JP7054575B1 - 刃物のグリップ - Google Patents
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Abstract
Description
また前記インサート成形をせずに、グリップ体を別体として予め製造しておき、このグリップ体を刃物本体の握り手部に被着するようにしたものも多く提供されている。グリップ体を後から被着するようにしたものは、インサート成形等に対して製造が簡単になるメリットがある。
ただし、グリップ体を握り手部に取り付ける際に固定用のネジ等を必要とするものは、部品点数等の点で改良の余地があった。
本発明者は、ネジ等を用いることなく、一対の分割グリップ体を刃物本体の握り手部に嵌め合わせることで完成されるグリップとして、特開2009-56543号に係る刃物のグリップを先に提供した。
そして握り手部(120)には、複数の篏合用突起部(121)の他、その末端の短辺に第2の篏合用突起部(122)、(122)を形成し、また分割グリップ体(210)、(220)には、複数の突起受入部(211)、(221)の他に、前記第2の篏合用突起部(122)、(122)と篏合させるための第2の突起受入部(212)、(222)を形成する構成としている。
上記構成による機能として、第2の突起受入部(212、222)を第2の篏合用突起部(122、122)に篏合させることで、残る他の篏合用突起部(121)に対応する残る他の突起受入部(211、221)の位置決めを容易にすることができる。
しかしながら、前記第2の篏合用突起部(122)は、その突出量がわずかな量に抑えられた構成になされている。
このため必ずしも第2の篏合用突起部(122)と第2の突起受入部(211、221)とは両者を他に先がけて嵌め合わせする必要はなく、他の篏合突起部(121)と他の突起受入部(211、221)との嵌合作業を先に行うことも可能となっている。
勿論、他の篏合突起(121)と他の突起受入部(211、221)との嵌合作業を先に行い、その後に、第2の篏合用突起部(122)と第2の突起受入部(211、221)との篏合を行うことも可能となっている。
このように特許文献1に開示された従来の刃物のグリップでは、握り手部120の篏合用突起部(121、122)と分割グリップ体(210、220)の突起受入部(211、212、221、222)との嵌め合わせ作業の順序の自由度が大きい。従って分割グリップ体(210、220)の嵌め合わせ作業の手順がバラバラになり易く、得られるグリップに嵌め合わせ状態の微妙なバラツキが生じる可能性があった。
また位置決め機能のある第2の篏合用突起部(122)は握り手部(120)の末端部にあることがら、その末端部の第2の篏合用突起部(122)で分割グリップ体(210、220)が先に篏め合わされて位置決めされた場合には、それに続いてなされる嵌め合わせ作業は、握り手部(120)の末端側から前方へ向けて力が加わる作業となる。
しかしながら、手の動きが前方へ向けて力が加わる動きとなる様な取付作業の場合には、力の加わった手が誤って握り手部(120)から刃部(110)の方へ抜け出る状況を作り易い。このため、従来は分割グリップ体(210、220)の取付作業には安全上の課題もあった。
前記握り手部においては、その背側と腹側とに設けられる各篏合用凹凸部のうち、握り手部の前部に設けられる篏合用凸部を、斜め前方に向けて大きく突出する必須位置決め篏合用凸部として構成し、
前記一対の分割グリップ体においては、前記握り手部の各篏合用凹凸部に対応して設けられる各篏合用凹凸部のうち、分割グリップ体の前部に設けられる篏合用凹部を、斜め前方に向けて大きく突出する必須位置決め篏合用凹部として構成し、
分割グリップ体を刃物本体の握り手部に嵌め合わせる際には、分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部を握り手部の必須位置決め篏合用凸部に嵌め合わせることで、分割グリップ体の残りの篏合用凹凸部と握り手部の残りの篏合用凹凸部との位置決めがなされる一方、分割グリップ体の前記残りの篏合用凹凸部の何れかと握り手部の前記残りの篏合用凹凸部の何れかとを先に嵌め合わせた場合には、分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部と握り手部の必須位置決め篏合用凸部との嵌め合わせが不能となるように構成されていることを第1の特徴としている。
また本発明の刃物のグリップは、上記第1の特徴に加えて、分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部と握り手部の必須位置決め篏合用凸部との篏合は、必須位置決め篏合用凹部を必須位置決め篏合用凸部に対して斜め前方から斜め後方に向けて差し込み操作することによりなされる構成とし、分割グリップ体の残りの篏合用凹凸部と握り手部の残りの篏合用凹凸部との位置決めは、前記差し込み操作に伴う分割グリップ体の握り手部長手方向への相対移動によりなされる構成としていることを第2の特徴としている。
また本発明の刃物のグリップは、上記第1又は第2の特徴に加えて、分割グリップ体の篏合用凹凸部と握り手部の篏合用凹凸部とを先に嵌め合わせた場合には、分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部の受入口の位置が握り手部の必須位置決め篏合用凸部の位置から位置ズレを生じる構成としていることを第3の特徴としている。
また本発明の刃物のグリップは、上記第1~第3の何れかの特徴に加えて、分割グリップ体には、必須位置決め篏合用凹部を握り手部の必須位置決め篏合用凸部に差し込む際の差し込み開始位置を示す位置目印を設けていることを第4の特徴としている。
また本発明の刃物のグリップは、上記第1~第4の何れかの特徴に加えて、分割グリップ体は、その前部に大きく側方に膨出させてなる抜け手防止部を構成すると共に、該抜け手防止部の肉厚内に必須位置決め篏合用凹部を構成していることを第5の特徴としている。
前記握り手部においては、その背側と腹側とに設けられる各篏合用凹凸部のうち、握り手部の前部に設けられる篏合用凸部を、斜め前方に向けて大きく突出させて、必須位置決め篏合用凸部としている。
また前記一対の分割グリップ体においては、前記握り手部の各篏合用凹凸部に対応して設けられる各篏合用凹凸部のうち、分割グリップ体の前部に設けられる篏合用凹部を、斜め前方に向けて大きく突出させて、必須位置決め篏合用凹部としている。
そして分割グリップ体を刃物の握り手部に嵌め合わせる際には、分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部を握り手部の必須位置決め篏合用凸部に嵌め合わせることで、分割グリップ体の残りの各篏合用凹凸部と握り手部の残りの各篏合用凹凸部との位置決めがなされる。
最初に、分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部を握り手部の必須位置決め嵌合用凸部に嵌め合わせることで、分割グリップ体の残りの篏合用凹凸部とそれに対応する握り手部の残りの篏合用凹凸部との全ての位置決めが同時的になされる。従って、その後速やかに分割グリップ体の篏合作業を完了させることができる。
一方、分割グリップ体の残りの篏合用凹凸部の何れかと握り手部の残りの篏合用凹凸部の何れかとを先に嵌め合わせた場合には、分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部と握り手部の必須位置決め篏合用凸部との嵌め合わせが不能となるように構成されているので、最初に必須位置決め篏合用凹部と必須位置決め篏合用凸部とを嵌め合わせる作業を行う以外には、分割グリップ体を握り手部に嵌め合わせすることができないことを、作業者に容易に認識させることができる。
分割グリップ体の握り手部への嵌め合わせの手順は、分割グリップ体の前部にある必須位置決め篏合用凹部を握り手部の前部にある必須位置決め篏合用凸部へ篏合する作業を先にしなければならないため、分割グリップ体の取り付け作業は、先ず必須位置決め篏合用凹部と必須位置決め篏合用凸部との嵌め合わせ作業に始まり、その後、後方にある篏合用凹凸部と篏合用凹凸部の篏め合わせ作業に移行してゆくことになる。
よって、特に生産現場での作業手順の標準化を容易に確立することができる。そして作業手順が何時も同じ手順となることで、分割グリップ体の嵌め合わせ状態のバラツキをなくすことができ、安定した品質のグリップを提供することができる。
加えて、分割グリップ体の篏め合わせ作業は、最初に、分割グリップ体の前部にある必須位置決め篏合用凹部と握り手部の前部にある必須位置決め篏合用凸部とを嵌め合わせてしまえば、その後は、それらよりも後方位置にあり、しかも位置決めも既になされた篏合用凹凸部同士の嵌め合わせ作業だけとなる。従って作業中に大きな力が握り手部の前方に向けて加わり、手が前方の刃部方向に滑るような状況を確実に回避することができる。即ち、嵌め合わせ作業中における安全性を高めることができる。
即ち、分割グリップ体を差し込み操作することで、該必須位置決め篏合用凹部を握り手部の必須位置決め篏合用凸部に嵌め合わせることができ、その際の差し込み操作によってもたらされる分割グリップ体の握り手部長手方向への相対移動によって、残る分割グリップ体と握り手部の各篏合用凹凸部同士の全ての位置決めをなすことができる。
そして分割グリップ体の前部にある必須位置決め用嵌合凹部を握り手部の前部にある必須位置決め嵌合用凸部に差し込むための前記差し込み操作は、斜め前方から斜め後方に力が加わる動作となる。即ち、握り手部の長手方向における分力においては、後方向きの分力となる。従って差し込み作業中に誤って手が滑っても、その手が滑る方向は握り手部の後方となって、手が前方の刃部の方に飛び出すことがない。即ち、分割グリップ体の前部にある必須位置決め嵌合用凹部を握り手部の前部にある必須位置決め嵌合用凸部に指し込むための差し込み作業において、作業の安全を確保することができる。
即ち、必須位置決め嵌合用凹部以外の残りの嵌合用凹凸部と必須位置決め嵌合用凸部以外の残りの嵌合用凹凸部とを先に嵌め合わせた場合には、分割グリップ体の必須位置決め嵌合用凹部が斜め前方に向けて大きく突出することから、必須位置決め嵌合用凹部の基部にある受入口の位置が必須位置決め嵌合用凸部の位置から位置ズレし、必須位置決め嵌合用凸部を受入口から必須位置決め嵌合用凹部内へと侵入させることができなくなるようにしている。
従って、勝手な手順では分割グリップ体と握り手部との間で位置ズレを起こし、両者の嵌め合わせが決してできなくなる。これにより作業の一層の標準化を進めることができ、嵌め合わせ不良のない安定した品質の刃物のグリップを提供することができる。
よって作業者は、分割グリップ体に設けられた位置目印を握り手部の必須位置決め嵌合用凸部に一致させることで、容易に差し込み作業を開始することができる。
そして位置目印を設けることで、斜め前方に大きく突出した必須位置決め篏合用凹部を、同じく斜め前方に大きく突出した必須位置決め篏合用凸部に対して、難なく差し込んで、嵌め合わせることができる。
必須位置決め嵌合用凸部と必須位置決め嵌合用凹部とは、何れも斜め前方に大きく突出した形状に構成されているため、差し込み開始位置と差し込みが完了した状態の嵌め合わせ位置とが握り手部の長手方向に位置ズレする。差し込み開始位置を示す位置目印を設けることにより、前記差し込み開始位置と差し込みが完了した嵌め合わせ位置とに長手方向の大きな位置ズレがあっても、分割グリップ体の必須位置決め嵌合用凹部を握り手部の必須位置決め嵌合用凸部に対して容易に嵌め合わせることができる。
よって刃物使用中に手がグリップから刃部に滑るのを防止する抜け手防止部をうまく利用して、刃物のグリップの組み立て作業中に手が刃部に滑るのを防止することができる必須位置決め篏合用凹部を相乗的に設けることができる。
前記刃物本体100は、前部の刃部110と、後部の握り手部120とを備えている。
グリップ体200は、刃物本体100の握り手部120において、その背側120aから嵌め合わされる分割グリップ体210と腹側120bから嵌め合わされる分割グリップ体220との一対からなる。
前記において背側120aとは、刃物本体100において、刃が付けられていない側とし、腹側120bとは刃が付けられている側とする。
本実施形態では、刃物は鉈として示し、刃物本体は金属材料で構成している。
勿論、刃物本体100は、鉈の他、鎌、包丁、ナイフ、鋸等の他の刃物でも同様に構成することができ、使用する材質も金属の他、セラミック等、それら刃物に適した材質を用いることができる。
また刃部110は、片側(腹側)に刃が付いたものとして示している。勿論、刃部110はその両側に刃が付いたものであってもよい。この場合は、前記背側120aと腹側120bはそれぞれ一側と他側と言うことになる。
また握り手部120は、本実施形態では、使用勝手が良いように、長手方向の軸線Axがやや腹側120bに湾曲するようにして構成している。しかし、必ずしも湾曲している必要はない。
握り手部120には、その長手方向に沿う背側120aの端面と、長手方向に沿う腹側120bの端面とに、それぞれ嵌合用凸部121と篏合用凹部122を形成している。
同様に、握り手部120の腹側120bに設けられる嵌合用凹凸部121、122のうち、握り手部120の前部にある嵌合用凸部121を、斜め前方に大きく突出させてなる必須位置決め嵌合用凸部123として構成している。
前記握り手部120に構成される一対の必須位置決め嵌合用凸部123、123は、実際には各最前部にある嵌合用凸部121、121を必須位置決め嵌合用凸部123、123として構成したものである。
前記嵌合用凹凸部121、122や必須位置決め篏合用凸部123は、その成形において、例えばレーザ加工、切削加工、その他により行うことができる。
背側の分割グリップ体210と腹側の分割グリップ体220とは、その形が左右対称である必要がない。
一対の分割グリップ体210、220には、それらの分割面210a、220aの中央に長手方向に沿って、それぞれ挿入溝214、224が設けられている。一対の分割グリップ体210、220は、その挿入溝214、224で握り手部120の背側120aと腹側120bから挿入され、嵌め合わされる。嵌め合わせが完了することで、前記分割面210a、220a同士が相互に当接する。
前記各分割グリップ体210、220の挿入溝214、224の奥に篏合用凸部211、221、篏合用凹部212、222、必須位置決め篏合用凹部213、223がそれぞれ形成されている。
前記一対の分割グリップ体210、220に設けられた各篏合用凸部211、221、篏合用凹部212、222、必須位置決め篏合用凹部213、223、前記刃物本体100の握り手部120に構成される各篏合用凸部121、嵌合用凹部122、必須位置決め篏合用凸部123にそれぞれ対応して形成されたものである。
同様に、腹側120bの分割グリップ体220の篏合用凸部221と篏合用凹部222のうち、分割グリップ体220の前部に設けられる篏合用凹部222の1つを、必須位置決め篏合用凹部223としている。しかし、この必須位置決め篏合用凹部223の形状及び機能は、他の篏合用凸部221、篏合用凹部232と大きく異なる。
同様に、前記一対の分割グリップ体210、220の各篏合用凸部211、221と篏合用凹部212、222は、何れもそれら分割グリップ体210、220の長手方向(軸線Ax方向)に対して略直角な方向に突出し或いは凹むようにして構成している。
また握り手部120の各篏合用凸部121及び各篏合用凹部122の形状と、1対1対応する分割グリップ体210、220の各篏合用凹部212、222及び各篏合用凸部211、221の形状とは、相互に丁度嵌り合う形状に構成している。
そして握り手部120の各篏合用凸部121及び各篏合用凹部122の配置位置と、1対1対応する分割グリップ体210、220の各篏合用凹部212、222及び各篏合用凸部211、221の配置位置とは、長手方向において相互に1対1対応するように構成されている。
また対応する前記各分割グリップ体210、220の必須位置決め篏合用凹部213、223も、各分割グリップ体210、220の長手方向に対して斜め前方に大きく突出させて構成している。
このように必須位置決め篏合用凸部123を斜め前方に大きく突出させて構成することで、該必須位置決め篏合用凸部123の基部123aの位置と頭部123bの位置とが、握り手部120の長手方向(軸線Ax方向)において位置ズレGを生じるように構成している。
同様に、各分割グリップ体210、220の必須位置決め篏合用凹部213、223もその基部にある受入口213a、223aと頭部にある受入頭部213b、223bの位置とが、分割グリップ体210、220の長手方向(軸線Ax方向)において、位置ズレGを生じるように構成している。
本実施形態では、分割グリップ体210、220の必須位置決め篏合用凹部213、223を斜め前方に大きく突出させて構成し、受入れ頭部213b、223bと受入口213a、223aとの間で位置ズレGを生じさせる構成としている。
そして握り手部120の必須位置決め篏合用凸部123の頭部123bが分割グリップ体210、220の必須位置決め篏合用凹部213、223の基部にある受入口213a、223aのところに来なければ、必須位置決め篏合用凹部213、223を必須位置決め篏合用凸部123に差し入れることができず、両者の篏合ができないようにしている。
分割グリップ体210、220の必須位置決め篏合用凹部213、223の受入口213a、223aに握り手部120の必須位置決め篏合用凸部213(より詳しくは頭部123b)が位置合わせされることで、必須位置決め篏合用凹部213、223を必須位置決め篏合用凸部213に差し込み、握り手部120の頭部123bを分割グリップ体210、220の受入頭部213b、223bまで侵入させて、両者の篏合を完了させることができる。
より具体的には、先に分割グリップ体210、220の篏合用凸部211、221や篏合用凹部212、222を握り手部120の篏合用凹部122や篏合用凸部121に嵌め込んだ場合には、必須位置決め篏合用凸部123の頭部123bの位置が必須位置決め篏合用凹部213、223の受入口213a、223aの位置から位置ズレGし、必須位置決め篏合用凸部123(頭部123b)が必須位置決め篏合用凹部213、223の側壁部213c、223cによって必須位置決め篏合用凹部213、223内への侵入を阻まれる。
前記必須位置決め篏合用凹部213、223の側壁部213c、223cは、必須位置決め篏合用凹部213、223が斜め前方に大きく突出した形状とされることで、その凹部の側壁として前記挿入溝214、224の底に形成される壁である。この側壁部213c、223cにより、必須位置決め篏合用凸部123が必須位置決め篏合用凹部213、223に対して、軸線Axに直角方向から侵入しようとするのが阻止される。
また前記挿入溝214、224は、前記握り手部120の板厚より若干細い寸法に構成することができる。これによって分割グリップ体210、220を、その弾力性を利用して、握り手部120に確りと挿入することができ、またその弾性力によって前記握り手部120の表面に密着状態に確実に装着することができる。
前記位置目印215、225は、本実施形態では三角形で表している。そしてその三角形の頂角の向きを、必須位置決め篏合用凹部213、223の差し込み方向、即ち斜め前方から斜め後方と一致するようにして、差し込み方向を示す目印としている。
勿論、位置目印215、225は必ずしも三角形で表す必要はなく、差し込み位置を示すことができる目印であれば、他の目印であってもよい。更に差し込み方向も併せて示す位置目印において、差し込み方向を示す手段は限定されない。
位置目印215、225を設けることによって、作業者は、分割グリップ体210、220に設けられた位置目印215、225を握り手部120の必須位置決め嵌合用凸部123、123に一致させることで、斜め前方に大きく突出した必須位置決め嵌合用凹部213、223であっても、それを必須位置決め嵌合用凸部123に対して正しく差し込みを開始することができ、両者の嵌め合わせを行うことができる。言い換えると、差し込み開始位置と差し込み完了位置(嵌め合わせ完了位置)との間に長手方向の大きな位置ズレGがあっても、位置目印215、225を設けることにより、両者を確実に嵌め合わせることが可能となる。
更に前記位置目印215、225を差し込み方向も併せて示す目印とすることで、作業者は分割グリップ体210、220をその目印の方向に従って差し込んでゆくだけで、必須位置決め嵌合用凹部213、223を握り手部120の必須位置決め嵌合用凸部123に一層容易、確実に嵌め合わせることができる。
本発明では、この抜け手防止部216、226を利用して、その肉厚内に必須位置決め嵌合用凹部213、223を構成している。抜け手防止部216、226は、分割グリップ体210、220の前部において大きく側方に膨出する形に構成されているので、必須位置決め嵌合用凹部213、223が斜め前方に向けて大きく突出する形状であっても、その大きな寸法や向きをうまく吸収して、配置することができる。
次に図7(B)を参照して、分割グリップ体220を位置目印225に従って矢符P方向に差し込んで行くと、分割グリップ体220の必須位置決め篏合用凹部223が斜め前方から斜め後方に移動し、握り手部120の必須位置決め篏合用凸部123に差し込まれて、両者の篏合がなされる。
この時点で、分割グリップ体220の必須位置決め篏合用凹部223以外の篏合用凹凸部221、222は未だ握り手部120の対応する篏合用凹凸部121、122との篏合はなされていない。
その一方、前記必須位置決め篏合用凹部223と必須位置決め篏合用凸部123との篏合が完了することで、分割グリップ体220の残る篏合用凹凸部221、222と握り手部120の篏合用凹凸部121、122との全ての位置決めが完了する。
必須位置決め篏合用凹部223と必須位置決め篏合用凸部123との篏合が完了すると、作業は必須位置決め篏合用凹部223のすぐ下にある篏合用凸部221を必須位置決め篏合用凸部123のすぐ下にある篏合用凹部122への作業に移る。この作業は矢符Qで示すように、分割グリップ体220を握り手部120の長手方向(軸線Ax方向)に直角な側方から握り手部120に向けて押し当て、力を加えるという単純な作業となる。握り手部120の各篏合用凹凸部121、122及び分割グリップ体220の各篏合用凹凸部221、222は何れも長手方向(軸線Ax方向)に直角な方向に凹凸するような構成としているので、そのような長手方向(軸線Ax方向)に直角な方向での両者の単純な押し当て作業により篏合を完了させることができる。
分割グリップ体210の嵌め合わせは、既に図7(A)の説明において述べた分割グリップ体220の場合と同じである。先ず分割グリップ体210の必須位置決め篏合用凹部213を握り手部120の背側120aの必須位置決め篏合用凸部123に嵌め合わせることから開始される。
嵌め合わせは、分割グリップ体210をその位置目印215で握り手部120の必須位置決め篏合用凸部123に合わせ、矢符Pで示すように分割グリップ体210を握り手部120に対して斜め前方から斜め後方に差し込んで行くことにより容易に完了させることができる。この完了と同時に、残る篏合用凹凸部211、212と篏合用凹凸部121、122との位置決めが完了する。
110 刃部
120 握り手部
120a 背側
120b 腹側
121 嵌合用凸部
122 篏合用凹部
123 必須位置決め篏合用凸部
123a 基部
123b 頭部
200 グリップ体
210 分割グリップ体
210a 分割面
211 篏合用凸部
212 篏合用凹部
213 必須位置決め篏合用凹部
213a 受入口
213b 受入頭部
213c 側壁部
214 挿入溝
215 位置目印
216 抜け手防止部
220 分割グリップ体
220a 分割面
221 篏合用凸部
222 篏合用凹部
223 必須位置決め篏合用凹部
223a 受入口
223b 受入頭部
223c 側壁部
224 挿入溝
225 位置目印
226 抜け手防止部
Ax 軸線
G 位置ズレ
P 矢符
Q 矢符
Claims (5)
- 一対の分割グリップ体を刃物本体の握り手部に対し、その背側と腹側とから嵌め合わせて構成される刃物のグリップであって、
前記握り手部においては、その背側と腹側とに設けられる各篏合用凹凸部のうち、握り手部の前部に設けられる篏合用凸部を、斜め前方に向けて大きく突出する必須位置決め篏合用凸部として構成し、
前記一対の分割グリップ体においては、前記握り手部の各篏合用凹凸部に対応して設けられる各篏合用凹凸部のうち、分割グリップ体の前部に設けられる篏合用凹部を、斜め前方に向けて大きく突出する必須位置決め篏合用凹部として構成し、
分割グリップ体を刃物本体の握り手部に嵌め合わせる際には、分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部を握り手部の必須位置決め篏合用凸部に嵌め合わせることで、分割グリップ体の残りの篏合用凹凸部と握り手部の残りの篏合用凹凸部との位置決めがなされる一方、分割グリップ体の前記残りの篏合用凹凸部の何れかと握り手部の前記残りの篏合用凹凸部の何れかとを先に嵌め合わせた場合には、分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部と握り手部の必須位置決め篏合用凸部との嵌め合わせが不能となるように構成されていることを特徴とする刃物のグリップ。 - 分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部と握り手部の必須位置決め篏合用凸部との篏合は、必須位置決め篏合用凹部を必須位置決め篏合用凸部に対して斜め前方から斜め後方に向けて差し込み操作することによりなされる構成とし、分割グリップ体の残りの篏合用凹凸部と握り手部の残りの篏合用凹凸部との位置決めは、前記差し込み操作に伴う分割グリップ体の握り手部長手方向への相対移動によりなされる構成としていることを特徴とする請求項1に記載の刃物のグリップ。
- 分割グリップ体の篏合用凹凸部と握り手部の篏合用凹凸部とを先に嵌め合わせた場合には、分割グリップ体の必須位置決め篏合用凹部の受入口の位置が握り手部の必須位置決め篏合用凸部の位置から位置ズレを生じる構成としていることを特徴とする請求項1又は2に記載の刃物のグリップ。
- 分割グリップ体には、必須位置決め篏合用凹部を握り手部の必須位置決め篏合用凸部に差し込む際の差し込み開始位置を示す位置目印を設けていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の刃物のグリップ。
- 分割グリップ体は、その前部に大きく側方に膨出させてなる抜け手防止部を構成すると共に、該抜け手防止部の肉厚内に必須位置決め篏合用凹部を構成していることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の刃物のグリップ。
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