I.命名法
本発明の二重特異性抗体はいくつかの異なるフォーマットで列挙されている。当該技術分野で理解されるように、各ポリペプチドには固有の「XENP」番号が与えられるが、より長い配列はより短いものを含み得る。例えば、所与の配列についてのボトルオープナーフォーマットのscFv側単量体の重鎖は第1のXENP番号を有するが、scFvドメインは異なるXENP番号を有し得る。いくつかの分子は3つのポリペプチドを有し、そのため、構成要素を伴うXENP番号は、名前として使われる。したがって、ボトルオープナーフォーマットの分子XENPは、一般に「XENP23104-HC-Fab」、「XENP23104HC-scFv」および「XENP23104LC」と呼ばれる3つの配列または同等物を含むが、当業者であれば、配列アラインメントを通してこれらを容易に同定することができる。これらのXENP番号は、識別子と同様に配列表にあり、そして図において使用される。さらに、3つの構成要素を含む1つの分子は複数の配列識別子を生じさせる。例えば、Fab単量体のリストは全長配列、可変重鎖配列、および可変重鎖配列の3つのCDRを有し、軽鎖は全長配列、可変軽鎖配列、および可変軽鎖配列の3つのCDRを有し、scFv-Fcドメインは、全長配列、scFv配列、可変軽鎖配列、3つの軽鎖CDR、scFvリンカー、可変重鎖配列、および3つの重鎖CDRを有し、scFvドメインを有する本明細書中の全ての分子は単一の荷電scFvリンカー(+H)を使用するが、他のものも使用できることに留意されたい。さらに、特定の可変ドメインの命名法は、「Hx.xx_Ly.yy」タイプのフォーマットを使用し、数字は特定の可変鎖配列に対する固有の識別子である。したがって、(PD-1に連結する)XENP23104のscFv側の可変ドメインは「1G6_L1.194_H1.279」であり、これは可変重鎖ドメインH1.279が軽鎖ドメインL1.194と組み合されたことを示す。これらの配列がscFvとして使用される場合、「1G6_L1.194_H1.279」という表示は、可変重鎖ドメインH1.279が軽鎖ドメインL1.194と組み合わされており、N末端からC末端に向けてvl-リンカー-vh配向であることを示す。重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインの同一の配列を有するが逆の順序であるこの分子は、「1G6_H1.279_L1.194」と命名されるであろう。同様に、異なるコンストラクトは、配列表および図から明らかになるように、重鎖および軽鎖を「混合および適合させる」ことができる。
II.材料の取り込み
A.図および図説
参照により具体的に組み込まれるものは、USSN62/479,723からの図、図説および配列、ならびにUSSN15/623,314からの図、図説および配列である。さらに、USSN62/479,723からの特許請求の範囲がさらに具体的に組み込まれる。
B.配列
標的抗原:ヒトPD-1の配列(sp|Q15116)は、配列番号26226である。ヒトPD-1の細胞外ドメインの配列(sp|Q15116|21-170)は、配列番号26227である。Macaca fascicularisのPD-1の配列(tr|B0LAJ3)は、配列番号26228である。Macaca fascicularisのPD-1の細胞外ドメインの配列(予測)(tr|B0LAJ3|21-170)は、配列番号26229である。ヒトCTLA-4の配列(sp|P16410)は、配列番号26230である。ヒトCTLA-4の細胞外ドメインの配列(sp|P16410|36-161)は、配列番号26231である。Macaca fascicularisのCTLA-4の配列(tr|G7PL88)は、配列番号26232である。Macaca fascicularisのCTLA-4の細胞外ドメインの配列(予測)(tr|G7PL88)は、配列番号26233である。ヒトLAG-3の配列(sp|P18627)は、配列番号26234である。ヒトLAG-3の細胞外ドメインの配列(sp|P18627|29-450)は、配列番号26235である。Macaca fascicularisのLAG-3の配列(予測)(gi|544467815|ref|XP_005570011.1)は、配列番号26236である。Macaca fascicularisのLAG-3の細胞外ドメインの配列(予測)(gi|544467815|ref|XP_005570011.1|29-450)は、配列番号26237である。ヒトTIM-3の配列(sp|Q8TDQ0)は、配列番号26238である。ヒトTIM-3の細胞外ドメインの配列(sp|Q8TDQ0|22-202)は、配列番号26239である。Macaca fascicularisのTIM-3の配列(予測)(gi|355750365|gb|EHH54703.1)は、配列番号26240である。Macaca fascicularisのTIM-3の細胞外ドメインの配列(予測)(gi|355750365|gb|EHH54703.1|22-203)は、配列番号26241である。ヒトPD-L1の配列(sp|Q9NZQ7)は、配列番号26242である。ヒトPD-L1の細胞外ドメインの配列(sp|Q9NZQ7|19-238)は、配列番号26243である。Macaca fascicularisのPD-L1の配列(予測)(gb|XP_005581836.1)は、配列番号26244である。Macaca fascicularisのPD-L1の細胞外ドメインの配列(予測)(gb|XP_005581836.1|19-238)は、配列番号26245である。ヒトICOSの配列(sp|Q9Y6W8)は、配列番号26246である。ヒトICOSの細胞外ドメインの配列(sp|Q9Y6W8|21-140)は、配列番号26247である。macaca fascicularisのICOSの配列(gi|544477053|ref|XP_005574075.1)は、配列番号26248である。Macaca fascicularisのICOSの細胞外ドメインの配列(予測)(gi|544477053|ref|XP_005574075.1|21-140)は、配列番号26249である。ヒトGITRの配列(sp|Q9Y5U5)は、配列番号26250である。ヒトGITRの細胞外ドメインの配列(sp|Q9Y5U5|26-162)は、配列番号26251である。Macaca fascicularisのGITRの配列(予測)(ref|XP_005545180.1)は、配列番号26252である。Macaca fascicularisのGITRの細胞外ドメインの配列(予測)(ref|XP_005545180.1|26-162)は、配列番号26253である。ヒトOX40の配列(sp|P43489)は、配列番号26254である。ヒトOX40の細胞外ドメインの配列(sp|P43489|29-214)は、配列番号26255である。Macaca fascicularisのOX40の配列(予測)(ref|XP_005545179.1)は、配列番号26256である。Macaca fascicularisのOX40の細胞外ドメインの配列(予測)(ref|XP_005545179.1|29-214)は、配列番号26257である。ヒト4-1BBの配列(sp|Q07011)は、配列番号26258である。ヒト4-1BBの細胞外ドメイン(sp|Q07011|24-186)の配列は、配列番号26259である。Macaca fascicularisの4-1BBの配列(予測)(ref|XP_005544945.1)は、配列番号26260である。Macaca fascicularisの4-1BBの細胞外ドメインの配列(予測)(ref|XP_005544945.1|24-186)は、配列番号26261である。
ICOS連結ドメイン:さらに図19、図20A~20G、および図24に示される配列である配列番号27869~28086は、命名法で示されるように、いくつかのICOS Fab配列(重鎖VH1-CH1および軽鎖VL1-CL)を含む。CDRおよび可変接合間の接合についての言及は、USSN62/479,723の図40に示されている(参照により本明細書に組み入れられ、図説も同様である)が、当業者は配列表からもCDR(ナンバリングおよび/または配列アラインメントを通じて表1を参照)、および接合部(例えば、重鎖CH1は一般に「ASTK…」の配列で開始し、軽鎖定常ドメインは「RTVA…」で開始すること、を確認することができるであろう。命名法に示されるように、配列番号28087~28269は、「1アームのmAb」(図2N;Fab-Fc、Fcのみ、および軽鎖)の3つの配列を示す。CDRおよび可変接合間の接合についての言及は、USSN62/479,723の図41に示されている(参照により本明細書に組み入れられ、図説も同様である)が、当業者は配列表からもCDR(ナンバリングおよび/または配列アラインメントを通じて表1を参照)、および接合部(例えば、重鎖CH1は一般に「ASTK…」の配列で開始し、軽鎖定常ドメインは「RTVA…」で開始すること、を確認することができるであろう。追加の1アームのICOS分子は、図68A~68Gに示される。配列番号28549~28556は、同様にFvをICOS ABDとしても使用することができるいくつかの対照抗体(HCおよびLC)を示し、CDRおよび可変接合間の接合についての言及は、USSN62/479,723の図44に示されている(参照により本明細書に組み入れられ、図説も同様である)が、当業者は配列表からもCDR(ナンバリングおよび/または配列アラインメントを通じて表1を参照)、および接合部(例えば、重鎖CH1は一般に「ASTK…」の配列で開始し、軽鎖定常ドメインは「RTVA…」で開始すること、を確認することができるであろう。配列番号28557~28665は、本発明における組み合わせとして使用されるいくつかのICOS scFvを示し、CDRおよび可変接合間の接合についての言及は、USSN62/479,723の図45に示されている(参照により本明細書に組み入れられ、図説も同様である)が、当業者は配列表からもCDR(ナンバリングおよび/または配列アラインメントを通じて表1を参照)を確認することができ、scFvがvhとvlの間に荷電されたリンカー(GKPGS)4を使用するので、接合部を確認することができるであろう。このように、チェックポイントの受容体に対するABDと組み合わせて使用するのに適したICOS ABDは、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0_L0に示される。
さらに、適切なICOS×PD-1ボトルオープナー配列は、図3中のもの、およびUSSN62/479,723の図42および43(この両方は参照により本明細書に組み込まれ、同様にそれらの図説と配列も組み込まれる)に示される配列に対応する配列番号28270~28548中のものを含み、同様にCDR、接合部などを示すために3つの図を用いる。
III.概要
PD-1のような免疫の免疫調節阻害剤に対する治療用抗体は、癌治療のための診療所における限られた状況で非常に有望である。癌は、患者が癌性細胞を認識し排除する能力がないものと考えることができる。多くの場合、これらの形質転換した(例えば、癌性)細胞は、免疫監視に反作用する。体内でのT細胞活性化を制限して無制限なT細胞活性を予防する天然の制御機序が存在し、これを、癌性細胞が免疫応答を回避または抑制するために利用し得る。免疫エフェクター細胞、特にT細胞が癌を認識し排除する能力を回復させることが、免疫療法の目的である。「免疫療法」と称されることがある免疫腫瘍学の分野は、急速に進化しており、YERVOY(登録商標)、KEYTRUDA(登録商標)、およびOPDIVO(登録商標)等のT細胞チェックポイント阻害抗体が、いくつかの最近承認されたものである。これらの抗体は、それらがT細胞性免疫の通常は負の調節因子を遮断するため、一般に「チェックポイント阻害剤」と称される。共刺激性と共抑制性の両方の種々の免疫調節シグナルを使用して、最適な抗原特異的免疫応答を統合することができると一般に理解されている。
チェックポイント阻害剤モノクローナル抗体は、通常の状況下では細胞傷害性T細胞(CTL)の活性化を予防または抑制する、PD-1のような免疫調節阻害剤タンパク質に連結する。免疫調節タンパク質を、例えば、これらのタンパク質に連結する抗体の使用を介して、阻害することにより、腫瘍に対する増加したT細胞応答を達成することができる。つまり、これらのがん免疫調節タンパク質は免疫応答を抑制し、このタンパク質が、例えば免疫調節タンパク質に対する抗体を使用して遮断されるとき、免疫系が活性化され、免疫刺激を誘導し、その結果、癌および感染性疾患等の状態の治療をもたらす。PD-1タンパク質またはその連結パートナー、PD-L1のいずれかに対する抗体はT細胞活性化を誘導する。
患者の免疫系を利用して疾患と闘うことに対する現在の別の関心分野は、ICOS(誘導性T細胞共刺激剤、CD278とも呼ばれる)のような共刺激タンパク質に連結するアゴニスト抗体を用いたT細胞の共刺激を含み、これはT細胞上の免疫チェックポイントタンパク質の負のシグナル伝達を克服するために正のシグナルを加える。ICOSは、細胞外(Ig)V様ドメインを含むI型膜貫通タンパク質であり、そしてB7h共刺激分子の受容体として機能する。
最近の研究は、いくつかの腫瘍浸潤リンパ球(TIL)がPD-1とICOSを共発現することを示している(Gros,J.Clinical Invest.124(5):2246(2014)を参照)。
2つの異なる標的に同時に連結することができる二重特異性抗体は、TIL対末梢T細胞の標的化の選択性を向上させる可能性をもたらしながら、同時に治療費用をもまた削減する。細胞表面上の2つの標的と抗体との二価の相互作用は、場合によっては、一度に1つの標的との一価の相互作用と比較してより高い連結親和性をもたらすはずである。このため、通常の二価抗体は細胞表面上のそれらの標的に対して高い連結親和性を有する傾向がある。二重特異性抗体では、両方の標的への同時連結によってもたらされるより高い親和性を利用して、2つの異なる標的を同時に発現する細胞に対してより高い選択性を生み出す可能性が存在する。
したがって、本発明は、2つの抗原を発現する細胞に連結する二重特異性免疫調節抗体、ならびにT細胞および/またはNK細胞を活性化して癌および感染症などの疾患、および免疫活性の増加が治療をもたらす他の状態を治療する方法を提供する。
したがって、本発明は、ある場合には、単一細胞上の2つの異なる免疫調節分子(一方はチェックポイント受容体および他方は共刺激受容体)に連結する二重特異性抗体を提供すること、ならびに有利にも単一の治療物質のみの投与を必要とすることによって毒性および複数抗体投与の費用の問題を解決することに関する。
二重特異性抗体は、1分子内で、免疫免疫調節遮断を共刺激と組み合わせる機会を提供する。しかしながら、免疫の免疫調節と共刺激タンパク質のどの組み合わせ、またはどの連結化学量論(一価+一価、一価+二価など)が有効であるかは明らかではない。ここで本願発明者らは共刺激タンパク質(ICOSなど)に一価連結し、かつチェックポイント受容体(PD-1など)に一価連結し、堅牢なT細胞活性化を誘導することができる二重特異性抗体を同定する。
驚くべきことに、従来の知識では一価抗体はアゴニズムを生じないと述べているが、本研究は、本発明の一価二重特異性抗体によるICOS受容体アゴニズムの予想外の結果を示す。Merchant et al.,PNAS July 23 2013 E2987-E2996「[w]hile initial screening of bivalent antibodies produced agonists of MET,engineering them into monovalent antibodies produces antagonists instead.」を参照されたい。ICOSへの一価の連結のみによるこの肯定的な結果は、シグナル伝達を誘発するために細胞表面上に必要なレベルの受容体クラスタリングを提供する少なくとも共刺激タンパク質への二価の連結が必要であると考えられるために予想外である。Fos et al.,J.Immunol.2008:1969-1977によって示されるように、ICOS連結はAKTリン酸化を誘導する。ここでの研究は、ICOSアゴニズムの指標としてAKTリン酸化を使用し、そしてこの効果は、「1アームICOS」(実施例5A(a)参照)とICOSに一価連結する二重特異性抗体の両方について見られる。実施例7および図70に示されるように、ICOSに一価でのみ連結する1アームXENP20266は、ICOSに二価で連結するXENP16435(例えば、従来のmAb)よりも多くのAKTリン酸化を促進する。
したがって、本発明は、チェックポイント受容体およびヒトICOSへの連結を可能にするヘテロ二量体二重特異性抗体を提供するための新規コンストラクトに関する。
一般に、これらの二重特異性抗体は「抗PD-1×抗ICOS」と呼ばれるか、または一般に単純にまたは簡単のために(したがって交換可能に)各対について「PD-1×ICOS」などと命名される。
本発明のヘテロ二量体二重特異性免疫調節抗体は、様々な種類の癌を治療するのに有用である。当業者には理解されるように、腫瘍抗原に連結する従来のモノクローナル抗体、または例えばCD3および腫瘍抗原に連結するより新しいクラスの二重特異性抗体(例えばUSSN15/141,350に記載されるような)とは対照的に、免疫調節抗体が、免疫応答を高めるために使用されるが、それらは一般的にその作用において腫瘍特異的ではない。すなわち、本発明の二重特異性免疫調節抗体は免疫系の抑制を阻害し、一般にT細胞活性化を導き、それは次に癌性細胞に対するより大きな免疫応答、したがって治療を導く。
以下に論じるように、T細胞活性化を測定することができる様々な方法がある。NK細胞およびT細胞に対する二重特異性免疫調節抗体の機能的効果は、以下のパラメーター:増殖、サイトカイン放出および細胞表面マーカーの変化を測定することによってインビトロ(および場合によってはインビボ)で評価することができる。NK細胞に関して、細胞増殖、細胞傷害性(CD107a、グランザイム、およびパーフォリン発現の増加によって測定されるように、または標的細胞の死滅を直接測定することによって測定される標的細胞を死滅させる能力)、サイトカイン産生(例えば、IFN-γおよびTNF)、ならびに細胞表面受容体の発現(例えばCD25)における増加は、免疫調節、例えば、癌細胞の死滅の増強の指標となる。T細胞に関して、増殖の増加、活性化の細胞表面マーカー(例えば、CD25、CD69、CD137、およびPD1)、細胞傷害性(標的細胞を殺傷する能力)、ならびにサイトカイン産生(例えば、IL-2、IL-4、IL-6、IFN、TNF-α、IL-10、IL-17A)における増加は、免疫調節、例えば、癌細胞の死滅の増強の指標となる。したがって、治療の評価は、以下のうちの1つ以上を評価するアッセイを使用して実施することができる:(i)免疫応答を増加させること、(ii)αβおよび/またはγδのT細胞の活性化を増加させること、(iii)細胞傷害性T細胞活性を増加させること、(iv)NKおよび/またはNKT細胞活性を増加させること、(v)αβおよび/またはγδのT細胞抑制を軽減させること、(vi)炎症促進性サイトカイン分泌を増加させること、(vii)IL-2分泌を増加させること、(viii)インターフェロン-γ産生を増加させること、(ix)Th1応答を増加させること、(x)Th2応答を減少させること、(xi)制御性T細胞の少なくとも1つの細胞数および/または活性を減少させるかまたは排除すること、(xii)IL-2分泌を増加させること。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、それを必要とする対象において以下のうちの1つ以上を実施するための二重特異性免疫調節抗体の使用を提供する:(a)炎症促進性サイトカインを上方制御すること、(b)T細胞の増殖および/または増加を増加させること、(c)T細胞によるインターフェロン-γまたはTNF-α産生を増加させること、(d)IL-2分泌を増加させること、(e)抗体応答を刺激すること、(f)癌細胞増殖を阻害すること、(g)抗原特異的T細胞免疫を促進すること、(h)CD4+および/またはCD8+T細胞活性化を促進すること、(i)T細胞抑制を軽減すること、(j)NK細胞活性を促進すること、(k)癌細胞のアポトーシスまたは溶解を促進すること、および/または(l)癌細胞に対する細胞傷害性または細胞増殖抑制性の効果。
したがって、本発明は二重特異性免疫調節抗体を提供する。概して図2に示すような、本発明において用いることができるいくつかのフォーマットが存在し、その多くが(全てではないが例えばDVD-Igのような)ヘテロ二量体である。
ヘテロ二量体抗体コンストラクトは、例えば、「二量体」に集合する2つの「単量体」のような、抗体の重鎖の2つのFcドメインの自己集合性に基づく。ヘテロ二量体抗体は、以下により十分に議論されるように各単量体のアミノ酸配列を改変することによって作製される。したがって、本発明は一般に、ヘテロ二量体形成を促進するためにおよび/または、ホモ二量体からのヘテロ二量体の容易な精製を可能にするために各鎖上で異なる定常領域中のアミノ酸変異に依存する、いくつかの方法で2つの抗原に共連結することができるヘテロ二量体抗体の作製に関する。
したがって、本発明は二重特異性免疫調節抗体を提供する。抗体技術において進行中の問題は、2つ(またはそれ以上)の異なる抗原に同時に連結する「二重特異性」抗体に対する要求であり、それにより一般に異なる抗原を接近させそして新しい機能性および新しい治療法をもたらす。一般に、これらの抗体は、各重鎖および軽鎖に対する遺伝子を宿主細胞に含めることによって作製される(一般に、本発明においては、本明細書に概説するように2つの重鎖単量体および軽鎖に対する遺伝子)。これは一般に、所望のヘテロ二量体(A-B)、ならびに2つのホモ二量体(A-AおよびB-B)の形成をもたらす。しかしながら、二重特異性抗体の形成における主な障害は、ホモ二量体抗体からヘテロ二量体抗体を精製すること、および/またはホモ二量体の形成よりもヘテロ二量体の形成に偏らせることが困難であることである。
この問題を解決するために、本発明のヘテロ二量体を生成するために使用することができるいくつかの機構がある。さらに、当業者には理解されるように、これらの機構を組み合わせて高いヘテロ二量体化を確実にすることができる。したがって、ヘテロ二量体抗体の産生をもたらすアミノ酸変異は、「ヘテロ二量体化変異」と呼ばれる。後述するように、ヘテロ二量体化変異は、ヘテロ二量体からのホモ二量体の精製を可能にする立体変異(例えば、後述の「ノブアンドホール」または「スキュー」変異および「電荷対」変異)ならびに「pI変異」を含み得る。
1つの機構は、当該技術分野において一般的に「ノブアンドホール」(「KIH」)またはしばしば本明細書において「スキュー」変異と呼ばれ、ヘテロ二量体形成を有利にし、ホモ二量体形成を不利にする立体効果をもたらすアミノ酸工学を指し、任意で使用することもでき、これはしばしば、「ノブアンドホール」と呼ばれ、Ridgway et al.,Protein Engineering 9(7):617(1996)、Atwell et al.,J.Mol.Biol.1997270:26、米国特許第8,216,805号、US2012/0149876に記載されるようなものであり、これらの全ては参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの図は、「ノブアンドホール」のアミノ酸置換を含むいくつかの「単量体A-単量体B」対を特定する。さらに、Merchant et al.,Nature Biotech.16:677(1998)に記載されているように、これらの「ノブアンドホール」変異は、ヘテロ二量体化に対するスキュー形成のためのジスルフィド連結と組み合わせることができる。T366Wと対をなすT366S/L368A/Y407V、ならびに架橋ジスルフィドを有するこの変異である、T366W/S354Cと対をなすT366S/L368A/Y407V/Y349Cは、以下に概説するように、特にpI変異を含む他のヘテロ二量体化変異と組み合わせて、本発明において有用である。
ヘテロ二量体抗体の生成に使用されるさらなる機構は、参照によりその全てが本明細書に組み込まれるGunasekaran et al.,J.Biol.Chem.285(25):19637(2010)に記載されているように、しばしば「静電ステアリング」または「電荷対」と呼ばれる。これは、本明細書において、しばしば「電荷対」と呼ばれる。この実施形態では、静電学を使用して、ヘテロ二量体化に向けて形成をスキューさせる。当業者には理解されるように、これらはまた、pI、したがって精製に影響を及ぼす可能性があり、したがって場合によってはpI変異と見なすこともできる。しかしながら、これらはヘテロ二量体化を強制するために生成され、精製手段として使用されなかったので、それらは「立体変異」として分類される。これらには、D221R/P228R/K409Rと対になったD221E/P228E/L368E(例えば、これらは「単量体の対応セット」である)、およびC220R/E224R/P228R/K409Rと対になったC220E/P228E/368E、ならびに図に示される他のものが含まれるがこれらに限定されない。
本発明において、いくつかの実施形態では、pI変異を使用して、単量体の一方または両方のpIを改変し、したがってA-A、A-BおよびB-B二量体タンパク質の等電点精製を可能にする。
本発明において、ヘテロ二量体タンパク質の精製を容易にすることができるいくつかの基本的な機構が存在し、一つはpI変異の使用に依存し、各単量体が異なるpIを有するようになり、AA、ABおよびBB二量体タンパク質の等電点精製が可能になる。代替的に、「トリプルF」または「ボトルオープナー」フォーマットなどのいくつかの足場フォーマットもまた、サイズに基づく分離を可能にする。以下にさらに概説するように、ホモ二量体よりもヘテロ二量体の形成を「スキューする」ことも可能である。したがって、立体的ヘテロ二量体化変異とpIまたは電荷対変異の組み合わせは、本発明において特に使用される。さらに、以下により完全に概説されるように、トリプルFフォーマットなどのscFvを利用する足場は、精製目的のためのさらなるpIブーストを与える荷電scFvリンカー(陽性または陰性のいずれか)を含み得る。当業者には理解されるように、本発明は、同様に荷電scFvリンカー(ならびに本明細書で論じられるFc、FcRn、およびKO変異の組み合わせ)を有するスキュー変異の使用も提供するが、いくつかのトリプルFフォーマットは、単に荷電scFvリンカーを用い、さらなるpI調整を用いない場合にも有用である。
ヘテロ二量体タンパク質の精製を可能にするための分離機構としてpIを利用する本発明においては、アミノ酸変異を一方または両方の単量体のポリペプチドに導入することができ、すなわち、単量体の一方(本明細書では簡単のために「単量体A」と呼ぶ)のpIを単量体Bと異なるように改変でき、または、単量体AとBの両方の変化を、単量体AのpIを増加させ、単量体BのpIを減少させるように改変できる。下記により完全に概説されるように、いずれかまたは両方の単量体のpI変化は、荷電残基を除去または付加することによって(例えば中性アミノ酸を正または負に荷電したアミノ酸残基で置換する、例えばグリシンからグルタミン酸)、正または負から反対の電荷への荷電残基の変更によって(アスパラギン酸からリジンへ)、または荷電残基の中性残基への変更によって(例えば電荷の消失、リジンからセリン)、実施することができる。いくつかのこれらの変異を図に示す。さらに、本明細書におけるヘテロ二量体抗体の作製に使用するのに適したpI変異は、アイソタイプであるもの、例えば顕著な免疫原性を導入することなくpIが変化するように異なるIgGアイソタイプからのpI変異を移入するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/288275号の図29を参照されたい。
したがって、本発明のこの実施形態では、ヘテロ二量体をホモ二量体から分離することができるように、少なくとも1つの単量体に十分なpIの変化を生じさせることを提供する。当業者には理解されるように、そして以下にさらに論じるように、これは、「野生型」重鎖定常領域およびそのpI(wtA-+BまたはwtA--B)を増加または減少させるように操作された変異領域を使用することによって、または一方の領域を増加して他方の領域を減少させることによって(A+-B-またはA-B+)、実施できる。
したがって、一般に、本発明のいくつかの実施形態の構成要素は、二量体タンパク質の単量体の両方ではないにしても少なくとも1つの等電点(pI)を、アミノ酸置換(「pI変異」または「pI置換」)を単量体の一方または両方に組み込むことによって変化させて「pIヘテロ二量体」(タンパク質が抗体であるとき、これらは「pI抗体」と呼ばれる)を形成することを目的とする抗体の定常領域におけるアミノ酸変異である。本明細書中に示されるように、2つのホモ二量体からのヘテロ二量体の分離は、2つの単量体のpIが0.1pH単位とわずかに異なる場合に達成でき、0.2、0.3、0.4、および0.5以上異なるものが全て本発明において使用される。
当業者には理解されるように、良好な分離を得るために各単量体または両方の単量体に含まれるべきpI変異の数は、目的のscFvおよびFabの出発pIに部分的に依存するであろう。すなわち、どの単量体を操作するか、またはどの「方向」(例えば、より陽性またはより陰性)かを決定するために、2つの標的抗原のFv配列が計算され、そしてそこから決定がなされる。当該技術分野において知られているように、異なるFvは、本発明において利用される異なる出発pIを有するであろう。概して、本明細書に概説されるように、pIは、少なくとも約0.1logの各単量体の総pIの差異を生じるように操作され、本明細書に概説されるように0.2~0.5が好ましい。さらに、当業者には理解され、本明細書に概説されるように、場合によっては(フォーマットに応じて)、ヘテロ二量体はサイズ(例えば分子量)に基づいてホモ二量体から分離することができる。例えば、図2のいくつかの実施形態に示されるように、いくつかのフォーマットは、異なるサイズのホモ二量体およびヘテロ二量体をもたらす(例えば、ボトルオープナーに関して、一つのホモ二量体は、「デュアルscFv」フォーマットであり、1つのホモ二量体は、標準的な抗体であり、そしてヘテロ二量体は、一つのFabと一つのscFvを有する)。
重鎖の定常領域を使用することによって、ホモ二量体を上回って精製されたヘテロ二量体を達成するためにpI変異が使用される場合、抗体を含む多重特異性タンパク質を設計および精製するためのよりモジュール方式のアプローチが提供される。したがって、いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体化変異(スキューおよび精製ヘテロ二量体化変異を含む)は可変領域に含まれず、そのため各個々の抗体を操作しなければならない。さらに、いくつかの実施形態において、pI変異から生じる免疫原性の可能性は、顕著な免疫原性を導入することなくpIが変化するように、異なるIgGアイソタイプからのpI変異を移入することによって顕著に低下する。したがって、解決されるべきさらなる問題は、高いヒト配列含有量を有する低pIの定常ドメインの解明、例えば、任意の特定の位置における非ヒト残基の最小化または回避である。
このpI工学で起こり得る副次的な利益はまた、血清半減期の延長およびFcRn連結の増加である。すなわち、USSN13/194,904(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、抗体定常ドメイン(抗体およびFc融合体に見られるものを含む)のpIを低下させるとインビボでより長い血清保持をもたらし得る。血清半減期を延長するためのこれらのpI変異はまた、精製のためのpI変化を促進する。
さらに、ヘテロ二量体化変異のpI変異は、ホモ二量体が存在するときを排除、最小化、および区別する能力が顕著であるので、二重特異性抗体の分析および品質管理プロセスにさらなる利益を与える。同様に、ヘテロ二量体タンパク質産生の再現性を確実に試験する能力は重要である。
本発明の第1および第2の抗原は、本明細書においてそれぞれ抗原-1および抗原-2と呼ばれ、一方は共刺激受容体であり、他方はチェックポイント受容体である。本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、「トリプルf」または「ボトルオープナー」の足場フォーマットである。この実施形態では、抗体の一方の重鎖は単鎖fv(以下に定義されるように「scfv」)を含み、他方の重鎖は可変重鎖および軽鎖を含む「通常の」fabフォーマットである。この構造は、しばしばボトルオープナーへのおおまかな類似性(図2参照)のために、「トリプルf」フォーマット(scfv-fab-fc)または「ボトルオープナー」フォーマットと呼ばれる。2つの鎖は、以下により十分に記載されるように、ヘテロ二量体抗体の形成を促進する定常領域(例えば、Fcドメインおよび/またはヒンジ領域)におけるアミノ酸変異の使用によって一緒にされる。
現在の「トリプルF」フォーマットにはいくつかの明確な利点が存在する。当該技術分野で知られているように、2つのscFvコンストラクトに依存する抗体類似体はしばしば安定性および凝集の問題を有し、それは本発明において「通常の」重鎖および軽鎖の対形成の付加により軽減できる。さらに、2つの重鎖と2つの軽鎖に依存するフォーマットとは対照的に、重鎖と軽鎖の誤った対形成(例えば、軽鎖2と対形成する重鎖1など)の問題が存在しない。
さらに、本明細書に概説されるように、さらなる機能性を付加するために、さらなるアミノ酸変異が本発明の二重特異性抗体に導入され得る。例えば、Fc領域内にアミノ酸変化を付加し(一方の単量体または両方に)、得られる分子の、ADCCまたはCDCの増加(例えば、Fcγ受容体への連結の変化)を促進し、ならびにFcRnへの連結を増加および/または血清半減期を増加させることができる。本明細書にさらに記載されるように、そして当業者によって理解されるように、本明細書に概説される変異のうちのいずれかおよび全ては、任意にかつ独立して他の変異と組み合わせることができる。
同様に、機能的変異の別のカテゴリーは「Fcγ除去変異」または「Fcノックアウト(FcKOまたはKO)変異である。これらの実施形態では、いくつかの治療用途のために、さらなる作用機序を回避するために、1つ以上または全てのFcγ受容体(例えば、FcγR1、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIaなど)へのFcドメインの正常な連結を低減または除去することが望ましい。すなわち、例えば、FCγRIIIa連結を除去してADCC活性を排除または顕著に低下させることが一般に望ましい。適切な除去変異は、図6に示される。
IV.定義
本発明をより完全に理解できるようにするため、いくつかの定義を以下に示す。かかる定義は、文法的同等物を包含することを意図する。
本明細書において「除去」とは、活性の低下または除去を意味する。したがって、例えば、「FcγR連結を除去する」とは、Fc領域アミノ酸変異が、その特定の変異を含まないFc領域と比較して50%未満の出発連結を有することを意味し、70-80-90-95-98%未満の活性喪失が好ましく、一般に、活性はBIACORE(登録商標)アッセイにおいて検出可能な活性のレベル未満である。FcγR連結の除去において特に有用なものを、図6に示す。
本明細書で使用される「ADCC」または「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」とは、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の連結抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介反応を意味する。ADCCは、FcγRIIIaへの連結と相関し、FcγRIIIaへの連結の増加はADCC活性の増加をもたらす。本明細書で論じるように、本発明の多くの実施形態はADCC活性を完全に除去する。
本明細書で用いられる「ADCP」または抗体依存性細胞媒介食作用とは、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の連結抗体を認識し、続いて標的細胞の食作用を引き起こす細胞媒介反応を意味する。
本明細書において「抗原連結ドメイン」または「ABD」とは、ポリペプチド配列の一部として存在する場合、本明細書で考察されるような標的抗原に特異的に連結する6つの相補性決定領域(CDR)のセットを意味する。したがって、「免疫調節抗原連結ドメイン」は、本明細書に概説されるように標的免疫調節抗原に連結する。当該技術分野で知られているように、これらのCDRは、可変重鎖CDR(vhCDRまたはVHCDR)の第1のセットおよび可変軽鎖CDRの第2のセット(vlCDRまたはVLCDR)として一般に存在し、各々が3つのCDR、即ち重鎖についてvhCDR1、vhCDR2、vhCDR3、軽鎖についてvlCDR1、vlCDR2およびvlCDR3を含む。CDRは、可変重鎖および可変軽鎖ドメインにそれぞれ存在し、一緒になってFv領域を形成する。したがって、場合によっては、抗原連結ドメインの6つのCDRには、可変重鎖および可変軽鎖が寄与する。「Fab」フォーマットにおいて、6つのCDRのセットには、2つの異なるポリペプチド配列、即ち可変重鎖ドメイン(vhまたはVH、vhCDR1、vhCDR2およびvhCDR3を含む)および可変軽鎖ドメイン(vlまたはVL、vlCDR1、vlCDR2およびvlCDR3を含む)が寄与し、このうちvhドメインのC末端が重鎖のCH1ドメインのN末端に連結し、vlドメインのC末端が定常軽鎖ドメインのN末端に連結している(したがって、軽鎖を形成する)。scFvフォーマットでは、vhおよびvlドメインは、一般に本明細書に概説されているようなリンカーの使用によって、単一のポリペプチド配列に共有連結され、それは(N末端から開始して)vh-リンカー-vlまたはvl-リンカー-vhのいずれかであり得、前者が一般的に好まれる(使用されるフォーマットに応じて、両側の任意のドメインリンカーを含む。
本明細書における「修飾」とは、ポリペプチド配列におけるアミノ酸の置換、挿入、および/もしくは欠失、またはタンパク質に化学的に連結された部分に対する改変を意味する。例えば、改変は、タンパク質に連結した改変された炭水化物またはPEG構造であってもよい。本明細書における「アミノ酸修飾」は、ポリペプチド配列中のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を意味する。明確にするために、特に明記しない限り、アミノ酸修飾は常に、DNAによってコードされるアミノ酸、例えばDNAおよびRNA中にコドンを有する20個のアミノ酸に対するものである。
本明細書における「アミノ酸置換」または「置換」は、親ポリペプチド配列中の特定の位置のアミノ酸を異なるアミノ酸で置換することを意味する。特に、いくつかの実施形態では、置換は、特定の位置で天然に存在しない(生物内で天然に存在しないか、またはいずれの生物中にも存在しない)アミノ酸に対するものである。例えば、置換E272Yは、272位のグルタミン酸がチロシンで置換されている変異型ポリペプチド、この場合はFc変異を指す。明確にするために、核酸コード配列を変化させるが、出発アミノ酸を変化させない(例えば、宿主生物発現レベルを上昇させるためにCGG(アルギニンをコードする)をCGA(アルギニンをなおコードする)に交換する)ように操作されたタンパク質は、「アミノ酸置換」ではない。即ち、同じタンパク質をコードする新たな遺伝子の創出にもかかわらず、タンパク質は、それが開始する特定の位置に同じアミノ酸を有する場合、それはアミノ酸置換ではない。
「アミノ酸挿入」または「挿入」は、本明細書で使用されるとき、親ポリペプチド配列の特定の位置にアミノ酸配列を付加することを意味する。例えば、-233Eまたは233Eは、233位の後、かつ234位の前のグルタミン酸の挿入を示す。さらに、-233ADEまたはA233ADEは、233位の後、かつ234位の前のAlaAspGluの挿入を示す。
「アミノ酸欠失」または「欠失」は、本明細書で使用されるとき、親ポリペプチド配列中の特定の位置でアミノ酸配列を除去することを意味する。例えば、E233-またはE233#、E233()またはE233delは、233位のグルタミン酸の欠失を示す。さらに、EDA233-またはEDA233#は、233位で始まる配列GluAspAlaの欠失を示す。
本明細書で使用される「変異型タンパク質」または「タンパク質変異体」または「変異体」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾に基づいて親タンパク質のそれとは異なるタンパク質を意味する。タンパク質変異体は、タンパク質自体、タンパク質を含む組成物、またはそれをコードするアミノ配列を指し得る。好ましくは、タンパク質変異体は、親タンパク質と比較して少なくとも1つのアミノ酸修飾、例えば、親と比較して約1~約70個のアミノ酸修飾、好ましくは約1~約5個のアミノ酸修飾を有する。以下に記載するように、いくつかの実施形態では、親ポリペプチド、例えばFc親ポリペプチドは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4由来のFc領域等のヒト野生型配列であるが、変異を有するヒト配列もまた、「親ポリペプチド」としての役割を果たすことができ、例えば、IgG1/2ハイブリッドを含めることができる。本明細書のタンパク質変異体の配列は、好ましくは、親タンパク質配列と少なくとも約80%の同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の同一性、より好ましくは少なくとも約95-98-99%の同一性を有する。変異型タンパク質は、変異型タンパク質それ自体、タンパク質変異を含む組成物、またはそれをコードするDNA配列を指すことができる。
したがって、本明細書で使用される「抗体変異体」または「変異型抗体」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾に基づいて親抗体とは異なる抗体を意味し、本明細書で使用される「IgG変異体」または「変異型IgG」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾に基づいて親IgG(ここでも、多くの場合はヒトIgGに由来)とは異なる抗体を意味し、本明細書で使用される「免疫グロブリン変異体」または「変異型免疫グロブリン」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾に基づいて親免疫グロブリン配列のそれとは異なる免疫グロブリン配列を意味する。本明細書で使用される「Fc変異体」または「変異型Fc」は、Fcドメインにアミノ酸修飾を含むタンパク質を意味する。本発明のFc変異は、それらを構成するアミノ酸修飾に従って定義される。したがって、例えば、N434Sまたは434Sは、親Fcポリペプチドに対して434位に置換セリンを有するFc変異であり、ここでナンバリングはEUインデックスに従う。同様に、M428L/N434Sは、親Fcポリペプチドに対して置換M428LおよびN434Sを有するFc変異を定義する。WTアミノ酸の同一性は特定されていなくてもよく、その場合、前述の変異は428L/434Sと呼ばれる。置換が提供される順序は任意であり、すなわち、例えば428L/434SはM428L/N434Sと同一のFc変異などである。抗体に関連する本発明において論じられる全ての位置について、特に明記しない限り、アミノ酸位置のナンバリングはEUインデックスに従う。EUインデックス、またはKabatもしくはEUナンバリングスキームと同様のEUインデックスは、EU抗体のナンバリングを指す(Edelman et al.,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78-85、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。修飾は、付加、欠失、または置換であり得る。置換には、天然に存在するアミノ酸および場合によっては合成アミノ酸が含まれ得る。例としては、米国特許第6,586,207号、WO98/48032、WO03/073238、US2004-0214988A1、WO05/35727A2、WO05/74524A2、J.W.Chin et al.,(2002),Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027、J.W.Chin,& P.G.Schultz,(2002),ChemBioChem 11:1135-1137、J.W.Chin,et al.,(2002),PICAS United States of America 99:11020-11024、およびL.Wang,& P.G.Schultz,(2002),Chem.1-10が含まれ、全て参照によりその全体が組み込まれる。
本明細書で使用されるとき、本明細書における「タンパク質」は、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、およびペプチドを含む、少なくとも2つの共有連結したアミノ酸を意味する。ペプチジル基は、天然に存在するアミノ酸およびペプチド連結、または合成ペプチド模倣構造、即ち、ペプトイド(全体が参照により組み込まれるSimon et al.,PNAS USA 89(20):9367(1992)を参照)等の「類似体」を含んでもよい。アミノ酸は、当業者には理解されようが、天然に存在するものでも合成物(例えば、DNAによってコードされるアミノ酸ではないもの)でもよい。例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリン、オルニチン、およびノレオロイシンは、本発明の目的では合成アミノ酸と考えられ、D-とL-(RまたはS)の立体配置のアミノ酸の両方を利用することができる。本発明の変異は、例えば、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、Cropp & Shultz,2004,Trends Genet.20(12):625-30、Anderson et al.,2004,Proc Natl Acad Sci USA 101(2):7566-71、Zhang et al.,2003,303(5656):371-3、およびChin et al.,2003,Science 301(5635):964-7によって記載される方法を含むがこれらに限定されない、Schultzおよび同僚によって開発された技術を用いる組み込まれた合成アミノ酸の使用を含む修飾を含み得る。さらに、ポリペプチドには、1つ以上の側鎖または末端の合成誘導体化、グリコシル化、PEG化、循環配列、環化、他の分子へのリンカー、タンパク質またはタンパク質ドメインへの融合、およびペプチドタグまたは標識の付加が含まれ得る。
「残基」とは、本明細書で使用されるとき、タンパク質における位置およびその関連するアミノ酸同一性を意味する。例えば、アスパラギン297(Asn297またはN297とも称される)は、ヒト抗体IgG1中の297位の残基である。
本明細書で使用されるとき、「Fab」または「Fab領域」とは、VH、CH1、VL、およびCL免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドを意味する。Fabは、単離におけるこの領域、または、全長抗体に関連するこの領域、抗体断片、またはFab融合タンパク質を指し得る。
「Fv」または「Fv断片」または「Fv領域」は、本明細書で使用されるとき、単一ABDのVLおよびVHドメインを含むポリペプチドを意味する。当業者には理解されるように、これらは一般に、2つの鎖で構成されているか、または組み合わさって(一般に、本明細書で論じられるようなリンカーによって)、scFvを形成することができる。場合によっては、例えば「中心-Fv」および「DVD-Ig」フォーマットでは、scFvとして機能する「追加の」vhおよびvlドメインが付加されるが、vhドメインとvlドメインはscFvリンカーを使用して連結されない。
本明細書における「単一鎖Fv」または「scFv」は、一般に本明細書で考察されるようなscFvリンカーを使用して可変軽鎖ドメインに共有連結し、scFvまたはscFvドメインを形成する、可変重鎖ドメインを意味する。scFvドメインは、N末端からC末端(vh-リンカー-vlまたはvl-リンカー-vh)のいずれの配向にもあり得る。
本明細書で使用されるとき、「IgGサブクラス修飾」または「アイソタイプ修飾」とは、1つのIgGアイソタイプの1つのアミノ酸を、異なる、整合したIgGアイソタイプの対応するアミノ酸に変換するアミノ酸修飾を意味する。例えば、EU位置296においてIgG1はチロシンを含み、IgG2はフェニルアラニンを含むので、IgG2におけるF296Y置換は、IgGサブクラス修飾であると考えられる。
本明細書で使用されるとき、「天然に存在しない修飾」とは、アイソタイプではないアミノ酸修飾を意味する。例えば、IgGのうちのいずれも434位にセリンを含まないので、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4(またはそれらのハイブリッド)における置換434Sは、天然に存在しない修飾であると見なされる。
本明細書で使用されるとき、「アミノ酸」および「アミノ酸同一性」は、DNAおよびRNAによってコードされている20種の天然に存在するアミノ酸のうちの1つを意味する。
本明細書で使用されるとき、「エフェクター機能」とは、抗体Fc領域とFc受容体またはリガンドとの相互作用から生じる生化学的事象を意味する。エフェクター機能には、ADCC、ADCP、およびCDCが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるとき、「IgG Fcリガンド」とは、IgG抗体のFc領域に連結してFc/Fcリガンド複合体を形成する任意の生物由来の分子、好ましくはポリペプチドを意味する。Fcリガンドには、FcγRI、FcγRII、FcγRIII、FcRn、C1q、C3、マンナン連結レクチン、マンノース受容体、staphylococcalプロテインA、streptococcalプロテインG、およびウイルスFcγRが含まれるが、これらに限定されない。Fcリガンドにはまた、FcγRと相同であるFc受容体のファミリーである、Fc受容体ホモログ(FcRH)が含まれる(Davis et al.,2002,Immunological Reviews 190:123-136、参照により全体が組み込まれる)。Fcリガンドは、Fcに連結する未発見の分子を含み得る。特定のIgG Fcリガンドは、FcRnおよびFcガンマ受容体である。本明細書で使用されるとき、「Fcリガンド」とは、抗体のFc領域に連結してFc/Fcリガンド複合体を形成する任意の生物由来の分子、好ましくはポリペプチドを意味する。
本明細書で使用されるとき、「Fcガンマ受容体」、「FcγR」、または「FcガンマR」とは、IgG抗体Fc領域に連結し、かつFcγR遺伝子によってコードされるタンパク質ファミリーの任意のメンバーを意味する。ヒトにおいて、このファミリーには、アイソフォームであるFcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含むFcγRI(CD64);アイソフォームであるFcγRIIa(アロタイプであるH131およびR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb-1およびFcγRIIb-2を含む)、ならびにFcγRIIcを含むFcγRII(CD32);ならびにアイソフォームであるFcγRIIIa(アロタイプであるV158およびF158を含む)、ならびにFcγRIIIb(アロタイプであるFcγRIIb-NA1およびFcγRIIb-NA2を含む)を含むFcγRIII(CD16)(参照により全体が組み込まれるJefferis et al.,2002,Immunol Lett 82:57-65)、ならびに任意の発見されていないヒトFcγRまたはFcγRアイソフォームもしくはアロタイプが含まれるが、これらに限定されない。FcγRは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含むが、これらに限定されない任意の生物由来であり得る。マウスFcγRには、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII-1(CD16)、およびFcγRIII-2(CD16-2)、ならびに任意の発見されていないマウスFcγRまたはFcγRアイソフォームもしくはアロタイプが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「FcRn」または「新生児Fc受容体」とは、IgG抗体のFc領域に連結し、少なくとも部分的にFcRn遺伝子によってコードされるタンパク質を意味する。FcRnは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含むが、これらに限定されない任意の生物由来であり得る。当該技術分野において公知のように、機能的FcRnタンパク質は、しばしば重鎖および軽鎖と呼ばれる2つのポリペプチドを含む。軽鎖はβ-2-ミクログロブリンであり、重鎖はFcRn遺伝子によってコードされている。本明細書において別段の記載がない限り、FcRnまたはFcRnタンパク質は、FcRn重鎖とβ-2-ミクログロブリンとの複合体を指す。FcRn受容体への連結を増加させるために、そしていくつかの場合には血清半減期を増加させるために使用される様々なFcRn変異が図83の図の説明文に示されている。
本明細書で使用される「親ポリペプチド」とは、変異体を生成するようにその後修飾される出発ポリペプチドを意味する。親ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド、または天然に存在するポリペプチドの変異体もしくは操作されたバージョンであってもよい。親ポリペプチドは、ポリペプチド自体、親ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指してもよい。したがって、本明細書で使用される「親免疫グロブリン」は、変異体を生成するように修飾される非修飾免疫グロブリンポリペプチドを意味し、本明細書で使用される「親抗体」は、変異型抗体を生成するように修飾される非修飾抗体を意味する。「親抗体」には、以下に概説されるように、既知の市販の組換え産生抗体が含まれることに留意すべきである。
本明細書で使用される「Fc」または「Fc領域」または「Fcドメイン」とは、第1の定常領域免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域、および場合によってはヒンジの一部を含む、ポリペプチドを意味する。このため、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、IgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、およびこれらのドメインに対する可動性ヒンジN末端を指す。IgAおよびIgMの場合、FcはJ鎖を含んでもよい。IgGの場合、Fcドメインは、免疫グロブリンドメインCγ2およびCγ3(Cγ2およびCγ3)、ならびにCγ1(Cγ1)とCγ2(Cγ2)との間の下部ヒンジ領域を含む。Fc領域の境界は異なり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、そのカルボキシ末端に残基C226またはP230を含むものと定義され、ここでのナンバリングはKabatと同様のEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、以下でより詳細に説明されるように、例えば、1つ以上のFcγR受容体またはFcRn受容体への連結を変化させるために、Fc領域に対してアミノ酸修飾が行われる。
本明細書における「重鎖定常領域」とは、抗体のCH1-ヒンジ-CH2-CH3部分を意味する。
本明細書における「Fc融合タンパク質」または「イムノアドヘシン」とは、一般に(任意に本明細書に記載されるようなリンカー部分を介して)異なるタンパク質、例えば本明細書に記載されるような標的タンパク質への連結部分に連結したFc領域を含むタンパク質を意味する。場合によっては、ヘテロ二量体抗体の一方の単量体は抗体重鎖(scFvを含むかまたはさらに軽鎖を含む)を含み、他方の単量体は変異型Fcドメインおよびリガンドを含むFc融合体である。いくつかの実施形態では、これらの「半抗体-半融合タンパク質」は「融合体」と呼ばれる。
本明細書で使用される「位置」は、タンパク質の配列中の場所を意味する。位置は、順次に、または確立されているフォーマット、例えば、抗体ナンバリングのためのEUインデックスに従って、ナンバリングされてもよい。
「標的抗原」は、本明細書で使用されるとき、所与の抗体の可変領域が特異的に連結する分子を意味する。標的抗原は、タンパク質、炭水化物、脂質、または他の化合物であってもよい。適切な標的抗原は以下に記載される。
本明細書中の本発明のヘテロ二量体抗体の単量体に牽連して「撚り度(strandedness)」は、「マッチ」する2本鎖DNAと同様に、「マッチ」してヘテロ二量体を形成する能力を保持するようにヘテロ二量体化変異を各単量体に組み込むことを意味する。例えば、いくつかのpI変異が単量体Aへと操作される(例えば、pIをより高くする)場合、同様に利用され得る「電荷対」である立体変異はpI変異を妨害せず、例えば、pIを高くした電荷変異が同一の「鎖」または「単量体」に置かれ、両方の機能を保持する。同様に、以下により詳細に概説されるように、対のセットになる「スキュー」変異について、当業者は、対の1つのセットを組み入れる鎖または単量体がどちらに入るかを決定する際にpIを考慮し、同様にスキューのpIを使用してpI分離を最大化するようにする。
「標的細胞」は、本明細書で使用されるとき、標的抗原を発現する細胞を意味する。
「可変領域」は、本明細書で使用されるとき、実質的にVκ(V.カッパ)またはVλ(V.ラムダ)のいずれかでコードされる1つ以上のIgドメイン、ならびに/または、それぞれ、カッパ、ラムダ、および重鎖免疫グロブリン遺伝子座を構成するVH遺伝子を含む、免疫グロブリンの領域を意味する。
本明細書における「野生型またはWT」は、対立遺伝子変異を含む、自然界に見出されるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味する。WTタンパク質は、意図的に修飾されていないアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有する。
本発明の抗体は一般に、単離されているか、または組換え体である。本明細書に開示される様々なポリペプチドを説明するために使用されるとき、「単離された」とは、それが発現された細胞または細胞培養物から特定および分離および/または回収されたポリペプチドを意味する。通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程によって調製される。「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。「組換え体」は、外来性宿主細胞において組換え核酸技術を用いて抗体が生成されることを意味する。
タンパク質配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを達成するために配列をアラインメントし、必要ならギャップを導入した後の、特定の(親)配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義され、そして配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮しない。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメントは、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピューターソフトウェアを使用して、当該技術分野の範囲内である様々な方法で達成できる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。1つの特定のプログラムは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0244525号の段落番号[0279]~[0280]に概説されているALIGN-2プログラムである。
本発明のアミノ酸配列(「本発明の配列」)と親アミノ酸配列との間の同一性の程度は、「本発明の配列」の長さまたは親配列の長さの長さのうちの短い方で割った、2つの配列のアラインメントにおける正確な一致の数として計算される。結果は同一性パーセントで表される。
いくつかの実施形態において、2つ以上のアミノ酸配列は少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%同一である。いくつかの実施形態では、2つ以上のアミノ酸配列は少なくとも95%、97%、98%、99%、さらには100%まで同一である。
特定の抗原またはエピトープへの「特異的連結」もしくはそれら「に特異的に連結する」またはそれら「に対して特異的である」とは、非特異的相互作用とは測定可能に異なる連結を意味する。特異的連結は、例えば、一般に連結活性を有しない類似の構造の分子である対照分子の連結と比較した分子の連結を決定することによって、測定することができる。例えば、特異的連結は、標的と類似の対照分子との競合によって決定することができる。
特定の抗原またはエピトープに対する特異的連結は、例えば、抗原またはエピトープに対して少なくとも約10-4M、少なくとも約10-5M、少なくとも約10-6M、少なくとも約10-7M、少なくとも約10-8M、少なくとも約10-9M、代替的に少なくとも約10-10M、少なくとも約10-11M、少なくとも約10-12、またはそれ以上のKDを有する抗体によって示され得、KDとは特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指す。典型的には、抗原に特異的に連結する抗体は、抗原またはエピトープと比べて、対照分子に対して20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍、またはそれを超えて大きいKDを有することになる。
また、特定の抗原またはエピトープへの特異的連結は、例えば、抗原またはエピトープに対するKAまたはKaが、対照と比べて、そのエピトープに対して少なくとも20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍、またはそれを超えて大きい抗体によって示され得、KAまたはKaは、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度を指す。連結親和性は一般に、BIACORE(登録商標)アッセイを用いて測定される。
V.抗体
本発明は、本明細書で論じられるように、2つの異なる免疫調節抗原に連結する二重特異性免疫調節抗体の作製に関する。以下で考察するように、「抗体」という用語は全般的に使用される。本発明で使用される抗体は、本明細書に記載されているようにいくつかのフォーマットをとることができる。
従来の抗体構造単位は、典型的には四量体を含む。各四量体は、典型的には、2本の同一のポリペプチド鎖対からなり、各対は、1本の「軽」鎖(典型的には、約25kDaの分子量)と、1本の「重」鎖(典型的には、約50~70kDaの分子量)とを有する。ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖として分類される。本発明は、一般にIgGクラスに基づく二重特異性抗体を対象とし、これは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むがこれらに限定されない、いくつかのサブクラスを有する。一般に、IgG1、IgG2、およびIgG4が、IgG3よりも頻繁に使用される。IgG1は、356(DまたはE)および358(LまたはM)で多型を有する異なるアロタイプを有することに留意すべきである。本明細書に図示される配列は356D/358Mアロタイプを使用するが、他のアロタイプが本明細書に含まれる。即ち、本明細書に含まれるIgG1 Fcドメインを含む任意の配列は、356D/358Mアロタイプの代わりに356E/358Lを有することができる。
さらに、本明細書中の配列の多くは、位置220の少なくとも1つのシステインをセリンで置換したものであり、これは一般に、本明細書に記載の配列の大部分について「scFv単量体」側にあるが、ジスルフィド形成を減少させるために「Fab単量体」側、またはその両方にすることもできる。本明細書中の配列内に具体的に含まれるのは、これらのシステインの一方または両方が置換されたもの(C220S)である。
したがって、本明細書で使用されるとき、「アイソタイプ」は、それらの定常領域の化学的および抗原的特徴によって定義される免疫グロブリンの任意のサブクラスを意味する。治療用抗体は、アイソタイプおよび/またはサブクラスのハイブリッドも含み得ることを理解されたい。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2009/0163699号に示されるように、本発明は、IgG1/G2ハイブリッドのpI工学を包含する。
各鎖のアミノ末端部分は、「Fvドメイン」または「Fv領域」として当該技術分野および本明細書では一般に称される、抗原認識に主に関与する約100~110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。可変領域において、重鎖および軽鎖のVドメインの各々について3つのループが集約されて、抗原連結部位を形成する。ループの各々は、相補性決定領域(これ以降「CDR」と称される)と称され、ここではアミノ酸配列における変形が最も顕著である。「可変」は、可変領域のある特定のセグメントが抗体間で配列において大きく異なるという事実を指す。可変領域内の可変性は均一に分布していない。その代わり、V領域は、各々が9~15アミノ酸長またはそれ以上長い「超可変領域」と称される極可変性のより短い領域によって隔てられた15~30個のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と称される比較的不変の区間からなる。
各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へとFR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順序で配列された3つの超可変領域(「相補性決定領域」、「CDR」)および4つのFRで構成される。
超可変領域は、一般に、軽鎖可変領域においておよそ、アミノ酸残基24~34(LCDR1、「L」は軽鎖を表す)、50~56(LCDR2)、および89~97(LCDR3)、ならびに重鎖可変領域においてはおよそ約31~35B(HCDR1、「H」は重鎖を表す)、50~65(HCDR2)、および95~102(HCDR3)からのアミノ酸残基(Kabat et al.,SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))ならびに/または超可変ループを形成する残基(例えば、軽鎖可変領域における残基26~32(LCDR1)、50~52(LCDR2)、および91~96(LCDR3)、ならびに重鎖可変領域における26~32(HCDR1)、53~55(HCDR2)、および96-101(HCDR3)を包含する(Chothia and Lesk (1987)J.Mol.Biol.196:901-917.)本発明の特定のCDRを以下に記載する。
当業者には理解されようが、CDRの正確なナンバリングおよび配置は、異なるナンバリング系間で異なり得る。しかしながら、可変重鎖および/または可変軽鎖の開示は、関連する(固有の)CDRの開示を含むことが理解されるべきである。したがって、各可変重鎖領域の開示は、vhCDR(例えば、vhCDR1、vhCDR2、およびvhCDR3)の開示であり、各可変軽鎖領域の開示は、vlCDR(例えば、vlCDR1、vlCDR2、およびvlCDR3)の開示である。
CDRナンバリングの有用な比較は以下の通りであり、Lafranc et al.,Dev.Comp.Immunol.27(1):55-77(2003)を参照できる。:
本明細書全体を通して、Kabatナンバリング系は一般に、可変ドメイン内の残基(およそ、軽鎖可変領域の残基1~107および重鎖可変領域の残基1~113)を参照するときに使用され、EUナンバリング系は、Fc領域に対するものである(例えば、Kabat et al.、上述(1991)を参照)。
本発明は、多数の異なるCDRセットを提供する。この場合、「完全CDRセット」は、3つの可変軽鎖および3つの可変重鎖CDR、例えばvlCDR1、vlCDR2、vlCDR3、vhCDR1、vhCDR2、およびvhCDR3を含む。これらは、それぞれより大きな可変軽鎖または可変重鎖のドメインの一部であり得る。さらに、本明細書により完全に概説されているように、可変重鎖および可変軽鎖のドメインは、重鎖および軽鎖が使用されるとき(例えば、Fabが使用されるとき)には別個のポリペプチド鎖上に、またはscFv配列の場合には単一ポリペプチド鎖上にあり得る。
CDRは、抗原連結の形成、またはより具体的には、抗体のエピトープ連結部位の形成に寄与する。「エピトープ」とは、パラトープとして知られている抗体分子の可変領域内の特異的抗原連結部位と相互作用する決定基を指す。エピトープは、アミノ酸または糖側鎖等の分子の分類であり、通常、特異的な構造特性、および特異的な電荷特性を有する。単一抗原が、2つ以上のエピトープを有してもよい。
エピトープは、連結に直接関与するアミノ酸残基(エピトープの免疫優性構成要素とも称される)および連結に直接関与しない他のアミノ酸残基、例えば、特異的抗原連結ペプチドによって効果的に遮断されるアミノ酸残基、換言すると、特異的抗原連結ペプチドのフットプリント内にあるアミノ酸残基を含み得る。
エピトープは、立体配座または直線状のいずれであってもよい。立体配座エピトープは、直線状のポリペプチド鎖の異なるセグメントからのアミノ酸の空間的な並置によって作り出される。直線状エピトープは、ポリペプチド鎖内の隣接アミノ酸残基によって作り出されるものである。立体配座エピトープおよび非立体配座エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への連結は失われるが、後者への連結は失われないという点で区別され得る。
エピトープは、典型的には、固有の空間立体配座内に、少なくとも3個、より一般的には、少なくとも5個、または8~10個のアミノ酸を含む。同一のエピトープを認識する抗体は、ある抗体の別の抗体の標的抗原への連結を遮断する能力、例えば、「ビニング」を示す単純な免疫アッセイにおいて検証され得る。以下に概説するように、本発明は、列挙された抗原連結ドメインおよび本明細書の抗体を含むだけでなく、列挙された抗原連結ドメインによって連結されるエピトープとの連結について競合するものも含む。
各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を定める。Kabatらは、重鎖および軽鎖の可変領域の多数の一次配列を収集した。配列の保存の程度に基づき、Kabatらは、個々の一次配列をCDRおよびフレームワークに分類し、そのリストを作成した(参照により全体が組み込まれるSEQUENCES OF IMMUNOLOGICAL INTEREST,5th edition,NIH publication,No.91-3242,E.A.Kabat et al.を参照されたい)。
免疫グロブリンのIgGサブクラスには、重鎖中にいくつかの免疫グロブリンドメインがある。本明細書の「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」とは、明確に異なる三次構造を有する免疫グロブリンの領域を意味する。定常重鎖(CH)ドメインおよびヒンジドメインを含む重鎖ドメインが本発明における関心対象である。IgG抗体に関連して、IgGアイソタイプは、各々、3つのCH領域を有する。したがって、IgGと関連して「CH」ドメインは以下の通りである。「CH1」は、Kabatと同様のEUインデックスに従って118~220位を指す。「CH2」は、Kabatと同様のEUインデックスに従って237~340位を指し、「CH3」は、Kabatと同様のEUインデックスに従って341~447位を指す。本明細書において示され、以下に記載されるように、pI変異は、CH領域、および以下に論じられるように、ヒンジ領域のうちの1つ以上に存在し得る。
重鎖のIgドメインの別の種類は、ヒンジ領域である。本明細書において、「ヒンジ」または「ヒンジ領域」または「抗体ヒンジ領域」または「免疫グロブリンヒンジ領域」とは、抗体の第1および第2の定常ドメイン間のアミノ酸を含む可動性ポリペプチドを意味する。構造的に、IgG CH1ドメインはEU位置220で終わり、IgG CH2ドメインは残基EU位置237で始まる。したがって、IgGについては、抗体ヒンジは、位置221(IgG1中のD221)から236(IgG1中のG236)を含むように本明細書で定義され、ナンバリングは、Kabatと同様にEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、Fc領域に関連して、下側ヒンジが含まれ、「下側ヒンジ」は一般に位置226または230を指す。本明細書に記載のように、pI変異はヒンジ領域にも同様に作製することができる。
軽鎖は、一般に、可変軽鎖ドメイン(軽鎖CDRを含み、可変重鎖ドメインと一緒にFv領域を形成する)、および定常軽鎖領域(しばしばCLまたはCκと称される)の2つのドメインを含む。
以下に概説される追加の置換のための別の目的とする領域は、Fc領域である。
したがって、本発明は異なる抗体ドメインを提供する。本明細書中に記載され、そして当該技術分野において公知であるように、本発明のヘテロ二量体抗体は、重鎖および軽鎖内に異なるドメインを含み、これもまた重複し得る。これらのドメインは、Fcドメイン、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ヒンジドメイン、重鎖定常ドメイン(CH1-ヒンジ-FcドメインまたはCH1-ヒンジ-CH2-CH3)、可変重鎖ドメイン、可変軽鎖ドメイン、軽鎖定常ドメイン、Fabドメイン、およびscFvドメインを含むが、これらに限定されない。
したがって、「Fcドメイン」は、-CH2-CH3ドメイン、および場合によりヒンジドメインを含む。本明細書の実施形態では、scFvがFcドメインに連結しているとき、Fcドメインのヒンジの全部または一部に連結しているのはscFvコンストラクトのC末端であり、例えば、それは一般にヒンジの始まりである配列EPKSに連結している。重鎖は、可変重鎖ドメインおよび定常ドメインを含み、これは、CH1-任意選択のヒンジ-CH2-CH3を含むFcドメインを含む。軽鎖は、可変軽鎖および軽鎖定常ドメインを含む。scFvは、可変重鎖、scFvリンカー、および可変軽鎖ドメインを含む。本明細書に概説したコンストラクトおよび配列のほとんどにおいて、可変軽鎖のC末端はscFvリンカーのN末端に連結し、そのC末端は可変重鎖のN末端に連結している(N-vh-リンカー-vl-C)が、これは切り替えることができる(N-vl-リンカー-vh-C)。本発明のいくつかの実施形態は、天然には存在しないが、scFvリンカーによって共に連結した可変重鎖ドメインと可変軽鎖ドメインとを一般に含む、少なくとも1つのscFvドメインを含む。本明細書に概説されるように、scFvドメインは、一般に、VH-scFvリンカー-VLとしてN末端からC末端まで配向されているが、これは、scFvドメイン(または、Fab由来のVHおよびVL配列を使用して構築されたドメイン)のいずれに関しても、フォーマットに応じて一方または両方の端部に任意のリンカーを用いて、VL-scFvリンカー-VHへと逆転させることができる(全体的に図2を参照)。
本明細書に示されるように、組換え技術によって生成される従来のペプチド連結を含めて、使用され得る適切ないくつかのscFvリンカーが存在する。リンカーペプチドは、主に、以下のアミノ酸残基:Gly、Ser、Ala、またはThrを含み得る。リンカーペプチドは、それらが所望の活性を保持するように互いに対して正しい立体配座をとるような方法で2つの分子を連結させるのに十分な長さを有するべきである。一実施形態では、リンカーは、約1~50アミノ酸長、好ましくは約1~30アミノ酸長である。一実施形態では、1~20アミノ酸長のリンカーが使用されてもよく、いくつかの実施形態では、約5~約10アミノ酸が有用である。有用なリンカーには、例えば、(GS)n、(GSGGS)n、(GGGGS)n、および(GGGS)n(nは少なくとも1(および一般に3~4)の整数である)を含むグリシン-セリンポリマー、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、ならびに他の可動性リンカーが含まれる。代替的に、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーを含むがこれらに限定されない様々な非タンパク質性ポリマーが、リンカーとして有用であり得、すわなちリンカーとして有用であり得る。
他のリンカー配列は、任意の長さのCL/CH1ドメインの任意の配列を含むが、CL/CH1ドメインの全ての残基を含まない場合があり、例えば、CL/CH1ドメインの最初の5~12アミノ酸残基である。リンカーは、免疫グロブリン軽鎖、例えば、CκまたはCλに由来し得る。リンカーは、例えば、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4、Cα1、Cα2、Cδ、Cε、およびCμを含む任意のアイソタイプの免疫グロブリン重鎖に由来し得る。リンカー配列はまた、Ig様タンパク質(例えば、TCR、FcR、KIR)、ヒンジ領域由来配列、および他のタンパク質由来の他の天然配列などの他のタンパク質に由来してもよい。
いくつかの実施形態では、リンカーは、本明細書に概説される任意の2つのドメインを共に連結するために使用される「ドメインリンカー」である。任意の適切なリンカーを使用することができるが、多くの実施形態は、例えば、nが少なくとも1(および一般に3~4~5)である、(GS)n、(GSGGS)n、(GGGGS)n、および(GGGS)nを含むグリシン-セリンポリマー、ならびに各ドメインがその生物学的機能を保持できるように十分な長さおよび柔軟性を有する2つのドメインの組換え連結を可能にする任意のペプチド配列を利用する。いくつかの場合において、以下に概説するように、「撚り度」に注意を払って、scFvリンカーのいくつかの実施形態において使用されるような荷電ドメインリンカーを使用することができる。
いくつかの実施形態において、scFvリンカーは、荷電scFvリンカーであり、そのいくつかは図8に示されている。したがって、本発明はさらに、第1の単量体と第2の単量体との間のpIの分離を促進するための荷電scFvリンカーを提供する。すなわち、正または負の荷電scFvリンカー(または異なる単量体上にscFvを使用する足場の場合は両方)を組み込むことによって、これは、Fcドメインをさらに変化させることなく、荷電リンカーを含む単量体のpIを変えることを可能にする。これらの荷電リンカーは、標準的なリンカーを含む任意のscFv中に置換することができる。また、当業者には理解されるように、pIの所望の変化に従って、荷電scFvリンカーが正しい「鎖」または単量体上に使用される。例えば、本明細書中で論じられるように、トリプルFフォーマットヘテロ二量体抗体を作製するために、所望の抗原連結ドメインのそれぞれについてのFv領域の元のpIが計算され、そしてscFvを作製するために1つが選択され、pIに応じて、正または負のリンカーのいずれかが選択される。
荷電ドメインリンカーも同様に、本発明の単量体のpI分離を増加させるために使用することができ、したがって、図8に含まれるものは、リンカーが利用される、本明細書の任意の実施形態で使用することができます。
一実施形態では、抗体は、それがpI工学などのヘテロ二量体を生成するように操作することができる少なくとも1つの定常ドメインを含む限り、抗体フラグメントである。使用され得る他の抗体フラグメントは、pI操作された本発明のCH1、CH2、CH3、ヒンジおよびCLドメインのうちの1つ以上を含むフラグメントを含む。特に、図1に示すフォーマットは、通常「ヘテロ二量体抗体」と呼ばれる抗体であり、タンパク質が、ヘテロ二量体Fcドメインに自己集合した少なくとも2つの関連Fc配列、およびFabとしてまたはscFvとしてであれ少なくとも2つのFv領域を有することを意味する。
A.キメラおよびヒト化抗体
いくつかの実施形態では、本明細書の抗体は、異なる種由来の混合物、例えばキメラ抗体および/またはヒト化抗体に由来し得る。一般に、「キメラ抗体」と「ヒト化抗体」の両方は、2つ以上の種由来の領域を組み合わせる抗体を指す。例えば、「キメラ抗体」は従来は、マウス(または場合によってはラット)由来の可変領域およびヒト由来の定常領域を含む。「ヒト化抗体」は一般に、可変ドメインフレームワーク領域がヒト抗体に見出される配列でスワップされた、非ヒト抗体を指す。一般に、ヒト化抗体において、CDRを除く抗体全体は、ヒト起源のポリヌクレオチドによってコードされるか、またはそのCDR内を除いてそのような抗体と同一である。非ヒト生物を起源とする核酸によって一部または全てがコードされるCDRを、ヒト抗体可変領域のベータシートフレームワークに移植して、その特異性が移植されたCDRによって決定される抗体を作製する。そのような抗体の作製は、例えば、WO92/11018、Jones,1986,Nature 321:522-525、Verhoeyen et al.,1988,Science 239:1534-1536に記載され、全て参照により全体が組み込まれる。選択されたアクセプターフレームワーク残基の、対応するドナー残基への「逆変異」が、最初の移植されたコンストラクトにおいて失われた親和性を回復するためにしばしば必要とされる(US5530101、US5585089、US5693761、US5693762、US6180370、US5859205、US5821337、US6054297、US6407213、全て参照により全体が組み込まれる)。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域、典型的にはヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分、通常は全部を含み、したがって典型的にはヒトFc領域を含むであろう。ヒト化抗体はまた、遺伝子操作された免疫系を有するマウスを用いて生成され得る。Roque et al.,2004,Biotechnol.20:639-654、参照により全体が組み込まれる。非ヒト抗体をヒト化および再形成するための様々な技法および方法は、当該技術分野で周知である(Tsurushita & Vasquez,2004,Humanization of Monoclonal Antibodies,Molecular Biology of B Cells,533-545,Elsevier Science(USA)、およびそこで引用される参考文献を参照されたく、全て参照により全体が組み込まれる)。ヒト化方法には、Jones et al.,1986,Nature 321:522-525;Riechmann et al.,1988;Nature 332:323-329;Verhoeyen et al.,1988,Science,239:1534-1536;Queen et al.,1989,Proc Natl Acad Sci,USA 86:10029-33;He et al.,1998,J.Immunol.160:1029-1035;Carter et al.,1992,Proc Natl Acad Sci USA 89:4285-9,Presta et al.,1997,Cancer Res.57(20):4593-9;Gorman et al.,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4181-4185;O’Connor et al.,1998,Protein Eng 11:321-8に記載される方法が含まれるがこれらに限定されず、参照によりその全てが組み込まれる。ヒト化、または非ヒト抗体の可変領域の免疫原性を低下させる他の方法には、例えば、参照により全体が組み込まれるRoguska et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:969-973に記載されているような表面再構成法が含まれ得る。
ある特定の実施形態では、本発明の抗体は、特定の生殖細胞系列重鎖免疫グロブリン遺伝子由来の重鎖可変領域および/または特定の生殖細胞系列軽鎖免疫グロブリン遺伝子由来の軽鎖可変領域を含む。例えば、そのような抗体は、特定の生殖細胞系列配列「の産物」であるまたはそれ「に由来する」重鎖または軽鎖可変領域を含むヒト抗体を含み得るかまたはそれからなり得る。ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列「の産物」であるまたはそれ「に由来する」ヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖細胞系列免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較することと、ヒト抗体の配列に最も近い配列である(即ち、最も高い同一性%)ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列を選択することとによって、そのようなものとして特定され得る。特定のヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列「の産物」であるまたはそれ「に由来する」ヒト抗体は、例えば、天然に存在する体細胞変異または部位特異的変異の意図的導入に起因して、生殖細胞系列配列と比較してアミノ酸の相違を含み得る。しかしながら、ヒト化抗体は、典型的には、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列において少なくとも90%同一であり、他の種の生殖細胞系列免疫グロブリンアミノ酸配列(例えば、マウス生殖細胞系列配列)と比較したときに、抗体をヒト配列に由来するものとして特定するアミノ酸残基を含む。ある特定の場合には、ヒト化抗体は、生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と、アミノ酸配列において少なくとも95、96、97、98もしくは99%、または少なくとも96%、97%、98%、または99%までも同一であり得る。典型的には、特定のヒト生殖細胞系配列に由来するヒト化抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10~20アミノ酸以下の相違しか示さない(本明細書中の任意のスキュー、pIおよび除去変異の導入前、すなわち、本発明の変異の導入前は、変異の数は一般に少ない)。ある特定の場合には、ヒト化抗体は、生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とは5アミノ酸以下、またはさらには4、3、2、もしくは1アミノ酸以下の相違しか示さない場合がある(同様に、本明細書における任意のスキュー、pI、および除去変異の導入前、すなわち、本発明の変異の導入前は、変異の数は一般に少ない)。
一実施形態では、親抗体は、当該技術分野で知られているように、親和性成熟されたものである。構造に基づく方法が、例えば、USSN11/004,590に記載されているように、ヒト化および親和性成熟のために用いられ得る。Wu et al.,1999,J.Mol.Biol.294:151-162;Baca et al.,1997,J.Biol.Chem.272(16):10678-10684;Rosok et al.,1996,J.Biol.Chem.271(37):22611-22618;Rader et al.,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:8910-8915;Krauss et al.,2003,Protein Engineering 16(10):753-759に記載される方法を含むがこれらに限定されない選択に基づく方法が抗体可変領域のヒト化および/または親和性成熟のために使用でき、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。他のヒト化方法は、CDRの部分のみを移植することを含み得、これには、参照により全ての内容が組み込まれる、USSN09/810,510;Tan et al.,2002,J.Immunol.169:1119-1125;De Pascalis et al.,2002,J.Immunol.169:3076-3084に記載される方法が含まれるがこれらに限定されない。
VI.ヘテロ二量体抗体
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、自己集合してヘテロ二量体Fcドメインおよびヘテロ二量体抗体を形成する、2つの異なる重鎖変異型Fc配列の使用に依存するヘテロ二量体免疫調節抗体を提供する。
本発明は、例えば二重特異性連結を可能にするために、1つより多い免疫調節抗原またはリガンドへの連結を可能にするヘテロ二量体抗体を提供するための新規コンストラクトに関する。ヘテロ二量体抗体コンストラクトは、抗体の重鎖の2つのFcドメイン、例えば、「二量体」に組み立てられる2つの「単量体」の自己集合の性質に基づく。ヘテロ二量体抗体は、以下により完全に論じられるように各単量体のアミノ酸配列を変えることによって作製される。したがって、本発明は一般に、ヘテロ二量体形成を促進するためにおよび/またはホモ二量体よりもヘテロ二量体の精製を容易にするために、各鎖上で異なる定常領域中のアミノ酸変異に依存して、抗原をいくつかの方法で共連結することができるヘテロ二量体免疫調節抗体の作製に関する。
したがって、本発明は二重特異性抗体を提供する。抗体技術において進行中の問題は、2つの異なる抗原に同時に連結する「二重特異性」抗体に対する要求であり、それにより一般に、異なる抗原を近接させ、新しい機能性および新しい治療法をもたらすことができる。一般に、これらの抗体は、各重鎖および軽鎖に対する遺伝子を宿主細胞に含めることによって作製される。これは一般に、所望のヘテロ二量体(A-B)、ならびに2つのホモ二量体(A-AおよびB-B(軽鎖ヘテロ二量体の問題は含まない))の形成をもたらす。しかしながら、二重特異性抗体の形成における主な障害は、ホモ二量体抗体からヘテロ二量体抗体を精製すること、および/またはホモ二量体の形成よりもヘテロ二量体の形成を偏らせることが困難であることである。
本発明のヘテロ二量体を生成するために使用することができる多くの機構が存在する。さらに、当業者には理解されるように、これらの機構を組み合わせて高いヘテロ二量体化を確実にすることができる。したがって、ヘテロ二量体の産生をもたらすアミノ酸変異は、「ヘテロ二量体化変異」と呼ばれる。後述するように、ヘテロ二量体化変異は、ヘテロ二量体からのホモ二量体の精製を可能にする立体変異(例えば、後述の「ノブアンドホール」または「スキュー」変異および「電荷対」変異)ならびに「pI変異」を含み得る。その全体が参照により本明細書に組み込まれ、具体的には以下で「ヘテロ二量体化変異」の議論について本明細書に援用されるように、ヘテロ二量体化の有用な機構には「ノブアンドホール」(「KIH」、本明細書においてしばしば「スキュー」変異として(WO2014/145806中の議論を参照)、「WO2014/145806に記載されているような「静電ステアリング」または「電荷対」、WO2014/145806に記載されるようなpI変異、およびWO2014/145806および以下に概説されているような一般的なさらなるFc変異が含まれる。
本発明において、ヘテロ二量体抗体の精製を容易にすることができるいくつかの基本的なメカニズムが存在し、その1つは、各単量体が異なるpIを有することによって、A-A、A-BおよびB-B二量体タンパク質の等電点精製が可能になるpI変異の使用に依存する。あるいは、「トリプルF」フォーマットなどのいくつかの足場フォーマットもまた、サイズに基づいた分離を可能にする。以下にさらに概説するように、ホモ二量体よりもヘテロ二量体の形成を「スキュー」することも可能である。したがって、立体的ヘテロ二量体化変異とpIまたは電荷対変異の組み合わせは、本発明において特に使用される。
一般に、本発明において特に使用される実施形態は、2つの単量体間のpI差を増加させる、pI変異と組み合わせた、ホモ二量体形成に対するヘテロ二量体形成を促進するスキュー変異を含む変異のセットに依存する。
さらに、以下により完全に概説されるように、ヘテロ二量体抗体のフォーマットに応じて、pI変異は単量体の定常および/またはFcドメイン内に含まれるか、または荷電リンカー、ドメインリンカーまたはscFvリンカーのいずれかが使用され得る。すなわち、トリプルFフォーマットなどのscFvを利用する足場は、精製目的のためにさらなるpIブーストを与える荷電scFvリンカー(陽性または陰性のいずれか)を含み得る。当業者には理解されるように、本発明は単量体の一方または両方にあるpI変異および/または同様に荷電ドメインリンカーを提供するが、いくつかのトリプルFフォーマットは荷電したscFvリンカーのみで有用であり追加のpI調整はない。さらに、代替の機能性のためのさらなるアミノ酸操作もまた、Fc、FcRn、およびKO変異などのpI変化を付与し得る。
ヘテロ二量体タンパク質の精製を可能にするための分離機構としてpIを利用する本発明においては、アミノ酸変異を一方または両方の単量体のポリペプチドに導入することができ、すなわち、単量体の一方(本明細書では簡単のために「単量体A」と呼ぶ)のpIを単量体Bと異なるように改変でき、または、単量体AとBの両方の変化を、単量体AのpIを増加させ、単量体BのpIを減少させるように改変できる。論じられるように、いずれかまたは両方の単量体のpI変化は、荷電残基を除去または付加することによって(例えば中性アミノ酸を正または負に荷電したアミノ酸残基で置換する、例えばグリシンからグルタミン酸)、正または負から反対の電荷への荷電残基の変更によって(例えばアスパラギン酸からリジンへ)、または荷電残基の中性残基への変更によって(例えば電荷の消失、リジンからセリン)、実施することができる。いくつかのこれらの変異を図に示す。
したがって、本発明のこの実施形態は、ヘテロ二量体をホモ二量体から分離することができるように、少なくとも1つの単量体に十分なpIの変化を生じさせることを提供する。当業者には理解されるように、そして以下にさらに論じるように、これは、「野生型」重鎖定常領域およびそのpI(wtA-+BまたはwtA--B)を増加または減少させるように操作された変異領域を使用することによって、または一方の領域を増加して他方の領域を減少させることによって(A+-B-またはA-B+)、実施できる。
したがって、一般に、本発明のいくつかの実施形態の構成要素は、二量体タンパク質の単量体の両方ではないにしても少なくとも1つの等電点(pI)を、アミノ酸置換(「pI変異」または「pI置換」)を単量体の一方または両方に組み込むことによって変化させて「pI抗体」を形成することを目的とする抗体の定常領域におけるアミノ酸変異である。本明細書中に示されるように、2つのホモ二量体からのヘテロ二量体の分離は、2つの単量体のpIが0.1pH単位とわずかに異なる場合に達成でき、0.2、0.3、0.4、および0.5以上異なるものが全て本発明において使用される。
当業者には理解されるように、良好な分離を得るために各単量体または両方の単量体に含まれるべきpI変異の数は、構成要素の出発pI、例えばトリプルFフォーマットにおいて、目的のscFvおよびFabの出発pIに部分的に依存するであろう。すなわち、どの単量体を操作するか、またはどの「方向」(例えば、より陽性またはより陰性)かを決定するために、2つの標的抗原のFv配列が計算され、そしてそこから決定がなされる。当該技術分野において知られているように、異なるFvは、本発明において利用される異なる出発pIを有するであろう。概して、本明細書に概説されるように、pIは、少なくとも約0.1logの各単量体の総pIの差異を生じるように操作され、本明細書に概説されるように0.2~0.5が好ましい。さらに、当業者には理解され、本明細書に概説されるように、いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体はサイズに基づいてホモ二量体から分離することができる。図2に示すように、例えば、フォーマットのいくつかは、サイズに基づいてヘテロ二量体およびホモ二量体の分離を可能にする。
A.ヘテロ二量体化変異
本発明は、ヘテロ二量体形成および/またはホモ二量体からの精製を可能にするためにヘテロ二量体化変異を利用する、様々なフォーマットのヘテロ二量体抗体を含む、ヘテロ二量体タンパク質を提供する。いくつかのヘテロ変異を、図4に示す。
ヘテロ二量体化スキュー変異のセットのいくつかの適切な対がある。これらの変異は、「セット」の「対」になる。すなわち、一方のセットの対が第1の単量体に組み込まれ、他のセットの対が第2の単量体に組み込まれる。注目すべきは、これらのセットは、一方の単量体上の残基と他方の単量体上の残基との間で一対一の対応関係を有する「ノブインホール」変異として必ずしも振舞わないことであり、すなわち、これらのセットの対は、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨げる2つの単量体間の界面を形成し、生物学的条件下で自発的に形成するヘテロ二量体の割合を予想される50%(25%ホモ二量体A/A:50%ヘテロ二量体A/B:25%ホモ二量体B/B)ではなく90%以上にする。
B.立体変異
いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体の形成は、立体変異の付加によって促進され得る。すなわち、各重鎖中のアミノ酸を変えることによって、異なる重鎖が会合して同一のFcアミノ酸配列を有するホモ二量体を形成するよりもヘテロ二量体構造を形成する可能性が高い。適切な立体変異は図面に含まれる。
1つの機構は、当該技術分野において一般的に「ノブアンドホール」と呼ばれ、ヘテロ二量体形成を有利にし、ホモ二量体形成を不利にする立体効果をもたらすアミノ酸工学を指し、任意で使用することもできる;これはしばしば、「ノブアンドホール」と呼ばれ、USSN 61/596,846、Ridgway et al.,Protein Engineering 9(7):617(1996)、Atwell et al.,J.Mol.Biol.1997270:26、米国特許第8,216,805号に記載されるようなものであり、これらの全ては参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの図は、「ノブアンドホール」に依存するいくつかの「単量体A-単量体B」対を特定する。さらに、Merchant et al.,Nature Biotech.16:677(1998)に記載されているように、これらの「ノブアンドホール」変異は、ヘテロ二量体化に対するスキュー形成のためのジスルフィド連結と組み合わせることができる。
ヘテロ二量体の生成に使用されるさらなる機構は、参照によりその全てが本明細書に組み込まれるGunasekaran et al.,J.Biol.Chem.285(25):19637(2010)に記載されているように、しばしば「静電ステアリング」と呼ばれる。これは、本明細書において、しばしば「電荷対」と呼ばれる。この実施形態では、静電学を使用して、ヘテロ二量体化に向けて形成をスキューさせる。当業者には理解されるように、これらはまた、pI、したがって精製に影響を及ぼす可能性を有し、したがって場合によってはpI変異と見なすこともできる。しかしながら、これらはヘテロ二量体化を強制するために生成され、精製手段として使用されなかったので、それらは「立体変異」として分類される。これらには、D221R/P228R/K409Rと対になったD221E/P228E/L368E(例えば、これらは「単量体の対応セット」である)、およびC220R/E224R/P228R/K409Rと対になったC220E/P228E/368Eが含まれるがこれらに限定されない。
さらなる単量体Aおよび単量体Bの変異は、本明細書に概説されるpI変異または参照により本明細書に明確に組み込まれるUS2012/0149876の図37、図および図説および配列番号に示される他の立体変異などの他の変異と、任意の量で任意で独立に組み合わせることができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に概説される立体変異は、任意で独立していずれかのpI変異(またはFc変異、FcRn変異などの他の変異)を一方または両方の単量体に組み込むことができ、独立して任意で本発明のタンパク質に含めるかまたは除外することができる。
適切なスキュー変異のリストは、多くの実施形態において特に有用いくつかの対を示す図4に見られる。多くの実施形態において特に有用であるのは、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、およびT366S/L368A/Y407V:T366W(任意で架橋ジスルフィドT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cを含む)を含むがこれらに限定されないセットの対である。命名法に関して、対「S364K/E357Q:L368D/K370S」は、一方の単量体が二重変異セットS364K/E357Qを有し、他方が二重変異セットL368D/K370Sを有することを意味し、上述のように、これらの対の「撚り度」は出発pIに依存する。
C.ヘテロ二量体のpI(等電点)変異
一般に、当業者には理解されるように、pI変異には2つの一般的なカテゴリーがある:タンパク質のpIを増加させるもの(塩基性変化)とタンパク質のpIを減少させるもの(酸性変化)。本明細書中に記載されるように、これらの変異の全ての組み合わせがなされ得る:一方の単量体は野生型、または野生型と顕著に異なるpIを示さない変異であり得、他方がより塩基性またはより酸性のいずれかであり得る。代替的に、各単量体は、1つがより塩基性に、1つがより酸性へと変化する。
pI変異の好ましい組み合わせを、5に示す。本明細書に概説し、図に示すように、これらの変化はIgG1と比較して示されているが、全てのアイソタイプをこのように変更することができ、アイソタイプハイブリッドも同様である。重鎖定常ドメインがIgG2~4に由来する場合、R133EおよびR133Qもまた使用され得る。
一実施形態では、例えば、ボトルオープナーフォーマットにおいて、pI変異の好ましい組み合わせは、208D/295E/384D/418E/421D変異(ヒトIgG1と比較するときN208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D)を含む1つの単量体(負のFab側)と、(GKPGS)4を含む正に荷電したscFvリンカーを含む第2の単量体(正のscFv側)とを有する。しかしながら、当業者には理解されるように、第1の単量体は208位を含むCH1ドメインを含む。したがって、CH1ドメインを含まないコンストラクト(例えば、デュアルscFvフォーマットにおいて、ドメインの1つにCH1ドメインを利用しないヘテロ二量体Fc融合タンパク質の場合)において、好ましい負のpI変異Fcセットは、295E/384D/418E/421D変異(ヒトIgG1と比較するときQ295E/N384D/Q418E/N421D)を含む。
したがって、いくつかの実施形態では、一方の単量体は図5からの置換のセットを有し、他方の単量体は荷電リンカー(フォーマットが指示するようにその単量体がscFvまたは荷電ドメインリンカーを含むため、荷電scFvリンカーの形態のいずれかで)を有する。
1.アイソタイプ変異
さらに、本発明の多くの実施形態は、あるIgGアイソタイプから別のIgGアイソタイプへの特定の位置でのpIアミノ酸の「移入」に依存し、したがって、変異体に望ましくない免疫原性が導入される可能性を低減または排除する。これらのいくつかは、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2014/0370013号の図21に示されている。すなわち、IgG1は、高いエフェクター機能を含む様々な理由から治療用抗体の一般的なアイソタイプである。しかしながら、IgG1の重鎖定常領域は、IgG2のそれよりも高いpIを有する(8.10対7.31)。特定の位置でIgG2残基をIgG1骨格に導入することによって、得られる単量体のpIは低下(または上昇)し、さらにより長い血清半減期を示す。例えば、IgG1は137位にグリシン(pI5.97)を有し、IgG2はグルタミン酸(pI3.22)を有し、グルタミン酸を移入すると、得られるタンパク質のpIに影響を与える。以下に記載されるように、変異抗体のpIに顕著な影響を与えるためには、一般にいくつかのアミノ酸置換が必要とされる。しかしながら、IgG2分子中の変化でさえも血清半減期の増加を可能にすることが以下に論じられるように留意されるべきである。
他の実施形態では、得られるタンパク質の全体的な荷電状態を低下させるため(例えば、より高いpIアミノ酸からより低いpIアミノ酸へと変化させることによる)、または以下でより詳細に説明するように、安定性などのための構造調整を可能にするため、非アイソタイプのアミノ酸変化をなす。
さらに、重鎖定常ドメインと軽鎖定常ドメインの両方をpI操作することによって、ヘテロ二量体の各単量体における顕著な変化を見ることができる。本明細書で論じるように、2つの単量体のpIが少なくとも0.5だけ異なることは、イオン交換クロマトグラフィーもしくは等電点電気泳動、または等電点に感受性の他の方法による分離を可能にし得る。
D.pIを計算する
各単量体のpIは、変異型重鎖定常ドメインのpIならびに変異型重鎖定常ドメインおよび融合パートナーを含む単量体全体のpIに依存し得る。したがって、いくつかの実施形態において、pIの変化は、米国特許出願公開第2014/0370013号の図19のチャートを用いて、変異型重鎖定常ドメインに基づいて計算される。本明細書で論じるように、どの単量体を操作するかは、一般に、Fv領域および足場領域の固有のpIによって決定される。代替的に、各単量体のpIを比較することができる。
E.pI変異もまたインビボ連結においてより優れたFcRnを付与する
pI変異が単量体のpIを減少させる場合、それらはインビボでの血清保持を改善するというさらなる利点を有することができる。
まだ検討中ではあるが、エンドソーム内のpH6でFcRnに連結するとFcが隔離されるため、Fc領域はインビボでより長い半減期を有すると考えられている(Ghetie and Ward,1997 Immunol Today.18(12):592-598、全体が参照により組み込まれる)。次いでエンドソーム区画はFcを細胞表面にリサイクルする。区画が細胞外空間に開くと、約7.4のより高いpHが、血中へのFcの放出を誘導する。マウスにおいて、Dall’ Acqua et al.は、pH6およびpH7.4でのFcRn連結が増加したFc変異は実際に低下した血清濃度および野生型Fcと同一の半減期を有することを示した(Dall’ Acqua et al.2002,J.Immunol.169:5171-5180、参照によりその全体が組み込まれる)。pH7.4でのFcRnに対するFcの親和性の増加は、血中へのFcの放出を妨げると考えられる。したがって、インビボでのFcの半減期を増加させるFc変異は、理想的には、より高いpHでのFcの放出をなお可能にしながら、より低いpHでのFcRn連結を増加させる。アミノ酸ヒスチジンは、6.0~7.4のpH範囲でその荷電状態を変化させる。それ故、Fc/FcRn複合体中の重要な位置にHis残基を見出すことは驚くべきことではない。
最近、より低い等電点を有する可変領域を有する抗体もまたより長い血清半減期を有し得ることが示唆されている(Igawa et al.,2010 PEDS.23(5):385-392、参照により全てが本明細書に組み込まれる)。しかしながら、この機構は未だよくわかっていない。さらに、可変領域は抗体ごとに異なる。本明細書中に記載されるように、pIが減少しそして半減期が延長した定常領域変異は、抗体の薬物動態学的性質を改善するためのよりモジュール的なアプローチを提供するであろう。
F.追加の機能性のための追加のFc変異
pIアミノ酸変異に加えて、1つ以上のFcγR受容体への連結の改変、FcRn受容体への連結の改変等を含むがこれらに限定されない、様々な理由で実施することができるいくつかの有用なFcアミノ酸改変が存在する。
したがって、本発明のタンパク質は、pI変異および立体変異を含む、本明細書に概説したヘテロ二量体化変異を含むアミノ酸修飾を含むことができる。各組の変異は独立してそして任意で特定のヘテロ二量体タンパク質に含み得るかまたはそれから除外し得る。
G.FcγR変異
FcγR受容体のうちの1つ以上への連結を改変するために実施され得るいくつかの有用なFc置換が存在する。連結の増加および連結の減少をもたらす置換が有用であり得る。例えば、FcγRIIIaへの連結の増加は、一般に、ADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性、すなわち、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の連結抗体を認識し、その後、標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応)の増加をもたらすことが知られている。同様に、いくつかの状況下では、FcγRIIb(抑制性受容体)への連結の減少も有益であり得る。本発明で有用なアミノ酸置換には、USSN11/124,620(特に図41)、USSN11/174,287、USSN11/396,495、USSN11/538,406に列挙されるものが含まれ、これらの全ては、それらの全体が、具体的にはその中に開示される変異が参照により、明示的に本明細書に組み込まれる。使用される特定の変異には、236A、239D、239E、332E、332D、239D/332E、267D、267E、328F、267E/328F、236A/332E、239D/332E/330Y、239D、332E/330L、243A、243L、264A、264V、および299Tが含まれるがこれらに限定されない。
さらに、参照によりその全ての内容が本明細書に組み込まれるUSSN12/341,769に具体的に開示されているように、434S、434A、428L、308F、259I、428L/434S、259I/308F、436I/428L、436IまたはV/434S、436V/428L、および259I/308F/428Lを含むがこれらに限定されない、FcRn受容体への連結の増加および血清半減期の増加に使用される追加のFc置換が存在する。
H.除去変異
同様に、機能的変異の別のカテゴリーは「FcγR除去変異」または「Fcノックアウト(FcKOまたはKO)変異である。これらの実施形態では、いくつかの治療用途のために、さらなる作用機序を回避するために、1つ以上または全てのFcγ受容体(例えば、FcγR1、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIaなど)へのFcドメインの正常な連結を低減または除去することが望ましい。これは、例えば、多くの実施形態において、特に、Fcドメインのうちの1つが1つ以上のFcγ受容体除去変異を含むように、FCγRIIIa連結を除去してADCC活性を除去または顕著に減少させることが望ましい二重特異性免疫調節抗体の使用においてである。これらの除去変異は図6に示されており、G236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなる群から選択される除去変異を用いる好ましい態様で、各々が独立して任意で含まれるか除外することができる。本明細書で言及される除去変異は、FcγR連結を除去するが、一般にはFcRn連結を除去しないことに留意されたい。
I.ヘテロ二量体とFc変異の組み合わせ
当業者には理解されるように、列挙されたヘテロ二量体化変異(スキューおよび/またはpI変異を含む)は全て、それらの「撚り度」または「単量体分配」を保持する限り任意の方法で任意で独立に組み合わせることができる。さらに、これらの変異は全て、ヘテロ二量体化フォーマットのいずれにも組み合わせることができる。
pI変異の場合、特に使用される実施形態が図面に示されているが、精製を促進するために2つの単量体間のpIの差異を変えるという基本的な規則に従って、他の組み合わせを生成できる。
さらに、ヘテロ二量体化変異、スキュー、およびpIのいずれも、本明細書で一般的に概説されるように、Fc除去変異、Fc変異、FcRn変異と独立して任意で組み合わせることができる。
VII.本発明の有用なフォーマット
当業者によって理解および以下でより完全に説明するように、一般的に図2に示されているように、本発明の二重特異性のヘテロ二量体抗体は、多種多様な構成をとることができる。いくつかの図は、分子の一方の「アーム」に1つのタイプの特異性があり、他方の「アーム」に異なる特異性がある「シングルエンド」構成を示す。他の図は、分子の「上部」に少なくとも1つのタイプの特異性があり、分子の「下部」に1つ以上の異なる特異性がある「デュアルエンド」構成を示す。したがって、本発明は、異なる第1および第2の抗原と同時連結する新規な免疫グロブリン組成物に関する。
当業者によって理解されるように、本発明のヘテロ二量体フォーマット(図2を参照されたい)は、異なる原子価を有することができ、かつ二重特異性である。すなわち、本発明の抗体は、チェックポイント標的が1つのABDによって連結され、そして共刺激標的が第2のABDによって連結される、二価および二重特異性であり得る(例えば、ヘテロ二量体であるボトルオープナー形式)、またはホモ二量体である二重特異性mAbを参照)。ヘテロ二量体抗体はまた、三価および二重特異性であり得、ここで、第1の抗原は2つのABDによって連結され、および第2の抗原は第2のABDによって連結される(例えば、中央-scFvフォーマットおよびトライデントフォーマットを参照)。ヘテロ二量体抗体はまた、二重特異性および四価(例えば、中央scFv2フォーマットおよびDVD-Igフォーマットなど)であり得る。
同様に、DVD-Igフォーマットおよび中央-scFv2フォーマットを除いて、抗体は一般に、共刺激標的が一価連結するようにフォーマットされている。
A.ボトルオープナーフォーマット
本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、「トリプルF」または「ボトルオープナー」の足場フォーマットである。この実施形態では、抗体の一方の重鎖は単鎖Fv(以下に定義されるように「scFv」)を含み、他方の重鎖は可変重鎖および軽鎖を含む「通常の」Fabフォーマットである。この構造は、ボトルオープナーと視覚的におおよその類似性があるため、本明細書ではしばしば「トリプルF」フォーマット(scFv-Fab-Fc)または「ボトルオープナー」フォーマットと呼ばれる。以下により十分に記載されるように、ヘテロ二量体抗体の形成を促進する定常領域(例えば、Fcドメイン、CH1ドメインおよび/またはヒンジ領域)におけるアミノ酸変異の使用によって2つの鎖は一緒にされる。
現在の「トリプルF」フォーマットにはいくつかの明確な利点が存在する。当該技術分野で知られているように、2つのscFvコンストラクトに依存する抗体類似体はしばしば安定性および凝集の問題を有し、それは本発明において「通常の」重鎖および軽鎖の対形成の付加により軽減できる。さらに、2つの重鎖と2つの軽鎖に依存するフォーマットとは対照的に、重鎖と軽鎖の誤った対形成(例えば、軽鎖2と対形成する重鎖1など)の問題が存在しない。
本明細書に概説した実施形態の多くは、一般に、scFvリンカー(多くは荷電されているが、全ての場合ではない)を用いて共有連結した可変重鎖および可変軽鎖のドメインを含む、scFvを含む第1の単量体を含むボトルオープナーフォーマットに依存しており、scFvは、第1のFcドメインに通常ドメインリンカーを介して共有連結している(これは、本明細書に概説されるように、非荷電または荷電されていてもよく、外来性または内在性であってもよい(例えば、天然のヒンジドメインの全てまたは部分)。ボトルオープナーフォーマットの第2の単量体は重鎖であり、組成物はさらに軽鎖を含む。
さらに、ボトルオープナーフォーマットのFcドメインは、一般にスキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、任意で荷電scFvリンカー(図8に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、ボトルオープナーフォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態では、以下を含むボトルオープナーフォーマットを含む:a)荷電scFvリンカー(いくつかの実施形態で好ましい、図8の+H配列を有する)、スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、および本明細書に概説される一つの標的に連結するFvを含む第1の単量体(「scFv単量体」)、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、および、可変軽鎖ドメインと共に、本明細書に概説される第2の標的に連結するFvを作製する可変重鎖ドメインを含む、第2の単量体(「Fab単量体」)、c)軽鎖。この特定の実施形態では、適切な単量体Fv対には、ICOS×PD-1、ICOS×PD-L1、ICOS×CTLA-4、ICOS×LAG-3、ICOS×TIM-3、ICOS×BTLA、ICOS×TIGIT、TIGIT×ICOS、PD-1×ICOS、PD-L1×ICOS、CTLA-4×ICOS、LAG-3×ICOS、TIM-3×ICOS、BTLA×ICOS、OX40×TIGIT、OX40×PD-1、OX40×PD-L1、OX40×CTLA-4、OX40×LAG-3、OX40×TIM-3、OX40×BTLA、TIGIT×OX40、PD-1×OX40、PD-L1×OX40、CTLA-4×OX40、LAG-3×OX40、TIM-3×OX40、BTLA×OX40、GITR×TIGIT、GITR×PD-1、GITR×PD-L1、GITR×CTLA-4、GITR×LAG-3、GITR×TIM-3、GITR×BTLA、TIGIT×GITR、PD-1×GITR、PD-L1×GITR、CTLA-4×GITR、LAG-3×GITR、TIM-3×GITR、BTLA×GITR、4-1BB×TIGIT、4-1BB×PD-1、4-1BB×PD-L1、4-1BB×CTLA-4、4-1BB×LAG-3、4-1BB×TIM-3、4-1BB×BTLA、TIGIT×4-1BB、PD-1×4-1BB、PD-L1×4-1BB、CTLA-4×4-1BB、LAG-3×4-1BB、TIM-3×4-1BB、およびBTLA×4-1BBが含まれる(Fabを最初に列挙し、scFvを2番目に列挙する)。
したがって、いくつかの実施形態では、以下を含むボトルオープナーフォーマットを含む:a)荷電scFvリンカー(いくつかの実施形態で好ましい、図8の+H配列を有する)、スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、および本明細書に概説される一つの標的に連結するFvを含む第1の単量体(「scFv単量体」)、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、および、可変軽鎖ドメインと共に、本明細書に概説される第2の標的に連結するFvを作製する可変重鎖ドメインを含む、第2の単量体(「Fab単量体」)、c)軽鎖。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
いくつかの実施形態では、ボトルオープナーフォーマットはスキュー変異、pI変異、除去変異、およびFcRn変異を含む。したがって、いくつかの実施形態では、以下を含むボトルオープナーフォーマットを含む:a)荷電scFvリンカー(いくつかの実施形態で好ましい、図8の+H配列を有する)、スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434S、および本明細書に概説される第1の受容体(共刺激受容体またはチェックポイント受容体のいずれか)に連結するFvを含む第1の単量体(「scFv単量体」)、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434S、および、可変軽鎖ドメインと共に、本明細書に概説される第2の受容体(共刺激受容体またはチェックポイント受容体のうちの他方)に連結するFvを作製する可変重鎖ドメインを含む、第2の単量体(「Fab単量体」)、c)軽鎖。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
具体的には、図9は、本発明において使用され得るFv配列を欠いているいくつかのボトルオープナー「骨格」配列を示す。すなわち、scFv部分およびFab部分のFv配列は、ICOSとPD-1、ICOSとCTLA-4、ICOSとLAG-3、ICOSとTIM-3、ICOSとPD-L1、ICOSとBTLA、ICOSとTIGIT、GITRとTIGIT、GITRとPD-1、GITRとCTLA-4、GITRとLAG-3、GITRとTIM-3、GITRとPD-L1、GITRとBTLA、OX40とPD-1、OX40とTIGIT、OX40とCTLA-4、IC OX40 OSとLAG-3、OX40とTIM-3、OX40とPD-L1、OX40とBTLA、4-1BBとPD-1、4-1BBとCTLA-4、4-1BBとLAG-3、4-1BBとTIM-3、4-1BBとPD-L1、TIGITと4-1BB、および4-1BBとBTLAの任意の組み合わせから使用することができ、骨格1から10のいずれかまたは全てと組み合わせられ、これらの組み合わせで特に骨格1が使用される。
(任意で428L/434Sの変異を含む)図9からのボトルオープナー骨格1に関して、本発明における使用の具体的なFvの組合せには、ICOSとPD-1、ICOSとPD-L1、およびICOSとCTLA-4が含まれる。
(任意で428L/434Sの変異を含む)図9からのボトルオープナー骨格1に関して、ヒトICOSに連結する具体的なABDには、[ICOS]_H0L0および[ICOS]H0.66_L0、ならびに図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものが含まれるがこれらには限定されない。
(任意で428L/434Sの変異を含む)図9からのボトルオープナー骨格1に関して、ヒトGITRに連結する具体的なABDには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
(任意で428L/434Sの変異を含む)図9からのボトルオープナー骨格1に関して、OX40に連結する具体的なABDには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
(任意で428L/434Sの変異を含む)図9からのボトルオープナー骨格1に関して、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
(任意で428L/434Sの変異を含む)図9からのボトルオープナー骨格1に関して、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDには、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432が含まれるがこれらには限定されない。
具体的なボトルオープナーの実施形態は以下に概説される。
B.mAb-Fvフォーマット
本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、mAb-Fvフォーマットである。この実施形態では、フォーマットは、一方の単量体への「追加の」可変重鎖ドメインのC末端連結および他方の単量体への「追加の」可変軽鎖ドメインのC末端連結の使用に依存し、したがって第3抗原連結ドメイン(すなわち「追加の」Fvドメイン)を形成し、2つの単量体のFab部分が1つのチェックポイント標的に連結し、そして「追加の」Fvドメインが共刺激標的に連結する。
この態様において、第1の単量体は、第1の可変重鎖ドメインおよび第1のFcドメインを含む第1の定常重鎖ドメインを含む第1の重鎖を含み、第1の可変軽鎖ドメインはドメインリンカーを用いて第1のFcドメインのC末端に共有連結する(vh1-CH1-ヒンジ-CH2-CH3-[任意のリンカー]-vl2)。第2の単量体は、第2の可変重鎖ドメイン、第2のFcドメインを含む第2の定常重鎖ドメイン、およびドメインリンカーを用いて第2のFcドメインのC末端に共有連結する第3の可変重鎖ドメインを含む(vh1-CH1-ヒンジ-CH2-CH3-[任意のリンカー]-vh2)。この実施形態はさらに、可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む共通の軽鎖を利用し、これらは重鎖と会合して2つの同一のFvを含む2つの同一のFabを形成する。2つのC末端連結可変ドメインは、「追加の」第3のFvを構成する。本明細書中の多くの実施形態に関して、これらのコンストラクトは、本明細書中に所望され記載されるように、スキュー変異、pI変異、除去変異、さらなるFc変異などを含む。この実施形態では、適切なFv対には、ICOS×PD-1、ICOS×PD-L1、ICOS×CTLA-4、ICOS×LAG-3、ICOS×TIM-3、ICOS×BTLA、ICOS×TIGIT、TIGIT×ICOS、PD-1×ICOS、PD-L1×ICOS、CTLA-4×ICOS、LAG-3×ICOS、TIM-3×ICOS、BTLA×ICOS、OX40×TIGIT、OX40×PD-1、OX40×PD-L1、OX40×CTLA-4、OX40×LAG-3、OX40×TIM-3、OX40×BTLA、TIGIT×OX40、PD-1×OX40、PD-L1×OX40、CTLA-4×OX40、LAG-3×OX40、TIM-3×OX40、BTLA×OX40、GITR×TIGIT、GITR×PD-1、GITR×PD-L1、GITR×CTLA-4、GITR×LAG-3、GITR×TIM-3、GITR×BTLA、TIGIT×GITR、PD-1×GITR、PD-L1×GITR、CTLA-4×GITR、LAG-3×GITR、TIM-3×GITR、BTLA×GITR、4-1BB×TIGIT、4-1BB×PD-1、4-1BB×PD-L1、4-1BB×CTLA-4、4-1BB×LAG-3、4-1BB×TIM-3、4-1BB×BTLA、TIGIT×4-1BB、PD-1×4-1BB、PD-L1×4-1BB、CTLA-4×4-1BB、LAG-3×4-1BB、TIM-3×4-1BB、およびBTLA×4-1BBが含まれる(Fabを最初に列挙し、「追加の」Fvを2番目に列挙する)。
これらの組み合わせについてのABD配列は、配列表に開示されている通りでも図に示されている通りでもよい。
さらに、mAb-FvフォーマットのFcドメインは、スキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、任意で荷電scFvリンカー(図8に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、mAb-Fvフォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むmAb-Fvフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖ドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1の受容体(共刺激受容体またはチェックポイント受容体のいずれか)に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖と共に第2の受容体(共刺激またはチェックポイント受容体の他方)に連結するFv(ABD)を構成する第2の可変軽鎖を含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。このフォーマットのいくつかの実施形態において特に有用なものは、(Fab-scFvの順で)ICOS×PD-1、PD-1×ICOS、PD-L1×ICOS、ICOS×PD-L1、GITR×PD-1、OX40×PD-1および4-1BB×PD-1である。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
いくつかの実施形態では、mAb-Fvフォーマットはスキュー変異、pI変異、除去変異、およびFcRn変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むmAb-Fvフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖ドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖と共に第2のチェックポイント阻害剤に連結するFv(ABD)を構成する第2の可変軽鎖を含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。このフォーマットのいくつかの実施形態において特に有用なものは、(Fab-scFvの順で)ICOS×PD-1、ICOS×PD-L1、GITR×PD-1、OX40×PD-1および4-1BB×PD-1である。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1と類似するmAb-Fv配列に関して、ヒトICOSに連結する具体的なABDは、[ICOS]_H0L0および[ICOS]_H0.66_L0、ならびに図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものである。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1と類似するmAb-のFv配列に関して、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDは、図15A~15C、図73、および図78に示されるもの、ならびに配列番号3961~4432に示されるものである。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1と類似するmAb-のFv配列に関して、ヒトGITRに連結する具体的なABDは、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されるものである。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1と類似するmAb-のFv配列に関して、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDは、図16、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26262~2671中のものである。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1と類似するmAb-のFv配列に関して、ヒトOX40に連結する具体的なABDは、図17、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26272~26281に列挙されるものである。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1と類似するmAb-のFv配列に関して、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDは、図15A~15C、図73、および図78からのもの、ならびに配列番号3961~4432からのものである。
C.mAb-scFv
本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、mAb-scFvフォーマットである。この実施形態では、フォーマットは、単量体の1つへのscFvのC末端連結の使用に依存し、したがって第3の抗原連結ドメインを形成し、ここで、2つの単量体のFab部分は1つの受容体標的と連結し、「追加の」scFvドメインは他方の受容体標的(一般的に一価連結した共刺激受容体)に連結する。
この実施形態では、第1の単量体は、いずれかの配向で、scFv可変軽鎖ドメイン、scFvリンカーおよびscFv可変重鎖ドメインを含むC末端共有連結scFvを有する第1の重鎖(可変重鎖ドメインおよび定常ドメインを含む)を含む(vh1-CH1-ヒンジ-CH2-CH3-[任意のリンカー]-vh2-scFvリンカー-vl2またはvh1-CH1-ヒンジ-CH2-CH3-[任意のリンカー]-vl2-scFvリンカー-vh2)。この実施形態はさらに、可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む共通の軽鎖を利用し、これらは重鎖と会合して標的受容体の1つに連結する2つの同一のFabを形成する。本明細書中の多くの実施形態に関して、これらのコンストラクトは、本明細書中に所望され記載されるように、スキュー変異、pI変異、除去変異、さらなるFc変異などを含む。この実施形態では、適切なFv対には、ICOS×PD-1、ICOS×PD-L1、ICOS×CTLA-4、ICOS×LAG-3、ICOS×TIM-3、ICOS×BTLA、ICOS×TIGIT、TIGIT×ICOS、PD-1×ICOS、PD-L1×ICOS、CTLA-4×ICOS、LAG-3×ICOS、TIM-3×ICOS、BTLA×ICOS、OX40×TIGIT、OX40×PD-1、OX40×PD-L1、OX40×CTLA-4、OX40×LAG-3、OX40×TIM-3、OX40×BTLA、TIGIT×OX40、PD-1×OX40、PD-L1×OX40、CTLA-4×OX40、LAG-3×OX40、TIM-3×OX40、BTLA×OX40、GITR×TIGIT、GITR×PD-1、GITR×PD-L1、GITR×CTLA-4、GITR×LAG-3、GITR×TIM-3、GITR×BTLA、TIGIT×GITR、PD-1×GITR、PD-L1×GITR、CTLA-4×GITR、LAG-3×GITR、TIM-3×GITR、BTLA×GITR、4-1BB×TIGIT、4-1BB×PD-1、4-1BB×PD-L1、4-1BB×CTLA-4、4-1BB×LAG-3、4-1BB×TIM-3、4-1BB×BTLA、TIGIT×4-1BB、PD-1×4-1BB、PD-L1×4-1BB、CTLA-4×4-1BB、LAG-3×4-1BB、TIM-3×4-1BB、およびBTLA×4-1BBが含まれる(Fabを最初に列挙し、scFvを2番目に列挙する)。
これらの組み合わせについてのABD配列は、配列表に開示されている通りでも図に示されている通りでもよい。
さらに、mAb-scFvフォーマットのFcドメインは、スキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、任意で荷電scFvリンカー(図8に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、mAb-scFvフォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むボトルオープナーフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の受容体に連結するscFvを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
いくつかの実施形態では、mAb-scFvフォーマットはスキュー変異、pI変異、除去変異、およびFcRn変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むmAb-scFvフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の受容体に連結するscFvを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1において、ヒトICOSに連結する具体的なABDは、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものである。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1において、ヒトGITRに連結する具体的なABDは、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されるものである。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1において、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDは、図16、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26262~2671中のものを含む。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1において、ヒトOX-40に連結する具体的なABDは、図17、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26272~26281に列挙されるものである。
(任意でM428L/N434S含む)図75からのmAb-scFv骨格1において、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDは、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432を含む。
D.中央scFv
本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、中央-scFvフォーマットである。この実施形態では、フォーマットは、挿入されたscFvドメインの使用に依存し、したがって第3の抗原連結ドメインを形成し、ここで、2つの単量体のFab部分は1つの受容体標的と連結し、「追加の」scFvドメインは別のもの(同様に、一般的に一価連結した共刺激受容体)に連結する。scFvドメインは、Fcドメインと単量体のうちの1つのCH1-Fv領域との間に挿入され、したがって第3の抗原連結ドメインを提供する。
この実施形態では、1つの単量体は、scFv可変軽鎖ドメイン、scFvリンカーおよびscFv可変重鎖ドメインを含むscFvと共に、第1の可変重鎖ドメイン、CH1ドメイン(および任意のヒンジ)ならびにFcドメインを含む第1の重鎖を含む。scFvは、任意のドメインリンカーを使用して、重鎖定常ドメインのCH1ドメインのC末端と第1のFcドメインのN末端との間に共有連結している(vh1-CH1-[任意のリンカー]-vh2-scFvリンカー-vl2-[ヒンジを含む任意のリンカー]-CH2-CH3、またはscFvとは逆の配向、vh1-CH1-[任意のリンカー]-vl2-scFvリンカー-vh2-[ヒンジを含む任意のリンカー]-CH2-CH3)。いくつかの実施形態では、任意選択のリンカーはヒンジまたはその断片である。他の単量体は標準的なFab側(例えば、vh1-CH1-ヒンジ-CH2-CH3)である。この実施形態はさらに、可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む共通の軽鎖を利用し、これらは重鎖と会合してチェックポイント阻害剤に連結する2つの同一のFabを形成する。本明細書中の多くの実施形態に関して、これらのコンストラクトは、本明細書中に所望され記載されるように、スキュー変異、pI変異、除去変異、さらなるFc変異などを含む。この実施形態では、適切なFv対には、ICOS×PD-1、ICOS×PD-L1、ICOS×CTLA-4、ICOS×LAG-3、ICOS×TIM-3、ICOS×BTLA、ICOS×TIGIT、TIGIT×ICOS、PD-1×ICOS、PD-L1×ICOS、CTLA-4×ICOS、LAG-3×ICOS、TIM-3×ICOS、BTLA×ICOS、OX40×TIGIT、OX40×PD-1、OX40×PD-L1、OX40×CTLA-4、OX40×LAG-3、OX40×TIM-3、OX40×BTLA、TIGIT×OX40、PD-1×OX40、PD-L1×OX40、CTLA-4×OX40、LAG-3×OX40、TIM-3×OX40、BTLA×OX40、GITR×TIGIT、GITR×PD-1、GITR×PD-L1、GITR×CTLA-4、GITR×LAG-3、GITR×TIM-3、GITR×BTLA、TIGIT×GITR、PD-1×GITR、PD-L1×GITR、CTLA-4×GITR、LAG-3×GITR、TIM-3×GITR、BTLA×GITR、4-1BB×TIGIT、4-1BB×PD-1、4-1BB×PD-L1、4-1BB×CTLA-4、4-1BB×LAG-3、4-1BB×TIM-3、4-1BB×BTLA、TIGIT×4-1BB、PD-1×4-1BB、PD-L1×4-1BB、CTLA-4×4-1BB、LAG-3×4-1BB、TIM-3×4-1BB、およびBTLA×4-1BBが含まれる(Fabを最初に列挙し、scFvを2番目に列挙する)。
これらの組み合わせについてのABD配列は、配列表に開示されている通りでも図に示されている通りでもよい。
さらに、中央scFvフォーマットのFcドメインは、一般にスキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、任意で荷電scFvリンカー(図8に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、中央scFvフォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含む中央scFvフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第2の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
いくつかの実施形態では、中央scFvフォーマットはスキュー変異、pI変異、除去変異、およびFcRn変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含む中央-scFvフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の受容体に連結するscFvドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。この実施形態では、適切なFv対は、ICOS×PD-1、PD-1×ICOS、ICOS×PD-L1、PD-L1×ICOS、ICOS×CTLA-4、およびCTLA-4×ICOSを含む(Fabを最初に列挙し、scFvを2番目に列挙する)。
図55の中央-scFv配列を使用する中央-scFv配列に関して、ICOSに連結する適切なFvは、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものを含むがこれらに限定されない。
図55の中央-scFv配列を使用する中央-scFv配列に関して、PD-L1に連結する適切なFvは、図15A~15C、図73、および図78に示されるもの、ならびに配列番号3961~4432に示されるものを含むがこれらに限定されない。
図55の中央-scFv配列を使用する中央-scFv配列に関して、GITRに連結する適切なFvは、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されるものを含むがこれらに限定されない。
図55の中央-scFv配列を使用する中央-scFv配列に関して、OX40に連結する適切なFvは、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されるものを含むがこれらに限定されない。
図55の中央-scFv配列を使用する中央-scFv配列に関して、4-1BBに連結する適切なFvは、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671を含むがこれらに限定されない。
E.中央-scFv2
本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、二重特異性および三重特異性である、中央-scFv2フォーマットである。この実施形態では、フォーマットは、2つの挿入されたscFvドメインの使用に依存し、したがって第3および第4の抗原連結ドメインを形成し、ここで、2つの単量体のFab部分は1つの受容体標的と連結し、「追加の」scFvドメインは別のものに連結する。scFvドメインは、単量体のFcドメインとCH1-Fv領域の間に挿入されている。
この実施形態では、両方の単量体は、scFv可変軽鎖ドメイン、scFvリンカーおよびscFv可変重鎖ドメインを含むscFvと共に、第1の可変重鎖ドメイン、CH1ドメイン(および任意のヒンジ)ならびにFcドメインを含む第1の重鎖を含む。scFvは、任意のドメインリンカーを使用して、重鎖定常ドメインのCH1ドメインのC末端と第1のFcドメインのN末端との間に共有連結している(vh1-CH1-[任意のリンカー]-vh2-scFvリンカー-vl2-[ヒンジを含む任意のリンカー]-CH2-CH3、またはscFvとは逆の配向、vh1-CH1-[任意のリンカー]-vl2-scFvリンカー-vh2-[ヒンジを含む任意のリンカー]-CH2-CH3)。いくつかの実施形態では、任意選択のリンカーはヒンジまたはその断片である。この実施形態はさらに、可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む共通の軽鎖を利用し、これらは重鎖と会合して受容体に連結する2つの同一のFabを形成する。本明細書中の多くの実施形態に関して、これらのコンストラクトは、本明細書中に所望され記載されるように、スキュー変異、pI変異、除去変異、さらなるFc変異などを含む。この実施形態では、適切なFv対には、ICOS×PD-1、ICOS×PD-L1、ICOS×CTLA-4、ICOS×LAG-3、ICOS×TIM-3、ICOS×BTLA、ICOS×TIGIT、TIGIT×ICOS、PD-1×ICOS、PD-L1×ICOS、CTLA-4×ICOS、LAG-3×ICOS、TIM-3×ICOS、BTLA×ICOS、OX40×TIGIT、OX40×PD-1、OX40×PD-L1、OX40×CTLA-4、OX40×LAG-3、OX40×TIM-3、OX40×BTLA、TIGIT×OX40、PD-1×OX40、PD-L1×OX40、CTLA-4×OX40、LAG-3×OX40、TIM-3×OX40、BTLA×OX40、GITR×TIGIT、GITR×PD-1、GITR×PD-L1、GITR×CTLA-4、GITR×LAG-3、GITR×TIM-3、GITR×BTLA、TIGIT×GITR、PD-1×GITR、PD-L1×GITR、CTLA-4×GITR、LAG-3×GITR、TIM-3×GITR、BTLA×GITR、4-1BB×TIGIT、4-1BB×PD-1、4-1BB×PD-L1、4-1BB×CTLA-4、4-1BB×LAG-3、4-1BB×TIM-3、4-1BB×BTLA、TIGIT×4-1BB、PD-1×4-1BB、PD-L1×4-1BB、CTLA-4×4-1BB、LAG-3×4-1BB、TIM-3×4-1BB、およびBTLA×4-1BBが含まれる(Fabを最初に列挙し、scFvを2番目に列挙する)。
これらの組み合わせについてのABD配列は、配列表に開示されている通りでも図に示されている通りでもよい。
さらに、中央scFv2フォーマットのFcドメインは、一般にスキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、任意で荷電scFvリンカー(図8に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、中央scFv2フォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含む中央scFvフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第2の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
いくつかの実施形態では、中央scFv2フォーマットはスキュー変異、pI変異、除去変異、およびFcRn変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含む中央-scFvフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の受容体に連結するscFvドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。この実施形態では、適切なFv対は、ICOS×PD-1、PD-1×ICOS、ICOS×PD-L1、PD-L1×ICOS、ICOS×CTLA-4、およびCTLA-4×ICOSを含む(Fabを最初に列挙し、scFvを2番目に列挙する)。
図55の中央-scFv2配列を使用する中央-scFv2配列に関して、ICOSに連結する適切なFvは、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものを含むがこれらに限定されない。
図55の中央-scFv2配列を使用する中央-scFv2配列に関して、PD-L1に連結する適切なFvは、図15A~15C、図73、および図78に示されるもの、ならびに配列番号3961~4432に示されるものを含むがこれらに限定されない。
図55の中央-scFv配列を使用する中央-scFv2配列に関して、GITRに連結する適切なFvは、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されるものを含むがこれらに限定されない。
図55の中央-scFv配列を使用する中央-scFv2配列に関して、OX40に連結する適切なFvは、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されるものを含むがこれらに限定されない。
図55の中央-scFv配列を使用する中央-scFv2配列に関して、4-1BBに連結する適切なFvは、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671を含むがこれらに限定されない。
F.1アームのmAb
上記のように、驚くべきことにそして予想外に、標的に対する単一のABDを含む一価の共刺激抗体は、T細胞を活性化するのに有効性を示す。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、(安定性のために)ヘテロ二量体Fcドメインを含む図の図2Nに示すような、一価の単一特異性抗体を提供する。この実施形態では、この実施形態では、一方の単量体はFcドメインのみを含み、他方の単量体はHC(VH1-CH1-ヒンジ-CH2-CH3)である。この実施形態はさらに、可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖を利用し、これらは重鎖と会合してFabを形成する。本明細書中の多くの実施形態に関して、これらのコンストラクトは、本明細書中に所望され記載されるように、スキュー変異、pI変異、除去変異、さらなるFc変異などを含む。この実施形態において、適切なABDは、ICOS、GITR、OX40、または4-1BBなどの共刺激受容体に連結する。
これらの組み合わせについてのABD配列は、配列表に開示されている通りでも図に示されている通りでもよい。
さらに、Fcドメインは、一般にスキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、1アームのscFv-mAbフォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含む第1の(Fc)単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような共刺激受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第2の単量体。
このフォーマットにおいて、ヒトICOSに連結する具体的なABDには、[ICOS]_H0L0および[ICOS]H0.66_L0、ならびに図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトGITRに連結する具体的なABDには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、OX40に連結する具体的なABDには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDには、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432が含まれるがこれらには限定されない。
具体的な「1アームのmAb」は、図面および配列表に示されている。
G.二重特異性mAb
本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、二重特異性および三重特異性である、二重特異性mAbフォーマットである。この実施形態では、フォーマットは、その後組み換えられる別々のホモ二量体抗体の作製に依存する。このフォーマットでは、1つのHC-LC対(VH1-CH1-ヒンジ-CH2-CH3およびVL1-LC)と第2のHc-LC対(VH2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3およびVL2-LC)、例えば2つの異なる重鎖と2つの異なる軽鎖が存在する。実施例5I(d)を参照する。
このフォーマットでは、適切な対は、ICOSとPD-1、ICOSとCTLA-4、ICOSとLAG-3、ICOSとTIM-3、ICOSとPD-L1、ICOSとBTLA、ICOSとTIGIT、GITRとTIGIT、GITRとPD-1、GITRとCTLA-4、GITRとLAG-3、GITRとTIM-3、GITRとPD-L1、GITRとBTLA、OX40とPD-1、OX40とTIGIT、OX40とCTLA-4、IC OX40 OSとLAG-3、OX40とTIM-3、OX40とPD-L1、OX40とBTLA、4-1BBとPD-1、4-1BBとCTLA-4、4-1BBとLAG-3、4-1BBとTIM-3、4-1BBとPD-L1、TIGITと4-1BB、および4-1BBとBTLAを含む。
このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129と組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
このフォーマットにおいて、ヒトICOSに連結する具体的なABDには、[ICOS]_H0L0および[ICOS]H0.66_L0、ならびに図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトGITRに連結する具体的なABDには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、OX40に連結する具体的なABDには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDには、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432が含まれるがこれらには限定されない。
H.中央-Fvフォーマット
本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、図2に示される中央-Fvフォーマットである。この実施形態では、フォーマットは、挿入されたFvドメインの使用に依存し、したがって「追加の」第3の抗原連結ドメインを形成し、ここで、2つの単量体のFab部分は1つの受容体と連結し、「追加の」中央-Fvドメインは別のもの(一般的に、共刺激受容体)に連結する。Fvドメインは、単量体のFcドメインとCH1-Fv領域との間に挿入され、したがって第3の抗原連結ドメインを提供し、ここで各単量体はFvの構成要素を含む(例えば、一方の単量体は可変重鎖ドメインを含み、他方は「追加の」中央Fvドメインのドメインの可変軽鎖を含む)。
この実施形態において、1つの単量体は、第1の可変重鎖ドメイン、CH1ドメイン、およびFcドメインを含む第1の重鎖、およびさらなる可変軽鎖ドメインを含む。さらなる可変軽鎖ドメインは、ドメインリンカーを用いて、重鎖定常ドメインのCH1ドメインのC末端と第1のFcドメインのN末端との間に共有連結している(vh1-CH1-[任意のリンカー]-vl2-ヒンジ-CH2-CH3)。他の単量体は、第1の可変重鎖ドメイン、CH1ドメイン、およびFcドメインを含む第1の重鎖、およびさらなる可変重鎖ドメインを含む(vh1-CH1-[任意のリンカー]-vh2-ヒンジ-CH2-CH3)。さらなる可変重鎖ドメインのドメインは、ドメインリンカーを用いて、重鎖定常ドメインのCH1ドメインのC末端と第1のFcドメインのN末端との間に共有連結している。この実施形態は、可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む共通の軽鎖を利用し、これは重鎖と会合して各々が受容体に連結する2つの同一のFabを形成する。さらなる可変重鎖ドメインおよびさらなる可変軽鎖ドメインは、第2の受容体に連結する「追加の」中央Fvを形成する。本明細書中の多くの実施形態に関して、これらのコンストラクトは、本明細書中に所望され記載されるように、スキュー変異、pI変異、除去変異、さらなるFc変異などを含む。この実施形態では、適切なFv対には、ICOS×PD-1、ICOS×PD-L1、ICOS×CTLA-4、ICOS×LAG-3、ICOS×TIM-3、ICOS×BTLA、ICOS×TIGIT、TIGIT×ICOS、PD-1×ICOS、PD-L1×ICOS、CTLA-4×ICOS、LAG-3×ICOS、TIM-3×ICOS、BTLA×ICOS、OX40×TIGIT、OX40×PD-1、OX40×PD-L1、OX40×CTLA-4、OX40×LAG-3、OX40×TIM-3、OX40×BTLA、TIGIT×OX40、PD-1×OX40、PD-L1×OX40、CTLA-4×OX40、LAG-3×OX40、TIM-3×OX40、BTLA×OX40、GITR×TIGIT、GITR×PD-1、GITR×PD-L1、GITR×CTLA-4、GITR×LAG-3、GITR×TIM-3、GITR×BTLA、TIGIT×GITR、PD-1×GITR、PD-L1×GITR、CTLA-4×GITR、LAG-3×GITR、TIM-3×GITR、BTLA×GITR、4-1BB×TIGIT、4-1BB×PD-1、4-1BB×PD-L1、4-1BB×CTLA-4、4-1BB×LAG-3、4-1BB×TIM-3、4-1BB×BTLA、TIGIT×4-1BB、PD-1×4-1BB、PD-L1×4-1BB、CTLA-4×4-1BB、LAG-3×4-1BB、TIM-3×4-1BB、およびBTLA×4-1BBが含まれる(Fabを最初に列挙し、「追加の」中央Fvを2番目に列挙する)。
これらの組み合わせについてのABD配列は、配列表に開示されている通りでも図に示されている通りでもよい。
さらに、中央-FvフォーマットのFcドメインは、一般にスキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、任意で荷電scFvリンカー(図8に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、中央-Fvフォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含む中央scFvフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第2の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
いくつかの実施形態では、中央-Fvフォーマットはスキュー変異、pI変異、除去変異、およびFcRn変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含む中央-scFvフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の受容体に連結するscFvドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメインを含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。この実施形態では、適切なFv対は、ICOS×PD-1、PD-1×ICOS、ICOS×PD-L1、PD-L1×ICOS、ICOS×CTLA-4、およびCTLA-4×ICOSを含む(Fabを最初に列挙し、scFvを2番目に列挙する)。
中央-Fvフォーマットに関して、ICOSに連結する適切なFvは、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものを含むがこれらに限定されない。
中央-Fvフォーマットに関して、PD-L1に連結する適切なFvは、図15A~15C、図73、および図78に示されるもの、ならびに配列番号3961~4432に示されるものを含むがこれらに限定されない。
中央-Fvフォーマットに関して、GITRに連結する適切なFvには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
中央-Fvフォーマットに関して、OX40に連結する適切なFvには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
中央-Fvフォーマットに関して、4-1BBに連結する適切なFvには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
中央-FVフォーマットに関して、PD-L1に連結する適切なFvは、図15A~15C、図73、および図78のもの、ならびに配列番号3961~4432のものを含むがこれらに限定されない。
I.1アームの中央-scFv
本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、図1Cに示される1アームの中央-scFvフォーマットである。この実施形態では、一方の単量体はFcドメインのみを含み、他方の単量体はFabドメイン(第1の抗原連結ドメイン)、scFvドメイン(第2の抗原連結ドメイン)、およびFcドメインを含み、ここでscFvドメインはFcドメインとFcドメインの間に挿入されている。このフォーマットでは、Fab部分は1つの受容体標的に連結し、scFvは別のものに連結する。
この実施形態では、1つの単量体は、scFv可変軽鎖ドメイン、scFvリンカーおよびscFv可変重鎖ドメインを含むscFvと共に、第1の可変重鎖ドメイン、CH1ドメインおよびFcドメインを含む第1の重鎖を含む。scFvは、VH1-CH1-[任意のドメインリンカー]-VH2-scFvリンカー-VL2-[任意のドメインリンカー]-CH2-CH3、または、VH1-CH1-[任意のドメインリンカー]-VL2-scFvリンカー-VH2-[任意のドメインリンカー]-CH2-CH3のいずれかの配向で、ドメインリンカーを使用して、重鎖定常ドメインのCH1ドメインのC末端と第1のFcドメインのN末端との間に共有連結している。第2の単量体は、Fcドメイン(CH2-CH3)を含む。この実施形態はさらに、可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖を利用し、これらは重鎖と会合してFabを形成する。本明細書中の多くの実施形態に関して、これらのコンストラクトは、本明細書中に所望され記載されるように、スキュー変異、pI変異、除去変異、さらなるFc変異などを含む。この実施形態では、適切なFv対には、ICOS×PD-1、ICOS×PD-L1、ICOS×CTLA-4、ICOS×LAG-3、ICOS×TIM-3、ICOS×BTLA、ICOS×TIGIT、TIGIT×ICOS、PD-1×ICOS、PD-L1×ICOS、CTLA-4×ICOS、LAG-3×ICOS、TIM-3×ICOS、BTLA×ICOS、OX40×TIGIT、OX40×PD-1、OX40×PD-L1、OX40×CTLA-4、OX40×LAG-3、OX40×TIM-3、OX40×BTLA、TIGIT×OX40、PD-1×OX40、PD-L1×OX40、CTLA-4×OX40、LAG-3×OX40、TIM-3×OX40、BTLA×OX40、GITR×TIGIT、GITR×PD-1、GITR×PD-L1、GITR×CTLA-4、GITR×LAG-3、GITR×TIM-3、GITR×BTLA、TIGIT×GITR、PD-1×GITR、PD-L1×GITR、CTLA-4×GITR、LAG-3×GITR、TIM-3×GITR、BTLA×GITR、4-1BB×TIGIT、4-1BB×PD-1、4-1BB×PD-L1、4-1BB×CTLA-4、4-1BB×LAG-3、4-1BB×TIM-3、4-1BB×BTLA、TIGIT×4-1BB、PD-1×4-1BB、PD-L1×4-1BB、CTLA-4×4-1BB、LAG-3×4-1BB、TIM-3×4-1BB、およびBTLA×4-1BBが含まれる(Fabを最初に列挙し、scFvを2番目に列挙する)。
これらの組み合わせについてのABD配列は、配列表に開示されている通りでも図に示されている通りでもよい。
さらに、1アームの中央-scFvフォーマットのFcドメインは、一般にスキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、任意で荷電scFvリンカー(図8に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、1アームの中央-scFvフォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、軽鎖の可変軽鎖ドメインと共に、第1の受容体に連結するFvを構成する可変重鎖ドメイン、および他の受容体に連結するscFvを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
いくつかの実施形態では、1アームの中央-scFvフォーマットはスキュー変異、pI変異、除去変異、およびFcRn変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1の受容体に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の受容体に連結するscFvドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。
このフォーマットにおいて、ヒトICOSに連結する具体的なABDには、[ICOS]_H0L0および[ICOS]H0.66_L0、ならびに図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトGITRに連結する具体的なABDには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、OX40に連結する具体的なABDには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDには、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432が含まれるがこれらには限定されない。
J.1アームのscFv-mAb
本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、図2Dに示される1アームのscFv-mAbフォーマットである。この実施形態では、一方の単量体はFcドメインのみを含み、他方の単量体は、一般にリンカーを使用することによって重鎖のN末端に連結したscFvドメインを使用する:vh1-scFvリンカー-vl1-[任意のドメインリンカー]-VH2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3または(反対の配向で)vl1-scFvリンカー-vh1-[任意のドメインリンカー]-VH2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3。このフォーマットでは、いずれかのFab部分は1つの受容体標的に連結し、scFvは別のものに連結する。この実施形態はさらに、可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖を利用し、これらは重鎖と会合してFabを形成する。本明細書中の多くの実施形態に関して、これらのコンストラクトは、本明細書中に所望され記載されるように、スキュー変異、pI変異、除去変異、さらなるFc変異などを含む。この実施形態では、適切なFv対には、ICOS×PD-1、ICOS×PD-L1、ICOS×CTLA-4、ICOS×LAG-3、ICOS×TIM-3、ICOS×BTLA、ICOS×TIGIT、TIGIT×ICOS、PD-1×ICOS、PD-L1×ICOS、CTLA-4×ICOS、LAG-3×ICOS、TIM-3×ICOS、BTLA×ICOS、OX40×TIGIT、OX40×PD-1、OX40×PD-L1、OX40×CTLA-4、OX40×LAG-3、OX40×TIM-3、OX40×BTLA、TIGIT×OX40、PD-1×OX40、PD-L1×OX40、CTLA-4×OX40、LAG-3×OX40、TIM-3×OX40、BTLA×OX40、GITR×TIGIT、GITR×PD-1、GITR×PD-L1、GITR×CTLA-4、GITR×LAG-3、GITR×TIM-3、GITR×BTLA、TIGIT×GITR、PD-1×GITR、PD-L1×GITR、CTLA-4×GITR、LAG-3×GITR、TIM-3×GITR、BTLA×GITR、4-1BB×TIGIT、4-1BB×PD-1、4-1BB×PD-L1、4-1BB×CTLA-4、4-1BB×LAG-3、4-1BB×TIM-3、4-1BB×BTLA、TIGIT×4-1BB、PD-1×4-1BB、PD-L1×4-1BB、CTLA-4×4-1BB、LAG-3×4-1BB、TIM-3×4-1BB、およびBTLA×4-1BBが含まれる(Fabを最初に列挙し、scFvを2番目に列挙する)。
これらの組み合わせについてのABD配列は、配列表に開示されている通りでも図に示されている通りでもよい。
さらに、Fcドメインは、一般にスキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、任意で荷電scFvリンカー(図8に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、1アームのscFv-mAbフォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖ドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖と共に第2のチェックポイント阻害剤に連結するFv(ABD)を構成する第2の可変軽鎖を含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
いくつかの実施形態では、1アームのscFv-mAbフォーマットはスキュー変異、pI変異、除去変異、およびFcRn変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むボトルオープナーフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖ドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖と共に第2のチェックポイント阻害剤に連結するFv(ABD)を構成する第2の可変軽鎖を含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。
このフォーマットにおいて、ヒトICOSに連結する具体的なABDには、[ICOS]_H0L0および[ICOS]H0.66_L0、ならびに図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトGITRに連結する具体的なABDには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、OX40に連結する具体的なABDには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDには、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432が含まれるがこれらには限定されない。
K.scFv-mAbフォーマット
本発明において特に使用される1つのヘテロ二量体足場は、図2Eに示されるmAb-scFvフォーマットである。この実施形態では、フォーマットは、単量体の1つへのscFvのN末端連結の使用に依存し、したがって第3の抗原連結ドメインを形成し、ここで、2つの単量体のFab部分は各々が1つの標的と連結し、「追加の」scFvドメインは異なる標的に連結する。
この実施形態では、第1の単量体は、いずれかの配向で、scFv可変軽鎖ドメイン、scFvリンカーおよびscFv可変重鎖ドメインを含むN末端共有連結scFvを有する第1の重鎖(可変重鎖ドメインおよび定常ドメインを含む)を含む((vh1-scFvリンカー-vl1-[任意のドメインリンカー]-vh2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3)または(反対の配向のscFvと共に)((vl1-scFvリンカー-vh1-[任意のドメインリンカー]-vh2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3))。第2の単量体は、重鎖VH20CH1-ヒンジ-CH2-CH3を含む。この実施形態はさらに、可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む共通の軽鎖を利用し、これは重鎖と会合して標的抗原の1つに連結する2つの同一のFabを形成する。本明細書中の多くの実施形態に関して、これらのコンストラクトは、本明細書中に所望され記載されるように、スキュー変異、pI変異、除去変異、さらなるFc変異などを含む。この実施形態では、適切なFv対には、ICOS×PD-1、ICOS×PD-L1、ICOS×CTLA-4、ICOS×LAG-3、ICOS×TIM-3、ICOS×BTLA、ICOS×TIGIT、TIGIT×ICOS、PD-1×ICOS、PD-L1×ICOS、CTLA-4×ICOS、LAG-3×ICOS、TIM-3×ICOS、BTLA×ICOS、OX40×TIGIT、OX40×PD-1、OX40×PD-L1、OX40×CTLA-4、OX40×LAG-3、OX40×TIM-3、OX40×BTLA、TIGIT×OX40、PD-1×OX40、PD-L1×OX40、CTLA-4×OX40、LAG-3×OX40、TIM-3×OX40、BTLA×OX40、GITR×TIGIT、GITR×PD-1、GITR×PD-L1、GITR×CTLA-4、GITR×LAG-3、GITR×TIM-3、GITR×BTLA、TIGIT×GITR、PD-1×GITR、PD-L1×GITR、CTLA-4×GITR、LAG-3×GITR、TIM-3×GITR、BTLA×GITR、4-1BB×TIGIT、4-1BB×PD-1、4-1BB×PD-L1、4-1BB×CTLA-4、4-1BB×LAG-3、4-1BB×TIM-3、4-1BB×BTLA、TIGIT×4-1BB、PD-1×4-1BB、PD-L1×4-1BB、CTLA-4×4-1BB、LAG-3×4-1BB、TIM-3×4-1BB、およびBTLA×4-1BBが含まれる(Fabを最初に列挙し、scFvを2番目に列挙する)。
これらの組み合わせについてのABD配列は、配列表または図に開示されている通りでよい。
さらに、scFv-mAbフォーマットのFcドメインは、一般にスキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、任意で荷電scFvリンカー(図8に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、mAb-scFvフォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むボトルオープナーフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖ドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖と共に第2のチェックポイント阻害剤に連結するFv(ABD)を構成する第2の可変軽鎖を含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
いくつかの実施形態では、mAb-scFvフォーマットはスキュー変異、pI変異、除去変異、およびFcRn変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むボトルオープナーフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、軽鎖の第1の可変軽鎖ドメインと共に、第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖ドメインを含む第1の単量体、b)スキュー変異L368D/K370S、pI変異N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、FcRn変異M428L/N434Sを含み、第1の可変軽鎖ドメインと共に、本明細書で概説されるような第1のチェックポイント阻害剤に連結するFvを構成する第1の可変重鎖ドメイン、および第2の可変重鎖と共に第2のチェックポイント阻害剤に連結するFv(ABD)を構成する第2の可変軽鎖を含む第2の単量体、ならびにc)第1の可変軽鎖ドメインおよび定常軽鎖ドメインを含む軽鎖。
このフォーマットにおいて、ヒトICOSに連結する具体的なABDには、[ICOS]_H0L0および[ICOS]H0.66_L0、ならびに図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトGITRに連結する具体的なABDには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、OX40に連結する具体的なABDには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDには、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432が含まれるがこれらには限定されない。
L.デュアルscFvフォーマット
本発明はまた、当該技術分野で公知であり、図2Bに示されているようなデュアルscFvフォーマットを提供する。この実施形態において、ヘテロ二量体二重特異性抗体は、2つのscFv-Fc単量体から作製される(両方ともが(vh-scFvリンカー-vl-[任意のドメインリンカー]-CH2-CH3)フォーマットまたは(vl-scFvリンカー-vh-[任意のドメインリンカー]-CH2-CH3)フォーマットであるか、または一方の単量体が一方の配向に、他方が他方の配向である。
この場合、全てのABDはscFvフォーマットであり、ICOSとPD-1、ICOSとCTLA-4、ICOSとLAG-3、ICOSとTIM-3、ICOSとPD-L1、ICOSとBTLA、GITRとPD-1、GITRとCTLA-4、GITRとLAG-3、GITRとTIM-3、GITRとPD-L1、GITRとBTLA、OX40とPD-1、OX40とCTLA-4、OX40とLAG-3、OX40とTIM-3、OX40とPD-L1、OX40とBTLA、4-1BBとPD-1、4-1BBとCTLA-4、4-1BBとLAG-3、4-1BBとTIM-3、4-1BBとPD-L1、および4-1BBとBTLAのいずれかの組み合わせが有用である。これらの組み合わせについてのABD配列は、配列表に開示されている通りでも図に示されている通りでもよい。
さらに、デュアルscFvフォーマットのFcドメインは、一般にスキュー変異(例えば、図4に示されるような1セットのアミノ酸置換)を含み、特に有用なスキュー変異は、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/E360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択され、任意で除去変異(図6に示すものを含む)を含み、任意で荷電scFvリンカー(図8に示すものを含む)を含み、重鎖はpI変異(図5に示すものを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、デュアルscFvフォーマットはスキュー変異、pI変異、および除去変異を含む。したがって、いくつかの実施形態は、以下を含むフォーマットを含む:a)スキュー変異S364K/E357Q、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、および第1の受容体に連結するscFvを含む第1の単量体(VH1-scFvリンカー-VL1-[任意のドメインリンカー-CH2-CH3またはVL1-scFvリンカー-VH1-[任意のドメインリンカー]-CH2-CH3)、ならびにb)スキュー変異L368D/K370S、除去変異E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、および第1の受容体に連結するscFvを含む第1の単量体(VH1-scFvリンカー-VL1-[任意のドメインリンカー]-CH2-CH3またはVL1-scFvリンカー-VH1-[任意のドメインリンカー]-CH2-CH3)。pI変異は、本明細書に概説されるようなものであり得るが、最も一般的なものは、各単量体が反対の電荷の荷電scFvリンカーである。FcRn変異、特に428L/434Sを任意に含めることができる。このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129と組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含み、FvはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含み、FvはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含み、ABDはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含み、ABDは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
このフォーマットにおいて、ヒトICOSに連結する具体的なABDには、[ICOS]_H0L0および[ICOS]H0.66_L0、ならびに図19、図20、図24、図68、および図77に示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトGITRに連結する具体的なABDには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、OX40に連結する具体的なABDには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDには、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432が含まれるがこれらには限定されない。
M.非ヘテロ二量体二重特異性抗体
当業者によって理解されるように、本明細書で概説のFv配列はまた、単一特異性抗体(例えば、「従来のモノクローナル抗体」)または非ヘテロ二重特異性フォーマットの両方で使用することができる(図2J、K、およびLを参照)。
このフォーマットにおいて、ヒトICOSに連結する具体的なABDには、[ICOS]_H0L0および[ICOS]H0.66_L0、ならびに図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトGITRに連結する具体的なABDには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、OX40に連結する具体的なABDには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDには、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432が含まれるがこれらには限定されない。
適切な非ヘテロ二量体二重特異性フォーマットは当該技術分野において公知であり、Spiess et al.、Spiess et al.,Molecular Immunology(67):95-106 (2015)およびKontermann,mAbs 4:2,182-197(2012)に概して示されているようないくつかの異なるフォーマットを含み、これらの両方は、参照により、特にその中のフォーマットに対する図、図説および引用について、明示的に組み込まれる。
N.DVD-Igフォーマット
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、一般に、米国特許第7,612,181号に記載されているような「二重可変ドメイン-Ig」または「DVD-Ig(商標)」フォーマットにあり(図2Lを参照)、その全ての内容は、特にその中の図および図説について、参照により本明細書に組み込まれる。DVD-Igフォーマットでは、抗体は四価で二重特異性であり、4本の鎖、すなわち2本のホモ二量体重鎖および2本の同一軽鎖を含む。重鎖はそれぞれVH1-(任意のリンカー)-VH2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3構造を有し、2本の軽鎖はそれぞれVL1-任意のリンカー-VL2-CL構造を有し、VH1およびVL1は第1のABDを形成し、VH2およびVL2は第2のABDを形成し、ここで第1および第2のABDは共刺激受容体およびチェックポイント受容体に連結する。この実施形態では、適切な組み合わせは、ICOSとPD-1、ICOSとCTLA-4、ICOSとLAG-3、ICOSとTIM-3、ICOSとPD-L1、ICOSとBTLA、GITRとPD-1、GITRとCTLA-4、GITRとLAG-3、GITRとTIM-3、GITRとPD-L1、GITRとBTLA、OX40とPD-1、OX40とCTLA-4、OX40とLAG-3、OX40とTIM-3、OX40とPD-L1、OX40とBTLA、4-1BBとPD-1、4-1BBとCTLA-4、4-1BBとLAG-3、4-1BBとTIM-3、4-1BBとPD-L1、および4-1BBとBTLAを含む。
DVD-Ig(商標)および中央-scFv2は、二重特異性および四価であり、したがって一価様式で共刺激受容体に連結しない2つのフォーマットである。例示的なDVD-Ig(商標)コンストラクトは、図61に示される。
このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129と組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279およびGITRに連結するABDを含む。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279およびOX40に連結するABDを含む。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279およびICOSに連結するABDを含む。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279および4-1BBに連結するABDを含む。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
このフォーマットにおいて、ヒトICOSに連結する具体的なABDには、[ICOS]_H0L0および[ICOS]H0.66_L0、ならびに図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトGITRに連結する具体的なABDには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、OX40に連結する具体的なABDには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDには、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432が含まれるがこれらには限定されない。
O.トライデントフォーマット
いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、概してWO2015/184203に記載されている「トライデント」フォーマットであり、その全ての内容、特に、図、図説、定義、ならびに「K-コイル」および「E-コイル」配列を含む「ヘテロ二量体促進ドメイン」または「HPD」の配列は、参照により本明細書に組み込まれる。トライデントは、構造の構成要素として、会合してヘテロ二量体構造を形成する2つの異なるHPDをし硫黄することに依存し、図2Mを参照できる。この実施形態において、トライデントフォーマットは、「従来の」重鎖および軽鎖(例えば、VH1-CH1-ヒンジ-CH2-CH3およびVL1-CL)、第1の「ディアボディ型連結ドメイン」または「DART(登録商標)」を含む第3の鎖、VH2-(リンカー)-VL3-HPD1、ならびに第2のDART(登録商標)を含む第4の鎖、VH3-(リンカー)-(リンカー)-VL2-HPD2を含む。VH1およびVL1は第1のABDを形成し、VH2およびVL2は第2のABDを形成し、そしてVH3およびVL3は第3のABDを形成する。図2Mに示されているように、いくつかのケースでは、第2および第3のABDは同一の抗原、この例では一般的にチェックポイント受容体に、例えば二価で連結し、第1のABDは、共刺激受容体に一価で連結する。この実施形態では、適切な組み合わせは、ICOSとPD-1、ICOSとCTLA-4、ICOSとLAG-3、ICOSとTIM-3、ICOSとPD-L1、ICOSとBTLA、GITRとPD-1、GITRとCTLA-4、GITRとLAG-3、GITRとTIM-3、GITRとPD-L1、GITRとBTLA、OX40とPD-1、OX40とCTLA-4、OX40とLAG-3、OX40とTIM-3、OX40とPD-L1、OX40とBTLA、4-1BBとPD-1、4-1BBとCTLA-4、4-1BBとLAG-3、4-1BBとTIM-3、4-1BBとPD-L1、および4-1BBとBTLAを含む。
このフォーマットのこれらの変異を有するいくつかの特定の実施形態において:
(1)フォーマットが、[ICOS]H0.66_L0のABDを有するICOSに連結するFab ABDを含む。
(2)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFv ABDと組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(3)フォーマットが、CTLA-4に連結するABD H3.23_L0.129を含むscFvと組み合わせたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(4)フォーマットが、LAG-3に連結するABD 7G8_H.303_L1.34と組み合わされたH0.66_L0のICOS ABDを含む。
(5)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはGITRに連結する。
(6)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはOX40に連結する。
(7)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、FabはICOSに連結する。
8)フォーマットが、PD-1に連結するABD 1G6_L1.194_H1.279を含むscFvを含み、Fabは4-1BBに連結する。
(9)フォーマットが、ICOSに連結するH0.66_L0のABDおよびPD-L1に連結するABDを含む。
このフォーマットにおいて、ヒトICOSに連結する具体的なABDには、[ICOS]_H0L0および[ICOS]H0.66_L0、ならびに図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77Bに示されるもの、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示されるものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトGITRに連結する具体的なABDには、図18、図72、および図73中のもの、ならびに配列番号26282~26290に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、OX40に連結する具体的なABDには、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に列挙されたものが含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒト4-1BBに連結する具体的なABDには、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671が含まれるがこれらには限定されない。
このフォーマットにおいて、ヒトPD-L1に連結する具体的なABDには、図15A~15C、図73、および図78、ならびに配列番号3961~4432が含まれるがこれらには限定されない。
P.単一特異性、モノクローナル抗体
当業者によって理解されるように、本明細書で概説の新規のFv配列はまた、単一特異性抗体(例えば、「従来のモノクローナル抗体」)または非ヘテロ二重特異性フォーマットの両方で使用することができる。したがって、本発明は、一般にIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の定常領域、IgG1、IgG2、およびIgG4(S228Pのアミノ酸置換を含むIgG4定常領域を含む)を有する、図からの6つのCDRならびに/またはvhおよびvl配列を含むモノクローナル(単一特異性)抗体を提供し、いくつかの実施形態において特に使用される。すなわち、「H_L」指定を有する本明細書中の任意の配列は、ヒトIgG1抗体の定常領域に連結され得る。
VIII.標的抗原に対する抗原連結ドメイン(ABD)
本発明の二重特異性抗体は、概して図2に示すように、二価二重特異性フォーマットまたは三価二重特異性フォーマットのいずれかで、2つの異なる標的受容体抗原(「標的対」)に連結する2つの異なる抗原連結ドメイン(ABD)を有する。
二重特異性抗体は、チェックポイント受容体を含む第1の標的抗原および共刺激受容体を含む第2の標的抗原に連結する。本明細書に概説される適切なチェックポイント受容体には、PD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3、CTLA-4、BTLA、およびTIGITが含まれる。本明細書に概説される適切な共刺激受容体としては、ICOS、GITR、OX40、および4-1BBが含まれる。概説したように
適切な標的チェックポイント抗原には、ヒト(および場合によってはカニクイザル)PD-1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、TIGIT、およびBTLA(配列表の配列)が含まれる。したがって、適切な二重特異性抗体は、ICOSとPD-1、ICOSとCTLA-4、ICOSとLAG-3、ICOSとTIM-3、ICOSとPD-L1、ICOSとBTLA、ICOSとTIGIT、GITRとTIGIT、GITRとPD-1、GITRとCTLA-4、GITRとLAG-3、GITRとTIM-3、GITRとPD-L1、GITRとBTLA、OX40とPD-1、OX40とTIGIT、OX40とCTLA-4、IC OX40 OSとLAG-3、OX40とTIM-3、OX40とPD-L1、OX40とBTLA、4-1BBとPD-1、4-1BBとCTLA-4、4-1BBとLAG-3、4-1BBとTIM-3、4-1BBとPD-L1、TIGITと4-1BB、および4-1BBとBTLAに連結する。
一般に、これらの二重特異性抗体は「抗PD-1×抗CTLA-4」と呼ばれるか、または一般に単純にまたは簡単のために(したがって交換可能に)各対について「PD-1×CTLA-4」などと命名される。本明細書で特定されない限り、名称における抗原の列挙の順序は構造を付与せず、すなわち、PD-1×CTLA-4ボトルオープナー抗体は、scFvをPD-1またはCTLA-4に連結させることができるが、場合によっては、順序は示されている通りの構造を特定する。
本明細書においてより十分に概説されるように、これらのABDの組み合わせは、以下に概説されるようにさまざまなフォーマットであり得、概して一方のABDがFabフォーマットであり他方がscFvフォーマットである組み合わせである。本明細書で論じられ、図2に示されるように、いくつかのフォーマットは単一のFabおよび単一のscFv(A、C、およびD)を使用し、いくつかのフォーマットは2つのFabおよび単一のscFv(E、F、G、H、およびI)を使用する。
A.抗原連結ドメイン
本明細書で論じるように、本発明の二重特異性チェックポイントヘテロ二量体抗体は、それぞれが異なるチェックポイントタンパク質に連結する2つの抗原連結ドメイン(ABD)を含む。本明細書に概説するように、これらのヘテロ二量体抗体は、二重特異性および二価(各抗原は、例えば図2Aに示されるフォーマットで単一のABDによって連結される)、二重特異性三価(例えば図2F、G、H、I、またはMに描かれるように、1つの抗原が単一のABDによって連結され、他のものが2つのABDによって連結される)、または二重特異性四価(例えば、図2JおよびLに描かれるように、両方の抗原が2つのABDによって連結される)であり得る。
さらに、概して、ABDのうちの1つは、vh-scFvリンカー-vlまたはvl-scFvリンカー-vhのN末端からC末端への配向で、本明細書に概説されるようなscFvを含む。フォーマットによれば、他のABDの一方または両方は、概して、一方のタンパク質鎖上にvhドメインを(概して重鎖の構成要素として)およびもう別のタンパク質鎖上にvl(概して軽鎖の構成要素として)を含むFabである。「トライデント」フォーマットではDART(登録商標)が使用され、これは向きが異なることと、概してリンカーが少し長くなることがある点を除いてscFvと類似する。
本発明は、以下に概説するように、いくつかの異なる受容体タンパク質に連結するいくつかのABDを提供する。当業者には理解されるように、6個のCDRまたはvhおよびvlドメインの任意のセットはscFvフォーマットまたはFabフォーマットにすることができ、次いでこれを重鎖および軽鎖の定常ドメインに付加し、ここで重鎖定常ドメインは変異(CH1ドメインおよびFcドメイン内を含む)を含む。配列表に含まれているscFv配列は、特定の荷電したリンカーを利用するが、本明細書に概説するように、図8に示したものを含む、非荷電または他の荷電リンカーを使用することができる。
さらに、上記のように、CDRの同定のために配列表において使用されるナンバリングはKabatであるが、異なるナンバリングを使用することができ、それは表1に示されるようにCDRのアミノ酸配列を変化させるであろう。
本明細書に記載の可変の重鎖および軽鎖のドメインの全てについて、さらなる変異を作製することができる。本明細書に概説するように、いくつかの実施形態では、6個のCDRのセットは、0、1、2、3、4、または5個のアミノ酸改変(アミノ酸置換が特に使用される)、ならびにフレームワーク(CDRを除く)が、参照によりその図および図説の全ての内容が本明細書に組み込まれる米国特許第7,657,380号の図1に列挙されるものから選択されるヒト生殖細胞系列の配列に対して少なくとも約80、85、または90%同一性を保持する限り、可変重鎖および軽鎖のフレームワーク領域における変化を有することができる。したがって、例えば、本明細書に記載の同一のCDRは、フレームワーク領域が、米国特許第7,657,380号の図1に列挙されるものから選択されるヒト生殖細胞系列の配列に対して少なくとも80、85、または90%同一性を保持する限り、ヒト生殖細胞系列の配列からの異なるフレームワークの配列と組み合わせることができる。代替的に、CDRは、アミノ酸改変(例えば、CDRのセットにおいて1、2、3、4、または5個のアミノ酸改変を有し得(すなわち、CDRは、6個のCDRのセット中の変化の全数が6アミノ酸改変未満である限り、任意の組み合わせのCDRが変更され、例えば、vlCDR1において1つの変更、vhCDR2において2つの変更、vhCDR3において変更がないなどであり得る))、同様に、フレームワーク領域が、米国特許第7,657,380号の図1に列挙されるものから選択されるヒト生殖細胞系列の配列に対して少なくとも80、85、または90%同一性を保持する限り、フレームワーク領域の変更を有する。
B.PD-1抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つはPD-1に連結する。6個のCDRならびに/またはVHおよびVLドメイン、ならびにscFv配列の適切なセットは、図3、図10、図11、図72、図73、図74、図76、ならびに配列番号1~2392、3125~3144、4697~7594、および4697~21810に示され、識別子1G6_H1.279_L1.194、1G6_H1.280_L1.224、1G6_L1.194_H1.279、1G6_L1.210_H1.288、および2E9_H1L1を有する配列表中のそれらの配列を含む。
当業者には理解されるように、適切な抗PD-1 ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、これらの配列のvhおよびvlの配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。PD-1に対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、PD-1に連結するのはscFv単量体である。本明細書で論じられるように、PD-1が抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、ICOS(適切な配列は、図19、図20A~20G、図24、図68A~20G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665に示される(これらは、scFv配列、CDR配列のセット、またはvhおよびvlの配列であり得る))、GITR、OX40、および4-1BBから選択される。
ヒトPD-1に連結する特に有用なABDには、1G6_H1.279_L1.194、1G6_H1.280_L1.224、1G6_L1.194_H1.279、1G6_L1.210_H1.288、および2E9_H1L1が含まれるがこれらに限定されない。
さらに、ヒトPD-1に連結する有用なVHおよびVLの配列を図76に示す。
PD-1に対するABDを形成する、配列表に開示された親CDRセットに加えて、本発明は変異型CDRセットを提供する。一実施形態において、6つのCDRのセットは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親CDRから1、2、3、4または5のアミノ酸の変更を有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
PD-1に対するABDを形成する、本明細書に開示されている親の可変重鎖および可変軽鎖ドメインに加えて、本発明は変異型のvhおよびvlドメインを提供する。一実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親のvhおよびvlドメインから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からのアミノ酸の変更をそれぞれが有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。別の実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1で測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、それぞれの親のvhおよびvlドメインに対し、少なくとも90、95、97、98、または99%同一であることができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
特定の好ましい実施形態は、scFvフォーマットの1G6_L1.194_H1.279抗PD-1のFvを含み、図9のボトルオープナーフォーマット骨格のいずれか内に含まれる。
特定の好ましい実施形態は、scFvフォーマットの1G6_L1.194_H1.279抗PD-1のFvを含み、図55のフォーマット骨格のいずれか内に含まれる。
特定の好ましい実施形態は、scFvフォーマットの1G6_L1.194_H1.279抗PD-1のFvを含み、図75のmAb-scFvフォーマット骨格のいずれか内に含まれる。
図2に示す任意のフォーマットで図76に示すように、他の実施形態は、任意の抗PD-1のVHおよびVLドメインの対(scFvまたはFabのいずれかとして)を利用する。
C.CTLA-4抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つはCTLA-4に連結する。6個のCDRおよび/またはvhおよびvlドメインの適切なセット、ならびにscFv配列は、配列番号2393~2414および3737~3816に示され、ならびにいくつかの実施形態において特に興味深い配列は、図12および図79に示され、また識別子[CTLA-4]_H0.25_L0、[CTLA-4]_H0.26_L0、[CTLA-4]_H0.27_L0、[CTLA-4]_H0.29_L0、[CTLA-4]_H0.38_L0、[CTLA-4]_H0.39_L0、0[CTLA-4]_H0.40_L0、[CTLA-4]_H0.70_L0、[CTLA-4]_H0_L0.22、[CTLA-4]_H2_L0、[CTLA-4]_H3.21_L0.124、[CTLA-4]_H3.21_L0.129、[CTLA-4]_H3.21_L0.132、[CTLA-4]_H3.23_L0.124、[CTLA-4]_H3.23_L0.129、[CTLA-4]_H3.23_L0.132、[CTLA-4]_H3.25_L0.124、[CTLA-4]_H3.25_L0.129、[CTLA-4]_H3.25_L0.132、[CTLA-4]_H3.4_L0.118、[CTLA-4]_H3.4_L0.119、[CTLA-4]_H3.4_L0.12、[CTLA-4]_H3.4_L0.121、[CTLA-4]_H3.4_L0.122、[CTLA-4]_H3.4_L0.123、[CTLA-4]_H3.4_L0.124、[CTLA-4]_H3.4_L0.125、[CTLA-4]_H3.4_L0.126、[CTLA-4]_H3.4_L0.127、[CTLA-4]_H3.4_L0.128、[CTLA-4]_H3.4_L0.129、[CTLA-4]_H3.4_L0.130、[CTLA-4]_H3.4_L0.131、[CTLA-4]_H3.4_L0.132、[CTLA-4]_H3.5_L2.1、[CTLA-4]_H3.5_L2.2、[CTLA-4]_H3.5_L2.3、[CTLA-4]_H3_L0、[CTLA-4]_H3_L0.22、[CTLA-4]_H3_L0.44、[CTLA-4]_H3_L0.67、および[CTLA-4]_H3_L0.74を有する配列表中のそれらの配列をも含む。
当業者には理解されるように、適切な抗CTLA-4 ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、本明細書で概説されるvhおよびvlの配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。CTLA-4に対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、CTLA-4に連結するのはscFv単量体である。
本明細書で論じられるように、CTLA-4が抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、ICOS(適切な配列は、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される)、GITR、OX40、および4-1BBから選択される。
CTLA-4に対するABDを形成する、配列表に開示された親CDRセットに加えて、本発明は変異型CDRセットを提供する。一実施形態において、6つのCDRのセットは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親CDRから1、2、3、4または5のアミノ酸の変更を有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
CTLA-4に対するABDを形成する、本明細書に開示されている親の可変重鎖および可変軽鎖ドメインに加えて、本発明は変異型のvhおよびvlドメインを提供する。一実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親のvhおよびvlドメインから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からのアミノ酸の変更をそれぞれが有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。別の実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、それぞれの親のvhおよびvlドメインに対し、少なくとも90、95、97、98、または99%同一であることができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
D.TIM-3抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つはTIM-3に連結する。6つのCDRおよび/またはVHおよびVLドメインの適切なセット、ならびにscFv配列は、図14および図81A~81Cおよび配列番号3345~3704、4585~4696に示される。いくつかの実施形態において特に興味深いABD配列は、識別子1D10_H0L0、1D12_H0L0、3H3_H1_L2.1、6C8_H0L0、6D9_H0_1D12_L0、7A9_H0L0、7B11_H0L0、7B11var_H0L0、および7C2_H0L0を有する配列表中のそれらの配列を含む。
当業者には理解されるように、適切な抗TIM-3 ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、本明細書で示されるもののvhおよびvlの配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。TIM-3に対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、TIM-3に連結するのはFab単量体である。本明細書で論じられるように、TIM-3が抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、選択されたICOS(適切な配列は、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される)、GITR、OX40、および4-1BBである。
TIM-3に対するABDを形成する、配列表に開示された親CDRセットに加えて、本発明は変異型CDRセットを提供する。一実施形態において、6つのCDRのセットは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親CDRから1、2、3、4または5のアミノ酸の変更を有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
TIM-3に対するABDを形成する、本明細書に開示されている親の可変重鎖および可変軽鎖ドメインに加えて、本発明は変異型のvhおよびvlドメインを提供する。一実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOctetアッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親のvhおよびvlドメインから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からのアミノ酸の変更をそれぞれが有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。別の実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1で測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、それぞれの親のvhおよびvlドメインに対し、少なくとも90、95、97、98、または99%同一であることができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
LAG-3抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つはLAG-3に連結する。6個のCDRおよび/またはvhおよびvlドメインの適切なセット、ならびにscFv配列は、図13、図80および配列番号2415~2604、3817~3960に示され、識別子2A11_H0L0、2A11_H1.125_L2.113、2A11_H1.144_L2.142、2A11_H1_L2.122、2A11_H1_L2.123、2A11_H1_L2.124、2A11_H1_L2.25、2A11_H1_L2.47、2A11_H1_L2.50、2A11_H1_L2.91、2A11_H1_L2.93、2A11_H1_L2.97、2A11_H1L1、2A11_H1L2、2A11_H2L2、2A11_H3L1、2A11_H3L2、2A11_H4L1、2A11_H4L2、7G8_H0L0、7G8_H1L1、7G8_H3.18_L1.11、7G8_H3.23_L1.11、7G8_H3.28_L1、7G8_H3.28_L1.11、7G8_H3.28_L1.13、7G8_H3.30_L1.34、7G8_H3.30_L1.34、および7G8_H3L1を有する配列表中のそれらの配列をも含む。
当業者には理解されるように、適切な抗LAG-3 ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、本明細書での配列のvhおよびvlの配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。LAG-3に対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、LAG-3に連結するのはFab単量体である。本明細書で論じられるように、LAG-3が抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、ICOS(適切な配列は、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される)、GITR、OX40、および4-1BBから選択される。
LAG-3に対するABDを形成する、配列表に開示された親CDRセットに加えて、本発明は変異型CDRセットを提供する。一実施形態において、6つのCDRのセットは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親CDRから1、2、3、4または5のアミノ酸の変更を有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
LAG-3に対するABDを形成する、本明細書に開示されている親の可変重鎖および可変軽鎖ドメインに加えて、本発明は変異型のvhおよびvlドメインを提供する。一実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親のvhおよびvlドメインから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からのアミノ酸の変更をそれぞれが有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。別の実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、それぞれの親のvhおよびvlドメインに対し、少なくとも90、95、97、98、または99%同一であることができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
E.BTLA抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つはBTLAに連結する。6個のCDRならびに/またはVHおよびVLドメイン、ならびにscFv配列の適切なセットは、図82、図84A~84C、および配列番号3705~3736に示され、識別子9C6_H0L0、9C6_H1.1_L1、および9C6_H1.11_L1を有する配列表中のそれらの配列をも含む。
当業者には理解されるように、適切な抗BTLA ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、本明細書で示されるvhおよびvlの配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。BTLAに対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、BTLAに連結するのはFab単量体である。本明細書で論じられるように、BTLAが抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、ICOS(適切な配列は、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される)、GITR、OX40、および4-1BBから選択される。
BTLAに対するABDを形成する、配列表に開示された親CDRセットに加えて、本発明は変異型CDRセットを提供する。一実施形態において、6つのCDRのセットは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親CDRから1、2、3、4または5のアミノ酸の変更を有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
BTLAに対するABDを形成する、本明細書に開示されている親の可変重鎖および可変軽鎖ドメインに加えて、本発明は変異型のvhおよびvlドメインを提供する。一実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親のvhおよびvlドメインから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からのアミノ酸の変更をそれぞれが有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。別の実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、それぞれの親のvhおよびvlドメインに対し、少なくとも90、95、97、98、または99%同一であることができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
F.TIGIT抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つはTIGITに連結する。6つのCDRおよび/またはVHおよびVLドメインの適切なセット、ならびにscFv配列は、図8A~8Bおよび配列番号4433~4585に示される。
当業者には理解されるように、適切な抗TIGIT ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、本明細書で示されるvhおよびvlの配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。TIGITに対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、TIGITに連結するのはFab単量体である。本明細書で論じられるように、TIGITが抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、選択されたICOS(適切な配列は、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される)、GITR、OX40、および4-1BBである。
G.PD-L1抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つはPD-L1に連結する。6つのCDRおよび/またはVHおよびVLドメインの適切なセット、ならびにscFv配列は、図15A~15C、図73、および図78および配列番号3961~4432に示される。
当業者には理解されるように、適切な抗TIGIT ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、本明細書で示されるvhおよびvlの配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。TIGITに対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、TIGITに連結するのはFab単量体である。本明細書で論じられるように、TIGITが抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、選択されたICOS(適切な配列は、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される)、GITR、OX40、および4-1BBである。
H.ICOS抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つはICOSに連結する。6個のCDRおよび/またはvhおよびvlドメインの適切なセット、ならびにscFv配列ICOS(適切な配列は、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される。
当業者には理解されるように、適切な抗ICOS ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、本明細書で開示される配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。ICOSに対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、ICOSに連結するのはFab単量体である。本明細書で論じられるように、ICOSが抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、PD-1、図3、図10、図11、図72、図73、図74、図76、および配列番号1~2392、3125~3144、4697~7594、および4697~21810に示され、および識別子1G6_H1.279_L1.194、1G6_H1.280_L1.224、1G6_L1.194_H1.279、1G6_L1.210_H1.288、および2E9_H1L1(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る)を有する配列表中のそれらの配列を含む)、CTLA-4(適切な配列は図12、72、および79、ならびに配列番号2393~2414および3737~3816に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、TIM-3(適切な配列は図14、図81A~81C、および配列番号3345~3704、4585~4696に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、LAG-3(適切な配列は、図13、図80、および配列番号2415~2604、3817~3960に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、BTLA(適切な配列は、図82および84ならびに配列番号3705~3736に示される(これは、scFv配列、CDR配列セット、またはvhおよびvl配列であり得る))、ならびにTIGIT(適切な配列は、図83A~83Dおよび配列番号4433~4585に示される(これは、scFv配列、CDR配列セット、またはvhおよびvl配列であり得る))から選択される。
ICOSに対するABDを形成する、配列表に開示された親CDRセットに加えて、本発明は変異型CDRセットを提供する。一実施形態において、6つのCDRのセットは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親CDRから1、2、3、4または5のアミノ酸の変更を有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
ICOSに対するABDを形成する、本明細書に開示されている親の可変重鎖および可変軽鎖ドメインに加えて、本発明は変異型のvhおよびvlドメインを提供する。一実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親のvhおよびvlドメインから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からのアミノ酸の変更をそれぞれが有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。別の実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、それぞれの親のvhおよびvlドメインに対し、少なくとも90、95、97、98、または99%同一であることができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
特定の好ましい実施形態は、Fabフォーマットの[ICOS]_H0.66_L0抗ICOSのFvを含み、図9のボトルオープナーフォーマット骨格のいずれか内に含まれる。
特定の好ましい実施形態は、scFvフォーマットの[ICOS]_H0_L0抗ICOSのFvを含み、図9のボトルオープナーフォーマット骨格のいずれか内に含まれる。
特定の好ましい実施形態は、scFvフォーマットの[ICOS]_H0.66_L0抗ICOSのFvを含み、図75のmAb-scFvフォーマット骨格のいずれか内に含まれる。
特定の好ましい実施形態は、Fabフォーマットの[ICOS]_H0.66_L0抗ICOSのFvを含み、図75のmAb-scFvフォーマット骨格のいずれか内に含まれる。
特定の好ましい実施形態は、Fabフォーマットの[ICOS]_H0.66_L0抗ICOSのFvを含み、図55のフォーマット骨格のいずれか内に含まれる。
I.GITR抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つはGITRに連結する。6個のCDRおよび/またはvhおよびvlドメインの適切なセット、ならびにscFv配列FITR(適切な配列は、図18、図72、および図73、ならびに配列番号26282~26290に示される。
当業者には理解されるように、適切な抗GITR ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、本明細書で開示される配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。GITRに対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、GITRに連結するのはFab単量体である。本明細書で論じられるように、GITRが抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、PD-1、図3、図10、図11、図72、図73、図74、図76、および配列番号1~2392、3125~3144、4697~7594、および4697~21810に示され、および識別子1G6_H1.279_L1.194、1G6_H1.280_L1.224、1G6_L1.194_H1.279、1G6_L1.210_H1.288、および2E9_H1L1(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る)を有する配列表中のそれらの配列を含む)、CTLA-4(適切な配列は図12、72、および79、ならびに配列番号2393~2414および3737~3816に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、TIM-3(適切な配列は図14、図81A~81C、および配列番号3345~3704、4585~4696に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、LAG-3(適切な配列は、図13、図80、および配列番号2415~2604、3817~3960に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、BTLA(適切な配列は、図82および84ならびに配列番号3705~3736に示される(これは、scFv配列、CDR配列セット、またはvhおよびvl配列であり得る))、ならびにTIGIT(適切な配列は、図83A~83Dおよび配列番号4433~4585に示される(これは、scFv配列、CDR配列セット、またはvhおよびvl配列であり得る))から選択される。
GITRに対するABDを形成する、配列表に開示された親CDRセットに加えて、本発明は変異型CDRセットを提供する。一実施形態において、6つのCDRのセットは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親CDRから1、2、3、4または5のアミノ酸の変更を有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
GITRに対するABDを形成する、本明細書に開示されている親の可変重鎖および可変軽鎖ドメインに加えて、本発明は変異型のvhおよびvlドメインを提供する。一実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親のvhおよびvlドメインから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からのアミノ酸の変更をそれぞれが有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。別の実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、それぞれの親のvhおよびvlドメインに対し、少なくとも90、95、97、98、または99%同一であることができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
J.OX40抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つはOX40に連結する。OX40に対する、6個のCDRおよび/またはvhおよびvlドメインの適切なセット、ならびにscFv配列が提供される(適切な配列は、図17、図72、および図73、ならびに配列番号26272~26281に示される。
当業者には理解されるように、適切な抗OX40 ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、本明細書で開示される配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。OX40に対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、GITRに連結するのはFab単量体である。本明細書で論じられるように、OX40が抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、PD-1、図3、図10、図11、図72、図73、図74、図76、および配列番号1~2392、3125~3144、4697~7594、および4697~21810に示され、および識別子1G6_H1.279_L1.194、1G6_H1.280_L1.224、1G6_L1.194_H1.279、1G6_L1.210_H1.288、および2E9_H1L1(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る)を有する配列表中のそれらの配列を含む)、CTLA-4(適切な配列は図12、72、および79、ならびに配列番号2393~2414および3737~3816に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、TIM-3(適切な配列は図14、図81A~81C、および配列番号3345~3704、4585~4696に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、LAG-3(適切な配列は、図13、図80、および配列番号2415~2604、3817~3960に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、BTLA(適切な配列は、図82および84ならびに配列番号3705~3736に示される(これは、scFv配列、CDR配列セット、またはvhおよびvl配列であり得る))、ならびにTIGIT(適切な配列は、図83A~83Dおよび配列番号4433~4585に示される(これは、scFv配列、CDR配列セット、またはvhおよびvl配列であり得る))から選択される。
OX40に対するABDを形成する、配列表に開示された親CDRセットに加えて、本発明は変異型CDRセットを提供する。一実施形態において、6つのCDRのセットは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親CDRから1、2、3、4または5のアミノ酸の変更を有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
OX40に対するABDを形成する、本明細書に開示されている親の可変重鎖および可変軽鎖ドメインに加えて、本発明は変異型のvhおよびvlドメインを提供する。一実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親のvhおよびvlドメインから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からのアミノ酸の変更をそれぞれが有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。別の実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、それぞれの親のvhおよびvlドメインに対し、少なくとも90、95、97、98、または99%同一であることができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
K.4-1BB抗原連結ドメイン
いくつかの実施形態において、ABDのうちの1つは4-1BBに連結する。6個のCDRおよび/またはvhおよびvlドメインの適切なセット、ならびにscFv配列4-1BB(適切な配列は、図16、図72、および図73、ならびに配列番号26262~2671に示される。
当業者には理解されるように、適切な抗4-1BB ABDは、下線が付されているものとしてか、または、本明細書において記載され表1に示されるような、異なるナンバリングスキームが使用される場合、本明細書で開示される配列内の他のアラインメントを使用して同定されるCDRとして、これらの配列および図に描かれているような6個のCDRのセットを含み得る。適切なABDはまた、scFvまたはFabとして使用される、これらの配列および図に示されるようなvhおよびvlの全体の配列をも含み得る。4-1BBに対するFvを含む本明細書中の実施形態の多くにおいて、4-1BBに連結するのはFab単量体である。本明細書で論じられるように、ICOSが抗原の1つであるとき、標的対の他のものは、PD-1、図3、図10、図11、図72、図73、図74、図76、および配列番号1~2392、3125~3144、4697~7594、および4697~21810に示され、および識別子1G6_H1.279_L1.194、1G6_H1.280_L1.224、1G6_L1.194_H1.279、1G6_L1.210_H1.288、および2E9_H1L1(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る)を有する配列表中のそれらの配列を含む)、CTLA-4(適切な配列は図12、72、および79、ならびに配列番号2393~2414および3737~3816に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、TIM-3(適切な配列は図14、図81A~81C、および配列番号3345~3704、4585~4696に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、LAG-3(適切な配列は、図13、図80、および配列番号2415~2604、3817~3960に示される(これはscFv配列、CDR配列セットまたはvhおよびvl配列であり得る))、BTLA(適切な配列は、図82および84ならびに配列番号3705~3736に示される(これは、scFv配列、CDR配列セット、またはvhおよびvl配列であり得る))、ならびにTIGIT(適切な配列は、図83A~83Dおよび配列番号4433~4585に示される(これは、scFv配列、CDR配列セット、またはvhおよびvl配列であり得る))から選択される。
4-1BBに対するABDを形成する、配列表に開示された親CDRセットに加えて、本発明は変異型CDRセットを提供する。一実施形態において、6つのCDRのセットは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親CDRから1、2、3、4または5のアミノ酸の変更を有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
4-1BBに対するABDを形成する、本明細書に開示されている親の可変重鎖および可変軽鎖ドメインに加えて、本発明は変異型のvhおよびvlドメインを提供する。一実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、親のvhおよびvlドメインから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からのアミノ酸の変更をそれぞれが有することができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。別の実施形態において、変異型のvhおよびvlドメインは、BIACORE(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)および/またはBLI(バイオレイヤー干渉法、例えばOCTET(登録商標)アッセイ)アッセイの少なくとも1つで測定されるときにABDが依然として標的抗原に連結することができる限り、それぞれの親のvhおよびvlドメインに対し、少なくとも90、95、97、98、または99%同一であることができ、後者は多くの実施形態において特に使用される。
L.特定の二重特異性実施形態
本発明は、以下に概説するようにいくつかの特定の二重特異性抗体を提供する。
1.ICOS×PD-1
本発明は、ICOSおよびPD-1をそれぞれ一価で、場合によっては本明細書で概説したように、両方とも二価で連結する二重特異性ヘテロ二量体抗体を提供する。
一実施形態において、PD-1 ABDは1G6_L1.194_H1.279であり、ICOS ABDは、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される。
一実施形態において、ICOS×PD-1二重特異性抗体は、XENP番号20261、20730、20896、22432~22438、22731~22748、22878~22894、22931~22932、22950~22961、23090~23093、23295~23296、23301、23405、23408、23410(全て428L/434Sを有さないが、それらはそれらの置換を有することができる)、XENP番号22730、22917~22928、22935~22937、22974~22979、22995~22996、23001、23103、23104(全て428L/434Sを有するが、それらはそれらの置換を有さないことができる)、XENP番号23411、21828、21829、21830、21831、22348、23059(従来技術のICOS配列を使用)、XENP番号18920、24125、24130(追加のボトルオープナー)、XENP23406、23407、24128(ICOS×PD-1中央-scFv)、XENP24123(ICOS×PD-1中央scFv2)、XENP24134(ICOS×PD-1二重特異性mAb)、24122(ICOS×PD-1 DVD-Ig)、XENP24132、24133(ICOS×PD-1トライデント)から選択される。
2.ICOS×PD-L1
この実施形態において、ICOS ABDは、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される。
3.ICOS×CTLA-4
この実施形態において、ICOS ABDは、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される。
一実施形態では、[ICOS]H 0.66_L0のFab ICOS ABDを有するボトルオープナーフォーマットは、特に図9のボトルオープナー骨格1において、[CTLA-4]_H3.32_L0.129のscFv CTLA-4 ABDと対となる。
4.ICOS×LAG-3
この実施形態において、ICOS ABDは、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される。
5.ICOS×TIM-3
この実施形態は、ICOS ABDが、図19、図20A~20G、図24、図68A~68G、および図77A~77B、ならびに配列番号27869~28086、28087~28269、27193~27335、28549~28556、および28557~28665、ならびに識別子[ICOS]_H0.66_L0および[ICOS]_H0L0を有するものに示される。
M.同種抗体
本発明はさらに、本明細書に概説した抗体とアミノ酸配列同一性を共有する抗体を提供する。
一実施形態では、本明細書および図に概説されているVhおよびVl配列の1つ以上のCDRにアミノ酸変異を有する二重特異性抗体が作製される。一実施形態では、本明細書に概説されているvhおよびvl鎖の1つ以上のCDRに、1、2、3、4、または5のアミノ酸の相違を有する抗体が提供される。これらのアミノ酸変異は、1つのCDR中に存在してもよく、または1つを超えるCDRの間に広がってもよい。これらのアミノ酸変異はまた、二重特異性抗体のFvの一方または両方に存在し得、例えば、ICOS Fv側(一般にFabであるが、本明細書に概説されるようにscFvであり得る)のCDR中に2個のアミノ酸変異およびPD-1側に1個などで存在し得る。
同様に、本発明は、本明細書に概説した配列に対して、特に可変重鎖および/または可変軽鎖ドメインに対して少なくとも95、96、97、98、または99%のアミノ酸同一性を有する抗体を提供する。この配列同一性はまた、二重特異性抗体の一方のFvまたは両方のFvに存在し得る。すなわち、図面に概説されている可変重鎖および/または可変軽鎖ドメインと95~99%同一である二重特異性抗体が提供される。
IX.本発明の核酸
本発明はさらに、本発明の二重特異性抗体をコードする核酸組成物(または「単一特異的」抗体の場合は同様にそれらをコードする核酸)も提供する。
当業者には理解されるように、核酸組成物は、ヘテロ二量体タンパク質のフォーマットおよび足場に依存するであろう。したがって、例えば、フォーマットが3つのアミノ酸配列を必要とするとき、3つの核酸配列を発現のために1つ以上の発現ベクターに組み込むことができる。同様に、いくつかのフォーマット(例えば、図2に開示されているようなデュアルscFvフォーマット)は2つの核酸のみを必要とし、同様に、それらを1つまたは2つの発現ベクターに組み込むことができる。いくつかのフォーマットは4つのアミノ酸(二重特異性mAb)を必要とする。
当該技術分野において公知であるように、本発明の構成要素をコードする核酸は、当該技術分野において公知であるように、そして本発明のヘテロ二量体抗体を産生するために使用される宿主細胞に応じた発現ベクターに組み込まれ得る。一般に、核酸は任意の数の調節エレメント(プロモーター、複製起点、選択可能マーカー、リボソーム連結部位、インデューサーなど)に作動可能に連結されている。発現ベクターは、染色体外ベクターまたは組み込みベクターであり得る。
次いで、本発明の核酸および/または発現ベクターを、哺乳動物細胞、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞および/または真菌細胞を含む当該技術分野で周知の任意の数の異なる種類の宿主細胞に形質転換するが、哺乳動物細胞(例えばCHO細胞)が、多くの実施形態において使用される。
いくつかの実施形態では、各単量体をコードする核酸および軽鎖をコードする任意の核酸は、フォーマットに応じて適用可能なように、それぞれ一般に異なるまたは同じプロモーター制御下で単一の発現ベクター内に含まれる。本発明において特に使用される実施形態では、これら2つまたは3つの核酸のそれぞれは異なる発現ベクターに含まれる。本明細書および参照により本明細書に組み込まれる62/025,931に示されるように、ヘテロ二量体形成を推進するために異なるベクター比を使用することができる。すなわち、驚くべきことに、タンパク質は第1の単量体:第2の単量体:軽鎖(ヘテロ二量体抗体を含む3つのポリペプチドを有する本明細書の多くの実施形態の場合)を1:1:2の比率で含むが、これらは最良の結果をもたらす比率ではない。
本発明のヘテロ二量体抗体は、当該技術分野において周知のように、発現ベクターを含む宿主細胞を培養することによって作製される。一旦製造されると、イオン交換クロマトグラフィー工程を含む従来の抗体精製工程が実施される。本明細書で論じるように、2つの単量体のpIが少なくとも0.5だけ異なることは、イオン交換クロマトグラフィーもしくは等電点電気泳動、または等電点に感受性の他の方法による分離を可能にし得る。すなわち、各単量体の等電点(pI)が異なるpIを有し、かつヘテロ二量体も異なるpIを有するようになるように各単量体の等電点(pI)を変化させるpI置換を含むことによって、「トリプルF」ヘテロ二量体の等電点精製(例えば、陰イオン交換カラム、陽イオン交換カラム)を促進する。これらの置換はまた、精製後の任意の混入したデュアルscFv-FcおよびmAbホモ二量体の特定およびモニタリングにも役立つ(例えば、IEFゲル、cIEF、および分析用IEXカラム)。
X.ヘテロ二量体免疫調節抗体の生物学的および生化学的機能性
一般に、本発明の二重特異性免疫調節抗体は、癌を有する患者に投与され、そして有効性は、本明細書中に記載されるようないくつかの方法で評価される。このため、癌量、腫瘍のサイズ、転移の存在または程度の評価等の、有効性の標準的なアッセイを実行し得るが、免疫腫瘍学的治療もまた免疫状態評価に基づいて同様に評価され得る。これは、インビトロアッセイおよびインビボアッセイの両方を含むいくつかの方法で実施することができる。例えば、腫瘍量、サイズ、侵襲性、LN関与、転移等といった「古典的な」測定と併せて、免疫状態(例えば、ipi治療後のICOS+CD4+T細胞の存在)の変化の評価を実施することができる。このため、以下のいずれかまたは全てを評価することができる:CD4+T細胞活性化もしくは増殖、CD8+T(CTL)細胞活性化もしくは増殖、CD8+T細胞媒介性細胞傷害性活性および/もしくはCTL媒介性細胞枯渇、NK細胞活性およびNK媒介性細胞枯渇に対するPVRIGの抑制効果、Treg細胞分化および増殖ならびにTreg細胞もしくは骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)媒介性免疫抑制もしくは免疫耐性に対するPVRIGの増強効果、ならびに/または免疫細胞による炎症性サイトカイン産生、例えば、T細胞もしくは他の免疫細胞によるIL-2、IFN-γもしくはTNF-α産生に対するPVRIGの影響。
いくつかの実施形態では、治療の評価は、例えば、CFSE希釈法、免疫エフェクター細胞のKi67細胞内染色、および3H-チミジン取り込み法を使用して、免疫細胞増殖を評価することによって実施される。
いくつかの実施形態では、治療の評価は、CD25、CD69、CD137、ICOS、PD1、GITR、OX40、およびCD107Aの表面発現によって測定される細胞脱顆粒のうちの1つ以上を含む、遺伝子発現の増加または活性化関連マーカーの増加したタンパク質レベルを評価することによって実施される。
一般に、遺伝子発現アッセイは、当該技術分野で知られているように実施される。
一般に、タンパク質発現測定も同様に、当該技術分野で知られているように実施される。
いくつかの実施形態では、治療の評価は、酵素活性(プロテアーゼ活性を含む)、細胞膜透過性、細胞接着、ATP産生、補酵素産生、およびヌクレオチド取り込み活性等の多数の細胞パラメーターを推測することを通した標的細胞生存検出によって測定される細胞傷害性活性を評価することによって実施される。これらのアッセイの具体的な例としては、トリパンブルーまたはPI染色、51Crまたは35S放出法、LDH活性、MTTおよび/またはWSTアッセイ、カルセイン-AMアッセイ、発光系アッセイ、ならびに他のものが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、治療の評価は、サイトカイン産生によって測定されるT細胞活性を評価することによって行われ、周知の技法を使用して、IFNγ、TNFα、GM-CSF、IL2、IL6、IL4、IL5、IL10、IL13を含むがこれらに限定されないサイトカインを使用して、細胞内、培養上清液中のいずれかで測定する。
したがって、治療の評価は、以下のうちの1つ以上を評価するアッセイを使用して実施することができる:(i)免疫応答を増加させること、(ii)αβおよび/またはγδのT細胞の活性化を増加させること、(iii)細胞傷害性T細胞活性を増加させること、(iv)NKおよび/またはNKT細胞活性を増加させること、(v)αβおよび/またはγδのT細胞抑制を軽減させること、(vi)炎症誘発性サイトカイン分泌を増加させること、(vii)IL-2分泌を増加させること、(viii)インターフェロン-γ産生を増加させること、(ix)Th1応答を増加させること、(x)Th2応答を減少させること、(xi)制御性T細胞(Tregの少なくとも1つの細胞数および/または活性を減少させるかまたは排除すること。
有効性を測定するためのアッセイ
いくつかの実施形態では、T細胞活性化は、当該技術分野において公知のように、混合リンパ球反応(MLR)アッセイを使用して評価される。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、異なる因子のリン酸化または脱リン酸化によって、または他の翻訳後修飾を測定することによって測定される免疫応答の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、または例えば、CD137、CD107a、PD1等のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、αβおよび/またはγδのT細胞の活性化の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、標的細胞、例えばがん細胞の直接的な殺傷によって、またはサイトカイン分泌によって、または増殖によって、または例えば、CD137、CD107a、PD1等のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、細胞傷害性T細胞活性の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、標的細胞、例えばがん細胞の直接的な殺傷によって、またはサイトカイン分泌によって、または例えば、CD107a等のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、NKおよび/またはNKTの細胞活性の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、または例えば、CD137、CD107a、PD1等のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、αβおよび/またはγδのT細胞の抑制の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、ELISAによって、またはLuminexによって、またはMultiplexビーズに基づく方法によって、または細胞内染色およびFACS解析によって、またはAlispot等によって測定される炎症促進性サイトカイン分泌の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、ELISAによって、またはLuminexによって、またはMultiplexビーズに基づく方法によって、または細胞内染色およびFACS解析によって、またはAlispot等によって測定されるIL-2分泌の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、ELISAによって、またはLuminexによって、またはMultiplexビーズに基づく方法によって、または細胞内染色およびFACS解析によって、またはAlispot等によって測定されるインターフェロンγ産生の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定されるTh1応答の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定されるTh2応答の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、フローサイトメトリーによって、またはIHCによって測定される調節T細胞(Treg)の少なくとも1つの細胞数および/または活性の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、フローサイトメトリーによって、またはIHCによって測定されるM2マクロファージ細胞数の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定されるM2マクロファージ腫瘍形成促進活性の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、フローサイトメトリーによって、またはIHCによって測定されるN2好中球増加の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定されるN2好中球腫瘍形成促進活性の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、または例えば、CD137、CD107a、PD1等のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、T細胞活性化の阻害の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、標的細胞、例えばがん細胞の直接的な殺傷によって、またはサイトカイン分泌によって、または増殖によって、または例えば、CD137、CD107a、PD1等のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、CTL活性化の阻害の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例として活性化マーカーの発現の変化によって測定されるαβおよび/またはγδのT細胞枯渇の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、または例えば、CD137、CD107a、PD1等のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、αβおよび/またはγδのT細胞の応答の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、または例えば、CD45RA、CCR7等のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、抗原特異的メモリー応答の刺激の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、例えばMTT、Cr放出、カルサインAM等の細胞傷害性アッセイによって、または例えばCFSE希釈もしくはヨウ化プロピジウム染色等のようなフローサイトメトリーに基づくアッセイによって測定される、癌細胞のアポトーシスまたは溶解の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、例えばMTT、Cr放出、カルサインAM等の細胞傷害性アッセイによって、または例えばCFSE希釈もしくはヨウ化プロピジウム染色等のようなフローサイトメトリーに基づくアッセイによって測定される、癌細胞の細胞傷害性または細胞増殖抑制性の効果の刺激の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、例えばMTT、Cr放出、カルサインAM等の細胞傷害性アッセイによって、または例えばCFSE希釈もしくはヨウ化プロピジウム染色等のようなフローサイトメトリーに基づくアッセイによって測定される、癌細胞の直接的な殺傷の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定されるTh17活性の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、例えばMTT、Cr放出、カルサインAM等の細胞傷害性アッセイによって、または例えばCFSE希釈もしくはヨウ化プロピジウム染色等のようなフローサイトメトリーに基づくアッセイによって測定される、補体依存性細胞傷害性および/または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性の誘導の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
一実施形態では、T細胞活性化は、例えば、標的細胞、例えばがん細胞の直接的な殺傷によって、またはサイトカイン分泌によって、または増殖によって、または例えば、CD137、CD107a、PD1等のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される。T細胞については、増殖、活性化の細胞表面マーカー(例えば、CD25、CD69、CD137、PD1)、細胞傷害性(標的細胞を殺傷する能力)、およびサイトカイン産生(例えば、IL-2、IL-4、IL-6、IFNγ、TNF-a、IL-10、IL-17A)の増加が、癌細胞の強化された殺傷と一致する免疫調節の指標となり得る。
一実施形態では、NK細胞活性化は、例えば、標的細胞、例えばがん細胞の直接的な殺傷によって、またはサイトカイン分泌によって、または例えばCD107a等のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される。NK細胞については、増殖、細胞傷害性(標的細胞を殺傷し、CD107a、グランザイム、およびパーフォリン発現を増加させる能力)、サイトカイン産生(例えば、IFNγおよびTNF)、および細胞表面受容体発現(例えば、CD25)の増加が、癌細胞の強化された殺傷と一致する免疫調節の指標となり得る。
一実施形態では、γδのT細胞活性化は、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定される。
一実施形態では、Th1細胞活性化は、例えば、サイトカイン分泌によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定される。
活性または応答の適切な増加(または減少、上で概説したように適切なもの)は、基準試料または対照試料のいずれか、例えば、本発明の抗PVRIG抗体を含まない試験試料におけるシグナルと比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98~99%パーセントの増加である。同様に、基準対象または対照試料と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍または5倍の増加が有効性を示す。
XI.治療
一旦製造されると、本発明の組成物は、一般に本発明の二重特異性免疫調節抗体の連結によって、一般にT細胞活性化の抑制を阻害すること(例えば、T細胞はもはや抑制されない)によって癌を治療することによって、いくつかの腫瘍学用途に使用される。
したがって、本発明のヘテロ二量体組成物はこれらの癌の治療に使用される。
XII.インビボ投与のための抗体組成物
本発明に従って使用される抗体の製剤は、所望の純度の抗体を任意の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.[1980]に一般に概説されるような)と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、保存用に調製される。許容される担体、緩衝剤、賦形剤、または安定剤は、使用される用量及び濃度において、レシピエントに対して非毒性でありリン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン等のアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
投与様式
本発明の抗体および化学療法剤は、ボーラスとしての静脈内投与またはある期間にわたる持続注入などの公知の方法に従って対象に投与される。
治療法
本発明の方法において、治療は、疾患または病状に関して肯定的な治療応答を提供するために使用される。「肯定的な治療応答」は、疾患もしくは病状の改善、および/または疾患または病状に関連する症状の改善を意図する。例えば、肯定的な治療応答は、疾患における以下の改善のうちの1つ以上を指し得る:(1)腫瘍細胞の数の減少、(2)腫瘍細胞死の増加、(3)腫瘍細胞の生存の阻害、(5)腫瘍増殖の阻害(すなわち、ある程度の減速、好ましくは停止)、(6)患者生存率の増加、および(7)疾患または病状に関連する1つ以上の症状からのいくらかの解放。
任意の所与の疾患または病状における肯定的な治療応答は、その疾患または病状に特有の標準化された応答基準によって決定され得る。腫瘍応答は、磁気共鳴画像(MRI)スキャン、X線撮影、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、骨スキャン撮影、内視鏡検査、ならびに骨髄穿刺(BMA)および循環中の腫瘍細胞の計数を含む腫瘍生検サンプリングなどのスクリーニング技法を使用して、腫瘍形態(すなわち、全身腫瘍組織量、腫瘍サイズなど)の変化について評定され得る。
これらの肯定的な治療応答に加えて、治療を受けている対象は、疾患に関連する症状の改善の有益な効果を経験し得る。
本発明に従う治療には、使用される医薬品の「治療有効量」が含まれる。「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するために、必要な用量および期間で有効な量をいう。
治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する薬剤の能力などの因子によって異なり得る。治療有効量はまた、抗体または抗体部分のいずれの毒性または有害な効果よりも治療上有益な効果が勝る量である。
腫瘍療法のための「治療有効量」は、疾患の進行を安定化する能力によっても測定することができる。癌を阻害する化合物の能力は、ヒト腫瘍における有効性を予測する動物モデル系において評価してもよい。
あるいは、組成物のこの特性は、当業者に知られているインビトロアッセイによって、化合物が細胞増殖を阻害するか、またはアポトーシスを誘導する能力を検査することによって評価してもよい。治療有効量の治療用化合物は、腫瘍サイズを減少させるか、さもなければ対象の症状を軽減し得る。当業者であれば、対象のサイズ、対象の症状の重症度、および選択される特定の組成物または投与経路などの因子に基づいて、そのような量を決定することができるであろう。
投薬レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するように調節される。例えば、単回のボーラスを投与してもよく、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、または治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例して減少または増加させてもよい。非経口組成物は、投与の容易性および投与量の均一性のために、単位剤形で処方され得る。本明細書で使用される単位剤形は、処置される対象のための単一用量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる薬学的担体に関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含有する。
本発明の単位剤形形態の仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴および達成すべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感受性の治療に対してそのような活性化合物を調合する分野に付いて回る制限に影響され、またそれらに直接的に依存する。
本発明で使用される二重特異性抗体の効率的な投薬量および投薬レジメンは、治療される疾患または病状に依存し、当業者によって決定され得る。
本発明で使用される二重特異性抗体の治療有効量の例示的かつ非限定的な範囲は、約0.1~100mg/kgである。
全ての引用文献は、本明細書にそれらの全体が参考として明示的に組み込まれる。
本発明の特定の実施形態を例示の目的で上述のように説明したが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明から逸脱することなく詳細の多数の変形をなし得ることが当業者には理解されよう。
VIII.実施例
本発明を説明するために実施例を以下に提供する。これらの実施例は、本発明を任意の特定の用途または動作理論に限定することを意味するものではない。本発明で論じられる全ての定常領域位置について、ナンバリングは、Kabat(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda、参照により完全に組み込まれる)と同様のEUインデックスに従う。抗体の当業者は、この規則が免疫グロブリン配列の特定の領域における非連続的なナンバリングからなり、免疫グロブリンファミリーにおける保存された位置への標準的な基準を可能にすることを理解するであろう。したがって、EUインデックスによって定義されるような任意の所与の免疫グロブリンの位置は必ずしもその連続配列に対応しない。
一般的および具体的な科学技術は、米国特許出願公開第2015/0307629号、第2014/0288275号、およびWO2014/145806に概説されており、これらは全て、特にその中に概説されている技術に関して、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
A.実施例1:複数の癌型からのTILがPD-1およびT細胞共刺激受容体を同時発現する
PD-1と様々なT細胞共刺激受容体との間の潜在的な関連性を調べるために、The Cancer Genome Atlasプロジェクト(TCGA)からのRNAシーケンシングデータを分析に使用した。V2 RSEMデータはFireBrowse(http://firebrowse.org/)からダウンロードした。慣例的なルーチンによってRを用いて分析を行った。PD-1の発現と8つの共刺激受容体との間の相関を、計算されたR2値(ピアソン相関係数の二乗)と共に図1に示す。データは、PD-1およびいくつかの共刺激受容体が、膀胱癌、乳癌、結腸癌、頭頸部癌、腎臓癌、肺腺腫、肺扁平上皮癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、および黒色腫を含む癌において共発現したことを示す。特に、TIL上のICOSの発現は、他のいくつかのcostimよりもPD-1の発現とよりよく相関している。
B.実施例2:免疫チェックポイント抗原連結ドメイン
1.2A:抗PD-1 ABD
PD-1に連結する抗体の例は、その例示的な配列が図10に示されるE233P/L234V/L235A/G236del/S267K置換を有する二価のIgG1フォーマットで生成された。可変領域をコードするDNAを遺伝子合成によって生成し、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)法によって哺乳動物発現ベクターpTT5に挿入した。重鎖VH遺伝子を、上記の置換を有するヒトIgG1定常領域をコードするpTT5にギブソンアセンブリ(GIBSON ASSEMBLY(登録商標))を介して挿入した。軽鎖VL遺伝子を、ヒトCκ定常領域をコードするpTT5に挿入した。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトした。追加のPD-1 ABD(上記の抗体由来のものを含む)をcostim/チェックポイント二重特異性抗体に使用するためにFabおよびscFvとしてフォーマットし、その例示的な配列をそれぞれ図11および配列表に示す。
2.2B:抗CTLA-4 ABD
CTLA-4に連結する抗体は、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K置換を有する二価IgG1フォーマットで生成された。可変領域をコードするDNAを遺伝子合成によって生成し、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)法によって哺乳動物発現ベクターpTT5に挿入した。重鎖VH遺伝子を、上記の置換を有するヒトIgG1定常領域をコードするpTT5にギブソンアセンブリ(GIBSON ASSEMBLY(登録商標))を介して挿入した。軽鎖VL遺伝子を、ヒトCκ定常領域をコードするpTT5に挿入した。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトした。追加のCTLA-4 ABD(上記の抗体由来のものを含む)をcostim/チェックポイント二重特異性抗体に使用するためにscFvとしてフォーマットし、その例示的な配列を図12および配列表に示す。
3.2C:抗LAG-3 ABD
LAG-3に連結する抗体の例は、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K置換を有する二価IgG1フォーマットで生成された。可変領域をコードするDNAを遺伝子合成によって生成し、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)法によって哺乳動物発現ベクターpTT5に挿入した。重鎖VH遺伝子を、上記の置換を有するヒトIgG1定常領域をコードするpTT5にギブソンアセンブリ(GIBSON ASSEMBLY(登録商標))を介して挿入した。軽鎖VL遺伝子を、ヒトCκ定常領域をコードするpTT5に挿入した。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトした。追加のLAG-3 ABD(上記の抗体由来のものを含む)をcostim/チェックポイント二重特異性抗体に使用するためにFabとしてフォーマットし、その例示的な配列を図13および配列表に示す。
4.2D:抗TIM-3 ABD
TIM-3に連結する抗体の例は、その例示的な配列が図14に示されるE233P/L234V/L235A/G236del/S267K置換を有する二価のIgG1フォーマットで生成された。可変領域をコードするDNAを遺伝子合成によって生成し、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)法によって哺乳動物発現ベクターpTT5に挿入した。重鎖VH遺伝子を、上記の置換を有するヒトIgG1定常領域をコードするpTT5にギブソンアセンブリ(GIBSON ASSEMBLY(登録商標))を介して挿入した。軽鎖VL遺伝子を、ヒトCκ定常領域をコードするpTT5に挿入した。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトした。上述の抗体は、costim/チェックポイント二重特異性抗体に使用するためのFabとしてフォーマットされた。
5.2E:抗PD-L1 ABD
PD-L1に連結するプロトタイプ抗体は、その例示的な配列が図15A~15Cに示されるE233P/L234V/L235A/G236del/S267K置換を有する二価のIgG1フォーマットで生成された。可変領域をコードするDNAを遺伝子合成によって生成し、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)法によって哺乳動物発現ベクターpTT5に挿入した。重鎖VH遺伝子を、上記の置換を有するヒトIgG1定常領域をコードするpTT5にギブソンアセンブリ(GIBSON ASSEMBLY(登録商標))を介して挿入した。軽鎖VL遺伝子を、ヒトCκ定常領域をコードするpTT5に挿入した。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトした。上述の抗体は、costim/チェックポイント二重特異性抗体に使用するためのFabおよびscFvとしてフォーマットされた。
C.実施例3:共刺激受容体抗原連結ドメイン
ICOS、GITR、OX40、および4-1BBに連結するプロトタイプの共刺激受容体抗体を、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K置換を有する二価IgG1フォーマットで生成し、それらの配列を図16~19に示す。可変領域をコードするDNAを遺伝子合成によって生成し、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)法によって哺乳動物発現ベクターpTT5に挿入した。重鎖VH遺伝子を、上記の置換を有するヒトIgG1定常領域をコードするpTT5にギブソンアセンブリ(GIBSON ASSEMBLY(登録商標))を介して挿入した。軽鎖VL遺伝子を、ヒトCκ定常領域をコードするpTT5に挿入した。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトした。上述の抗体は、costim/チェックポイント二重特異性抗体に使用するためのFabまたはscFvとしてフォーマットされた。
D.実施例4:安定性および親和性のための抗ICOS ABDの操作
抗ICOS抗体の親可変領域(XENP16435;図19に示す)は、ICOS×チェックポイント二重特異性抗体における構成要素として使用するために操作された。最適な親和性および安定性を有するように操作されたFv変異のライブラリーを部位特異的変異導入(QUIKCHANGE(登録商標),Stratagene,Cedar Creek,Tx)またはさらなる遺伝子合成およびFab-HisおよびscFv-Hisフォーマットでのサブクローニングによって構築し、下記のように作製した。
1.4A:抗ICOS Fab
変異型抗ICOS Fabのアミノ酸配列を図20A~20Gに列挙する(ポリヒスチジン(His6)タグはFab重鎖のC末端から除去されている)。Fab発現に必要な2本の鎖をコードするDNAを遺伝子合成によって生成し、そして標準的な分子生物学技術を用いて発現ベクターpTT5にサブクローニングした。Fab重鎖はC末端ポリヒスチジンタグを含んでいた。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトし、得られたタンパク質をNi-NTAクロマトグラフィーを用いて上清から精製した。得られた抗ICOS Fabを安定性および親和性について分析した。
示差走査蛍光分析(DSF)実験は、Bio-Rad CFX Connect(商標)リアルタイムPCR検出システムを用いて実施した。タンパク質をSYPROオレンジ蛍光色素と混合し、PBSで0.2mg/mLに希釈した。SYPROオレンジの最終濃度は10倍であった。25℃で最初の10分間のインキュベーション期間の後、タンパク質を1℃/分の加熱速度で25℃から95℃に加熱した。30秒ごとに蛍光測定を実施した。溶融温度(Tm)は機器のソフトウェアを用いて計算した。結果を図21に示す。
ヒトICOSに対する抗ICOS Fabの一連のアフィニティースクリーニングを、BioLayer干渉法(BLI)に基づく方法であるOCTET(登録商標)を用いて実施した。OCTET(登録商標)の実験工程は、一般的に以下を含んでいた:固定化(バイオセンサー上へのリガンドまたは試験試料の捕捉)、会合(対応する試験試料またはリガンドの連続希釈物を含むウェルへのリガンドまたは試験試料をコーティングしたバイオセンサーの浸漬)、試験試料の一価の親和性を決定するための解離(緩衝液を含むウェルにバイオセンサーを戻すこと)。具体的には、抗マウスFc(AMC)バイオセンサーを使用して、ICOSのマウスIgG2a Fc融合体を捕捉し、そして複数濃度の試験試料に浸漬した。得られた平衡解離定数(KD)、会合速度(ka)、および解離速度(kd)を図22~23に提示する。連結親和性および動的速度定数は、ForteBio OCTET(登録商標) Data Analysisソフトウェア(ForteBio)を用いて1:1連結モデルを用いて処理データを分析することによって取得した。2つの別々の実験からのデータを図22A~22Cに示す。さらなる実験では、ストレプトアビジン(SA)バイオセンサーを使用してICOS-TEV-Fc-Aviを捕捉し、試験試料に浸漬した。データを図23に示す。XENP22780、XENP22782、XENP22783、およびXENP22784を含むいくつかの変異型抗ICOS Fabは、親の可変領域を含むFab(XENP22050)と同様の親和性特性を維持しながら安定性が改善されていた。
2.4B:抗ICOS scFv
抗ICOS scFvのアミノ酸配列を図24に列挙する(ポリヒスチジン(His6)タグはscFvのC末端から除去されている)。scFvをコードするDNAを遺伝子合成によって生成し、そして標準的な分子生物学的技術を用いて発現ベクターpTT5にサブクローニングした。scFvはC末端ポリヒスチジンタグを含んでいた。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトし、得られたタンパク質をNi-NTAクロマトグラフィーを用いて上清から精製した。得られた抗ICOS scFvを上記のようにDSF実験において安定性について分析した。データを図25に示す。
E.実施例5:抗ICOS×抗PD -1二重特異性抗体
1.5A:プロトタイプのcostim/チェックポイントボトルオープナー
ボトルオープナーフォーマットにおけるcostim/チェックポイント二重特異性抗体の模式図を図2Aに示す。プロトタイプの抗GITR mAb(XENP16438)、抗OX40 mAb(XENP16437)、抗4-1BB mAb(XENP14410)、および抗ICOS mAb(XENP16435)に基づく共刺激受容体連結Fabアーム、ならびに例示的な抗PD-1 scFv(XENP19692)アームを有するプロトタイプボトルオープナーは、SEB刺激PBMCアッセイにおけるサイトカイン分泌に対するそれらの効果を調査するために産生された。配列を図26A~26Dに示す。ボトルオープナー発現に必要な3本の鎖をコードするDNAを遺伝子合成によって生成し、そして標準的な分子生物学的技術を用いて発現ベクターpTT5にサブクローニングした。発現のためにHEK293E細胞にDNAトランスフェクトし、得られたタンパク質を標準的な技術を用いて精製した。
a.5A(a):プロトタイプ抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーはサイトカイン分泌を増強する
ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)は、T細胞受容体(TCR)を介した活性化によって達成されるのと同様にT細胞の活性化および増殖を引き起こす超抗原である。SEBを用いたヒトPBMCの刺激は、T細胞活性化および増殖をアッセイするための一般的な方法である。PBMCを100ng/mLのSEBで2日間シミュレートした。細胞を2回洗浄し、そして20μg/mLの示された試験試料と組み合わせて100ng/mLのSEBで再刺激した。ニボルマブに基づく第1の二価抗PD-1抗体(XENP16432)、第2の二価抗PD-1 mAb(XENP19686)、および二価抗RSV mAb(XENP15074)を対照として用いた。処理の24時間後、上清をIL-2についてアッセイした。図27に示すデータは、各costim/チェックポイントボトルオープナーが、二価の抗RSV抗体と比較してサイトカイン分泌を増強したことを示している。驚くべきことに、XENP22730によるサイトカイン分泌の誘導は、二価の抗PD-1抗体単独ならびに他のプロトタイプのcostim/チェックポイントボトルオープナーによるサイトカイン分泌よりもはるかに優れており、ICOS連結の追加がサイトカイン産生を増強すること、およびICOSが、二重特異性抗体に対する他の共刺激受容体よりも優れたPD-1のパートナーであることを示す。
別の実験では、20μg/mLの示された試験試料と共に0.01μg/mLのSEBで3日間、PBMCを刺激した。対照として、試験試料も未処理(非SEB刺激)PBMCと共にインキュベートした。処理3日後、上清をT細胞活性化の指標としてのIL-2分泌について評価した(図28に示す)。データは、抗PD-1二価抗体も抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーもナイーブ細胞におけるIL-2分泌を刺激しないことを示している。さらに、データは同様に、XENP20896が2価の抗PD-1抗体単独よりもIL-2分泌を増強すること、およびXENP20896が2価の組合せ(XENP16432およびXENP16435)、ならびに1アームの組み合わせ(XENP20111およびXENP20266)よりもIL-2分泌を増強することを示す。
ICOSなどの共刺激受容体は、二価抗体または多量体化リガンドによる架橋後にのみサイトカイン産生を誘導することが以前に見出されている(Viera et al.2004、Sanmamed et al.2015)。架橋機構を考慮すると、costim×チェックポイント遮断二重特異性抗体における単一アームによる一価ICOS連結がサイトカイン産生を増強することができたことは驚くべきことである。さらに、二重特異性抗体は、二価抗ICOS mAbと組み合わせた二価抗PD-1 mAb(XENP16432+XENP16435)よりもサイトカイン分泌を増強することができたことは注目に値する。
b.5A(b):PD-1およびICOS二重陽性細胞がプロトタイプ抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーにより選択的に占められている
免疫チェックポイント受容体または共刺激受容体のみを発現する非腫瘍反応性T細胞に対する、実施例1に示されるような免疫チェックポイント受容体(例えばPD-1)および共刺激受容体を同時発現する腫瘍反応性TILの選択的標的化は、抗腫瘍活性を高めつつ、一方で局所毒性を回避する(図29に示すとおり)。
SEB刺激PBMCアッセイを用いて、抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーのT細胞への連結を調べた。PBMCを100ng/mLのSEB(ブドウ球菌エンテロトキシンB)で3日間刺激し、その後、PBMCを示された試験試料で4℃で30分間処理した。次いで、PBMCをAPC標識1アーム抗ICOS抗体およびFITC標識1アーム抗PD-1抗体と共に4℃で30分間インキュベートした。図30および31は、プロトタイプ抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナー(XENP20896)、1アーム抗ICOS抗体(XENP20266)、および1アーム抗PD-1抗体(XENP20111)の受容体の占有を示す。
データは、二重陽性細胞(PD-1およびICOSの両方を発現する)が、図30に示すように、抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナー(XENP20896)によって選択的に占有されることを示し、一価のICOSおよびPD-1連結が選択的標的化に有用であることを示す。さらに、抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナー(例えば、XENP20896)は、図31Aに示されるように、一価の単一特異的1アーム抗PD-1および抗ICOSよりも二重陽性細胞により強く連結する。
c.5A(c):プロトタイプ抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーはGVHDマウス試験において生着を促進する
プロトタイプの抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーを、NSG(NOD-SCID-ガンマ)免疫不全マウスで実施された移植片対宿主病(GVHD)モデルにおいて評価した。マウスにヒトPBMCを移植した。NSGマウスにヒトPBMCを注射すると、それらはヒトPBMCに対する自己免疫応答を発症する。免疫チェックポイント抗体(例えば抗PD-1)と共にヒトPBMCを注射したNSGマウスの処理は、生着を促進する。したがって、生着の増加は抗体の有効性を示す。
1000万個のヒトPBMCを、0日目にIV-OSPを介してNSGマウスに移植し、続いて1、8、15、および22日目に示された試験試料を投与した。ヒトCD45+細胞数を14日目に疾患の指標として測定した。
図41A~41Bに示されるデータは、抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーが、対照(PBSおよびPBS+PBMC)と比較して、ヒトPBMC移植NSGマウスにおけるCD45+細胞の増殖を増強することを示す。さらに、本発明の抗体を用いると、二価の抗PD-1抗体で見られるものよりも増強が大きい。
2.5B:最適化された抗ICOS Fabアームを有する変異型抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーの産生
実施例4Aに記載されているように操作された抗ICOS Fabを含む変異型抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーを、概して上記のように産生した。変異型抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーのアミノ酸配列を図32に列挙する。FcRn pH6.0の親和性増強置換を有する変異型抗ICOS×抗PD-1のアミノ酸配列を図33に列挙する。
得られた抗ICOS×抗PD-1二重特異性抗体を、一般に上記のようにOCTET(登録商標)を用いてヒトおよびカニクイザルのICOSに対する親和性について分析した。第1セットの実験では、AMCバイオセンサーを用いてICOSのマウスIgG2a Fc融合体を捕捉し、そして複数濃度の試験試料に浸漬した(データを図34A~34Cに示す)。さらなる実験では、ストレプトアビジン(SAまたはSAX)バイオセンサーを使用して、ヒトおよびカニクイザルICOSのビオチン化のヒトおよびカニクイザルIgG1 Fc融合物を捕捉し、複数濃度の試験試料に浸漬した(データを図35に示す)。
3.5C:変異型抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーのT細胞表面連結
T細胞への抗ICOS×抗PD-1二重特異性の連結を、SEB刺激PBMCアッセイで測定した。ヒトPBMCを100ng/mLのSEBで3日間刺激した。次いでPBMCを示された試験物試料で処理し、そして4℃で30分間インキュベートした。処理後、細胞をFITC標識抗CD3抗体およびAPC標識抗ヒトIgG Fc二次抗体と共にインキュベートした。CD3+細胞上のMFIを図36A~36Bに示す。
4.5D:T細胞上の変異型抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーの受容体占有
T細胞上の変異型抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーの受容体占有をSEB刺激PBMCアッセイで測定した。PBMCを100ng/mLのSEB(ブドウ球菌エンテロトキシンB)で3日間刺激し、その後、PBMCを示された試験試料で4℃で30分間処理した。次いで、PBMCをAPC標識1アーム抗ICOS抗体およびFITC標識1アーム抗PD-1抗体と共に4℃で30分間インキュベートした。図37は、PD-1およびICOS二重陽性T細胞における、変異型抗ICOS×抗PD-1二重特異性抗体、対応する1アーム抗ICOS抗体および1アーム抗PD-1抗体(XENP20111)の受容体占有を示す。実施例1Aで調べたプロトタイプ抗体と一致して、ボトルオープナーの各々は、一価の単一特異性1アーム抗PD-1抗体および1アーム抗ICOS抗体よりも二重陽性細胞により強く連結する。
5.5E:サイトカイン放出アッセイにおける変異型抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーのインビトロ活性
ヒトPBMCを100ng/mLのSEBで2日間刺激した。細胞を洗浄し、そして20μg/mLの示された試験試料と組み合わせて100ng/mLのSEBで再刺激した。処理の24時間後、細胞をIL-2(図38A)およびIFNγ(図38B)についてアッセイした。データは、抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーが、二価抗PD-1抗体(XENP16432)単独、二価抗ICOS抗体(XENP16435)単独、または二価抗PD-1抗体と2価の抗ICOS抗体を組み合わせたものよりも顕著により多くのサイトカイン放出を刺激したことを示す。
さらなる実験において、ヒトPBMCを100ng/mLのSEBで2日間刺激した。細胞を洗浄し、そして20μg/mLの示された試験試料と組み合わせて100ng/mLのSEBで再刺激した。処理の24時間後、細胞をIL-2(図39A)およびIFNγ(図39B)についてアッセイした。
6.5F:GVHDマウス試験における変異型抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーのインビボ活性
最初の試験では、1000万個のヒトPBMCを、0日目にIV-OSPを介してNSGマウスに移植し、続いて1日目に示された試験試料を投与した。7日目、11日目および14日目に、IFNγレベル、ならびにヒトCD45+、CD8+のT細胞およびCD4+のT細胞数を測定した。図40A~40Bはそれぞれ7日目および11日目のIFNγレベルを示す。図41A~41Bはそれぞれ、11日目および14日目のCD45+細胞数を示す。図42A~42Bはそれぞれ、14日目のCD8+T細胞およびCD4+T細胞数を示す。図43は、T細胞増殖およびIFN?産生に起因するGVHDの悪化から生じる14日目までのマウスの体重の変化を示す。
追加の変異型抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーを用いたさらなる試験では、0日目に1000万個のヒトPBMCをIV-OSPを介してNSGマウスに移植し、続いて1日目に示された濃度で示された試験試料を投与した。7日目および14日目に、IFNγレベル、ならびにヒトCD45+、CD8+のT細胞およびCD4+のT細胞数を測定した。図44A~44Bはそれぞれ7日目および14日目のIFNγレベルを示す。図45は、14日目のCD45+細胞数を示す。図46A~46Cはそれぞれ、14日目のCD8+T細胞数、CD4+T細胞数、およびCD8+/CD4+の比率を示す。マウスの体重もまた、12日目および15日目に測定し、それぞれ図47A~Bに初期体重の割合として示した。
図は、抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーが生着を増強することを示す(CD45+細胞、CD8+T細胞およびCD4+T細胞の増殖およびマウスの体重の減少によって示されるように)。観察された活性は各変異のインビトロ効力と相関している。さらに、XENP20896、XENP22744、XENP23092、XENP22730、XENP23104、XENP22974、およびXENP23411を含むいくつかのボトルオープナーは、対照の二価抗PD-1抗体(XENP16432)よりもはるかに生着を増強する。
7.5G:さらなる抗ICOS ABDが抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーで機能する
概して上記のように実施例3に記載の他の抗ICOS ABDに基づく抗ICOS Fabを含むさらなる抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーを産生した。さらなるボトルオープナーのための配列を図48A~48Dに示す。
最初の実験では、PBMCを100ng/mLのSEBで2日間刺激した。細胞を2回洗浄し、そして20μg/mLの示された試験試料(対照としてのPBS)と組み合わせて100ng/mLのSEBで再刺激した。処理の24時間後、図49に示されるように、上清をIL-2濃度についてアッセイした。第2の実験では、PBMCを10ng/mLのSEBで刺激し、20μg/mLの示された試験試料で3日間処理した(対照として二価抗PD-1XENP16432)。上清を回収し、そしてIL-2についてアッセイした。図50は、二価抗RSV mAbに対するIL-2の誘導倍率を示す。
実施例5A(a)のデータと一致して、XENP20896はIL-2の分泌を刺激した。特に、代替の抗ICOS ABDを含むさらなるボトルオープナーはまた、IL-2の分泌を刺激することができ、抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーによるサイトカイン分泌の増強は、実施例4に記載の親の抗ICOS ABDに由来するABDに特有ではないことを実証する。
8.5H:抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーにより明確なICOSの徴候が示される
a.5H(a):抗ICOS×抗PD-1二重特異性抗体はAKTリン酸化を誘導する
ICOS連結は活性化T細胞においてAKTリン酸化を誘導し(Fos,C et al.2008)、そしてそれ自体、AKTリン酸化は本発明の抗ICOS×抗PD-1二重特異性抗体によるICOSアゴニズムの指標となるであろう。
ヒトPBMCを100ng/mLのSEBで2日間刺激した。刺激後、CD3+細胞をEasySep(商標)ヒトT細胞濃縮キット(STEMCELL Technologies,Vancouver,Canada)を用いたネガティブセレクションにより単離し、次いでプレート連結抗CD3抗体(OKT3、500ng/mL)と組み合わせて示された試験試料で処理した。細胞を処理の30分後に溶解し、MULTI-SPOT 384ウェルスポットプレート(Meso Scale Discovery,Rockville,Md.)上の多重リン酸化タンパク質アッセイによって総AKTおよびリン酸化AKT(Ser473)についてアッセイした。処理後にリン酸化されたAKTの百分率としてデータを図51に示す。
データは、陰性対照二価抗PD-1 mAb(XENP16432)による処理後のAKTリン酸化の増加を示さない。二価抗ICOS mAb単独(XENP16435)およびXENP16432と組み合わせたXENP16435の両方がAKTリン酸化を増加させ、これはICOS連結およびXENP16435によるアゴニズムを実証する。驚くべきことに、ICOSの一価の連結のみにもかかわらず、抗ICOS×抗PD-1二重特異性抗体による処理は、XENP16435単独およびXENP16435とXENP16432との組み合わせによる処理よりも多くのAKTリン酸化を誘導する。正のAKTリン酸化データは、ICOSの一価の連結にもかかわらず、二重特異性抗体とのICOS活性の明確な徴候を実証する。
b.5H(b):抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーにより上方制御された活性化Tヘルパー細胞関連遺伝子
Guedan et al.(2014)は、ICOSシグナル伝達ドメインに基づくCAR-Tsの活性化後の活性化ヘルパーT細胞(すなわちTh1、Th2、およびTh17)および制御性T細胞(Treg)の遺伝子発現プロファイルを記載している。彼らは、IL-17A、IL22、IFNγ、TNF、およびIL-13などの活性化Tヘルパー細胞に関連する遺伝子が上方制御されたのに対して、TGFβ1、SMAD3、およびFOXP3などのTreg関連遺伝子は不変または下方制御されたことを見出した。
T細胞と本発明の抗ICOS×抗PD-1二重特異性抗体との連結が同様の徴候をもたらしたかどうかを調べるために、我々はNanostring技術を使用した。PBMCを100ng/mLのSEBで2日間刺激した。細胞を2回洗浄し、そして100ng/mLのSEBで再刺激し、そして示された試験試料で24時間処理した。RNAを細胞から抽出し、免疫応答を包含する770個の標的遺伝子をアッセイするnCounter(登録商標)PanCancer Immune Profiling Panel(NanoString Technologies,Seattle,Wash.)によってアッセイした。図52は、二価抗RSV抗体に対する、いくつかのTh関連遺伝子およびTreg関連遺伝子の発現における平均誘導倍率を示す。図53A~53Fはそれぞれ、IL-17A、IL-17F、IL-22、IL-10、IL-9、およびIFNγの、二価抗RSV mAbによる誘導を超える、示された試験試料による遺伝子発現の誘導倍率を示す。
図52~53に示すように、そしてGueden et al.による観察と一致して、IL-17A、IL-17F、IL-22、IL-9、およびIFNγのようなICOSシグナル伝達に関連するTh関連遺伝子は、二価抗ICOS mAbならびに抗ICOSおよび抗PD-1 mAbの組合せでの処理後に上方制御される。特に、ICOSシグナル伝達に関連するTh関連遺伝子の発現は、抗ICOS×抗PD-1抗体での処理後にさらに上方制御され、これもまた、明らかなICOS共刺激徴候および二重特異性抗体による抗ICOSおよび抗PD-1の連結の劇的な相乗作用を示す。
9.5I:代替的なフォーマットの抗ICOS×抗PD-1二重特異性抗体
抗ICOS×抗PD-1ボトルオープナーの効果がボトルオープナーフォーマットに固有のものであるか、または抗ICOS×抗PD-1二重特異性抗体に広く適用可能であるかを調べるために、代替的なフォーマットのcostim/チェックポイント二重特異性抗体を産生した。
a.5I(a):抗PD-1×抗ICOSボトルオープナー
実施例2Aに記載の抗PD-1 mAb(例えばXENP16432およびXENP29120)および実施例4Bに記載の抗ICOS scFvをコードするDNAを用いて生成した抗PD-1 Fabを有する抗PD-1×抗ICOSボトルオープナーを生成した。実施例5Aに概して記載されているようにボトルオープナーを産生した。例示的な抗PD-1×抗ICOSボトルオープナーの配列を図56に示す。
b.5I(b):中央-scFv
中央-scFvフォーマットの概略図は図55A~55Bに示される。抗ICOS Fab-Fc重鎖をコードするDNAは、実施例4Aに記載の抗ICOS FabをコードするDNAを用いて、発現ベクターpTT5への標準的なサブクローニングによって生成した。実施例4Aに記載の抗ICOS Fabおよび実施例2Aに記載の抗PD-1 scFvをコードするDNAを遺伝子合成および標準的な発現ベクターpTT5へのサブクローニングの組み合わせによって使用して、抗ICOS-抗PD-1 Fab-scFv-Fc重鎖をコードするDNAを生成した。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトした。例示的な抗ICOS×抗PD-1中央-scFv抗体の配列を図57A~57Cに示す。
c.5I(c):中央-scFv2
中央-scFv2フォーマットの概略図を図55Cに示す。実施例4Aに記載の抗ICOS Fabおよび実施例2Aに記載の抗PD-1 scFvをコードするDNAを用いて、遺伝子合成および標準的な発現ベクターpTT5へのサブクローニングの組み合わせによって、抗ICOS-抗PD-1 Fab-scFv-Fc重鎖をコードするDNAを生成した。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトした。例示的な抗ICOS×抗PD-1中央-scFv2抗体の配列を図58に示す。
d.5I(d):二重特異性mAb
二重特異性mAbフォーマットの模式図は図2Kとして示される。抗ICOS重鎖および軽鎖をコードするDNAは、実施例に記載の抗ICOS FabをコードするDNAに基づいて生成され、抗PD-1重鎖および軽鎖をコードするDNAは、実施例2Aに記載の抗PD-1 mAbをコードするDNAに基づいて生成された。重鎖VH遺伝子を、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K置換を有するヒトIgG1定常領域をコードするpTT5にギブソンアセンブリ(GIBSON ASSEMBLY(登録商標))を介して挿入した。軽鎖VL遺伝子を、ヒトCκ定常領域をコードするpTT5に挿入した。
2つの別個の抗体としての発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトし、プロテインAアフィニティー(GE Healthcare)によって精製した。これらの抗体は、CH3:CH3界面にヘテロ二量体化-スキュー置換を含む。2-メルカプトエチルアミン-HCl(2-MEA)を用いて、2つの親IgGにおける鎖間ジスルフィド連結の制御された還元を誘導した。次いで、2-MEAを除去して鎖間ジスルフィド連結の再酸化を生じさせ、HC-LC対の再連結を可能にした(ヘテロ二量体化変異によって駆動された)。最後に、三重特異性抗体を陽イオン交換クロマトグラフィーにより精製した。そのような方法は当該技術分野において一般的である(例えば、Labrijn(2013)PNAS110(13):5145-50またはStrop et al.(2012)J Mol Biol 420(3):204-19を参照されたい)。当該分野で公知の他の設計および精製方法を使用して、二重特異性mAb産生、例えば、一般的な軽鎖抗体(Merchant(1998)Nat Biotechnol 16(7):677~81)またはヘテロ二量体Fabドメイン(Lewis et al.(2014)Nat Biotechnol 32(2):191-8)の産生を促進できる。例示的な抗PD-1×抗ICOS二重特異性mAbの配列を図59に示す。
e.5I(e):DVD-IgG
DVD-IgGフォーマットの概略図は図55A~55Dに示す。抗PD-1-抗ICOS VH-VH-CH1-Fc重鎖およびVL-VL-Cκ軽鎖をコードするDNAは、実施例4Aに記載の抗ICOS Fabおよび実施例2Aに記載の抗PD-1 scFvをコードするDNAを用いて、遺伝子合成および発現ベクターpTT5への標準的なサブクローニングの組み合わせにより生成した。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトした。例示的な抗ICOS×抗PD-1 DVD-IgGの配列を図60に示す。
f.5I(f):トライデント
トライデントフォーマットの概略図を図55A~55Dに示す。抗PD-1 VL-VH-Fc重鎖およびVL-VH軽鎖をコードするDNAは、実施例4Aに記載の抗ICOS Fabおよび実施例2Aに記載の抗PD-1 scFvをコードするDNAを用いて、遺伝子合成および発現ベクターpTT5への標準的なサブクローニングの組み合わせにより生成した。発現のためにDNAをHEK293E細胞にトランスフェクトした。例示的な抗ICOS×抗PD-1トライデントの配列を図61A~61Bに示す。
g.5I(g):代替的なフォーマットの抗ICOS×抗PD-1二重特異性抗体はサイトカイン分泌を増強する
ヒトPBMCを200ng/mLのSEBで2日間刺激した。細胞を2回洗浄し、そして示された濃度の示された試験試料と組み合わせて100ng/mLのSEBで再刺激した。処理の24時間後、上清をIL-2についてアッセイした。データを図62に示しており、代替的なフォーマットの二重特異性抗体の各々は二価の抗RSV(XENP15074)対照と比較してIL-2分泌を増強することを示している。特に、これらの代替的なフォーマットの抗体の大部分は、二価の抗PD-1抗体と比較してIL-2分泌を増強する。
F.実施例6:異なる免疫チェックポイント抗原を標的とするCostim/チェックポイント二重特異性抗体
1.6A:抗CTLA-4×抗ICOS
XENP16435由来の抗ICOS Fabおよび実施例2Bに記載のABD由来の抗CTLA-4 scFvを用いて抗CTLA-4×抗ICOSボトルオープナーを産生した。例示的な抗ICOS×抗CTLA-4ボトルオープナーの配列を図63に示す。実施例5I(c)に概して記載されているように二重特異性mAbを産生した。
2.6B:抗LAG-3×抗ICOS
実施例2Cに記載のABD由来の抗LAG-3 FabおよびXENP16435由来の抗ICOS Fabを用いて、抗LAG-3×抗ICOS二重特異性抗体を産生した。例示的な抗LAG-3×抗ICOS二重特異性抗体の配列は図64A~64Bに描かれている。実施例5I(c)に概して記載されているように二重特異性mAbを製造した。
3.6C:抗TIM-3×抗ICOS
実施例2Dに記載のABD由来の抗TIM-3 FabおよびXENP16435由来の抗ICOS Fabを用いて、抗TIM-3×抗ICOS二重特異性抗体を産生した。例示的な抗TIM-3×抗ICOS二重特異性抗体の配列を図65に示す。実施例5I(c)に概して記載されているように二重特異性mAbを産生した。
4.6D:抗PD-L1×抗ICOS
実施例2Eに記載のABD由来の抗PD-L1 Fabおよび実施例4Bに記載の抗ICOS scFvを用いて抗PD-L1×抗ICOSボトルオープナーを産生した。例示的な抗PD-L1×抗ICOS二重特異性抗体の配列を図66A~66Cに示す。実施例5Aに概して記載されているようにボトルオープナーを産生した。
5.6E:さらなるcostim×チェックポイント遮断二重特異性抗体はサイトカイン分泌を増強するように機能する
ヒトPBMCを200ng/mLのSEBで2日間刺激した。細胞を2回洗浄し、そして示された濃度の示された試験試料と組み合わせて100ng/mLのSEBで再刺激した(上述のように)。処理の24時間後、上清をIL-2についてアッセイした。データを図67に示しており、さらなるcostim×チェックポイント遮断二重特異性抗体の各々が、二価抗RSV(XENP 15074)対照と比較してIL-2分泌を増強することを示している。特に、これらの代替的なチェックポイント遮断抗体の大部分(全てではないが、例えばTIM-3遮断)は、二価の抗PD-1抗体(XENP16432)と比較してIL-2分泌を増強する。
G.実施例7:ICOSの一価連結は二価架橋より優れている
実施例5A(a)において、驚くべきことに、抗ICOS×抗PD-1抗体が、サイトカイン産生の刺激のために必要であると考えられているICOSのような共刺激受容体の架橋とは反対のICOSの一価連結にもかかわらずサイトカイン分泌を高めるように働くことが見出された。実施例5H(a)において、驚くべきことに、抗ICOS×抗PD-1抗体は、二価の抗ICOS mAbよりもAKTリン酸化(ICOSアゴニズムのサイン)を増強することが見出された。この章では、ICOSの一価の連結がICOSの二価の連結よりも優れているように見えるこの傾向をさらに調査する。
1.7A:1アーム抗ICOS Fab-Fc抗体の産生
例示的な1アーム抗ICOS Fab-Fc抗体のアミノ酸配列を図68A~68Gに列挙する。抗体発現に必要な3本の鎖をコードするDNAを遺伝子合成によって生成し、そして標準的な分子生物学的技術を用いて発現ベクターpTT5にサブクローニングした。発現のためにHEK293E細胞にDNAトランスフェクトし、得られたタンパク質を標準的な技術を用いて精製した。
得られた1アーム抗ICOS Fab-Fc抗体を、OCTET(登録商標)を用いてヒトICOSに対する親和性について分析した。抗マウスFc(AMC)バイオセンサーを使用して、ICOSのマウスIgG2a Fc融合体を捕捉し、そして複数濃度の試験試料に浸漬した。得られた平衡解離定数(KD)、会合速度(ka)、および解離速度(kd)を図69に提示する。連結親和性および動的速度定数は、ForteBio OCTET(登録商標) Data Analysisソフトウェア(ForteBio)を用いて1:1連結モデルを用いて処理データを分析することによって取得した。
2.7B:一価1アーム抗ICOS Fab-Fc抗体は、二価抗ICOS抗体よりもPBMCにおいてより大きいAKT活性化を促進する
PBMCを100ng/mLのSEBで2日間刺激した。刺激後、CD3+T細胞をEasySep(商標)ヒトT細胞濃縮キット(STEMCELL Technologies,Vancouver,Canada)を用いたネガティブセレクションにより単離し、次いでプレート連結抗CD3抗体(OKT3、500ng/mL)と組み合わせて示された試験試料で処理した。細胞を処理の30分後に溶解し、MULTI-SPOT 384ウェルスポットプレート(Meso Scale Discovery,Rockville,Md.)上の多重リン酸化タンパク質アッセイによって総AKTおよびリン酸化AKT(Ser473)についてアッセイした。処理後にリン酸化されたAKTの百分率としてデータを図70に示す。
実施例Xと一致して、抗ICOS×抗PD-1二重特異性抗体は、二価抗ICOS抗体よりも顕著に高いAKT活性化を促進した。驚くべきことに、増強された一価の1アーム抗ICOS Fab-Fc抗体はまた、二価の抗ICOS抗体よりも顕著に高く、二重特異性抗体に匹敵するレベルまでAKT活性化を促進した。
3.7C:ICOSの一価アゴニズムは複数の抗ICOS ABDと協調する
CD3+T細胞をEasySep(商標)ヒトT細胞濃縮キット(STEMCELL Technologies,Vancouver,Canada)を用いたネガティブセレクションにより単離し、次いでプレート連結抗CD3抗体(OKT3、500ng/mL)と組み合わせて示された試験試料で処理した。細胞を処理の30分後に溶解し、MULTI-SPOT 384ウェルスポットプレート(Meso Scale Discovery,Rockville,Md.)上の多重リン酸化タンパク質アッセイによって総AKTおよびリン酸化AKT(Ser473)についてアッセイした。データを図74に示し、そしてこれは様々な抗ICOS ABDを含む一価抗ICOS Fab-Fc抗体がAKTリン酸化を誘導することができたことを示す。