JP7051474B2 - 化学洗浄装置及びそれを用いた化学洗浄方法 - Google Patents

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Description

本発明は、貫流ボイラの火炉に配置される火炉蒸発器に付着したヘマタイトスケールを化学洗浄する化学洗浄装置及びそれを用いた化学洗浄方法に関する。
従来、貫流ボイラを備え、ボイラ給水系統に酸素処理(OT:Oxygen Treatment)が適用される火力発電システムが知られている。OTの1つとして、複合水処理(CWT:Combined Water Treatment)があり、貫流ボイラを備えた火力発電プラントに適用されているものがある。CWTでは、スケール付着やスケール成長速度を抑制するために、アンモニアを添加してボイラ給水のpHをアルカリ性(pH8.0~9.0)にするとともに、微量の酸素(O)を添加することで、伝熱管内面酸化膜の保護皮膜を形成する。
一方、いくつかのCWT適用した火力発電システムでは、貫流ボイラの火炉壁管のメタル温度が上昇する事象が発生する場合があり、時として、火炉壁管破損によるボイラ給水や蒸気の漏洩の発生に至る場合があることが問題となっている。この火炉壁管のメタル温度上昇の原因は、ボイラ給水系統の配管から鉄が溶出して鉄濃度が高くなると、ボイラ火炉壁伝熱管の内面へのヘマタイト(Fe)スケールが生成し、熱伝導率の低い小粒径のポーラス状のヘマタイトスケールが火炉壁管内面に付着・堆積して熱伝導が悪くなり、ボイラ給水による火炉壁管の冷却が阻害されて、火炉蒸発器の伝熱管メタル温度上昇の要因となるためである。
上述の火炉壁管の漏洩不適合を予防するために、定期的に火炉壁管の化学洗浄を実施し、管内面に堆積したヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールを除去することが行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、薬液供給ラインから貫流ボイラの火炉壁管に洗浄液を供給し、火炉壁管に供給された洗浄液を薬液排出ラインから排出することが開示されている。特許文献1に開示される火力発電システムは、貫流ボイラとそれに隣接する汽水分離器とを連結する配管と、貫流ボイラとそれに隣接する節炭器とを連結する配管とのそれぞれにバルブを配置している。特許文献1では、化学洗浄を行う際にバルブを閉鎖することにより、貫流ボイラに供給された洗浄液が汽水分離器及び節炭器へ流入することを防止している。
特許第5721888号公報
しかしながら、特許文献1では、貫流ボイラの洗浄対象とする機器に隣接する他機器へ洗浄液が流入することを防止するために、複数のバルブや盲フランジ等の遮蔽具を火力発電システムの給水系統及び蒸気系統の配管に設ける必要がある。また、貫流ボイラへの洗浄液の流入状態に応じた適切な時期にバルブを閉鎖することができなければ、貫流ボイラの洗浄対象とする機器に隣接する他機器へ洗浄液が流入して、他機器を腐食させるおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、貫流ボイラの蒸発器内の洗浄にあたり、蒸発器と隣接する他機器とを接続する配管にバルブ等の遮蔽具を設けることなく、貫流ボイラの火炉に配置される蒸発器の隣接する他機器へ洗浄液が流入することを防止することができる化学洗浄装置及びそれを用いた化学洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る化学洗浄装置は、貫流ボイラの火炉に配置される蒸発器内に付着および/または堆積したスケールを化学洗浄するものであり、前記貫流ボイラは、前記蒸発器と配管を介して接続された隣接機器を備えており、洗浄用の薬液を収容する薬液タンクと、水を収容する補給水タンクと、前記薬液タンク及び前記補給水タンクに連結されるとともに前記蒸発器の鉛直方向上端に設けられる上部ヘッダと前記蒸発器の鉛直方向下端に設けられる下部ヘッダに前記薬液と前記水とを含む洗浄液を循環させる循環ラインと、前記循環ラインに設置される循環ポンプと、前記循環ラインに設置されるとともに前記洗浄液に含まれるスケール粒子を回収する回収部と、前記循環ラインを流通する前記洗浄液の流量を調整する調整部と、前記上部ヘッダに接続される前記配管における前記洗浄液の液面の高さを検出する検出部と、前記洗浄液が前記隣接機器へ導かれないように前記検出部が検出する前記洗浄液の液面の高さに応じて前記調整部の調整を提示および/または制御する制御部と、を備える。
本発明の一態様に係る化学洗浄装置によれば、蒸発器の鉛直方向上端に設けられる上部ヘッダと蒸発器の鉛直方向下端に設けられる下部ヘッダとの間で洗浄液が循環し、蒸発器内に付着したスケールが洗浄用の薬液により化学洗浄される。化学洗浄により蒸発器から除去されたスケールの一部は、例えば難溶性粒子などのスケール粒子として洗浄液とともに循環ラインを循環し、回収部により回収される。
また、本発明の一態様に係る化学洗浄装置によれば、蒸発器の上部ヘッダと隣接する他機器である隣接機器とを接続する配管における洗浄液の液面の高さが検出部により検出され、洗浄液が隣接機器へ導かれないように、洗浄液の液面の高さに応じて、循環ラインを流通する洗浄液の流量を調整する調整部が制御される。したがって、蒸発器と隣接機器とを接続する配管にバルブ等の遮蔽具を設けることなく、貫流ボイラの火炉に配置される蒸発器の隣接機器へ洗浄液が流入することを防止することができる。
本発明の一態様に係る化学洗浄装置において、前記回収部は、前記スケール粒子を含む前記洗浄液を濾過するフィルタと、前記フィルタの上流側の前記洗浄液の圧力と前記フィルタの下流側の前記洗浄液の圧力との差圧を測定する測定部と、を備え、前記測定部は、測定する前記差圧に基づいて前記フィルタによる前記スケール粒子の回収状態を提示してもよい。
フィルタによる難溶性粒子などのスケール粒子の回収量が多くなるとそれに伴ってフィルタを通過する洗浄液の圧力損失が上昇し、フィルタの上流側と下流側の洗浄液の差圧が上昇する。そのため、測定部が測定する差圧に基づいてフィルタによるスケール粒子の回収状態を適切に提示することができる。
本発明の一態様に係る化学洗浄装置において、前記蒸発器は、前記上部ヘッダと、前記下部ヘッダと、鉛直方向に延在する複数の火炉壁管と、を備え、前記上部ヘッダは、前記複数の火炉壁管の鉛直方向上端に連結されるとともに水平方向に延在する筒状に形成され、前記下部ヘッダは、前記複数の火炉壁管の鉛直方向下端に連結されるとともに水平方向に延在する筒状に形成され、前記上部ヘッダは、前記上部ヘッダが延在する方向の両端側で前記上部ヘッダと前記循環ラインとを接続する第1接続部を備え、前記下部ヘッダは、前記下部ヘッダが延在する方向の両端側で前記下部ヘッダと前記循環ラインとを接続する第2接続部を備える構成としてもよい。
本構成の化学洗浄装置によれば、上部ヘッダが延在する方向の両端側で上部ヘッダと循環ラインとを接続することにより、複数の火炉壁管に略均等に洗浄液を供給する、あるいは複数の火炉壁管から略均等に洗浄液を回収することができる。また、下部ヘッダが延在する方向の両端側で下部ヘッダと循環ラインとを接続することにより、下部ヘッダの端部に残留、堆積しやすい難溶性粒子などのスケール粒子を下部ヘッダから循環ラインに適切に排出することができる。
上記構成の化学洗浄装置において、前記第2接続部は、前記下部ヘッダが延在する方向の両端面で前記下部ヘッダと前記循環ラインとを接続する形態としてもよい。
下部ヘッダが延在する方向の両端面で下部ヘッダと循環ラインとを接続することにより、下部ヘッダの端部に残留、堆積しやすいスケール粒子をより確実に下部ヘッダから循環ラインに排出することができる。
上記形態の化学洗浄装置において、前記第2接続部は、前記両端面の鉛直方向下端で前記下部ヘッダと前記循環ラインとを接続してもよい。
下部ヘッダの両端面の下端で下部ヘッダと循環ラインとを接続することにより、下部ヘッダの端部かつ下部ヘッダの下端に残留、堆積しやすい難溶性粒子などのスケール粒子をより確実に下部ヘッダから循環ラインに排出することができる。
上記構成の化学洗浄装置において、前記第2接続部は、前記下部ヘッダの鉛直方向下端で前記下部ヘッダと前記循環ラインとを接続してもよい。
下部ヘッダの鉛直方向下端で下部ヘッダと循環ラインとを接続することにより、下部ヘッダの鉛直方向下端に残留、堆積しやすいスケール粒子をより確実に下部ヘッダから循環ラインに排出することができる。
上記構成の化学洗浄装置において、前記第2接続部は、前記循環ラインから前記下部ヘッダに導かれる前記洗浄液を前記下部ヘッダの鉛直方向下方へ向けて導くように前記水平方向に対して所定角度で傾斜した流路であってもよい。
循環ラインから下部ヘッダに導かれる洗浄液を下部ヘッダの鉛直方向下方へ向けて導くことにより、下部ヘッダの下端に残留、堆積する難溶性粒子などのスケール粒子を洗浄液中に拡散させることができる。これにより、下部ヘッダの下端に残留、堆積した難溶性粒子を洗浄液とともに回収部に導いて回収することができる。
本発明の一態様に係る化学洗浄方法は、貫流ボイラの火炉に配置される蒸発器内に付着したスケールを化学洗浄する化学洗浄装置を用いた方法であって、前記貫流ボイラは、前記蒸発器と配管を介して接続された隣接機器を備えており、前記化学洗浄装置は、洗浄用の薬液を収容する薬液タンクと、水を収容する補給水タンクと、前記薬液タンク及び前記補給水タンクに連結されるとともに前記蒸発器の鉛直方向上端に設けられる上部ヘッダと前記蒸発器の鉛直方向下端に設けられる下部ヘッダとの間で前記薬液と前記水とを含む洗浄液を循環させる循環ラインと、前記循環ラインに設置される循環ポンプと、前記循環ラインに設置されるとともに前記洗浄液に含まれるスケール粒子を回収する回収部と、を備え、前記循環ラインから前記上部ヘッダへ前記洗浄液を供給して前記下部ヘッダから排出される前記洗浄液を前記循環ラインへ戻す第1洗浄工程と、前記第1洗浄工程の後に、前記循環ラインから前記第2接続部へ前記洗浄液を供給して前記第1接続部から排出される前記洗浄液を前記循環ラインへ戻す第2洗浄工程と、を備える。
本発明の一態様に係る化学洗浄方法によれば、第1洗浄工程において、循環ラインから蒸発器の鉛直方向上端に設けられる上部ヘッダへ洗浄液が供給され、蒸発器内の鉛直方向下端に設けられる下部ヘッダから排出される。洗浄初期においてはスケール粒子の発生量が多いため、蒸発器の上端から下端にむけて洗浄液を部分的に蒸発器に接触させるだけでも、十分な量のスケール粒子を回収部で回収することができる。
また、本発明の一態様に係る化学洗浄方法によれば、第1洗浄工程の後の第2洗浄工程において、循環ラインから蒸発器の鉛直方向下端に設けられる下部ヘッダへ洗浄液が供給され、蒸発器の鉛直方向上端に設けられる上部ヘッダから排出される。洗浄初期において多量の難溶性粒子が発生した後は、難溶性粒子の発生量が緩慢となる。そのため、蒸発器内の下端から上端に向けて洗浄液を供給して蒸発器内の全領域を洗浄液で満たすことにより、蒸発器内の全領域を確実に化学洗浄することができる。
本発明の一態様に係る化学洗浄方法において、前記第1洗浄工程の後に、前記循環ポンプを停止させた状態で所定時間待機する待機工程を備え、前記第2洗浄工程は、前記待機工程の後に実行される工程であってもよい。
第1洗浄工程の後に循環ポンプを停止させた状態で所定時間待機することで、洗浄液による化学洗浄に必要な時間を確保して、洗浄効果が上昇するため、化学洗浄が確実に実行されるため、洗浄効果を高めることができる。
本発明の一態様に係る化学洗浄方法において、前記化学洗浄装置は、前記洗浄液中の鉄イオン濃度を計測する計測部を備え、前記計測部が計測する前記鉄イオン濃度が、前記スケールが除去されたことを示すものとして設定される所定濃度以上になった際に、前記第2洗浄工程を終了すると判定する判定工程を備えていてもよい。
スケールが除去されたことを示す鉄イオン濃度を所定濃度として設定し、計測部が計測する鉄イオン濃度が所定濃度以上となった際に第2洗浄工程を終了することで、スケールを確実に除去することができる。
本発明の一態様に係る化学洗浄方法において、前記回収部は、前記スケール粒子を含む前記洗浄液を濾過するフィルタを備え、前記フィルタの上流側の前記洗浄液の圧力と前記フィルタの下流側の前記洗浄液の圧力との差圧を測定する測定工程と、前記測定工程が測定する前記差圧に基づいて前記フィルタによる前記スケール粒子の回収状態を提示する提示工程と、を備えていてもよい。
フィルタによる難溶性粒子などのスケール粒子の回収量が多くなるとそれに伴ってフィルタを通過する洗浄液の圧力損失が上昇し、フィルタの上流側と下流側の洗浄液の差圧が上昇する。そのため、測定工程が測定する差圧に基づいてフィルタによるスケール粒子の回収状態を適切に提示することができる。
本発明によれば、貫流ボイラの蒸発器内の洗浄にあたり、蒸発器と隣接する他機器とを接続する配管にバルブ等の遮蔽具を設けることなく、貫流ボイラの火炉に配置される蒸発器の隣接する他機器へ洗浄液が流入することを防止することができる化学洗浄装置及びそれを用いた化学洗浄方法を提供することができる。
第1実施形態に係る火力発電システムを説明する概略図である。 図1の貫流ボイラの一例を示す斜視図である。 図2のI部分の火炉内側の内周面を模式的に切り出した部分拡大図である。 図1に示す化学洗浄装置の概略構成図である。 水張り工程を示す化学洗浄装置の概略構成図である。 第1洗浄工程を示す化学洗浄装置の概略構成図である。 第2洗浄工程を示す化学洗浄装置の概略構成図である。 水洗工程を示す化学洗浄装置の概略構成図である。 後処理工程を示す化学洗浄装置の概略構成図である。 火炉蒸発器とそれに隣接する煙道蒸発器及び節炭器の鉛直方向の位置関係を示す概念図である。 図2に示す前壁上部ヘッダの近傍の部分拡大図である。 液面検出部の第1変形例を示す図である。 液面検出部の第2変形例を示す図である。 液面検出部の第3変形例を示す図である。 図2に示す前壁下部ヘッダの近傍の部分拡大図である。 前壁下部ヘッダの第1変形例を示す図である。 前壁下部ヘッダの第2変形例を示す図である。 前壁下部ヘッダの第3変形例を示す図である。 前壁下部ヘッダの第4変形例を示す図である。 前壁下部ヘッダの第5変形例を示す図である。 第2実施形態のスラッジ回収設備を示す概略構成図である。 第1洗浄工程及び第2洗浄工程を実行する際の経過時間と難溶性粒子の粒子径及び洗浄液中の鉄イオン濃度の関係を示す図である。 第1洗浄工程及び第2洗浄工程を実行する際の経過時間とフィルタの上流側と下流側の洗浄液の差圧の関係を示す図である。
以下においては、説明の便宜上、上側、上端、上部などの「上」及び下側、下端、下部などの「下」の表現を用いて説明した各構成要素の位置関係は、各々鉛直上方側、鉛直下方側を示すものである。また、本実施形態では、上下方向と水平方向で同様な効果を得られるものは、説明図の紙面における上下方向が必ずしも鉛直上下方向に限定するものではなく、例えば鉛直方向に直交する水平方向に対応してもよい。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る火力発電システム100を説明する概略図であり、火炉蒸発器内などの洗浄メンテナンスの時に化学洗浄装置200が設置された状態を示す。
図1に示すように、本実施形態における火力発電システム100は、例えば、貫流ボイラ10と、タービン(蒸気タービン)20と、復水器30と、復水脱塩装置40と、グランド蒸気復水器50と、低圧給水加熱器60と、脱気器70と、高圧給水加熱器80と、を備える。貫流ボイラ10は、火炉蒸発器11と、煙道蒸発器12と、節炭器13と、汽水分離器14と、過熱器15と、再熱器16と、を備える。煙道蒸発器12は、火炉蒸発器11と配管等を介して火炉蒸発器11の下流側に接続された火炉蒸発器11と隣接する他機器である隣接機器である。節炭器13は、火炉蒸発器11と配管等を介して火炉蒸発器11の上流側に接続された火炉蒸発器11と隣接する隣接機器である。
なお、本実施形態では、主要機器間の接続状態を記載しているが、火炉蒸発器11の上流側及び下流側に接続される各機器の間には、副次的に更に他の隣接機器(例えば天井管、各種管寄せ、連絡管など)が設けられていてもよい。
火力発電システム100の給水系統は、復水器30と、復水脱塩装置40と、グランド蒸気復水器50と、低圧給水加熱器60と、脱気器70と、高圧給水加熱器80と、節炭器13により構成される。火力発電システム100の蒸気系統は、火炉蒸発器11と、煙道蒸発器12と、汽水分離器14と、過熱器15と、再熱器16と、タービン20により構成される。タービン20は、例えば、高圧タービン、中圧タービン及び低圧タービンを備えるものである。
本実施形態の火力発電システム100の貫流ボイラ10としては、一例としてボイラ給水系統に酸素処理(OT:Oxygen Treatment)が適用される貫流ボイラが用いられる。OTには、中性水処理(NWT:Neutral Water Treatment)および複合水処理(CWT:Combined Water Treatment)がある。貫流ボイラ10を備えた火力発電システム100では、CWTが適用されているものがあり、CWTでは、スケール付着やスケール成長速度を抑制するために、アンモニアを添加してボイラ給水のpHをアルカリ性(pH8.0~9.0)にするとともに、微量の酸素(O)を添加することで、伝熱管内面酸化膜の保護皮膜を形成している。
CWT適用の貫流ボイラ10において、貫流ボイラ10への給水中の鉄濃度が高くなって、ボイラ火炉壁伝熱管への鉄持ち込み量の増加により鉄が酸化鉄(Fe:ヘマタイト)となり、火炉蒸発器11の伝熱管内面に付着する。火炉蒸発器11の伝熱管内面に付着したヘマタイトは、熱伝導率の低い小粒径のポーラス状であることから、“パウダースケール”と称されている。貫流ボイラ10の火炉蒸発器11は熱負荷が高い。パウダースケールの伝熱性が低いためにボイラ給水による冷却が阻害され、火炉蒸発器11の火炉壁管11Cにパウダースケールであるヘマタイト(Fe)が付着して熱伝導率が低下し、伝熱管メタル温度上昇の要因となる。
従って、本実施形態では、火炉蒸発器11の伝熱性能の回復、および火炉蒸発器11の火炉壁管11Cのメタル温度上昇による火炉壁管11Cの破損によるボイラ給水や蒸気の漏洩の発生に至る不具合の事前回避のために、貫流ボイラ10の火炉蒸発器11が化学洗浄装置200の洗浄対象機器となっている。
図2は、図1の貫流ボイラ10の一例を示す斜視図である。図3は、図2のI部分の火炉内側である内周面を模式的に切り出したものの部分拡大図である。
貫流ボイラ10は、前壁17Aと後壁17Bと右側壁17Cと左側壁17Dとで囲まれた火炉17を備える。火炉17には、火炉蒸発器11が配置されている。火炉蒸発器11は、図3に示すように、火炉17の右側壁17Cの内周面に配置されるとともに鉛直方向に延在する複数の火炉壁管11Cを備える。なお、右側壁17Cの内周面と同様に、前壁17Aと後壁17Bと左側壁17Dの内周面にも、複数の火炉壁管11Cが配置されている。
火炉蒸発器11は、複数の火炉壁管11Cと、複数の火炉壁管11Cの上端に連結される上部ヘッダ11Aと、複数の火炉壁管11Cの下端に連結される下部ヘッダ11Bと、を備える。
上部ヘッダ11Aは、前壁17Aに配置される複数の火炉壁管11Cの上端に連結される前壁上部ヘッダ11Aaと、後壁17Bに配置される複数の火炉壁管11Cの上端に連結される後壁上部ヘッダ11Abと、右側壁17Cに配置される複数の火炉壁管11Cの上端に連結される右側壁上部ヘッダ11Acと、左側壁17Dに配置される複数の火炉壁管11Cの上端に連結される左側壁上部ヘッダ11Adと、を備える。
前壁上部ヘッダ11Aa,後壁上部ヘッダ11Ab,右側壁上部ヘッダ11Ac,左側壁上部ヘッダ11Adは、それぞれ水平方向に延在する円筒状の筒体である。
前壁上部ヘッダ11Aa,後壁上部ヘッダ11Ab,右側壁上部ヘッダ11Ac,左側壁上部ヘッダ11Adは、それぞれの水平方向の両端部において、後述する化学洗浄装置200の循環ラインL4に連結される。
下部ヘッダ11Bは、前壁17Aに配置される複数の火炉壁管11Cの下端に連結される前壁下部ヘッダ11Baと、後壁17Bに配置される複数の火炉壁管11Cの下端に連結される後壁下部ヘッダ11Bbと、右側壁17Cに配置される複数の火炉壁管11Cの下端に連結される右側壁下部ヘッダ11Bcと、左側壁17Dに配置される複数の火炉壁管11Cの下端に連結される左側壁下部ヘッダ11Bdと、を備える。
前壁下部ヘッダ11Ba,後壁下部ヘッダ11Bb,右側壁下部ヘッダ11Bc,左側壁下部ヘッダ11Bdは、それぞれ水平方向に延在する円筒状の筒体である。
前壁下部ヘッダ11Ba,後壁下部ヘッダ11Bb,右側壁下部ヘッダ11Bc,左側壁下部ヘッダ11Bdは、それぞれの水平方向の両端部において、後述する化学洗浄装置200の循環ラインL2に連結される。
次に、図4を参照して、本実施形態の化学洗浄装置200について説明する。
本実施形態の化学洗浄装置200は、火炉蒸発器11内に付着した例えばヘマタイト等の鉄系酸化物などからなるスケールを化学洗浄する装置である。本実施形態ではスケールがヘマタイトであるとして説明を行う。図4に示すように、化学洗浄装置200は、薬液タンク210と、補給水タンク220と、循環ポンプ230と、スラッジ回収設備(回収部)240と、バッファタンク250と、加熱設備260と、制御部270と、液面検出部280と、循環ラインL1~L6と、連結ラインL7,L8と、制御弁V1~V7と、を備える。
洗浄用の薬液は、例えば除錆剤を含む薬液であり、薬液タンク210に収容される。薬液タンク210に収容される薬液は、制御弁V6を開状態とし、薬液ポンプ211を駆動することにより、連結ラインL8を介して循環ラインL1に供給される。
補給水タンク220は、循環ラインL1~L6に供給する水を収容するタンクである。補給水タンク220に収容される水は、制御弁V5を開状態とすることにより、連結ラインL7を介して循環ラインL1に供給される。循環ラインL1において、薬液タンク210から供給される薬液と補給水タンク220から供給される水とを含む洗浄液が生成される。
除錆剤は、キレート剤、還元剤、またはキレート剤と還元剤の混合剤である。キレート剤は、例えばEDTA、BAPTA、DOTA、EDDS、INN、NTA、DTPA、HEDTA、TTHA、PDTA、DPTA-OH、HIDA、DHEG、GEDTA、CMGA、EDDSなどのアミノカルボン酸やこれらの塩などのアミノカルボン酸系キレート剤、クエン酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸などのオキシカルボン酸やこれらの塩などのオキシカルボン酸系キレート剤、ATMP、HEDP、NTMP、PBTC、EDTMP等の有機リン酸やこれらの塩などの有機リン系キレート剤である。還元剤は、例えば、Fe2+、Sn2+などの各種金属イオン、亜硫酸ナトリウムなどの亜硝酸塩、シュウ酸、蟻酸、アスコルビン酸、ピロガロールなどの有機化合物、ヒドラジン、水素などである。除錆剤を含む洗浄液は、pHが4~8であり、好ましくはpHが5~7である。
循環ポンプ230は、循環ラインL1に設置されるとともに循環ラインL1に供給される水あるいは洗浄液を吸入して吐出する装置である。循環ポンプ230を動作させることにより、循環ラインL1に供給される水あるいは洗浄液を循環ラインL1~L6において循環させる。化学洗浄液が火炉蒸発器11の火炉壁管11Cを流通することにより、火炉壁管11Cから粉状スケールであるヘマタイトが除去される。これにより、ヘマタイトを含む難溶性粒子が洗浄液に含まれた状態となる。
スラッジ回収設備240は、循環ラインL1に設置されるとともに洗浄液に含まれる火炉壁管11Cから除去されたスケール粒子として、例えばヘマタイトを含む難溶性粒子を回収する装置である。スラッジ回収設備240は、例えば、回収対象である難溶性粒子などのスケール粒子の粒径よりもメッシュが細かいフィルタにより洗浄液を濾過することで、難溶性粒子などのスケール粒子を回収する。
バッファタンク250は、循環ラインL6に設置されるとともに循環ラインL6から流入する水または洗浄液を所定量貯留するためのタンクである。
加熱設備260は、洗浄液による洗浄力を高めるために、洗浄液を所定温度(例えば、20℃~50℃、また従来の酸性の洗浄液(塩酸など)を用いる場合は60~80℃)に必要に応じて加熱する設備である。加熱設備260の加熱源は、例えば、稼働中のボイラまたは、仮設ボイラから供給される加熱用蒸気であり、制御弁V7により供給量が調整される。
循環ラインL1は、加熱設備260とスラッジ回収設備240とを連結する配管である。循環ラインL2は、スラッジ回収設備240と火炉蒸発器11の下部ヘッダ11Bとを連結する配管である。循環ラインL3は、循環ラインL2と循環ラインL4とを連結する配管であり、循環ラインL3は火炉蒸発器11内を流通せずに鉛直上下方向に水もしくは洗浄液を循環させることができる配管である。循環ラインL4は、火炉蒸発器11の上部ヘッダ11Aとバッファタンク250とを連結する配管である。循環ラインL5は、循環ラインL2と循環ラインL4とを連結する配管である。循環ラインL6は、バッファタンク250と加熱設備260とを連結する配管である。
循環ラインL1は、連結ラインL7を介して補給水タンク220に連結され、連結ラインL8を介して薬液タンク210に連結されている。循環ラインL1~L6は、制御弁V1~V4の開閉状態を切り替えることにより、火炉蒸発器11の上端に設けられる上部ヘッダ11Aと火炉蒸発器11の下端に設けられる下部ヘッダ11Bとの間で洗浄液を双方向に循環させる。
制御弁V1は、循環ラインL2に設置されるとともに制御部270により開度を調整可能な弁体である。制御弁V2は、循環ラインL3に設置されるとともに制御部270により開度を調整可能な弁体である。制御弁V3は、循環ラインL5に設置されるとともに制御部270により開度を調整可能な弁体である。制御弁V4は、循環ラインL4に設置されるとともに制御部270により開度を調整可能な弁体である。制御弁V1~V4は、循環ラインL1~L6を流通する水あるいは洗浄液の流量を調整する調整部として機能する。
制御弁V5は、連結ラインL7に設置されるとともに制御部270により開閉可能な弁体である。制御弁V6は、連結ラインL8に設置されるとともに制御部270により開閉可能な弁体である。制御弁V7は、制御部270により開度を調整可能な弁体であり、加熱設備260に供給される加熱用蒸気の供給量を調整するものである。
制御部270は、図4に示す循環ポンプ230の吐出量、制御弁V1~V7の開度等の化学洗浄装置200の各部を制御する装置である。なお、循環ポンプ230の吐出量、制御弁V1~制御弁V7の制御は、必ずしも制御部270により制御される必要は無く、化学洗浄装置200に別途設けた現場用制御部(図示省略)や操作者・作業員等による調整を行ってもよい。
液面検出部280は、火炉蒸発器11と下流側に隣接する煙道蒸発器12とを接続する配管等における洗浄液の液面の高さを検出する装置である。
本実施形態の制御部270は、後述するように、洗浄液が火炉蒸発器11より下流側へ導かれないように、液面検出部280が検出する洗浄液の液面の高さに応じて制御弁V1~V4を制御する。
次に、本実施形態の化学洗浄装置200を用いて火炉蒸発器11に付着したヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールを洗浄除去する化学洗浄方法について図5から図9を参照して説明する。本実施形態の化学洗浄方法は、例えば、火力発電システム100の定期点検時において、火炉17の工事を実施していない期間中に実施されてもよい。
各図において、制御弁V1~V7のうち、白色で示されるものは開状態(流通状態)であり、黒色で示されるものは閉状態(閉止状態)であるものとする。また、循環ラインL1~L6及び連結ラインL7,L8に沿って示す矢印は、水あるいは洗浄液の流通方向を示す。
<水張り工程>
化学洗浄装置200を用いた化学洗浄を行う場合、火炉蒸発器11の上部ヘッダ11Aに循環ラインL4を接続し、火炉蒸発器11の下部ヘッダ11Bに循環ラインL2を接続する。その後、制御部270は、図5に示すように、循環ラインL1に補給水タンク220から水を供給するために、制御弁V5を開状態とする。水張り工程において、制御部270は、制御弁V6を閉状態とし、薬液210が循環ラインL1へ供給されないようにする。
水張り工程において、制御部270は、循環ラインL2の制御弁V1及び循環ラインL4の制御弁V4を開状態とし、循環ラインL3の制御弁V2及び循環ラインL5の制御弁V3を閉状態とする。これにより、下部ヘッダ11Bから上部ヘッダ11Aに向けて火炉蒸発器11内を水が流通する循環路が形成される。下部ヘッダ11Bから上部ヘッダ11Aに向けて火炉蒸発器11内を水が流通することにより、火炉蒸発器11内の鉛直下方から上方にかけて全ての領域に水が行き渡り、火炉蒸発器11内に残存する空気等の気体を排出し減少させることができる。
制御部270は、連結ラインL7を介して所定量の水が循環ラインL1へ供給されたと判断した後に、制御弁V5を閉状態とする。制御部270は、循環ポンプ230を連続して動作させることにより、補給水タンク220から循環ラインL1へ供給された水を、循環ラインL1,循環ラインL2,循環ラインL4,循環ラインL6,循環ラインL1の順に循環させる。
<第1洗浄工程>
制御部270は、水張り工程の後に第1洗浄工程を実行する。第1洗浄工程は、化学洗浄処理が行われていない火炉蒸発器11に対して行う初期段階の洗浄工程である。図6に示すように、第1洗浄工程において、制御部270は、制御弁V6を開状態とし、薬液ポンプ211を駆動することにより、連結ラインL8を介して循環ラインL1に薬液タンク210に収容される薬液を供給する。循環ラインL1には水が循環しているため、薬液が水と混合して洗浄液となる。
図6に示すように、第1洗浄工程において、制御部270は、循環ラインL3の制御弁V2及び循環ラインL5の制御弁V3を開状態とし、循環ラインL2の制御弁V1及び循環ラインL4の制御弁V4を閉状態とする。これにより、循環ラインL3により下方から上方に洗浄液を循環させた後、上部ヘッダ11Aから下部ヘッダ11Bに向けて、つまり火炉蒸発器11内を鉛直上方から下方に洗浄液が流通する循環路が形成される。
洗浄初期において、スケール粒子は、例えばヘマタイトを含む難溶性粒子の発生量が多いため、上部ヘッダ11Aから下部ヘッダ11Bに向けて洗浄液を流通させることにより、十分な量のスケール粒子(例えばヘマタイトを含む難溶性粒子)を除去することができる。火炉蒸発器11から除去されたスケール粒子(例えばヘマタイトを含む難溶性粒子)は、洗浄液の流れによって循環ラインL5、循環ラインL6、循環ラインL1の順に循環しスラッジ回収設備240にて回収される。
制御部270は、連結ラインL8を介して所定量の薬液が循環ラインL1へ供給されたと判断した後に、制御弁V6を閉状態とする。制御部270は、循環ポンプ230を連続して動作させることにより、洗浄液を、循環ラインL1,循環ラインL3,循環ラインL5,循環ラインL6,循環ラインL1の順に循環させる。
<第2洗浄工程>
制御部270は、第1洗浄工程の後に第2洗浄工程を実行する。第2洗浄工程は、初期段階の化学洗浄処理が行われた後に火炉蒸発器11に対して行う洗浄工程である。例えば、制御部270は、第1洗浄工程が開始されてから一定時間が経過した場合および/またはスラッジ回収設備240でのスケール回収状況などで洗浄状況を確認できた場合などに、第2洗浄工程を開始する。
第1洗浄工程の後に、循環ポンプ230を停止させた状態で所定時間待機する待機工程を設けてもよい。第1洗浄工程の後に循環ポンプを停止させた状態で所定時間待機することで、洗浄液による化学洗浄に必要な時間を確保して、化学洗浄が確実に実行させて洗浄効果を高めることができる。また、洗浄液による化学洗浄は継続しながら、循環ポンプ230の消費動力を低減することができる。この場合、第2洗浄工程は、待機工程の後に実行される。
図7に示すように、第2洗浄工程において、制御部270は、循環ラインL2の制御弁V1及び循環ラインL4の制御弁V4を開状態とし、循環ラインL3の制御弁V2及び循環ラインL5の制御弁V3を閉状態とする。これにより、下部ヘッダ11Bから上部ヘッダ11Aに向けて、つまり火炉蒸発器11内を鉛直下方から上方に洗浄液が流通する循環路が形成される。洗浄初期の第1洗浄工程において多量の難溶性粒子などのスケール粒子が発生した後は、スケール粒子(例えばヘマタイトなどの難溶性粒子)の発生量が緩慢となるので、火炉蒸発器11内を鉛直下方から上方に洗浄液が流通する流でも、スケール粒子が搬送される。
第1洗浄工程では火炉蒸発器11の上端から下端に向けて洗浄液を供給するため、ヘッダ配管の内部流路で洗浄液が満たされず空間を形成する可能性があったが、第2洗浄工程においては、火炉蒸発器11の下端から上端に向けて洗浄液を供給して火炉蒸発器11の全領域を洗浄液で満たすことにより、火炉蒸発器11の全領域を確実に化学洗浄することができる。
<判定工程>
制御部270は、判定工程において、第2洗浄工程による火炉蒸発器11の化学洗浄を終了させるかどうかを判定する。洗浄液中の鉄イオン濃度の数値は時間とともに増加し、ヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールが完全に火炉壁管11Cから除去およびスラッジ回収設備240で回収されると濃度は略一定値へと飽和することとなる。制御部270は、鉄イオン濃度を計測する計測部(図示略)が計測する鉄イオン濃度の時間変化からヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールが溶出して除去される状況を判定する。
基礎試験やシミュレーションにより付着したヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールが十分に溶出したことを示す鉄イオン濃度を予想することができる。基礎試験またはシミュレーションで得られた鉄イオン濃度が、ヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールが除去されたことを示す所定濃度(判定基準濃度)として、制御部270に格納されていても良い。この場合、計測部で計測された鉄イオン濃度が判定基準濃度以上と制御部270が判定した場合に、ヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールが溶出して除去されたとして、第2洗浄工程を終了させると判定する。
また例えば、制御部270は、鉄イオン濃度の変化量から第2洗浄工程を終了させると判定しても良い。ヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールが十分に溶出されている場合には、計測部で計測される鉄イオン濃度の計測値と前回計測値との差の単位時間当たりの変化(濃度勾配)が徐々に小さくなる。このことから、濃度勾配の変化量が判定基準として制御部270に格納され、制御部270が濃度勾配の変化量が所定範囲以内の値となったと判定した場合に、ヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールが溶出して除去されたとして、第2洗浄工程を終了させると判定する。
また例えば、火炉蒸発器11内のスケール付着が予想より実際には少ない場合もある。この場合には、鉄イオン濃度が、所定濃度(判定基準濃度)の60%~80%以上に至った後に鉄イオン濃度が飽和して一定時間を経過しても鉄イオン濃度の増加がない場合に、ヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールが除去されたとして、第2洗浄工程を終了させると判定をしてもよい。
また例えば、制御部270は、スラッジ回収設備240のフィルタ(図示略)の上流側の洗浄液の圧力と下流側の洗浄液の圧力との差圧を測定する測定部(図示略)が測定した差圧が所定値を超えた場合に、第2洗浄工程を終了させると判定してもよい。ここでいう所定値は、第2洗浄工程を開始すると判定した場合よりも大きな値である。
<水洗工程>
制御部270は、判定工程にて第2洗浄工程を終了させると判定した後に、水洗工程を実行する。水洗工程は、第2洗浄工程で用いられた洗浄液を系外へ排出するとともに補給水タンク220から水洗水として水を供給して火炉蒸発器11を水で洗浄する工程である。
図8に示すように、水洗工程において、制御部270は、循環ラインL3の制御弁V2及び循環ラインL5の制御弁V3を開状態とし、循環ラインL2の制御弁V1及び循環ラインL4の制御弁V4を閉状態とする。これにより、上部ヘッダ11Aから下部ヘッダ11Bに向けて火炉蒸発器11内を水が流通する循環路が形成される。水洗工程においては、上部ヘッダ11Aから下部ヘッダ11Bに向けて水洗水を流通させることにより、洗浄工程2では下部ヘッダ11Bから排出されずに残留したスケール粒子を排出することができる。
<後処理工程>
制御部270は、水洗工程の後に後処理工程を実行する。後処理工程は、火炉蒸発器11にリンス液を供給し、リンスを実施するリンス工程、リンス液を中和する工程および洗浄後の火炉蒸発器11の内面に防錆被膜を形成させる防錆工程である。リンス工程は、酸液を使用し、水洗工程時に生成した水酸化鉄を除去する工程である。中和工程は、アンモニア水などのアルカリ剤で系内に残留しているリンス工程で使用した酸液の中和を行う工程である。防錆工程は、蒸気注入によって洗浄系統を昇温すると共に、ヒドラジンなどを添加して、第1洗浄工程、第2洗浄工程およびリンス工程によって、火炉蒸発器11の活性化している金属面に防錆被膜を形成させる工程である。
図9に示すように、後処理工程において、制御部270は、循環ラインL2の制御弁V1及び循環ラインL4の制御弁V4を開状態とし、循環ラインL3の制御弁V2及び循環ラインL5の制御弁V3を閉状態とする。これにより、下部ヘッダ11Bから上部ヘッダ11Aに向けて火炉蒸発器11内を下方から上方にリンス液が流通する循環路が形成される。後処理工程においては、火炉蒸発器11の下端から上端に向けて洗浄液を供給して火炉蒸発器11の全領域をリンス液、中和液および防錆液で満たすことができる。
次に、図10を参照して、本実施形態における一例として,火炉蒸発器11と、それに隣接する煙道蒸発器12及び節炭器13の鉛直方向の位置について説明する。
図10において、軸線Xは、鉛直方向に沿って延びる軸線であり、軸線Xの左側の記号及び数値は、鉛直方向の高さを示す。数値0は、貫流ボイラ10が設置される地表面を示す。
図10に示すように、火炉蒸発器11は、鉛直方向の下端位置P1から鉛直方向の上端位置P6至る範囲に配置される。節炭器13は、鉛直方向の下端位置P2から鉛直方向の上端位置P3に至る範囲に配置される。煙道蒸発器12は、鉛直方向の下端位置P4から鉛直方向の上端位置P5に至る範囲に配置される。
火炉蒸発器11の上部ヘッダ11Aは化学洗浄装置200の循環ラインL4に連結されており、火炉蒸発器11の下部ヘッダ11Bは化学洗浄装置200の循環ラインL2に連結されている。節炭器13は、配管10Aを介して火炉蒸発器11の下部ヘッダ11Bに接続されている。配管10Aの上端位置P8は、火炉蒸発器11の上端位置P6よりも上方である。煙道蒸発器12は、配管等10Bを介して火炉蒸発器11の上部ヘッダ11Aに接続されている。配管等10Bの上端位置P7は、火炉蒸発器11の上端位置P6よりも上方である。
以上のような位置関係となっているため、化学洗浄装置200の際に、火炉蒸発器11に隣接する他機器への洗浄液の流入を抑制することができる。具体的には、化学洗浄装置200により火炉蒸発器11を化学洗浄する際に、洗浄液の液面が上端位置P7よりも下方であれば、洗浄液が火炉蒸発器11より下流側の配管等10B、煙道蒸発器12へ導かれることがない。また、洗浄液の液面が上端位置P7よりも下方であれば、洗浄液が火炉蒸発器11より上流側の配管10A、節炭器13へ導かれることもない。そこで、本実施形態では、液面検出部280が検出する洗浄液の液面の高さが上端位置P7を下回るように制御部270が制御弁V3,V4を制御する。
なお、制御部270は、液面検出部280が検出する洗浄液の液面の高さが上端位置P7を下回るように制御弁V3,V4を直接的に制御するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、制御部270は、液面検出部280が検出する洗浄液の液面の高さが上端位置P7を下回るように制御弁V3,V4を調整するよう操作者・作業員に提示してもよい。
ここで、液面検出部280について、図11を参照して詳細に説明する。図11は、図2に示す前壁上部ヘッダ11Aaの近傍の部分拡大図である。液面検出部280は、上端位置P7よりも下方にあり、上部ヘッダ11A、循環ラインL3、上部ヘッダ11Aに連通する循環ラインL4など上端位置P6付近で洗浄液が循環する流路(ライン)に設置すればよい。
図11に示すように、前壁上部ヘッダ11Aaは、水平方向の軸線Y1に沿って延びる円筒状に形成される筒体であり、軸線Y1方向の両端面が閉塞されている。前壁上部ヘッダ11Aaは、軸線Y1方向の両端側で前壁上部ヘッダ11Aaと循環ラインL4とを接続する第1接続部11Aa1を備える。第1接続部11Aa1は、循環ラインL4と接続されない通常運転時には、封止部材(図示略)により封止される。
図11に示すように、第1接続部11Aa1に接続される循環ラインL4の端部には、液面検出部280が設けられている。液面検出部280は、鉛直方向の軸線X1に沿って延びる円筒状に形成される部材であり、下端部が循環ラインL4と連通し、上端部が開放されている。液面検出部280は、透過性材料により形成されるとともに外周面に液面Sの上限を示すマークMが表示されている。マークMが表示される鉛直方向の位置は、図10の上端位置P7と同じ位置あるいは上端位置P7よりも下方の位置とする。
化学洗浄装置200の操作者は、液面検出部280を視認することにより、液面SがマークMよりも下方に位置するかどうかを監視する。ここで、火炉蒸発器11は配管等10Bを介して煙道蒸発器12と接続されているため、液面検出部280における液面Sの鉛直方向の高さは、配管等10Bにおける洗浄液の液面の高さと一致する。操作者は、洗浄液の液面Sの鉛直方向の位置がマークM以上の位置となって洗浄液が火炉蒸発器11より下流側の配管等10B、煙道蒸発器12に導かれないように、制御部270に制御弁V3、V4を制御するための制御指令値を入力する。
制御部270は、第1洗浄工程においては、循環ラインL5に配置される制御弁V3の開度を増加させることにより、洗浄液の液面Sを上端位置P7よりも下方の位置に低下させる。また、制御部270は、第2洗浄工程においては、循環ラインL4に配置される制御弁V4の開度を増加させることにより、洗浄液の液面Sを上端位置P7よりも下方の位置に低下させる。
図11に示す液面検出部280は、洗浄液の液面Sを操作者が視認することにより洗浄液の液面Sの高さを検出するものであったが、他の態様であってもよい。
例えば、図12に示す第1変形例の液面検出部280Aのように、電源(図示略)に接続される一対の電極280Aa,280Abを設け、一対の電極280Aa,280Abの双方に液面Sが到達して電極280Aaと電極280Abが通電することを検出するようにしてもよい。この場合、電極280Aaの下端位置を図10の上端位置P7と同じ位置あるいは上端位置P7よりも下方の位置とする。
また、例えば、図13に示す第2変形例の液面検出部280Bのように、液面Sに浮遊するフロート280Baを配置し、フロート280Baが鉛直方向の所定位置に到達したことをセンサ(図示略)により検出するようにしてもよい。この場合、所定位置を図10の上端位置P7と同じ位置あるいは上端位置P7よりも下方の位置とする。
また、例えば、図14に示す第3変形例の液面検出部280Cのように、軸線X1に沿って超音波発信器280Caと超音波受信器280Cbを設置し、液面Sが超音波受信器280Cbに到達したことを超音波受信器280Cbが受信する超音波パルスの減衰量の変化により検出するようにしてもよい。この場合、超音波受信器280Cbの位置を図10の上端位置P7と同じ位置あるいは上端位置P7よりも下方の位置とする。なお、超音波発信器280Caと超音波受信器280Cbを上下で入れ替えて配置してもよい。
次に、本実施形態の火炉蒸発器11の下部ヘッダ11Bについて、詳細に説明する。なお、以下では、前壁下部ヘッダ11Baについて説明するが、後壁下部ヘッダ11Bb,右側壁下部ヘッダ11Bc,左側壁下部ヘッダ11Bdについても同様であるものとし、以下での説明を省略する。
図15は、図2に示す前壁下部ヘッダ11Baの近傍の部分拡大図である。
図15に示すように、前壁下部ヘッダ11Baは、水平方向の軸線Y2に沿って延びる円筒状に形成される筒体であり、軸線Y2方向の両端面が閉塞されている。前壁下部ヘッダ11Baは、軸線Y2方向の両端側の側面に、前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続する第2接続部11Ba1を備える。第2接続部11Ba1が軸線Y2方向の両端側の側面付近に配置されるため、軸線Y2方向の両端側に残留、堆積されやすい難溶性粒子などのスケール粒子の堆積物であるスラッジSLが循環ラインL2へ排出されやすくなっている。なお、第2接続部11Ba1は、循環ラインL2と接続されない通常運転時には、封止部材(図示略)により封止される。
図15に示す前壁下部ヘッダ11Baは、軸線Y2方向の両端面付近となる両端側の水平方向を向く側面に第2接続部11Ba1を備えるものであったが、他の態様であってもよい。
例えば、図16に示す第1変形例の前壁下部ヘッダ11Baのように、第2接続部11Ba1を、前壁下部ヘッダ11Baが延在する方向の両端面の高さ方向の中央部で軸線Y2と平行に前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続するように配置してもよい。
これにより、下部ヘッダ11Bの端部に残留、堆積しやすい難溶性粒子などのスケール粒子の堆積物を下部ヘッダ11Bから循環ラインL2に適切に排出することができる。また、循環ラインL2を前壁下部ヘッダ11Baから取外す際、前壁下部ヘッダ11Ba内部の難溶性粒子などのスケール粒子の残留、堆積状況を容易に確認することができる。なお、図16は、前壁下部ヘッダ11Baが延在する方向の一方の端面のみを示しているが、他方の端面にも第2接続部11Ba1が配置されているものとする。
また、図16に示す第1変形例の前壁下部ヘッダ11Baは、第2接続部11Ba1を、前壁下部ヘッダ11Baが延在する方向の両端面の高さ方向の中央部に配置するものとしたが、他の態様であってもよい。
例えば、図17に示す第2変形例の前壁下部ヘッダ11Baのように、第2接続部11Ba1を、前壁下部ヘッダ11Baが延在する方向の両端面の高さ方向の下端で前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続するように配置してもよい。
これにより、前壁下部ヘッダ11Baの端部に残留、堆積しやすい難溶性粒子などのスケール粒子の堆積物をより確実に前壁下部ヘッダ11Baから循環ラインL2に排出する。また、循環ラインL2を前壁下部ヘッダ11Baから取外す際、前壁下部ヘッダ11Ba内部の難溶性粒子などのスケール粒子の残留、堆積状況を容易に確認することができる。なお、図17は、前壁下部ヘッダ11Baが延在する方向の一方の端面のみを示しているが、他方の端面にも第2接続部11Ba1が配置されているものとする。
また、図16に示す第1変形例の前壁下部ヘッダ11Baは、第2接続部11Ba1を、前壁下部ヘッダ11Baが延在する方向の両端面で軸線Y2と平行に前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続するものとしたが、他の態様であってもよい。
例えば、図18に示す第3変形例の前壁下部ヘッダ11Baのように、第2接続部11Ba1を、循環ラインL2から前壁下部ヘッダ11Baに導かれる洗浄液を前壁下部ヘッダ11Baの下方へ向けて導くように水平方向の軸線Y2に対して所定角度θ1で傾斜した流路としてもよい。これにより、第2洗浄工程で火炉蒸発器11の下端から上端に洗浄液を循環させた際、前壁下部ヘッダ11Baの下端で滞留しやすい難溶性粒子などのスケール粒子の堆積物に対して洗浄液が噴射され、スケール粒子の堆積物を洗浄液中に分散させて、洗浄液とともに搬送することができる。
また、図15に示す前壁下部ヘッダ11Baは、軸線Y2方向の両端側の側面から水平方向に循環ラインL2を接続する第2接続部11Ba1を備えるものであったが、他の態様であってもよい。
例えば、図19に示す第4変形例の前壁下部ヘッダ11Baのように、第2接続部11Ba1を、循環ラインL2から前壁下部ヘッダ11Baに導かれる洗浄液を前壁下部ヘッダ11Baの下方へ向けて導くように水平方向の軸線Y3に対して所定角度θ2で傾斜した流路としてもよい。これにより、第2洗浄工程で火炉蒸発器11の下端から上端に洗浄液を循環させた際、前壁下部ヘッダ11Baの下端で滞留しやすい難溶性粒子などのスケール粒子の堆積物に対して洗浄液が噴射され、スケール粒子の堆積物を洗浄液中に分散させて、洗浄液とともに搬送することができる。
また、図15に示す前壁下部ヘッダ11Baは、軸線Y2方向の両端側の側面から水平方向に循環ラインL2を接続する第2接続部11Ba1を備えるものであったが、他の態様であってもよい。
例えば、図20に示す第5変形例の前壁下部ヘッダ11Baのように、第2接続部11Ba1を、前壁下部ヘッダ11Baの軸線Y2方向の両端面付近の両端側の下方面である下端で前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続するようにしてもよい。これにより、第1洗浄工程で火炉蒸発器11の上端から下端に洗浄液を循環させた際、前壁下部ヘッダ11Baの下端に残留、堆積する難溶性粒子などのスケール粒子が排出され易くなる。
以上説明した本実施形態の化学洗浄装置200が奏する作用及び効果について説明する。
本実施形態の化学洗浄装置200によれば、火炉蒸発器11の上端に設けられる上部ヘッダ11Aと火炉蒸発器11の下端に設けられる下部ヘッダ11Bとの間で洗浄液が循環し、火炉蒸発器に付着したヘマタイトなどのスケールが化学洗浄される。化学洗浄により火炉蒸発器11から除去されたヘタマイトなどのスケールの一部は、難溶性粒子などのスケール粒子として洗浄液とともに循環ラインL1~L6を循環し、スラッジ回収設備240により回収される。
また、本実施形態の化学洗浄装置200によれば、火炉蒸発器11と隣接する他機器である煙道蒸発器12とを接続する配管等10Bにおける洗浄液の液面の高さが液面検出部280により検出され、洗浄液が火炉蒸発器11より下流側の配管等10B、煙道蒸発器12へ導かれないように、洗浄液の液面の高さに応じて、循環ラインL1~L6を流通する洗浄液の流量を調整することで対応する。また、循環ラインL1~L6を流通する洗浄液の流量は、制御弁V3、V4により制御される。したがって、火炉蒸発器11と隣接する煙道蒸発器12とを接続する配管等10Bにバルブ等の遮断具を設けることなく、貫流ボイラ10の火炉17に配置される火炉蒸発器11の隣接機器である煙道蒸発器12へ洗浄液が流入することを防止することができる。
本実施形態の化学洗浄装置200によれば、上部ヘッダ11Aが延在する方向の両端面付近の両端側で上部ヘッダ11Aと循環ラインL4とを接続することにより、複数の火炉壁管11Cに略均等に洗浄液を供給する、あるいは複数の火炉壁管11Cから略均等に洗浄液を回収することができる。また、下部ヘッダ11Bが延在する方向の両端面付近の両端側で下部ヘッダ11Bと循環ラインL2とを接続することにより、下部ヘッダ11Bの両端部に残留、堆積しやすい難溶性粒子などのスケール粒子の堆積物を下部ヘッダ11Bから循環ラインL2に適切に排出することができる。
本実施形態の化学洗浄装置200において、第2接続部11Ba1は、前壁下部ヘッダ11Baが延在する方向の両端面で前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続するものとしてもよい。
前壁下部ヘッダ11Baが延在する方向の両端面で前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続することにより、前壁下部ヘッダ11Baの端部に残留、堆積しやすい難溶性粒子などのスケール粒子の堆積物をより確実に前壁下部ヘッダ11Baから循環ラインL2に排出することができる。また、循環ラインL2を前壁下部ヘッダ11Baから取外す際、前壁下部ヘッダ11Ba内部の難溶性粒子などのスケール粒子の残留、堆積状況を容易に確認することができる。
本実施啓形態の化学洗浄装置200において、第2接続部11Ba1は、両端面の下端で前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続してもよい。
前壁下部ヘッダ11Baの両端面の下端で前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続することにより、前壁下部ヘッダ11Baの端部かつ前壁下部ヘッダ11Baの下端に残留、堆積しやすい難溶性粒子などのスケール粒子の堆積物をより確実に前壁下部ヘッダ11Baから循環ラインL2に排出することができる。また、循環ラインL2を前壁下部ヘッダ11Baから取外す際、前壁下部ヘッダ11Ba内部の難溶性粒子などのスケール粒子の残留、堆積状況を容易に確認することができる。
本実施形態の化学洗浄装置200において、第2接続部11Ba1は、前壁下部ヘッダ11Baの両端面に近い両端側の下端で前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続してもよい。
前壁下部ヘッダ11Baの下端で前壁下部ヘッダ11Baと循環ラインL2とを接続することにより、前壁下部ヘッダ11Baの下端に残留、堆積しやすい難溶性粒子などのスケール粒子の堆積物をより確実に前壁下部ヘッダ11Baから循環ラインL2に排出することができる。
本実施形態の化学洗浄装置200において、第2接続部11Ba1は、循環ラインL2から前壁下部ヘッダ11Baに導かれる洗浄液を前壁下部ヘッダ11Baの下方へ向けて導くように水平方向に対して所定角度θ1,θ2で傾斜した流路であってもよい。
循環ラインL2から前壁下部ヘッダ11Baに導かれる洗浄液を前壁下部ヘッダ11Baの下方へ向けて導くことにより、前壁下部ヘッダ11Baの下端に残留、堆積する難溶性粒子などのスケール粒子の堆積物を洗浄液中に拡散させて洗浄液とともに搬送することができる。これにより、前壁下部ヘッダ11Baの下端に残留、堆積した難溶性粒子などのスケール粒子を洗浄液とともにスラッジ回収設備240に導いて回収することができる。
また、本実施形態の化学洗浄装置200を用いた化学洗浄方法によれば、第1洗浄工程において、循環ラインL4から火炉蒸発器11の上端に設けられる上部ヘッダ11Aへ洗浄液が供給され、火炉蒸発器11の下端に設けられる下部ヘッダ11Bから排出される。洗浄初期においてはヘマタイトを含む難溶性粒子などのスケール粒子の発生量が多いため、火炉蒸発器11の上端から下端に向けて洗浄液を供給し、鉛直上方から下方にかけて、仮に洗浄液が部分的に火炉蒸発器11に接触させるだけであっても、多量の難溶性粒子などのスケール粒子を回収部で回収することができる。
また、本実施形態の化学洗浄方法によれば、第1洗浄工程の後の第2洗浄工程において、循環ラインL4から火炉蒸発器11の下端に設けられる下部ヘッダ11Bへ洗浄液が供給され、火炉蒸発器11の上端に設けられる上部ヘッダ11Aから排出される。洗浄初期において多量の難溶性粒子などのスケール粒子が発生した後は、難溶性粒子などのスケール粒子の発生量が緩慢となる。そのため、火炉蒸発器11の下端から上端に向けて洗浄液を供給し、鉛直下方から上方にかけて火炉蒸発器11の全領域を洗浄液で満たすことにより、火炉蒸発器11の全領域を確実に化学洗浄することができる。また、難溶性粒子などのスケール粒子の発生量が緩慢なため、鉛直下方から上方に向けて流通する洗浄液で難溶性粒子などのスケール粒子を搬送して回収部で回収することができる。
本実施形態の化学洗浄方法よれば、第1洗浄工程の後に循環ポンプ230を停止させた状態で所定時間待機することで、洗浄液による化学洗浄は継続し、循環ポンプ230の消費動力を低減することができる。また、洗浄液による化学洗浄に必要な時間を確保して、化学洗浄が確実に実行させて洗浄効果を高めることができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとする。
第1実施形態の制御部270は、第1洗浄工程が開始されてから一定時間が経過した場合に、第2洗浄工程を開始する。それに対して、本実施形態の制御部270は、スラッジ回収設備240の第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3の上流側の洗浄液の圧力と下流側の洗浄液の圧力との差圧を測定する第1差圧測定部PS1,第2差圧測定部PS2,第3差圧測定部PS3が測定した差圧が所定値を超えた場合に、第2洗浄工程を開始する。なお、第1差圧測定部PS1,第2差圧測定部PS2,第3差圧測定部PS3は個別に設定しても良いが、1つの差圧測定部を切替えて使用してもよい。
図21は、本実施形態のスラッジ回収設備240Aを示す概略構成図である。
図21に示すように、本実施形態のスラッジ回収設備240Aは、第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3と、第1差圧測定部PS1,第2差圧測定部PS2,第3差圧測定部PS3と、開閉弁V11a,開閉弁V11b,開閉弁V12a,開閉弁V12b,開閉弁V13a,開閉弁V13bと、を備える。開閉V11a,開閉弁V11b,開閉弁V12a,開閉弁V12b,開閉弁V13a,開閉弁V13bは、それぞれ制御部270により開閉状態が制御される弁体である。
第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3は、それぞれヘマタイトを含む難溶性粒子などのスケール粒子を含む洗浄液を濾過するフィルタである。第1差圧測定部PS1は、第1フィルタF1の上流側(例えば図21ではL2側)の洗浄液の圧力と下流側(例えば図21ではL1側)の洗浄液の圧力との差圧を測定するセンサである。第2差圧測定部PS2は、第2フィルタF2の上流側の洗浄液の圧力と下流側の洗浄液の圧力との差圧を測定するセンサである。第3差圧測定部PS3は、第3フィルタF3の上流側の洗浄液の圧力と下流側の洗浄液の圧力との差圧を測定するセンサである。第1差圧測定部PS1,第2差圧測定部PS2,第3差圧測定部PS3のそれぞれが測定した差圧は、制御部270に伝達される。
ここで、図22を参照して、第1洗浄工程及び第2洗浄工程を実行する際の経過時間と難溶性粒子の粒子径及び洗浄液中の鉄イオン濃度の関係について説明する。
図22に示すように、ヘマタイトを含む難溶性粒子などのスケール粒子の粒子径は、第1洗浄工程を開始する時刻T0から第2洗浄工程が終了する時刻T4に至るまで洗浄が進むとともに漸次減少し飽和する。一方、洗浄液中の鉄イオン濃度は、第1洗浄工程を開始する時刻T0から第2洗浄工程が終了する時刻T4に至るまで洗浄が進むともに漸次増加し飽和する。
第1洗浄工程は、時刻T0から時刻T1まで実行される工程である。第1洗浄工程は、図21に示す第1フィルタF1を用いて洗浄液中の難溶性粒子などのスケール粒子を濾過する工程である。制御部270は、第1洗浄工程において、開閉V11a,開閉弁V11bを開状態とし、開閉弁V12a,開閉弁V12b,開閉弁V13a,開閉弁V13bを閉状態とする。これにより、第1洗浄工程において、洗浄液は第1フィルタF1のみを通過する。
第2洗浄工程は、時刻T2から時刻T4まで実行される工程である。第2洗浄工程は、図21に示す第2フィルタF2及び第3フィルタF3を用いて洗浄液中の難溶性粒子などのスケール粒子を濾過する工程である。制御部270は、第2洗浄工程において、時刻T2から時刻T3に至るまでは、開閉V12a,開閉弁V12bを開状態とし、開閉弁V11a,開閉弁V11b,開閉弁V13a,開閉弁V13bを閉状態とする。これにより、洗浄液は第2フィルタF2のみを通過する。また、制御部270は、第2洗浄工程において、時刻T3から時刻T4に至るまでは、開閉V13a,開閉弁V13bを開状態とし、開閉弁V11a,開閉弁V11b,開閉弁V12a,開閉弁V12bを閉状態とする。これにより、洗浄液は第3フィルタF3のみを通過する。
次に、図23を用いて第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3の交換時期について説明する。図23は、第1洗浄工程及び第2洗浄工程を実行する際の経過時間とフィルタの上流側と下流側の洗浄液の差圧の関係を示す図である。第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3は、図23において実線で示すように、それぞれ同一のメッシュのフィルタを用いることができる。
また、第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3は、図23において破線で示すように、それぞれ異なるメッシュのフィルタを用いることができる。異なるメッシュのフィルタとする場合、第1フィルタF1のメッシュを第2フィルタF2のメッシュよりも粗くし、第3フィルタF3のメッシュを第2フィルタF2のメッシュよりも細かくする。
第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3として同一のメッシュのフィルタを用いる場合、第1洗浄工程を開始する時刻T1で第1差圧測定部PS1が測定する差圧がPr2であり、時刻の経過に応じて第1フィルタF1に難溶性粒子などのスケール粒子が回収されて差圧が漸次増加する。制御部270は、第1差圧測定部PS1が測定する差圧がPr5に到達すると、第1洗浄工程を終了して第2洗浄工程を開始すると判定する。
第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3として同一のメッシュのフィルタを用いる場合、第2洗浄工程を開始する時刻T2で第2差圧測定部PS2が測定する差圧がPr2であり、時刻の経過に応じて第2フィルタF2に難溶性粒子などのスケール粒子が回収されて差圧が漸次増加する。制御部270は、第2差圧測定部PS2が測定する差圧がPr5に到達すると、第2フィルタF2を第3フィルタF3に交換すると判定する。
第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3として同一のメッシュのフィルタを用いる場合、時刻T3で第3差圧測定部PS3が測定する差圧がPr2であり、時刻の経過に応じて第3フィルタF3に難溶性粒子などのスケール粒子が回収されて差圧が漸次増加する。制御部270は、第3差圧測定部PS3が測定する差圧の単位時間当たりの変化量が所定量以下となり、ヘマタイトを含む難溶性粒子などのスケール粒子を可能の限り系外へ回収排出した状態で、第2洗浄工程を終了すると判定する。
また、スラッジ回収設備240Aは、洗浄液中の鉄イオン濃度を計測する計測部(図示略)を設けるのが望ましい。この場合、計測部が計測する鉄イオン濃度が所定濃度(判定基準濃度)以上になり略一定値へと飽和している場合に、ヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールが溶出して除去されたとして、第2洗浄工程を終了すると判定する。
所定濃度(判定基準濃度)は、前述の第1実施形態で記載したように、基礎試験またはシミュレーションで得られた鉄イオン濃度をもとにして、ヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールが除去されたことを示すものとして設定される。
また、さらに、制御部270は、第3差圧測定部PS3が測定する差圧の単位時間当たりの変化量が所定量以下になったことと、計測部(図示略)が計測する鉄イオン濃度が所定濃度以上になり略一定値へと飽和していることの両方により、第2洗浄工程を終了すると判定してもよい。
一方、第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3として異なるメッシュのフィルタを用いる場合、第1洗浄工程を開始する時刻T1で第1差圧測定部PS1が測定する差圧がPr1であり、時刻の経過に応じて第1フィルタF1に難溶性粒子などのスケール粒子が回収されて差圧が漸次増加する。制御部270は、第1差圧測定部PS1が測定する差圧がPr4に到達すると、第1洗浄工程を終了して第2洗浄工程を開始すると判定する。
第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3として異なるメッシュのフィルタを用いる場合、第2洗浄工程を開始する時刻T2で第2差圧測定部PS2が測定する差圧がPr2であり、時刻の経過に応じて第2フィルタF2に難溶性粒子などのスケール粒子が回収されて差圧が漸次増加する。制御部270は、第2差圧測定部PS2が測定する差圧がPr5に到達すると、第2フィルタF2を第3フィルタF3に交換すると判定する。
第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3として異なるメッシュのフィルタを用いる場合、時刻T3で第3差圧測定部PS3が測定する差圧がPr3であり、時刻の経過に応じて第3フィルタF3に難溶性粒子などのスケール粒子が回収されて差圧が漸次増加する。制御部270は、第3差圧測定部PS3が測定する差圧の単位時間当たりの変化量が所定量以下となり、ヘマタイトを含む難溶性粒子などのスケール粒子を可能の限り系外へ回収排出した状態で、第2洗浄工程を終了すると判定する。および/または、計測部(図示略)が計測する鉄イオン濃度が所定濃度以上になり略一定値へと飽和している場合に第2洗浄工程を終了すると判定する。
このように、本実施形態の制御部270は、第1差圧測定部PS1,第2差圧測定部PS2,第3差圧測定部PS3が測定する差圧に基づいて第1フィルタF1,第2フィルタF2,第3フィルタF3による難溶性粒子などのスケール粒子の回収状態を判定し、第1洗浄工程の終了および第2洗浄工程の開始および終了を適切に判定することができる。
ここでは、制御部270が、第1差圧測定部PS1,第2差圧測定部PS2,第3差圧測定部PS3が測定する差圧に基づいて、スケール粒子の回収状態を判定するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、第1差圧測定部PS1,第2差圧測定部PS2,第3差圧測定部PS3が差圧を提示し、操作者・作業者が提示された差圧に基づいてスケール粒子の回収状態を判定してもよい。
10 貫流ボイラ
11 火炉蒸発器
11A 上部ヘッダ
11Aa 前壁上部ヘッダ
11Aa1 第1接続部
11Ab 後壁上部ヘッダ
11Ac 右側壁上部ヘッダ
11Ad 左側壁上部ヘッダ
11B 下部ヘッダ
11Ba 前壁下部ヘッダ
11Ba1 第2接続部
11Bb 後壁下部ヘッダ
11Bc 右側壁下部ヘッダ
11Bd 左側壁下部ヘッダ
11C 火炉壁管
12 煙道蒸発器
13 節炭器
17 火炉
100 火力発電システム
200 化学洗浄装置
210 薬液タンク
220 補給水タンク
230 循環ポンプ
240,240A スラッジ回収設備(回収部)
250 バッファタンク
260 加熱設備
270 制御部
280,280A,280B,280C 液面検出部

Claims (9)

  1. 貫流ボイラの火炉に配置される蒸発器内に付着および/または堆積したスケールを化学洗浄する化学洗浄装置であって、
    前記貫流ボイラは、前記蒸発器と配管を介して接続された隣接機器を備えており、
    洗浄用の薬液を収容する薬液タンクと、
    水を収容する補給水タンクと、
    前記薬液タンク及び前記補給水タンクに連結されるとともに前記蒸発器の鉛直方向上端に設けられる上部ヘッダと前記蒸発器の鉛直方向下端に設けられる下部ヘッダに前記薬液と前記水とを含む洗浄液を循環させる循環ラインと、
    前記循環ラインに設置される循環ポンプと、
    前記循環ラインに設置されるとともに前記洗浄液に含まれるスケール粒子を回収する回収部と、
    前記循環ラインを流通する前記洗浄液の流量を調整する調整部と、
    前記上部ヘッダに接続される前記配管における前記洗浄液の液面の高さを検出する検出部と、
    前記洗浄液が前記隣接機器へ導かれないように前記検出部が検出する前記洗浄液の液面の高さに応じて前記調整部の調整を提示および/または制御する制御部と、を備え
    前記蒸発器は、前記上部ヘッダと、前記下部ヘッダと、鉛直方向に延在する複数の火炉壁管と、を備え、
    前記上部ヘッダは、前記複数の火炉壁管の鉛直方向上端に連結されるとともに水平方向に延在する筒状に形成され、
    前記下部ヘッダは、前記複数の火炉壁管の鉛直方向下端に連結されるとともに水平方向に延在する筒状に形成され、
    前記上部ヘッダは、前記上部ヘッダが延在する方向の両端側で前記上部ヘッダと前記循環ラインとを接続する第1接続部を備え、
    前記下部ヘッダは、前記下部ヘッダが延在する方向の両端側で前記下部ヘッダと前記循環ラインとを接続する第2接続部を備える化学洗浄装置。
  2. 貫流ボイラの火炉に配置される蒸発器内に付着および/または堆積したスケールを化学洗浄する化学洗浄装置であって、
    前記貫流ボイラは、前記蒸発器と配管を介して接続された隣接機器を備えており、
    洗浄用の薬液を収容する薬液タンクと、
    水を収容する補給水タンクと、
    前記薬液タンク及び前記補給水タンクに連結されるとともに前記蒸発器の鉛直方向上端に設けられる上部ヘッダと前記蒸発器の鉛直方向下端に設けられる下部ヘッダに前記薬液と前記水とを含む洗浄液を循環させる循環ラインと、
    前記循環ラインに設置される循環ポンプと、
    前記循環ラインに設置されるとともに前記洗浄液に含まれるスケール粒子を回収する回収部と、
    前記循環ラインを流通する前記洗浄液の流量を調整する調整部と、
    前記上部ヘッダに接続される前記配管における前記洗浄液の液面の高さを検出する検出部と、
    前記洗浄液が前記隣接機器へ導かれないように前記検出部が検出する前記洗浄液の液面の高さに応じて前記調整部の調整を提示および/または制御する制御部と、を備え、
    前記回収部は、
    前記スケール粒子を含む前記洗浄液を濾過するフィルタと、
    前記フィルタの上流側の前記洗浄液の圧力と前記フィルタの下流側の前記洗浄液の圧力との差圧を測定する測定部と、を備え、
    前記測定部は、測定する前記差圧に基づいて前記フィルタによる前記スケール粒子の回収状態を提示する化学洗浄装置。
  3. 前記第2接続部は、前記下部ヘッダが延在する方向の両端面で前記下部ヘッダと前記循環ラインとを接続する請求項に記載の化学洗浄装置。
  4. 前記第2接続部は、前記両端面の鉛直方向下端で前記下部ヘッダと前記循環ラインとを接続する請求項に記載の化学洗浄装置。
  5. 前記第2接続部は、前記下部ヘッダの鉛直方向下端で前記下部ヘッダと前記循環ラインとを接続する請求項に記載の化学洗浄装置。
  6. 前記第2接続部は、前記循環ラインから前記下部ヘッダに導かれる前記洗浄液を前記下部ヘッダの鉛直方向下方へ向けて導くように前記水平方向に対して所定角度で傾斜した流路である請求項に記載の化学洗浄装置。
  7. 貫流ボイラの火炉に配置される蒸発器内に付着したスケールを化学洗浄する化学洗浄装置を用いた化学洗浄方法であって、
    前記貫流ボイラは、前記蒸発器と配管を介して接続された隣接機器を備えており、
    前記化学洗浄装置は、
    洗浄用の薬液を収容する薬液タンクと、
    水を収容する補給水タンクと、
    前記薬液タンク及び前記補給水タンクに連結されるとともに前記蒸発器の鉛直方向上端に設けられる上部ヘッダと前記蒸発器の鉛直方向下端に設けられる下部ヘッダとの間で前記薬液と前記水とを含む洗浄液を循環させる循環ラインと、
    前記循環ラインに設置される循環ポンプと、
    前記循環ラインに設置されるとともに前記洗浄液に含まれるスケール粒子を回収する回収部と、を備え、
    前記回収部は、前記スケール粒子を含む前記洗浄液を濾過するフィルタを備え、
    前記循環ラインから前記上部ヘッダへ前記洗浄液を供給して前記下部ヘッダから排出される前記洗浄液を前記循環ラインへ戻す第1洗浄工程と、
    前記第1洗浄工程の後に、前記循環ラインから前記下部ヘッダへ前記洗浄液を供給して前記上部ヘッダから排出される前記洗浄液を前記循環ラインへ戻す第2洗浄工程と、
    前記フィルタの上流側の前記洗浄液の圧力と前記フィルタの下流側の前記洗浄液の圧力との差圧を測定する測定工程と、
    前記測定工程が測定する前記差圧に基づいて前記フィルタによる前記スケール粒子の回収状態を提示する提示工程と、を備える化学洗浄方法。
  8. 前記第1洗浄工程の後に、前記循環ポンプを停止させた状態で所定時間待機する待機工程を備え、
    前記第2洗浄工程は、前記待機工程の後に実行される工程である請求項に記載の化学洗浄方法。
  9. 前記化学洗浄装置は、前記洗浄液中の鉄イオン濃度を計測する計測部を備え、
    前記計測部が計測する前記鉄イオン濃度が、前記スケールが除去されたことを示すものとして設定される所定濃度以上になった際に、前記第2洗浄工程を終了すると判定する判定工程を備える請求項または請求項に記載の化学洗浄方法。
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