JP7057507B2 - 干渉電力推定方法、干渉電力推定装置及びプログラム - Google Patents
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Description
本発明は、干渉電力推定方法、干渉電力推定装置及びプログラムに関する。
主な人工衛星の軌道に関する情報(例えば、非特許文献1参照)によれば、衛星の軌道は静止衛星、周回衛星に大別でき、そして周回衛星には、さらに、同期軌道、回帰軌道、準回帰軌道、極軌道、太陽同期軌道、これらの組合せ(太陽同期軌道と準回帰軌道の組合せなど)などの分類がある。
図20は、衛星の様々な軌道の一部の例として静止衛星の軌道及び周回衛星の軌道を示す図である。なお、以下では、XYZ空間の原点Oを地球の中心とする。Z軸は北極及び南極を通り、Z軸と垂直なXY平面は赤道を通る赤道面である。図20(a)は、静止衛星の軌道を示す。静止衛星の軌道は、地球が24時間で1回転する自転に合わせて、人工衛星が24時間で地球の周り、赤道の真上を1周24時間で回る軌道である。さらに、この静止衛星の軌道は地球を中心とした高度35,800kmの円形であり、衛星がこの円上を常に等速で移動する。地上からこの静止衛星を見ると、何時も上空の1点に止まって見える。例えば、気象観測衛星「ひまわり」(参考文献1)は、常に日本列島と周辺を観測し続けるため、静止衛星軌道である赤道上空の高度35,800km、経度は東経140.7°に位置する。
(参考文献1):"人工衛星 ひまわり8・9号"、[online]、[2018年9月13日検索]、三菱電機株式会社、インターネット〈URL:http://www.mitsubishielectric.co.jp/society/space/satellite/observation/himawari8-9.html>
また、図20(b)は、周回衛星の軌道の一例である回帰衛星の軌道を示す。回帰衛星では、地球が24時間で1回転する自転に対し、衛星は24/N時間で地球を1周する。ここで、Nは整数である。つまり、この回帰衛星は、1日に地球をN周し、元の位置に戻る。更に、この図20(b)に示す周回衛星の軌道は楕円であり、楕円に存在する2つの焦点のうち片方に地球が位置している。そして、衛星は、最も地球に近い(近地点高度側の)軌道では速く飛行し、地球から遠い(遠地点高度側の)軌道では遅く飛行する。また近年、注目を浴びている小型の低軌道衛星などは、観測した情報を地上の指令制御施設とやり取りし、また、衛星が地上から観測指示を受けるために、少なくとも1日に1回は決まった位置に戻って地上局と送受信が行えるよう、この回帰衛星の軌道に投入される。
一方、非特許文献2では、衛星局と地球局から、他国の地上業務用の無線局に干渉が生じる場合があることが提示されている。特に小型衛星は、静止衛星ではなく、国境とは無関係に地球を周回する。またこの種の小型衛星の打ち上げ費用も低下する傾向にある。この結果として、小型衛星が近い将来増加することが想定される。そのため、これら小型衛星(衛星局)と地球局の無線通信が、他国の地上業務用無線局へ干渉を与え、この干渉の影響が及ぶ状況の発生頻度も上昇すると考えられる。このような衛星局と他の地上の無線局との間の干渉電力(干渉量)の評価計算を事前に実施し、衛星局からの干渉が他の地上の無線局間へ与える影響は支障がないものであると確認する事前の干渉評価が、今後益々重要になってくる。
"Weblio辞書>学問>宇宙百科事典>人工衛星の代表的な軌道の意味・解説"、[online]、ウェブリオ株式会社、[2018年8月2日検索]、インターネット〈URL:https://www.weblio.jp/content/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E8%A1%9B%E6%98%9F%E3%81%AE%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E7%9A%84%E3%81%AA%E8%BB%8C%E9%81%93〉
"小型衛星における周波数の国際調整について"、干渉の種類-地上業務用の無線局への干渉、[online]、2009年7月26日、総務省総合通信基盤局 電波部 国際周波数政策室、[2018年8月2日検索]、インターネット〈URL:http://www.unisec.jp/library/2009generalassembly/2009_06.pdf〉、p.5
上記のように衛星はさまざまな軌道をとり得るが、干渉評価を行うために、衛星軌道によらず衛星と地上の無線局間の干渉電力の推定を精度よく行うことが求められている。
上記事情に鑑み、本発明は、衛星軌道によらず衛星と地上の無線局間の干渉電力を精度よく推定することができる干渉電力推定方法、干渉電力推定装置及びプログラムを提供することを目的としている。
本発明の一態様は、衛星の軌道を、地表面を表す地図上に投影する投影ステップと、投影された前記軌道が含まれるよう前記地図上の複数の範囲を定める範囲取得ステップと、複数の前記範囲それぞれにおける前記軌道の高度を算出する高度算出ステップと、複数の前記範囲別に、前記範囲の緯度及び経度と当該範囲について算出された前記高度とにより定められる位置の前記衛星と、前記地表面に設置された無線局との間の干渉電力を算出する範囲別干渉算出ステップと、複数の前記範囲それぞれについて算出された前記干渉電力のうち最大値を推定結果として選択する選択ステップと、を有する干渉電力推定方法である。
本発明の一態様は、上述の干渉電力推定方法であって、前記高度算出ステップにおいては、前記軌道が円軌道である場合は、複数の前記範囲それぞれにおける前記高度を、予め設定された一定の高度とし、前記軌道が楕円軌道である場合は、最も高度が低いときの前記軌道が投影されている前記範囲における前記高度を、前記楕円軌道の近地点高度とし、他の前記範囲それぞれにおける前記高度を、当該範囲の上空の前記軌道において最も低い高度とする。
本発明の一態様は、上述の干渉電力推定方法であって、同一タイミングにおいて複数の前記衛星それぞれが上空に存在する前記範囲の組合せを1以上得る範囲組合せステップをさらに有し、前記選択ステップにおいては、前記組合せ別に、当該組合せを構成する前記範囲について算出された前記干渉電力の合計を算出し、前記組合せごとに算出した合計の前記干渉電力のうち、最大値を前記推定結果として選択する。
本発明の一態様は、上述の干渉電力推定方法であって、前記軌道の種類を判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記軌道が静止衛星であると判定された場合、任意に設定された経度と、静止衛星の所定の緯度及び高度とに基づいて前記衛星の位置を特定し、特定された前記位置の前記衛星と前記無線局との間の干渉電力を算出して前記推定結果とする第1の推定結果算出ステップと、前記判定ステップにおいて前記軌道が極軌道であると判定された場合、任意に設定された高度に基づいて全天に渡って前記衛星がとり得る複数の位置を取得し、取得した前記位置の前記衛星と前記無線局との間の干渉電力を算出し、複数の前記位置それぞれについて算出した前記干渉電力のうち最大値を前記推定結果とする第2の推定結果算出ステップと、前記軌道が極軌道衛星以外の周回衛星の軌道である場合、前記投影ステップ、前記範囲取得ステップ、前記高度算出ステップ、前記範囲別干渉算出ステップ及び前記選択ステップを行う第3の推定結果算出ステップとを有する。
本発明の一態様は、上述の干渉電力推定方法であって、前記範囲取得ステップにおいて定められる複数の前記範囲はそれぞれ、前記地図上に投影された前記軌道の全体を含む矩形よりも小さい矩形であり、他の前記範囲と接する。
本発明の一態様は、衛星の軌道を、地表面を表す地図上に投影する投影部と、投影された前記軌道が含まれるよう前記地図上の複数の範囲を定める範囲取得部と、複数の前記範囲それぞれにおける前記軌道の高度を算出する高度算出部と、複数の前記範囲別に、前記範囲の緯度及び経度と当該範囲について算出された前記高度とにより定められる位置の前記衛星と、前記地表面に設置された無線局との間の干渉電力を算出する範囲別干渉算出部と、複数の前記範囲それぞれについて算出された前記干渉電力のうち最大値を推定結果として選択する選択部と、を備える干渉電力推定装置である。
本発明の一態様は、コンピュータに、上述のいずれかの干渉電力推定方法を実行させるためのプログラムである。
本発明により、衛星軌道によらず衛星と地上の無線局間の干渉電力を精度よく推定することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。以下では、ベクトルを表すため上部に→を付した文字列(例:X)を、「(X)→」のように記載する。
衛星と地上局間の干渉評価は、例えば、それらの間の干渉電力(干渉量)を算出することにより行う。地上局は、地上(地表)に設置された無線局である。本実施形態の関連技術では、ある範囲にある衛星局と地上局との間の最大の干渉量を、図21及び図22に示す方法で計算する。なお、衛星局は、衛星が備える無線局である。よって、衛星の位置はすなわち衛星局の位置であり、衛星からの干渉は、衛星局からの干渉とみなせる。
図21は、本実施形態の関連技術による衛星局と地上局との間の干渉計算を示す図である。衛星局が、ある高度で指定された緯度と経度により特定される範囲sp_a1にあると想定する。この範囲sp_a1内のi番目の位置iにある衛星局を衛星局Ai(i=1,2,3,…,n)とする。干渉電力推定装置は、この想定される範囲sp_a1内にある衛星局Ai(i=1,2,3,…,n)と、地上での位置が指定された地上局Bとの間の距離や方向を計算する。この計算においては、地上局Bのアンテナ方向(BP)→に対するアンテナパターン(指向性)が考慮される。干渉電力推定装置は、計算により求められた衛星局Aiと地上局Bとの間の距離や方向に基づいて各衛星局Aiの「伝搬損失値+指向性減衰量」を求める。干渉電力推定装置は、この「伝搬損失値+指向性減衰量」が最小となるときの衛星局Aiの位置の値を使用して、最大の干渉量(最悪値)を算出する。
図22は、本実施形態の関連技術による干渉電力推定装置が実行する干渉計算の手順を示すフロー図である。関連技術として、例えば、特願2018-055340に記載の技術が用いられる。この干渉電力推定処理の概略フローでは、移動する衛星局を与干渉局Ai(i=1~n)、地上局を被干渉局Bとする。そして、与干渉局Aiと被干渉局Bとの間の距離や方向(ベクトル(BAi)→)の計算を、与干渉局Ai(衛星局)が存在する範囲sp_a1内の複数の位置i(i=1~n)それぞれについて繰り返し実施する。そして、それらのベクトル(BAi)→から得られる距離や方向を考慮した干渉電力Pr(干渉量)を計算する。この干渉電力Pr(干渉量)の計算では、各与干渉局Aiそれぞれについて「伝搬損失値+指向性減衰量」の総和Li(i=1~n)を求め(ステップS110~ステップS155)、それらの中の最小値minLi(i=1~n)に基づいて干渉電力Pr(干渉量)を算出する(ステップS160~ステップS165)。
ここで、上記の総和Liについて少し説明を加える。図22に示す手順では、衛星局が存在すると想定される範囲の複数位置i(i=1~n)それぞれについて、衛星局Aiと地上局Bとの間の干渉量を計算する。この計算では、主に、衛星局Ai-地上局B間の距離に応じた伝搬損失値、及び、地上局Bのアンテナ方向と衛星局Aiがある方向との違いから生じるアンテナの指向性減衰量とを用いる。つまり、上述した総和Liは、各位置の衛星局Aiについてそれぞれ、上述した伝搬損失値と指向性減衰量とを合計して求められる。同図に示す手順では、このように干渉量を求める計算を、指定された範囲sp_a1内の全ての位置の衛星局Ai(i=1~n)ついて実施する。
なお、同図に示す手順では、衛星局(与干渉局Ai)と地上局(被干渉局B)間の見通しを確認し、地球の地平に衛星局が隠れてしまう場合は、干渉計算を実行せずに、計算量の削減を図っている(ステップS120)。また、同図に示す手順では、地上局(被干渉局B)のアンテナ方向(ベクトル(BP)→)及び地上局から衛星局の方向(ベクトル(BAi)→)、さらには、地上局におけるアンテナ指向性のH,V成分も考慮されている(ステップS125、ステップS135、ステップS145)。
図23は、関連技術による干渉計算ツールにおける無線局の条件設定画面を示す図である。関連技術として、例えば、特願2018-055323に記載の技術が用いられる。この条件設定画面は、無線局に関係する情報を編集する画面である。局の種別として「地上局」、「衛星」、「通信システム以外」があり、条件設定画面により、これら種別の局に関連する情報を入力設定して登録することができる。同図では、「地上局」が選択された状態を例に示しているが、「衛星」を選ぶことにより、その衛星における無線局(衛星局)に関する情報を設定できる。また、同図に示すように、条件設定画面により、選択された無線局について、大きく分けて、「局名」と、その無線局が存在する位置、その無線局のシステム諸元が設定可能である。システム諸元として、無線の電気的特性とアンテナ諸元を設定できる。
衛星における無線局(衛星局)の条件設定を行う際にも、それらシステム諸元の設定が必要であるが、衛星局の場合は、アンテナ方向が必ずしも固定されないため、特にアンテナ諸元を設定せずに電気特性の送信電力のみを設定する。衛星局の条件設定では、その局が存在する位置(衛星の軌道)の設定が重要である。条件設定画面では、局(衛星)の位置として、緯度・経度・高度の3つが登録できる。また、緯度及び経度のそれぞれについては、衛星が存在する範囲を指定できる。このように緯度及び経度と高度とを指定した範囲が、先の図21に示す衛星局Ai(i=1~n)の範囲sp_a1に相当する。
図21、図22、図23に示したような衛星と地上局間の干渉量算出方法には、一部であるものの課題が存在する。それは、衛星の軌道によっては、衛星と地上の無線局の間で干渉を計算する際に、衛星の範囲を一つ指定することでは、次のような問題が生じる。
(1)上述した関連技術のように、衛星と地上の無線局間の干渉評価を行う際に衛星の範囲を一つ指定した場合、衛星軌道によっては、相当に広い範囲が指定されることになる。指定された広い範囲に衛星があると仮定した場合、実際の軌道上と異なる位置もその範囲に含まれてしまい、実際の軌道上とは異なる位置において干渉計算結果が最悪になる(最も干渉量が大きい)こともあり得る。
(2)衛星軌道が含まれるように衛星の範囲を一つ指定した場合、特に、衛星が細長い楕円軌道であるときには、上記の関連技術を用いて干渉を計算する際に想定される衛星の位置(最低高度)と、実際の衛星の位置とでは高度が大きく異なることもあり得る。このため、関連技術の最低高度を用いて計算された結果の干渉量には、実際の最悪値の干渉量と大きな乖離が生じる恐れがある。
(3)低軌道衛星などは、地上のある場所から見たときに長時間に渡り上空に止まるように飛行することは出来ない。このため、複数の衛星が時間的に入れ替わり分担して、同じサービスを提供する仕組みを取る。このような複数衛星システムから地上にある無線局が干渉を受ける場合には、同時刻に複数の衛星から受ける干渉を計算する必要がある。しかし、関連技術では干渉を計算する際に想定されるそれぞれの衛星の存在範囲は、全て広範に渡る。このために、関連技術により各衛星について干渉計算した結果得られた干渉量の総和は、実際の複数衛星システムからの干渉量よりも大幅に大きな値になる。
上記のことから、本実施形態の干渉電力推定装置は、以下の解決策により干渉電力推定を行う。
[解決策1]干渉電力推定装置は、衛星と地球上の無線局である地上局とを対象にして、この衛星と地上局間の干渉評価をするため、次に挙げる手順により干渉計算を行う。
(手順1-1)最初に、干渉電力推定装置は、地球の地表を表す地図上に衛星軌道を投影する。干渉電力推定装置は、この投影された衛星軌道全体が含まれる範囲を複数の範囲に分割し、分割された複数範囲それぞれについて緯度及び経度を取得する。これらの範囲は、上空に衛星が存在し得る範囲であり、その範囲の緯度及び経度は衛星が存在し得る緯度及び経度を表す。以下では、地図上の範囲の上空とは、その範囲と緯度及び経度が同じ上空を表す。
(手順1-2)干渉電力推定装置は、手順1-1において得られた地図上の分割された各範囲における衛星の最低高度を求める。
(手順1-3)次に、干渉電力推定装置は、分割された各範囲の緯度、経度及び最低高度を用いて衛星と地上局間の干渉を計算する。干渉電力推定装置は、分割された全ての範囲について、干渉を計算したか否かを確認・判断する。この判断により、まだ計算していない範囲があれば、干渉電力推定装置は、その範囲の緯度、経度及び最低高度を用いて干渉を計算する。
(手順1-4)最後に、干渉電力推定装置は、分割された全ての範囲について干渉計算がなされたら、それら全ての分割された範囲について計算した干渉量のうち、最大値を選択する。この選択された最大値が、干渉評価対象の衛星と地上局間の干渉量の推定結果となる。
(手順1-1)最初に、干渉電力推定装置は、地球の地表を表す地図上に衛星軌道を投影する。干渉電力推定装置は、この投影された衛星軌道全体が含まれる範囲を複数の範囲に分割し、分割された複数範囲それぞれについて緯度及び経度を取得する。これらの範囲は、上空に衛星が存在し得る範囲であり、その範囲の緯度及び経度は衛星が存在し得る緯度及び経度を表す。以下では、地図上の範囲の上空とは、その範囲と緯度及び経度が同じ上空を表す。
(手順1-2)干渉電力推定装置は、手順1-1において得られた地図上の分割された各範囲における衛星の最低高度を求める。
(手順1-3)次に、干渉電力推定装置は、分割された各範囲の緯度、経度及び最低高度を用いて衛星と地上局間の干渉を計算する。干渉電力推定装置は、分割された全ての範囲について、干渉を計算したか否かを確認・判断する。この判断により、まだ計算していない範囲があれば、干渉電力推定装置は、その範囲の緯度、経度及び最低高度を用いて干渉を計算する。
(手順1-4)最後に、干渉電力推定装置は、分割された全ての範囲について干渉計算がなされたら、それら全ての分割された範囲について計算した干渉量のうち、最大値を選択する。この選択された最大値が、干渉評価対象の衛星と地上局間の干渉量の推定結果となる。
[解決策2]解決策1による衛星と地上局間の干渉評価において、干渉電力推定装置は、干渉計算のため、衛星が上空に存在し得る分割された複数の範囲それぞれにおける最低高度を次のように求める。
(手順2-1)干渉電力推定装置は、衛星が円軌道か楕円軌道かを確認する。
(手順2-2)円軌道である場合、衛星の高度は一定であるため、干渉電力推定装置は、全ての範囲の衛星の高度に一定値を設定する。
(手順2-3)楕円軌道である場合、干渉電力推定装置は、最も高度の低い範囲には、楕円軌道の衛星の最低高度(近地点高度)を設定する。そして、干渉電力推定装置は、他の範囲には、その範囲の上空において衛星が存在する最も低い高度の値を求め、求めた値をそれぞれの範囲の高度に設定して干渉計算の条件とする。
(手順2-1)干渉電力推定装置は、衛星が円軌道か楕円軌道かを確認する。
(手順2-2)円軌道である場合、衛星の高度は一定であるため、干渉電力推定装置は、全ての範囲の衛星の高度に一定値を設定する。
(手順2-3)楕円軌道である場合、干渉電力推定装置は、最も高度の低い範囲には、楕円軌道の衛星の最低高度(近地点高度)を設定する。そして、干渉電力推定装置は、他の範囲には、その範囲の上空において衛星が存在する最も低い高度の値を求め、求めた値をそれぞれの範囲の高度に設定して干渉計算の条件とする。
[解決策3]干渉電力推定装置は、複数の衛星から構成される衛星システム(複数衛星システム)と、地上局との間の干渉計算を次のように行う。
(手順3-1)干渉電力推定装置は、衛星が存在する範囲を、地図上に投影した軌道に応じて複数に分割する。
(手順3-2)干渉電力推定装置は、分割されたそれぞれの範囲について衛星と地上局との間の干渉計算を実施し、それぞれの範囲における干渉量を求める。
(手順3-3)干渉電力推定装置は、同じ時刻に複数衛星システムの各衛星が同時に存在する複数の範囲を選択する。
(手順3-4)干渉電力推定装置は、手順3-3において選択された複数の範囲について、手順3-2で求めた地上局との間の干渉量の総和を算出し、複数衛星システムと地上局間の干渉量とする。
(手順3-5)干渉電力推定装置は、上記と違う時刻において同時に各衛星が存在する複数範囲が、上記で選択した範囲と同じであるか否かを確認する。
(手順3-6)干渉電力推定装置は、違う時刻において同時に各衛星が存在する複数範囲が上記で選択した範囲と異なる場合には、その違う時刻における複数範囲についても、手順3-4と同様に、複数範囲それぞれについて求めた地上局との間の干渉量の総和を算出し、複数衛星システムと地上局間の干渉量とする。
(手順3-7)干渉電力推定装置は、手順3-4と手順3-6により異なる時刻のそれぞれについて算出した干渉量の値を比較し、最も大きな値を最終的な干渉量の推定結果として提示する。
(手順3-1)干渉電力推定装置は、衛星が存在する範囲を、地図上に投影した軌道に応じて複数に分割する。
(手順3-2)干渉電力推定装置は、分割されたそれぞれの範囲について衛星と地上局との間の干渉計算を実施し、それぞれの範囲における干渉量を求める。
(手順3-3)干渉電力推定装置は、同じ時刻に複数衛星システムの各衛星が同時に存在する複数の範囲を選択する。
(手順3-4)干渉電力推定装置は、手順3-3において選択された複数の範囲について、手順3-2で求めた地上局との間の干渉量の総和を算出し、複数衛星システムと地上局間の干渉量とする。
(手順3-5)干渉電力推定装置は、上記と違う時刻において同時に各衛星が存在する複数範囲が、上記で選択した範囲と同じであるか否かを確認する。
(手順3-6)干渉電力推定装置は、違う時刻において同時に各衛星が存在する複数範囲が上記で選択した範囲と異なる場合には、その違う時刻における複数範囲についても、手順3-4と同様に、複数範囲それぞれについて求めた地上局との間の干渉量の総和を算出し、複数衛星システムと地上局間の干渉量とする。
(手順3-7)干渉電力推定装置は、手順3-4と手順3-6により異なる時刻のそれぞれについて算出した干渉量の値を比較し、最も大きな値を最終的な干渉量の推定結果として提示する。
[解決策4]干渉電力推定装置は、次に挙げる手順により、衛星と地上局間の干渉評価を行う。
(手順4-1)干渉電力推定装置は、静止衛星の場合、経度を設定する。設定された緯度と、静止衛星軌道の高度とを併せて衛星位置が特定できるため、その特定される静止衛星位置から地上局との間の干渉を確認できる。
(手順4-2)干渉電力推定装置は、静止衛星ではなく周回衛星の場合、極軌道衛星であるか否かを判断する。
(手順4-3)極軌道衛星の場合、衛星位置が全天であることが想定される。そこで、干渉電力推定装置は、全天の指定された高度の各位置の衛星と地上局との間の干渉計算を行い、計算された中で最も大きな干渉量を、極軌道衛星と地上局との間の干渉量とする。
(手順4-4)干渉電力推定装置は、極軌道衛星ではない周回衛星の場合、衛星の位置が想定される範囲とその範囲における最低高度を求め、これらの値を利用して、解決策1と同様に干渉計算を行う。
(手順4-1)干渉電力推定装置は、静止衛星の場合、経度を設定する。設定された緯度と、静止衛星軌道の高度とを併せて衛星位置が特定できるため、その特定される静止衛星位置から地上局との間の干渉を確認できる。
(手順4-2)干渉電力推定装置は、静止衛星ではなく周回衛星の場合、極軌道衛星であるか否かを判断する。
(手順4-3)極軌道衛星の場合、衛星位置が全天であることが想定される。そこで、干渉電力推定装置は、全天の指定された高度の各位置の衛星と地上局との間の干渉計算を行い、計算された中で最も大きな干渉量を、極軌道衛星と地上局との間の干渉量とする。
(手順4-4)干渉電力推定装置は、極軌道衛星ではない周回衛星の場合、衛星の位置が想定される範囲とその範囲における最低高度を求め、これらの値を利用して、解決策1と同様に干渉計算を行う。
上記の解決策により、本実施形態の干渉電力推定装置は、衛星と地上局間の干渉量を算出するときに、周回衛星の軌道に対して、より精度の高い結果を提供できる。特に、周回衛星の軌道が楕円のように、時間により衛星の高度差が大きく違い、衛星と地上局の距離が大幅に変化する場合であっても、干渉を計算する際にその距離の違いが考慮される。また、衛星が想定される範囲を周回衛星の軌道に合わせて限定するため、計算リソースや時間も削減できる。また、本実施形態の干渉計算装置を用いることにより、低軌道衛星など複数衛星システムから地上の無線局が受ける干渉量の総和を、より正確に計算できる。
以下、本実施形態の詳細を、第1~第4の実施形態に示す。
以下、本実施形態の詳細を、第1~第4の実施形態に示す。
[第1の実施形態]
まず、関連技術により衛星と地上局間の干渉を計算する際の課題を詳しく説明する。
まず、関連技術により衛星と地上局間の干渉を計算する際の課題を詳しく説明する。
図1は、周回衛星の軌道が投影された地図を示す図である。このような周回衛星として、地球を1日に2周して、元の位置に戻る回帰衛星を挙げている。この回帰衛星は12時間で地球を1周し、1周目と2周目で地上に投影された軌道は異なるものの1日に1度は、イギリス、ドイツ、欧州諸国など高緯度地域であっても同じ地点の上空に戻ってくるため、同地域での通信や各種の観測に適している。地図上に投影した周回軌道から干渉計算で衛星が存在する緯度経度の範囲が確認できる。
同図に示す地図上に投影された衛星の軌道は、1周目が符号L1で示され、2周目が符号L2で示される。1周目と2周目の軌道は違っているがそれぞれ、赤道に対して南側(南緯)では地図上に投影された軌道の長さが短く、北側(北緯)では投影した軌道が長い。これは、衛星が位置する軌道面が赤道面に対し傾いているためである。しかも、軌道は楕円状であり、衛星は、南半球側では近地点を高速で移動し、北半球側では遠地点を低速で移動する。そのため、地図上での衛星の軌道は、同図に示す軌道L1、L2のようになる。
ここで、楕円の軌道をした衛星に関して若干触れて置く。図2は、人工衛星の楕円軌道に関する長さを示す図である。図2(a)は、地球の赤道面M1に対して、衛星の楕円の軌道L3を含んだ斜めとなる軌道面(又は、傾斜面)M2を示す。ここで軌道面M2が赤道面M1と成す角度は、軌道傾斜角である。また、この図2(a)では、軌道面M2上での衛星の軌道L3が楕円である例を示しており、地球に対して最も近いポイントが近地点、最も遠いポイントが遠地点である。
図2(b)は、軌道面(又は、傾斜面)M2を正面から見た衛星の軌道L3を示す。上述したように、この例で衛星の軌道L3は楕円であり、この楕円に存在する2つ焦点F1、F2のうち、片方(同図では焦点F1)が地球の中心に当たる。その結果、この楕円軌道を持つ衛星の最低高度(近地点高度)は、楕円の長軸(長径)上で、楕円の円弧と焦点F1までの最短の距離から地球の半径を減算した高さとなる。他方、最高高度(遠地点高度)は、楕円の長軸(長径)上で楕円の円弧と焦点F1までの最長の距離から地球の半径を減算した高さとなる。
図1に示す周回衛星の軌道の例を対象にして、関連技術と本実施形態の干渉量の計算を比較して説明する。
図3は、関連技術による干渉評価対象の衛星と地上の位置関係を示す図である。図3(a)は、地球と周回衛星を俯瞰してみた図であり、関連技術による干渉計算を行う際に衛星があると想定する範囲sp_b1を示す。この想定する範囲sp_b1は、赤道を含め南北に一定の緯度の幅で地球を1周する帯状になっている。また、この帯状の範囲sp_b1における高度(地球からの距離)は、衛星の最低高度(近地点高度)に設定される。
図3は、関連技術による干渉評価対象の衛星と地上の位置関係を示す図である。図3(a)は、地球と周回衛星を俯瞰してみた図であり、関連技術による干渉計算を行う際に衛星があると想定する範囲sp_b1を示す。この想定する範囲sp_b1は、赤道を含め南北に一定の緯度の幅で地球を1周する帯状になっている。また、この帯状の範囲sp_b1における高度(地球からの距離)は、衛星の最低高度(近地点高度)に設定される。
図3(b)には、先の図1に示したように、周回衛星の軌道L3を地図上に投影した軌道を示す。なお、簡単に説明し易いよう、この図3(b)では、1周目の軌道L1のみを示し、2周目の軌道を省略している。図3(b)には、この地図上に投影した衛星の軌道L1に加え、関連技術により衛星と地上局間の干渉計算をする際に、上空に衛星が位置すると想定する範囲sp_b1’を示す。範囲sp_b1’は、赤道を挟んで南北に一定の範囲の帯状になっている。この帯状の範囲sp_b1’には、衛星の軌道(この例では1周目及び2周目の軌道両方)が全て含まれる。なお、2周目の軌道を省略しているが、関連技術で、1周目と同じく衛星の位置を想定する範囲は、範囲sp_b1’と一致するため問題は生じない。関連技術では、衛星の存在が想定されるこの帯状の範囲sp_b1’の上空に位置する衛星と地上の指定された地上局との間の干渉量を計算する。ただし、計算する際は、衛星の高度を上述した最低高度と一定にして考えている。そして、範囲sp_b1’の上空に位置すると想定される全ての衛星について算出した中で最も大きい干渉量の結果を、ユーザに出力提示する。
図4は、本実施形態による干渉評価対象の衛星と地上の位置関係を示す図である。図4(a)は、図3(a)と同様、地球と周回衛星を俯瞰してみた図である。図4(a)は、本実施形態により干渉計算を実施する際に衛星が存在すると想定される複数の範囲sp_c1~sp_c4を示す。これら想定される複数の範囲sp_c1~sp_c4は、いずれも球面の一部であり矩形のブロックで区切られる。これら全ての範囲sp_c1~sp_c4を順につなげると地球を1周している。また、地球から各範囲の距離(ブロック毎の高度)は、最も近い範囲sp_c1では衛星の最低高度(近地点高度)である。また、他の範囲sp_c2~sp_c4ではその範囲に衛星が存在すると想定される位置のうち、最も低い高度に設定される。従って、この図4(a)では、3種類の異なる高度となる。これらの高度は、低い高度から順に、下側に記載の範囲sp_c1、中ほどに記載の範囲sp_c2、sp_c4、上側に記載の範囲sp_c3である。
また、図4(b)は、図3(b)と同様に、周回衛星の軌道L3を地図上に投影した軌道を示している。同図では、簡単に説明し易いよう軌道の1周目の軌道L1のみを記載している。なお、1周目の軌道L1と2周目の軌道L2とは異なり、省略した2週目については1周目と同じ計算リソースや時間が必要と考えられる。そこで、1周目と2周目を合せた場合については、1周目についての2倍のリソースや時間を予め見込めばよい。
図4(b)は、地図上に投影した衛星の1周目の軌道L1について、本実施形態により衛星と地上局間の干渉計算をする際に、上空に衛星が位置すると想定する複数の範囲sp_c1’~sp_c4’、sp_c2”~sp_c4”を示している。衛星が移動する軌道L1は、面積が異なる矩形の範囲(1)sp_c2”、(2)sp_c3”、(3)sp_c4”、(4)sp_c1’、(5)sp_c2’、(6)sp_c3’、(7)sp_c4’、…と順に辿ることができる。このように、これら複数の矩形の範囲sp_c2”、sp_c3”、sp_c4”、sp_c1’、sp_c2’、sp_c3’、sp_c4’はそれぞれ周回衛星の1周目の軌道L1の異なる部分を含んでおり、これら複数の範囲を併せて軌道L1全体を含む。このように、分割された範囲はそれぞれ、地図上に投影された軌道L1の全体を含む矩形よりも小さく、軌道L1の一部を含む矩形である。分割された各範囲は、他の分割された範囲と接しており、この接している部分を軌道L1が通っている。
本実施形態の干渉電力推定装置は、複数の範囲(ブロック)sp_c2”~sp_c4”、sp_c1’~sp_c4について、範囲内の上空の各想定位置の衛星と地上の指定された地上局との間の干渉量を計算する。そして、干渉電力推定装置は、範囲(ブロック)sp_c2”~sp_c4”、sp_c1’~sp_c4’毎に、その範囲内の上空の全ての想定位置の衛星からの干渉量のうち最も大きい干渉量を求める。続いて、干渉電力推定装置は、複数の範囲(ブロック)sp_c2”~sp_c4”、sp_c1’~sp_c4’それぞれについて求められた最も大きい干渉量を比較する。最終的に、本実施形態の干渉電力推定装置は、それら干渉量を比較した結果の中から、最も大きい干渉量を、衛星と地上局間の干渉量の推定結果としてユーザに出力提示する。
もう一度、図3(b)に示した、関連技術による干渉計算の際に用いられる、上空に衛星が存在する範囲sp_b1’(赤道を挟み南北に渡る帯状の面積)を振り返る。図4(b)に示すように、本実施形態によって干渉量を計算する際に用いる複数の範囲sp_c2”~sp_c4”、sp_c1’~sp_c4’は、図4(a)に示す4つに分かれた矩形の範囲(ブロック)sp_c1、sp_c2、sp_c3、sp_c4に対応している。そして、図3(b)と図4(b)の比較から分かるように、地図上に投影されたそれら範囲sp_c2”~sp_c4”、sp_c1’~sp_c4’の合計面積は、関連技術によって干渉量を計算する際に用いる範囲sp_b1’の面積と比べて凡そ3分の1未満である。従って、1周目の軌道L1のみを用いて説明した点を、2周目の軌道L2についても行って、干渉量を計算する範囲の面積が2倍に増えるとしても(実際は1周目と2周目の軌道では干渉を計算する範囲に重なりが存在するため、2倍より少ない)、計算する範囲を6割未満に削減できたことになる。
また、干渉を計算する際の衛星の軌道の高度について、関連技術では、図3(a)に示された範囲sp_b1内で一定の最低高度としているのに対して、本実施形態では図4(a)から分かるように範囲(ブロック)sp_c1、sp_c2、sp_c3、sp_c4毎に、衛星の軌道L3上のそれぞれの位置に応じて適切な高度に合わせている。このため、本実施形態は、関連技術よりも、求められる干渉量の精度をより高くすることができる。
なお、衛星が存在する範囲(ブロック)は、図4(a)に示す俯瞰図では範囲sp_c1、sp_c2、sp_c3、sp_c4の4つであり、図4(b)に示す地図上では、1周目の軌道L1の場合、7つの範囲sp_c2”、sp_c3”、sp_c4”、sp_c1’、sp_c2’、sp_c3’、sp_c4’である。これをさらに細かい範囲へと分割数を増やすことにより、干渉計算に必要なリソースや時間をさらに削減できる。また、範囲の分割数を増加させれば、その増加分に応じて干渉量の計算精度も向上する。
図5は、本実施形態による干渉電力推定装置1の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、干渉電力推定装置1は、入力部11、投影部12、範囲取得部13、高度算出部14、範囲繰り返し処理部15、範囲別干渉算出部16及び推定結果算出部17を備える。
入力部11は、ユーザ操作により無線局の情報を入力する。具体的には、入力部11により、与干渉局である衛星と被干渉局である地上局についての情報を入力する。入力される情報は、衛星の軌道、地上局の位置、衛星局及び地上局のシステム諸元である。システム諸元は、衛星局及び地上局のアンテナ利得及び給電等の損失、衛星局の送信電力(又は送信電力密度)、地上局のアンテナ方向及びアンテナ指向性パターン等を含む。
投影部12は、衛星の軌道の情報に基づいて、地表を表す地図上にその軌道を投影する。範囲取得部13は、隣接するブロックを順に辿ることにより、地図上に投影された軌道が全て含まれるように、地図上に複数の矩形のブロックの範囲を定め、各範囲の緯度及び経度を取得する。高度算出部14は、衛星の軌道の情報に基づいて、範囲取得部13が取得した各範囲における最低高度を求める。範囲繰り返し処理部15は、各範囲について干渉計算を繰り返すよう範囲別干渉算出部16を制御する。範囲別干渉算出部16は、関連技術により、各範囲の干渉計算を行う。推定結果算出部17は、各範囲について範囲別干渉算出部16が計算した干渉量の中から最大値の干渉量を選択し、衛星システムと地上局間の干渉量の推定結果とする。
図6は、本実施形態の干渉電力推定装置1が実行する干渉計算処理を示すフロー図である。また、この図6に示す干渉計算処理において、図4に示す衛星軌道の計算範囲を適用している点についても併せて説明する。
まず、ユーザは、入力部11により無線局の情報を入力する(ステップS10)。投影部12は、ステップS10において入力された周回衛星(今回の例では、回帰衛星)の軌道を、地図上に投影する(ステップS11)。この操作は、先の、図4(a)に示す回帰衛星の軌道L3を、図4(b)に示す地図上に投影された軌道L1に変換する処理に相当する。
次に、範囲取得部13は、地図上でステップS11において投影された軌道が含まれるよう分割された複数範囲の緯度及び経度を取得する(ステップS12)。この複数の範囲は、図4(b)に示される範囲sp_c1’、sp_c2’、sp_c3’、sp_c4’および範囲sp_c2”、sp_c3”、sp_c4”である。これら複数の範囲は矩形で区切られており、範囲取得部13は、それぞれの範囲における緯度(南北の境界線の値)と経度(東西の境界線の値)を得る。
続いて、高度算出部14は、ステップS12において得られた各範囲における衛星の最低高度を求める(ステップS13)。図4(a)から見てとれるように、回帰軌道で最も低い衛星の高度は、範囲sp_c1における近地点高度である。その他の範囲sp_c2、sp_c3、sp_c4では、それぞれの範囲内における衛星の軌道L3で最低の高度を求める。
範囲繰り返し処理部15は、分割された全て範囲について干渉を計算したか否かを判定する(ステップS14)。例えば、図4(b)の場合、7つに分割された範囲sp_c1’、sp_c2’、sp_c3’、sp_c4’、sp_c2”、sp_c3”、sp_c4”があり、上記の処理によりそれぞれの緯度、経度及び高度が求められる。ステップS14は、これら全ての範囲それぞれについて干渉計算を完了したかを確認する処理である。
範囲繰り返し処理部15は、干渉の計算が完了していない範囲があると判定すると(ステップS14:NO)、範囲別干渉算出部16に干渉計算を指示する。範囲別干渉算出部16は、干渉計算を行っていない各範囲について、その範囲の緯度及び高度と、最低高度とを用いて干渉計算を行う(ステップS15)。範囲別干渉算出部16による干渉計算は、関連技術と同じ計算方法である。ただし、条件となる範囲(緯度・経度の設定)と高度が異なること、また、範囲別に複数回の異なる条件で干渉計算を行うことが異なる点である。範囲別干渉算出部16による干渉計算の詳細については、後述する。
ステップS15の後、範囲繰り返し処理部15は、再び、ステップS14の判定処理を行う。範囲繰り返し処理部15は、全ての分割された範囲について干渉の計算を完了したと判定すると(ステップS14:YES)、推定結果算出部17へその旨を通知する。推定結果算出部17は、全ての分割された範囲それぞれについて計算された干渉量の中から最大値の干渉量を選択する(ステップS16)。この選択された最大値が、衛星と地上局間について求める干渉量の推定結果となる。
以上の計算フローは、図4(b)の例の場合、範囲別干渉算出部16が、7つの範囲sp_c1’、sp_c2’、sp_c3’、sp_c4’、sp_c2”、sp_c3”、sp_c4”それぞれに対して、関連技術で示した干渉計算を実施することを示している。この干渉計算により、当然のこと、それぞれの範囲で最大の干渉量が求められるため、図4(b)の場合、7つの干渉量が得られる。推定結果算出部17は、これら7つの干渉量を比較して、それらの中で最大の干渉量を、図4に示した回帰衛星と地上局の干渉評価で計算された検証量の結果とする。
以下に、範囲別干渉算出部16の詳細について説明する。
図7は、範囲別干渉算出部16の詳細な構成を示す機能ブロック図である。範囲別干渉算出部16は、繰り返し処理部102、局間ベクトル算出部103、見通し判定部104、アンテナ方向ベクトル算出部105、被干渉局アンテナ指向性判定部106、第一角度導出部107、方向分解部108、第二角度導出部109、総和算出部110、最小値算出部111及び干渉電力算出部112を備える。
図7は、範囲別干渉算出部16の詳細な構成を示す機能ブロック図である。範囲別干渉算出部16は、繰り返し処理部102、局間ベクトル算出部103、見通し判定部104、アンテナ方向ベクトル算出部105、被干渉局アンテナ指向性判定部106、第一角度導出部107、方向分解部108、第二角度導出部109、総和算出部110、最小値算出部111及び干渉電力算出部112を備える。
繰り返し処理部102は、衛星が存在すると想定される範囲において衛星が存在し得るn個の位置の情報を取得する。ここでの範囲は、範囲取得部13が取得した分割された範囲の緯度及び経度、かつ、高度算出部14が算出した高度で示される。衛星の位置は、緯度、経度及び高度の組合せで表される。繰り返し処理部102は、それら各位置の衛星それぞれについて減衰量算出処理を行うよう他の機能部を制御する。減衰量算出処理は、伝搬損失と指向性減衰量とを合計した減衰量の総和を算出する処理である。繰り返し処理部102は、減衰量算出処理を繰り返して全ての位置の衛星それぞれについて減衰量の総和の算出を終了すると、繰り返しの終了を最小値算出部111に通知する。
局間ベクトル算出部103は、局間ベクトルを導出する。局間ベクトルは、地上局(被干渉局)から衛星(与干渉局)に向かうベクトルである。見通し判定部104は、地上局と衛星を結ぶ線分と地球面とが交点を持つか否かを判定する。見通し判定部104は、交点を持たない場合は見通しあり、交点を持つ場合は見通しなしと判定する。アンテナ方向ベクトル算出部105は、見通し判定部104が見通しありと判定した場合にアンテナ方向ベクトルを導出する。アンテナ方向ベクトルは、衛星および地上局の位置ベクトルと同じ座標系で地上局のアンテナ方向を表すベクトルである。
被干渉局アンテナ指向性判定部106は、地上局のアンテナ指向性パターンを参照し、地上局のアンテナ指向性がH(水平)偏波とV(垂直)偏波とで異なるかどうかを判定する。第一角度導出部107は、地上局のアンテナ指向性がH偏波とV偏波で同じ場合に、地上局から衛星に向かう局間ベクトルと地上局のアンテナ方向ベクトルとがなす角の角度を算出する。第一角度導出部107は、算出した角度と、地上局のアンテナ指向性パターンとに基づいて指向性減衰量を算出する。方向分解部108は、地上局のアンテナ指向性がH偏波とV偏波で異なる場合に、地上局から衛星に向かう局間ベクトルをH成分及びV成分に分解する。第二角度導出部109は、局間ベクトルのH成分及びV成分のそれぞれと地上局のアンテナ方向ベクトルとがなす角の角度を導出する。第二角度導出部109は、算出したそれぞれの角度と、地上局のアンテナ指向性パターンとに基づいて指向性減衰量を算出する。
総和算出部110は、地上局と衛星との間の距離を算出し、その距離に基づいて伝搬損失を算出する。総和算出部110は、この伝搬損失に、被干渉局アンテナ指向性判定部106または第二角度導出部109が算出した指向性減衰量を加えて、減衰量の総和を算出する。最小値算出部111は、衛星が存在し得る位置のそれぞれについて算出された減衰量の総和のうち、最小の値を算出する。干渉電力算出部112は、最小値算出部111が算出した最小の減衰量の総和を用いて、衛星から地上局への最大の到来干渉電力を算出する。
図22のフロー図を参照して、範囲別干渉算出部16の詳細な処理を説明する。
図6のステップS10の処理において、衛星の情報及び地球上の局の情報が入力されているため、範囲別干渉算出部16は、ステップS105の処理を行わない。図6のステップS15の処理において、範囲別干渉算出部16は、分割された範囲毎に、図22のステップS110以降の処理を行う。
図6のステップS10の処理において、衛星の情報及び地球上の局の情報が入力されているため、範囲別干渉算出部16は、ステップS105の処理を行わない。図6のステップS15の処理において、範囲別干渉算出部16は、分割された範囲毎に、図22のステップS110以降の処理を行う。
繰り返し処理部102は、地球を中心O=(0,0,0)、半径Rの球と設定する。さらに、繰り返し処理部102は、範囲取得部13が取得した範囲の緯度及び経度の上空で、高度算出部14が算出した当該範囲の高度の範囲(以下、処理対象範囲と記載)において衛星が存在し得るすべての位置i(i=1~n)を得る。例えば、処理対象範囲を所定幅の緯度及び経度で分割し、分割された各領域における中心点又は分割に用いた緯度及び経度が交わる点を位置iとすることができる。繰り返し処理部102は、位置iの衛星局を与干渉局Ai(iは1以上の整数)、地球上の局を被干渉局Bと設定する。与干渉局Aiが存在し得る位置を緯度θAi、経度φAi、高度hAiとし、被干渉局Bの位置を緯度θB、経度φB、標高hBとする。入力された地上局のアンテナ方向の情報が示すアンテナ方位角、アンテナ仰角をそれぞれ、被干渉局Bのアンテナ方位角θ(真北方向を0°として時計回りに増加)及びアンテナ仰角φ(水平方向を0°として上向きに増加)とする。
図21には、与干渉局Aiと被干渉局Bの位置関係が示されている。地球の中心Oから与干渉局Aiまでの距離は、地球の半径R+与干渉局Aiの高度hAiであり、地球の中心Oから被干渉局Bまでの距離は地球の半径R+被干渉局Bの標高hBである。アンテナ方向ベクトル(BP)→は、被干渉局Bのアンテナ方向を表す単位ベクトルである。
図22において、繰り返し処理部102は、与干渉局Ai(i=1~n)の位置iを表す緯度θAi、経度φAi、高度hAiのn個の組全てについて減衰量の総和Liを算出するために、変数iを1からnまで1ずつ増加させて、図22のステップS115~ステップS150までの減衰量算出処理を繰り返す(ステップS110)。
局間ベクトル算出部103は、地球を中心O=(0,0,0)、半径Rの球と仮定して与干渉局Aiおよび被干渉局BをXYZ空間内で考えたときの与干渉局Aiの位置を表すベクトル(OAi)→及び被干渉局Bの位置を表すベクトル(OB)→をそれぞれ、式(1)、式(2)により求める。
局間ベクトル算出部103は、上記で求めたベクトル(OAi)→及びベクトル(OB)→を用いて、式(3)により被干渉局Bから与干渉局Aiへ向かう局間ベクトル(BAi)→を算出する(ステップS115)。
続いて、見通し判定部104は、与干渉局Aiと被干渉局Bの間に地球が入り込んでいるかどうか、つまり被干渉局Bから与干渉局Aiへの見通しがあるかどうか判定する(ステップS120)。具体的には、見通し判定部104は、線分AiBと地球面が交点を持つかどうかを、判別式を用いて判定する。線分AiB上の点をQiとすると、地球の中心Oから点Qiへのベクトル(OQi)→は、以下の式(4)により表される。
式(4)をtについて整理すると、以下の式(5)が得られる。
点Qiが地球面上に存在する、つまり、地球の中心Oから点Qiまでの距離が地球の半径Rと等しい|(OQi)→|=Rのとき、AiB間に地球が存在し、見通しがなくなる可能性がある。そこで、以下の式(6)に示す2次方程式について、式(7)の判別式D/4を考える。
図24は、判別式D/4の値と、与干渉局Ai、被干渉局Bおよび地球面の位置関係とを示す図である。図24(a)に示すように、判別式D/4<0のとき、与干渉局Ai、被干渉局Bを通る直線AiBとは、地球面と交点を持たない。図24(b)に示すように、判別式D/4=0のとき、与干渉局Ai、被干渉局Bを通る直線AiBは、地球面と接する。そして、図24(c)に示すように、判別式D/4>0のとき、与干渉局Ai、被干渉局Bを通る直線AiBは、地球面と交点を持つ。
そこで、図22において、見通し判定部104は、式(7)により算出した判別式D/4の値を判断する。D/4≦0のとき、図24(a)、(b)に示すように、直線AiBと地球面とは交点を持たないか、接するかのどちらかである。そこで、見通し判定部104は、D/4≦0の場合、AiB間に見通しがあると判定し(ステップS120:あり)、アンテナ方向ベクトル算出部105は、ステップS125の処理を行う。
一方、D/4>0のとき、図24(c)に示すように、直線AiBと地球面とが交点を持つが、線分AiBと地球面とが交点を持つかどうかまでは判定することができない。そこで、見通し判定部104は、D/4>0である場合、実際に式(6)の2次方程式を解いて、解t1及び解t2を求める。解t1及び解t2は、以下の式(8)により算出される。
0≦t1≦1かつ0≦t2≦1のとき、図24(c)の左側の図に示すように、線分AiBは地球面と交点をもつ。一方、t1<0,1<t1またはt2<0,1<t2のとき、図24(c)の右側の図に示すように、線分AiBは地球面と交点を持たない。
そこで、見通し判定部104は、解t1及び解t2が0≦t1≦1かつ0≦t2≦1のとき、AiB間に見通しがないと判定する(ステップS120:なし)。範囲別干渉算出部16は干渉計算を行わず、繰り返し処理部102は、ステップS155の処理を行う。
一方、見通し判定部104は、t1<0,1<t1またはt2<0,1<t2のとき、線分AiBと地球面が交点をもたないため、AiB間に見通しがあると判定する(ステップS120:あり)。アンテナ方向ベクトル算出部105は、ステップS125の処理を行う。
アンテナ方向ベクトル算出部105は、与干渉局Aiおよび被干渉局Bの位置ベクトルと同じ座標系で、被干渉局Bのアンテナ方向を表す単位ベクトルであるアンテナ方向ベクトル(BP)→を算出する(ステップS125)。具体的には、まず、被干渉局Bの位置が緯度θB=0、経度φB=0の仮想位置であるときのベクトル(OP)→を考える。
図25は、被干渉局Bが緯度θB=0、経度φB=0の仮想位置にあるときのベクトル(OP)→の導出方法を示す図である。地球の中心OからZ軸正方向へ向かう単位ベクトルは、以下の式(9)で表される。
被干渉局Bのアンテナ方位角θ、アンテナ仰角φであるときに、式(9)で示される単位ベクトルを、X軸中心に-θ回転、Y軸中心にφ回転させ、X軸正方向にR+hB平行移動すれば、被干渉局Bが緯度θB=0、経度φB=0の仮想位置にあるときの(OP)→は、以下の式(10)により算出される。
次に、被干渉局Bの緯度θB、経度φBの固定を解いた場合のベクトル(OP)→を考える。
図26は、緯度θB、経度φBの固定を解いた場合のベクトル(OP)→の導出方法を示す図である。式(10)で求めたベクトル(OP)→に対し、Y軸中心に-θB回転、Z軸中心にφB回転すれば、一般の緯度θB、経度φBにある被干渉局Bについて以下の式(11)を得る。
図26は、緯度θB、経度φBの固定を解いた場合のベクトル(OP)→の導出方法を示す図である。式(10)で求めたベクトル(OP)→に対し、Y軸中心に-θB回転、Z軸中心にφB回転すれば、一般の緯度θB、経度φBにある被干渉局Bについて以下の式(11)を得る。
アンテナ方向ベクトル算出部105は、式(11)により算出したベクトル(OP)→を用いて、以下の式(12)によりアンテナ方向ベクトル(BP)→を得る。
続いて、図22に示すように、被干渉局アンテナ指向性判定部106は、被干渉局Bのアンテナ指向性パターンを参照し、被干渉局Bのアンテナ指向性がH偏波とV偏波とで異なるか否かを判別する(ステップS130)。被干渉局アンテナ指向性判定部106は、被干渉局Bのアンテナ指向性がH偏波とV偏波とで同じであると判断した場合(ステップS130:同じ)、第一角度導出部107に処理を引き継ぐ。
まず、第一角度導出部107は、局間ベクトル(BAi)→とアンテナ方向ベクトル(BP)→とがなす角ηを導出し、被干渉局Bのアンテナパターンから角ηに対応したアンテナ指向性減衰量を算出する。
内積の定義より、以下の式(13)となる。
内積の定義より、以下の式(13)となる。
アンテナ方向ベクトル(BP)→は単位ベクトルであるため、|(BP)→|=1である。従って、以下の式(14)となる。
式(14)から角ηの角度は以下の式(15)により求められる。
第一角度導出部107は、式(15)により角ηの角度を算出すると、入力部11により予め入力された被干渉局Bのアンテナ指向性パターンを参照して、角ηの角度に対応したアンテナ指向性減衰量を算出する(ステップS135)。範囲別干渉算出部16は、ステップS150の処理を行う。
一方、被干渉局アンテナ指向性判定部106は、被干渉局Bのアンテナ指向性がH偏波とV偏波とで異なると判断した場合(ステップS130:異なる)、方向分解部108に処理を引き継ぐ。
方向分解部108は、被干渉局Bから与干渉局Aiに向かう局間ベクトル(BAi)→をH成分とV成分に分解する。すなわち、方向分解部108は、局間ベクトル(BAi)→のH方向成分である局間ベクトルH方向成分(BAiH)→および局間ベクトル(BAi)→のV方向成分である局間ベクトルV方向成分(BAiV)→を導出する。図27は、局間ベクトル(BAi)→を局間ベクトルH方向成分(BAiH)→および局間ベクトルV方向成分(BAiV)→に分解するときの必要諸元を示す図である。
図22において、方向分解部108は、まず、アンテナ方向ベクトル(BP)→を水平方向にπ/2回転させたベクトル(BPH⊥)→と、アンテナ方向ベクトル(BP)→を垂直方向にπ/2回転させたベクトル(BPV⊥)→を定める。ここで、ベクトル(BPH⊥)→により定まる点PH⊥の位置ベクトル(OPH⊥)→と、ベクトル(BPV⊥)→により定まる点PV⊥の位置ベクトル(OPV⊥)→とは、ベクトル(OP)→の式(11)をふまえると、以下の式(16)及び式(17)となる。
上記の式(16)及び式(17)に基づき、方向分解部108は、以下の式(18)、式(19)を用いて、水平アンテナ方向ベクトル(BPH⊥)→、垂直アンテナ方向ベクトル(BPV⊥)→を求める。
次に、方向分解部108は、平面ΤHをアンテナ方向ベクトル(BP)→及び水平アンテナ方向ベクトル(BPH⊥)→を含む平面、平面ΤVをアンテナ方向ベクトル(BP)→及び垂直アンテナ方向ベクトル(BPV⊥)→を含む平面とする。さらに、点AiHを点Aiから平面ΤHに垂線を下したときの交点、点AiVを点Aiから平面ΤVに垂線を下したときの交点とする。このとき、局間ベクトルH方向成分(BAiH)→は、以下の式(20)となる。
(AiHAi)→は、局間ベクトル(BAi)→の垂直アンテナ方向ベクトル(BPV⊥)→への正射影ベクトルなので、以下の式(21)となる。
上記の式(21)から、局間ベクトルH方向成分(BAiH)→は、以下の式(22)となる。
上記の式(20)と同様に、局間ベクトルV方向成分(BAiV)→は、以下の式(23)となる。
(AiVAi)→は、局間ベクトル(BAi)→の水平アンテナ方向ベクトル(BPH⊥)→への正射影ベクトルなので、以下の式(24)となる。
方向分解部108は、式(22)により局間ベクトルH方向成分(BAiH)→を算出し、式(25)により局間ベクトルV方向成分(BAiV)→を算出する(ステップS140)。
続いて、図22において、第二角度導出部109は、局間ベクトルH方向成分(BAiH)→とアンテナ方向ベクトル(BP)→のなす角ηH、及び、局間ベクトルV方向成分(BAiV)→とアンテナ方向ベクトル(BP)→のなす角ηVを導出する。H方向成分については、内積の定義より、以下の式(26)となる。
アンテナ方向ベクトル(BP)→は単位ベクトルなので|(BP)→|=1であることから、以下の式(27)となる。
これより、以下の式(28)によりηHの角度が求められる。
V方向成分については、内積の定義より以下の式(29)となる。
アンテナ方向ベクトル(BP)→は単位ベクトルなので|(BP)→|=1であることから、以下の式(30)となる。
これより、以下の式(31)によりηVの角度が求められる。
第二角度導出部109は、式(28)により角ηHの角度を求め、式(31)により角ηVの角度を求める(ステップS145)。
続いて、第二角度導出部109は、ステップS105において入力された被干渉局BのH偏波及びV偏波それぞれのアンテナ指向性パターンを参照して、角ηHに対応したH偏波アンテナ指向性減衰量と、角ηVに対応したV偏波アンテナ指向性減衰量を算出する。第二角度導出部109は、算出したH偏波アンテナ指向性減衰量とV偏波アンテナ指向性減衰量とを合計し、総アンテナ指向性減衰量を算出する。
ステップS135又はステップS145の処理の後、総和算出部110は、与干渉局Aiと被干渉局Bとの間の距離|(BAi)→|に基づいて伝搬損失を算出する。伝搬損失は、例えば自由空間伝搬損失であれば、以下の式(32)により算出される。ただし、fは与干渉局Aiが放射する電波の周波数である。
総和算出部110は、求めた伝搬損失と、ステップS135において第一角度導出部107が算出したアンテナ指向性減衰量又はステップS145において第二角度導出部109が算出した総アンテナ指向性減衰量とを加算し、伝搬損失及び指向性減衰量の総和Liを算出する(ステップS150)。
繰り返し処理部102は、現在のiの値がnに達していないと判断した場合、現在のiの値に1を加算してステップS115~ステップS150の減衰量算出処理を繰り返すよう制御する。繰り返し処理部102は、iが繰り返し回数nに達した場合、減衰量算出処理の繰り返し終了を最小値算出部111に通知する(ステップS155)。
最小値算出部111は、以下の式(33)により、減衰量算出処理において全ての与干渉局Aiそれぞれについて算出した総和Li(i=1~n)のうち最小値のLminを探索する(ステップS160)。
干渉電力算出部112は、入力部11により入力された情報と、ステップS160において最小値算出部111が求めた伝搬損失及び指向性減衰量の総和Liの値を用いて、被干渉局Bが受信する干渉電力Prを算出する(ステップS165)。例えば、干渉電力Prは、与干渉局Aiの送信電力(もしくは送信電力密度)、アンテナ利得Gt、給電線等の損失Ltと、被干渉局Bのアンテナ利得Gr、給電線等の損失Lrと、伝搬損失及び指向性減衰量の総和の最小値Lminとを、各数値が「dB」単位である場合は、足し合わせることで求められる。
本実施形態の干渉電力推定装置1によれば、衛星と地上局間の干渉量を、負荷を軽減して算出することができる。さらに、本実施形態の干渉電力推定装置1によれば、特に、周回衛星の軌道に対して、より精度の高い干渉量の推定結果を得ることができる。
[第2の実施形態]
本実施形態では、地図上に投影される軌道が地球を一周しない軌道の衛星からの干渉量を算出する。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。本実施形態による干渉電力推定装置の構成は、第1の実施形態と同様である。
本実施形態では、地図上に投影される軌道が地球を一周しない軌道の衛星からの干渉量を算出する。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。本実施形態による干渉電力推定装置の構成は、第1の実施形態と同様である。
まず、準天頂軌道の例で、関連技術と本実施形態の違いを説明する。準天頂軌道は、同期軌道ならびに回帰軌道の一つに当たる。
図8は、関連技術による準天頂衛星の計算範囲を示す図である。図8(a)は、準天頂衛星の軌道L5を俯瞰図で示す図である。準天頂衛星は、日本では国内向け高精度に屋外の位置を把握できる日本版GPS(Global Positioning System)衛星「みちびき」(参考文献2)として活用されている。この準天頂衛星の軌道L5は、楕円であり、かつ、赤道面を基準として軌道傾斜角が約40°で傾いている。地球が24時間で1回転自転すると、準天頂衛星は地球の周りを同じ24時間で1周する。
(参考文献2):"JAXA TOP〉みちびき特設サイト〉準天頂衛星初号機「みちびき」概要"、[online]、[2018年9月13日検索]、インターネット<URL:http://www.jaxa.jp/countdown/f18/overview/michibiki_j.html>
図8(a)には、関連技術により干渉計算をするために用いられる範囲sp_d1を示している。この範囲sp_d1は、関連技術において準天頂衛星が存在すると想定する範囲であり、赤道の南北両側に軌道傾斜角が約-40°~40°の帯状である。この範囲sp_d1は、準天頂衛星が最低高度(後述する図9に示す近地点高度)で地球を一周する範囲に相当する。地上のある1点(例えば、日本の東京)から準天頂衛星をみれば、常に東西方向に一定の範囲sp_d1*内に留まる。図8(a)では地球が自転しているために、俯瞰図にすると地球を一周する帯状の範囲sp_d1のどこかにこの準天頂衛星が存在することになる。もし地球の自転と衛星が地球を1周する移動を相殺して見れば、矩形の範囲sp_d1*に準天頂衛星が存在する。この上空に衛星が存在する範囲sp_d1*を、地上へ投影すると、地表の矩形の範囲sp_d1‡となる。
また、図8(b)は、同じ準天頂衛星の軌道L5を地図上に投影した状況を示す。準天頂衛星の軌道L5は日本列島の上空の真上にできるだけ長時間、衛星が存在するように設定され、この図8(b)に示したように地図上に投影された軌道L5’は“8の字”を描く。この準天頂衛星の“8の字”の軌道L5’の一方は、日本列島に当たる。そして、日本列島が赤道より北側にあるために、“8の字”の軌道L5’の他方は、南側のオーストラリア大陸に渡っている。このような準天頂衛星と地上にある無線局の間での干渉評価を関連技術で計算する場合、その衛星が上空に存在し得る範囲sp_d1’は、その“8の字”の軌道L5’を全て覆うような赤道の南北両側と日本列島を含む東西に渡る、インド~太平洋西側の一つの矩形となる。
図9は、本実施形態による準天頂衛星の計算範囲を示す図である。図9(a)は、準天頂衛星の軌道L5と、本実施形態において衛星が存在すると想定する範囲sp_e1及びsp_e2を俯瞰図で示す。先の図8でも述べたように、準天頂衛星は赤道面に対し軌道傾斜角が約40°で傾いた楕円軌道である。
準天頂軌道の近地点は南半球側に当たり、その近地点高度は軌道L5である楕円の焦点とその楕円の円弧との最短の距離から地球半径を減算した長さとなる。他方で、準天頂軌道の遠地点は北半球側(日本列島の上空)にあり、遠地点高度は軌道L5である楕円の焦点とその楕円の円弧との最長の距離から地球の半径を減算した長さとなる。
先に第1の実施形態でも取り挙げたが、ここでも楕円軌道を持つ衛星について再度触れることとする。図2(b)は、人工衛星の楕円軌道に関する長さを示す。楕円の2つの焦点F1、F2のうち一方の焦点F1が地球の中心であるため、遠地点高度はこの楕円軌道の衛星の最高高度となる。そして、この遠地点高度は、楕円の円弧から焦点F1までの最長の距離から地球の半径を引いた長さである。
そして、上述した図8(a)に示すように関連技術では準天頂衛星の存在範囲を一つの大きな範囲sp_d1としていたのに対して、図9(a)に示すように本実施形態では準天頂衛星が存在し得る範囲を大きく2つの範囲sp_e1及びsp_e2に分割している。北半球(日本列島の上空を含む)の範囲sp_e2は、遠地点を含む凡そ軌道L5の半分を担い、南半球(オーストラリア大陸)側の範囲sp_e1は、近地点を含む凡そ軌道L5の半分を含んでいる。これらの範囲sp_e1及びsp_e2は共に、球面状の曲面の一部であり、帯状の矩形である。そして、南半球側の範囲sp_e1における高度は、衛星の近地点の高度である。他方、北半球側の範囲sp_e2における高度は、この範囲sp_e2内における衛星の軌道L5で最も低い位置の高度とする。つまり、範囲sp_e1及びsp_e2における衛星の高度は異なる。
また、図9(b)は、準天頂衛星の軌道L5を地表面に投影した地図である。投影された軌道L8’は、図8(b)にも示したように、南半球ではオーストラリア大陸を含み、北半球では日本列島を含む正に“8の字”となる。本実施形態の干渉評価方法では、図9(b)に示すように、衛星が存在し得る位置を計算する対象の範囲sp_e1’及びsp_e2’は、南北半球それぞれの2つの矩形である。これらの範囲sp_e1’及びsp_e2’は、先の図8(b)では一つの範囲sp_d1’に含まれている。南半球(オーストラリア大陸)側の範囲sp_e1’は、北半球(日本列島)側の範囲sp_e2’より広く設定されており、これら範囲sp_e1’及びsp_e2’の範囲の合計は、図8に示す範囲sp_d1’よりも狭い。
図10は、関連技術と本実施形態の干渉計算に用いられる楕円軌道の衛星の高度差を示す図である。また、図11は、干渉計算対象の人工衛星の範囲を示す図である。図11は、図10の参考であり、以降の説明の理解のために図10と図11を併せて使用する。
図10は、北極真上の地球から遠く離れた宇宙空間の視点から見たときに準天頂衛星が地球を周回する状況を示している。同図から明らかなように、準天頂衛星は、地球を一方の焦点とした楕円軌道L5である。また、この楕円軌道L5の衛星は、近地点になる側を高速に飛行し、遠地点に当たる側を低速で移動する。本実施形態では、これら近地点側と遠地点側とに、計算の範囲を範囲sp_e1と範囲sp_e2との大まかに2つに分けている。そして、地球に近い片方の範囲sp_e1の高度を近地点の高度(最低高度H1)とし、地球から遠い範囲sp_e2の高度を、この範囲sp_e2内において衛星の軌道が最も地球に近いときの高度(最低高度H2)としている。
関連技術では、干渉評価する時に考慮される計算する範囲sp_d1(図8(a)に示す範囲sp_d1と同じ)の高度は、近地点の高度(最低高度H1)である。ここで、関連技術と本実施形態を比較すると、実際の準天頂衛星の軌道L5に対する高度差は、関連技術(図8及び図10における範囲sp_d1)の高度差Dd1よりも、本実施形態において設定される(図9及び図10における範囲sp_e1及びsp_e2)の高度差De1、De2ほうが大幅に削減されていることが分かる。このように、本実施形態の2分割範囲は、関連技術よりも、実際の衛星軌道と遠地点高度との差を縮小できる。
ここで、図11(a)は、図10を示している。図11(b)は、図11(a)におけるYZ平面を、図11(c)は、図11(a)におけるXZ平面をより詳細に示したものである。
図11(b)は、YZ平面を赤道方向の視点から見た図である。本実施形態の干渉計算において衛星が存在すると想定する範囲sp_e2は、円弧の一部となっていることが分かる。この円弧の一部として示される範囲sp_e2は、Y軸方向の両矢印で示す幅W2が存在する。また、この範囲sp_e2の最低高度H2は、北半球の地表からの矢印で示される。
図11(c)は、XZ平面を赤道方向の視点から見た図である。本実施形態の干渉計算において衛星が存在すると想定する範囲sp_e1は、円弧の一部となっていることがわかる。この円弧の一部として示される範囲sp_e1は、X軸方向の両矢印で示す幅W1が存在する。また、この範囲sp_e1の最低高度H1は、南半球の地表からの矢印で示される。
図11(b)及び図11(c)に断面を示したように、干渉計算のために衛星が存在すると想定する2つの範囲sp_e1、sp_e2は、球面を一部とする矩形である。従って、図11(a)(図10と同じ)に示した北極上空の遠方からでは、地球との距離方向に幅を持った円弧状の範囲となる。
本実施形態では、干渉電力推定装置1の範囲取得部13が、図9(b)に示す範囲sp_e1’、sp_e2’を取得し、高度算出部14が、範囲sp_e1’、sp_e2’それぞれの最低高度H1、H2を算出することが第1の実施形態と異なる点である。これにより、範囲別干渉算出部16の繰り返し処理部102は、図22のステップS110において、処理対象範囲を、図9(a)に示す範囲sp_e1及びsp_e2とすることができる。
[第3の実施形態]
24時間で地球を1周して地上から上空の静止した位置に見える静止衛星軌道に対し、低軌道衛星はより速く地球を1周する。また、このような低軌道による衛星のほか、高緯度のエリア地域を対象とするために変則的な軌道を採用する衛星がある。このような軌道を採用した1台の衛星だけでは十分な能力を発揮できない場合に、複数台の衛星同士がそれぞれ補完し合う運用により衛星システムを構成する例も多い。
24時間で地球を1周して地上から上空の静止した位置に見える静止衛星軌道に対し、低軌道衛星はより速く地球を1周する。また、このような低軌道による衛星のほか、高緯度のエリア地域を対象とするために変則的な軌道を採用する衛星がある。このような軌道を採用した1台の衛星だけでは十分な能力を発揮できない場合に、複数台の衛星同士がそれぞれ補完し合う運用により衛星システムを構成する例も多い。
複数衛星システムは、このように複数台の衛星構成により運用される衛星システムである。複数衛星システムでは、ある地上局から対象となる衛星が2台以上同時に見える場合がある。例えば、日本列島国内の開けた場所では、上空の高い位置にそれら衛星の1台が確認できると同時に、別の位置にもう1台の衛星が見られる。すなわち、複数の衛星から地上局へ干渉電波が同時に届く。このように同時に届く複数の衛星の干渉電波を考慮して、干渉計算に反映させる必要がある。
第3の実施形態では、それら複数の衛星から地上の無線局が受ける干渉量を計算する。さらに、本実施形態では、複数台の衛星により構成され、運用される衛星システムの具体的な一例として、比較的数が衛星の数が少ない準天頂衛星「みちびき」を採り上げて説明する。「みちびき」は、日本版GPSに活用されており、4台の衛星により運用される。
図12は、本実施形態による干渉電力推定装置1aの構成を示す機能ブロック図である。同図において、図5に示す第1の実施形態による干渉電力推定装置1と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す干渉電力推定装置1aが、図5に示す干渉電力推定装置1と異なる点は、複数衛星システム判定部21及び範囲組合せ部22をさらに備える点、及び、推定結果算出部17に代えて、推定結果算出部17aを備える点である。複数衛星システム判定部21は、地上局に干渉を与える衛星システムが、複数衛星システムであるか否かを判断する。範囲組合せ部22は、分割された複数の範囲のうち、同一タイミングにおいて複数衛星システムの複数の衛星それぞれが上空に存在する範囲の組合せを取得する。推定結果算出部17aは、複数衛星システムの複数の衛星それぞれが上空に存在する範囲について範囲別干渉算出部16が算出した干渉量を合計し、複数衛星システムが地上局に与える総干渉量を算出する。時刻によって、複数の衛星それぞれが上空に存在する範囲の組合せが異なる場合、推定結果算出部17aは、それら異なる範囲の組合せ毎に地上局に与える総干渉量を算出し、算出した中から最大の総干渉量を、複数衛星システムが地上局に与える干渉量の推定結果とする。
図13は、本実施形態の干渉電力推定装置1aが実行する干渉計算処理を示すフロー図である。同図に示す干渉計算処理では、地上にある無線局(地上局)が複数の衛星から構成される衛星システム(複数衛星システム)の全衛星から受ける干渉量を計算する。入力部11により、各衛星と地上局について第1の実施形態と同様の情報と、複数衛星システムである旨が入力される(ステップS20)。
干渉電力推定装置1aは、複数衛星システムと地上局間の干渉計算を行う場合に、最初の段階で、上空に衛星が存在する地図上の範囲を軌道に応じて複数に分割する。そこで、この最初の段階においてはまず、複数衛星システム判定部21は、地上局に干渉波を与える衛星システムが複数衛星システムであるか否かを判定する(ステップS21)。複数衛星システム判定部21が、複数衛星システムではないと判定した場合(ステップS21:NO)、干渉電力推定装置1aは、他の実施形態による干渉計算を行う。一方、複数衛星システム判定部21が、複数衛星システムであると判定した場合(ステップS21:YES)、投影部12は、各衛星の軌道を地図上に投影する。範囲取得部13は、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様に、地図上に投影された軌道が全て含まれるように、分割された複数の範囲を定める(ステップS22)。範囲取得部13は、それら分割された複数の範囲それぞれの緯度及び経度を算出し、高度算出部14は、それら分割された複数の範囲それぞれにおける衛星の最低高度を算出する。
次の2番目の段階で、干渉電力推定装置1aは、分割された各範囲について衛星と地上局間の干渉計算を行い、各範囲について干渉量を求める。この2番目の段階において、範囲繰り返し処理部15は、範囲別干渉算出部16に分割後の各範囲の干渉量を計算するよう指示する。範囲別干渉算出部16は、分割後の各範囲について衛星と地上局との間の干渉量を第1の実施形態又は第2の実施形態と同様に算出する(ステップS23)。
その後、範囲繰り返し処理部15は、分割された全ての範囲について干渉計算を終えたか否かを判定する(ステップS24)。範囲繰り返し処理部15は、この確認で未計算の範囲があると判断した場合(ステップS24:NO)、再び直前のステップS23の処理へ戻る。一方、範囲繰り返し処理部15は、分割された全ての範囲について干渉計算が完了していると判定した場合(ステップS24:YES)、次のステップS25の処理へ進む。
続いて、3番目の段階で、干渉電力推定装置1aは、ある時刻に複数衛星システムの各衛星が存在する複数の範囲を選択し、それら選択した複数の範囲について、先に求められている地上局との間の干渉量を積算して、複数衛星システムと地上局間の干渉量とする。
そこでまず、この3番目の段階において、範囲組合せ部22は、分割された複数の範囲の中から、ある時刻に複数衛星システムの各衛星が上空に存在する複数の範囲を選択する(ステップS25)。具体的な事例については、この図13の干渉計算処理の説明の後で、図14に示す複数衛星システム及び図15に示す同複数衛星システムの軌道遷移を例に挙げて詳しく述べる。推定結果算出部17aは、これら選択した複数範囲のそれぞれについて求められた地上局との間の干渉量を積算し、複数衛星システムと地上局間の干渉量とする(ステップS26)。
続いて、4番目の段階で、干渉電力推定装置1aは、各衛星が上空に存在する範囲の組合せが異なる時刻が他に存在する場合は、その異なる時刻における複数範囲についても、3番目の段階と同様に地上局との間の干渉量を積算して、複数衛星システムと地上局間の干渉量とする。各衛星が上空に存在する範囲の組合せが異なる時刻が他に存在する場合の具体例については、この図13の干渉計算処理の説明の後で、図14に示す複数衛星システム及び図15に示す同複数衛星システムの軌道遷移を例に挙げて詳しく述べる。
この4番目の段階で、範囲組合せ部22は、先のステップS25及びステップS26の処理に続いて、それら2つの処理で対象としていた時刻とは異なる時刻において、各衛星が存在する複数範囲の組合せが同じであるか否かを確認する(ステップS27)。範囲組合せ部22は、この確認で異なる時刻においても各衛星が存在する複数範囲の組合せが同じであると判定した場合(ステップS27:NO)、ステップS26において算出された干渉量からの変更はない。従って、推定結果算出部17aは、ステップS26において算出された干渉量を出力し、図13の干渉計算処理を終了する。
他方、範囲組合せ部22は、異なる時刻において上空に各衛星が存在する複数範囲の組合せが異なると判定した場合(ステップS27:YES)、その異なる組合せを推定結果算出部17aに出力する。推定結果算出部17aは、範囲組合せ部22から通知された複数の範囲の異なる組合せについても、ステップS26と同様に、地上局との間の干渉量を積算して、複数衛星システムと地上局間の干渉量とする(ステップS28)。
そして最後に、推定結果算出部17aは、各時刻について算出した干渉量を比較し、それら比較した値の中で最も大きな値を、最終的な推定結果として提示する。図13に示す干渉計算処理では、この最後の段階に先立って、範囲組合せ部22は、異なる時刻で複数範囲の組合せが異なると確認している(ステップS27:YES)。推定結果算出部17aは、ステップS25、ステップS28において用いた各時刻における干渉量の値を比較し、最も大きな値を最終的な干渉量の推定結果として提示する(ステップS29)。
このように、本実施形態では、同じ衛星システムの全衛星から地上局が同時に受ける干渉量を、複数の衛星それぞれが存在する範囲について求められた干渉量に基づいて計算する。
図14は、本実施形態による複数衛星システムの干渉計算を説明するための図である。複数衛星システムの具体的な一例として、準天頂衛星の「みちびき」を挙げる。準天頂衛星「みちびき」には、4台の衛星(初号機、2号機、3号機、4号機)があり、これら衛星は、相互に類似する準天頂軌道を取る。図14(a)は、ある時刻におけるその4台の衛星の準天頂軌道上の位置を示している。また、図14(b)は、図14(a)とは異なる時刻におけるその4台の衛星の準天頂軌道上の位置を示している。
そして、図14(a)及び(b)には、準天頂衛星の軌道を地図へ投影した情報に基づいて、衛星が上空に存在する地図上の範囲を8つに分割した状況を示している。準天頂衛星の軌道を地図へ投影した軌道L6は、“8の字”に示すルートである。衛星はこの軌道L6を、1日(24時間)で回るため、範囲取得部13は、大凡3時間毎に衛星が存在する地図上の範囲を矩形として切り出して示している。南半球では衛星の軌道が近地点となるので、衛星は比較的速く移動する。他方、北半球の日本列島やその周辺では遠地点に当たるため、衛星の移動速度は遅くなる。範囲取得部13は、このような移動速度の差異も加味して衛星の存在する範囲を分割している。すなわち、移動速度が遅いほど範囲は小さく、移動速度が速いほど範囲は大きい。
この範囲の分割数と衛星の台数によれば、ある時刻においては衛星が上空に存在する範囲と衛星が上空に存在しない範囲とが、軌道L6の順に交互に現われると考えられる。つまり、図14(a)と図14(b)に示す状況のように、衛星が上空に存在する範囲と衛星が上空にない範囲の組合せの状況は2パターンである。図14(a)に示す状況では、衛星が上空に存在する範囲は、近地点を含む範囲sp_g1、sp_g3、遠地点を含む範囲sp_g5、sp_g7であり、これら、範囲sp_g1、sp_g3、sp_g5、sp_g7それぞれの上空に1台ずつ、計4台の衛星が存在する。しかし、これら範囲のうち、範囲sp_g3と範囲sp_g7とは同じ場所で重なり、同範囲にだけ2台の衛星が存在する。つまり、地図上に投影された準天頂軌道L6を7分割した範囲のうち一部の範囲の上空に衛星が1台又は2台ある。しかし、当初の設定とおり、軌道順に範囲sp_g3と範囲sp_g7とを区別できるとみなせば、4つの範囲sp_g1、sp_g3、sp_g5、sp_g7それぞれの上空に各1台の衛星が存在すると考えられる。他方の図14(b)に示す状況では、衛星が上空に存在する範囲は、範囲sp_g2、sp_g4、sp_g6、sp_g8である。地図上に投影された準天頂軌道L6を8分割した範囲のうち、これらの範囲それぞれの上空には、1台ずつの衛星が存在する。干渉電力推定装置1aは、この条件で複数衛星システム全体(4台の衛星)から地上局への干渉量を求める。
図13のステップS23において、範囲別干渉算出部16は、これらの分割した範囲sp_g1、sp_g2、sp_g3、sp_g4、sp_g5、sp_g6、sp_g7、sp_g8それぞれについて、それら範囲の上空にある衛星と地上の無線局との間の干渉計算を行い、干渉量を求める。なお、範囲sp_g3と範囲sp_g7は同一範囲とみなし、一方の範囲の干渉計算を省略してもよい。
そして、図13のステップS26において、推定結果算出部17aは、図14(a)において衛星が上空に存在する4つの範囲sp_g1、sp_g3、sp_g5、sp_g7それぞれについて求められた干渉量の総和を算出する。また、それと同様に、推定結果算出部17aは、図13のステップS28において、図14(b)において衛星が上空に存在する範囲sp_g2、sp_g4、sp_g6、sp_g8それぞれについて求められた干渉量の総和を算出する。推定結果算出部17aは、図13のステップS29において、4台の衛星が存在する範囲の2パターンの組合せそれぞれについて求めた干渉量の総和を比較して総和が大きな方を選択し、最終的な複数衛星システムから地上局への干渉量の推定結果とする。
図15は、分割された複数範囲における複数衛星システムの軌道遷移を示す図である。この図15を参照しながら、先の図14に示した2つのパターンの組合せについて干渉を評価すれば良いかを検討する。これらの組合せのパターンは、先の図13に示した干渉計算処理における複数範囲の組合せ選択の部分、つまり、ステップS25、ステップS27、ステップS28に関係する。
範囲sp_g1、sp_g2、sp_g3、sp_g4、sp_g5、sp_g6、sp_g7、sp_g8は、準天頂軌道の衛星が上空に存在する可能性がある範囲を8つに分割したときのブロックである。図15(a)に示す表は、これら範囲sp_g1、sp_g2、sp_g3、sp_g4、sp_g5、sp_g6、sp_g7、sp_g8の上空において、準天頂衛星システムの4台の衛星(初号機、2号機、3号機、4号機)が移動する状況を示す。ある時刻において、衛星が上空に存在するか否かに応じて、それら8つの範囲を区別して示している。図15(a)に示す表によれば、複数衛星システムの全4台の衛星それぞれが上空に存在する範囲がローテーションで移り変わり、それら4台の衛星が各範囲を交互に占めていることがわかる。
図15(b)は、図15(a)に示す表において、8つに分割した範囲が地図上でどの場所になるかを示している。準天頂軌道を地図に投影した軌道L6は、赤道を挟んだ“8の字”である。この軌道L6を順に8分割し、範囲sp_g1、sp_g2、sp_g3、sp_g4、sp_g5、sp_g6、sp_g7、sp_g8としている。これらの範囲の中で、最も南側で近地点を含む範囲がsp_g1であり、また逆に最も北側の遠地点を含む範囲がsp_g5である。赤道より南側の範囲sp_g1、sp_g2、sp_g8は、赤道よりも北側の範囲sp_g4、sp_g5、sp_g6に比べ広い。理由は近地点(範囲sp_g1に含まれる)において衛星が移動する速度の方が、遠地点(範囲sp_g5に含まれる)における速度より速いためである。つまり、同じ時間では、赤道より南側の方が、軌道L6上の長い距離を移動する。準天頂軌道は“8の字”を24時間で巡るため、8つに分割すると一つの範囲は凡そ3時間での移動距離に相当する。改めて図15(a)の表に戻ると、ある時刻に4台の衛星が上空に存在する範囲sp_g2、sp_g4、sp_g6、sp_g8を示している。ここで云う“ある時刻”が、先の図13の干渉計算処理のステップS25における“ある時刻”に当たる。
再び図15(a)の表に戻り、この次の時刻には4台の衛星が範囲sp_g1、sp_g3、sp_g5、sp_g7の上空へ移る。範囲組合せ部22は、“ある時刻”とは異なる時刻において衛星が上空に存在する複数範囲の組合せ(sp_g1、sp_g3、sp_g5、sp_g7)が、前に選択された”ある時刻”における複数範囲の組合せ(sp_g2、sp_g4、sp_g6、sp_g8)と同じであるか否かを確認して判断する(図13のステップS27)。この例では、組合せが異なるため、推定結果算出部17aは、この判断結果に続いて、その時刻に各衛星が存在する範囲のそれぞれについて求められた干渉量を積算し、衛星システムと地上局間の干渉量とする(図13のステップS28)。
その次には、再び4台の衛星が範囲sp_g2、sp_g4、sp_g6、sp_g8の上空にある。これらの範囲の組合せは前々回の時刻と同じ複数範囲の組合せとなっている。従ってこの場合は、干渉計算の結果が同じになるため、改めて干渉量を計算する必要はない。従って、上記の2つのパターンとなる4つの範囲の組合せのみで干渉量の総和を比較すれば良い。
本実施形態によれば、複数の衛星を有する複数衛星システムと、地上局との間の干渉計算を行うことができる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、静止衛星であるか周回衛星(計算範囲を一部、全天-極軌道)であるかによって干渉計算の方法を選択し、切替える。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明するが、その差分を第2の実施形態と組合せてもよい。
第4の実施形態では、静止衛星であるか周回衛星(計算範囲を一部、全天-極軌道)であるかによって干渉計算の方法を選択し、切替える。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明するが、その差分を第2の実施形態と組合せてもよい。
図16は、本実施形態による干渉電力推定装置1bの構成を示す機能ブロック図である。同図において、図5に示す第1の実施形態による干渉電力推定装置1と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す干渉電力推定装置1bが、図5に示す干渉電力推定装置1と異なる点は、衛星軌道形態判定部31をさらに備える点、及び、推定結果算出部17に代えて推定結果算出部17bを備える点である。衛星軌道形態判定部31は、衛星の軌道の形態を判定する。推定結果算出部17bは、衛星の軌道の形態に応じて衛星システムから地上局への干渉量を算出する。
図17は、本実施形態による干渉電力推定装置1bが実行する干渉計算処理を示すフロー図を示す。同図に示す干渉計算処理は、衛星の軌道の種類に応じた算出方法で干渉電力を算出する。同図に示すフローでは、各衛星軌道(図20に示す静止衛星及び周回衛星、図4に示す回帰衛星、図9に示す準天頂衛星、後述する図18に示す極軌道衛星)を、計算範囲に適用している点も併せて説明する。
まず、入力部11により、無線局の情報が入力される。この情報には、衛星軌道の形態(種類)も含まれる(ステップS30)。衛星軌道形態判定部31は、衛星と地上局の干渉計算にあたり、衛星軌道の形態を確認する(ステップS31)。衛星軌道形態判定部31は、軌道の形態を確認した後に、第1の判断処理を行う(ステップS32)。第1の判断処理では、対象の衛星が静止衛星であるか否か(周回衛星か)を判定する。静止衛星は、図20(a)に示したように、赤道面の円軌道でかつ高度は35,800km、地球の自転と同じ24時間で地球を1周する。
衛星軌道形態判定部31は、第1の判断処理において、静止衛星であると判定した場合(ステップS32:YES)、次のステップS33へ進む。範囲別干渉算出部16は、静止衛星と地上局との間の干渉を計算する(ステップS33)。すなわち、範囲別干渉算出部16は、与干渉局の位置の数n=1として図22のステップS110以降の処理を行う。なお、静止衛星の場合、ステップS30において衛星の経度が入力されている。よって、与干渉局A1の緯度θAiは0°、経度φAiは入力された緯度、高度hAiは35,800kmとなる。推定結果算出部17bは、範囲別干渉算出部16が算出した干渉量を提示出力する。
他方、衛星軌道形態判定部31は、第1の判断処理において、周回衛星であると判定した場合(ステップS32:NO)、第2の判断処理を行う(ステップS34)。第2の判断処理では、衛星軌道形態判定部31は、対象の衛星が極軌道であるか否か(極軌道以外、他の周回衛星か)を判定する(ステップS34)。衛星軌道形態判定部31は、第2の判断処理において極軌道衛星であると判定した場合(ステップS34:YES)、次のステップS35の処理へ移る。極軌道については、この後、図18において説明するが、衛星の軌道は、地球の北極と南極を通るか、もしくは軌道面が南北の地軸に近い。よって、極軌道衛星の場合、衛星が存在する範囲は限定できず、衛星の位置は全天が想定される。そこで、干渉電力推定装置1bは、極軌道衛星と地上局との間の干渉計算では、設定された高度の全天を衛星が位置する範囲とし、その範囲内の各位置について干渉量の最悪値を導出する(ステップS35)。つまり、範囲別干渉算出部16は、ユーザが入力した高度の全天を所定対象範囲として図22のステップS110以降の処理を行い、推定結果算出部17bは、範囲別干渉算出部16が算出した干渉量を推定結果として提示出力する。
衛星軌道形態判定部31は、第2の判断処理において他の周回衛星であると判定した場合(ステップS34:NO)、ステップS36の処理へ移る。この他の周回衛星の例としては、先の図20(b)に挙げた周回衛星、第1の実施形態の図4に示した回帰衛星、第2の実施形態の図9に示した準天頂衛星などがある。干渉電力推定装置1bは、周回衛星の軌道を地図上に投影した分割された範囲(緯度経度)と、その範囲における衛星の最低高度とに基づいて最も大きな干渉量を導出する(ステップS36)。このステップS36の処理は、先の第1の実施形態や第2の実施形態で説明したそれぞれの衛星と地上局間の干渉評価方法が用いられる。
ここで、極軌道衛星について触れておく。図18は、極軌道衛星が存在する範囲を示す図である。図18(a)は、極軌道衛星の俯瞰図である。極軌道は、衛星が地球の北極と南極近くを周回する軌道である。地球が24時間で自転するのに対して、極軌道衛星の軌道面はその地球の自転とは異なるため、衛星が南北方向に移動する時は、毎回地球上の異なる場所を通過する。この極軌道衛星が地球を半周する際、衛星が存在する範囲sp_f1*は細長い縦長の矩形である。この範囲sp_f1*は、地表に投影しも同様に南北に細長い矩形の範囲sp_f1‡となる。このような衛星が存在する範囲sp_f1*または地表へ投影した範囲sp_f1‡は、極軌道衛星が地球を周回する度に異なる地表の場所を通る。このような結果、極軌道衛星が数日間に渡り地球を何回も周回した後では、この衛星が通過した範囲sp_f1は地球を全ての覆うこととなる。
図18(b)は、極軌道衛星が存在する範囲sp_f1を地図上に投影した様子を示す。上述したように、地球を覆う極軌道衛星の範囲sp_f1を地図上に投影した結果としては、地表上の殆どの範囲sp_f1’になっている。仮に1日に約5周する極軌道衛星の場合、図18(b)に示す地図上に同衛星が通過する軌道を描くと、軌道L71~L75(衛星が北極から南極へ半周する軌道)、および軌道L81~L85(南極から北極へ戻る半周の軌道)となる。このように極軌道衛星が数日間に渡り地球の南北の軌道を続けると、同様な軌道が地表の東西方向に異なる位置を埋め尽くすようになる。この結果として、このような極軌道衛星と地上の無線局との干渉計算を実施する場合は、衛星が地球を覆う全天に渡り存在する(その範囲sp_f1’は緯度:-90~90°、経度:-180~180°)とみなす。
なお、極軌道衛星は、数日以内で(極軌道の違いにより十数日により)地球全体をカバーできるため、全地球の観測に適している。高緯度地方を高精度で観測する気象衛星「NOAA」(参考文献3、4)がこの極軌道であり、同衛星を利用することにより1日に2度同じ地点が観測できるので、この衛星で観測された情報は南極昭和基地などで活用されている。
(参考文献3):"気象衛星センター TOP>業務概要>気象衛星センター業務>極軌道気象衛星データの受信"、[online]、[2018年9月13日検索]、インターネット〈URL:https://www.data.jma.go.jp/mscweb/ja/general/polar.html>
(参考文献4):"NOAA衛星 南極昭和基地受信データ"、[online]、[2018年9月13日検索]、インターネット〈URL:http://www.nipr.ac.jp/center/SATELLITE/noaa_data_j.html>
(参考文献4):"NOAA衛星 南極昭和基地受信データ"、[online]、[2018年9月13日検索]、インターネット〈URL:http://www.nipr.ac.jp/center/SATELLITE/noaa_data_j.html>
図19は、衛星軌道毎の計算条件を設定するための入力設定画面の表示例を示す図である。先の図17に示す干渉計算処理では、対象となる衛星の軌道は3種類に分けられ、それぞれの種類に応じた干渉計算方法により干渉量を計算することを述べた。それらの干渉計算方法に対応するため、各衛星軌道で必要となる入力条件が異なる。そこで、それぞれの衛星軌道の種類に応じて衛星の範囲を入力設定するため画面が用意される。同図では、それら衛星軌道に応じた設定画面を示している。
図19(a)は、静止衛星の設定を入力するための入力設定画面の例を示す。静止衛星は、赤道面(緯度:0°)であり、地球から決まった高度(35,800km)にしか存在できない。そのため、静止衛星の入力設定画面G1では、衛星軌道を特定する情報として、入力フィールドF10を用いて、経度のみを指定する。
図19(b)は、極軌道衛星の設定を入力するための入力設定画面の例を示す。殆どの極軌道衛星の事例(先の図18(a)に示す極軌道衛星の例を含む)では、衛星が存在する位置の緯度の変化は凡そ-90~90°であり、経度も定まらない。従って、極軌道衛星の入力設定画面G2では、入力フィールドF20を用いて、高度のみ指定する。指定後に、干渉電力推定装置1bが干渉計算を行う際には、緯度を-90~90°としたように、経度も-180~180°として地球を一周させる。つまり、極軌道衛星では「ある範囲に衛星の位置が限られることはなく、全ての上空(全天)に渡り衛星が存在し得る」と考えて地上の無線局間の干渉計算を行う。
図19(c)は、周回衛星の計算条件を入力するための入力設定画面の例を示す。同図に示す入力設定画面G3により、第1の実施形態や第2の実施形態で説明した複数の範囲を設定できる。これら複数の範囲を辿ると、周回衛星の軌道が含まれるようになっている。この周回衛星の入力設定画面G3では、まず、入力フィールドF30により、範囲の指定数を設定して入力する。この範囲の指定数nに応じて、“範囲1”、“範囲2”、“範囲3”、…それぞれの選択ボタンB1、B2、B3、…が機能するようになる。図19(c)に示す例では、指定数nに“5”が設定入力されているため、“範囲1”、“範囲2”、…、“範囲5”までの選択ボタンB1、B2、…、B5が選択可能な状態であり、“範囲6”、“範囲7”の選択ボタンB6、B7が機能できない状態である。そして、入力設定画面G3において“範囲1”の選択ボタンB1が選択されると、他の“範囲2”、“範囲3”、…、“範囲5”それぞれ選択ボタンB2、B3、…、B5と違ってハイライトされ、範囲1を設定する設定画面G31が前面に表示される。この前面に表示する“範囲1”の設定画面G31では、入力フィールドF31により高度の値を、入力フィールドF32及びF33により緯度が“どこ”から“どこ”までかの値を、入力フィールドF34及びF35により経度が“どこ”から“どこ”までかの値を入力設定できる。この図19(c)の“範囲1”の例では、高度1500km、緯度23.7~41.4°、経度130.2~155.8°の値が設定されている。同様に“範囲2”以降についても、高度、緯度の範囲及び経度の範囲を入力設定できる。
以上のように、本実施形態では、先の図17に示すように、衛星の軌道別に干渉計算の方法を切り換え選択する。その後、干渉電力推定装置1bは、図19に示す画面を表示して、ユーザが、それぞれの衛星軌道に応じて必要な入力設定を行うことを可能にする。これら図17に示す処理フローや図19に示す干渉計算の条件設定を行うことにより、高精度な干渉量の計算を効率化可能であり、かつその計算時間も削減できる。
上述した実施形態における干渉電力推定装置1、1a、1bの機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるものであってもよい。
以上説明した実施形態によれば、干渉電力推定装置は、投影部と、範囲取得部と、範囲別干渉算出部と、選択部とを備える。選択部は、例えば、推定結果算出部17、17a、17bである。投影部は、衛星の軌道を、地表面を表す地図上に投影する。範囲取得部は、投影された前記軌道が含まれるよう地図上の複数の範囲を定める。例えば、定められた複数の範囲はそれぞれ、地図上に投影された軌道の全体を含む矩形よりも小さい矩形であり、他の範囲と接する。高度算出部は、複数の範囲それぞれにおける衛星の軌道の高度を算出する。範囲別干渉算出部は、複数の範囲別に、当該範囲の緯度及び経度と当該範囲について算出された高度とにより定められる位置の衛星と、地表面に設置された無線局との間の干渉電力を算出する。選択部は、複数の前記範囲それぞれについて算出された干渉電力のうち最大値を推定結果として選択する。
なお、軌道が円軌道である場合は、複数の範囲それぞれにおける高度を、予め設定された一定の高度としてもよい。また、軌道が楕円軌道である場合は、最も高度が低いときの軌道が投影されている範囲における高度を、楕円軌道の近地点高度とし、他の範囲それぞれにおける高度を、当該範囲の上空の軌道において最も低い高度としてもよい。
また、干渉電力推定装置は、複数衛星システムが対象の場合、同一タイミングにおいて複数の衛星それぞれが上空に存在する範囲の組合せを1以上得る範囲組合せ部をさらに有してもよい。選択部は、組合せ別に、当該組合せを構成する前囲について範囲別干渉算出部が算出した干渉電力の合計を算出し、組合せごとに算出した合計の干渉電力のうち、最大値を推定結果として選択する。
また、干渉電力推定装置は、軌道の種類を判定する判定部をさらに備えてもよい。判定部は、例えば、衛星軌道形態判定部31である。判定部が、静止衛星の軌道と判定した場合、範囲別干渉算出部は、任意に設定された経度と、静止衛星の所定の緯度及び高度とに基づいて衛星の位置を特定し、特定された位置の衛星と無線局との間の干渉電力を算出し、選択部はこの算出された干渉電力を推定結果とする。判定部が極軌道であると判定した場合、範囲別干渉算出部は、任意に設定された高度に基づいて全天に渡って衛星がとり得る複数の位置を取得し、取得した位置の衛星と無線局との間の干渉電力を算出し、複数の位置それぞれについて算出した干渉電力のうち最大値を選択する。選択部は、この選択された最大値を推定結果とする。また、判定部が極軌道以外の周回衛星の軌道であると判定した場合、上記の投影部からの処理を行う。
以下に、衛星の軌道に関する用語について説明する。
(1)「静止衛星(軌道)」
軌道傾斜角度0度、つまり、赤道上空の高度約35,800kmの円軌道を毎秒約3kmの速度で周回する軌道である。衛星の周期は、地球の自転周期と同じ約24時間なので、地上から見ると常に静止しているように見える。このため「静止衛星」といわれる。気象衛星や放送衛星など、広く利用されている。
[記載箇所:背景技術、図20(a)、第4の実施形態、図17、図19]
軌道傾斜角度0度、つまり、赤道上空の高度約35,800kmの円軌道を毎秒約3kmの速度で周回する軌道である。衛星の周期は、地球の自転周期と同じ約24時間なので、地上から見ると常に静止しているように見える。このため「静止衛星」といわれる。気象衛星や放送衛星など、広く利用されている。
[記載箇所:背景技術、図20(a)、第4の実施形態、図17、図19]
(2)「周回衛星(軌道)」
周回衛星は、一般に、低軌道で地球の自転周期と一致せずに地球を周回する衛星である。周回衛星の軌道周期は、1時間から10時間程度で、高度は数百km~10,000km、衛星寿命は3~5年程度と短いものが普通である。一般に静止軌道よりも近い距離を周回するため、静止衛星に比べ伝送遅延が小さく、衛星までの距離が近いため、端末の出力も小さく済み、小型化や携帯化が可能で、主に移動通信に用いられる。衛星は上空を短時間で移動してしまうため通信可能時間を確保するため、また広域をカバーするため、多数の衛星の同時運用が必要となる。多数の衛星とは低高度軌道・中高度軌道・長楕円軌道がある。(参考文献5)
[記載箇所:背景技術、図20(b)、第1の実施形態の図1~図4、(第4の実施形態の図17、図19)]
周回衛星は、一般に、低軌道で地球の自転周期と一致せずに地球を周回する衛星である。周回衛星の軌道周期は、1時間から10時間程度で、高度は数百km~10,000km、衛星寿命は3~5年程度と短いものが普通である。一般に静止軌道よりも近い距離を周回するため、静止衛星に比べ伝送遅延が小さく、衛星までの距離が近いため、端末の出力も小さく済み、小型化や携帯化が可能で、主に移動通信に用いられる。衛星は上空を短時間で移動してしまうため通信可能時間を確保するため、また広域をカバーするため、多数の衛星の同時運用が必要となる。多数の衛星とは低高度軌道・中高度軌道・長楕円軌道がある。(参考文献5)
[記載箇所:背景技術、図20(b)、第1の実施形態の図1~図4、(第4の実施形態の図17、図19)]
(参考文献5):「通信システムの全てがわかる役立つ知識マニュアル TOP>静止衛星・周回衛星」、[online]、[2018年9月13日検索]、インターネット<URL:http://www.frostburgfirst.org/cs/alien.html>
(3)「同期軌道」
1日に1回、地球のまわりを回り、また元の地表面上空に戻る軌道を「同期軌道」という。衛星の公転周期は地球の自転周期と同じである。静止軌道もこの同期軌道の一種であるが、静止軌道との違いは、軌道傾斜角度が0度に限らない、楕円軌道の場合もある。静止軌道ではカバーの困難な地球の高緯度地方の観測や通信に適している。
[記載箇所:背景技術、図20(a)及び(b)、第2の実施形態の図8~図11]
1日に1回、地球のまわりを回り、また元の地表面上空に戻る軌道を「同期軌道」という。衛星の公転周期は地球の自転周期と同じである。静止軌道もこの同期軌道の一種であるが、静止軌道との違いは、軌道傾斜角度が0度に限らない、楕円軌道の場合もある。静止軌道ではカバーの困難な地球の高緯度地方の観測や通信に適している。
[記載箇所:背景技術、図20(a)及び(b)、第2の実施形態の図8~図11]
(4)「回帰軌道(回帰衛星)」
「回帰軌道」は、24時間以内に地球上空を何周か回り、元の地表面上空に戻る軌道である。衛星の公転周期は地球の自転周期の整数分の1で、近地点約600km、遠地点約4万kmの長楕円軌道の衛星の周期は約12時間で、1日に2度、同一地点の上空に戻る。この軌道に打ち上げられた衛星は、高緯度地方の通信や観測に適している。
[記載箇所:第1の実施形態の図1~図4、第2の実施形態の図8~図11]
「回帰軌道」は、24時間以内に地球上空を何周か回り、元の地表面上空に戻る軌道である。衛星の公転周期は地球の自転周期の整数分の1で、近地点約600km、遠地点約4万kmの長楕円軌道の衛星の周期は約12時間で、1日に2度、同一地点の上空に戻る。この軌道に打ち上げられた衛星は、高緯度地方の通信や観測に適している。
[記載箇所:第1の実施形態の図1~図4、第2の実施形態の図8~図11]
(5)「準回帰軌道」
「準回帰軌道」は、数日後に同じ場所の上空に衛星が戻る、つまり、1日に地球を何周も衛星が周回し、数日後(か、十数日後)と定期的に元の地表位置における真上の上空に戻る軌道である。地球観測衛星「ランドサット」も近地点約680km、遠地点約700km、周期98.5分で、1日に地球を15周し、16日後には元の地表面上空に戻る。この場合には、「回帰日数16日の準回帰軌道」と呼ばれる。長期間、定期的に地球を観測するのに適している。
[記載箇所:背景技術、図20(b)]
「準回帰軌道」は、数日後に同じ場所の上空に衛星が戻る、つまり、1日に地球を何周も衛星が周回し、数日後(か、十数日後)と定期的に元の地表位置における真上の上空に戻る軌道である。地球観測衛星「ランドサット」も近地点約680km、遠地点約700km、周期98.5分で、1日に地球を15周し、16日後には元の地表面上空に戻る。この場合には、「回帰日数16日の準回帰軌道」と呼ばれる。長期間、定期的に地球を観測するのに適している。
[記載箇所:背景技術、図20(b)]
(6)「極軌道(極軌道衛星)」
北極、南極の上空付近を回り、軌道傾斜角が90度、もしくはこれに近い角度の軌道のことを「極軌道」という。衛星が軌道を周回している間に地球が自転するため、北極・南極を含め、数日後には地球全体をカバーすることができる。そのため、全地球の観測に適しており、多くの地球観測衛星は極軌道、あるいは極軌道に近い軌道に投入されている。
[記載箇所:第4の実施形態の図18(図17、図19)]
北極、南極の上空付近を回り、軌道傾斜角が90度、もしくはこれに近い角度の軌道のことを「極軌道」という。衛星が軌道を周回している間に地球が自転するため、北極・南極を含め、数日後には地球全体をカバーすることができる。そのため、全地球の観測に適しており、多くの地球観測衛星は極軌道、あるいは極軌道に近い軌道に投入されている。
[記載箇所:第4の実施形態の図18(図17、図19)]
(7)「太陽同期軌道」
太陽同期軌道とは、衛星の軌道面の回転方向と周期(1日あたりの回転角)が地球の公転周期(1日あたりの回転角)に等しい軌道である。つまり、地球を回る衛星の軌道面全体が1年に1回転し、衛星の軌道面と太陽方向が常に一定になる軌道のことである。このような軌道は極軌道でのみ可能となるが、軌道傾斜角90度の完全な極軌道では、衛星軌道面の回転は起こらず、90度より大きな傾斜角の場合に、地球と同じ方向に回転する。また、この軌道傾斜角は、衛星の軌道高度によってちがってくる。例えば、高度800kmの円軌道の場合、傾斜角を98.4度にすると太陽同期軌道となる。この軌道を回る衛星から地球を見た場合、地表に当たる太陽光線が常に一定の角度であるため、同一条件下での地球観測を行うのに適している。
[記載箇所:背景技術]
太陽同期軌道とは、衛星の軌道面の回転方向と周期(1日あたりの回転角)が地球の公転周期(1日あたりの回転角)に等しい軌道である。つまり、地球を回る衛星の軌道面全体が1年に1回転し、衛星の軌道面と太陽方向が常に一定になる軌道のことである。このような軌道は極軌道でのみ可能となるが、軌道傾斜角90度の完全な極軌道では、衛星軌道面の回転は起こらず、90度より大きな傾斜角の場合に、地球と同じ方向に回転する。また、この軌道傾斜角は、衛星の軌道高度によってちがってくる。例えば、高度800kmの円軌道の場合、傾斜角を98.4度にすると太陽同期軌道となる。この軌道を回る衛星から地球を見た場合、地表に当たる太陽光線が常に一定の角度であるため、同一条件下での地球観測を行うのに適している。
[記載箇所:背景技術]
(8)「楕円軌道」
人工衛星が軌道を飛行している時に、地表へ最も近づく地点を「近地点」、最も遠ざかる地点を「遠地点」という。軌道には、円軌道、楕円軌道、極軌道などがある。この近地点と遠地点の差がない軌道を円軌道といい、差が大きいほど長い楕円軌道になる。
[記載箇所:第2の実施形態の図8~11]
人工衛星が軌道を飛行している時に、地表へ最も近づく地点を「近地点」、最も遠ざかる地点を「遠地点」という。軌道には、円軌道、楕円軌道、極軌道などがある。この近地点と遠地点の差がない軌道を円軌道といい、差が大きいほど長い楕円軌道になる。
[記載箇所:第2の実施形態の図8~11]
(9)「円軌道」
近地点と遠地点の差がない衛星の軌道が円軌道である。静止衛星では、赤道面の円軌道で、かつ高度は35,800km、地球の自転と同じ24時間で地球を1周する。
[記載箇所:背景技術、図20(a)、第4の実施形態の図17]
近地点と遠地点の差がない衛星の軌道が円軌道である。静止衛星では、赤道面の円軌道で、かつ高度は35,800km、地球の自転と同じ24時間で地球を1周する。
[記載箇所:背景技術、図20(a)、第4の実施形態の図17]
(10)「低軌道衛星」
一般に、低軌道衛星の高度約600~800kmで、約90~100分で地球を一周する。地上との衛星間の通信におけるメリットは、その他の中軌道衛星の遅延(150msec)に比べ、低遅延(20~30msec、参考文献6)が可能になる。さらに、超低軌道衛星「つばめ」は低軌道衛星より低い高度は約180~300km、搭載する観測機器のコストを抑えつつ、観測精度を高められる可能性がある(参考文献7)。
[記載箇所:背景技術、図20(b)]
一般に、低軌道衛星の高度約600~800kmで、約90~100分で地球を一周する。地上との衛星間の通信におけるメリットは、その他の中軌道衛星の遅延(150msec)に比べ、低遅延(20~30msec、参考文献6)が可能になる。さらに、超低軌道衛星「つばめ」は低軌道衛星より低い高度は約180~300km、搭載する観測機器のコストを抑えつつ、観測精度を高められる可能性がある(参考文献7)。
[記載箇所:背景技術、図20(b)]
(参考文献6):"衛星通信システムの最新動向 衛星を巡る諸問題に関する調査検討作業班 資料"、[online]、2017年1月31日、総務省、[2018年8月13日検索]、インターネット〈URL:http://www.soumu.go.jp/main_content/000463131.pdf〉
(参考文献7):"超低高度衛星技術試験機「つばめ (SLATS)」-超低高度軌道の課題と期待"、[online]、宙畑、[2018年9月13日検索]、インターネット〈URL:http://sorabatake.jp/gn_20171123〉
(参考文献7):"超低高度衛星技術試験機「つばめ (SLATS)」-超低高度軌道の課題と期待"、[online]、宙畑、[2018年9月13日検索]、インターネット〈URL:http://sorabatake.jp/gn_20171123〉
(11)「軌道傾斜角」
人工衛星の飛行には、次のような要素があり、それを人工衛星の「軌道要素」という。地表との距離を示す「近地点高度」「遠地点高度」、軌道面と地球の赤道面の角度である「軌道傾斜角」、軌道を1周する時間を示す「周期」の4つである。軌道傾斜角が0度の場合、常に赤道上空を飛行していることになり、角度が大きいほど、地球を南北方向に周回するようになる。角度が90度の場合、地球の北極、南極上空を通過する「極軌道」になる。
[記載箇所:第2の実施形態]
人工衛星の飛行には、次のような要素があり、それを人工衛星の「軌道要素」という。地表との距離を示す「近地点高度」「遠地点高度」、軌道面と地球の赤道面の角度である「軌道傾斜角」、軌道を1周する時間を示す「周期」の4つである。軌道傾斜角が0度の場合、常に赤道上空を飛行していることになり、角度が大きいほど、地球を南北方向に周回するようになる。角度が90度の場合、地球の北極、南極上空を通過する「極軌道」になる。
[記載箇所:第2の実施形態]
(12)「軌道面」
人工衛星は一つの決まった平面内を動いている。この平面を「軌道面」と呼び、地球を周回する衛星では、高度や円/楕円の違いがあるものの、その軌道面は必ず地球の中心を含む(参考文献8)。ちなみに、周回衛星の速度としては、地球表面を回るために必要な「第1宇宙速度」秒速7.9kmより速く、地球の重力を振りきる「第2宇宙速度」秒速11.2kmよりは遅い。
[記載箇所:第1の実施形態の図1、第4の実施形態の図18]
人工衛星は一つの決まった平面内を動いている。この平面を「軌道面」と呼び、地球を周回する衛星では、高度や円/楕円の違いがあるものの、その軌道面は必ず地球の中心を含む(参考文献8)。ちなみに、周回衛星の速度としては、地球表面を回るために必要な「第1宇宙速度」秒速7.9kmより速く、地球の重力を振りきる「第2宇宙速度」秒速11.2kmよりは遅い。
[記載箇所:第1の実施形態の図1、第4の実施形態の図18]
(参考文献8):"「軌道」とは何か"、[online]、[2018年9月13日検索]、JAXA 宇宙情報センター、インターネット〈URL:http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/orbit.html>
(13)「準天頂衛星」
日本列島のほぼ天頂(真上)を通る軌道を持つ人工衛星である。GPS補完・補強に関する日本版測位衛星「みちびき」が、この準天頂軌道である。「みちびき」の軌道は、軌道面傾斜角が約40°、地球の自転と同じ1日24時間で地球を1周する同期軌道、また1日で元の位置へ戻る回帰軌道の一つでもある。高度は約32,000~40,000kmである。
[記載箇所:第2の実施形態の図8、図9、第3の実施形態の図14、図15]
日本列島のほぼ天頂(真上)を通る軌道を持つ人工衛星である。GPS補完・補強に関する日本版測位衛星「みちびき」が、この準天頂軌道である。「みちびき」の軌道は、軌道面傾斜角が約40°、地球の自転と同じ1日24時間で地球を1周する同期軌道、また1日で元の位置へ戻る回帰軌道の一つでもある。高度は約32,000~40,000kmである。
[記載箇所:第2の実施形態の図8、図9、第3の実施形態の図14、図15]
(14)「近地点高度」
人工衛星が軌道を飛行している時、地表に最も近づく地点を「近地点」という。この「近地点」での衛星から地球の表面までの高さ(高度)を近地点高度という。
[記載箇所:背景技術、図20(b)、第1の実施形態の図4(a)、第2の実施形態の図8(a)、図9(a)]
人工衛星が軌道を飛行している時、地表に最も近づく地点を「近地点」という。この「近地点」での衛星から地球の表面までの高さ(高度)を近地点高度という。
[記載箇所:背景技術、図20(b)、第1の実施形態の図4(a)、第2の実施形態の図8(a)、図9(a)]
(15)「遠地点高度」
人工衛星が軌道を飛行している時、「近地点」とは反対で、地表に最も遠ざかる地点を「遠地点」という。この「遠地点」での衛星から地球の表面までの高さ(高度)を遠地点高度という。
[記載箇所:背景技術、図20(b)、第1の実施形態の図4(a)、第2の実施形態の図8(a)、図9(a)]
人工衛星が軌道を飛行している時、「近地点」とは反対で、地表に最も遠ざかる地点を「遠地点」という。この「遠地点」での衛星から地球の表面までの高さ(高度)を遠地点高度という。
[記載箇所:背景技術、図20(b)、第1の実施形態の図4(a)、第2の実施形態の図8(a)、図9(a)]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1、1a、1b…干渉電力推定装置, 11…入力部, 12…投影部, 13…範囲取得部, 14…高度算出部, 15…範囲繰り返し処理部, 16…範囲別干渉算出部, 17、17a、17b…推定結果算出部, 21…複数衛星システム判定部, 22…範囲組合せ部, 31…衛星軌道形態判定部, 102…繰り返し処理部, 103…局間ベクトル算出部, 104…見通し判定部, 105…アンテナ方向ベクトル算出部, 106…被干渉局アンテナ指向性判定部, 107…第一角度導出部, 108…方向分解部, 109…第二角度導出部, 110…総和算出部, 111…最小値算出部, 112…干渉電力算出部
Claims (7)
- 衛星の軌道を、地表面を表す地図上に投影する投影ステップと、
投影された前記軌道が含まれるよう前記地図上の複数の範囲を定める範囲取得ステップと、
複数の前記範囲それぞれにおける前記軌道の高度を算出する高度算出ステップと、
複数の前記範囲別に、前記範囲の緯度及び経度と当該範囲について算出された前記高度とにより定められる位置の前記衛星と、前記地表面に設置された無線局との間の干渉電力を算出する範囲別干渉算出ステップと、
複数の前記範囲それぞれについて算出された前記干渉電力のうち最大値を推定結果として選択する選択ステップと、
を有する干渉電力推定方法。 - 前記高度算出ステップにおいては、
前記軌道が円軌道である場合は、複数の前記範囲それぞれにおける前記高度を、予め設定された一定の高度とし、
前記軌道が楕円軌道である場合は、最も高度が低いときの前記軌道が投影されている前記範囲における前記高度を、前記楕円軌道の近地点高度とし、他の前記範囲それぞれにおける前記高度を、当該範囲の上空の前記軌道において最も低い高度とする、
請求項1に記載の干渉電力推定方法。 - 同一タイミングにおいて複数の前記衛星それぞれが上空に存在する前記範囲の組合せを1以上得る範囲組合せステップをさらに有し、
前記選択ステップにおいては、前記組合せ別に、当該組合せを構成する前記範囲について算出された前記干渉電力の合計を算出し、前記組合せごとに算出した合計の前記干渉電力のうち、最大値を前記推定結果として選択する、
請求項1又は請求項2に記載の干渉電力推定方法。 - 前記軌道の種類を判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記軌道が静止衛星であると判定された場合、任意に設定された経度と、静止衛星の所定の緯度及び高度とに基づいて前記衛星の位置を特定し、特定された前記位置の前記衛星と前記無線局との間の干渉電力を算出して前記推定結果とする第1の推定結果算出ステップと、
前記判定ステップにおいて前記軌道が極軌道であると判定された場合、任意に設定された高度に基づいて全天に渡って前記衛星がとり得る複数の位置を取得し、取得した前記位置の前記衛星と前記無線局との間の干渉電力を算出し、複数の前記位置それぞれについて算出した前記干渉電力のうち最大値を前記推定結果とする第2の推定結果算出ステップと、
前記軌道が極軌道衛星以外の周回衛星の軌道である場合、前記投影ステップ、前記範囲取得ステップ、前記高度算出ステップ、前記範囲別干渉算出ステップ及び前記選択ステップを行う第3の推定結果算出ステップとを有する、
請求項1に記載の干渉電力推定方法。 - 前記範囲取得ステップにおいて定められる複数の前記範囲はそれぞれ、前記地図上に投影された前記軌道の全体を含む矩形よりも小さい矩形であり、他の前記範囲と接する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の干渉電力推定方法。 - 衛星の軌道を、地表面を表す地図上に投影する投影部と、
投影された前記軌道が含まれるよう前記地図上の複数の範囲を定める範囲取得部と、
複数の前記範囲それぞれにおける前記軌道の高度を算出する高度算出部と、
複数の前記範囲別に、前記範囲の緯度及び経度と当該範囲について算出された前記高度とにより定められる位置の前記衛星と、前記地表面に設置された無線局との間の干渉電力を算出する範囲別干渉算出部と、
複数の前記範囲それぞれについて算出された前記干渉電力のうち最大値を推定結果として選択する選択部と、
を備える干渉電力推定装置。 - コンピュータに、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の干渉電力推定方法を実行させるためのプログラム。
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