大電流を供給するDC-DCコンバータでは、単出力回路で大電流を供給しようとすると、パワー半導体にかかる負荷が大きくなってしまい、高速動作ができず効率、サイズ面で負の影響が出てしまう。このため多出力回路を並列(位相シフト)接続して単出力あたりの電流値を下げることで、パワー半導体の高速動作を実現し、効率とサイズの改善が考えられてきたが、さらなる改善も求められてきている。
一例として、低電圧大電流出力のDC-DCコンバータで降圧すると、DC-DCコンバータよりも後段では電流が増加してエネルギーロスが増加する。このため、DC-DCコンバータはLSI等の半導体装置の近傍に配置されることが望まれている。それゆえ、DC-DCコンバータの小型化の要請が高まっている。特許文献1に開示されるようなカップルドインダクタは、この要請に応えるべく、カップリングトランスと平滑用インダクタとを一体化させる構成を基本構成として備えるが、近時のDC-DCコンバータの小型化の要請のさらなる高まりや駆動周波数の高周波数化の要請に対して、カップルドインダクタは本質的に対応できなくなってきている。
図9は、特許文献1に開示されるカップルドインダクタと同様の構造を有するカップルドインダクタの断面図である。図9に示されるカップルドインダクタ60では、第1のコイル導体63Aと第2のコイル導体63Bとが磁気的に結合することによってカップリングトランスとして機能するとともに、第1のコイル導体63Aおよび第2のコイル導体63Bのそれぞれが平滑用インダクタのコイルとして機能する。このような構成をカップルドインダクタ60が備えるため、第1のコイル導体63Aおよび第2のコイル導体63Bの一方(例えば第1のコイル導体63A)に流れた電流により生じた磁界の一部は、不可避的に、第1のコイル導体63Aを備える平滑用インダクタとしての第1の磁気回路MC1のために用いられる。
したがって、カップルドインダクタ60では、第1のコイル導体63Aに流した電流により生じた磁界の一部しか、第2のコイル導体63Bに誘導電流を発生させるための第2の磁気回路MC2に用いることができない。このことは、カップリングトランスのインダクタンスを高めることにとって本質的な障害となる。カップリングトランスのインダクタンスが低い場合には、第2のコイル導体63Bに生じる誘導電流が低下し、DC-DCコンバータのリプル電流値が大きくなる。このリプル電流値をある程度の範囲(例えば出力信号の最大値に対して30%以内)に抑えることはDC-DCコンバータの基本仕様であるから、カップルドインダクタ全体を大きくして平滑用インダクタのインダクタンスを高めることなどの対応が求められ、カップルドインダクタ60を小型化することが困難となる。
また、電源からのパルス電流により生じた磁界に基づいて、カップリングトランスのための第2の磁気回路MC2と平滑用インダクタのための第1の磁気回路MC1とが適切に生じるように、第1のコイル導体63Aと第2のコイル導体63Bとの間にエアギャップAGを設けて、平滑用インダクタのための第1の磁気回路MC1の実効透磁率を低下させている。このエアギャップAGからの漏れ磁界は、カップリングトランスの小型化の障害となる。特に、駆動周波数が高くなると漏れ磁界に基づく損失が大きくなって、発熱などの問題が顕在化してカップリングトランスをさらに小型化することが不可能となってしまう。
本発明は、かかる現状を鑑み、小型化や駆動周波数の高周波数化などの要請の高まりに応えることが可能な複合平滑インダクタおよびかかる複合平滑インダクタを備える平滑化回路を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明は、一態様において、カップリングトランス、第1平滑用インダクタおよび第2平滑用インダクタを備える複合平滑インダクタであって、前記カップリングトランスは第1方向に貫通する貫通孔を有し磁性材料からなるトランスコアを備え、前記第1平滑用インダクタは貫通孔を有し磁性材料からなる第1コアを備え、前記第2平滑用インダクタは貫通孔を有し磁性材料からなる第2コアを備え、前記複合平滑インダクタは、前記トランスコアの貫通孔の内部を通過するとともに前記第1コアの貫通孔の内部を通過する第1コイルと、前記第1コイルとは絶縁状態を維持しつつ前記トランスコアの貫通孔の内部を通過するとともに、前記第2コアの貫通孔の内部を通過する第2コイルと、を備える複合平滑インダクタを提供する。前記カップリングトランスの相互インダクタンスは、前記第1平滑用インダクタの自己インダクタンスおよび前記第2平滑用インダクタの自己インダクタンスのいずれよりも高くてもよい。
このように、1つのカップリングトランスと2つの平滑用インダクタとを別体とすることにより、カップリングトランスとしての機能を高めるための構成と、平滑用インダクタとしての機能を高めるための構成とを別々に追求することが可能となる。その結果として、カップリングトランスと平滑用インダクタとが別体でありながら、これらを一体化させたカップルドインダクタよりも、小型化や駆動周波数の高周波数化の要請の高まりに対応可能な複合平滑インダクタを構成することが可能となる。ここで、カップリングトランスの相互インダクタンスを、第1平滑用インダクタの自己インダクタンスおよび第2平滑用インダクタの自己インダクタンスのいずれよりも高くなるように設定することにより、複合平滑インダクタを備えるDC-DCコンバータのリプル電流値を小さくすることが容易となる。また、カップリングトランスのコイルと平滑用インダクタ(第1平滑用インダクタ、第2平滑用インダクタ)とを共通化することにより、複合平滑インダクタのさらなる小型化が可能となる。
上記の複合平滑インダクタは、前記第1コアの貫通孔の貫通方向および前記第2コアの貫通孔の貫通方向が前記第1方向に沿うように、前記トランスコア、前記第1コアおよび前記第2コアは配置され、第1コイルは、前記トランスコアの貫通孔を通過する部分および前記第1コアの貫通孔を通過する部分がいずれも前記第1方向に沿うように配置され、第2コイルは、前記トランスコアの貫通孔を通過する部分および前記第2コアの貫通孔を通過する部分がいずれも前記第1方向に沿うように配置されていてもよい。かかる構成を備えることにより、複合平滑インダクタの構造を簡素化することが可能である。構造の簡素化は、複合平滑インダクタの小型化や製造効率の向上に資する。また、このように構造化が簡素化されているが少なくともトランスコアと第1コアおよび第2コアとは別部材から構成されるため、カップリングトランスの相互インダクタンス、第1平滑用インダクタの自己インダクタンス、第2平滑用インダクタの自己インダクタンスを、トランスコア、第1コアおよび第2コアの形状、これらの素材、ならびに第1コイルおよび第2コイルの巻き数などによって自在に調整することが可能である。
この場合において、前記第1コアは、2つの非結合型コアを備えるコア部材の一方の前記非結合型コアであり、前記第2コアは、前記コア部材の他方の前記非結合型コアであれば、部品点数が少なくなって、構造の簡素化がさらに実現される。そして、前記トランスコアと前記コア部材が前記第1方向に並ぶように配置されれば、特に簡素な構造で複合平滑インダクタを構成することが実現される。
上記の複合平滑インダクタは、前記第1コアの貫通孔の貫通方向と前記第2コアの貫通孔の貫通方向とが揃っており、第1コイルは、前記トランスコアの貫通孔の内部を通過する部分と前記第1コアの貫通孔の内部を通過する部分との間に屈曲部を有し、第2コイルは、前記トランスコアの貫通孔の内部を通過する部分と前記第2コアの貫通孔の内部を通過する部分との間に屈曲部を有していてもよい。かかる構成も構造の簡素化の観点から好ましい。この場合において、前記第1コアの貫通孔の貫通方向は前記第1方向と交差する(好ましくは直交する)方向であって、前記トランスコアと前記第1コアとは前記第1方向に並ぶように配置され、前記トランスコアと前記第2コアとは前記第1方向に並ぶように配置されていてもよい。
上記の複合平滑インダクタにおいて、前記第1コイルは、前記トランスコアの貫通孔の内部および前記第1コアの貫通孔の内部を複数回通過する第1巻回部を有し、前記第2コイルは、前記トランスコアの貫通孔の内部および前記第2コアの貫通孔の内部を複数回通過する第2巻回部を有し、前記第1巻回部および前記第2巻回部は、前記トランスコイルにおいて磁気相殺するように巻かれていてもよい。第1巻回部の巻き数および第2巻回部の巻き数を変更することにより、カップリングトランスの相互インダクタンス、第1平滑用インダクタの自己インダクタンス、および第2平滑用インダクタの自己インダクタンスのそれぞれの値を増減させることができる。
上記の複合平滑インダクタにおいて、前記カップリングトランスの相互インダクタンスLmの、前記第1平滑用インダクタの自己インダクタンスLkおよび前記第2平滑用インダクタの自己インダクタンスLkに対する比率(Lm/Lk比)は1超12以下であることが好ましい場合がある。Lm/Lk比が上記の比率であることにより、カップリングトランスからの発熱を効率的に抑制することが可能である。
上記の複合平滑インダクタにおいて、前記トランスコアの実効透磁率は前記第1コアの実効透磁率および前記第2コアの実効透磁率のいずれよりも高く、前記トランスコアを構成するトランス用磁性材料の飽和磁束密度は、前記第1コアを構成する第1インダクタ用磁性材料の飽和磁束密度および前記第2コアを構成する第2インダクタ用磁性材料の飽和磁束密度のいずれよりも低いことが好ましい場合がある。
1つのカップリングトランスと2つの平滑用インダクタとを別体とすることにより、カップリングトランスの磁性部材に用いられる磁性材料と平滑用インダクタの磁性部材に用いられる磁性材料とを相違させることが可能となって、小型化などの要請に応えることが容易となる。
具体的には、トランス用磁性部材の実効透磁率を第1インダクタ用磁性部材の実効透磁率および第2インダクタ用磁性部材の実効透磁率のいずれよりも高くすることにより、カップリングトランスの相互インダクタンスを第1平滑用インダクタの自己インダクタンスおよび第2平滑用インダクタの自己インダクタンスのいずれよりも高くすることが容易となる。また、第1インダクタ用磁性材料の飽和磁束密度および第2インダクタ用磁性材料の飽和磁束密度をいずれもトランス用磁性材料の飽和磁束密度よりも高くすることにより、第1平滑用インダクタおよび第2平滑用インダクタへのエネルギー蓄積が容易となり、複合平滑インダクタを備えるDC-DCコンバータのリプル電流値を小さくすることが容易となる。
上記の構成において、前記カップリングトランスに蓄積されるエネルギーによる磁束密度は、前記トランス用磁性部材を構成するトランス用磁性材料の飽和磁束密度の50%以下であることが好ましい。このような範囲でカップリングトランスを動作させることにより、鉄損が増大してカップリングトランスが発熱する可能性が適切に抑制される。
上記の構成において、前記トランス用磁性部材の実効透磁率は150以上600以下であって、前記第1インダクタ用磁性部材の実効透磁率および前記第2インダクタ用磁性部材の実効透磁率が15以上120以下であることが好ましい。各材料の実効透磁率が上記の範囲であることにより、カップリングトランスおよび平滑用インダクタのそれぞれが効率的に動作することができ、良好な平滑化信号が形成されやすい。
上記の構成において、前記トランス用磁性部材を構成するトランス用磁性材料の飽和磁束密度は380mT以上520mT以下であって、前記第1インダクタ用磁性部材を構成する第1インダクタ用磁性材料の飽和磁束密度および前記第2インダクタ用磁性部材を構成する第2インダクタ用磁性材料の飽和磁束密度はいずれも700mT以上であることが好ましい。各材料の飽和磁束密度が上記の範囲であることにより、材料選定の自由度を確保しつつ、複合平滑インダクタ、特にカップリングトランスからの発熱を適切に抑制することが可能となる。
本発明は、他の一態様として、第1のスイッチ素子と、第2のスイッチ素子と、上記の複合平滑インダクタと、コンデンサとを備える平滑化回路を提供する。かかる平滑化回路は、前記複合平滑インダクタの前記第1コイルの一方の端部に、前記第1のスイッチ素子が、前記第1のスイッチ素子から出力されたパルス信号が入力可能に接続され、前記複合平滑インダクタの前記第2コイルの一方の端部に、前記第2のスイッチ素子が、前記第2のスイッチ素子から出力されたパルス信号が入力可能であるとともに、前記トランスコイルにおいて前記第1コイルと前記第2コイルとが磁気相殺するように接続され、前記第1コイルの他方の端部および前記第2コイルの他方の端部に前記コンデンサが接続され、前記複合平滑インダクタと前記コンデンサとの間に設けられた出力部から平滑信号が出力可能とされることを特徴とする。上記の本発明の一態様に係る複合平滑インダクタを用いることにより、DC-DCコンバータのリプル電流値を適切に抑制しつつ、平滑化回路を小型化したり駆動周波数を高周波数化したりすることが容易となる。
本発明によれば、小型化や駆動周波数の高周波数化などの要請に応えることが可能な複合平滑インダクタが提供される。また、かかる複合平滑インダクタを備える平滑化回路も提供される。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る平滑化回路の回路図である。図1に示されるように、平滑化回路1は、第1のスイッチ素子SW1と、第2のスイッチ素子SW2と、複合平滑インダクタ10と、コンデンサSCとを備える。第1のスイッチ素子SW1および第2のスイッチ素子SW2には、電源、トランジスタなどからの信号(降圧されるべき信号)が入力される。そして、複合平滑インダクタ10の2つの入力端子の一方に第1のスイッチ素子SW1から出力されたパルス信号が入力可能に接続され、複合平滑インダクタ10の2つの入力端子の他方に第2のスイッチ素子SW2から出力されたパルス信号が入力可能に接続される。複合平滑インダクタ10の構成、機能等については、後述する。
複合平滑インダクタ10の1つの出力端子にコンデンサSCが接続され、複合平滑インダクタ10の1つの出力端子とコンデンサSCとの間に設けられた出力部OUTから平滑信号が出力可能とされる。図1では、出力部OUTに負荷Lが接続され(点線部)、コンデンサSCおよび負荷Lがともに接地(グラウンドGND)された状態が示されている。
複合平滑インダクタ10は、図1に示されるように、カップリングトランス20および2つの平滑用インダクタ(第1平滑用インダクタ30、第2平滑用インダクタ40)を備える。例えば第1のスイッチ素子SW1が動作して、パルス信号が複合平滑インダクタ10に入力されると、まずその信号はカップリングトランス20に入力され、第2平滑用インダクタ40を含む回路に誘導電流が流れる。その結果、第1平滑用インダクタ30および第2平滑用インダクタ40の双方から電流が流れ出して、平滑化された信号が出力部OUTから出力される。
図2は、本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタの構成を示す回路図である。図1および2に示されるように、複合平滑インダクタ10は、1つのカップリングトランス20および2つの平滑用インダクタ(第1平滑用インダクタ30、第2平滑用インダクタ40)を備え、さらに、2つの入力端子11A,11Bおよび1つの出力端子12を備える。
カップリングトランス20は、2つの入力部21A,21Bと2つの出力部22A,22Bとを備える。複合平滑インダクタ10の入力端子11Aはカップリングトランス20の入力部21Aに接続され、複合平滑インダクタ10の入力端子11Bはカップリングトランス20の入力部21Bに接続される。カップリングトランス20は、入力部21Aと出力部22Aとの間に第1トランスコイル23Aを備え、入力部21Bと出力部22Bとの間に第2トランスコイル23Bを備える。
第1トランスコイル23Aと第2トランスコイル23Bとは磁気的に結合可能に配置され、極性が互いに反対向きとされている。このため、第1トランスコイル23Aに入力部21Aから出力部22A側へと電流を流したときに、この電流に基づいて第2トランスコイル23Bに生じる誘導電流も、入力部21Bから出力部22B側へと流れることができる。また、第2トランスコイル23Bに入力部21Bから出力部22B側へと電流を流したときに、この電流に基づいて第1トランスコイル23Aに生じる誘導電流も、入力部21Aから出力部22A側へと流れることができる。すなわち、第1のスイッチ素子SW1および第2のスイッチ素子SW2のいずれがオンとなって電流がカップリングトランス20の入力部21A,21Bのいずれかに流れ込んでも、出力部22A,22Bの双方から電流が流れ出すことが実現される。ただし、第1のスイッチ素子SW1または第2のスイッチ素子SW2のオン動作に基づいて電流が流れ出すタイミングと、その電流に基づいて生じる誘導電流が流れ出すタイミングとの間には、時間ずれが生じることになる。
第1平滑用インダクタ30は、入力部31および出力部32を備え、これらの間に第1インダクタコイル33を備える。第1平滑用インダクタ30の入力部31はカップリングトランス20の出力部22Aに接続されているため、カップリングトランス20の出力部22Aから流れ出した電流は第1平滑用インダクタ30の入力部31から第1インダクタコイル33へと流れ、エネルギー蓄積が行われる。そして、第1平滑用インダクタ30の入力部31への電流の流れ込みが減少すると、蓄積されたエネルギーが解放されて、第1インダクタコイル33から出力部32への電流が増加し、第1平滑用インダクタ30の出力部32から複合平滑インダクタ10の出力端子12へと電流が流れる。
第2平滑用インダクタ40は、入力部41および出力部42を備え、これらの間に第2インダクタコイル43を備える。第2平滑用インダクタ40の入力部41はカップリングトランス20の出力部22Bに接続されているため、カップリングトランス20の出力部22Bから流れ出した電流は第2平滑用インダクタ40の入力部41から第2インダクタコイル43へと流れ、エネルギー蓄積が行われる。そして、第2平滑用インダクタ40の入力部41への電流の流れ込みが減少すると、蓄積されたエネルギーが解放されて、第2インダクタコイル43から出力部42への電流が増加し、第2平滑用インダクタ40の出力部42から複合平滑インダクタ10の出力端子12へと電流が流れる。
上記のように、第1のスイッチ素子SW1または第2のスイッチ素子SW2のオン動作に基づいて電流が流れ出すタイミングとその電流に基づいて生じる誘導電流が流れ出すタイミングとの間には時間ずれが存在することから、第1平滑用インダクタ30の出力部32を流れる電流が流れ出すタイミングと第2平滑用インダクタ40の出力部42を流れる電流が流れ出すタイミングとの間にも時間ずれが生じる。したがって、第1平滑用インダクタ30の出力部32および第2平滑用インダクタ40の出力部42に接続する複合平滑インダクタ10の出力端子12に流れる電流の流れ出しタイミングを互いに異ならせることができる。それゆえ、第1のスイッチ素子SW1におけるスイッチング動作と第2のスイッチ素子SW2におけるスイッチング動作とを繰り返すことにより、出力信号の電流値を平滑化することが可能となる。
ここで、カップリングトランス20の相互インダクタンスが高い場合には、誘導電流が流れやすくなるため、複合平滑インダクタ10から出力される信号の平滑性を高めることが可能となる。具体的には、DC-DCコンバータのリプル電流値を低減させることができる。したがって、カップリングトランス20の相互インダクタンスが高く誘導電流が適切に生じる場合には、2つの平滑用インダクタ(第1平滑用インダクタ30、第2平滑用インダクタ40)の自己インダクタンスを比較的低くすることができる。
本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタ10ではカップリングトランス20と2つの平滑用インダクタ(第1平滑用インダクタ30、第2平滑用インダクタ40)とは別体であるから、カップリングトランス20については相互インダクタンスが高くなるように構造上・組成上の構成を設定しつつ、2つの平滑用インダクタ(第1平滑用インダクタ30、第2平滑用インダクタ40)についてはカップリングトランス20とは全く独立に自己インダクタンスを調整するような構成の設定が可能である。したがって、カップリングトランス20の相互インダクタンスが十分高い場合には、2つの平滑用インダクタ(第1平滑用インダクタ30、第2平滑用インダクタ40)の自己インダクタンスが許容される範囲で、これらの平滑用インダクタを小型化することができる。
このように、本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタ10は、カップリングトランス20と2つの平滑用インダクタ(第1平滑用インダクタ30、第2平滑用インダクタ40)とが別体であることから、複合平滑インダクタ10としての小型化を実現するために、これらの構造や材料などを個別に設定することができる。
これに対し、特許文献1などに記載されるカップルドインダクタの場合には、カップリングトランスと平滑用インダクタとが一体化しているため、小型化を進めるためには相反する要求を満たすことが求められる場合があり、さらなる小型化が容易とはいえない。
例えば、前述のようにカップリングトランスの相互インダクタンスは高いことが好ましいが、カップルドインダクタの場合には、外部電源から一方のコイルに流れた電流により生じた磁界の全てを他方のコイルに誘導電流を生じさせるための磁界として用いることができない。図9に示されるように、カップリングトランスのための磁気回路MC2に加えて、平滑用インダクタのための磁気回路MC1が構成されるようにしなければならない。したがって、カップルドインダクタの場合にはカップリングトランスの相互インダクタンスを高めることに限界がある。
図3は、本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタの構造を示す、平滑用インダクタ側からの斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタの構造を示す、カップリングトランス側からの斜視図(平滑用インダクタの部分は透視図である。)である。図5は、本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタのV1-V1線による断面図である。図6(a)は、本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタの動作を示す平滑用インダクタ側からの平面図であり、図6(b)は、本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタの動作を示すカップリングトランス側からの平面図である。
図3から図6に示されるように、複合平滑インダクタ10では、カップリングトランス20、第1平滑用インダクタ30および第2平滑用インダクタ40が集積されている。
カップリングトランス20は第1方向(Z1-Z2方向)に貫通する貫通孔(トランス貫通孔)20Hを有し磁性材料からなるコア(トランスコア)24を備える。カップリングトランス20では、エネルギー蓄積よりもエネルギー伝達が主体となるため、トランスコア24に用いられる磁性材料は、特に高い飽和磁束密度は必要とされない。したがって、トランスコア24に用いられる磁性材料としてフェライト系軟磁性材料を用いることにより、その入手容易性の高さおよび透磁率の高さ(具体的には1000から3500を例示することができる。)をそのまま享受できる。
複合平滑インダクタ10では、トランスコア24と第1方向に並ぶよう(トランスコア24に対してZ1-Z2方向Z1側)に磁性材料からなるコア部材34が配置され、コア部材34はトランスコア24に対して接着などによって固定されている。コア部材34は、いずれも第1方向(Z1-Z2方向)に貫通する2つの貫通孔(第1貫通孔30H、第2貫通孔40H)を備え、これらの貫通孔により、コア部材34には、機能的には、2つの非結合型コア(第1コア341、第2コア342)が形成されている(図6参照。)。具体的には、第1貫通孔30Hを有する第1コア341がコア部材34のX1-X2方向X1側に位置し、第2貫通孔40Hを有する第2コア342がコア部材34のX1-X2方向X2側に位置する。すなわち、複合平滑インダクタ10では、第1コア341の第1貫通孔30Hの貫通方向および第2コア342の第2貫通孔40Hの貫通方向が第1方向(Z1-Z2方向)に沿うように、トランスコア24、ならびに第1コア341および第2コア342を備えるコア部材34は配置されている。
平滑用インダクタはエネルギー蓄積素子であるから、飽和磁束密度が可能な限り高いことが好ましい。軟磁性材料として一般的なフェライト系軟磁性材料は、入手が容易である上に透磁率が高いため、原理的には平滑用インダクタの自己インダクタンスを高めることができるが、飽和磁束密度が低いため、高い透磁率をそのまま活かすことができない。このため、コア部材34に用いられる磁性材料としてフェライト系軟磁性材料を用いた場合には、磁気回路中にエアギャップを設けて実効透磁率を低下させた構造としなければならない。エアギャップは漏れ磁界を生じさせ、この漏れ磁界は駆動周波数が高まると、漏れ磁界がコイルの配線に影響し、渦電流による損失の増大をもたらす。損失が大きくなると、発熱の問題などが顕在化して、平滑用インダクタを小型化することが困難となる。
そこで、本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタ10では、コア部材34に用いられる磁性材料(インダクタ用磁性材料)として、飽和磁束密度が高い軟磁性材料を用いる。そのような材料として、アモルファス金属系軟磁性材料や、ナノ結晶金属系軟磁性材料が例示される。そのような材料を用いることにより、コア部材34を構成するインダクタ用磁性材料の飽和磁束密度を700mT以上とすることが容易となる。コア部材34を構成するインダクタ用磁性材料の飽和磁束密度を700mT以上とすることにより、第1平滑用インダクタ30および第2平滑用インダクタ40に蓄積できるエネルギーの上限が高くなり、より平滑な信号を形成することが可能となる。
これに対し、トランスコア24に用いられる磁性材料(トランス用磁性材料)はコア部材34に用いられる磁性材料(インダクタ用磁性材料)よりも飽和磁束密度が低い軟磁性材料を用いる。そのような材料の典型例は上記のようにフェライト系軟磁性材料である。フェライト系軟磁性材料の飽和磁束密度は、一般的に380mT以上500mT以下であり、上記のインダクタ用磁性材料の飽和磁束密度に比べると低い。しかしながら、カップリングトランス20は、原理的にはエネルギー蓄積を行わない磁性デバイスであるから、飽和磁束密度が高いことは特に求められない。むしろ、実効透磁率が高いことが重要である。この観点からすると、フェライト系軟磁性材料は1000以上を容易に達成することが可能であり、トランス用磁性材料として好適な材料である。
本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタ10では、トランスコア24のトランス貫通孔20HのX1-X2方向X1側の内部を通過するとともに第1コア341の第1貫通孔30Hの内部を通過する第1コイルC1と、第1コイルC1とは絶縁状態を維持しつつトランスコア24のトランス貫通孔20HのX1-X2方向X2側の内部を通過するとともに、第2コア342の第2貫通孔40Hの内部を通過する第2コイルC2と、を備える。複合平滑インダクタ10において、第1コイルC1は、トランスコア24のトランス貫通孔20Hの内部を通過する部分および第1コア341の第1貫通孔30Hの内部を通過する部分がいずれも第1方向(X1-X2方向)に沿うように配置され、第2コイルC2は、トランスコア24のトランス貫通孔20Hの内部を通過する部分および第2コア342の第2貫通孔40Hの内部を通過する部分がいずれも第1方向(X1-X2方向)に沿うように配置される。
第1コイルC1および第2コイルC2を構成する材料は一般的なコイル用線材であればよい。第1コイルC1は、トランスコア24のトランス貫通孔20Hの内部および第1コア341の第1貫通孔30Hの内部を複数回通過する第1巻回部を有し、一方の端部が入力端子11Aとなっている。第2コイルC2は、トランスコア24のトランス貫通孔20Hの内部および第2コアの第2貫通孔40Hの内部を複数回通過する第2巻回部を有し、一方の端部が入力端子11Bとなっている。第1コイルC1の他方の端部と第2コイルC2の他方の端部とはいずれも出力端子12に接続されている。第1コイルC1の第1巻回部および第2コイルC2の第2巻回部はいずれも巻回軸がY1-Y2方向に沿っている。なお、図5および図6では、入力端子11A、入力端子11Bおよび出力端子12につながる配線の表示を省略している。
ここで、第1コイルC1の第1巻回部および第2コイルC2の第2巻回部は、トランスコア24において磁気相殺するように巻かれている。このように巻かれることによって、図1や図2に示されるような回路の具現化が可能となる。磁気相殺を適切に生じさせる観点から、第1コイルC1の第1巻回部の巻き数と第2コイルC2の第2巻回部の巻き数とは等しいことが好ましい場合がある。
このように第1コイルC1および第2コイルC2を配置することにより、カップリングトランス20のためのコイルと第1平滑用インダクタ30のためのコイルとを第1コイルC1によって共通化することが可能であり、カップリングトランス20のためのコイルと第2平滑用インダクタ40のためのコイルとを第2コイルC2によって共通化することが可能である。こうしたコイルの共通化は、複合平滑インダクタの小型化に寄与する。
図6(a)に示されるように、第1平滑用インダクタ30では、第1コア341に対して配置された第1コイルC1によって、Z1-Z2方向に沿う中心軸を中心として周回する磁路LI1が、コア部材34のX1-X2方向X1側に形成され、第2平滑用インダクタ40では、第2コア342に対して配置された第2コイルC2によって、Z1-Z2方向に沿う中心軸を中心として周回する磁路LI2が、コア部材34のX1-X2方向X2側に形成される。磁路LI1および磁路LI2のいずれについても、必要に応じコア部材34にギャップを設けることにより、第1平滑用インダクタ30および第2平滑用インダクタ40の実効透磁率を調整することができる。
一方、図6(b)に示されるように、カップリングトランス20では、トランスコア24に対して磁気相殺するように配置された第1コイルC1および第2コイルC2によって、Z1-Z2方向に沿う中心軸を中心として周回する磁路LTがトランスコア24に形成される。磁路LTについて、必要に応じトランスコア24にギャップを設けることにより、カップリングトランス20の実効透磁率を調整することができる。
第1平滑用インダクタ30および第2平滑用インダクタ40に関し、材料選択やギャップの設定によって実効透磁率を調整することができる。コア部材34のZ1-Z2方向の長さの設定によってコイルの断面積を調整することができる。コア部材34のY1-Y2方向の長さの設定によってコイルの長さを設定することができる。したがって、本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタ10では、第1平滑用インダクタ30および第2平滑用インダクタ40の自己インダクタンスの設計自由度が高い。同様に、トランスコア24の材料や形状を適切に設定することにより、第1平滑用インダクタ30および第2平滑用インダクタ40の自己インダクタンスの設計自由度を高く維持しつつ、カップリングトランス20の相互インダクタンスの設計自由度を高くすることが可能である。
本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタ10では、好ましい一形態として、カップリングトランス20の相互インダクタンスLmは、第1平滑用インダクタ30の自己インダクタンスLkおよび第2平滑用インダクタの自己インダクタンスLkのいずれよりも高い。カップリングトランス20の相互インダクタンスLmの第1平滑用インダクタ30および第2平滑用インダクタ40の自己インダクタンスLkに対する比(Lm/Lk比)が大きくなると、カップリングトランス20の蓄積エネルギーEm(単位:μJ)は低下する傾向がある。詳しく確認すると、Lm/Lk比が10程度までは、Lm/Lk比の増加に合わせてカップリングトランス20の蓄積エネルギーEmは大きく減少する。したがって、Lm/Lk比は、1超であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、8以上であることが特に好ましい。
一方、Lm/Lk比が10程度以降はカップリングトランス20の蓄積エネルギーEmの減少の程度が小さくなり、Lm/Lk比が15程度以上の場合には、Lm/Lk比を増加させることがカップリングトランス20の蓄積エネルギーEmを低減させることに与える影響の程度は、少なくなる。また、Lm/Lk比が増加すると、ほぼ単調増加でカップリングトランス20の漏れ成分(リーケージインダクタンス)は増大する。カップリングトランス20の漏れ成分(リーケージインダクタンス)の増大はカップリングトランス20の受動回路側へのエネルギー伝達率の低下をもたらし、結果的には鉄損の増大をもたらす。したがって、Lm/Lk比を過度に増加させることはカップリングトランス20の発熱を抑制する観点から、好ましいことではない。したがって、Lm/Lk比は、15以下とすることが好ましく、12以下とすることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係る複合平滑インダクタ10では、トランスコア24の実効透磁率はコア部材34の実効透磁率よりも高く設定されている。具体例を挙げれば、トランスコア24の実効透磁率は150以上1000以下とすることが好ましい。前述のように、トランスコア24を構成する磁性材料の典型例であるフェライトの透磁率は例えば1000から3500である。したがって、フェライトをトランスコア24の構成材料として用いる場合には、エアギャップを設けて実効透磁率を上記の範囲に低下させればよい。トランスコア24の構成材料(フェライトなど)の透磁率よりも実効透磁率を低下させることにより、カップリングトランス20の使用時にトランスコア24の最大磁束密度Bmをトランスコア24の構成材料の飽和磁束密度Bsよりも十分に低い値とすることができ、カップリングトランス20の動作安定性を高めることができる。一方、トランスコア24の実効透磁率が過度に低い場合にはカップリングトランス20の相互インダクタンスLmを所定の値に高めるためには第1コイルC1や第2コイルC2の巻き数を増やすことが求められる場合があり、このような場合には直流抵抗成分DCRが高くなってコイル(第1コイルC1、第2コイルC2)からの発熱の問題が顕在化することが懸念される。最大磁束密度BmとDCR設定のトレードオフの兼ね合いはトランスコア24にエアギャップを用い透磁率を低下させる方向の設定により行うことができる。これにより、トランスコア24の実効透磁率は150以上1000以下とすることが好ましい。一方、コア部材34の実効透磁率を15以上120以下とすることが好ましい。トランスコア24の実効透磁率のコア部材34の実効透磁率に対する比率は、10以上200以下であることが好ましく、20以上100以下であることがより好ましい。このように設定することにより、エネルギー蓄積素子である第1平滑用インダクタ30および第2平滑用インダクタ40のサイズを大きくすることなく、DC-DCコンバータのリプル電流値を小さくすることが可能となる。すなわち、実効透磁率に関し上記の構成を備えることにより、複合平滑インダクタ10を小型化することが容易となる。なお、コア部材34を構成する材料の透磁率の範囲が上記の実効透磁率の範囲と異なり高い場合には、コア部材34にエアギャップを適宜設けることにより、コア部材34の実効透磁率を所望の範囲に設定することができる。
複合平滑インダクタ10の製造方法は限定されない。第1コイルC1および第2コイルC2を与える2つの空芯コイルを用意し、カップリングトランス20を与える2つの部分コアおよびコア部材34を与える2つの部分コアによってこれらの空芯コイルを挟み込むことが、製造方法の一例として挙げられる。この際、2つの部分コアを密着させて固定すれば、ギャップのないカップリングトランス20およびコア部材34が形成され、2つの部分コアに隙間を設けて固定すれば、ギャップを有するカップリングトランス20およびコア部材34が形成される。
次に、図7および図8を用いて、本発明の他の一実施形態に係る複合平滑インダクタについて説明する。図7は、本発明の他の一実施形態に係る複合平滑インダクタの構造を示す、平滑用インダクタ側からの斜視図である。図8は、本発明の他の一実施形態に係る複合平滑インダクタのV2-V2線による断面図である。図8では、図5および図6と同様に、コイルから端子につながる配線の表示を省略している。
図7および図8に示されるように、本発明の他の一実施形態に係る複合平滑インダクタ101では、複合平滑インダクタ10との対比で、第1平滑用インダクタ30の第1貫通孔30Hの貫通方向および第2平滑用インダクタの第2貫通孔40Hの貫通方向が、カップリングトランス20のトランス貫通孔20Hの貫通方向と異なっている点が相違する。
第1平滑用インダクタ30の第1貫通孔30Hの貫通方向は、第2平滑用インダクタの第2貫通孔40Hの貫通方向と揃っていて、いずれも、X1-X2方向に沿っている。また、第1平滑用インダクタ30の第1コア341を構成する第1部材34Aと、第2平滑用インダクタ40の第2コア342を構成する第2部材34Bとは別の部材からなり、第1部材34Aはトランスコア24のZ1-Z2方向Z1側であってX1-X2方向X1側に配置され、第2部材34Bはトランスコア24のZ1-Z2方向Z1側であってX1-X2方向X2側に配置されている。すなわち、第1コア341(第1部材34A)の第1貫通孔30Hの内部とトランスコア24のトランス貫通孔20Hの内部とは交差し(具体的には、直交し)、第2コア342(第2部材34B)の第2貫通孔40Hの内部とトランスコア24のトランス貫通孔20Hの内部とは交差する(具体的には、直交する)。
このため、第1コイルC1は、トランスコア24のトランス貫通孔20Hの内部を通過する部分と第1コア341(第1部材34A)の第1貫通孔30Hの内部を通過する部分との間に屈曲部BPを有する。また、第2コイルC2は、トランスコア24のトランス貫通孔20Hの内部を通過する部分と第2コア342(第2部材34B)の第2貫通孔40Hの内部を通過する部分との間に屈曲部BPを有する。このような構造を有することにより、複合平滑インダクタ101の大きさを複合平滑インダクタ10よりも小型化することが可能となる場合がある。
複合平滑インダクタ101では、第1コア341を構成する部材(第1部材34A)と第2コア342を構成する部材(第2部材34B)とが別の部材からなるため、第1部材34Aを構成する材料(第1インダクタ用磁性材料)と第2部材34Bを構成する材料(第1インダクタ用磁性材料)とを別の材料としてもよい。この場合であっても、第1インダクタ用磁性材料の飽和磁束密度および第2インダクタ用磁性材料の飽和磁束密度をいずれもトランス用磁性材料の飽和磁束密度よりも高くすることが好ましく、いずれも700mT以上であることが好ましい。この場合において、トランスコア24を構成するトランス用磁性材料の飽和磁束密度は380mT以上520mT以下であることが好ましい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。例えば、複合平滑インダクタ101において、第1コア341を構成する部材と第2コア342を構成する部材とは一体であってもよい。