以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図6に、本発明に係る機器の制御値の切替方法の実施形態の一例を示す。
本実施形態では、本発明に係る機器の制御値の切替方法が、IEC 61850に準拠して構築された、電圧調整器の整定値の設定処理を含むシステムへと適用される場合を例に挙げて説明する。
本発明に係る機器の制御値の切替方法の一例としての本実施形態の電圧調整器の整定値の切替方法は、電圧調整器の整定項目に対応するデータオブジェクトを保持する制御論理ノードとしてのタップ切換制御論理ノードATCCのデータオブジェクトのうち整定値の切り替えの対象になっているデータオブジェクトである BndCtr,BndWid,LDCR,LDCX のそれぞれに対応して用意されるスケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6が、当該スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6の管理下にあるスケジュール定義論理ノードFSCH11等,9011等のうち現在時刻において実行対象のスケジュール定義論理ノードFSCH11等,9011等を選定するステップ(S1)と、当該選定したスケジュール定義論理ノードFSCH11等,9011等(のうちのいずれか)がデータオブジェクトとして保持している整定値ValASG1乃至ValASG6(のうちのいずれか)を制御論理ノードとしてのタップ切換制御論理ノードATCCが保持しているデータオブジェクトである BndCtr,BndWid,LDCR,LDCX の値に設定するステップ(S2,S3)と、当該制御論理ノードとしてのタップ切換制御論理ノードATCCが保持しているデータオブジェクトである BndCtr,BndWid,LDCR,LDCX の値に設定した整定値ValASG1乃至ValASG6(のうちのいずれか)の切替時刻を前記選定したスケジュール定義論理ノードFSCH11等,9011等(のうちのいずれか)が保持しているデータオブジェクトの設定内容に基づいて特定するステップ(S4)と、当該特定した切替時刻に合わせて、前記選定したスケジュール定義論理ノードFSCH11等,9011等(のうちのいずれか)がデータオブジェクトとして保持している整定値ValASG1乃至ValASG6について制御論理ノードとしてのタップ切換制御論理ノードATCCが保持しているデータオブジェクトである BndCtr,BndWid,LDCR,LDCX の値に設定する整定値ValASG1乃至ValASG6を切り替えたり(S8→S3)、或いは、現在時刻において実行対象のスケジュール定義論理ノードFSCH11等,9011等を新たに選定した上で当該新たに選定したスケジュール定義論理ノードFSCH11等,9011等(のうちのいずれか)がデータオブジェクトとして保持している整定値ValASG1乃至ValASG6(のうちのいずれか)を制御論理ノードとしてのタップ切換制御論理ノードATCCが保持しているデータオブジェクトである BndCtr,BndWid,LDCR,LDCX の値に設定したり(S6→S7,S8→S9)するステップとを有するようにしている。
(1)論理ノードについて
IEC 61850では、以下に示す二種類の論理ノード(logical node)が規定されている。論理ノードには機能に関連するデータが格納され(言い換えると、論理ノードは機能に関連するデータを保持し)、論理ノードのクラス名には四文字の標準化された名前が付けられる。
1)設備に関する情報を表わす論理ノード
具体的には例えば、回路遮断器を表す「XCBR」や変流器を表す「TCTR」などの論理ノードがある。
設備に関する情報を表わす論理ノードには、設備と変電所自動化システムとの間のインタフェースが規定される。
2)自動化機能に関する情報を表わす論理ノード
具体的には例えば、トリップ信号の送信を表す「PTRC」や電流差動の判定を表す「PDIF」などの論理ノードがある。
本発明の説明では、IEC 61850における論理ノード(logical node)と同様に取り扱われたり振る舞ったりするものを「論理ノード」と呼ぶ。
本発明の説明では、また、論理ノードにて定義された処理やデータが実行可能な形式(例えば、ソフトウェアなど)として具現化されたものを「インスタンス」と呼ぶ。
(2)論理ノード「ATCC」
本実施形態では、IEC 61850において規定されている、タップ切り換えの自動制御を担う論理ノードである「ATCC」(Automatic Tap Changer Controller のこと)が制御論理ノード(即ち、スケジューリングの対象の論理ノード)として用いられる。
本実施形態では、また、IEC 61850において論理ノード(logical node)「ATCC」に対して定められている、電圧調整器に係る整定項目に対応する以下のデータオブジェクト(data object)が利用される。
-「BndCtr」:Band center voltage のことであり、基準電圧(の設定値)を表す。
-「BndWid」:Band width voltage のことであり、不感帯幅(の設定値)を表す。
-「LDCR」:Line drop voltage due to line resistance component のことであり、抵抗分補償(の設定値)を表す。
-「LDCX」:Line drop voltage due to line reactance component のことであり、リアクタンス分補償(の設定値)を表す。
なお、上記四つのデータオブジェクトの共通データクラス(common data class)はいずれも「ASG」(即ち、アナログ設定値)である。
ここで、電圧調整器の整定値に関して、IEC 61850では「ATCC」に対して定められている上記のデータオブジェクト毎に一つの値(別言すると、基本とするデフォルトの値)しか設定することができず、複数種類の値を設定することはできない。
本発明では、電圧調整器に係る整定項目に対応する上記のデータオブジェクトに対し、電圧調整において基本として使用する整定値(「デフォルト整定値」と呼ぶ)と、状況の変化などによってデフォルト整定値では対応が難しいことが想定される場合など特別の事情が存在する際に使用する整定値(「臨時整定値」と呼ぶ)とのうちのどちらかが、定められたスケジュールに従って選択的に設定される。
なお、図2,図5に示す例において論理ノード「ATCC」の「(データオブジェクト)」として示されている項目は論理ノード「ATCC」に対して定められ得るデータオブジェクトの全てではなく、本発明を含むシステムとして運用する場合に論理ノード「ATCC」に対して実際に定められるデータオブジェクトは他にもあり得る。
(3)論理ノード「FSCH」及び「FSCC」
本実施形態では、さらに、IEC 61850において規定されている、スケジュール及び当該スケジュールにおいて使用される整定値の定義を担う論理ノードである「FSCH」(「スケジュール定義論理ノードFSCH」と表記する)と、当該スケジュール定義論理ノードFSCHの制御を担う論理ノードである「FSCC」(「スケジュール制御論理ノードFSCC」と表記する)とが導入される。
論理ノード(本実施形態では、「ATCC」)が保持/利用する項目(言い換えると、設定値の種類,データオブジェクトの種別)のうち値の切り替えの対象である項目毎に一組のスケジュール定義論理ノードFSCH及びスケジュール制御論理ノードFSCCが用意される。
本実施形態では、タップ切り換えの自動制御を担う論理ノード「ATCC」(「タップ切換制御論理ノードATCC」と表記する)が保持/利用する整定値の種別である、順送用/逆送用の「BndCtr」(基準電圧(の設定値)),順送用/逆送用の「BndWid」(不感帯幅(の設定値)),「LDCR」(抵抗分補償(の設定値)),並びに「LDCX」(リアクタンス分補償(の設定値))が値の切り替えの対象であるとし、これら整定値の種別のそれぞれに対して一組ずつのスケジュール定義論理ノードFSCH及びスケジュール制御論理ノードFSCCが用意され、合計で六組のFSCH及びFSCCが用意される。なお、後述するように、一つの組を構成するスケジュール定義論理ノードFSCHは複数個用意される。すなわち、或る整定値の種別に対応する一組のスケジュール定義論理ノードFSCH及びスケジュール制御論理ノードFSCCは、複数個のスケジュール定義論理ノードFSCHと一個のスケジュール制御論理ノードFSCCとから構成される。
本実施形態における電圧調整器子局は図2に示した論理ノードの全てを実装する必要がある。言い換えると、論理ノード「ATCC」,FSCH,及びFSCCそれぞれのインスタンスは同一の論理デバイスに収容される必要がある。
なお、「BndCtr」(基準電圧)及び「BndWid」(不感帯幅)については、順送用と逆送用とのそれぞれが用意されるところ、順送用と逆送用とのうちのどちらを利用するかについてはタップ切換制御論理ノードATCCが有するデータオブジェクトの値/設定(具体的には例えば、電圧調整器の接続端子のどちらが変電所側であるかを設定するデータなど)に基づいて決定される。
(4)スケジュール定義論理ノードFSCH
整定値の種別(尚、順送用と逆送用との別を含む)の各々に対応するスケジュール制御論理ノードFSCC(図に示す例では、FSCC1,FSCC2,…,FSCC6)のそれぞれに対し、デフォルト整定値を保持するスケジュール定義論理ノードFSCH(「デフォルト整定値を保持するFSCH」と表記する)と、臨時整定値を保持するスケジュール定義論理ノードFSCH(「臨時整定値を保持するFSCH」と表記する)とのそれぞれが用意される。
本実施形態では、IEC 61850においてスケジュール定義論理ノードFSCHに対して定められている、少なくとも以下のデータオブジェクトが利用される。
1)開始時刻(「StrTm」:Start time のことである)
当該のスケジュール定義論理ノードFSCHの実行開始時刻(言い換えると、適用開始時刻)が定義される。開始時刻の指定では、年,月,日付,曜日のうちの少なくとも一部が考慮される(言い換えると、年,月,日付,曜日のうちの少なくとも一部の種別毎にスケジュール定義論理ノードFSCHが用意される)ようにしても良く、或いは、年,月,日付,曜日が全く考慮されない(言い換えると、年,月,日付,曜日に関係なく適用されるスケジュール定義論理ノードFSCHが用意される)ようにしても良い。
2)整定値の個数(「NumEntr」:Number of schedule entries のことである)
当該のスケジュール定義論理ノードFSCHに保持されている(言い換えると、当該のFSCHに保存されている)整定値の個数が定義される。図に示す例では、整定値の個数は「6」に設定され、これに対応して6個の整定値ValASG1,ValASG2,…,ValASG6が保持される。
3)整定値の時間間隔(「SchdIntv」:Schedule interval のことである)
当該のスケジュール定義論理ノードFSCHに保持されている整定値が適用される際の時間間隔が定義される。具体的には例えば、電圧調整に使用する整定値が時間帯毎の1時間単位で算定・特定されてその整定値がスケジュール定義論理ノードFSCHに保持されている場合には、整定値の時間間隔が1時間に設定される。
整定値の時間間隔は時間単位の種類と数値との組み合わせによって定義されるようにしても良く、具体的には例えば、時間単位が「時間」であると共に数値が「1」であるとして定義されたり、時間単位が「分」であると共に数値が「60」であるとして定義されたりするようにしても良い。
4)優先度(「SchdPrio」:Priority relation of this schedule のことである)
他のスケジュール定義論理ノードFSCHに対して当該のスケジュール定義論理ノードFSCHが選択・適用される優先度が定義される。具体的には、臨時整定値を保持するFSCHの優先度の方がデフォルト整定値を保持するFSCHの優先度よりも高く設定される。図に示す例では、数値が大きいほど優先度が高くなるという規則であるとし、臨時整定値を保持するFSCH9011等の優先度(即ち、SchdPrioの値)が「90」(但し、「90」は単に大きい数値として選択されているに過ぎず、「90」自体に特段の技術的意味は無い)に設定されると共にデフォルト整定値を保持するFSCH11等の優先度が「0」に設定される。
5)整定値(「ValASG」:ASG scheduled values のことである)
整定値が具体的に数値によって定義される。一つのスケジュール定義論理ノードFSCHのインスタンスには、上記2)によって定義されている個数と同数の整定値が保存される。したがって、図に示す例では、整定値としてValASG1,ValASG2,…,ValASG6に具体的な数値が保存される。
なお、図5に示す例においてスケジュール定義論理ノードFSCHの「(データオブジェクト)」として示されている項目はスケジュール定義論理ノードFSCHに対して定められ得るデータオブジェクトの全てではなく、本発明を含むシステムとして運用する場合にスケジュール定義論理ノードFSCHに対して実際に定められるデータオブジェクトは他にもあり得る。
本発明に係る機器の制御値の切替方法の一例としての本実施形態の電圧調整器の整定値の切替方法の実施に際しては、24時間・365日の全てをカバーするように設定された、デフォルト整定値を保持するFSCHのインスタンスが一セット用意される。
図に示す例では、デフォルト整定値を保持するFSCH11が、毎日0時に実行開始(言い換えると、適用開始)され、適用される際の時間間隔が1時間であるデフォルト整定値を6個(即ち、6時間分)保持するものとして構成される。
さらに、開始時刻が6時間ずつずれて設定されると共に時間間隔が1時間であるデフォルト整定値を6個保持するスケジュール定義論理ノードFSCHのインスタンスが三個用意される(具体的には、デフォルト整定値を保持するFSCH12,FSCH13,及びFSCH14のインスタンスが用意される)。
これら合計四個のFSCH11乃至FSCH14のインスタンスにより、24時間分のデフォルト整定値が用意される。
図に示す例では、デフォルト整定値を保持するFSCH(即ち、FSCH11乃至FSCH14)のインスタンスそれぞれの開始時刻が毎日定時に設定されると共に、年,月,日付,及び曜日は考慮しないように設定されているので、365日全日に対してFSCH11乃至FSCH14は適用される。
なお、データオブジェクトの開始時刻が毎日0時に設定されると共に整定値の時間間隔が1時間であるデフォルト整定値を12個保持するものとして構成されるFSCHと開始時刻が毎日12時に設定されると共に整定値の時間間隔が1時間であるデフォルト整定値を12個保持するものとして構成されるFSCHとの二つのFSCHによってセットが構成されるようにしても良く、或いは、データオブジェクトの開始時刻が毎日0時に設定されると共に整定値の時間間隔が1時間であるデフォルト整定値を24個保持するものとして構成されるFSCHによってセットが構成されるようにしても良い。
また、デフォルト整定値/臨時整定値を保持するFSCHのインスタンスの一セットがカバーする時間間隔(別言すると、期間)は、一日(即ち、24時間)単位に限定されるものではなく、例えば一週間単位や一箇月単位など他の時間間隔(期間)でも良い。
本発明に係る機器の制御値の切替方法の一例としての本実施形態の電圧調整器の整定値の切替方法の実施に際しては、また、デフォルト整定値を保持するFSCHのセットと同数のインスタンスから成る、臨時整定値を保持するFSCHのインスタンスが一セット用意される。
臨時整定値を保持するFSCHのインスタンスそれぞれの開始時刻は、デフォルト整定値を保持するFSCHのインスタンスそれぞれの開始時刻に対応するように(言い換えると、一致するように)設定される。
図3に示す例のようにデフォルト整定値を保持する四個のFSCH(即ち、FSCH11乃至FSCH14)のインスタンスから成るセットが用意されている場合は、例えば、図4に示すように、臨時整定値を保持する四個のFSCH(具体的には、FSCH9011,FSCH9012,FSCH9013,及びFSCH9014)のインスタンスから成るセットが用意される。
デフォルト整定値を保持するFSCHのインスタンスのそれぞれに対応するように臨時整定値を保持するFSCHのインスタンスを一セットとして用意した場合に、或る日,期間,曜日等の特定の時間帯のみ臨時整定値を使用して他の時間帯はデフォルト整定値を使用するときは、前記或る日,期間,曜日等の特定の時間帯において使用する臨時整定値を保持するFSCHのインスタンスの開始時刻の年,月,日付,曜日が臨時整定値を使用する年,月,日付,曜日に合わせて設定されると共に時刻が前記或る特定の時間帯の始まりに合わせて設定され、また、他のFSCHのインスタンスの開始時刻の年,月,日付が過去の年,月,日付に設定される。
図3,図4に示す例では、2017年MM月DD日の18時からの6時間分について臨時整定値を保持するFSCH9014のインスタンスが保持している臨時整定値(即ち、FSCH9014のValASG1乃至ValASG6)が使用され、同日の0時から18時直前まではデフォルト整定値を保持するFSCHのインスタンスが保持しているデフォルト整定値(即ち、FSCH11,FSCH12,及びFSCH13それぞれのValASG1乃至ValASG6)が使用される。
臨時整定値を保持するFSCHの整定値の具体的な値が書き換え可能であるように設定されることにより、臨時整定値を保持するFSCHは値が書き換えられることによって再利用されるようにしても良い。IEC 61850では、具体的には、「SetDataValues」サービスによって書き換え可能なデータ属性(即ち、functional constraint = SE)に設定される。
(5)スケジュール制御論理ノードFSCC
本実施形態では、IEC 61850においてスケジュール制御論理ノードFSCCに対して定められている、少なくとも以下のデータオブジェクトが利用される。
1)制御対象オブジェクトへの参照(「CtlEnt」:Object reference to the entity のことである)
当該のスケジュール制御論理ノードFSCCが制御対象とする、タップ切換制御論理ノードATCCのデータオブジェクトへの参照(即ち、整定項目の種類)が設定される。つまり、タップ切換制御論理ノードATCCのデータオブジェクトのうち、具体的な設定内容がスケジュールによって制御されて切り替えられるデータオブジェクト(整定項目)のうちのいずれかが設定される。
当該のスケジュール制御論理ノードFSCCが、下記2)で設定される(言い換えると、挙げられる)スケジュール定義論理ノードFSCHがデータオブジェクトとして保持している整定値を参照し、読み取った整定値を、タップ切換制御論理ノードATCCの、ここで設定される種別に対応するデータオブジェクトへと設定する。
2)スケジュール定義の集合(「Schd」:Object reference of schedule n のことである)
上記1)で設定される、タップ切換制御論理ノードATCCのデータオブジェクトへの参照に対応するものとして用意されるスケジュール定義論理ノードFSCH、すなわち、上記1)で設定されるデータオブジェクトへの参照に対応する整定値をデータオブジェクトとして保持する(言い換えると、スケジュール制御に用いられるデータを有する)すべてのスケジュール定義論理ノードFSCHが設定される(言い換えると、挙げられる,列挙される)。
ここで設定されるスケジュール定義論理ノードFSCHが当該のスケジュール制御論理ノードFSCCによって管理される論理ノードになる。
デフォルト整定値を保持するFSCHと臨時整定値を保持するFSCHとの両方が設定される(言い換えると、列挙される)。また、デフォルト整定値を保持するFSCHとして複数の論理ノードが設定されたり、臨時整定値を保持するFSCHとして複数の論理ノードが設定されたりする場合がある。
3)現在有効となっている論理ノード(「ActSchdRef」:Indication of which schedule is active as an object reference のことである)
上記2)で設定される(言い換えると、挙げられる,列挙される)スケジュール定義論理ノードFSCHのうち、現在時刻において参照の対象であるアクティブな論理ノード、言い換えると、現在時刻において適用されるべき整定値をデータオブジェクトとして保持している実行中/実行対象の論理ノードが設定される。
ここで設定されるアクティブな(言い換えると、実行中/実行対象の)論理ノードは、スケジュール制御論理ノードFSCCが備えるスケジュール制御機能により、時間の経過に伴って、言い換えると、現在時刻に合わせて、選択され変更される。
なお、図5に示す例においてスケジュール制御論理ノードFSCCの「(データオブジェクト)」として示されている項目はスケジュール制御論理ノードFSCCに対して定められ得るデータオブジェクトの全てではなく、本発明を含むシステムとして運用する場合にスケジュール制御論理ノードFSCCに対して実際に定められるデータオブジェクトは他にもあり得る。
(6)整定値の設定方法
デフォルト整定値を保持するFSCHや臨時整定値を保持するFSCHそれぞれの整定値ValASG1乃至ValASG6を効率的に設定するために、IEC 61850において定められている「DataSet」とそれに対する通信メッセージが用いられるようにしても良い。
具体的には例えば、図6に示すように、各時間断面に対応する整定値は「ValASG」の「setVal」に記載され、また、設定に関する説明が「ValASG」の「d」に記載される。ただし、設定に関する説明は任意の記載項目であり、設定に関する説明がデータオブジェクトとして論理ノードに含まれない構成であっても構わない。
図6に示す例のように「DataSet」とそれに対する通信メッセージが用いられるようにすることにより、複数のFSCHにおける整定値を一回のメッセージ(即ち、「SetDataSetValues.req」)で設定することが可能になり、整定値の設定を効率的に行うことが可能になる。
(7)実施の手順
上述の内容で用意されたタップ切換制御論理ノードATCCのインスタンス,スケジュール定義論理ノードFSCHのインスタンス,及びスケジュール制御論理ノードFSCCのインスタンスによって実施される電圧調整器の整定値の切替方法の実施の手順を以下に説明する。
なお、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6の各々により、各FSCC1~6それぞれの管理下にある全てのスケジュール定義論理ノードFSCHのデータオブジェクトの値が把握されているものとする。
図5に示す例では、タップ切換制御論理ノードATCCのデータオブジェクトのうち「BndCtr」(基準電圧)が、順送用・基準電圧用として用意されるスケジュール制御論理ノードFSCC1を介して、デフォルト整定値を保持するFSCH12がデータオブジェクトとして保持している整定値ValASG1乃至ValASG6に設定される。
図5に示す例では、スケジュール制御論理ノードFSCC1の管理下の論理ノードとして、図中に示すデフォルト整定値を保持するFSCH11及びFSCH12に加え、デフォルト整定値を保持するFSCH13及びFSCH14(図3参照)並びに臨時整定値を保持するFSCH9011乃至FSCH9014(図4参照)が用意されている。
つまり、スケジュール制御論理ノードFSCC1のデータオブジェクトについて、制御対象オブジェクトへの参照は BndCtr であり、スケジュール定義の集合にデフォルト整定値を保持するFSCH11乃至FSCH14並びに臨時整定値を保持するFSCH9011乃至FSCH9014が設定される。
スケジュール制御論理ノードFSCC1の管理下のデフォルト整定値を保持するFSCH11乃至FSCH14並びに臨時整定値を保持するFSCH9011乃至FSCH9014の全てについて、データオブジェクトの整定値の個数及び整定値の時間間隔の値は一致させられる(尚、図5に示す例では、それぞれ「6」,「1時間」)。
本実施形態の電圧調整器の整定値の切替方法の実施の手順としては、まず、現在時刻を対象とするスケジュール定義論理ノードFSCHのインスタンスが選定される(S1)。
具体的には、値の切り替えの対象になっている整定値の種別毎に用意されるスケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6のそれぞれが、各スケジュール定義論理ノードFSCH11等,FSCH9011等のデータオブジェクトの開始時刻と当該FSCHのインスタンスの適用期間(言い換えると、有効期間)とを確認する。
適用期間(有効期間)は、各スケジュール定義論理ノードFSCH11等,FSCH9011等のデータオブジェクトの整定値の個数と整定値の時間間隔との積によって算定・特定される。
続いて、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6が、スケジュール定義論理ノードFSCH11等,FSCH9011等のそれぞれについて、開始時刻から適用期間だけ経過した時間帯(「対象時間帯」と呼ぶ)に現在時刻が入っているか否かを判断する。
そして、対象時間帯に現在時刻が入っているスケジュール定義論理ノードFSCHが二つ(具体的には、デフォルト整定値を保持するFSCH11等のうちのいずれかと臨時整定値を保持するFSCH9011等のうちのいずれかとの二つ)存在する場合には、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6は、優先度が高い方のスケジュール定義論理ノードFSCH(即ち、臨時整定値を保持するFSCH9011等のうちのいずれか)を、S1の処理の結果としてのスケジュール定義論理ノードFSCHであるとして選定する。
一方、対象時間帯に現在時刻が入っているスケジュール定義論理ノードFSCHが一つ(具体的には、デフォルト整定値を保持するFSCH11等のうちのいずれか)である場合には、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6は、前記スケジュール定義論理ノードFSCH(即ち、デフォルト整定値を保持するFSCH11等のうちのいずれか)を、S1の処理の結果としてのスケジュール定義論理ノードFSCHであるとして選定する。
図5に示す例では、タップ切換制御論理ノードATCCのデータオブジェクトのうちの値の切り替えの対象になっている「BndCtr」(基準電圧)に対して順送用・基準電圧用として用意されるスケジュール制御論理ノードFSCC1が、デフォルト整定値を保持するFSCH11乃至FSCH14並びに臨時整定値を保持するFSCH9011乃至FSCH9014のデータオブジェクトを確認し、S1の処理の結果としてデフォルト整定値を保持するFSCH12を選定する。
なお、図5に示す例では、現在時刻が07時16分であり、そして、デフォルト整定値を保持するFSCH12のデータオブジェクトの開始時刻が6時であると共に適用期間(即ち、整定値の個数=6と整定値の時間間隔=1時間との積)が6時間であることから、対象時間帯に現在時刻が入っているスケジュール定義論理ノードFSCHとしてデフォルト整定値を保持するFSCH12が選定される。
次に、S1の処理によって選定されたスケジュール定義論理ノードFSCHのインスタンスを次の切替時刻が到来するまで参照することが設定される(S2)。
具体的には、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6が、S1の処理において選定されたデフォルト整定値を保持するFSCH11等(のうちのいずれか)のインスタンス若しくは臨時整定値を保持するFSCH9011等(のうちのいずれか)のインスタンスを、次の切替時刻が到来するまで参照すべきインスタンス(「参照FSCHインスタンス」と呼ぶ)に決定し、データオブジェクトの現在有効となっている論理ノードに前記デフォルト整定値/臨時整定値を保持するFSCHを設定する。
図5に示す例では、スケジュール制御論理ノードFSCC1が、S1の処理において選定されたデフォルト整定値を保持するFSCH12のインスタンスを参照FSCHインスタンスに決定し、データオブジェクトの現在有効となっている論理ノードにFSCH12を設定する。
次に、S2の処理によって設定された参照FSCHインスタンスから現在時刻に対応する整定値が取得されてデータオブジェクトに設定される(S3)。
具体的には、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6が、S2の処理において設定された参照FSCHインスタンスがデータオブジェクトとして保持している整定値ValASG1乃至ValASG6のうち、当該参照FSCHインスタンスのデータオブジェクトの開始時刻及び整定値の時間間隔に基づいて特定される、現在時刻に対応する(言い換えると、現在時刻において適用すべき)整定値ValASG1乃至ValASG6(のうちのいずれか)を取得する。
続いて、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6は、上記において取得した整定値ValASG1乃至ValASG6(のうちのいずれか)を、タップ切換制御論理ノードATCCのデータオブジェクト(即ち、整定項目)のうち当該のスケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6が管轄しているデータオブジェクト(整定項目)の値に設定する。
そして、タップ切換制御論理ノードATCCは、設定された整定値に基づいて、電圧調整器の制御を行う。
図5に示す例では、スケジュール制御論理ノードFSCC1が、S2の処理において設定された参照FSCHインスタンスとしてのデフォルト整定値を保持するFSCH12がデータオブジェクトとして保持している整定値ValASG2を取得し、当該整定値ValASG2の値を、タップ切換制御論理ノードATCCのデータオブジェクトの BndCtr に設定する。
なお、図5に示す例では、現在時刻が07時16分であり、そして、デフォルト整定値を保持するFSCH12のデータオブジェクトの開始時刻が6時であると共に整定値の時間間隔が1時間であることから、現在時刻に対応する整定値はValASG2であることが特定される。
ここで、スケジュール制御論理ノードFSCCが制御対象とする論理ノード(ここでは具体的には、タップ切換制御論理ノードATCC)が有するデータオブジェクトに対しては、その値を通信(具体的には例えば、IEC 61850において規定されている「SetDataValues」など)を用いて直接書き換えることが可能である。この場合には、スケジュール制御論理ノードFSCCが設定した値は上書きされる。この仕組みを通じ、スケジューリングされた値とはさらに別の値を随時設定することも可能である。
次に、整定値の次の切替時刻が特定される(S4)。
具体的には、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6が、S2の処理において設定された参照FSCHインスタンスのデータオブジェクトの整定値の時間間隔に基づいて(また、現在時刻やデータオブジェクトの開始時刻を必要に応じて参照して)、S3の処理においてタップ切換制御論理ノードATCCのデータオブジェクト(整定項目)の値に設定した整定値についての次の切替時刻を特定する。
図5に示す例では、スケジュール制御論理ノードFSCC1が、S2の処理において設定された参照FSCHインスタンスとしてのデフォルト整定値を保持するFSCH12のデータオブジェクトの整定値の時間間隔が1時間であることに基づいて(尚、現在時刻は07時16分であり、また、デフォルト整定値を保持するFSCH12のデータオブジェクトの開始時刻は6時である)、S3の処理においてタップ切換制御論理ノードATCCのデータオブジェクトの BndCtr の値に設定した整定値ValASG2の切替時刻は8時であることを特定する。
その上で、S4の処理で特定された次の切替時刻が到来するまでの間は、S3の処理において設定された整定値(データオブジェクト)が用いられる(S5)。
そして、S4の処理で特定された次の切替時刻が到来すると、現在時刻を対象とし且つ優先度が高いスケジュール定義論理ノードFSCHのインスタンスが存在するか否かが判断される(S6)。
具体的には、整定値の切替時刻が到来したスケジュール定義論理ノードFSCH(具体的には、FSCH11等のうちのいずれか、若しくは、FSCH9011等のうちのいずれか)のインスタンス(即ち、参照FSCHインスタンス)を管理しているスケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6が、各スケジュール定義論理ノードFSCH11等,FSCH9011等のデータオブジェクトを確認し、スケジュール定義論理ノードFSCH11等,FSCH9011等のそれぞれについて対象時間帯に現在時刻が入っており且つ優先度が参照FSCHインスタンスの優先度よりも高いか否かを判断する。
対象時間帯に現在時刻が入っているか否かの判断は、上述のS1の処理における考え方と同様の考え方に従って行われる。
なお、このS6の処理は、整定値の切替時刻が到来した参照FSCHインスタンスの優先度が低い場合(即ち、参照FSCHインスタンスがデフォルト整定値を保持するFSCH11等のインスタンスである場合)のみ行われるようにしても良い。そして、整定値の切替時刻が到来した参照FSCHインスタンスが臨時整定値を保持するFSCH9011等のインスタンスである(即ち、優先度が高い)場合は、S6の処理を行うこと無く、S8の処理へと移行する。
S6の処理としての判断の結果、対象時間帯に現在時刻が入っており且つ優先度が参照FSCHインスタンスの優先度よりも高いスケジュール定義論理ノードFSCH(即ち、臨時整定値を保持するFSCH9011等)のインスタンスが存在する場合(S6:Yes)は、S7の処理へと移行する。
そして、S6の処理において上記条件を満たす臨時整定値を保持するFSCH9011等(のうちのいずれか)のインスタンスの存在を確認したスケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6が、前記臨時整定値を保持するFSCH9011等(のうちのいずれか)のインスタンスを、次の切替時刻が到来するまで参照すべきインスタンス(即ち、(新たな)参照FSCHインスタンス)に決定し、データオブジェクトの現在有効となっている論理ノードに前記臨時整定値を保持するFSCH9011等(のうちのいずれか)を設定する(S7)。その後、S3の処理へと移行する。
一方、S6の処理としての判断の結果、対象時間帯に現在時刻が入っており且つ優先度が参照FSCHインスタンスの優先度よりも高いスケジュール定義論理ノードFSCHのインスタンスが存在しない場合(S6:No)は、S8の処理へと移行する。
そして、到来した切替時刻の後(別言すると、現在時刻の後)の時間帯が参照FSCHインスタンスの対象時間帯に入っているか否かが判断される(S8)。
そして、到来した切替時刻の後(現在時刻の後)の時間帯が参照FSCHインスタンスの対象時間帯に入っている場合(S8:Yes)は、S3の処理へと移行する。
一方、到来した切替時刻の後(現在時刻の後)の時間帯が参照FSCHインスタンスの対象時間帯に入っていない場合(S8:No)は、現在時刻を対象とするスケジュール定義論理ノードFSCHのインスタンスが新たに選定されると共に当該新たに選定されたスケジュール定義論理ノードFSCHのインスタンスが参照FSCHインスタンスに設定される(S9)。
具体的には、整定値の切替時刻が到来した参照FSCHインスタンスを管理しているスケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6が、各スケジュール定義論理ノードFSCH11等,FSCH9011等のデータオブジェクトを確認し、スケジュール定義論理ノードFSCH11等,FSCH9011等のそれぞれについて対象時間帯に現在時刻が入っているか否かを判断する。
対象時間帯に現在時刻が入っているか否かの判断は、上述のS1の処理における考え方と同様の考え方に従って行われる。
そして、対象時間帯に現在時刻が入っているスケジュール定義論理ノードFSCHが二つ(具体的には、デフォルト整定値を保持するFSCH11等のうちのいずれかと臨時整定値を保持するFSCH9011等のうちのいずれかとの二つ)存在する場合には、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6は、優先度が高い方のスケジュール定義論理ノードFSCH(即ち、臨時整定値を保持するFSCH9011等のうちのいずれか)をS9の処理の対象として選定する(S9)。
一方、対象時間帯に現在時刻が入っているスケジュール定義論理ノードFSCHが一つ(具体的には、デフォルト整定値を保持するFSCH11等のうちのいずれか)である場合には、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6は、前記スケジュール定義論理ノードFSCH(即ち、デフォルト整定値を保持するFSCH11等のうちのいずれか)をS9の処理の対象として選定する(S9)。
そして、スケジュール制御論理ノードFSCC1乃至FSCC6は、上記において選定したデフォルト整定値を保持するFSCH11等(のうちのいずれか)のインスタンス若しくは臨時整定値を保持するFSCH9011等(のうちのいずれか)のインスタンスを、次の切替時刻が到来するまで参照すべきインスタンス(即ち、(新たな)参照FSCHインスタンス)に決定し、データオブジェクトの現在有効となっている論理ノードに前記デフォルト整定値/臨時整定値を保持するFSCHを設定する(S9)。
なお、S9の処理では、各スケジュール定義論理ノードFSCH11等,FSCH9011等のデータオブジェクトの開始時刻と優先度とが確認され、到来した切替時刻と開始時刻とが一致しているスケジュール定義論理ノードFSCH11等,FSCH9011等が選定されると共に優先度が対比されるようにしても良い。
以上のように構成された機器の制御値の切替方法の一例としての電圧調整器の整定値の切替方法によれば、電圧調整器の整定項目(別言すると、データオブジェクトである BndCtr,BndWid,LDCR,LDCX)毎に所定のスケジュールや状況の変化に合わせて整定値が切り替えられるように制御することができる。このため、電圧調整器を柔軟にそして適切に運用することが可能になり、延いては電圧調整器の運用の信頼性の向上が可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では本発明が電圧調整器の整定値の設定処理を含むシステムへと適用される場合を例に挙げて説明したが、本発明の適用対象は電圧調整器の整定値の設定に限定されるものではなく、動作を制御するために所定の設定値・制御値が利用される種々の機器の前記設定値の切り替えに本発明は適用され得る。本発明の適用対象には、具体的には例えば、変電所構内に設置されている負荷時タップ切換器が含まれ、また、無効電力の供給源である電力用コンデンサ/並列コンデンサ,分路リアクトル,静止型無効電力補償装置が含まれる。
また、上述の実施形態では制御論理ノード(即ち、スケジューリングの対象の論理ノード)がIEC 61850において規定されている「ATCC」であるようにしているが、本発明における制御論理ノードは、機器の制御項目に対応するデータオブジェクトを保持する論理ノードであれば、「ATCC」に限定されるものではなく、他の論理ノードであっても構わない。なお、変電所構内に設置されている負荷時タップ切換器の制御に本発明が適用される場合には、上述の実施形態と同様に、(スケジューリングの対象の)論理ノードとして「ATCC」が用いられ得る。一方、例えば、無効電力の供給源に該当する機器に本発明が適用される場合には、(スケジューリングの対象の)論理ノードとして無効電力制御用の「ARCO」が用いられ得る。
また、上述の実施形態では整定値の切り替えの対象になっているデータオブジェクトがIEC 61850において規定されている BndCtr,BndWid,LDCR,LDCX であるようにしているが、本発明におけるデータオブジェクトは、機器の制御に関連するデータオブジェクトであれば、BndCtr,BndWid,LDCR,LDCX に限定されるものではなく、他のデータオブジェクトであっても構わない。
また、上述の実施形態ではスケジュール定義論理ノードFSCHのそれぞれに対して設定される優先度が「0」及び「90」のみであるようにしているが、スケジュール定義論理ノードFSCHに対して設定される優先度は、二種類(言い換えると、二段階)に限定されるものではなく、三種類以上(言い換えると、三段階以上)の優先度が設定されるようにしても良い。例えば、一定周期で現れる指定日時のみに適用されるデフォルト整定値が存在する場合には、前記一定周期で現れる指定日時以外に適用されるデフォルト整定値を保持するFSCHのインスタンスに加え、前記一定周期で現れる指定日時のみに適用されるデフォルト整定値を保持するFSCHのインスタンスが用意されるようにしても良い。
具体的には例えば、毎週日曜日のみに適用されるデフォルト整定値を有効にする場合には、毎週日曜日を除く曜日に適用されるデフォルト整定値を保持するFSCHのインスタンスとして図3に示す例のように優先度(即ち、SchdPrioの値)が「0」に設定されたセットの他に、毎週日曜日に適用されるデフォルト整定値を保持するFSCHのインスタンスとして図7に示す例のように優先度が「1」(尚、毎週日曜日を除く曜日に適用されるデフォルト整定値を保持するFSCHのインスタンスの優先度よりも大きく且つ臨時整定値を保持するFSCHのインスタンスの優先度よりも小さい値であればいくつでも良い)に設定されたセット(具体的には、FSCH111乃至FSCH114のインスタンスのセット)が用意されるようにしても良い。
また、上述の実施形態では或るデフォルト整定値を保持するFSCH(例えば、FSCH11)のインスタンスのValASG1,ValASG2,…,ValASG6にデフォルト整定値として割り当てられる具体的な数値の組み合わせは一つのみであるようにしているが、或るデフォルト整定値を保持するFSCHに割り当てられるデフォルト整定値の組み合わせが複数用意されるようにしても良い。この場合には、IEC 61850において規定されているモデルである「SGCB」(Setting Group Control Block のこと)が利用される。なお、「SGCB」が利用される場合は、デフォルト整定値を保持するFSCHのValASGは「Setting Group(SG)」にて扱える編集可能なデータ属性(具体的には、functional constraint = SE)に設定/定義される。
具体的には例えば、図8に示すように、デフォルト整定値を保持するFSCH11乃至FSCH14それぞれのValASG1乃至ValASG6の値の組み合わせが「Setting Group」として三組(具体的には、SG#1,SG#2,SG#3;但し、SGは「Setting Group」)用意され、状況に応じていずれか一つの組み合わせが選択され、そして、選択された組み合わせの値(図8に示す例では、SG#3)が対応するFSCH11乃至FSCH14のうちのいずれかのValASG1乃至ValASG6に割り当てられるようにしても良い。なお、「SGCB」が利用される場合においても、「SGCB」以外の方法(例えば、IEC 61850において規定されている「SetDataValues」)が用いられてValASGの値が直接書き換えられるようにしても良い。
或るデフォルト整定値を保持するFSCHに割り当てられるデフォルト整定値の組み合わせが複数組用意されるようにすることにより、例えば季節(具体的には例えば、夏用,冬用,及び中間期(即ち、春秋用))に応じて異なるデフォルト整定値が用いられることを容易・効率的に行うことが可能になる。なお、整定値を定期的(言い換えると、一定期間毎)に変更する場合にはデフォルト整定値の組み合わせが複数組用意され、例えば特殊な事情が存在する或る特定の一日に整定値を特別に対応させるためには臨時整定値が使用されるようにすることが考えられる。