JP7063308B2 - 切断機および熱電発電方法 - Google Patents

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Description

本発明は、移動する高温の被切断物を、該被切断物の移動と同調して移動しながら切断する切断機に関し、特に、被切断物の熱から切断機を効果的に保護するとともに、前記熱を有効に活用することができる切断機に関する。また、本発明は、前記切断機を用いて熱電発電を行う方法に関する。
移動する長尺材などの被切断物を切断機によって切断する方法としては、該被切断物の移動を一旦停止して切断する方法が考えられる。しかし、生産ラインなどにおいては、移動を停止させることによって生産効率が低下する場合や、そもそも移動を停止することができない場合がある。そのため、切断機を、被切断物と同調して、すなわち同じ方向へ同じ速度で、移動させながら切断することが行われている。
例えば、連続鋳造の分野においては、特許文献1、2に記載されているように、スラブと同調移動する切断機を用いて該スラブを切断することが行われている。このような切断機を用いたスラブの切断は、一般的に、次のように行われる。
まず、鋳型から引き抜かれたスラブは、冷却された後、搬送ローラーによって切断位置まで搬送される。スラブの切断には、ガストーチを用いたガス切断が広く用いられているが、厚みのあるスラブを幅方向全体にわたって切断するには一定の時間がかかる。しかし、スラブは、切断を行っている間も連続的に搬送ローラー上を移動し続けているため、真っ直ぐに、すなわちスラブの長手方向に垂直に切断するためには、切断機をスラブとともに同調移動させながら切断を行う必要がある。
切断機をスラブと同調移動させるために、切断機は、移動可能な台車を備えており、スラブの搬送方向に沿って設けられたレール上を走行可能に構成されている。また、切断機は、スラブをクランプするためのクランプ装置を備えている。
切断を開始する際には、前記クランプ装置を作動させて、スラブに対する切断機の相対位置を固定する。そして、切断機をスラブと同調移動させながら切断を行い、切断が完了した時点で前記クランプ装置による固定を解除して、切断機の同調移動を終了させる。
なお、切断機は上記同調移動によって連続鋳造ラインの下流側へ移動しているので、モーターなどを用いてレール上を走行させて、上流側の切断開始時の位置へ切断機を復帰させる。
以上の動作を繰り返すことによって、連続鋳造におけるスラブの切断が行われている。
しかし、連続鋳造におけるスラブは、切断時においても160℃前後と非常に高温であるため、特許文献2の段落[0009]~[0012]に記載されているように、切断機を、スラブからの輻射熱から保護する必要がある。そのため、従来は、切断機の台車の下面、すなわち、スラブ側の面に水冷用の配管を設置するといった対策を行う必要があった。
しかし、スラブが極めて高温であるため、上記のような方法によって十分に切断機を保護することは困難であった。また、冷却効率を向上させようとすると、大がかりな水冷装置が必要となるため、上記のように移動させる必要がある切断機においては限界があった。加えて、冷却に用いられた冷却水は一般的にそのまま排水されるため、熱が有効に利用されることもなかった。
上記事情に鑑みて、出願人は、特許文献3において、移動する高温の被切断物を、該被切断物の移動と同調して移動しながら切断する切断機の下面と接するように水冷板を設置するとともに、この水冷板の下面と接するように熱電発電装置を設置することを提案している。
特開昭60-108164号公報 特開平05-138316号公報 特許第6330980号公報(WO2018/66389号公報)
上記の特許文献3に記載の切断機によって、被切断物の熱からの保護並びに、この熱の有効活用を実現することが可能になった。この特許文献3には切断機の具体例として、連続鋳造におけるスラブの切断機を示している。この切断機は、スラブの搬送方向と平行に敷設されたレール上に、同搬送方向に移動可能に載置されているのが通例であり、切断機の下面とレールとの間隔は狭くなっている。従って、既存の切断機の下面に水冷板および熱電発電装置を取付けるには、前記の狭い間隔が障害になり、既存の切断機の下面に水冷板および熱電発電装置の後付けを難しくしていた。また、装着する熱電発電装置のサイズも、切断機の下面の大きさに制約を受けるため、熱電発電量の増加要望に十分に答えることができなかった。
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、既存の切断機への水冷板および熱電発電装置の後付けを可能とし、熱電発電量の増加要望にも答えることができる、新規な構造の切断機について提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.移動する高温の被切断物を、該被切断物の移動と同調して移動しながら切断する切断機であって、
前記被切断物を切断する切断装置と、
前記切断機を前記被切断物と同調移動させる移動装置と、
前記切断機を冷却する第1水冷板と、
前記被切断物の熱を電気エネルギーに変換する熱電素子を備えた熱電発電装置と、
前記熱電素子の低温側を冷却する第2水冷板と、を有し、
前記熱電発電装置および前記第2水冷板が前記移動装置から前記移動装置の移動方向に延在する、切断機。
2.前記第1の水冷板および前記第2の水冷板は、内部に冷却水が流れる流路を独立または共通して有する、前記1に記載の切断機。
3.前記1または2に記載の切断機を用いた熱電発電方法。
本発明によれば、移動する高温の被切断物を、該被切断物の移動と同調して移動しながら切断する切断機において、前記被切断物の熱から切断機を効果的に保護するとともに、前記熱を有効に活用することができる切断機を提供することができる。さらに、本発明によれば、既存の切断機への水冷板および熱電発電装置の後付けが可能であり、熱電発電量の増加要望にも答えることができる、新規な切断機の構造を提供することができる。
本発明の一実施形態における切断機を用いた連続鋳造設備の模式図である。 本発明の一実施形態における切断機とスラブを示した模式図である。 本発明の一実施形態における水冷板の模式図である。 本発明の一実施形態における別の水冷板の模式図である。 本発明の一実施形態における熱電発電ユニットの設置形態を示す模式図である。 本発明の他の実施形態における熱電発電ユニットの設置形態を示す模式図である。 本発明の第5の実施形態における熱電発電ユニットの配置の一例を示す模式図である。 本発明の第6の実施形態における熱電素子の配置の一例を示す模式図である。
次に、連続鋳造におけるスラブの切断を例として、本発明の切断機について具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な一実施態様を示すものであり、本発明は、以下の説明によって何ら限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態における切断機を備える連続鋳造設備1の模式図である。取鍋2に収容されている溶鋼は、タンディッシュ3を経由して、鋳型4へ注がれる。次いで、凝固が始まった状態の鋼が、鋳型4より引き出され、スラブ冷却装置5によって連続的に冷却される。矯正ロールなどを含むローラー群6を通過したスラブ7は、搬送ローラー8により、下流の切断位置9へ搬送される。切断位置9には、スラブ7の上方に切断機10が設置されており、切断機10を用いてスラブ7が切断される。
[切断機]
(移動装置)
図2は、本発明の一実施形態における切断機とスラブを示した模式図である。スラブ7の幅方向の両端部側に、スラブ7の搬送方向と平行にレール20が敷設されており、切断機10はレール20の上に設置されている。
切断機10は、レール20上を走行するための移動装置を備えており、前記移動装置は、具体的には、レール20上を走行するための車輪11を備えた台車12と、図示されていない駆動装置(モーターなど)を有している。また、台車12の下面には、図示されないクランプ装置が設置されている。スラブ7の切断を行う際には、前記クランプ装置を作動させて、スラブ7に対する切断機10の相対位置を固定する。そして、切断機10をスラブ7と同調移動させながら切断を行い、切断が完了した時点で前記クランプ装置による固定を解除して、切断機7の同調移動を終了させる。
(切断装置)
台車12上には、切断装置13が載置されており、切断装置13はスラブ7を切断するためのトーチ14を少なくとも1つ備えている。前記トーチ14としては、ガストーチなどを用いることができる。切断装置13は、トーチ14を、スラブ7の幅方向に移動させるためのトーチ駆動手段を備えている。切断装置13は、2本以上のトーチ14を備えることもできる。
(第1水冷板)
台車12の下面、すなわち、スラブ7に面した側には、台車12の下面と接するように第1水冷板15が設置されている。このように第1水冷板15を設置することにより、熱源であるスラブ7からの輻射熱などによって加熱された切断機10を冷却することができる。なお、ここで「水冷板」とは、その内部に冷媒としての水(冷却水)を流すことにより、該水冷板に接するものを冷却するように構成されている板状体を指すものとする。
(熱電発電装置)
また、台車12の端部には、レール20上を台車12が走行する際の台車12の移動方向、すなわちレール20に沿う方向に延びる、熱電発電装置16を設置することにより、スラブ7の熱を電気エネルギーに変換することができる。ここで、熱電発電装置16は、スラブ7の熱を電気エネルギーに変換する熱電素子(熱電変換素子ともいう)を備えたものであれば、任意のものを用いることができる。特に、本実施形態においては、熱電素子の集合させた平板状の熱電発電装置16とし、この平板状の熱電発電装置16を、レール20に沿って台車12の移動方向に延びる向きにて、台車12に取り付けることが好ましい。かような形態によって、熱電発電装置16を、例えば連続鋳造ラインにおいて既存の切断装置13(台車12)に容易に後付けすることが可能になる。さらに、切断装置13(台車12)の底面内に収める、という制約を受けることなしに、熱電発電装置16のサイズを、例えば発電要求量や設置可能スぺース等に応じて自由に変更することが可能になる。
なお、熱電発電装置16の詳細については、後述する。
なお、図2に示した実施形態では、熱電発電装置16を台車12のトーチ14とは逆側の端部に設置しているが、該トーチ14と台車12との間隔を十分に空ければ、熱電発電装置16を台車12のトーチ14側の端部に設置することも可能である。さらには、熱電発電装置16を台車12の両側の端部にそれぞれ設置することも可能である。
また、熱電発電装置16を台車12の端部に固定する手段は特に限定されない。例えば、台車12にヒンジを介して熱電発電装置16を取付けたり、台車12に補助台車を連結してこの補助台車上に熱電発電装置16載置するなど、適宜の手段を採用できる。
(第2水冷板)
さらに、熱電発電装置16の上面、すなわち、熱電発電装置16の低温側には、第2水冷板17が設置されている。このように第2水冷板17を設置することにより、後述するように、水冷板15は熱電発電装置16が有する熱電素子の低温側の冷却を行っている。なお、ここでの「水冷板」は、上記した第1の水冷板と同じ構成の板状体を指している。
すなわち、第1水冷板15および第2水冷板17としては、切断機10または熱電素子の低温側を冷却できるものであれば、任意のものを用いることができる。熱伝導性の観点からは、前記第1水冷板15および第2水冷板17は、金属製とすることが好ましく、前記金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、およびアルミニウム合金から選択される少なくとも1つを用いることが好ましい。
また、冷却効率を高めるという観点からは、前記水冷板が1対の対向する主面を有しており、前記1対の主面の両方が平坦であるとともに、該水冷板の内部に冷却水が流れる流路を有している水冷板を用いることが好ましい。
本実施形態では、図2に示したように、台車12の下面に設けた第1水冷板15から台車12の移動方向に延長する形で第2水冷板17を設けているため、内部に冷却水が流れる流路を有する水冷板構造を適用することができる。ここに、図3および図4は、この構造を有する水冷板の例を示す模式図である。
図3に示す水冷板構造は、第1水冷板15および第2水冷板17が連結した、1枚の板状部材からなり、その両側の主面15a、15bの表面が平坦となっている。そして、第1水冷板15および第2水冷板17の内部には、冷却水が流れる流路15cが第1水冷板15および第2水冷板17の両領域に跨って連続して形成されている。かような流路15cに導入する冷却水は、前記切断機10を冷却する第1水冷板15と前記熱電発電装置16の熱電素子の低温側を冷却する第2水冷板17を順に流れる結果、切断機および熱電素子の低温側を効率的に冷却できる。
ここで、冷却水は、図3に示すように第1水冷板15から第2水冷板17へと流すことによって、切断機10を冷却した後、熱電発電装置16を冷却するのに寄与する。この冷却水の流入順序は、図3の例に限らず、図3の場合と逆向きに、すなわち、第2水冷板17から第1水冷板15へと流すことによって、熱電発電装置16を冷却した後切断機10を冷却してもよい。冷却水は下流側になるほど温度が上昇するため、熱電発電を効率的に行うためには、熱電発電装置16を冷却した後に切断機10を冷却する流入順序とすることが好ましい。
また、図4に示す水冷板構造は、第1水冷板15および第2水冷板17が連結した、1枚の板状部材からなり、その両側の主面15a、15bの表面が平坦となっているのは、図3の場合と同様である。図4の水冷板構造では、第1水冷板15および第2水冷板17の内部に、冷却水が流れる流路15cおよび17cが第1水冷板15および第2水冷板17の各領域に並列に形成されている。かような流路15cおよび17cに例えば本供給管15dからそれぞれ冷却水を導入する。かように導入された冷却水は、前記切断機10を冷却する第1水冷板15と、前記熱電発電装置16の熱電素子の低温側を冷却する第2水冷板17とを並列に流れる結果、切断機および熱電素子の低温側を同時に効率的に冷却できる。なお、各水冷板を流れた冷却水は、例えば本排管15eへ一括導出する。なお、流路15cおよび17cに供給管からそれぞれ冷却水を導入し、各水冷板を流れた冷却水は、それぞれ排管へ導出してもよい。第2の水冷板は、第1の水冷板と同じ構成の板状体でなくてもよいし、水冷板構造は、第1水冷板15および第2水冷板17が連結した、1枚の板状部材からなっていなくてもよい。
前記水冷板は、例えば、金属板を加工して、該金属板の内部に流路を形成することによって作製することができる。また、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる金属板の内部に、銅や銅合金などからなる、流路15c(および17c)を形成するためのパイプを埋め込んで作製してもよい。流路15c(および17c)には、図3および図4に矢印で示したように冷却水が導入される。
従来のように、単に切断機を冷却することを目的として水冷を行う場合には、例えば、冷却水を通すパイプと、隣接する2本のパイプを連結するように設けられた板状のフィンとを、交互に並べた水冷パネルを用いることが考えられる。しかし、このような形状の水冷パネルはパイプ部分とフィン部分とで厚みが異なるため、該水冷パネルを水冷板として用いると、水冷パネルと熱電素子とは、厚みが大きいパイプ部分でのみ接触し、他の部分では接触しない。その結果、接触面積が小さくなってしまう。これに対して、上記のように両側の主面が平坦である水冷板を用いれば、熱電素子の低温側全体を水冷板と直接接触させることができるため、冷却効率が高く、その結果、熱電発電をさらに効率的に行うことが可能となる。
次に、上記した熱電発電装置について、詳細に説明する。
・熱電素子
上記熱電素子(以下、単に「素子」という場合がある)としては、特に限定されることなく、熱電発電の機能を持った素子であれば任意の物を使用できる。一般的な熱電素子は、一組のp型半導体とn型半導体を組み合わせた構造を有している。前記熱電素子としては、例えば、BiTe系、PbTe系、Si-Ge系、シリサイド系、スクッテルダイト系、遷移金属酸化物系、亜鉛アンチモン系、ホウ素化合物、クラスレート化合物、クラスタ固体、酸化亜鉛系、カーボンナノチューブ等の材料を用いることができる。
熱電素子は、その両端に温度差を形成することにより、熱を電気に変換することができる。本発明においては、熱電素子の一方の側(高温側)を熱源としての被切断物(本実施形態においてはスラブ)に向け、熱電素子の他方の側(低温側)を、上記水冷板によって冷却することによって温度差を形成する。
熱電発電装置16に熱電素子を実装する方法は特に限定されないが、以下に述べるように、複数の熱電素子で熱電発電モジュールを構成し、複数の熱電発電モジュールで熱電発電ユニットを構成し、複数の熱電発電ユニットで熱電発電装置を構成した構造とすることが好ましい。以下、その例について説明する。
・熱電発電モジュール
上記熱電素子1つ当たりの起電力はそれほど大きくないため、一般的に、数十~数千個程度の熱電素子が、電極を用いて直列に接続して用いられる。この、直列に接続された熱電素子1セットを、熱電発電モジュールという。熱電発電モジュール(以下、単に「モジュール」という場合がある)を構成する熱電素子は、二次元的に(水平方向に)配列されている。配列された素子の上下の一方または両方には絶縁基板を設けることもできる。
・熱電発電ユニット
さらに、複数の熱電発電モジュールを電気的に接続して熱電発電ユニット(以下、単に「ユニット」という場合がある)を構成することができる。前記電気的接続は、直列、並列、およびそれらの組み合わせのいずれとすることもできる。このように複数のモジュールをまとめてユニットとすることにより、ユニット単位でまとめて電力を取り出すことができ、配線が容易となる。
また、熱電発電ユニット1個の大きさは、1m2以下とすることが好ましい。ユニットの面積を1m2以下とすることで個々の熱電発電ユニットの熱による変形量を小さくすることができるからである。ユニットの面積は、2.5×10-12以下とすることがより好ましい。
上記熱電発電ユニット内の熱電素子は、すべての熱電素子の低温側が該ユニットの同じ面を向くように配置される。ここで、前記面を、熱電発電ユニットの低温側とする。熱電発電ユニットの低温側は、上述した水冷板と接触しており、該水冷板によって熱電素子の低温側が冷却される。本実施形態のように、熱電発電装置が複数の熱電発電ユニットを備える場合、水冷板は、ユニットごとに設けることが好ましい。その場合、個々の水冷板に独立して冷却水を供給できるように冷却水供給配管を設けてもよく、各水冷板を直列または並列に接続して冷却水を供給できるように冷却水供給配管を設けてもよい。また、1つの水冷板で複数のユニットの低温側を覆うように水冷ユニットを配置することもできる。
上記熱電発電装置が複数の熱電発電ユニットを有する場合、各熱電発電ユニット内における熱電素子の密度は、同じであってもよいが、異なっていてもよい。後述するように、被切断物の温度等に応じて、熱電発電ユニット内の熱電素子の密度を意図的に変えることもできる。
(熱電素子を設置する領域)
図5は、本発明の一実施形態における熱電素子の設置形態を示す模式図である。また、図6は、本発明の他の実施形態における熱電素子の設置形態を示す模式図である。図5および6は、搬送されているスラブ7と、熱電発電装置16および切断機10の台車12とを、スラブ7の下面側(図1における下側)から見た状態を示している。
図5および6において、16aは、熱電素子が設置されている領域を表す。図5に示した例では、熱電素子は、第2水冷板17の下面全体に設けられている。したがって、熱電素子が設置されている領域16aの幅wtは第2水冷板17の幅wdに等しい。また、第2水冷板17の幅wdおよび熱電素子が設置されている領域16aの幅wtはスラブ7の幅wsよりも大きい。熱電素子が設置されている領域16aの幅wtをスラブ7の幅wsよりも大きくすることにより、スラブ7からの熱を無駄にすることなく熱電発電装置16で受けることができる。なお、ここで「幅」とは、スラブ7の搬送方向(図5における矢印の方法)に対して垂直、かつスラブ7の表面に平行な方向(図5における上下方向)における幅を指すものとする。また、「熱電素子が設置されている領域」とは、熱電発電モジュールを用いて熱電素子を設置している場合には熱電発電モジュールが設置されている領域を指し、熱電発電ユニットを用いて熱電素子を設置している場合には熱電発電ユニットが設置されている領域を指すものとする。
一方、図6に示した例では、熱電素子が設置されている領域16aの幅wtは、第2水冷板17の幅wdよりも小さくなっている。第2水冷板17の幅は、スラブ7の幅wsよりもかなり大きく設定するため、図6に示したように第2水冷板17の幅全体にわたって熱電素子を設置しても、スラブ7の幅より外側に設置された熱電素子が受ける熱量は、スラブ7の直上に設置された素子に比べて低くなる。また、スラブの幅方向端部位置に相当する部位からの熱は中央に比べて小さい。その結果、熱電素子を全体に設置するために必要なコストに見合った発電効率が得られない場合がある。そのような場合は、熱電素子が設置されている領域の幅wtを、スラブ7の幅ws以下で第2水冷板17の幅wdよりも小さくすることが好ましい。したがって、ws≧wtかつwt≦wdとすることが好ましい。
具体的には、熱電素子が設置されている領域16aの幅wtを、第2水冷板17の幅wdの80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましく、100%とすることがさらに好ましい。このようにすることにより、熱電素子が一部にしか設置されていない場合であっても、下面全体を冷却することができる。
なお、スラブ7の幅wsは一定では無く、同じ連続鋳造ラインであっても製造するものによって異なるが、一般的には0.65~2.3m程度である。そのため、熱電素子が設置されている領域16aの幅wtを0.65~2.3mとすることが好ましい。
なお、発電量の観点からは、図5、6に示すように、第2水冷板17のスラブ搬送方向長さの全長にわたり、熱電素子を設けることが好ましい。
(受熱板)
熱電発電装置16は、さらに、受熱板を備えていることが好ましい。前記受熱板は、熱電素子の高温側、すなわち、スラブに面している側に設置される。したがって、受熱板を設ける場合、熱電素子は、該素子の低温側に設置された水冷板と、該素子の高温側に設置された受熱板とにより挟まれることとなる。なお、複数の熱電発電ユニットを用いている場合には、すべての熱電発電ユニットの高温側に受熱板を設けることが好ましい。熱電発電装置が複数の熱電発電ユニットを備える場合、受熱板は、ユニットごとに独立して設けてもよく、1枚の受熱板で複数のユニットを覆ってもよい。
前記受熱板の材質は、耐熱性および熱伝導性の観点から、金属、セラミック、カーボンから選択される少なくとも1つとすることが好ましい。前記金属としては、例えば、鉄、鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。このような受熱板を設け、熱源からの熱を受熱板によって受け、その熱を受熱板から熱電素子へ伝えることにより、熱電発電の効率を向上させることができる。
なお、受熱板を設ける場合、受熱板の面積に対する、該受熱板の下に設けられている熱電素子群の面積の比率を0.2以上とすることが好ましく、0.3以上とすることがより好ましい。前記比率が0.2未満であると、熱源からのふく射熱等による入熱に対し、熱電素子による抜熱が小さくなるため、温度が上昇して熱電発電装置の耐熱温度を超え、熱電発電装置が破損するおそれがあるためである。
例えば、熱電発電ユニットと、該熱電発電ユニットの高温側に設けられた受熱板とを用いて熱電発電装置を構成する場合は、前記受熱板の面積に対する、前記熱電発電ユニット内に設けられた熱電素子群の面積の比率を、上記の範囲とすることが好ましい。
(熱伝導シート)
本発明の熱電発電装置は、さらに熱伝導シートを備えることができる。熱伝導シートの好適な設置位置としては、例えば、熱電素子と第2水冷板との間、熱電素子と受熱板との間が挙げられる。熱電素子を、熱電発電ユニットの形態で設置している場合には、該ユニットと水冷板との間や、ユニットと受熱板との間に設置することが好ましい。このように熱伝導シートを設ける設置することにより、部材間の接触熱抵抗を低減し、熱電発電効率をさらに向上させることができる。前記熱伝導シートとしては、例えば、グラファイト製シートなどを用いることができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態における切断機は、移動する高温の被切断物を、該被切断物の移動と同調して移動しながら切断する切断機であって、次の(1)~(7)を備えている;
(1)前記被切断物を切断する切断装置、
(2)前記切断機を前記被切断物と同調移動させる移動装置、
(3)前記切断機を冷却する第1水冷板、
(4)前記被切断物の熱を電気エネルギーに変換する熱電素子を備えた熱電発電装置、
(5)前記熱電素子の低温側を冷却する第2水冷板、
(6)前記熱電発電装置によって発電された電力を蓄積する蓄電池、
(7)前記熱電発電装置および前記蓄電池の少なくとも一方から供給される電力で駆動され、前記切断機を移動させるモーター。
先に述べたように、切断機が被切断物と同調移動して下流側へ移動すると、切断終了後、切断機を上流側の位置へ戻す原点復帰動作を行う必要がある。従来の切断機においては、外部から電力を供給してモーターを駆動し、それによって前記原点復帰動作を行っていた。そのため、従来の切断機では、電力供給用の配線を切断機に接続する必要があり、装置構造が複雑となっていた。
これに対し特許文献2では、切断機がスラブと同調移動する際の運動エネルギーを電気的または機械的に蓄積しておき、蓄積されたエネルギーを用いて切断機の原点復帰を行うことが提案されている。そして、その具体的な方法としては、同調移動を利用して発電機を回し、電力を得ることや、ゼンマイばねを巻き上げることなどが記載されている。
しかし、切断機の同調移動は、スラブをクランプすることによって実現されているため、同調移動を利用して発電などの仕事を行わせた場合、スラブの搬送に余分なエネルギーが必要となり、連続鋳造設備に負荷がかかる。
さらに、先にも述べたように、連続鋳造におけるスラブは、切断時においても160℃前後と非常に高温であるため、特許文献2の段落[0009]~[0012]に記載されているように、切断機を、スラブからの輻射熱から保護する必要がある。そのため、従来は、切断機を水冷するといった対策を行う必要があった。
しかし、冷却に用いられた冷却水は一般的にそのまま排水されるため、熱が有効に利用されることもなかった。
これに対して、本実施形態の切断機は、上記(4)の熱電発電装置を備えていることにより、被切断物の熱を利用して発電を行うことができる。また、熱の少なくとも一部を電力に変換することにより、切断機の温度上昇を抑制することができる。
また、上記(7)のモーターを備えることにより、上記熱電発電装置によって発電された電力を用いて、切断機自身を移動させることができる。そのため、本発明の切断機には、外部からの電力供給と、そのための配線などの設備が不要である。そのため、設備が簡略化できるとともに、切断機の移動が配線によって制約されることもない。
さらに、上記(6)の蓄電池(充電池)を備えることにより、熱電発電によって得られた電力を蓄積しておき、任意のタイミングで利用することが可能となる。したがって、熱源としての被切断物が熱電発電装置の近辺になく、熱電発電が行えないときにも、充電器に蓄積された電力を利用して切断機を移動させることができる。
このように、本実施形態の切断機によれば、外部からの電力供給なしで移動可能であるとともに、従来活用されていなかった被切断物の熱を有効に利用することができる。
次に、本実施形態における切断機とその使用方法について、連続鋳造におけるスラブの切断を例として具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な一実施態様を示すものであり、本発明は、以下の説明によって何ら限定されるものではない。また、特に断りの無い事項については、第1の実施形態と同様とすることができる。
本実施形態における切断機は、例えば、第1の実施形態と同様に、図1に示したような連続鋳造設備1において用いることができる。
[切断機]
(移動装置)
本実施形態における切断機は、例えば、第1の実施形態と同様に、図2に示したような構造とすることができる。切断機10は、スラブ7の搬送方向と平行に、スラブ7の幅方向の両端部側に敷設されたレール20上に設置されている。
切断機10は、レール20上を走行するための移動装置を備えており、前記移動装置は、具体的には、レール20上を走行するための車輪11を備えた台車12と、図示されていないモーターを有している。また、台車12の下面には、図示されないクランプ装置が設置されている。スラブ7の切断を行う際には、前記クランプ装置を作動させて、スラブ7に対する切断機10の相対位置を固定する。そして、切断機10をスラブ7と同調移動させながら切断を行い、切断が完了した時点で前記クランプ装置による固定を解除して、切断機7の同調移動を終了させる。
(切断装置)
台車12上には、切断装置13が載置されており、切断装置13はスラブ7を切断するためのトーチ14を少なくとも1つ備えている。前記トーチ14としては、ガストーチなどを用いることができる。切断装置13は、トーチ14を、スラブ7の幅方向に移動させるためのトーチ駆動手段を備えている。切断装置13は、2本以上のトーチ14を備えることもできる。
(水冷板)
本実施形態における切断機も、切断機を冷却するための第1水冷板および熱電発電装置の低温側を冷却するための第2水冷板を備えている。これら水冷板としては、第1の実施形態に記載したものと同じものを用いることができる。
(熱電発電装置)
熱電発電装置としては、第1の実施形態に記載したものと同じものを用いることができる。
[蓄電池]
上記切断機10は、さらに熱電発電装置16によって発電された電力を蓄積することができる蓄電池18を備えている。蓄電池18の設置位置は特に限定されないが、例えば、図2に示すように台車12上に設置することができる。
蓄電池18としては、発電された電力を蓄積することができるものであれば任意のものを用いることができる。蓄電池18の例としては、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池などが挙げられる。
[モーター]
上記切断機10は、さらに図示されないモーターを備えている。前記モーターは、熱電発電装置16および蓄電池18の少なくとも一方から供給される電力で駆動され、切断機10を移動させるように構成されている。したがって、前記モーターは、熱電発電装置16および蓄電池18と、電気的に接続されている。前記モーターとしては、直流モーターを用いることが好ましい。直流モーターは、熱電発電装置16や蓄電池18から供給される直流電流を、交流へ変換することなく利用できるからである。
一実施形態において、前記モーターは、車輪11を駆動させるように構成されているものであってよい。この場合、車輪11は、スラブ7の切断を行う際には回転自在とされ、クランプ装置を利用して切断機10がスラブ7と同調移動する。一方、前記モーターによって切断機10を移動させる際には、クランプ装置によるクランプを解除した状態で、モーターによって車輪11を駆動して、切断機10を移動させる。
[他の負荷]
なお、熱電発電装置16および蓄電池18から供給される電力を、他の目的に用いることもできる。例えば、切断装置13のトーチ14を駆動するためのトーチ駆動手段を駆動するために、前記電力を用いることが好ましい。また、切断装置10が備える他の任意の機器を前記電力で駆動することができ、モーターおよびトーチ駆動手段を含む、切断装置10が備える電気を必要とするすべての機器を、前記電力で駆動することがより好ましい。例えば、後述する制御手段自身も、前記電力で駆動することができる。
[電力制御装置]
なお、切断機10は、熱電発電装置16、蓄電池18、およびモーターの少なくとも一つを制御するための、電力制御装置を備えることもできる。前記電力制御装置が備えることのできる機器や装置の例を以下に挙げる。
(コンバータ)
前記電力制御装置は、コンバータを備えることができる。コンバータを用いることにより、熱電発電装置16または蓄電池18から出力される電流の電圧を変えることができる。例えば、昇圧コンバータを用いて、熱電発電装置16または蓄電池18からの出力を、モーターなどの駆動に適した電圧に変換することができる。
(インバータ)
熱電発電装置16または蓄電池18から出力される電流は直流であるため、交流用の機器を駆動するためにインバータによって交流へ変換することもできる。ただし、複数のインバータを並列で用いる場合には、各インバータから出力される交流の位相を揃えるように構成する必要がある。
(電力供給切替え装置)
モーターなどの負荷(以下、単に「負荷」という場合がある)へ、熱電発電装置16と蓄電池18のどちらから電力を供給するかを切替えることができる電力供給切替え装置を備えることが好ましい。例えば、熱電発電装置16による発電量が十分に高い場合には、熱電発電装置16からの電力のみで負荷を駆動することができる。一方、熱電発電装置16による発電量が不十分である場合には、熱電発電装置16からの電力と、蓄電池18からの電力を併用することもでき、蓄電池18からの電力のみで負荷を駆動することもできる。また、熱電発電装置16からの電力を、蓄電池18に充電しつつ、蓄電池18からの電力で負荷を駆動することもできる。さらに、負荷を駆動する必要が無いときには、熱電発電装置16からの電力を、負荷へ送らずに蓄電池17に充電するよう切替えることができる。前記電力供給切替え装置により、以上のような電力源の切替えを行うことができる。
(MPPT装置)
さらに、前記電力制御装置は、最大電力点追従(Maximum Power Point Tracking、MPPT)装置を備えることができる。MPPT装置は、熱電発電装置16の発電特性に合わせて、最大のエネルギーが得られるように発電電力点を制御する。そのため、発電効率を向上させることができる。
(第3の実施形態)
本実施形態における切断機は、熱電発電装置を移動させることによって該熱電発電装置と前記被切断物との間の距離を制御する距離制御装置をさらに備えることができる。なお、本実施形態において、以下に説明の無い事項については、上記第3の実施形態と同様とすることができる。
[距離制御装置]
熱電素子による発電効率は、熱電素子の高温側と低温側の温度差に依存する。そして、前記高温側の温度は、熱源の温度だけでなく、前記距離にも依存する。したがって、距離制御装置を用いることにより、前記距離を変更し、熱電発電の効率を制御することができる。
また、熱電素子や該素子を用いた熱電発電ユニットには、素子やユニットに用いられている材料などによって決まる耐熱温度があり、耐熱温度を超える高温に晒されると素子が破損したり、素子の性能が低下したりする場合がある。前記距離制御装置を用いれば、熱電発電ユニットの温度が耐熱温度を超えないように距離を調整することができる。
本実施形態においては、熱電素子の低温側を冷却するための第2水冷板を、熱電発電装置とともに前記距離制御装置によって移動させることができる。前記第2水冷板としては、上記第一の実施形態における第2水冷板と同様のものを用いることができる。
(駆動装置)
上記距離制御装置は、熱電発電装置を移動させるための駆動装置を備えている。前記駆動装置としては、熱電発電装置を移動させることができるものであれば、任意のものを用いることができる。位置決め精度の観点からは、前記駆動装置として、電動シリンダーを用いることが好ましい。前記駆動装置は、例えば、熱電発電装置を、被切断物に近づける方向および被切断物から遠ざける方向(図1、2における上下方向)に移動(昇降)可能に構成することができる。
前記駆動装置は、熱電発電装置全体を移動させるものとすることができる。この場合、前記熱電発電装置を構成する熱電発電ユニットは、すべて一緒に移動する。しかし、熱源である被切断物が、温度分布を有しており、部位によって温度が異なる場合がある。例えば、被切断物が連続鋳造において製造される鋼スラブである場合には、冷却速度の差のため、スラブの幅方向端部の温度が、幅方向中央部の温度よりも低くなる場合がある。そこで、そのような温度分布に応じて発電ユニットの位置を調整できるように、前記駆動装置は、熱電発電装置に含まれる複数の熱電発電ユニットの位置を独立して調整できることが好ましい。言い換えると、前記距離制御装置は、熱電発電装置に含まれる複数の熱電発電ユニットのそれぞれと被切断物との間の距離を、独立して制御することが好ましい。
(出力計)
前記距離制御装置は、熱電発電装置の出力をモニターする出力計を備えていることが好ましい。前記出力計は、上述した電力制御装置に備えられているものを利用することもできる。
(距離センサ)
前記距離制御装置は、熱電発電装置と前記被切断物との間の距離を測定する距離センサを備えていることが好ましい。
(熱源用温度センサ)
前記距離制御装置は、熱源としての被切断物の温度を測定する熱源用温度センサを備えることができる。前記熱源用温度センサは、切断機本体に設けてもよく、また、切断機本体から離れた位置に設けてもよい。熱源用温度センサを切断機本体から離れた位置に設置する場合は、例えば、被切断物の搬送ラインにおける上流側に設置することが好ましい。その場合、熱源用温度センサによって測定された温度は、無線または有線で切断機本体に送信することができる。前記熱源用温度センサとしては、放射温度計などの非接触型温度センサと、熱電対などの接触式温度センサの、いずれも用いることができる。
(熱電発電ユニット用温度センサ)
前記距離制御装置は、熱電発電ユニットの温度を測定する熱電発電ユニット用温度センサを備えることができる。前記熱電発電ユニット用温度センサは、熱電発電ユニットと独立して設置されていても浴、熱電発電ユニット内に設置されていてもよい。前記熱電発電ユニット用温度センサとしては、放射温度計などの非接触型温度センサと、熱電対などの接触式温度センサの、いずれも用いることができる。
本実施形態における距離制御装置は、前記被切断物の温度、前記熱電発電ユニットの温度、および前記熱電発電ユニットからの出力からなる群より選択される少なくとも1つを測定し、前記測定の結果に基づいて前記熱電発電ユニットと前記被切断物との間の距離を制御することが好ましい。具体的には、 上記出力計、熱源用温度センサ、および熱電発電ユニット用温度センサの少なくとも一つによる測定値を用いて、熱電発電ユニットと前記被切断物との間の距離を制御することが好ましい。
上記距離の制御は、連続的に行うこともできる。連続的に制御を行う場合には、例えば、フィードバック制御やフィードフォワード制御を行うことができる。
・出力に基づくフィードバック制御
例えば、熱電発電装置の定格出力を目標値とし、実際に出力計によって測定された熱電発電装置の出力が前記目標値に近づくように、距離を制御することができる。前記制御を行う際に、同時に熱電発電装置用温度センサを用いて温度をモニターし、熱電発電装置の温度が耐熱温度を超えないように距離を制御することが好ましい。
・熱源の温度に基づくフィードフォワード制御
例えば、上流側において被切断物の温度を測定し、それに応じて距離を制御することができる。具体的には、被切断物の温度が低い場合には熱電発電装置を被切断物へ近づけ、被切断物の温度が高い場合には、熱電発電装置を被切断物から遠ざける。
・操業条件に基づく制御
予め操業条件が分かっている場合には、該操業条件に基づいて距離を制御することもできる。この場合、操業を開始する前に予め距離を調整しておくこともできるが、操業途中に操業条件が変化する場合には、それに応じて連続的または断続的に距離を制御することもできる。例えば、図1に示したような連続鋳造設備においては、スラブの引き抜き速度や、冷却条件などによって切断時の被切断物の温度が決まる。そのため、それらの操業条件に基づいて、距離を制御することができる。
(第4の実施形態)
先にも述べたように、熱源である被切断物が温度分布を有しており、部位によって温度が異なる場合がある。そのため、本実施形態の切断機においては、熱電発電装置が複数の熱電発電ユニットからなり、 前記複数の熱電発電ユニットを、被切断物の温度、熱電発電ユニットの温度、および熱電発電ユニットからの出力からなる群より選択される少なくとも1つに応じて配置する。これにより、被切断物の温度分布を考慮して熱電発電ユニットを配置することができ、発電効率を向上させることができる。なお、それ以外の事項については、特に断らない限り上記第1~第3の実施形態のいずれかと同様とすることができる。
図7は、本実施形態における熱電発電ユニットの配置の1例を示す模式図であり、スラブ7の幅方向における熱電発電ユニット101の配置を示している。熱電発電装置16は、複数の熱電発電ユニット101で構成されている。そして、熱電発電ユニット101とスラブ7との間の距離が、スラブ7の幅方向中央部よりも幅方向端部(両端)において近い。なお、ここで「幅方向」とは、被切断物(スラブ)の移動方向に対し垂直な断面における長手方向(図7における左右方向)を指すものとする。
連続鋳造ラインにおけるスラブ7は、幅方向における中央部よりも端部において速く冷却されるため、通常、中央部よりも端部の温度が低くなっている。そのため、熱電発電ユニット101とスラブ7との間の距離が等しくなるようにすべての熱電発電ユニット101を設置した場合、低温部(端部)における発電効率が低くなる。そこで、図7に示したように、低温部(端部)における熱電発電ユニット101とスラブ7との間の距離を、高温部(中央部)における熱電発電ユニット101とスラブ7との間の距離よりも近くすることにより、低温部における発電効率を向上させ、熱電発電装置全体としての出力を高めることができる。また、高温部における熱電発電ユニットを相対的にスラブから離して設置することにより、熱電素子の温度が耐熱温度を超えて破損することを防止しつつ、全体としての発電効率を高めることができる。
図7に示した例では、端部における熱電発電ユニット1つ(両方の端部合わせて2つ)の熱電発電ユニットのみスラブに近接させており、他の熱電発電ユニットは同じ距離に配置している。しかし、熱電発電ユニットの距離は、被切断物の温度分布に合わせて任意の配置とすることができる。例えば、低温部(端部)から高温部(中央部)に向かって、熱電発電ユニットとスラブとの間の距離が連続的または段階的に近くなるような熱電発電ユニットの配置とすることもできる。
なお、本実施形態においても、第1の実施形態のように第1水冷板を用いて切断機を、また第2水冷板を用いて熱電素子の低温側を、それぞれ冷却する。その際、熱電発電ユニットとスラブとの間の距離が連続的または段階的に近くなるように配置する場合には、異なる距離に配置されている熱電発電ユニットのすべてを、前記第2水冷板で冷却できるように構成することが好ましい。具体的な方法としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
(1)全ての熱電発電ユニットの低温側(図7における上側)の面に第2水冷板の下面が接触するように、部位によって異なる厚さを有する水冷板を用いる。
(2)熱電発電ユニットと第2水冷板との間に隙間ができる部分に、熱伝導性スペーサーを設置し、該熱伝導性スペーサーを介して水冷板によって熱電発電ユニットを冷却できるようにする。前記熱伝導性スペーサーとしては、例えば、金属製の板、ブロックなどを用いることができる。
(第5の実施形態)
本実施形態では、被切断物が低温部と高温部とを有している場合に、熱電素子を、前記低温部と前記高温部とに対峙して設置し、かつ、前記高温部における前記熱電素子の密度を、前記低温部における前記熱電素子の密度よりも高くする。このように、高温部における熱電素子の密度を高くすることにより、高温部の熱をより有効に利用し、全体としての発電効率を一層高めることができる。
図8は、本実施形態における熱電素子の配置の一例を示す模式図であり、スラブ7の幅方向における熱電発電ユニット101および熱電素子102の配置を示している。熱電発電装置16は、複数の熱電発電ユニット101で構成されており、それぞれの熱電発電ユニット101は、複数の熱電素子102を備えている。そして、スラブ7の幅方向中央における熱電素子の密度が、幅方向端部における密度よりも高くなっている。
上述したように、スラブ7の温度は幅方向端部よりも中央部の方が高くなっている。そのため、図8に示すように幅方向中央部における熱電素子の密度を相対的に高くすることにより、全体としての発電効率を向上させることができる。また、本実施形態の方法によれば、熱電発電ユニットとスラブとの間の距離を変えることなく発電効率を向上させることができる。そのため、この方法は、熱電発電ユニットの配置を変更するための空間的な余裕がない場合にも用いることができる。
なお、図8に示した例では、備えている熱電素子の個数(密度)が異なる熱電発電ユニットを用いているが、同じ個数の熱電素子を備える熱電発電ユニットを使用し、該熱電発電ユニットを異なる密度で配置することによって熱電素子の密度を調整することもできる。
[被切断物]
以上の説明においては、連続鋳造におけるスラブを切断する場合を例として挙げたが、本発明は、スラブに限られることなく、任意の高温の部材を被切断物とすることができる。なお、ここで「高温」とは、室温よりも高い温度を有することを意味するものとする。ただし、熱電発電の効率の観点からは、700℃以上の被切断物を対象とすることが好ましい。なお、本発明の切断機は、移動していない任意の高温の被切断物に使用することも勿論可能である。
(実施例1)
上記第1の実施形態に従い、図1、2に示した切断機を用いて、連続鋳造設備におけるスラブを熱源とした熱電発電を実施した。熱電発電ユニットとしては、300mm角の熱電発電ユニットを用いた。前記熱電発電ユニットを、切断機のスラブ搬送方向上流側に設置した。熱電発電ユニットの配置は、スラブの幅方向に8列×スラブの搬送方向に4列の合計32個とした。
ダミーバー挿入型の連続鋳造機ラインにおいて、ダミーバーを用いた鋳造を開始する。ついで、ダミーバーが切断、回収位置に到達した後、スラブが切断機まで到達すると、熱電発電装置の発電が開始された。そして、上記切断機をスラブと同調移動させながら切断を行い、連続鋳造材を製造した。
スラブ温度:1000℃で上記連続鋳造を行ったところ、連続鋳造を行っている間、継続的に、定格出力の95%以上で発電を行うことができた。また、連続鋳造を行っている間、熱電発電装置上面および切断機の温度は十分に低く保たれていた。
(実施例2)
(熱電発電ユニット中の熱電素子群面積/熱電発電ユニットの受熱板面積)が0.18である、熱電発電ユニットを設置した以外は上記実施例1と同様の切断機を用いて、連続鋳造設備におけるスラブを熱源とした熱電発電を実施した。上記連続鋳造材を製造ラインにおいて、スラブ温度:800℃で上記連続鋳造を行ったところ、連続鋳造を行っている間は、継続的に、定格出力の95%以上で発電を行うことができた。また、連続鋳造を行っている間、熱電発電装置上面および切断機の温度は十分に低く保たれていた。
1 連続鋳造設備
2 取鍋
3 タンディッシュ
4 鋳型
5 スラブ冷却装置
6 ローラー群
7 スラブ
8 搬送ローラー
9 切断位置
10 切断機
11 車輪
12 台車
13 切断装置
14 トーチ
15 第1水冷板
15a、15b 主面
16 熱電発電装置
16a 熱電素子が設置されている領域
17 第2水冷板
17c 流路
20 レール
101 熱電発電ユニット
102 熱電素子

Claims (3)

  1. 移動する高温の被切断物を、該被切断物の移動と同調して移動しながら切断する切断機であって、
    前記被切断物を切断する切断装置と、
    前記切断機を前記被切断物と同調移動させる移動装置と、
    前記移動装置に設置され、前記切断機を冷却する第1水冷板と、
    前記被切断物の熱を電気エネルギーに変換する熱電素子を備えた熱電発電装置と、
    前記熱電素子の低温側を冷却する第2水冷板と、を有し、
    前記熱電発電装置が前記移動装置から前記移動装置の移動方向に延在し、前記第2の水冷板を前記第1水冷板から前記移動装置の移動方向に延長する形で設ける、切断機。
  2. 前記第1の水冷板および前記第2の水冷板は、内部に冷却水が流れる流路を独立または共通して有する、請求項1に記載の切断機。
  3. 請求項1または2に記載の切断機を用いた熱電発電方法。
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