以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る電力増幅装置1の構成例を示す説明図である。
電力増幅装置1は、入力された音声信号(入力音声信号)に基づき、スピーカ2で出力する為の音声信号(出力音声信号)を生成する装置である。電力増幅装置1は、音声を出力するスピーカ2が接続されることにより、音響装置3が構成される。
電力増幅装置1は、整流平滑回路11、双方向電力変換回路12、電流検出器13、電圧検出器14、及び制御回路15を備える。また、電力増幅装置1は、電源入力端子16、音声信号入力端子17、音量信号入力端子18、音声信号出力端子19を備える。
電源入力端子16は、交流電源ACに接続される。電源入力端子16には、交流電源ACから交流電圧が入力される。
音声信号入力端子17は、アナログの音声信号(入力音声信号)を出力する機器に接続されるAUX端子である。音声信号入力端子17には、入力音声信号が入力される。
音声信号出力端子19は、スピーカ2に接続されるVout端子である。音声信号出力端子19は、入力音声信号に応じて電力増幅装置1により生成されたアナログの音声信号(出力音声信号)を出力し、スピーカ2に供給する。
音量信号入力端子18は、音量信号が入力されるVolume端子である。音量信号は、音声信号出力端子19から出力される出力音声信号の強さ(音量)を調整する為の信号である。
整流平滑回路11は、電源入力端子16に接続されている。整流平滑回路11は、整流ブリッジDB1及び第1の平滑キャパシタC1を備える。整流ブリッジDB1は、複数のダイオードにより構成された全波整流回路(整流器)である。整流ブリッジDB1の入力端子は、電源入力端子16を介して交流電源ACに接続される。整流ブリッジDB1は、交流電源ACから供給された交流電圧を全波整流する。全波整流された電圧は、第1の平滑キャパシタC1によりにより平滑され直流電圧に変換される。整流平滑回路11は、後段の回路に直流電圧を供給する。
双方向電力変換回路12は、制御回路15の制御に基づいてスイッチングを行うことにより、入力された直流電圧を、任意の電圧の直流に変換する回路である。これに直流カットキャパシタC3を設けることにより、直流成分が排除された交流の音声信号が負荷に出力される。
双方向電力変換回路12は、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、第4の半導体スイッチS4、インダクタL1、及び第2の平滑キャパシタC2を備える。
第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4は、半波導通スイッチである。第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4は、例えばNチャネルMOSFETである。第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4は、ドレインからソースへの導通状態を、ゲートの電位によって導通(オン)と遮断(オフ)に切り替える。
また、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4は、いずれもソース側からドレイン側の向きのボディダイオードとしても機能する。即ち、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4は、ゲートの電位に関わらずソースからドレインに電流が流れるダイオードとして機能する。
なお、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4は、それぞれPチャネルMOSFETであってもよい。また、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4は、それぞれIGBT、SiC、GaN-HEMTなどの半導体スイッチであってもよい。また、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4は、複数の半導体スイッチが1つのパッケージに納められたインテリジェントパワーモジュールであってもよい。
第1の半導体スイッチS1のドレイン端子は、第1の平滑キャパシタC1の正極側の端子に接続されている。第1の半導体スイッチS1のソース端子は、第2の半導体スイッチS2のドレイン端子に接続されている。第2の半導体スイッチS2のソース端子は、第1の平滑キャパシタC1の負極側の端子に接続されている。即ち、第1の半導体スイッチS1及び第2の半導体スイッチS2は、第1の平滑キャパシタC1に直列接続されている。
第3の半導体スイッチS3のドレイン端子は、第2の平滑キャパシタC2の正極側の端子に接続されている。第3の半導体スイッチS3のソース端子は、第4の半導体スイッチS4のドレイン端子に接続されている。第4の半導体スイッチS4のソース端子は、第2の平滑キャパシタC2の負極側の端子に接続されている。即ち、第3の半導体スイッチS3及び第4の半導体スイッチS4は、第2の平滑キャパシタC2に直列接続されている。
第1の半導体スイッチS1と第2の半導体スイッチS2との接続点を第1の接続点M1と称し、第3の半導体スイッチS3と第4の半導体スイッチS4との接続点を第2の接続点M2と称する。インダクタL1及び電流検出器13は、第1の接続点M1と第2の接続点M2との間に直列接続されている。
第2の平滑キャパシタC2の正極側の端子は、直流カットキャパシタC3の一方の端子に接続されている。直流カットキャパシタC3の他方の端子は、音声信号出力端子19の一方に接続されている。また、第2の平滑キャパシタC2の負極側の端子は、音声信号出力端子19の他方に接続されている。音声信号出力端子19に負荷としてのスピーカ2が接続された場合、直流カットキャパシタC3は、第2の平滑キャパシタC3と、負荷と、に直列接続される。直流カットキャパシタC3は、第2の平滑キャパシタC2の電位が、ゼロを中心とした交流となるように電圧を変換し、負荷に出力する。
電流検出器13は、第1の接続点M1と第2の接続点M2との間を流れる電流を検出する。電流検出器13は、例えば第1の接続点M1と第2の接続点M2との間に、インダクタL1と直列接続される。電流検出器13は、検出結果である電流信号IS1を制御回路15に供給する。
電圧検出器14は、第2の平滑キャパシタC2の両端子間の電圧を検出する。電圧検出器14は、第2の平滑キャパシタC2の両端子の間に接続される。電圧検出器14は、検出結果である電圧信号VS1を制御回路15に供給する。
制御回路15は、双方向電力変換回路12の第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4のオンオフを制御する。制御回路15は、音声信号入力端子17に入力される入力音声信号AUX、音量信号入力端子18に入力される音量信号Volume、電流検出器13から供給される電流信号IS1、及び電圧検出器14から供給される電圧信号VS1に基づいて、第1の半導体スイッチS1を制御する制御信号P1、第2の半導体スイッチS2を制御する制御信号P2、第3の半導体スイッチS3を制御する制御信号P3、及び第4の半導体スイッチS4を制御する制御信号P4をそれぞれ生成する。制御回路15は、制御信号P1を第1の半導体スイッチS1に入力し、制御信号P2を第2の半導体スイッチS2に入力し、制御信号P3を第3の半導体スイッチS3に入力し、制御信号P4を第4の半導体スイッチS4に入力する。これにより、制御回路15は、入力音声信号AUXを音量信号Volumeに応じた強度の出力音声信号Voutに変換するように、双方向電力変換回路12を制御する。
次に、制御回路15の動作について説明する。
まず、第2の平滑キャパシタC2の電位を増減させる場合の制御回路15の動作について説明する。なお、本例では、インダクタL1を流れる電流を電流IL1とし、第2の平滑キャパシタC2の電圧を電圧VC2として説明する。また、電流IL1の値は、電流検出器13から供給される電流信号IS1により示され、電圧VC2の値は、電圧検出器14から供給される電圧信号VS1により示されるものとして説明する。
図2及び図3は、第2の平滑キャパシタC2の電位を増加させる場合の制御信号P1乃至P4と、インダクタL1を流れる電流IL1の値と、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2の値と、出力音声信号Voutとの関係について説明する為の説明図である。図2及び図3の横軸は、時間を示す。縦軸は、上から順に制御信号P1及びP4、制御信号P2及びP3、インダクタL1を流れる電流IL1の値、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2の値、出力音声信号Voutの値をそれぞれ示す。
図2は、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2を増加させる場合の制御信号P1及びP4、制御信号P2及びP3、電流IL1、電圧VC2、及び出力音声信号Voutについて説明する為の説明図である。また、図3は、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2を減少させる場合の制御信号P1及びP4、制御信号P2及びP3、電流IL1、電圧VC2、及び出力音声信号Voutについて説明する為の説明図である。
図2では、制御回路15は、タイミングt1からタイミングt2までの間、制御信号P1及びP4をオン状態(即ち第1の半導体スイッチS1及び第4の半導体スイッチS4をオン)にし、制御信号P2及びP3をオフ状態(即ち第2の半導体スイッチS2及び第3の半導体スイッチS3をオフ)にする。
この場合、第1の平滑キャパシタC1の電位によって、第1の平滑キャパシタC1の高圧側の端子、第1の半導体スイッチS1、インダクタL1、電流検出器13、第4の半導体スイッチS4、第1の平滑キャパシタC1の低圧側の端子の順の経路で形成された閉ループに電流IL1が流れる。この閉ループを流れる電流IL1は、インダクタL1の電磁気的作用の為、タイミングt1からタイミングt2までの間に徐々に増加する。即ち、この閉ループに電流IL1が流れることによって、電気的エネルギーがインダクタL1の磁気エネルギーに変換される。
次に、制御回路15は、タイミングt2において、制御信号P1及びP4をオフ状態にする。これにより、タイミングt2からタイミングt3までの間、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4がオフになる。
第1の半導体スイッチS1がオフされると、第1の接続点M1の電位が0以下になる。この為、第2の半導体スイッチS2のドレイン端子は、第2の半導体スイッチS2のソース端子より電位が低い状態になる。この為、第2の半導体スイッチS2は、ソース側からドレイン側の向きのボディダイオードとして機能する。
また、第4の半導体スイッチS4がオフされると、第2の接続点M2の電位が第2の平滑キャパシタC2の電位よりも高くなる。この為、第3の半導体スイッチS3のドレイン端子は、第3の半導体スイッチS3のソース端子より電位が低い状態になる。この為、第3の半導体スイッチS3は、ソース側からドレイン側の向きのボディダイオードとして機能する。
インダクタL1には、電気エネルギーから変換された磁気エネルギーが蓄積されている。インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーによって、インダクタL1、第3の半導体スイッチS3、第2の平滑キャパシタC2、第2の半導体スイッチS2、インダクタL1の順の経路で形成された閉ループに電流IL1が流れる。この閉ループに電流IL1が流れることによって、磁気エネルギーが電気的エネルギーに変換される。この向きの電流IL1は、第2の平滑キャパシタC2の電荷を増やし、第2の平滑キャパシタC2の電圧を上昇させる。即ち、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーが、電気エネルギーに再変換され、第2の平滑キャパシタC2に蓄積される。
なお、電気エネルギーが第2の平滑キャパシタC2に蓄積されるにつれて、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーが減少する。この結果、タイミングt1からタイミングt2の間で右上がりだった電流IL1は、タイミングt2から右下がりに変化する。
次に、制御回路15は、タイミングt3において、制御信号P2及びP3をオン状態にする。これにより、タイミングt3からタイミングt4までの間、第2の半導体スイッチS2及び第3の半導体スイッチS3がオンになる。この場合も、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーによって、インダクタL1、第3の半導体スイッチS3、第2の平滑キャパシタC2、第2の半導体スイッチS2、インダクタL1の順に電流IL1が流れる。これにより、第2の平滑キャパシタC2の電圧が増加する。
また、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーが減少し、第2の平滑キャパシタC2の正極側の端子の電位が、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーによる電位と釣り合った場合、閉ループを流れる電流IL1が0に至る。さらに、第2の平滑キャパシタC2の正極側の端子の電位が、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーによる電位を上回った場合、第2の半導体スイッチS2及び第3の半導体スイッチS3が導通状態である為、電流IL1が逆方向に流れ始める。即ち、電流IL1がマイナスになり、インダクタL1、第2の半導体スイッチS2、第2の平滑キャパシタC2、第3の半導体スイッチS3、インダクタL1の順に電流IL1が流れる。
また、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーが全て第2の平滑キャパシタC2の電荷に変換されると、インダクタL1に流れる電流IL1はゼロに至る。このとき第1の半導体スイッチS2及び第3の半導体スイッチS3は、オン状態を継続しているので、引き続き同じ経路で逆向きの電流が流れ始める。そしてインダクタL1に逆向きの電流が流れることにより、インダクタL1に再び磁気エネルギーが蓄積される。
次に、制御回路15は、タイミングt4において、制御信号P2及びP3をオフ状態にする。これにより、タイミングt4からタイミングt5までの間、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4がオフになる。
この場合、第1の接続点M1の電位は、第1の平滑キャパシタC1の電位以上に上昇する。この為、第1の半導体スイッチS1は、ソース側からドレイン側の向きのボディダイオードとして機能する。また、第2の接続点M2の電位は、GND電圧以下に下がる。この為、第4の半導体スイッチS4は、ソース側からドレイン側の向きのボディダイオードとして機能する。
さらに、インダクタL1は、第2の接続点M2から第1の接続点M1の向きに電流IL1を流し続けようとする。この為、インダクタL1、第1の半導体スイッチS1、第1の平滑キャパシタC1、第4の半導体スイッチS4、インダクタL1の順に電流IL1が流れる。
次に、制御回路15は、タイミングt5において、再び制御信号P1及びP4をオン状態にする。これにより、タイミングt5からタイミングt6までの間、第1の半導体スイッチS1及び第4の半導体スイッチS4をオンにし、第2の半導体スイッチS2及び第3の半導体スイッチS3をオフにする。
この場合、インダクタL1は、第2の接続点M2から第1の接続点M1の向きに電流IL1を流し続けようとする。この為、インダクタL1、第1の半導体スイッチS1、第1の平滑キャパシタC1、第4の半導体スイッチS4、インダクタL1の順に電流IL1が流れる閉ループが維持される。
また、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーが減少し、第1の平滑キャパシタC1の正極側の端子の電位が、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーによる電位と釣り合った場合、閉ループを流れる電流IL1が0に至る。さらに、第1の平滑キャパシタC1の正極側の端子の電位が、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーによる電位を上回った場合、第1の半導体スイッチS1及び第4の半導体スイッチS4が導通状態である為、電流IL1が再び逆方向に流れ始める。
インダクタL1に蓄積された磁気エネルギーが全て、第1の平滑キャパシタC1の電荷に変換されると、インダクタL1を流れる電流IL1がゼロに至る。さらに第1の半導体スイッチS1及び第4の半導体スイッチS4が導通状態を継続するため、電流IL1は、同じ経路で逆方向に流れ始める。
即ち、電流IL1がプラスになり、第1の平滑キャパシタC1、第1の半導体スイッチS1、インダクタL1、第4の半導体スイッチS4、第1の平滑キャパシタC1の順に電流IL1が流れる。これは、上記のタイミングt1からタイミングt2までの間と同様である。また、これ以降の処理も、上記のタイミングt2からタイミングt4までの間と同様である。
制御回路15は、上記のタイミングt1乃至タイミングt4に亘るフェーズを周期的に繰り返すことにより、インダクタL1に流れる高周波三角波電流である電流IL1を生成する。
なお、電流IL1の傾きは、第1の平滑キャパシタC1の電圧と、第2の平滑キャパシタC2の電圧との両方によって決まる。具体的には、第1の半導体スイッチS1及び第4の半導体スイッチS4がオンである場合、電流IL1は増加する。さらに、第1の半導体スイッチS1及び第4の半導体スイッチS4がオンである場合の電流IL1の傾きは、第1の平滑キャパシタC1の電圧に依存する。より具体的には、電流IL1の正の勾配(右上がり)は、第1の平滑キャパシタC1の電圧に依存し、電流IL1の負の勾配(右下がり)は、第2の平滑キャパシタC2の電圧に依存する。即ち、第1の平滑キャパシタC1の電圧が高ければ、右上がりの勾配が急になり、第1の平滑キャパシタC1の電圧が低ければ、右上がりの勾配が緩くなる。また、第2の平滑キャパシタC2の電圧が高ければ、右下がりの勾配が急になり、第1の平滑キャパシタC1の電圧が低ければ、右下がりの勾配が緩くなる。
制御回路15は、まず第1の半導体スイッチS1及び第4の半導体スイッチS4をオンし、インダクタL1に流れる高周波三角波電流である電流IL1が、図2に示される正側電流目標値に達した場合、第1の半導体スイッチS1及び第4の半導体スイッチS4をオフする。また、制御回路15は、第2の半導体スイッチS2及び第3の半導体スイッチS3をオンし、インダクタL1に流れる高周波三角波電流である電流IL1が、図2に示される負側電流目標値に達した場合、第2の半導体スイッチS2及び第3の半導体スイッチS3をオフする。これにより、制御回路15は、正側電流目標値と負側電流目標値とを往復する高周波三角波電流である電流IL1を双方向電力変換回路12に生成させる。
制御回路15は、電流IL1が図2における動作範囲RIを最低限往復するように正側電流目標値及び負側電流目標値を設定する。電流IL1が動作範囲RIを往復する高周波三角波電流である場合、電流の平均値はゼロとなる。
例えば、電流IL1の正側のピークが動作範囲RIを超え、電流IL1の負側のピークが動作範囲RI程度である場合、電流の平均値が正側になる。この場合、第1の平滑キャパシタC1の電荷は、より多く電流として引き抜かれ、第2区間T2の電流IL1がゼロに達するまでの間に、第2の平滑キャパシタC2にチャージされる。即ち、第1の平滑キャパシタC1の電荷が第2の平滑キャパシタC2に移動し、第1の平滑キャパシタC1の電圧が減少し、第2の平滑キャパシタC2の電圧が増加する。なお、第1の平滑キャパシタC1は、整流ブリッジDB1から供給された直流電力により蓄電される。即ち、第1の平滑キャパシタC1は、整流ブリッジDB1から供給された電力により、入力電圧の絶対値に等しい直流電圧に瞬時に復活する。
制御回路15は、正側電流目標値を動作範囲RIの上限より大きく設定し、負側電流目標値を動作範囲RIの下限程度に設定することにより、電流IL1の平均を正側に振ることができる。この結果、制御回路15は、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2を増加させることができる。
図2の例では、正側電流目標値が動作範囲RIの上限より大きく設定されている。この為、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2が徐々に増加している。第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2は、直流カットキャパシタC3によって直流成分がカットされ、出力音声信号Voutとして音声信号出力端子19から出力される。出力音声信号Voutは、電圧VC2の変化に伴って徐々に増加する。
また、図3でも、制御回路15の動作は、図2の例と同様である。即ち、図3のタイミングt11乃至タイミングt16において、制御回路15は、図2のタイミングt1乃至タイミングt6と同様の処理を行う。図3の例は、正側電流目標値が電流IL1の動作範囲RIの上限程度に設定され、負側電流目標値が電流IL1の動作範囲RIの下限よりも低く設定されている点が図2の例と異なる。
図3の例では、電流IL1の平均値が負側になる。この場合、第2の平滑キャパシタC2の電荷は、充電される量に比べてインダクタL1に引き抜かれる量の方が多くなる。即ち、双方向電力変換の動作(逆動作)により、第2の平滑キャパシタC2の電荷が第1の平滑キャパシタC1に移動し、第1の平滑キャパシタC1の電圧が増加し、第2の平滑キャパシタC2の電圧が減少する。
上記の様に、制御回路15は、正側電流目標値を動作範囲RIの上限程度に設定し、負側電流目標値を動作範囲RIの下限よりも低く設定することにより、電流IL1の平均を負側に振ることができる。この結果、制御回路15は、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2を減少させることができる。
図3の例では、負側電流目標値が動作範囲RIの下限よりも小さく設定されている。この為、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2が徐々に減少している。第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2は、直流カットキャパシタC3によって直流成分がカットされ、出力音声信号Voutとして音声信号出力端子19から出力される。出力音声信号Voutは、電圧VC2の変化に伴って徐々に減少する。
次に、第2の平滑キャパシタC2の電位を増減させることにより、出力音声信号Voutを生成する場合の、制御回路15の動作について説明する。
制御回路15は、入力音声信号AUXに基づいて、上記のスイッチング動作、及び電流目標値の設定を繰り返し実行することにより、直流電源を入力音声信号AUXに応じた出力音声信号Voutを双方向電力変換回路12に生成させる。制御回路15は、例えば、100kHz乃至1MHz程度の周期で、上記のスイッチング動作を行うことにより、入力音声信号AUXに応じた出力音声信号Voutを、双方向電力変換回路12に生成させる。
制御回路15は、上記のスイッチング動作によって、電流IL1の平均値を正側に偏極させることにより、電圧VC2を増加させる。また、制御回路15は、上記のスイッチング動作によって、電流IL1の平均値を負側に偏極させることにより、電圧VC2を減少させる。この変動は、直流カットキャパシタC3を介することによって、ゼロ電圧を基準とした電圧変動として現れる。例えば、制御回路15は、電圧VC2を増加させる動作と減少させる動作とを、500Hz周期で切り替えて行うことにより、500Hz周期の電圧変動を発生させる。
また、電圧変動の振幅は、出力音声信号Voutにおける音量に相当する。出力音声信号Voutにおける変動は、電流IL1の平均値の絶対値に応じて大きくなる。電流IL1の平均値の絶対値は、動作範囲RIの上限と正側電流目標値との差、または動作範囲RIの下限と負側電流目標値との差に応じて決まる。
例えば、制御回路15は、大きい入力音声信号AUXが入力された場合、正極側に多くの電流を流すように正側電流目標値及び負側電流目標値を設定する。これにより、第1の平滑キャパシタC1から第2の平滑キャパシタC2に移動する電荷量が増加する。これにより、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2が比較的早く増加する。これに伴い、出力音声信号Voutの電圧の増加も早くなる。この結果、同一時間内で比較して、出力音声信号Voutが著しく高くなる。
次に、制御回路15は、負極側に多くの電流を流すように、正側電流目標値及び負側電流目標値を設定する。これにより、第2の平滑キャパシタC2から第1の平滑キャパシタC1に移動する電荷量が増加する。これにより、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2が比較的早く減少する。これに伴い、出力音声信号Voutの電圧の減少も早くなる。この結果、同一時間内で比較して、出力音声信号Voutが著しく低くなる。制御回路15は、このような処理によって、変動が大きい出力音声信号Voutを生成させる。
また、例えば、制御回路15は、入力音声信号AUXが小さくなった場合、電流IL1の平均値の絶対値が減少するように制御する。これにより、第1の平滑キャパシタC1と第2の平滑キャパシタC2との間で移動する電荷量が減少する。これにより、電圧VC2の変動が減少する。この結果、出力音声信号Voutの変動が小さくなる。
このように、制御回路15は、動作範囲RIの上限または下限に対する差が大きくなるように、正側電流目標値及び負側電流目標値を設定することにより、出力音声信号Voutの変動の振幅を制御することができる。即ち、制御回路15は、正側電流目標値及び負側電流目標値の設定によってを音量を制御することができる。
図4は、入力音声信号AUXと、電流IL1の平均値と、出力音声信号Voutとの関係について説明する為の説明図である。ここでは、入力音声信号AUXは、例えば100Hzの音声信号と、800Hzの音声信号が重畳された信号であるとする。
例えば、タイミングt21のように、入力音声信号AUXの傾きがゼロである場合、出力音声信号Voutも変化させる必要がない。この為、第1の平滑キャパシタC1と第2の平滑キャパシタC2との間で電荷を移動させる必要が無い。即ち、電流IL1の平均値がゼロである。。この場合、制御回路15は、例えば、正側電流目標値を動作範囲RIの上限に設定し、負側電流目標値を動作範囲RIの下限に設定する。
また、例えば、タイミングt22のように、入力音声信号AUXの傾きが右上がりである場合、出力音声信号Voutの傾きも右上がりとなる。この場合、第1の平滑キャパシタC1から第2の平滑キャパシタC2に電荷を移動させる必要がある。また、第1の平滑キャパシタC1から第2の平滑キャパシタC2への電荷の移動量は、入力音声信号AUXの傾きによって決まる。即ち、電流IL1の平均値は、入力音声信号AUXの微分値として表される。微分値の算出方法としては、微小時間前の入力音声信号AUXと、現時刻における入力音声信号AUXとの電圧値を比較する方法がある。具体的には、微分値=(現時刻の入力音声信号AUXの電圧値-微小時間前の入力音声信号AUXの電圧値)/(現時刻-微小時間前の時刻)により算出される。制御回路15は、この微分値に相当する電流が流れるように、正側電流目標値及び負側電流目標値を適宜設定する。
また、例えば、タイミングt23のように、入力音声信号AUXの傾きが右下がりである場合、出力音声信号Voutの傾きも右下がりとなる。この場合、第2の平滑キャパシタC2から第1の平滑キャパシタC1に電荷を移動させる必要がある。この場合も、制御回路15は、入力音声信号AUXの傾きの微分値に相当する電流が流れるように、正側電流目標値及び負側電流目標値を適宜設定する。微分値の算出方法としては、上記の方法と同様である。
なお、入力音声信号AUXの傾きがゼロである場合も、上記の微分値の算出方法により微分値を算出した結果、微分値がゼロになる。これは、現時刻の入力音声信号AUXの電圧値と微小時間前の入力音声信号AUXの電圧値とが等しい為である。この結果、電流IL1の平均値がゼロになる。
以上のように、入力音声信号AUXに複数の周波数の信号が重畳されており、且つ入力音声信号AUXの強弱がある場合であっても、制御回路15は、入力音声信号AUXの微分値に応じた電流IL1が流れるように、正側電流目標値及び負側電流目標値を設定することにより、入力音声信号AUXに応じた出力音声信号Voutを、生成させることができる。
次に、上記のような動作を行う制御回路15の構成例について詳細に説明する。
図5は、制御回路15の構成例について説明する為の説明図である。制御回路15は、入力音声信号AUXが入力される端子、音量信号Volumeが入力される端子、電流信号IS1が入力される端子、及び電圧信号VS1が入力される端子を備える。また、制御回路15は、制御信号P1乃至制御信号P4を出力する端子を備える。
また、制御回路15は、微分器DIF、乗算器MUL、積分器INT、差分器SUB、第1の加算器ADD1、第2の加算器ADD2、第1のコンパレータCP1、第2のコンパレータCP2、第1のセレクタSEL1、第2のセレクタSEL2、第3のセレクタSEL3、第4のセレクタSEL4、第5のセレクタSEL5、第6のセレクタSEL6、及びラッチ回路LATCHを備える。
微分器DIFは、入力信号の微分値を出力する。乗算器MULは、入力される2つの信号を乗算した値を出力する。積分器INTは、入力信号の積分値を出力する。差分器SUBは、入力される2つの信号の差分値を出力する。第1の加算器ADD1及び第2の加算器ADD2は、入力信号の加算値を出力する。第1のコンパレータCP1及び第2のコンパレータCP2は、入力される2つの信号の正負の判定結果を出力する。第1のセレクタSEL1乃至第6のセレクタSEL6は、それぞれ設定された条件に基づいて、出力する値を切り替える。ラッチ回路LATCHは、1ビットの情報を保持する回路である。ラッチ回路LATCHは、S端子に入力された信号がHレベルである場合、Q端子から出力する信号をHレベルで維持する状態になる。また、ラッチ回路LATCHは、R端子に入力された信号がHレベルである場合、Q端子から出力する信号をLレベルで維持する状態になる。
次に、制御回路15における信号の流れについて説明する。
微分器DIFには、入力音声信号AUXが入力される。微分器DIFは、入力音声信号AUXの微分値を乗算器MULに出力する。
乗算器MULには、入力音声信号AUXの微分値と、音量信号Volumeとが入力される。乗算器MULは、入力音声信号AUXの微分値と、音量信号Volumeと、を乗算した値を、第1のセレクタSEL1及び第2のセレクタSEL2に出力する。即ち、乗算器MULは、入力音声信号AUXの微分値を「音量信号Volume倍」した値を出力する。
第1のセレクタSEL1は、乗算器MULから供給された値が正であれば、乗算器MULから供給された値を第1の加算器ADD1に出力する。また、第1のセレクタSEL1は、乗算器MULから供給された値が負であれば、0を第1の加算器ADD1に出力する。
第2のセレクタSEL2は、乗算器MULから供給された値が負であれば、乗算器MULから供給された値を第2の加算器ADD2に出力する。また、第2のセレクタSEL2は、乗算器MULから供給された値が正であれば、0を第2の加算器ADD2に出力する。
積分器INTには、第2の平滑キャパシタC2の電圧を示す電圧信号VS1が入力される。積分器INTは、電圧信号VS1を所定の時間範囲で積分する。例えば、積分器INTは、電圧信号VS1を比較的大きな時間範囲で積分する。これにより、音声信号の周波数及び振幅がキャンセルされ、第2の平滑キャパシタC2の電圧の平均値が積分値(信号中心電圧)として算出される。積分器INTは、電圧信号VS1の積分値を差分器SUBに出力する。
差分器SUBは、予め設定された定数NEUと、積分器INTからの積分値との差分を第1の加算器ADD1及び第2の加算器ADD2に出力する。定数NEUは、第2の平滑キャパシタC2の電圧の振幅の最大値の半分の値として設定される。例えば、第2の平滑キャパシタC2の電圧の振幅の最大値を200Vに設定する場合、定数NEUは、100Vとして設定される。差分器SUBは、定数NEUから積分器INTの積分値を減算した値を出力する。即ち、定数NEUより積分器INTの積分値が大きい場合、差分器SUBは、マイナスの値を出力する。また、定数NEUより積分器INTの積分値が小さい場合、差分器SUBは、プラスの値を出力する。
上記の処理により、第1の加算器ADD1には、第1のセレクタSEL1の出力及び差分器SUBの出力が入力される。第1の加算器ADD1は、第1のセレクタSEL1の出力と、差分器SUBの出力と、予め設定された定数BASEPとを加算し、加算値を第3のセレクタSEL3に出力する。定数BASEPは、上記の図2及び図3における動作範囲RIの上限に相当する値である。定数BASEPは、双方向電力変換回路12の仕様によって定まる。
また、第2の加算器ADD2には、第2のセレクタSEL2の出力及び差分器SUBの出力が入力される。第2の加算器ADD2は、第2のセレクタSEL2の出力と、差分器SUBの出力と、予め設定された定数BASEMとを加算し、加算値を第4のセレクタSEL4に出力する。定数BASEMは、上記の図2及び図3における動作範囲RIの下限に相当する値である。定数BASEMは、双方向電力変換回路12の仕様によって定まる。
第3のセレクタSEL3は、第1の加算器ADD1の出力が定数BASEPより大きければ、第1の加算器ADD1の出力をそのまま正側電流目標値ENV-Pとして第1のコンパレータCP1に出力する。また、第3のセレクタSEL3は、第1の加算器ADD1の出力が定数BASEP以下であれば、定数BASEPを正側電流目標値ENV-Pとして第1のコンパレータCP1に出力する。正側電流目標値ENV-Pは、図2及び図3における正側電流目標値を示す。即ち、図2及び図3における正側電流目標値は、動作範囲RIの上限に相当する定数BASEP未満の値にならないように第3のセレクタSEL3により制御される。
第4のセレクタSEL4は、第2の加算器ADD2の出力が定数BASEM未満であれば、第2の加算器ADD2の出力をそのまま負側電流目標値ENV-Mとして、第2のコンパレータCP2に出力する。また、第4のセレクタSEL4は、第2の加算器ADD2の出力が定数BASEM以上であれば、定数BASEMを負側電流目標値ENV-Mとして、第2のコンパレータCP2に出力する。負側電流目標値ENV-Mは、図2及び図3におけるにおける負側電流目標値を示す。即ち、図2及び図3における負側電流目標値は、動作範囲RIの下限に相当する定数BASEMより大きい値にならないように、第4のセレクタSEL4により制御される。
また、上記の構成によると、第1の加算器ADD1及び第2の加算器ADD2は、ある期間における、第2の平滑キャパシタC2の電圧の平均値(信号中心電圧)の変位を、即時に、正側電流目標値及び負側電流目標値に反映させることができる。また、積分器INTにおける時間積分の時間範囲は、変位修正で発生する周波数が10ヘルツ以下になるように設定される。この周波数は、人間の耳には感知されないので音信号への悪影響はない。
また、第1のコンパレータCP1には、正側電流目標値ENV-Pと電流信号IS1とが入力される。第1のコンパレータCP1は、正側電流目標値ENV-Pと電流信号IS1とを比較し、比較結果をラッチ回路LATCHのR端子に出力する。第1のコンパレータCP1は、電流信号IS1が正側電流目標値ENV-Pより大きい場合、Hレベルの信号を出力する。また、第1のコンパレータCP1は、電流信号IS1が正側電流目標値ENV-Pより小さい場合、Lレベルの信号を出力する。
第2のコンパレータCP2には、負側電流目標値ENV-Mと電流信号IS1とが入力される。第2のコンパレータCP2は、負側電流目標値ENV-Mと電流信号IS1とを比較し、比較結果をラッチ回路LATCHのS端子に出力する。第2のコンパレータCP2は、電流信号IS1が負側電流目標値ENV-Mより小さい場合、Hレベルの信号を出力する。また、第2のコンパレータCP2は、電流信号IS1が負側電流目標値ENV-Mより大きい場合、Lレベルの信号を出力する。
ラッチ回路LATCHのR端子には、第1のコンパレータCP1の出力が入力され、ラッチ回路LATCHのS端子には、第2のコンパレータCP2の出力が入力される。また、ラッチ回路LATCHのQ端子は、第5のセレクタSEL5に接続され、ラッチ回路LATCHのQBER端子は、第6のセレクタSEL6に接続されている。
ラッチ回路LATCHは、S端子にHレベルの信号(Hトリガー)が入力された場合、Q端子から第5のセレクタSEL5にHレベルの信号を出力し、QBER端子から第6のセレクタSEL6に、Lレベルの信号を出力する状態を保持する。
また、ラッチ回路LATCHは、R端子にHレベルの信号(Hトリガー)が入力された場合、Q端子から第5のセレクタSEL5にLレベルの信号を出力し、QBER端子から第6のセレクタSEL6に、Hレベルの信号を出力する状態を保持する。
第5のセレクタSEL5は、ラッチ回路LATCHのQ端子からの出力を、そのまま制御信号P2及び制御信号P3として出力する。なお、第5のセレクタSEL5は、ラッチ回路LATCHのQ端子からの出力が、LレベルからHレベルに変化する場合、所定時間遅延させてHレベルの信号を出力する。
第6のセレクタSEL6は、ラッチ回路LATCHのQBER端子からの出力を、そのまま制御信号P1及び制御信号P4として出力する。なお、第6のセレクタSEL6は、ラッチ回路LATCHのQBER端子からの出力が、LレベルからHレベルに変化する場合、所定時間遅延させてHレベルの信号を出力する。
次に、制御回路15における各種の信号のタイミングチャートについて説明する。
図6及び図7は、図5に示す制御回路15の各部における信号について説明する為のタイミングチャートである。図6及び図7の横軸は、時間を示す。縦軸は、上から順に電流IL1の値、第1のコンパレータCP1の出力、第2のコンパレータCP2の出力、ラッチ回路LATCHのQ端子の出力、制御信号P2及び制御信号P3、ラッチ回路LATCHのQBER端子の出力、制御信号P1及び制御信号P4をそれぞれ示す。
上記の様に、電流IL1との比較対象として、動作範囲RIの上限である定数BASEP、動作範囲RIの下限である定数BASEM、正側電流目標値ENV-P、及び負側電流目標値ENV-Mが設定されている。
例えば、図5において、入力音声信号AUXが0である場合、第1の加算器ADD1及び第2の加算器ADD2の出力が0となる。この為、第3のセレクタSEL3により、正側電流目標値ENV-Pとして、定数BASEPが強制的に設定され、第4のセレクタSEL4により、負側電流目標値ENV-Mとして、定数BASEMが強制的に設定される。正側電流目標値ENV-Pが定数BASEPとして設定され、負側電流目標値ENV-Mが定数BASEMとして設定されている場合、正側と負側で電流が等しくなる。この為、電流IL1の平均値は0となる。即ち、出力音声信号Voutが出力されていない状態である。このように、正側電流目標値ENV-Pとして定数BASEPが設定され、負側電流目標値ENV-Mとして定数BASEMが設定されている状態を基底状態と称する。図6は、基底状態におけるタイミングチャートを示す。
図6に示されるように、タイミングt31で電流IL1が正側電流目標値ENV-Pに達した場合、第1のコンパレータCP1からHレベルの信号(Hトリガー)が出力される。これにより、ラッチ回路LATCHのQ端子からの出力がHレベルになり、ラッチ回路LATCHのQBER端子からの出力がLレベルになる。Q端子からの出力がLレベルからHレベルになる為、第5のセレクタSEL5は、所定時間遅延させてHレベルの信号を制御信号P2及び制御信号P3として出力する。また、QBER端子からの出力がHレベルからLレベルになる為、第6のセレクタSEL6は、遅延させずにLレベルの信号を制御信号P1及び制御信号P4として出力する。
また、図6に示されるように、タイミングt32で電流IL1が負側電流目標値ENV-Mに達した場合、第2のコンパレータCP2からHレベルの信号(Hトリガー)が出力される。これにより、ラッチ回路LATCHのQ端子からの出力がLレベルになり、ラッチ回路LATCHのQBER端子からの出力がHレベルになる。Q端子からの出力がHレベルからLレベルになる為、第5のセレクタSEL5は、遅延させずにLレベルの信号を制御信号P2及び制御信号P3として出力する。また、QBER端子からの出力がLレベルからHレベルになる為、第6のセレクタSEL6は、所定時間遅延させてHレベルの信号を制御信号P1及び制御信号P4として出力する。
第1の半導体スイッチS1と第2の半導体スイッチS2が同時にオンされた場合、第1の平滑キャパシタC1の正極、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第1の平滑キャパシタC1の負極の閉ループが形成される。第3の半導体スイッチS3と第4の半導体スイッチS4が同時にオンされた場合、第2の平滑キャパシタC2の正極、第3の半導体スイッチS3、第4の半導体スイッチS4、第2の平滑キャパシタC2の負極の閉ループが形成される。閉ループが形成された場合、閉ループの中で短絡電流が流れ、スイッチの破損の原因となる。しかし、上記のように、第5のセレクタSEL5及び第6のセレクタSEL6は、信号がLレベルからHレベルに切り替えられる際に、所定時間Hレベルの立ち上がりを遅延させる。これにより、第1の半導体スイッチS1乃至第4の半導体スイッチS4が同時にオフされるデッドタイムが設けられ、短絡電流の発生が防がれる。
制御回路15は、このような処理を、電流IL1が、正側電流目標値ENV-Pまたは負側電流目標値ENV-Mに達したタイミングで、繰り返し行うことにより、電流IL1を周期的に発振させる。
図7は、第2の平滑キャパシタC2の電圧VC2を増加させる場合のタイミングチャートの例を示す。図7の例は、図6の例に比べて正側電流目標値ENV-Pがより大きく設定されている点が異なる。なお、各種の信号処理については、図6の例と同様である為、説明を省略する。
例えば、図5において、入力音声信号AUXが正である場合、第1のセレクタSEL1は、正側電流目標値ENV-Pを増加させる為の信号を出力する。正側電流目標値ENV-Pが増加すると、図7に示されるように、正側の電流が増加する。この結果、電流IL1の平均値が正側に増加し、第1の平滑キャパシタC1の電荷が第2の平滑キャパシタC2に移動する電流が優勢となり、第2の平滑キャパシタC2の電圧が増加する。
上記したように、電力増幅装置1は、電源に接続された第1の平滑キャパシタC1に直列に接続された第1の半導体スイッチS1及び第2の半導体スイッチS2と、負荷が接続される第2の平滑キャパシタC2に直列に接続された第3の半導体スイッチS3及び第4の半導体スイッチS4と、第1の半導体スイッチS1と第2の半導体スイッチS2との接続点である第1の接続点M1と、第3の半導体スイッチS3と第4の半導体スイッチS4との接続点である第2の接続点M2との間に接続されたインダクタL1と、制御回路15とを備える。制御回路15は、入力音声信号AUXに基づいて、電流検出器13により検出される電流値が所定の値になるように、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、及び第4の半導体スイッチS4をオンオフ制御し、インダクタL1を介して第1の平滑キャパシタC1と第2の平滑キャパシタC2との間で電荷を移動させ、第2の平滑キャパシタC2の電圧を制御する。
また、制御回路15は、第1の半導体スイッチS1、第2の半導体スイッチS2、第3の半導体スイッチS3、第4の半導体スイッチS4をオンオフ制御することにより、第1の平滑キャパシタC1の電気エネルギーをインダクタL1に磁気エネルギーとして蓄えさせる状態、インダクタL1の磁気エネルギーを第2の平滑キャパシタC1に電気エネルギーとして蓄えさせる状態、第2の平滑キャパシタC2の電気エネルギーをインダクタL1に磁気エネルギーとして蓄えさせる状態、インダクタL1の磁気エネルギーを第1の平滑キャパシタC1に電気エネルギーとして蓄えさせる状態の順に切り替える。
また、制御回路15は、正側電流目標値ENV-P及び負側電流目標値ENV-Mを入力音声信号AUXに基づいて設定する。制御回路15は、第1の平滑キャパシタC1の電気エネルギーを、インダクタL1に磁気エネルギーとして蓄えさせる状態に切り替わってから、第1の接続点M1から第2の接続点M2に流れる電流が、正側電流目標値ENV-Pに達した場合、第2の半導体スイッチS2及び第3の半導体スイッチS3をオンし、且つ第1の半導体スイッチS1及び第4の半導体スイッチS4をオフする。また、制御回路15は、インダクタL1の磁気エネルギーを第2の平滑キャパシタC2に電気エネルギーとして蓄えさせる状態に切り替わり、第2の平滑キャパシタC2の電気エネルギーがインダクタL1の磁気エネルギーを超えて、第2の平滑キャパシタC2の電気エネルギーをインダクタL1に磁気エネルギーとして蓄えさせる状態に切り替わってから、第2の接続点M2から第1の接続点M1に流れる電流が、負側電流目標値ENV-Mに達した場合、第1の半導体スイッチS1及び第4の半導体スイッチS4をオンし、且つ第2の半導体スイッチS2及び第3の半導体スイッチS3をオフする。
さらに、上記の構成において、制御回路15は、入力音声信号AUX、音量信号Volume、及び電圧信号VS1に基づいて、正側電流目標値ENV-P及び負側電流目標値ENV-Mを逐次設定する。また、電力増幅装置1は、設定した正側電流目標値ENV-P及び負側電流目標値ENV-Mと、電流信号IS1との比較結果に基づいて、第1の半導体スイッチS1乃至第4の半導体スイッチS4のオンオフを切り替える。これにより、電力増幅装置1は、入力音声信号AUXを増幅した出力音声信号Voutを出力する。
このような構成によると、入力音声信号AUXがゼロである場合、双方向電力変換回路12が基底状態になる為、入力音声信号AUXが入力されていない状態での電力消費を抑える事ができる。また、通常の動作時においても、双方向電力変換回路12の動作に必要な経路に抵抗成分が無い為、消費電力を抑える事ができる。また、入力音声信号AUXが0Vを跨ぐ場合であっても、双方向電力変換回路12内における信号処理に変化が無い為、遅延、偏り、歪などの発生を防ぐことができる。また、出力インピーダンスが極めて低い為、スピーカのインピーダンスマッチングを考慮する必要が無くなり、選択可能なスピーカが増える。この結果、高音質であり且つ電力効率の良い電力増幅装置及び音響装置を提供することが可能になる。
次に、制御回路15の変形例である制御回路15Aについて説明する。
図8は、無音状態における電流IL1について説明する為の説明図である。
無音状態とは、出力音声信号Voutが変化しない状態を意味する。例えば、双方向電力変換回路12が基底状態で動作する場合、無音状態となる。しかし、長時間無音状態が続く場合の省電力効果をさらに高める為に、制御回路15Aは、双方向電力変換回路12に定期的に発振動作を行わせる構成であってもよい。即ち、制御回路15Aは、双方向電力変換回路12の第1の半導体スイッチS1乃至第4の半導体スイッチS4のオンオフ制御を停止させる停止状態と、基底状態とを間欠的に繰り返してもよい。
例えば、停止状態が長時間続く場合、第2の平滑キャパシタC2の電荷が空気中に放電される、または回路内の抵抗で消費される可能性がある。この状態で入力音声信号AUXが入力された場合、第2の平滑キャパシタC2の信号中心電圧がずれた状態で出力音声信号Voutが生成される可能性がある。これに対し、基底状態では、第1の平滑キャパシタC1から第2の平滑キャパシタC2に電荷が供給され、第2の平滑キャパシタC2の信号中心電圧を一定の値に保たれる。そこで、制御回路15Aは、停止状態と、基底状態とを間欠的に繰り返す(以下バーストモード動作と称する)ことにより、第2の平滑キャパシタC2の信号中心電圧を一定の値に保つことができる。
図9は、制御回路15Aの構成例について説明する為の説明図である。図9の制御回路15Aは、図5で示した制御回路15の構成と、判定回路21と、強制停止回路22とを備える。
判定回路21は、乗算器MULの出力が0である状態が一定時間継続したか否かを判定する。具体的には、判定回路21は、通常時に強制停止回路22にイネーブル信号を供給し続け、乗算器MULの出力が0である状態が一定時間継続したと判定した場合、イネーブル信号の出力を停止する。
強制停止回路22は、制御信号P2及び制御信号P3の出力端子と第5のセレクタSEL5の出力端子との間、並びに制御信号P1及び制御信号P4の出力端子と第6のセレクタSEL6の出力端子との間に設けられる。強制停止回路22は、判定回路21からイネーブル信号を受信している間、制御信号P2及び制御信号P3の出力端子と第5のセレクタSEL5の出力端子との接続、並びに制御信号P1及び制御信号P4の出力端子と第6のセレクタSEL6の出力端子とをそれぞれ接続する。強制停止回路22は、判定回路21からイネーブル信号が供給されない場合、制御信号P2及び制御信号P3の出力端子と第5のセレクタSEL5の出力端子との接続、並びに制御信号P1及び制御信号P4の出力端子と第6のセレクタSEL6の出力端子との接続を遮断する。
上記の構成により、制御回路15Aは、入力音声信号AUXが0であり、乗算器MULの出力が0である状態が一定時間継続した場合、停止状態と基底状態とを間欠的に実行するバーストモード動作を行う。この結果、電力増幅装置1は、省電力効果をさらに高めるとともに、音質の低下を防ぐことができる。
なお、上記の実施形態では、制御回路15は、正側電流目標値ENV-P及び負側電流目標値ENV-Mと、電流IL1と、に基づいて、第1の半導体スイッチS1乃至第4の半導体スイッチS4をオンオフ制御する構成であると説明したが、この構成に限定されない。電流IL1は、傾きの勾配が第1の平滑キャパシタC1の電圧と、第2の平滑キャパシタC2の電圧とのいずれかによって決まるものの、直線的に増減する。従って、制御回路15は、電流IL1の傾きと、正側電流目標値ENV-P及び負側電流目標値ENV-Mと、に基づき、第1の半導体スイッチS1乃至第4の半導体スイッチS4をオンオフ制御するタイミングを算出し、制御する構成であってもよい。
また、上記の実施形態において、電力増幅装置1の例について説明したが、この構成に限定されない。電力増幅装置1の各構成は、同等の機能を有する他の構成により置き換えられてもよい。また、制御回路15の各ブロックは、アナログ回路、ディジタル回路、及びソフトウエアのいずれにより構成されるものであってもよい。
具体的には、アナログ加算器、アナログ乗算器、オペアンプ(差分器)、コンパレータ(条件分岐制御器)などを組み合わせることにより、制御回路15をアナログ回路として構成することができる。
また、音声信号入力端子17に入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換するAD変換器、ディジタル信号をアナログ信号に変換して音声信号出力端子19から出力するDA変換器、ディジタル加算IC、ディジタル乗算IC、及びディジタル差分ICなどを組み合わせることにより、制御回路15をディジタル回路として構成することができる。また、加算、減算、乗算などを行うマイコンをディジタル加算IC、ディジタル乗算IC、及びディジタル差分ICの代わりに組み合わせることにより、制御回路15をソフトウエアとして構成することができる。例えば、制御回路15をソフトウエアとして構成する場合、第1のセレクタSEL1乃至第6のセレクタSEL6は、IF文またはCASE文などにより実現可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
電源に接続された第1のキャパシタに直列に接続された第1の半導体スイッチ及び第2の半導体スイッチと、
第2のキャパシタに直列に接続された第3の半導体スイッチ及び第4の半導体スイッチと、
前記第2のキャパシタと負荷とに直列接続された直流カットキャパシタと、
前記第1の半導体スイッチと前記第2の半導体スイッチとの接続点である第1の接続点と、前記第3の半導体スイッチと前記第4の半導体スイッチとの接続点である第2の接続点との間に接続されたインダクタと、
前記第1の接続点と前記第2の接続点との間において、前記インダクタと直列接続された電流検出器と、
入力された音声信号に基づいて、前記電流検出器により検出される電流値が所定の値になるように前記第1の半導体スイッチ、前記第2の半導体スイッチ、前記第3の半導体スイッチ、及び前記第4の半導体スイッチをオンオフ制御し、前記インダクタを介して前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタとの間で電荷を移動させ、前記第2のキャパシタの電圧を制御する制御回路と、
を具備する電力増幅装置。
[C2]
前記制御回路は、前記第1の半導体スイッチ、前記第2の半導体スイッチ、前記第3の半導体スイッチ、及び前記第4の半導体スイッチをオンオフ制御することにより、前記第1のキャパシタの電気エネルギーを前記インダクタに磁気エネルギーとして蓄えさせる状態、前記インダクタの磁気エネルギーを前記第2のキャパシタに電気エネルギーとして蓄えさせる状態、前記第2のキャパシタの電気エネルギーを前記インダクタに磁気エネルギーとして蓄えさせる状態、前記インダクタの磁気エネルギーを前記第1のキャパシタに電気エネルギーとして蓄えさせる状態の順に切り替える請求項1に記載の電力増幅装置。
[C3]
前記制御回路は、
正側電流目標値及び負側電流目標値を前記音声信号に基づいて設定し、
前記第1のキャパシタの電気エネルギーを前記インダクタに磁気エネルギーとして蓄えさせる状態に切り替わって、前記電流検出器により検出される電流値が前記正側電流目標値に達した場合、前記第2の半導体スイッチ及び前記第3の半導体スイッチをオンし且つ前記第1の半導体スイッチ及び前記第4の半導体スイッチをオフし、
前記インダクタの磁気エネルギーを前記第2のキャパシタに電気エネルギーとして蓄えさせる状態に切り替わり、前記第2のキャパシタの電気エネルギーが前記インダクタの磁気エネルギーを超え、前記第2のキャパシタの電気エネルギーを前記インダクタに磁気エネルギーとして蓄えさせる状態に切り替わり、前記電流検出器により検出される電流値が前記負側電流目標値に達した場合、前記第1の半導体スイッチ及び前記第4の半導体スイッチをオンし且つ前記第2の半導体スイッチ及び前記第3の半導体スイッチをオフする請求項2に記載の電力増幅装置。
[C4]
前記制御回路は、予め設定された値に前記音声信号に応じた値を加算することにより、前記正側電流目標値を設定し、予め設定された値から前記音声信号に応じた値を減算することにより、前記負側電流目標値を設定する請求項3に記載の電力増幅装置。
[C5]
前記制御回路は、前記第1の半導体スイッチ、前記第2の半導体スイッチ、前記第3の半導体スイッチ、及び前記第4の半導体スイッチをオフからオンにする場合、所定時間遅延させてオンにする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力増幅装置。
[C6]
前記制御回路は、前記音声信号が無い状態が一定時間続いた場合、前記第1の半導体スイッチ、前記第2の半導体スイッチ、前記第3の半導体スイッチ、及び前記第4の半導体スイッチを全て停止させる状態と、前記第1の半導体スイッチ、前記第2の半導体スイッチ、前記第3の半導体スイッチ、及び前記第4の半導体スイッチをオンオフ制御する状態とを定期的に繰り返すバーストモード動作を行う請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力増幅装置。
[C7]
音声を出力するスピーカと、
電源に接続された第1のキャパシタに直列に接続された第1の半導体スイッチ及び第2の半導体スイッチと、
第2のキャパシタに直列に接続された第3の半導体スイッチ及び第4の半導体スイッチと、
前記第2のキャパシタと前記スピーカとに直列接続された直流カットキャパシタと、 前記第1の半導体スイッチと前記第2の半導体スイッチとの接続点である第1の接続点と、前記第3の半導体スイッチと前記第4の半導体スイッチとの接続点である第2の接続点との間に接続されたインダクタと、
前記第1の接続点と前記第2の接続点との間において、前記インダクタと直列接続された電流検出器と、
入力された音声信号に基づいて、前記電流検出器により検出される電流値が所定の値になるように前記第1の半導体スイッチ、前記第2の半導体スイッチ、前記第3の半導体スイッチ、及び前記第4の半導体スイッチをオンオフ制御し、前記インダクタを介して前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタとの間で電荷を移動させ、前記第2のキャパシタの電圧を制御する制御回路と、
を具備する音響装置。