本願は、参照によりその内容の全体を本明細書に組み込む、「Highly Reliable Nuclear Power for Mission-Critical Applications」と題する2015年12月17日出願の米国仮特許出願第62/268992号の優先権を主張する2016年12月5日出願の米国出願第15/369528号、及び「Multi-Modular Power Plant」と題する2016年3月23日出願の米国仮特許出願第62/312094号の優先権を主張するものである。
本明細書に開示する様々な例、及び/又は本明細書において言及する様々な例は、参照によりその内容の全体を本明細書に組み込む「Fault-Tolerant Power-Distribution Modules for a Power Plant」と題する2016年4月21日出願の米国出願第15/135324号に見られる1つ又は複数の特徴に従って、又はこれらと関連して機能し得る。
本明細書に記載する例は、以下の用語のうちの1つ又は複数に言及することがある。
分散型電力網、又はマクログリッドとは、複数の分散した電気消費者にサービスする(提供する)ように構成することができる電力網に電気的に接続された複数の接続発電源を指すことがある。
ドループモードとは、発電機の電圧調整の1形態であって、発電機が、その発電機と並列な他の発電機の周波数に追従する電圧調整の形態を指すことがある。
アイソクロナスモードとは、発電機の電圧調整の1形態であって、その発電機自体が、その発電機と並列な他の発電機の周波数を制御する電圧調整の形態を指すことがある。
負荷分散グリッドとは、他の接続発電源を有しておらず、発電プラントが生成した電気の非プラント電気負荷への流路としてのみ機能する分散システムを指すことがある。
専用電力網、又はマイクログリッドとは、通常は従来の分散型電力網に接続され、これと同期して動作するが、物理的及び/又は経済的な条件に応じて切り離して自律的に機能することができる、電気源及び電気負荷の局地的なグループ分けを指すことがある。
所内負荷とは、商用のエネルギーを生成するために必要な発電施設の内部負荷を指すことがある。
劣化電圧とは、家庭内負荷がその所期の機能を確実に実行できない可能性がある点を表す、分散型電力網からの送電系統電圧のレベルを指すことがある。
全電源喪失とは、原子力発電プラントにおいて必須のスイッチギヤバス及び非必須のスイッチギヤバスへの交流(AC)電力が完全に喪失すること(すなわち、オンサイトの緊急AC電力システムがタービントリップを生じて使用不能状態になるのと同時にオフサイト電力システムも喪失すること)を指すことがある。
ブラックスタートとは、分散型電力網からの逆給電を行わずに停止構成から電力生成モードを実現する発電施設の能力を指すことがある。
アイランドモードとは、分散型電力網へのいかなる接続からも独立した発電施設の運転を説明するために使用されることがある用語である。
図1は、例示的な発電モジュール100を示す概略図である。発電モジュール100は、一体型原子炉圧力容器(RPV)104と、格納容器106とを備えるものとすることができる。いくつかの例では、RPV104は、高さが約17.7m(58フィート)、直径が約3.0m(10フィート)であるとよい。RPV104は、いくつかの燃料集合体及び制御棒130を有する炉心102を格納する。いくつかの例では、炉心102は、約37個の燃料集合体と、16個の制御棒クラスタとを備える。炉心102の上方には、中央高温上昇管138と、少なくとも部分的に上昇管138を取り囲む1対のヘリカルコイル型蒸気発生器又は熱交換器120と、内部加圧器108とがある。
図1は、一次冷却材148のための例示的な流路も示している。一次冷却材148は、炉心102を通って上方に流れ、加熱された一次冷却材148は、上昇管130を通って上方に移送される。その後、一次冷却材148の流路は、原子炉容器104の本体を加圧器108から分離する加圧板のところで下向きに曲がる。一次冷却材148は、熱交換器120のシェル側に流れ、ここで一次冷却材148は、熱交換器120内に格納された二次冷却材への熱伝導によって冷却される。一次冷却材148は、その後、RPV104の下部ヘッドのところで方向が逆転するまで下向きに流れ続け、RPV104の下部ヘッドのところで、その方向が上方に曲げられて炉心102内に送られる。一次冷却材148の流通は、完全に、炉心102を出る(加熱された)低密度の冷却材及び熱交換器120の環状部を出る(冷却された)高密度の冷却材の自然浮力によって維持される。
二次冷却材側では、給水は、蒸気発生管内にポンプで送られ、ここで給水が沸騰して過熱蒸気を生成する。この蒸気は、専用のタービン発電機システムに流される。タービンを出る低圧水蒸気は復水され、給水システムに再循環される。原子力蒸気給水システムの全体は、格納容器106などの鋼製容器に収容され、いくつかの例では、この鋼製容器は、高さ約23メートル、直径約5メートルである。
いくつかの例では、PGMアセンブリ100は、1つ又は複数の反応炉を含むモジュール式原子炉アセンブリを備える。PGMアセンブリ100は、PGMベイ144に収容される。PGMベイ144は、PGMアセンブリ100の冷却を可能にする熱的性質を有する水又はその他の何らかの物質の冷却プール146を含む。PGMアセンブリ100の少なくとも一部分は、冷却プール146に浸漬されるとよい。したがって、PGMアセンブリ100の少なくとも一部分は、冷却プール146の水位147の最上部より下に位置されるとよい。
さらに、PGMアセンブリ100は、PGMコア102を備える。PGMコア102は、制御可能に熱を生成するために利用される任意のデバイス、アセンブリ、装置、又は構成を備えるとよい。したがって、PGMアセンブリ100は、熱発生アセンブリを備えるとよい。いくつかの例では、PGMコア102は、これに限定されるわけではないが、反応炉心などの炉心を備えるとよい。PGMコア102は、PGM冷却材148に浸漬されるとよい。少なくとも1つの例では、PGM冷却材148は、(PGMコア102によって生成された)熱流をPGMコア102から放出することを可能にする水又はその他の任意の物質を含む。
いくつかの例では、PGMアセンブリ100は、PGM冷却材148の流れを少なくとも部分的に制約したり方向付けたり又はその他のかたちで誘導したりする炉心シュラウド134を備える。図1に示すように、PGMコア102は、少なくとも部分的に、炉心シュラウド134によって取り囲まれている。PGMコア102、炉心シュラウド134、及びPGM冷却材148は、圧力容器104内に収容される。
様々な例では、PGMコア102は、熱を生成するように構成され、この熱は、PGM冷却材148に伝達される。流れの矢印で示すように、圧力容器104内でPGM冷却材148を加熱することにより、PGM冷却材148のほぼ垂直な円形の対流を生成することができる。炉心シュラウド148は、このPGM冷却材148のほぼ垂直な円形の対流を少なくとも部分的に制約したり方向付けたり、又はその他のかたちで誘導したりするように構成されるとよい。加圧器108は、少なくともPGM冷却材148の加熱及び/又は対流による圧力容器104の内圧を調整するように構成されるとよい。
PGMコア102は、炉心シュラウド134の下部プレナム136内にあるPGM冷却材148の部分を加熱するように構成される。加熱されたPGM冷却材148は、上方に流れて、シュラウド上昇管138から流れ出る。PGM冷却材148が上方に流れるときに、加熱されたPGM冷却材148は、複数の蒸気発生器122に熱を与える。少なくともこの熱交換により、加熱されたPGM冷却材148がシュラウド上昇管138から流れ出るときには、PGM冷却材148は冷却されている。図1に流れの矢印で示すように、シュラウド上昇管138の外に出たら、PGM冷却材148は、炉心シュラウド134と圧力容器104の間をほぼ下向きに流れる。この対流により、下部プレナム136付近の冷却されたPGM冷却材148が、炉心シュラウド134内に引き込まれる。PGMコア102は、PGM冷却材148を再加熱して、対流が循環し続けて、PGMコア102を冷却し続けるようにするように構成される。
圧力容器104は、格納容器106に収容される。格納容器106は、PGMコア102に含まれる任意の物質及びPGM冷却材148などを含む物質の、圧力容器104からの漏出を防止するように構成される。いくつかの例では、PGMアセンブリ100は、圧力容器104内の圧力を逃がすため、及び/又は圧力容器104から余剰熱を散逸させるために、複数のPGM逃がし弁110及び/又は複数のPGM再循環弁118を備える。
給水は、蒸気発生器122及び発電機を含む回路内を流れる。蒸気発生器122内で、給水を加熱して蒸気を生成する。生成された蒸気は、蒸気ヘッダ126から流出して、伝達熱をPGMアセンブリ100から取り出す。複数の蒸気隔離弁114は、PGMアセンブリ100からの蒸気の流れを調整するように構成されるとよい。蒸気は、限定されるわけではないが図2の蒸気バス160などの蒸気バスを介して、限定されるわけではないが図2のタービン発電機176などの発電機に送られて、電力又はその他の何らかの形態の使用可能な動力を生成するとよい。
蒸気のエネルギーによって電力を生成した後、冷却された給水のPGMアセンブリ100への戻りは、複数の給水隔離弁112によって調整される。冷却された給水を、給水ヘッダ124を介して蒸気発生器122に戻すことで、回路が完成される。
少なくともいくつかの例では、PGMアセンブリ100の停止後でも、PGMコア102は、熱を発生させ続けるように構成されるてもよい。例えば、PGMコア102が原子炉炉心を含む例では、原子炉炉心は、その原子炉炉心内の使用済み燃料に関連する崩壊寿命の間、熱を生成し続けることができる。PGMアセンブリ100の停止後に生成される熱は、崩壊熱であることがある。したがって、PGMコア102及びその他のPGMアセンブリ100の構成要素が少なくとも崩壊熱によって過熱しないようにするために、PGMコア102が生成する電力を散逸させるとよい。
いくつかの例では、崩壊熱を放散させるために、PGMアセンブリ100は、崩壊熱除去システム(DHRS)を含む。DHRSは、PGMベイ144の冷却プール146に浸漬した複数のDHRS熱交換器120と、蒸気バスから給水/蒸気の流れを分流させる複数のDHRS弁116とを含む。
PGMアセンブリ100の停止中、或いは蒸気及び/又は加熱された給水を発電機に提供しないことが望ましい別の事象中には、複数の蒸気隔離弁114を閉鎖して、蒸気及び/又は加熱された給水が発電機に流れないようにすることができる。その場合、蒸気及び/又は加熱された給水は、複数のDHRS熱交換器120の中を流れて、冷却される。DHRS熱交換器120は、余剰熱を冷却プール146に廃棄する。崩壊熱交換器120を通る給水の循環流は、複数のDHRS弁116によって調整され得る。
PGMコア102の発電率は、1本又は複数本の制御棒130の位置決めによって調整される。1本又は複数本の制御棒130の位置決めは、制御棒駆動装置132によって行われる。
PGMアセンブリ100は、図1に概略的に示す複数の診断センサ140を含むとよい。診断センサ140は、感知及び/又はセンサデータの生成を行って、PGMモジュール100の様々な構成要素を監視するように構成される。診断センサ140は、これらに限定されるわけではないが、温度センサ、圧力センサ、弁構成センサ、制御棒位置決めセンサ、放射能センサ、流体及び気体流センサ、PGMアセンブリ100のパラメータを監視するその他のセンサ、又はそれらの任意の組合せなど、様々なタイプのセンサを含む可能性がある。診断センサ140は、センサデータバス142上でセンサ出力信号を提供するように構成されるとよい。センサ出力データは、診断センサデータであるとしても、或いは単純にセンサデータであるとしてもよい。診断センサ140は、安全センサ又は安全関連センサ、及び資産保護関連センサを含むとよい。
図2は、複数の発電モジュール164を備える例示的な発電プラント150を示す上面図である。各発電モジュール164は、タービン発電機176などの1つ又は複数のタービン又は発電システムに接続され得る。タービン発電機176は、発電モジュール164から出力される熱を電気に変換するように構成される。いくつかの例では、原子炉モジュールと同数のタービン発電機が、原子炉モジュール164を収容する原子炉建屋又は筐体152の近傍に位置する1つ又は複数の発電機建屋又は筐体154内に配置される。原子炉筐体152は、航空機耐性原子炉建屋を含むとよい。
複数の発電モジュール164は、原子炉筐体152に収容された図1の冷却プール146などの単一の大きなプール内に配置され得る。原子炉プールは、全ての発電モジュール164の受動的格納容器冷却及び崩壊熱除去を提供するように構成されるとよい。例えば、このプールは、30日超にわたって炉心によって生成される全崩壊熱を吸収する容量を有するヒートシンクを提供するように構成されとよい。いくつかの例では、水プールと組み合わせて、又は水プールに加えて、発電モジュール164の空気冷却も使用して炉心を冷却する。
発電モジュール164は、地下の水プール内に配置されるとよい。地下プールは、無許可の個人が原子炉燃料にアクセスすることを阻止する追加措置となることにより、物理的安全性の向上をもたらすことができる。格納容器外部の放射線遮蔽を提供するだけでなく、このプールは、核分裂生成物の原子炉筐体152からの放出の低減、遅延、及び/又はその他のかたちでの防止を助けることもできる。
モジュール式発電プラント150及びモジュール式発電プラント150に収容される原子炉モジュール164は、いくつかの特徴によって、ほとんどの従来の原子炉の設計と区別することができる。例えば、格納容器を含む原子炉蒸気供給システムは、全体をオフサイトでプレハブ工法で建て、鉄道、トラック又は船によって現地に輸送することができる。これにより、同時に製造することが考えられることにより建設時間が短縮され、現場での建設活動の量が減少することにより全体的なスケジュールの不確実性が低減される。
さらに、自然循環運転及び一体設計により、一次系のポンプ、配管、及び弁がなくなり、これにより、これらの構成要素に関連する保守及び故障の可能性もなくなると同時に、所内負荷も低減される。原子炉モジュール164は、オペレータの動作、AC又はDC電力、及び無限期間にわたる水の追加がなくても、安全に停止し、自己冷却するように構成され得る。
電力変換システムを含む各発電モジュールは、他のモジュールと独立して動作するように構成されることができるので、他のモジュールが動作し続けているときに停止させるように構成され得る。この特徴により、発電プラントが連続的に出力することが可能になり、出力電力の全体的な信頼性が大幅に向上する。
モジュール式発電プラント150は、発電モジュール(PGM)アセンブリアレイ156を含む。PGMアセンブリアレイ156は、これに限定されるわけではないが、PGMアセンブリ164などの1つ又は複数のPGMアセンブリを備えるとよい。いくつかの例では、PGMアセンブリアレイ156に含まれるPGMアセンブリ164のうちの少なくとも1つは、図1のPGMアセンブリ100と同様の特徴を有するとよい。図2に示すように、少なくとも1つの例では、PGMアセンブリアレイ156は、12個のPGMアセンブリを含む。ただし、他の例では、PGMアセンブリアレイ156に含まれるPGMアセンブリの数は、12個より多いPGMアセンブリを含むことも、12個より少ないPGMアセンブリを含むこともある。PGM筐体152は、PGMアセンブリアレイ156の少なくとも一部分を収容してもよい。
いくつかの例では、1つ又は複数の発電機筐体154は、発電機アレイ158を収容するように構成されるとよい。発電機アレイ158は、PGMアセンブリアレイ156によって生成される蒸気から電力又はその他の何らかの形態の使用可能な動力を生成する1つ又は複数のデバイスを含む。したがって、発電機アレイ158は、限定されるわけではないがタービン発電機176などの1つ又は複数の発電機を含むとよい。図2に示すように、少なくとも1つの例では、発電機アレイ158は、12個の発電機を備える。ただし、他の例では、発電機アレイ158に含まれる発電機の数は、12個より多い発電機を含むことも、12個より少ない発電機を含むこともある。いくつかの例では、PGMアセンブリアレイ156に含まれる各PGMアセンブリと発電機アレイ158に含まれる各発電機との間に1対1の対応があることもある。
蒸気バス160は、PGMアセンブリアレイ156によって生成された蒸気を発電機アレイ158に送ることができる。蒸気バス160は、PGMアセンブリアレイ156に含まれるPGMアセンブリと発電機アレイ158に含まれる発電機との間に1対1の対応を提供するとよい。例えば、蒸気バス160は、特定のPGMアセンブリによって生成された蒸気を、特定の発電機のみに供給するように構成されてもよい。蒸気バス160は、さらに、他のPGMアセンブリから生成された蒸気が特定の発電機に供給されるのを防止するように構成されてもよい。
各発電機アレイ158の各発電機によって生成される電力の一部分は、遠隔の消費者に伝送それ得る。例えば、生成された電力の一部分を開閉所に供給し、電力網に送って、遠隔の消費者に伝送することができる。この遠隔に伝送される電力は、家庭及び企業などに電力を提供することができる。
ただし、生成される電力の少なくとも別の一部分を、現地の発電プラント150内で、少なくとも部分的に発電プラント150を稼働するために使用することもできる。例えば、生成される電力の一部分を、発電プラント150内の様々な電気負荷に分配してもよい。現地で分配される電力は、限定されるわけではないが、発電プラント150の制御室170に電力を提供するなど、発電プラント150の運転のために利用してもよい。
開閉所及び電力網の伝送電圧を一致させるために、遠隔に伝送される各発電機によって生成される電力の一部分は、電力信号を介して1つ又は複数の遠隔の電圧伝送変圧器180に送られるとよい。電力の伝送は、電圧が高い方が効率を高くすることができるので、いくつかの例では、この1つ又は複数の遠隔の伝送変圧器180は、昇圧変圧器を含むこともある。
図2は、遠隔の伝送変圧器180に送られる各発電機の遠隔伝送電力部分を示している。電圧が伝送電圧に変圧された後で、遠隔に伝送される電力は、遠隔伝送バス162を介して開閉所に送られる。遠隔の伝送変圧器180を発電プラント150の最終需要者に電力を提供するように構成することができる例では、遠隔の伝送変圧器180に含まれる変圧器は、主電源用変圧器(MPT)であることがある。
発電プラント150内で適当な電圧の現地電力を提供するために、現地で分配される各発電機によって生成される電力の部分は、電力信号を介して、1つ又は複数の局所配電用変圧器182に送ることができる。発電プラント150内の様々な負荷は、発電機によって出力される電圧より低い電圧を使用するように構成することができるので、この1つ又は複数の現地分配変圧器182は、降圧変圧器を含むこともある。現地分配変圧器182に含まれる変圧器は、ユニット補助変圧器(UAT)を含んでもよい。
図2は、発電機から現地分配変圧器182に送られる各発電機の電力信号の現地分配部分を示している。電力信号の電圧が1つ又は複数の現地分配電圧に変圧された後、現地で分配される電力信号は、現地分配バス184を介して、1つ又は複数の電力分配モジュール(PDM)186に送ることができる。PDM186は、発電プラント150内の様々な負荷に電力を供給するように構成することができる。PDM186は、故障耐性PDMであるとしてもよい。
エネルギーの特定の種類の施設又は消費者は、高いレベルの確実性をもって、毎日24時間連続で電力を必要とすることがある。その例としては、軍事施設又は防衛施設、研究所、コンピュータセンタ、産業プラント、及び遠隔に位置することによりメイン電力網又はマクログリッドにアクセスできないことがある隔離されたコミュニティなどが挙げられる。一部の消費者にとっては、電気又は熱が途切れることにより、大きな経済的損失が生じる、安全性が損なわれる、又はその他の望ましくない結果が生じるおそれがある。ディーゼル発電機及び/又はバッテリなどの既知のバックアップエネルギー源は容量が限られているので、これらの解決策は、高いレベルの電力信頼性を必要とする消費者には特に十分に適さないことがある。
原子力発電プラントは、比較的高い発電プラント利用率で大量のエネルギーを提供するが、それでも定期的に、例えば数年ごとに、燃料取替又は保守のために原子炉を停止させることがある。これにより、少なくとも原子力発電プラントがオフラインになっている期間中は、電力網で高い電力信頼性を実現することが困難になる可能性がある。大型の原子力発電プラントの設置及び製造に関連する比較的高い資本経費により、1つの敷地に複数の発電プラントを設置することは、経済的な観点から実質的に実際的でないことがある。しかし、比較的小型のモジュール式原子炉をいくつか収容するように設計された発電プラントは、原子炉蒸気供給システム及び発電プラント全体の設計の両方に関連するいくつかの特徴のために、連続した信頼性の高い電力を提供するのに十分に適している。
図2に示すようなモジュール式発電プラント150は、時間とともに変化する可能性がある電力要件に応じて再構成及び/或いは数の増加又は減少を行って、オフサイトで生じる可能性がある電力の喪失を有効に処理することができる複数の発電モジュールを備えるとよい。発電モジュール164は、単純で頑健性の高い設計になる一体型加圧水型原子炉構成を有するとよい。これらの発電モジュール164は、燃料取替及び保守のために原子炉筐体152内で移動させることができるだけでなく、1つ又は複数の予め組み立てられた原子炉モジュールを、鉄道で、船で、又は陸路で比較的長距離を輸送することができるように、十分に小さい。
50メガワット電力(MWe)の総電力を生成するようにそれぞれ構成された12個の発電モジュールを備える発電プラントは、約600MWeのピーク発電容量を有することができる。さらに、モジュール式発電プラント150は、1つ又は複数の個々のモジュールが燃料取替又は保守のためにオフラインになっていることがあるときでも、様々なレベルの電力を連続的に提供するように構成してもよい。いくつかの例では、原子炉モジュールは、一度に1つずつサービスに復帰させて、50MWe刻みで分散型電力網の需要に一致させて、電力を復元する準備ができたときに発電プラントをブラックスタートするのを助けることができる。
本明細書に開示するさらに別の図面を参照してさらに詳細に述べるように、モジュール式発電プラント150の1つ又は複数のモジュールは、オフサイト電力が喪失した場合に、オンサイトの、又は現地で生成される「所内負荷」を提供するように構成するとよい。所内負荷を使用して、これらの1つ又は複数のモジュールの動作、並びにその他のオンサイトのシステム又は動作を維持することができる。
モジュール式発電プラント150は、一体型原子炉の冗長アレイ(RAIR)として構成されることがある。独立ディスクの冗長アレイ(RAID)を利用して信頼性の高いデータ記憶を実現するシステムと同様に、このRAIRは、信頼性の高い電源を提供するように構成することができる。RAIDのデータ記憶の場合には、同じデータを複数の位置に同時に書き込むことができるので、記憶容量と引き替えに信頼性を高めることができる。このデータを複数のディスクに入れることにより、このシステムには、情報を望むときに取り出すことができるという固有の信頼性がある。個々のディスクは、「ホットスワップ」することもできる。つまり、記憶システムの動作中に、データを失うことなくディスクを交換することができる。
同様に、モジュール式発電プラント150では、1つ又は複数の原子炉モジュールをホットスワップすることができる。例えば、他のモジュールが発電を続けている間に、1つ又は複数の原子炉モジュールを、燃料取替又は保守のために運転停止することができる。したがって、モジュール式発電プラント150の出力電力は、1つ又は複数の原子炉モジュールがオフラインになっているときには総電力レベルが低下するものの、発電プラントの耐用年数を通じて、様々な信頼レベルで提供される。
特定のレベルのRAIRの出力電力を保証するために、いくつかのプラント「アプセット」を考慮したプラント稼働率の分析を行って、モジュール式発電プラント150から一貫して出力することができる信頼性の高い電力レベルを予測することができる。発電出力レベルを決定するために、50000通りの60年発電プラントの耐用年数をシミュレートした。このプラントは、この分析に含まれる様々なプラントアプセットを用いて日毎に(すなわち1日のうちの時刻によって)シミュレートした。シミュレートしたアプセットは、以下の考慮事項のうちの一部又は全てを含む可能性がある。
燃料取替停電。各モジュールは、24ヶ月毎に燃料取替が行われる可能性があり、このとき、燃料取替及び検査活動を実施するために、モジュールは、公称で10日間オフラインになる。12個のモジュールを有する発電プラントを含むいくつかの例では、2ヶ月に1回の割合でモジュールが燃料取替動作のために一時的にオフラインとされる。
短期停電。短期停電は、非計画の原子炉トリップによって開始されることがあるが、モジュールを開いて点検する必要はない。短期停電中には、モジュールは、原子炉ベイ内に留まることができ、複数のモジュールを同時に修理することができる。二次系アプセットは、このタイプの停電に含まれる。
長期停電。長期停電は、モジュール内部の構成要素の故障によって引き起こされることがあり、この場合には、修理を行うためにモジュールを開放する。
2モジュール停電。例えばACバスの喪失により、短期停電が2つのモジュールで同時に起こることがある。このような場合には、この2つのモジュールをオフラインにし、同時にサービスに復帰させることができる。
複数モジュール停電。多くのシステムが発電モジュール間で独立していることもあるが、給水システムの復水器の冷却を行う水循環システムなど一部のシステムは、全ての発電モジュールではないとしても一部の発電モジュールに共通であることがある。例えば、半分のモジュール、すなわち12個のうちの6個のモジュールを、同時にオフラインにして修理し、その後に時間をずらして再始動することもある。
全モジュール停電。全モジュール停電は、個別に、又はそれぞれに処理することができるオフサイト電力の喪失以外の、全てのモジュール、例えば12個のモジュールに共通の機器の故障によって、発生する可能性がある。全モジュール停電の場合には、全ての発電モジュールを同時にオフラインにして修理し、その後に時間をずらして再始動することもある。
オフサイト電力の喪失。オフサイト電力の喪失は、プラント全体に同時に影響を及ぼすことがある。モジュールは、それぞれの現在の状態から一時停止され、オフサイト電力喪失(LOOP)状態に置かれることがある。いくつかの例では、LOOP中には燃料取替のみがトリガ可能である。電力が回復すると、発電モジュールを、一度に1つずつ、時間をずらしてオンラインにすることができる。LOOP回復後に、モジュールは、それぞれの以前の状態に復帰させることができる。LOOP中に燃料取替がトリガされ、モジュールがLOOP開始以前にダウン状態になっていた場合には、モジュールは、ダウン状態に復帰し、ダウン状態から回復した後に燃料取替状態に入ることもある。それ以外の場合には、モジュールは、すぐに燃料取替状態に入ることができる。
RAIRの性能の文脈で与えた例示的な値、率、及び確率のうちのいくつかは、発電モジュールの出力が100%(例えば50MWe又はフル電力)又はゼロであると仮定して得られたものであることがある。ただし、他の値、率、及び確率が得られることもあり、例えば1つ又は複数の他の発電モジュールがオフラインになっているかどうかによって、発電モジュールのうちの1つ又は複数は、何らかの中間電力レベルからフル電力レベルまで変化する可能性がある出力を有する。
いくつかの例では、任意の特定の発電モジュールを、稼働、燃料取替、ダウン及び閉鎖(閉鎖)、ダウン及び開放(開放)、又はオフサイト電力喪失(LOOP)によるダウンなど、5つ以上の状態と関連付けることができる。発電モジュールが稼働していない閉鎖状態では、発電モジュールを開放しなくても修理作業を行うことができる。開放状態では、発電モジュールを開放した後で、修理作業を行うことができる。
燃料取替後に、発電モジュールをフル電力に復帰させることができる。残りの稼働状態から閉鎖状態、開放状態、又はLOOP状態への移行率は、表Iに示すような修正起因事象頻度を使用して、確率論的リスク評価分析から決定することができる。表Iに示す誤り要因は、対数正規分布で不確実性の測度を与えるものと理解することができ、この分布の中間値に対するこの分布の95百分位数の比として理解されよう。
モジュールが稼働状態から閉鎖状態に移行する頻度を決定するためには、3つの起因事象頻度、すなわちDC電力喪失、電力変換システム喪失、及び電力変換システム利用可能状態での過渡状態を合計するなどして考慮すればよい。これらの起因事象は、モジュールを修理のために開放することを必要としないこともある。例えば、DCバッテリ及びバスは、モジュール並びに給水及び復水システムなどの二次系の外部に位置することがある。この場合、稼働状態から閉鎖状態に移行する頻度は、対数正規分布を使用して推定することができる。いくつかの例では、表Iの残りの起因事象は、モジュールが稼働状態から開放状態に移行する頻度に寄与するものと理解することができる。
発電モジュールが燃料取替状態、閉鎖状態、開放状態、又はLOOP状態のうちの1つにある場合には、その発電モジュールは、別の状態に移行する前に、特定の日数にわたってその状態のまま留まることがある。燃料取替状態、閉鎖状態、又は開放状態では、発電モジュールは、モジュール回復後に、フル電力に復帰することができる。LOOP状態では、発電モジュールは、必ずしも稼働状態であるとは限らない、その直前の状態に復帰することがある。例えば、LOOPが開始されたときに発電モジュールが開放状態にあり、10日間の回復時間が残っている場合には、その発電モジュールは、分散型電力網の電力復帰後に、10日間の回復時間が残っている開放状態に復帰することがある。
発電モジュールが閉鎖状態又は開放状態から移行するのに要する日数は、原子炉のタイプ、及びその原子炉に関連付けられたシステムの数によって変化し得る。いくつかの例では、閉鎖状態事象の持続時間としては、1~25日までの値を仮定することができ、開放状態事象については、26日~約1年を仮定することができる。同様に、発電モジュールがLOOP状態又はその他の状態に移行する回復時間は、原子炉について蓄積されている経験的又は統計的データに基づいて仮定することができる。
図3は、複数の消費者に電力を供給するように構成された例示的な配電システム300を示す図である。いくつかの例では、配電システム300は、多数の分散した消費者にサービスを行う可能性がある公益事業会社によって運営されるタイプの電力網などの分散型電力網375又はマクログリッドを備えることがある。この複数の消費者は、第1の消費者310及び第2の消費者320を含むものとすることができる。
いくつかの例では、第1の消費者310は、照明、暖房システム、エアコンディショナ、電子デバイス、業務用機器、電気で動作するその他のタイプのデバイス、又はそれらの任意の組合せに給電するための電気を得るために分散型電力網375に電気的に接続することができる、住宅用顧客又は企業用顧客を含む可能性がある。第1の消費者310は、複数の消費者に電力を供給するように構成された分散型送電線315によって分散型電力網375に電気的に接続することができる。例えば、分散型送電線315は、1つ又は複数の住宅地の全域に位置する電柱に取り付けられた電力線を含むことがある。いくつかの例では、分散型送電線315の少なくとも一部分は、地下に位置する埋め込みケーブルを含むこともある。
局所的な、又はグリッド全体の電力喪失が起こった場合には、消費者の一部又は全てが、一時的に電力を喪失する可能性がある。第1の消費者310など、多くの消費者にとって、電力喪失は、特にその電力喪失がほんの数時間であれば、不便ではあるかもしれないが、かなりの経済的損失をもたらしたり、その他の深刻な結果が生じたりする可能性は低い。さらに、第1の消費者310は、通常は、電力が喪失している間、燃焼発電機を使用することによって自分の局所的な電気需要を満たすことができる。
いくつかの例では、第2の消費者320は、専用サービス負荷を含むことがある。例えば、第2の消費者320は、軍事施設又は防衛施設、研究所、コンピュータ又はデータセンタ、産業プラント、銀行システム又は小売システム、セキュリティシステム、電気通信システム、航空管制システム、その他のタイプの専用サービス負荷、或いはそれらの任意の組合せを含むことがある。第2の消費者320は、専用送電線325によって分散型電力網375に電気的に接続することができる。いくつかの例では、任意の1本の専用送電線によって、1つの消費者しか分散型電力網375に電気的に接続されないこともある。
第2の消費者320の一時的な電力喪失は、有意な経済的損失、風評被害、セキュリティ及び安全性の懸念、及び/又はデータの喪失と関連付けられることがある。いくつかの例では、電力喪失によって、第2の消費者320に関連する施設で、或いは重要なサービスを提供する際に第2の消費者320の連続動作に依拠することがある他の位置及び/又は遠隔システムに関するより広い意味で、特定のセキュリティ又は安全性のリスクが生じることがある。
分散型電力網375は、電圧低下中など、電力網の電力が部分的に喪失した場合に、分散型送電線315より専用送電線325に電力を供給することを優先するように構成されるとよい。複数の消費者の全ての電力需要を満たすだけの十分な電力がないときには、分散型電力網375は、いくつかの消費者又は消費者グループが基本的に交代で電力喪失を経験する輪番停電を開始するように構成されることもある。分散型電力網375は、電圧低下又は輪番停電の状態では専用送電線325に電力を供給することを優先して、第2の消費者320が電力喪失を経験しないように構成することもできる。
発電プラント350と関連付けられた開閉所340は、1つ又は複数の開閉所接続、及びいくつかの主電源用変圧器(MPT)を備えるものとしてもよい。いくつかの例では、ブレーカ及び半開閉所方式(half switchyard scheme)を利用して、2重母線構成を介してMPTを分散型電力網375に接続することができる。例えば、2重母線構成は、第1のバス341及び第2のバス342など、発電プラント350を分散型電力網375に電気的に接続することができる1本又は複数本の送電線及び/又はバスを備えることがある。2重母線構成は、バス341、342のうちの一方で故障が生じた場合でも、バス341、342のうちの少なくとも一方は、電気を発電プラント350から分散型電力網375に伝送するために利用することができるという信頼性の向上をもたらすことができる。
分散型電力網375は、1つ又は複数の追加の発電プラント、風力タービン、太陽光パネル、水力発電用ダム、その他のエネルギー源、又はそれらの任意の組合せに電気的に接続することができる。発電プラント350がオフラインになっている、又は発電していない可能性がある場合には、他のエネルギー源に依拠して、複数の消費者が使用するために、分散型電力網375において少なくともある程度の電力のベースラインを供給できるようにすることができる。
いくつかの例では、第1のバス341及び第2のバス342のうちの一方又は両方が、さらに、分散型電力網375から発電プラント350に電気を伝送するように構成される。発電プラント350が発電していないときには、分散型電力網375の電気を使用して、他の現地サービス負荷に電力を供給することに加えて、発電プラント350に位置する照明システムに電力を供給することができる。
本明細書に与える例のうちの一部は、第1の消費者又は第2の消費者について述べているが、これらの用語は、簡略化した例示のみを目的として与えたものであり、特に指定がない限り、必ずしも単一の消費者を意味することを意図しているわけではない。例えば、第1の消費者は、第1の消費者グループを含むこともあり、第2の消費者は、第2の消費者グループを含むこともある。
図4は、例示的な配電システム400を示す図である。発電プラント450は、第1の送電線441及び/又は第1のバスによって分散型電力網375に電気的に接続されるだけでなく、専用電力網445又はマイクログリッドに関連付けられた第2の送電線442及び/又は第2のバスによって専用サービス負荷420に電気的に接続される。
無中断電源を必要とする特定のタイプの施設は、複数の電源を備えることによって、そのエネルギー信頼性要件を満たすことがある。例えば、施設は、追加の石炭火力発電プラント又は天然ガス火力発電プラントの付近に位置する、或いは一次電源が故障した場合にオンラインにすることができるディーゼル発電機及びバッテリなどの1つ又は複数のバックアップ電源を利用することがある。ただし、特に石炭及び天然ガスの放出物の環境への影響に関する懸念が急速に高まっており、それにより将来的には、「ミッションクリティカルな施設」の冗長電源としての使用も含めて、それらの燃料の発電への使用がかなり削減される、又は禁止される可能性がある。いくつかの例では、ミッションクリティカルな施設は、99.99%の信頼性基準で連続的に送達されるなどして利用可能になる基本レベルの電力を必要とすることがある。電力消費者は、99.99%の信頼性で提供される基本量の電気に対しては、喜んで割増料金を支払う可能性がある。
発電プラント450に関連付けられた開閉所440は、分散型電力網375より専用電力網445に電力を供給することを優先するように構成されることがある。例えば、発電プラント450は、専用電力網445に関連する第2の送電線442を介して開閉所440に電気的に接続されることがある専用サービス負荷420の電力要件を満たすのに十分な基本レベル又は最低レベルの電気を連続的に高い信頼性で供給するように構成されることがある。専用サービス負荷420が必要とする基本レベルを超えて発電プラント450によって生成される任意の追加電力は、オンサイトの所内負荷に使用する、電気として貯蔵する、海水を淡水化するために使用する、1つ又は複数の他の消費者に提供する、分散型電力網375を介して伝送する、他の適用業務に使用する、或いはこれらを任意に組み合わせた用途に使用することができる。
いくつかの例では、専用電力線325など、分散型電力網375への任意選択の電気的接続を、専用サービス負荷420に提供することがある。専用電力線325は、発電プラント450がオフラインになったとき、例えば、専用サービス負荷420で第2の送電線442を介した電力喪失が起きたときに、専用サービス負荷420に冗長電源を提供するように構成されることがある。他の例では、専用電力線325は、専用サービス負荷420によって非必須のサービスに電力供給するために利用されることもあるし、或いは低コストエネルギー源として利用されることもある。さらに他の例では、専用電力線325は、専用サービス負荷420への一次電源を提供するように構成されることがあり、専用電力網445は、分散型電力網375で停電、中断、又はその他の電力喪失が起きたときに専用サービス負荷420への冗長電源を提供するように構成されることがある。
LOOP、又は分散型電力網375に関連する送電系統劣化事象の場合には、或いは発電プラント450のライセンシ/オペレータの裁量で、分散型電力網375への第1の送電線441を開いて、発電プラント450によって生成された電気が第1の送電線441を介して伝送されないようにすることができる。専用電力網445を介して専用サービス負荷420に電力を供給するだけでなく、発電プラント450の残りの発電能力の少なくとも一部分を使用して、分散型電力網375との間のサービスは中断するが、発電プラント450に関連する所内負荷を稼働させ続けるのに十分な電力を維持することができる。
図2の発電モジュール164など複数の発電モジュールを備える発電プラントは、基本的にマルチモジュール式発電プラントの発電容量以上であることもある発電容量を備えた1つの大型原子炉からなる従来の原子力発電プラントと同じ場所にあることがある。マルチモジュール式発電プラントは、この大型の原子炉に関連する全ての安全システムに信頼性の高い電力を供給するように構成することができる。いくつかの例では、専用サービス負荷420は、例えば約1000MWe以上の比較的大型の原子炉に関連する従来の発電プラントを含むことがある。
図2の発電モジュール164など、稼働中又はオンラインの発電モジュールの数は、専用サービス負荷420と発電プラント450に関連する所内負荷の合計需要に応じて増減することができる。いくつかの例では、LOOP事象の後で追加の発電モジュールをオンラインにして、無中断電力を専用サービス負荷420に提供することもできる。
発電プラント450でオンラインに維持される発電モジュールの数は、専用サービス負荷420の負荷需要によって決まることがある。例えば、発電プラント450が複数の発電モジュールを備え、各発電モジュールが約50MWe発電するように稼働できるものと仮定する。さらに、専用サービス負荷420が50MWeのサービス負荷と関連し、発電プラント450に関連する比較的一定の所内負荷が30MWeあり、専用サービス負荷420と発電プラント450の両方の負荷を満足するためには最小で80MWeが必要になる可能性があるものと仮定する。いくつかの例では、発電プラント450に関連する30MWeの所内負荷は、第1の発電モジュール又はサービスモジュールユニット(SMU)によって提供され、SMUからの約20MWeが専用サービス負荷420に供給できるものとして残り、専用サービス負荷420が必要とする残り30MWeは、第2の発電モジュールから提供されることもある。サービスモジュールユニットは、本明細書に記載する1つ又は複数の例では、その他にサービスユニットと呼ばれることもある。
第2のモジュールがフル電力未満の電力、例えば50MWe未満の電力を出力することを必要とされることがある例では、タービンバイパスを使用して、発電に使用されていない第2のモジュールによって生成されている任意の追加の電力を散逸させることができる。専用サービス負荷420及び発電プラント450の電力需要が満足されるなどして安定したら、第2の発電モジュールによって生成される電力を低下させて、タービンバイパスを介して復水器に分流される蒸気の量を制限することができる。いくつかの例では、第2の発電モジュールは、ドループモードのままSMに追従することもある。
LOOPが発生したときには、専用サービス負荷420の要件及び発電プラント450の所内負荷を満足するために発電している発電モジュールは、稼働状態のままとすることができる。一方、追加の発電モジュールは、分散型電力網375がサービスに復帰するまで、タービン発電機をバイパスして、蒸気を直接復水器に廃棄するように構成されてもよい。SMUは、残りの発電モジュールがLOOPの期間にわたって臨界状態のままであり、タービン発電機バイパス状態に置かれる一方で、所内負荷に電力を供給し続けることができる。分散型電力網375がサービスに復帰するLOOP事象の後、発電モジュールは、冷温停止状態に置かれ、その後、時間をずらしてオンラインに戻すことができる。
以下の3つのケース又はシナリオを、図4に示す例示的な配電システム400に関連して説明する。
ケース1。発電プラント450に関連する全ての発電モジュールが、LOOP事象中に冷温停止状態に置かれることがある。発電プラント450は、分散型電力網375に接続されていることがあるが、専用電力網445には接続されていない。いくつかの例では、分散型電力網375に関連する1本又は複数本の送電線を閉じて、発電プラント450が分散型電力網375から電気を受け取ることができるようにすることができるが、専用電力網445に関連する1本又は複数本の送電線は開いており、発電プラント450と専用サービス負荷420とが互いに電気的に隔離されるようにすることができる。
ケース2。SMなど1つの発電モジュールは、発電プラント450に関連する所内負荷に電力を供給するように構成されていることがあるが、残りの発電モジュールは、臨界状態であり、LOOP事象中にタービンバイパス状態に置かれる。発電プラント450は、専用電力網445に接続されることがあるが、分散型電力網375には接続されていない。いくつかの例では、専用電力網445に関連する1本又は複数本の送電線は閉じることができるが、分散型電力網375に関連する1本又は複数本の送電線は開いている。
ケース3。発電プラント450は、分散型電力網375及び専用電力網445の両方に接続されていることがある。LOOP事象中に、発電プラント450に関連する1つ又は複数の発電モジュールは、専用電力網445に電気を供給し続けるように構成されることがあるが、残りの発電モジュールは、臨界状態であり、タービンバイパス状態に置かれる。
共用の二次系で停電が起きた場合には、複数の発電モジュール停電が起こることがある。例えば、共用の二次系が利用できなくなった結果として、2つ以上の発電モジュールが同時に稼働状態から外れることがある。これらの発電モジュールは、LOOP回復と同様に、各発電モジュール間で2日ずらすなど、時間をずらして再始動するように構成することができる。複数の発電モジュールの修理作業、保守、又は燃料取替を実行する能力は、例えばクレーン及び修理道具の数によるなど、発電プラントのレイアウトによって決まることがある。
ケース1では、LOOP事象は、1~3日間、第1の発電モジュールをサービスから外し、影響を受ける追加の発電モジュールのために2日余計にとるものと仮定することができる。ケース2では、LOOP事象は、1~3日間、全ての発電モジュールをサービスから外し、その後に全ての発電モジュールを直ちにサービスに復帰させることができるものと仮定することができる。ケース1及び2の一方又は両方を含むいくつかの例では、発電モジュールは、LOOP事象中に電力を供給するために利用可能でないこともある。
専用サービス負荷に対して99.99%の可用性で保証することができる電力レベルを決定するために、ケース3の発電モジュールは、タービンバイパス状態であることもあるが、必要な場合にはマイクログリッド上の専用サービス負荷に電力を供給するために利用することができるので、LOOP中に利用可能であるものと考えることができる。
この3つのケースのそれぞれについて、50000通りの耐用年数について、図2に示す発電プラント150などの発電プラントをシミュレートした。2種類の結果を算出した。すなわち、プラントの発電プラント利用率と、各プラント電力レベルにおける電気出力の可用性である。発電プラント利用率は、プラントが60年間にわたって出力することができる最大可能電力に対する発電プラントが出力する全電力の比として決定した。ケース1の例示的な発電プラント利用率の最尤推定値(MLE)は、標準偏差が0.30%で、96.57%となった。これに対応する5百分位数及び95百分位数は、それぞれ96.01%及び96.97%であった。ケース2の発電プラント利用率のMLEは、標準偏差が0.27%で、96.67%となった。これに対応する5百分位数及び95百分位数は、それぞれ96.17%及び97.02%であった。ケース3の発電プラント利用率のMLEは、標準偏差が0.27%で、96.68%となった。これに対応する5百分位数及び95百分位数は、それぞれ96.18%及び97.03%であった。
いくつかの例では、発電モジュールがLOOPに応答して冷温停止状態ではなくタービンバイパス状態に置かれるときには、発電プラント利用率が約0.1%高くなる可能性がある。この発電プラント利用率の差は、60年間のプラント稼働中に起こるLOOPの回数が少ないことによるものである。ケース2及びケース3の予想発電プラント利用率はケース1より高いことがあるが、各ケースのMLEは、他のケースの1標準偏差以内であるので、これらのMLEは等価と考えることができる。
12個の発電モジュールを備える例示的な発電プラントについての結果を、表IIに与える。表IIは、この3つのケースのそれぞれについて、同時に稼働する発電モジュールの数のMLEを列挙したものである。ケース1の12個全てのモジュールの可用性67.22%という結果は、発電プラント利用率67.22%に対応しないこともある。これは、発電プラントは67.22%の時間にわたって100%の出力で稼働していることもあるが、26.98%の時間にわたって92%の出力で稼働していたり、4.64%の時間にわたって86%の出力で稼働していたりして、全体の発電プラント利用率が67.22%という可用性の結果より高くなることもあるからである。
表IIに示すように、発電プラントは、12個全ての発電モジュールを稼働させた状態で大半の時間を費やすことができ、稼働状態の発電モジュールの数がそれより少ない状態で費やされる時間は、稼働状態の発電モジュールの数が減少するにつれて大きく減少する。3つのケースの全てにおいて、稼働状態の発電モジュールの数が8未満になるものと予想される時間は、0.19%以下になる可能性がある。いくつかの例では、稼働状態の発電モジュールが7個以下の状態で費やされる時間は、ほぼLOOP事象の確率によるものであることがある。
LOOP事象の結果が減少すると、ケース2及びケース3のように、7個以下の発電モジュールが稼働した状態で費やされる時間が、共用システムのうちの1つの故障の確率の因子になることがある。5個の発電モジュールを燃料取替、閉鎖、又は開放の停電のために稼働状態から外すことがある場合は、発電プラントの60年の耐用年数全体を通じて数日程度しか発生しないものと予想される。
少なくともここに示す電力レベルが利用可能になる確率のMLEを、ケース1について表IIIに示す。ここでは、発電モジュールは、LOOP事象に応答して冷温停止状態に置かれることがあり、発電プラントは、分散型電力網又はマクログリッドに接続されていることがある。少なくとも450MWeが生成される確率は、少なくとも9個のモジュールが稼働している状態では、約99%である可能性がある。一方、99.9%の水準で電力が得られる確率は、200MWeに低下する可能性がある。
LOOP事象に応答して発電モジュールを冷温停止状態に置くことにより、いくつかの例では、99.97%の確率を実現できることがある。LOOP事象は、全プラント稼働時間のほぼ0.2%を占めることがあるので、この確率を向上させる上での制限因子になることがある。発電モジュールがケース2で冷温停止状態ではなくタービンバイパス状態に入ることができるようにすることにより、電力信頼性に比較的小さな変化が生じるようにすることができる。
LOOP事象の結果を減少させることにより、表IVに示すように、発電プラントの発電の確度又は信頼性を高めることができる。ケース2では、500MWeでは99.0%の信頼性を実現することができ、350MWeでは99.9%の信頼性を実現することができ、100MWeでは99.98%の信頼性を実現することができる。いくつかの例では、発電プラントが特定の数のモジュールが発電している状態で稼働する時間の長さが、ケース1とケース2の間でそれほど異ならないこともある。
マクログリッドが利用できないときに、専用サービス負荷に電力を供給するためにマイクログリッド接続が利用可能であるときには、表Vに示すように、依然として99.99%の発電出力信頼性を実現することができる。ケース3では、500MWeでは99.0%の信頼性を実現することができ、350MWeでは99.9%の信頼性を実現することができ、100MWeでは99.99%の信頼性を実現することができる。
分析した3つ全てのケースについての電力信頼性の比較を、表VIに示す。
いくつかの例では、本明細書で使用する専用電力網及び/又はマイクログリッドという用語は、開閉所440などの現地開閉所、並びに発電プラント450に関連する1つ又は複数のバス及び/若しくは接続を含むもの、或いはその他の形でこれらについて言及しているものとすることができる。例えば、マイクログリッドは、発電プラント450(又は開閉所440)が分散型電力網375に積極的に接続されていなくても、発電プラント450の1つ又は複数のモジュールによって所内負荷に十分な電力を供給できるようにするように、発電プラント450がアイランドモードで稼働できるようにするように構成されることもある。発電プラント450によって生成された電気は、アイランドモード中には、所内負荷に電力を供給するために開閉所440によって発電プラント450に戻すことができる。
さらに、専用電力網又はマイクログリッドは、発電プラント450及び/又は開閉所440を専用サービス負荷420などの1つ又は複数の専用サービス負荷に電気的に結合するように構成された1つ又は複数のバス、接続、及び/又は第2の送電線442などの送電線を含むことがある。専用サービス負荷は、発電プラント450の付近又は近傍に位置することがあるが、他の例では、専用サービス負荷は、基本的に発電プラント450からいかなる距離に位置していてもよい。したがって、専用電力網又はマイクログリッドという用語は、必ずしも発電プラント450と専用サービス負荷の間のサイズ、近接度、又は距離を示すとは限らないことがある。いくつかの例では、マイクログリッドは、発電プラント450が、専用電力網445を介して専用サービス負荷420に電力を供給しながら、「アイランドモード」で稼働できるようにするように構成されることもある。さらに、発電プラント450は、専用サービス負荷がなくてもアイランドモードで稼働するように構成されることもある。
いくつかの例では、マイクログリッドレベルで稼働している発電プラントは、基本的に、分散型電力網375などのマクログリッドから切断されているものとして、及び/又はその発電プラントのみによって供給される電気で稼働しているものとして理解することができる。発電プラント450は、分散型電力網375に積極的に接続することなく、無限の期間にわたって所内負荷及び専用サービス負荷の一方又は両方に給電するだけの十分な電気を供給するように構成することができる。したがって、マイクログリッドで稼働するように構成された発電プラントは、優先電源としてマクログリッドに依拠する従来の原子炉とは対照的に、それ自体の優先電源となるものと理解することができる。
発電プラント450が専用電力網445に接続されるだけでなく分散型電力網375にも接続されることがある例示的な構成では、発電プラント450は、発電プラント450の余剰発電能力によって生成される任意の電気を、分散型電力網375に送るように構成されることもある。例えば、基本電力量を、所内負荷、及び連続的な無中断の電源を必要とする1つ又は複数の専用サービス負荷のために確保又は利用し、この基本量の余剰の電力があれば、分散型電力網375に送ることもできる。この余剰電力は、稼働している、いくつかの例では1つ又は複数のサービスモジュールユニット以外の全ての発電モジュールを含む発電モジュールの数によって変化する可能性がある。
いくつかの例では、発電プラント450によって生成される余剰電力を使用して、淡水化、石炭乾燥、電力貯蔵、その他の代替の動作、又はそれらの任意の組合せに関連する動作に電気を供給することができる。これらの代替の動作は、システムが必ずしも連続的な無中断電力を必要としないという点で、非致命的であると考えることができる。むしろ、淡水化、乾燥、及び貯蔵動作は、それほどの経済的結果又はサービスの中断を生じることなく、断続的に停止して再開することができる。これらの非致命的なシステムは、マクログリッドに電気的に接続されていることもあるし、接続されていないこともある。
分散型電力網375への電気的接続性を喪失した場合には、発電プラント450は、電力の行き先の喪失を説明するために特定の救済措置を講じるように構成され得る。直前に述べたように、分散型電力網375を喪失した場合には、淡水化、石炭乾燥、及び/又は電力貯蔵などの1つ又は複数の代替動作に一部の電力を分流することができる。他の例では、1つ又は複数の発電モジュールを、タービンバイパス状態において、発電プラント450によって生成されている余剰電力を効果的に散逸させることもできる。
いくつかの例では、発電プラント450は、発電モジュールのうちの一部又は全ての出力容量を低下させることによって、分散型電力網375の喪失に応答することがでる。複数の発電モジュールに関連する全出力容量を、所内負荷及び/又は専用サービス負荷の電力要件と等しい基本電力レベルまで低下させることもある。さらに、全出力容量を、タービンバイパスによって、制御棒を途中まで挿入することによって、1つ又は複数の発電モジュールをオフラインにすることによって、1つ又は複数の発電モジュールを停止させることによって、その他の救済動作によって、又はそれらの任意の組合せによって、低下させることもある。
分散型電力網375の喪失に応答して、発電プラント450は、1つ又は複数のサービスモジュールユニットをフル稼働容量に維持するように構成されることもあり、残りの非サービスモジュールユニットの出力容量を低下させることもある。複数の発電モジュールがサービスモジュールであると識別されているときには、ガバナを、ともにアイソクロナスモード(例えばアイソクロナス負荷分散)で稼働していることがあるサービスモジュールユニット間での負荷分散及び電圧調整の通信及び調整を支援するように構成されることがある。非サービスモジュールユニットは、ある期間にわたって低下した出力容量に維持されて、分散型電力網375への接続が回復したときにそれらの非サービスモジュールユニットを迅速にフル出力容量に戻すことができるようにすることができる。
発電プラント450は、したがって、1つの原子炉を備える従来の発電プラントでは再現できない高い信頼度で、連続的で基本的に無中断のレベルの基本電力を供給するように構成されることがある。さらに、基本電力は、発電プラント450の最大出力容量の何分の1か(例えば50%未満)であることがある。発電プラント450は、無限の期間にわたって、低下した基本電力レベルで稼働し続けるように構成されることもある。一方、1つの原子炉を備える従来の発電プラントは、長期間にわたって低下した出力容量で稼働すると、従来の発電プラントにおいて原子炉トリップにつながる可能性がある給水の振動及び/又はその他のタイプの事象を生じる可能性があるので、そのように稼働することに特に十分に適していないことがある。
いくつかの例では、発電プラント450の基本出力容量を維持するために各発電モジュールの電力レベルを個別に変化させる柔軟性をもたらすとともに、燃料の寿命を延ばすために、発電プラント450に関連する発電モジュールの一部又は全てが、低下した出力容量で(例えばディレーティングした(derated)炉心で)稼働するように構成されることがある。例えば、50%の出力容量で稼働する12個の発電モジュールが、300MWeを生成するように構成されることもある。半分の発電モジュールがオフラインになる可能性がある場合には、発電プラント全体の基本電力300MWeを維持するために、残りの6個のモジュールの発電出力を、発電モジュールごとに最大出力容量50MWeまで迅速に上昇させることができる。
図5は、別の例示的な配電システム500を示す図である。発電プラント550は、配電システム500の専用電力網に電気的に接続される代わりに、2重母線構成を有する専用電力網545又はマイクログリッドによって局所専用サービス負荷520に電気的に接続されることもある。例えば、2重母線構成は、第1のバスを含むことがある第1の送電線541と、第2のバスを含むことがある第2の送電線542とを備えることがある。2重母線構成は、送電線541、542のうちの少なくとも一方は、専用電力網545に関連する他方の送電線及び/又はバスで故障が生じた場合にも、発電プラント450から専用サービス負荷520に電気を伝送するために利用可能であるという信頼性を高めることができる。
発電プラント550に関連する開閉所540は、第1の送電線541及び/又は第2の送電線542を介して専用サービス負荷520に電力を供給することを優先するように構成されることがある。例えば、発電プラント550は、専用サービス負荷520の電力要件を満たすのに十分な基本レベル又は最低レベルの電気を一方又は両方の送電線541,542を介して連続的に高い信頼性で供給するように構成されることがある。専用サービス負荷520が必要とする基本レベルを超えて発電プラント550によって生成される任意の追加電力は、オンサイトの所内負荷に使用する、電気として貯蔵する、海水を淡水化するために使用する、1つ又は複数の他の消費者に提供する、他の適用業務に使用する、或いはこれらを任意に組み合わせた用途に使用することができる。
いくつかの例では、専用電力線325など任意選択の電気的接続が、専用サービス負荷520を分散型電力網375に接続するように構成されることがある。専用電力線325は、発電プラント550がオフラインになったとき、例えば、専用サービス負荷520で専用電力網545を介した電力の喪失が起きたときに、専用サービス負荷520に冗長電源を提供するように構成されることがある。他の例では、専用電力線325は、非必須のサービスに電力を供給するために第2の顧客325によって利用されることもあるし、或いは低コストエネルギー源として利用されることもある。さらに他の例では、専用電力線325は、専用サービス負荷520への一次電源を提供するように構成されることがあり、第1の送電線541及び第2の送電線542のうちの一方又は両方が、分散型電力網375で停電又はその他の電力喪失が起きたときに専用サービス負荷520への冗長電源を提供するように構成されることがある。
第1の送電線541及び第2の送電線542のうちの一方又は両方を介して専用サービス負荷520に電力を供給するだけでなく、発電プラント550の残りの発電容量の少なくとも一部分を使用して、発電プラント550に関連する所内負荷を稼働させ続けるのに十分な電力を維持することができる。いくつかの例では、発電プラント550は、利用可能な送電系統接続がない、又は分散型電力網への接続が望ましくない位置に位置していることもある。したがって、発電プラント550の建設が完了し、第1の発電モジュールが最初にオンラインになったときに、発電プラント550は、1つ又は複数の発電モジュールの連続稼働によって、或いはディーゼル発電機又はバッテリなどの補助電源の使用によって、オンサイトで生成又は貯蔵された電力で実質的に自立することができる。
いくつかの構成では、例示的な発電プラント550及び/又は開閉所540は、図4の例示的な発電プラント450及び/又は開閉所440と同様に動作するものとして理解することができる。例えば、発電プラント550に関連する第1の発電モジュール又はSMUは、(例えばアイソクロナスモード中に)発電プラントの電圧及び周波数を現地で維持する際の一次電源として構成し、他のモジュールはSMUと並列に(例えばドループモードで)動作させて、専用サービス負荷520及び発電プラント550に関連する所内負荷に発電出力を供給するようにすることもできる。
いくつかの例では、LOOPに対する様々なプラントの応答は、1つのプラントの発電プラント利用率に比較的小さな影響を有するものと理解することができる。ただし、発電プラントがマクログリッド及びマイクログリッドに接続するように構成されている態様と、LOOP事象に対する発電プラントの応答とを合わせると、発電出力信頼性に大きな影響を及ぼすことがある。例えば、LOOP事象に応答して発電モジュールのうちの1つ又は複数を冷温停止状態に置くことにより、99.9%の信頼性で、200MWeの総プラント出力を得ることができる。これに対して、モジュールをタービンバイパス状態に置くと、350MWeの総プラント出力、又は約75%の容量の増加を提供するのに、99.9%の信頼性を得ることができる。さらに、発電プラントが専用サービス負荷へのマイクログリッド接続を有している場合には、100MWeなど何らかの基本電力レベルで99.99%というさらに高いレベルの信頼性を保証することができる。
いくつかの例では、例示的な発電プラントに関連する発電プラント利用率は、発電プラントの分散型電力網への接続のタイプ、及びLOOP事象への発電プラントの応答に関わらず、例えば約96.6%など、基本的に一定のままであることもある。保証される基本電力レベルが実質的に存在しない可能性がある、1つの大型原子炉を含む従来の発電プラントと対照的に、本明細書に開示する例示的なマルチモジュール式発電プラントのうちの1つ又は複数は、99.9%の信頼性で全プラント容量の約50%を提供することができ、99.99%の信頼性で全プラント容量の17%を提供することができることがある。
本明細書に記載する分析のいくつかは、MATLABを利用し、計画事象及び非計画事象によるモジュール停電の頻度及び持続時間の確率分布を含んでいた。この分析は、また、オフサイト電力喪失が起きた場合に冷温停止ではなくタービンバイパスを実施し、1つ又は複数のモジュールを使用して所内負荷に供給を行うことの影響を評価していた。オフサイト電力喪失中にタービンバイパスが可能である状態と可能でない状態の両方の12個のモジュールを有するRAIR発電プラントについての信頼性の結果を与えているが、他の構成及びモジュール数も、同様にして分析することができる。この分析結果は、特にマルチモジュール式発電プラントでタービンバイパスが可能であるとき、及びその発電プラントが専用サービス負荷に直接接続されるように構成されているときには、比較的高い発電出力レベルで非常に高いレベルの信頼性を実現できることを示している。
図6は、現地で生成された電力を発電プラントの運転のために分配するように構成された例示的な電力分配システム600を示す概略図である。いくつかの例では、故障耐性電力分配システムの第2の部分は、同様に、12個のモジュール式発電機を含む発電プラントの運転用に構成することができる。
電力分配システム600は、図2の発電プラント150の上側の6個のPMアセンブリ及び上側の6個の発電機に向けられるものとすることができる。このシステムは、冗長送電経路、PDM、主電源用変圧器(MPT)、及びユニット補助変圧器(UAT)を備える故障耐性システムを備えるとよい。
電力分配システム600は、6個の発電機GEN_1、GEN_2、GEN_3、GEN_4、GEN_5、及びGEN_6を備えるものとすることができる。6個の発電機はそれぞれ、4つのフロントエンドスイッチギヤモジュール(SGM)SGM_0_1、SGM_0_2、SGM_0_3、及びSGM_4のうちの少なくとも2つに選択的に結合されるとよい。別個の主電源用変圧器(MPT)が、この4つのフロントエンドスイッチギヤモジュールのうちの1つに選択的に結合されて、冗長的に開閉所に電力を供給することができる。部分400は、4つのフロントエンドモジュールのそれぞれの対応するバックエンドスイッチギヤモジュールSGM_1_1、SGM_1_2、SGM_1_3、及びSGM_1_4も備えることができる。各フロントエンドスイッチギヤモジュールは、ケーブルバスモジュール、並びに対応するユニット補助変圧器UAT_1、UAT_2、UAT_3、及びUAT_4を介して、対応するバックエンドスイッチギヤモジュールに結合されることができる。図6に示すように、電圧調整変圧器210を、UATのうちの1つ又は複数と組み合わせて使用することもある。
電力分配システム600は、6個の発電機のそれぞれについて電力分配モジュールを備えるものとすることができる。6個の電力分配モジュールはそれぞれ、少なくとも2つの冗長電力分配モジュールフィードを備えることがある。電力分配モジュールフィードPDM_1_0及びPDM_1_1はそれぞれ、GEN_1に対応する電力分配モジュールに電力を供給するように構成されることがある。電力分配モジュールフィードPDM_2_0及びPDM_2_1はそれぞれ、GEN_2に対応する電力分配モジュールに電力を供給するように構成されることがある。電力分配モジュールフィードPDM_3_0及びPDM_3_1はそれぞれ、GEN_3に対応する電力分配モジュールに電力を供給するように構成されることがある。電力分配モジュールフィードPDM_4_0及びPDM_4_1はそれぞれ、GEN_4に対応する電力分配モジュールに電力を供給するように構成されることがある。電力分配モジュールフィードPDM_5_0及びPDM_5_1はそれぞれ、GEN_5に対応する電力分配モジュールに電力を供給するように構成されることがある。さらに、電力分配モジュールフィードPDM_6_0及びPDM_6_1はそれぞれ、GEN_6に対応する電力分配モジュールに電力を供給するように構成されることがある。
これらの冗長電力分配モジュールフィードの一部又は全てが、4つのバックエンドスイッチギヤモジュールSGM_1_1、SGM_1_2、SGM_1_3、及びSGM_1_4のうちの1つの出力に結合されるものとすることができる。このシステムは、各発電機ごとに、冗長送電経路、電力分配モジュールフィード、主電源用変圧器(MPT)、及びユニット補助変圧器(UAT)を備える故障耐性システムを備えることがある。
このシステムは、1つ又は複数のバックアップ発電機(GEN_B)を含むことがある。いくつかの例では、GEN_Bの電圧出力は、約13.8kVACであることがある。GEN_Bは、1つ又は複数のスイッチを介してフィード612に結合されることがある。GEN_Bは、1つ又は複数のスイッチを介して4つのフロントエンドモジュールSGM_0_1、SGM_0_2、SGM_0_3、SGM_0_4、SGM_0_5、及びSGM_0_6のうちの1つ又は複数にも結合されることがある。PGMアセンブリ及び/又は対応する発電機のうちの1つ又は複数が発電に利用できない場合には、GEN_Bを利用して発電プラントに電力を供給することができる。GEN_Bに対応する第1のフィード212は、限定されるわけではないがSGM_0_1などのフロントエンドモジュールのうちの少なくとも1つに選択的に結合されることがある。GEN_Bに対応する第2のフィード212は、限定されるわけではないがSGM_1_1などのバックエンドモジュールのうちの1つに選択的に結合されることがある。
いくつかの例では、1つ又は複数の他のバックアップ発電機が、GEN_Bが生成するAC信号より低い電圧のAC信号を、PDMのうちの1つ又は複数に供給するように構成されることもある。例えば、PDMに電力を供給する1つ又は、複数の発電機は480VのAXC信号を生成することがあるが、GEN_Bは、13.8kVのAC信号を生成することがある。
このシステムは、バックエンドスイッチギヤモジュールのうちの1つ又は複数に結合された追加の電力分配モジュールフィードを含むことがある。例えば、電力分配モジュールフィード602、604、606、及び608は、電力分配システム600に含まれる6個の発電機のそれぞれに共通の負荷に電力を分配する他の電力分配モジュールに電力を供給することができる。電力分配モジュールフィード602、604、606、及び608によって電力を供給される電力分配モジュールは、共通プラントPDMであることがある。したがって、フィード602、604、606、及び608は、共通プラントフィードであることがある。電力分配モジュールフィード602、604、606、及び608は、発電プラントに含まれる様々な共通のポンプ及びモータの電力分配モジュールに電力を供給することができる。
様々な電力分配モジュールはそれぞれ、実時間で電力を分配することがある。さらに、電力分配モジュールのうちの1つ又は複数は、後に使用するために電力を貯蔵する1つ又は複数のバッテリを充電する1つ又は複数の充電モジュールを含むことがある。GEN_Bに対応するフィード612は、フロントエンドスイッチギヤモジュールのうちの1つ又は複数に結合されることがある。フィード614は、バックエンドスイッチギヤモジュールのうちの1つ又は複数に結合されることがある。
アイランドモード
連邦規則集第10編第50.34条(10CFR50.34)の規定により、米国原子力規制委員会(NRC)は、提案される原子力発電施設について満たさなければならない主要設計基準を設定している。10CFR50.34の基準17によれば、次のようにある。「オンサイト電力システム及びオフサイト電力システムは、安全のために重要な構造、システム、及び構成要素が機能できるように設けられるものとする。各システムの安全機能は(他のシステムが機能していないものと仮定する)、(1)予期しない運転状態に陥っても原子炉冷却材圧力バウンダリの指定された許容燃料設計限界及び設計条件を超えないこと、並びに(2)想定された事故が起きた場合に炉心が冷却され、格納容器の完全性及びその他の重要な機能が維持されることを保証するのに十分な容量及び能力を提供するものとする。」
基準17は、さらに次のように続く。「バッテリを含むオンサイト電力供給、及びオンサイト配電システムは、1つの故障が起きたと想定してそれらの安全機能を実施するだけの十分な独立性、冗長性、及び試験容易性を有しているものとする。」
さらに、10CFR50.34の基準17は、次のように求めている。「伝送網からオンサイト配電システムまでの電力は、稼働状態並びに想定される事故及び環境状態下で両者が同時に故障する可能性を実際的な程度まで最低限に抑えるように設計され、配置された、2つの物理的に独立した回路(必ずしも別個の敷設権でなくてもよい)によって供給されるものとする。両回路に共通の開閉所は許容される。これらの各回路は、原子炉冷却材圧力バウンダリの指定された許容燃料設計限界及び設計条件を超えないことを保証するように、全てのオンサイト交流電源及びその他のオフサイト電力回路の喪失後に、十分に時間を掛けて利用可能になるように設計されるものとする。これらの回路のうちの一方は、炉心の冷却、格納容器の完全性、及びその他の重要な安全機能が維持されることを保証するために、冷却材喪失事故後、数秒以内に利用可能になるように設計されるものとする。」
分散型電力網又はマクログリッドは、複数の分散した消費者にサービスする複数の発電源に接続されることがある送電及び配電システムを指すものとして理解することができる。原子力産業では、マクログリッドは、従来の発電プラントの構成では「優先電源」と言われることがあるので、安全機能を実現するために必要な電力を供給するのに、主にマクログリッドに依拠することがある。基準17は、従来の発電プラントがこの優先電源の概念を実施してきた主な手段である。すなわち、基準17に関連するNRCの要件は、安全機能を実現するために必要な電力が利用可能であることを保証するための拠り所であった。
LOOPは、優先電源の喪失を表しているので、従来の発電プラントにとって重要な事象と考えることができる。すなわち、安全機能を実現するために通常必要とされる電源が、マクログリッドから得られない可能性があるということである。主発電機が発電プラントのオンサイトAC電源として構成されていることもあるが、それでも主発電機は、負荷のかなりの部分の喪失によりトリップする可能性がある。
主発電機が故障した場合には、発電プラントが依拠する可能性がある安全機能を実現するための次のオンサイトAC電源は、緊急ディーゼル発電機(EDG)となる可能性がある。従来の発電プラントでEDGが故障した場合には、全電源喪失が起こる可能性がある。LOOP、主発電機の喪失、及びEDGの故障の組合せが、福島では起きた。EDGが故障してしまうと、従来の発電プラントは、安全機能の動作を維持する、又はその他のかたちで安全機能の喪失を補償することが、数時間しかできないことがある。例えば、EDGの故障後に発電プラントが制御状態で稼働し続けることができる能力は、わずかに4時間から8時間しか運転することができない局内電源の貯蔵エネルギー分に限定される可能性がある。
補助AC電源(AAPS)は、全ての発電モジュール及び任意のオフサイト電源からの電力の喪失など通常のAC電源の喪失後に、永久的な非安全負荷にバックアップ電力を供給するように構成されることがある、燃焼タービン発電機、水力発電プラント、又はその他の何らかの補助電源を含む可能性がある。
AAPSは、2つの主要機能を実現するように構成されることがある。AAPSの第1の主要機能は、崩壊熱除去が開始されているトリップ状況から、復水及び給水と冷却塔への水循環システムとを介して崩壊熱を通常のヒートシンクに移すことができるモードに移行するための、オンサイトAC電源を提供することを含むことがある。AAPSの第2の主要機能は、ブラックスタート機能を使用可能にするためのオンサイトAC源を提供することを含むことがある。
発電プラント150(図2)など、複数の比較的小型の発電モジュールを備える発電プラントでは、AAPSは、発電モジュール100(図1)などの1つの発電モジュールをブラックスタートするように構成されることがある。約50MWeの発電出力に関連する発電モジュールを始動するために必要な電気の量は、1000MWe以上に関連することもある従来の原子炉の始動に関連する電気の量より大幅に少ない可能性がある。第1の発電モジュールが始動されたら、第1の発電モジュールによって生成される電力を使用して、所内負荷への給電、及び/又は発電プラント150に関連する追加の発電モジュールのブラックスタートを行うことができる。したがって、発電プラント150に関連するAAPSは、従来の発電プラントでブラックスタートを行うのに必要なサイズよりかなり小さいサイズにすることができる。
いくつかの例では、AAPSは、いくつかのタイプの発電システムでピーキング負荷を提供するのに使用されているものと同様の燃焼タービン発電機を備えることがある。従来の発電プラントでは、燃焼タービン発電機は、エアコンディショナの使用の増加による夏期など電気需要のピーク期間には、運転予備状態に置かれることがある。
発電プラント150などの発電プラントでは、従来のサイズの発電プラントよりはるかに効率的に負荷追従するように構成されることがある複数の発電モジュール160を有することにより、燃焼タービン発電機がピーキング負荷に不要となることがある。しかし、発電プラント150では、従来ピーキング負荷に使用されるのと同様のサイズの燃焼タービン発電機を代わりに使用して、発電プラントをブラックスタートすることがある。ただし、発電プラント150の燃焼タービン発電機は、ブラックスタート用の電力を供給するために運転予備状態に置く必要はない。
上述のように、アイランドモードは、1つ又は複数の発電モジュールによってオンサイトで生成される電気を使用する、分散型電力網又はマクログリッドへのいかなる接続からも独立している発電施設の動作を説明するために使用されることがある用語である。従来の原子力発電プラントは、10CFR50.34の基準17により、安全機能を実施するための優先電源としてマクログリッドに依存しているので、アイランドモードで稼働するように構成することが実質的に禁止されている。
AAPSは、当業界でピーキングユニットとして使用するのと同様に、アイランドモード(IM)移行及び/又は専用サービスモード(DSM)運転中には、安定化電源として使用して、急速な負荷変化を吸収することができる。したがって、分散型電力網に不規則性が検出されたときには、AAPSは、LOOP事象に対するヘッジとして待機モードで動作するように構成されることがあり、例えば、AAPSは、運転予備ユニットとして使用されることもある。
アイランドモードで稼働するように発電プラントを構成することにより、原子力発電ユニットによって生成された電力の喪失、マクログリッド伝送網からの電力の喪失、又はオンサイト電源からの電力の喪失の結果として、又はそれらと同時に、残りの電源のいずれかからの電力を喪失する可能性を最小限に抑えることができる。
図1の原子炉モジュール100などの1つ又は複数の原子炉モジュールを備えた発電プラントでは、発電プラントは、重力又は自然循環などの自然法則のみに依拠するシステムなどの受動的手段によって安全機能を実施するように構成されることがある。したがって、図2の発電プラント150などの発電プラントでは、安全機能を実施するために、電力が不可欠なものとは考えられていないこともある、或いは電力に依拠しないこともあるので、マクログリッドは、単なる負荷とみなされることもある。アイランドモードで稼働するように構成されることがある発電プラントは、LOOP事象を実質的に未然に防ぐことができる、又は少なくとも特徴付けし直すことができるので、LOOPを負荷事象の喪失としてより正確に説明することができる。
さらに、図2に示す原子炉モジュール100及び発電プラント150は、従来の意味では優先電源を必要としないこともある。これは、この用語が、発電プラント150などのマルチモジュール式発電プラントでは基本的にいかなる重要な意味も持たなくなることがあるからである。複数の原子炉モジュール及び関連システムを含む発電プラントでは、全ての主発電機の喪失を、全てのAC電力の喪失をもたらすものと解釈することになる。ただし、全てのAC電力の喪失が起こった場合には、発電プラント150などの発電プラントは、無限の期間にわたってAC電力に依拠せずに全ての安全機能を自動的に動作させ続けるように構成することができる。いくつかの例では、全てのAC電力の喪失により、原子炉スクラムの先制的非安全作動、DHR、及び/又は格納容器隔離が開始されることもある。
マクログリッド接続に依拠しなくなることにより、発電プラントを、分散型電力網又はマクログリッドが利用できない場所、或いは従来の発電プラントの設置及び稼働のために通常必要とされるよりグリッド信頼性が低い場所に設置することができる。マクログリッドに接続すれば、発電プラントから企業負荷又は専用負荷などそのグリッドを利用する顧客に電力を送達する、又はその他のかたちで供給する任意選択の経路を得ることができるが、安全機能を動作させる、又はその他のかたちで規制要件に準拠するためにマクログリッドに接続する必要はなくなる可能性がある。マクログリッドへの接続に実質的に依拠しないようにすることにより、この発電プラントは、従来の発電プラントでは実際的ではなかった、又は許容されなかったいくつかの構成で設置し、稼働させることができる。
例示を目的として、以下に、マクログリッドへの接続の喪失及び/又は専用電力網又はマイクログリッドへの接続の喪失に応答する、3つの例示的な発電プラント構成又は運転モードについて説明する。この3つの発電プラント構成及び/又は運転モードは、1つ又は複数の分散型電力網の接続の喪失の可能性に対処するある範囲のプラント稼働構成を提供する上で、異なる設計的、稼働的、及び規制的な含意を有することがある。3つの例示的な運転モードのうちの一部又は全ては、発電プラントをアイランドモードで稼働するように構成するものとして理解されることもある。
第1の発電プラント運転モードでは、1つ又は複数の分散型電力網の接続が喪失したときに、発電プラントは、バックアップディーゼル発電機(BDS)及び補助AC電源(AAPS)を始動してローディングするのに加えて、全ての稼働中の発電モジュールをスクラムするように構成されることがある。さらに、発電プラントは、AAPSによって生成される電力を使用して、1つ又は複数の発電モジュールをブラックスタートするように構成されることがある。この1つ又は複数の発電モジュールは、サービスモジュールユニット(SMU)と呼ばれることがある。SMUは、グリッド接続のうちの1つ又は複数が復元するまで、アイランドモードで稼働させることがある。
第2の発電プラント運転モードでは、1つ又は複数の分散型電力網の接続が喪失したときに、発電プラントは、SM以外の全ての稼働中の発電モジュールをスクラムするように構成され、SMは、1つ又は複数のグリッド接続が復元されるまで、アイランドモードでの無中断発電のために稼働状態に維持されることがある。さらに、発電プラントは、負荷追従を行うのと並行して、AAPSを始動して使用するように構成されることがある。
第3の発電プラント運転モードでは、1つ又は複数の分散型電力網の接続が喪失したときに、発電プラントは、蒸気バイパスを使用して1つ又は複数の非サービス発電モジュールを電気系統から切断する、それらの非サービス発電モジュールをホットスタンバイ状態に維持する、或いは電力変換システムを使用して非サービス発電モジュールの制御停止を実行するように構成されることがある。SMUは、1つ又は複数のグリッド接続が復元するまで、アイランドモードで無中断発電のために稼働状態に維持されることがある。さらに、発電プラントは、負荷追従を行うのと並行して、AAPSを始動して使用するように構成されることがある。
少なくとも1つの発電モジュールがオンラインで発電している状態では、分散型電力網の電力が利用できるかどうかに関わらず、このオンライン発電モジュールに関連する(1つ又は複数の)稼働中の主タービン発電機が、発電プラントに電力を供給し続ける(例えば所内負荷に電力を供給し続ける)。いくつかの例では、発電プラント全体の所内負荷は、発電モジュールのうちの1つの出力より小さいことがある。オフサイト電力への接続が喪失した場合には、1つ又は複数の発電モジュール、或いはサービスモジュールユニットを使用して、全ての所内負荷に給電するのに十分な無中断電力を供給することができる。いくつかの例では、復水器にかかる負荷を低減するために、サービスに復帰できる状態に維持しながら、サービスモジュールユニット以外の稼働中の発電モジュールに関連する電力レベルを低下させることもできる。
上述のように、発電モジュールのうちの1つ又は複数が、サービスモジュールユニット(SMU)として指定されることがある。SMUは、炉内寿命、関連するサポートシステムの状態、保守計画、燃料取替後の実行時間の長さ、その他の発電モジュール条件、又はそれらの任意の組合せなど、信頼性及び可用性に影響を及ぼす条件に基づいて選択することができる。SMUの指定は、様々な所定の時間間隔で、又は不定期の事象ごとに、発電モジュール間で変更されることがある。例えば、SMUの指定は、最も最近に燃料取替が行われ、運転が100日に達した発電モジュールに適用されることもある。SMUの指定は、電圧調整器内の論理選択を介して行うことができる。
発電プラントがマクログリッドから独立して稼働しているときには、発電プラントは、AAPS、バックアップディーゼル発電機、バッテリ、又はその他の補助電源による支援を受けずにアイランドモードで稼働して、その発電プラントに関連する所内負荷に電力を供給するように構成されることがある。
オフサイト送電系統又はマクログリッドへの接続が喪失しているLOOP事象中には、SMUに関連する1つ又は複数の発電機は、マクログリッドと並列に動作する状態から独立モード又はアイランドモードで動作する状態に移行することができる。この移行は、発電機が周波数及び電圧を制御する方法を変更するように構成されることがある。例えば、発電機は、ドループモードからアイソクロナスモードに移行することがある。アイランドモードでは、SMUが、発電プラントの電圧及び周波数のレベルを制御するように構成されることがある。
SMU以外の発電モジュールに関連する発電機は、電気系統から切断されることがあり、AAPSの始動プロセスが同時に開始されることがある。AAPSが再び利用可能になると、AAPSが、SMU発電機と並列になることがある。いくつかの例では、AAPSは、主に、基本負荷を提供するようにSMUが生成する電力を安定させることができるようにプラント負荷に追従する役割を担うことがある。
分散型電力網の接続性の中断が一時的なものであり、復元が間近であると予想される場合には、非SMU発電モジュールは、接続が復元した後の発電状態への迅速な復帰をサポートするために、バイパス蒸気によって高電力に維持されることがある。一方、グリッドにすぐに接続できる可能性が低そうな場合には、非SMU発電モジュールの発電出力を低下させて、関連する復水器にかかる負荷を低減し、燃料を節約することができる。ただし、非SMU発電モジュールは、臨界に保ち、時間のかかる原子炉始動を必要とせずにサービスに復帰できる状態に保つことができる。停電の状況が長期間に及びそうな場合には、全ての、又はほぼ全ての非SMU発電モジュールを停止させることもできる。
分散型電力網への接続が再び利用可能になったときには、SMUを分散型電力網に同期させて、関連する発電機の制御を並列に復帰させることができる。さらに、AAPSを停止させることができ、残りの非SMU発電モジュールは、それらの発電モジュールを分散型電力網に同期させ、それらの電力を必要に応じて復元することにより、フル活動サービスに復帰させることができる。
いくつかの例では、発電プラントは、意図的に、又は先制的に、マクログリッドから切断するように構成されることもある。マクログリッドは、電力サージ、劣化電圧、電圧スパイク、周波数変動、その他のタイプのグリッド不規則性、又はそれらの任意の組合せなど、様々な電流及び/又は電圧の不規則性にさらされる可能性がある。いくつかの電力システムでは、グリッドの不規則性の影響を緩和するために、1つ又は複数のデバイスが、開閉所、又は配電システム400内のその他の何らかの位置に配置されることがある。電圧スパイクの場合には、回路ブレーカをトリガして、発電プラントの構成要素及びシステムを保護することもできる。いくつかの例では、回路ブレーカは、開閉所440(図4)に関連する第1の送電線441など、1本又は複数本のバスに位置することもある。
ただし、このようなグリッドの不規則性を吸収又は補償するのではなく、いくつかの例では、発電プラントは、このような不規則性が検出又は予想されたときに必ず、単純にマクログリッドから切断するように構成されることもある。例えば、損傷を受ける、又はその他のかたちで影響を受けるおそれがある構成要素又はシステムにグリッドの不規則性が到達する前に発電プラントをマクログリッドから切断するように構成される1つ又は複数の監視デバイスを、発電プラントの開閉所に設けることもある。アイランドモードで稼働するように構成された発電プラントは、マクログリッドから供給される電気に依拠していないので、マクログリッドから切断されたときでも稼働し続けることができる。
いくつかの例では、発電プラントとマクログリッドの間の接続は、発電プラントによって生成される電気がマクログリッドに向かって出ていく方向にのみその接続を通過できるように構成されることがある。マクログリッド上で既に移送されている電気が発電プラントに伝達されるのを防止し、付随するグリッドの不規則性も伝達されるのを防止することができる。一方向電気接続は、グリッドの不規則性、及び/又はその接続のマクログリッド側で生じる可能性があるその他の任意の問題から、発電プラントを実質的に隔離するように構成することができる。いくつかの例では、この接続は、マクログリッドからの電気を原子炉始動時など限られた期間だけ発電プラントが選択的に使用できるように構成することもできる。
したがって、アイランドモードで稼働するように構成された発電プラントは、LOOP事象によって自動原子炉トリップが生じる可能性があり、さらに原子炉を再始動できるようになるまでオンサイトで発電する能力が完全に喪失する可能性がある従来の発電プラントに優る特定の利点を有することができる。
上述のように、分散型電力網の接続から独立して(例えばアイランドモードで)稼働するように構成された発電プラントは、稼働している発電モジュールがないときに現地負荷に給電することができるオンサイトAC発電源を有するとよい。例えば、AC電源は、発電モジュールのブラックスタートに関連する負荷に給電するように構成されるとよい。オンサイトAC発電源として動作するように構成されたAAPSは、いかなるオフサイト電源の支援も受けずに1つの発電モジュールをブラックスタートするようなサイズにすることができる。
アイランドモードで稼働する、又は発電プラントをブラックスタートする能力は、普通なら発電プラントの安全システムと関連付けられる可能性がある任意の動作から独立して、又はこれから隔離されて存在するものと理解することができる。アイランドモード運転及び/又はブラックスタートモード運転は、グリッドの信頼性の問題からの隔離を提供する発電プラントの能力及び/又は負荷適用業務にサービスする発電プラントの能力を向上させるものと理解することができるが、発電プラントの受動的安全システムに給電するのに、これらの運転モードに依拠する必要はない。ただし、アイランドモード運転及び/又はブラックスタートモード運転は、商業上及び運転上の利点を提供するだけでなく、さらなる発電プラントの運転上の特徴を提供するものと理解することができる。
「原子力発電プラントにおける保守の有効性を監視するための要件」と題する10CFR50.65は、主に、当業界で起こっていた保守に基づく原子炉トリップ及び安全システムの作動の回数の結果として生まれたものである。NRCでは、これらの発生を、プラントシステムに過渡的状態をもたらす、安全システムに対する不要な呼掛け(challenge)になると考えた。いくつかの発電プラントでは、1つの安全に関係のない原子炉トリップが、30を超える安全に関係のある機能に呼び掛けることもある。ただし、発電プラントに対するこれらの呼掛けは、現地電気負荷への無中断AC電力を維持することによって緩和することができる。
いくつかの例では、図2に示す原子炉モジュール164のいずれか1つが、発電プラントへの全AC電力の喪失を防止し、関連する電力システムの意図しない作動も防止するために必要な全ての電力を供給するように構成されることがある。さらに、オンサイトで複数のAC電源を設けることにより、設計基準外事象が起きたときに、原子炉モジュール164のうちのいずれか1つを使用して、発電プラントへのAC電力を復元することができ、これにより、安全システムの不要な作動を減少させることによって、追加の防御層を提供することができる。
図7は、例示的な電力分配システム700の開閉所構成を示す図である。いくつかの例では、この開閉所構成は、4ベイブレーカ及び半開閉所方式を備えるものとして理解することができる。第1のベイ705は、第1のブレーカ710、第2のブレーカ720、及び第3のブレーカ730など、複数のブレーカに関連付けられることがある。この複数のブレーカは、第1のMPT740及び第2のMPT750など、1つ又は複数の主電源用変圧器(MPT)に電気的に接続されることがある。
第1のベイ705を利用して、第1のMPT740及び第2のMPT750のうちの一方又は両方を2重母線構成を介して分散型電力網に電気的に接続することができる。2重母線構成は、第1のバスL1及び第2のバスL2を含むものとして示してある。これは、電力事業で非常によく使用される信頼性の高い構成である。電力分配システム700は、複数のMPTから分散型電力網に複数の接続を提供することがある。いくつかの例では、接続の数は、MPTの数と等しいことがある。さらに、電力分配システム700は、発電プラントの出力を分散型電力網又は専用サービス負荷の顧客に搬送するために、開閉所までの1つ又は複数のオフサイト接続を含むこともある。
複数の発電モジュールを含む発電プラントでは、1つ又は複数の追加のベイを、第1のベイ705と同様に構成することができる。電力分配システム700のこの例示的な開閉所構成では、4つのベイを示しているが、各ベイが、2つのMPTに動作可能に結合された3つの発電モジュールに関連付けられ、合計で12個の原子炉モジュール及び8個のMPTになることがある。
図8は、電力分配システム800の例示的な構成を示す図である。この例示的な電力分配システム800は、6個の発電モジュールで稼働するように構成されるものとして理解することができる。12個の発電モジュールなど、複数の発電モジュールを備える発電プラントでは、電力分配システム800は、さらに6個の発電モジュールについても実質的に同じマルチモジュール構成を有するものとして理解することができる。AAPS830からどちらの側にも給電するために、接続バス840などの1本又は複数本のバスによってマルチモジュール構成間の交差接続を形成することができる。
電力分配システム800は、第1のスイッチギヤ構成880を備えるものとすることができる。いくつかの例では、第1のスイッチギヤ構成880は、高電圧バス885が約13.8キロボルト(kv)の状態で動作するように構成される。さらに、メインタービン850が、この13.8kvバス885と関連付けられることがあり、この13.8kvバス885が、関連するMPT820及びUAT810の両方に電力を供給するように構成されることがある。
第2のスイッチギヤ構成890は、第2のメインタービン852、第2のMPT822、及び第2のUAT812に関連付けられる。12個の発電モジュールを備えるいくつかの例示的な電力分配システムでは、8本以上のバス、8個以上のMPT、及び8個以上のUATがあることがある。
UAT810は、発電機の端子電圧を、所内負荷用の4.16kvに降下させるように構成されることがある。さらに、MPT820は、発電機の端子電圧を伝送用の現地グリッド電圧に上昇させるように構成されることがある。いくつかの例では、グリッド電圧は、約345kvになるものと仮定することがある。図7を参照して説明したような例示的なブレーカ及び半開閉所方式と組み合わせると、電力分配システム800は、有意な柔軟性を提供し、全AC電力喪失の確率を最低限に抑えるように構成することができる。
電力分配システム800は、残りの発電モジュール及び関連するシステムが稼働して発電し続けている間に、1つ又は複数の発電モジュールの選択的なプラント保守を行うことができるように構成されることがある。したがって、いかなる保守活動中にも、マクログリッドから電気を購入する、又はその他のかたちで受け取る必要がない可能性がある。さらに、発電プラント全体をオフラインにしなくても、発電機、変圧器、又はその他の種類の構成要素及びシステムの保守を行うことができる。
複数のMPTの発電出力を選択的に適用及び/又は結合して、様々な負荷に給電することができる。いくつかの例では、発電プラントシステム又は構成要素のうちの1つ又は複数を、2つ以上の発電モジュール間で共用することもできる。
図9は、電力分配システム900の例示的な制御シーケンスを示す図である。いくつかの例では、電力分配システム900は、図3から図5に示す構成のうちの1つ又は複数など、柔軟な開閉所構成を使用して、電力の局所的なオンサイトでの分配を行うように構成される。アイランドモード運転に移行するための開始基準は、劣化電圧905の検出、又は分散型電力網の喪失を含む可能性がある。
劣化電圧905を感知すると、不足電圧感知回路は、分散型電力網を第1のバス941及び第2のバス942に接続しているブレーカを開くように構成される。さらに、この回路は、信号916をモジュール制御システム(MCS)975に送信して、サービスモジュールユニット950をドループ制御からアイソクロナス制御920に切り替え、部分タービンバイパス925を開始して所内負荷に供給を行うように構成されるとよい。MCS975は、1つ又は複数の制御デバイスを含むことがあり、いくつかの例では、別個のMCSが、各SMUに関連付けられることがあり、PCS910からモジュール特定信号915を受信するように構成されることがある。
MCS975は、原子炉を発電プラント所内負荷に一致するようにランプさせ、信号を電力変換システム(PCS)910に送信して、直ちにAAPS930を始動するように構成されることもある。PCS910は、次いで、ドループモードで、AAPS930を、サービスモジュールユニット950に関連する13.8kvバス940と自動並列化することがある。AAPS930は、サービスモジュールユニット950に負荷追従して、サービスモジュールユニット950の安定した電力制御を可能にするように設定されることがある。
PCS910は、複数の非SMUユニット960に関連するMCSに信号915を送信して、タービンバイパスの開始、及び/又は非SMUユニット960の発電機回路ブレーカ(GCB)970の開放を行うように構成されることがある。この時点で、発電プラントは、全てのプラント負荷がサービスモジュールユニット950及び/又はAAPS910によって供給を受けている状態で、分散型電力網から基本的に分離することができる。さらに、複数の非SMUユニット960を、1本又は複数本の13.8kvバス980から切断して、タービンバイパス状態に置くことができる。いくつかの例では、タイマを利用して、自動原子炉モジュール停止を開始する前にタービンバイパス状態である時間を制限することもできる。電力分配システム900は、例えば図8に示すようなMPT及びそれらに関連するUATへの開閉所接続を介して中断なくオンサイトAC負荷への電力を維持するように構成されることもある。
以下の例示的な制御シーケンスは、図4に示す電力分配システム400と同様の電力分配システム構成で稼働するものとして理解することができる。いくつかの例では、専用負荷又は重要な負荷(DSL)が、第2のバス942を介して開閉所に接続されることがある。さらに、第1のバス941は、分散型電力網に電力を供給し続けるものと理解することができる。
専用負荷及び所内負荷が、サービスモジュールユニット950など1つの発電モジュールの公称定格内である可能性がある例では、制御シーケンスは、上述のものと実質的に同じであることがあるが、第2のバス942が閉鎖状態のままとなり、サービスモジュールユニット950が専用負荷及び全ての所内負荷に電力を供給することができる点が異なる。さらに、AAPSを使用して、発電プラント内及び専用負荷における任意の急速な負荷変化を吸収することができる。
専用負荷及び所内負荷が1つの発電モジュールの公称定格を超える可能性がある例では、第2の発電機が、関連する13.8kvバスに接続された状態のままとなり、そのGCB970が、MCS975の阻止スイッチによってトリップしないようになっている。この阻止機能は、LOOP感知回路によって第1のバス941に生じるMCS975からのアイランドモード信号を停止するように構成される。GCBに関連するその他の全ての保護機構は、さもなければそのまま残ることとすることができる。さらに、タービンバイパスを使用して、発電機出力を負荷と一致させることもあり、次いで、MCS975を使用して、タービンバイパス流を制限するように原子炉電力を制御することもある。さらに、AAPS910は、プラント現地及び専用負荷内の任意の急速な負荷変化を吸収するように構成されることもある。
以下の例示的な制御シーケンスは、図5に示す電力分配システム500と同様の電力分配システム構成で稼働するものとして理解することができる。いくつかの例では、電力分配システム500に関連する制御シーケンスは、分散型電力網に接続することなく、電力分配システム400(図4)と同様に稼働するものとして理解することができる。
標準的な分配構成及び監視を利用して、現地分配システムの保護及び発電の評価を確立することができる。2重母線構成を実装して、マイクログリッドの変電所に交互フィードを提供して、信頼性を向上させることができる。第1のバス941及び第2のバス942は、専用サービス負荷へのデュアルフィードを表すことがある。一方の線(又は他方の線)で障害が発生した場合には、障害が発生した線を開放状態に設定し、その障害が他方の線に伝搬しない限り給電を維持することができる。両方の線に障害が発生した場合には、発電プラントは、基本アイランドモード運転に移行し、発電プラントの所内負荷のみを維持することができる。
図10は、分散型電力網又はマクログリッドからの電力の中断が生じた電力分配システムを動作させる例示的なプロセス1000を示す図である。動作1010で、発電プラント出力の第1の部分を、サービスモジュールユニットとして指定された1つ又は複数の原子力発電モジュールによって生成することができる。原子力発電モジュールの残りは、非サービスモジュールユニットであると考えることができる。
原子力発電モジュールは、所定の時間間隔に従って入れ替え可能にサービスモジュールユニットとして指定することができる。いくつかの例では、この1つ又は複数の原子力発電モジュールは、どの原子力発電モジュールが最も最近に燃料取替が行われ、しきい値運転日数に達しているかによってサービスモジュールユニットとして指定されることもある。
動作1020で、発電プラント出力の第2の部分を、非サービスモジュールユニットによって生成することができる。
いくつかの例では、発電プラント出力の第1の部分及び第2の部分を生成する前に、初期発電出力を、オンサイトの非原子力電源から生成することもある。初期発電出力は、発電プラントで分散型電力網の電力の喪失又は中断が生じる、又はその他のかたちで分散型電力網から電気的に切断されている間に生成することができる。さらに、初期発電出力を適用して第1の原子力発電モジュールを始動し、後続の発電出力は、第1の原子力発電モジュールによって生成することもできる。発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されているときに、この後続の発電出力を適用して、第2の原子力発電モジュールを始動することもできる。いくつかの例では、発電プラントがフル電力で稼働するまで、追加の原子力発電モジュールを順次始動することもできる。
動作1030で、発電プラントの所内負荷に関連するいくつかの非緊急の発電プラントシステムに電気を供給することができる。発電プラント出力の第1の部分は、所内負荷以上であることがある。
動作1040で、発電プラントを、分散型電力網に電気的に接続することができる。分散型電力網は、複数の地理的に分散した消費者にサービスするように構成されることもある。
動作1050で、発電プラント出力の第2の部分に対応する量の電気を、発電プラントが分散型電力網に接続されている第1の運転モードで分散型電力網に出力することができる。
動作1060で、発電プラント出力の第2の部分を、発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されている第2の運転モードで分散型電力網から分流することができる。
いくつかの例では、発電プラントは、発電出力のみモードなどの第2の運転モードで分散型電力網から電気を受けることを制限及び/又は禁止されることがある。発電プラント出力の第2の部分に対応する量の電気は、発電プラントが第2の運転モードで稼働しているときに分散型電力網に出力することができる。
さらに、発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されているときには、原子力発電モジュールの残りは、タービンバイパス状態に置かれてもよい。タービンバイパスは、サービスモジュールが発電プラント出力の第1の部分を生成して所内負荷にサービスし続けている間に、発電プラント出力の第2の部分を散逸させるように構成されることがある。
動作1070で、発電プラント出力の第1の部分の少なくとも一部分に対応する量の電気を、第2の運転モードで発電プラントシステムに送ることができる。
動作1080で、発電プラントを、専用電力網に電気的に接続することができる。専用電力網は、専用サービス負荷に電気を供給するように構成されることがあり、発電プラント出力の第1の部分は、専用サービス負荷と所内負荷の合計負荷以上であることがある。
動作1090で、発電プラントが第2の運転モードで分散型電力網から電気的に切断されているときに、発電プラント出力の第1の部分を、発電プラントシステム及び専用サービス負荷の両方に分配することができる。
図11は、1つ又は複数の専用サービス負荷に電力を供給するように構成された電力分配システムを動作させる例示的なプロセス1100を示す図である。動作1110で、1つ又は複数のオンサイト原子力発電モジュールによって、発電プラント出力を生成することができる。
動作1120で、発電プラントの所内負荷に関連するいくつかの非緊急の発電プラントシステムに電気を供給することができる。
動作1130で、発電プラントを、分散型電力網に電気的に接続することができる。分散型電力網は、複数の地理的に分散した消費者にサービスするように構成されることもある。
動作1140で、発電プラントを、専用電力網に電気的に接続することができる。専用電力網は、発電プラント出力から生成される電気を専用サービス負荷に供給するように構成されることがある。さらに、発電プラント出力は、専用サービス負荷と所内負荷の合計負荷以上であることがある。
動作1150で、分散型電力網からの電力の中断に関連する1つ又は複数のグリッドの不規則性を識別することができる。
動作1160で、電力の中断を識別したのに応答して、発電プラント出力の少なくとも一部分を、非緊急の発電プラントシステム及び専用電力網の両方に分配することができる。
いくつかの例では、オンサイトの原子力発電モジュールのうちの1つ又は複数が、発電プラント出力の第1の部分を生成するために選択されることがあり、この発電プラント出力の第1の部分は、専用サービス負荷と所内負荷の合計負荷以上であることがある。この1つ又は複数の原子力発電モジュールは、どの原子力発電モジュールが最も最近に燃料取替が行われ、しきい値運転日数に達しているかによって発電プラント出力の第1の部分を生成するように選択されることもある。
発電プラント出力の第1の部分は、分散型電力網からの電力の中断中に、非緊急の発電プラントシステム及び専用電力網の両方に分配することができる。さらに、原子力発電モジュールの残りが、発電プラント出力の第2の部分を生成するように構成されることもある。
動作1170で、分散型電力網からの電力の中断中に、発電プラント出力の第2の部分を散逸させるために、残りの原子力発電モジュールをタービンバイパス状態に置くことができる。残りの原子力発電モジュールは、発電プラント出力の第1の部分が非緊急の発電プラントシステム及び専用電力網の両方に分配されているときに、タービンバイパス状態に置かれることもある。
動作1180で、分散型電力網からの電力の中断を終了させることができる。例えば、1つ又は複数のグリッドの不規則性を識別してから所定の期間が経過することもあり、これが分散型電力網が安定したことを示していることもある。
動作1190で、タービンバイパス状態に置かれていた残りの発電モジュールのうちの1つ又は複数をオンラインに戻すことができ、残りの発電モジュールによって生成される発電プラント出力の第2の部分の少なくとも一部分を、分散型電力網に供給することができる。
さらなる例示的なシステム、装置、及び方法
例1。マルチモジュール式発電プラントであって、発電プラント出力を生成するように構成された複数のオンサイト原子力発電モジュールであり、それらの原子力発電モジュールのうちの1つ又は複数が、発電プラント出力の第1の部分を生成するように構成されたサービスモジュールユニットとして指定され、それらの原子力発電モジュールの残りが、発電プラント出力の第2の部分を生成するように構成される、複数のオンサイト原子力モジュールと、発電プラントの所内負荷に関連する電気を使用して動作するように構成された複数の発電プラントシステムであり、発電プラント出力の第1の部分が、所内負荷以上である、複数の発電プラントシステムと、発電プラントを分散型電力網に電気的に接続するように構成された開閉所とを備え、開閉所が、分散型電力網が、複数の地理的に分散した消費者にサービスするように構成され、開閉所が、発電プラント出力の第2の部分を分散型電力網に適用するように構成され、開閉所が、分散型電力網からの電力の喪失中に、発電プラント出力の第1の部分の少なくとも一部分を発電プラントシステムに適用するようにさらに構成される、マルチモジュール式発電プラント。
例2。所内負荷に関連する電気を使用して動作するように構成された上記の複数の発電プラントシステムが、非緊急システムを含み、発電プラントが、いかなる電気も使用せずに動作するように構成された複数の受動的緊急システムをさらに備える、例1のマルチモジュール式発電プラント。
例3。開閉所が、発電プラントを専用電力網に電気的に接続するようにさらに構成され、専用電力網が、専用サービス負荷に電気を供給するように構成され、発電プラント出力の第1の部分が、専用サービス負荷と所内負荷の合計負荷以上であり、開閉所が、発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されているときに、発電プラント出力の第1の部分を、発電プラントシステム及び専用電力網の両方に分配するように構成される、例1のマルチモジュール式発電プラント。
例4。専用サービス負荷が、発電プラントからオフサイトに位置する1つ又は複数の消費者を含み、発電プラントが、分散型電力網からの電力の喪失中に実質的に無中断の電力を消費者に供給するように構成される、例3のマルチモジュール式発電プラント。
例5。開閉所が、発電プラントが発電出力のみモードで稼働しているときに分散型電力網から発電プラントが電気を受けることを制限するように構成され、開閉所が、発電プラントが発電出力のみモードで稼働しているときに発電プラント出力の第2の部分を分散型電力網に出力するように構成される、例1のマルチモジュール式発電プラント。
例6。発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されたのに応答して、原子力発電モジュールの残りがタービンバイパス状態に置かれ、サービスモジュールユニットが発電プラント出力の第2の部分を生成して所内負荷にサービスし続けている間に発電プラント出力の第2の部分を散逸させる、例1のマルチモジュール式発電プラント。
例7。サービスモジュールの指定が、所定の時間間隔に従って入れ替え可能に原子力発電モジュールに適用される、例1のマルチモジュール式発電プラント。
例8。サービスモジュールの指定が、最も最近に燃料取替が行われ、しきい値運転日数に達した、1つ又は複数の原子力モジュールに適用される、例1のマルチモジュール式発電プラント。
例9。発電プラントが分散型電力網から切断されており、原子力発電モジュールの全てが停止しているときに、1つのサービスモジュールを始動するのに十分な電力を供給するように構成されたオンサイト非原子力電源をさらに備え、この1つのサービスモジュールが、第2の原子力発電モジュールを始動するのに十分な電力を供給するように構成される、例1のマルチモジュール式発電プラント。
例10。全ての原子力発電モジュールが、発電プラントがフル電力で稼働するまで、順次始動される、例9のマルチモジュール式発電プラント。
例11。発電プラント出力を生成するように構成された複数のオンサイト原子力発電モジュールを備えるマルチモジュール式発電プラントを稼働させる方法であって、サービスモジュールユニットとして指定された原子力発電モジュールのうちの1つ又は複数によって発電プラント出力の第1の部分を生成するステップであり、原子力発電モジュールの残りが、非サービスモジュールユニットである、ステップと、非サービスモジュールユニットによって発電プラント出力の第2の部分を生成するステップと、発電プラントの所内負荷に関連する複数の非緊急発電プラントシステムに電気を供給するステップであり、発電プラント出力の第1の部分が、所内負荷以上である、ステップと、発電プラントを分散型電力網に電気的に接続するステップであり、分散型電力網が、複数の地理的に分散した消費者にサービスするように構成される、ステップと、発電プラントが分散型電力網に接続されている第1の運転モードで、発電プラント出力の第2の部分に対応する量の電気を分散型電力網に出力するステップと、発電プラントで分散型電力網からの電力の中断が起きている第2の運転モードで、発電プラント出力の第2の部分を分散型電力網から分流するステップと、第2の運転モードで、発電プラント出力の第1の部分の少なくとも一部分に対応する量の電気を発電プラントシステムに送るステップとを含む、方法。
例12。発電プラントを専用電力網に電気的に接続するステップであり、専用電力網が、電気を専用サービス負荷に供給するように構成され、発電プラント出力の第1の部分が、専用サービス負荷と所内負荷の合計負荷以上である、ステップと、発電プラントで分散型電力網からの電力の中断が起きているときに、電所出力の第1の部分を、発電プラントシステム及び専用電力網の両方に分配するステップとを含む、例示的な方法11。
例13。発電プラントが分散型電力網から電気を受けることを制限するステップと、発電プラントが分散型電力網から電気を受けることを制限されているときに、発電プラント出力の第2の部分に対応する量の電気を分散型電力網に出力するステップとをさらに含む、例示的な方法11。
例14。発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されているときに、原子力発電モジュールの残りをタービンバイパス状態に置くステップと、サービスモジュールユニットが発電プラント出力の第1の部分を生成して所内負荷にサービスし続けているときに、発電プラント出力の第2の部分を散逸させるステップとをさらに含む、例示的な方法11。
例15。所定の時間間隔に従って、原子力発電モジュールをサービスモジュールユニットとして入れ替え可能に指定するステップをさらに含む、例示的な方法11。
例16。1つ又は複数の原子力モジュールが、どの原子力発電モジュールが最も最近に燃料取替が行われ、しきい値運転日数に達したかによって、サービスモジュールユニットとして指定される、例示的な方法11。
例17。発電プラント出力の第1の部分及び第2の部分を生成する前に、オンサイトの非原子力電源から初期発電出力を生成するステップであり、この初期発電出力が、発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されているときに生成される、ステップと、初期発電出力を適用して第1の原子力発電モジュールを始動するステップと、第1の原子力発電モジュールから後続の発電出力を生成するステップと、発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されているときに、この後続の発電出力を適用して、第2の原子力発電モジュールを始動するステップとをさらに含む、例示的な方法11。
例18。発電プラントがフル電力で稼働するまで、追加の原子力発電モジュールを順次始動するステップをさらに含む、例示的な方法17。
例19。サービスモジュールユニットとして指定された複数のオンサイト原子力発電モジュールのうちの1つ又は複数によって供給される発電プラント出力の第1の部分から電気を生成する手段であり、複数の原子力発電モジュールの残りは、非サービスモジュールユニットであり、発電プラント出力の第1の部分が、複数の非緊急発電プラントシステムに関連する所内負荷以上である、手段と、非サービスモジュールユニットによって供給される発電プラント出力の第2の部分から電気を生成する手段と、発電プラントを分散型電力網に電気的に接続する手段であり、分散型電力網が、複数の地理的に分散した消費者にサービスするように構成され、発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されているときに、発電プラント出力の第2の部分に対応する量の電気を分散型電力網に供給する、手段と、発電プラントで分散型電力網からの電力の中断が起きているときに、発電プラント出力の第2の部分を分散型電力網から分流する手段と、発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されているときに、発電プラント出力の第1の部分の少なくとも一部分に対応する量の電気を発電プラントシステムに送る手段とを備える、マルチモジュール式発電プラント。
例20。発電プラントを専用電力網に電気的に接続する手段であり、専用電力網が、電気を専用サービス負荷に供給するように構成され、発電プラント出力の第1の部分が、専用サービス負荷と所内負荷の合計負荷以上である、手段と、発電プラントが分散型電力網から電気的に切断されているときに、発電プラント出力の第1の部分を、発電プラントシステム及び専用サービス負荷の両方に分配する手段とを備える、例19のマルチモジュール式発電プラント。
本明細書に与える例のうちのいくつかでは主として加圧水型原子炉及び/又は軽水炉型原子炉について説明したが、これらの例のうちの少なくとも一部は、他のタイプの電力システムにも適用することができることは、当業者には明らかであろう。例えば、これらの例のうちの1つ又は複数、或いはそれらの変形例は、沸騰水型原子炉、ナトリウム液体金属原子炉、ガス冷却炉、ペブルベッド原子炉、及び/又はその他のタイプの原子炉設計で稼働可能にすることもできる。さらに、本明細書に記載する任意の率及び値は、例示のみを目的として与えたものである。原子炉システムのフルスケールモデル又は縮小モデルの作成などによる実験によって、他の率及び値が求められることもある。
本明細書において様々な例について説明及び例示したが、構成及び細部において他の例を修正することもできることは明らかであろう。発明者等は、本明細書で主張する主題の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正形態及び変形形態の権利を主張する。