示すように、ターンテーブル207bには殺菌不良のプリフォーム201を除去するための除去装置249が設置され、除去装置249は殺菌不良信号を受けると、該当するプリフォーム201をターンテーブル207bから除去する。除去装置249はターンテーブル207b上のクランプ210を開いてプリフォーム201をターンテーブル207b下に落下させる装置であるが、その他エアを噴射してプリフォーム201を吹き飛ばすようにしたり、プリフォーム201を下から受け止めるトラップ板を外したりするようなものであってもよい。
また、液量判別装置209は、搬送装置207であるターンテーブル207a,207bが凹状体であるプリフォーム201を搬送するタイミングでないときに液量判別装置209が殺菌液の画像247の存在を検出する場合は、殺菌液が垂れ流し状態になったものとしてターンテーブル207a,207bを停止させるための信号を出力するようになっている。すなわち、図18(B)に示すように、搬送されるプリフォーム201とプリフォーム201の間で殺菌液の画像247が検出されると、液量判別装置209は噴射装置208から殺菌液の垂れ流しが発生したものと判断して搬送停止信号を出力する。これにより、殺菌液の供給状態が修復され、プリフォーム201への殺菌液の過度の付着、搬送ラインの殺菌液による汚れ等の発生が防止される。
また、液量判別装置209は、搬送装置207であるターンテーブル207a,207bが凹状体であるプリフォーム201を搬送するタイミングにおいて殺菌液の画像247の画素数が予め設定した範囲外の場合は、殺菌液が噴射されなかったものとして殺菌不良の信号を発する。ターンテーブル207a,207bは引き続き駆動し、除去装置249が該当するプリフォーム201をターンテーブル207bから排除する。これにより、殺菌不良のプリフォーム201が良品のプリフォーム201と共に収納体に収納されないようにすることができる。
収納体は例えば蓋付きのコンテナ206として構成され、このコンテナ206内に排出コンベア207dから排出される適正な量及び濃度の殺菌液が付着したプリフォーム201が投入される。コンテナ206内には合成樹脂製の袋が膨らんだ状態で入れられ、この袋内にプリフォーム201が投入される。プリフォーム201が所定量蓄積すると、袋が塞がれ、殺菌装置からコンテナ206ごと搬出される。塞がれたコンテナ206はその後運搬され、保管され、その間コンテナ206の袋内では各プリフォーム201内で殺菌液が蒸発し、プリフォーム201内を殺菌する。このようなエイジングが行われた後、コンテナ206が開封され、殺菌済のプリフォーム201がコンテナ206内の袋から取り出されてブロー成形機(図示せず)に送られ、ボトル202として成形される。収納体としては、封入可能であればコンテナ206その他の箱単体としてもよいし、或いは袋単体としてもよい。封入の方法としては、袋の口を折り畳んだり、ヒートシールしたり、クリップで挟んだりする等種々の方法を採用することができる。
次に、上記構成の殺菌装置の作用について説明する。
射出成形機211で射出成形されたプリフォーム201が供給コンベア207cから上流側のターンテーブル207aを経て下流側のターンテーブル207bに供給され、ターンテーブル207bは回転しつつプリフォーム201を順次受け取って噴射装置208の直下へと搬送する。
噴射装置208のシリンダ239内にはクッションタンク213を介して殺菌液供給装置212から一定濃度の殺菌液が供給される。殺菌液は、調合装置231により過酸化水素水と揮発性の溶剤とが一定の割合で調合されることにより得られる。殺菌液は殺菌液供給装置212内において濃度計228によりその濃度を常時監視され、そのため常時一定濃度の殺菌液が噴射装置208へと供給される。
クッションタンク213内には液面218が常に所定の液高となるように殺菌液が貯留され、噴射装置208のシリンダ239内にもクッションタンク213内と同じ液高で殺菌液が貯留される。噴射装置208は、シリンダ239内において枡弁240で一定容積の殺菌液を取り込み、ノズル239a下にプリフォーム201が到来すると、ニードル弁242でノズル239aを開け、プランジャ241で殺菌液をノズル239aから噴射させる。
噴射装置208のノズル239aから発射された殺菌液は直線状になってプリフォーム201の凹部内に速やかに入る。殺菌液はプリフォーム201の側壁の内面に付着し、側壁上を伝い落ち、プリフォーム201の凹部内に広い範囲で付着する。
液量判別装置209は、噴射装置208から噴射される殺菌液をカメラ244で撮像して噴射量の適否を判別する。カメラ244によって撮られた画像は画像コントローラ245を介してモニタ246に映し出される。
液量判別装置209は、モニタ246の画面における殺菌液の画像247をウインドウ248により切り取り、プリフォーム201が噴射装置208の下に来るタイミングにおいて殺菌液の存否を判別し、殺菌液が噴射されないことを検知すると殺菌不良の旨の信号を発する。
また、液量判別装置209は、ウインドウ248内の殺菌液の画像における画素数をカウントし、カウント値が予め設定した所定の画素数の数値よりも多すぎる場合と少なすぎる場合に殺菌不良の信号を発する。
液量判別装置209が殺菌不良と判別したプリフォーム201はターンテーブル207bにより除去装置249のところへと搬送されたときにターンテーブル207bから除去される。
また、液量判別装置209は、ターンテーブル207bがプリフォーム201を搬送するタイミングでないときに殺菌液の画像247の存在を検出すると、殺菌液の垂れ流しが発生したものとしてターンテーブル207a,207bを停止させる信号を出力する。これにより、プリフォーム201や搬送ラインの殺菌液による汚れが防止される。
一方、殺菌装置の稼動中、濃度計228による殺菌液の濃度の監視が常時行われる。殺菌液の濃度が設定範囲外になると、濃度計228からの信号で警報が発せられる。濃度の異常が検出されると、ターンテーブル207a,207bが停止し、再度殺菌液が調合された後、殺菌処理が再開される。
適正な濃度と量の殺菌液が噴射されたプリフォーム201はターンテーブル207b、排出コンベア207dを経てコンテナ206内の袋内に投入される。
コンテナ206内にプリフォーム201が所定量蓄積されると、コンテナ206内の袋が塞がれ、コンテナ206が殺菌装置から搬出される。
このコンテナ206はその後プリフォーム201のユーザー等へと運搬され、保管される。その運搬、保管等の間にコンテナ206の袋内では各プリフォーム201内で殺菌液が蒸発し、過酸化水素の蒸気がプリフォーム201内を殺菌する。このような殺菌のエイジングが行われた後、コンテナ206内の袋が開封され、殺菌済のプリフォーム201がコンテナ206から取り出される。
殺菌済のプリフォーム201はブロー成形機によりボトル202として成形され、無菌化された雰囲気内において内容物を充填され、打栓され、製品として搬出される。
<実施の形態2>
図19に示すように、この実施の形態2では、実施の形態1が搬送手段としてターンテーブル207a,207bを使用しているのに対し、スクリューコンベア250が使用される。スクリューコンベア250は一対のスクリューを平行に配置し、スクリュー間にプリフォーム201の胴部204を挟みながらプリフォーム201を搬送するようになっている。また、スクリューの上方にはプリフォーム201のフランジ部205に当接する一対のガイドレール251が平行に設置される。
スクリューコンベア250の上方には、図17(B)に示すような向きで噴射装置208が設置され、噴射装置208からプリフォーム201に向けて殺菌液が噴射される。プリフォーム201はスクリューコンベア250上において傾斜しているのに対し、噴射装置208は垂直に設置される。このため、殺菌液は図17(B)に示すようにプリフォーム201の側壁の内面に対して噴射される。
本発明によれば、殺菌液を計量し、この計量した殺菌液を凹状体の凹部内に噴射し、噴射された殺菌液からその量の多寡を判別し、適量の殺菌液の付着した凹状体のみを収納体内に収納し、その後収納体を塞いで所定時間保持する殺菌方法であるから、殺菌液を計量した上で凹状体の凹部内に噴射すると共に、噴射された殺菌液からその量の多寡をも判別することとなり、適正量の殺菌液を容器、プリフォーム等の凹状体に付着させることができ、従って収納体内で効率的に殺菌することができ、殺菌不良という問題を生じない。
本発明によれば、噴射された殺菌液を撮像することにより殺菌液の噴射量の適否を判別する殺菌方法であるから、噴射された殺菌液を撮像し、その映像から殺菌液の噴射量の適否を判別することになり、殺菌液の噴射を乱すことなく適正に噴射量を検知することができる。
本発明によれば、殺菌液は凹状体の側壁の内面に向かって噴射する殺菌方法であるから、殺菌液が凹状体の側壁の内面に付着して側壁上を伝い落ちることになり、それだけ殺菌液が凹状体の凹部に広い範囲で付着し、殺菌効果が高まる。
本発明によれば、凹状体を搬送する搬送手段と、殺菌液を計量して搬送中の凹状体の凹部内に噴射する噴射手段と、噴射手段に殺菌液を供給する殺菌液供給手段と、噴射手段から噴射される殺菌液を撮像して液量の適否を判別する液量判別手段と、殺菌液の付着した凹状体を封入する収納体とを具備した殺菌装置であるから、殺菌液供給装置から供給される殺菌液を計量した上で噴射手段により凹状体の凹部内に噴射し、搬送手段により搬送する凹状体に連続的に一定量ずつ殺菌液を付着させて、収納体内に投入することができる。また、噴射後の殺菌液を撮像して液量の適否を判別するので、殺菌液の付着量をより厳密に管理し、適正量の殺菌液が付着した凹状体のみを収納体内に投入することができる。従って、大量の凹状体を効率的に殺菌することができ、殺菌不良や殺菌液の残留という問題を生じない。
本発明によれば、液量判別手段により殺菌液の垂れ流しが検知されると、搬送手段による凹状体の搬送を停止させる殺菌装置であるから、凹状体への殺菌液の過度の付着、搬送ラインの殺菌液による汚れ等の発生が防止される。
本発明によれば、液量判別手段により殺菌液が凹状体に噴射されないことが検知されると、当該凹状体を搬送手段から排除する殺菌装置であるから、殺菌液が供給されない殺菌不良の凹状体が搬送手段から除去される。従って、収納体内への殺菌不良の凹状体の混入が防止される。また、搬送手段はそのまま作動するので、殺菌処理を続行することができる。
本発明によれば、殺菌液の濃度の適否を判別する濃度判別手段が設けられた殺菌装置であるから、殺菌に必要な濃度の殺菌液を凹状体に噴射することができ、適正な殺菌を維持することができる。
本発明によれば、濃度判別手段により殺菌液の濃度不良が検知されると、搬送手段による凹状体の搬送を停止させる殺菌装置であるから、殺菌不良の凹状体の大量発生を防止することができる。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の容器の殺菌方法をプリフォームに利用し、殺菌したプリフォームをブロー成形機によりボトルに成形し、そのボトルを無菌充填に供する方法について説明する。 先ず、射出成形機を用いて、図20(A)に示すように、プリフォーム301を作製する。
PETボトルの場合、プリフォーム301は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下PET樹脂とする)を用いて成形するが、PET樹脂に限らずナイロンやその他の熱可塑性樹脂を用いて作製することがある。
次いで、プリフォーム301の中に、図20(B)に示すように、35%過酸化水素水溶液を前述のエチルアルコール等の揮発性溶剤を用いて希釈した溶液、即ちH2O2溶液311を滴下し、このH2O2溶液311を滴下したプリフォーム301を、図20(C)に示すように、コンテナ(収納体)303に開口部から入れて、開口部に蓋304をして密閉し、プリフォーム入り収納体を作製する。
プリフォーム301を入れたコンテナ303はユーザ(食品メーカ等)に輸送される。揮発性溶剤で希釈したH2O2溶液は、過酸化水素(H2O2)濃度として、0.1~10%のものが使用されるが、エチルアルコールで希釈した場合のH2O2濃度は0.5~5%程度が好ましい。
また、プリフォーム301に滴下するH2O2溶液は、希釈溶剤によって異なり、0.1~100μlの範囲で滴下されるが、エチルアルコールで希釈した場合は1~30μlが好ましい。
本発明に用いられる過酸化水素としては、通常、市販の過酸化水素濃度が30~35重量%の過酸化水素水溶液が用いられる。
また、オキシドールとして市販されている3重量%の過酸化水素水溶液も使用できる。 30~35%の過酸化水素水溶液(以下過酸化水素濃度の重量%は単に%と記載する)としては、工業用と食品添加物用があり、本発明においてはいずれも使用可能であるが、工業用は過酸化水素の分解を防止するために安定剤等が添加されているので、添加物の少ない食品添加物用の過酸化水素水溶液が好適である。
本発明においては食品添加物用の30~35%過酸化水素水溶液を用い、下記の揮発性溶剤で希釈して、0.1~10%溶液として使用する。
H2O2溶液の濃度及び滴下量は、殺菌する容器の大きさによって異なるが、通常は0.5~5%溶液を使用し、その滴下量は、H2O2溶液として0.05~100μlの範囲で使用され、好ましくは1~30μl程度である。
本発明に用いられる揮発性の溶剤としては、過酸化水素又は過酸化水素水溶液が可溶であり、且つ揮発性のある溶剤であれば使用可能であるが、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトンが好適である。
特に、エチルアルコールは過酸化水素水溶液との相溶性、プラスチック材料への濡れ性、浸透性、蒸発速度等取扱上の点で優れており、より好適である。
過酸化水素水溶液の希釈溶剤として揮発性溶剤を用いることにより、容器に滴下した過酸化水素溶液は容器内面に薄い被膜を形成して濡れ広がると共に、蒸発速度が促進されるので、過酸化水素の蒸気圧が高まり、殺菌効率が向上すると共に、容器の殺菌時間を短縮することができる。
即ち、過酸化水素の沸点が151.4℃であるため、過酸化水素水溶液を滴下した容器を15℃以下の室温に保管された場合、過酸化水素水溶液の蒸発速度が遅くなり、殺菌にかなりの時間を要すると共に、殺菌に必要な十分な過酸化水素蒸気圧が得られず、容器内面の殺菌が不十分になることがある。
そのため、本発明においては、35%の過酸化水素水溶液をエチルアルコール等の揮発性溶剤で希釈し、この希釈溶剤を容器の内面に滴下することにより、容器内面に過酸化水素溶液の薄い被膜を形成して濡れ広がると共に、容器内における過酸化水素の蒸発速度が促進されてH2O2蒸気圧を高め、容器の殺菌をより効率よく行うとともに、殺菌時間の短縮を図ったものである。
H2O2溶液を滴下したプリフォーム301は、図20(C)に示すように、コンテナ303に入れられて密閉された状態で、一時保管された後ユーザに輸送され、ユーザでまた保管された後にブロー成形機でボトルに成形される。
プリフォーム301に滴下したH2O2溶液は、保管中又は輸送中に、コンテナの中で気化し、気化したH2O2蒸気311aがプリフォーム内面を殺菌する。
即ち、プリフォーム301に滴下したH2O2溶液311は、希釈溶剤が揮発性の溶剤であるため、プリフォーム301に滴下した後速やかに蒸発し、プリフォーム301の内側に充満するようになる。
希釈溶剤と同時にH2O2も蒸発し、H2O2蒸気311aとなってプリフォーム301の内面に接し、プリフォーム301の内面を殺菌する。
H2O2の希釈溶剤が揮発性の溶剤であるため、H2O2の蒸発速度が促進されて、短時間でH2O2蒸気311aとなり、プリフォーム内のH2O2蒸気311aの密度が高まるので、プリフォーム301内面の殺菌効果が高まる。
また、コンテナ303に収納したプリフォーム301の口栓部は開放状態のままであるので、プリフォーム301内に蒸発したH2O2蒸気311aは、時間の経過に伴なってプリフォーム301の外に出て行くが、コンテナ303は蓋304を被せて密閉状態になっているため、H2O2蒸気311aはコンテナ内にこもり、プリフォームの外側も殺菌することになる。
PET樹脂を用いてプリフォームを射出成形するとき、成形温度は260~280℃であるので、プリフォームの成形時は完全に無菌状態となっており、その後の操作で微生物汚染されても、プリフォームの外側はかなり清潔で、微生物汚染が少ないので、H2O2蒸気311aにより殺菌されて、殆ど生菌数が残らない状態となる。
しかし、コンテナ303内のH2O2蒸気311aの密度はプリフォーム301の内側に比較してかなり低くなるので、プリフォームの外側の微生物汚染が多い場合は完全殺菌は期待できない。
次に、内面及び外面を殺菌したプリフォーム301はコンテナに入れられてユーザに搬入され、ブロー成形機に供給されてブローボトルに成形される。
即ち、図21(A)に示すように、殺菌されたプリフォーム301はブロー成形機(図示せず)でブロー成形されて、図21(b)に示すようなボトル302となる。
次いで、ボトル302は無菌充填機に供給されて、図21(C)に示すように、無菌チャンバー内で、過酸化水素水溶液の噴霧によりボトルの内面にH2O2ミスト311bを付着させ、これを熱風で乾燥させることによりボトル内面を殺菌し、更に、図21(D)に示すように、内面と同様に、ボトルの外面にもH2O2ミスト311bを付着、乾燥させてボトル外面を殺菌する。
上記工程において、殺菌したプリフォーム301を用いてブロー成形機でボトルを成形した場合、高価な無菌仕様のブロー成形機を使用しなくとも、通常のブロー成形機を用いて清浄な状態で運転すれば、成形されたボトルは微生物汚染が非常に少なくなるので、次の殺菌工程において、殺菌の負荷を少なくすることができ、殺菌効率を向上させることができる。
即ち、ボトルの微生物汚染が非常に少ないので、ボトルの殺菌工程において、ボトルへのH2O2ミストの付着量を少なくすることができる。
そのため、乾燥時間が短縮されると共に、殺菌工程時間も短縮されるので、無菌充填機の殺菌能力が増大し、生産能力が向上する。
また、ボトルの微生物汚染が非常に少なくなると、ボトルの殺菌不良がなくなりボトルの殺菌効果が高まるので、無菌充填製品の不良率が低減され、無菌充填機の生産効率が向上することになる。
殺菌したボトル302は、図21(E)に示すように、無菌チャンバー内で倒立し、ボトルの内部に洗浄用ノズル312から無菌水313を噴射して、ボトル内部を洗浄する。
この洗浄工程によって、ボトル内部に付着していた塵埃や僅かに残留していたH2O2を洗い流し、ボトル内部を清浄にする。
次に、洗浄したボトルを口栓部が上になるようにして充填工程に移動して、図21(F)に示すように、充填ノズル314の下にボトルを配置し、滅菌した内容物315を充填し、次いで、キャッピング工程に移動して、図21(G)に示すように、別工程で殺菌したキャップ305をして無菌充填製品306を作製する。
また、本発明の殺菌方法により殺菌したプリフォームを用いて、ボトルの無菌充填を行う場合、内容物によっては、ボトルの内外面の殺菌を省略して無菌充填ができるため、無菌充填機を小型化することができると共に、生産能力を向上させることができるので、製品のコストダウンを図ることができる。
即ち、オレンジジュース等の酸性食品やミネラルウォータの場合は、図22(A)に示すように、プリフォーム301を射出成形した後、前述と同様にして殺菌したプリフォーム301をブロー成形機でボトルに成形して、図22(B)に示すように、ボトル302を作製する。
次に、前記ボトル302を無菌充填機に供給して、無菌チャンバー内で、図22(C)に示すように、ボトルの口栓部に殺菌灯を装備した紫外線照射装置317から紫外線(殺菌線)を照射して、ボトルの口栓部を殺菌する。
殺菌灯としては、一般的には、波長253.7nmの殺菌線を放射する低圧水銀灯が使用されるが、高出力の殺菌灯として高圧水銀灯を使用する場合がある。
殺菌したプリフォーム301をブロー成形機でボトルに成形し、無菌充填機に供給する工程において、ボトルの口栓部は外部からの微生物汚染の可能性が高く、且つ内容物に直接触れるので、ボトルの口栓部を殺菌することにより、無菌充填製品の不良率を低下させることができる。
口栓部を殺菌したボトル302は、前述と同様に、図22(D)に示すように、倒立した状態で無菌水で洗浄した後、図22(E)及び(F)に示すように、充填工程において内容物315が充填され、キャッピング工程においてキャップ305をして無菌充填製品306となる。