JP7058155B2 - 地盤性状の調査工法 - Google Patents

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Description

本発明は、地盤性状の調査工法に関するものである。
地盤の性状が工法の精度に影響する工法としては、例えば、機械攪拌工法、高圧噴射攪拌工法等の地盤改良工法や、薬液注入工法などが存在する。以下、高圧噴射攪拌工法の場合を例に具体的に説明する。
高圧噴射攪拌工法とは、セメント系の硬化材等を地盤に高圧噴射して改良体を造成する工法であり、高圧噴射注入工法などと呼ばれることもある。この高圧噴射攪拌工法は、古くはCCP工法(ケミカルチャーニングパイル工法)等が存在したが、近年では、同工法に対する要求の多様化から、例えば、CJG工法(コラムジェットグラウト工法)、クロスジェット工法、スーパージェットグラウト工法、スーパーミディジェットグラウト工法、JSG工法、RJP工法(ロジンジェットパイル工法)等の様々な工法が存在するに至っている。これらの工法は、改良体の径や強度、排泥量、処理速度等の要求に基づいて、選択採用されており、いずれの工法においても日々改良が進んでいる。
しかしながら、改良体を造成する地盤の性状は、深度に応じて、例えば、細粒土、砂質土、礫質土、岩、空洞などと様々に変化する。したがって、造成作業の条件が同一であると、改良体の径が深度によって変化してしまうおそれがあり、目標とする改良径に足らなかったり、目標とする改良径を超えて硬化材の無駄が生じたりするおそれがある。そこで、この問題を防ぐために、地盤の性状を調査し、この調査によって把握した地盤の性状に基づいて高圧噴射攪拌工法における諸条件を変化させる等の対策が採られている。
特に近年では、工法自体の改良(改善)が進んでいることとの関係で、地盤性状の調査がより重要視されるようになっており、本出願人もその一例を提案している(特許文献1参照)。この調査工法は、先端にビット(削孔ビット)が備わる管体を使用して地盤を削孔するにあたり、削孔水の送水圧、ビットの深度、ビットの回転トルク、ビットの推進力、ビットの保持力、ビットの回転数等の削孔データを取得し、この取得した削孔データに基づいて地盤の地質を判別するというものである。
この調査工法は極めて有用であり、工法の精度を著しく向上させるに寄与している。しかしながら、地盤の削孔に伴って取得した削孔データによると、地質の判別が難しい場合がある。例えば、上記削孔データは同一であるが、地質が異なる場合等もあり、このような場合にも正確に地質の判別をすることができないかが模索されている。
特開2002-133391号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、地層の性状をより正確に調査することができる地盤性状の調査工法を提供することにある。
上記課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(請求項1に記載の手段)
先端にビットが備わる管体によって地盤を削孔する際に、所定の深度毎に削孔データを取得し、かつ前記管体の挿入口に形成された空堀に排泥が蓄えられるものとしつつ、当該空堀の排泥を撮像して排泥の流量及び削孔音の少なくともいずれか一方のデータを含む動画データを取得し、
前記削孔データに基づいて地盤の性状を推定し、この推定を前記動画データに基づいて補正する、
ことを特徴とする地盤性状の調査工法。
(請求項2に記載の手段)
前記動画データとして、排泥の色及び排泥中に含まれる土粒子の粒径の少なくともいずれか一方のデータを取得する、
請求項1に記載の地盤性状の調査工法。
(請求項3に記載の手段)
前記削孔に際して前記管体に送水を行い、
前記削孔データとして、前記送水の送水圧、前記ビットの深度、前記ビットの回転トルク、前記ビットの推進力、前記ビットの保持力、及び前記ビットの回転数を取得する、
請求項1又は請求項2に記載の地盤性状の調査工法。
本発明によると、地層の性状をより正確に調査することができる地盤性状の調査工法となる。
本形態の地盤性状の調査工法に使用するシステムの概略図である。 削孔データ記録装置の説明図である。 地質区分推定装置の説明図である。 地盤強度推定装置の説明図である。
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は、本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
本形態の地盤性状の調査工法においては、先端にビットが備わる管体によって地盤を削孔する際に、所定の深度毎に削孔データを取得し、かつ管体の挿入口に形成された空堀に排泥が蓄えられるものとしつつ、当該空堀の排泥を撮像して動画データを取得する。そして、削孔データに基づいて地盤の性状を推定し、この推定を動画データに基づいて補正する。この動画データで補正するという考え方は、排泥の撮像という行為自体が容易であるため、容易に想到することができたのではないかと思われがちである。しかるに、そもそも排泥が地質の判別精度を向上させるに有用であるという知見が存在しなかったため、排泥を撮像して得た動画データで補正するという考え方自体を容易に想到することができなかった。
なお、この調査工法で得られた地質データは、例えば、高圧噴射攪拌工法において注入管を引き上げる際に、この注入管の引上げ速度を地質データに基づいて変化させる等の形態で利用することができる。
図1に模式的に示すように、本形態の地盤性状の調査工法に使用するシステムには、地盤Gの削孔を行う削孔装置100と、削孔データ等に基づいて地盤Gの性状(地質区分)を推定する推定装置200とが備わる。
削孔装置100には、管体113、削孔機本体111、送水ポンプ120、各種センサー130a~130f、記録装置140等が主に備わる。
管体113は、削孔機本体111の近傍においてドリフター112によって吊り下げられている。管体113は、ドリフター112によって回転駆動及び上下動される。管体113の先端には、地盤Gを削孔するビット114が備わる。管体113及びビット114が適宜回転、打撃等されることによって地盤Gが削孔(掘削)され、管体113が地盤Gに挿入される。この管体113を地盤Gに挿入する過程で各種センサー130a~130fを使用して削孔データを取得する。
各種センサー130a~130fとしては、深度センサー130a、圧力センサー130b~130e、及び回転数センサー130fが備わる。
深度センサー130aは、上下動するドリフター112の移動量を検出して削孔深度(m)を検出するセンサーである。深度センサー130aは、管体113をガイドするガイドセル115の上部に搭載されている。削孔深度は、削孔データの取得時における削孔口からの削孔深度である。
圧力センサー130bは、送水ポンプ120の送水圧(MPa)を検出するセンサーである。送水ポンプ120は、通常、管体113の近傍に配置される。圧力センサー130bは、送水ポンプ120又は送水ポンプ120から管体113に至る送水管120aに備えられている。送水ポンプ120からの送水は、例えば、掘削土砂を地上に排泥するために行われる。
圧力センサー130cは、管体113(ビット114)の回転トルク(MPa)を検出するセンサーである。圧力センサー130cは、削孔機本体111に搭載されている。回転トルクは、管体113(ビット114)を回転させるために必要な油圧機構の駆動圧である。本形態において回転トルクは、管体113(ビット114)を回転させるための油圧機構の駆動圧を検出することによって間接的に求めているが、ビット114や管体113の周面に歪み計等のセンサーを設け、回転トルクを直接的に検出することもできる。
圧力センサー130dは、ドリフター112(ビット114)の推進力(MPa)を検出するセンサーである。この推進力は、ドリフター112(ビット114)を推し進めるために必要な油圧機構の駆動圧である。圧力センサー130dは、削孔機本体111に搭載されている。
圧力センサー130eは、ドリフター112(ビット114)を推し進める油圧機構の背圧(保持力(MPa))を検出するセンサーである。圧力センサー130eは、削孔機本体111に搭載されている。圧力センサー130eからの保持力と圧力センサー130dからの推進力との差が、ドリフター112(ビット114)の実質的な推進力(ビット荷重)である。本実施の形態においては、推進力と保持力との差からビット114の実質的な推進力を求めているが、ビット114に荷重計等のセンサーを設け、ビット114の推進力を直接的に検出することもできる。
回転数センサー130fは、管体113(ビット114)の回転数(歯数)を検出するセンサーである。回転数センサー130fは、ドリフター112に搭載されている。回転数は、単位深度当りのビット回転機構の駆動ギヤ歯数である。
各種センサー130a~130fによって取得された削孔データは、記録装置140に記録される。この記録装置140は、削孔機本体111に搭載されている。
記録装置140には、図2に示すように、パルスカウンタ141,147、タイマ142、及びA/Dコンバータ143~146が備わる。
パルスカウンタ141は、削孔データ(検出値)を取得するタイミングを与えるものである。取得タイミングは、例えば、5~10mmの深度間隔で、好ましくは5mmの深度間隔で与えられる。
記録装置140においては、深度センサー130aからの検出信号がパルスカウンタ141によってカウントされ、削孔深度(m)データとして記録される。また、圧力センサー130bからの検出信号は、A/Dコンバータ143によってデジタル信号に変換されたうえで送水圧(MPa)データとして記録される。また、圧力センサー130cからの検出信号は、A/Dコンバータ144によってデジタル信号に変換されたうえで回転トルク(MPa)データとして記録される。また、圧力センサー130dからの検出信号は、A/Dコンバータ145によってデジタル信号に変換されたうえで推進力(MPa)データとして記録される。また、圧力センサー130eからの検出信号は、A/Dコンバータ146によってデジタル信号に変換されたうえで保持力(MPa)データとして記録される。また、回転数センサー130fからの検出信号は、パルスカウンタ147によってカウントされ、回転数データとして記録される。また、記録装置140においては、タイマ142によって削孔時間が計測され、削孔時間データとして記録される。なお、削孔時間は、単位深度当りの削孔所要時間である。
以上のようにして記録装置140に記録された削孔深度毎の削孔データは、無線通信、有線通信によって、あるいはメモリーカード(MD)、フロッピーディスク(FD)、MO、CD-ROM等の記録媒体を介して推定装置200に送られる。なお、本形態の削孔データには、削孔深度(m)、送水圧(MPa)、回転トルク(MPa)、推進力(MPa)、保持力(MPa)、回転数(歯数)のほか、削孔時間(s)が少なくとも含まれている。
更に、本形態の削孔装置100には、以上の各種装置と共に撮像装置150が備わる。この撮像装置150は、管体113の挿入口(削孔口)に形成された空堀Gxの近傍に設置されている。空堀Gxは、削孔の際に排出される排泥を一時的に蓄えるために地盤Gの表面に形成されている。撮像装置150は、少なくともこの空堀Gx内に蓄えられている排泥を撮像(光学像を電気信号に変換)することができる。空堀Gxを撮像することができるようであれば、撮像装置150は、例えば、削孔機本体111等に搭載されていてもよい。また、撮像装置150は1台に限られず、複数台であってもよい。
撮像装置150による撮像によって、排泥の色、排泥の流量、排泥中に含まれる土粒子の粒径、及び削孔音の少なくともいずれか1つのデータが動画データとして取得される。ただし、この撮像においては、排泥だけではなく、例えば、削孔機本体111や管体113、操縦者(オペレータ)等も撮像の対象としておくとより好ましいものとなる。この点、削孔(データ収集)中には、油圧設定を変更したり、回転、打撃等の削孔方法を変更したりすることがあり、また、操作ミス等で削孔データにノイズが混入したりすることがある。そこで、管体113やオペレータ等も撮像の対象としておき、この撮像によって得られた動画データを自動又は手動で解析することによって、より確実に削孔データの補正を図ることができるようになる。なお、この動画データによる補正の意味、方法等については、後述する。
次に、図3に基づいて削孔データ及び動画データに基づいて地盤Gの性状を、本形態では地質区分を推定する地盤性状(地質区分)の推定装置200について説明する。
本形態の推定装置200には、削孔データの収集記録装置10、教師データの生成装置20、ニューラルネットワーク学習装置30、及び地質区分を判別する地質区分判別装置40が備わる。
削孔データの収集記録装置10は、各種センサー130a~130fによって取得された削孔データを記録する装置である。収集記録装置10に記録された削孔データは、地質区分判別装置40に送られる。この地質区分判別装置40においては、ニューラルネットワーク学習装置30によって生成されたニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32を利用する等して地質区分判別が行われ、更に動画データによって補正されることで地層(地質区分)データが生成される。
ここで、ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32の生成方法について説明する。なお、ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32の生成は、本形態の地盤性状の調査工法に必須のものではない。既存のニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32が存在する場合は、当該基準32を利用すればよく、好ましくは既存の基準32を利用することにより、既存の基準32を利用すれば調査期間を短縮化することができる。
本形態においては、ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32を生成するために、教師データ生成装置20が存在する。教師データ生成装置20は、ニューラルネットワーク学習装置30で使用する教師データファイル24を生成するための装置である。
教師データファイル24は、後述する試験削孔データに基づいて作成した教師入力パターン24inと当該教師入力パターン24inに対応した地質区分を教示する教師出力パターン24outとから構成される。
教師出力パターン24outは、次の手順で導き出すことができる。まず、適宜の場所、好ましくは削孔ポイント(本形態の調査工法によって調査する場所)の近傍(調査ポイント)において調査ボーリング(土質試料サンプリング)を行う。この調査ボーリングによって調査ポイントにおける深度毎の地質情報(詳細地質区分)を取得する。なお、詳細地質区分とは、地質を細かく分類した詳細な地質区分である。この詳細地質区分は、例えば、地質柱状図とされる。
調査ボーリングによって取得された詳細地質区分は、変換テーブル23を用いて4~8の区分に分類された地質区分期待値に変換する。この4~8の地質区分期待値としては、例えば、以下を例示することができる。
4区分:細粒土、砂質土、礫質土、岩
5区分:細粒土、砂質土、礫質土、岩、空洞
6区分:細粒土(2分割)、砂質土、礫質土、岩、空洞
7区分:細粒土、砂質土、砂、礫質土、礫、岩、空洞
8区分:細粒土(2分割)、砂質土、砂、礫質土、礫、岩、空洞
一方、調査ボーリングと同時に、又は前後して、調査ポイント近傍の1又は複数のポイント(試験ポイント)において試験削孔を行い、試験削孔データを取得する。この試験削孔における削孔は、本形態の地盤性状の調査工法における削孔方法と同様とすることができる。
調査ポイントにおける地質区分期待値と試験ポイントにおける試験削孔データとが取得されたら、地質区分期待値及び試験削孔データを深度毎に比較し、試験削孔データと地質区分期待値とを対応付ける。なお、試験削孔データのデータ項目(パラメータ)は、本形態(地盤性状の調査工法)の削孔において取得する削孔データのデータ項目と同様であり、削孔深度(m)、送水圧(MPa)、回転トルク(MPa)、推進力(MPa)、保持力(MPa)、回転数(歯数)、削孔時間(s)が少なくとも含まれているのが好ましい。また、本形態においては、地質区分期待値を取得するために調査ボーリングを行うとしているが、調査ポイント又はその近傍の詳細地質区分又は地質区分期待値が存在する場合は、その既存の詳細地質区分又は地質区分期待値を使用することもできる。
以上のようにして試験削孔データ及び地質区分期待値を取得し、これらのデータに基づいて教師データファイル24を生成したら、当該教師データファイル24をニューラルネットワーク学習装置30に送る。ニューラルネットワーク学習装置30は、教師データ生成装置20によって生成された教師データファイル24の各(深度毎の)教師入力パターン24inを入力層に入力した際に、当該各教師入力パターン24inに対応した教師出力パターン24outが出力層から出力されるように、ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32をバックプロパゲーション学習31によって構築する装置である。
ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32は、一般的な階層型ニューラルネットワークである。ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32の入力層は、試験削孔データのパラメータとして選択された、削孔深度、送水圧、回転トルク、推進力、保持力、回転数、削孔時間のパラメータにそれぞれ対応した7つのユニットから構成される。また、ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32の出力層は、細粒土、砂質土、礫質土、岩、空洞の5つの地質区分にそれぞれ対応した5つのユニットから構成される。なお、土(地盤)は大きく分けて、細粒土、砂質土及び礫質土の3種類に区分され、細粒土は2種類に分類することができ、砂質土は砂に分割することができ、礫質土は礫に分割することができる。これらの分類に、岩と空洞とを加味することで、前述したように4区分~8区分に区分けすることができる。
地質区分判別装置40においては、以上のようにして構築されたニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32に基づいて削孔データから地層判別(地質区分の判別)が行われ、更に得られた地質区分が撮像装置150からの動画データによって補正されて、地質(地質区分)データが得られる。具体的には、例えば、削孔データに基づいて作成した入力パターン(例えば、0.5,0.3,0.1,0.8,0.4,1.2,3.2)をニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32の入力層に入力すると、その出力層から出力パターン(例えば、0.9,0.1,0.1,0.1,0.1)が得られ、この出力パターンを動画データで補正することで地質データが得られる。
ここで、動画データについて、詳細に説明する。
動画データからは種々の情報を得ることができるが、本形態においては、排泥の色、排泥の流量(L/分)、排泥中に含まれる土粒子の粒径(mm)、及び削孔音(db)の少なくともいずれか1つの情報(データ)を取得するのが好ましい。その利点は、次のとおりである。
まず、例えば、削孔データのみからは地質区分の判別が困難な場合(地質区分が異なるにもかかわらず、削孔データのパラメータがほぼ同一になってしまうような場合)であっても、試験削孔時に排泥の色(例えば、色相、彩度、明度等。)と地質区分との比較データも取得しておき、この比較データと排泥の色とを比較することによれば、地質区分が可能になる場合がある。なお、排泥の色は、色見本等を利用して自動的に数値化し、削孔データが自動的に補正されるようにすることができる。
また、排泥の流量からは、例えば、排泥の流量が多い場合は地質が透水性の低い土質、例えば、細粒土や粘土等であることが分かり、他方、排泥の流量が少ない場合は地質が透水性の高い土質、例えば、礫等であることが分かり、これらの傾向に基づいて地質区分を推定(補正)することができる。さらに、土粒子の粒径からは、例えば、土粒子の粒径が大きい場合は地質が透水性の高い土質、例えば礫等であることが分かり、土粒子の粒径が小さい場合は地質が透水性の低い土質、例えば、細粒土や粘土等であることが分かり、これらの傾向に基づいて地質区分を推定(補正)することができる。また、削孔音からは、削孔音が大きい場合は固い地質、例えば、レキ質土等であることが分かり、削孔音が小さい場合は柔らかい地質、例えば、粘性土等であることが分かり、これらの傾向に基づいて地質区分を推定(補正)することができる。
なお、動画データは時間的に(時間軸に基づいて)連続したものであり、削孔データは深度軸に基づいて連続したものである。したがって、動画データは、深度軸に基づいて把握することができるように、時間軸と深度軸とのリンク(同期付け)を行い、データベース化する等しておくとよい。
また、動画データとして削孔機本体111や、管体113、操縦者(オペレータ)等の動作も収録されている場合は、これらのデータに基づいて削孔データを補正することもできる。この補正は、パソコン等の電子処理計算機などを使用した自動処理(補正)であっても、経験を有するオペレータによる手動処理(補正)であってもよい。なお、この補正の有用性については、前述(操作ミスによるノイズの混入等)したとおりである。
以上では、調査ボーリング及び試験削孔を行ってニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32を作成し、このニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32を利用して削孔データから地質データを取得する形態を説明したが、前述したとおり、既知の地質区分判別基準等が存在する場合は、当該地質区分判別基準に基づき、削孔データから取得した地質データを動画データで補正してより正確な地質データを取得することもできる。
また、以上では、土の区分(地質区分)を基準として地盤の性状を判断する例を示したが、一軸圧縮強度を基準として地盤の性状を判断することもできる。そこで、以下では、地盤Gの一軸圧縮強度を推定する場合の例を説明する。
本形態においては、図4に示すように、地質区分の推定装置200に代えて地盤強度の推定装置300を使用する。この地盤強度の推定装置300は、各種センサー130a~130fによって得られた削孔データに基づいて地盤Gの一軸圧縮強度を推定する装置である。地盤強度の推定装置300には、削孔データの収集記録装置301と、強度換算装置302とが備わる。
削孔データの収集記録装置301は、削孔装置100から送られてきた削孔データを記録する装置である。削孔データの収集記録装置301に記録された削孔データは、強度換算装置302に送られ、一軸圧縮強度に換算される。一軸圧縮強度を換算するにあたっては、次の地盤強度推定式を用いることができる。
qu=α・{(ビット荷重・削孔時間)/ビット断面積}+β・{(回転トルク・回転数)/(削孔速度・ビット断面積)}+c
但し、quは一軸圧縮強度、α(=1.7~2.2),β(=0.02~0.024),c(=0.27~0.32)は係数である。また、削孔速度(m/h)={3600・データ収集深度間隔(mm)}/(1000・削孔時間)である。ビット荷重(kg)=ビット断面積・(推進力-保持力)+ドリフター重量+注入管重量である。
地盤強度推定式によって得られた一軸圧縮強度は、撮像装置150によって撮像された動画データによって補正し、最終的な地質データとする。具体的には、排泥の色、排泥の流量、排泥中に含まれる土粒子の粒径、削孔音等から一軸圧縮強度が同一であっても地質が異なると判断される場合は、この判断に基づいて地質データを補正する。なお、排泥の色、排泥の流量、排泥中に含まれる土粒子の粒径、削孔音等に基づいてどのように補正するかは、前述した地質区分を補正する場合と同様である。
本方法においては、管体113を地盤Gに挿入する際に取得した削孔データ及び動画データのみを使用して地質データを取得することになるため、調査ボーリングや試験削孔等が不要になる。したがって、より簡易な調査工法となる。
なお、詳細な説明はしないが、通常、ビット114には管体113を通して送られてきた削孔水を吐出する吐出口が形成されている。削孔においては、この吐出口から削孔水が吐出される。
削孔において地上部に排出された排泥は、管体113の挿入口に形成された空堀Gxに一時的に蓄えられ。この空堀Gxに蓄えられる排泥のスピード(速度)から排泥の流量を測定することができる。なお、排泥は、この空堀Gxからバキューム車などによって吸い上げられ、搬出される。この際、排泥は、図示しない脱水装置等によって土砂分と液状分とに分離し、分離した液状分をさらに凝集処理し、削孔水や高圧水Wとして再利用することもできる。
本発明は、地盤性状の調査工法として利用可能である。
10 削孔データの収集記録装置
20 教師データの生成装置
24 教師データファイル
30 ニューラルネットワーク学習装置
31 バックプロパゲーション学習
32 ニューラルネットワーク(地層判別基準)
40 地質区分判別装置
100 削孔装置
111 削孔機本体
112 ドリフター
113 管体
114 ビット
115 ガイドセル
120 送水ポンプ
120a 送水管
130a 深度センサー
130b~130e 圧力センサー
130f 回転数センサー
140 記録装置
141,147 パルスカウンタ
142 タイマ
143~146 A/Dコンバータ
150 撮像装置
200 地質区分の推定装置
300 地盤強度の推定装置
301 収集記録装置
302 強度換算装置
G 地盤
Gx 空堀

Claims (3)

  1. 先端にビットが備わる管体によって地盤を削孔する際に、所定の深度毎に削孔データを取得し、かつ前記管体の挿入口に形成された空堀に排泥が蓄えられるものとしつつ、当該空堀の排泥を撮像して排泥の流量及び削孔音の少なくともいずれか一方のデータを含む動画データを取得し、
    前記削孔データに基づいて地盤の性状を推定し、この推定を前記動画データに基づいて補正する、
    ことを特徴とする地盤性状の調査工法。
  2. 前記動画データとして、排泥の色及び排泥中に含まれる土粒子の粒径の少なくともいずれか一方のデータを取得する、
    請求項1に記載の地盤性状の調査工法。
  3. 前記削孔に際して前記管体に送水を行い、
    前記削孔データとして、前記送水の送水圧、前記ビットの深度、前記ビットの回転トルク、前記ビットの推進力、前記ビットの保持力、及び前記ビットの回転数を取得する、
    請求項1又は請求項2に記載の地盤性状の調査工法。
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