JP7067921B2 - 食肉脱骨機構および食肉脱骨装置 - Google Patents
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上記構成において、前記肩甲骨脱骨部における前記肩甲骨の捩じり角度は、110°以上130°以下の角度でもよい。
ところで、食肉ブロックには、肩甲骨よりも軟らかい肩甲軟骨が含まれている。肩甲骨を一方向に直線的に引き剥がす動作のみ行う場合、肩甲骨の剥がし部において肩甲軟骨の割れ等につながる過大な負荷がかかり、食肉ブロックから肩甲骨とともに肩甲軟骨を安定して剥がすことができない可能性が高い。これに対し、この構成によれば、肩甲骨の剥がし部に過大な負荷がかかることを抑制することができるため、食肉ブロックから肩甲骨とともに肩甲軟骨を安定して剥がすことができる。
この構成によれば、食肉ブロックの個体ごとに脱骨処理位置を変更することができる。これにより、食肉ブロックの個体差による脱骨処理位置の誤差を可及的に抑えることができるため、食肉ブロックの個体差によらずに肩甲骨を安定して剥がすことができる。加えて、肩甲骨を脱骨処理位置まで引っ張った後に肩甲骨の捩じり動作が行われるため、肩甲骨の剥がし部(肩甲軟骨の部分)の手前で捩じり動作を行うことができ、肩甲骨とともに肩甲軟骨をより安定して剥がすことができる。
この構成によれば、食肉ブロックの個体ごとに捩じり速度を変更することができる。これにより、食肉ブロックの個体差による肩甲骨の捩じり速度の誤差を可及的に抑えることができるため、食肉ブロックの個体差によらずに肩甲骨を安定して剥がすことができる。加えて、人手作業と同様に肩甲骨を捩じりながら優しく剥がすことができるため、肩甲骨とともに肩甲軟骨をより安定して剥がすことができる。
この構成によれば、食肉ブロックを吊り下げた状態で、食肉ブロックの上下位置を所望の位置に設定することができる。
この構成によれば、食肉ブロックの個体ごとに食肉ブロックの上下位置を変更することができる。これにより、食肉ブロックの個体差による食肉ブロックの上下位置の誤差を可及的に抑えることができるため、食肉ブロックの個体差によらずに肩甲骨を安定して剥がすことができる。
この構成によれば、食肉ブロックを吊り下げた状態で上腕骨の肉部背面が支持されるため、食肉ブロックの吊り下げ姿勢を保持することができる。
この構成によれば、サポートバーにより上腕骨の肉部背面を支持しつつ、左右一対のサポートアームにより上腕骨の肉部背面を左右方向内側に案内する(食肉ブロックのセンタリングを行う)ことができるため、食肉ブロックの吊り下げ姿勢をより安定して保持することができる。
この構成によれば、前倒しされた肩甲骨のくびれ部をチャック部で把持した状態で、肩甲骨の引張動作に加えて肩甲骨の捩じり動作を行うことができるため、食肉ブロックから肩甲骨を安定して剥がすことができる。
この構成によれば、前倒しされた肩甲骨のくびれ部を台形枠部内に収めることができるため、肩甲骨の位置決めを安定して行うことができる。
この構成によれば、前倒しされた肩甲骨のくびれ部を台形枠部内に収めつつ、逆V字状をなす凹部により肩甲骨のくびれ部を逆V字の斜面に沿って案内する(肩甲骨のくびれ部をセンタリングする)ことができるため、肩甲骨の位置決めをより安定して行うことができる。
この構成によれば、肩甲骨前倒し部および肩甲骨チャック部を一体的に移動させることができるため、肩甲骨前倒し部および肩甲骨チャック部を別個独立に移動させる場合と比較して、構成の簡素化および省エネルギー化を図ることができる。
ところで、ガイドレールが水平面と平行に直線状に延びていたり、バックサポート部の側ほど下方に位置するように傾斜していたりすると、肩甲骨前倒し部により肩甲骨の下部を前方から押している途中で空振りし(肩甲骨前倒し部が後方に抜け)、肩甲骨を十分に前倒しできない可能性がある。これに対し、この構成によれば、ガイドレールがバックサポート部の側ほど上方に位置するように傾斜していることで、肩甲骨前倒し部により肩甲骨の下部を押し続けることできるため、肩甲骨を十分に前倒しすることができる。
この構成によれば、上腕骨の肉部背面が支持されている状態で肩バラ肉を開くことができるため、肩甲骨が肩バラ肉で隠れている場合において、肩甲骨を露出させることができる。
ところで、肩バラ肉の厚み及び大きさは個体差があるため、1本の揺動アームのみを備える場合、肩バラ肉を十分に開くことができず、肩甲骨を十分に露出させることができない可能性がある。これに対し、この構成によれば、第一揺動アームおよび第二揺動アームを備えることで、第一揺動アームおよび第二揺動アームの二段階で肩バラ肉を捕らえることができるため、肩バラ肉を十分に開くことができ、肩甲骨を十分に露出させることができる。
この構成によれば、第一揺動アームおよび第二揺動アームを同期して揺動させることができるため、第一揺動アームおよび第二揺動アームを別個独立に移動させる場合と比較して、構成の簡素化および省エネルギー化を図ることができる。
この構成によれば、バックサポート部により上腕骨の肉部背面を支持しつつ、肉押さえ部により前記肉部背面とは反対側から食肉ブロックを押さえることができるため、食肉ブロックの吊り下げ姿勢をより安定して保持することができる。
本発明者は、鋭意検討の結果、肩甲骨の捩じり動作の途中で食肉ブロックの押さえ動作を行うことにより、食肉ブロックを押さえた後に肩甲骨の捩じり動作を行う場合と比較して、食肉ブロックから肩甲骨を安定して剥がすことができる成功率が高まることを見出した。この構成によれば、肩甲骨の捩じり動作の途中で食肉ブロックの押さえ動作を行うことで、食肉ブロックから肩甲骨を安定して剥がすことができる成功率を更に高めることができる。
この構成によれば、食肉ブロックの個体ごとに食肉脱骨機構の制御を変更することができる。これにより、食肉ブロックの個体差による食肉脱骨機構の誤動作を可及的に抑えることができるため、食肉ブロックの個体差によらずに肩甲骨を安定して剥がすことができる。
図1に示すように、食肉脱骨装置1は、左側の豚うで部位(以下「ワーク」ともいう。)が投入される投入ステーション2と、ワークの寸法を計測するワーク計測ステーション3と、ワークから肩甲骨の脱骨処理を行う肩甲骨脱骨ステーション4と、ワークから上腕骨の脱骨処理を行う上腕骨脱骨ステーション5と、脱骨処理による肉分離により残った骨部を排出する骨部排出ステーション6と、各ステーション間を連絡する搬送路に沿ってワークを搬送するワーク搬送機構7と、ワークより分離した肉を搬送する製品搬送部8(以下「コンベア8」という。)と、各ステーション2~6を制御する制御装置9(図2参照)と、各ステーションを支持するフレーム10と、フレーム10を支持する脚部11と、を備える。各ステーション2~6は、一方向に直線状に間隔をあけて配置されている。
投入ステーション2には、人手(作業者)により上腕骨および肩甲骨の周辺の筋入れ等が行われたワークが投入される。例えば、投入ステーション2は、ワークを引っ掛けるためのフックと、フックを上下方向に昇降移動させる昇降機構と、昇降機構を作動させるためのスイッチと、を備える。
図1に示すように、ワーク計測ステーション3は、投入ステーション2の下流側(右側)に隣接して配置されている。ワーク計測ステーション3は、ワーク寸法(食肉ブロックの寸法)としてワークの上下長さを計測する。例えば、ワーク計測ステーション3は、上腕骨のくびれ部を支持する上腕骨くびれ支持部と、吊り下げ状態のワークの下端位置を検知するワーク下端位置検知部と、を備える。
図1に示すように、肩甲骨脱骨ステーション4は、ワーク計測ステーション3の下流側(左側)に隣接して配置されている。肩甲骨脱骨ステーション4は、実施形態に係る食肉脱骨機構19を備える。実施形態において、食肉脱骨機構19は、豚肉屠体を背割りした左側部の半截ブロックの肩ロース部およびスペアリブを除去したワークを吊り下げ、ワークの吊り下げ状態で肩甲骨の脱骨処理を行う。ワーク搬送機構7は、肩甲骨の脱骨処理が完了したワークを次工程の上腕骨脱骨ステーション5が位置する搬送路に導入する。
図1に示すように、上腕骨脱骨ステーション5は、肩甲骨脱骨ステーション4の下流側(左側)に隣接して配置されている。上腕骨脱骨ステーション5は、肩甲骨の脱骨処理が完了したワークに対し、上腕骨の脱骨処理を行う。具体的に、上腕骨脱骨ステーション5は、肩甲骨の脱骨処理が完了したワーク(以下「第二ワーク」ともいう。)に対し、上腕骨の骨部寄りの肉部剥ぎ取りと、上腕骨の骨頭周りの筋切断と、上腕骨の下部近傍の切断による肉分離と、を行う。
一方、上腕骨から分離された肉は、コンベア8に導入される。
図3に示すように、食肉脱骨機構19は、ワーク(図中符号90)に含まれる肩甲骨を引っ張る引張動作と、ワークに対して肩甲骨を捩じる捩じり動作と、を行うことが可能な肩甲骨脱骨部20と、ワークを上下方向に移動可能なワーク移動部30と、ワークに含まれる上腕骨の肉部背面を支持可能なバックサポート部40と、ワークに含まれる肩バラ肉を開くことが可能な肩バラ開き部50と、バックサポート部40とは反対側からワークを押さえることが可能な肉押さえ部60と、食肉脱骨機構19の各部を制御する制御部71~74(制御装置9、図2参照)と、を備える。
以下の説明においては、前後方向のうち、バックサポート部40側を後方、バックサポート部40とは反対側を前方として説明する。
図3に示すように、肩甲骨脱骨部20は、食肉脱骨機構19の下部に配置されている。肩甲骨脱骨部20は、ワークに含まれる肩甲骨を、上面視でモータ軸線C1の右回り(時計回り)に捩じる。具体的に、肩甲骨脱骨部20は、肩甲骨を脱骨処理位置まで引っ張った後に、肩甲骨を図4の矢印V1方向に捩じる。肩甲骨の脱骨処理位置および捩じり角度は、捩じり動作制御部71(制御装置9、図2参照)により設定される。例えば、肩甲骨の捩じり角度は、90°以上150°以下の角度とする。より好ましくは、肩甲骨の捩じり角度は、110°以上130°以下の角度とする。
図3に示すように、肩甲骨前倒し部21は、肩甲骨を前方から図4の矢印V3方向(図5(b)参照)に押圧可能な肩甲骨前倒プレート21aと、肩甲骨前倒プレート21aを傾動可能なプレート傾動部21bと、を備える。実施形態において、肩甲骨前倒プレート21aは、初期状態(図5(a)参照)で水平面に対して僅かに前傾している。初期状態における肩甲骨前倒プレート21aの傾斜角度は、ガイドレール24の傾斜角度と実質的に等しい。
図4に示すように、肩甲骨チャック部22は、肩甲骨前倒し部21によって前倒しされた肩甲骨のくびれ部を把持する。肩甲骨チャック部22は、肩甲骨のくびれ部を把持するチャック部本体22aと、チャック部本体22aと共同して肩甲骨のくびれ部を把持するチャック台座22bと、チャック部本体22aを上下方向に昇降可能なチャック昇降部22cと、を備える。
図6の前面視で、チャック部本体22aは、台形枠状をなす台形枠部81と、台形枠部81の上辺部81aに設けられた肩甲骨位置決め部82と、台形枠部81とチャック昇降部22cとを連結するチャック連結部83と、を備える。
図6の前面視で、チャック連結部83の上端縁は、左右方向に直線状に延びている。チャック連結部83の上端縁と、左右一対の傾斜辺部との間には、肩甲骨のくびれ部(肩甲骨の上部の関節部)を挿通可能な空間85が形成されている。
図3に示すように、ガイドレール24は、食肉脱骨機構19の下部右側に配置されている。ガイドレール24は、架台23を肩甲骨の引張方向(図4の矢印V2方向、図5(b)参照)に沿って案内する。ガイドレール24は、バックサポート部40の側ほど上方に位置するように直線状に傾斜している。例えば、フレーム10の上面10a(水平面、図1参照)に対するガイドレール24の傾斜角度(以下「レール傾斜角度」ともいう。)は、5°以上12°以下の角度とする。より好ましくは、レール傾斜角度は、8°以上9°以下の角度とする。
なお、図3において、符号24aはガイドレール24の前端部を支持するレール前支持部、符号24aはガイドレール24の後端部を支持するレール後支持部をそれぞれ示す。
例えば、捩じり駆動源25は、サーボモータである。サーボモータの回転軸線は、モータ軸線C1(図3参照)を形成している。実施形態において、モータ軸線C1は、鉛直線に対して僅かに前傾している。
図3に示すように、ワーク移動部30は、食肉脱骨機構19の上部に配置されている。ワーク移動部30は、ワークの吊り下げ状態で食肉ブロックを上下方向(図4の矢印V4方向)に移動させる。ワーク移動部30は、ワークに含まれる上腕骨のくびれ部を懸架する上腕骨くびれ懸架部31と、上腕骨くびれ懸架部31を上下方向に昇降可能な懸架昇降部32と、を備える。
図3に示すように、バックサポート部40は、食肉脱骨機構19の後部に配置されている。バックサポート部40は、ワークの吊り下げ状態でワークに含まれる上腕骨の肉部背面を支持する。具体的に、バックサポート部40は、ワークが肩甲骨脱骨ステーション4に導入された直後に、図4の矢印V5方向に揺動してワーク上部背面を支持する。
図7の前面視で、バックサポート部40は、左右方向に直線状に延在するサポートバー41と、サポートバー41の両端部から下方に延びた後に左右方向内側ほど上方に位置するように傾斜して延びる左右一対のサポートアーム42,43と、サポートバー41に連結され後上方に延びる左右一対のサポートパイプ44と、左右一対のサポートパイプ44を図4の矢印V5方向に揺動させるサポート駆動部45(図4参照)と、を備える。
図3に示すように、肩バラ開き部50は、食肉脱骨機構19の上部に配置されている。肩バラ開き部50は、バックサポート部40が上腕骨の肉部背面を支持している状態でワークに含まれる肩バラ肉を開く。
図8(a)に示すように、肩バラ開き部50は、肩バラ肉の開き方向(図8(b)の矢印V6方向)に揺動可能な第一揺動アーム51と、第一揺動アーム51の前方に設けられた第二揺動アーム52と、第一揺動アーム51および第二揺動アーム52を揺動可能に支持する揺動軸支部53と、第一揺動アーム51と第二揺動アーム52とを揺動させる揺動駆動部54(図3参照)と、を備える。
図8(a)の前面視で、第二揺動アーム52は、第一揺動アーム51よりも長い。図8(a)の前面視で、第二揺動アーム52は、第一アーム本体51aよりも長く揺動軸支部53から左方向に向けて直線状に延びる第二アーム本体52aと、第二アーム本体52aの左端部から後方に延びる第二後方延在部52bと、を備える。
一方、図8(b)の動作後の状態から第二揺動アーム52を図8(b)の矢印V6方向とは反対方向に揺動させる場合(原点復帰させる場合)には、第二揺動アーム52が原点に復帰する途中でストッパ55に引っ掛かる。これにより、第二揺動アーム52の矢印V6方向とは反対方向への揺動に従って、第一揺動アーム51を矢印V6方向とは反対方向に揺動させることができる。
図3に示すように、肉押さえ部60は、食肉脱骨機構19の上部に設けられている。肉押さえ部60は、バックサポート部40が上腕骨の肉部背面を支持している状態で、バックサポート部40とは反対側からワークを押さえる。
図2に示すように、制御装置9は、食肉脱骨装置1の各要素を統括制御する。制御装置9は、ワーク計測ステーション3で計測された全長測定データに基づいて、食肉脱骨機構19を制御する。制御装置9は、記憶部70、捩じり動作制御部71、捩じり速度制御部72、ワーク高さ制御部73および肉押さえ動作制御部74を備える。
捩じり動作制御部71は、予め取得した全長測定データに基づいて、肩甲骨を脱骨する脱骨処理位置を設定する。ここで、脱骨処理位置は、肩甲骨の引張動作によりワークから肩甲骨本体が引き剥がされ、ワークから肩甲軟骨が引き剥がされる手前の位置である。捩じり動作制御部71は、肩甲骨脱骨部20に対し、肩甲骨を脱骨処理位置まで引っ張った後に、肩甲骨の捩じり動作を行わせる。
捩じり速度制御部72は、予め取得した全長測定データに基づいて、肩甲骨脱骨部20が肩甲骨の捩じり動作を行うときの捩じり速度(図3に示すモータ軸線C1の回りの回転速度)を制御する。例えば、捩じり速度制御部72は、捩じり速度を三段階で制御する。具体的に、捩じり速度制御部72は、以下の三段階の速度制御を行う。
(1)捩じり速度制御部72は、肩甲骨の捩じり初期において、捩じり速度を第一速度S1とする。
(2)捩じり速度制御部72は、肩甲骨の捩じり終期において、捩じり速度を第一速度S1よりも遅い第二速度S2とする(S2<S1)。
(3)捩じり速度制御部72は、肩甲骨の捩じり初期と終期との中間時期において、捩じり速度を第一速度S1と第二速度S2との間の第三速度S3とする(S2<S3<S1)。
実施形態によれば、捩じり速度を上記速度S1~S3で制御することにより、肩甲骨の剥がし部において割れ等が生じにくい範囲では素早く捩じり、肩甲骨の剥がし部において割れ等が生じ易い範囲ではゆっくりと捩じることができる。したがって、肩甲骨の捩じり動作において捩じり速度を一定速度とした場合と比較して、ワークから肩甲骨をより安定してスムーズに剥がすことができる。
ワーク高さ制御部73は、予め取得した全長測定データに基づいて、ワーク移動部30にワークの移動動作を行わせる。ワーク高さ制御部73は、ワークが肩甲骨脱骨ステーション4に導入された後、所定のタイミングでワーク高さを制御する。
肉押さえ動作制御部74は、肩甲骨脱骨部20が肩甲骨の捩じり動作を行っている途中で、肉押さえ部60にワークの押さえ動作を行わせる。肉押さえ動作制御部74は、肩甲骨脱骨部20が肩甲骨の捩じり動作を始めた後、所定のタイミングで肉押さえ部60にワークの押さえ動作を行わせる。例えば、肉押さえ動作制御部74は、肩甲骨の捩じり初期と終期との中間時期において、肉押さえ部60にワークの押さえ動作を行わせる。
以下、食肉脱骨機構19の動作について図9~図13を参照しつつ説明する。食肉脱骨機構19の各動作は、制御装置9により制御される。
図9(a)は、食肉脱骨機構19による肩甲骨の脱骨処理前の初期状態(原点位置)を示す。図9(a)に示す初期状態において、制御装置9は、上腕骨くびれ懸架部31に、ワークに含まれる上腕骨(図中符号91)のくびれ部を懸架させる。これにより、ワークを上下方向に吊り下げた状態で保持する。初期状態において、制御装置9は、肩甲骨チャック部22をワークの前方に離反して配置し、バックサポート部40をワークの後方に離反して配置する。
例えば、制御装置9は、ワーク移動部30に、第二ワークを下方(図13(b)の矢印V4d方向)へ移動させる(第二ワークの原点復帰動作)。
例えば、制御装置9は、図3に示すチャック昇降部22cに、台形枠部81を上方(図13(b)の矢印V7u方向)へ移動させる(肩甲骨チャック部22の原点復帰動作)。
例えば、制御装置9は、バックサポート部40を後方(図13(b)の矢印V5b方向)へ揺動させる(バックサポート部40の原点復帰動作)。
ところで、豚うで部位には、肩甲骨よりも軟らかい肩甲軟骨が含まれている。肩甲骨を一方向に直線的に引き剥がす動作のみ行う場合、肩甲骨の剥がし部において肩甲軟骨の割れ等につながる過大な負荷がかかり、豚うで部位から肩甲骨とともに肩甲軟骨を安定して剥がすことができない可能性が高い。これに対し、この構成によれば、肩甲骨の剥がし部に過大な負荷がかかることを抑制することができるため、豚うで部位から肩甲骨とともに肩甲軟骨を安定して剥がすことができる。
この構成によれば、豚うで部位の個体ごとに脱骨処理位置を変更することができる。これにより、豚うで部位の個体差による脱骨処理位置の誤差を可及的に抑えることができるため、豚うで部位の個体差によらずに肩甲骨を安定して剥がすことができる。加えて、肩甲骨を脱骨処理位置まで引っ張った後に肩甲骨の捩じり動作が行われるため、肩甲骨の剥がし部(肩甲軟骨の部分)の手前で捩じり動作を行うことができ、肩甲骨とともに肩甲軟骨をより安定して剥がすことができる。
この構成によれば、豚うで部位の個体ごとに捩じり速度を変更することができる。これにより、豚うで部位の個体差による肩甲骨の捩じり速度の誤差を可及的に抑えることができるため、豚うで部位の個体差によらずに肩甲骨を安定して剥がすことができる。加えて、人手作業と同様に肩甲骨を捩じりながら優しく剥がすことができるため、肩甲骨とともに肩甲軟骨をより安定して剥がすことができる。
この構成によれば、豚うで部位を吊り下げた状態で、豚うで部位の上下位置を所望の位置に設定することができる。
この構成によれば、豚うで部位の個体ごとに豚うで部位の上下位置を変更することができる。これにより、豚うで部位の個体差による豚うで部位の上下位置の誤差を可及的に抑えることができるため、豚うで部位の個体差によらずに肩甲骨を安定して剥がすことができる。
この構成によれば、豚うで部位を吊り下げた状態で上腕骨の肉部背面が支持されるため、豚うで部位の吊り下げ姿勢を保持することができる。
この構成によれば、サポートバー41により上腕骨の肉部背面を支持しつつ、左右一対のサポートアーム42,43により上腕骨の肉部背面を左右方向内側に案内する(豚うで部位のセンタリングを行う)ことができるため、豚うで部位の吊り下げ姿勢をより安定して保持することができる。
この構成によれば、前倒しされた肩甲骨のくびれ部をチャック部で把持した状態で、肩甲骨の引張動作に加えて肩甲骨の捩じり動作を行うことができるため、豚うで部位から肩甲骨を安定して剥がすことができる。
この構成によれば、前倒しされた肩甲骨のくびれ部を台形枠部81内に収めることができるため、肩甲骨の位置決めを安定して行うことができる。
この構成によれば、前倒しされた肩甲骨のくびれ部を台形枠部81内に収めつつ、逆V字状をなす凹部82aにより肩甲骨のくびれ部を逆V字の斜面に沿って案内する(肩甲骨のくびれ部をセンタリングする)ことができるため、肩甲骨の位置決めをより安定して行うことができる。
この構成によれば、肩甲骨前倒し部21および肩甲骨チャック部22を一体的に移動させることができるため、肩甲骨前倒し部21および肩甲骨チャック部22を別個独立に移動させる場合と比較して、構成の簡素化および省エネルギー化を図ることができる。
ところで、ガイドレール24が水平面と平行に直線状に延びていたり、バックサポート部40の側ほど下方に位置するように傾斜していたりすると、肩甲骨前倒し部21により肩甲骨の下部を前方から押している途中で空振りし(肩甲骨前倒し部21が後方に抜け)、肩甲骨を十分に前倒しできない可能性がある。これに対し、この構成によれば、ガイドレール24がバックサポート部40の側ほど上方に位置するように傾斜していることで、肩甲骨前倒し部21により肩甲骨の下部を押し続けることできるため、肩甲骨を十分に前倒しすることができる。
この構成によれば、上腕骨の肉部背面が支持されている状態で肩バラ肉を開くことができるため、肩甲骨が肩バラ肉で隠れている場合において、肩甲骨を露出させることができる。
ところで、肩バラ肉の厚み及び大きさは個体差があるため、1本の揺動アームのみを備える場合、肩バラ肉を十分に開くことができず、肩甲骨を十分に露出させることができない可能性がある。これに対し、この構成によれば、第一揺動アーム51および第二揺動アーム52を備えることで、第一揺動アーム51および第二揺動アーム52の二段階で肩バラ肉を捕らえることができるため、肩バラ肉を十分に開くことができ、肩甲骨を十分に露出させることができる。
この構成によれば、第一揺動アーム51および第二揺動アーム52を同期して揺動させることができるため、第一揺動アーム51および第二揺動アーム52を別個独立に移動させる場合と比較して、構成の簡素化および省エネルギー化を図ることができる。
この構成によれば、バックサポート部40により上腕骨の肉部背面を支持しつつ、肉押さえ部60により前記肉部背面とは反対側から豚うで部位を押さえることができるため、豚うで部位の吊り下げ姿勢をより安定して保持することができる。
本発明者は、鋭意検討の結果、肩甲骨の捩じり動作の途中で豚うで部位の押さえ動作を行うことにより、豚うで部位を押さえた後に肩甲骨の捩じり動作を行う場合と比較して、豚うで部位から肩甲骨を安定して剥がすことができる成功率が高まることを見出した。この構成によれば、肩甲骨の捩じり動作の途中で豚うで部位の押さえ動作を行うことで、豚うで部位から肩甲骨を安定して剥がすことができる成功率を更に高めることができる。
この構成によれば、豚うで部位の個体ごとに食肉脱骨機構19の制御を変更することができる。これにより、豚うで部位の個体差による食肉脱骨機構19の誤動作を可及的に抑えることができるため、豚うで部位の個体差によらずに肩甲骨を安定して剥がすことができる。
Claims (20)
- 食肉屠体の背割り半截ブロックの肩ロース部およびスペアリブを除去した食肉ブロックを、吊り下げ状態で脱骨処理する食肉脱骨機構であって、
前記食肉ブロックに含まれる肩甲骨を引っ張る引張動作と、前記食肉ブロックに対して前記肩甲骨を捩じる捩じり動作と、を行うことが可能な肩甲骨脱骨部を備え、
前記肩甲骨脱骨部における前記肩甲骨の捩じり角度は、90°以上150°以下の角度であることを特徴とする食肉脱骨機構。 - 前記肩甲骨脱骨部における前記肩甲骨の捩じり角度は、110°以上130°以下の角度であることを特徴とする請求項1に記載の食肉脱骨機構。
- 予め取得した前記食肉ブロックの寸法データに基づいて、前記肩甲骨を脱骨する脱骨処理位置を設定し、
前記肩甲骨脱骨部に対し、前記肩甲骨を前記脱骨処理位置まで引っ張った後に、前記肩甲骨の捩じり動作を行わせる捩じり動作制御部を更に備えることを特徴とする
請求項1または2に記載の食肉脱骨機構。 - 予め取得した前記食肉ブロックの寸法データに基づいて、前記肩甲骨脱骨部が前記肩甲骨の捩じり動作を行うときの捩じり速度を制御する捩じり速度制御部を更に備えることを特徴とする
請求項1から3のいずれか一項に記載の食肉脱骨機構。 - 前記食肉ブロックを吊り下げた状態で、前記食肉ブロックを上下方向に移動可能なワーク移動部を更に備えることを特徴とする
請求項1から4のいずれか一項に記載の食肉脱骨機構。 - 予め取得した前記食肉ブロックの寸法データに基づいて、前記ワーク移動部に前記食肉ブロックの移動動作を行わせるワーク高さ制御部を更に備えることを特徴とする
請求項5に記載の食肉脱骨機構。 - 前記食肉ブロックの吊り下げ状態で、前記食肉ブロックに含まれる上腕骨の肉部背面を支持可能なバックサポート部を更に備えることを特徴とする
請求項1から6のいずれか一項に記載の食肉脱骨機構。 - 前記バックサポート部は、
前記肩甲骨の引張方向から見て、左右方向に延在するサポートバーと、
前記肩甲骨の引張方向から見て、前記サポートバーの両端部から下方に延びた後、左右方向内側ほど上方に位置するように傾斜して延びる左右一対のサポートアームと、を備えることを特徴とする
請求項7に記載の食肉脱骨機構。 - 前記肩甲骨脱骨部は、
前記バックサポート部が前記上腕骨の肉部背面を支持している状態で、前記肩甲骨の下部を前方から押して前記肩甲骨の上部の関節部を前記上腕骨から分離させ、前記肩甲骨を前倒し可能な肩甲骨前倒し部と、
前記肩甲骨前倒し部によって前倒しされた前記肩甲骨のくびれ部を把持可能な肩甲骨チャック部と、を備えることを特徴とする
請求項7または8に記載の食肉脱骨機構。 - 前記肩甲骨チャック部は、前記肩甲骨の引張方向から見て、台形枠状をなす台形枠部を備えることを特徴とする
請求項9に記載の食肉脱骨機構。 - 前記肩甲骨チャック部は、前記台形枠部の上辺部に設けられ、かつ前記肩甲骨の引張方向から見て、逆V字状をなす凹部を有する肩甲骨位置決め部を更に備えることを特徴とする
請求項10に記載の食肉脱骨機構。 - 前記肩甲骨脱骨部は、
前記肩甲骨前倒し部および前記肩甲骨チャック部を支持する架台と、
前記架台を前記肩甲骨の引張方向に沿って案内可能なガイドレールと、を更に備えることを特徴とする
請求項9から11のいずれか一項に記載の食肉脱骨機構。 - 前記ガイドレールは、前記バックサポート部の側ほど上方に位置するように傾斜していることを特徴とする
請求項12に記載の食肉脱骨機構。 - 前記バックサポート部が前記上腕骨の肉部背面を支持している状態で、前記食肉ブロックに含まれる肩バラ肉を開くことが可能な肩バラ開き部を更に備えることを特徴とする
請求項7から13のいずれか一項に記載の食肉脱骨機構。 - 前記肩バラ開き部は、
前記肩バラ肉の開き方向に揺動可能な第一揺動アームと、
前記肩バラ肉の開き方向に揺動可能に設けられ、前記肩甲骨の引張方向から見て、前記第一揺動アームよりも長い第二揺動アームと、を備えることを特徴とする
請求項14に記載の食肉脱骨機構。 - 前記第一揺動アームおよび前記第二揺動アームの少なくとも一方には、
前記第一揺動アームおよび前記第二揺動アームを同期して揺動させることが可能なストッパが設けられていることを特徴とする
請求項15に記載の食肉脱骨機構。 - 前記バックサポート部が前記上腕骨の肉部背面を支持している状態で、前記バックサポート部とは反対側から前記食肉ブロックを押さえることが可能な肉押さえ部を更に備えることを特徴とする
請求項7から16のいずれか一項に記載の食肉脱骨機構。 - 前記肩甲骨脱骨部が前記肩甲骨の捩じり動作を行っている途中で、前記肉押さえ部に前記食肉ブロックの押さえ動作を行わせる肉押さえ動作制御部を更に備えることを特徴とする
請求項17に記載の食肉脱骨機構。 - 前記食肉ブロックが投入される投入ステーションと、
前記食肉ブロックから肩甲骨の脱骨処理を行う肩甲骨脱骨ステーションと、
前記食肉ブロックから上腕骨の脱骨処理を行う上腕骨脱骨ステーションと、を備える食肉脱骨装置であって、
前記肩甲骨脱骨ステーションは、請求項1から18のいずれか一項に記載の食肉脱骨機構を備えることを特徴とする食肉脱骨装置。 - 前記食肉ブロックの寸法を計測するワーク計側ステーションと、
前記ワーク計側ステーションで計測された前記食肉ブロックの寸法に基づいて、前記食肉脱骨機構を制御する制御装置と、を更に備えることを特徴とする
請求項19に記載の食肉脱骨装置。
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