JP7071432B2 - ストロンチウム密封線源 - Google Patents

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Description

本出願は、2015年5月7日に提出された米国仮特許出願第62/158091号の、米国特許法第119条(e)項の下の優先権を主張する。この仮特許出願の内容は、引用することによりその全体があらゆる目的で本明細書の一部をなす。
本開示は、眼の治療、その他の医療プロセス、小線源療法プロセス、又は、工業プロセスにおいて使用し得るようなストロンチウム-90密封線源に関する。特に、放射線で治療する治療対象組織の目的容積を通して吸収線量率が比較的一定であること(以下、「フラット放射線プロファイル」という)が求められている。
医療プロセス、工業プロセス、その他のプロセスのための様々な型の放射線源又は放射性源の従来技術が十分に開発されている。例えば、2013年4月30日にBrigattiらに特許付与され、Salutaris Medical Devices, Inc.に文面上譲渡された「眼の後方部に放射線を最小限に侵襲的に眼球外供給する方法及び装置(Methods and Devices for Minimally-Invasive Extraocular Delivery of Radiation to the Posterior Portion of the Eye)」と題する特許文献1には、放射性核種小線源療法源から眼の後方部に対してβ線を最小限に侵襲的に供給するアプリケータが開示されている。特に、このアプリケータは湿潤型加齢性黄斑変性症等の様々な眼疾患の治療に適用されているが、これらに限定されるものではない。他の従来技術としては、2006年7月4日にWhiteらに特許付与され、Theragenics Corporationに文面上譲渡された「小線源療法装置及びそれを使用した小線源療法(Brachytherapy Devices and Methods of Using Them)」と題する特許文献2、及び、2002年9月3日にFingerに特許付与された「眼科用小線源療法装置(Ophthalmic Brachytherapy Device)」と題する特許文献3が挙げられる。
これらの従来技術はよく開発されており、意図した目的に適しているが、開示された装置において使用される放射性源が更に改良されることが求められている。特に、放射線を等方性に(球状に「4π」)分布させるのではなく、平行に分布させることができれば、治療対象ではない周辺組織に対する直接照射を減らしながら、放射線源から治療対象の組織に直接照射することができる。
米国特許第8,430,804号 米国特許第7,070,554号 米国特許第6,443,881号
そこで、本開示は、小線源療法、その他の医療用途、又は、工業用途に使用する放射線源を改良することを目的とする。特に、本開示は、眼疾患治療用の既知のアプリケータのための改良放射線源を提供することを目的とする。眼疾患としては、湿潤型加齢性黄斑変性症が挙げられるが、これに限定されるものではない。この放射線源は、周囲の健康な組織を不必要に放射線に曝露する可能性の高い等方性放射を使用せずに、放射線を疾患組織に集中させるものである。
この目的及び他の目的は、β放射線源、典型的には、ストロンチウム-90を含み、周辺部において高い放射能を示し、中心部において低い放射能を示す放射性挿入体を備えたβ放射線源を提供することによって達成されよう。これは、放射性挿入体が環状若しくは輪状の形状(例えば、中央に穴又は開口のあるドーナツ型形状)を有するか、又は、厚みが小さいか、若しくは、低い放射能を示す中央部分を有する円板の形状を有することにより達成され得る。さらに、これは、治療用放射線が放射される面の中心部において高い遮蔽性を有することにより、放射線源の中央部分から放射される放射線を実質的に減衰させる外包材を提供することによって達成される。更なる代替物としてβ線コリメーターグリッドを使用する。
本開示の更なる目的及び利点は、以下の説明及び添付図面から明らかとなろう。
本開示の1つの実施形態に係る放射線源の上面図である。 本開示の1つの実施形態に係る放射線源の斜視断面図である。 図1Aの1C-1C面断面図である。 本開示のβ線コリメーターグリッドの平面図である。 β線コリメーターグリッドの操作をより詳細に示す図である。 本開示の更なる実施形態に係る放射線源の断面図である。 図3の放射線源により発生した放射線量プロファイルに関する図である。 本開示の更なる様々な実施形態に係る放射線源を示す図である。 本開示の更なる様々な実施形態に係る放射線源を示す図である。 本開示の更なる様々な実施形態に係る放射線源を示す図である。 本開示の更なる様々な実施形態に係る放射線源を示す図である。 本開示の更なる様々な実施形態に係る放射線源を示す図である。 本開示の更なる様々な実施形態に係る放射線源を示す図である。 治療中のヒト眼球に対する放射線源の配置を示す図である。 図6をより詳細に示す部分図である。
ここで、図面を詳細に参照するが、いくつかの図面を通して同じ要素は同じ符号で示す。図1A、図1B、及び、図1Cに、本開示の1つの実施形態に係る放射線源(放射性線源)100を示す。放射線源100は、典型的には、好適なβ線吸収特性及びβ線透過特性を有するチタン合金、ステンレス鋼、又は、同様の材料から作製される放射線源外包材102を備える。放射線源外包材102は、円筒状外壁部104と、円形状開放トップ部106と、閉鎖底部を構成する円形状床部108とを有する。典型的には、同様にチタン合金、ステンレス鋼、又は、同様の材料から作製される円形蓋110を円形状開放トップ部106上に載置し、全ての組み立てが完了した後適当な位置に溶接することにより、低円筒状の構造が得られる。典型的には、同様にチタン合金、ステンレス鋼、又は、同様の材料から作製される円筒状放射線源内包材-入れ子状部材114は、円筒状内壁部116と、円形状閉鎖トップ部118と、円形状開放底部120とを有する。円筒状内壁部116の内部には、略円筒状の容積又は空洞128が形成され(図1B参照、ストロンチウム-90挿入体を含まない空洞を示す)、この容積又は空洞128には、典型的には不溶性耐火材料のストロンチウム-90挿入体130(β放射線源、図1C参照)が保持される。不溶性耐火材料としては、セラミック、ガラス、又は、ベリリウム若しくはアルミニウム等の低密度金属と混合したストロンチウム-90化合物等の耐火金属複合体等が挙げられる。典型的にはハニカム構造を有するβ線コリメーターグリッド140は、円形状床部108、すなわち、放射線源外包材102の閉鎖底部のすぐ上に接するように配置され、ストロンチウム-90挿入体130及び放射線源内包材114の円筒状内壁部116の下端のすぐ下に接するように配置される。得られた放射線源100は、(1つには、コリメーターグリッド140の機能により)β線1000を等方的に分布させるのではなく、より多くのβ線1000がまっすぐ下、すなわち、図1Cに示す方向に向かうように実質的に平行に分布させる(図1C参照)。得られた放射線源100は、特許文献1の医療機器での使用に特によく適合するものであり、上述の放射線分布によって、医療専門家は、周囲の健康な組織に照射される不必要な放射線の量を最小化しながら、患者の治療容積に放射線を照射することができるものである。例えば、ヒト眼球2000の裏側に放射線源100を配置し、ヒト眼球2000に水平に放射線を照射する医療機器200を示した図6及び図7を参照されたい。
なお、ストロンチウム-90β線放射性挿入体130は、ストロンチウムセラミック、ストロンチウムガラス、堅く詰まったセラミックビーズの集合体(様々な可能な形状を有する)、又は、耐火金属複合体等の様々な材料から形成することができる。ストロンチウム-90を含む耐火セラミック及び耐火ガラスは、例えば、特にアルミニウム、珪素、ジルコニウム、チタン、マグネシウム、カルシウムの金属酸化物を含む、多種多様な材料の組み合わせから形成することができる。SrF、Sr、SrTiO、SrO、SrTiO、SrZrO、SrCO、Sr(NbO、SrSiO、3SrO・Al、SrSO、SrB、SrS、SrBr、SrC、SrCl、SrI、及び、SrWO等のストロンチウム-90化合物から選んだ他の材料を追加することができると考えられるが、他の材料はこれらに限定されない。また、ストロンチウム-90以外の材料に基づくβ線放射体も本開示に適合し得る。
図2A及び図2Bに、β線コリメーターグリッド140を更に詳しく開示する。β線コリメーターグリッド140は、ストロンチウム-90からの直接β線放射又は直交β線放射をほとんどブロック又は吸収せずに、非直交β線放射のうちかなりの部分をブロック又は吸収することを目的とする。β線コリメーターグリッド140は、壁部144で仕切られた複数のハニカム状の開放セル142(正確な縮尺ではない)を有する(壁部144に関しては図2B参照)。直接β線放射又は直交β線放射は、壁部144にあたることなく、開放セル142の開口部又は通路を通過するが、非直交β線放射は、ハニカム状のセル142の壁部144にあたって実質的に吸収される。図2A及び図2Bに示した典型的な例においては、厚みは合計で250ミクロンであり、バーの厚みが30ミクロン、セルピッチが260ミクロン、開口部直径が230ミクロンであり、直接放射線透過率は78%であると見込まれる。すなわち、直接β線放射の22%が減衰する。当業者であれば、本開示を検討することにより、様々な寸法及び数値が同様の用途に使用し得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、外周縁部においてハニカム状のセル142を有することができ、中心部付近において実質的に100%透過するコリメーターグリッド140が考えられる。これにより、直接放射が増加し、非直交放射はそのエネルギーを直接放射の対象でもある治療領域に与えるものと考えられる。コリメーターグリッドを円板状放射線源と併用することによる他の利点としては、フラット線量プロファイル(すなわち、放射線で治療する治療対象組織の目的容積を通して吸収線量率が一定であるプロファイル)が挙げられる。このプロファイルは、対象治療容積の異なる部分に対する曝露が過小又は過大になることなく、或る特定の深さで、或る特定の容積を有する組織において、線量率が同じであり、治療線量が均一であるという効果を有する。ハニカム状の六角形の構成を示したが、コリメーターグリッド140は、方形メッシュ形状又は隙間なくネスト化された他のメッシュ形状を有してもよい。コリメーターグリッド140は、β線放射を吸収することができ、放射線源の他の構成要素に悪影響を及ぼすことなく、通常の操作条件、及び、800℃の炎等の偶発的な危険条件に耐え得る様々な金属又は非金属から選ぶことができる。典型的な好ましい材料としては、鉄合金、ニッケル合金、モリブデン合金、銅合金、金合金、炭素、及び、珪素が挙げられる。当業者であれば、本開示を検討することにより、付加的な材料が様々な用途に使用し得ることが理解されよう。また、コリメーターグリッド140は、放射線源100の円形状床部109に刻み込んでもよい。
光子はβ粒子よりも周囲の吸収体において散乱し難いので、コリメーションはβ粒子で行うより光子で行う方が効果的である。光子は、減衰し難く(散乱し難い)、β粒子は高度に減衰する(散乱し易い、β粒子は、電子と同じ質量及び電荷を有しており、β粒子同士の衝突は1回の衝突当たりより多くのエネルギーを与えるため)。また、β粒子は、典型的には、ゼロから最大値(ストロンチウム-90の崩壊生成物であるY-90の場合であれば、2.28meV)までのスペクトルを伴って放射され、β粒子の減衰特性及び散乱特性は、電磁場相互作用によってのみ減衰する単一エネルギーの光子の特性とは大きく異なる。
本開示のβ放射線源の前方の適切な組織深さにおいてフラット線量プロファイルを得るために、典型的には、放射線源表面における周辺部の線量率に対する中心部の線量率の差を増強して放射線源を出力する必要がある。言い換えると、もし線量プロファイルが放射線源表面においてフラットであれば、放射線源表面から少し離れた所では、組織中でのβ線散乱効果により、フラットではないと考えられる。そのため、組織中でのβ線散乱によって、組織の所望の深さにおいてフラットになるように、周辺部よりも中心部においてより低い、輪状線量プロファイルを放射線源表面において得ることが典型的には望ましい。放射線源から更に離れると、散乱及び減衰が強くなるので、組織の線量プロファイルは次第に球状になると考えられる。
吸収組織は、散乱低エネルギー放射線の源として効果的に作用し、これにより、放射線源から更に移動した距離において、線量プロファイルが平行化されず、より球状になる。
図3に、更なる実施形態に係る放射線源100の断面図を示す。放射線源100は、実質的に回転対称であり、その形状としては、円筒状、輪状、及び、環状の形状が挙げられる。典型的にはチタン又はステンレス鋼から作製されるカプセル体300は、中央平坦部304を有する下床部302を有する。この(下床部302の中央部分においてβ線遮蔽性を高める)中央平坦部304は、中央平坦部304とカプセル体300の円筒状外壁部308との間に環状溝部306を形成するものである。円筒状外壁部308の上端は、外蓋310を受けるための円形状の開口を形成し、外蓋310は、略円筒状であるが、区画された円形状下端部312を有し、伸縮内蓋316を受け、典型的には、伸縮内蓋316との間にしっかりと摩擦嵌合を形成するための円筒状ブラインド中央開口部314を更に有する。典型的にはチタン又はステンレス鋼から作製され、内周縁環状畝部327を備えて図示された外蓋310は、典型的には、業界の従来基準を使用してカプセル体300に溶接される。ストロンチウム-90放射性挿入体318(前述の実施形態における挿入体130と同様)は、伸縮内蓋316の下端とカプセル体300の中央平坦部304との間に係合する円形状又は円板状上部320を有する。この構造は、ストロンチウム-90放射性挿入体318が揺れ動くのを抑制することを目的としている。ストロンチウム-90放射性挿入体318はその上面に中央凸部325を有する。この中央凸部325は、上記構造を強化し、たわみ及び製造中に起こり得る剥離を防ぐか最小限に抑えるものである。ストロンチウム-90放射性挿入体318は、カプセル体300の環状溝部306に入り込んで下方へと伸びる周縁環状部323を更に有する。
ストロンチウム-90放射性挿入体318が有する環状の形状は周辺部が厚くなっており、この形状により、周辺部において放射線放射が高くなり、中心部内では放射線出力が低くなる。これと、β線遮蔽性が中央平坦部304の中央領域で高いこととが相まって、フラットビームプロファイルが得られ、放射線源前方の治療対象組織の目的容積を通して吸収線量率がより一定となる。図5には、放射線源100の直径及び最大高さの典型的な値が示されており、各々、4.05ミリメートル及び1.75ミリメートルである。この例において、対象治療容積400は、3.0ミリメートルの直径を有し、第1のケースでは、1.438ミリメートル~2.196ミリメートルの深さ(放射線源100の下面から対象までの平均深さ1.817ミリメートル)を有し、第2のケースでは、1.353ミリメートル~2.111ミリメートルの深さ(放射線源100の下面から対象までの平均深さ1.752ミリメートル)を有する。ヒト眼球2000の強膜2002(外側被膜)は典型的には11.50ミリメートルの半径を有する(図6及び図7も参照)。当業者であれば、本開示を検討することにより、構造パラメータを変えれば、特定の用途に応じた様々な放射線分布が得られることが理解されよう。
図5A~図5Fに、本開示の6つの更なる設計実施形態に係る放射線源100を示す。図5Aの放射線源100は、図3に示したものに非常に類似しており、下床部302を有するカプセル体300を備えている。下床部302の内壁にはその内部に中央平坦部304があり、これにより、中央平坦部304とカプセル体300の円筒状外壁部308との間に環状溝部306が形成される。円筒状外壁部308の上端は、略円筒状の外蓋310を受けるための円形状の開口を形成する。外蓋310は、典型的には、業界の従来基準を使用してカプセル体300に溶接される。ストロンチウム-90放射性挿入体318は、矩形断面を中心軸の周りを回転させることにより、中央通路319を有する環状の形状に形成されている。環状放射性挿入体318は、環状溝部306の上に配置され、中央平坦部304と、円筒状外壁部308の内部に形成されたショルダー部308A、308Bとによって支持される。典型的にはチタン又はステンレス鋼から作製される円筒円板状スペーサ320が、放射性挿入体318と外蓋310の下面との間に配置される。また、典型的にはチタン又はステンレス鋼から作製される円筒状遮蔽性挿入体322が中央開口部319内に挿入される。ストロンチウム-90放射性挿入体318の形状により、周辺部において放射線出力が高くなり、中央開口部319内では放射線出力が低くなる。これと、中央平坦部304の中央領域と円筒状遮蔽性挿入体322とが高い遮蔽性を有することとが相まって、フラットビームプロファイルが得られ、放射線源前方の治療対象組織の目的容積を通して吸収線量率がより一定となる(すなわち、得られたβ線が異方性を有する)。
図5Bの実施形態に係る放射線源100は、図5Aに示す実施形態と類似している。下床部302の内壁は、図5Aの中央平坦部を有しておらず、略平坦である。環状ストロンチウム-90放射性挿入体318は、低融点ガラス接着剤321又は類似の構成により円筒円板状スペーサ320に固定されている。円筒状遮蔽性挿入体322は、スペーサ320から下床部302の内壁へと伸びており、これにより、環状ストロンチウム-90放射性挿入体318の下に環状空隙部306′を備えた構成が得られる。ストロンチウム-90放射性挿入体318の形状により、周辺部において放射源が強くなり、中央開口部319内では放射源を除去する。これと、円筒状遮蔽性挿入体322の高い遮蔽性とが相まって、フラットビームプロファイルが得られ、放射線源前方の治療対象組織の目的容積を通して吸収線量率がより一定となる。
図5Cの実施形態に係る放射線源100は、図5Aの実施形態と類似している。環状ストロンチウム-90放射性挿入体318は、円筒円板状中央部318Aを有し、その周縁に伸びる環状上部318B及び環状下部318Cを更に有する。また、スペーサ320は、下に伸びる円筒状スカート部320Aを更に有しており、このスカート部320Aは環状ストロンチウム-90放射性挿入体318の周縁に外側で接する。スペーサ320は、遮蔽性挿入体322の変形例を受け入れる円筒状中央開口部320Bを更に有している。この遮蔽性挿入体322は、ストロンチウム-90放射性挿入体318の円筒円板状中央部318Aに対して係合し、ストロンチウム-90放射性挿入体318の環状上部318Bの内側に位置するための、下に伸びる円錐台部322Aを更に有する。この構成により、遮蔽性挿入体322の下に伸びる円錐台部322Aと、中央平坦部304との間に円筒円板状中央部318Aを係合させる。図5Bの実施形態と同様に、ストロンチウム-90放射性挿入体318の環状下部318Cと、床部302の内壁との間に環状空隙部306′が形成される。ストロンチウム-90放射性挿入体318の形状により、周辺部において放射源が強くなり、円筒円板状中央部318Aからの放射が小さくなる。これと、中央平坦部304における高い遮蔽性とが相まって、フラットビームプロファイルが得られ、放射線源前方の治療対象組織の目的容積を通して吸収線量率がより一定となる。
図5Dの実施形態は、図5Bの実施形態と類似しているが、円筒状外壁部308の内部に、環状溝部306上で環状ストロンチウム-90放射性挿入体318を支持するためのショルダー部308A、308Bを有する。これにより、低融点ガラス接着剤321又は類似の構成を用いて環状ストロンチウム-90放射性挿入体318をスペーサ320に固定する必要をなくすことができる。ストロンチウム-90放射性挿入体318の形状により、周辺部において放射源が強くなり、中央開口部319内では放射源を除去する。これと、円筒状遮蔽性挿入体322の高い遮蔽性とが相まって、フラットビームプロファイルが得られ、放射線源前方の治療対象組織の目的容積を通して吸収線量率がより一定となる。
図5Eの実施形態は、図5Cの実施形態と類似している。環状ストロンチウム-90放射性挿入体318は、円筒円板状中央部318Aを有し、その周縁に伸びる環状下部318Cを更に有する。環状上部がないことによって、スペーサ320を円筒円板形状へと簡素化することができる。ストロンチウム-90放射性挿入体318の形状により、周辺部において放射源が強くなり、円筒円板部318Aからの放射が小さくなる。これと、中央平坦部304における高い遮蔽性とが相まって、フラットビームプロファイルが得られ、放射線源前方の治療対象組織の目的容積を通して吸収線量率がより一定となる。
図5Fの実施形態は、図5Eの実施形態と類似している。ストロンチウム-90放射性挿入体318は環状の形状ではなく、円板形状へと簡素化されている。また、スペーサ320は、下に伸びる円筒状スカート部320Aを更に有しており、このスカート部320Aは環状ストロンチウム-90放射性挿入体318の周縁に外側で接する。ストロンチウム-90放射性挿入体318を、中央平坦部304及び環状溝部306上に吊り下げるように、低融点ガラス接着剤321により円筒円板状スペーサ320に固定する。この実施形態では、ストロンチウム-90放射性挿入体318の少なくとも一部を中央平坦部304と接触させて支持させることも考えられる。
さらに、本開示の代替案としては、ガラス、例えば、ステンレス鋼製挿入体に予め溶融されたガラス、セラミックと共に圧縮されたガラス粉末、セラミックと混合してから圧縮したガラス粉末等を用いて、有効挿入体を固定することが挙げられる。また、代替案としては、機械的方法、例えば、銅、銀、アルミニウム等の軟質材料、又は、様々な型(波型、円錐型、重ね皿型等)のバネを用いて、有効挿入体を固定することが挙げられる。さらに、代替案としては、位置の誤差を防ぐ有効挿入体センタリング機能を利用することが挙げられ、例えば、先細セラミック円板、又はカプセル体の蓋と適合する開口若しくは突起を有する円板等が挙げられる。
このように、いくつかの上述の目的及び利点が最も効果的に達成される。本発明の好ましい実施形態を本明細書において詳細に開示及び記載したが、本発明はそれによっていかなる意味でも制限されないことが理解されるべきである。
100 放射線源
102 放射線源外包材
104 円筒状外壁部
106 円形状開放トップ部
108 円形状床部
109 円形状床部
110 円形蓋
114 放射線源内包材
116 円筒状内壁部
118 円形状閉鎖トップ部
120 円形状開放底部
128 空洞
130 線放射性挿入体
140 コリメーターグリッド
142 開放セル
144 壁部
200 医療機器
300 カプセル体
302 下床部
304 中央平坦部
306 環状溝部
308 円筒状外壁部
310 外蓋
312 円形状下端部
314 円筒状ブラインド中央開口部
316 伸縮内蓋
318 放射性挿入体
319 中央通路
320 円筒円板状スペーサ
321 低融点ガラス接着剤
322 遮蔽性挿入体
323 周縁環状部
325 中央凸部
327 内周縁環状畝部
400 対象治療容積

Claims (13)

  1. 中心部と周辺部とを有する放射性挿入体であって、中心部より周辺部において放射線量が高い放射性挿入体と、
    中心部と周辺部とを有する前記放射性挿入体の周囲の外包材であって、外包材の1つの壁は、壁の周辺部より壁の中心部において高い放射線遮蔽性を有する外包材とを備えた放射線源。
  2. 前記放射性挿入体が環状の形状を有する請求項1に記載の放射線源。
  3. 前記環状の形状は、前記放射性挿入体の中心部よりも前記放射性挿入体の周辺部において厚みが大きい請求項2に記載の放射線源。
  4. 前記放射性挿入体の中心部が凸部を有する請求項2に記載の放射線源。
  5. 前記放射性挿入体の中心部が通路を有する請求項2に記載の放射線源。
  6. 前記放射性挿入体の通路を通過する遮蔽性挿入体を更に備えた請求項5に記載の放射線源。
  7. 前記壁の中心部における高い放射線遮蔽性が、前記放射性挿入体に向かって伸びる内部平坦部によるものである請求項1に記載の放射線源。
  8. 前記放射性挿入体の中心部が通路を含み、遮蔽性挿入体が前記放射性挿入体の該通路を貫通する請求項7に記載の放射線源。
  9. 前記放射性挿入体の中心部が円板部を有し、前記放射性挿入体の周辺部の厚みが前記円板部の厚みより大きい請求項7に記載の放射線源。
  10. 前記内部平坦部が、前記放射性挿入体の前記円板部に向かって伸びる請求項9に記載の放射線源。
  11. 前記外包材が外蓋を更に有し、前記外蓋は放射線源と接する内蓋を受けるブラインド開口部を有する請求項10に記載の放射線源。
  12. 中央通路を有する環状の放射性挿入体と、
    前記中央通路を通過する遮蔽性挿入体と、
    前記放射性挿入体の周囲の外包材とを備えた放射線源。
  13. 前記放射性挿入体がストロンチウム-90を含み、ストロンチウム-90が、ストロンチウムセラミック、ストロンチウムガラス、SrF2、Sr2P2O7、SrTiO3、SrO、Sr2TiO4、SrZrO3、SrCO3、Sr(NbO3)2、SrSiO3、3SrO・Al2O3、SrSO4、SrB6、SrS、SrBr2、SrC2、SrCl2、SrI2、及び、SrWO4からなる群から選ばれる材料又は化合物中に含まれる請求項12に記載の放射線源。
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