JP7072792B2 - 二重特異性抗体 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 刊行物名:月刊バイオインダストリー,第34巻,第6号,第54-62頁(2017) 電気通信回線発表日:平成29年6月12日 掲載アドレス:https://cmcebook.inperia.co.jp/Store/ProductDetail?productId=9c0caf44-a79b-41eb-a4b0-4bca802a6110
本発明は、癌細胞特異的抗体として上皮成長因子受容体(EGFR)特異的抗体の免疫グロブリン可変領域、及び、T細胞特異的抗体としてCD3特異的抗体の免疫グロブリン可変領域を併せ持つ二重特異性抗体に関する。また、該二重特異性抗体をコードする塩基配列を含むベクター、該ベクターを含む細胞、及び該細胞を用いた二重特異性抗体の製造方法に関する。
抗体医薬において、高い特異性を保持したまま分子量が比較的小さい低分子抗体の開発研究が近年行われている。その例として、可変領域のみで構成されたディアボディ(Diabody)型、一本鎖ディアボディ(single chain Diabody (scDb))型、二種の一本鎖 Fv (scFv)を連結したタンデムscFv (taFv)型等の低分子型二重特異性抗体が報告されている(非特許文献1)。二重特異性抗体を用いれば二種類の細胞間を架橋させることが可能となり、例えば一方を癌腫瘍細胞上の抗原を、他方は強い細胞傷害作用を持つエフェクター細胞(例えばT細胞)の表面抗原を認識及び活性化させる可変領域を組み合わせることで既存の抗体医薬品よりも癌治療において強い抗腫瘍効果を示す可能性がある(非特許文献2)。
通常、Diabodyなど、二種類の抗体を用いた二重特異性抗体の調製は、異なる抗体の重鎖と軽鎖の会合などにより、目的とする会合体(ヘテロダイマー)以外の副産物が生じてしまう。一方、二種の抗体の可変領域を含む一本鎖二重特異性抗体であるtaFvでは副産物の影響が少ないことが期待される。Amgen社のBiTE (bispecific T-cell engager)抗体であるブリナツモマブ(Blinatumomab)は、標的細胞であるB細胞のCD19抗原に対する抗体の可変領域と細胞傷害活性T細胞のCD3抗原に対する抗体の可変領域を連結させたtaFvで、CD3を介した強力なT細胞の賦活化を特徴とし、FDAの承認を受けている(非特許文献3~5)。
H. Byrne et al., Trends in Biotechnology, Nov;31(11):621-32 (2013) R. Bargou et al., Science, 321, 974 (2008) M. Mack et al., PNAS, 92, 7021 (1995) P. A. Baeuerle and C. Reinhardt, Cancer Res., 69, 4941 (2009) M. Klinger et al., Immunol. Rev., 270, 193 (2016)
本発明は、癌細胞特異的抗体として上皮成長因子受容体(EGFR)特異的抗体の免疫グロブリン可変領域と、T細胞特異的抗体としてCD3特異的抗体免疫グロブリン可変領域とを一本のポリペプチド鎖に含む、細胞傷害活性を有する二重特異性抗体を提供することを課題とする。
本発明者らは、癌細胞特異的抗体として上皮成長因子受容体(EGFR)特異的抗体の免疫グロブリン可変領域、及び、T細胞特異的抗体としてCD3特異的抗体の免疫グロブリン可変領域を一本のポリペプチド鎖に含む二重特異性抗体(taFv)を作製し、細胞傷害活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
(1) アミノ末端側からカルボキシ末端側に向かって、
式1:VH1-L1-VL1-L2-VH2-L3-VL2、
式2:VH1-L1-VL1-L2-VL2-L3-VH2、
式3:VL1-L1-VH1-L2-VH2-L3-VL2、
式4:VL1-L1-VH1-L2-VL2-L3-VH2、
式5:VH2-L1-VL2-L2-VH1-L3-VL1、
式6:VH2-L1-VL2-L2-VL1-L3-VH1、
式7:VL2-L1-VH2-L2-VH1-L3-VL1、又は
式8:VL2-L1-VH2-L2-VL1-L3-VH1
で表される構造を含む抗体ポリペプチドを含み、
VH1は、抗EGFR免疫グロブリンの重鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
VL1は、抗EGFR免疫グロブリンの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
VH2は、抗CD3免疫グロブリンの重鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
VL2は、抗CD3免疫グロブリンの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
L1、L2及びL3は、それぞれ独立に、リンカーのアミノ酸配列を表す、二重特異性抗体。
(2) 抗体ポリペプチドが、式1、式3又は式5で表される構造を含む、(1)に記載の二重特異性抗体。
(3) VH1が以下の(a)~(c)のいずれかのアミノ酸配列であり、
VL1が以下の(d)~(f)のいずれかのアミノ酸配列であり、
VH2が以下の(g)~(i)のいずれかのアミノ酸配列であり、
VL2が以下の(j)~(l)のいずれかのアミノ酸配列である、(1)又は(2)に記載の二重特異性抗体:
(a)配列番号1又は2に示すアミノ酸配列、
(b)前記(a)に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
(c)前記(a)に示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、
(d)配列番号3又は4に示すアミノ酸配列、
(e)前記(d)に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
(f)前記(d)に示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、
(g)配列番号5又は6に示すアミノ酸配列、
(h)前記(g)に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
(i)前記(g)に示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、
(j)配列番号7又は8に示すアミノ酸配列、
(k)前記(j)に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
(l)前記(j)に示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列。
(4) VH1が以下の(VH1-1CDR1)、(VH1-1CDR2)及び(VH1-1CDR3)のうち1つ以上を含み、且つ、VL1が以下の(VL1-1CDR1)、(VL1-1CDR2)及び(VL1-1CDR3)のうち1つ以上を含む、或いは、
VH1が以下の(VH1-2CDR1)、(VH1-2CDR2)及び(VH1-2CDR3)のうち1つ以上を含み、且つ、VL1が以下の(VL1-2CDR1)、(VL1-2CDR2)及び(VL1-2CDR3)のうち1つ以上を含む、
という条件1を満たし、且つ、
VH2が以下の(VH2-1CDR1)、(VH2-1CDR2)及び(VH2-1CDR3)のうち1つ以上を含み、且つ、VL2が以下の(VL2-1CDR1)、(VL2-1CDR2)及び(VL2-1CDR3)のうち1つ以上を含む、或いは、
VH2が以下の(VH2-2CDR1)、(VH2-2CDR2)及び(VH2-2CDR3)のうち1つ以上を含み、且つ、VL2が以下の(VL2-2CDR1)、(VL2-2CDR2)及び(VL2-2CDR3)のうち1つ以上を含む、
という条件2を満たす、(1)~(3)のいずれかに記載の二重特異性抗体:
(VH1-1CDR1) 配列番号1の第31位~第37位のアミノ酸配列、
(VH1-1CDR2) 配列番号1の第52位~第67位のアミノ酸配列、
(VH1-1CDR3) 配列番号1の第100位~第110位のアミノ酸配列、
(VH1-2CDR1) 配列番号2の第29位~第33位のアミノ酸配列、
(VH1-2CDR2) 配列番号2の第50位~第59位のアミノ酸配列、
(VH1-2CDR3) 配列番号2の第99位~第110位のアミノ酸配列、
(VL1-1CDR1) 配列番号3の第24位~第34位のアミノ酸配列、
(VL1-1CDR2) 配列番号3の第50位~第56位のアミノ酸配列、
(VL1-1CDR3) 配列番号3の第89位~第97位のアミノ酸配列、
(VL1-2CDR1) 配列番号4の第28位~第33位のアミノ酸配列、
(VL1-2CDR2) 配列番号4の第50位~第53位のアミノ酸配列、
(VL1-2CDR3) 配列番号4の第91位~第96位のアミノ酸配列、
(VH2-1CDR1) 配列番号5の第23位~第35位のアミノ酸配列、
(VH2-1CDR2) 配列番号5の第50位~第66位のアミノ酸配列、
(VH2-1CDR3) 配列番号5の第99位~第108位のアミノ酸配列、
(VH2-2CDR1) 配列番号6の第31位~第35位のアミノ酸配列、
(VH2-2CDR2) 配列番号6の第50位~第66位のアミノ酸配列、
(VH2-2CDR3) 配列番号6の第99位~第108位のアミノ酸配列、
(VL2-1CDR1) 配列番号7の第24位~第33位のアミノ酸配列、
(VL2-1CDR2) 配列番号7の第49位~第55位のアミノ酸配列、
(VL2-1CDR3) 配列番号7の第88位~第96位のアミノ酸配列、
(VL2-2CDR1) 配列番号8の第24位~第33位のアミノ酸配列、
(VL2-2CDR2) 配列番号8の第49位~第55位のアミノ酸配列、
(VL2-2CDR3) 配列番号8の第88位~第96位のアミノ酸配列。
(5) L1、L2及びL3のうち少なくとも1つが、独立に、以下の(m)~(o)のいずれかである、(1)~(4)のいずれかに記載の二重特異性抗体:
(m)配列番号9、10又は11に示すアミノ酸配列、
(n)前記(m)に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
(o)前記(m)に示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列。
(6) 抗体ポリペプチドのカルボキシ末端に連結された1以上のタグを更に含む、(1)~(5)のいずれかに記載の二重特異性抗体。
(7) 前記タグが以下の(p1)~(r1)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び/又は、(p2)~(r2)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドである、(6)に記載の二重特異性抗体:
(p1)配列番号12に示すアミノ酸配列、
(q1)前記(p1)に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
(r1)前記(p1)に示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、
(p2)配列番号13に示すアミノ酸配列、
(q2)前記(p2)に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
(r2)前記(p2)に示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列。
(8) 抗体ポリペプチドが以下の(s)~(u)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドである、(1)~(7)のいずれかに記載の二重特異性抗体:
(s)配列番号18の第3位~第497位のアミノ酸配列、配列番号19の第3位~第497位のアミノ酸配列、配列番号20の第3位~第497位のアミノ酸配列、配列番号21の第3位~第501位のアミノ酸配列、配列番号22の第3位~第501位のアミノ酸配列、配列番号23の第3位~第501位のアミノ酸配列、配列番号24の第3位~第501位のアミノ酸配列、配列番号25の第3位~第501位のアミノ酸配列、又は、配列番号26の第3位~第501位のアミノ酸配列、
(t)前記(s)に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
(u)前記(s)に示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列。
(9) 抗体ポリペプチドのアミノ末端に連結された分泌シグナルを更に含む、(1)~(7)のいずれかに記載の二重特異性抗体。
(10) 分泌シグナルが以下の(v)~(x)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドである、(9)に記載の二重特異性抗体:
(v)配列番号14又は15に示すアミノ酸配列、
(w)前記(v)に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
(x)前記(v)に示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列。
(11) (1)~(10)のいずれかに記載の二重特異性抗体をコードする塩基配列を含む核酸。
(12) (11)に記載の核酸を含むベクター。
(13) (12)に記載のベクターを含む、細胞。
(14) 酵母細胞、細菌細胞、真菌細胞、昆虫細胞、動物細胞又は植物細胞である、(13)に記載の細胞。
(15) メタノール資化性酵母細胞である酵母細胞、或いは、CHO細胞である動物細胞である、(14)に記載の細胞。
(16) (13)~(15)のいずれかに記載の細胞を培養する培養工程、及び、
培養工程で得られた培養物から二重特異性抗体を回収する回収工程
を含む、二重特異性抗体の製造方法。
本発明により、癌細胞特異的抗体として上皮成長因子受容体(EGFR)特異的抗体の免疫グロブリン可変領域と、T細胞特異的抗体としてCD3特異的抗体免疫グロブリン可変領域とを一本のポリペプチド鎖に含む、細胞傷害活性を有する二重特異性抗体(taFv)が提供される。
図1は、宿主酵母細胞内において、実施例1で構築したベクターpUC_Pgap_MFα_#218_Taox1_T38473_G418からGAPプロモーター制御下で発現し翻訳されて生じる未分泌二重特異性抗体ポリペプチドのアミノ酸配列の構成を示す。 図2は、実施例4で分離精製した二重特異性抗体のSDS-PAGEの結果を示す写真である。 図3は、構築した9つの二重特異性抗体濃度と細胞傷害率との関係を示すグラフである。
以下、本発明を、好ましい実施形態を用いて詳細に説明する。
本発明において「抗EGFR免疫グロブリン」及び「抗CD3免疫グロブリン」は、それぞれ、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンM(IgM)、免疫グロブリンD(IgD)、免疫グロブリンE(IgE)、免疫グロブリンA(IgA)等のどのクラスに属するものであってもよいが、典型的には、免疫グロブリンGである。
免疫グロブリンは、完全長の状態では、2本の重鎖と2本の軽鎖とを含むヘテロテトラマータンパク質である。重鎖及び軽鎖はそれぞれ抗原結合に関与する可変領域と定常領域とから構成される。本明細書では、軽鎖の可変領域をVL、重鎖の可変領域をVHと呼ぶ場合がある。
「抗EGFR免疫グロブリン」及び「抗CD3免疫グロブリン」の起源生物は特に限定されないが、ヒト、チンパンジー、サル、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、ハムスター、モルモット、マウス、ラット、サメ、ダチョウ、ニワトリ、カエルが好ましく、ヒト、チンパンジー、サル、ハムスター、マウス、ラットが特に好ましい。各免疫グロブリンの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、天然型アミノ酸配列には限定されず、天然型から改変されたアミノ酸配列であってもよい。
本発明において、「二重特異性抗体」とは、二種類の特定の抗原に結合する能力を有する抗体であり、具体的には、二種の一本鎖 Fv (scFv)を連結して一本鎖化したタンデムscFv (taFv)型抗体である。
本発明において、「ポリペプチド」とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合したものを指し、タンパク質の他、ペプチドやオリゴペプチドと呼ばれる鎖長の短いものが含まれる。
本発明では、二重特異性抗体に含まれる、2つの抗原に特異的に結合する抗体として機能するポリペプチドを「抗体ポリペプチド」と称する場合がある。
「アミノ末端」とは、ポリペプチドの末端がアミノ基である側の末端を指し、N末端とも呼ばれる。
「カルボキシ末端」とは、ポリペプチドの末端がカルボキシル基である側の末端を指し、C末端とも呼ばれる。
本発明において、「EGFR」とは、上皮成長因子受容体を指し、上皮成長因子(EGF)を認識、及び/又は結合し、及び/又は結合により細胞内シグナル伝達惹起する膜タンパク質、及び/又は受容体タンパク質、及び/又はそれらの可溶性タンパク質である。
本発明において、「CD3」とは、cluster of differentiation 3を指し、複数種類のポリペプチド鎖から構成される単量体、及び又は多量体タンパク質複合体である。
抗原となるEGFR及びCD3は、特定の生物種のEGFR及びCD3には限定されないが、好ましくはヒト、チンパンジー、サル、ハムスター、マウス、ラット等の哺乳動物のEGFR及びCD3であり、より好ましくはヒトのEGFR及びCD3である。
本発明において、「リンカー」とは、抗体を構成する特定の抗原に結合する能力を有する複数の可変領域のうち隣接する一対の間を連結するポリペプチドを指す。
本発明において、「一本鎖」とは、タンパク質が複数のポリペプチド鎖によって複合体を形成している状態ではなく、1つのポリペプチド鎖によって構造を成している状態を指す。
本発明の二重特異性抗体は、アミノ末端側からカルボキシ末端側に向かって、
式1:VH1-L1-VL1-L2-VH2-L3-VL2、
式2:VH1-L1-VL1-L2-VL2-L3-VH2、
式3:VL1-L1-VH1-L2-VH2-L3-VL2、
式4:VL1-L1-VH1-L2-VL2-L3-VH2、
式5:VH2-L1-VL2-L2-VH1-L3-VL1、
式6:VH2-L1-VL2-L2-VL1-L3-VH1、
式7:VL2-L1-VH2-L2-VH1-L3-VL1、又は
式8:VL2-L1-VH2-L2-VL1-L3-VH1
で表される構造を含む一本鎖の抗体ポリペプチドを含み、
VH1は、抗EGFR免疫グロブリンの重鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
VL1は、抗EGFR免疫グロブリンの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
VH2は、抗CD3免疫グロブリンの重鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
VL2は、抗CD3免疫グロブリンの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
L1、L2及びL3は、それぞれ独立に、リンカーのアミノ酸配列を表す、二重特異性抗体である。
二重特異性抗体は前記抗体ポリペプチドを含む、前記抗体ポリペプチドには更に他の物質が連結され一体化されたものであってもよく、例えば、前記抗体ポリペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシ末端に他のポリペプチドが連結されて、全体として一本のポリペプチド鎖を構成していてもよい。他のポリペプチドとしては、後述するタグ、分泌シグナル等が例示できる。また、前記抗体ポリペプチドに更に医薬化合物が連結されていてもよい。医薬化合物としては抗癌剤化合物などが例示できる。
前記抗体ポリペプチドは、式1、式3又は式5で表される構造を含むことが特に好ましく、式3又は式5で表される構造を含むことが最も好ましい。式1、式3又は式5で表される構造を含む前記抗体ポリペプチドは細胞傷害活性が特に高く、式3又は5で表される構造を含む前記抗体ポリペプチドは細胞傷害活性が最も高い。
VH1は、VL1と組み合わされたときにEGFRに結合する能力を有していれば特に限定されないが、特に好ましくは、前記(a)~(c)のいずれかのアミノ酸配列であり、最も好ましくは前記(a)のアミノ酸配列である。
VL1は、VH1と組み合わされたときにEGFRに結合する能力を有していれば特に限定されないが、特に好ましくは、前記(d)~(f)のいずれかのアミノ酸配列であり、最も好ましくは前記(d)のアミノ酸配列である。
ここで、前記(a)における「配列番号1又は2に示すアミノ酸配列」が「配列番号1に示すアミノ酸配列」である場合は、前記(d)における「配列番号3又は4に示すアミノ酸配列」は「配列番号3に示すアミノ酸配列」であることが好ましく、前記(a)における「配列番号1又は2に示すアミノ酸配列」が「配列番号2に示すアミノ酸配列」である場合は、前記(d)における「配列番号3又は4に示すアミノ酸配列」は「配列番号4に示すアミノ酸配列」であることが好ましい。
前記(a)は最も好ましくは配列番号1に示すアミノ酸配列であり、前記(d)は最も好ましくは配列番号3に示すアミノ酸配列である。
VH2は、VL2と組み合わされたときにCD3に結合する能力を有していれば特に限定されないが、特に好ましくは、前記(g)~(i)のいずれかのアミノ酸配列であり、最も好ましくは前記(g)のアミノ酸配列である。
VL2は、VH2と組み合わされたときにCD3に結合する能力を有していれば特に限定されないが、特に好ましくは、前記(j)~(l)のいずれかのアミノ酸配列であり、最も好ましくは前記(j)のアミノ酸配列である。
ここで、前記(g)における「配列番号5又は6に示すアミノ酸配列」が「配列番号5に示すアミノ酸配列」である場合は、前記(j)における「配列番号7又は8に示すアミノ酸配列」は「配列番号7に示すアミノ酸配列」であることが好ましく、前記(g)における「配列番号5又は6に示すアミノ酸配列」が「配列番号6に示すアミノ酸配列」である場合は、前記(j)における「配列番号7又は8に示すアミノ酸配列」は「配列番号8に示すアミノ酸配列」であることが好ましい。
前記(b)、(e)、(h)及び(k)において、それぞれ独立に、「1もしくは複数個」は、好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~5個、より好ましくは1~4個、より好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個、最も好ましくは1個である。
前記(c)、(f)、(i)及び(l)において、それぞれ独立に、「85%以上の配列同一性」は、より好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の配列同一性である。
本発明において塩基配列やアミノ酸配列の配列同一性は、当業者に周知の方法、配列解析ソフトウェア等を使用して求めることができる。例えば、BLASTアルゴリズムのblastnプログラムやblastpプログラム、FASTAアルゴリズムのfastaプログラムが挙げられる。本発明において、ある評価対象アミノ酸配列の、アミノ酸配列Xとの「配列同一性」とは、アミノ酸配列Xと評価対象アミノ酸配列とを整列(アラインメント)させ、必要に応じてギャップを導入して、両者のアミノ酸一致度が最も高くなるようにしたときの、ギャップ部分も含んだアミノ酸配列において同一部位に同一のアミノ酸が出現する頻度を%で表示した値である。
免疫グロブリンは、重鎖及び軽鎖の可変領域内に、それぞれ、一次構造上の変異性が特に高い相補性決定領域(CDR)又は超可変領域と呼ばれる3つの部位を有する。相補性決定領域は、免疫グロブリンの抗原に対する特異性を決定するうえで重要である。配列番号1に示す、抗EGFR免疫グロブリン1の重鎖可変領域(VH1-1)のアミノ酸配列中の相補性決定領域は、前記(VH1-1CDR1)、(VH1-1CDR2)及び(VH1-1CDR3)である。配列番号2に示す、抗EGFR免疫グロブリン2の重鎖可変領域(VH1-2)のアミノ酸配列中の相補性決定領域は、前記(VH1-2CDR1)、(VH1-2CDR2)及び(VH1-2CDR3)である。配列番号3に示す、抗EGFR免疫グロブリン1の軽鎖可変領域(VL1-1)のアミノ酸配列中の相補性決定領域は、前記(VL1-1CDR1)、(VL1-1CDR2)及び(VL1-1CDR3)である。配列番号4に示す、抗EGFR免疫グロブリン2の軽鎖可変領域(VL1-2)のアミノ酸配列中の相補性決定領域は、前記(VL1-2CDR1)、(VL1-2CDR2)及び(VL1-2CDR3)である。配列番号5に示す、抗CD3免疫グロブリン1の重鎖可変領域(VH2-1)のアミノ酸配列中の相補性決定領域は、前記(VH2-1CDR1)、(VH2-1CDR2)及び(VH2-1CDR3)である。配列番号6に示す、抗CD3免疫グロブリン2の重鎖可変領域(VH2-2)のアミノ酸配列中の相補性決定領域は、前記(VH2-2CDR1)、(VH2-2CDR2)及び(VH2-2CDR3)である。配列番号7に示す、抗CD3免疫グロブリン1の軽鎖可変領域(VL2-1)のアミノ酸配列中の相補性決定領域は、前記(VL2-1CDR1)、(VL2-1CDR2)及び(VL2-1CDR3)である。配列番号8に示す、抗CD3免疫グロブリン2の軽鎖可変領域(VL2-2)のアミノ酸配列中の相補性決定領域は、前記(VL2-2CDR1)、(VL2-2CDR2)及び(VL2-2CDR3)である。
前記抗体ポリペプチドの他の好適な実施形態では、
VH1が前記(VH1-1CDR1)、(VH1-1CDR2)及び(VH1-1CDR3)のうち1つ以上、好ましくは2つ以上、最も好ましくは3つを含み、且つ、VL1が前記(VL1-1CDR1)、(VL1-1CDR2)及び(VL1-1CDR3)のうち1つ以上、好ましくは2つ以上、最も好ましくは3つを含む、或いは、
VH1が前記(VH1-2CDR1)、(VH1-2CDR2)及び(VH1-2CDR3)のうち1つ以上、好ましくは2つ以上、最も好ましくは3つを含み、且つ、VL1が前記(VL1-2CDR1)、(VL1-2CDR2)及び(VL1-2CDR3)のうち1つ以上、好ましくは2つ以上、最も好ましくは3つを含む、
という条件1を満たし、且つ、
VH2が前記(VH2-1CDR1)、(VH2-1CDR2)及び(VH2-1CDR3)のうち1つ以上、好ましくは2つ以上、最も好ましくは3つを含み、且つ、VL2が前記(VL2-1CDR1)、(VL2-1CDR2)及び(VL2-1CDR3)のうち1つ以上、好ましくは2つ以上、最も好ましくは3つを含む、或いは、
VH2が前記(VH2-2CDR1)、(VH2-2CDR2)及び(VH2-2CDR3)のうち1つ以上、好ましくは2つ以上、最も好ましくは3つを含み、且つ、VL2が前記(VL2-2CDR1)、(VL2-2CDR2)及び(VL2-2CDR3)のうち1つ以上、好ましくは2つ以上、最も好ましくは3つを含む、
という条件2を満たす。
前記抗体ポリペプチドの他の好適な実施形態では、
VH1が前記(b)又は(c)のアミノ酸配列であり、且つ、VL1が前記(e)又は(f)のアミノ酸配列である場合に、VH1及びVL1は前記条件1を満たし、且つ、
VH2が前記(h)又は(i)のアミノ酸配列であり、且つ、VL2が前記(k)又は(l)のアミノ酸配列である場合に、VH2及びVL2は前記条件2を満たす。
L1、L2及びL3はそれぞれ、隣接する可変領域間を連結して一本鎖の抗体ポリペプチドを形成することができるものであればよく、具体的な配列は特に限定されないが、好適な実施形態では、アミノ酸数が好ましくは3~36、より好ましくは6~18のアミノ酸配列であり、より好ましくは構成アミノ酸の50%以上がグリシン、アラニン及びセリンからなる群に属するアミノ酸配列であり、特に好ましくは構成アミノ酸の50%以上がグリシンであるアミノ酸配列である。
好ましい実施形態では、L1、L2及びL3のうち少なくとも1つ、より好ましくはL1、L2及びL3のうち少なくとも2つ、より好ましくはL1、L2及びL3が、独立に、前記(m)~(o)のいずれかのアミノ酸配列であり、最も好ましくは前記(m)のアミノ酸配列である。
前記(n)において、「1もしくは複数個」は、好ましくは1~5個、より好ましくは1~4個、より好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個、最も好ましくは1個である。
前記(o)において、「85%以上の配列同一性」は、より好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の配列同一性である。配列同一性の算出方法は既述の通りである。
本発明の一実施形態の二重特異性抗体は、抗体ポリペプチドのカルボキシ末端に連結された1以上のタグを更に含むことが好ましい。特に好ましくは、タグはポリペプチドからなるタグであり、抗体ポリペプチドのカルボキシ末端に連結されて、全体として一本鎖のポリペプチドを形成する。抗体ポリペプチドのカルボキシ末端とタグとは他のアミノ酸配列を介さずに直接連結していてもよいし、他のアミノ酸配列を介して間接的に連結していてもよい。他のアミノ酸配列としてはL1、L2及びL3に関して記載したアミノ酸配列や、1~5のアラニンからなるアミノ酸配列が挙げられる。
ここで「タグ」とは目的タンパク質の目印となり得るポリペプチドを指し、タンパク質の精製や検出に利用することができる。タグは、目的タンパク質の目印となり得れば特に限定されないが、好ましくは、前記(p1)~(r1)のいずれかのアミノ酸配列、特に好ましくは前記(p1)のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び、前記(p2)~(r2)のいずれかのアミノ酸配列、特に好ましくは前記(p2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドの一方又は両方である。タグが、前記(p1)~(r1)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドと、前記(p2)~(r2)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドとを含む場合、どちらがアミノ末端側に配置されてもよい。タグとして用いられる2つ以上のポリペプチドのうち隣接する一対の間には他のアミノ酸配列からなるポリペプチドが介在していてもよい。他のアミノ酸配列としては上記のものが使用できる。
前記(q1)及び(q2)において、「1もしくは複数個」は、好ましくは1~5個、より好ましくは1~4個、より好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個、最も好ましくは1個である。
前記(r1)及び(r2)において、「85%以上の配列同一性」は、より好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の配列同一性である。配列同一性の算出方法は既述の通りである。
前記抗体ポリペプチドの具体的な実施形態としては、前記(s)~(u)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドであることが好ましく、前記(s)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであることが最も好ましい。
前記(s)のアミノ酸配列のなかでも特に、配列番号19の第3位~第497位のアミノ酸配列、配列番号20の第3位~第497位のアミノ酸配列、配列番号22の第3位~第501位のアミノ酸配列、配列番号23の第3位~第501位のアミノ酸配列、配列番号25の第3位~第501位のアミノ酸配列、又は、配列番号26の第3位~第501位のアミノ酸配列が好ましく、配列番号19の第3位~第497位のアミノ酸配列、配列番号20の第3位~第497位のアミノ酸配列、配列番号22の第3位~第501位のアミノ酸配列、配列番号23の第3位~第501位のアミノ酸配列、又は、配列番号26の第3位~第501位のアミノ酸配列がより好ましく、配列番号23の第3位~第501位のアミノ酸配列、又は、配列番号26の第3位~第501位のアミノ酸配列が最も好ましい。
前記(t)において、「1もしくは複数個」は、好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~5個、より好ましくは1~4個、より好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個、最も好ましくは1個である。
前記(u)において、「85%以上の配列同一性」は、より好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の配列同一性である。配列同一性の算出方法は既述の通りである。
前記(s)のアミノ酸配列を含む抗体ポリペプチドのアミノ末端及びカルボキシ末端には他のアミノ酸配列からなるポリペプチドが連結されて全体として一本鎖のポリペプチドを形成していてもよい。他のアミノ酸配列からなるポリペプチドとしては、前記(s)のアミノ酸配列を含む抗体ポリペプチドのアミノ末端に連結され得るLeu-Glu (制限酵素XhoIが切断する塩基配列がコードするアミノ酸配列)や、前記(s)のアミノ酸配列を含む抗体ポリペプチドのカルボキシ末端に連結され得る上記のタグが例示できる。前記(s)のアミノ酸配列を含む抗体ポリペプチドのアミノ末端にLeu-Gluが連結され、カルボキシ末端にタグが連結された一本鎖ポリペプチドとしては、配列番号18のアミノ酸配列、配列番号19のアミノ酸配列、配列番号20のアミノ酸配列、配列番号21のアミノ酸配列、配列番号22のアミノ酸配列、配列番号23のアミノ酸配列、配列番号24のアミノ酸配列、配列番号25のアミノ酸配列、又は、配列番号26のアミノ酸配列が特に好ましい。これらのアミノ酸配列のなかでも特に配列番号19のアミノ酸配列、配列番号20のアミノ酸配列、配列番号22のアミノ酸配列、配列番号23のアミノ酸配列、配列番号25のアミノ酸配列、又は、配列番号26のアミノ酸配列が好ましく、配列番号19のアミノ酸配列、配列番号20のアミノ酸配列、配列番号22のアミノ酸配列、配列番号23のアミノ酸配列、又は、配列番号26のアミノ酸配列がより好ましく、配列番号23のアミノ酸配列、又は、配列番号26のアミノ酸配列が最も好ましい。
本発明の別の実施形態の二重特異性抗体では、抗体ポリペプチドのアミノ末端に連結された分泌シグナルを更に含む。抗体ポリペプチドと分泌シグナルとは一体となって一本鎖のポリぺプチドを形成する。
本発明において、「分泌シグナル」とは分泌性でない目的タンパク質を細胞外に分泌させるためのポリペプチドを指し、該目的タンパク質遺伝子の上流に分泌シグナルのアミノ酸配列をコードする塩基配列を導入する。つまり、宿主細胞内においては、二重特異性抗体は抗体ポリペプチドのアミノ末端に分泌シグナルが連結した状態で存在するのが好ましい。分泌シグナルと抗体ポリペプチドとの間には他のアミノ酸配列が介在していてもよく、他のアミノ酸配列としては、Leu-Gluが例示できる。
分泌シグナルは、細胞が分泌発現できるポリペプチドであれば特に限定されないが、サッカロマイセス・セレビシエのMating Factor α(MFα)、コマガタエラ・パストリスの酸性ホスファターゼ(PHO1)、サッカロマイセス・セレビシエのインベルターゼ(SUC2)、免疫グロブリンの分泌シグナル、CHO細胞の分泌シグナルが挙げられ、好ましくは前記(v)~(x)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、最も好ましくは前記(v)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
前記(w)において、「1もしくは複数個」は、好ましくは1~5個、より好ましくは1~4個、より好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個、最も好ましくは1個である。
前記(x)において、「85%以上の配列同一性」は、より好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の配列同一性である。配列同一性の算出方法は既述の通りである。
本発明において、「二重特異性抗体をコードする塩基配列」とは、二重特異性抗体を構成するアミノ酸配列からなるポリペプチドに対してコドン表に基づいて設計された塩基配列を指し、該塩基配列は、転写及び翻訳によってポリペプチドの生成をもたらす。
本発明において「核酸」とはDNA又はRNAを指し、好ましくはDNAである。DNAは一本鎖DNAであってもよいし、二本鎖DNAであってもよい。
本発明の一実施形態は、二重特異性抗体をコードする塩基配列を含む核酸を含むベクター、に関する。
本発明のベクターは環状ベクター、直鎖状ベクター、プラスミド、人工染色体等であることができる。
本発明において「ベクター」とは人為的に構築された核酸分子である。本発明のベクターを構成する核酸分子は、通常DNA、好ましくは二本鎖DNAであり、環状であっても、直鎖状であってもよい。本発明のベクターは、通常は、1つ以上の制限酵素認識部位を含むクローニングサイト、Clontech社のIn-FusionクローニングシステムやNew England Biolabs社のGibson Assemblyシステム等を利用するためのオーバーラップ領域、内在性遺伝子の塩基配列、目的タンパク質のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列、選択マーカー遺伝子(栄養要求性相補遺伝子、薬剤耐性遺伝子など)の塩基配列等を含むことができる。直鎖状ベクターの例としては、URA3遺伝子、LEU2遺伝子、ADE1遺伝子、HIS4遺伝子、ARG4遺伝子等の栄養要求性相補遺伝子やG418耐性遺伝子、Zeocin(商標)耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、Clone NAT耐性遺伝子、ブラストサイジンS耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子の塩基配列を有するPCR産物、または環状ベクターやプラスミドを適当な制限酵素によって切断し、直鎖状としたものなどが挙げられる。
本発明のベクターは細胞に導入されていることが好ましい。本発明において「細胞」とは生物を構成する基本的な単位を指し、ベクターを含んでいれば特に限定されないが、酵母細胞、細菌細胞、真菌細胞、昆虫細胞、動物細胞、又は植物細胞等が挙げられ、酵母細胞が好ましく、酵母細胞としては、メタノール資化性酵母の細胞がより好ましく、コマガタエラ属酵母の細胞が特に好ましい。また、動物細胞も好ましく、動物細胞としては、CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞がより好ましい。
本発明におけるメタノール資化性酵母とは、唯一の炭素源としてメタノールを利用して培養可能な酵母と定義されるが、本来メタノール資化性酵母であったが、人為的な改変あるいは変異によりメタノール資化性能を喪失した酵母も、本発明におけるメタノール資化性酵母に包含される。
メタノール資化性酵母としては、ピキア(Pichia)属、オガタエア(Ogataea)属、コマガタエラ(Komagataella)属等に属する酵母が挙げられる。ピキア(Pichia)属ではピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、オガタエア(Ogataea)属ではオガタエア・アングスタ(Ogataea angusta)、オガタエア・ポリモルファ(Ogataea polymorpha)、オガタエア・パラポリモルファ(Ogataea parapolymorpha)、オガタエア・ミヌータ(Ogataea minuta)、コマガタエラ(Komagataella)属ではコマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)、コマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)等が好ましい例として挙げられる。
コマガタエラ属酵母としては、コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)、コマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)が好ましい。コマガタエラ・パストリス及びコマガタエラ・ファフィはどちらもピキア・パストリス(Pichia pastoris)の別名を有する。
具体的に宿主として使用できる菌株として、コマガタエラ・パストリスATCC76273(Y-11430、CBS7435)、コマガタエラ・パストリスX-33等の株が挙げられる。これらの菌株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションやサーモフィッシャーサイエンティフィック社等から入手することができる。
また、本発明においては、これらコマガタエラ属酵母菌株からの誘導株も使用でき、例えばヒスチジン要求性であればコマガタエラ・パストリスGS115株(サーモフィッシャーサイエンティフィック社より入手可能)等が挙げられる。本発明においては、これらの菌株からの誘導株等も使用できる。
動物細胞としては、CHO細胞、マウス骨髄腫細胞、COS細胞等が挙げられる。
CHO細胞としては、CHO-K1細胞、CHO/dhfr-細胞等が挙げられる。具体的に使用できる細胞として、CHO-K1細胞(ATCC CCL-61)、CHO/dhfr-細胞(ATCC CRL-9096)等が挙げられ、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション等から入手することができる。
本発明の他の実施形態は、上記細胞を培養する培養工程、及び、
培養工程で得られた培養物から二重特異性抗体を回収する回収工程
を含む、二重特異性抗体の製造方法に関する。
ここで、「培養工程で得られた培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養細胞の破砕物等の、二重特異性抗体を含み得る培養物であればよい。よって、本発明の二重特異性抗体を製造する方法としては、上記に記載の細胞を培養し、その細胞中に二重特異性抗体を蓄積させる方法や、培養上清中に二重特異性抗体を分泌して蓄積させる方法が挙げられ、好ましくは培養上清中に二重特異性抗体を分泌して蓄積させる方法が挙げられる。
細胞の培養条件は特に限定されず、細胞に応じて適宜選択すればよい。該培養においては、細胞が資化しうる栄養源を含む培地であれば何でも使用できる。また、培養はバッチ培養や連続培養のいずれでも可能である。
以下、製造例、比較例、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
配列表に示すアミノ酸配列及び塩基配列の特徴を次表に纏めた。表の備考欄でFwはフォワードプライマー、Reはリバースプライマーを意味する。
Figure 0007072792000001
Figure 0007072792000002
Figure 0007072792000003
<製造例1:ベクターの調製に用いた各種遺伝子の調製>
以下の実施例において用いた組換えDNA技術に関する詳細な操作方法等は、次の成書に記載されている:Molecular Cloning 2nd Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)。
また、以下の実施例において、酵母の形質転換に用いるプラスミドは、構築したベクターを大腸菌E.coli DH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に導入し、得られた形質転換体を培養して増幅することによって調製した。プラスミド保持株からのプラスミドの調製は、FastGene Plasmid Mini Kit(日本ジェネティクス社製)を用いて行った。
ベクターの構築において利用したGAPプロモーター(配列番号16)、AOX1ターミネーター(配列番号27)、CCA38473ターミネーター(配列番号28)はコマガタエラ・パストリスATCC76273株の染色体DNA(塩基配列はEMBL (The European Molecular Biology Laboratory) ACCESSION No. FR839628~FR839631に記載)混合物をテンプレートにしてPCRで調製した。GAPプロモーターはプライマー1(配列番号29)及びプライマー2(配列番号30)、AOX1ターミネーターはプライマー3(配列番号31)及びプライマー4(配列番号32)、CCA38473ターミネーターはプライマー5(配列番号33)及びプライマー6(配列番号34)を用いてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した分泌シグナルMFα遺伝子(配列番号17)はサッカロマイセス・セレビシエBY4741株の染色体DNA(塩基配列はACCESSION No. BK006934~BK006949に記載) 混合物をテンプレートにしてプライマー7(配列番号35)及びプライマー8(配列番号36)を用いてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した、プロモーターで制御されたG418耐性遺伝子(配列番号37)は合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した、#218二重特異性抗体をコードする塩基配列(配列番号38)は合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した、#219二重特異性抗体をコードする塩基配列(配列番号39)は合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した、#220二重特異性抗体をコードする塩基配列(配列番号40)は合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した、#221二重特異性抗体をコードする塩基配列(配列番号41)は合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した、#222二重特異性抗体をコードする塩基配列(配列番号42)は合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した、#223二重特異性抗体をコードする塩基配列(配列番号43)は合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した、#224二重特異性抗体をコードする塩基配列(配列番号44)は合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した、#225二重特異性抗体をコードする塩基配列(配列番号45)は合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
ベクターの構築において利用した、#226二重特異性抗体をコードする塩基配列(配列番号46)は合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
PCRにはPrime STAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ社製)等を用い、反応条件は添付のマニュアルに記載の方法で行った。染色体DNAの調製は、コマガタエラ・パストリスATCC76273株又はサッカロマイセス・セレビシエBY4741株からカネカ 簡易DNA抽出キット version 2(カネカ社製)等を用いて、これに記載の条件で実施した。
<製造例2:基本ベクターの構築>
プロモーターで制御されたG418耐性遺伝子(配列番号37)の末端にHindIII認識配列及びEcoRI認識配列を付加した核酸断片を、プライマー9(配列番号47)及びプライマー10(配列番号48)を用いたPCRにより調製し、HindIII及びEcoRI処理後にpUC19(タカラバイオ社製、Code No. 3219)のHindIII-EcoRIサイト間に挿入して、pUC_G418を構築した。
次に、CCA38473ターミネーター(配列番号28)の核酸断片をプライマー5(配列番号33)及びプライマー6(配列番号34)を用いてPCRで調製し、上記pUC_G418をXbaI処理した核酸断片と混合し、In-fusion HD Cloning Kit(クロンテック社製)を用いて繋ぎ合わせて、pUC_T38473_G418を構築した。
次に、GAPプロモーター(配列番号16)の末端にBamHI認識配列及びSpeI認識配列を付加した核酸断片を、プライマー1(配列番号29)及びプライマー2(配列番号30)を用いてPCRで調製し、分泌シグナルMFα遺伝子(配列番号17)の末端にSpeI認識配列及びBglII認識配列を付加した核酸断片をプライマー7(配列番号35)及びプライマー8(配列番号36)を用いてPCRで調製し、GAPプロモーター核酸断片はBamHI及びSpeI処理、分泌シグナルMFα遺伝子核酸断片はSpeI及びBglII処理後、pUC_T38473_G418のBamHI-BglIIサイト間に挿入して、pUC_Pgap_MFα_T38473_G418を構築した。
次に、AOX1ターミネーター(配列番号27)の末端にMluI認識配列及びBglII認識配列を付加した核酸断片を、プライマー3(配列番号31)及びプライマー4(配列番号32)を用いてPCRで調製し、MluI及びBglII処理後にpUC_Pgap_MFα_T38473_G418のMluI-BglIIサイト間に挿入して、pUC_Pgap_MFα_Taox1_T38473_G418を構築した。
<実施例1:二重特異性抗体発現ベクターの構築>
表2に記載の二重特異性抗体をコードする塩基配列を合成DNAをテンプレートにしてPCRで調製した。二重特異性抗体のID、二重特異性抗体のアミノ酸配列、二重特異性抗体をコードする塩基配列、核酸断片の増幅に用いたプライマー(フォワード(Fw)側及びリバース(Re)側)の番号及び配列を以下の表2に示す。
Figure 0007072792000004
これらの各核酸断片は二重特異性抗体をコードする塩基配列の上流にオーバーラップ領域として分泌シグナルMFα遺伝子配列の下流末端領域、下流にオーバーラップ領域としてAOX1ターミネーター配列の上流末端領域が付加されている。また、二重特異性抗体をコードする塩基配列とAOX1ターミネーター配列上流末端領域との間には、C-mycタグ(配列番号12) をコードする塩基配列及びHisタグ(配列番号13)をコードする塩基配列が付加されている。
pUC_Pgap_MFα_Taox1_T38473_G418をXhoI及びMluI処理後に核酸断片を調製し、上記PCRにより調製された二重特異性抗体をコードする塩基配列の核酸断片と混合し、In-fusion HD Cloning Kit(クロンテック社製)を用いて繋ぎ合わせて、
pUC_Pgap_MFα_#218_Taox1_T38473_G418、pUC_Pgap_MFα_#219_Taox1_T38473_G418、pUC_Pgap_MFα_#220_Taox1_T38473_G418、pUC_Pgap_MFα_#221_Taox1_T38473_G418、pUC_Pgap_MFα_#222_Taox1_T38473_G418、pUC_Pgap_MFα_#223_Taox1_T38473_G418、pUC_Pgap_MFα_#224_Taox1_T38473_G418、pUC_Pgap_MFα_#225_Taox1_T38473_G418、pUC_Pgap_MFα_#226_Taox1_T38473_G418を構築した。これらのベクターは、各二重特異性抗体がGAPプロモーター制御下で発現するように設計されている。
各二重特異性抗体の構造は、アミノ末端側からカルボキシ末端側に向かって表4に示されるような構造であり、
VH1:抗EGFR免疫グロブリンの重鎖可変領域、
VL1:抗EGFR免疫グロブリンの軽鎖可変領域、
VH2:抗CD3免疫グロブリンの重鎖可変領域、
VL2:抗CD3免疫グロブリンの軽鎖可変領域、
L1、L2、L3:リンカー、を有するポリペプチド鎖を含んでなる一本鎖の二重特異性抗体である。
抗EGFR免疫グロブリンとして、抗EGFR免疫グロブリン1と、抗EGFR免疫グロブリン2を用いた。抗EGFR免疫グロブリン1の重鎖可変領域をVH1-1とし、軽鎖可変領域をVL1-1とした。抗EGFR免疫グロブリン2の重鎖可変領域をVH1-2とし、軽鎖可変領域をVL1-2とした。
抗CD3免疫グロブリンとして、抗CD3免疫グロブリン1と、抗CD3免疫グロブリン2とを用いた。抗CD3免疫グロブリン1の重鎖可変領域をVH2-1とし、軽鎖可変領域をVL2-1とした。抗CD3免疫グロブリン2の重鎖可変領域をVH2-2とし、軽鎖可変領域をVL2-2とした。
各重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列を次表に示す。
Figure 0007072792000005
Figure 0007072792000006
後述する宿主酵母細胞内において、上記のpUC_Pgap_MFα_#218_Taox1_T38473_G418から、GAPプロモーター制御下で発現し翻訳されて生じる未分泌二重特異性抗体ポリペプチドのアミノ酸配列の構成を図1に示す。宿主酵母細胞から分泌された二重特異性抗体ポリペプチドは、図1に示す未分泌二重特異性抗体ポリペプチドにおいてアミノ末端の分泌シグナルMFα(配列番号14)が切除された、配列番号18に示すアミノ酸配列からなる。
宿主酵母細胞内でpUC_Pgap_MFα_#219_Taox1_T38473_G418から転写及び翻訳を経て生じる未分泌二重特異性抗体ポリペプチドは、配列番号19に示す二重特異性抗体ポリペプチドにアミノ酸配列のアミノ末端に分泌シグナルMFα(配列番号14)が付加されたアミノ酸配列からなる。
宿主酵母細胞内でpUC_Pgap_MFα_#220_Taox1_T38473_G418から転写及び翻訳を経て生じる未分泌二重特異性抗体ポリペプチドは、配列番号20に示す二重特異性抗体ポリペプチドにアミノ酸配列のアミノ末端に分泌シグナルMFα(配列番号14)が付加されたアミノ酸配列からなる。
宿主酵母細胞内でpUC_Pgap_MFα_#221_Taox1_T38473_G418から転写及び翻訳を経て生じる未分泌二重特異性抗体ポリペプチドは、配列番号21に示す二重特異性抗体ポリペプチドにアミノ酸配列のアミノ末端に分泌シグナルMFα(配列番号14)が付加されたアミノ酸配列からなる。
宿主酵母細胞内でpUC_Pgap_MFα_#222_Taox1_T38473_G418から転写及び翻訳を経て生じる未分泌二重特異性抗体ポリペプチドは、配列番号22に示す二重特異性抗体ポリペプチドにアミノ酸配列のアミノ末端に分泌シグナルMFα(配列番号14)が付加されたアミノ酸配列からなる。
宿主酵母細胞内でpUC_Pgap_MFα_#223_Taox1_T38473_G418から転写及び翻訳を経て生じる未分泌二重特異性抗体ポリペプチドは、配列番号23に示す二重特異性抗体ポリペプチドにアミノ酸配列のアミノ末端に分泌シグナルMFα(配列番号14)が付加されたアミノ酸配列からなる。
宿主酵母細胞内でpUC_Pgap_MFα_#224_Taox1_T38473_G418から転写及び翻訳を経て生じる未分泌二重特異性抗体ポリペプチドは、配列番号24に示す二重特異性抗体ポリペプチドにアミノ酸配列のアミノ末端に分泌シグナルMFα(配列番号14)が付加されたアミノ酸配列からなる。
宿主酵母細胞内でpUC_Pgap_MFα_#225_Taox1_T38473_G418から転写及び翻訳を経て生じる未分泌二重特異性抗体ポリペプチドは、配列番号25に示す二重特異性抗体ポリペプチドにアミノ酸配列のアミノ末端に分泌シグナルMFα(配列番号14)が付加されたアミノ酸配列からなる。
宿主酵母細胞内でpUC_Pgap_MFα_#226_Taox1_T38473_G418から転写及び翻訳を経て生じる未分泌二重特異性抗体ポリペプチドは、配列番号26に示す二重特異性抗体ポリペプチドにアミノ酸配列のアミノ末端に分泌シグナルMFα(配列番号14)が付加されたアミノ酸配列からなる。
<実施例2:形質転換酵母の取得>
実施例1で構築した二重特異性抗体発現ベクターを用いて、以下のようにコマガタエラ・パストリスを形質転換した。
コマガタエラ・パストリスATCC76273株野生株をYPD培地(1% 乾燥酵母エキス(ナカライテスク社製)、2% Bacto Pepton(Becton Dickinson社製)、2% glucose)2mlにて、30℃で16時間振盪培養後、フレッシュなYPD培地に10倍希釈で植え継ぎ、さらに30℃にて4時間振盪培養した。培養後の酵母細胞を遠心にて回収し、酵母細胞の洗浄(滅菌水6mlを加えて懸濁、遠心での酵母細胞の回収)後、試験管壁に残った滅菌水で酵母細胞を再懸濁し、これをコンピテントセル溶液とした。
実施例1で構築した9つの二重特異性抗体発現ベクターを用いて大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体を5mlのアンピシリン含有LB培地(1% トリプトン(ナカライテスク社製)、0.5% 乾燥酵母エキス(ナカライテスク社製)、1% 塩化ナトリウム、0.01%アンピシリンナトリウム(ナカライテスク社製))で培養し、得られた菌体からFastGene Plasmid Mini Kit(日本ジェネティクス社製)を用いて、プラスミドを取得した。本プラスミドをCCA38473ターミネーター内のEcoRV認識配列を利用して、EcoRV処理により直鎖状にした。
前記コンピテントセル溶液42μlと直鎖状の二重特異性抗体発現ベクター20μg、10 mg/mlキャリアDNA(タカラバイオ社製)溶液8μl、1M DTT溶液8μl、4M酢酸リチウム溶液4μl、60%ポリエチレングリコール溶液100μlを混合し、42℃で20分間静置した。20分間静置後、酵母細胞を回収し、500μlのYPD培地(1% 乾燥酵母エキス(ナカライテスク社製)、2% Bacto Pepton(Becton Dickinson社製)、2% glucose)に懸濁後、30℃で2時間静置した。2時間静置後、酵母細胞をYPDG418選択寒天プレート(1% 乾燥酵母エキス(ナカライテスク社製)、2% Bacto Pepton(Becton Dickinson社製)、2% glucose、2% アガロース、0.05% G418二硫酸塩(ナカライテスク社製))に塗布し、30℃、3日間の静置培養で生育する株を選択し、二重特異性抗体発現酵母を取得した。
<実施例3:形質転換酵母の培養>
実施例2で得られた二重特異性抗体発現酵母を5mlのBMGY培地(1% yeast extract bacto(Becton Dickinson社製)、2% Hipolypepton(日本製薬社製)、0.34% yeast nitrogen base Without Amino Acid and Ammonium Sulfate(Becton Dickinson社製)、1% Ammonium Sulfate、0.4mg/l Biotin、100mM リン酸カリウム(pH6.0)、2% Glycerol)に接種し、これを30℃、170rpm、24時間振盪培養した。前培養後、前培養液を250mlのBMGY培地に接種し、これを30℃、180rpm、48時間振盪培養した。培養後、遠心分離(3000g、10分、4℃)により培養上清を回収した。
<実施例4:培養液からの二重特異性抗体の精製>
実施例3で得られた培養上清を1M Tris-HCl(pH8.0)にてpH6.5に調整し、2mLニッケルセファーロースレジン(Ni Sepharose excel(GEヘルスケア社製))に供した。レジンはBuffer A (20 mMリン酸ナトリウム、0.5 M塩化ナトリウム、pH7.4)10mL及びBuffer B (20 mMリン酸ナトリウム、0.5 M塩化ナトリウム、10 mMイミダゾール、pH7.4)10mLで洗浄した。レジンに結合した二重特異性抗体はBuffer C (20 mMリン酸ナトリウム、0.5 M塩化ナトリウム、500 mMイミダゾール、pH7.4)5mLで溶出した。溶出後、二重特異性抗体モノマーをプレパックHiLoad 26/600 Superdex 200 pg カラム(GEヘルスケア社製)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにて分離精製した。
分離精製した二重特異性抗体を12.5%ポリアクリルアミドゲル(e-PAGEL、ATTO社製)を用いてSDS-PAGEし、クマシーブルー(バイオラッド社製)にて染色したものを図2に示す。
<実施例5:細胞傷害活性の評価>
細胞傷害活性測定(MTS assay)に用いるT-LAK細胞を末梢血単核細胞(PBMC)(CTL社製)から作製した。Tフラスコ(25 cm2)にPBS(ナカライテスク社製)を1.5 mL、OKT3 IgG(1 mg/mL)を15 μL添加し、2時間、37℃、5%CO2でインキュベートした。アスピレータで吸引後、解凍したPBMC(CTL社製)、5 mLのRPMI(10% FBS(Thermo Fisher Scientific社製)、1% ペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液)培地、2 μLのIL-2(35 万IU/ml、塩野義製薬社製)を入れて2日間、37℃、5%CO2でインキュベートした。その後、75 cm2のTフラスコに交換し、RPMI培地15 mLと、6 μLのIL-2を添加して2日間、37℃、5%CO2でインキュベートし、T-LAK細胞懸濁液とした。T-LAK細胞懸濁液中で細胞同士が凝集し始めたら、MTS assayへ利用した。MTS assayの1日目では、96wellプレートにTFK-1細胞(東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センター)を104 cells/100 μLにRPMI培地で播種して24時間、37℃、5%CO2でインキュベートした。2日目は、T-LAK細胞を5×104 cells/50 μLに調製し、抗体の希釈系列もそれぞれ50 μLに調製した。TFK-1細胞の培養上清を除去し、T-LAK細胞懸濁液と抗体溶液をそれぞれ50 μLずつ添加し、24時間、37℃、5%CO2でインキュベートした。3日目に培養上清を除去し、PBS100 μL/wellで1回洗浄した。CellTiter 96 (登録商標) AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega社製)15 μLとRPMI培地85 μLの混合液を添加し、37℃、5%CO2で10分間インキュベートした。プレートリーダー(490nm)を用いて吸光度を測定し、細胞生存率を算出した。二重特異性抗体の細胞傷害活性の測定結果を図3に示す。構築した9つの二重特異性抗体全てで効果が確認された。
図3に示す結果から、9つの二重特異性抗体のなかでも、
#220 (VL1-1-(L1)-VH1-1-(L2)-VH2-1-(L3)-VL2-1)、
#223 (VH2-1-(L1)-VL2-1-(L2)-VH1-1-(L3)-VL1-1)、
#226 (VH1-1-(L1)-VL1-1-(L2)-VH2-1-(L3)-VL2-1)、
#219 (VL1-1-(L1)-VH1-1-(L2)-VH2-2-(L3)-VL2-2)、
#222 (VH2-2-(L1)-VL2-2-(L2)-VH1-1-(L3)-VL1-1)、
#225 (VH1-1-(L1)-VL1-1-(L2)-VH2-2-(L3)-VL2-2)
の細胞傷害活性が特に高く、
#220 (VL1-1-(L1)-VH1-1-(L2)-VH2-1-(L3)-VL2-1)、
#223 (VH2-1-(L1)-VL2-1-(L2)-VH1-1-(L3)-VL1-1)、
#226 (VH1-1-(L1)-VL1-1-(L2)-VH2-1-(L3)-VL2-1)、
#219 (VL1-1-(L1)-VH1-1-(L2)-VH2-2-(L3)-VL2-2)、
#222 (VH2-2-(L1)-VL2-2-(L2)-VH1-1-(L3)-VL1-1)、
の細胞傷害活性が更に高く、
#223 (VH2-1-(L1)-VL2-1-(L2)-VH1-1-(L3)-VL1-1)、
#226 (VH1-1-(L1)-VL1-1-(L2)-VH2-1-(L3)-VL2-1)、
の細胞傷害活性が最も高いことが確認された。

Claims (15)

  1. アミノ末端側からカルボキシ末端側に向かって、
    式1:VH1-L1-VL1-L2-VH2-L3-VL2、
    式3:VL1-L1-VH1-L2-VH2-L3-VL2、又は
    式5:VH2-L1-VL2-L2-VH1-L3-VL1
    で表される構造を含む抗体ポリペプチドを含み、
    VH1は、抗EGFR免疫グロブリンの重鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
    VL1は、抗EGFR免疫グロブリンの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
    VH2は、抗CD3免疫グロブリンの重鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
    VL2は、抗CD3免疫グロブリンの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を表し、
    L1、L2及びL3は、それぞれ独立に、リンカーのアミノ酸配列を表し、
    式1は、
    VH1が以下の(VH1-1CDR1)、(VH1-1CDR2)及び(VH1-1CDR3)を相補性決定領域として含み、且つ、VL1が以下の(VL1-1CDR1)、(VL1-1CDR2)及び(VL1-1CDR3)を相補性決定領域として含む、
    という条件1を満たし、且つ、
    VH2が以下の(VH2-1CDR1)、(VH2-1CDR2)及び(VH2-1CDR3)を相補性決定領域として含み、且つ、VL2が以下の(VL2-1CDR1)、(VL2-1CDR2)及び(VL2-1CDR3)を相補性決定領域として含む、
    という条件2を満たし、
    式3は、
    VH1が以下の(VH1-1CDR1)、(VH1-1CDR2)及び(VH1-1CDR3)を相補性決定領域として含み、且つ、VL1が以下の(VL1-1CDR1)、(VL1-1CDR2)及び(VL1-1CDR3)を相補性決定領域として含む、
    という条件1を満たし、且つ、
    VH2が以下の(VH2-1CDR1)、(VH2-1CDR2)及び(VH2-1CDR3)を相補性決定領域として含み、且つ、VL2が以下の(VL2-1CDR1)、(VL2-1CDR2)及び(VL2-1CDR3)を相補性決定領域として含む、或いは、
    VH2が以下の(VH2-2CDR1)、(VH2-2CDR2)及び(VH2-2CDR3)を相補性決定領域として含み、且つ、VL2が以下の(VL2-2CDR1)、(VL2-2CDR2)及び(VL2-2CDR3)を相補性決定領域として含む、
    という条件2を満たし、
    式5は、
    VH1が以下の(VH1-1CDR1)、(VH1-1CDR2)及び(VH1-1CDR3)を相補性決定領域として含み、且つ、VL1が以下の(VL1-1CDR1)、(VL1-1CDR2)及び(VL1-1CDR3)を相補性決定領域として含む、
    という条件1を満たし、且つ、
    VH2が以下の(VH2-1CDR1)、(VH2-1CDR2)及び(VH2-1CDR3)を相補性決定領域として含み、且つ、VL2が以下の(VL2-1CDR1)、(VL2-1CDR2)及び(VL2-1CDR3)を相補性決定領域として含む、或いは、
    VH2が以下の(VH2-2CDR1)、(VH2-2CDR2)及び(VH2-2CDR3)を相補性決定領域として含み、且つ、VL2が以下の(VL2-2CDR1)、(VL2-2CDR2)及び(VL2-2CDR3)を相補性決定領域として含む、
    という条件2を満たす、二重特異性抗体:
    (VH1-1CDR1) 配列番号1の第31位~第37位のアミノ酸配列、
    (VH1-1CDR2) 配列番号1の第52位~第67位のアミノ酸配列、
    (VH1-1CDR3) 配列番号1の第100位~第110位のアミノ酸配列、
    (VL1-1CDR1) 配列番号3の第24位~第34位のアミノ酸配列、
    (VL1-1CDR2) 配列番号3の第50位~第56位のアミノ酸配列、
    (VL1-1CDR3) 配列番号3の第89位~第97位のアミノ酸配列、
    (VH2-1CDR1) 配列番号5の第23位~第35位のアミノ酸配列、
    (VH2-1CDR2) 配列番号5の第50位~第66位のアミノ酸配列、
    (VH2-1CDR3) 配列番号5の第99位~第108位のアミノ酸配列、
    (VH2-2CDR1) 配列番号6の第31位~第35位のアミノ酸配列、
    (VH2-2CDR2) 配列番号6の第50位~第66位のアミノ酸配列、
    (VH2-2CDR3) 配列番号6の第99位~第108位のアミノ酸配列、
    (VL2-1CDR1) 配列番号7の第24位~第33位のアミノ酸配列、
    (VL2-1CDR2) 配列番号7の第49位~第55位のアミノ酸配列、
    (VL2-1CDR3) 配列番号7の第88位~第96位のアミノ酸配列、
    (VL2-2CDR1) 配列番号8の第24位~第33位のアミノ酸配列、
    (VL2-2CDR2) 配列番号8の第49位~第55位のアミノ酸配列、
    (VL2-2CDR3) 配列番号8の第88位~第96位のアミノ酸配列。
  2. 抗体ポリペプチドが、式1又は式5で表される構造を含み、
    式5は、
    VH1が(VH1-1CDR1)、(VH1-1CDR2)及び(VH1-1CDR3)を相補性決定領域として含み、且つ、VL1が(VL1-1CDR1)、(VL1-1CDR2)及び(VL1-1CDR3)を相補性決定領域として含む、
    という条件1を満たし、且つ、
    VH2が(VH2-1CDR1)、(VH2-1CDR2)及び(VH2-1CDR3)を相補性決定領域として含み、且つ、VL2が(VL2-1CDR1)、(VL2-1CDR2)及び(VL2-1CDR3)を相補性決定領域として含む、
    という条件2を満たす、
    請求項1に記載の二重特異性抗体。
  3. VH1が以下の(a)~(c)のいずれかのアミノ酸配列であり、
    VL1が以下の(d)~(f)のいずれかのアミノ酸配列であり、
    VH2が以下の(g)~(i)のいずれかのアミノ酸配列であり、
    VL2が以下の(j)~(l)のいずれかのアミノ酸配列である、請求項1又は2に記載の二重特異性抗体:
    (a)配列番号1に示すアミノ酸配列、
    (b)前記(a)に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
    (c)前記(a)に示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、
    (d)配列番号3に示すアミノ酸配列、
    (e)前記(d)に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
    (f)前記(d)に示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、
    (g)配列番号5又は6に示すアミノ酸配列、
    (h)前記(g)に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
    (i)前記(g)に示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、
    (j)配列番号7又は8に示すアミノ酸配列、
    (k)前記(j)に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
    (l)前記(j)に示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列。
  4. L1、L2及びL3のうち少なくとも1つが、独立に、以下の(m)及び(o)のいずれかである、請求項1~3のいずれか1項に記載の二重特異性抗体:
    (m)配列番号9、10又は11に示すアミノ酸配列
    (o)前記(m)に示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列。
  5. 抗体ポリペプチドのカルボキシ末端に連結された1以上のタグを更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
  6. 前記タグが以下の(p1)~(r1)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び/又は、(p2)及び(r2)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項5に記載の二重特異性抗体:
    (p1)配列番号12に示すアミノ酸配列、
    (q1)前記(p1)に示すアミノ酸配列において、1個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
    (r1)前記(p1)に示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、
    (p2)配列番号13に示すアミノ酸配列
    (r2)前記(p2)に示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列。
  7. 抗体ポリペプチドが以下の(s)~(u)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項1~6のいずれか1項に記載の二重特異性抗体:
    (s)配列番号19の第3位~第497位のアミノ酸配列、配列番号20の第3位~第497位のアミノ酸配列、配列番号22の第3位~第501位のアミノ酸配列、配列番号23の第3位~第501位のアミノ酸配列、又は、配列番号26の第3位~第501位のアミノ酸配列、
    (t)前記(s)に示すアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
    (u)前記(s)に示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列。
  8. 抗体ポリペプチドのアミノ末端に連結された分泌シグナルを更に含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
  9. 分泌シグナルが以下の(v)~(x)のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項8に記載の二重特異性抗体:
    (v)配列番号14又は15に示すアミノ酸配列、
    (w)前記(v)に示すアミノ酸配列において、1~2個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加したアミノ酸配列、
    (x)前記(v)に示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の二重特異性抗体をコードする塩基配列を含む核酸。
  11. 請求項10に記載の核酸を含むベクター。
  12. 請求項11に記載のベクターを含む、細胞。
  13. 酵母細胞、細菌細胞、真菌細胞、昆虫細胞、動物細胞又は植物細胞である、請求項12に記載の細胞。
  14. メタノール資化性酵母細胞である酵母細胞、或いは、CHO細胞である動物細胞である、請求項13に記載の細胞。
  15. 請求項12~14のいずれか1項に記載の細胞を培養する培養工程、及び、
    培養工程で得られた培養物から二重特異性抗体を回収する回収工程
    を含む、二重特異性抗体の製造方法。
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