JP7059466B2 - 予測座標変動算出システム - Google Patents
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Description
(1)GNSSの観測結果に基づいて対象斜面の今後の変動を算出することから、担当者の主観に頼ることなく客観的に予測することができ、またAIによって予測することから、担当者による誤判断(ヒューマンエラー)を排除することができ適切な結果を得ることが期待できる。
(2)また、AIを利用した計算であるため極めて短時間で予測することができ、その結果、迅速に通行規制等の措置を取ることができる。
(3)斜面の性状を考慮したうえで今後の変動を予測することから、その斜面に適したより現実的な結果を得ることが期待できる。
本願発明の斜面安定度判定支援システムの第1の実施形態を、図に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態における本願発明の斜面安定度判定支援システム100の主な構成を示すブロック図である。また図2は、GNSSによる観測座標の時間変化(以下、時間変化のことを「変動」という。)を表すグラフ図であり、(a)は過去の一定期間に観測された観測座標の変動(以下、「実績座標変動」という。)を示すグラフ図、(b)は直近の観測期間に観測された観測座標の変動(以下、「観測座標変動」という。)を示すグラフ図、(c)は今後予測される観測座標の変動(以下、「予測座標変動」という。)を示すグラフ図である。
図1に示す学習用斜面データセット記憶手段112は、多数の学習用斜面データセット200を記憶する手段であり、この学習用斜面データセット200は、図3に示すように実績座標変動201と斜面性状データ202の組み合わせからなるものである。このうち実績座標変動201は、既述したとおり過去の一定期間(例えば、数ヶ月間~数年間)に観測された観測座標の変動(図2(a))の記録であり、一方の斜面性状データ202は、少なくとも地質情報と地形情報を含むものでその斜面の性状を表すものである。なお、ここでいう地質情報とは、当該斜面を構成する地質を示す情報であり、地形情報とは、数値標高モデル(DEM:Digital Elevation Model)や数値表層モデル(DSM:Digital Surface Model)、等高線、あるいは横断図や縦断図などによって当該斜面の形状を表す情報である。斜面性状データ202は、地質情報と地形情報のほか、盛土や切土、構造物の有無といった当該斜面の構造を示す構造情報などを含むものとすることもできる。学習用斜面データセット200は、図4に示すように実績座標変動201と斜面性状データ202に加え斜面分類データ203の組み合わせからなるものとすることもできる。ここで斜面分類とは、斜面性状に応じて分けられる区分のことであり、具体的には地質情報と地形情報(あるいは、これに加えて構造情報)の傾向が近似しているものをグループ化するための分類(クラス)である。なおこの斜面分類は、専門技術者等が斜面性状データ202に基づいて判断することで付与することができる。
図1に示す学習手段111は、学習用斜面データセット200を学習する手段であり、多数の学習用斜面データセット200をもとに変動モデルを生成する手段である。より具体的には、多数の学習用斜面データセット200を学習(例えば、ディープラーニング等)することによって、実績座標変動201と斜面性状データ202をパラメータとして予測座標変動(図2(c))を算出するためのモデル(以下、「変動モデル」という。)を生成する。ここで生成された変動モデルは、図1に示すように変動モデル記憶手段113に記憶される。
図1に示す予測手段121は、入力用斜面データセットに基づいて対象斜面の予測座標変動を算出する手段である。この入力用斜面データセット300は、図6に示すように観測座標変動301と斜面性状データ202の組み合わせからなるものであり、このうち観測座標変動301は、既述したとおり直近の観測期間(例えば、数日~数ヶ月)に観測された観測座標の変動(図2(b))の記録である。なお、当然ながら観測座標変動301と斜面性状データ202は対象斜面のものである。学習用斜面データセット200が斜面分類データ203を含む場合は、入力用斜面データセット300も観測座標変動301と斜面性状データ202に加え斜面分類データ203の組み合わせからなるものとするとよい。入力用斜面データセット300は、図1に示す入力用斜面データセット記憶手段122に記憶される。
通常、GNSSによって得られる観測座標は3次元座標であり、図7に示すように3次元座標を構成する成分ごとに座標変動を求めることが多い。例えば図7(a)では3成分のうち南北方向の変動を示しており、また図7(b)では東西方向の変動を、図7(c)では鉛直方向の変動をそれぞれ示している。したがって斜面安定度判定支援システム100においても、学習手段111が座標成分ごと(例えば、X軸,Y軸,Z軸ごと)に変動モデルを生成するとともに、予測手段121が座標成分ごとに予測座標変動を算出する仕様とすることができる。あるいは、斜面性状データ202と座標成分ごとの座標変動をすべて合わせて多次元のテンソルとして扱い、学習手段111が1の観測点に対して1の変動モデルを生成するとともに、予測手段121が1の観測点に対して1の予測座標変動を算出する仕様とすることもできる。
斜面安定度判定支援システム100は、予測手段121が算出した予測座標変動の確度(ロバスト性)を求めるものとすることもできる。この場合、入力用斜面データセット300と、変動モデル記憶手段113から読出した変動モデル、算出した予測座標変動との関係に基づいて、予測座標変動の確度を求めることができる。
本願発明の観測システムの実施形態の第2の例を、図8~10に基づいて説明する。なお、第1の実施形態で説明した内容と重複する説明は避け、第2の実施形態に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
図8は、第2の実施形態における斜面安定度判定支援システム100の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように本実施形態の学習手段111は、斜面性状データと斜面分類の関係を表す「斜面分類相関モデル」を生成する。具体的には、多数の学習用斜面データセット200を学習することによって、斜面性状データ202をパラメータとして斜面分類を求めるためのモデルである「斜面分類相関モデル」を生成する。ここで生成された斜面分類相関モデルは、斜面分類相関モデル記憶手段114に記憶される。
図8に示す予測手段121は、入力用斜面データセットに基づいて対象斜面の予測座標変動を算出する手段である。より具体的には、入力用斜面データセット記憶手段122から入力用斜面データセット300を読み出すとともに、斜面分類相関モデル記憶手段114から斜面分類相関モデルを読み出し、入力用斜面データセット300と斜面分類相関モデル記憶手段114に基づいて対象斜面に対して適当な斜面分類を付与する。そして、その斜面分類に関連付けられた変動テンプレート(図9)の中から、入力用斜面データセット300の観測座標変動301を参照しつつ適当な変動テンプレートを抽出し、その変動テンプレートに基づいて予測座標変動を算出する。このとき予測手段121は、入力用斜面データセット300と抽出した変動テンプレートとの関係に応じて、抽出した変動テンプレートを加工することで、あるいはそのまま用いることで予測座標変動を算出する。図10は、観測座標変動301と抽出した変動テンプレート、そして予測座標変動(この場合は変動テンプレートをそのまま用いている)の関係を示すグラフ図である。
111 (斜面安定度判定支援システムの)学習手段
112 (斜面安定度判定支援システムの)学習用斜面データセット記憶手段
113 (斜面安定度判定支援システムの)変動モデル記憶手段
114 (斜面安定度判定支援システムの)斜面分類相関モデル記憶手段
115 変動テンプレート記憶手段
121 (斜面安定度判定支援システムの)予測手段
122 (斜面安定度判定支援システムの)入力用斜面データセット記憶手段
131 (斜面安定度判定支援システムの)出力手段
200 学習用斜面データセット
201 実績座標変動
202 斜面性状データ
203 斜面分類データ
300 入力用斜面データセット
301 観測座標変動
Claims (5)
- 対象斜面上に設置された観測点を測位衛星によって測位した座標に基づいて、該対象斜面の今後の座標の変化である「予測座標変動」を算出するシステムであって、
多数の斜面の「学習用斜面データセット」を機械学習することによって、前記予測座標変動を算出するための「変動モデル」を生成する学習手段と、
入力された「入力用斜面データセット」と、前記変動モデルと、に基づいて、前記対象斜面の前記予測座標変動を予測する予測手段と、を備え、
斜面ごとに用意される前記学習用斜面データセットは、地質情報と地形情報を含む「斜面性状データ」と、一定期間に観測された観測点の座標変化である「実績座標変動データ」と、からなり、
前記入力用斜面データセットは、前記対象斜面の前記斜面性状データと、観測期間に観測された該対象斜面上の前記観測点の座標変化である「観測座標変動データ」と、からなり、
前記学習手段は、前記学習用斜面データセットに含まれる前記斜面性状データ、及び前記実績座標変動データを機械学習することによって前記変動モデルを生成し、
前記予測手段は、前記入力用斜面データセットに含まれる前記斜面性状データ、及び前記観測座標変動データに基づいて前記予測座標変動を予測する、
ことを特徴とする予測座標変動算出システム。 - 前記学習用斜面データセットが、前記斜面性状データに応じて設定される斜面分類データをさらに含み、
前記入力用斜面データセットが、前記斜面分類データをさらに含み、
前記学習手段は、前記学習用斜面データセットに含まれる前記斜面性状データ、前記実績座標変動データ、及び前記斜面分類データを機械学習することによって前記変動モデルを生成し、
前記予測手段は、前記入力用斜面データセットに含まれる前記斜面性状データ、前記観測座標変動データ、及び前記斜面分類データに基づいて前記予測座標変動を予測する、
ことを特徴とする請求項1記載の予測座標変動算出システム。 - 測位衛星によって測位される座標は、3成分からなる3次元座標であり、
前記学習手段は、3次元座標を構成する成分ごとに前記変動モデルを生成し、
前記予測手段は、3次元座標を構成する成分ごとに前記予測座標変動を算出する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の予測座標変動算出システム。 - 対象斜面上に設置された観測点を測位衛星によって測位した座標に基づいて、該対象斜面の今後の座標の変化である「予測座標変動」を算出するシステムであって、
多数の斜面の「学習用斜面データセット」を機械学習することによって「斜面性状データ」と「斜面分類」の関係を表す「斜面分類相関モデル」を生成するとともに、「変動テンプレート」を生成する学習手段と、
入力された「入力用斜面データセット」と、前記斜面分類相関モデルと、前記変動テンプレートと、に基づいて、前記対象斜面の前記予測座標変動を予測する予測手段と、を備え、
斜面ごとに用意される前記学習用斜面データセットは、地質情報と地形情報を含む前記斜面性状データと、一定期間に観測された観測点の座標変化である「実績座標変動データ」と、からなり、
前記入力用斜面データセットは、前記対象斜面の前記斜面性状データと、観測期間に観測された該対象斜面上の前記観測点の座標変化である「観測座標変動データ」と、からなり、
前記学習手段は、前記学習用斜面データセットに含まれる前記斜面性状データを機械学習することによって前記斜面分類相関モデルを生成し、
また前記学習手段は、前記学習用斜面データセットを解析することによって、前記斜面分類ごとに前記実績座標変動データの傾向が近似している複数種類の「座標変動グループ」を設定するとともに該座標変動グループを代表する座標変動データである前記変動テンプレートを生成し、
前記予測手段は、前記入力用斜面データセットの前記斜面性状データと前記斜面分類相関モデルに基づいて前記対象斜面をいずれかの前記斜面分類に分類するとともに、分類された該斜面分類に係る複数の前記変動テンプレートの中から前記観測座標変動データに基づいて変動テンプレートを抽出し、抽出された該変動テンプレート及び該観測座標変動データに基づいて該対象斜面の前記予測座標変動を算出する、
ことを特徴とする予測座標変動算出システム。 - 測位衛星によって測位される座標は、3成分からなる3次元座標であり、
前記学習手段は、3次元座標を構成する成分ごとに前記斜面分類相関モデル、及び前記変動テンプレートを生成し、
前記予測手段は、3次元座標を構成する成分ごとに前記予測座標変動を算出する、
ことを特徴とする請求項4記載の予測座標変動算出システム。
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