JP7056577B2 - ヘモグロビンの糖化率測定方法 - Google Patents
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Description
現在糖化ヘモグロビン比率の測定法としては高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法、ラテックス凝集免疫比濁法が普及している。HPLC法はカラム価格が高い、また処理能力が低いという問題がある。またラテックス凝集免疫比濁法は測定に使用する分析装置の反応槽を汚染し、メンテナンスに手間がかかるという問題がある。そこで、これらの問題を解消した酵素法が近年着目されており、普及している。
全ヘモグロビン濃度の測定法としては国際標準法であるシアンメトヘモグロビン法、塩酸ヘマチン法、アルカリヘマチン法、オキシヘモグロビン法、SLS-ヘモグロビン法、Hb・red計測法、またはHbCO計測法などが挙げられる。
全ヘモグロビン濃度は、濃度既知で全ヘモグロビン濃度が異なる2種のキャリブレーターを用いて全ヘモグロビン濃度のキャリブレーションカーブを作成し、続いて試料中の全ヘモグロビン量を測定し、前記キャリブレーションカーブを用いて算出する。
一方、糖化ヘモグロビン濃度測定法としては糖化ヘモグロビンまたはその分解産物に酸化還元酵素を反応させて過酸化水素を生成し、さらに該過酸化水素をパーオキシダーゼ存在下で発色基質と反応させて発色量を測定する比色定量法である(特許文献1)。
糖化ヘモグロビン濃度は、濃度既知で糖化ヘモグロビン濃度が異なる2種のキャリブレーターを用いて糖化ヘモグロビン濃度のキャリブレーションカーブを作成し、続いて試料中の糖化ヘモグロビン量を測定し、前記キャリブレーションカーブを用いて算出する。
例えば糖化ヘモグロビンとしてHbA1cを選択した場合、糖化HbA1c比率は上記反応で得られた全ヘモグロビン濃度や糖化ヘモグロビン濃度を以下の計算式に当てはめることで算出できる。
HbA1c(NGSP)値
=0.0915 × HbA1c濃度(mmol/L)/総Hb濃度(mol/L)+2.15
HbA1c(JDS)値=0.980 × HbA1c(NGSP)値 - 0.245
したがって、酵素法によるHbA1c比率測定方法を自動分析機に適用する場合、全ヘモグロビンを測定するチャンネルとHbA1cを測定するチャンネルの2チャンネルが必要となるため、2チャンネル分の試薬が必要となり、煩雑となる。また、2種類の測定を行うことから、HbA1c比率の測定処理速度は、1チャンネルを用いて1種類の測定を行う方法と比べて低下する。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
以下の(1)~(5)の工程を含む、糖化ヘモグロビン比率の測定方法:
(1)糖化ヘモグロビンを含む試料にスルホ基を持つ化合物を接触させる工程、
(2)糖化ヘモグロビンを含む試料に糖化アミノ酸オキシダーゼを作用させて過酸化水素を生成させる工程、
(3)工程(2)で生成した過酸化水素をペルオキシダーゼ存在下に発色基質に接触させて発色色素を生成させる工程、
(4)工程(3)で得られた発色色素の発色量を測定する工程、及び、
(5)糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーターを用いてあらかじめ作成した糖化ヘモグロビン比率と発色量のキャリブレーションカーブに工程(4)で得られた発色量を適応し、糖化ヘモグロビン比率を算出する工程。
[項2]
前記(5)の工程で用いる糖化ヘモグロビンキャリブレーターとして、2水準以上の糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーターを使用し、測定完了時の反応液中における全ヘモグロビン濃度が最も低いものを1とすると他のものの全ヘモグロビン濃度はその1倍~6倍の濃度である、項1に記載の測定方法。
[項3]
さらに、以下の(6)の工程を含む、項1又は2の測定方法:
(6)糖化ヘモグロビンをプロテアーゼの作用により糖化ヘモグロビン分解物に分解する工程。
[項4]
さらに、以下の(7)の工程を含む、項1~3のいずれかに記載の測定方法:
(7)糖化ヘモグロビンを含む試料を溶血させる工程。
[項5]
前記(1)の工程で用いるスルホ基を持つ化合物が、ベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸、ベンゾチアゾリンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸、ベンゾオキサジアゾールスルホン酸、及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、項1~4のいずれかに記載の測定方法。
[項6]
前記(1)の工程で用いるスルホ基を持つ化合物が、ドデシルベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、4-アミノアゾベンゼン-4’-スルホン酸、4-アミノ-4’-ニトロスチルベン-2,2’-ジスルホン酸、4,4’-ジアゾスチルベンゼン-2,2’-ジスルホン酸、スルファニル酸、5-スルホイソフタル酸、5-アミノ-2-クロロトルエン-4-スルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、8-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシル、ジアルキルスルホコハク酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、項1~5のいずれかに記載の測定方法。
[項7]
上記(3)の工程で用いる発色基質が、ロイコ型色原体である、項1~6のいずれかに記載の測定方法。
[項8]
上記(3)の工程で用いる発色基質が、フェノチアジン系のロイコ型色原体である、項1~7のいずれかに記載の測定方法。
[項9]
上記(3)の工程で用いる発色基質が、10-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン ナトリウム塩、10-N-カルボキシメチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン、及び10-N-メチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジンからなる群より選択される少なくとも1種のフェノチアジン系のロイコ型色原体である、項1~8のいずれかに記載の測定方法。
[項10]
上記(3)の工程で用いる発色基質が、10-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン ナトリウム塩である、項1~9のいずれかに記載の測定方法。
[項11]
1チャンネルで実施される、項1~10のいずれかに記載の測定方法。
[項12]
以下の(a)~(e)の試薬を含む、糖化ヘモグロビン比率の測定キット:
(a)スルホ基を持つ化合物を含有する試薬、
(b)糖化アミノ酸オキシダーゼを含有する試薬、
(c)ペルオキシダーゼを含有する試薬、
(d)ペルオキシダーゼ存在下に過酸化水素と接触して発色色素を生成する発色基質を含有する試薬、及び、
(e)糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーター。
[項13]
前記(e)の糖化ヘモグロビンキャリブレーターが、2水準以上の糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーターであって、測定完了時の反応液中における全ヘモグロビン濃度が最も低いものを1とすると他のものの全ヘモグロビン濃度がその1倍~6倍の濃度である糖化ヘモグロビンキャリブレーターである、項12に記載の測定キット。
[項14]
さらに、以下の(f)の試薬を含む項12又は13に記載の測定キット:
(f)プロテアーゼを含有する試薬。
活性の定義(測定方法)がわからない場合や、測定に必要な試薬の入手に制約がある場合などにおいては、当業者の常識に基づいて合理的に適宜基質を選定し、測定条件を決定した上で測定する。
本発明の実施態様の一つは、以下の(1)~(5)の工程を含む、糖化ヘモグロビン比率の測定方法である。
(1)糖化ヘモグロビンを含む試料にスルホ基を持つ化合物を接触させる工程
(2)糖化ヘモグロビンを含む試料に糖化アミノ酸オキシダーゼを作用させて過酸化水素を生成させる工程
(3)工程(2)で生成した過酸化水素をペルオキシダーゼ存在下に発色基質に接触させて発色色素を生成させる工程
(4)工程(3)で得られた発色色素の発色量を測定する工程
(5)糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーターを用いてあらかじめ作成した糖化ヘモグロビン比率と発色量のキャリブレーションカーブに工程(4)で得られた発色量を適応し、糖化ヘモグロビン比率を算出する工程
本発明の糖化ヘモグロビン比率測定方法の測定対象となる試料は特に限定されない。例えば、全血、血漿、血清、血球等の他に、尿、髄液等の生体試料(すなわち生体から採取された試料)や、ジュース等の飲料水、醤油、ソース等の食品類等の試料に対しても適用できる。
キャリブレーターとしては、特に限定されるものではないが、全血、血球、全血を精製水や試薬に溶解した液、血球を精製水や試薬に溶解した液などが挙げられる。前記溶解のための試薬としては、前記の測定用試料調製の目的で例示されている精製水または希釈液を用いてもよい。これらは、冷蔵または冷凍保存することが好ましく、中でも冷凍保存が好ましい。冷凍保存により凍結されたキャリブレーターは使用の際に解凍して用いればよい。
また、キャリブレーターとして、前記の全血、血球、溶解液などを凍結乾燥させたものを用いることもできる。凍結乾燥されたキャリブレーターは使用の際に再溶解して用いればよい。前記再溶解の際には、例えば、前記の測定用試料調製の目的で例示されている精製水または希釈液を用いることができる。
本発明の糖化ヘモグロビン比率の測定方法は、さらに、以下の(7)の工程を含んでもよい。
(7)糖化ヘモグロビンを含む試料を溶血させる工程
工程(7)は、糖化ヘモグロビンを含む試料が全血または血球を含む場合に好ましく用いられる。
工程(7)は、例えば、前記のように工程(1)~(5)に先立って測定用の試料を調製する際に実施することができる。また、工程(7)は、工程(2)~(5)に先立って工程(1)と同時に行ってもよい。また、工程(7)を実施してから工程(2)~(5)に先立って工程(1)を行ってもよい。
自動分析機への適用を考慮する場合、工程(7)は測定用試料調製時に行うのではなく、試薬添加時に行うこともできる。この場合、最初の試薬添加により開始する第一ステップで行うことが好ましい。
溶血方法は、特に制限されず、例えば、全血や血球を蒸留水や低張液に懸濁して浸透圧差を利用して赤血球膜を破壊する方法、界面活性剤を含む試薬に懸濁して赤血球膜を溶解させる方法、超音波による方法、凍結溶解による方法などが挙げられる。中でも、操作の簡便性等の理由から、界面活性剤を用いる方法または、浸透圧の差を利用する方法が好ましい。
工程(1)では、糖化ヘモグロビンを含む試料にスルホ基を持つ化合物を接触させる。
スルホ基を持つ化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルキルスルホン酸、その塩またはそれらの誘導体、ベンゼンスルホン酸、その塩またはそれらの誘導体、ナフタレンスルホン酸、その塩またはそれらの誘導体、スルホコハク酸、その塩またはそれらの誘導体、ベンゾチアゾリンスルホン酸、その塩またはそれらの誘導体、アントラキノンスルホン酸、その塩またはそれらの誘導体、カンファースルホン酸、その塩またはそれらの誘導体、ベンゾオキサジアゾールスルホン酸、その塩またはそれらの誘導体などが挙げられる。本発明において、より一層効果的に糖化ヘモグロビン比率を得ることができるという観点から、好ましくは、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸、及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩が用いられ、より好ましくはベンゼンスルホン酸、及びその誘導体、並びにそれらの塩が用いられる。ここで、塩の種類は限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等を挙げることができ、好ましくはナトリウム塩である。
ベンゼンスルホン酸、その塩またはそれらの誘導体は特に限定されないが、具体的な例としてはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノアゾベンゼン-4’-スルホン酸ナトリウム、4-アミノ-4’-ニトロスチルベン-2,2’-ジスルホン酸2ナトリウム、4,4’-ジアゾスチルベンゼン-2,2’-ジスルホン酸2ナトリウム、スルファニル酸、5-スルホイソフタル酸一ナトリウム、5-アミノ-2-クロロトルエン-4-スルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。好ましくは、ベンゼンスルホン酸、その誘導体、またはそれらの塩として、ドデシルベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩である。
ナフタレンスルホン酸、その塩またはそれらの誘導体は特に限定されないが、具体的な例としては、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、8-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。好ましくは、アルキルナフタレンスルホン酸、及びその誘導体、並びにそれらの塩である。
スルホコハク酸、その塩またはそれらの誘導体は特に限定されないが、具体的な例としてはスルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等が好ましい例として挙げられる。
カンファースルホン酸、その塩またはそれらの誘導体は特に限定されないが、具体的な例としては(±)-10-カンファースルホン酸が挙げられる。
ベンゾオキサジアゾールスルホン酸、その塩またはそれらの誘導体は特に限定されないが、具体的な例としては4-クロロ-7-クロロスルホニル-2,1,3-ベンゾオキサジアゾールが挙げられる。
上記のうち特に好ましくはラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムであり、なかでも好ましくはアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムである。
例えば、工程(1)を工程(7)と同時に行う場合、0.25~1体積%の前記化合物を含む試薬にて行うことができる。また、例えば工程(1)を工程(2)と同時に行う場合、0.1~3体積%の前記化合物を含む試薬にて行うことができる。
その場合、工程(1)は工程(7)と同時に行ってもよいし、工程(7)の次に行ってもよい。また、工程(1)と工程(2)とを同時に行うことは可能である。
自動分析機への適用を考慮する場合、工程(1)に必要な試薬成分は、工程(3)に必要な試薬成分が全て揃う試薬添加ステップと同時、またはより前の試薬添加ステップで揃っていればよい。例えば2段階の試薬添加ステップを設定することが可能な自動分析機への適用では、工程(1)に必要な試薬成分は最初の試薬添加により開始する第一ステップで供給されていてもよい。
工程(2)では、糖化ヘモグロビンを含む試料に糖化アミノ酸オキシダーゼを作用させて過酸化水素を生成させる。
本明細書において糖化アミノ酸オキシダーゼとはアマドリ化合物を酸化して過酸化水素を生成する反応を触媒することができる酵素を意味する。糖化アミノ酸オキシダーゼはフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ、アマドリアーゼ、ケトアミンオキシダーゼ、糖化ヘキサペプチドオキシダーゼ、糖化ヘモグロビンオキシダーゼなどと呼ばれることもある。
また糖化タンパク質に反応する糖化アミノ酸オキシダーゼとしては特に限定されないが、WO2015/005257、WO2015/005258で糖化ヘモグロビンオキシダーゼとして示されているもの、WO2015/060429でアマドリアーゼとして示されているものなどが挙げられる。
使用する糖化アミノ酸オキシダーゼの量は試料中に含まれる測定対象物の含量、あるいは処理条件等により適宜選択される。例えば、一例として糖化アミノ酸オキシダーゼを、測定完了時の反応液中の濃度が0.1KU/L以上(好ましくは1KU/L以上、さらに好ましくは2KU/L以上、さらに好ましくは3KU/L以上)となるように、かつ、測定完了時の反応液中の濃度が100KU/L以下(好ましくは50KU/L以下、さらに好ましくは20KU/L以下、さらに好ましくは10KU/L以下、さらに好ましくは5KU/L以下)となるように加える。
糖化アミノ酸オキシダーゼを作用させる際のpHは無調整でもよく、使用する酵素の作用に好適なpHとなるように、例えば、適当なpH調整剤、例えば、塩酸、酢酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等により、反応液中のpHが2以上(好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上)となるように、かつ、反応液中のpHが9以下(好ましくは8.5以下、さらに好ましくは8以下)となるように調整してもよい。
糖化アミノ酸オキシダーゼを作用させる温度は、例えば、反応液中で20℃以上(好ましくは30℃以上、さらに好ましくは35℃以上)となるように、かつ、反応液中で70℃以下(好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下)となるように行うことができる。
この際の作用時間は、測定対象の糖化ペプチド、糖化ヘモグロビンやその分解産物に作用し過酸化水素を生成するのに充分な時間であればよく、例えば、5秒以上(好ましくは1分以上、さらに好ましくは3分以上)となるように、かつ、180分以下(好ましくは60分以下、さらに好ましくは10分以下)になるように行うことができる。
また、糖化ヘモグロビンを含む試料に糖化アミノ酸オキシダーゼを作用させる際には、作用性を高めるため等の目的で界面活性剤などの変性剤を共存させても良い。
その場合、工程(1)の説明で述べたとおり工程(1)と工程(2)とを同時に行うことは可能である。したがって、工程(2)は工程(7)と同時に行ってもよいし、工程(7)の次に行ってもよい。
自動分析機への適用を考慮する場合、工程(2)に必要な試薬成分は、工程(3)に必要な試薬成分が全て揃う試薬添加ステップと同時、またはより前の試薬添加ステップで揃っていればよい。例えば2段階の試薬添加ステップを設定することが可能な自動分析機への適用では、工程(2)に必要な試薬成分は最初の試薬添加により開始する第一ステップで揃うように供給されていてもよい(例えば、後述の「消去系」を構築する場合にはこの態様が好ましい。)が、第二ステップで揃うように供給されてもよい。第二ステップで揃うように供給する場合は、工程(2)に必要な試薬成分は第一ステップと第二ステップとで分けて供給されてもよい。
また、例えば1段階の試薬添加ステップしか設定できない自動分析機への適用においては、工程(2)に必要な試薬成分と工程(3)に必要な試薬成分とが同一ステップで供給されてもよい。
なお、3段階以上の試薬添加ステップを設定することが可能な自動分析機への適用についても、上記の原則を考慮して適宜試薬の供給方法を決めればよい。
工程(2)で用いられる前記糖化アミノ酸オキシダーゼの糖化タンパク質に対する反応性が弱いかまたはほとんど無い場合は、さらに、以下の(6)の工程を含んでもよい。
(6)糖化ヘモグロビンをプロテアーゼの作用により糖化ヘモグロビン分解物に分解する工程
これらのプロテアーゼは、市販のものをそのまま用いても良いし、公知文献に記載されたものをその記載にしたがって製造したものを使用しても良い。これらのプロテアーゼを2以上組み合わせて用いてもよい。
メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、セリンカルボキシペプチダーゼ、プロテイナーゼK、ブロメライン、パパイン、ブタ膵臓由来トリプシン、Bacillus subtilis由来プロテアーゼ、Aspegillus oryzae由来プロテアーゼ、Aspegillus saitoi由来プロテアーゼ、Streptomyces griseus由来プロテアーゼ等が使用できる。
使用するプロテアーゼの量は、試料中に含まれる測定対象物の含量、あるいは処理条件等により適宜選択され、例えば、一例として、プロテアーゼを、測定完了時の反応液中の濃度が、0.01KU/L以上、一般的には0.1KU/L以上、より一般的には50KU/L以上(好ましくは100KU/L以上、さらに好ましくは300KU/L以上、さらに好ましくは500KU/L以上)となるように、かつ、測定完了時の反応液中の濃度が2000KU/L以下(好ましくは1800KU/L以下、さらに好ましくは1500KU/L以下、さらに好ましくは1300KU/L以下)となるように加える。
プロテアーゼを作用させる際のpHは無調整でもよく、使用するプロテアーゼの作用に好適なpHとなるように、例えば、適当なpH調整剤、例えば、塩酸、酢酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等により、反応液中のpHが2以上(好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上)となるように、かつ、反応液中のpHが9以下(好ましくは8.5以下、さらに好ましくは8以下)となるように調整してもよい。
プロテアーゼを作用させる温度は、例えば、反応液中で20℃以上(好ましくは30℃以上、さらに好ましくは35℃以上)となるように、かつ、反応液中で70℃以下(好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下)となるように行うことができる。
この際の処理時間は、測定対象の糖化ヘモグロビンに作用して糖化ヘモグロビン分解物に分解するのに充分な時間であればよく、例えば、5秒間以上(好ましくは1分間以上、さらに好ましくは3分以上)となるように、かつ、180分間以下(好ましくは60分間以下、さらに好ましくは10分間以下)になるように行うことができる。
また、例えば1段階の試薬添加ステップしか設定できない自動分析機への適用においては、工程(6)に必要な試薬成分と工程(2)に必要な試薬成分とが同一ステップで供給されてもよい。
一方、消去系を構築する場合は、2段階の試薬添加ステップを設定することが可能な自動分析機への適用では、消去反応を第一ステップで行い、本反応を第二ステップで行うことになるため、工程(6)に必要な試薬成分が揃うのは第二ステップとなり、この時に工程(6)に必要な試薬成分と工程(2)に必要な試薬成分の両方が全て揃っていればよい。また、この場合は、工程(6)に必要な試薬成分は第一ステップと第二ステップとで分けて供給されてもよく、また、工程(2)に必要な試薬成分は第一ステップと第二ステップとで分けて供給されてもよい。
工程(3)では、工程(2)で生成した過酸化水素をペルオキシダーゼ存在下に発色基質に接触させて発色色素を生成させる。
具体的には、N-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン ナトリウム塩(DA-64と略称される。)、10-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン ナトリウム塩(DA-67と略称される。)、10-N-カルボキシメチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン(CCAPと略称される。)、10-N-メチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン(MCDPと略称される。)、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス〔3-ビス(4-クロロフェニル)メチル-4-ジメチルアミノフェニル〕アミン(BCMAと略称される。)、N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサ-3-スルホプロピル-4,4’,4’’-トリアミノトリフェニルメタン(TPM-PSと略称される。)、4,4’-ベンジリデンビス(N,N-ジメチルアニリン)等が挙げられる。
検体由来の共存物の影響を受けにくいという点ではDA-64が好ましく、感度面ではDA-67が好ましい。本発明において、より一層効果的に糖化ヘモグロビン比率を得ることができるという観点から、好ましくは、DA-67(10-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン ナトリウム塩)、CCAP(10-N-カルボキシメチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン)、MCDP(10-N-メチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン)等のフェノチアジン系のロイコ型色原体が用いるのがよく、なかでも好ましくは、DA-67(10-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン ナトリウム塩)を用いるのがよい。
使用するペルオキシダーゼの量は、試料中に含まれる測定対象物の含量、あるいは処理条件等により適宜選択され、例えば、一例として、ペルオキシダーゼを、測定完了時の反応液中の濃度が0.1KU/L以上(好ましくは1KU/L以上、さらに好ましくは2KU/L以上、さらに好ましくは3KU/L以上)となるように、かつ、測定完了時の反応液中の濃度が100KU/L以下(好ましくは50KU/L以下、より好ましくは30KU/L以下、さらに好ましくは20KU/L以下、さらに好ましくは10KU/L以下)となるように加える。
ペルオキシダーゼを作用させる際のpHは無調整でもよく、使用するペルオキシダーゼの作用に好適なpHとなるように、例えば、適当なpH調整剤、例えば、塩酸、酢酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等により、反応液中のpHが2以上(好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上)となるように、かつ、反応液中のpHが9以下(好ましくは8.5以下、さらに好ましくは8以下)となるように調整してもよい。
ペルオキシダーゼを作用させる温度は、例えば、反応液中で20℃以上(好ましくは30℃以上、さらに好ましくは35℃以上)となるように、かつ、反応液中で70℃以下(好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下)となるように行うことができる。
この際の処理時間は、ペルオキシダーゼが過酸化水素および発色基質に作用し発色色素を生成するのに充分な時間であればよく、例えば、5秒間以上(好ましくは1分間以上、さらに好ましくは3分以上)となるように、かつ、180分間以下(好ましくは60分間以下、さらに好ましくは10分間以下)になるように行うことができる。
自動分析機への適用を考慮する場合、工程(3)に必要な試薬成分は、工程(2)に必要な試薬成分が全て揃う試薬添加ステップと同時、またはより後の試薬添加ステップで揃っていればよい。例えば2段階の試薬添加ステップを設定することが可能な自動分析機への適用では、工程(3)に必要な試薬成分は最初の試薬添加により開始する第一ステップで揃うように供給されていてもよいが、第二ステップで揃うように供給されてもよい。第二ステップで揃うように供給する場合は、工程(3)に必要な試薬成分は第一ステップと第二ステップとで分けて供給されてもよい。
また、例えば1段階の試薬添加ステップしか設定できない自動分析機への適用においては、工程(3)に必要な試薬成分と工程(2)に必要な試薬成分とが同一ステップで供給されてもよい。
なお、3段階以上の試薬添加ステップを設定することが可能な自動分析機への適用についても、上記の原則を考慮して適宜試薬の供給方法を決めればよい。
工程(4)では、工程(3)で得られた発色色素の発色量を測定する。
吸光度の測定波長は特に限定されないが、色素によって測定に適する波長が異なる。例えば10-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン ナトリウム塩を発色基質として用いた場合は600nmから700nmの範囲のうちから選択することが好ましい。一例としては660nmの吸光度を測定すればよい。
N-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン ナトリウム塩を発色基質として用いた場合は650nmから750nmの範囲のうちから選択することが好ましい。一例としては727nmの吸光度を測定すればよい。
10-N-カルボキシメチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジンを発色基質として用いた場合は600nmから700nmの範囲のうちから選択することが好ましい。一例としては660nmの吸光度を測定すればよい。
10-N-メチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジンを発色基質として用いた場合は600nmから700nmの範囲のうちから選択することが好ましい。一例としては660nmの吸光度を測定すればよい。
4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス〔3-ビス(4-クロロフェニル)メチル-4-ジメチルアミノフェニル〕アミンを発色基質として用いた場合は700nmから800nmの範囲のうちから選択することが好ましい。一例としては750nmの吸光度を測定すればよい。
N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサ-3-スルホプロピル-4,4’,4’’-トリアミノトリフェニルメタンを発色基質として用いた場合は550nmから650nmの範囲のうちから選択することが好ましい。一例としては591nmの吸光度を測定すればよい。
4,4’-ベンジリデンビス(N,N-ジメチルアニリン)を発色基質として用いた場合は550nmから650nmの範囲のうちから選択することが好ましい。一例としては617nmの吸光度を測定すればよい。
4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンを発色基質として用いた場合は650nmから750nmの範囲のうちから選択することが好ましい。一例としては700nmの吸光度を測定すればよい。
工程(5)では、糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーターを用いてあらかじめ作成した糖化ヘモグロビン比率と発色量のキャリブレーションカーブに工程(4)で得られた発色量を適応し、糖化ヘモグロビン比率を算出する。典型的なキャリブレーションカーブとしては、x軸に糖化ヘモグロビン比率、y軸に発色量を取る態様が挙げられる。
また、これらのキャリブレーターの形状は凍結乾燥、液状、凍結などそれぞれの機能を損ねない範囲で、特に限定されない。
本明細書においては、Drabkin試薬を用いたシアンメトヘモグロビン法に従うことが好ましい。具体的には、Drabkin試薬(フェリシアン化カリウム200mg, シアン化カリウム50mg及び炭酸水素ナトリウム1.0gを蒸留水に溶かし,1Lとしたもの)を調製後、試験管に Drabkin試液 4.5mlとサンプル0.5ml加え混和後20分間室温放置し、生成したシアノメトヘモグロビンの吸光度を540nmで測定するという方法である。
2水準が好ましい理由は水準が多いほど使用する試薬量が増加し、手間もかかるためである。
なお、全ヘモグロビン濃度の高低の順番は糖化ヘモグロビン比率の高低の順番とは無関係であってもよい。例えば、糖化ヘモグロビン比率が低濃度・中濃度・高濃度の3水準のキャリブレーターの場合、その全ヘモグロビン濃度はどれがもっとも高いものであってもよいし、どれが最も低いものであってもよい。より良好な相関関係が得られる傾向が高いという観点から、糖化ヘモグロビン比率の低いものを全ヘモグロビン濃度の低いものとし、糖化ヘモグロビン比率の高いものを全ヘモグロビン濃度が高いものとすることが好ましい。
本発明で用いるキャリブレーターは、使用する際に希釈して前記の全ヘモグロビン濃度の絶対値を満たすように作製されているものを用いてもよい。
キャリブレーター単独の全ヘモグロビン濃度としては特に限定されないが、一例として、10μmol/L~900μmol/L程度とすることができ、好ましくは20μmol/L~700μmol/L程度とすることができ、より好ましくは30μmol/L~500μmol/L程度とすることができ、さらに好ましくは、40μmol/L~300μmol/L程度とすることができ、さらにより好ましくは、50μmol/L~250μmol/L程度とすることができる。更には、例えば50μmol/L~200μmol/Lのキャリブレーターをそのまま使用してもよいし、2mmol/L~5mmol/Lのキャリブレーターを水や前処理液で希釈して使用してもよい。
本発明で用いるキャリブレーターは、使用する際に希釈して前記の糖化ヘモグロビン濃度の絶対値を満たすように作製されているものを用いてもよい。
キャリブレーター単独の糖化ヘモグロビン濃度としては特に限定されないが、一例として、1μmol/L~40μmol/L程度のキャリブレーターを使用することができ、好ましくは、1μmol/L~30μmol/L程度のキャリブレーターを使用することができる。更には、例えば1μmol/L~20μmol/Lのキャリブレーターをそのまま使用してもよいし、100μmol/L~500μmol/Lのキャリブレーターを水や前処理液で希釈して使用してもよい。
本発明において、反応は緩衝液中で行われることが好ましい。前記緩衝液としては特に制限されないが、例えば、グッド緩衝液、炭酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等、酒石酸緩衝液等があげられる。
本発明の実施態様の一つは、以下の(a)~(e)の試薬を含む糖化ヘモグロビン比率の測定キットである。
(a)スルホ基を持つ化合物を含有する試薬
(b)糖化アミノ酸オキシダーゼを含有する試薬
(c)ペルオキシダーゼを含有する試薬
(d)ペルオキシダーゼ存在下に過酸化水素と接触して発色色素を生成する発色基質を含有する試薬
(e)糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーター
(f)プロテアーゼを含有する試薬
キットの保存安定性を考慮した場合、2を超える部分からなる構成とし、使用直前に第一試薬および第二試薬の2つを用意できるようにキットを構成しても良い。
表中、Aはスルホ基を持つ化合物、Bは糖化アミノ酸オキシダーゼ、Cはペルオキシダーゼ、Dはペルオキシダーゼ存在下に過酸化水素と接触して発色色素を生成する発色基質、Fはプロテアーゼをそれぞれ示す。
以下の方法によりHbA1c比率を求めた。
1.試薬
第一試薬(R1)
MES緩衝液(pH6.5) 100mM
CaCl2 0.71g/L
プロテアーゼ 100KU/L
ペルオキシダーゼ 3.7KU/L
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3g/L
第二試薬(R2)
MES緩衝液(pH6.5) 100mM
糖化アミノ酸オキシダーゼ 5KU/L
DA-67 16mg/L
2.試料
血球 10検体
測定前に精製水で30倍希釈
3.測定パラメーター
測定機種 日立7180
分析法/測定ポイント 2ポイントエンド(10)16-34
このパラメーターを用いた場合、測定に要する時間は、第一反応約300秒、第二反応約300秒の計約600秒である。
測定波長(nm)(副/主) 800/660
液量比 試料/R1/R2 10μL/120μL/40μL(S:R1:R2=1:12:4)
反応温度 37℃
ABS LIMIT 32000増加
キャリブレーション 0.0-10000吸光度打出し
キャリブレーションカーブAは、キャリブレーター1(ヘモグロビン(以下Hbと記載) 66.0μmol/L、HbA1c 2.93μmol/L、HbA1c比率6.2%)と、キャリブレーター2(Hb 66.0μmol/L、HbA1c 7.34μmol/L、HbA1c比率12.3%)とを用いて作成した。
キャリブレーションカーブBは、キャリブレーター3(Hb 78.8μmol/L、HbA1c 3.49μmol/L、HbA1c比率6.2%)と、キャリブレーター4(Hb 78.8μmol/L、HbA1c 8.75μmol/L、HbA1c比率12.3%)とを用いて作成した。
キャリブレーションカーブCは、キャリブレーター5(Hb 56.9μmol/L、HbA1c 2.52μmol/L、HbA1c比率6.2%)と、キャリブレーター6(Hb 56.9μmol/L、HbA1c 6.32μmol/L、HbA1c比率12.3%)とを用いて作成した。
キャリブレーションカーブDは、キャリブレーター7(Hb 50.0μmol/L、HbA1c 2.21μmol/L、HbA1c比率6.2%)と、キャリブレーター8(Hb 97.6μmol/L、HbA1c 10.83μmol/L、HbA1c比率12.3%)とを用いて作成した。
アークレイ社製HA8170を用いて通法に従い測定を実施した。
(1)Y=1.042X+0.3072 、R2=0.995
(2)Y=0.9721X+0.6083 、R2=0.995
(3)Y=1.1162X-0.0156 、R2=0.995
(4)Y=0.8716X+1.4123 、R2=0.995
このように、本発明の方法とHPLC法との相関はきわめて良好であった。
以下の方法によりHbA1c比率を求めた。
1.試薬
第一試薬(R1)
HEPES緩衝液(pH7.3) 100mM
CaCl2 0.71g/L
プロテアーゼ 100KU/L
ペルオキシダーゼ 3.7KU/L
表2記載の添加剤 3g/L
第二試薬(R2)
HEPES緩衝液(pH7.3) 100mM
糖化アミノ酸オキシダーゼ 5KU/L
DA-67 16mg/L
2.試料
血球 10検体
測定前に精製水で30倍希釈
3.測定パラメーター
実施例1記載の方法で実施した。
比較例として、実施例1記載のキャリブレーター1及びキャリブレーター2で作成したキャリブレーションカーブと、試薬F、Gを用いて作成したキャリブレーションカーブと対比してHbA1c比率を求めた。
これらにおいて、HbA1c比率は、NGSP値として算出される値である。
アークレイ社製HA8170を用いて通法に従い測定を実施した。
(5)Y=0.9733X+1.9127 、R2=0.9886
(6)Y=1.0011X+0.9045 、R2=0.9982
(7)Y=0.9947X+0.8175 、R2=0.9874
(8)Y=1.0562X+0.2332 、R2=0.9781
(9)Y=1.1719X-0.3999 、R2=0.9830
(10)Y=-0.1805X+6.456 、R2=0.0692
(11)Y=0.593X+1.7699 、R2=0.3080
このように、本発明の方法とHPLC法との相関はきわめて良好であった((5)~(9))。一方、比較例では相関性は認められなかった((10)~(11))。
以下の方法によりHbA1c比率を求めた。
1.試薬
第一試薬(R1)
MES緩衝液(pH6.5) 100mM
CaCl2 0.71g/L
界面活性剤 1g/L
プロテアーゼ 100KU/L
DA-67 16mg/L
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3g/L
第二試薬(R2)
MES緩衝液(pH6.5) 100mM
糖化アミノ酸オキシダーゼ 5KU/L
ペルオキシダーゼ 3.7KU/L
2.試料
血球 30検体
測定前に精製水で30倍希釈
3.測定パラメーター
測定機種 日立7180
分析法/測定ポイント 2ポイントエンド(10)16-34
このパラメーターを用いた場合、測定に要する時間は、第一反応約300秒、第二反応約300秒の計約600秒である。
測定波長(nm)(副/主) 800/660
液量比 試料/R1/R2 10μL/120μL/40μL(S:R1:R2=1:12:4)
反応温度 37℃
ABS LIMIT 32000増加
キャリブレーション 0.0-10000吸光度打出し
キャリブレーションカーブEは、キャリブレーター9(ヘモグロビン(以下Hbと記載) 210.5μmol/L、HbA1c 7.0μmol/L、HbA1c比率5.2%)と、キャリブレーター10(Hb 210.5μmol/L、HbA1c 19.3μmol/L、HbA1c比率10.5%)とを用いて作成した。
キャリブレーションカーブFは、キャリブレーター11(Hb 421.1μmol/L、HbA1c 14.0μmol/L、HbA1c比率5.2%)と、キャリブレーター12(Hb 210.5μmol/L、HbA1c 19.3μmol/L、HbA1c比率10.5%)とを用いて作成した。
キャリブレーションカーブGは、キャリブレーター13(Hb 634.9μmol/L、HbA1c 21.2μmol/L、HbA1c比率5.2%)と、キャリブレーター14(Hb 210.5μmol/L、HbA1c 19.3μmol/L、HbA1c比率10.5%)とを用いて作成した。
キャリブレーションカーブHは、キャリブレーター15(Hb 833.3μmol/L、HbA1c 27.8μmol/L、HbA1c比率5.2%)と、キャリブレーター16(Hb 210.5μmol/L、HbA1c 19.3μmol/L、HbA1c比率10.5%)とを用いて作成した。
アークレイ社製HA8170を用いて通法に従い測定を実施した。
(12)Y=1.015X-0.338 、R2=0.9945
(13)Y=0.9747X+0.0577 、R2=0.9945
(14)Y=0.9143X+0.6517 、R2=0.9945
(15)Y=0.7958X+1.8157 、R2=0.9945
このように、本発明の方法とHPLC法との相関はきわめて良好であった。なかでも、糖化ヘモグロビンキャリブレーターの全ヘモグロビン濃度比率が、1:1~3程度となる場合に、特に高い相関性を示すことが明らかとなった。
Claims (14)
- 以下の(1)~(5)の工程を含む、糖化ヘモグロビン比率の測定方法:
(1)糖化ヘモグロビンを含む試料にスルホ基を持つ化合物を接触させる工程、
(2)糖化ヘモグロビンを含む試料に糖化アミノ酸オキシダーゼを作用させて過酸化水素を生成させる工程、
(3)工程(2)で生成した過酸化水素をペルオキシダーゼ存在下に発色基質に接触させて発色色素を生成させる工程、
(4)工程(3)で得られた発色色素の発色量を測定する工程、及び、
(5)糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーターを用いてあらかじめ作成した糖化ヘモグロビン比率と発色量のキャリブレーションカーブに工程(4)で得られた発色量を適応し、糖化ヘモグロビン比率を算出する工程であって、ここで用いる糖化ヘモグロビンキャリブレーターとして2水準以上の糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーターを使用し、該2水準以上の糖化ヘモグロビンキャリブレーターは全ヘモグロビン濃度が最も低いものを1とすると他のものの全ヘモグロビン濃度がその1倍~6倍の濃度であることを特徴とする、工程。 - 前記(5)の工程で用いる2水準以上の糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーターが、全ヘモグロビン濃度が最も低いものを1とすると他のものの全ヘモグロビン濃度がその1倍~3倍の濃度であることを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。
- さらに、以下の(6)の工程を含む、請求項1又は2の測定方法:
(6)糖化ヘモグロビンをプロテアーゼの作用により糖化ヘモグロビン分解物に分解する工程。 - さらに、以下の(7)の工程を含む、請求項1~3のいずれかに記載の測定方法:
(7)糖化ヘモグロビンを含む試料を溶血させる工程。 - 前記(1)の工程で用いるスルホ基を持つ化合物が、ベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸、ベンゾチアゾリンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸、ベンゾオキサジアゾールスルホン酸、及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1~4のいずれかに記載の測定方法。
- 前記(1)の工程で用いるスルホ基を持つ化合物が、ドデシルベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、4-アミノアゾベンゼン-4’-スルホン酸、4-アミノ-4’-ニトロスチルベン-2,2’-ジスルホン酸、4,4’-ジアゾスチルベンゼン-2,2’-ジスルホン酸、スルファニル酸、5-スルホイソフタル酸、5-アミノ-2-クロロトルエン-4-スルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、8-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシル、ジアルキルスルホコハク酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1~5のいずれかに記載の測定方法。
- 上記(3)の工程で用いる発色基質が、ロイコ型色原体である、請求項1~6のいずれかに記載の測定方法。
- 上記(3)の工程で用いる発色基質が、フェノチアジン系のロイコ型色原体である、請求項1~7のいずれかに記載の測定方法。
- 上記(3)の工程で用いる発色基質が、10-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン ナトリウム塩、10-N-カルボキシメチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン、及
び10-N-メチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジンからなる群より選択される少なくとも1種のフェノチアジン系のロイコ型色原体である、請求項1~8のいずれかに記載の測定方法。 - 上記(3)の工程で用いる発色基質が、10-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン ナトリウム塩である、請求項1~9のいずれかに記載の測定方法。
- 1チャンネルで実施される、請求項1~10のいずれかに記載の測定方法。
- 以下の(a)~(e)の試薬を含む、糖化ヘモグロビン比率の測定キット:
(a)スルホ基を持つ化合物を含有する試薬、
(b)糖化アミノ酸オキシダーゼを含有する試薬、
(c)ペルオキシダーゼを含有する試薬、
(d)ペルオキシダーゼ存在下に過酸化水素と接触して発色色素を生成する発色基質を含有する試薬、及び、
(e)2水準以上の糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーターであって、該2水準以上の糖化ヘモグロビンキャリブレーターは全ヘモグロビン濃度が最も低いものを1とすると他のものの全ヘモグロビン濃度がその1倍~6倍の濃度であることを特徴とする、2水準以上の糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーター。 - 前記(e)2水準以上の糖化ヘモグロビン比率で値付けされた糖化ヘモグロビンキャリブレーターが、全ヘモグロビン濃度が最も低いものを1とすると他のものの全ヘモグロビン濃度がその1倍~3倍の濃度であることとを特徴とする、請求項12に記載の測定キット。
- さらに、以下の(f)の試薬を含む請求項12又は13に記載の測定キット:
(f)プロテアーゼを含有する試薬。
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