JP7056168B2 - 杭構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は、杭孔に形成する場所打ち杭を構築するための杭構築方法に関する。
杭孔に供給したコンクリートに振動を与えて、コンクリートを締固めることが行なわれている。この締固め時には、コンクリートに与える振動により、孔壁の崩落回避のために杭孔に充填された安定液が、コンクリートと混合することを回避する必要がある。そこで、コンクリートを供給する先端に振動機を取り付けたトレミー管が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の基礎コンクリートの打設装置は、外周に給気管及び排気管を有した中間筒と、二重管構造の内筒と外筒との間の環状空間にエアモータ入気孔及びエアモータ排気孔を具備するエアモータを有する加振装置を設けた加振筒と、二重管構造の環状空間に空気清浄機構を設けた空気清浄筒とを備える。
また、振動を与えてコンクリートを締固めるには、コンクリートのスランプに応じて必要となる振動エネルギが異なることが知られている(非特許文献1参照。)。この非特許文献1には、スランプが異なるコンクリートについて振動実験を行なったことが記載されている。この場合、スランプが小さいほど締固めには大きな振動エネルギが必要である。そして、この文献には、単位容積質量の比率が0.99になる場合、実用上、ほぼ十分に締め固まっている状態と判断できることが記載されている。
特開2005-68872号公報
神代泰道、金子智弥 著、「コンクリートの締固め状況の可視化に関する実験的研究」、コンクリート工学年次論文集、Vol.37,NO.1,2015、p1201-1206
しかしながら、従来、コンクリートに振動を与え続ける時間(振動時間)は、数秒~十数秒を用いているが、杭形状やコンクリートの性状、振動条件等を変更した場合、その振動時間が適切か否かは確認されていなかった。
特に、近年、杭の直径が大きくなり、粘性が高い高強度のコンクリートが増加してきている。これらの場合においても、的確な振動条件で締固めを行なわなければ、適切な杭を構築できない。
上記課題を解決する杭構築方法は、杭孔にコンクリートを流し込み、振動機により締固める杭構築方法であって、前記コンクリートの物性に応じて、前記コンクリートの締固めに必要な締固めエネルギを特定し、前記振動機の周波数と前記振動機からの距離とに応じて減衰した加速度を計測した実験結果によって特定される加速度に基づいて、前記杭孔の孔壁における振動エネルギを算出し、前記振動エネルギが前記締固めエネルギ以上になる振動時間で締固めを行なう。
本発明によれば、杭の形状やコンクリートの性状、振動条件等に応じて、コンクリートを的確に締固めることができる。
実施形態に用いるトレミー管の構成の説明図。 実施形態において振動時間を算出する制御システムの概略構成図。 実施形態における振動時間設定処理の処理手順を示す流れ図。 実施形態における杭の構築方法の処理手順を示す流れ図であり、(a)は杭の施工処理、(b)はトレミー管の引き上げ処理を示す。 実施形態における振動機を振動させたときの加速度を計測した実験装置を説明する説明図。 実施形態におけるエア式の振動機を用いた実験結果による距離に関する関係図であって、(a)は加速度、(b)は振動エネルギを示す。 実施形態における電気式の振動機を用いた実験結果による振動エネルギと距離との関係図であり、(a)は振動周波数を160(Hz)、(b)は振動周波数を175(Hz)、(c)は振動周波数を190(Hz)にした場合を示す。
以下、図1~図7を用いて、杭構築方法を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、地面に形成した杭孔内に、コンクリートを流し込み、場所打ち杭を構築する。本実施形態では、全長で直径が同じ杭を形成する場合を想定する。そして、この場合、振動機を先端に設けたトレミー管を用いて、杭孔内に流し込んだコンクリートを振動させる。本実施形態では、トレミー管を引き上げるときに、コンクリートに振動を与える。
図1は、杭孔10内にコンクリート15を供給しているときのトレミー管20の正面図である。
トレミー管20は、複数の単管21を垂直方向に継ぎ足した長尺管を備える。なお、単管21の長さL1は、例えば5(m)である。トレミー管20の先端には、振動部25を設ける。この振動部25内には、複数の振動機26が配置されている。この振動機26は、周囲のコンクリート15に振動を与えて、コンクリート15を締固める。本実施形態では、振動機26として、エアモータを用いて振動を発生させるエア式の振動機を用いる。この振動機26は、130(Hz)の振動周波数で振動を発生させる。本実施形態では、振動機26の垂直方向の長さは、約1(m)である。なお、振動機26として、エアモータの代わりに電気モータを用いて、「160」,「175」,「190」(Hz)の周波数で振動を発生させる電気式の振動機を用いてもよい。
振動機26は、振動駆動部29を制御する制御システム30により制御される。振動駆動部29は、エア式の振動機の場合、エアモータである。
制御システム30にこの制御システム30は、振動機26を振動させる振動時間を算出する。更に、制御システム30は、トレミー管20の上昇とコンクリート15の振動とを制御する。
図2に示すように、制御システム30は、入力部36、トレミー管20を昇降させる昇降装置37及び振動駆動部29に接続される。入力部36は、キーボードやポインティングデバイスを備え、施工する杭や振動に関する条件情報を取得する。昇降装置37は、トレミー管20を設定した速度で昇降させる。また、制御システム30は、コンクリートの充填状況を計測する計測器(図示せず)に接続される。
制御システム30は、情報取得部31、情報記憶部32、算出部33、振動管理部34及び昇降管理部35を備える。
情報取得部31は、入力部36で入力された条件情報を取得する。
情報記憶部32は、取得した条件情報や算出した振動時間及び設定速度を記憶する。
算出部33は、振動時間を算出するために、コンクリートのスランプに応じた締固めるのに必要な振動エネルギ(必要な締固めエネルギ)の値、周波数に応じた振動機からの距離(杭の端部)における単位時間あたりの振動エネルギ(端部振動エネルギ)の減衰曲線を記憶している。この減衰曲線の詳細については後述する。
図3の表1に示すように、必要な締固めエネルギの値は、スランプが「8」,「12」,「15」,「18」(cm)の場合には、それぞれ「5」,「3」,「2」,「1」(J/L)と特定される。
振動管理部34は、算出した振動時間に応じて、振動機26における振動の開始及び停止を制御する。
昇降管理部35は、トレミー管20の上端部に設けられる昇降装置37を駆動して、トレミー管20を昇降させる。本実施形態では、昇降管理部35は、トレミー管20を、長さL1毎に間欠的に引き上げる。このため、昇降管理部35は、引き上げを開始する基準値を記憶する。この基準値としては、単管21の長さ(5m)と、コンクリート上面からトレミー管20の先端部までの根入れ深さ(2m)との和より長い値(例えば8m)を用いる。
更に、昇降管理部35は、振動開始から、所定の振動時間が経過してから引き上げを開始し、引き上げ停止と同時に振動を停止させる。この場合、昇降管理部35は、トレミー管20を設定速度で上昇させる。この設定速度としては、振動機26の長さを、振動時間で引き上げるための速度を用いる。
<振動時間の設定>
次に、杭孔10を形成する前に行なう振動機26の振動時間の設定処理について説明する。
まず、制御システム30は、条件情報の取得処理を実行する(ステップS1-1)。具体的には、制御システム30の情報取得部31は、ユーザによって入力部36に入力された条件情報を取得する。ここでは、条件情報として、杭のコンクリート性状、構築する杭の杭径、振動機26の振動特性に関する情報を取得する。ここで、コンクリート性状として、スランプを取得し、振動機26の振動特性として振動周波数を取得する。
次に、制御システム30は、必要な締固めエネルギの算出処理を実行する(ステップS1-2)。具体的には、制御システム30の算出部33は、取得したスランプに応じた必要な締固めエネルギを、表1(必要な締固めエネルギの値)を用いて特定する。
次に、制御システム30は、杭径及び減衰率に基づく振動エネルギ(端部振動エネルギ)の算出処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、制御システム30の算出部33は、杭径から半径を算出して、杭孔10の中心軸c1からの端部までの端部距離r1を特定する。本実施形態では、杭孔10の中心軸c1を、振動機26の位置として用いる。算出部33は、「振動周波数に応じた減衰曲線」を用いて、端部距離r1における振動エネルギを特定する。この「振動周波数に応じた減衰曲線」は、後述する実験結果によって得られた条件及び加速度を用いた図3の式(1)から特定される。これらの詳細については、後述する。
そして、制御システム30は、振動時間の算出処理を実行する(ステップS1-4)。具体的には、制御システム30の算出部33は、端部振動エネルギと振動時間とを乗算した値が、必要な締固めエネルギ以上となる場合の振動時間を算出し、情報記憶部32に記憶する。
次に、制御システム30は、設定速度の算出処理を実行する(ステップS1-5)。具体的には、制御システム30の算出部33は、振動機26の長さで振動時間を除算して設定速度を算出し、情報記憶部32に記憶する。
<杭の施工処理>
振動時間の設定処理を完了した後、杭の施工を行なう。
ここでは、まず、図4(a)に示すように、杭孔を形成する(ステップS2-1)。具体的には、掘削装置を用いて、施工する杭の形状(直径及び深さ)に応じた杭を掘削する。この場合、掘削と同時に杭孔10に安定液11を供給して、杭孔10内に安定液11を充填する。
次に、杭孔に鉄筋籠を配置し(ステップS2-2)、トレミー管を配置する(ステップS2-3)。具体的には、トレミー管20の先端に振動部25を取り付け、トレミー管20の上端部に、順次、単管21を継ぎ足しながら、昇降装置37を用いて、トレミー管20の先端を降下させる。
次に、コンクリートを供給する(ステップS2-4)。具体的には、トレミー管20の上端部の開口部からコンクリートを流し込む。この場合、杭孔10に供給されたコンクリートの上面が、基準値以上、高くなった場合、根入れ深さを確保しながらトレミー管20を徐々に引き上げる。
次に、図4(b)を用いて、このトレミー管20の引き上げ処理について説明する。
ここで、トレミー管20の引き上げの判定処理を実行する(ステップS3-1)。具体的には、制御システム30は、計測器からの信号によりコンクリート15の上面位置を特定する。そして、トレミー管20の先端からコンクリート15の上面までの距離が基準値以上となった場合に、トレミー管20の引き上げと判定する。
ここで、トレミー管20の引き上げと判定した場合(ステップS3-1において「YES」の場合)、制御システム30は、振動機を駆動する(ステップS3-2)。具体的には、制御システム30の振動管理部34は、振動駆動部29に電力を供給して、振動駆動部29を稼働させて振動機26を振動させる。
そして、振動を開始してから、情報記憶部32に記憶した振動時間が経過した後、制御システム30は、設定速度での引き上げ処理を実行する(ステップS3-3)。具体的には、制御システム30の昇降管理部35は、昇降装置37を駆動し、情報記憶部32に記憶した上昇速度で、トレミー管20を上昇させる。この場合、単管21の長さL1分上昇させる。
次に、制御システム30は、振動機の停止処理を実行する(ステップS3-4)。具体的には、制御システム30の振動管理部34は、振動駆動部29への電力供給を停止し、振動機26へのエア供給を停止する。
そして、単管の取り外しを行なう(ステップS3-5)。具体的には、トレミー管20の最上部にある単管21を取り外して、トレミー管20を短くする。
<振動周波数に応じた減衰曲線>
次に、図5~図7を用いて、図3に示した端部振動エネルギの算出に用いる振動周波数に応じた減衰曲線について説明する。この減衰曲線は、図5に示す実験装置50を用いて測定された加速度から算出される。減衰曲線は、振動エネルギ算出式(図3の式(1))に加速度を代入した値を用いて生成される。この式は、コンクリート単位容積質量ρ(kg/L)、加速度α(m/s)、振動数(Hz)を用いて表わされる。
ここで、図5に示す実験装置50について説明する。
この実験装置50は、実大の杭径を想定し、直径3(m)、高さ1.5(m)の円柱の鋼製の型枠51を用いる。この型枠51内に、複数の加速度計55を取り付けた測定治具56を配置する。各加速度計55は、型枠51の底面から「200」、「425」、「725」、「1025」、「1250」(mm)の高さに配置する。また、各加速度計55を、型枠51の外周から250(mm)、中心側の位置に配置する。
そして、型枠51内にコンクリートを高さ1450(mm)まで流し込む。ここで、使用するコンクリートは、呼び強度55、スランプフロー55(cm)のコンクリート(W/C=35.7%)で、コンクリート単位容積質量は、2.3(kg/L)である。
次に、振動機60を、型枠51の中心(加速度計55から1250(mm)離れた位置)に、振動機60の中心が高さ725(mm)になるまで挿入してから加振し、加速度計55で加速度を測定する。
ここで、10秒加振させてから、次の測定位置に振動機60を移動させる。そして、移動させた各測定位置において、10秒間、加振させて加速度を測定する。本実施形態では、加速度計55から、「500」、「875」、「1250」、「1750」、「2250」(mm)の測定位置に、振動機60を配置して測定を行なう。
振動機60としては、周波数130(Hz)のエア式の振動機と、周波数可変の電気式の振動機とを用いた。この場合、エア式の振動機は、φ560×1020(mm)の大きさの加振部を備える。また、電気式の振動機は、φ500×400(mm)の大きさの加振部を備え、最大周波数が200(Hz)、最大加速度300(m/S)である。また、各振動機60は、トレミー管と同じ口径を有する。
そして、加速度計55において測定された加速度を、図3の式(1)に代入することにより、各位置における単位時間あたりの振動エネルギを算出する。
図6は、周波数130(Hz)で、エア式の振動機を用いた場合の実験結果(加速度)を示す。各線は、加速度計55の高さを示しており、横軸は、加速度計55から振動機60までの距離を示している。
図6(a)は、各加速度計55で測定した加速度を示す。図6(b)は、各加速度を式(1)に代入して算出した振動エネルギを示している。
例えば、図6(a)において最大加速度が20(m/s)の場合を説明する。この場合、周波数130(Hz)であるので、式(1)に数値を代入すると、単位時間当たりの振動エネルギは、(2.3×(20)/(4π×130)=)0.18(J/L)となる。図6(a)において、距離が2250(mm)で高さ1250(mm)における位置(図中の四角形)での加速度は約20(m/s)である。この場合、図6(b)において、単位時間当たりの振動エネルギは、約0.18(J/L)になっている。
図7は、電気式の振動機60を用いた実験結果の最大加速度から算出した単位時間当たりの振動エネルギを示す。図7(a)は、周波数160(Hz)で電気式の振動機60を用いた場合、図7(b)は周波数175(Hz)で電気式の振動機60を用いた場合、図7(c)は周波数190(Hz)で電気式の振動機60を用いた場合の振動エネルギを示す。
図6及び図7に示すように、周波数が高くなる程、振動機60からの距離が長くなるに従って振動エネルギが低くなっており、減衰率が高くなっている。
なお、図6(a)及び図7(b)において、距離が2250(mm)の振動エネルギが、1750(mm)よりも大きくなっている部分がある。これは、鋼製の型枠51に振動が跳ね返った影響と考えられる。
本実施形態では、測定した200~1250(mm)の最低振動エネルギ以上となる曲線を振動周波数毎に生成し、これを減衰曲線とする。
次に、図6(b)及び図7(a)を用いて、この減衰曲線を用いて杭径が「2.5」,「3.5」(m)の杭を形成する場合の振動時間の算出の具体例について説明する。この場合、振動機からの端部距離r1は、「1.25」,「1.75」(m)である。また、建築分野で用いるコンクリートのクランプは、約18~21(cm)であるが、ここでは、18(cm)よりも小さい15(cm)のスランプにおける必要な締固めエネルギとして2(J/L)を用いる。
図6(b)に示すように、周波数が130(Hz)の振動機においては、端部距離r1が1.25(m)における単位時間あたりの最小振動エネルギは、約0.30(J/L)である。必要な締固めエネルギが2(J)であるため、杭径が2.5(m)の場合、約6.7秒(=2/0.3)以上の振動を行なう。また、端部距離r1が1.75(m)における単位時間あたりの最小振動エネルギは、約0.07(J/L)である。必要な締固めエネルギが2(J)であるため、杭径が3.5(m)の場合、約29秒(=2/0.07)以上の振動を行なう。
図7(a)に示すように、周波数が160(Hz)の振動機においては、端部距離r1が1.25(m)における単位時間あたりの最小振動エネルギは、約0.03(J/L)である。必要な締固めエネルギが2(J)であるため、杭径が2.5(m)の場合には、約67秒(=2/0.03)以上の振動を行なう。また、端部距離r1が1.75(m)における単位時間あたりの最小振動エネルギは、約0.02(J/L)である。このため、杭径が3.5(m)の場合には、約100秒(=2/0.02)以上の振動を行なう。なお、作業効率の観点からは、160(Hz)以下の周波数を用いて振動することが好ましい。
また、振動を与え過ぎると、コンクリートが分離することがある。このため、振動エネルギが高い振動機26の近傍のコンクリートが分離しない時間以下で、コンクリートに振動を与える。ここで、端部における振動エネルギに十分な振動を与える前に、振動機26近傍におけるコンクリートが分離する場合には、減衰率が低い低周波数(例えば130(Hz))を用いる。この場合、振動機26の周波数が100(Hz)を下回ると、振動機26は、振動を安定して発生することが難しい。このため、実際には、100(Hz)以上の周波数を用いる。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、制御システム30は、周波数に応じた杭孔10の端部(孔壁)における端部振動エネルギと必要な締固めエネルギとを用いて振動時間を算出する。制御システム30は、トレミー管20に取り付けた振動機26を、算出した振動時間で振動させる。これにより、形成する杭径を考慮して、適切な振動時間でコンクリートに振動を与えることができる。従って、杭の杭径及び振動周波数に応じた減衰を考慮して、コンクリートを的確に締固めることができる。なお、コンクリートを的確に締固めることにより、孔壁とコンクリートの密着性の向上(空隙や泥水の残留物の低減)が期待できるので、杭周摩擦力による引抜抵抗力の増加も期待できる。
(2)本実施形態では、制御システム30は、端部振動エネルギを、スランプ及びコンクリート単位容積質量、振動機の最大加速度及び振動周波数に基づいて特定する。これにより、コンクリートの性状及び実際に測定された減衰後の加速度を更に考慮して、コンクリートを十分に締固めることができる。
(3)本実施形態では、トレミー管20の先端部に設けた振動機26を用いて、トレミー管20を上昇させる際に、コンクリートに振動を与える。これにより、効率的に振動を与えることができる。
(4)本実施形態では、制御システム30は、設定速度での引き上げ処理(ステップS3-3)において、算出した振動時間に応じた設定速度で上昇させる。これにより、必要な締固めエネルギに対応する振動エネルギは確保しながら、トレミー管20を迅速に上昇させることができる。
(5)本実施形態では、制御システム30は、振動を開始してから、情報記憶部32に記憶した振動時間が経過した後、トレミー管20を引き上げる。これにより、杭孔10の最下部のコンクリートに十分に振動を与えることができるとともに、振動開始時の振動加速度を安定させた状態で引き上げることができる。
また、上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態においては、周波数が130(Hz)のエア式の振動機26を用いた。コンクリートに振動を与える振動機26の周波数は、これに限定されない。例えば、周波数が160(Hz)、175(Hz)、190(Hz)の振動機を用いて、コンクリートに振動を与えてもよい。
・上記実施形態においては、実験結果によって得た加速度に応じた振動エネルギの値を用いて、最低振動エネルギ以上となる減衰曲線を振動周波数毎に算出し、この減衰曲線を用いて振動時間を特定した。減衰曲線の算出の方法は、これに限られない。例えば、実験結果によって得た加速度に基づいて周波数毎の減衰率を算出し、この減衰率と、振動機において発生する振動エネルギとを用いて端部振動エネルギを算出する減衰曲線を生成してもよい。この場合、孔壁における振動の跳ね返り状況(跳ね返り率)を考慮して、減衰曲線を生成してもよい。
更に、この場合、コンクリート単位容積質量ρによる振動エネルギの減衰率を考慮してもよい。例えば、実験に用いたコンクリートのコンクリート単位容積質量ρと、実際に用いるコンクリートのコンクリート単位面積質量との比率に応じて、振動時間を調整する。
・上記実施形態においては、制御システム30は、振動機の振動エネルギの算出において、加速度として最大加速度を用いた。加速度として用いる値は、最大加速度に限らず、例えば、平均加速度等、統計値であればよい。
・上記実施形態においては、制御システム30は、端部距離r1に応じた単位時間あたりの振動エネルギの減衰を考慮して、振動時間を算出した。振動時間は、鉄筋籠における配筋状態に応じた補正値を用いて調整してもよい。例えば、鉄筋籠の主筋の重ね合わせ部等、鉄筋が密集している範囲については、他の箇所よりも振動時間を長くする。具体的には、密集している鉄筋の間隔の、他の鉄筋の間隔に対する割合を算出し、この割合分、振動時間を長くする。ここで、鉄筋籠の主筋の重ね合わせ部は、杭孔10における深さ位置で特定することも可能である。従って、制御システム30は、鉄筋籠の主筋の重ね合わせ部の深さと、振動機26の位置とに応じて、コンクリートに与える振動の振動時間を変更する。これにより、鉄筋が密集している部分においても、鉄筋の周囲に、コンクリートを十分に回り込ませて、的確に締固めを行なうことができる。
・上記実施形態においては、全長において直径が同じ杭を形成したため、制御システム30は、コンクリートに与える振動時間を一律として設定した。杭の形状に応じてコンクリートに与える時間を変更してもよい。例えば、拡底杭、軸部の途中に拡径部を有する杭、又は矩形断面の壁杭を形成する場合に用いてもよい。拡径部を有する杭(拡底杭や軸部に拡径部を有する杭)の場合、制御システム30は、端部までの距離がある杭の拡径部については、拡径の大きさに応じた端部振動エネルギを特定し、この端部振動エネルギに基づいて算出した振動時間を用いて、コンクリートに振動を与える。これにより、拡径部を有する杭においても、コンクリートを十分に締固めることができる。そして、締固めにより孔壁とコンクリートの密着性の向上が期待できるので、拡径部における引抜抵抗力の増加が期待できる。
・上記実施形態においては、制御システム30は、振動時間の算出に用いる必要な締固めエネルギは、杭を構成するコンクリートのスランプに応じた値を用いた。必要な締固めエネルギは、コンクリートのスランプをパラメータとする算出式を用いて特定してもよい。
・上記実施形態においては、振動を開始してから、情報記憶部32に記憶した振動時間が経過した後、トレミー管20を引き上げている間、コンクリート15に振動を与えた。コンクリート15に振動を与えるタイミングは、これに限定されない。例えば、間欠して振動を与えてもよい。具体的には、振動機26の長さ分だけトレミー管20を上昇させて一旦停止し、この上昇停止中に振動時間分の振動を与えてもよい。
・上記実施形態においては、振動機26を、トレミー管20の先端の内側に設けた。振動機26は、この位置に限らず、トレミー管の外側に設けてもよい。この場合、トレミー管の中心(杭孔の中心)から杭孔の端部までの距離の代わりに、振動機の位置に応じた距離(例えば振動機の配置位置から最も遠い距離)と、減衰曲線とを用いて、端部振動エネルギを特定する。これにより、振動機の配置に応じて、より適切な振動時間を特定することができる。
・上記実施形態においては、振動を与えて杭を構築するコンクリートを、安定液で充填された杭孔に流し込んだ。振動を与えるコンクリートは、安定液で充填している杭孔に流し込む場合に限られず、例えば、無水でケーシング保護した杭孔に流し込んでもよい。この場合においても、振動を与えてコンクリートを締固めることができる。
L1…長さ、r1…端部距離、10…杭孔、11…安定液、15…コンクリート、20…トレミー管、21…単管、25…振動部、26,60…振動機、30…制御システム、31…情報取得部、32…情報記憶部、33…算出部、34…振動管理部、35…昇降管理部、36…入力部、37…昇降装置、51…型枠、55…加速度計、56…測定治具。

Claims (2)

  1. 杭孔にコンクリートを流し込み、振動機により締固める杭構築方法であって、
    前記コンクリートの物性に応じて、前記コンクリートの締固めに必要な締固めエネルギを特定し、
    前記振動機の周波数と前記振動機からの距離とに応じて減衰した加速度を計測した実験結果によって特定される加速度に基づいて、前記杭孔の孔壁における振動エネルギを算出し、
    前記振動エネルギが前記締固めエネルギ以上になる振動時間で締固めを行なうことを特徴とする杭構築方法。
  2. 前記杭孔に配置される鉄筋籠の配筋状態に応じた補正値を用いて、前記振動時間を調整することを特徴とする請求項1に記載の杭構築方法。
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