JP7051194B1 - 非財務情報を数値化して企業価値を評価するためのシステム、方法、及びプログラム - Google Patents

非財務情報を数値化して企業価値を評価するためのシステム、方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】非財務情報を数値化することで、企業価値を客観的かつ適切に評価する。【解決手段】評価システム10’のデータ取得部32は、各評価機関が公表するESGデータや、各個別企業の非財務リスク関連データなどを外部端末(図示略)から取得する。要素分析部33は、データ取得部22によって取得されたデータを用いて、評価機期間別、ESG要素別の分析を行う。変化算出部34は、特定事象が発生した日を起点として、その前後の所定期間における様々なパラメータ値を求め、求めたパラメータ値を比較する。出力部35は、ユーザの指示に従い、要素分析部33による分析結果や、変化算出部34による算出結果などを表示装置に表示する。【選択図】図10

Description

本発明は、非財務情報を数値化して企業価値を評価するためのシステム、方法、及びプログラムに関するものである。
近年、ESG投資拡大に向けて、非財務情報を評価し、ESG格付け(Rating)を開示する動きがみられる(例えば、非特許文献1参照)。ここで、ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの観点から企業の将来性や持続性などを分析・評価した上で、投資先の企業等を選別する方法である。
MSCI、ESGスコア掲載サイト、インターネット<https://www.msci.com/our-solutions/esg-investing/esg-ratings/esg-ratings-corporate-search-tool>
しかしながら、ESG格付けは、非財務情報を点数化し、ESG対応状況などを踏まえて企業を評価する方法として有益であるものの、その格付けが企業の経済的価値にどのような影響を及ぼすのか、客観的かつ適切に把握するのが難しいという問題があった。
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、非財務情報を数値化することで、企業価値を客観的かつ適切に評価することができる技術を提供することを目的の1つとする。
本発明の実施形態に係るシステムは、御部、記憶部を備えた企業価値の評価システムであって、制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、評価機関によって導出された対象企業の環境(E)、社会(S)、企業統治(G)に関するそれぞれのスコアをあらわすEスコア、Sスコア、Gスコアを含むESGスコアデータを取得する取得ステップと、Eスコア、Sスコア、Gスコアを説明変数とし、非財務リスク割合を被説明変数として重回帰分析を行う分析ステップと、重回帰分析の結果を出力する出力ステップとを実行するように構成されたことを要旨とする。
ここで、分析ステップにおいては、式(1)に示す重回帰式を利用して当該評価機関でのESGスコアデータを利用した非財務リスク割合の重回帰分析を行い、
Y0=α*X01+β*X02+γ*X03+δ・・・(1)
Y0:非財務リスク割合
X01:Eスコア
X02:Sスコア
X03:Gスコア
出力ステップにおいては、重回帰分析によって得られた評価機関でのESGスコアデータを利用した非財務リスク割合の予測値を出力するようにしてもよい。
本発明の実施形態によれば、非財務情報を数値化することで、企業価値を客観的かつ適切に評価することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る評価システムを含むネットワークの構成を概略的に示す構成図である。 評価システムの機能ブロック図である。 表示装置に表示される設定画面を例示した図である。 親指数の重回帰分析の説明図である。 企業Aの単回帰分析の説明図である。 企業Aの本源的時価総額を算出する際の説明図である。 企業Aの非財務リスク量及び非財務リスク割合を算出する際の説明図である。 表示装置に表示されるアウトプット画面を例示した図である。 表示装置に表示されるグラフを例示した図である。 第2実施形態に係る評価システムの機能構成を示すブロック図である。 表示装置に表示される設定画面を例示した図である。 各評価機関から取得されたESGデータ、非財務リスク割合を例示した図である。 評価機関のESGデータを利用したときの重回帰分析の結果を例示した図である。 評価機関ごとに重回帰分析を行った場合のアウトプット例を示す。 比較対象企業群を例示した図である。 ESGレーティングが変化した場合の各パラメータ値の推移を示す図である。 対象企業とESGレーティングが同一の企業群の非財務リスク割合の比較例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
A.第1実施形態
(概要)
従来より、非財務情報のリスク(以下、非財務リスク)への対応として、個別のリスクの中から定量的に把握できるものを抽出し、リスク量の算出やリスク評価を行う方法が広く知られているが、非財務リスク全体としてどれくらいのリスク量なのかを把握するというアプローチを採用する方法は、未だ知られていない。
本開示の方法は、このような先進的なアプローチを採用することで、非財務リスクのリスク量やリスク割合など、非財務リスクに関わる情報(非財務リスク関連情報)を把握する点に特徴がある。
詳細は後述するが、本開示の方法は、親指数対比でのパフォーマンスを考慮して、個別企業の非財務リスク関連情報を生成する。なお、「親指数」とは、株式市場の代表的な株式指標をいい、例えばTOPIXなどである。
(構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る企業価値を評価する評価システム10を含むネットワークの構成を概略的に示す構成図である。評価システム10は、図示するように、インターネット等の通信ネットワークNWを介して、金融情報端末20と通信可能に接続されている。金融情報端末20は、例えばサーバコンピュータなどによって構成され、様々な金融情報(例えば親指数、株価指数、為替レート、個別企業の財務情報など)に関するデータを評価システム10に提供する。評価システム10は、金融情報端末20から必要なデータを取得し、非財務リスク関連情報を生成する。
評価システム10は、一般的なコンピュータとしての構成を有する。具体的には、評価システム10は、CPU又はGPUとして構成されるコンピュータプロセッサ11と、DRAM等によって構成されデータやプログラムを一時的に記憶するメインメモリ12と、ユーザ等との間で情報のやり取りを行う入出力インタフェース13と、有線又は無線の通信を制御する通信インタフェース14と、磁気ディスク又はフラッシュメモリ等によって構成されデータやプログラムを記憶するストレージ15とを備える。コンピュータプロセッサ11は、ストレージ15等に記憶されているプログラムをメインメモリ12に読み込んで、当該プログラムに含まれる命令を実行する。
入出力インタフェース13は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロフォン、カメラ等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置、及びスピーカ等の音声出力装置を含む。通信I/F14は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装される。ストレージ15は、金融情報端末20から取得した様々なデータや各種プログラムなどを記憶する。
また、評価システム10は、ストレージ15等に記憶されているプログラムに含まれる命令をコンピュータプロセッサ11が実行することによって、図2に示す各部の機能を実現する。
図2は、評価システム10の機能構成を示すブロック図である。
評価システム10は、設定部21、データ取得部22、重回帰分析部23、単回帰分析部24、非財務リスク量算出部25、出力部26などを備えている。
設定部21は、ユーザの指示(入力操作)に従い、非財務リスク量を算出する個別企業や観測期間、アウトプットの対象期間や算出方法、各回帰分析の説明変数などを設定する(図3参照)。なお、本実施形態では、以下に示す前提条件が設定される場合を想定する。
<前提条件>
・非財務リスク量を算出する個別企業の銘柄(個別銘柄)は、企業Aとする。
・算出過程における重回帰分析および単回帰分析は、いずれも日時データで観測期間は10年(カレンダーベース)、アウトプットの対象期間は3年、アウトプットの算出方法は月次ベースとする。
・親指数に関する重回帰分析について、被説明変数は親指数(終値)、説明変数は株価指数、為替レート、親指数の純資産とする。
・個別企業に関する単回帰分析について、第1の修正時価(純資産部分)に関しては、被説明変数は個別企業の純資産、説明変数は親指数の純資産とする。
・個別企業に関する単回帰分析について、第2の修正時価(PBR(Price Book-value Ratio)部分)に関しては、被説明変数は個別企業のPBR、説明変数は親指数のPBRとする。
データ取得部22は、親指数の重回帰分析に必要なデータや、個別企業の単回帰分析に必要なデータなどを金融情報端末20から取得する。本実施形態では、2019年12月末時点での企業Aの非財務リスク量などを算出する場合を想定するため、データ取得部22は、以下に示す10年分の日時データを、金融情報端末20から取得する。
<日時データの詳細>
・重回帰分析のために、親指数(終値)、親指数(純資産)、株価指数、為替レートを取得する。
・単回帰分析のために、個別企業(時価総額)、個別企業(純資産)、個別企業(株価)を取得する。
親指数や株価指数、為替レートや純資産は、任意のものを採用することができる。一例として、「TOPIX」や「JPX400」などを親指数として利用し、「MSCI World Index」や「FTSE All-World Index」などを株価指数として利用し、「ドル-円為替レート」などを為替レートとして利用し、「純資産総額」や「株主資本」などを純資産として利用することができるが、これらに限る趣旨ではない。
重回帰分析部23及び単回帰分析部24は、それぞれ、データ取得部22によって取得されたデータを用いて、重回帰分析及び単回帰分析を実施し、分析結果を非財務リスク量算出部25や出力部26に出力する。非財務リスク量算出部25は、各回帰分析の分析結果を利用して非財務リスク量などを算出する。出力部26は、ユーザの指示に従い、算出された非財務リスク量などを表示装置に表示する。
以下、重回帰分析部23、単回帰分析部24、非財務リスク量算出部25、出力部26の動作の詳細について、2019年12月30日時点の企業Aの非財務リスク量を算出する場合を想定して具体的に説明する。
<重回帰分析部23>
図4は、親指数の重回帰分析の説明図である。
重回帰分析部23は、まず、親指数(終値)を時価総額とみなして、親指数のPBRを算出する。
具体的には、重回帰分析部23は、親指数(終値)を、親指数(純資産)で除することで、親指数(PBR)を算出する。図4に示す例では、親指数(PBR)=1.15675(=1721.36/1488.1)となる(図4に示すF1参照)。親指数(PBR)は、単回帰分析を実施する際に利用される。
次に、重回帰分析部23は、図4の式(1)に示す重回帰式を利用して親指数の重回帰分析を行い、2019年12月30日時点での親指数の予測値を算出する。図4に示す例では、親指数(予測値)=1771.185(=0.474939*2353.25+10.73352*108.88+0.25236*1488.1-890.669)となる。
さらに、重回帰分析部23は、親指数(予測値)を、親指数(純資産)で除することで、親指数(補正PBR)を算出する。ここでは、親指数(予測値)は、親指数に関する非財務リスク量がゼロの状態であることから、親指数(純資産)が不変であることを前提として、親指数(PBR)を補正する。図4に示す例では、親指数(補正PBR)=1.19023(=1771.185/1488.1)となる(図4に示すF2参照)。重回帰分析部23は、重回帰分析の結果を、単回帰分析部24や非財務リスク量算出部25、出力部26に送る。
<単回帰分析部24>
図5は、企業A(個別銘柄)の単回帰分析の説明図である。
単回帰分析部24は、まず、企業Aの時価総額を、企業Aの純資産で除することで企業AのPBRを算出する。図5に示す例では、企業A(PBR)=0.78983(=2398903/3037254)となる(図5に示すF3参照)。なお、企業A(PBR)は、この後の単回帰分析を実施する際に利用される。
次に、単回帰分析部24は、図5の式(2)に示す単回帰式(純資産側)を利用して企業Aの第1の単回帰分析を行い、2019年12月30日時点での企業Aの純資産の予測値を算出する。図5に示す例では、企業A(純資産(予測値))=1771.185(=0.474939*2353.25+10.73352*108.88+0.25236*1488.1-890.669)となる。
続いて、単回帰分析部24は、図5の式(3)に示す単回帰式(PBR側)を利用して企業Aの第2の単回帰分析を行い、2019年12月30日時点での企業AのPBRの予測値を算出する。図5に示す例では、企業A(PBR(予測値))=0.8799(=0.973356*1.15675-0.24602)となる。単回帰分析部24は、単回帰分析の結果を、非財務リスク量算出部25、出力部26に送る。
<非財務リスク量算出部25>
図6は、企業Aの本源的時価総額を算出する際の説明図である。
図6に示すように、企業Aの本源的時価総額は、第1の修正時価(純資産部分の本源的価値)と、第2の修正時価(PBR差部分の本源的価値)から構成される。
(第1の修正時価の算出)
まず、非財務リスク量算出部25は、単回帰分析部24で求めた企業A(純資産(予測値))に、重回帰分析部23で求めた親指数(補正PBR)を乗ずることで、企業Aの第1の修正時価を算出する(図6に示す式(4)参照)。図6に示す例では、企業Aの第1の修正時価=3664553(=3078861*1.19023)となる。
(第2の修正時価の算出)
次に、非財務リスク量算出部25は、親指数(補正PBR)を、図5の式(3)に示す単回帰式(PBR側)に当てはめる(代入する)ことで、企業Aの調整後のPBRを求める(図6に示すN1参照)。このように、企業Aの調整後のPBR(以下、企業A(調整PBR))を求めるのは、以下の理由による。すなわち、単回帰分析部24で求める企業A(PBR)は、親指数の実績値におけるPBRであるため、親指数が予測値である場合に、企業AのPBRがどのように変化するのかを考慮する必要がある。ここで、親指数(予測値)=1771.185であるため、非財務リスク量算出部25は、親指数が1771.185である場合の企業AのPBR、すなわち企業A(調整PBR)を求める。図6に示す例では、企業A(調整PBR)=0.9125(=0.973356*(1.19023-0.24602))となる。
非財務リスク量算出部25は、単回帰分析部で求めた企業A(純資産(予測値))に、上記で求めた企業A(調整PBR)から親指数(補正PBR)を減じたもの(=PBR差)を乗ずることで、企業Aの第2の修正時価を算出する(図6に示す式(5)参照)。図6に示す例では、企業Aの第2の修正時価=▲855092(=3078861*(0.9125-1.19023))となる(▲はマイナスを意味する)。
(非財務リスク関連情報の生成)
図7は、企業Aの非財務リスク関連情報を生成(ここでは、非財務リスク量及び非財務リスク割合を算出)する際の説明図である。
企業Aの時価総額は、企業Aの本源的時価総額に非財務リスク量を加算したものといえることから(図7に示す式(6)参照)、まず、非財務リスク量算出部25は、第1の修正時価に第2の修正時価を加算することで企業Aの本源的時価総額を求める(図7に示す式(7)参照)。そして、非財務リスク量算出部25は、2019年12月30日時点での企業Aの時価総額から、本源的時価総額(=第1の修正時価+第2の修正時価)を減じることで、企業Aの非財務リスク量を算出する。さらに、非財務リスク量算出部25は、企業Aの非財務リスク量を、企業Aの時価総額で除することで、企業Aの非財務リスク割合を算出する。
図7に示す例では、企業Aの本源的時価総額=2809461(=3664553-855092)であり、時価総額=2398903であることから、非財務リスク量=▲410558(=2398903-2809461)となり、非財務リスク割合=▲17.11%(=(▲410558/2398903)*100)となる。
なお、非財務リスク量算出部25は、親指数の非財務リスク量や非財務リスク割合を算出してもよい。具体的には、非財務リスク量算出部25は、親指数から、親指数の予測値を減じることで、親指数の非財務リスク量を算出する。さらに、非財務リスク量算出部25は、親指数の非財務リスク量を、親指数で除することで、親指数の非財務リスク割合を算出する。
上記例を踏襲すると、親指数の非財務リスク量=▲49.825(=1721.36-1771.185)となり、親指数の非財務リスク割合=▲2.89%(=(▲49.825/1721.36)*100)となる。非財務リスク量算出部25は、算出した結果を、出力部26に送る。
<出力部26>
図8は、表示装置に表示されるアウトプット画面P1を例示した図である。
アウトプット画面P1には、非財務リスク量を算出した個別企業(企業A)、親指数などに関する基本設定情報I1や、非財務リスク量をはじめとする結果情報I2のほか、ユーザが操作可能な回帰分析結果ボタンB1、データ検証ボタンB2、グラフ作成ボタンB3が表示される。
回帰分析結果ボタンB1は、観測期間における日次ベースの重回帰分析及び単回帰分析の結果(被説明変数、説明変数など)を、表形式ファイルでダウンロード(及び/又は表示)するためのボタンである。
データ検証ボタンB2は、出力部が受け取った各算出結果に関する検証や統計学的見地での検証などを行うためのボタンである。
グラフ作成ボタンB3は、結果情報(非財務リスク関連情報)I2をグラフ表示するためのボタンである。
図9は、表示装置に表示されるグラフを例示した図である。
図9に示す例では、設定されたアウトプット対象期間(ここでは3年)における企業Aと親指数の非財務リスク割合の推移をあらわすグラフが表示装置に表示される。ユーザは、このグラフを参照することで、例えば2019年の初頭に非財務リスク割合が急峻に変化していることから、世間を揺るがす出来事があったと推測することが可能となる。なお、ユーザは、グラフの表示項目を適宜設定することで、企業Aと親指数の非財務リスク割合の推移だけでなく、例えば、企業Aにおける第1の修正時価と第2修正時価の推移や、企業Aの非財務リスク割合と親指数(株価)の推移など、企業Aの非財務リスクに関わる様々な非財務リスク関連情報を表示することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、親指数対比でのパフォーマンスを考慮して、個別企業の非財務リスク量などを算出するため、全業態での比較が可能となり、企業価値を客観的かつ適切に評価することが可能となる。
B.第2実施形態
以下に示す第2実施形態では、外部の評価機関が開示しているESGデータを取得し、個別企業のE・S・Gの各要素の非財務リスク割合を推定し、各要素別での影響度を数値的に把握することを可能とする。また、第2実施形態では、特定事象の発生前後における非財務リスク割合の変化等を確認することを可能とする。
ESGデータは、各評価機関が公表しているESGスコアなど(ESGレーティングも含む)をあらわすデータであり、環境(E)、社会(S)、企業統治(G)の各要素の評価スコア(すなわち、Eスコア、Sスコア、Gスコア)を含む。
第2実施形態に係る評価システム10’は、第1実施形態に係る評価システム10と同様のハードウェア構成を有しており、ストレージ15等に記憶されているプログラムに含まれる命令をコンピュータプロセッサ11が実行することによって、図10に示す各部の機能を実現する。なお、評価システム10’は、第1実施形態に係る評価システム10に機能を追加する形で構成してもよいが、別体構成としてもよい。
図10は、評価システム10’の機能構成を示すブロック図である。
評価システム10’は、設定部31、データ取得部32、要素分析部33、変化算出部34、出力部35などを備えている。
設定部31は、ユーザの指示(入力操作)に従い、評価機関の設定や、対象時点の設定、比較対象の設定などを行う(図11参照)。
データ取得部32は、各評価機関が公表するESGデータや、各個別企業の非財務リスクに関連するデータ(以下、非財務リスク関連データという。)などを外部端末(図示略)から取得する。非財務リスク関連データの一例として、例えば、親指数の終値(時価総額)、個別企業の時価総額、個別企業の本源的時価総額、個別企業の非財務リスク割合、親指数の非財務リスク割合などが挙げられるが、これらに限定する趣旨ではない。
要素分析部33は、データ取得部22によって取得されたデータを用いて、評価機関別、ESG要素別の分析を行う。
図12は、対象企業Aについて、各評価機関から取得されたESGデータ、非財務リスク割合(実績値)を例示した図である。
要素分析部33は、各評価機関でのESGデータ(ESGスコアデータ)を、下記式(1)に代入することで、各係数α、β、γの推定作業(重回帰分析)を行い、E・S・G各要素別での影響度(t値)を数値的に把握する。
Y0=α*X01+β*X02+γ*X03+δ・・・(1)
Y0:非財務リスク割合(被説明変数)
X01:Eスコア(説明変数)
X02:Sスコア(説明変数)
X03:Gスコア(説明変数)
図13は、図12に示す第4評価機関のESGデータを利用したときの重回帰分析(2019年時点)の結果を例示した図である。
第4評価機関における対象企業AのESGデータは、Eスコア:27.5、Sスコア:28.0、Gスコア:9.5であることから、非財務リスク割合(理論値)=-0.3454(=0.00648×27.5-0.02749×28.0+0.04573×9.5-0.18829)となる。
対象企業Aにおいては、非財務リスク割合(実績値):-17.15%であるのに対し、重回帰分析によって導出された非財務リスク割合(理論値):-34.54%であることから、第4評価機関のスコアリングモデルでは、対象企業AはESGデータよりも過大評価されていると考えられる。
このような重回帰分析を、評価機関ごとにそれぞれ行うことで、ESGデータの算出方法(すなわち、ESGスコアリング)がそれぞれ異なる各評価機関の独自性を数値的に把握することが可能となる。図14に評価機関ごとに重回帰分析を行った場合のアウトプット例を示す。図14に示す例では、ESGデータの公表年(ここでは2019年)を評価時点とし、調査対象として国内が選択されている場合を例示しているが、任意に設定・変更可能である。また、調査対象は、例えば、比較対象企業群として「全世界」(国内外問わず)と「国内」のいずれかを選択できるように構成してもよい(図15参照)。なお、評価機関ごとに分析を行うことに加え、複数の評価機関のESGスコアを合算などして、合成的な分析を行うようにしてもよい。合成的な分析を行う場合には、評価機関の設定(図11参照)において、「その他」の項目を選択し、合成すべき複数の評価機関を選択すればよい。
変化算出部34は、特定事象が発生した日を起点として、その前後の所定期間(ここでは3ヶ月間を想定)における様々なパラメータ値を求め、求めたパラメータ値を比較する。
図16は、第3評価機関のESGレーティングが変化した場合における、対象企業Aの各パラメータ値の推移を示す。図16では、特定事象として第3評価機関のESGレーティングが変化(「BBB」→「A」)した場合を例示するが、ESGスコアの見直し等はもちろん、対象企業に関する様々なニュース(企業の不祥事や企業の合併買収、新商品開発等)の公表を特定事象としてもよい。また、特定事象の発生に関する情報(例えば、評価機関のESGレーティングの変化や特定事象が発生した日など)は、ユーザが入力してもよいが、本システムがこれらの情報をWebから自動取得して入力してもよい。
変化算出部34は、特定事象発生前後の各3か月間の非財務リスク割合の平均を算出するとともに、非財務リスク割合の変化を算出する(図16のA参照)。なお、変化算出部34は、非財務リスク割合のほか、特定事象発生前後の各3か月間の「時価総額」や「本限定時価総額」の平均を算出してもよい。
また、変化算出部34は、比較対象として「親指数」が選択されている場合には、対象企業Aと同期間での「親指数」における非財務リスク割合の平均を算出するとともに、非財務リスク割合の変化を算出する(図16のB参照)。
さらに、変化算出部34は、比較対象として「企業群(1ノッチ変化)」が選択されている場合には、特定事象発生年(ここでは2018年)に1ノッチの変化(1単位分のレーティング(格付け)変化)が起こった企業群について、特定事象発生前後の各3か月間の非財務リスク割合の平均を算出するとともに、非財務リスク割合の変化を算出する(図16のC参照)。
図17は、2019年における対象企業Aと、第3評価機関のESGレーティングが同一(ここでは、「A」)の企業群(平均)の非財務リスク割合の比較例を示す。
図17示す例では、比較対象の各項目として、非財務リスク割合の年間平均、最大値、最小値を例示しているが、これらに限られない。
出力部35は、ユーザの指示に従い、要素分析部33による分析結果や、変化算出部34による算出結果などを表示装置に表示する。
以上説明したように、本実施形態によれば、外部の評価機関が開示しているESGデータを取得し、個別企業のE・S・Gの各要素の非財務リスク割合を推定し、各要素別での影響度を数値的に把握することが可能となる。また、特定事象(例えば、ESGレーティングの変化など)が発生した前後における非財務リスク割合の変化等を確認することが可能となる。
C.その他
なお、上記各実施形態において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
10,10’…評価システム、11…コンピュータプロセッサ、12…メインメモリ、13…入出力インタフェース、14…通信インタフェース、15…ストレージ、20…金融情報端末、21…設定部、22…データ取得部、23…重回帰分析部、24…単回帰分析部、25…非財務リスク量算出部、26…出力部、31…設定部、32…データ取得部、33…要素分析部、34…変化算出部、35…出力部。

Claims (5)

  1. 制御部、記憶部を備えた企業価値の評価システムであって、前記制御部は、前記記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、
    評価機関によって導出された対象企業の環境(E)、社会(S)、企業統治(G)に関するそれぞれのスコアをあらわすEスコア、Sスコア、Gスコアを含むESGスコアデータを取得する取得ステップと、
    特定事象の発生時点を設定する設定ステップと、
    前記Eスコア、Sスコア、Gスコアを説明変数とし、非財務リスク割合を被説明変数として重回帰分析を行う分析ステップと、
    前記重回帰分析の結果を出力する出力ステップと
    を実行するように構成され
    前記分析ステップにおいては、前記特定事象の発生前後の所定期間における当該評価機関でのESGスコアデータを利用した非財務リスク割合の重回帰分析を行い、
    前記出力ステップにおいては、前記重回帰分析によって得られた前記特定事象の発生前後の所定期間における非財務リスク割合の平均を出力する、評価システム。
  2. 前記分析ステップにおいては、式(1)に示す重回帰式を利用して、前記特定事象の発生前後の所定期間における当該評価機関でのESGスコアデータを利用した非財務リスク割合の重回帰分析を行請求項1に記載の評価システム。
    Y0=α*X01+β*X02+γ*X03+δ・・・(1)
    Y0:非財務リスク割合
    X01:Eスコア
    X02:Sスコア
    X03:Gスコア
  3. 前記取得ステップにおいては、ユーザによって指定された評価機関ごとのESGスコアデータを取得し、
    前記分析ステップにおいては、前記特定事象の発生前後の所定期間における各評価機関でのESGスコアデータを利用した非財務リスク割合の重回帰分析を行い、
    前記出力ステップにおいては、前記特定事象の発生前後の所定期間における各評価機関でのESGスコアデータを利用した非財務リスク割合の重回帰分析を行う、請求項に記載の評価システム。
  4. 1又は複数のコンピュータによって実行される企業価値を評価するための方法であって、
    評価機関によって導出された対象企業の環境(E)、社会(S)、企業統治(G)に関するそれぞれのスコアをあらわすEスコア、Sスコア、Gスコアを含むESGスコアデータを取得する取得ステップと、
    特定事象の発生時点を設定する設定ステップと、
    前記Eスコア、Sスコア、Gスコアを説明変数とし、非財務リスク割合を被説明変数として重回帰分析を行う分析ステップと、
    前記重回帰分析の結果を出力する出力ステップと
    を含み、
    前記分析ステップにおいては、前記特定事象の発生前後の所定期間における当該評価機関でのESGスコアデータを利用した非財務リスク割合の重回帰分析を行い、
    前記出力ステップにおいては、前記重回帰分析によって得られた前記特定事象の発生前後の所定期間における非財務リスク割合の平均を出力する、方法。
  5. 企業価値を評価するためのプログラムであって、1又は複数のコンピュータに、
    評価機関によって導出された対象企業の環境(E)、社会(S)、企業統治(G)に関するそれぞれのスコアをあらわすEスコア、Sスコア、Gスコアを含むESGスコアデータを取得する取得処理と、
    特定事象の発生時点を設定する設定処理と、
    前記Eスコア、Sスコア、Gスコアを説明変数とし、非財務リスク割合を被説明変数として重回帰分析を行う分析処理と、
    前記重回帰分析の結果を出力する出力処理と
    を実行させ
    前記分析処理においては、前記特定事象の発生前後の所定期間における当該評価機関でのESGスコアデータを利用した非財務リスク割合の重回帰分析を行い、
    前記出力処理においては、前記重回帰分析によって得られた前記特定事象の発生前後の所定期間における非財務リスク割合の平均を出力する、プログラム。
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