以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一又は類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
(1)情報配信システムの全体概略構成
図1は、実施形態に係る情報配信システム10の全体概略構成図である。情報配信システム10は、無線通信システム20と、外部ネットワーク30と、配信サーバ400と、配信エリア500を含む。
無線通信システム20は、5Gとして規定されるNew Radio(NR)に従った移動通信システムであり、ユーザ装置100_1, 100_2(以下、UE100_1, UE100_2)と、無線アクセスネットワーク200と、コアネットワーク300とを含む。なお、無線通信システム20は、Long Term Evolution(LTE)に従った移動通信システムであってもよい。無線通信システム20は、外部ネットワーク30を介して、配信サーバ400に接続されている。
本実施形態では、後述するように、コアネットワーク300又は配信サーバ400は、通信制御装置を構成し得る。
以下、UE100_1, UE100_2(図1)、UE100_1a, UE100_1b(図3)、UE100_1a, UE100_2a(図4)、UE100_11, UE100_12, UE100_13(図5及び図6)は全て同じ構成をとるので、これらの図面を用いて、具体例を説明する箇所を除いて、UE100としてまとめて説明する。
UE100は、車両に搭載されたUE、又は車両に乗車しているユーザのUEである。UE100は、無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300との間で、5Gとして規定されるNRに従った無線通信を実行する。なお、無線通信システム20がLTEに従った移動通信システムである場合には、UE100は、無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300との間で、LTEに従った無線通信を実行する。UE100は、配信エリア500に在圏し、無線アクセスネットワーク200にアクセスすることで、配信サーバ400から配信メッセージを受信する。
無線アクセスネットワーク200は、5Gとして規定されるNG-RANであり、UE100と無線通信を実行する無線アクセスネットワーク装置201_1, 201_2(例えばgNB)などによって構成される。なお、無線通信システム20がLTEに従った移動通信システムである場合には、無線アクセスネットワーク200は、3GPPにおいて規定されるEvolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN)である。この場合、無線アクセスネットワーク200は、UE100と無線通信を実行する無線アクセスネットワーク装置(例えばeNodeB)などによって構成される。無線アクセスネットワーク装置201_1は1つ以上のセル203_1を形成する。同様に、無線アクセスネットワーク装置201_2は1つ以上のセル203_2を形成する。なお、図1では、無線アクセスネットワーク装置201_1, 201_2のみが示されているが、無線アクセスネットワーク200は1つ以上の無線アクセスネットワーク装置を含み、各無線アクセスネットワーク装置は1つ以上のセルを形成する。無線アクセスネットワーク200には、コアネットワーク300が接続される。
コアネットワーク300は、外部ネットワーク30を介して、配信サーバ400に接続されている。コアネットワーク300は、5Gとして規定されるコアネットワークであり、コアネットワーク装置301などによって構成される。コアネットワーク装置301は、例えば、U-plane機能群とC-plane機能群とに分離されており、複数のノードから構成される。U-plane機能群は、User Plane Function(UPF)を有しており、U-plane処理に特化した機能を提供する。C-plane機能群は、Access and Mobility management Function(AMF)と、Session Management Function(SMF)とに分離される。AMFはモビリティ管理を行い、SMFはセッション管理を行う。また、C-plane機能群は、Unified Data Management(UDM)、Authentication Sever Function(AUSF)、Policy Control Function(PCF)などを有している。UDMは、加入者情報を保持し、ユーザの契約情報、認証情報及び在圏情報の管理を行う。AUSFは認証処理を行う。PCFはユーザデータ転送のQuality of Service(QoS)及び課金のための制御を行う。
なお、無線通信システム20がLTEに従った移動通信システムである場合には、コアネットワーク300は、3GPPにおいて規定されるEvolved Packet Core(EPC)である。この場合、コアネットワーク装置301は、Mobility Management Entity(MME)、Serving Gateway (S-GW)、Packet Data Network Gateway(P-GW)、Home Subscriber Server(HSS)、Policy and Charging Rules Function(PCRF)などの複数のノードから構成される。MMEはモビリティ管理及びセッション管理を行う。S-GWはユーザデータ転送を行う。P-GWはIPアドレスの割り当て及びS-GWへのパケットの転送などを行う。HSSは、加入者情報を保持し、ユーザの契約情報、認証情報及び在圏情報の管理を行う。PCRFは、ユーザデータ転送のQoS及び課金のための制御を行う。
配信サーバ400は、渋滞情報、事故情報、安全運転支援情報などの交通情報を配信する交通情報配信サーバである。配信サーバ400は、無線通信システム20を利用して、配信エリア500に在圏する配信対象のUE100に対して、配信メッセージを送信する。なお、配信サーバ400は、コアネットワーク300に直接接続されていてもよい。
配信エリア500は、配信サーバ400からの配信メッセージにより通知されるイベントの発生位置501によって規定されるエリアである。イベントの発生位置501は、例えば、交通渋滞の発生位置、交通事故の発生位置などである。配信エリア500として、例えば、交通事故により、道路の交差点で支障が生じており、その周辺エリアに交通情報を配信する必要がある場合には、イベントの発生位置501を中心にして円状に広がるエリアが設定される(図5参照)。また、配信エリア500として、道路の上り線で渋滞が発生している場合には、イベントの発生位置501を起点にして、道路の上り線の上流に向かって広がるエリアが設定される(図6参照)。図1では、配信エリア500は、複数のセル203_1, 203_2を含んでいる。
(2)情報配信システムの機能ブロック構成
次に、情報配信システム10の機能ブロック構成について説明する。具体的には、コアネットワーク300の機能ブロック構成及び配信サーバ400の機能ブロック構成について説明する。コアネットワーク300及び配信サーバ400のハードウェア構成については後述する。なお、コアネットワーク300の各機能は、コアネットワーク300内の装置又は複数の装置の組み合わせによって実現される。
また、以下、本実施形態における特徴に関連する部分についてのみ説明する。したがって、当該ネットワーク及びサーバは、本実施形態における特徴に直接関係しない他の機能ブロックを備えることは勿論である。
(2.1)コアネットワーク300
図2は、コアネットワーク300の機能ブロック構成図である。図2に示すように、コアネットワーク300は、受信部311、送信部313及び制御部315を備える。制御部315は、イベントの発生位置501及びUE100の位置に基づいて、UE100の優先度を設定する。送信部313は、設定された優先度に応じて、UE100に対して、配信メッセージを送信する。ここで、UE100の優先度は、イベントの発生位置501に基づいて設定される複数のエリアのうちUE100が位置するエリアに応じて設定される。
更に、送信部313及び制御部315は、次のように動作する:(1)制御部315は、UE100との間で確立された複数の論理接続のうち、UE100の優先度に対応する論理接続を特定し、送信部313は、特定された論理接続を利用して、UE100に対して、配信メッセージを送信する;(2)制御部315は、少なくとも、UE100が受信した配信メッセージに関する情報と、UE100に送信している間に損失された配信メッセージに関する情報と、所定の時間以上にキューイングされた配信メッセージに関する情報とのうち何れか1つに応じて、UE100の優先度を変更する。
図2に示すように、受信部311及び送信部313は、セッション通信部320及びネットワーク通信部330によって構成される。制御部315は、記憶部340、論理接続設定部350、優先度設定部360、メッセージ処理部370、キューイング部380及び状態検出部390によって構成される。
セッション通信部320は、5Gとして規定されるNRに従った無線通信を実行する。具体的には、セッション通信部320は、UE100及び無線アクセスネットワーク200とNRに従った無線信号を送受信する。セッション通信部320は、無線アクセスネットワーク200を介したUE100との通信に必要となるセッションを確立し、当該セッションを介した通信を実行する。なお、無線通信システム20がLTEに従った移動通信システムである場合には、セッション通信部320は、LTEに従った無線通信を実行する。
ネットワーク通信部330は、5Gとして規定されるNRに従った通信を実行する。具体的には、ネットワーク通信部330は、外部ネットワーク30とNRに従った信号を送受信する。なお、無線通信システム20がLTEに従った移動通信システムである場合には、ネットワーク通信部330は、LTEに従った通信を実行する。
記憶部340は各種情報を記憶する。記憶部340は、契約情報として、交通情報の配信を希望しているUE100を予め記憶していてもよい。
論理接続設定部350は、配信サーバ400からの指示により、無線アクセスネットワーク200を介して、配信エリア500内の配信対象のUE100との間で、複数の論理接続を事前に設定する処理を行う。論理接続は、例えば、コアネットワーク300とUE100との間で確立されるベアラ又は接続フローである。各論理接続には、優先度を割り当てられる。
図3は、優先度を有する論理接続の一例を示す。図3の例では、配信対象のUE100_1a及びUE100_1bが、無線アクセスネットワーク装置201_1配下のセル203_1に在圏している。この状態において、論理接続設定部350は、UE100_1a及びUE100_1bの各々とコアネットワーク300との間で、優先度を有する複数の論理接続を事前に設定する処理を行う。具体的には、論理接続設定部350は、配信サーバ400からの指示により、UE100_1aに対して、UE100_1aとコアネットワーク300との間で、優先度1を有する論理接続601と、優先度2を有する論理接続603と、優先度3を有する論理接続605を確立するように指示する。なお、優先度1は高優先度であり、優先度2は中優先度であり、優先度3は低優先度である。同様に、論理接続設定部350は、配信サーバ400からの指示により、UE100_1bに対して、UE100_1bとコアネットワーク300との間で、優先度1を有する論理接続611と、優先度2を有する論理接続613と、優先度3を有する論理接続615を確立するように指示する。
図4は、優先度を有する論理接続の一例を示す。図4の例では、配信対象のUE100_1a及びUE100_2aが、それぞれ無線アクセスネットワーク装置201_1配下のセル203_1及び無線アクセスネットワーク装置201_2配下のセル203_2に在圏している。この状態において、論理接続設定部350は、UE100_1a及びUE100_2aの各々とコアネットワーク300との間で、優先度を有する複数の論理接続を事前に設定する処理を行う。具体的には、論理接続設定部350は、配信サーバ400からの指示により、UE100_1aに対して、UE100_1aとコアネットワーク300との間で、優先度1を有する論理接続601と、優先度2を有する論理接続603と、優先度3を有する論理接続605を確立するように指示する。同様に、論理接続設定部350は、配信サーバ400からの指示により、UE100_2aに対して、UE100_2aとコアネットワーク300との間で、優先度1を有する論理接続621と、優先度2を有する論理接続623と、優先度3を有する論理接続625を確立するように指示する。
なお、UE100は、コアネットワーク300からの指示の代わりに、配信サーバ400からの直接指示により、コアネットワーク300との間で、優先度を有する複数の論理接続を確立してもよい。
コアネットワーク300がUE100の優先度を設定する場合、優先度設定部360は、イベントの発生位置501と配信対象のUE100の位置に基づいて、UE100の優先度を設定する。具体的には、UE100は、Global Positioning System(GPS)を用いて、UE100の位置を測定し、コアネットワーク300に対して、測定されたUE100の位置を周期的に報告する。報告されたUE100の位置は、予め記憶したUE100と関連付けられて、記憶部340に記憶される。
優先度設定部360は、UE100の優先度を設定する所定のタイミングで、後述するように、メッセージ処理部370から、配信メッセージに含まれるイベントの発生位置501に関する情報及び配信エリアに関する情報を受信する。優先度設定部360は、配信エリアに関する情報を参照して、記憶部340に記憶されたUE100のうち、配信エリアに在圏する配信対象のUE100を特定する。優先度設定部360は、イベントの発生位置501に関する情報と、特定されたUE100に関連付けられたUE100の位置とを参照して、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離を算出する。優先度設定部360は、算出した距離に基づいて、配信対象のUE100に対して、UE100の優先度を設定する。
なお、記憶部340が、セル単位でUE100の位置を記憶している場合には、優先度設定部360は、UE100が在圏するセル面の外周上の点のうち、イベントの発生位置501に最も近い点を抽出して、抽出された点をUE100の位置とみなす。優先度設定部360が、UE100の優先度を設定するタイミングは、例えば、コアネットワーク300が、配信サーバ400から配信メッセージを受信したタイミングである。
優先度設定部360は、UE100が搭載されている車両の速度を更に取得することができる場合には、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離の代わりに、取得した車両の速度で当該距離を割ることで得られる、イベントの発生位置501までの到達時間を算出してもよい。この場合、優先度設定部360は、イベントの発生位置501までの到達時間に基づいて、UE100の優先度を設定する。
図5は、UE100の優先度設定の一例を示す。図5の例では、イベントの発生位置501を中心にして、イベントの発生位置501とUE100の位置との距離、又はイベントの発生位置501までの到達時間に基づいて、UE100の優先度が同心円状に設定される。具体的には、優先度設定部360は、イベントの発生位置501から所定距離a、又はイベントの発生位置501までの所定到達時間a内の領域701に在圏しているUE100_11には、優先度1を割り当てる。同様に、優先度設定部360は、イベントの発生位置501から所定距離b、又はイベントの発生位置501までの所定到達時間b内の領域のうち、領域701を除いた領域703に在圏しているUE100_12には、優先度2を割り当てる。優先度設定部360は、イベントの発生位置501から所定距離c、又はイベントの発生位置501までの所定到達時間c内の領域のうち、領域701, 703を除いた領域705に在圏しているUE100_13には、優先度3を割り当てる。なお、この例では、配信エリア500は領域701, 703, 705によって形成される。
優先度設定部360は、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離、又はイベントの発生位置501までの到達時間に基づいて、UE100の優先度を設定する代わりに、例えば、イベントの発生位置501を起点にして、道路の上流に向かって複数のエリアを設定し、UE100が在圏するエリアに応じてUE100の優先度を設定してもよい。
図6は、UE100の優先度設定の一例を示す。図6の例では、イベントの発生位置501を起点にして、道路の上流に向かってエリア1~3が設定されており、イベントの発生位置501に近いエリア順に、優先度1~3が割り当てられている。具体的には、優先度設定部360は、エリア1の領域711に在圏しているUE100_11には優先度1を割り当てる。同様に、優先度設定部360は、エリア2の領域713に在圏しているUE100_12には優先度2を割り当てる。優先度設定部360は、エリア3の領域715に在圏しているUE100_13には優先度3を割り当てる。このように、優先度設定部360は、イベントの発生位置501に基づいて設定される複数のエリアのうち、UE100が在圏するエリアに応じて、UE100の優先度を設定することができる。なお、この例では、配信エリア500は領域711, 713, 715によって形成される。
優先度設定部360は、メッセージ処理部370に対して、設定したUE100の優先度を送信する。
メッセージ処理部370は、ネットワーク通信部330を介して、配信サーバ400から配信メッセージを受信する。イベントの発生位置501に関する情報及び配信エリアに関する情報が配信メッセージに含まれている場合、メッセージ処理部370は、配信メッセージを受信すると、配信メッセージに含まれるイベントの発生位置501に関する情報及び配信エリアに関する情報を抽出する。上述のように、メッセージ処理部370は、優先度設定部360に対して、抽出されたイベントの発生位置501に関する情報及び配信エリアに関する情報を送信し、優先度設定部360から、設定されたUE100の優先度を受信する。
UE100の優先度が配信メッセージに含まれており、コアネットワーク300がUE100の優先度を設定する必要がない場合には、メッセージ処理部370は、配信メッセージを受信すると、配信メッセージに含まれるUE100の優先度を抽出する。メッセージ処理部370は、配信メッセージからUE100の優先度を抽出する代わりに、配信サーバ400に対して、メッセージ配信用Application Programming Interface(API)を提供してもよい。この場合、配信サーバ400は、UE100の優先度のAPIに対して配信メッセージを登録して、メッセージ処理部370に対して、UE100の優先度を通知する。
メッセージ処理部370は、少なくとも無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300のうちの何れか一方の負荷状態に応じて、キューイング部380に配信メッセージをキューイングする。メッセージ処理部370は、UE100の優先度に応じて、UE100に対して、キューイングされた配信メッセージを送信する。コアネットワーク300とUE100との間で複数の論理接続が事前に設定されている場合には、メッセージ処理部370は、UE100の優先度に対応する論理接続を特定し、特定された論理接続を利用して、UE100の優先度に応じて、UE100に対して、キューイングされた配信メッセージを送信する。
メッセージ処理部370は、配信メッセージの受信時に、イベントの発生位置501に関する情報、配信エリアに関する情報、及びUE100の優先度が、当該配信メッセージに含まれていることを検出すると、これらの情報に基づいて、当該配信メッセージをユニキャスト及びマルチキャストのどちらで配信するかを判断してもよい。メッセージ処理部370は、判断した配信方法により、UE100に対して、配信メッセージを送信する。
キューイング部380は、メッセージ処理部370から配信メッセージを受信すると、UE100の優先度に応じた配信メッセージの送信が行われるまで、配信メッセージをキューイングする。メッセージ処理部370は、同一宛先の複数の配信メッセージがキューイング部380でキューイングされていることを検出すると、当該複数の配信メッセージの識別子が同一の場合には、最新の配信メッセージのみを残し、それ以外の古い配信メッセージを削除してもよい。配信メッセージの識別子は、例えば、メッセージ種別、メッセージIDなどである。メッセージ処理部370は、配信メッセージがキューイング部380にキューイングされている時間に応じて、優先度設定部360に対して、当該配信メッセージの宛先であるUE100の優先度を変更するように要求してもよい。
状態検出部390は、少なくとも無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300のうちの何れか一方の負荷状態に基づいて、ネットワーク通信部330を介して、受入可能情報を配信サーバ400に通知する。具体的には、状態検出部390は、セッション通信部320を介して、無線アクセスネットワーク200から輻輳状態、ネットワーク障害、性能などの負荷状態を通知されると、無線アクセスネットワーク200が受付可能な配信メッセージの数、帯域などを算出する。状態検出部390は、受付可能情報として、算出した配信メッセージの数、帯域などを配信サーバ400に通知する。
同様に、状態検出部390は、コアネットワーク300の輻輳状態、ネットワーク障害、性能などの負荷情報を検出すると、コアネットワーク300が受付可能な配信メッセージの数、帯域などを算出する。状態検出部390は、受付可能情報として、算出した配信メッセージの数、帯域などを配信サーバ400に通知する。
状態検出部390は、所定のエリア毎、無線アクセスネットワーク装置毎、又はセル毎に、配信サーバ400に対して、受付可能情報を通知してもよい。状態検出部390は、配信サーバ400から問い合わせを受けると、配信サーバ400に対して、受付可能情報を通知してもよい。状態検出部390は、算出した配信メッセージの数又は帯域が、コアネットワーク300と配信サーバ400との間で事前に設定された配信メッセージの数又は帯域と異なる場合のみ、配信サーバ400に対して、受付可能情報を通知してもよい。状態検出部390は、優先度、許容遅延などの指標毎に、受付可能情報を通知してもよい。
状態検出部390は、少なくとも、UE100が受信した配信メッセージに関する情報と、UE100に送信している間に損失された配信メッセージに関する情報と、所定時間以上、キューイング部380でキューイングされた配信メッセージに関する情報とのうち何れか1つを、配信サーバ400に報告する。
(2.2)配信サーバ400
図7は、配信サーバ400の機能ブロック構成図である。図7に示すように、配信サーバ400は、受信部411、送信部413及び制御部415を備える。制御部415は、イベントの発生位置501及びUE100の位置に基づいて、UE100の優先度を設定する。送信部413は、設定された優先度に応じて、UE100に対して、配信メッセージを送信する。ここで、UE100の優先度は、イベントの発生位置501に基づいて設定される複数のエリアのうちUE100が位置するエリアに応じて設定される。また、制御部315は、少なくとも、UE100が受信した配信メッセージに関する情報と、UE100に送信している間に損失された配信メッセージに関する情報と、所定の時間以上にキューイングされた配信メッセージに関する情報とのうち何れか1つに応じて、UE100の優先度を変更する。
図7に示すように、受信部411及び送信部413は、ネットワーク通信部420によって構成される。制御部415は、記憶部430、優先度設定部440、メッセージ処理部450、キューイング部460及び状態検出部470によって構成される。
ネットワーク通信部420は、コアネットワーク300を通じて、無線通信システム20との間で通信を実行する。記憶部430は、各種情報を記憶する。記憶部430は、契約情報として、交通情報の配信を希望しているUE100を予め記憶してもよい。
配信サーバ400がUE100の優先度を設定する場合、優先度設定部440は、イベントの発生位置501と配信対象のUE100の位置に基づいて、UE100の優先度を設定する。具体的には、配信サーバ400は、配信エリア内の道路に設置された複数の検出器を用いて、イベントの発生位置501及びUE100の位置を取得すると、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離に基づいて、配信エリアに在圏する配信対象のUE100に対して、UE100の優先度を設定する(図5参照)。
優先度設定部440は、UE100が搭載されている車両の速度を更に取得することができる場合には、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離の代わりに、取得した車両の速度で当該距離を割ることで得られる、イベントの発生位置501までの到達時間を算出してもよい。この場合、優先度設定部360は、イベントの発生位置501までの到達時間に基づいて、UE100の優先度を設定する(図5参照)。優先度設定部440は、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離、又はイベントの発生位置501までの到達時間に基づいて、UE100の優先度を設定する代わりに、例えば、イベントの発生位置501を起点にして、道路の上流に向かって複数のエリアを設定し、UE100が在圏するエリアに応じてUE100の優先度を設定してもよい(図6参照)。
優先度設定部440は、メッセージ処理部450に対して、設定したUE100の優先度を送信する。
メッセージ処理部450は、イベントの発生に応じて、配信エリアに在圏する配信対象のUE100に送信される配信メッセージを生成する。配信メッセージは、配信内容に加えて、イベントの発生位置501に関する情報及び配信エリアに関する情報を含んでいてもよい。メッセージ処理部450は、優先度設定部440からUE100の優先度を受信すると、配信メッセージの配信内容、又は配信メッセージの配信内容とイベントの発生位置501に関する情報と配信エリアに関する情報に対して、UE100の優先度を更に含める。
メッセージ処理部450は、少なくとも無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300のうちの何れか一方の負荷状態に応じて、キューイング部460に配信メッセージをキューイングする。具体的には、メッセージ処理部450は、コアネットワーク300の状態検出部390から通知された受入可能情報に応じて、キューイング部460に配信メッセージをキューイングする。メッセージ処理部450は、移動通信ネットワークを利用して、UE100の優先度に応じて、UE100に対して、キューイングされた配信メッセージを送信する。
状態検出部470は、コアネットワーク300の状態検出部390から、配信メッセージに関する情報を取得すると、優先度設定部440に対して、当該配信メッセージの配信先UE100の優先度を再設定するように指示する。優先度設定部440は、メッセージ処理部450に対して、再設定したUE100の優先度を送信する。メッセージ処理部450は、再設定したUE100の優先度を受信すると、配信メッセージに対して、再設定したUE100の優先度を含めて、当該配信メッセージを再送する。配信メッセージに関する情報は、例えば、UE100が受信した配信メッセージに関する情報、UE100に送信している間に損失された配信メッセージに関する情報、所定時間以上、コアネットワーク300のキューイング部308でキューイングされた配信メッセージに関する情報などである。
(3)情報配信システムの動作
次に、情報配信システム10の動作について説明する。なお、コアネットワーク300の各処理は、コアネットワーク300内の装置又は複数の装置の組み合わせで行われる。
(3.1)配信処理
図8は、配信処理フローを示す。本処理では、コアネットワーク300がUE100の優先度を設定し、配信メッセージのキューイングを行う。なお、コアネットワーク300は、配信エリアに在圏する配信対象のUE100の位置を事前に記憶している。
図8に示すように、コアネットワーク300は、配信サーバ400から配信メッセージを受信する(S10)。コアネットワーク300は、配信メッセージがUE100の優先度を含んでおらず、かつ、イベントの発生位置501に関する情報及び配信エリアに関する情報を含んでいることを検出すると、UE100の優先度設定を行う(S20)。
コアネットワーク300は、少なくとも無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300のうちの何れか一方の負荷状態に応じて、配信メッセージをキューイングする(S30)。コアネットワーク300は、キューイングされた配信メッセージのうち、UE100の優先度が高いUE100から順に、ユニキャストで配信メッセージを送信する(S40)。
(3.1.1)動作例1
図9は、動作例1に係る、情報配信システム10の配信処理シーケンスを示す。
配信サーバ400は、コアネットワーク300に対して、イベントの発生位置501に関する情報及び配信エリアに関する情報を含む配信メッセージを送信する(S100)。コアネットワーク300は、配信メッセージを受信すると、イベントの発生位置501に関する情報及び配信エリアに関する情報を参照して、配信対象のUE100に対するUE100の優先度設定を行う(S110)。
具体的には、コアネットワーク300は、配信エリアに関する情報を参照して、配信エリアに在圏する配信対象のUE100を特定する。コアネットワーク300は、イベントの発生位置501に関する情報と、特定されたUE100に関連付けられたUE100の位置とを参照して、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離を算出する。コアネットワーク300は、算出した距離に基づいて、配信対象のUE100に対して、UE100の優先度を設定する。
上述したように、UE100の優先度は、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離に限定されず、イベントの発生位置501までの到達時間、又はイベントの発生位置501に基づいて設定される複数のエリアのうち、UE100が在圏するエリアに基づいて設定されてもよい。なお、UE100の優先度について、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離が短いUE100、イベントの発生位置501までの到達時間が短いUE100、UE100が在圏するエリアがイベントの発生位置501に近いUE100に対して、高い優先度が設定される(図5及び図6参照)。
コアネットワーク300は、少なくとも無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300のうちの何れか一方の負荷状態に応じて、配信メッセージをキューイングする(S120)。ここで、コアネットワーク300は、同一宛先の複数の配信メッセージがキューイングされていることを検出すると、当該複数の配信メッセージの識別子が同一の場合には、最新の配信メッセージのみを残し、それ以外の古い配信メッセージを削除してもよい。また、コアネットワーク300は、配信メッセージがキューイングされている時間に応じて、当該配信メッセージの宛先であるUE100の優先度を変更してもよい。
コアネットワーク300は、キューイングされた配信メッセージのうち、UE100の優先度が高いUE100から順に、ユニキャストで配信メッセージを送信する(S130)。
(3.2)配信処理の第1変形例
図10は、配信処理フローの第1変形例を示す。本処理では、配信サーバ400がUE100の優先度を設定し、コアネットワーク300が配信メッセージのキューイングを行う。
図10に示すように、コアネットワーク300は、配信サーバ400から配信メッセージを受信する(S200)。コアネットワーク300は、配信メッセージがUE100の優先度を含んでいることを検出すると、少なくとも無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300のうちの何れか一方の負荷状態に応じて、配信メッセージをキューイングする(S210)。コアネットワーク300は、キューイングされた配信メッセージのうち、UE100の優先度が高いUE100から順に、ユニキャストで配信メッセージを送信する(S220)。
(3.2.1)動作例1
図11は、動作例1に係る、情報配信システム10の配信処理シーケンスの第1変形例を示す。
図11に示すように、配信サーバ400は、UE100の優先度設定を行う(S300)。具体的には、配信サーバ400は、配信エリア内の道路に設置された複数の検出器を用いて、イベントの発生位置501及びUE100の位置を取得すると、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離に基づいて、配信エリアに在圏する配信対象のUE100に対して、UE100の優先度を設定する。
上述したように、UE100の優先度は、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離に限定されず、イベントの発生位置501までの到達時間、又はイベントの発生位置501に基づいて設定される複数のエリアのうち、UE100が在圏するエリアに基づいて設定されてもよい。なお、UE100の優先度について、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離が短いUE100、イベントの発生位置501までの到達時間が短いUE100、UE100が在圏するエリアがイベントの発生位置501に近いUE100に対して、高い優先度が設定される(図5及び図6参照)。
配信サーバ400は、コアネットワーク300に対して、UE100の優先度を有する配信メッセージを送信する(S310)。コアネットワーク300は、少なくとも無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300のうちの何れか一方の負荷状態に応じて、配信メッセージをキューイングする(S320)。
ここで、コアネットワーク300は、同一宛先の複数の配信メッセージがキューイングされていることを検出すると、当該複数の配信メッセージの識別子が同一の場合には、最新の配信メッセージのみを残し、それ以外の古い配信メッセージを削除してもよい。また、コアネットワーク300は、配信メッセージがキューイングされている時間に応じて、当該配信メッセージの宛先であるUE100の優先度を変更してもよい。
コアネットワーク300は、キューイングされた配信メッセージのうち、UE100の優先度が高いUE100の順に、ユニキャストで配信メッセージを送信する(S330)。
(3.3)配信処理の第2変形例
図12は、配信処理フローの第2変形例を示す。本処理では、コアネットワーク300が、優先度を有する論理接続を利用して、UE100の優先度に応じた配信メッセージの送信を行う。
図12に示すように、コアネットワーク300は、図8のS30の処理及び図10のS210の処理と同様に、少なくとも無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300のうちの何れか一方の負荷状態に応じて、配信メッセージをキューイングする(S400)。コアネットワーク300は、コアネットワーク300が設定したUE100の優先度、又は配信サーバ400が設定したUE100の優先度(配信メッセージに含まれるUE100の優先度)に対応する論理接続を特定する(S410)。コアネットワーク300は、特定した論理接続を利用して、キューイングされた配信メッセージのうち、UE100の優先度が高いUE100から順に、ユニキャストで配信メッセージを送信する(S420)。
(3.3.1)動作例1
図13は、動作例1に係る、情報配信システム10の配信処理シーケンスの第2変形例を示す。
図13に示すように、コアネットワーク300は、少なくとも無線アクセスネットワーク200及びコアネットワーク300のうちの何れか一方の負荷状態に応じて、配信メッセージをキューイングする(S500)。コアネットワーク300は、コアネットワーク300が設定したUE100の優先度、又は配信サーバ400が設定したUE100の優先度(配信メッセージに含まれるUE100の優先度)に対応する論理接続を特定する(S510)。
具体的には、コアネットワーク300は、UE100の優先度が優先度1(高優先度)の場合、コアネットワーク300とUE100との間で確立された複数の論理接続のうち、優先度1(高優先度)を有する論理接続を特定する。同様に、具体的には、コアネットワーク300は、UE100の優先度が優先度2(中優先度)の場合、コアネットワーク300とUE100との間で確立された複数の論理接続のうち、優先度2(中優先度)を有する論理接続を特定する。コアネットワーク300は、UE100の優先度が優先度3(低優先度)の場合、コアネットワーク300とUE100との間で確立された複数の論理接続のうち、優先度3(低優先度)を有する論理接続を特定する。
コアネットワーク300は、特定した論理接続を利用して、キューイングされた配信メッセージのうち、UE100の優先度が高いUE100から順に、ユニキャストで配信メッセージを送信する(S520)。
(3.4)配信処理の第3変形例
図14は、配信処理フローの第3変形例を示す。本処理では、配信サーバ400がUE100の優先度を設定し、配信メッセージのキューイングを行う。
図14に示すように、配信サーバ400は、イベントの発生に応じて、配信エリアに在圏する配信対象のUE100に送信される配信メッセージを生成する際に、UE100の優先度設定を行う(S600)。配信サーバ400は、コアネットワーク300から通知された受入可能情報に応じて、配信メッセージをキューイングする(S610)。配信サーバ400は、移動通信ネットワークを利用して、キューイングされた配信メッセージのうち、UE100の優先度が高いUE100から順に、ユニキャストで配信メッセージを送信する(S620)。
(3.4.1)動作例1
図15は、動作例1に係る、情報配信システム10の配信処理シーケンスの第3変形例を示す。
図15に示すように、配信サーバ400は、イベントの発生に応じて、配信エリアに在圏する配信対象のUE100に送信される配信メッセージを生成する際に、UE100の優先度設定を行う(S700)。
具体的には、配信サーバ400は、配信エリア内の道路に設置された複数の検出器を用いて、イベントの発生位置501及びUE100の位置を取得すると、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離に基づいて、配信エリアに在圏する配信対象のUE100に対して、UE100の優先度を設定する。
上述したように、UE100の優先度は、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離に限定されず、イベントの発生位置501までの到達時間、又はイベントの発生位置501に基づいて設定される複数のエリアのうち、UE100が在圏するエリアに基づいて設定されてもよい。なお、UE100の優先度について、イベントの発生位置501とUE100の位置との間の距離が短いUE100、イベントの発生位置501までの到達時間が短いUE100、UE100が在圏するエリアがイベントの発生位置501に近いUE100に対して、高い優先度が設定される(図5及び図6参照)。
配信サーバ400は、コアネットワーク300から通知された受入可能情報に応じて、配信メッセージをキューイングする(S710)。なお、受入可能情報に応じた配信メッセージのキューイングについては、別途、図16を用いて詳細に説明する。配信サーバ400は、移動通信ネットワークを利用して、キューイングされた配信メッセージのうち、UE100の優先度が高いUE100から順に、ユニキャストで配信メッセージを送信する(S720)。コアネットワーク300は、配信サーバ400から配信メッセージを受信すると、受信した順に、UE100に対して、ユニキャストで配信メッセージを送信する。
(3.5)負荷処理
図16は、情報配信システム10による負荷処理シーケンスを示す。本処理では、配信サーバ400が、コアネットワーク300から通知された受入可能情報に応じて、配信メッセージのキューイングを行う。
図16に示すように、無線アクセスネットワーク200は、コアネットワーク300に対して、輻輳状態、ネットワーク障害、性能などの負荷状態を通知する(S800)。なお、無線アクセスネットワーク200が、コアネットワーク300に対して、負荷状態を通知できない場合には、S800の処理は行われない。
コアネットワーク300は、無線アクセスネットワーク200から負荷状態を通知されると、無線アクセスネットワーク200が受付可能な配信メッセージの数、帯域などを算出する。同様に、コアネットワーク300は、コアネットワーク300の輻輳状態、ネットワーク障害、性能などの負荷状態を検出すると、コアネットワーク300が受付可能な配信メッセージの数、帯域などを算出する。コアネットワーク300は、受入可能情報として、算出した配信メッセージの数、帯域などを配信サーバ400に通知する(S810)。
なお、コアネットワーク300は、所定のエリア毎、無線アクセスネットワーク装置毎、又はセル毎に、配信サーバ400に対して、受付可能情報を通知してもよい。コアネットワーク300は、配信サーバ400から問い合わせを受けると、配信サーバ400に対して、受付可能情報を通知してもよい。コアネットワーク300は、算出した配信メッセージの数又は帯域が、コアネットワーク300と配信サーバ400との間で事前に設定された配信メッセージの数又は帯域と異なる場合のみ、配信サーバ400に対して、受付可能情報を通知してもよい。コアネットワーク300は、優先度、許容遅延などの指標毎に、受付可能情報を通知してもよい。
配信サーバ400は、コアネットワーク300から通知された受入可能情報に応じて、配信メッセージをキューイングする(S820)。配信サーバ400は、受入可能情報により、移動通信ネットワークの混み具合を認識することができ、例えば、移動通信ネットワークが受入可能な配信メッセージの数及び帯域が少ない場合には、配信サーバ400側で配信メッセージのキューイングを行い、移動通信ネットワークが受入可能な配信メッセージの数及び帯域が多い場合には、コアネットワーク300側で配信メッセージのキューイングを行わせるといった判断を行うことができる。
(3.6)優先度再設定処理
図17は、情報配信システム10によるUE100の優先度再設定処理シーケンスを示す。本処理では、配信サーバ400が、コアネットワーク300から通知された配信メッセージに関する情報に応じて、UE100の優先度を再設定する。これにより、時間の経過とともに、UE100のイベントの発生位置501までの距離又は到達時間の変更に合せて、UE100の優先度も変更することができる。
図17に示すように、コアネットワーク300は、配信メッセージに関する情報を取得する(S900)。具体的には、コアネットワーク300は、配信メッセージを送信した各UE100から配信送達確認を受信したか否かを判断し、UE100が受信した配信メッセージに関する情報、UEが受信していない配信メッセージに関する情報(すなわち、UE100に送信している間に損失された配信メッセージに関する情報)を取得する。コアネットワーク300は、所定時間以上、コアネットワーク300でキューイングされた配信メッセージに関する情報を取得する。
コアネットワーク300は、所定期間に渡って、配信メッセージに関する情報を取得すると、配信サーバ400に対して、取得した配信メッセージに関する情報を通知する(S910)。なお、配信サーバ400に通知される配信メッセージに関する情報は、少なくとも、UE100が受信した配信メッセージに関する情報と、UE100に送信している間に損失された配信メッセージに関する情報と、所定時間以上、コアネットワーク300でキューイングされた配信メッセージに関する情報とのうち何れか1つであればよい。
配信サーバ400は、配信メッセージに関する情報を通知されると、当該配信メッセージの配信先UE100の優先度を再設定する(S920)。例えば、当該配信メッセージの配信先UE100の優先度が低優先度に設定されて、当該UE100に送信されていたとしても、コアネットワーク300にキューイングされている間に、当該UE100はイベントの発生位置501に接近している可能性があるため、当該配信メッセージを再送する場合、優先度を上げて再送する必要がある。このため、配信サーバ400は、当該UE100の優先度を、優先度3(低優先度)から優先度2(中優先度)又は優先度1(高優先度)に変更する。
配信サーバ400は、UE100の優先度を再設定すると、再設定したUE100の優先度を配信メッセージ含めて、コアネットワークに対して、当該配信メッセージを再送する(S930)。なお、コアネットワーク300がUE100の優先度を設定している場合には、コアネットワーク300がUE100の優先度を再設定する。
(3.7)配信方法決定処理
図18は、情報配信システム10による配信方法決定処理シーケンスを示す。本処理では、コアネットワーク300が、配信メッセージをユニキャスト及びマルチキャストのどちらで配信するかを判断する。
図18に示すように、配信サーバ400は、コアネットワーク300に対して、配信メッセージを送信する(S1000)。コアネットワーク300は、配信メッセージの受信時に、イベントの発生位置501に関する情報、配信エリアに関する情報及びUE100の優先度が、当該配信メッセージに含まれていることを検出すると、これらの情報に基づいて、当該配信メッセージをユニキャスト及びマルチキャストのどちらで配信するかを判断する(S1010)。コアネットワーク300は、UE100に対して、ユニキャスト又はマルチキャストで配信メッセージを送信する(S1020)。
(4)作用・効果
上述した実施形態によれば、配信メッセージは、イベントの発生位置501及び配信対象のUE100の位置に基づいて設定されたUE100の優先度に応じて送信される。それゆえ、移動通信ネットワークは、イベントの発生位置501に近いUE100に対して、より確実に配信メッセージを送信することができる。結果として、交通事故などのイベントの発生位置501に近づいているUE100に対して、適切なタイミングで、交通情報などの配信メッセージを配信することができる。
UE100の優先度は、イベントの発生位置501に基づいて設定される複数のエリアのうち、UE100が位置するエリアに応じて設定される。それゆえ、イベントの発生位置501を起点にして、道路の上流に向かって広がるエリアに限定して、交通情報などの配信メッセージを配信することができるので、配信対象のUE100の数を抑えることができ、キューイングによる配信遅延を減らすことができる。
コアネットワーク300は、UE100との間で確立された複数の論理接続のうち、UE100の優先度に対応する論理接続を特定し、特定された論理接続を利用して、UE100に対して、配信メッセージを送信する。それゆえ、コアネットワーク300が、配信時にベアラを確立する場合と比較して、配信遅延を減らすことができる。
UE100の優先度は、UE100が受信した配信メッセージに関する情報と、UE100に送信している間に損失された配信メッセージに関する情報と、所定の時間以上にキューイングされた配信メッセージに関する情報とのうち何れか1つに応じて変更される。それゆえ、配信サーバ400が、UE100の優先度の変更を行う場合には、UE100から上位レイヤでのACK又はNACKの応答を待たずに、配信メッセージの再送を判断することができる。結果として、再配信遅延を減らすことができる。
また、コアネットワーク300が、UE100の優先度の変更を行う場合には、配信メッセージがキューイングされている時間に応じて、当該配信メッセージの配信先UE100の優先度を変更することができるため、時間の経過とともに、UE100のイベントの発生位置501までの距離又は到達時間の変更に合せて、UE100の優先度も変更することができる。結果として、配信遅延を減らすことができる。
(5)その他の実施形態
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
例えば、配信サーバ400は、交通情報を配信する交通情報配信サーバに限定されない。配信サーバ400は、例えば、気象情報などの一定のエリアで有効な配信メッセージを配信するサーバであればよい。
また、上述した実施形態では、通信制御装置の機能が、コアネットワーク300又は配信サーバ400において実現される例について説明したが、通信制御装置の機能は、コアネットワーク300及び配信サーバ400によって、統合的に実現されても構わない。例えば、通信制御装置の一部機能が、コアネットワーク300によって実現され、残りの機能が、配信サーバ400によって実現されてもよい。
また、上述した実施形態の説明に用いたブロック図(図2及び図7)は、機能ブロック図を示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
さらに、上述したコアネットワーク300及び配信サーバ400は、本発明の情報取得処理、位置特定処理、及び情報配信処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図19は、コアネットワーク300及び配信サーバ400のハードウェア構成の一例を示す図である。図19に示すように、コアネットワーク300及び配信サーバ400は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
コアネットワーク300及び配信サーバ400の各機能ブロック(図2及び図7参照)は、当該コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、又は当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)で構成されてもよい。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、上述した実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、情報の通知は、上述した実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC Connection Setupメッセージ、RRC Connection Reconfigurationメッセージなどであってもよい。
さらに、入出力された情報は、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報は削除されてもよい。入力された情報は他の装置へ送信されてもよい。
上述した実施形態におけるシーケンス及びフローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。
また、上述した実施形態において、コアネットワーク300及び配信サーバ400によって行われるとした特定動作は、他のネットワークノード(装置)によって行われることもある。また、複数の他のネットワークノードの組み合わせによってコアネットワーク300及び配信サーバ400の機能が提供されても構わない。
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、該当する記載がある場合、チャネル及び/又はシンボルは信号(シグナル)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用されてもよい。
さらに、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
基地局は、1つ又は複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。
「セル」又は「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び/又は基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部又は全体を指す。さらに、「基地局」、「セル」、及び「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
UE100は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
また、「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形の用語は、「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書或いは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本明細書で使用した「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
本明細書の全体において、例えば、英語でのa, an, 及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。