JP7055430B2 - 細胞の表現型特徴付け - Google Patents

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Description

本実施形態は、一般に細胞の表現型特徴付け、具体的にはマイクロ流体デバイス内のそのような細胞の表現型特徴付けに関する。
抗生物質耐性菌が出現、拡大し、増加をたどることにより、効果的な抗生物質を確実に使用し、薬効範囲が広い薬物の必要性を低減するために、感染症の正確な治療の主要因は、感染種の抗生物質感受性プロファイルを迅速かつしっかりと識別する能力である。現在では、抗生物質に対する細菌性病原体の耐性は、抗生物質の非存在下および存在下で表現型を決定すること、またはこれまで観察された表現型耐性と相関する遺伝子マーカーの遺伝子型を同定することのいずれかによって検出される。
表現型抗生物質感受性試験(AST)は、一般的に、液体培養中で、または固体寒天平板上で抗生物質の有無に関わらず差次的な細菌増殖の検出に基づく。液体試験では、検出は光学密度の変化に基づくが、固体寒天平板上ではディスク拡散方法を用いて、阻止域を識別する。これらの方法は一般に、耐性を検出し、細菌増殖を停止する抗生物質濃度を決定するための信頼できる方法であり、異なる抗生物質の治療的有用性を予測する。しかし、信頼性が高い情報を得るのに1~2日かかるので、これらの方法は、多くの場合危険な感染初期の段階の患者を治療する方法についての情報を提供することができない。結果として、医師には、広域抗生物質を処方するか、または最初に処方する抗生物質の効果がないことを覚悟のうえで行うかの難しい選択が残される。
遺伝子型ASTは、耐性表現型に関連したプラスミド、遺伝子、または変異などの特定の遺伝子マーカーの検出、一般的な遺伝的ツール(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による、ローリングサークル増幅(RCA)媒介パッドロックプローブもしくは全ゲノムシーケンシングによる配列特異的増幅)を用いることによる検出に基づいている。これらの試験は感度が高く、選択したDNA配列を検出可能なレベルまで増幅するために必要とされるまで検出時間を限定することができる。しかし、試験は、どの耐性マーカーを試験するかの事前知識を必要とする。新しい耐性機構が起こったならば、これらの試験は未検出のまま進み、結果は偽陰性になる。さらに、特定の耐性遺伝子/変異が存在すれば、必ずしも表現型耐性に翻訳されない。
遺伝子型ASTとは異なり、表現型ASTは、抗生物質が細菌増殖を停止させるかどうかを直接評価する。これは治療医にとって最も関連する基準である。したがって、新しい表現型ASTは、検出時間を縮小するよう近年開発されている。
液体培養において光学密度を測定する代わりに、16S rRNAの相対的生存量を検出することによって、AST検出時間は数時間まで縮小することができる。同様に、増殖量を減少させ、zスタック撮像法を適用して細胞占有率を算出することにより、ASTの検出時間は約100分まで縮小した。
ここ数年にわたり、マイクロ流体工学は微生物の単一細胞操作および観察に改革をもたらしており、ASTの実りある方向性は、シグナル対バックグラウンド比を高めるために細菌インキュベーションチャンバーを小型化するマイクロ流体工学を用いることである。AST方法に基づく単純なマイクロ流体の最近の一例は、濃度勾配を作成し、それを30nLチャンバーでの小細胞培養に適用する。60分ごとに撮像された画像を分析することで最小発育阻止濃度(MIC)の検出を180分で可能にする[1]。
ASTに基づくマイクロ流体工学を効果的にする際の1つの制限は、細胞を捕捉する、またはマイクロ流体デバイスに充填する上での困難であった。一解決策は、冷却すると凝固し、細菌を捕捉する、液体アガロースを混合した細菌液体培養を充填することである。この方法では、マイクロ流体アガロースチャネル(MAC)への抗生物質の送達は拡散に依存し、高速AST(通常は、1~4時間)は、位相コントラスト画像から単一細胞増殖速度を追跡することによって達成される。別の解決策は、それを96ウェルチップに移し、単一細胞形態学的分析(SCMA)と組み合わせることによってMACをうまく構築することである。この方法は、複数の種の種々の抗生物質に対する種々の応答の同時識別が可能になり、60~120分以内にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を検出することができた。
細胞の表現型特徴付けのために用いることができるマイクロ流体デバイスが開発されている[2]。マイクロ流体デバイスは、流入チャネルと流体連結する各第1の端部と、各洗浄チャネルの第1の端部と流体連結する各第2の端部とを有する複数の並行細胞チャネルを備える。洗浄チャネルの各第2の端部は、流出チャネルと流体連結している。細胞チャネルは単一層で細胞を収容する寸法を有するが、洗浄チャネルの寸法は細胞を収容するには小さすぎる。
[2]に開示されるマイクロ流体デバイスを用いて、1mL未満の液体[3]中のわずかに1,000の細菌細胞から開始し、30分未満の速さでASTを行った。高速ASTは、マイクロ流体捕捉手法および単一細胞増殖速度測定に基づいている。
マイクロ流体デバイスを用いることによる細胞表現型を決定する分野では、依然として改善の必要があり、特に、表現型を決定する細胞が種々の生体物質および非生体物質を含む、複雑で不均一な生体試料中に存在する場合、改善が必要である。
一般の目的は、マイクロ流体デバイスを用いて細胞の表現型決定を提供することである。
具体的な目的は、不均一な生体試料中に存在する細胞の表現型決定を提供することである。
本明細書に開示するように、これらおよびその他の目的は、実施形態によって満たされている。
実施形態の一態様は、細胞の表現型を決定する方法に関する。該方法は、標的細胞が含まれる生体物質を含む生体試料を、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントを備えるマイクロ流体デバイスに充填して、該空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を捕捉することを含む。該方法は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を試験薬剤に曝す前に、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質をモニターすることも含む。該方法は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質のモニタリングに基づいて決定された少なくとも1つの標的表現型特徴を示す標的細胞を含むとして、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットを識別することをさらに含む。該方法は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を試験薬剤に曝して、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別されたサブセット内の標的細胞をモニターすることをさらに含む。該方法は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別されたサブセット内の標的細胞のモニタリングに基づいて、試験薬剤に対する標的細胞の表現型応答を決定することも含む。
本実施形態は、種々の細胞型および非細胞物質を含む不均一な生体試料中に存在する標的細胞の効率的かつ正確な表現型決定を可能にする。最初の選択を用いて、標的細胞を収納するとみなされる、マイクロ流体デバイス内の細胞コンパートメントを識別する。次いで、識別された細胞コンパートメント内の生体物質(すなわち標的細胞)の応答に基づいて、表現型決定が行われ、一方、残りの細胞コンパートメント内の物質(すなわち他の細胞および非細胞物質)のいずれの応答も無視する。それによって標的細胞の表現型応答は、不均一な生体試料中の他の細胞および非細胞物質の応答によって目立たないようになることはない。
さらなる目的およびその利点と共に、本実施形態は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することによってより良好に理解されることができる。
一実施形態による表現型を決定する方法を例示するフローチャートである。 図1に示す方法のさらなる、任意選択のステップを例示するフローチャートである。 図1の識別するステップS3の一実施形態を例示するフローチャートである。 図1の識別するステップS3の別の実施形態を例示するフローチャートである。 図1の識別するステップS3のさらなる実施形態およびモニタリングステップS5の一実施形態を例示するフローチャートである。 図1に示す方法のさらなる、任意選択のステップを例示するフローチャートである。 一実施形態による表現型を決定する方法で用いることができるマイクロ流体デバイスを示す図である。 一実施形態によるマイクロ流体デバイス用のモールドの一部を示す走査電子顕微鏡画像(倍率:11×10倍)である。 生体試料を充填したマイクロ流体デバイスの一部の位相コントラスト画像である。 マイクロ流体デバイスに生体試料を充填した後、3回の異なる時間インスタンスでのマイクロ流体デバイスの一部の位相コントラスト画像である。 マイクロ流体デバイスの個々の細胞チャネルについて時間の関数としてプロットされた長さ(図11A)および増殖速度(図11B)を示す。 別の実施形態による表現型を決定する方法で用いることができるマイクロ流体デバイスを示す図である。 図12のマイクロ流体デバイス内の細胞トラップ領域を示す図である。
本実施形態は、一般に細胞の表現型の特徴付け、具体的にはマイクロ流体デバイス内の細胞のそのような表現型特徴付けに関する。
マイクロ流体デバイス(当技術分野ではマイクロ流体チップとも表示される)は、時間効率の良い方法で細胞の表現型を決定する(すなわち表現型特徴付け)ために用いることができる。しかし、現実的な応用において、マイクロ流体デバイスへの生体試料の投入物は、表現型を決定する標的細胞、他の細胞と細胞残屑、およびほこり、混入物質などの非生体物質が含まれる種々の生体物質を含む複雑な不均一の試料であり得る。したがって、生体試料は、ほとんどの場合、不均一であり、標的細胞は実際に、生体試料中に存在する物質の少数、さらにごくわずかな少数を構成することがあり得る。
生体試料の不均一性は、種々の理由に起因することがあり得る。例えば、生体試料は、それ自体が、動物またはヒト対象から採取された種々の細胞型および非細胞物質からなっていることがある。あるいは、または加えて、生体試料は、サンプリング中、および/またはマイクロ流体デバイスに生体試料を充填する時点までに混入されることがあり得る。後者の一般的な例は、中間尿試料である。そのような中間尿試料が患者の皮膚由来の細胞および細菌などの細胞混入および微生物混入を含むことは、珍しいことではない。
したがって、表現型特徴付けに悪影響を与え得る生体試料の不均一性ならびに他の細胞および非細胞物質の存在により、マイクロ流体デバイス内の生体試料中の標的細胞の表現型を決定する上での問題および困難が存在し得る。
例えば、標的細胞の表現型決定は、試験薬剤への曝露、特定の環境条件などの刺激に対する標的細胞の応答をモニターすることによって行われ得る。標的細胞がマイクロ流体デバイス内で捕捉され、モニターされる少数の物質を構成する場合、表現型決定は他の細胞および非細胞物質の存在によって損なわれ得る。最悪の場合、標的細胞の表現型特徴付けは、不正確になり得、それによって標的細胞に不適当な表現型を割り当てる。
一般的な例としては、尿路感染症(UTI)の患者由来の尿中に存在する細菌の抗生物質感受性を検査することである。尿試料に、例えば皮膚からの細胞および細菌が混入している場合、そのような混入細胞は、マイクロ流体デバイスに充填された尿試料中の細胞の大部分を構成することがあり得る。しかし、混入している細菌は、尿試料の成分およびpHのために、尿試料中で増殖または生存することができない。尿中のUTI原因菌の感受性を試験するために、マイクロ流体デバイスに充填された細胞を抗生物質に曝す場合、抗生物質の存在が主因ではなく、混入している細胞が尿中で増殖しないので、捕捉された細胞のほとんどは増殖しない。したがって、マイクロ流体デバイス内の抗生物質の存在下で細胞増殖をモニターすることによって、マイクロ流体デバイス内で捕捉された細胞のほとんどが抗生物質の存在下で増殖しないので、UTI原因菌は抗生物質に影響されやすいと結論づけることができる。これは、尿中の耐性菌の増殖が尿中で生存可能でない細胞の非増殖によって目立たないようにされ得ることを意味する。その結果、尿中のUTI原因菌は、たとえこれらが実際に抗生物質に対して耐性があるにしても、抗生物質に影響されやすいので、不適当に分類されることがあり得る。尿試料を採取した患者を、患者の尿中に存在する耐性細菌の増殖を大幅には阻害しない抗生物質を投与することによって治療する場合、これは、次に重大な結果をもたらし得る。
本実施形態は、生体試料中に存在するいわゆる標的細胞の表現型を決定する目的で、複雑な、または不均一な生体試料をマイクロ流体デバイスに充填する上述の問題を解決する細胞の表現型を決定する方法を提供する。
以下では、「標的細胞」とは、生体試料中に存在する細菌などの細胞、例えば大腸菌(Escherichia)細胞、クレブシエラ(Klebsiella)細胞、ブドウ球菌(Staphylococcus)細胞、古細菌細胞、真核細胞、酵母細胞、動物細胞、ヒト細胞、癌細胞などを示す。これらの標的細胞は表現型を決定されるはずであり、すなわち、標的細胞の少なくとも1つの表現型特徴は本実施形態の方法で決定される。
細胞の表現型を決定する方法で用いられるマイクロ流体デバイスは、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント、すなわち略して細胞コンパートメントを含む。そのような細胞コンパートメントは、生体試料中に存在する生体物質を捕捉し、収容するように設計されている。したがって、生体試料をマイクロ流体デバイスに補充するとき、生体試料中に存在する細胞などの生体物質は、細胞コンパートメントによって捕捉される。細胞コンパートメントは、空間的に画定され分離されている。これは、各細胞コンパートメントがマイクロ流体デバイス内に空間的に画定された位置を有し、各細胞コンパートメントがマイクロ流体デバイス内の他の細胞コンパートメントから分離(一般的に物理的に)されていることを意味する。したがって、マイクロ流体デバイスの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を物理的に分離し、個々にモニターすることは可能である。
細胞コンパートメントは、細胞を捕捉し、収容するよう必要な寸法に形成され、設計されているマイクロ流体デバイスの任意の物理的構造または一部であり得る。そのような細胞コンパートメントの非限定的であるが、実例には、細胞チャネル、細胞トラップなどが含まれる。
図1は、一実施形態による細胞の表現型を決定する方法を例示するフローチャートである。該方法は、ステップS1において、標的細胞が含まれる生体物質を含む生体試料をマイクロ流体デバイスに充填することを含む。マイクロ流体デバイスは、該空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を捕捉する空間的に画定され分離された細胞コンパートメントを含む。次のステップS2は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を試験薬剤に曝す前に、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質をモニターすることを含む。ステップS3において空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットは、ステップS2において空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質のモニタリングに基づいて決定された少なくとも1つの表現型特徴を示す標的細胞を含むとして識別される。
空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質はステップS4において試験薬剤に曝される。次のステップS5は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別されたサブセット内の標的細胞をモニターすることを含む。次いで、ステップS6において、試験薬剤に対する標的細胞の表現型応答は、ステップS5における空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の標的細胞のモニタリングに基づいて決定される。
それによって本実施形態の方法は、標的細胞の表現型応答を決定する前に、標的細胞を含むマイクロ流体デバイスの空間的に画定され分離された細胞コンパートメントを識別するための選択ステップを含む。したがって、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の捕捉された、または充填された生体物質をモニターして、少なくとも1つの標的表現型特徴を示す生体物質を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントを識別する。次いで、ステップS6において表現型応答は、ステップS3において識別された空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内に存在する生体物質(すなわち標的細胞)の応答にだけに基づいて決定される。したがって、残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質は、少なくとも1つの標的表現型を示さないことに基づいて決定された標的細胞以外の細胞および非細胞物質を誘発する。ステップS6において表現型応答を決定するとき、残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内のそのような物質の応答は、それによって無視され、使用されない。
これは、ステップS6で決定された表現型応答が実際に、生体物質中で試験薬剤に対する標的細胞の真の応答であり、この表現型応答が生体試料中の他の細胞および非細胞物質の応答によって目立たなくなることもなく、影響を受けることもないことを意味する。
例えば、生体試料がUTI患者から採取された尿試料であり、標的細胞としてUTI原因菌の抗生物質に対する感受性を仮定して、図1に示す方法で試験されることになる。次いで、ステップS1において尿試料をマイクロ流体デバイスに充填し、UTI原因菌および混入しているいずれの細菌、ならびに空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の細胞を捕捉する。混入している細菌および細胞は、尿中で生存可能でないこともあり得、それによって増殖しない、または少なくともゆっくりと増殖する。したがって、ステップS2は、例えば、一定期間にわたり細胞伸長の長さを調べることなどによって細菌の生存度または細胞増殖を決定する目的で、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質をモニターすることを含む。したがって、ステップS3は、ステップS2におけるモニタリングに基づいて決定された生存可能な、および/または目標増殖速度を超える増殖速度を有する細胞を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットまたは部分を識別することを含んでもよい。この識別されたサブセット内の生体物質は、それによって尿中で生存可能であり、十分に増殖し、それによって大部分は、UTI原因菌を構成する。残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の物質は生存不可能であり、その増殖速度は目標増殖速度を下回る。それによってこの物質は主に、尿試料からの混入細胞と細菌および非細胞物質からなる。
次いで、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質は抗生物質に曝され、ステップS3において識別された空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内に存在する生体物質(すなわちUTI原因菌)はステップS5においてモニターされ、次いでステップS6において、抗生物質に対するこの生体物質(すなわちUTI原因菌)の表現型応答はステップS5におけるモニタリングに基づいて決定される。それによって、抗生物質に対するUTI原因菌の感受性または耐性は、ステップS6において尿試料から混入する細胞または細菌の応答から目立たなくなるまたは影響されるリスクなしに効率的に決定されることができる。
したがって、本実施形態により、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質の最初のモニタリングは、ステップS4において、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を試験薬剤に曝す前にまずステップS2において行われる。ステップS2における最初のモニタリングは、試験薬剤が添加されたらモニターするよう空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの少なくとも1つのサブセットを識別するために、試験薬剤の添加の前に行われる。ステップS2において試験薬剤がすでに存在する場合、死細胞または非生存可能細胞と、非細胞物質との間では、試験薬剤に影響をうけやすい細胞と区別することは困難であり、またはさらに不可能なこともあり、それによって試験薬剤の存在下で増殖することはできない。したがって、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内に増殖することができる生存可能細胞を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントを識別し、およびそのような空間的に画定され分離された細胞コンパートメントを非生存可能細胞と非細胞物質を含有するものと区別するために、ステップS2においてモニタリングおよびステップS3においてその後の識別が行われる。
一実施形態において、ステップS2における最初のモニタリングは、ステップS3における標的細胞を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの適切な識別を可能にするために少なくとも最低期間の間行われる。例えば、ステップS2のモニタリングは、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも3分間、少なくとも4分間、少なくとも5分間、少なくとも6分間、少なくとも7分間、少なくとも8分間、少なくとも9分間、または少なくとも10分間行われる。実際の最低期間は、一般的に標的細胞と特定の表現型の特徴に依存している。例えば、表現型特徴が標的細胞の増殖である場合、最低期間は、標的細胞が少なくとも1回分裂するよう設定することが好ましい。したがって、最低期間は、標的細胞の平均細胞周期または細胞分裂時間に基づいて設定され得る。
一実施形態において、生体試料は、体液試料、例えば、尿試料、血液試料、だ液試料、糞便試料、脳脊髄液試料、羊水試料、乳試料またはリンパ液試料である。あるいは、生体試料は生検などの体組織から採取することが可能である。他の例としては、細菌汚染に対して検査される食物試料、乳腺炎検査に対するウシ、ヤギ、または他の乳生成動物からの乳が挙げられる。実際に、細胞を含み、マイクロ流体デバイスに充填することができるあらゆる生体試料を本実施形態によって用いることができる。
以下の開示において、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を試験薬剤に曝すことによって、ステップS4を説明し、例証する。この試験薬剤は、任意の分子、化合物、組成物、または分子、化合物もしくは組成物の混合物であり得る。関連した実施形態において、生体物質は、より一般的に、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内で刺激に曝される。そのような刺激は必ずしも試験薬剤である必要がなく、それよりも、温度変化などの環境条件の変化であり得る。したがって、刺激に対する標的細胞の表現型応答は、次いで、ステップS6において決定される。
図2は、図1に示す方法のさらなる、任意選択のステップを例示するフローチャートである。該方法は、図1のステップS1から続く。次のステップS10は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を培地に曝すことを含む。次いで、該方法は図1のステップS2に続く。本実施形態において、該方法は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の培地に曝された生体物質をモニターすることを含む。
一実施形態において、生体試料自体が培地とみなされる。したがって、生体試料中、および空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内で捕捉されたいずれの生体物質も培地として生体物質に曝される。この実施形態において、いかなる培地交換も必要でない。
他の実施形態において、ステップS1における生体試料の充填に続いて、培地を交換する。したがって、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内で捕捉された生体試料からの生体物質は、次いで、ステップS10において新しい培地に曝される。次いで、この培地は、標的細胞が培地に曝されたとき、少なくとも1つの標的表現型特徴を示すように、選択されることが好ましく、他の細胞および非細胞物質は、ステップS10において培地に曝されたとき、少なくとも1つの標的表現型特徴を示さないことが好ましい。
この培地の切り替えは、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を異なる培地に曝すために、2回以上行われ得る。培地または複数の培地は、大部分の細胞が増殖のために必要とするすべての要素を含有する一般の培地であり得、選択的でない。代替物、培地または複数の培地は、一般にアミノ酸が存在しない、細胞増殖のための可能な最小限の栄養素を含有する最小培地であり得る。そのような最小培地を用いて、「野生型」細胞を増殖し、組換え体または接合完了体のために、またはそれに反して選択することができる。さらなる代替物は、選択的な(すなわち選択された細胞だけの増殖を支持する)培地または複数の培地を使用することである。関連した変異は、ある細胞型を同じ培地上で増殖している別の細胞型と区別するために鑑別培地または複数の培地を使用することができる。この種類の培地は、細胞の決定付ける特徴を明白に示すように培地に添加される特定の栄養素または指示薬の存在下で増殖する細胞の生化学的特徴を用いる。
異なる培地間で切り替える場合、すべての培地は同じ種類(一般培地、最小限培地、選択培地、または鑑別培地)であり得る、または切り替えは異なる種類の培地間であってもよい。
例えば、標的細胞の異なる集団を識別するために、異なる炭素源を有する異なる選択培地は、UTI原因菌と共に用いてもよく、これを本明細書でさらに記述する。例えば、UTIを引き起こす大腸菌(Escherichia coli)は、炭素源としてアラビノース、ラクトース、マンニトールまたはキシロースを含む培地で増殖することができるが、クエン酸塩中では増殖できない。肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)は上述の炭素源のいずれかを用いて培養されることができるが、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)は炭素源としてクエン酸塩またはキシロースを用いてのみ増殖し、アラビノース、ラクトース、またはマンニトールを用いては増殖しない。同様に、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)は炭素源としてラクトースのみを用いるが、アラビノース、クエン酸塩、マンニトールまたはキシロースを用いない。
一実施形態において、図1のステップS4は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を、試験薬剤を含む培地、または試験薬剤を含む別の培地に曝すことを含む。
第1の実施形態において、生体試料が培地として用いられる場合、試験薬剤は生体試料に添加されるように、図2のステップS10で用いられた同じ培地に添加される。この実施形態において、ステップS10とステップS4との間でいかなる培地交換も必要ない。したがって、唯一の相違は、ステップS4において試験薬剤が培地に添加されることである。
後者の実施形態において、ステップS4において培地交換が行われる。したがって、ステップS10において用いられる培地と比較して、試験薬剤を含む異なる培地がステップS4において用いられる。次いで、この異なる培地は、試験薬剤を含み、異なる培地中で標的細胞の試験薬剤に対する応答をモニターするよう、選択され、適応され得る。
図1のステップS3は、ステップS2におけるモニタリングに基づいて決定された少なくとも1つの標的表現型特徴を示す標的細胞を含むとして、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットを識別することを含む。一実施形態において、ある標的表現型特徴を示す生体物質は、ステップS3において標的細胞であると決定され、およびそのような生体物質を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントはステップS3において識別されたサブセットに含まれる。この標的表現型特徴を示さない物質は、それによって標的細胞とみなされず、そのような物質を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントは、ステップS3において識別されたサブセットに含めるべきではない。
別の実施形態において、複数(すなわち、最低2つ)の標的表現型特徴を示す生体物質は、ステップS3において標的細胞であると決定され、そのような生体物質を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントは、ステップS3において識別されたサブセットに含まれる。複数の標的表現型特性のいずれも示さない、または複数の標的表現型特徴のすべてではなく一部を単に示す物質は、標的細胞とみなされず、およびそのような物質を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントは、ステップS3において識別されたサブセットに含めるべきではない。
標的表現型特徴の例示的だが非限定的な例は、増殖速度、形状、サイズ、経時的に増殖速度を規定する増殖速度曲線の形態、経時的に細胞長を規定する細胞長曲線の形態、経時的に細胞面積を規定する面積曲線の形態、色、光学密度、電気伝導度、熱産生、親和性試薬により観察される表面抗原組成、吸収スペクトル、および少なくとも2つのそのような表現型特徴の混合物であり得る。
標的表現型特徴は、非標的細胞物質の特徴の補完であり得る。したがって、標的表現型特徴は、所与の表現型特徴の欠如であり得る。このような場合、非標的細胞物質は表現型特徴を示し、一方標的細胞は所与の表現型特徴を示さないことで標的表現型特徴を有する。
所与の培養条件(例えば培地)の増殖速度は、標的細胞を他の物質から識別するために有利に用いることができる表現型特徴または形質である。増殖細胞の細胞数は経時的に増加するので、増殖速度は、例えば、各空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の細胞数または粒子数をモニターすることで決定することができる。あるいは、または加えて、増殖速度は、細胞または粒子によって占有された空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの部分の長さをモニターすることによって決定することができる。この長さは、増殖細胞については経時的に増加するが、非生存可能細胞と非増殖細胞および非細胞物質については同じ状態のままである。図11Aは、マイクロ流体デバイスの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内での経時的なそのような長さを例示する。あるいは、または加えて、増殖速度は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの画像においてセグメント化した細胞の面積または長さをモニターすることで決定することができる。
経時的な増殖速度は、一般的に、異なる細胞型間で変化する。例えば、一部の細胞型は指数関数的に増殖するが、他の細胞型はさらに周期的な方法で増殖する。したがって、増殖速度曲線の形状または形態を用いて、標的細胞を他の細胞および非細胞物質から識別することができる。図11Bは、マイクロ流体デバイスの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内で捕捉された物質の増殖速度曲線を例示する。
異なる細胞型間で、および細胞と非細胞物質との間で変化する他の表現型特徴としては、形状、サイズ、色、および光学密度が挙げられる。したがって、種々の細胞型は、桿状、球状、ねじれ状、円盤状などの様々な形状であり得る。長さおよび/または直径などのサイズも、サブμmから数十μmにわたるなどの細胞を互いに区別する、および非細胞物質と区別するために用いることができる表現型特徴である。
光学密度、色または他のスペクトル特性は、例えば、細胞含有物、細胞形状などによって異なる細胞型間で、および細胞と非細胞物質との間で異なる。したがって、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の物質の光学特性を用いて、細胞、非標的細胞、および非細胞物質を区別することができる。
伝導度および熱産生は、細胞の化学組成および代謝状態に依存し、したがって、標的細胞を非標的細胞と区別するための基礎を構成することができる。
図3は、図1のステップS3の一実施形態を例示するフローチャートである。この実施形態において、ステップS3は、ステップS2における空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質のモニタリングに基づいて決定された、少なくとも1つの標的表現型を示す標的細胞を識別する(ステップS20において)ことを含む。次いで、次のステップS21は、識別された標的細胞を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットとして、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットを選択することを含む。
したがって、この実施形態において、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質は、ステップS2においてモニターされる。次のステップS20は、ステップS2におけるモニタリングに基づいて決定された少なくとも1つの標的表現型特徴を示す生体物質、すなわち標的細胞を識別する。ステップS20において識別された生体物質を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントは、次いでステップS21において、標的細胞を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットとして選択される。
一実施形態において、ステップS2は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を複数の時間インスタンスでモニターすることを含む。
この実施形態は、増殖速度の形態で、および/または増殖速度曲線の形態で標的表現型特徴に関連しての使用に特に適している。したがって、増殖速度を決定する、または少なくとも推定するため、または増殖速度曲線の形態を決定するために、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質はステップS2において複数の時間インスタンスでモニターされる必要がある。
しかし、他の標的表現型特徴(例えば、形状、サイズ、色および光学密度)について、ステップS2において空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質は1回モニターするだけで十分であり得る。
同様に、一実施形態において、ステップS5は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別されたサブセット内の標的細胞を複数の時間インスタンスでモニターすることを含む。したがって、標的細胞の試験薬剤に対する特定の表現型応答によって、ステップS5において1回、または複数の時間インスタンスで標的細胞をモニターするのに十分であり得る。
一実施形態において、ステップS2は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの少なくとも1つの画像を撮像することを含む。同様に、一実施形態において、ステップS5は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別されたサブセット内の標的細胞の少なくとも1つの画像を撮像することを含む。単一時間インスタンスでの単一画像は、ステップS2およびS5のこれらの実施形態において撮像されてよい。あるいは、複数の時間インスタンスでの複数の画像は、ステップS2および/またはS5で撮像される。
特定の実施形態において、ステップS2および/またはS5において撮像される少なくとも1つの画像は、電荷結合素子(CCD)などのカメラ、および相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラに接続された位相差顕微鏡などの顕微鏡法、または蛍光用共焦点走査システム、ラマンイメージング、コヒーレント反ストークスラマン散乱(CARS)、誘導ラマン散乱(SRS)、および死細胞および生細胞にスペクトル変化を与える類似する化学的感受性手法を用いて撮像する。これには、コントラスト強調(例えば化学的に特異的なプローブおよび染料)の増殖培地への追加の有無にかかわらず、1つあるいは複数の波長での測定が含まれる。
伝導度および/または熱産生は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内に、または該細胞コンパートメントと共に配置された電極またはセンサーで測定され得る。
図4は、ステップS2が空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの少なくとも1つの画像を撮像することを含むとき、図1のステップS3の一実施形態を図示するフローチャートである。この実施形態において、ステップS3は、ステップS30において空間的に画定され分離された細胞コンパートメントと、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質との検出のため少なくとも1つの画像を処理することを含む。空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質の少なくとも1つの各表現型特徴は、この処理に基づいてステップS31において決定される。次のステップS32は、標的細胞を空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質として識別すること、および少なくとも1つの標的表現型特徴に対応する少なくとも1つのそれぞれの決定された表現型特徴を有することを含む。ステップS33は、識別された標的細胞を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットとして空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットを選択することを含む。
この実施形態において、本明細書ですでに記述されているように撮像した少なくとも1つの画像は、ステップS30において空間的に画定され分離された細胞コンパートメントと、その中に存在する生体物質とを識別するよう処理される。少なくとも1つのそれぞれの表現型特徴は、ステップS30の処理に基づいて、ステップS31において空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質のために決定される。例えば、標的表現型特徴が閾値率Tを超える増殖速度であると仮定する。マイクロ流体デバイスがN個の空間的に画定され分離された細胞コンパートメントを含むとさらに仮定する。このような場合、それぞれの増殖速度R,i=1...Nは、ステップS31においてN個の空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内のそれぞれの物質について決定される。次いで、標的細胞は、閾値速度を超えるそれぞれの増殖速度R、すなわち、R>Tを有する生体物質として識別される。これは、N個の空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質がR>Tの場合は標的細胞、R≦Tの場合は他の細胞もしくは非細胞物質のいずれかに分類され得る、または識別され得ることを意味する。ステップS32において標的細胞と識別された(すなわちR>Tを有する)生体物質を含むN個の空間的に画定され分離された細胞コンパートメント間の空間的に画定され分離された細胞コンパートメントは、次いで、ステップS33において選択される。他の空間的に画定され分離された細胞コンパートメントは、標的細胞以外の他の物質を含む残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメントである。このような場合、表現型応答は、続いて、ステップS33において選択された空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質の表現型応答のみに基づいて、ステップS6において決定され、それによって標的細胞を含んでいると識別される。
図5は、図1のステップS3およびS5の実施形態を例示するフローチャートである。この場合、図1のステップS1は、標的細胞と非標的細胞とが含まれる生体物質を含む生体試料をマイクロ流体デバイスに充填して、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質を捕捉することを含む。次いで、該方法は、図1のステップS2に続き、次いでさらに図5のステップS40に続く。ステップS40は、ステップS2における空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質のモニタリングに基づいて決定された少なくとも1つの標的表現型特徴を示す標的細胞を含むとして、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットを識別することを含む。同様にステップS41は、ステップS2における空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質のモニタリングに基づいて決定された少なくとも1つの標的表現型特徴を示さない非標的細胞および/または非細胞物質を含むとして、残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメントを識別することを含む。
次いで、該方法は、図1のステップS4に、次いでさらに図5のステップS42に続く。ステップS42は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの少なくとも1つの画像を撮像することを含む。少なくとも1つの画像は、ステップS43において、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別されたサブセットと、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別されたサブセット内の標的細胞との検出のために処理されるが、一方、残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメントおよび残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の非標的細胞および/または非細胞物質を無視する。
一実施形態において、該方法は、次いでステップS6に続き、標的細胞の試験薬剤に対する表現型応答は、ステップS43における処理に基づいて、すなわち標的細胞(すなわちステップS40において識別された空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセット内の生体物質)の表現型応答に基づいて決定されるが、非標的細胞および/または非細胞物質(すなわち、ステップS41において識別された空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの残りの部分内の物質)のいずれの応答には基づいていない。
したがって、ステップS6において決定された表現型応答は、それによってステップS40において識別された空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内に存在し、標的細胞であると識別または選択された生体物質の応答にのみ基づいて決定され、それによってステップS41において識別された残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内に存在する生体物質および/または非生体物質の応答には基づいていない。この手法は、それによって試験薬物に対する非標的細胞および非細胞物質のいずれの応答が、試験薬物に対する標的細胞の表現型応答を目立たなくなるのを効果的に防止する。
一実施形態において、ステップS5において行われたモニタリングは、それによって、すべての空間的に画定され分離された細胞コンパートメント、すなわち、標的細胞を含む空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットおよび残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメントをモニターすることを含む。しかし、ステップS6において決定された表現型応答は、ステップS3において識別された空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセット内に存在する生体物質、すなわち標的細胞に基づいてのみ決定されることが好ましい。
前述において、実施形態は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の他の生体物質および非生体物質から、いわゆる標的細胞を識別し、および分離することに関連して主に記述されている。しかし、同じマイクロ流体デバイス内で、異なる標的表現型特徴、または標的表現型特徴の異なる組み合わせを示す異なる標的細胞集団を識別することも可能である。
例えば、ステップS3は、ステップS2における空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質のモニタリングに基づいて決定された、第1の標的表現型特徴(複数可)を示す標的細胞の第1の集団を含むとして、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの第1のサブセットを識別すること、および第2の標的表現型特徴(複数可)を示す標的細胞の第2の集団を含むとして、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの第2のサブセットを識別することを含み得る。
この実施形態において、ステップS5は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別された第1のサブセット内の標的細胞の第1の集団をモニターすること、および空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別された第2のサブセット内の標的細胞の第2の集団をモニターすることを含む。
ステップS6は、この実施形態において、ステップS5において、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別された第1のサブセット内の標的細胞の第1の集団、および空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別された第2のサブセット内の標的細胞の第2の集団のモニタリングに基づいて、標的細胞の第1の集団および標的細胞の第2の集団の試験薬剤に対するそれぞれの表現型応答を決定することを含むことが好ましい。
もちろん、上述の実施形態は、標的細胞の3つ以上の集団を有する場合にも適用されることができる。
一実施形態において、マーカーに特異的に結合する蛍光プローブは、ステップS2におけるモニタリングの前に、またはモニタリングと共に添加される。このような場合、ステップS2は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の蛍光を測定することによって空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の生体物質をモニターすることを含む。この実施形態において、標的表現型特徴は、次いで、マーカーの存在であり得、それによって結果として蛍光プローブおよび高い測定蛍光の存在になる、またはマーカーの非存在は、それによって結果として蛍光プローブの非存在および比較的低い測定蛍光になる。
したがって、ステップS3は、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の測定蛍光に基づいて決定された少なくとも1つの標的表現型特徴を示す標的細胞を含むとして、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットを識別することを含むことが好ましい。
蛍光プローブはマーカーに特異的に結合する。このマーカーは分子であり得、その存在は、ステップS3における選択または識別で用いられる。例えば、マーカーは細胞内、または受容体などの細胞膜内のタンパク質であり得る。あるいは、マーカーは核酸分子、例えば特定のDNAまたは遺伝子配列もしくは特定のmRNA配列であり得る。
例えば、蛍光プローブは、細胞片から染色体を有する細胞を明確に区別する、インターカレートDNA結合色素であり得る。蛍光プローブは、生細胞のみに進入する生死スクリーニング色素であり得る。
蛍光プローブは、選択された細胞に特異的に結合する蛍光抗体であり得、例えば、異なる表面抗原、表面抗原に基づく他の細胞からの癌細胞、妊婦自身の細胞からの循環胎児細胞とともに異なる細菌種の鑑別を可能にする。
蛍光プローブは、16SリボソームRNAなどの種特異的RNAを標的とする蛍光オリゴヌクレオチドであり得る。
蛍光プローブの特異的結合は、親和性および/または結合活性に基づいて決定されることができる。蛍光プローブによる標的マーカーの解離に関する平衡定数(K)によって表される親和性は、標的マーカーと蛍光プローブとの間の結合力の測定尺度である。Kの値が小さいほど、結合力は強くなる。あるいは、親和性は親和定数(K)としても表されることができ、1/Kである。当業者には明らかであるように、目的の特定の標的マーカーに応じて、親和性はそれ自体公知の方法で決定されることができる。
結合活性は、蛍光プローブと標的マーカーとの間の結合力の測定尺度である。結合活性は、標的マーカーと、蛍光プローブ上の結合部位との間、および蛍光プローブ上に存在する結合部位の数との間の両親和性に関連がある。
一般に、10-4Mより大きいいずれのK値(または10-1より小さいいずれのK値)は、非特異的結合を示すと考えられる。
蛍光プローブと標的マーカーの特異的結合は、それ自体公知の方法で決定されることができ、例えば、Scatchard分析および/またはラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)およびサンドイッチ競合アッセイなどの競合結合アッセイ、ならびに当技術分野でそれ自体は既知の異なるそれらの変異体が挙げられる。
前述において、プローブは、蛍光プローブによって例証されている。しかし、実施形態はそれに限定されるものではない。実際のところ、実施形態にしたがって検出でき、測定可能であるいずれのプローブ、例えば蛍光プローブ、染色プローブ、化学発光プローブ、放射標識プローブなどを用いてもよい。
したがって、一実施形態において、該方法は図6に例示するさらなるステップを含む。該方法は、図1のステップS1から続く。次のステップS50は、標識プローブを空間的に画定され分離された細胞コンパートメントに加えることを含む。次いで、該方法は、図1のステップS2に続き、この実施形態において、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の標識プローブをモニターすることを含む。この実施形態において、ステップS3は好ましくは、ステップS2において空間的に画定され分離された細胞コンパートメント内の標識プローブのモニタリングに基づいて決定された少なくとも1つの標的表現型特徴を示す標的細胞を含むとして、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントのサブセットを識別することを含む。
いくつかの標的細胞集団を同時に区別することに平行して、異なる検出可能な標識または異なるスペクトル特性などの特性を有するプローブを用いることも可能である。
第1の実施例において、試験薬剤は抗生物質である。この実施例において、該方法は、標的細胞の抗生物質に対する感受性を決定するために使用される。したがって、図1のステップS6は、ステップS5において空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別されたサブセット内の標的細胞のモニタリングに基づいて、標的細胞の抗生物質に対する感受性を決定することを含む。
この実施例において、該方法は、標的細胞、すなわち標的細菌が30分未満以内に抗生物質に影響されやすいか、影響されにくいかを示す結果を一般的に提示する高速ASTにおいて用いることができる。これは、信頼性が高い結果を得るために1~2日かかる、現在の至適基準である表現型ASTと比較する必要がある。
そのような実施例の一般的な適用は、体液試料、例えば、尿試料、血液試料、だ液試料、糞便試料、脳脊髄液試料、乳試料、羊水試料、またはリンパ液試料中に存在する細菌のASTを行うことである。
第2の実施例において、試験薬剤は、細胞増殖阻害薬である。そのような実施例において、図1のステップS6は、ステップS5において空間的に画定され分離された細胞コンパートメントの識別された部分内の標的細胞のモニタリングに基づいて、標的細胞の増殖阻止薬に対する感受性を決定することを含む。
この実施例において、表現型を決定する標的細胞は、好ましくは、癌細胞であり、細胞増殖阻害薬に対する感受性が試験される。
図7は、実施形態の方法で用いることができるマイクロ流体デバイス1の概略図である。このマイクロ流体デバイス1は、さらに[2、3、5]に記述されている。手短に言うと、マイクロ流体デバイス1は、細胞を収容する寸法の空間的に画定され分離された細胞コンパートメント20(細胞トラップとも表示される)を有する基板10を含む。空間的に画定され分離された細胞チャネル20のそれぞれの第1の端部22は、第1の流体ポート31と流体連結する第1の端部32、および第2の流体ポート33と流体連結する第2の端部34を有する流入チャネル30と流体連結している。空間的に画定され分離された細胞チャネル20のそれぞれの第2の端部24は、第3の流体ポート41と流体連結する流出チャネル40と流体連結している。空間的に画定され分離された細胞チャネル20は、選択された(例えば粒子サイズ、寸法、形状または形態について)細胞がそれぞれのチャネル障害25を通過して、流出チャネル40に入るのを防ぐよう設計された各チャネル障害25を含む。
上述および図7に例示されたマイクロ流体デバイス1が該方法で使用される場合、一実施形態において、図1のステップS1は、好ましくは、生体試料を第1の流体ポート31に充填すること、空間的に画定され分離された細胞チャネル20においてチャネル障害25によって生体物質を捕捉するために、過剰な生体試料を第3の流体ポート41、および任意選択で第2の流体ポート33から流出させることを含む。
したがって、生体試料は、第1の流体ポート31に流入し、次いで流入チャネル30から流入し、好ましくは第2の流体ポート33に向かって、および任意選択で、第2の流体ポート33から流出できる。加えて、標的細胞を含む生体試料は、空間的に画定され分離された細胞チャネル20に流入し、さらに流出チャネル40および第3の流体ポート41に流入する。
空間的に画定され分離された細胞チャネル20は、必要な寸法に形成され、すなわち、選択された細胞が空間的に画定され分離された細胞チャネル20に進入できるよう、幅と高さなどのサイズ、および形状を有する。大きすぎる、または空間的に画定され分離された細胞チャネル20の断面サイズと形状に適合していないサイズおよび/または形状を有する細胞または非細胞物質は、空間的に画定され分離された細胞チャネル20に進入せず、むしろ第2の流体ポート33を介して流入チャネル30から流出する。
空間的に画定され分離された細胞チャネル20のチャネル障害25は、選択された細胞がチャネル障害25を通過するのを防止し、流出チャネル40に進入する幅および/または高さなどの形状と寸法を有するよう設計されている。したがって、選択された細胞は、空間的に画定され分離された細胞チャネル20に閉じ込められて、捕捉される。
一実施形態においてマイクロ流体デバイス1の基板10は、撮像のために透明である。したがって、生体物質は任意選択で、空間的に画定され分離された細胞チャネル20内でモニターされることができる。あるいは、または加えて、ステップS2および/またはS5において光学モニタリングが行われる場合、空間的に画定され分離された細胞チャネル20を閉じ込めるために基板10の上に、または少なくともその一部の上に配置されるよう構成された基板10のふたは、撮像のために透明であってもよい。
図8は、マイクロ流体デバイス1用のモールドの一部を倍率:11×10倍で示す走査電子顕微鏡画像である。画像は、細胞チャネル20と、細胞チャネル20の第2の端部24の近くのチャネル障害25とを示す。
チャネル障害25は、空間的に画定され分離された細胞チャネル20の寸法(幅および/または高さなど)を制限する制限部または障害の形状であってよい。この制限または障害は、それにより制限された幅および/または高さよりもサイズの大きい選択された細胞がチャネル障害25を通過するのを防止する。しかし、サイズが制限された幅および/または高さより小さい細胞および生体物質と非生体物質は、チャネル障害25を通過することができ、それによって流出チャネル40および第3の流体ポート41に押し流される。
図7および8は、いずれのチャネル障害も欠如している細胞チャネルである参照チャネル50を例示する。細胞チャネル20の画像データから取り去ることができるいかなる細胞もない生体試料などの培地だけによる参照画像レベルを有するようにマイクロ流体デバイス1の画像を撮像する場合、これらの参照チャネル50は、参照として使用することが可能である。
図8は、基板10にインプリントされたドットバーコード60も例示する。ドットバーコード60を用いて、マイクロ流体デバイス1内の空間的に画定され分離された細胞チャネル20を識別することができる。代替の個々のチャネル識別子は、[2]の図12~15に示すように基板10にインプリントすることが可能である。
上述のマイクロ流体デバイス1の使用に関連している一実施形態において、図1のステップS4は、第2の流体ポート33に試験薬剤を充填し、試験薬剤が流入チャネル30、空間的に画定され分離された細胞チャネル20、流出チャネル40を介して流れ、および第3の流体ポート41から、および任意選択で第1の流体ポートから流出することを可能にすることを含む。
図9は、生体試料を充填したマイクロ流体デバイスの一部の位相コントラスト画像である。この画像において、空間的に画定され分離された細胞チャネル20に存在する細胞は、流出チャネル40に向いている空間的に画定され分離された細胞チャネル20の暗い部分に相当し、一方空間的に画定され分離された細胞チャネル20の残りの明るい部分は、生体試料の培地だけを含み、細胞は含まれない。
図10は、生体試料を充填したマイクロ流体デバイスの一部を3回の異なる時間インスタンスで撮像した位相コントラスト画像である。これらの画像において、細胞および非細胞物質は、空間的に画定され分離された細胞チャネル内の縦方向の暗い物体として示されている。参照番号20Aは、増殖している細胞を含む空間的に画定され分離された細胞チャネル20Aを示す。したがって、その空間的に画定され分離された細胞チャネル20A内に存在する細胞の数は、時間インスタンス1から時間インスタンス2、さらに時間インスタンス3へと進むにつれて増加する。参照番号20Bは、特定の培地中で増殖できない細胞または非細胞物質を含む空間的に画定され分離された細胞チャネル20Bを示す。したがって、この空間的に画定され分離された細胞チャネル20B内の細胞の数または非細胞物質の数は、3回のすべての時間インスタンスで同じままである。
図10において3つの画像が模式的に示すように、示した空間的に画定され分離された細胞チャネル20Aのうちわずかに1つが特定の培地で生存可能であり、増殖する細胞を含む。残りのすべての空間的に画定され分離された細胞チャネル20Bは、生存不可能な細胞、非増殖細胞または非細胞物質を含む。
図10は、不均一な生体試料をマイクロ流体デバイスに充填するとき、空間的に画定され分離された細胞チャネルの大部分が標的細胞または非生体物質以外の生体物質を含有し得ることを示す。したがって、標的細胞の表現型を決定するためにモニターするよう、空間的に画定され分離された細胞チャネルを選択し、識別する必要がある。さもなければ、標的細胞および非生体物質以外の細胞が混入し、それによって標的細胞の表現型決定に影響を与える。
図11Aおよび11Bは、マイクロ流体デバイスの個々の細胞チャネルについて時間の関数としてプロットされた長さ(図11A)および増殖速度(図11B)を示す。これらの図は、不均一な生体試料中の細胞の表現型特徴には大きな違いがあり、適切で信頼できる表現型決定が実施形態による空間的に画定され分離された細胞チャネルの最初の識別および選択から恩恵をうけることを示している。
本実施形態は、前述に記載し、図7および8に例示した特定のマイクロ流体デバイスに限定されるものではない。空間的に画定され分離された細胞コンパートメントを含む他のマイクロ流体デバイスも本実施形態により使用することが可能である。そのような別のマイクロ流体デバイスの例は、図12および13に、さらに[4]に示す。
マイクロ流体デバイス100は、好ましくは撮像のために透明であり、細胞を収容するためにサイズおよび形状などの寸法を有する空間的に画定され分離された細胞トラップ120とともに細胞トラップ領域150を有する基板110を含む。細胞トラップ領域150は、第1の流体ポート131を有する第1の流路130と、第2の流体ポート141を有する第2の流路140と流体連結している。
生体試料は第2の流体ポート141に充填され、生体試料は第2の流路140から細胞トラップ領域150に、さらに第1の流路130に流入し、次いで第1の流体ポート131から流出することができる。生体試料中に存在する細胞および非細胞物質は、いわゆる捕捉カップ122の「後部」を形成している捕捉トラップ121に捕捉される。流れが逆流する、すなわち、第1の流体ポート131から第1の流路130、細胞トラップ領域150、さらに第2の流路140に流入し、次いで第2の流体ポート141から流出する場合、図13の矢印で模式的に示すように、捕捉トラップ121に捕捉された細胞および非細胞物質は、流れの方向に移動され、共整列され、捕捉カップ122の下流に配置されたより大きい細胞トラップ120に流入する。
一実施形態において、捕捉カップ122は、捕捉カップ122内の細胞トラップ120と、捕捉カップ122内の細胞トラップ121との間に細いチャネルを含む。次いで、この細いチャネルは、細胞トラップ120を介して培地の流出を、さらに整列配置された捕捉トラップ122への流入を容易にする。しかし、捕捉カップ122の任意選択のこの細いチャネルは、いずれの細胞もこの細いチャネルを通過できるようにするには小さすぎる。
上述の例示的なマイクロ流体デバイスは、細胞の表現型を決定する方法で用いることができるマイクロ流体デバイスの単に実例として見なされるべきである。したがって、空間的に画定され分離された細胞コンパートメントを有する他のマイクロ流体デバイスは、実施形態で用いることができる。
上述の実施形態は、本発明の少数の実例として理解されるべきである。種々の修正、組み合わせ、および変更が本発明の範囲から逸脱することなく実施形態になされ得ることは当技術分野の当業者によって理解されよう。特に、異なる実施形態における異なる部分の解決策は、技術的に可能な他の構成で組み合わせることができる。しかし、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
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Claims (16)

  1. 細胞の表現型を決定する方法であって、
    a)標的細胞が含まれる生体物質を含む生体試料を、空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)を備えるマイクロ流体デバイス(1、100)に充填して(S1)、前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質を捕捉すること、
    b)前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質を試験薬剤に曝す前に、前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質を少なくとも1つの標的表現型特徴のためにモニターすること(S2)、
    c)b)において前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質の前記モニタリングに基づいて、決定された前記少なくとも1つの標的表現型特徴を示す標的細胞を含むとして前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)のサブセット(20A)を識別すること(S3)、
    d)前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質を前記試験薬剤に曝すこと(S4)、
    e)前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別されたサブセット(20A)内の標的細胞をモニターすること(S5)、および
    f)e)において前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別されたサブセット(20A)内の標的細胞の前記モニタリングに基づいて、前記試験薬剤に対する前記標的細胞の表現型応答を決定すること(S6)の一方で前記空間的に画定され分離された細胞コンンパートメントの残りのサブセット内の生体物質のいずれの応答も無視すること
    を含む、方法。
  2. 前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質を培地に曝すこと(S10)をさらに含み、
    生体物質をモニターすること(S2)が前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の前記培地に曝された生体物質をモニターすること(S2)を含む、
    請求項1に記載の方法。
  3. 生体物質を前記試験薬剤に曝すこと(S4)が前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質を、前記試験薬剤を含む前記培地に、または前記試験薬剤を含む別の培地に曝すこと(S4)を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記サブセット(20A)を識別すること(S3)が、
    b)において前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質の前記モニタリングに基づいて決定された前記少なくとも1つの標的表現型特徴を示す標的細胞を識別すること(S20)、および
    前記識別された標的細胞を含む前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)のサブセット(20A)として、前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記サブセット(20A)を選択すること(S21)
    を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
  5. 生体物質をモニターすること(S2)が複数の時間インスタンスで、前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質をモニターすること(S2)を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
  6. 標的細胞をモニターすること(S5)が複数の時間インスタンスで、前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別されたサブセット(20A)内の標的細胞をモニターすること(S5)を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
  7. 生体物質をモニターすること(S2)が前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の少なくとも1つの画像を撮像すること(S2)を含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記サブセット(20A)を識別すること(S3)が、
    前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)および前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質の検出のための前記少なくとも1つの画像を処理すること(S30)、
    前記処理することに基づいて、前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質の少なくとも1つの各表現型特徴を決定すること(S31)、
    前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質として、かつ前記少なくとも1つの標的表現型特徴に対応する少なくとも1つの各決定された表現型特徴を有する標的細胞を識別すること(S32)、ならびに
    前記識別された標的細胞を含む前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)のサブセット(20A)として、前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記サブセット(20A)を選択すること(S33)
    を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記生体試料を充填すること(S1)が前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質を捕捉するために、前記標的細胞と非標的細胞とが含まれる生体物質を含む生体試料を前記マイクロ流体デバイス(1、100)に充填すること(S1)を含み、
    前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記サブセット(20A)を識別すること(S3)が、
    b)において前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質の前記モニタリングに基づいて決定された前記少なくとも1つの標的表現型特徴を示す標的細胞を含むとして前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)のサブセット(20A)を識別すること(S40)と、
    b)において前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質の前記モニタリングに基づいて決定された前記少なくとも1つの標的表現型特徴を示さない、非標的細胞および/または非細胞物質を含むとして、残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20B)を識別すること(S41)と
    を含み、ならびに
    標的細胞をモニターすること(S5)が、
    前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の少なくとも1つの画像を撮像すること(S42)と、
    前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別されたサブセット(20A)および前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別されたサブセット(20A)内の標的細胞の検出のための前記少なくとも1つの画像を処理し(S43)、一方前記残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20B)と、前記残りの空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20B)内の非標的細胞および/または非細胞物質とを無視することと
    を含む、
    請求項1~8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記標的表現型特徴が増殖速度、形状、サイズ、経時的に増殖速度を規定する増殖速度曲線の形成、経時的に細胞長を規定する細胞長曲線の形成、経時的に細胞面積を規定する面積曲線の形成、色、光学密度、電気伝導度、熱産生、表面抗原組成、吸収スペクトル、およびそれらの混合からなる群から選択される、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
  11. 標識プローブを前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)に加えること(S50)をさらに含み、
    生体物質をモニターすること(S2)が前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の前記標識プローブをモニターすることを含み、および
    前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記サブセット(20A)を識別すること(S3)が前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の前記標識プローブの前記モニタリングに基づいて決定された少なくとも1つの標的表現型特徴を示す標的細胞を含むとして前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記サブセット(20A)を識別すること(S3)を含む、
    請求項1~10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記サブセット(20A)を識別すること(S3)が少なくとも1つの第1の標的表現型特徴を示す標的細胞の第1の集団を含むとして前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の第1のサブセットと、前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)内の生体物質の前記モニタリングに基づいて決定された少なくとも1つの第2の標的表現型特徴を示す標的細胞の第2の集団を含むとして前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の第2のサブセットとを識別することを含み、
    標的細胞をモニターすること(S5)が前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別された第1のサブセット内の標的細胞の前記第1の集団と、前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別された第2のサブセット内の標的細胞の前記第2の集団とをモニターすること(S5)を含み、ならびに
    前記表現型応答を決定すること(S6)が前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別された第1のサブセット内の標的細胞の前記第1の集団と、前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別された第2のサブセット内の標的細胞の前記第2の集団との前記モニタリングに基づいて、前記試験薬剤に対する、標的細胞の前記第1の集団および標的細胞の前記第2の集団の各表現型応答を決定すること(S6)を含む、
    請求項1~11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記試験薬剤が抗生物質であり、および
    前記表現型応答を決定すること(S6)が前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別されたサブセット(20A)内の標的細胞の前記モニタリングに基づいて、前記標的細胞の前記抗生物質に対する感受性を決定すること(S6)を含む、
    請求項1~12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記試験薬剤が細胞増殖阻害薬であり、および
    前記表現型応答を決定すること(S6)が前記空間的に画定され分離された細胞コンパートメント(20、120)の前記識別されたサブセット(20A)内の標的細胞の前記モニタリングに基づいて、前記標的細胞の前記細胞増殖阻害薬に対する感受性を決定すること(S6)を含む、
    請求項1~12のいずれかに記載の方法。
  15. 前記マイクロ流体デバイス(1)が
    細胞を収容する寸法を有する空間的に画定され分離された細胞チャネル(20)を有する基板(10)を含み、
    前記空間的に画定され分離された細胞チャネル(20)の各第1の端部(22)が第1の流体ポート(31)と流体連結する第1の端部(32)および第2の流体ポート(33)と流体連結する第2の端部(34)を有する流入チャネル(30)と流体連結しており、
    前記空間的に画定され分離された細胞チャネル(20)の各第2の端部(24)が第3の流体ポート(41)と流体連結している流出チャネル(40)と流体連結しており、および
    前記空間的に画定され分離された細胞チャネル(20)が選択された細胞が各チャネル障害(25)を通過して、前記流出チャネル(40)に流入するのを防ぐよう設計された前記各チャネル障害(25)を含み、ならびに
    前記生体試料を充填すること(S1)が前記生体試料を前記第1の流体ポート(31)に充填し(S1)、前記空間的に画定され分離された細胞チャネル(20)内の生体物質を前記チャネル障害(25)によって捕捉するために、過剰な生体試料を前記第3の流体ポート(41)、および任意選択で前記第2の流体ポート(33)から流出することを可能にすることを含む、
    請求項1~14のいずれかに記載の方法。
  16. 生体物質を前記試験薬剤に曝すこと(S4)が前記試験薬剤を前記第2の流体ポート(33)に充填し(S4)、前記試験薬剤が前記流入チャネル(30)、前記空間的に画定され分離された細胞チャネル(20)、前記流出チャネル(40)を介して流れ、および前記第3の流体ポート(41)から、および任意選択で前記第1の流体ポート(31)から流出することを可能にすることを含む、請求項15に記載の方法。
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