JP7076678B2 - 粘弾性測定装置 - Google Patents
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Description
1.天秤型の粘弾性測定装置であって、
中間部が揺動自在に支持され、両端部が上下逆向きに変位する揺動アームと、
前記揺動アームの一方の端部に配置され、重量の調整が可能な第1重量調整部と、
前記揺動アームの他方の端部の下方に配置され、サンプルが設置される試料台と、
前記揺動アームの他方の端部に脱落不能に支持され、鉛直方向にスライドする作用軸と、
前記作用軸に配置され、重量の調整が可能な第2重量調整部と、
前記作用軸の下端部に装着されるプローブと、
前記プローブの位置及び時間を検出値として計測するセンサと、
前記センサと電気的に接続された処理装置と、
を備え、
重量差を利用して、前記揺動アームの前記他方の端部側を下向きに変位させることにより、前記プローブが、前記試料台に設置された前記サンプルに押し込まれ、
前記プローブが前記サンプルと接触を保ったままで上下運動をしている間に、前記センサが検出する検出値を用いて、前記処理装置が、粘弾性パラメーターを算出する粘弾性測定装置。
2.前記センサが検出する検出値が、0.01ミリ秒~5ミリ秒の時間間隔で検出されたものである、前項1に記載の粘弾性測定装置。
3.前記プローブが円柱型である、前項2に記載の粘弾性測定装置。
4.前記処理装置により算出される粘弾性パラメーターが、体積弾性率、体積粘性率、ヤング率、ポアソン比、ずり弾性率、及びずり粘性率からなる群より選択される少なくとも1つの粘弾性パラメーターである、前項1~3のいずれか1に記載の粘弾性測定装置。
5.体積弾性率が、センサが検出する検出値を用いて算出され、
体積粘性率が、センサが検出する検出値を用いて算出され、
ヤング率が、センサが検出する検出値を用いて算出され、
ポアソン比が、ヤング率、体積弾性率、及び体積粘性率を用いて算出され、
ずり弾性率が、ヤング率及びポアソン比を用いて算出され、
ずり粘性率が、ヤング率、体積弾性率、及び体積粘性率を用いて算出される、
前項4に記載の粘弾性測定装置。
6.前記処理装置により算出される粘弾性パラメーターが、少なくとも、体積弾性率、体積粘性率、及びヤング率を含む、前項4に記載の粘弾性測定装置。
7.前項1~6のいずれかに記載の粘弾性測定装置を用いて、食品について粘弾性パラメーターを測定する方法。
本発明の粘弾性測定装置は、好ましくは2つ以上のパラメーターを測定できる装置である。好ましい組み合わせとしては、体積弾性率と体積粘性率、体積弾性率とヤング率、及び、体積粘性率とヤング率等が挙げられるが、これらの組み合わせに限定されず、何れの粘弾性パラメーターの組み合わせでもよい。
本発明の粘弾性測定装置は、より好ましくは3つ以上の粘弾性パラメーターを測定する装置である。好ましい組み合わせとしては、
体積弾性率と体積粘性率とヤング率、
体積弾性率と体積粘性率とヤング率とポアソン比、
体積弾性率と体積粘性率とヤング率とポアソン比とずり弾性率、
体積弾性率と体積粘性率とヤング率とずり粘性率、及び、
体積弾性率と体積粘性率とヤング率とポアソン比とずり弾性率とずり粘性率
等が挙げられるが、これらの組み合わせに限定されず、何れの粘弾性パラメーターの組み合わせでもよい。
第3の粘弾性パラメーターとしてのヤング率は、前記センサが検出した検出値を用いて、前記処理装置により算出される。第4の粘弾性パラメーターであるポアソン比は、前記第1の粘弾性パラメーターと、前記第2の粘弾性パラメーターと、前記第3の粘弾性パラメーターを用いて、前記処理装置により算出される。第5の粘弾性パラメーターであるずり弾性率は、前記第3の粘弾性パラメーターと、前記第4の粘弾性パラメーターを用いて、前記処理装置により算出される。第6の粘弾性パラメーターであるずり粘性率は、前記第1の粘弾性パラメーターと、前記第2の粘弾性パラメーターと、第3の粘弾性パラメーターを用いて、前記処理装置により算出される。第1~第3の粘弾性パラメーターはいかなる順番で算出されてもよく、同時に算出されてもよい。
図1に、本実施形態で開示する粘弾性測定装置を示す。この粘弾性測定装置は、天秤型の構造となっており、基台10、支柱20、ガイドアーム30、揺動アーム40、試料台50、作用軸60、中継端子70、処理装置80などで構成されている。
(セッティング)
第1重量調整部41及び第2重量調整部62の錘Wの重量を調整する。例えば、サンプルがバナナの場合には、第1重量調整部41及び第2重量調整部62の錘W、作用軸60、プローブ63、揺動アーム40の総重量を0.61kg程度に設定することができる。そのうえで、揺動アーム40の第2端部側が下向きに変位するように、第1重量調整部41と第2重量調整部62との間で重量差を設け、その重量差により、プローブ63がサンプルSに接触するときのプローブ63の速度vを調整する。プローブ63がサンプルSに接触するときの速度vは、力のモーメントに基づき、次の式(1)~(3)を用いて演算される。なおvとは、プローブが運動する速度を表す。
m2は第2重量調整部62に装着される錘W、作用軸60、プローブ63の質量の総和[kg]、
m3は揺動アーム40自体の質量[kg]、
gは重力加速度[m/s2]、
Rは揺動軸J1から第1重量調整部41に装着される錘Wの重心までの距離[m]または揺動アーム40水平時の揺動軸J1から連結ローラ61までの距離[m]、
Tは揺動アーム40の動作開始からの経過時間[s]、
C1とC2は初期条件θ(T=0)=sin-1(h/r)、v(T=0)=0より決定される定数、
hは測定開始時に持ち上げられるプローブ63の先端からサンプルSまでの離間距離(m)である。
また、dnはヤコビの楕円関数(dn(u,k)=(1-k2sn2(u,k))1/2)、amはヤコビの楕円関数の振幅(第1種楕円積分の逆関数)である。
図3に示すように、処理装置80には、第1の演算手段81、第2の演算手段82、第3の演算手段83、第4の演算手段84、第5の演算手段85が備えられている。これら各演算手段81、82、83、84、85は、上述したハードウエア及びソフトウエアの協働によって実現される。処理装置80は、各演算手段81、82、83、84、85で得られた粘弾性パラメーターを数値として表示することができる。
第1の演算手段81は、センサ32から入力される信号i1(プローブ63の位置、時間、プローブ63の変位量のデータ信号)を用いて、第1の粘弾性パラメーターである体積弾性率を算出する。まず、時間と変位の関係として、次式が与えられる。
第2の演算手段82は、センサ32から入力される信号i1(プローブ63の位置、時間、プローブ63の変位量のデータ信号)を用いて、第2の粘弾性パラメーターである体積粘性率ζを算出する。具体的には、粘性減衰係数Hを用いて、次の式(11)により算出する。
第3の演算手段83は、センサ32から入力される信号i1(プローブ63の位置、時間、プローブ63の変位量のデータ信号)を用いて、第3の粘弾性パラメーターであるヤング率Eを算出する。具体的には、次の式(12)により算出する。
第4の演算手段84は、ヤング率E、体積弾性率K、及び体積粘性率ζを用いて、第4の粘弾性パラメーターであるポアソン比σを算出する。具体的には、式(14)により算出する。
第5の演算手段85は、ポアソン比σを用いて、第5の粘弾性パラメーターであるずり弾性率μを算出する。具体的には、以下の式(15)により算出することができる。式(15)は粘性をまったく含まない通常のずり弾性率であるが、式(15)中のポアソン比σに式(14)の粘性を含むポアソン比を代入すれば、粘性を含むずり弾性率を算出することもできる。
食品を測定して得られる時間ごとの変位は、弾性と粘性の効果によって決定される。粘弾性と変位の間に一定の関係を与えるモデルを用意すれば、時間と変位の関係から弾性と粘性の物理量を評価することができると考えられた。そこで、物理量を測定するための粘弾性のモデルとして、プローブ(質量 m)とフォークトモデルの間にバネ1個を直列に配置したフォークト型3要素の粘弾性モデル(図4)を用いた。粘弾性3要素モデルの運動方程式は、以下の式(16)~(18)で与えられる。mはプローブの全質量(m1+m2+m3/3)であり、m1は第1重量調整部41に装着される錘Wの質量、m2は第2重量調整部62に装着される錘W、作用軸60、プローブ63の質量の総和、m3は揺動アーム40自体の質量である。
次に、この弾性係数と粘性減衰係数から、食品の体積や形状に依らない物理量、体積弾性率(K1、K2)と体積粘性率(ζ)を以下の手順で求める。まず、式(16)、(17)を次のように変形する。
ヤング率は、サンプルの厚みl[m]、プローブの断面積S[m2]、第2重量調整部62に装着される錘W、揺動アーム、第1重量調整部41に装着される錘W、作用軸、プローブを含めた全体の質量m[kg]、プローブの加速度α[m/s2]、プローブがサンプルに接触してから最も沈み込んだときの移動距離Δx[m]の5つから算出することができる。
粘性を含む時の等方性体のポアソン比は、ヤング率Eと体積弾性率Kにより、以下で与えられる。
本発明の天秤型粘弾性測定装置において、サンプルにバナナを選んだ場合に、センサにより検出した結果を用いて、粘弾性パラメーターを算出した。
K1=1.04×107=10.4 [MPa]
K2=4.45×106=4.45 [MPa]
ζ=6.72×104 [Pa・s]
加えて、本実施例において式(4)より得られたω=77.49を用いて算出した、粘性効果を含むポアソン比σとずり弾性率μとずり粘性率ηは、以下の通りである。
σ=0.469
μ=0.813 [MPa]
η=3.72×104 [Pa・s]
20 支柱
30 ガイドアーム
32 センサ
40 揺動アーム
41 第1重量調整部
43 トリガー
50 試料台
51 昇降機構
60 作用軸
61 連結ローラ
62 第2重量調整部
63 プローブ
80 処理装置
S サンプル
W 錘
Claims (7)
- 天秤型の粘弾性測定装置であって、
中間部が揺動自在に支持され、両端部が上下逆向きに変位する揺動アームと、
前記揺動アームの一方の端部に配置され、重量の調整が可能な第1重量調整部と、
前記揺動アームの他方の端部の下方に配置され、サンプルが設置される試料台と、
前記揺動アームの他方の端部に脱落不能に支持され、鉛直方向にスライドする作用軸と、
前記作用軸に配置され、重量の調整が可能な第2重量調整部と、
前記作用軸の下端部に装着されるプローブと、
前記プローブの位置及び時間を検出値として計測するセンサと、
前記センサと電気的に接続された処理装置と、
を備え、
重量差を利用して、前記揺動アームの前記他方の端部側を下向きに変位させることにより、前記プローブが、前記試料台に設置された前記サンプルに押し込まれ、
前記プローブが前記サンプルと接触を保ったままで上下運動をしている間に、前記センサが検出する検出値を用いて、前記処理装置が、粘弾性パラメーターを算出する粘弾性測定装置。 - 前記センサが検出する検出値が、0.01ミリ秒~5ミリ秒の時間間隔で検出されたものである、請求項1に記載の粘弾性測定装置。
- 前記プローブが円柱型である、請求項2に記載の粘弾性測定装置。
- 前記処理装置により算出される粘弾性パラメーターが、体積弾性率、体積粘性率、ヤング率、ポアソン比、ずり弾性率、及びずり粘性率からなる群より選択される少なくとも1つの粘弾性パラメーターである、請求項1~3のいずれか1に記載の粘弾性測定装置。
- 体積弾性率が、前記センサが検出する検出値を用いて算出され、
体積粘性率が、前記センサが検出する検出値を用いて算出され、
ヤング率が、前記センサが検出する検出値を用いて算出され、
ポアソン比が、ヤング率、体積弾性率、及び体積粘性率を用いて算出され、
ずり弾性率が、ヤング率及びポアソン比を用いて算出され、
ずり粘性率が、ヤング率、体積弾性率、及び体積粘性率を用いて算出される、
請求項4に記載の粘弾性測定装置。 - 前記処理装置により算出される粘弾性パラメーターが、少なくとも、体積弾性率、体積粘性率、及びヤング率を含む、請求項4に記載の粘弾性測定装置。
- 請求項1~6のいずれかに記載の粘弾性測定装置を用いて、食品について粘弾性パラメーターを測定する方法。
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