JP7080657B2 - 感情識別装置 - Google Patents
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Description
取得部は、被験者の脳のうち、前頭葉のみにおける少なくとも1つの測定部位について、近赤外分光法により、少なくとも血液中の酸素化ヘモグロビン濃度に関する情報を、血流情報として取得する。そして、識別部は、取得部により取得された血流情報に基づいて、被験者の感情を識別する。
[1.第1実施形態の構成]
図1に示すように、第1実施態様の感情識別装置1は、感情識別の対象者である被験者に装着される計測装置2と、被験者の感情を識別するための処理等を行う処理装置3とを、備える。
センシング部13は、近赤外分光法の複数のセンサ15と、センシング処理回路17と、を備える。各センサ15は、近赤外光を出力する発光部15aと、該発光部15aに対して所定距離だけ離れて設けられた受光部15bと、を備える。センサ15の数は、本第1実施形態では5つである。
サンバイザー型の計測装置2が被験者の頭部に装着された状態において、各センサ15の発光部15aから出力された近赤外光は、被験者の額の皮膚表皮から被験者の前頭葉に到達する。具体的には、発光部15aからの近赤外光は、額の皮膚表皮から数mmの深さにある大脳皮質(即ち、前頭葉)の部位に到達する。ここで言う数mmとは、詳しくは、約15~30mmである。そして、発光部15aからの近赤外光は、被験者の前頭葉で拡散されたり吸収されたりしながら、一部が被験者の額の皮膚表皮上に戻る。皮膚表皮上に戻ってきた近赤外光が、各センサ15の受光部15bによって検出される。受光部15bは、検出した近赤外光の強さに応じた電気信号を出力する。また、発光部15aからは、複数通りの波長の近赤外光が出力される。複数通りの波長としては、生物学的光学窓に該当する700~1200nmである。
計測部18は、各センサ15の発光部15aを制御すると共に、各センサ15の受光部15bから出力される信号に基づいて、被験者の前頭葉における血流情報(即ち、脳血流情報)として、下記4種類の血流情報をセンサ15毎に且つ一定時間毎に計測する。
尚、計測部18は、例えば、CPU、RAM及びROM等を備えたマイクロコンピュータを中心にして構成されて良い。この場合、計測部18の機能は、CPUが非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、上記ROMが、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。また、計測部18は、複数のマイクロコンピュータを備えても良い。また、計測部18の機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の機能は、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されても良い。例えば、計測部18の機能がハードウェアである電子回路によって実現される場合、その電子回路は、デジタル回路、又はアナログ回路、あるいはこれらの組合せによって実現されても良い。
受信部21は、送信部19により無線信号として送信された血流情報を受信する。具体的には、受信部21は、送信部19によって送信された無線信号を受信して、その受信した信号から、センサ15毎の計測データ(即ち、血流情報)を取得する。そして、受信部21が取得した血流情報は、識別処理部23に入力される。つまり、識別処理部23には、計測部18による計測データが、無線通信を介して入力される。尚、無線通信の方式としては、例えば、Bluetooth(登録商標)又はZigBee(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)であって良いし、他の方式であっても良い。
次に、感情識別装置1で実施される処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。
識別処理部23は、計測期間分の酸素化ヘモグロビン濃度変化の平均値を算出する。ここで言う平均値は、時間平均値である。つまり、計測期間において一定時間毎に計測された酸素化ヘモグロビン濃度変化の合計値を、計測期間の時間長で割った値を算出する。
また、次のS160にて、誘導処理部27が、識別処理部23による感情の識別結果に基づいて、前述の感情誘導処理を行う。
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(3a)感情識別装置1では、被験者の脳のうち、前頭葉のみにおける少なくとも1つの測定部位について、近赤外分光法により血流情報を取得し、取得した血流情報に基づいて、被験者の感情を識別している。この感情識別装置1によれば、近赤外分光法による測定部位を前頭葉に限定するにも拘わらず、良好な感情識別精度を確保することができる。そして、測定部位が少なくなることから、被験者が測定時に感じる不快感が低減され、その結果、感情識別精度を向上させることができる。また、測定部位が少なくなることから、装置の構成が簡素化され、装置の低コスト化が実現し易い。
図3の左側のグラフにおいて、実線の波形は、実験対象者に「高覚醒の快」の感情を持たせるための課題動画を見せた場合に、中央センサ15Cからの信号に基づいて一定時間毎に測定された酸素化ヘモグロビン濃度変化の推移を示す。
また、図3の右側は、センサ15と同じ構成の複数のセンサを実験対象者の額の概ね全領域に分布させて取り付け、それら複数のセンサからの各信号に基づいて計測された酸素化ヘモグロビン濃度変化の分布を二次元的に表している。図3の右側は、被験者に上記各課題画像を見せている最中の酸素化ヘモグロビン濃度変化を二次元的に表したものである。そして、図3の右側においては、ドットの密度が高い領域ほど、測定された酸素化ヘモグロビン濃度変化の値が大きいことを表している。
(3h)誘導処理部27が前述の感情誘導処理を行うため、乗り物を運転する被験者の感情が乗り物の運転に適さなくなった場合に、被験者の感情を乗り物の運転に適した感情に誘導することができる。
[4.第2実施形態]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。尚、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
[4-1.第1の相違点]
図2の110にて、計測部18は、血流情報として、酸素化ヘモグロビン濃度変化と、脱酸素化ヘモグロビン濃度変化とを、計測する。このため、識別処理部23には、計測データとして、酸素化ヘモグロビン濃度変化と、脱酸素化ヘモグロビン濃度変化との、各データが入力される。
図2のS130にて、識別処理部23は、計測部18により計測された、計測期間における一定時間毎の酸素化ヘモグロビン濃度変化から、酸素化ヘモグロビン濃度変化の微分値を算出する。また、識別処理部23は、計測部18により計測された、計測期間における一定時間毎の脱酸素化ヘモグロビン濃度変化から、脱酸素化ヘモグロビン濃度変化の微分値を算出する。各微分値も、計測期間における一定時間毎の値が算出される。
[4-3.第2実施形態の効果]
第2実施形態では、第1実施形態と比較すると、酸素化ヘモグロビン濃度変化の微分値と、脱酸素化ヘモグロビン濃度変化の微分値とが、計測部18ではなく、識別処理部23で算出される。このため、計測部18で実施される処理の負荷を減らすことができる。
[5-1.第1の変形例]
上記実施形態では、センサ15の数、即ち、血流情報の計測チャンネルの数が、5つであったが、計測チャンネルの数は5つ以外であっても良い。
図5に示すように、センシング部13は、複数のセンサ15が搭載された帯状のパーツ41と、センシング処理回路17とが、信号伝達用のコード43を介して接続される構成であっても良い。
また、図6に示すように、センサ15は、1つであっても良い。この場合の1つのセンサ15は、被験者の額において前述の中央センサ15Cと同じ位置に配置されるように構成されて良い。
[5-4.第4の変形例]
識別処理部23は、上記4種類の血流情報のうち、例えば、酸素化ヘモグロビン濃度変化の微分値だけに基づいて、あるいは、酸素化ヘモグロビン濃度変化の微分値と他の1種類又は2種類の血流情報とに基づいて、被験者の感情を識別するように構成されて良い。この場合、図2のS110又はS130では、上記4種類の血流情報のうち、感情の識別に使用される血流情報が計測又は算出されれば良い。
識別処理部23は、酸素飽和度を用いて被験者の感情を識別するように構成されて良い。この場合、計測部18は、少なくとも酸素飽和度を計測するように構成されて良い。例えば、識別処理部23は、上記4種類の血流情報のうち、酸素化ヘモグロビン濃度変化の微分値に代えて、酸素飽和度の微分値を用いるように構成されて良い。また例えば、識別処理部23は、酸素飽和度の微分値だけを用いて被験者の感情を識別するように構成されて良い。
被験者の皮膚における血流情報の影響をキャンセルするように構成しても良い。
具体的には、センサ15の構成として、発光部15aから第1の距離だけ離れて設けられた第1の受光部と、発光部15aから第1の距離より大きい第2の距離だけ離れて設けられた第2の受光部とを、備える構成とする。第1の距離は、第1の受光部からの信号によって皮膚における血流情報が計測される距離にする。第2の距離は、第2の受光部からの信号によって前頭葉における血流情報(即ち、脳血流情報)が計測されるようにする。第2の受光部からの信号に基づく血流情報の計測結果から、第1の受光部からの信号に基づく血流情報の計測結果を引くことにより、皮膚における血流情報をキャンセルした前頭葉における血流情報を検出する。このように構成すれば、皮膚の血流情報の影響を抑制した計測結果を得ることができ、感情識別精度を向上させることができる。
以上、本開示の主な実施形態について説明したが、本開示は上述の各実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
Claims (9)
- 乗り物の運転者である被験者の脳のうち、前頭葉のみにおける少なくとも1つの測定部位について、近赤外分光法により、少なくとも、血液中の酸素化ヘモグロビン濃度の、一定計測時間当たりの変化量である酸素化ヘモグロビン濃度変化を、血流情報として取得するように構成された取得部(15,18)と、
前記取得部により取得された前記血流情報に基づいて、前記被験者の感情を識別するように構成された識別部(23)と、
前記識別部による感情の識別結果に基づいて、前記被験者の感情を所定の感情に誘導するための処理を行うように構成された誘導部(27)と、
を備え、
前記少なくとも1つの測定部位として、前記被験者の額における皮膚表皮から入射された近赤外光が到達する前記前頭葉の中央部の部位があり、
前記識別部は、前記被験者の感情として、少なくとも快と不快を識別し、更に、前記快としては、興奮又は爽快の感情である「高覚醒の快」と、安心又は穏やか又はリラックスの感情である「低覚醒の快」とを、識別するように構成されており、
前記誘導部は、前記識別部による前記感情の識別結果が前記「高覚醒の快」又は前記不快であった場合に、前記被験者の感情を前記「低覚醒の快」に誘導するための処理を行うように構成されている、
感情識別装置。 - 乗り物の運転者である被験者の脳のうち、前頭葉のみにおける少なくとも1つの測定部位について、近赤外分光法により、少なくとも、血液中の酸素化ヘモグロビン濃度の、一定計測時間当たりの変化量である酸素化ヘモグロビン濃度変化を、血流情報として取得するように構成された取得部(15,18)と、
前記取得部により取得された前記血流情報に基づいて、前記被験者の感情を識別するように構成された識別部(23)と、
前記識別部による感情の識別結果に基づいて、前記被験者の感情を所定の感情に誘導するための処理を行うように構成された誘導部(27)と、
を備え、
前記少なくとも1つの測定部位として、前記被験者の額における皮膚表皮から入射された近赤外光が到達する前記前頭葉の中央部の部位があり、
前記識別部は、前記被験者の感情として、少なくとも快と不快を識別し、更に、前記快としては、興奮又は爽快の感情である「高覚醒の快」と、安心又は穏やか又はリラックスの感情である「低覚醒の快」とを、識別するように構成されており、
前記誘導部は、前記被験者による前記乗り物の運転の継続時間が所定時間を超えていて、前記識別部による前記感情の識別結果が前記「低覚醒の快」であった場合に、前記被験者の感情を前記「高覚醒の快」に誘導するための処理を行うように構成されている、
感情識別装置。 - 請求項2に記載の感情識別装置であって、
前記誘導部は、前記被験者による前記乗り物の運転の継続時間が前記所定時間を超えておらず、前記識別部による前記感情の識別結果が前記「高覚醒の快」又は前記不快であった場合に、前記被験者の感情を前記「低覚醒の快」に誘導するための処理を行うように構成されている、
感情識別装置。 - 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の感情識別装置であって、
前記取得部は、前記前頭葉の中央部の部位について前記血流情報を取得するために前記被験者の額に設けられるセンサ(15C)を備え、
前記センサは、
前記被験者の額における皮膚表皮の側から前記前頭葉の中央部の部位へと近赤外光を出力する発光部(15a)と、
前記発光部から出力されて前記被験者の額の皮膚表皮上に戻ってきた前記近赤外光を検出する受光部(15b)と、を備え、
前記発光部と受光部は、前記被験者の額の中央部を縦方向に通る仮想線(Y1)上に位置するように構成される、
感情識別装置。 - 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の感情識別装置であって、
前記取得部は、前記血流情報として、前記酸素化ヘモグロビン濃度変化の前記一定計測時間毎の微分値も、取得するように構成されている、
感情識別装置。 - 請求項5に記載の感情識別装置であって、
前記取得部は、前記血流情報として、血液中の脱酸素化ヘモグロビン濃度の、前記一定計測時間当たりの変化量である脱酸素化ヘモグロビン濃度変化と、前記脱酸素化ヘモグロビン濃度変化の前記一定計測時間毎の微分値も、を取得するように構成されている、
感情識別装置。 - 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の感情識別装置であって、
前記識別部は、前記酸素化ヘモグロビン濃度変化の前記一定計測時間毎の微分値を算出し、当該微分値を少なくとも用いて、前記被験者の感情を識別するように構成されている、
感情識別装置。 - 請求項7に記載の感情識別装置であって、
前記取得部は、前記血流情報として、血液中の脱酸素化ヘモグロビン濃度の、前記一定計測時間当たりの変化量である脱酸素化ヘモグロビン濃度変化も、を取得するように構成され、
前記識別部は、前記酸素化ヘモグロビン濃度変化の前記一定計測時間毎の微分値と、前記脱酸素化ヘモグロビン濃度変化の前記一定計測時間毎の微分値とを算出し、前記酸素化ヘモグロビン濃度変化と、前記酸素化ヘモグロビン濃度変化の前記一定計測時間毎の微分値と、前記脱酸素化ヘモグロビン濃度変化と、前記脱酸素化ヘモグロビン濃度変化の前記一定計測時間毎の微分値とを用いて、前記被験者の感情を識別するように構成されている、
感情識別装置。 - 請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の感情識別装置であって、
前記取得部により取得された前記血流情報を、無線により送信するように構成された送信部(19)と、
前記送信部により送信された前記血流情報を受信するように構成された受信部(21)と、を更に備え、
前記識別部は、前記受信部から前記血流情報が入力されるように構成されている、
感情識別装置。
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