以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
先ず、本発明に係る作業機1について説明する。
図1は作業機1の全体の側面図を示しており、図2は作業機1の後部の平面図を示している。
作業機1は、走行車両2と作業装置3とを備えている。
走行車両2は、作業装置3を牽引しながら走行する車両である。本実施形態の場合、走行車両2はトラクタであるため、以下、走行車両2をトラクタ2として説明する。但し、走行車両2は、トラクタに限定されず、コンバインや田植機等の農業車両であっても、建設車両等であってもよい。また、走行車両2は、ピックアップトラックであってもよい。
作業装置3は、圃場等に対する作業(農作業)を行う装置である。作業装置3は、走行車両2により牽引されるインプルメントやアタッチメント等である。但し、作業装置3は、走行車両2により牽引されることなく独立して走行可能なものであってもよい。
先ず、トラクタ(走行車両)2の全体構成について説明する。
トラクタ2は、車体4と、走行装置5と、連結装置6と、を備えている。本発明の実施形態において、車体4に搭載された運転席7に着座した運転者の前側(図1の左側)を前方、運転者の後側(図1の右側)を後方、運転者の左側(図1の手前側)を左方、運転者の右側(図1の奥側)を右方として説明する。また、前後方向K1(図1参照)に直交する方向である水平方向K2(図2参照)を車両幅方向として説明する。
車体4は、車体フレーム8と、クラッチハウジング9と、ミッションケース10とを有している。車体フレーム8は、車体4の前後方向に延びている。車体フレーム8には、原動機11が搭載されている。本実施形態の場合、原動機11は内燃機関である。詳しくは、原動機11はエンジンであり、より詳しくはディーゼルエンジンである。以下、原動機11がエンジン11であるとして説明する。
エンジン11は、車体フレーム8に搭載されて車体4の前部に配置されている。クラッチハウジング6は、エンジン11の後部に連設されており、クラッチを収容している。ミッションケース10は、クラッチハウジング6の後部に連結されて後方に延びている。ミッションケース10は、後述する変速装置13や後輪デフ装置14等を収容している。
走行装置5は、車体4の前部に設けられた前輪5Fと、車体4の後部に設けられた後輪5Rとを有している。前輪5Fは、車体フレーム8に支持されている。後輪5Rは、後輪デフ装置14の出力軸に支持されている。走行装置5は、本実施形態の場合はタイヤ型であるが、クローラ型であってもよい。
連結装置6は、トラクタ2の後部に作業装置3を連結するための装置である。本実施形態の場合、連結装置6は3点リンク機構を含んでいる。本実施形態における連結装置6の具体的構成については後述する。但し、連結装置6の構成は、作業装置3を走行車両2の後部に連結可能な構成であれば特に限定されない。例えば、走行車両2がピックアップトラックの場合、連結装置6は3点リンク機構以外の機構によって作業装置3を連結する。
作業装置3は、例えば、肥料や薬剤等の散布物(粉粒体等)を散布する散布装置、耕耘する耕耘装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。なお、図1,図2では、作業装置3として散布装置を取り付けた例を示している。
走行車両2は、当該走行車両2に搭載された電装品等を制御する制御部であるECU(Electric Control Unit)を備えている。このECU(以下、「車両側ECU」という)は、CPUやEEPROM等を備えるマイクロプロセッサ等により構成されている。車両側ECUと電装品等とはCAN(Controller Area Network)等の回線を介して通信可能に接続されている。
トラクタ2は、当該トラクタ2を駆動するエンジン11からの動力を、作業装置等に伝達するためのPTO軸19を備えている。PTO軸19は、ミッションケース10から後方に向けて突出している。
図3は、作業機1の動力伝達系を示している。
図3に示すように、変速装置13は、主軸(推進軸)13aと、主変速部13bと、副変速部13cと、シャトル部13dと、PTO動力伝達部13eと、を備えている。推進軸13aは、変速装置13のハウジングケースに回転自在に支持されている。推進軸13aには、エンジン11のクランク軸からの動力が伝達される。主変速部13bは、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。主変速部13bは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、推進軸13aから入力された回転速度を変更して出力する(変速する)。
副変速部13cは、主変速部13bと同様に、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。副変速部13cは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、主変速部13bから入力された回転速度を変更して出力する(変速する)。
シャトル部13dは、シャトル軸16と前後進切替部17とを有している。シャトル軸16には、副変速部13cから出力された動力がギア等を介して伝達される。シャトル軸16には、後輪デフ装置14が設けられている。後輪デフ装置14には、後輪5Rを支持する後車軸が回転自在に支持されている。前後進切換部17は、例えば、油圧クラッチや電動クラッチ等のクラッチで構成され、当該クラッチの入切によってシャトル軸16の回転方向、即ち、トラクタ2の前進及び後進を切り換える。
PTO動力伝達部13eは、PTOクラッチ18とPTO軸19とを有している。PTO軸19は、回転自在に支持され、推進軸13aからの動力が伝達可能である。PTO軸19は、PTO推進軸19aとPTO出力軸19bとを有している。PTO推進軸19aは、PTO変速部20を介してPTO出力軸19bに接続されている。但し、PTO推進軸19aは、PTO変速部20を介さずにPTO出力軸19bに接続されていてもよい。
PTO変速部20は、PTO変速レバー等の操作部によって、PTO推進軸19aの回転速度を変更してPTO出力軸19bに伝達することができる。PTO変速部20は、例えば、制御部(車両側ECU)からの制御信号に基づいて操作部を操作可能な電磁ソレノイドや電動モータ等の変速アクチュエータを備えている。
PTOクラッチ18は、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達する接続状態と、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達しない切断状態とに切換可能なクラッチである。具体的には、PTOクラッチ18は、推進軸13aとPTO推進軸19aとの間に設けられている。PTOクラッチ18は、油圧クラッチや電動クラッチ等で構成され、当該クラッチの入切によって、推進軸13aの動力(エンジン11の動力)をPTO軸19に伝達する状態と、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達しない状態とを切り換えることができる。
PTO出力軸19bの中途部には、動力分岐部21が設けられている。動力分岐部21は、PTO出力軸19bに伝達された回転動力を、PTO出力軸19bと接続された入力軸24から出力する第1経路21aと、発電機15に伝達する第2経路21bとに分岐する。動力分岐部21は、後述する伝達機構25(図15参照)から構成されている。本実施形態の場合、伝達機構25は、歯車を含む伝達機構である。但し、動力分岐部21を構成する伝達機構25は、歯車を含む伝達機構には限定されず、他の伝達機構(例えば、プーリとベルトを含む機構、スプロケットとチェーンを含む機構等)であってもよい。
第2経路21bに設けられた発電機15は、インバータ22を介してモータ23と接続されている。モータ23は、電動モータ(電動機)であり、発電機15からの動力(電力)によって駆動(回転)する。インバータ22は、モータ23の回転速度(回転数)を変更する変速装置として機能する。発電機15からの動力によって駆動するモータ23の数は、1つであっても2つ以上であってもよい。本実施形態の場合、発電機15からの動力によって駆動するモータ23の数は2つである。以下、2つのモータ23を、それぞれ第1モータ231、第2モータ232という。第1モータ231及び第2モータ232については、後ほど詳しく説明する。
<発電機ユニット>
次に、発電機15を含む発電機ユニット12について説明する。
図5、図6に示すように、発電機ユニット12は、トラクタ(走行車両)2に装着される。より詳しくは、図7、図8に示すように、発電機ユニット12は、ミッションケース10の後部に装着される。
図9~図15に示すように、発電機ユニット12は、発電機15、入力軸24、伝達機構25、取付フレーム26、コネクタ27を備えている。以下、発電機ユニット12について説明するが、発電機ユニット12に関する方向は、発電機ユニット12をトラクタ2の後部に装着した状態(図5、図6参照)を基準とする。具体的には、図9の矢印A方向を前方、矢印B方向を後方、矢印C方向を左方、矢印D方向を右方という。また、矢印A方向と矢印B方向とを合わせて上下方向、矢印C方向と矢印D方向とを合わせて車両幅方向という。
発電機15は、本実施形態の場合、オルタネータである。但し、発電機15は、モータジェネレータであってもよい。発電機15は、交流発電したものを整流して直流電力を出力する。発電機15の出力電圧は、75Vより低く(75V未満)とすることもできる。低電圧指令(LVD:Low Voltage Directive)(2014/35/EU)では、直流75V~1500Vの電圧範囲で使用する電気機器に対して、本規定に適合した安全性が要求されるが、発電機15の出力電圧を75Vより低くすることで、LVDで定められた電圧範囲よりも低く、より安全な電圧範囲で使用することができる。
また、発電機15は、出力電圧が60V以下であることが好ましい。出力電圧が60V以下の発電機15を使用することによって、絶縁対策を必要としない。また、安全性に優れており、消費電力を削減することもできる。さらに、発電機15を小型化、軽量化することもできる。
さらに、発電機15の出力電圧は、48V以下とすることもできる。発電機15の出力電圧を48V以下とすることにより、自動車の電動化技術を適用することができる。また、農作業に使用される様々な種類の作業装置3に対して電力を供給して駆動させることができる。
発電機15の出力電力は、好ましくは20kW以下であり、例えば、1kW~20kW、5kW~20kW等の範囲に設定される。
入力軸24は、エンジン11からの動力が入力される軸である。図15に示すように、入力軸24は、一端側に第1接続部24aを有している。第1接続部24aには、PTO軸19(PTO出力軸19b)が接続される。本実施形態の場合、第1接続部24aに形成された内歯スプラインに対して、PTO出力軸19bに形成された外歯スプラインが嵌合される。これにより、エンジン11からの動力は、PTO出力軸19bを介して第1接続部24aから入力軸24に入力される。入力軸24の他端側には、第2接続部24bが設けられている。第2接続部24は、作業装置3に接続可能である。本実施形態の場合、第2接続部24bは、入力軸24の外周に形成された外歯スプラインである。これにより、入力軸24に入力された動力を作業装置3に伝達することができる。
PTO出力軸19bは、トラクタ2に当初から(発電機ユニット12を装着する前から)備えられている既設の軸を使用してもよいが、発電機ユニット12を装着する際に既設の軸を新たなPTO出力軸19bに交換してもよい。具体的には、発電機ユニット12を装着する際に、トラクタ2に既設のPTO出力軸19bをミッションケース10から取り外し、長さが異なる新たなPTO出力軸19bをミッションケース10に取り付けてもよい。例えば、既設のPTO出力軸19bを長さが短い新たなPTO出力軸19bに交換することにより、発電機ユニット12をトラクタ2に接近させて装着することが可能となる。
伝達機構25は、入力軸24に入力された動力を発電機15に伝達する機構である。図15に示すように、伝達機構25は、第1歯車251、第2歯車252、第3歯車253、第4歯車254、中間軸255、出力軸256を有している。第1歯車251は、入力軸24の中途部(第1接続部24aと第2接続部24bとの間)に装着されている。第1歯車251は、入力軸24と同一軸心上に配置されており、入力軸24と一体的に回転する。第2歯車252及び第3歯車253は、中間軸255に装着されている。中間軸255は、入力軸24と平行に且つ入力軸24の上方に配置されている。第2歯車252及び第3歯車253は、中間軸255の軸方向に並んで且つ中間軸255と同一軸心上に配置されており、中間軸255と一体的に回転する。第2歯車252は、第1歯車251と噛み合っている。第3歯車253は、第4歯車254と噛み合っている。第4歯車254は、出力軸256に装着されている。出力軸256は、中間軸255と平行に且つ中間軸255の上方に配置されている。第4歯車254は、出力軸256と同一軸心上に配置されており、出力軸256と一体的に回転する。
第1歯車251、第2歯車252、第3歯車253、第4歯車254、中間軸255は、ハウジング28に収容されている。ハウジング28の内部には、第1軸受29A、第2軸受29B、第3軸受29Cが配置されている。第1軸受29Aは、入力軸24を回転可能に支持している。第2軸受29Bは、中間軸255を回転可能に支持している。第3軸受29Cは、出力軸256を回転可能に支持している。図10~図15に示すように、ハウジング28は、外形が扁平な略直方体状であって、第1壁部28aと、第2壁部28bと、周壁部28cと、を有している。
図15に示すように、第1壁部28aは、入力軸24の一端側(前側)に配置されている。第2壁部28bは、入力軸24の他端側(後側)に配置されている。第2壁部28bは、第1壁部28aと対向している。周壁部28cは、第1壁部28aの周囲と第2壁部28bの周囲とを接続している。図10に示すように、周壁部28cは、上壁部28c1と、下壁部28c2と、左壁部28c3と、右壁部28c4と、を有している。上壁部28c1には、給油口28dが設けられている。図10、図14に示すように、左壁部28c3には、第1突出部28eが設けられている。第1突出部28eは、板状であって左壁部28cから左方に突出している。第1突出部28eは、上下方向に間隔をあけて複数(2つ)設けられている。右壁部28c4には、第2突出部28fが設けられている。第2突出部28fは、板状であって右壁部28c4から右方に突出している。第2突出部28fは、上下方向に間隔をあけて複数(2つ)設けられている。第1突出部28eには、第1貫通孔28gが形成されている。第2突出部28fには、第2貫通孔28hが形成されている。
図15に示すように、入力軸24は、ハウジング28を貫通している。入力軸24の第1接続部24aは、ハウジング28の第1壁部28aから前方に突出している。入力軸24の第2接続部24bは、ハウジング28の第2壁部28bから後方に突出している。出力軸256は、一端部(後端部)がハウジング28から後方に突出しており、当該突出した部分に発電機15の入力軸15aが接続される。これにより、発電機15は、入力軸24の上方に配置される。
発電機15は、ハウジング28の第2壁部28bに対してボルト(図示略)により取り付けられている。これにより、発電機15、入力軸24、伝達機構25、ハウジング28は、一体化されている。以下の説明において、一体化されている発電機15、入力軸24、伝達機構25、ハウジング28をまとめて「伝達ユニット45」という。
エンジン11からの回転動力は、PTO出力軸19bを介して第1接続部24aから入力軸24に入力される。入力軸24に入力された回転動力は、2つに分岐して伝達される。分岐された回転動力の一方は、入力軸24の第2接続部24bから出力される。分岐された回転動力の他方は、入力軸24に装着された第1歯車251から第2歯車252、第3歯車253、第4歯車256を介して出力軸256から出力されて、出力軸256から発電機15に伝達される。
このように、エンジン11からの回転動力は、伝達機構25を介して発電機15に伝達され、発電機15が駆動される。伝達機構25は変速機構(増速機構)としても機能する。そのため、PTO出力軸19bの回転数に比べて出力軸256の回転数が増加する。また、エンジン11からの回転動力は、出力軸256からの出力とは別に、入力軸24の第2接続部24bからも出力される。
図14等に示すように、伝達ユニット45は、取付フレーム26に取り付けられる。取付フレーム26は、装着部33、取付部34、連繋部35を有している。本実施形態の場合、取付フレーム26は、ヒッチ部を備えた梯子状のフレーム(ラダーヒッチフレーム)である。但し、取付フレーム26は、ラダーヒッチフレームに限定されない。
装着部33は、トラクタ2に対して装着される部分である。装着部33は、第1装着部331と第2装着部332とを含む。第1装着部331は、取付フレーム26の左部に配置されている。第2装着部332は、取付フレーム26の右部に配置されている。第1装着部331は、トラクタ2の幅方向(車両幅方向)の一方側(左側)に装着される。第2装着部332は、トラクタ2の幅方向の他方側(右側)に装着される。
図10~図14に示すように、第1装着部331は、第1前板331aと第1側板331bとを有している。第1前板331aは、上下方向に延びる細長い板(帯状板)である。第1前板331aは、一方の面が前方(トラクタ2側)を向き、他方の面が後方(作業装置3側)を向いて配置される。第1前板331aには、上下方向に間隔をあけて複数の第1装着孔331cが形成されている。第1側板331bは、第1前板331aから後方に延設されている。第1側板331bは、一方の面(外面)が左方を向き、他方の面(内面)が右方を向いて配置される。第1側板331bには、上下方向に間隔をあけて、複数の第1ねじ孔331dが形成されている。第1側板331bの上部には、下方に向けて切り欠かれた第1切欠部331eが形成されている。
図10~図14に示すように、第2装着部332は、第2前板332aと第2側板332bとを有している。第2前板332aは、上下方向に延びる細長い板(帯状板)である。第2前板332aは、一方の面が前方を向き、他方の面が後方を向いて配置されている。第2前板332aには、上下方向に間隔をあけて複数の第2装着孔332cが形成されている。第2側板332bは、第2前板332aから後方に延設されている。第2側板332bは、一方の面(外面)が左方を向き、他方の面(内面)が左方を向いて配置されている。第2側板332bの他方の面(内面)は、第1側板331bの他方の面(内面)と対向している。第2側板332bには、上下方向に間隔をあけて、複数の第2ねじ孔332dが形成されている。第2側板332bの上部には、下方に向けて切り欠かれた第2切欠部332eが形成されている。
取付部34は、伝達機構25を含む伝達ユニット45が取り付けられる部分である。取付部34は、第1取付部341と第2取付部342とを含む。
第1取付部341は、第1側板331bの内面から右方(第2側板332b側)に向けて延設されている。第1取付部341は、板状であって、一方の面が前方を向き、他方の面が後方を向いている。第1取付部341は、第1装着部331の第1前板331aの後方に配置されている。第1取付部341の一方の面(前面)は、第1前板331aの他方の面(後面)と対向している。第1取付部341は、上下方向に間隔をあけて複数(2つ)設けられている。第1取付部341には、第1取付孔341aが形成されている。
第2取付部342は、第2側板332bの内面から左方(第1側板331b側)に向けて延設されている。第2取付部342は、板状であって、一方の面が前方を向き、他方の面が後方を向いている。第2取付部342は、第2装着部332の第2前板332aの後方に配置されている。第2取付部342の一方の面(前面)は、第2前板332aの他方の面(後面)と対向している。第2取付部342は、上下方向に間隔をあけて複数(2つ)設けられている。第2取付部342には、第2取付孔342aが形成されている。
連繋部35は、車両幅方向に延びており、第1装着部331と第2装着部332とを繋いでいる。具体的には、連繋部35は、第1側板331bの内面と第2側板332bの内面とを繋いでいる。連繋部35は、第1連繋部351と第2連繋部352とを含む。第1連繋部351は、装着部33の後方であって且つ取付部34の前方に設けられている。第1連繋部351は、第1側板331bと第2側板332bとを繋ぐと共に、第1前板331aと第2前板332aとを繋いでいる。第2連繋部352は、第1連繋部351の下方において車両幅方向に延びている。第2連繋部352は、第1側板331bの下部と第2側板332bの下部とを繋いでいる。第2連繋部352には、ドローバ(牽引ヒッチ)等を取り付けることができる。
第1連繋部351には、油タンク36が取り付けられている。油タンク36は、ハウジング28内に供給される油を貯留している。図12に示すように、油タンク36は、伝達ユニット45を取付フレーム26に取り付けた状態において、ハウジング28の給油口28dの前方近傍に位置する。
図12、図14等に示すように、取付フレーム26には、コネクタ37(以下、「第1出力コネクタ37」という)が取り付けられている。第1出力コネクタ37と発電機15とは、導電ケーブル(図示略)により接続されている。これにより、発電機15から出力される電力は、導電ケーブルを介して第1出力コネクタ37へと導かれる。第1出力コネクタ37は、発電機15から出力される電力を作業装置3に供給するためのケーブル(以下、「電力供給ケーブル」という)を接続可能である。電力供給ケーブルを第1出力コネクタ37に接続することにより、発電機15から出力される電力を第1出力コネクタ37から電力供給ケーブルを介して出力することができる。図6に第1出力コネクタ37に電力供給ケーブル95Aを接続した状態を示している。電力供給ケーブル95Aについては後程さらに説明する。
第1出力コネクタ37は、第1装着部331と第2装着部332との間に配置されている。言い換えれば、第1出力コネクタ37は、装着部33の外面よりも内側(外面から突出しない位置)に配置されている。具体的には、第1出力コネクタ37は、第1側板331bと第2側板332bとの間に配置されている。本実施形態の場合、第1出力コネクタ37は第2側板332bの内面に取り付けられている。但し、第1出力コネクタ37は、他の位置、例えば、第1側板331bの内面や第1連繋部351等に取り付けてもよい。
第1出力コネクタ37は、第2側板332bの内面の上部に取り付けられることにより、発電機ユニット12の上部に配置されている。第1出力コネクタ37は、電力供給ケーブルが接続される接続部37aが上方を向いて配置されている。これにより、第1出力コネクタ37の接続部37aに対して、電力供給ケーブルを上方から容易に接続して配策することができる。接続部37aは、不使用時には蓋体(図示略)により塞がれる。
図9、図16等に示すように、取付フレーム26には、カバー部材38が取り付けられている。カバー部材38は、一方側板38aと、他方側板38bと、上板38cと、を有している。一方側板38aと他方側板38bと上板38cとは、1枚の板(金属板等)により一体的に形成されている。一方側板38a及び他方側板38bは、一方の面が左方を向き、他方の面が右方を向いて配置される。一方側板38aの他方の面(内面)と他方側板38bの一方の面(内面)とは対向している。上板38cは、一方側板38aの上部と他方側板38bの上部とを連結している。一方側板38aには、上下方向に間隔をあけて複数(2つ)の第1孔38dが形成されている。他方側板38bには、上下方向に間隔をあけて複数(2つ)の第2孔38eが形成されている。
取付フレーム26に対するカバー部材38の取り付けは、第1側板331bと一方側板38aを重ねてボルトで締結し、第2側板332bと他方側板38bを重ねてボルトで締結することにより行われる。より詳しくは、図16の一点鎖線L1に示すように、第1孔38dと第1ねじ孔331dとを重合し、第2孔38eと第2ねじ孔332dとを重合し、第1孔38dと第2孔38eにそれぞれボルト(図示略)を挿通し、当該ボルトを第1ねじ孔331dと第2ねじ孔332dにそれぞれ螺合する。これにより、図9に示すように、カバー部材38が取付フレーム26に取り付けられる。
カバー部材38は、取付フレーム26に取り付けられた状態において、取付フレーム26から後方に突出する。また、カバー部材38は、取付フレーム26に取り付けられた状態において、発電機15の周囲を覆う。具体的には、一方側板38aは、発電機15の一側方(左方)を覆う。他方側板38bは、発電機15の他側方(右方)を覆う。上板38cは、発電機15の上方を覆う。つまり、カバー部材38は、発電機15の周囲を3つの方向(左方、右方、上方)から覆う。また、カバー部材38は、ハウジング28から突出した出力軸24の周囲も3方向(左方、右方、上方)から覆う。これにより、作業者等が、発電機15や出力軸24等へ意図せずに接触することを防ぐことができる。尚、カバー部材38は、前後方向においては、発電機15の一部のみを覆うものでもよい。図12等に示すように、本実施形態の場合、カバー部材38は、前後方向において、発電機15の前部を上記3方向から覆っているが、後部は覆っていない。但し、カバー部材38は、前後方向において、ハウジング28から突出した出力軸24の全部(全長)を上記3方向から覆うものとされる。
また、図10に示すように、カバー部材38が取付フレーム26に取り付けられた状態において、第1出力コネクタ37は上板38cよりも下方に配置される。また、図12に示すように、第1出力コネクタ37は、前後方向において、カバー部材38と第2装着部332の第2前板332aとの間に配置される。これらの構成により、第1出力コネクタ37に対する物体や作業者の意図しない接触を防止することができる。
図10~図13に示すように、発電機ユニット12は、筐体39に収容された制御部30(以下、「第1制御部30」という)を備えている。第1制御部30は、電子・電気部品(CPU、記憶装置等)等から構成されたコンピュータであり、具体的にはECUである。本実施形態の場合、第1制御部30は、発電機ユニット12に備えられているが、トラクタ2に備えられていてもよいし、トラクタ2と発電機ユニット12の両方に備えられていてもよい。第1制御部30は、車両側ECUからの制御信号に基づいて発電機15からの出力を制御する。本実施形態の場合、第1制御部30と車両側ECUとは別々に設けられているが、車両側ECUが第1制御部30の機能を有するものであってもよい。また、第1制御部30は、車両側ECUからの制御信号に依らずに、発電機15からの出力を制御してもよい。
第1制御部30は、発電機15から第1出力コネクタ37への電力の出力を制御する。具体的には、第1制御部30は、発電機15から第1出力コネクタ37への電力の出力のオンオフを制御する。また、第1制御部30は、発電機15から第1出力コネクタ37への電力の出力の増減を制御してもよい。
第1制御部30は、筐体39に収容されて取付フレーム26に取り付けられている。具体的には、第1制御部30を収容する筐体39は、第2装着部332の第2側板332bに取り付けられている。尚、本実施形態の場合、筐体39は、第2側板332bの外面に取り付けられているが、第1側板331bの外面に取り付けてもよい。また、筐体39は、第2側板332bの内面又は第1側板331bの内面、或いは連繋部35に取り付けてもよい。この場合、第1制御部30は、第1装着部331と第2装着部332との間に配置される。
図14に示すように、発電機ユニット12は、取付フレーム26に伝達ユニット45を取り付けることにより構成される。取付フレーム26に対する伝達ユニット45の取り付けは、第1取付部341と第1突出部28eを重ねて締結具で締結し、第2取付部342と第2突出部28fを重ねて締結具で締結することにより行われる。具体的には、図14の一点鎖線L2に示すように、第1貫通孔28gと第1取付孔341aとを重合し、第2貫通孔28hと第2取付孔342aとを重合し、重合された各孔にボルト(図示略)を挿通してナット(図示略)を螺合する。これにより、図10等に示すように取付フレーム26に伝達ユニット45が取り付けられる。
図10等に示すように、取付フレーム26に伝達ユニット45を取り付けた状態において、伝達ユニット45は第1側板331bと第2側板332bとの間に配置される。また、発電機15及び入力軸24は、第1装着部331と第2装着部332との間に配置される。
図7、図8等に示すように、発電機ユニット12は、トラクタ2に装着される。具体的には、発電機ユニット12は、トラクタ2のミッションケース10の後部に装着される。ミッションケース10に対する発電機ユニット12の装着は、図8の一点鎖線L3に示すように、取付フレーム26に形成された第1装着孔331c及び第2装着孔332cをミッションケース10の後面に形成されたねじ孔10aと重合して、ボルト(図示略)を第1装着孔331c及び第2装着孔332cに挿通してねじ孔10aに螺合する。これにより、取付フレーム26がミッションケース10の後面に装着され、発電機ユニット12がトラクタ2に装着される。尚、図8では、第1装着孔331c及び第2装着孔332cとねじ孔10aとの重合を表す一点鎖線L3は一部のみ(見える部分のみ)を示している。第1装着孔331c及び第2装着孔332cとねじ孔10aとの重合箇所の数は、第1装着孔331c及び第2装着孔332cの合計数と一致する。本実施形態の場合、重合箇所は合計10箇所(第1装着部331側が5箇所、第2装着部332側が5箇所)となる。
図8の一点鎖線L4に示すように、ミッションケース10から突出しているPTO軸19(PTO出力軸19b)と、発電機ユニット12の入力軸24とは、同一直線上に配置される。これにより、発電機ユニット12をミッションケース10に装着した状態において、ミッションケース10から突出しているPTO軸19(PTO出力軸19b)は、発電機ユニット12の入力軸24の第1接続部24aに接続される(図15参照)。
発電機ユニット12は、取付フレーム26とミッションケース10とを締結するボルトを着脱することによって、ミッションケース10に対して容易に着脱することができる。発電機ユニット12をミッションケース10に対して着脱することによって、発電機15をミッションケース10に対して着脱することができる。従って、発電機15を備えていないトラクタ2に対しても、必要に応じて発電機15を容易に装着することができる。発電機ユニット12をトラクタ2に装着することにより、トラクタ2から作業装置3のモータ23に電力を供給してモータ23を駆動することができる。
次に、発電機ユニット12をミッションケース10に装着した状態における、発電機ユニット12と連結装置6との位置関係等について説明する。
図7に示すように、連結装置6は、ミッションケース10の後部に接続されている。連結装置6は、リフトアーム6A、3点リンク機構6B、シフトシリンダ6Cを有している。
リフトアーム6Aは、第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとを含む。第1リフトアーム6ALは、車両幅方向の一方(左方)に配置されている。第2リフトアーム6ARは、車両幅方向の他方(右方)に配置されている。第1リフトアーム6AL及び第2リフトアーム6ARは、前端部がミッションケース10の上部に支持された横軸6Dに枢支されており、後方に向けて延びている。
3点リンク機構6Bは、トップリンク6B1、ロアリンク6B2、リフトロッド6B3を有している。トップリンク6B1は、第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとの間に配置され、前端部がミッションケース10の上部に設けられた第1枢支部10bに枢支されている。ロアリンク6B2は、第1ロアリンク6B2Lと第2ロアリンク6B2Rとを含む。第1ロアリンク6B2L及び第2ロアリンク6B2Rの前端部は、ミッションケース10の左下部と右下部に設けられた第2枢支部10cに枢支されている。リフトロッド6B3は、第1リフトロッド6B3Lと第2リフトロッド6B3Rとを含む。第1リフトロッド6B3Lは、上端部が第1リフトアーム6ALの後端部に接続されており、下端部が第1ロアリンク6B2Lの長さ方向の中途部に接続されている。第2リフトロッド6B3Rは、上端部が第2リフトアーム6ARの後端部に接続されており、下端部が第2ロアリンク6B2Rの長さ方向の中途部に接続されている。
トップリンク6B1の後端部とロアリンク6B2の後端部には、作業装置3を連結可能なジョイントが設けられている。トップリンク6B1の後端部とロアリンク6B2の後端部に作業装置3を連結することにより、作業装置3はトラクタ2の後部に昇降可能に連結される。
リフトシリンダ6Cは、油圧シリンダである。リフトシリンダ6Cは、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRとを含む。第1リフトシリンダ6CLは、一端部が第1リフトアーム6ALに接続され、他端部がミッションケース10の左下部に接続されている。第2リフトシリンダ6CRは、一端部が第2リフトアーム6ARに接続され、他端部がミッションケース10の右下部に接続されている。リフトシリンダ6Cの駆動によって、第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARは、横軸6D回りに回動して上下方向に揺動する。第1リフトシリンダ6CL及び第2リフトシリンダ6CRには、電磁制御弁が接続されている。電磁制御弁は、制御部(車両側ECU)からの制御信号に基づいて第1リフトシリンダ6CL及び第2リフトシリンダ6CRを駆動(伸縮)することができる。
リフトシリンダ6Cを駆動することによって、作業装置3の高さの調整と、車両幅方向の傾き(右部の高さと左部の高さの差)の調整を行うことができる。高さの調整の際には、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRの両方を同様に駆動する。傾きの調整の際には、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRのいずれか一方を駆動する。具体的には、作業装置3の高さが低い側に配置されたリフトシリンダを伸長するか、高さが高い側に配置されたリフトシリンダを短縮するように駆動する。
発電機ユニット12は、車両幅方向において、第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとの間に配置されている。また、発電機ユニット12は、車両幅方向において、第1リフトロッド6B3Lと第2リフトロッド6B3Rとの間に配置されている。また、発電機ユニット12は、車両幅方向において、第1ロアリンク6B2Lと第2ロアリンク6B2Rとの間に配置されている。別の言い方をすれば、発電機ユニット12の第1装着部331は、第1リフトアーム6AL、第1リフトロッド6B3L、第1ロアリンク6B2Lの右方(車両幅方向の内方)に配置されている。第2装着部332は、第2リフトアーム6AR、第2リフトロッド6B3R、第2ロアリンク6B2Rの左方(車両幅方向の内方)に配置されている。これにより、発電機ユニット12と、リフトアーム6A、リフトロッド6B3、ロアリンク6B2との干渉を回避することができる。
また、発電機ユニット12は、トップリンク6B1の前端部を枢支する第1枢支部26よりも下方に配置されている。これにより、トップリンク6B1の揺動部分が、発電機ユニット12に干渉することを回避できる。また、発電機15の上方は、カバー部材38の上板38cにより覆われている。上板38cは、トップリンク6B1の前端部を枢支する第1枢支部26の下方において、発電機ユニット12の上方を覆っている。これにより、発電機15とトップリンク6B1との干渉を回避することができる。
<作業装置>
次に、作業装置3について説明する。
作業装置3は、農作業を行う装置である。言い換えれば、作業装置3は、圃場に対して作業を行う装置である。作業装置3は、発電機ユニット12が装着されたトラクタ2から供給される電力により駆動する。作業装置3は、60V以下の低電圧で作動可能なものが好適に使用される。また、作業装置3は、48V以下の低電圧で作動可能なものであってもよい。具体的には、作業装置3としては、圃場に散布物を散布する散布装置、圃場に種を播く播種装置、刈り取った作物(牧草等)を集めて成形する成形装置(ベーラ)等が好適に使用される。散布装置としては、圃場に肥料を散布する肥料散布装置(スプレッダ)や、圃場に薬剤(薬液)を散布する薬剤散布装置(スプレーヤ)等が使用される。播種装置としては、例えば、種子を条播きするドリルシーダ等のシーダや、一定間隔で種を播くプランタ等が使用される。本実施形態の場合、作業装置3は散布装置であるため、以下、作業装置3が散布装置3であるとして説明をする。
図1、図2に示すように、散布装置3は、収容部31と散布部32とを備えている。
収容部31は、圃場に散布される散布物(肥料、農薬等)を収容する。
収容部31は、略逆角錐形のホッパから構成されている。ホッパは、第1ホッパ31Aと第2ホッパ31Bとを含む。第1ホッパ31Aは、車両幅方向の一方側(左側)に配置されている。第2ホッパ31Bは、車両幅方向の他方側(右側)に配置されている。但し、ホッパの数は限定されない。収容部31は、上端部に散布物の投入口を有し、下端部に散布物を取り出す取出口を有している。取出口の数は限定されないが、本実施形態の場合、後述する回転体(ディスク)40の数に応じて設定されている。具体的には、回転体40の数が2つであり、取出口の数も2つである。尚、回転体40の数が2つであり、取出口の数が1つであってもよい。
散布部32は、作業装置3の作業部であって、回転することにより農作業(肥料や薬剤等の散布物の散布)を行う。散布部32は、収容部31に収容された散布物を散布する。図1、図4に示すように、散布部32は、収容部31の下方に設けられている。散布部32は、少なくとも2つ以上の散布部を含んでいる。少なくとも2つ以上の散布部は、全ての散布部の散布方向が異なることが好ましいが、散布方向が同じ散布部を含んでいてもよい。
図2に示すように、散布部32は、第1散布部321と第2散布部322とを含む。即ち、本実施形態の場合、散布部32の数は2つである。但し、散布部32の数は、2つには限定されず、3つ以上であってもよい。散布部32の数と回転体40の数は同じである。第1散布部321と第2散布部322とは、車両幅方向に並んで設けられている。以下、2つの散布部(第1散布部321、第2散布部322)について説明する。
第1散布部321は、車両幅方向の一方側(左側)に配置されている。第2散布部322は、車両幅方向の他方側(右側)に配置されている。図2、図4に示すように、第1散布部321は、第1回転体410と第1シャッタ装置411とを有している。
第1回転体410は、円板状であって、縦方向(上下方向)に延びる中心軸40a回りに回転する。第1回転体410の上面には、複数の回転翼(羽根部材)40bが取り付けられている。回転翼40bは、第1回転体410と共に中心軸40a回りに回転する。複数の回転翼40bは、周方向に間隔をあけて配置されており、中心軸40aの近傍から径外方向に向けて延びている。第1回転体410は、中心軸40a回りに回転することによって、第1取出口71から落下してきた散布物を、回転翼40bに当てて外方(径外方向)に向けて放射状に飛散させる。
第1シャッタ装置411は、シャッタと電動モータ(図示略)とを有している。シャッタは、収容部31の一方の取出口(第1取出口)311に取り付けられており、移動することによって第1取出口311の面積(開度)を変更することができる。電動モータは、ステッピングモータ等であり、シャッタと連結されている。第1シャッタ装置411は、電動モータの駆動によりシャッタを移動させることによって、第1取出口311の開度を変更する。これにより、第1散布部321による散布物の散布量が調整される。
図5、図6に示すように、第2散布部322は、第2回転体420と第2シャッタ装置421とを有している。第2回転体420の構成は、第1回転体410と同様であるため、説明を省略する。第2シャッタ装置421の構成は、シャッタが収容部31の他方の取出口(第2取出口)312に取り付けられていること以外は、第1シャッタ装置411と同じである。第2シャッタ装置421は、第2取出口312の開度を変更することにより、第2散布部322による散布物の散布量を調整することができる。
図2に示すように、第1回転体410と第2回転体420とは、車両幅方向に並んで設けられている。図2に示すように、第1回転体410と第2回転体420とは、互いに異なる方向に回転する。本実施形態の場合、図2中の黒矢印で示すように、平面視において、第1回転体410が時計回り方向に回転し、第2回転体420が反時計回り方向に回転する。
第1回転体410は、収容部31の第1取出口311の下方に配置されている。第1取出口311から落下してきた散布物は、回転する第1回転体410によって散布される。第2回転体420は、収容部31の第2取出口312の下方に配置されている。第2取出口312から落下してきた散布物は、回転する第2回転体420によって散布される。
本実施形態の場合、第1散布部321と第2散布部322の散布方向はそれぞれ異なっている。第1散布部321の散布方向は、車両幅方向の一方及び後方である。第2散布部322の散布方向は、車両幅方向の他方及び後方である。図2の白抜き矢印に示すように、本実施形態の場合、第1散布部321の主な散布方向は左方及び左後方、第2散布部322の主な散布方向は右方及び右後方である。尚、白抜き矢印で示した方向は、主たる散布方向であり、実際には白抜き矢印で示した方向を含む扇形状に拡がって散布される。
<動力伝達機構>
図2、図4に示すように、散布装置3は、動力伝達機構50を備えている。動力伝達機構50は、モータ23の駆動により生じる動力とエンジン11から供給される動力とが入力され、且つ入力された動力を散布部(作業部)32に伝達する。具体的には、動力伝達機構50は、モータ23からの動力とPTO軸19からの動力を第1回転体410及び第2回転体420に伝達可能な機構である。
以下、図17に基づいて動力伝達機構50について説明する。但し、図17に示す動力伝達機構50は一例であって、動力伝達機構50の構成を限定するものではない。
図17は、動力伝達機構50を含む駆動部49の構成を示している。駆動部49は、第1駆動源48Aと、第3駆動源48Cと、動力伝達機構50と、を有している。駆動部49は、散布装置3に備えられており、散布部32を駆動する。
散布部32は、駆動部49に含まれる駆動源(第1駆動源48A、第3駆動源48C)と、トラクタ2に備えられた別の駆動源(第2駆動源48B)からの動力により駆動される。
第1駆動源48Aと第3駆動源48Cは、散布装置3の駆動部49に含まれる変速可能な駆動源である。本実施形態の場合、第1駆動源48Aと第3駆動源48Cは、それぞれ発電機15からの動力によって駆動する第1モータ231と第2モータ232である。第2駆動源48Bは、トラクタ2に備えられたエンジン11である。
動力伝達機構50は、第1駆動源48Aからの動力及び第2駆動源48Bからの動力を散布部32の回転体(第1回転体410、第2回転体420)に伝達可能である。詳しくは、動力伝達機構50は、第1駆動源48Aの動力を第1回転体410と第2回転体420に伝達可能であり、第2駆動源48Bの動力を第1回転体410と第2回転体420に伝達可能である。第3駆動源48Cは、主として、第1回転体410及び第2回転体420の回転速度を変更するために使用される駆動源である。
動力伝達機構50は、入力伝達部51と第1遊星歯車機構52とを有している。
入力伝達部51は、第1駆動源48A(第1モータ231)から入力される動力と、第2駆動源48B(エンジン11)から入力される動力とを、第1遊星歯車機構52に伝達する。入力伝達部51は、第1入力歯車53、第2入力歯車54、第3入力歯車55、第4入力歯車56、第1軸57、第2軸58、第3軸59を有している。第1入力歯車53は、第1モータ231の出力軸と接続されており、第1モータ231の駆動により回転する。第2入力歯車54は、第1入力歯車53と噛み合っており、第1入力歯車53の回転に伴って回転する。第2入力歯車54の中心には、第1軸57の一端側が接続されている。第3入力歯車55の中心には、第2軸58の一端側が接続されている。第2軸58の他端側は、接続具(ユニバーサルジョイント等)を介して入力軸24の第2接続部24b(図15参照)と接続されている。エンジン11からの回転動力は、PTO出力軸19bを介して入力軸24に入力される。入力軸24に入力された回転動力は、図15に示した伝達機構25を介して2つの経路に分岐されて伝達される。分岐された回転動力は、一方が発電機15に伝達され、他方が入力軸24の第2接続部24bから第2軸58に伝達される。
第4入力歯車56は、第3入力歯車55と噛み合っており、第3入力歯車55の回転に伴って回転する。第4入力歯車56には、第3軸59の一端側が接続されている。
第1遊星歯車機構52は、第1太陽歯車60と、第1遊星歯車61と、第1遊星キャリア62と、第1内歯車63と、を有している。第1太陽歯車60は、第1遊星歯車61と噛み合っている。第1遊星歯車61は、第1遊星キャリア62により回転可能に支持されており、第1太陽歯車60の周囲を回転(公転)可能である。第1遊星キャリア62は、第1遊星歯車61の回転(公転)に伴って回転する。第1内歯車63は、第1遊星歯車61と噛み合っている。第1遊星歯車61には、第3軸59の他端側が接続されている。これにより、第4入力歯車56の回転に伴って第1遊星歯車61が第1太陽歯車60の周囲を回転(公転)し、第1遊星歯車61の回転に伴って第1内歯車63が回転する。
第1遊星歯車機構52には、第1遊星歯車機構52から動力を出力する出力伝達軸64が接続されている。出力伝達軸64の一端側は、第1内歯車63の中心に接続されている。出力伝達軸64の他端側は、後述する分離伝達部65と接続されている。これにより、第1遊星歯車機構52から出力伝達軸64に出力された動力は、分離伝達部65に伝達される。
分離伝達部65は、出力伝達軸64から出力された動力を一方と他方に分離して伝達する。分離伝達部65は、第1伝達歯車66と、第2伝達歯車67と、一方伝達軸68と、他方伝達軸69と、を有している。第1伝達歯車66の中心には、出力伝達軸64の他端側が接続されている。第2伝達歯車67は、第1伝達歯車66と噛み合っている。分離伝達部65を構成する歯車(第1伝達歯車66、第2伝達歯車67)は、いずれも傘歯車である。第1伝達歯車66の回転軸の方向は、第2伝達歯車67の回転軸の方向と交差(直交)している。
第2伝達歯車67には、一方伝達軸68の一端側及び他方伝達軸69の一端側がそれぞれ接続されている。一方伝達軸68と他方伝達軸69とは、第2伝達歯車67の中心から互いに反対側に向けて延びている。これにより、出力伝達軸64から出力された動力は、分離伝達部65において、第2伝達歯車67から一方伝達軸68(一方)と他方伝達軸69(他方)とに分離して伝達される。
一方伝達軸68は、第1動力伝達部70と接続されている。
第1動力伝達部70は、分離伝達部65から一方(一方伝達軸68)に伝達された動力を、第1回転体410に伝達する。第1動力伝達部70は、変速部71と、伝達軸72と、第3伝達歯車73と、第4伝達歯車74と、を有している。
変速部71は、第3駆動源48C(第2モータ232)を含む。変速部71は、第3駆動源48Cの変速に応じて第1回転体410又は第2回転体420の回転速度を変更する。変速部71は、第2遊星歯車機構75と駆動歯車76とを有している。
第2遊星歯車機構75は、第2太陽歯車77と、第2遊星歯車78と、第2遊星キャリア79と、第2内歯車80と、を有している。
第2太陽歯車77は、第2遊星歯車78と噛み合っている。第2太陽歯車77は、分離伝達部65と接続されている。具体的には、第2太陽歯車77の中心に、一方伝達軸68の他端側が接続されている。第2遊星歯車78は、第2太陽歯車77と噛み合っている。第2遊星歯車78は、第2遊星キャリア79により回転可能に支持されており、第2太陽歯車77の周囲を回転(公転)可能である。第2遊星キャリア79は、第2遊星歯車78の回転(公転)に伴って回転する。
第2内歯車80は、内周面に形成された内歯と、外周面に形成された外歯と、を有している。内歯は、第2遊星歯車78と噛み合っている。外歯は、中継歯車81と噛み合っている。中継歯車81は、第3駆動源48Cからの動力により回転する駆動歯車76と噛み合っている。
第2遊星キャリア79には、伝達軸72の一端側が接続されている。伝達軸72の他端側は、第3伝達歯車73の中心に接続されている。第4伝達歯車74は、第3伝達歯車73に噛み合っている。第4伝達歯車74の回転軸の方向は、第3伝達歯車73の回転軸の方向と交差(直交)している。第4伝達歯車74の中心は、第1回転体410の中心軸と接続されている。これにより、第4伝達歯車74の回転の動力は、第1回転体410に伝達される。
第2太陽歯車77は、分離伝達部65を介して第2回転体420に動力を伝達可能である。第2遊星歯車78は、第2遊星キャリア79及び伝達軸72を介して第1回転体410に動力を伝達可能である。
尚、第2太陽歯車77の中心に伝達軸72の一端側を接続し、伝達軸72の他端側を第3伝達歯車73の中心に接続し、第2遊星キャリア79に一方伝達軸68の他端側を接続し、一方伝達軸68の一端側を第2伝達歯車67に接続してもよい。この場合、第2遊星歯車78は第2遊星キャリア79及び分離伝達部65を介して第2回転体420に動力を伝達可能であり、第2太陽歯車77は伝達軸72を介して第1回転体410に動力を伝達可能である。
他方伝達軸69は、第2動力伝達部82と接続されている。
第2動力伝達部82は、分離伝達部65から他方(他方伝達軸69)に伝達された動力を、第2回転体420に伝達可能である。
第2動力伝達部82は、第5伝達歯車83と第6伝達歯車84とを有している。第2動力伝達部82を構成する歯車(第5伝達歯車83、第6伝達歯車84)は、いずれも傘歯車である。
第5伝達歯車83の中心には、他方伝達軸69の他端側が接続されている。第6伝達歯車84は、第5伝達歯車83に噛み合っている。第6伝達歯車84の回転軸の方向は、第5伝達歯車83の回転軸の方向と交差(直交)している。第6伝達歯車84の中心は、第2回転体420の中心軸と接続されている。
上記第1遊星歯車機構52において、第3軸59と接続された第1遊星キャリア62は、エンジン11からの動力がPTO軸19を介して入力される第1入力部である。また、第1軸57と接続された第1太陽歯車60は、モータ23の駆動により生じる動力が入力される第2入力部である。また、上記動力伝達機構50において、出力伝達軸64、分離伝達部65、第1動力伝達部70、第2動力伝達部82は、第1遊星歯車機構52から散布部(作業部)32に対して動力を出力する出力部である。
以下、駆動部49の作用(動作)について説明する。
第1駆動源48A(第1モータ231)からの動力は、入力伝達部51を介して第1遊星歯車機構52に入力される。第2駆動源48B(エンジン11)からの動力は、PTO出力軸19b、入力軸24、第2軸58、入力伝達部51を介して第1遊星歯車機構52に入力される。
第1遊星歯車機構52に入力された動力は、出力伝達軸64から出力されて分離伝達部65に伝達される。分離伝達部65は、出力伝達軸64から出力された動力を一方(一方伝達軸68)と他方(他方伝達軸69)に分離して伝達する。つまり、分離伝達部65は、第1駆動源48Aからの動力及び第2駆動源48Bからの動力を、一方と他方に分離して伝達する。
分離伝達部65から一方(一方伝達軸68)に伝達された動力は、第1動力伝達部70を介して第1回転体410に伝達される。分離伝達部65から他方(他方伝達軸69)に伝達された動力は、第2動力伝達部82を介して第2回転体420に伝達される。
従って、第1駆動源48A(第1モータ231)からの動力によって、第1回転体410と第2回転体420を回転させることができる。また、第2駆動源48B(エンジン11)からの動力によって、第1回転体410と第2回転体420を回転させることもできる。つまり、第1駆動源48Aと第2駆動源48Bのいずれかの動力を使用して第1回転体410と第2回転体420を回転させることができる。また、第1駆動源48Aと第2駆動源48Bの両方の動力を使用して第1回転体410と第2回転体420を回転させることもできる。加えて、第1駆動源48Aは変速可能であるため、第1駆動源48Aを変速することによって、第1回転体410と第2回転体420の回転速度を変更することができる。
さらに、駆動部49は、動力伝達機構50が変速部71を有しているため、第1回転体410の回転速度と第2回転体420の回転速度とを異ならせることができる。
以下、変速部71の作用について説明する。
変速部71の第3駆動源48C(第2モータ232)を駆動すると、当該第3駆動源48Cからの動力は、駆動歯車76と中継歯車81を介して第2内歯車80の外歯に伝達される。そのため、第3駆動源48Cを駆動すると、第2内歯車80が回転する。第2内歯車80の回転は、当該第2内歯車80の内歯を介して第2遊星歯車78に伝達され、第2遊星歯車78が回転する。第2遊星歯車78の回転に伴って第2遊星キャリア79が回転し、当該回転の動力は、伝達軸72、第3伝達歯車73、第4伝達歯車74を介して第1回転体410に伝達される。
このように、第3駆動源48Cを含む変速部71からの動力は、第1回転体410に伝達される。そのため、第3駆動源48Cの変速に応じて第1回転体410の回転速度を変更することができる。これによって、第1回転体410の回転速度と第2回転体420の回転速度とを異ならせることができる。
また、変速部71を第2動力伝達部82に設け、第3駆動源48Cからの動力を当該第2動力伝達部82の変速部71(第2内歯車80の外歯)に伝達する構成としてもよい。この構成を採用した場合、第3駆動源48Cの変速に応じて第2回転体420の回転速度を変更することができる。この構成によっても、第1回転体410の回転速度と第2回転体420の回転速度とを異ならせることができる。
上記駆動部49の変更例として、第1動力伝達部70又は第2動力伝達部82に切換部を設けることができる。切換部は、例えば、操作レバー等により切り換え可能なクラッチ等から構成される。好ましくは、切換部は、電動クラッチから構成されるが、機械式クラッチから構成してもよい。第1動力伝達部70に切換部を設ける場合、当該切換部は、例えば一方伝達軸68の中途部に設けられる。第2動力伝達部82に切換部を設ける場合、当該切換部は、例えば他方伝達軸69の中途部に設けられる。
第1動力伝達部70に設ける切換部は、分離伝達部65から一方(一方伝達軸68)に伝達された動力を、第1回転体410に伝達する第1状態と、第1回転体410に伝達しない第2状態と、に切り換え可能である。第2動力伝達部82に設ける切換部は、分離伝達部65から他方(他方伝達軸69)に伝達された動力を、第2回転体420に伝達する第1状態と、第2回転体420に伝達しない第2状態と、に切り換え可能である。
第1動力伝達部70又は第2動力伝達部82に上記切換部を設けることにより、PTO軸19の回転を停止することなく、第1回転体410と第2回転体420のいずれか一方の回転を停止することができる。
<回生動力処理部>
図18、図19に示すように、散布装置(作業装置)3は、モータ23に発生した回生動力(回転電力)を処理(消費)するための回生動力処理部89を有している。回生動力処理部89により回生動力が処理されるモータ23は、第1モータ231であってもよいし、第2モータ232であってもよいし、第1モータ231と第2モータ232の両方であってもよい。
回生動力処理部89は、モータ23、インバータ22、動力伝達機構50、処理回路90を有している。処理回路90は、回生抵抗(レジスター)91、切換部92、制御部93(以下、「第2制御部93」という)、及び、電気信号を伝達可能な配線94を有している。
モータ23は、第1出力コネクタ37に接続された電力供給ケーブル95Aとインバータ22を介して接続されており、発電機15からの電力(直流電力)を受けて駆動する。インバータ22は、モータ23の駆動を制御する。動力伝達機構50は、例えば図17に示した構成を備えており、モータ23の駆動により生じる動力とエンジン11から供給される動力(PTO軸19からの動力)とが入力され、且つ入力された動力を散布部(作業部)32に伝達する。
回生抵抗91は、モータ23に発生した回生動力を消費する。回生抵抗91は、回生動力(回生電力)を熱に変換して消費する機器である。回生抵抗91としては、例えば、セメント抵抗器やホーロー抵抗器等が使用されるが、これらに限定はされない。回生抵抗91は、定格消費電力が回生動力(回生電力)の最大値よりも大きいものが使用される。但し、回生抵抗91の定格消費電力は、回生動力の最大値に近い値(最大値を大きく超えない値)であることが好ましい。
切換部92は、モータ23と回生抵抗91との接続状態と遮断状態とを切り換える。詳しくは、切換部92は、モータ23に電力を供給する電力供給ケーブル95A(第1配線941)と回生抵抗91との接続状態と遮断状態とを切り換える。切換部92は、本実施形態の場合、リレー(継電器)から構成されている。但し、切換部92は、リレーには限定されず、例えばスイッチング素子(ECU)等であってもよい。
第2制御部93は、モータ23の駆動を制御する。また、第2制御部93は、切換部92の切り換え動作を制御する。第2制御部93により実行されるモータ23の駆動の制御には、インバータ22へのモータ23の回転数(トルク)の指令及びモータ23の回転数(トルク)のモニタ(監視)が含まれる。第2制御部93は、筐体に収容された電子・電気部品(CPU、記憶装置等)等から構成されたコンピュータであって、具体的にはECUである。第2制御部93は、車両側ECUからの制御信号に基づいて、モータ23の駆動及び切換部92の切り換え動作を制御する。
本実施形態の場合、第2制御部93は、インバータ22とは別に散布装置3に設けられているが、インバータ22が第2制御部93の機能を有するものとしてもよい。また、車両側ECUが第2制御部93の機能を有するものとしてもよい。また、第1制御部30が第2制御部93の機能を有するものとしてもよい。また、第2制御部93は、車両側ECUからの制御信号に依らずに、モータ23の駆動及び切換部92の切り換え動作を制御してもよい。
配線94は、第1配線941、第2配線942、第3配線943、第4配線944、第5配線945、第6配線946、第7配線947を含む。第1配線941は、インバータ22と第1出力コネクタ37とを接続している。第1配線941は、上述した電力供給ケーブル95Aから構成されており、プラス側の配線とマイナス側の配線とを含む。第2配線942は、一端側が第1配線941の一方(プラス側)の配線の中途部に接続され、他端側が回生抵抗91の一端部に接続されている。第3配線943は、一端側が回生抵抗91の他端部に接続され、他端側が切換部(リレー)92の一方の接点に接続されている。第4配線944は、一端側が切換部92の他方の接点に接続され、他端側が第1配線941の他方(マイナス側)の配線の中途部に接続されている。第5配線945は、切換部92の一方の接点と他方の接点とを接続又は遮断するスイッチと、第2制御部93とを接続している。第6配線946は、第2制御部93とインバータ22とを接続しており、例えばCAN(Controller Area Network)等から構成される。第7配線947は、インバータ22とモータ23とを接続している。
第2制御部93からの制御信号は、第5配線945を介して切換部92に送信される。これにより、切換部92の接続状態と遮断状態とを切り換えることができる。また、第2制御部93からの制御信号は、第6配線946を介してインバータ22に送信される。これにより、インバータ22を介してモータ23の駆動を制御することができる。
上述した通り、動力伝達機構50は、モータ23の駆動により生じる動力とエンジン11から供給される動力(PTO軸19からの動力)とが入力され、且つ入力された動力を散布部(作業部)32に伝達する。ここで、散布部32の負荷の状態(例えば、第1回転体410又は第2回転体420の回転数)によっては、モータ23に負のトルクが加わり、回生動力(回生電力)が発生する。モータ23に回生動力が発生した場合、回生動力を消費しなければ所望の回転出力が得られなくなる。特に、PTO軸19(PTO出力軸19b)の回転数を一定とし、モータ23の回転数の変更によって第1回転体410又は第2回転体420の回転数を変更する場合、モータ23に回生動力(回生電力)が発生することがある。回生動力処理部89は、この発生した回生動力を処理(消費)する。
但し、散布部(作業部)32は、エンジン11から供給される動力(PTO軸19からの動力)を使用せずに、モータ23の駆動により生じる動力のみにより駆動されるものであってもよい。この場合、動力伝達機構50は、モータ23の駆動により生じる動力のみが入力され、且つこの入力された動力を散布部(作業部)32に伝達する機構となる。
以下、回生動力処理部89による回生動力の処理方法(処理動作)について説明する。
第2制御部93は、回生動力が発生するときに切換部92を接続状態に切り換え、回生動力が消滅したときに切換部92を遮断状態に切り換える。詳しくは、第2制御部93は、回生動力が発生する直前の出力回転(モータ23の出力回転数)において切換部92を接続状態に切り換え、回生動力が発生した直後の出力回転において切換部92を接続状態に切り換える。
切換部92が接続状態に切り換えられると、モータ23に発生した回生動力(回生電力)による電流は、インバータ22、第4配線944、切換部92を通って回生抵抗91へと流れる。回生抵抗91は、発熱することにより電力を消費する。これにより、モータ23に発生した回生動力が消費されるため、所望の回転出力を得ることができる。一方、回生動力が消滅したときには、切換部92は遮断状態に切り換えられるため、モータ23側から回生抵抗91への電流の流れは生じない。
散布装置(作業装置)3は、上述した回生動力処理部89を有することにより、モータ23で発生した回生動力を処理(消費)することができる。そのため、発電機15として、モータジェネレータでなくオルタネータを使用した場合であっても、回生動力を処理(消費)することができる。発電機15として、モータジェネレータを使用した場合、モータジェネレータが発電することによって回生動力を処理することができる。
本実施形態の場合、モータ23は、複数のモータ(第1モータ231と第2モータ232)を含んでいる。この場合、第2制御部93は、複数のモータのうちの少なくとも1つ(第1モータ231と第2モータ232の少なくとも一方)に回生動力が発生するときに、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う構成(以下、「第1構成」という)を採用することができる。
また、第2制御部93は、複数のモータの全て(第1モータ231と第2モータ232の両方)に回生動力が発生するときに、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う構成(以下、「第2構成」という)を採用することもできる。
また、第2制御部93は、複数のモータの全て(第1モータ231と第2モータ232の両方)に回生動力が発生するとき(以下、「第1条件」という)、及び、複数のモータのうち一のモータ(例えば、第1モータ231)に回生動力が発生し且つ他のモータ(例えば、第2モータ232)に力行動力が発生し、且つ一のモータに生じた回生動力が他のモータに生じた力行動力を上回るとき(以下、「第2条件」という)に、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う構成(以下、「第3構成」という)を採用することもできる。即ち、第2制御部93は、第1条件を満たした場合と第2条件を満たした場合の両方の場合において、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。
また、第2制御部93は、複数のモータのうちの少なくとも1つ(第1モータ231と第2モータ232の少なくとも一方)に逆回転の指令を送信するときに、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う構成(以下、「第4構成」という)を採用することもできる。
以下、上述した回生動力処理部89による回生動力の処理方法(処理動作)について、具体例を挙げて説明する。具体例は、作業装置が図17に示す駆動部49を有する散布装置3であって、駆動部49が以下の条件を満たしている場合の例である。
・ωM1:ωA1=42:104=1:2.476
・ωM2:ωC2=77:120=1:1.558
・ωPTO:ωS1=59:58=1:0.983
・ωC1:ωA2=18:14=1:0.778
・ωA2:ωB2=41:12=1:0.293
・ωS2:ωB1=14:27=1:1.929
・ZC1/ZA1=63/27=2.333
・ZC2/ZA2=96/48=2.0
但し、ωM1:第1モータ231の回転速度、ωM2:第2モータ232の回転速度、ωA1:第1太陽歯車60(第2入力歯車54)の回転速度、ωA2:第2太陽歯車77(第2伝達歯車67)の回転速度、ωB1:第1回転体410の回転速度、ωB2:第2回転体420の回転速度、ωS1:第1遊星キャリア62(第4入力歯車56)の回転速度、ωS2:第2遊星キャリア79(伝達軸72)の回転速度、ωC1:第1内歯車63(第1伝達歯車66)の回転速度、ωC2:第2内歯車80の回転速度、ωPTO:PTO出力軸19bの回転速度(入力軸24の回転速度)、ZA1:第2入力歯車54の歯数、ZA2:第2太陽歯車77の歯数、ZC1:第1内歯車63の歯数、ZC2:第2内歯車80の歯数(内歯)である。尚、回転速度は、いずれも角速度である。
図20~図23は、駆動部49の駆動パターンの例を示した表である。以下、図20に示した駆動パターンを「パターン1」、図21に示した駆動パターンを「パターン2」、図22に示した駆動パターンを「パターン3」、図23に示した駆動パターンを「パターン4」という。各表に示した数値は、回転数(rpm)である。また、全ての駆動パターンにおいて、PTO出力軸19bの回転数は1000(rpm)に固定されている。
第2制御部93は、車両側ECUから送信される第1回転体410と第2回転体420の目標回転数の指令値に応じて、指令信号を送信して第1モータ231及び第2モータ232に設定すべき回転数(以下、「指令回転数」という)を指令する。尚、第2制御部93は、車両側ECUから送信される指令値に依らずに第2制御部93自体に入力された指令値に応じて指令信号を送信してもよい。
図20~図23に示す表において、B1は第1回転体410、B2は第2回転体420、M1は第1モータ231、M2は第2モータ232を示す。上段の数値は、第1回転体410と第2回転体420の目標回転数である。下段の数値は、当該目標回転数を得るための第1モータ231と第2モータ232の回転数(指令回転数)である。第1モータ231と第2モータ232の回転数の数値のうち、黒三角印が付された数値は逆回転を示し、黒三角印が付されていない数値は正回転を示す。
遊星歯車機構(第1遊星歯車機構52、第2遊星歯車機構75)は、1つの軸のトルク方向が定まれば、他の軸のトルク方向も定まる。散布装置3の場合、回転体(第1回転体410、第2回転体420)のトルク方向は常に一定であるため、遊星歯車機構を介してモータ軸に加わるトルク方向は一定となる。トルク方向が一定のままで、モータ23の回転方向が正方向と逆方向に切り替わると、回転方向の切り替わりと同時に力行状態と回生状態とが切り替わる。図20~図23に示す駆動パターンでは、モータ23が逆回転する条件(黒三角印が付された条件)で回生動力が発生する。
各駆動パターンにおける、第1モータ231と第2モータ232の回生動力の発生の有無の状態を類型化すると、(A)第1モータ231、第2モータ232のいずれにも発生しない、(B)第1モータ231のみに発生する、(C)第2モータ232のみに発生する、(D)第1モータ231と第2モータ232の両方に発生する、の4つの状態がある。
第2制御部93は、上述した第1~第4構成のいずれかに基づいて、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。具体的には、第1構成に基づく場合、(B)状態、(C)状態、(D)状態のときに、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。第2構成に基づく場合、(D)状態のときに、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。第3構成に基づく場合、(B)状態、(C)状態、(D)状態のいずれかの状態であって、且つ、一方のモータ(例えば、第1モータ231)に生じた回生動力が他のモータ(例えば、第2モータ232)に生じた力行動力を上回るときに、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。第4構成に基づく場合、(B)状態、(C)状態、(D)状態のいずれかの状態とするために、逆回転とすべきモータ(第1モータ231と第2モータ232の少なくとも一方)に対して逆回転の指令を送信するとき、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。
次に、第2制御部93が第3構成に基づいて制御を行う場合について、具体例を挙げて説明する。図24は、パターン3(図22)の表に動力に関する項目を追加している。図24の下段(MOTOR POWERの項)には、第1モータ231、第2モータ232、第1回転体410、第2回転体420の回転数と各モータ及び各回転体のトルクから算出した、第1モータ231に発生する動力(M1)、第2モータ232に発生する動力(M2)、第1モータ231に発生する動力と第2モータ232に発生する動力の合算値(Σ)を夫々示している。
先ず、図24の表の最も左側の条件(B1:200、B2:500)について説明する。この条件では、回生動力が第2モータ232のみに発生する。つまり、上記(C)状態に相当する。また、この条件では、第1モータ231の力行動力(989W)が第2モータ232の回生動力(777W)を上回る。従って、第3構成に基づく制御における、切換部92を接続状態に切り換えるための第1条件と第2条件のいずれも満たさない。そのため、第2制御部93は、切換部92を接続状態に切り換える制御を行わない。つまり、この条件では、モータ23は、回生抵抗91に接続されない。
次に、図24の表の左から2番目の条件(B1:300、B2:400)について説明する。この条件では、回生動力が第2モータ232のみに発生する。つまり、上記(C)状態に相当する。また、この条件では、第2モータ232の回生動力(1025W)が第1モータ231の力行動力(527W)を上回る。従って、第3構成に基づく制御における、切換部92を接続状態に切り換えるための第2条件を満たす。そのため、第2制御部93は、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。つまり、この条件では、モータ23は、回生抵抗91に接続され、モータ23に生じた回生動力は回生抵抗91により消費される。
次に、図24の表の左から3番目の条件(B1:400、B2:300)について説明する。この条件では、回生動力が第1モータ231と第2モータ232の両方に発生する。具体的には、第1モータ231には151Wの回生動力が発生し、第2モータ232には693Wの回生動力が発生する。そのため、上記(D)状態に相当する。従って、第3構成に基づく制御における、切換部92を接続状態に切り換えるための第1条件を満たす。そのため、第2制御部93は、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。つまり、この条件では、モータ23は回生抵抗91に接続され、モータ23に生じた回生動力は回生抵抗91により消費される。
最後に、図24の表の最も右側の条件(B1:500、B2:200)について説明する。この条件では、回生動力が第1モータ231のみに発生する。つまり、上記(B)状態に相当する。また、この条件では、第1モータ231の回生動力(1045W)が第2モータ232の力行動力(218W)を上回る。従って、第3構成に基づく制御における、切換部92を接続状態に切り換えるための第2条件を満たす。そのため、第2制御部93は、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。つまり、この条件では、モータ23は回生抵抗91に接続され、モータ23に生じた回生動力は回生抵抗91により消費される。
尚、上記第3構成に基づく制御は、「第1モータ231に発生する動力と第2モータ232に発生する動力を合算したときに、合算した動力が回生動力となる場合に、第2制御部93が切換部92を接続状態に切り換える制御を行う」と言うこともできる。この場合、図24に関する説明は、以下のように言い換えることができる。
図24の表の最も左側の条件(B1:200、B2:500)では、第1モータ231に発生する動力と第2モータ232に発生する動力を合算すると、力行動力(211W)となり、回生動力は発生しない。そのため、第2制御部93は、切換部92を接続状態に切り換える制御を行わない。
図24の表の左から2番目の条件(B1:300、B2:400)では、第1モータ231に発生する動力と第2モータ232に発生する動力を合算すると、回生動力(497W)となる。そのため、第2制御部93は、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。
図24の表の左から3番目の条件(B1:400、B2:300)では、第1モータ231に発生する動力と第2モータ232に発生する動力を合算すると、回生動力(844W)となる。そのため、第2制御部93は、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。
図24の表の最も右側の条件(B1:500、B2:200)では、第1モータ231に発生する動力と第2モータ232に発生する動力を合算すると、回生動力(828W)となる。そのため、第2制御部93は、切換部92を接続状態に切り換える制御を行う。
尚、上述した具体例は、あくまでも特定の条件に基づいた一例であって、回生動力処理部89による回生動力の処理方法(処理動作)は、上述した具体例には何ら限定されない。例えば、第2制御部23による切換部92の切り換えのタイミングは、モータ23(第1モータ231、第2モータ232)の実トルクと実回転数から所要動力を算出して合算することにより決定することができる。
<回生抵抗の配置>
図25~図28に示すように、散布装置3は、導風部材96を備えている。導風部材96は、散布部32(第1散布部321、第2散布部322)の駆動により発生する風を回生抵抗91に向けて導く部材である。詳しくは、導風部材96は、受風面を有する板状の部材であって、回転翼40bの回転により発生した風を受風面で受けて、当該受風面に沿わせて流すことで風の方向を変えて回生抵抗91に向けて導く。また、導風部材96は、第1散布部321と第2散布部322のそれぞれの散布方向を規制する機能も有している。
導風部材96は、第1導風部材961と第2導風部材962とを含んでいる。第1導風部材961と第2導風部材962は、散布部32や動力伝達機構50を支持するフレーム97に取り付けられている。フレーム97の構成については後述する。
第1導風部材961は、第1回転体410の前方に設けられている。第2導風部材962は、第2回転体420の前方に設けられている。図27に示すように、第1導風部材961及び第2導風部材962は、平面視にて前方に向けて凸形の円弧状を呈している。また、図29に示すように、第1導風部材961及び第2導風部材962は、側面視においても前方に向けて凸形の円弧状を呈している。つまり、導風部材96の受風面は、平面視及び側面視において前方に向けて凸形の円弧状を呈している。また、図28に示すように、第1導風部材961は、後方視において、第1回転体410と、第1回転体410に設けられた回転翼40bの全体とオーバーラップする大きさ(範囲)に設けられている。第2導風部材962は、後方視において、第2回転体420と、第2回転体410に設けられた回転翼40bの全体とオーバーラップする大きさ(範囲)に設けられている。
図27、図28に示すように、第1導風部材961は、中央部位961aと左部位961bと右部位961cとを有している。中央部位961aは、第1回転体410の前方に配置されて車両幅方向に延びている。詳しくは、中央部位961aは、第1回転体410の中心軸40aの前方位置から左方及び右方にそれぞれ延びている。左部位961bは、第1回転体410の左前方に配置されている。左部位961bは、中央部位961aの左端部から左方に延びており、左方に向かうにつれて後方に移行している。右部位961cは、第1回転体410の右前方に配置されている。右部位961cは、中央部位961aの右端部から右方に延びており、右方に向かうにつれて後方に移行している。中央部位961aと左部位961bと右部位961cとは一体化されている。
また、図28に示すように、中央部位961aと左部位961bと右部位961cは、それぞれ垂直部961dと上延部961eと下延部961fとを有している。垂直部961dは、垂直方向(上下方向)に延びており、一方の面が前方を向き且つ他方の面が後方を向いている。垂直部961dは、上下方向において、第1回転体410の回転翼40bとオーバーラップする位置(高さ)に配置されている。上延部961eは、垂直部961dの上端部から上方に延びている。上延部961eは、上方に延びるにつれて後方に移行するように傾斜している。下延部961fは、垂直部961dの下端部から下方に延びている。下延部961fは、下方に延びるにつれて後方に移行するように傾斜している。垂直部961dと上延部961eと下延部961fとは一体化されている。
図27、図28に示すように、第2導風部材962は、中央部位962aと左部位962bと右部位962cとを有している。中央部位962aは、第2回転体420の前方に配置されて車両幅方向に延びている。詳しくは、中央部位962aは、第2回転体420の中心軸40aの前方位置から左方及び右方にそれぞれ延びている。左部位962bは、第2回転体420の左前方に配置されている。左部位962bは、中央部位962aの左端部から左方に延びており、左方に向かうにつれて後方に移行している。右部位962cは、第2回転体420の右前方に配置されている。右部位962cは、中央部位962aの右端部から右方に延びており、右方に向かうにつれて後方に移行している。中央部位962aと左部位962bと右部位962cとは一体化されている。
また、図28に示すように、中央部位962aと左部位962bと右部位962cは、それぞれ垂直部962dと上延部962eと下延部962fとを有している。垂直部962dは、垂直方向(上下方向)に延びており、一方の面が前方を向き且つ他方の面が後方を向いている。垂直部962dは、上下方向において、第2回転体420の回転翼40bとオーバーラップする位置(高さ)に配置されている。上延部962eは、垂直部962dの上端部から上方に延びている。上延部962eは、上方に延びるにつれて後方に移行するように傾斜している。下延部962fは、垂直部962dの下端部から下方に延びている。下延部962fは、下方に延びるにつれて後方に移行するように傾斜している。垂直部962dと上延部962eと下延部962fとは一体化されている。
上述した通り、本実施形態の場合、第1導風部材961及び第2導風部材962は、複数枚の平板を組み合わせて構成されている。しかし、第1導風部材961及び第2導風部材962をそれぞれ1枚の湾曲板から構成してもよい。また、第1導風部材961と第2導風部材962とを一体化してもよい。
第1回転体410の回転による散布方向は、第1導風部材961により前方への散布が規制(阻止)されるため、主として左方及び左後方となる。第2回転体420の回転による散布方向は、第2導風部材962により前方への散布が規制(阻止)されるため、主として右方及び右後方となる。但し、第1導風部材961と第2導風部材962は、導風方向及び散布方向を所望の方向に規制することができるものであれば、一部又は全部の構成(位置、数、形状、取り付け構造等)を変更してもよい。また、導風部材96とは別に、第1散布部321と第2散布部322の散布方向を規制するための規制板を設けてもよい。
本実施形態の場合、第1散布部321と第2散布部322は、それぞれ異なる方向への散布を受け持つことになる。これにより、圃場への均一な散布を容易に行うことができる。また、第1回転体410と第2回転体420の回転速度を異ならせることにより、トラクタ2の車両幅方向の一方への散布距離と他方への散布距離を異ならせることができる。これにより、圃場の形状やトラクタ2の走行位置に応じた適切な散布が容易となる。
また、図25~図29に示すように、散布装置3は、導風部材96が取り付けられるフレーム97と、当該フレーム97をトラクタ2に連結するための連結部98とを備えている。フレーム97は、導風部材96、収容部31、散布部32、モータ23、動力伝達機構50等を支持している。フレーム97は、鋼材等の金属材から構成されている。連結部98は、トラクタ2の後部に設けられた連結装置6に対して着脱可能に連結される。図5に示すように、連結部98を連結装置6に対して連結することにより、散布装置3がトラクタ2の後部に着脱可能に連結される。
以下、図25~図29に基づいて、フレーム97の構成について説明する。但し、フレーム97の構成は、図示した構成には限定されない。以下の説明では、フレーム97に関する方向(上、下、前、後、左、右)については、散布装置3をトラクタ2の後部に連結した状態を基準とする。
フレーム97は、上部フレーム97Aと下部フレーム97Bとを有している。
上部フレーム97Aは、収容部31を支持するフレームであって、散布部32よりも上方に位置している。図25~図27に示すように、上部フレーム97Aは、平面視にて矩形枠状に形成されている。上部フレーム97Aは、前部フレーム97aと、後部フレーム97bと、側部フレーム97cと、を有している。前部フレーム97aは、連結部98側(前側)に配置され、車両幅方向に延びている。後部フレーム97bは、連結部98と反対側(後側)に配置され、車両幅方向に延びている。前部フレーム97aと後部フレーム97bとは前後方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。側部フレーム97cは、前部フレーム97aと後部フレーム97bとを車両幅方向の端部において連結している。具体的には、側部フレーム97cは、左側部フレーム97cLと右側部フレーム97cRとを含んでいる。左側部フレーム97cLは、前部フレーム97aの左端部と後部フレーム97bの左端部とを連結している。右側部フレーム97cRは、前部フレーム97aの右端部と後部フレーム97bの右端部とを連結している。
本実施形態の場合、側部フレーム97cは、断面略C字形の部材(チャンネル材)から構成されている。具体的には、側部フレーム97cは、内側板97c1と、外側板97c2と、上板97c3と、を有している。内側板97c1は、フレーム97の内側(中心軸40a側)に配置されている。外側板97c2は、フレーム97の外側(中心軸40aと反対側)に配置されており、内側板97c1と対向している。上板97c3は、内側板97c1の上部と外側板97c2の上部とを接続している。内側板97c1の下部と外側板97c2の下部とは接続されておらず、側部フレーム97cの下部は開放されている。つまり、側部フレーム97cは、C字形の開放側を下方に向けて配置されている。
前部フレーム97aと後部フレーム97bとは、前後方向に延びる接続部材99により接続されている。接続部材99は、車両幅方向の中央において、前部フレーム97aと後部フレーム97bとを接続している。図26に示すように、接続部材99は、側部フレーム97cと同様に、断面略C字形の部材から構成されており、C字形の開放側を下方に向けて配置されている。具体的には、接続部材99は、2枚の側板99a,99bと、上板99cと、を有している。
下部フレーム97Bは、上部フレーム97Aの下方に配置されている。下部フレーム97Bは、上部フレーム97Aと接続されている。下部フレーム97Bは、第1縦部材97dと、第2縦部材97eと、第1横部材97fと、第2横部材97gと、を有している。第1縦部材97d及び第2縦部材97eは、それぞれ上下方向に延びており、それぞれの上端部が前部フレーム97aの下面に接続されている。第1縦部材97dと第2縦部材97eとは、車両幅方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。第1縦部材97dは、第1散布部321の後方(第1回転体410の後方)に配置されている。第2縦部材97eは、第2散布部322の後方(第2回転体420の後方)に配置されている。
第1横部材97fは、第1縦部材97dの下端部から後方に延びている。第2横部材97gは、第2縦部材97eの下端部から後方に延びている。第1横部材97fと第2横部材97gとは、車両幅方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。第1横部材97fは、第1散布部321の下方(第1回転体410の下方)に配置されている。第2横部材97gは、第2散布部322の下方(第2回転体420の下方)に配置されている。
下部フレーム97Bには、支持ブラケット100が取り付けられている。支持ブラケット100は、散布部32(第1散布部321、第2散布部322)、モータ23、動力伝達機構50を支持している。支持ブラケット100は、第1縦部材97dと第2縦部材97eとの間、及び、第1横部材97fと第2横部材97gとの間に亘って架設されている。散布部32、モータ23、動力伝達機構50は、支持ブラケット100によって第1横部材97f及び第2横部材97gの上方に支持されている。
図25に示すように、フレーム97には、連結部98が設けられている。連結部98は、上連結部98A、第1下連結部98B、第2下連結部98Cを含んでいる。上連結部98Aは、上部フレーム97Aの前部フレーム97aに設けられている。第1下連結部98Bは、下部フレーム97Bの第1縦部材97dに設けられている。第2下連結部98Cは、下部フレーム97Bの第2縦部材97eに設けられている。上連結部98Aは、トップリンク6B1の後端部と連結される。第1下連結部98Bは、第1ロアリンク6B2Lの後端部と連結される。第2下連結部98Cは、第2ロアリンク6B2Rの後端部と連結される。これにより、フレーム97がトラクタ2の後部に昇降可能に連結される。
フレーム97には、導風部材96が取り付けられている。第1縦部材97dには、第1導風部材961が取り付けられている。第2縦部材97eには、第2導風部材962が取り付けられている。具体的には、第1縦部材97dの後部に第1導風部材961の中央部位961aが取り付けられている。第2縦部材97eの後部に第2導風部材962の中央部位962aが取り付けられている。
図27に示すように、第1導風部材961は、前後方向において、前部フレーム97aと第1回転体410との間に配置されている。第2導風部材962は、前後方向において、前部フレーム97aと第2回転体420との間に配置されている。
第1導風部材961の左部位961bと、第2導風部材962の右部位962cとは、前部フレーム97aと回転翼40bとの間から、側部フレーム97cに向けて延設され且つ側部フレーム97cに近づくにつれて後方に移行している。以下、第1導風部材961の左部位961bと第2導風部材962の右部位962cとをまとめて「傾斜部103」という。傾斜部103は、第1散布部321及び第2散布部322の駆動により発生した風を側部フレーム97c側へと導く。
図25に示すように、フレーム97には、第2制御部93及びインバータ22を収容する第2筐体104が取り付けられている。本実施形態の場合、第2筐体104は前部フレーム97aに取り付けられている。但し、第2筐体104の取り付け位置は、図示の位置には限定されない。
また、図25~図29に示すように、フレーム97には、モータ23に発生した回生動力を消費するための回生抵抗91が取り付けられている。以下、回生抵抗91の配置(取付位置)について説明する。
回生抵抗91は、作業部32の回転により発生する風により冷却される位置に配置されている。作業部32の回転により発生する風により冷却される位置は、作業部32の回転により発生する風が当たる位置であることが好ましいが、風が当たらない位置であってもよい。風が当たらない位置に回生抵抗91を配置する場合、風が当たることで冷却される部材(例えば、フレーム97等)に当接又は近接する位置に配置する。これにより、回生抵抗91に当接又は近接する部材が冷却されることに伴って、回生抵抗91も冷却される。つまり、回生抵抗91は、作業部32の回転により発生する風により、他の部材を介して間接的に冷却される。
本実施形態の場合、図27等に示すように、回生抵抗91は、中心軸40aの径外方向に配置されている。より詳しくは、回生抵抗91は、回転翼40bの周囲の位置に配置されている。本実施形態の場合、回生抵抗91は、回転軸40bの側方にある側部フレーム97cに取り付けられている。具体的には、回生抵抗91は、左側部フレーム97cLに取り付けられているが、右側部フレーム97cRに取り付けてもよい。
図27に示すように、回生抵抗91は、平面視において、第1導風部材961の傾斜部103の傾斜方向の延長線L5上に配置されている。これにより、第1散布部321の駆動により発生した風は、第1導風部材961の傾斜部103によって左側部フレーム97cL側へと導かれて回生抵抗91に当たり、回生抵抗91が冷却される。尚、回生抵抗91を右側部フレーム97cRに取り付ける場合、回生抵抗91は、平面視において、第2導風部材962の傾斜部103の傾斜方向の延長線上に配置する。この場合、第2散布部322の駆動により発生した風は、第2導風部材962の傾斜部103によって右側部フレーム97cR側へと導かれて回生抵抗91に当たり、回生抵抗91が冷却される。
上述したように、回生抵抗91が回転翼40bの周囲の位置に配置されていることにより、回転翼40bの回転により発生した風が回生抵抗91に当たる。また、導風部材96によって、回転翼40bの回転により発生した風を導くことにより、風を効率よく回生抵抗91に当てることができる。そのため、回生動力の発生に起因して回生抵抗91が発熱したときに、回生抵抗91を効果的に冷却することができる。
回生抵抗91は、側部フレーム97cの内側板97c1と外側板97c2との間に取り付けられている。回生抵抗91は、側部フレーム97cの内側板97c1と外側板97c2と上板97c3とにより、上方、右方、左方の三方を囲まれている。そのため、第1散布部321により散布される散布物は、内側板97c1等により遮られて回生抵抗91に当たらない。また、回生抵抗91の下方は側部フレーム97cにより囲まれずに開放されている。そのため、第1散布部321により発生した風は、側部フレーム97cの下方から回り込んで回生抵抗91に当たる。つまり、回生抵抗91は、散布部32の回転により発生した風は当たるが、散布部32により散布される散布物は当たらない(又は当たりにくい)位置に配置されている。これにより、散布物が回生抵抗91に当たることを防ぎつつ、回生抵抗91を冷却することができる。
また、図28に示すように、回生抵抗91は、中心軸40aの軸方向において、回転翼40bとずれた位置に配置されている。詳しくは、回生抵抗91は、上下方向において、回転翼40bよりも上方の位置(高さ)に配置されている。散布部32により散布された散布物は、回転翼40bから離れるに従って重力により下方に向かう(落下する)ため、この構成によっても、回転翼40bによって散布された散布物が回生抵抗91に当たることを効果的に防止することができる。また、回転翼40bにより発生する風を下方から回生抵抗91に当てることができる。
フレーム97は鋼材等の金属材から構成されており、熱伝導性に優れている。そのため、フレーム97は、回生抵抗91の発熱に起因して温度が上昇しても風が当たることにより速やかに冷却される。回生抵抗91の周囲にあるフレーム97を冷却することによって、回生抵抗91を間接的に冷却することができる。
尚、回生抵抗91の取付位置は、図示した位置には限定されず、散布部32により発生した風は当たるが、散布部32により散布される散布物は当たらない(又は当たりにくい)位置であればよい。例えば、回生抵抗91は、側部フレーム97cを構成する外側板97c2の外面(内側板97c1と反対側の面)に取り付けてもよい。この場合、散布部32により散布される散布物は、内側板97c1と外側板97c2により遮られて回生抵抗91に当たらないが、散布部32により発生した風は側部フレーム97cの下方から回り込んで回生抵抗91に当たる。
また、回生抵抗91は、フレーム97の側部フレーム97c以外の箇所に取り付けてもよい。例えば、回生抵抗91は、後部フレーム97b又は接続部材99に取り付けてもよい。回生抵抗91を後部フレーム97bに取り付ける場合、散布物が当たることを防ぐために、後部フレーム97bの後面又は上面に取り付けることが好ましい。また、回生抵抗91を接続部材99に取り付ける場合、散布物が当たることを防ぐために、側板99aと側板99bとの間に取り付けることが好ましい。
<ケーブルの配線構造>
図5に示すように、散布装置(作業装置)3は、トラクタ(走行車両)2の後部に設けられた連結装置6に対して連結される。具体的には、フレーム97に設けられた上連結部98A、第1下連結部98B、第2下連結部98Cがそれぞれ、連結装置6のトップリンク6B1、第1ロアリンク6B2L、第2ロアリンク6B2Rと連結される。これにより、トラクタ2の後部に散布装置3が連結される。
トラクタ2の後部に散布装置3が連結された状態において、散布装置3の動力伝達機構50の第2軸58は、前方(トラクタ2側)に向けて延びる。動力伝達機構50の第2軸58と伝達機構25の入力軸24とは、接続具(ユニバーサルジョイント等)105を介して連結される。これにより、PTO出力軸19bから伝達機構25の入力軸24に伝達されたエンジン11(第2駆動源)からの動力は、接続具105を介して動力伝達機構50の第2軸58に伝達される。
次に、図5、図6、図9、図25等に基づいて、トラクタ(走行車両)2側と散布装置(作業装置)3側との間のケーブルの接続構造(配線構造)について説明する。
トラクタ2側と散布装置3側とを接続するケーブル95は、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとを含む。
電力供給ケーブル95Aは、トラクタ2の後部に装着された発電機15から発生した電力を散布装置3に供給するためのケーブルである。信号伝送ケーブル95Bは、トラクタ2から散布装置3に信号を送信するためのケーブルであって、農業機械用通信の国際規格であるISOBUSに基づく信号を伝送する。トラクタ2から散布装置3に送信される信号は、例えば、トラクタ2の制御部(車両側ECU)からの制御信号や、トラクタ2に搭載された電装品等からの信号(例えば、センサの検出信号)等である。
電力供給ケーブル95Aは、発電機ユニット12と散布装置3とを接続している。電力供給ケーブル95Aの一端側(出力側)は、第1出力コネクタ37に接続されている。電力供給ケーブル95Aの他端側(入力側)は、第1入力コネクタ106に接続されている。これにより、電力供給ケーブル95Aは、第1出力コネクタ37から第1入力コネクタ106へと配策されている。
図9等に示したように、第1出力コネクタ37は、発電機ユニット12の取付フレーム26に設けられている。また、図25に示すように、第1入力コネクタ106は、散布装置3のフレーム97(上部フレーム97A)に設けられている。具体的には、第1入力コネクタ106は、前部フレーム97aに設けられている。第1入力コネクタ106は、トップリンク6B1と連結される上連結部98Aの近傍(側方)に位置している。第1入力コネクタ106は、図示しないケーブルを介して散布装置3のモータ23(第1モータ231、第2モータ232)と接続されている。
発電機15から発生した電力は、第1出力コネクタ37から電力供給ケーブル95Aを通って第1入力コネクタ106に供給され、散布装置3のモータ23(第1モータ231、第2モータ232)の駆動に用いられる。
信号伝送ケーブル95Bは、トラクタ2と散布装置3とを接続している。信号伝送ケーブル95Bの一端側(出力側)は、第2出力コネクタ107に接続されている。信号伝送ケーブル95Bの他端側(入力側)は、第2入力コネクタ108に接続されている。これにより、信号伝送ケーブル95Bは、第2出力コネクタ107から第2入力コネクタ108へと配策されている。
図5、図6に示すように、第2出力コネクタ107は、トラクタ2の後部に設けられている。第2出力コネクタ107は、発電機ユニット12の上方に設けられており、第1出力コネクタ37よりも上方に位置している。また、第2出力コネクタ107は、トップリンク6B1の前端部及びリフトアーム6Aの前端部よりも上方であって、車両幅方向において第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとの間に設けられている。
第2入力コネクタ108は、図示しないケーブルを介して第2制御部93と接続されている。図25に示すように、第2入力コネクタ108は、散布装置3のフレーム97(上部フレーム97A)に設けられている。具体的には、第2入力コネクタ108は、前部フレーム97aに設けられている。第2入力コネクタ108は、トップリンク6B1と連結される上連結部98Aの近傍(側方)に位置している。本実施形態の場合、第2入力コネクタ108は、第1入力コネクタ106と並んで設けられている。但し、第1入力コネクタ106及び第2入力コネクタ108の配置は、図示した配置には限定されない。
上述の通り、電力供給ケーブル95Aは、第1出力コネクタ37及び第1入力コネクタ106と接続されている。ここで、第1出力コネクタ37は電力供給ケーブル95Aが接続される接続部37aが上方を向いて配置されているため、電力供給ケーブル95Aは第1出力コネクタ37から上方に延びている。
図6、図7に示すように、第1出力コネクタ37は、車両幅方向において、トップリンク6B1と、車両幅方向の他方(右方)に設けられたリンク部材(第2ロアリンク6B2R、第2リフトアーム6AR、第2リフトロッド6B3R)との間に配置されている。そのため、第1出力コネクタ37に接続した電力供給ケーブル95Aを、トップリンク6B1と上記リンク部材との間を通して上方に延ばすことができる。これにより、電力供給ケーブル95Aが連結装置6と干渉することを回避できる。
また、図10に示したように、第1出力コネクタ37は、カバー部材38の上板38cよりも下方に配置され、且つ、カバー部材38と第2装着部332の第2前板332aとの間に配置されている。そのため、電力供給ケーブル95Aの一端側の端部(第1出力コネクタ37との接続部)に対する意図しない接触が防止され、電力供給ケーブル95Aの脱落等が防がれる。また、第1出力コネクタ37に接続された電力供給ケーブル95Aを、カバー部材38と第2前板332aとの間を通して上方に延ばすことができる。
図5、図6に示すように、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとは、結束部材109により結束されている。結束部材109は、例えば、インシュロック(登録商標)等の結束バンドから構成される。電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとは、複数の部位において結束されることが好ましく、少なくとも後述する3つの部位(第1結束部位111、第2結束部位112、第3結束部位113)において結束されることが好ましい。
電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとは、結束部材109により結束された状態で、トラクタ2側から散布装置3側へと配策されている。詳しくは、電力供給ケーブル95Aは、結束部材109により信号伝送ケーブル95Bと結束された状態で第1出力コネクタ37から第1入力コネクタ106へと配策されている。信号伝送ケーブル95Bは、結束部材109により電力供給ケーブル95Aと結束された状態で第2出力コネクタ107から第2入力コネクタ108へと配策されている。
図5、図6に示すように、第1出力コネクタ37から上方に延びた電力供給ケーブル95Aは、第1出力コネクタ37の上方に配置された第2出力コネクタ107の近傍を通って第1入力コネクタ106へと配策されている。電力供給ケーブル95Aは、第2出力コネクタ107の近傍を通る部位において、第2出力コネクタ107に接続された信号伝送ケーブル95Bと結束部材109により結束されている。第1結束部位111は、この電力供給ケーブル95Aが第2出力コネクタ107の近傍を通る部位である。
第2結束部位112は、第1入力コネクタ106及び第2入力コネクタ108の近傍に位置する部位である。第3結束部位113は、第1結束部位111と第2結束部位112との間の部位である。尚、ケーブル95が短い場合等には、第3結束部位113を省略することができる。また、ケーブル95が長い場合等には、第1結束部位111、第2結束部位112、第3結束部位113に加えて、さらに別の部位を結束してもよい。
図5に示すように、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとは、結束部材109により結束された状態で、連結装置6の上方(トップリンク6B1よりも上方)を通って散布装置3側へと配策される。また、結束部材109により結束された電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとは、車両幅方向においてトップリンク6B1と第2リフトアーム6ARとの間(第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとの間でもある)を通って散布装置3側へと配策される。これにより、電力供給ケーブル95A及び信号伝送ケーブル95Bが連結装置6と干渉することを回避できる。
上述したように、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとが結束部材109により結束された状態でトラクタ2側から散布装置3側へと配策されることで、トラクタ2側から散布装置3側へのケーブル(電力供給ケーブル95A、信号伝送ケーブル95B)の配策を容易に行うことができ、ケーブル配策の作業性が向上する。また、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとが結束部材109により結束されて近接することで、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとを個別に離して配策するよりも配策に要するスペースが減少する。そのため、ケーブルが連結装置6等と接触しにくくなり、接触に起因するケーブルの損傷を防ぐことができ、ケーブルの信頼性が向上する。
また、電力供給ケーブル95Aは、第1出力コネクタ37から上方に延びて第2出力コネクタ107の近傍を通って信号伝送ケーブル95Bと結束された状態で第1入力コネクタ106へと配策されている。これにより、電力供給ケーブル95A及び信号伝送ケーブル95Bを、連結装置6や入力軸24等の可動部を避けながら短い経路で配策することができる。
<発電機ユニットのアダプタ>
図30~図34に示すように、発電機ユニット12は、アダプタ114を備えている。アダプタ114は、トラクタ2、作業装置3、牽引部材110(以下、まとめて「装着対象物」という)の少なくとも1つ以上(好ましくは2つ以上)に対して装着可能な部材である。アダプタ114を装着対象物に装着することにより、発電機ユニット12を装着対象物に装着することができる。尚、牽引部材110は、作業装置3をトラクタ2の後部に接続する部材であって、トラクタ2により作業装置3を牽引可能とする部材である。
以下、図30~図34を参照して、アダプタ114の構成について説明する。但し、アダプタ114の構成は、図示の構成には限定されない。また、図示例では、発電機ユニット12が備えるアダプタ114の数は1つであるが、発電機ユニット12は複数のアダプタ114を備えていてもよい。
アダプタ114は、発電機ユニット12の装着部33に取り付けられている。詳しくは、アダプタ114は、第1装着部331及び第2装着部332に対して着脱可能に取り付けられている。具体的には、アダプタ114は、第1前板331aに形成された第1装着孔331c及び第2前板332aに形成された第2装着孔332cに対してボルト等によって取り付けられている。
図30~図33に示す例では、アダプタ114は、装着部33の上部に取り付けられているが、アダプタ114の取り付け位置は、図34に示すように装着部33の上下方向の中間部であってもよいし、装着部33の下部であってもよい。
図30、図31は、アダプタ114の第一実施形態を示している。アダプタ114は、縦板部114aと横板部114bとを有している。縦板部114aは発電機ユニット112に対して装着される第1部分131であり、横板部114bは装着対象物に対して装着される第2部分132である。縦板部114aと横板部114bとは、1枚の板により一体に形成されている。縦板部114aは、第1前板331aと第2前板332aとに跨って取り付けられている。横板部114bは、縦板部114aの上端から当該縦板部114aに対して直角に且つ縦板部114aから離れる方向に延設されている。横板部114bには、ボルトを挿通可能な貫通孔(図示略)を形成することができる。
図32は、アダプタ114の第二実施形態を示している。第二実施形態のアダプタ114は、第一実施形態のアダプタ114と同様の縦板部114aと横板部114bに加えて、さらに第2横板部114cを有している。縦板部114aは第1部分131に相当し、横板部114b及び/又は第2横板部114cは第2部分132に相当する。縦板部114aと横板部114bと第2横板部114cは、1枚の板により一体に形成されている。第2横板部114cは、縦板部114aの下端から当該縦板部114aに対して直角に且つ縦板部114aから離れる方向に延設されている。第2横板部114cは、横板部114bの下方に、横板部114bと隔てられて設けられている。横板部114bと第2横板部114cの一方又は両方には、ボルトを挿通可能な貫通孔(図示略)を形成することができる。
図33は、アダプタ114の第三実施形態を示している。第三実施形態のアダプタ114は、第一実施形態のアダプタ114と同様の縦板部114aと横板部114bに加えて、さらに第2縦板部114dを有している。縦板部114aは第1部分131に相当し、横板部114b及び/又は第2縦板部114dは第2部分132に相当する。縦板部114aと横板部114bと第2縦板部114dは、1枚の板により一体に形成されている。第2縦板部114dは、横板部114bに対して直角に且つ下方に延設されている。第2縦板部114dは、縦板部114aと隔てられて且つ縦板部114aと平行に設けられている。横板部114bと第2縦板部114dの一方又は両方には、ボルトを挿通可能な貫通孔(図示略)を形成することができる。
図34は、アダプタ114の第四実施形態を示している。第四実施形態のアダプタ114は、第一実施形態のアダプタ114と同様の縦板部114aに加えて、さらに第二実施形態のアダプタ114と同様の第2横板部114cを有している。縦板部114aは第1部分131に相当し、第2横板部114cは第2部分132に相当する。縦板部114aと第2横板部114cは、1枚の板により一体に形成されている。第2横板部114cには、ボルトを挿通可能な貫通孔(図示略)を形成することができる。
本実施形態の場合、アダプタ114は、第1装着部331と第2装着部332の両方に跨って取り付けられているが、第1装着部331と第2装着部332のそれぞれに分けて取り付けてもよいし、第1装着部331と第2装着部332のいずれか一方に取り付けてもよい。また、アダプタ114は、装着部33の前板(第1前板331a、第2前板332a)とは異なる位置に取り付けてもよい。例えば、アダプタ114は、第1側板331bと第2側板332bのいずれか一方又は両方に取り付けてもよい。
また、アダプタ114は、装着部33とは異なる位置に取り付けてもよい。例えば、アダプタ114は、カバー部材38(一方側板38a、他方側板38b、上板38cのいずれか)に取り付けてもよいし、連繋部35(第1連繋部351又は第2連繋部352)に取り付けてもよい。
また、本実施形態の場合、アダプタ114は、入力軸24の一方側(第1接続部24a側)に向けて延設されているが、入力軸24の他方側(第2接続部24b側)に向けて延設されていてもよい。また、アダプタ114は、入力軸24と直交する方向(左方及び/又は右方)に向けて延設されていてもよい。
図35、図36は、アダプタ114を散布装置3に対して装着した状態の例を示している。
図35に示す例は、散布装置3がスプレッダ3Aである場合の例である。
スプレッダ3Aは、上述した実施形態の散布装置3であって、トラクタ2のPTO軸19からの動力と発電機15からの電力を使用して駆動するハイブリッド式のスプレッダである。
スプレッダ3Aは、上述した3点リンク機構等の連結装置(図示略)によりトラクタ2の後部に連結されている。アダプタ114は、スプレッダ3Aのフレーム97に装着されている。アダプタ114は、第一実施形態のアダプタであって、横板部114bが前部フレーム97aの上面に当接し、縦板部114aが前部フレーム97aの前面に当接している。アダプタ114は、縦板部114aと横板部114bの少なくとも一方がボルト等により前部フレーム97aに固定されている。これにより、発電機ユニット12がスプレッダ3Aのフレーム97に装着されている。
発電機ユニット12は、スプレッダ3Aに装着された状態において、入力軸24の第2接続部24bがトラクタ2側を向き、入力軸24の第1接続部24aがスプレッダ3A側を向いている。入力軸24の第2接続部24bは、接続具(ユニバーサルジョイント等)115を介してトラクタ2のPTO出力軸19bと接続されている。入力軸24の第1接続部24aは、接続具(ユニバーサルジョイント等)105を介してスプレッダ3Aの動力伝達機構50の第2軸58と接続されている。発電機15は、入力軸24から入力された動力により駆動して発電する。発電機15から発生した電力はスプレッダ3Aの電動モータ(第1モータ231、第2モータ232)に供給され、当該電動モータにより散布部32が駆動される。
尚、アダプタ114は、フレーム97の他の部位(例えば、側部フレーム97c等)に装着してもよい。また、第一実施形態のアダプタに替えて、他の実施形態のアダプタ114や異なる形状のアダプタを使用してもよい。また、スプレッダ3Aは、ハイブリッド式のスプレッダには限定されず、発電機15からの電力のみで駆動する電動式のスプレッダであってもよい。
図36に示す例は、散布装置3がスプレーヤ3Bである場合の例である。
スプレーヤ3Bは、3点リンク機構等の連結装置(図示略)によりトラクタ2の後部に連結されている。スプレーヤ3Bは、タンク116、電動ポンプ117、ブーム118、支持フレーム119を備えている。タンク116は、圃場に散布される薬剤等を貯留する。電動ポンプ117は、タンク116に貯留された薬剤等を送り出す。ブーム118は、電動ポンプ117により送り出された薬剤等を噴霧する噴霧ノズル118aを有している。ブーム118は、使用時にはトラクタ2の車両幅方向(左方と右方)に延びる第1姿勢となり、不使用時には上方に向けて延びる第2姿勢となる。支持フレーム119は、前フレーム119a、後フレーム119b、下フレーム119c、横フレーム119dを有している。支持フレーム119は、タンク116、電動ポンプ117、ブーム118を支持する。また、スプレーヤ3Bは、車両側ECUからの制御信号に基づいて電動ポンプ117等の駆動を制御する駆動制御部を備えている。駆動制御部は、上述した第2制御部93と同様の機能を有するものであり、第1制御部30とは別に設けてもよいし、第1制御部30が駆動制御部の機能を有するものとしてもよい。また、車両側ECUが駆動制御部の機能を有するものとしてもよい。また、駆動制御部は、車両側ECUからの制御信号に依らずに、電動ポンプ117等の駆動を制御してもよい。
また、スプレーヤ3Bは、タンク116からブーム118に向けて薬剤等を流通させる経路の開度を調整するバルブ機構を有するものであってもよい。この場合、バルブ機構の動作(開閉)は、駆動制御部により制御することができる。
アダプタ114は、第一実施形態のアダプタであって、ボルト等により前フレーム119aに固定されている。これにより、発電機ユニット12は、スプレーヤ3Bのフレーム119に装着されている。
発電機ユニット12は、スプレーヤ3Bに装着された状態において、入力軸24の第2接続部24bがトラクタ2側を向いている。入力軸24の第2接続部24bは、接続具(ユニバーサルジョイント等)115を介してトラクタ2のPTO出力軸19bと接続されている。発電機15は、入力軸24から入力された動力により駆動して発電する。発電機15から発生した電力は電動ポンプ117に供給され、当該電力により電動ポンプ117が駆動される。
尚、アダプタ114は、フレーム119の他の部位(例えば、横フレーム119d等)に装着してもよい。また、第一実施形態のアダプタに替えて、他の実施形態のアダプタ114や異なる形状のアダプタを使用してもよい。また、スプレーヤ3Bは、発電機15からの電力とトラクタ2のPTO軸19からの動力とにより駆動するハイブリッド式のスプレーヤであってもよい。
以上、アダプタ114により発電機ユニット12が装着される作業装置3として散布装置であるスプレッダ3Aとスプレーヤ3Bを例示したが、スプレッダ3Aやスプレーヤ3Bの構成は、上述した構成には限定されない。また、アダプタ114により発電機ユニット12が装着される作業装置3は、散布装置には限定されない。作業装置3は、発電機ユニット12の発電機15から供給される電力により駆動する電動アクチュエータ(電動モータ、電動ポンプ等)を備えた作業装置であればよく、例えば、発電機15から供給される電力により駆動する電動モータを備えた播種装置であってもよい。アダプタ114を播種装置に装着する場合、例えば、種子収容用のホッパや種子を繰り出す繰出装置等を支持するフレームに対してアダプタ114を装着することができる。
図37は、アダプタ114を牽引部材110に対して装着した状態の例を示している。
牽引部材110は、作業装置3をトラクタ2の後部に接続している。これによって、トラクタ2により作業装置3を牽引可能となっている。
牽引部材110の一端側は、トラクタ2の後部に設けられた牽引ヒッチ(ドローバ等)120に接続されている。牽引部材110の他端側は、作業装置3に接続されている。尚、牽引部材110、牽引ヒッチ120、作業装置3の構成は、図示の構成には限定されない。
牽引ヒッチ120は、固定式であってもスイング式(スイングドローバ等)であってもよい。図示例の牽引ヒッチ120は、基部120aとヒッチ部120bとを有している。基部120aは、ミッションケース10の下部に取り付けられており、ミッションケース10から後方に向けて延びている。ヒッチ部120bは、基部120aの後部に設けられている。ヒッチ部120bは、上板部120cと支軸120dとを有している。上板部120cの前部は、基部120aの上面にボルト等によって固定されている。上板部120cの後部は、基部120aの上面に対して上方に離間して配置されている。支軸120dは、上板部120cから基部120aにわたって上下方向に延びている。
牽引部材110の一端側には、上下方向に延びる貫通孔110aが形成されている。牽引部材110に形成された貫通孔110aに支軸120dを挿通することにより、牽引部材110が牽引ヒッチ120のヒッチ部120bに接続される。牽引部材110がヒッチ部120bに接続されることによって、トラクタ2の後部に作業装置3が牽引可能に接続される。作業装置3の種類は限定されず、発電機ユニット12の発電機15から供給される電力により駆動する電動アクチュエータ121を備えた作業装置であればよい。
アダプタ114は、第四実施形態のアダプタであって、第2横板部114cがボルト等により牽引部材110の上部に固定されている。これにより、発電機ユニット12は、トラクタ2と作業装置3との間において、牽引部材110に装着されている。
発電機ユニット12は、牽引部材110に装着された状態において、入力軸24の第2接続部24bがトラクタ2側を向いている。入力軸24の第2接続部24bは、接続具(ユニバーサルジョイント等)115を介してトラクタ2のPTO出力軸19bと接続されている。発電機15は、入力軸24から入力された動力により駆動して発電する。発電機15から発生した電力は、作業装置3の電動アクチュエータ121に供給され、当該電力により電動アクチュエータ121が駆動される。
尚、アダプタ114は、牽引部材110の上部ではなく側部等の他の部位に装着してもよい。また、第四実施形態のアダプタに替えて、他の実施形態のアダプタ114や異なる形状のアダプタを使用してもよい。また、牽引部材110により牽引される作業装置3は、発電機15からの電力とトラクタ2のPTO軸19からの動力とにより駆動するハイブリッド式の作業装置であってもよい。
上述したように、発電機ユニット12にアダプタ114を取り付けることにより、発電機ユニット12を、トラクタ2だけでなく、トラクタ2以外の装置や部材(作業装置3、牽引部材110)に装着することができる。アダプタ114は、発電機ユニット12に対して着脱可能であるため、発電機ユニット12を作業装置3や牽引部材110に装着する場合には装着部33に取り付け、発電機ユニット12をトラクタ2のミッションケース10に装着する場合(図11等参照)には装着部33から取り外すことができる。
また、図38に示すように、発電機ユニット12にアダプタ114を取り付けることにより、発電機ユニット12をトラクタ2の後部に設けたヒッチ122に装着することもできる。図38に示した実施形態では、第一実施形態のアダプタ114を発電機ユニット12に取り付け、当該アダプタ114をトラクタ2の後部に設けたヒッチ122に接続している。ヒッチ122は、PTO出力軸19bの上方に設けられる所謂ハイヒッチである。アダプタ114は、横板部114bに形成した貫通孔にヒッチ122の支軸122aを挿通することによりヒッチ122と接続されている。これにより、発電機ユニット12は、トラクタ2の後部に設けられたヒッチ122に装着される。従って、この場合、アダプタ114がトラクタ2に対して着脱可能に装着される装着部33となる。言い換えれば、アダプタ114が装着部33として機能する。尚、ヒッチ(ハイヒッチ)122の構成は、図示した構成には限定されない。
発電機ユニット12は、ヒッチ122に装着された状態において、入力軸24の接続部24aがトラクタ2側を向いている。トラクタ2の後部には、3点リンク機構等の連結装置(図示略)により、発電機ユニット12の発電機15からの電力により駆動される電動アクチュエータを備えた作業装置(散布装置、播種装置等)が連結される。
アダプタ114は、トラクタ2(ヒッチ122)、作業装置3、牽引部材110のうちの少なくとも1つに対して装着可能であるが、少なくとも2つ(例えば、トラクタ2と作業装置3、トラクタ2と牽引部材110、作業装置3と牽引部材110)に対して装着可能であることが好ましく、全て(3つ)に対して装着可能であることがより好ましい。アダプタ114が、トラクタ2(ヒッチ122)、作業装置3、牽引部材110の全てに対して装着可能である場合、発電機ユニット12を、作業装置3の種類や仕様等に応じて、トラクタ2、作業装置3、牽引部材110に対して選択的に装着することが可能となる。
上述したように、発電機ユニット12は、トラクタ(走行車両)2に装着することもできるし、作業装置3に装着することもできるし、牽引部材110に装着することもできる。従って、発電機15は、トラクタ2に装着されている形態だけでなく、作業装置3に装着されている形態や牽引部材110に装着されている形態を採ることができる。モータ23は、発電機15がトラクタ2に装着されている場合は、トラクタ2(トラクタ2に装着された発電機15)から供給される電力により駆動するが、発電機15が作業装置3又は牽引部材110に装着されている場合には、作業装置3又は牽引部材110に装着された発電機15から供給される電力により駆動する。
また、上記実施形態の場合、発電機15はPTO軸19から伝達される動力によって駆動するものであるが、発電機15はPTO軸19と独立して駆動するものであってもよい。言い換えれば、発電機15は、PTO軸19からの動力を受けて駆動するものには限定されない。例えば、走行車両(トラクタ)2に設けられたエンジン11の出力軸に、当該出力軸からの動力を分岐する動力分岐機構を接続し、分岐された動力の一方をPTO軸19に伝達し、他方を発電機15に伝達する構成としてもよい。動力分岐機構は、例えば、複数の歯車を組み合わせた歯車機構等から構成することができる。また、発電機15は、軽油やガソリン等の燃料油や天然ガス等の燃料ガスにより駆動するものであってもよい。
<効果>
上述した実施形態の作業装置3、発電機ユニット12、作業機1によれば、以下に述べる効果を奏することができる。
上述した実施形態の作業装置3は、原動機11を備えた走行車両2に連結されて農作業を行う作業装置であって、農作業を行う作業部32と、電力により駆動する電動機(モータ)23と、電動機23の駆動により生じる動力が入力され、且つ入力された動力を作業部32に伝達する動力伝達機構50と、電動機23に発生した回生動力を消費する回生抵抗91と、電動機23と回生抵抗91との接続状態と遮断状態とを切り換える切換部92と、電動機23の駆動及び切換部92の切り換え動作を制御する制御部(第2制御部)93と、を備えている。
この構成によれば、切換部92によって、電動機23に発生する回生動力を回生抵抗91に導く状態(接続状態)と導かない状態(遮断状態)とを切り換えることができるため、電動機23に発生する回生動力を必要に応じて回生抵抗91に導き、回生抵抗91において適切に処理(消費)することができる。そのため、回生動力の発生が作業装置3の出力(散布部32の回転数等)に悪影響を及ぼすことを防止できる。言い換えれば、作業部32を回生動力が発生する駆動条件(回転数)において駆動させた場合でも、作業部32を所望の出力(回転数)で駆動させることができる。
また、電動機23は、走行車両2から供給される電力により駆動し、動力伝達機構50は、電動機23の駆動により生じる動力と原動機11から供給される動力とが入力される。
この構成によれば、電動機23の駆動により生じる動力と原動機11から供給される動力とを組み合わせて利用する動力伝達機構50を有する作業装置3において、電動機23に発生する回生動力を回生抵抗91により適切に処理することができる。
また、制御部(第2制御部)93は、回生動力が発生するときに切換部92を接続状態に切り換え、回生動力が消滅したときに切換部92を遮断状態に切り換える。
この構成によれば、電動機23に回生動力が発生するときに、回生動力を回生抵抗91に導いて消費することができるため、回生動力の発生が作業装置3の出力(散布部32の回転等)に悪影響を及ぼすことを効果的に防止できる。
また、電動機23は、複数の電動機(第1モータ231、第1モータ233)を含み、制御部(第2制御部)93は、複数の電動機のうちの少なくとも1つに回生動力が発生するときに、切換部92を接続状態に切り換える。
この構成によれば、複数の電動機のうちの少なくとも1つに回生動力が発生するときに、回生動力を回生抵抗91に導いて消費することができる。そのため、複数の電動機を有する作業装置3において、回生動力の発生が作業装置3の出力(散布部32の回転等)に悪影響を及ぼすことを効果的に防止できる。
また、電動機23は、複数の電動機(第1モータ231、第1モータ233)を含み、制御部(第2制御部)93は、複数の電動機の全てに回生動力が発生するときに、切換部92を接続状態に切り換える。
この構成によれば、複数の電動機の全てに回生動力が発生するときに、回生動力を回生抵抗91に導いて消費することができる。そのため、複数の電動機を有する作業装置3において、回生動力の発生が作業装置3の出力(散布部32の回転等)に悪影響を及ぼすことを効果的に防止できる。
また、電動機23は、複数の電動機(第1モータ231、第1モータ233)を含み、制御部(第2制御部)93は、複数の電動機の全てに回生動力が発生するとき、及び、複数の電動機のうち一の電動機(例えば、第1モータ231)に回生動力が発生し且つ他の電動機(例えば、第2モータ232)に力行動力が発生し且つ一の電動機に生じた回生動力が他の電動機に生じた力行動力を上回るとき、切換部92を接続状態に切り換える。
この構成によれば、複数の電動機を有する作業装置3において、回生動力の発生が作業装置3の出力(散布部32の回転等)に悪影響を及ぼすことを、より確実に防止できる。
また、電動機23は、複数の電動機(第1モータ231、第1モータ233)を含み、制御部(第2制御部)93は、複数の電動機のうちの少なくとも1つに逆回転の指令を送信するときに、切換部92を接続状態に切り換える。
この構成によれば、複数の電動機を有する作業装置3において、回生動力の発生が作業装置3の出力(散布部32の回転等)に悪影響を及ぼすことを、迅速且つ確実に防止できる。
また、原動機11がエンジン11であり、動力伝達機構50は、エンジン11からの動力がPTO軸19を介して入力される第1入力部(第1遊星キャリア)62と、電動機23の駆動により生じる動力が入力される第2入力部(第1太陽歯車)60と、を有する遊星歯車機構(第1遊星歯車機構)52と、遊星歯車機構52から作業部(散布部)32に対して動力を出力する出力部(出力伝達軸64、分離伝達部65、第1動力伝達部70、第2動力伝達部82)と、を有している。
この構成によれば、エンジン11からPTO軸19を介して入力される動力と、電動機23の駆動により生じる動力とを、作業部32に対して出力する遊星歯車機構52を備える作業装置3において、電動機23において発生した回生動力が作業装置3の出力(散布部32の回転等)に悪影響を及ぼすことを防止できる。
また、作業装置3は、圃場に肥料を散布する肥料散布装置、圃場に薬剤を散布する薬剤散布装置、圃場に種を播く播種装置、刈り取った作物を集めて成形する成形装置のいずれかである。
この構成によれば、作業装置3が肥料散布装置、薬剤散布装置、播種装置、成形装置のいずれかである場合において、電動機23に発生する回生動力を回生抵抗91により適切に処理することができる。
また、上述した実施形態の作業機1は、原動機11を備えた走行車両2と、走行車両2に連結されて農作業を行う作業装置3と、を備え、作業装置3は、農作業を行う作業部32と、電力により駆動する電動機23と、電動機23の駆動により生じる動力が入力され、且つ入力された動力を作業部32に伝達する動力伝達機構50と、電動機23に発生した回生動力を消費する回生抵抗91と、電動機23と回生抵抗91との接続状態と遮断状態とを切り換える切換部92と、を有し、走行車両2又は作業装置3は、電動機23の駆動及び切換部92の切り換え動作を制御する制御部(第2制御部)93を備えている。
この構成によれば、走行車両2又は作業装置3に備えられた制御部93により切換部92を制御して、電動機23に発生する回生動力を回生抵抗91に導く状態(接続状態)と導かない状態(遮断状態)とを切り換えることができる。そのため、走行車両2に連結された作業装置3において、電動機23に発生する回生動力を必要に応じて回生抵抗91に導き、回生抵抗91において適切に処理(消費)することができる。これにより、回生動力の発生が作業装置3の出力(散布部32の回転数等)に悪影響を及ぼすことを防止できる。
また、上述した実施形態の作業装置3は、原動機11を備えた走行車両2に連結されて農作業を行う作業装置3であって、回転することにより農作業を行う作業部32と、電力により駆動する電動機23と、電動機23の駆動により生じる動力が入力され、且つ入力された動力を作業部32に伝達する動力伝達機構50と、電動機23に発生した回生動力を消費する回生抵抗であって、作業部32の回転により発生する風により冷却される位置に配置されている回生抵抗91と、を備えている。
この構成によれば、電動機23に発生する回生動力を回生抵抗91において消費することができる。そのため、回生動力の発生が作業装置3の出力(散布部32の回転数等)に悪影響を及ぼすことを防止できる。加えて、作業部32の回転により発生する風によって回生抵抗91を冷却することができるため、回生抵抗91を冷却するための専用の機器(ファン等)を必要とせず、当該機器を設けることによる作業装置3の重量化や大型化を回避することができる。
また、電動機23は、走行車両2から供給される電力により駆動し、動力伝達機構50は、電動機23の駆動により生じる動力と原動機11から供給される動力とが入力される。
この構成によれば、電動機23の駆動により生じる動力と原動機11から供給される動力とを組み合わせて利用する動力伝達機構50を有する作業装置3において、電動機23に発生する回生動力を消費する回生抵抗91を冷却することができる。
また、回生抵抗91は、作業部32の回転により発生する風が当たる位置に配置されている。
この構成によれば、回生抵抗91を迅速に且つ効率良く冷却することができる。
また、作業部32は中心軸40a回りに回転する回転翼40bを有し、回生抵抗91は、回転翼40bの周囲の位置に配置されている。
この構成によれば、回転翼40bの回転によって発生する風が、回生抵抗91に当たりやすくなるため、回生抵抗91を効果的に冷却することができる。
また、作業装置3は、作業部32の回転により発生する風を回生抵抗91に向けて導く導風部材96を備えている。
この構成によれば、導風部材96によって、回転翼40bの回転により発生した風を効率よく回生抵抗91に当てることができる。そのため、回生抵抗91をより効果的に冷却することができる。
また、中心軸40aは上下方向に延設されており、回生抵抗41は回転翼40bよりも上方に配置されている.
この構成によれば、回転翼40bにより散布物を散布した場合、散布物は、回転翼40bから離れるに従って下方に向かう(落下する)ため、回転翼40bによって散布された散布物が回生抵抗91に当たることを効果的に防止することができる。
また、作業装置3は、作業部32の周囲に設けられ且つ作業部32を支持するフレーム97を備え、回生抵抗91は、フレーム97に取り付けられている。
この構成によれば、回生抵抗91がフレーム97により支持されるため、風を受けて落下する等の不具合を防止できる。また、回生抵抗91が発熱したとき、フレーム97を介して放熱することができる。
また、導風部材96は、フレーム97に取り付けられている。
この構成によれば、導風部材96をフレーム97により支持することができるため、導風部材96を支持するための部材を別に設ける必要がない。また、導風部材96の位置が安定するため、回転翼40bの回転によって発生する風を、導風部材96によって確実に回生抵抗91に向けて導くことができる。
また、作業装置3は、走行車両2の後部に連結される連結部98を備え、フレーム97は、連結部98側に配置され且つ走行車両2の幅方向に延びる前部フレーム97aと、連結部98側と反対側に配置され且つ走行車両2の幅方向に延びる後部フレーム97bと、前部フレーム97aと後部フレーム97bとを前記幅方向の端部において連結する側部フレーム97cと、を有し、導風部材96は前部フレーム97aに取り付けられており、回生抵抗91は側部フレーム97cに取り付けられている。
この構成によれば、回生抵抗91が導風部材96の後方且つ側方に配置されるため、走行車両2やフレーム97の内部に配置される機器(散布部32)等によって導風作用が阻害されることを抑えつつ、回転翼40bの回転によって発生する風を導風部材96により導いて回生抵抗91に当てることができる。
また、導風部材96は、前部フレーム97aと回転翼40bとの間から側部フレーム97bに向けて延設され且つ側部フレーム97bに近づくにつれて後方に移行する傾斜部103を有しており、回生抵抗91は、平面視において傾斜部103の傾斜方向の延長線L5上に配置されている。
この構成によれば、回転翼40bの回転によって発生する風を、導風部材96の傾斜部103によって側部フレーム側へと導いて回生抵抗91に当てることができるため、回生抵抗91を効率良く冷却することができる。
また、作業装置3は、圃場に肥料を散布する肥料散布装置又は圃場に種を播く播種装置である。
この構成によれば、圃場に肥料を散布する肥料散布装置又は圃場に種を播く播種装置において、作業部32の回転により発生する風によって回生抵抗91を効果的に冷却することができる。
また、上述した実施形態の発電機ユニット12は、原動機11及び当該原動機11からの動力を伝達するPTO軸19を備えた走行車両2に装着される発電機ユニットであって、発電機15と、PTO軸19と接続可能な第1接続部24aと、走行車両2に連結される作業装置3と接続可能な第2接続部24bと、を有する入力軸24と、第1接続部24aから入力軸24に入力されたPTO軸19からの動力を発電機15に伝達する伝達機構25と、発電機15、入力軸24、伝達機構25が取り付けられる取付部34と、走行車両2に対して装着可能な装着部33と、を有する取付フレーム26と、を備えている。
この構成によれば、走行車両2に対して装着可能であると共に、PTO軸19からの動力により駆動する発電機15からの電力と、PTO軸19からの動力とを使用して作業装置3を駆動することができる発電機ユニット12が提供される。詳しくは、入力軸24の第1接続部24aをPTO軸19と接続することによって、PTO軸19からの動力を伝達機構25を介して発電機15に伝達することができるため、発電機15からの電力を使用して作業装置3を駆動することができる。また、入力軸24の第2接続部24bに作業装置3を接続することにより、PTO軸19の動力により作業装置3を駆動することができる。これにより、発電機を備えていない走行車両に対して後付けで発電機を装着することができる。また、発電機ユニット12は、発電機15、入力軸24、伝達機構25、取付フレーム26が一体化(ユニット化)されているため、走行車両2に対する装着を少ない工数で簡単に且つ確実に行うことができる。
また、発電機ユニット12は、作業装置3に対して装着可能なアダプタ114を備えている。
この構成によれば、発電機ユニット12を作業装置3に対して装着することができる。そのため、走行車両2に発電機ユニット12を装着できない場合であっても、発電機ユニット12を作業装置3に装着して発電機15からの電力を作業装置3に供給することができる。
また、発電機ユニット12は、作業装置3を走行車両2の後部に接続する牽引部材110に対して装着可能なアダプタ114を備えている。
この構成によれば、発電機ユニット12を牽引部材110に対して装着することができる。そのため、走行車両2や作業装置3に発電機ユニット12を装着できない場合であっても、発電機ユニット12を牽引部材110に装着して発電機15からの電力を作業装置3に供給することができる。
また、アダプタ114は、走行車両2の後部に設けられたヒッチ122に対して装着可能である。
この構成によれば、発電機ユニット12を作業装置3や牽引部材110だけでなく、走行車両2の後部に設けられたヒッチ122に対しても装着可能となるため、発電機ユニット12の装着箇所を選択して最適な箇所に装着することができる。
また、装着部33は、走行車両2のミッションケース10に対して装着される。
この構成によれば、発電機ユニット12を装着部33を介して走行車両2のミッションケース10に対して装着することができる。そのため、走行車両2が作業装置3を連結するための連結装置(リンク機構等)を備える場合、当該連結装置を使用せずに発電機ユニット12を走行車両2に装着することができる。言い換えれば、走行車両2に対して発電機ユニット12を装着した場合でも、走行車両2に対して作業装置3を連結することができる。従って、走行車両2に装着した発電機ユニット12から、走行車両2に連結した作業装置3に対して電力を供給することができる。
また、装着部33は、走行車両2の幅方向の一方側に装着される第1装着部331と、走行車両2の幅方向の他方側に装着される第2装着部332と、を有し、発電機15は、第1装着部331と第2装着部332との間に配置されている。
この構成によれば、発電機15が第1装着部331と第2装着部332との間(ラダーヒッチの内側)に配置されることにより、発電機15が走行車両2の後部に設けられる3点リンク機構等の連結装置6等と干渉することが防がれる。
また、発電機ユニット12は、発電機15から出力される電力を作業装置3に供給するためのケーブル(電力供給ケーブル)95Aを接続可能なコネクタ(第1出力コネクタ)37を備え、コネクタ37は第1装着部331と第2装着部332との間に配置されている。
この構成によれば、発電機15から出力される電力を、発電機ユニット12のコネクタ37からケーブル95Aを介して作業装置3に供給することができる。また、コネクタ37が第1装着部331と第2装着部332との間(ラダーヒッチの内側)に配置されることにより、コネクタ37や当該コネクタ37に接続されるケーブルが走行車両2の後部に設けられる3点リンク機構等の連結装置6等と干渉することが防がれる。
また、発電機ユニット12は、発電機15からコネクタ37への電力の出力を制御する制御部(第1制御部)30を備えている。
この構成によれば、発電機ユニット12の制御部30により、発電機15からコネクタ37への電力の出力を制御することで、作業装置3への電力の供給を制御することができる。
また、取付フレーム34には、カバー部材38が取り付けられており、カバー部材38は、第1装着部331に取り付けられて発電機15の一側方を覆う一方側板38aと、第2装着部332に取り付けられて発電機15の他側方を覆う他方側板38bと、一方側板38aの上部と他方側板38bの上部とを連結して発電機15の上方を覆う上板38cと、を有する。
この構成によれば、カバー部材38が発電機15の周囲を3つの方向(左方、右方、上方)から覆うため、発電機15やその周辺の機器に、作業者が意図せずに接触することを防ぐことができる。
また、発電機15は、出力電圧が60V以下である。
この構成によれば、絶縁対策を必要としない。また、安全性に優れており、消費電力を削減することもできる。さらに、発電機15を小型化、軽量化することもできる。
また、発電機15の出力電圧は、48V以下とすることもできる。
発電機15の出力電圧を48V以下とすることにより、自動車の電動化技術を適用することができる。また、農作業に使用される様々な種類の作業装置3に対して電力を供給して駆動させることができる。
また、発電機ユニット12は、走行車両2に連結される作業装置3が、圃場に散布物を散布する散布装置、圃場に種を播く播種装置、刈り取った作物を集めて成形する成形装置のいずれかである。
この構成によれば、発電機ユニット12を散布装置、播種装置、成形装置のいずれかに装着して、発電機ユニット12から供給される電力によって散布装置、播種装置、成形装置のいずれかを駆動することができる。
また、散布装置3が、肥料散布装置又は薬剤散布装置である。
この構成によれば、発電機ユニット12を肥料散布装置(スプレッダ)又は薬剤散布装置(スプレーヤ)に装着して、発電機ユニット12から供給される電力によって肥料散布装置又は薬剤散布装置を駆動することができる。
また、作業機1は、上記発電機ユニット12と、発電機ユニット12が装着された走行車両2と、走行車両2に連結されて発電機15から出力される電力により駆動される作業装置3と、を備えている。
この構成によれば、上述した優れた効果を奏する発電機ユニット12を備えた作業機1を実現することができる。
また、上述した実施形態の作業機1は、原動機11を備えた走行車両2と、走行車両2に装着され且つ原動機11からの動力により駆動する発電機15と、走行車両2に連結され且つ発電機15から発生した電力と走行車両2からの信号を受ける作業装置3と、発電機15から発生した電力を作業装置3に供給する電力供給ケーブル95Aと、走行車両2からの信号を作業装置3に送信する信号伝送ケーブル95Bと、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとを結束する結束部材109と、を備えている。
この構成によれば、走行車両2と作業装置3とを接続する電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとが結束部材109により結束されているため、電力供給ケーブル95A及び信号伝送ケーブル95Bの配策を容易に行うことができる。また、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとを別々に配策する場合に比べてケーブルの配策スペースを小さくすることができるため、ケーブル95A,95Bと走行車両2の後部に設けられた可動部(連結装置6、PTO軸19)との接触を回避できる。これにより、ケーブル95A,95Bによる接続の信頼性が向上する。
また、作業機1は、発電機15と、発電機15が取り付けられる取付部34と、走行車両2に対して装着される装着部33と、を有する発電機ユニット12を備え、装着部33は、走行車両2に対して着脱可能に装着され、電力供給ケーブル95Aは、発電機ユニット12と作業装置3とを接続している。
この構成によれば、発電機15を取付部34や装着部33と一体化された発電機ユニット12として走行車両2に対して装着することができる。そのため、発電機15を走行車両2に対して容易に着脱することが可能となる。また、電力供給ケーブル95Aによって、走行車両2に装着された発電機ユニット12から作業装置3に電力を供給することができる。
また、発電機ユニット12は、原動機11からの動力を伝達するPTO軸19と接続可能な第1接続部24aと、作業装置3と接続可能な第2接続部24bと、を有する入力軸24と、第1接続部24aから入力軸24に入力されたPTO軸19からの動力を発電機15に伝達する伝達機構25と、を備えている。
この構成によれば、入力軸24の第1接続部24aをPTO軸19と接続することによって、PTO軸19からの動力を伝達機構25を介して発電機15に伝達することができるため、発電機15からの電力を使用して作業装置3を駆動することができる。また、入力軸24の第2接続部24bに作業装置3を接続することにより、PTO軸19の動力により作業装置3を駆動することができる。
また、作業装置3は、電力供給ケーブル95Aの入力側が接続される第1入力コネクタ106と、信号伝送ケーブル95Bの入力側が接続される第2入力コネクタ108と、を有し、発電機ユニット12は、電力供給ケーブル95Aの出力側が接続される第1出力コネクタ37を有し、走行車両2は、信号伝送ケーブル95Bの出力側が接続される第2出力コネクタ107を有し、電力供給ケーブル95Aは、結束部材109により信号伝送ケーブル95Bと結束された状態で第1出力コネクタ37から第1入力コネクタ106へと配策され、信号伝送ケーブル95Bは、結束部材109により電力供給ケーブル95Aと結束された状態で第2出力コネクタ107から第2入力コネクタ108へと配策されている。
この構成によれば、電力供給ケーブル95Aを、信号伝送ケーブル95Bと結束された状態で発電機ユニット12から作業装置3へと配策することができる。また、信号伝送ケーブル95Bを、電力供給ケーブル95A結束された状態で走行車両2から作業装置3へと配策することができる。
また、第2出力コネクタ107は、第1出力コネクタ37の上方に配置され、電力供給ケーブル95Aは、第1出力コネクタ37から上方に延びて第2出力コネクタ107の近傍を通って第1入力コネクタ106へと配策されている。
この構成によれば、電力供給ケーブル95Aを信号伝送ケーブル95Bが接続される第2出力コネクタ107の近傍を通すことにより、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとを長い距離(区間)にわたって近接させて配策できる。そのため、結束部材109により電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとを結束できる部位(箇所)を多くとることができる。その結果、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとの配策が容易となり、配策スペースも小さくできる。
また、第1出力コネクタ37は、発電機ユニット12の上部に設けられている。
この構成によれば、第1出力コネクタ37と第2出力コネクタ107との距離が短くなるため、電力供給ケーブル95Aと信号伝送ケーブル95Bとが結束されていない部分を短くすることができる。そのため、電力供給ケーブル95A及び信号伝送ケーブル95Bの配策の容易化と配策スペースの削減を、より確実に達成することができる。
また、第1出力コネクタ37は、電力供給ケーブル95Aが接続される接続部37aが上方を向いて配置されている。
この構成によれば、第1出力コネクタ37の接続部37aに対して、電力供給ケーブル95Aを上方から容易に接続して配策することができる。また、第1出力コネクタ37から電力供給ケーブル95Aを上方に延ばして第2出力コネクタ107の近傍に配策することが容易となる。
また、走行車両2は、作業装置3を連結するための連結装置6を有し、連結装置6は、トップリンク6B1、ロアリンク6B2、リフトアーム6A、リフトロッド6B3を有する3点リンク機構であり、ロアリンク、リフトアーム、リフトロッドは、走行車両2の幅方向の一方と他方にそれぞれ設けられており、第1出力コネクタ37は、前記幅方向において、トップリンク6B1と、前記幅方向の他方に設けられたロアリンク6B2R、リフトアーム6AR、リフトロッド6B3Rとの間に配置されている。
この構成によれば、第1出力コネクタ37と接続された電力供給ケーブル95Aを、車両幅方向において、トップリンク6B1と、第2ロアリンク6B2R、第2リフトアーム6AR、第2リフトロッド6B3Rとの間を通して上方に延ばすことができる。これにより、電力供給ケーブル95Aと連結装置6との干渉を回避できる。
また、電力供給ケーブル95A及び信号伝送ケーブル95Bは、結束部材109により結束された状態で連結装置6の上方を通って作業装置3側へと配策されている。
この構成によれば、電力供給ケーブル95A及び信号伝送ケーブル95Bを、連結装置6や、連結装置6の下方(トップリンク6B1の下方)にある部材(PTO軸19等)との干渉を回避して作業装置3側へと配策することができる。
また、作業装置3は、圃場に肥料を散布する肥料散布装置、圃場に薬剤を散布する薬剤散布装置、圃場に種を播く播種装置、刈り取った作物を集めて成形する成形装置のいずれかである。
この構成によれば、作業装置3が肥料散布装置、薬剤散布装置、播種装置、成形装置のいずれかである場合において、ケーブル95A,95Bと走行車両2の後部に設けられた可動部(連結装置6、PTO軸19)との接触を回避できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。