以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本発明の実施形態のデータ通信装置は、プラント内に配置された設備に設置されているセンサが検出した設備の物理量のデータを、無線通信によって上位のシステムに送信する現場機器(測定器:無線フィールド機器)である。本発明の実施形態のデータ通信装置は、プラント内に配置された設備に設置され、搭載した電池によって動作する電池駆動型の現場機器である。なお、プラントにおいては、安全に操業を行うために、それぞれの設備に対して複数のセンサが設置されている。このため、プラントにおいては、それぞれのセンサに対応する本発明の実施形態のデータ通信装置が、複数設置されている。しかし、以下の説明においては、説明を容易にするため、本発明の実施形態のデータ通信装置に関連するそれぞれの構成要素が1つずつ存在するものとして説明する。つまり、以下の説明においては、プラントに配置された1つの設備に対して1つのセンサが設置されており、その1つのセンサに対して1つのデータ通信装置が対応するものとして説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるデータ通信装置を利用するプラントにおける構成の一例を示した図である。データ通信装置10は、対応するセンサ110が検出した設備1の物理量を表すデータを、無線通信によって上位システム50に送信する。図1には、データ通信装置10が、無線通信20によってゲートウェイ装置30と接続され、ゲートウェイ装置30が、フィールドネットワーク40によって上位システム50と接続されている構成を示している。このため、図1に示したデータ通信装置10を利用するプラントの構成の一例では、データ通信装置10が、対応するセンサ110が検出した設備1の物理量を表すデータを、無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信する。そして、ゲートウェイ装置30は、データ通信装置10から送信されてきた物理量を表すデータを、フィールドネットワーク40によって上位システム50に送信する。
設備1は、プラント内に配置され、センサ110が物理量を検出する対象の設備である。設備1は、プラントの通常の操業においても間欠的に動作する設備であり、稼働している状態と停止している状態とがある。ここで、設備1としては、プラント内に配置された様々な設備が考えられる。設備1としては、例えば、プラントにおいて生産する固体状の製品や半製品を搬送するためのコンベアや、液体状あるいは気体状の製品や半製品を搬送するためのポンプなどが考えられる。また、設備1としては、例えば、コンベアを稼働させるためのモータや、ポンプを稼働させるためのモータあるいはコンプレッサなども考えられる。図1に示したデータ通信装置10を利用するプラントの構成の一例では、設備1が、モータ11によって稼働するコンベアである場合を示している。
なお、プラントとしては、石油の精製や化学製品の生産を行う工業プラントの他、ガス田や油田などの井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力などの発電を管理制御するプラント、太陽光や風力などの環境発電を管理制御するプラント、上下水やダムなどを管理制御するプラントなどが含まれる。また、設備1としては、上述したようなコンベアや、ポンプ、モータ、コンプレッサに限定されるものではなく、プラント内に配置される様々な設備が考えられる。
センサ110は、設置された設備の位置において予め定めた物理量(アナログ量)を検出するセンサである。センサ110は、検出した物理量を表す信号を、物理量としてデータ通信装置10に出力する。センサ110としては、例えば、設備の振動を検出する振動センサや、設備の温度を検出する温度センサなどが考えられる。また、センサ110としては、例えば、液体状あるいは気体状の製品や半製品を搬送するポンプおよび配管において、配管内の圧力を検出する圧力センサ、流量を検出する流量センサ、水素イオン濃度(pH)を検出するpHセンサなども考えられる。ここで、例えば、ポンプが稼働して製品や半製品を搬送している状態と、ポンプが停止して製品や半製品を搬送していない状態とでは、センサ110が検出する配管内の温度、圧力、流量などを表す物理量は異なる値になる。図1に示したデータ通信装置10を利用するプラントの構成の一例では、センサ110が、コンベアである設備1を稼働させるためのモータ11の振動を設備1の物理量として検出する振動センサである場合を示している。なお、センサ110は、上述したような振動センサや、温度センサ、圧力センサ、流量センサ、pHセンサに限定されるものではなく、様々な設備において物理量を検出する種々のセンサが考えられる。また、設備は、プラントに配置されるもの以外に、ビルなどの空調システムにおけるポンプ、モータ、コンプレッサなどの設備や、IoT(Internet of Things)技術が導入された設備もある。
データ通信装置10は、対応するセンサ110が検出した設備1の物理量を取得し、取得した物理量を表すデータ(デジタルのデータ:以下、「測定データ」という)に変換して、無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信する。データ通信装置10は、上述したように、搭載した電池によって動作する電池駆動型の現場機器(無線フィールド機器)である。また、データ通信装置10は、例えば、上位システム50などによって、センサ110が検出した設備1の物理量を取得するタイミングの制御が行われていない現場機器である。このため、データ通信装置10は、省電力化を図るために、常に動作しているのではなく、データ通信装置10自体で計時した予め定めたタイミングごとに起動して、センサ110から出力された物理量を取得する。そして、データ通信装置10は、取得した物理量を表す測定データを無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信する。つまり、データ通信装置10は、通常は待機状態(いわゆる、スリープ状態)になって動作が停止しており、予め定めたタイミングごとに起動し、測定データをゲートウェイ装置30に送信する。このように、データ通信装置10では、センサ110から物理量を取得するときのみ起動する、すなわち、間欠的に起動することによって、搭載した電池の消費を抑えている。
上述したように、データ通信装置10を利用するプラントにおいて、センサ110が物理量を検出する対象の設備1は、間欠的に動作する設備である。このため、データ通信装置10は、予め定めたタイミングのときにセンサ110から取得した設備1の物理量が、設備1が停止している状態の物理量である場合もある。データ通信装置10では、設備1が停止している状態の物理量を表す測定データは、ゲートウェイ装置30に送信しない。これにより、データ通信装置10では、設備1が停止している状態の物理量を表す測定データをゲートウェイ装置30に送信する際に要する電池の消費を抑えている。
ここで、データ通信装置10が起動するタイミングは、予め定めた一定の周期(以下、「測定周期」という)ごとのタイミングと、測定周期を複数の時間間隔に分割した複数のタイミング(以下、「測定タイミング」という)とのそれぞれのタイミングである。測定周期は、従来の電池駆動型の現場機器(無線フィールド機器)と同様に、例えば、10分以上の周期である。また、測定タイミングは、測定周期を同じ時間間隔または異なる時間間隔に分割したタイミングである。つまり、データ通信装置10では、従来の電池駆動型の現場機器と同様の測定周期のタイミングに加えて、測定周期よりも短い複数の測定タイミングでも、センサ110から物理量を取得する。これにより、データ通信装置10では、従来の電池駆動型の現場機器のように測定周期のタイミングごとではなく、測定周期内で設備1が停止している状態から稼働している状態に変化したタイミングに対してなるべく早い測定タイミングのときにセンサ110から取得した物理量を表す測定データを、ゲートウェイ装置30に送信することができる。
なお、データ通信装置10は、必ずしも測定周期と測定タイミングとのそれぞれのタイミングにおいても起動しなくてもよい。つまり、測定周期が比較的短い時間の周期である場合には、データ通信装置10が起動するタイミングとして測定タイミングを設定せず、測定周期ごとのタイミングのみで起動するようにしてもよい。例えば、測定周期が「1日」である場合には、測定タイミングとして「1時間」を設定し、データ通信装置10が、1日の内で1時間ごとに24回起動するようにしてもよい。しかし、測定周期が「10分」である場合には、測定タイミングとして「1分」などを設定せずに、データ通信装置10が、10分ごと起動するようにしてもよい。これは、測定周期が比較的短い時間の周期である場合には、測定周期のタイミングが、設備1の動作状態が変化したタイミングに近いタイミングであると考えられるからである。
なお、データ通信装置10では、搭載している電池の消費を抑えるために、上述したように、間欠的に起動し、さらに、設備1が停止している状態の測定データのゲートウェイ装置30への送信を行わないようにしている。一方、データ通信装置10では、上述したように、センサ110からの物理量の取得を測定タイミングでも取得する。このため、データ通信装置10では、測定タイミングにおいてセンサ110から物理量を取得するために電池を消費している。しかしながら、一般的に、電池駆動型の現場機器では、センサが検出した物理量を取得する際に要する電力消費量よりも、物理量を表すデータを上位システムに送信する際に要する電力消費量の方が、遥かに多い。従って、設備1が停止しているときにセンサ110からの物理量を取得しても、取得した物理量を表すデータの上位システムへの送信を行わなければ、電池の消費を抑えることができる。例えば、物理量を表すデータを上位システムに送信する際の消費電力が、センサ110から物理量を取得する際の消費電力の200倍である場合、測定周期が「1日」に対して、測定タイミングを「1時間」にして、1日のうちで物理量を24回取得しても、取得した物理量を表すデータを上位システムに送信しなければ、従来の電池駆動型の現場機器に対して消費電力が約1/8(=24/200)となり、効果的である。
なお、データ通信装置10の構成やデータ通信装置10の動作に関する詳細な説明は、後述する。
無線通信20は、データ通信装置10とゲートウェイ装置30との間で通信を行う、無線の通信規格に準拠した通信経路である。無線通信20は、LoRaWAN(登録商標)などの低消費電力広域通信(Low Power Wide Area Network:LPWAN)に準拠した通信経路である。なお、無線通信20に適用される無線の通信規格としては、上述したLoRaWANなどの低消費電力広域通信に限定されるものではなく、例えば、ISA100.11aなどの工業用の無線規格、Wireless HART(登録商標)など、様々な通信規格が考えられる。無線通信20に適用される無線の通信規格としては、例えば、無線LAN通信(いわゆる、WiFi(登録商標))などの無線通信規格、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))などの短距離無線通信規格、IrDA(登録商標)(Infrared Data Association)などの赤外線通信規格など、種々の通信規格が考えられる。
ゲートウェイ装置30は、無線通信20を介して接続された無線フィールド機器であるデータ通信装置10から送信された測定データを受信し、受信した測定データを、フィールドネットワーク40を介して接続された上位システム50に送信する(中継する)中継装置である。ゲートウェイ装置30は、データ通信装置10から送信されてきた測定データに様々な情報を付与して、上位システム50に送信する(中継する)。ゲートウェイ装置30が測定データに付与する情報としては、例えば、ゲートウェイ装置30がデータ通信装置10から送信されてきた測定データを受信したときの「日付」や「時刻」の情報(以下、「タイムスタンプ」という)などがある。ゲートウェイ装置30は、タイムスタンプなどの情報を付与した測定データを、上位システム50に送信する。なお、ゲートウェイ装置30が測定データに付与する情報としては、上述したようなタイムスタンプに限定されるものではなく、データ通信装置10から送信されてきた測定データに関する種々の情報が考えられる。また、ゲートウェイ装置30は、データ通信装置10に搭載した電池の残量を表す情報など、データ通信装置10の保守(メンテナンス)に関連する様々な情報を、受信した測定データに付与または測定データと共に上位システム50に送信してもよい。
なお、ゲートウェイ装置30には、図1に示したデータ通信装置10以外にも、様々な現場機器(測定器や操作器)が、LoRaWANなどの低消費電力広域通信の無線通信20を介して接続されていてもよい。この場合、ゲートウェイ装置30は、無線通信20を介して接続された複数の現場機器から送信されたデータを収集し、フィールドネットワーク40を介して収集したデータを上位システム50に送信するデータ収集装置としての機能を備えていてもよい。
フィールドネットワーク40は、プラント内に構築された有線または無線の専用の通信ネットワークである。フィールドネットワーク40に適用される通信規格としては、プラントにおいて適用される種々の通信規格や方式が考えられる。フィールドネットワーク40に適用される通信規格としては、例えば、ISA100.11aなどの工業用の無線規格、センサネットワークシステムなどの無線規格、Wireless/Wired HART(登録商標)などの無線と有線とが混在した通信規格、MODBUS(登録商標)などのマスター/スレーブ方式の通信規格などが考えられる。また、フィールドネットワーク40に適用される通信方式としては、例えば、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス、PROFIBUS(PROCESS FIELD BUS)(登録商標)などのフィールドバス規格などが考えられる。なお、フィールドネットワーク40は、例えば、一般的なWiFi(登録商標)の無線規格によってプラント内に構築された無線の通信ネットワークであってもよい。図1に示したデータ通信装置10を利用するプラントの構成の一例では、フィールドネットワーク40が、有線の通信ネットワークである場合を示している。
上位システム50は、プラントに構築されるシステムにおける上位の制御システムである。上位システム50は、例えば、分散制御システム(Distributed Control System:DCS)などの制御システムである。上位システム50は、プラント内に配置されたそれぞれの設備が稼働している状態を監視し、それぞれの設備の運転の制御などを行う。図1に示したデータ通信装置10を利用するプラントの構成の一例では、上位システム50は、ゲートウェイ装置30を介してデータ通信装置10から送信されてきた測定データに基づいて設備1の稼働状態を把握する。そして、上位システム50は、把握した設備1の稼働状態に基づいて、例えば、設備1に備えたモータ11の運転を制御する不図示の現場機器(操作器:アクチュエータ)に指示信号を出力して、設備1の運転を制御する。なお、上位システム50は、設備に関する保守情報を管理するPAM(Plant Asset Management)などの管理システムであってもよい。
次に、データ通信装置10の構成および動作について説明する。まず、データ通信装置10の構成について説明する。図2は、本発明の実施形態におけるデータ通信装置10の概略構成を示したブロック図である。なお、図2には、図1に示したデータ通信装置10を利用するプラントの構成の一例において、データ通信装置10と直接接続された(直接関連する)構成要素も併せて示している。より具体的には、図2には、データ通信装置10が物理量(物理量を表す信号)を取得するセンサ110と、物理量を表すデータを無線通信20によって送信するゲートウェイ装置30とのそれぞれを併せて示している。
データ通信装置10は、データ処理部120と、タイマー部121と、閾値情報記憶部122と、無線送受信部130と、電池140と、電源回路150とを含んで構成される。
電池140は、データ通信装置10に備えたそれぞれの構成要素が動作するための電力を供給するための電池である。電池140としては、例えば、アルカリ乾電池などの一次電池、リチウムイオン電池などの充電式の二次電池など、データ通信装置10に搭載することができる様々な電池が考えられる。なお、電池140は、データ通信装置10の外部に設置され、データ通信装置10に電力を供給する形態であってもよい。
電源回路150は、電池140が出力する電力を、データ通信装置10に備えたそれぞれの構成要素に供給するための電源供給回路である。このとき、電源回路150は、電池140から出力された電力を、データ通信装置10に備えたそれぞれの構成要素が動作するために必要な電力に変換して、それぞれの構成要素に供給する。より具体的には、電源回路150は、電池140が出力した電圧値を、データ通信装置10に備えたデータ処理部120、タイマー部121、閾値情報記憶部122、無線送受信部130のそれぞれが動作する電圧値に変換して供給する。なお、電源回路150は、動作が停止している構成要素には、電池140が出力する電力を供給しないようにして、電池140の消費を抑えるようにしてもよい。また、電源回路150は、電池140の残量を判定し、判定した電池140の残量を表す情報をデータ処理部120に出力するようにしてもよい。
データ処理部120は、センサ110が検出した設備1の物理量を取得し、取得した物理量を表す測定データを生成して無線送受信部130に出力してゲートウェイ装置30に送信させる。また、データ処理部120は、データ通信装置10の全体の動作を制御でもある。データ処理部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置と、処理装置を動作させるために必要なプログラムとデータが記憶されたROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)などの種々のメモリを含んで構成される。データ処理部120は、電池140の消費を抑えるために、通常は待機状態(スリープ状態)になって動作が停止している。そして、データ処理部120は、タイマー部121からの出力された起動信号に従って、予め定めたタイミング(測定周期のタイミングまたは測定タイミング)ごとに起動する。
データ処理部120は、起動されると、メモリに記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより、データ処理部120における種々の処理を実行する。より具体的には、データ処理部120は、物理量を取得する処理、物理量を判定する処理、測定データを生成する処理、測定データを送信する処理、および測定タイミングを設定する処理のそれぞれの処理を実行する。なお、データ処理部120は、測定データを生成する処理と、測定データを送信する処理とのそれぞれの処理を、物理量を判定する処理の判定結果に応じて実行する。その後、データ処理部120は、予め定めた処理が完了すると、再びスリープ状態に移行する。ここで、スリープ状態とは、起動されたときに読み込んだプログラムを実行せずに、データ処理部120の動作が停止して、電池140の消費を抑えている状態ローパワー状態、スタンバイ状態など)である。
物理量を取得する処理において、データ処理部120は、まず、センサ110を起動してセンサ110に設備1の物理量を検出させ、センサ110から出力された物理量を表す信号(アナログ信号)を取得する。なお、センサ110が、常に検出した設備1の物理量を出力しているセンサである場合、データ処理部120は、センサ110がすでに起動されているものとして、センサ110から出力された物理量を表す信号の取得を行う。その後、データ処理部120は、取得した物理量を表す信号をアナログ-デジタル変換(A/D変換)することによって、センサ110が検出した設備1の物理量を表す信号の大きさに応じたデジタル値のデジタル信号(デジタルデータ)に変換する。
また、物理量を判定する処理において、データ処理部120は、まず、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値を読み出す。その後、データ処理部120は、読み出した閾値とセンサ110から取得した物理量とを比較して、センサ110が検出した設備1の物理量を表す測定データをゲートウェイ装置30に送信するか否かを判定する。なお、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値は、設備1が稼働しているのか停止しているのかを判定するために予め設定された閾値である。
また、測定データを生成する処理において、データ処理部120は、物理量を取得する処理において取得した設備1の物理量(より具体的には、物理量を取得する処理においてA/D変換したデジタル信号(デジタルデータ))を、ゲートウェイ装置30に送信するための形式(フォーマット)に変換して測定データとする。なお、本発明においては、データ処理部120がゲートウェイ装置30に送信するための測定データに変換する方法や、測定データの形式に関しては、特に規定しない。
また、測定データを送信する処理において、データ処理部120は、まず、無線送受信部130を起動させる。このとき、データ処理部120は、電源回路150を制御して、無線送受信部130に電池140が出力する電力を供給させるようにしてもよい。その後、データ処理部120は、生成した測定データを無線送受信部130に出力して、出力した測定データを無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信するように無線送受信部130に指示する。
また、測定タイミングを設定する処理において、データ処理部120は、タイマー部121が次回の起動信号をデータ処理部120に出力する測定タイミングを、タイマー部121に設定する。これにより、データ処理部120は、タイマー部121から次回に出力された起動信号に従って再び起動し、上述したそれぞれの処理を再び実行する。言い換えれば、データ処理部120は、測定タイミングを設定する処理において、スリープ状態に移行して電池140の消費を抑えている状態から次に復帰するまでのタイミングを、タイマー部121に設定する。
なお、データ処理部120は、上述した設備1の物理量をゲートウェイ装置30に送信するための種々の処理以外にも、例えば、電源回路150によってそれぞれの構成要素に電力を供給させる際の制御や、電源回路150が電池140の残量を判定する際の制御を行ってもよい。
タイマー部121は、設定された測定周期のタイミングまたは測定タイミングでデータ処理部120を起動させるための起動信号を出力する計時部である。タイマー部121は、電源回路150から供給された少ない電力で時間を計時し、設定されたタイミングとなったときに、データ処理部120を起動させるための起動信号をデータ処理部120に出力する。より具体的には、タイマー部121は、設定された測定周期の時間間隔を周期的に計時する。さらに、タイマー部121は、測定タイミングが設定されている場合には、計時している測定周期内で設定された測定タイミングの時間間隔を計時する。そして、タイマー部121は、設定された測定周期の始まりのタイミングまたは測定タイミングの時間が経過したタイミングとなったときに、起動信号をデータ処理部120に出力する。なお、タイマー部121は、データ処理部120に備えたタイマー機能によって実現されてもよい。
閾値情報記憶部122は、少なくとも、データ処理部120が物理量を判定する処理において用いる物理量の閾値を記憶する記憶部である。閾値情報記憶部122は、例えば、フラッシュメモリなどの種々のメモリを含んで構成される。なお、閾値情報記憶部122は、データ処理部120に備えた記憶機能(フラッシュメモリなどのメモリ)によって実現されてもよい。
閾値情報記憶部122に記憶している物理量の閾値は、上述したように、設備1が稼働しているのか停止しているのかを判定するために予め設定された物理量である。ここで、閾値情報記憶部122に物理量の閾値を予め設定する時期(タイミング)としては、種々のタイミングが考えられる。物理量の閾値は、例えば、データ通信装置10を生産する過程や、データ通信装置10を出荷する際に、一般的に考えられる物理量の閾値を、初期値として閾値情報記憶部122に記憶させてもよい。また、物理量の閾値は、例えば、データ通信装置10を設備1に設置する際に、一般的に考えられる物理量の閾値や過去の物理量のデータから求めた設備1に対応する物理量の閾値を、初期値として閾値情報記憶部122に記憶させてもよい。つまり、物理量の閾値は、データ通信装置10の外部から閾値情報記憶部122に記憶させてもよい。
なお、データ通信装置10を設備1に設置する際に設備1に応じた物理量の閾値を外部から閾値情報記憶部122に記憶させる方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、プラントの作業員が設備に対して行う様々な作業を支援する不図示の端末装置とデータ通信装置10とを接続し、作業員が端末装置を操作することによって、端末装置が物理量の閾値を閾値情報記憶部122に記憶させてもよい。また、例えば、上位システム50が、クラウドコンピューティングシステムにおけるインターネット上のサーバ装置や記憶装置としての機能を備えている場合には、不図示の端末装置がインターネットを介して上位システム50から物理量の閾値を取得し、取得した物理量の閾値を閾値情報記憶部122に記憶させてもよい。ここで、不図示の端末装置とデータ通信装置10とを接続する方法としては、例えば、NFC(Near Field radio Communication)などの近距離無線通信や、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの短距離無線通信、WiFi(登録商標)などの無線通信など、種々の無線の通信規格を用いて接続する方法が考えられる。また、不図示の端末装置とデータ通信装置10とを接続する方法としては、USB(Universal Serial Bus(登録商標))などの有線インターフェースの規格を用いて接続する方法が考えられる。なお、データ通信装置10に備えた閾値情報記憶部122に設備1に対応する物理量の閾値を記憶させる方法は、上述した方法に限定されるものではない。例えば、データ通信装置10が、インターネットを介して上位システム50から物理量の閾値を取得して、閾値情報記憶部122に記憶してもよい。
無線送受信部130は、無線通信20によってゲートウェイ装置30に測定データを送信する無線インターフェース部である。無線送受信部130も、データ処理部120と同様に、電池140の消費を抑えるために、通常は待機状態(スリープ状態)になって動作が停止している。そして、無線送受信部130は、データ処理部120から起動が指示された場合に起動する。無線送受信部130は、起動した後、データ処理部120からの送信指示に応じて、データ処理部120から出力された測定データを、無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信する。なお、無線送受信部130は、電池140の残量を表す情報など、測定データと異なるデータが、送信指示と共にデータ処理部120から出力された場合には、データ処理部120からの送信指示に応じて、データ処理部120から出力された種々のデータを、測定データと同様に、無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信する。
このような構成によって、データ通信装置10は、電池140の省電力化を図りつつ、対応するセンサ110が検出した設備1の物理量を表す測定データを、無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信する。しかも、データ通信装置10では、測定周期を複数の時間間隔に分割した測定タイミングでも、センサ110が検出した設備1の物理量を取得して、測定データをゲートウェイ装置30に送信することができる。これにより、データ通信装置10を利用したプラントでは、上位システム50が、従来の電池駆動型の現場機器を利用したプラントよりも詳細に設備1が稼働している状態を監視することができる。
なお、図1に示したデータ通信装置10を利用するプラントの構成の一例、および図2に示したデータ通信装置10の概略構成では、センサ110が、データ通信装置10に接続されている構成を示した。つまり、センサ110は、データ通信装置10の外部の構成要素である場合について説明した。しかし、データ通信装置10とセンサ110との構成は、図1および図2に示した構成に限定されるものではない。例えば、データ通信装置10は、センサ110を内蔵し、データ通信装置10とセンサ110とが一体化されている構成であってもよい。
<第1の動作>
続いて、データ通信装置10の第1の動作について説明する。図3は、本発明の実施形態のデータ通信装置10がデータを送信(測定データをゲートウェイ装置30に送信)する第1の動作における処理手順の一例を示したフローチャートである。
なお、以下の説明においては、データ通信装置10に備えたデータ処理部120と無線送受信部130とのそれぞれが、スリープ状態になって動作を停止しているものとして説明する。ただし、データ処理部120は、データ処理部120における種々の処理を実行するためのプログラムの読み込みを終了しているものとする。また、以下の説明においては、データ通信装置10の備えたタイマー部121に、測定周期が予め設定されており、タイマー部121は、すでに、予め設定された測定周期の時間間隔を周期的に計時しているものとして説明する。また、以下の説明においては、閾値情報記憶部122に、物理量の閾値が記憶されているものとして説明する。
図3に示した第1の動作は、タイマー部121が測定周期の始まりのタイミングで起動信号をデータ処理部120に出力することによって開始される。例えば、測定周期として「1日」が設定されている場合、タイマー部121が1日の始まりのタイミングで起動信号をデータ処理部120に出力することによって開始される。
データ処理部120は、タイマー部121から起動信号が出力されると、現在のスリープ状態から復帰して起動する(ステップS100)。
続いて、データ処理部120は、センサ110が検出した設備1の物理量を取得する(ステップS110)。つまり、データ処理部120は、ステップS110において、上述した物理量を取得する処理を実行する。ステップS110では、上述したように、データ処理部120は、センサ110を起動してセンサ110から出力された物理量を表す信号(アナログ信号)を取得する。そして、データ処理部120は、取得した物理量を表す信号をA/D変換して、設備1の物理量を表すデジタル信号(デジタルデータ)を生成する。
続いて、データ処理部120は、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値を取得する(ステップS120)。つまり、データ処理部120は、ステップS120から、上述した物理量を判定する処理を開始する。ステップS120では、上述したように、データ処理部120は、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値(以下、単に「閾値」という)を読み出す。
続いて、データ処理部120は、ステップS110において生成した設備1の物理量を表すデジタル信号(以下、単に「物理量」という)と、ステップS120において閾値情報記憶部122から読み出した閾値とを比較する。より具体的には、データ処理部120は、ステップS120において、物理量が閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS130)。
なお、データ処理部120は、ステップS110においてセンサ110から取得した物理量を表す信号(アナログ信号)をA/D変換しなくてもよい。この場合、データ処理部120は、ステップS120において物理量の閾値(アナログ量)を取得する。そして、データ処理部120は、ステップS130において、取得した設備1の物理量(アナログ量)が物理量の閾値(アナログ量)よりも小さいか否かを判定する。
ステップS130の判定の結果、物理量が閾値よりも小さくない場合(ステップS130の“NO”)、すなわち、物理量が閾値以上である場合、データ処理部120は、物理量が、設備1が稼働している状態のときに取得した物理量であると判断する。そして、データ処理部120は、物理量に対応する測定データをゲートウェイ装置30に送信すると判定する。そして、データ処理部120は、処理をステップS140に進める。
この場合、データ処理部120は、ステップS110において生成した設備1の物理量を、測定データに変換する(ステップS140)。つまり、データ処理部120は、ステップS140において、上述した測定データを生成する処理を実行する。ステップS140では、上述したように、データ処理部120は、ステップS110において生成した設備1の物理量を、ゲートウェイ装置30に送信するための形式に変換して、測定データを生成する。
続いて、データ処理部120は、生成した測定データを無線送受信部130に出力する(ステップS141)。つまり、データ処理部120は、ステップS141から、上述した測定データを送信する処理を開始する。なお、上述したように、無線送受信部130は、スリープ状態になって動作を停止している。このため、上述したように、データ処理部120は、ステップS141において、まず、無線送受信部130に起動を指示する。そして、データ処理部120は、無線送受信部130が起動した後、ステップS140において生成した測定データを無線送受信部130に出力する。
続いて、データ処理部120は、ステップS141において出力した測定データを、無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信させる(ステップS142)。ステップS142では、上述したように、データ処理部120は、無線送受信部130に、出力した測定データを無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信するように指示する。これにより、無線送受信部130は、測定データを無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信する。そして、無線通信20によって送信されてきた測定データを受信したゲートウェイ装置30は、受信した測定データにタイムスタンプなどの情報を付与して、フィールドネットワーク40によって上位システム50に送信する。このようにしてデータ通信装置10が送信した測定データが、ゲートウェイ装置30を介して上位システム50に送信される。
続いて、データ処理部120は、タイマー部121に設定されている測定タイミングを初期化する(ステップS160)。なお、測定タイミングは、初期の段階ではタイマー部121に設定されていなくてもよい。この場合、表示端末1200は、ステップS160において、何もしなくてもよい。また、測定タイミングは、初期値として、タイマー部121に設定されている測定周期の始まりのタイミングと同じタイミングが設定されていてもよい。この場合、表示端末1200は、ステップS160において、測定周期の始まりのタイミングと同じタイミングを再度設定してもよい。また、測定タイミングの初期値として、測定周期内で最初の測定タイミングが設定されていてもよい。この場合、表示端末1200は、ステップS160において、測定周期内で最初の測定タイミングを再度設定してもよい。
続いて、データ処理部120は、再びスリープ状態に移行する(ステップS170)。つまり、データ処理部120は、ステップS170において、起動されたときに読み込んだプログラムの実行を停止して、電池140の消費を抑える状態に移行する。これにより、データ処理部120の処理は、ステップS100に戻る。つまり、1回(例えば、1日)の第1の動作を終了する。
一方、ステップS130の判定の結果、物理量が閾値よりも小さい場合(ステップS130の“YES”)、データ処理部120は、物理量が、設備1が停止している状態のときに取得した物理量であると判断する。そして、データ処理部120は、物理量に対応する測定データをゲートウェイ装置30に送信しないと判定する。そして、データ処理部120は、処理をステップS150に進める。
この場合、データ処理部120は、タイマー部121が次回の起動信号をデータ処理部120に出力する測定周期内のタイミングを、測定タイミングとして設定する(ステップS150)。つまり、データ処理部120は、ステップS150から、上述した測定タイミングを設定する処理を開始する。ステップS150では、上述したように、データ処理部120は、タイマー部121が次回の起動信号をデータ処理部120に出力する測定タイミングを、タイマー部121に設定する。言い換えれば、ステップS150において、データ処理部120は、センサ110が検出した設備1の物理量を再度取得するタイミングを設定する。例えば、データ処理部120は、測定タイミングとして「1時間」を設定する。これにより、データ処理部120は、1時間後にスリープ状態から再び復帰(起動)して、センサ110が検出した設備1の物理量を取得するステップS100の処理を再び行い、ステップS110~ステップS160までの処理を再び実行することができる状態になる。
続いて、データ処理部120は、タイマー部121に設定した測定タイミングが、測定周期以上のタイミングであるか否かを判定する(ステップS151)。つまり、データ処理部120は、ステップS150において設定した測定タイミングによってデータ処理部120がスリープ状態から再び復帰(起動)するタイミングが、現在の測定周期を超えている(次の測定周期内に入っている)タイミングとなっていないかを判定する。例えば、測定周期として「1日」が設定されている場合、設定した測定タイミングが経過したときの時間が、次の測定周期(=1日)の時間に割り込んでいないかを判定する。
ステップS151の判定の結果、タイマー部121に設定した測定タイミングが測定周期以上のタイミングではない場合(ステップS151の“NO”)、すなわち、設定した測定タイミングが現在の測定周期内のタイミングである場合、データ処理部120は、ステップS170に進んで、再びスリープ状態に移行する。つまり、データ処理部120は、タイマー部121に設定した測定タイミングでスリープ状態から再び復帰(起動)して、ステップS100~ステップS160までの処理を再び実行することができる状態でスリープ状態に移行する。
一方、ステップS151の判定の結果、タイマー部121に設定した測定タイミングが測定周期以上のタイミングである場合(ステップS151の“YES”)、すなわち、設定した測定タイミングが現在の測定周期を超えているタイミングである場合、データ処理部120は、ステップS160に進んで、タイマー部121に設定した測定タイミングを初期化する。つまり、データ処理部120は、ステップS150においてタイマー部121に設定した測定タイミングを取り消す(キャンセルする)。これは、設定した測定タイミングより前に、タイマー部121が計時している時間が次の測定周期(例えば、次の1日)の始まりのタイミングとなり、タイマー部121は、起動信号をデータ処理部120に出力することになるからである。これにより、データ通信装置10では、それぞれの測定周期において常に同じタイミングで、センサ110が検出した設備1の物理量を取得するステップS100の処理を行うことができる。
このように、データ処理部120では、ステップS100~ステップS160までの処理を繰り返す。これにより、データ通信装置10は、設備1が稼働している状態のときには、従来の電池駆動型の現場機器と同様に、測定周期のタイミングごとに、センサ110が検出した物理量を表す測定データを、ゲートウェイ装置30を介して上位システム50に送信することができる。また、データ通信装置10は、設備1が停止している状態のときには、センサ110が検出した物理量を表す測定データを送信しないことによって、測定データをゲートウェイ装置30に送信する際に要する電池140の消費を抑えることができる。つまり、データ通信装置10において省電力化を図り、電池切れまでの時間(電池寿命)を長くして、データ通信装置10の保守(メンテナンス)を行う周期を長くすることができる。しかも、データ通信装置10では、設備1が停止している状態のときに、測定タイミングごとにセンサ110が検出した物理量を再度取得する、言い換えれば、設備1の物理量を再測定する。これにより、データ通信装置10では、測定周期内で設備1が停止している状態から稼働している状態に変化したタイミングに対してなるべく早い測定タイミングのときにセンサ110から取得した物理量を表す測定データを、ゲートウェイ装置30を介して上位システム50に送信することができる。このことにより、データ通信装置10を利用したプラントでは、上位システム50が、従来の電池駆動型の現場機器を利用したプラントよりも詳細に設備1が稼働している状態を監視することができる。
ここで、データ通信装置10における第1の動作の具体的な一例について説明する。図4は、本発明の実施形態のデータ通信装置10がデータを送信(測定データをゲートウェイ装置30に送信)する第1の動作を模式的に示した図である。
図4には、設備1(より具体的には、設備1に備えたモータ11)の振動の大きさを縦軸とし、時間を横軸としたグラフによって、設備1の振動の大きさ(物理量)の時間的な変化の一例を、時間軸の方向に表している。図4には、センサ110が常に検出した設備1の振動を表す信号を出力しているものとして、4周期分の測定周期Tm(測定周期Tm1~測定周期Tm4)の期間における振動の大きさの時間的な変化の一例を示している。図4に示したように、設備1の振動の大きさは、設備1が停止している状態のときには小さく、設備1が稼働している状態のときには大きくなる。なお、図4には、設備1の振動の大きさに微少な変動がある場合を示しているが、この振動の大きさの微少な変動は、設備1の稼働または停止の状態に伴う振動の変化ではなく、例えば、センサ110による振動の検出誤差や外的要因の影響による変動であり、振動におけるノイズ成分として考えることができる。
また、図4には、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値の一例を示している。上述したように、物理量の閾値は、設備1が稼働しているのか停止しているのかを判定するために予め設定されている。データ処理部120は、図3に示した第1の動作の処理のフローチャートのステップS130において、センサ110から取得した振動の大きさ(物理量)が閾値以上であるか否かによって、設備1が稼働しているのか停止しているのかを判定する。より具体的には、データ処理部120は、ステップS130において、センサ110から取得した振動の大きさが閾値以上である場合には、設備1が稼働している状態であると判定し、センサ110から取得した振動の大きさが閾値よりも小さい場合には、設備1が停止している状態であると判定する。
なお、以下の説明においては、説明を容易にするため、データ処理部120が測定データを無線送受信部130に出力し、出力した測定データを送信するように指示することによって無線送受信部130がゲートウェイ装置30に測定データを送信する動作を、データ処理部120がゲートウェイ装置30に測定データを送信するものとして説明する。
図4に示した時間軸の方向に沿って、データ通信装置10における第1の動作を説明する。まず、最初(1周期目)の測定周期Tm1の始まりのタイミングでタイマー部121が起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、図3に示した第1の動作の処理のフローチャートに従って、第1の動作を行う。図4に示したように、データ処理部120が1周期目の測定周期Tm1の始まりのタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさは、閾値よりも小さい。このため、データ処理部120は、ステップS130において、設備1が停止している状態であると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信しない。なお、図4においては、「×印」によって、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、設備1が停止している状態であると判断されたことを表している。このため、データ処理部120は、ステップS150において、測定周期Tmよりも短い測定タイミングTrm(Trm<Tm)をタイマー部121に設定して、スリープ状態に移行する。図4においては、データ処理部120が、ステップS150において、測定周期Tm1よりも短い測定タイミングTrm1(Trm1<Tm1)をタイマー部121に設定して、スリープ状態に移行している。
その後、1周期目の測定周期Tm1内で測定タイミングTrm1の時間が経過してタイマー部121が再び起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、図3に示した第1の動作の処理のフローチャートに従って、再び第1の動作を行う。つまり、データ処理部120は、2回目の第1の動作を行う。図4に示したように、データ処理部120が測定周期Tm1内で最初(1回目)の第1の動作で設定した測定タイミングTrm1の時間が経過したタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさも、閾値よりも小さい。このため、データ処理部120は、ステップS130において、設備1が停止している状態であると再び判断する。つまり、データ処理部120は、設備1が停止している状態が継続していると判断する。このため、データ処理部120は、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信せずに、ステップS150において、再び次(2回目)の測定タイミングTrm2(Trm2<Tm1、Trm2=Trm1)をタイマー部121に設定して、スリープ状態に移行する。
このように、データ処理部120は、測定周期Tmの始まりのタイミング、または測定タイミングTrmの時間が経過したタイミングにおいて、センサ110から振動の大きさ(物理量)を取得して、設備1が稼働している状態であるのか、設備1が停止している状態であるのかを判断する。図4では、1周期目の測定周期Tm1の期間において、設備1が稼働している状態とはならなかった場合を示している。より具体的には、図4では、測定周期Tm1内で2回目~4回目の第1の動作のステップS150において設定した2回目の測定タイミングTrm2~4回目の測定タイミングTrm4(Trm4<Tm1、Trm4=Trm1)のそれぞれの測定タイミングTrmの時間が経過したときにセンサ110が出力したそれぞれの振動の大きさも、全て閾値よりも小さい。このため、図4では、データ処理部120が、3回目~5回目の第1の動作のステップS130においても、設備1が停止している状態が継続していると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信しない場合を示している。
なお、データ処理部120は、5回目の第1の動作のステップS130においても設備1が停止している状態が継続していると判断したため、5回目の第1の動作のステップS150において、6回目の測定タイミングTrm6(Trm6<Tm1、Trm6=Trm1)をタイマー部121に設定する。しかし、6回目の測定タイミングTrm6の時間が経過したときのタイミングは、1周期目の測定周期Tm1の期間を超えているタイミングである。このため、データ処理部120は、ステップS160において、タイマー部121に設定した6回目の測定タイミングTrm6を初期化してから、つまり、測定タイミングTrm6の設定を取り消してから、スリープ状態に移行する。
続いて、次(2周期目)の測定周期Tm2の始まりのタイミングでタイマー部121が起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2における第1の動作を行う。図4に示したように、データ処理部120が2周期目の測定周期Tm2の始まりのタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさは、閾値よりも小さい。このため、データ処理部120は、ステップS130において、2周期目の測定周期Tm2の始まりのタイミングでも、設備1が停止している状態が継続していると判断する。そして、データ処理部120は、1周期目の測定周期Tm1における第1の動作と同様に、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信せずに、ステップS150において、2周期目の測定周期Tm2内で最初(1回目)の測定タイミングTrm1(Trm1<Tm2)をタイマー部121に設定して、スリープ状態に移行する。
その後、2周期目の測定周期Tm2内で測定タイミングTrm1の時間が経過してタイマー部121が再び起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、1周期目の測定周期Tm1における2回目の第1の動作と同様に、ステップS130において、測定周期Tm2内で最初(1回目)の第1の動作で設定した測定タイミングTrm1の時間が経過したタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさを判定する。図4では、2周期目の測定周期Tm2の期間においても、測定タイミングTrm1の時間が経過したタイミングのときの振動の大きさは閾値よりも小さいため、データ処理部120は、ステップS130において、設備1が停止している状態が継続していると判断する。このため、データ処理部120は、1周期目の測定周期Tm1における2回目の第1の動作と同様に、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信せずに、ステップS150において、再び次(2回目)の測定タイミングTrm2(Trm2<Tm2、Trm2=Trm1)をタイマー部121に設定して、スリープ状態に移行する。
なお、図4では、2周期目の測定周期Tm2の期間において、測定周期Tm2内で2回目の第1の動作のステップS150において設定した2回目の測定タイミングTrm2の時間が経過したときにセンサ110が出力する振動の大きさも、閾値よりも小さい。このため、データ処理部120は、3回目の第1の動作のステップS130においても、設備1が停止している状態が継続していると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信せずに、ステップS150において、再び次(3回目)の測定タイミングTrm3(Trm3<Tm2、Trm3=Trm1)をタイマー部121に設定して、スリープ状態に移行する。
その後、2周期目の測定周期Tm2内で測定タイミングTrm3の時間が経過してタイマー部121が再び起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、4回目の第1の動作のステップS130において、測定周期Tm2内で3回目の第1の動作で設定した測定タイミングTrm3の時間が経過したタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさを判定する。図4では、データ処理部120が測定タイミングTrm3の時間が経過したタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさは、閾値よりも大きい。このため、データ処理部120は、ステップS130において、設備1が稼働している状態であると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信する。なお、図4においては、「○印」によって、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、設備1が稼働している状態であると判断されたことを表している。そして、データ処理部120は、ステップS160において、タイマー部121に設定されている測定タイミングTrmを初期化してから、スリープ状態に移行する。これにより、データ処理部120は、設備1が稼働している状態であると判断した以降には、センサ110が出力したそれぞれの振動の大きさを取得しなくなる。つまり、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2の期間における第1の動作を終了する。
続いて、次(3周期目)の測定周期Tm3の始まりのタイミングでタイマー部121が起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、3周期目の測定周期Tm3における第1の動作を行う。図4に示したように、データ処理部120が3周期目の測定周期Tm3の始まりのタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさは、閾値よりも大きい。このため、データ処理部120は、ステップS130において、3周期目の測定周期Tm3の始まりのタイミングでも、設備1が稼働している状態が継続していると判断する。このため、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2における4回目の第1の動作と同様に、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信する。そして、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2における4回目の第1の動作と同様に、ステップS160においてタイマー部121に設定されている測定タイミングTrmを初期化してから、スリープ状態に移行する。これにより、データ処理部120は、3周期目の測定周期Tm3において、センサ110が出力したそれぞれの振動の大きさを取得しなくなる。つまり、データ処理部120は、3周期目の測定周期Tm3の期間における第1の動作を終了する。
このように、データ処理部120は、測定周期Tmの始まりのタイミングで設備1が停止している状態であると判断した場合には、測定データを送信せず、測定タイミングTrmを設定して、同じ測定周期Tm内で第1の動作を繰り返す。そして、データ処理部120は、測定周期Tmの始まりのタイミングまたはいずれかの測定タイミングTrmの時間が経過したタイミングで設備1が稼働している状態であると判断した場合には、センサ110から取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信して、その測定周期Tmの期間における第1の動作を終了する。これにより、データ通信装置10では、測定データをゲートウェイ装置30に送信する際に要する電池140の消費を抑えることができると共に、測定周期Tm内で設備1が停止している状態から稼働している状態に変化したタイミングに対してなるべく早い測定タイミングTrmのときに、測定データをゲートウェイ装置30に送信することができる。このことにより、データ通信装置10を利用したプラントでは、データ通信装置10に搭載した電池140が切れるまでの時間(電池寿命)を長くして、データ通信装置10の保守(メンテナンス)を行う周期を長くすることができると共に、上位システム50が、設備1が稼働している状態をより詳細に監視することができる。
なお、図4では、次(4周期目)の測定周期Tm4においても、測定周期Tm4の始まりのタイミングで設備1が稼働している状態が継続していると判断している。このため、データ処理部120は、測定周期Tm4の始まりのタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信して、4周期目の測定周期Tm4の期間における第1の動作を終了する。しかし、図4に示したように、4周期目の測定周期Tm4の期間では、その後に、センサ110が出力した振動の大きさが、設備1が停止している状態を表す、つまり、閾値よりも小さい振動の大きさとなっている。ところが、データ処理部120は、4周期目の測定周期Tm4の期間において、すでに第1の動作を終了している。このため、データ処理部120は、設備1が稼働している状態から停止している状態に変化したことを判断することができない。しかしながら、データ通信装置10を利用したプラントにおいても、従来の電池駆動型の現場機器を利用したプラントと同様に、上位システム50は、停止している状態に変化した設備1の振動の大きさ(物理量)を用いて、設備1の動作を制御しない機能もあるため、データ処理部120が第1の動作を終了していても問題ない。
なお、図4では、センサ110が、設備1(より具体的には、設備1に備えたモータ11)の振動の大きさを検出する場合の一例を示した。このため、データ処理部120は、ステップS130における判定において、センサ110から取得した振動の大きさが閾値以上である場合には、設備1が稼働している状態であると判定し、センサ110から取得した振動の大きさが閾値よりも小さい場合には、設備1が停止している状態であると判定した。しかし、上述したように、センサ110は、様々な設備に設置され、検出する物理量も様々な種類がある。このため、データ処理部120がステップS130において行う判定は、同じ種類の物理量であっても、センサ110が設置された設備によっては、上述したステップS130の判定と反対の判定を行うことも考えられる。例えば、センサ110が液体状の製品を搬送する配管の外部に設置され、データ処理部120が、センサ110が検出した配管の外部の温度によって製品を搬送しているか否かを判定する場合について考える。このとき、例えば、配管によって搬送する液体状の製品が高温の製品であるとすると、センサ110は、製品を搬送しているときに、搬送している高温の製品よりも少し低い配管の温度を検出することが考えられる。この場合、データ処理部120は、上述した振動の大きさと同様に、センサ110が検出した温度が温度の閾値以上となるため、配管が接続された設備は稼働している状態であると判定する。一方、センサ110は、製品を搬送していないときには、高温の製品が配管を通っていないことから、常温になった配管の温度を検出することが考えられる。この場合、データ処理部120は、上述した振動の大きさと同様に、センサ110が検出した温度が温度の閾値よりも小さくなるため、配管が接続された設備は停止している(設備は稼働していない)状態であると判定する。これに対して、例えば、配管によって搬送する液体状の製品が低温(マイナス温度)の製品であるとすると、センサ110は、製品を搬送しているときに、搬送している低温の製品よりも少し高い配管の温度を検出することが考えられる。この場合、データ処理部120は、センサ110が検出した温度が温度の閾値以下となるが、配管が接続された設備は稼働している状態であると判定することになる。また、センサ110は、製品を搬送していないときには、低温の製品が配管を通っていないことから、常温になった配管の温度を検出することが考えられる。この場合、データ処理部120は、センサ110が検出した温度が温度の閾値よりも大きくなるが、配管が接続された設備は停止している(設備は稼働していない)状態であると判定することになる。このように、データ処理部120は、センサ110が設置される設備と、設備が稼働している状態でるか停止している状態であるかを判定するための条件に応じて、ステップS130における判定を行う。
なお、図4では、例えば、データ処理部120が最初(1回目)の第1の動作でタイマー部121に設定する測定タイミングTrm1と、2回目の第1の動作でタイマー部121に設定する測定タイミングTrm2とが、同じ時間間隔(Trm2=Trm1)である場合について説明した。つまり、図4においては、データ処理部120が、測定周期Tmを同じ時間間隔に分割した測定タイミングTrmをタイマー部121に設定する場合について説明した。しかし、データ処理部120がタイマー部121に設定するそれぞれの測定タイミングTrmの時間間隔は、同じ時間間隔であることに限定されるものではない。つまり、データ処理部120は、測定周期Tmを異なる時間間隔に分割したそれぞれの測定タイミングTrmをタイマー部121に設定してもよい。
<第1の動作の変形例>
ここで、データ通信装置10の第1の動作の変形例について説明する。第1の動作の変形例は、データ処理部120がタイマー部121に設定するそれぞれの測定タイミングTrmが、測定周期Tmを異なる時間間隔に分割した測定タイミングTrmである場合の第1の動作である。なお、第1の動作の変形例では、図3に示した第1の動作の処理のステップS150において、データ処理部120がタイマー部121に設定する測定タイミングTrmの時間のみが異なる。従って、ここでは、データ通信装置10における第1の動作の変形例の具体的な一例について説明する。図5は、本発明の実施形態のデータ通信装置10がデータを送信(測定データをゲートウェイ装置30に送信)する第1の動作の変形例を模式的に示した図である。
図5においても、図4に示した第1の動作と同様に、設備1(モータ11)の振動の大きさを縦軸とし、時間を横軸としたグラフによって、設備1の振動の大きさ(物理量)の時間的な変化の一例を、時間軸の方向に表している。また、図5においても、図4に示した第1の動作と同様に、設備1の振動の大きさの時間的な変化を、測定周期Tmの4周期分(測定周期Tm1~測定周期Tm4)示している。なお、図5に示した設備1の振動の大きさの時間的な変化は、図4において示した設備1の振動の大きさの時間的な変化と同様である。
また、図5においても、図4に示した第1の動作と同様に、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値の一例を示している。なお、図5においても、図4に示した第1の動作と同様に、「×印」によって、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、設備1が停止している状態であると判断されたことを表し、「○印」によって、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、設備1が稼働している状態であると判断されたことを表している。
図5に示した時間軸の方向に沿って、データ通信装置10における第1の動作の変形例の動作(以下、単に「変形例の動作」という)を説明する。まず、最初(1周期目)の測定周期Tm1の始まりのタイミングでタイマー部121が起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、図3に示した第1の動作の処理のフローチャートに従って、1回目の変形例の動作を行う。図5に示したように、データ処理部120が1周期目の測定周期Tm1の始まりのタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさは、閾値よりも小さい。このため、データ処理部120は、ステップS130において、設備1が停止している状態であると判断する。そして、データ処理部120は、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信せずに、ステップS150において、測定周期Tmよりも短い測定タイミングTrm1(Trm1<Tm1)をタイマー部121に設定して、スリープ状態に移行する。このとき、変形例の動作では、データ処理部120が、測定周期Tm1を同じ時間間隔に分割した測定タイミングTrm1ではなく、測定周期Tm1を異なる時間間隔に分割した測定タイミングTrm1(Trm1の時間の長さは、後述するTrm2、Trm3の時間の長さと異なる)を、タイマー部121に設定する。図5においては、データ処理部120が、ステップS150において、測定周期Tm1の1/8の時間の測定タイミングTrm1(Trm1=Tm1/8)をタイマー部121に設定している。
その後、1周期目の測定周期Tm1内で測定タイミングTrm1の時間が経過してタイマー部121が再び起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、2回目の変形例の動作を行う。そして、データ処理部120は、ステップS130において、測定周期Tm1内で最初(1回目)の変形例の動作で設定した測定タイミングTrm1の時間が経過したタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさを判定する。図5では、データ処理部120が測定周期Tm1内で最初(1回目)の変形例の動作で設定した測定タイミングTrm1の時間が経過したタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさは閾値よりも小さいため、データ処理部120は、ステップS130において、設備1が停止している状態が継続していると判断する。このため、データ処理部120は、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信せずに、ステップS150において、再び次(2回目)の測定タイミングTrm2(Trm2<Tm1)をタイマー部121に設定して、スリープ状態に移行する。このとき、変形例の動作では、データ処理部120が、測定周期Tm1をさらに異なる時間間隔に分割した測定タイミングTrm2を、タイマー部121に設定する。つまり、変形例の動作では、データ処理部120が、測定タイミングTrm1と異なる時間の測定タイミングTrm2を、タイマー部121に設定する。図5においては、データ処理部120が、ステップS150において、測定周期Tm1の1/4の時間の測定タイミングTrm2(Trm2=Tm1/4)をタイマー部121に設定している。
なお、変形例の動作において2回目に設定した測定タイミングTrm2は、設備1が停止している状態がさらに継続することを想定し、データ処理部120がセンサ110から振動の大きさ(物理量)を取得する回数を減らすことによって、第1の動作よりも電池140の消費をさらに抑えられるようにするという考え方に基づいて決定したものである。図5においては、1回目に設定した測定タイミングTrm1を測定周期Tm1の1/8の時間とし、2回目に設定した測定タイミングTrm2を測定周期Tm1の1/4の時間としている。つまり、2回目に設定した測定タイミングTrm2は、1回目に設定した測定タイミングTrm1の2倍の時間としている。このため、例えば、第1の動作において設定したそれぞれの測定タイミングTrmと、変形例の動作において1回目に設定した測定タイミングTrm1とが同じ時間であった場合を考えると、変形例の動作において2回目に設定した測定タイミングTrm2の時間が経過したタイミングでは、データ処理部120がセンサ110から振動の大きさ(物理量)を取得する回数が、第1の動作よりも1回少なくなる。より具体的には、測定周期Tmが「1日」である場合において、第1の動作において設定したそれぞれの測定タイミングTrmと、変形例の動作において1回目に設定した測定タイミングTrm1とが「3時間」であった場合を考えると、変形例の動作において2回目に設定する測定タイミングTrm2は「6時間」である。この場合、第1の動作では、データ処理部120が、1日の始まりの時間と、3時間後と、さらに3時間後(1日の始まりから6時間後)と、さらに3時間後(1日の始まりから9時間後)とのそれぞれのタイミングで、センサ110から振動の大きさ(物理量)を取得する。つまり、1日の始まりから9時間後において、第1の動作では、データ処理部120が、センサ110から振動の大きさ(物理量)を4回取得する。これに対して、変形例の動作では、データ処理部120が、1日の始まりの時間と、3時間後と、さらに6時間後(1日の始まりから9時間後)とのそれぞれのタイミングで、センサ110から振動の大きさ(物理量)を3回取得する。このように、変形例の動作では、データ処理部120がセンサ110から振動の大きさ(物理量)を取得する回数が、第1の動作よりも1回少なくなる。これにより、変形例の動作では、2回目に設定した測定タイミングTrm2の時間が経過した時点で、データ処理部120がセンサ110から振動の大きさ(物理量)を取得する1回分の電力消費量を、第1の動作よりも削減することができる。
その後、1周期目の測定周期Tm1内で測定タイミングTrm2の時間が経過してタイマー部121が再び起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、3回目の変形例の動作を行う。そして、データ処理部120は、ステップS130において、測定周期Tm1内で2回目の変形例の動作で設定した測定タイミングTrm2の時間が経過したタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさを判定する。図5では、データ処理部120が測定周期Tm1内で2回目の変形例の動作で設定した測定タイミングTrm2の時間が経過したタイミングでセンサ110から取得した振動の大きさも閾値よりも小さいため、データ処理部120は、ステップS130において、設備1が停止している状態が継続していると判断する。このため、データ処理部120は、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信せずに、ステップS150において、再び次(3回目)の測定タイミングTrm3(Trm3<Tm1)をタイマー部121に設定して、スリープ状態に移行する。このとき、変形例の動作では、データ処理部120が、測定周期Tm1をさらに異なる時間間隔に分割した測定タイミングTrm3を、タイマー部121に設定する。図5においては、データ処理部120が、ステップS150において、測定周期Tm1の1/2の時間の測定タイミングTrm3(Trm3=Tm1/2)をタイマー部121に設定している。
なお、変形例の動作において3回目に設定した測定タイミングTrm3も、2回目に測定タイミングTrm2を設定したときの考え方と同様に、電池140の消費をさらに抑えられるようにするという考え方に基づいて決定したものである。図5においては、3回目に設定した測定タイミングTrm3を測定周期Tm1の1/2の時間としている。つまり、3回目に設定した測定タイミングTrm3は、1回目に設定した測定タイミングTrm1の4倍の時間としている。このため、例えば、第1の動作において設定したそれぞれの測定タイミングTrmと、変形例の動作において1回目に設定した測定タイミングTrm1とが同じ時間であった場合を考えると、変形例の動作において3回目に設定した測定タイミングTrm3の時間が経過したタイミングでは、データ処理部120がセンサ110から振動の大きさ(物理量)を取得する回数が、第1の動作よりもさらに3回少なくなる。これにより、変形例の動作では、3回目に設定した測定タイミングTrm3の時間が経過した時点で、データ処理部120がセンサ110から振動の大きさ(物理量)を取得する4回分(2回目に設定した測定タイミングTrm2による1回分を含む)の電力消費量を、第1の動作よりも削減することができる。
なお、図5では、1周期目の測定周期Tm1内で測定タイミングTrm3の時間が経過してデータ処理部120が4回目の変形例の動作を行ったときも、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさも閾値よりも小さい。このため、データ処理部120は、ステップS130において、設備1が停止している状態が継続していると判断する。このため、データ処理部120は、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信せずに、ステップS150において、同様の考え方に基づいて再び次(4回目)の測定タイミングTrm4(Trm4=Tm1)をタイマー部121に設定する。しかし、4回目の測定タイミングTrm4の時間が経過したときのタイミングは、1周期目の測定周期Tm1の期間を超えているタイミングである。このため、データ処理部120は、ステップS160において、タイマー部121に設定した4回目の測定タイミングTrm4を初期化してから、スリープ状態に移行する。これにより、データ処理部120は、設備1が稼働している状態が継続していると判断した4回目の変形例の動作以降には、センサ110が出力したそれぞれの振動の大きさを取得せずに、1周期目の測定周期Tm1の期間における変形例の動作を終了する。
続いて、次(2周期目)の測定周期Tm2の始まりのタイミングでタイマー部121が起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2における変形例の動作を行う。なお、図5においては、1回目から3回目までの変形例の動作は、1周期目の測定周期Tm1における1回目から3回目までの変形例の動作と同様である。従って、2周期目の測定周期Tm2における1回目から3回目までの変形例の動作に関する詳細な説明は省略する。
図5では、2周期目の測定周期Tm2内で測定タイミングTrm3の時間が経過してデータ処理部120が4回目の変形例の動作を行ったときに、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、閾値よりも大きくなっている。このため、データ処理部120は、4回目の変形例の動作のステップS130において、設備1が稼働している状態であると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信する。そして、データ処理部120は、ステップS160において、タイマー部121に設定されている測定タイミングTrmを初期化してから、スリープ状態に移行する。これにより、データ処理部120は、設備1が稼働している状態であると判断した以降には、センサ110が出力したそれぞれの振動の大きさを取得しなくなる。つまり、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2の期間における変形例の動作を終了する。
なお、図5においては、3周期目の測定周期Tm3および4周期目の測定周期Tm4においてデータ処理部120が行う変形例の動作は、図4に示した3周期目の測定周期Tm3および4周期目の測定周期Tm4においてデータ処理部120が行う第1の動作と同様である。従って、3周期目の測定周期Tm3および4周期目の測定周期Tm4においてデータ処理部120が行う変形例の動作に関する詳細な説明は省略する。
このように、データ処理部120は、第1の動作の変形例においても、測定周期Tmの始まりのタイミングで設備1が停止している状態であると判断した場合には、測定データを送信せず、測定タイミングTrmを設定して、同じ測定周期Tm内で変形例の動作を繰り返す。また、データ処理部120は、第1の動作の変形例においても、測定周期Tmの始まりのタイミングまたはいずれかの測定タイミングTrmの時間が経過したタイミングで設備1が稼働している状態であると判断した場合には、センサ110から取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信して、その測定周期Tmの期間における変形例の動作を終了する。これにより、データ通信装置10では、第1の動作の変形例においても、測定データをゲートウェイ装置30に送信する際に要する電池140の消費を抑えることができると共に、測定周期Tm内で設備1が停止している状態から稼働している状態に変化したタイミングに対してなるべく早い測定タイミングTrmのときに、測定データをゲートウェイ装置30に送信することができる。このことにより、第1の動作の変形例においても、第1の動作と同様の効果を得ることができる。
ただし、第1の動作の変形例では、測定周期Tmの始まりのタイミングで設備1が停止している状態であると判断した場合に、測定周期Tmを異なる時間間隔に分割したそれぞれの測定タイミングTrmを、タイマー部121に設定する。このため、第1の動作の変形例では、タイマー部121に設定した測定タイミングTrmによっては、測定周期Tm内で設備1が停止している状態から稼働している状態に変化したタイミングに対してなるべく早い測定タイミングTrmのときにゲートウェイ装置30に送信する測定データが、第1の動作よりも遅いタイミングになることがある。より具体的には、第1の動作の変形例では、測定周期Tm内で設備1が停止している状態から稼働している状態に変化したタイミングが、データ処理部120がセンサ110から出力された振動の大きさ(物理量)を取得するのを減らしたタイミングである場合には、測定データをゲートウェイ装置30に送信するのが、第1の動作で設定した測定タイミングTrmの時間が経過した後のタイミングとなる。しかしながら、従来の電池駆動型の現場機器では、測定周期Tmの時間間隔で測定データがゲートウェイ装置30に送信されることを考えると、第1の動作の変形例においても、測定周期Tm内で設備1が停止している状態から稼働している状態に変化したタイミングに対してなるべく早い測定タイミングTrmのときに測定データをゲートウェイ装置30に送信することができ、設備1の状態をより詳細に監視できるものと考えられる。そして、第1の動作の変形例では、第1の動作よりも電池140の消費をさらに抑えられるため、データ通信装置10に搭載した電池140が切れるまでの時間(電池寿命)を長くして、データ通信装置10の保守(メンテナンス)を行う周期を長くすることができることの方が、より効果的であると考えられる。
なお、図5に示した第1の動作の変形例では、測定周期Tmを異なる時間間隔に分割したそれぞれの測定タイミングTrmをタイマー部121に設定する方法の一例として、それぞれの測定周期Tmにおいて設備1が停止している状態であると判断した場合に、次にタイマー部121に設定する測定タイミングTrmの時間を順次長くしていく場合について説明した。しかし、測定周期Tmを異なる時間間隔に分割したそれぞれの測定タイミングTrmをタイマー部121に設定する方法は、測定タイミングTrmの時間を順次長くしていく方法に限定されるものではなく、様々な方法が考えられる。例えば、同じ時間の測定タイミングTrmの設定を複数回繰り返した後に、異なる時間の測定タイミングTrmを設定するようにしてもよい。また、短い時間の測定タイミングTrmの設定と、長い時間の測定タイミングTrmの設定とを交互に繰り返すようにしてもよい。
なお、データ通信装置10では、上述したように、設備1が停止している状態の物理量を表す測定データをゲートウェイ装置30に送信しないことによって、設備1が停止している状態の物理量を表す測定データをゲートウェイ装置30に送信する際に要する電池140の消費を抑えている。このため、上位システム50には、設備1が停止している状態の測定データが、ゲートウェイ装置30によって送信(中継)されてこないことになる。そして、上述したように、上位システム50は、停止している状態の設備1の測定データを用いて、設備1の動作を制御しない機能もあるため、ゲートウェイ装置30によって測定データが送信(中継)されてこなくても問題はない。しかしながら、ゲートウェイ装置30によって測定データが送信(中継)されてこない期間が長くなると、上位システム50は、測定データが送信(中継)されてこない要因が、設備1が停止している状態が長く続いていることによるものであるのか、データ通信装置10の搭載した電池140の電池切れやデータ通信装置10の故障などの他の要因が発生しているのかを判断することが困難になってくることも考えられる。このため、データ通信装置10は、予め定めたタイミングで、測定データよりも送信に要する電池140の消費が少ないデータや情報をゲートウェイ装置30に送信する構成にすることが考えられる。この場合、ゲートウェイ装置30が、データ通信装置10から送信されてきた測定データとは異なるデータや情報を上位システム50に送信する(中継する)ことによって、上位システム50は、測定データが送信(中継)されてこない要因を容易に判断することができる。
<第2の動作>
続いて、データ通信装置10の第2の動作について説明する。第2の動作では、データ通信装置10が、上述した第1の動作の処理(物理量を取得する処理、物理量を判定する処理、測定データを生成する処理、測定データを送信する処理、および測定タイミングを設定する処理)に加えて、設備停止情報を送信する処理を、物理量を判定する処理の判定結果に応じて実行する。なお、第2の動作において加えられた設備停止情報を送信する処理は、データ通信装置10に備えたデータ処理部120が実行する。このため、第2の動作を行うデータ通信装置10の概略構成は、図2に示したデータ通信装置10と同様である。従って、第2の動作を行うデータ通信装置10の概略構成に関する詳細な説明は省略する。
ここで、設備停止情報とは、データ処理部120が、設備1が停止している状態であると判断したことを表す情報である。この設備停止情報のデータ量は、測定データのデータ量よりは少ない。例えば、測定データのデータ量が4バイト~8バイトであったとすると、設備停止情報のデータ量は、1バイトまたはそれ以下である。このため、データ通信装置10が設備停止情報を上位システム50に送信する際に要する電力消費量は、測定データを上位システム50に送信する際に要する電力消費量よりも少ない。つまり、データ通信装置10が、無線通信20によって設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信する際に要する電力消費量は、無線通信20によって測定データをゲートウェイ装置30に送信する際に要する電力消費量よりも少ない。
図6は、本発明の実施形態のデータ通信装置10がデータを送信(測定データまたは設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信)する第2の動作における処理手順の一例を示したフローチャートである。図6に示した第2の動作の処理のフローチャートは、図3に示した第1の動作の処理のフローチャートにおいて、ステップS151とステップS160との間に、設備停止情報を送信する処理が加えられているのみである。従って、以下の説明においては、図6に示した第2の動作の処理のフローチャート内のそれぞれの処理において、図3に示した第1の動作の処理のフローチャート内の処理と同一の処理には、同一のステップ番号を付与し、異なる処理についてのみを説明する。従って、以下の説明においては、図6に示した第2の動作の処理のフローチャートにおいて加えられた、設備停止情報を送信する処理についてのみを説明する。
第2の動作では、センサ110から取得した物理量が、物理量を判定する処理によって設備1が停止している状態のときに取得した物理量であると判断され、測定タイミングを設定する処理によって設定した測定タイミングが、現在の測定周期を超えているタイミングであると判定された場合に、データ処理部120が設備停止情報を送信する処理を実行する。つまり、データ処理部120は、ステップS130の判定の結果が“YES”であり、ステップS151の判定の結果が“YES”である場合に、ステップS252から、設備停止情報を送信する処理を開始する。言い換えれば、データ処理部120は、現在の測定周期において、最後の測定タイミングでセンサ110から取得した設備1の物理量が、設備1が停止している状態のときに取得した物理量であると判断された場合に、設備停止情報を送信する処理を開始する。
設備停止情報を送信する処理を開始すると、データ処理部120は、設備1が停止している状態であると判断したことを表す設備停止情報を生成し、生成した設備停止情報を無線送受信部130に出力する(ステップS252)。なお、このとき、無線送受信部130は、スリープ状態になって動作を停止している。このため、データ処理部120は、ステップS252において、ステップS141の処理と同様に、無線送受信部130に起動を指示する。そして、データ処理部120は、無線送受信部130が起動した後、生成した設備停止情報を無線送受信部130に出力する。
続いて、データ処理部120は、ステップS252において出力した設備停止情報を、無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信させる(ステップS253)。ステップS253では、データ処理部120は、ステップS142の処理と同様に、無線送受信部130に、出力した設備停止情報を無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信するように指示する。これにより、無線送受信部130は、設備停止情報を無線通信20によってゲートウェイ装置30に送信する。そして、無線通信20によって送信されてきた設備停止情報を受信したゲートウェイ装置30は、受信した設備停止情報にタイムスタンプなどの情報を付与して、フィールドネットワーク40によって上位システム50に送信する。このようにしてデータ通信装置10が送信した設備停止情報が、ゲートウェイ装置30を介して上位システム50に送信される。
以降、第2の動作でも、データ処理部120は、第1の動作と同様に、ステップS160以降の処理を行う。そして、第2の動作でも、データ処理部120は、ステップS100~ステップS160までの処理(ステップS252およびステップS253の処理を含む)を繰り返す。
これにより、データ通信装置10は、第1の動作と同様に、電池140の省電力化を図りつつ、現在の測定周期の期間のほとんどの期間、設備1が停止している状態が継続している場合には、設備1が停止している状態であると判断したことを表す設備停止情報を、ゲートウェイ装置30を介して上位システム50に送信することができる。しかも、第2の動作においても、データ通信装置10は、第1の動作と同様に、測定周期内で設備1が停止している状態から稼働している状態に変化したタイミングに対してなるべく早い測定タイミングのときにセンサ110から取得した物理量を表す測定データを、ゲートウェイ装置30を介して上位システム50に送信することができる。このことにより、第2の動作を行うデータ通信装置10を利用したプラントでは、上位システム50が、従来の電池駆動型の現場機器を利用したプラントよりも詳細に設備1が稼働している状態を監視することができると共に、測定データが送信(中継)されてこない要因を容易に判断することができる。
ここで、データ通信装置10における第2の動作の具体的な一例について説明する。図7は、本発明の実施形態のデータ通信装置10がデータを送信(測定データまたは設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信)する第2の動作を模式的に示した図である。図7には、データ処理部120が、設備1が停止している状態であると判断ときに、測定周期Tmを異なる時間間隔に分割した測定タイミングTrmをタイマー部121に設定する第1の動作の変形例(図5参照)において、第2の動作を行う場合を示している。
図7においても、図5に示した第1の動作の変形例と同様に、設備1(モータ11)の振動の大きさを縦軸とし、時間を横軸としたグラフによって、設備1の振動の大きさ(物理量)の時間的な変化の一例を、時間軸の方向に表している。また、図7においても、図5に示した第1の動作の変形例と同様に、設備1の振動の大きさの時間的な変化を、測定周期Tmの4周期分(測定周期Tm1~測定周期Tm4)示している。なお、図7に示した設備1の振動の大きさの時間的な変化は、図4や図5において示した設備1の振動の大きさの時間的な変化と同様である。
また、図7においても、図5に示した第1の動作の変形例と同様に、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値の一例を示している。なお、図7においても、図5に示した第1の動作の変形例と同様に、「×印」によって、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、設備1が停止している状態であると判断されたことを表し、「○印」によって、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、設備1が稼働している状態であると判断されたことを表している。
なお、以下の説明においても、説明を容易にするため、データ処理部120が測定データを無線送受信部130に出力し、出力した測定データを送信するように指示することによって無線送受信部130がゲートウェイ装置30に測定データを送信する動作を、データ処理部120がゲートウェイ装置30に測定データを送信するものとして説明する。また、以下の説明においては、説明を容易にするため、データ処理部120が設備停止情報を無線送受信部130に出力し、出力した設備停止情報を送信するように指示することによって無線送受信部130がゲートウェイ装置30に設備停止情報を送信する動作を、データ処理部120がゲートウェイ装置30に設備停止情報を送信するものとして説明する。
図7に示した時間軸の方向に沿って、データ通信装置10における第2の動作を説明する。まず、最初(1周期目)の測定周期Tm1の始まりのタイミングでタイマー部121が起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、図6に示した第2の動作の処理のフローチャートに従って、1回目の第2の動作を行う。なお、図7においては、1回目から3回目までの第2の動作は、図5に示した第1の動作の変形例において、1周期目の測定周期Tm1に示した1回目から3回目までの変形例の動作と同様である。従って、1周期目の測定周期Tm1における1回目から3回目までの第2の動作に関する詳細な説明は省略する。
図7に示したように、1周期目の測定周期Tm1内で測定タイミングTrm3の時間が経過してデータ処理部120が4回目の第2の動作を行ったときにも、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさは、閾値よりも小さい。このため、データ処理部120は、4回目の第2の動作のステップS130において、設備1が停止している状態であると判断し、ステップS151において、ステップS150で設定した測定タイミングTrm4(不図示)が、現在の測定周期Tm1を超えているタイミングであると判定する。このため、データ処理部120は、ステップS252において、設備停止情報を生成し、ステップS253において、設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信する。その後、データ処理部120は、ステップS160において、タイマー部121に設定されている測定タイミングTrmを初期化してから、スリープ状態に移行する。これにより、データ処理部120は、設備1が停止している状態であると判断したことを表す設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信した以降には、センサ110が出力したそれぞれの振動の大きさを取得しなくなる。つまり、データ処理部120は、1周期目の測定周期Tm1の期間における第2の動作を終了する。
続いて、次(2周期目)の測定周期Tm2の始まりのタイミングでタイマー部121が起動信号をデータ処理部120に出力すると、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2における第2の動作を行う。なお、図7においては、2周期目の測定周期Tm2以降にデータ処理部120が行う第2の動作は、図5に示した第1の動作の変形例における2周期目の測定周期Tm2以降にデータ処理部120が行う変形例の動作同様である。従って、2周期目の測定周期Tm2以降にデータ処理部120が行う第2の動作に関する詳細な説明は省略する。
このように、データ処理部120は、第2の動作においても、第1の動作の変形例と同様に、測定周期Tmの始まりのタイミングで設備1が停止している状態であると判断した場合には、測定データを送信せず、測定タイミングTrmを設定して、同じ測定周期Tm内で第2の動作を繰り返す。そして、データ処理部120は、第2の動作においても、第1の動作の変形例と同様に、測定周期Tmの始まりのタイミングまたはいずれかの測定タイミングTrmの時間が経過したタイミングで設備1が稼働している状態であると判断した場合には、センサ110から取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信して、その測定周期Tmの期間における第2の動作を終了する。これにより、データ通信装置10では、第2の動作においても、第1の動作の変形例と同様に、測定データをゲートウェイ装置30に送信する際に要する電池140の消費を抑えることができると共に、測定周期Tm内で設備1が停止している状態から稼働している状態に変化したタイミングに対してなるべく早い測定タイミングTrmのときに、測定データをゲートウェイ装置30に送信することができる。
さらに、データ処理部120は、第2の動作において、現在の測定周期Tmのほとんどの期間で設備1が停止している状態が継続していると判断した場合には、設備1が停止している状態であると判断したことを表す設備停止情報を、ゲートウェイ装置30に送信する。このことにより、第2の動作を行うデータ通信装置10を利用したプラントでは、第1の動作の変形例と同様の効果を得ることができると共に、上位システム50が、測定データが送信(中継)されてこない要因を含めて、設備1が稼働している状態をより詳細に監視することができる。
なお、第2の動作においてデータ通信装置10がゲートウェイ装置30に送信する設備停止情報は、上述したように、設備1が停止している状態であると判断したことを表す情報である。つまり、設備停止情報は、設備1が停止している状態が継続していることを上位システム50に通知する情報である。そして、設備停止情報は、データ通信装置10が正常に動作していることを上位システム50に通知する情報であるということもできる。このため、データ通信装置10は、上述した設備1が停止している状態であると判断したことを表す情報に加えて、データ通信装置10に搭載した電池140の残量を表す情報など、データ通信装置10の保守(メンテナンス)に関連する少ないデータ量の様々な情報を設備停止情報に含めてもよい。
また、第2の動作では、データ通信装置10が、現在の測定周期のほとんどの期間で設備1が停止している状態が継続していると判断した場合に設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信する、つまり、それぞれの測定周期ごとに設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信する場合について説明した。しかし、データ通信装置10が第2の動作において設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信するタイミングは、上述したように、それぞれの測定周期ごとである構成に限定されるものではない。例えば、データ通信装置10は、第2の動作において、測定周期のほとんどの期間で設備1が停止している状態が継続しているとの判断が複数回行われた場合、つまり、設備1が停止していると判断した測定周期が、予め定めた回数連続した場合に、設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信する構成にしてもよい。この場合、データ通信装置10は、設備停止情報を送信する処理において、測定周期の最後の測定タイミングでセンサ110から取得した設備1の振動の大きさ(物理量)が、設備1が停止している状態のときに取得した物理量であると判断された回数を計数する。そして、データ通信装置10は、計数した回数が予め定めた回数を満足する場合に、設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信する。より具体的には、図6に示した第2の動作の処理のフローチャートにおいて、データ処理部120は、ステップS252に進んできた回数を計数する。そして、データ処理部120は、ステップS252に進んできた回数が予め定めた回数に満たない場合には、処理をステップS160に進める。一方、データ処理部120は、ステップS252に進んできた回数が予め定めた回数を満足する場合には、設備停止情報を生成し、ステップS253において、設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信させる。これにより、データ通信装置10は、第2の動作よりも、設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信する際に要する電池140の消費を抑えることができる。なお、データ処理部120が設備停止情報を生成してゲートウェイ装置30に送信させるか否かを判定する、ステップS252に進んできた回数は、少なくとも1回であればよい。
なお、第2の動作では、図7によって、図5に示した第1の動作の変形例においてデータ処理部120が設備停止情報を送信する処理を実行する場合について説明した。しかし、データ処理部120は、図4に示した第1の動作においても、設備停止情報を送信する処理を実行することができる。この場合における第2の動作の具体的な一例は、図7に示した第2の動作の具体的な一例から容易に考えることができる。従って、データ処理部120が、図4に示した第1の動作に加えて設備停止情報を送信する処理を行う場合の具体的な一例に関する詳細な説明は省略する。
なお、上述した第1の動作(第1の動作の変形例も含む)および第2の動作では、データ通信装置10に備えた閾値情報記憶部122に、物理量の閾値が記憶されているものとして説明した。しかし、上述したように、閾値情報記憶部122には、種々のタイミングで物理量の閾値を予め設定することができる。上述したように、物理量の閾値は、例えば、データ通信装置10の生産過程や、データ通信装置10を出荷するときに、初期値として閾値情報記憶部122に記憶させることができる。また、上述したように、物理量の閾値は、例えば、データ通信装置10を設備1に設置するときに、作業員が操作する不図示の端末装置や、クラウドコンピューティングシステムにおけるサーバ装置や記憶装置としての機能を備えている上位システム50など、データ通信装置10の外部から、初期値として閾値情報記憶部122に記憶させることもできる。しかし、閾値情報記憶部122に記憶された物理量の閾値は、実際の設備1に適合していない閾値である場合もある。ここで、閾値情報記憶部122に記憶させた物理量の閾値が実際の設備1に適合していない原因としては、例えば、初期値として余裕(マージン)を持たせすぎてしまった場合や、設備1の保守(メンテナンス)や部品の交換などによって状態が変化して振動が少なくなった場合など、様々な要因が考えられる。このため、データ通信装置10は、予め定めたタイミングで、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値を更新する構成にすることが考えられる。これにより、データ通信装置10において、閾値情報記憶部122に記憶された物理量の閾値を、実際の設備1に適合した閾値とすることができる。
<第3の動作>
続いて、データ通信装置10の第3の動作について説明する。第3の動作では、データ通信装置10が、上述した第1の動作の処理(物理量を取得する処理、物理量を判定する処理、測定データを生成する処理、測定データを送信する処理、および測定タイミングを設定する処理)に加えて、閾値を更新する処理を、物理量を判定する処理の判定結果に応じて実行する。また、第3の動作は、データ通信装置10が、上述した第2の動作の処理(上述した第1の動作の処理および設備停止情報を送信する処理)に加えて、閾値を更新する処理を、物理量を判定する処理の判定結果に応じて実行することもできる。なお、第3の動作において加えられた閾値を更新する処理は、データ通信装置10に備えたデータ処理部120が実行する。このため、第3の動作を行うデータ通信装置10の概略構成は、図2に示したデータ通信装置10と同様である。従って、第3の動作を行うデータ通信装置10の概略構成に関する詳細な説明は省略する。
図8は、本発明の実施形態のデータ通信装置10がデータを送信する第3の動作における処理手順の一例を示したフローチャートである。図8には、図6に示した第2の動作の処理のフローチャートに、閾値を更新する処理を加えた場合のフローチャートを示している。図8に示した第3の動作の処理のフローチャートは、図6に示した第2の動作の処理のフローチャートにおいて、ステップS253とステップS160との間に、閾値を更新する処理が加えられているのみである。従って、以下の説明においては、図8に示した第3の動作の処理のフローチャート内のそれぞれの処理において、図6に示した第2の動作の処理のフローチャート内の処理と同一の処理には、同一のステップ番号を付与し、異なる処理についてのみを説明する。従って、以下の説明においては、図8に示した第3の動作の処理のフローチャートにおいて加えられた、閾値を更新する処理についてのみを説明する。
第3の動作では、設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信した後、データ処理部120が閾値を更新する処理を実行する。つまり、データ処理部120は、ステップS253において、無線送受信部130に設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信させた後、ステップS354において、閾値を更新する処理を行う。
閾値を更新する処理において、データ処理部120は、新たな物理量の閾値を、閾値情報記憶部122に記憶させる(ステップS354)。これにより、閾値情報記憶部122に記憶された物理量の閾値は、新たな物理量の閾値に更新される。そして、第3の動作では、以降の測定周期において、更新された物理量の閾値が用いられる。
以降、第3の動作でも、データ処理部120は、第2の動作と同様に、ステップS160以降の処理を行う。そして、第3の動作でも、データ処理部120は、ステップS100~ステップS160までの処理(ステップS354の処理を含む)を繰り返す。このとき、第3の動作では、データ処理部120が、更新された物理量の閾値を用いて、ステップS130の処理を行う。
ここで、データ通信装置10における第3の動作において物理量の閾値を更新する処理の一例について説明する。図9および図10は、本発明の実施形態のデータ通信装置10がデータを送信(測定データまたは設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信)する第3の動作において閾値情報記憶部122に記憶された物理量の閾値を更新する処理の一例を模式的に示した図である。図9および図10には、ほとんどの期間で設備1が停止している状態が継続していると判断した測定周期が3回連続した場合に、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値を更新する場合を示している。なお、図9は、閾値情報記憶部122に現在記憶されている物理量の閾値が大きいため、設備1が稼働している状態のときに取得した振動の大きさ(物理量)が、設備1が停止している状態のときに取得した物理量であると判断されてしまった場合に、物理量の閾値を更新する処理の一例を示している。また、図10は、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値を更新したことによって、閾値が小さくなりすぎ、設備1が停止している状態のときに取得した振動の大きさ(物理量)が、設備1が稼働している状態のときに取得した物理量であると判断されてしまうことを防止するように、物理量の閾値を更新する処理において更新する物理量の閾値に制限を設けた場合の一例を示している。
図9および図10においても、図4に示した第1の動作、図5に示した第1の動作の変形例、および図7に示した第2の動作と同様に、設備1(モータ11)の振動の大きさを縦軸とし、時間を横軸としたグラフによって、設備1の振動の大きさ(物理量)の時間的な変化の一例を、時間軸の方向に表している。また、図9および図10においても、図4に示した第1の動作、図5に示した第1の動作の変形例、および図7に示した第2の動作と同様に、設備1の振動の大きさの時間的な変化を、測定周期Tmの4周期分(測定周期Tm1~測定周期Tm4)示している。なお、図9および図10に示した設備1の振動の大きさの時間的な変化は、図4、図5、および図7において示した設備1の振動の大きさの時間的な変化と同様である。
また、図9および図10においても、図4、図5、および図7と同様に、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値の一例を示している。なお、図4、図5、および図7と同様に、「×印」によって、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、設備1が停止している状態であると判断されたことを表し、「○印」によって、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、設備1が稼働している状態であると判断されたことを表している。
なお、以下の説明においても、説明を容易にするため、データ処理部120が測定データを無線送受信部130に出力し、出力した測定データを送信するように指示することによって無線送受信部130がゲートウェイ装置30に測定データを送信する動作を、データ処理部120がゲートウェイ装置30に測定データを送信するものとして説明する。また、以下の説明においても、説明を容易にするため、データ処理部120が設備停止情報を無線送受信部130に出力し、出力した設備停止情報を送信するように指示することによって無線送受信部130がゲートウェイ装置30に設備停止情報を送信する動作を、データ処理部120がゲートウェイ装置30に設備停止情報を送信するものとして説明する。
図9に示した時間軸の方向に沿って、データ通信装置10における第3の動作において行う物理量の閾値を更新する処理の一例を説明する。まず、最初(1周期目)の測定周期Tm1の始まりのタイミングから、データ処理部120は、図8に示した第3の動作の処理のフローチャートに従って、1周期目の測定周期Tm1における第3の動作を行う。なお、図9においては、1周期目の測定周期Tm1におけるそれぞれの第3の動作は、図7に示した1周期目の測定周期Tm1におけるそれぞれの第2の動作と同様である。従って、1周期目の測定周期Tm1におけるそれぞれの第3の動作に関する詳細な説明は省略する。
図9に示したように、1周期目の測定周期Tm1では、それぞれの測定タイミングTrmの時間が経過したときにセンサ110が出力したそれぞれの振動の大きさが、閾値情報記憶部122に記憶されている現在の閾値よりも全て小さい。このため、データ処理部120は、1周期目の測定周期Tm1において、1回目の設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信する。
続いて、次(2周期目)の測定周期Tm2の始まりのタイミングから、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2における第3の動作を行う。図9に示したように、2周期目の測定周期Tm2では、4回目の測定タイミングTrm4の時間が経過したときにセンサ110が出力した振動の大きさは、設備1が停止している状態から稼働している状態に変化した振動の大きさである。このため、データ処理部120は、本来であれば、4回目の第3の動作のステップS130において、設備1が稼働している状態であると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信する。しかしながら、図9に示したように、閾値情報記憶部122に記憶されている現在の閾値は、4回目の第3の動作においてデータ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさよりも大きい。このため、データ処理部120は、4回目の第3の動作のステップS130において、設備1が停止している状態であると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信せずに、ステップS253において、再び次(2回目)の設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信してしまう。なお、図9においては、「△印」によって、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、本来であれば設備1が稼働している状態であると判断されるべきものが、設備1が停止している状態であると判断されてしまったことを表している。
続いて、次(3周期目)の測定周期Tm3の始まりのタイミングから、データ処理部120は、3周期目の測定周期Tm3における第3の動作を行う。図9に示したように、3周期目の測定周期Tm3でも、測定周期Tm3の始まりのタイミング、および以降の測定タイミングTrmの時間が経過したタイミングでセンサ110から取得したそれぞれの振動の大きさは、設備1が稼働している状態の振動の大きさである。しかしながら、閾値情報記憶部122に記憶されている現在の閾値は、設備1が稼働している状態であると判断する振動の大きさよりも大きい。このため、データ処理部120は、それぞれの第3の動作のステップS130において、設備1が停止している状態であると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信せずに、ステップS253において、再び次(3回目)の設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信してしまう。
そして、図9に示した第3の動作では、ほとんどの期間で設備1が停止している状態が継続していると判断した測定周期が3回連続した場合に、データ処理部120が、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値を更新する処理を実行する。つまり、第3の動作では、設備停止情報を3回連続してゲートウェイ装置30に送信した場合に、データ処理部120が、閾値を更新する処理を実行する。このため、第3の動作では、3回目の設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信した後、データ処理部120が、ステップS354において、閾値情報記憶部122に記憶された物理量の閾値を新たな物理量の閾値に更新する。このとき、データ処理部120は、現在の物理量の閾値に予め定めた割合を乗算して、新たな物理量の閾値とする。例えば、予め定めた割合が70%であった場合、データ処理部120は、現在の物理量の閾値の70%の値を、新たな物理量の閾値として閾値情報記憶部122に記憶させる。つまり、データ処理部120は、現在の物理量の閾値を30%小さくする。これにより、以降の測定周期Tmでは、データ処理部120が、30%小さい値に更新された閾値を用いて、それぞれの第3の動作を行う。
図9では、次(4周期目)の測定周期Tm4の始まりのタイミングでデータ処理部120が行った、4周期目の測定周期Tm4における1回目の第3の動作で、センサ110から取得した振動の大きさが閾値よりも大きくなった場合を示している。これにより、データ処理部120は、4周期目の測定周期Tm4における1回目の第3の動作のステップS130において、設備1が稼働している状態であると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信する。
このように、データ処理部120は、第3の動作において、設備停止情報を3回連続してゲートウェイ装置30に送信した後、閾値を更新する処理を実行する。これにより、第3の動作では、本来であれば設備1が稼働している状態であると判断されるべき振動の大きさが、設備1が停止している状態が継続しているものとして長い期間判断されてしまうのを防止することができる。つまり、第3の動作では、データ通信装置10における誤判断(誤動作)を防止することができる。
なお、例えば、実際に設備1が停止している状態が長い期間続いた場合、第3の動作においてデータ処理部120が閾値を更新する処理を続けていくと、閾値を小さくし続け、物理量の閾値が小さくなりすぎてしまうことも考えられる。これにより、設備1が停止している状態の物理量が、小さくなりすぎた物理量の閾値より大きくなって、本来であれば設備1が停止している状態であると判断されるべき振動の大きさが、設備1が稼働している状態であると判断されてしまうことも考えられる。このため、第3の動作における閾値を更新する処理では、図10に示したように、物理量の閾値を更新する際の制限(下限閾値)を設けて、更新した物理量の閾値が小さくなりすぎてしまうのを防止している。なお、第3の動作において設ける閾値の制限(下限閾値)は、センサ110が検出する物理量において、センサ110による検出誤差や外的要因の影響による変動(つまり、ノイズ成分)として一般的に考えることができる物理量に対して、予め定めた余裕(マージン)を持った値とする。
図10に示した時間軸の方向に沿って、データ通信装置10における第3の動作において更新した物理量の閾値が小さくなりすぎてしまうのを防止する処理の一例を説明する。図10は、最初(1周期目)の測定周期Tm1の始まりのタイミング、および以降の測定タイミングTrmの時間が経過したタイミングでセンサ110から取得したそれぞれの振動の大きさが、設備1が停止している状態の振動の大きさであり、連続した3回目の設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信した場合を示している。この場合、データ処理部120は、上述したように、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値を更新する処理を実行する。
ここで、データ処理部120が、仮に、上述したように、現在の物理量の閾値に予め定めた割合を乗算して新たな物理量の閾値とし、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値を更新した場合において、物理量の閾値が小さくなりすぎてしまい、更新された物理量の閾値が、センサ110が出力するノイズ成分の振動の大きさの範囲内になってしまった場合を考える。この場合、図10に示したように、次(2周期目)の測定周期Tm2の始まりのタイミングで行った1回目の第3の動作において、データ処理部120は、更新された物理量の閾値よりも大きい値の振動の大きさをセンサ110から取得することになる。すると、データ処理部120は、本来であれば、2周期目の測定周期Tm2における1回目の第3の動作のステップS130において、設備1が停止している状態であると判断されるべき振動の大きさを、設備1が稼働している状態であると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信してしまう。つまり、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2の始まりのタイミングで、設備1が停止している状態の測定データをゲートウェイ装置30に誤って送信(誤送信)してしまう。なお、図10においては、「□印」によって、データ処理部120がセンサ110から取得した振動の大きさが、本来であれば設備1が停止している状態であると判断されるべきものが、設備1が稼働している状態であると判断されてしまったことを表している。
しかしながら、第3の動作では、図10に示したように、データ処理部120が物理量の閾値を更新する際に制限(下限閾値)を設けている。このため、データ処理部120は、最初(1周期目)の測定周期Tm1において、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値を更新する処理を実行したときに、新たな物理量の閾値を下限閾値とする。これにより、第3の動作では、図10に示したように、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2の始まりのタイミングから、3回目の測定タイミングTrm3の時間が経過したタイミングまでに行う、1回目から3回目までの第3の動作のステップS130において、センサ110から取得した振動の大きさを、設備1が停止している状態であると判断し、図10の「□印」における誤送信を防止することができる。その後、図10に示したように、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2の4回目の第3の動作において、4回目の測定タイミングTrm4の時間が経過したときにセンサ110が出力した振動の大きさを、設備1が稼働している状態であると判断し、取得した振動の大きさを表す測定データをゲートウェイ装置30に送信する。つまり、データ処理部120は、2周期目の測定周期Tm2において、センサ110が出力した振動の大きさを正しく判断して、本来送信すべき測定データをゲートウェイ装置30に送信する。
このように、第3の動作では、閾値を更新する処理においてデータ処理部120が更新する物理量の閾値に、制限(下限閾値)を設ける。これにより、第3の動作では、本来であれば設備1が停止している状態であると判断されるべき振動の大きさが、設備1が稼働している状態であると判断されてしまうのを防止することができる。つまり、第3の動作では、図9の動作で物理量の閾値を更新することによって招いてしまうことが考えられる、データ通信装置10における誤った判断(誤動作)を防止することができる。
なお、第3の動作では、図9および図10を用いて、閾値情報記憶部122に記憶されている物理量の閾値を小さくしていき、物理量の下限閾値で更新する物理量の閾値に制限を設ける方法を、データ処理部120が実行する閾値を更新する処理の一例として説明した。しかし、データ処理部120が実行する閾値を更新する処理は、図9および図10を用いて説明した方法に限定されるものではなく、様々な方法が考えられる。例えば、データ処理部120は、複数の測定周期Tmの始まりのタイミングやそれぞれの測定タイミングTrmでセンサ110から取得したそれぞれの物理量を閾値情報記憶部122に一旦記憶しておき、予め定めた数の物理量の中で、最大値と最小値との差が予め定めた閾値以上の場合に、最大値と最小値との中間値の物理量を、新たな物理量の閾値として更新してもよい。なお、この場合も、データ処理部120は、更新する物理量の閾値に制限(下限閾値)を設けてもよい。また、データ処理部120は、最小値の代わりに物理量の閾値の制限(下限閾値)を用いてもよい。
また、第3の動作では、データ処理部120が、3回連続して設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信した後に、閾値を更新する処理を行う場合について説明した。しかし、データ処理部120が閾値を更新する処理を開始するタイミングは、上述したように、3回連続して設備停止情報を送信した後に限定されるものではない。例えば、データ処理部120は、設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信するごと、つまり、それぞれの測定周期ごとに閾値を更新する処理を行ってもよいし、2回または3回よりも多くの回数連続して設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信した後に閾値を更新する処理を行ってもよい。また、データ処理部120は、設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信せず、現在の測定周期のほとんどの期間で設備1が停止している状態が継続していると判断した回数を計数し、計数した回数が予め定めた回数を満足する場合に、閾値を更新する処理を行ってもよい。より具体的には、図3に示した第1の動作の処理のフローチャートにおいて、ステップS151とステップS160との間に、閾値を更新する処理(ステップS354)が加えられている処理手順とし、データ処理部120は、ステップS354に進んできた回数を計数する。そして、データ処理部120は、ステップS354に進んできた回数が予め定めた回数に満たない場合には、処理をステップS160に進める。一方、データ処理部120は、ステップS354に進んできた回数が予め定めた回数を満足する場合には、ステップS354において、閾値を更新する処理を実行する。これにより、データ通信装置10は、設備停止情報をゲートウェイ装置30に送信しない分、第3の動作よりも電池140の消費を抑えることができる。
なお、第3の動作では、図9および図10によって、図7に示した第2の動作、つまり、図5に示した第1の動作の変形例の動作でセンサ110が出力した物理量を判定する場合において、データ処理部120が閾値を更新する処理を実行する場合について説明した。しかし、データ処理部120は、図4に示した第1の動作でセンサ110が出力した物理量を判定する場合においても、閾値を更新する処理を実行することができる。この場合において、データ処理部120が、図9および図10に示した方法で閾値を更新する処理を実行する一例は、図9および図10に示した閾値を更新する方法一例から容易に考えることができる。従って、データ処理部120が、図4に示した第1の動作でセンサ110が出力した物理量を判定する場合において、図9および図10に示した方法と同様の方法で閾値を更新する処理を実行する一例に関する詳細な説明は省略する。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、データ通信装置は、プラントの通常の操業において稼働している状態と停止している状態とがある設備(間欠的に動作する設備)において、設備が稼働している状態のときに、測定周期のタイミングごとに、センサが検出した物理量を表す測定データを無線通信によって(ゲートウェイ装置を介して)上位システムに送信する。一方、本発明を実施するための形態によれば、データ通信装置は、設備が停止している状態のときには、センサが検出した物理量を表す測定データを無線通信によって(ゲートウェイ装置を介して)上位システムに送信しない。これにより、本発明を実施するための形態では、データ通信装置が測定データを無線通信によって(ゲートウェイ装置を介して)上位システムに送信する際に要する、搭載した電池の消費を抑えることができる。
また、本発明を実施するための形態によれば、データ通信装置は、設備が停止している状態のときに、予め定めた測定タイミングごとにセンサが検出した物理量を再度取得する(言い換えれば、設備の物理量を再測定する)。これにより、本発明を実施するための形態では、データ通信装置が、同じ測定周期内で設備が停止している状態から稼働している状態に変化したタイミングに対してなるべく早い測定タイミングのときに、センサから取得した物理量を表す測定データを無線通信によって(ゲートウェイ装置を介して)上位システムに送信することができる。
これらのことにより、本発明を実施するための形態では、データ通信装置を利用したプラントにおいて、データ通信装置に搭載した電池の省電力化を図り、電池が切れるまでの時間(電池寿命)を長くして、データ通信装置の保守(メンテナンス)を行う周期を長くすることができると共に、上位システムが、従来の電池駆動型の現場機器を利用したプラントよりも詳細に、設備が稼働している状態を監視することができる。
また、本発明を実施するための形態によれば、データ通信装置は、現在の測定周期の期間のほとんどの期間、設備が停止している状態が継続している場合には、設備が停止している状態であると判断したことを表す設備停止情報を無線通信によって(ゲートウェイ装置を介して)上位システムに送信する。これにより、本発明を実施するための形態では、データ通信装置を利用したプラントにおいて、上位システムが、データ通信装置から測定データが無線通信によって送信(ゲートウェイ装置によって中継)されてこない要因が、設備が停止している状態が長く続いていることによるものであるのか、データ通信装置の搭載した電池の電池切れやデータ通信装置の故障などの他の要因が発生しているのかを、容易に判断することができる。
また、本発明を実施するための形態によれば、データ通信装置は、設備が稼働している状態であるのか停止している状態であるのかを判断するための物理量の閾値を外部から設定することができる。そして、本発明を実施するための形態によれば、データ通信装置は、設定した物理量の閾値を、予め定めた値ずつ、設備に適合した閾値に更新する。これにより、本発明を実施するための形態では、データ通信装置は、仮に、最初に設定した物理量の閾値が実際の設備に適合していない閾値である場合であっても、プラントの操業を続けていく過程で、実際の設備に適合した閾値にすることができる。このことにより、本発明を実施するための形態では、データ通信装置を利用したプラントにおいて、上位システムは、無線通信によって本来送信されてくるべき設備の測定データを(ゲートウェイ装置を介して)得ることができる。
なお、例えば、物理量を取得する処理、物理量を判定する処理、測定データを生成する処理、測定データを送信する処理、測定タイミングを設定する処理、設備停止情報を送信する処理、および閾値を更新する処理など、図2において示したデータ通信装置10に備えたデータ処理部120が実行するそれぞれの処理を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態のデータ通信装置に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。