JP7043846B2 - 調光素子及び調光素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリマーマトリックスと液晶分子とを有する調光層を備えた調光素子及び調光素子の製造方法に関する。
従来、例えば透明な高分子材料に液晶の液滴等を分散させた高分子分散型液晶素子が、入射した光の透過性を調節する調光素子として用いられている。高分子分散型液晶素子では、分散された液晶への電界の印加・解除により、入射光を透過させる透過状態と入射光を散乱させる散乱状態とを切替えることが可能である。高分子分散型液晶としては、例えば、透明な高分子材料の中に液晶の液滴を分散させたもの(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、液晶の連続層の中に高分子樹脂のネットワークが形成されたポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、コレステリック液晶を用いた高分子安定型コレステリック液晶(PSCT:Polymer Stabilized Cholesteric Texture)等を挙げることができる。これらの高分子分散型液晶は偏光板を用いる必要がないため、光の利用効率が高いという特徴を有している。
これらの高分子分散型液晶素子は、調光素子として電車、自動車、また建築物の窓に用いられるほか、液晶ディスプレイのバックライトと組み合わせることにより液晶ディスプレイの視野角制御に用いられたり(特許文献1)、プロジェクター用のスクリーンとして用いられたり(特許文献2)している。
特開平5-72529号公報 特開平6-301005号公報
高分子分散型液晶素子には、分散された液晶材料への電界の印加により散乱状態から透過状態に変化するノーマルタイプの液晶素子と、分散された液晶材料への電界の印加により透過状態から散乱状態に変化するリバースタイプの液晶素子と、が存在する。
高分子分散型液晶素子を備えた調光素子は、一対の透明支持板と、一対の透明支持板の間に配置された調光層を備えている。透明支持板は、透明基材及び透明基材上に形成された透明電極を含んでいる。高分子分散型液晶素子がリバースタイプの液晶素子である場合、調光層は、ポリマーマトリックス中に誘電率異方性が負である液晶材料を分散させた構成を有している。リバースタイプの液晶素子では、通常、透明支持板の透明電極上にプレチルト角が90°である配向膜が形成されており、これにより、調光層への電界無印加時に液晶材料中の液晶分子がホメオトロピック配向される。
調光層への電界無印加時に液晶材料中の液晶分子がホメオトロピック配向されるためには、液晶分子が配向膜に直接接触している必要がある。このため、従来のリバースタイプの液晶素子では、ポリマーマトリックスと配向膜との接触面積を大きくすることができず、調光層と配向膜との密着性が十分でないことがあった。この場合、調光層が透明支持板(配向膜)から剥離し、この剥離部分で調光素子に入射した光が意図せず屈折することにより、当該調光素子の透明状態における透視性の低下を招き得る。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、調光素子におけるポリマーマトリックスと支持板との間の密着性を向上させることを目的とする。
本発明の調光素子は、
第1導電層を含む第1支持板と、
第2導電層を含む第2支持板と、
前記第1支持板及び前記第2支持板の間に配置された調光層と、を備え、
前記調光層は、配向規制能を有したポリマーマトリックスと、前記ポリマーマトリックス中に保持され、前記第1導電層及び前記第2導電層への電圧印加によって配向を変化する液晶分子と、を有する。
本発明の調光素子において、
前記ポリマーマトリックスは、硬化した重合性液晶を含有してもよい。
本発明の調光素子において、
前記ポリマーマトリックスは、硬化した重合性樹脂をさらに含有してもよい。
本発明の調光素子において、
前記重合性液晶及び前記重合性樹脂の合計重量に対する、前記重合性液晶の重量の割合は、0.50以上0.69以下であってもよい。
本発明の調光素子の製造方法は、
第1導電層を含む第1支持板を給送する第1給送工程と、
第2導電層を含む第2支持板を給送する第2給送工程と、
前記第1支持板又は前記第2支持板上に、重合性液晶及び非重合性液晶を含有する液晶混合材料を塗布する塗布工程と、
前記第1支持板と前記第2支持板とを前記液晶混合材料を介して貼合する貼合工程と、
前記重合性液晶を硬化させる硬化工程と、を有する。
本発明の調光素子の製造方法において、
前記液晶混合材料は、重合性樹脂をさらに含有し、
前記硬化工程において、前記重合性液晶及び前記重合性樹脂を硬化させてもよい。
前記重合性液晶及び前記重合性樹脂の合計重量に対する、前記重合性液晶の重量の割合は、0.50以上0.69以下であってもよい。
本発明によれば、調光素子におけるポリマーマトリックスと支持板との間の密着性を向上させることができる。
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、調光素子を概略的に示す斜視図である。 図2は、電界無印加時における調光素子の断面を部分的に示す図である。 図3は、電界印加時における調光素子の断面を部分的に示す図である。 図4は、調光素子の製造方法を説明するための図である。 図5は、実施例における調光素子への印加電圧とヘーズ値との関係を説明するためのグラフである。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」は「シート」や「フィルム」と呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、例えば、「支持板」は、「支持シート」や「支持フィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1~図4は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は調光素子を概略的に示す図であり、図2は、電界無印加時における調光素子の断面を示す図であり、図3は、電界印加時における調光素子の断面を示す図である。
図1~図3に示された、本実施の形態の調光素子10は、当該調光素子10へ入射した光を透過させる際の散乱度合を調節することが可能な素子である。調光素子10は、一例として、電車や自動車等の車両、住宅等の建築物等の窓に設けられて、調光素子10を介した透視性を制御したり、液晶ディスプレイのバックライトと組み合わせることによって液晶ディスプレイの視野角制御に用いることができる。なお、調光素子10の用途はこれらに限られない。
図2及び図3に示されているように、調光素子10は、第1支持板11と、第1支持板11と対向して配置された第2支持板12と、第1支持板11と第2支持板12との間に配置された調光層20とを備えている。
第1支持板11及び第2支持板12は、調光層20を支持し、調光層20に電界を印加する機能を有する。第1支持板11は、第1基材13と、第1基材13上に設けられた第1透明導電層(第1導電層)14と、第1透明導電層14に対して第1基材13と反対側に設けられた第1配向膜15と、を有している。また、第2支持板12は、第2基材16と、第2基材16上に設けられた第2透明導電層(第2導電層)17と、第2透明導電層17に対して第2基材16と反対側に設けられた第2配向膜18と、を有している。図示された例では、第1配向膜15と第2配向膜18とが互いに対面するようにして、第1支持板11と第2支持板12とが対向して配置されている。したがって、図示された例では、第1基材13、第1透明導電層14、第1配向膜15、調光層20、第2配向膜18、第2透明導電層17及び第2基材16が、この順に積層されている。
基材13,16は、透明導電層14,17及び配向膜15,18を支持する支持体として機能する。基材13,16の材料としては、特に限定されることなく、例えば可撓性を有する各種の透明なフィルム材を用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース:TAC)等のセルロース系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)樹脂などを含有するフィルム材を用いることができる。また、基材13,16の厚さとしては、例えば20μm以上300μm以下のものを用いることができ、好ましくは50μm以上150μm以下のものを用いることができる。
透明導電層14,17は、通電されることにより調光層20に電界を印加し、これにより調光層20に含まれる非重合性液晶22を駆動する電極として機能する。ここで、非重合性液晶22を「駆動」するとは、非重合性液晶22に含まれる液晶分子25の向きを変化させることを意味する。したがって、透明導電層14,17を用いて調光層20に対して電界を印加することにより、調光層20の非重合性液晶22に含まれる液晶分子25の配向方向を変化させることができる。
透明導電層14,17としては、調光層20に電界を印加することが可能であって、透明と知覚される種々の構成のものを適用することができる。例えば、透明導電材であるITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、GZO(Gallium-doped Zinc Oxide)、ATO(Antimony Tin Oxide)、ZNO(Zinc Oxide)等の金属酸化物のほか、導電性高分子膜、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を含有する材料を用いることができる。透明導電層14,17におけるシート抵抗及び透過率は特に限定されないが、例えば、シート抵抗を100Ω/□以上300Ω/□以下、透過率を85%以上とすることができる。
本実施の形態の配向膜15,18は、いわゆる垂直配向膜であり、液晶混合材料27に含まれる重合性液晶の液晶分子の長手方向が配向膜15,18の法線方向に沿うように当該液晶分子を配向する。配向膜15,18の材料は特に限定されないが、例えばポリイミド等を用いることができる。配向膜15,18の厚さは、例えば100nm以上500nmとすることができる。なお、後述の液晶混合材料27の重合性液晶に含まれる液晶分子を、配向膜15,18以外の手段により配向させる場合には、配向膜15,18を省略することも可能である。
次に、調光層20について説明する。調光層20は、透明導電層14,17による電界の印加状態に応じて、調光層20を介した透視性を変化させる機能を有する。調光層20は、高分子分散型液晶により形成されている。高分子分散型液晶としては、一例として透明な高分子材料の中に液晶の液滴を分散させたもの(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)を挙げることができるが、これに限られない。本実施の形態では、図2及び図3に示されているように、調光層20は、ポリマーマトリックス21と、ポリマーマトリックス21中に分散された非重合性液晶22とを含む高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)により形成された例について説明する。なお、調光層20には、第1支持板11と第2支持板12との間隔を所定の間隔に保つためのスペーサが含まれてもよい。スペーサとしては、例えば透明樹脂からなる球状のビーズスペーサを用いることができる。
図2に示された調光層20は、配向規制能を有したポリマーマトリックス21と、ポリマーマトリックス21中に保持され、透明導電層14,17への電圧印加によって配向を変化する液晶分子25と、を有する。図示された調光層20は、ポリマーマトリックス21中に分散された非重合性液晶22を有しており、非重合性液晶22が液晶分子25を含んでいる。ポリマーマトリックス21は、硬化した重合性液晶を含有しており、硬化した重合性樹脂をさらに含有してもよい。
非重合性液晶22は、長手方向を有する液晶分子25を含み、重合基を有しない液状の材料である。液晶分子25は、その形状に対応した屈折率異方性を有している。すなわち、液晶分子25の長手方向に直交する方向での屈折率と、液晶分子25の長手方向に平行な方向での屈折率とは異なっている。とりわけ本実施の形態では、調光層20は、リバースタイプの液晶素子として構成されており、非重合性液晶22の液晶分子25としてネガ型の液晶分子が用いられる。この場合、透明導電層14,17により電界が印加された状態において、液晶分子25の向きは不規則となる。したがって、調光層20は、電界が印加されている状態において白濁し、これにより調光層20を介した透視性は低くなる。その一方、透明導電層14,17により電界が印加されていない状態において、液晶分子25は調光素子10(調光層20)の法線方向に沿って配向されるようになる。したがって、調光層20は、電界が印加されていない状態で透明となり、これにより調光素子10を介した透視性が高くなる。
重合性液晶は、非重合性液晶22と同様に屈折率異方性を有する液晶分子を含み、単官能、多官能いずれの重合性モノマー(重合性基)を有する液晶をも使用することができる。重合性液晶としては、光硬化型、とりわけ紫外線硬化型、の液晶を用いることができる。このような重合性液晶としては、例えばBASF社製重合性ネマチック液晶(LC242)等を用いることができる。
重合性樹脂は、非重合性液晶22を相分離させることが可能でかつ光透過性の高い材料で構成されればよく、単官能、多官能いずれの重合性モノマー(重合性基)を有する樹脂をも使用することができる。重合性樹脂としては、光硬化型、とりわけ紫外線硬化型、の樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。また、アクリル系以外にも、カチオン重合性モノマーとして、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類等を用いることもできる。これら重合性樹脂は、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
重合開始剤としては、特に限られることなく様々な重合開始剤を使用することができる。例えば、重合開始剤として光重合開始剤を用いることができる。このような重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル化物、ベンジルケタール類、アセトフェノン類を用いることができる。アセトフェノン類としては、例えばヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、ジアルコキシアセトフェノン、ハロゲン化アセトフェノン等を用いることができる。これらの光重合開始剤は、例えば、BASF社製のイルガキュア(登録商標)907、イルガキュア651、イルガキュア184等の商品が市販されており、これらを単独で、あるいは混合して用いることができる。
調光層20は、一例として、以下のようにして作製することができる。まず、重合性液晶、重合性樹脂、重合開始剤及び非重合性液晶22を混合して流動性を有する液晶混合材料27を作製する。この液晶混合材料27を配向膜15,18に接触するようにして配置すると、重合性液晶に含まれる液晶分子は、その長手方向が配向膜15,18の法線方向(調光層20の法線方向)に沿うように配向される。この状態で液晶混合材料27への紫外線の照射等により液晶混合材料27に含まれる重合性液晶及び重合性樹脂が重合すると、この重合(硬化)した重合性液晶及び重合性樹脂からポリマーマトリックス21が形成される。このとき、重合性液晶に含まれる液晶分子は、その長手方向が配向膜15,18の法線方向に沿うように配向されたまま固定される。また、非重合性液晶22は、液晶混合材料27に含まれる重合性液晶及び重合性樹脂が重合する際に、重合性液晶及び重合性樹脂から相分離され、ポリマーマトリックス21中に分散された状態で保持される。本実施の形態のポリマーマトリックス21は、調光層20の法線方向に沿うように配向されたまま固定された液晶分子を含む。これにより、ポリマーマトリックス21は、当該ポリマーマトリックス21に直接接触して分散保持される非重合性液晶22に含まれる液晶分子25を配向する配向規制能(配向規制力)を有するようになる。
調光層20における硬化した重合性液晶及び重合性樹脂の合計重量Wに対する、重合性液晶の重量Wの割合(W/W)は、0.50以上0.69以下とすることができる。好ましくは、W/Wは、0.56以上0.63以下とすることができる。W/Wが0.50以上であると、ポリマーマトリックス21に十分な配向規制能を付与することができ、W/Wが0.56以上であると、ポリマーマトリックス21にさらに十分な配向規制能を付与することができる。また、W/Wが0.69以下であると、調光層20に電界を印加した際に、非重合性液晶22に含まれる液晶分子25が、ポリマーマトリックス21の配向規制力に抗してその配向方向を適切に変化させることができ、W/Wが0.63以下であると、調光層20に電界を印加した際に、非重合性液晶22に含まれる液晶分子25が、ポリマーマトリックス21の配向規制力に抗してその配向方向をさらに適切に変化させることができる。
従来のリバースタイプの高分子分散型液晶素子を用いた調光素子では、電界無印加時にポリマーマトリックス中に分散された液晶材料に含まれる液晶分子を配向するためには、液晶材料が配向膜に直接接触している必要があった。すなわち、液晶材料と配向膜との接触面積を確保する必要があった。これにより、従来の調光素子では、ポリマーマトリックスと支持板との接触面積を大きくすることができず、調光層と配向膜との密着性が十分でなかった。
これに対して、本実施の形態の調光素子10では、ポリマーマトリックス21が、配向されたまま固定された液晶分子を含んでいる。これにより、ポリマーマトリックス21は、分散保持された非重合性液晶22に含まれる液晶分子25を配向する配向規制能(配向規制力)を有している。これにより、図2に示されているように、非重合性液晶22がポリマーマトリックス21と接触しているだけで、非重合性液晶22に含まれる液晶分子25は、電界無印加時にその長手方向が、特定の方向に沿うように、とりわけ本実施の形態では調光層20の法線方向に沿うように、配向される。すなわち、非重合性液晶22と配向膜15,18との接触部分を確保する必要がない。したがって、ポリマーマトリックス21と支持板11,12との接触面積を大きくすることが可能となり、これにより、調光素子10におけるポリマーマトリックス21と支持板11,12との間の密着性を効果的に向上させることができる。
ところで、調光層20がポリマーマトリックス21中に分散された二色性色素を含むようにしてもよい。二色性色素は、非重合性液晶22に含まれる液晶分子25と同様に、長手方向を有するとともに、液晶分子25の配向方向を電界の印加・無印加によって変化させると、その動きに従ってその向きを変化させる。そして、二色性色素は、その向きに応じて色味を有するようになる。このため、調光素子10は、透過状態(低ヘーズ状態)において無色透明又は無色透明に近い状態に維持され、その一方で、散乱状態(高ヘーズ状態)においては、単なる白濁ではなく、所定の色味を有しながら不可視状態とすることができる。ここで所定の色味を、調光素子10の周囲の部分(調光素子10が設けられていない部分)と同様の色にすると、調光素子10の散乱状態において当該調光素子10の部分だけが周囲の部分と外観が異なることを防ぐことができる。また、散乱状態にある調光素子10の色味が調光素子10の周囲の部分の色味と異なるようにして、調光素子10を含む装置に積極的に意匠性を付与してもよい。このような二色性色素としては、例えば特開2007-009120号公報や特開2011-246411号公報に開示されているような種々の公知のものを用いることができる。
なお、調光素子10の周縁部に封止材を設けるようにしてもよい。とりわけ調光層20の周縁部を覆うようにして封止材を設けることにより、調光層20、とりわけ非重合性液晶22、が漏れ出すことを防止することができる。このため、調光素子10の周縁部に封止材を設ける場合、封止材は、調光素子10の板面への法線方向からの観察において、すなわち平面視において、調光層20を取り囲む形状を有していることが好ましい。封止材の材料としては、例えば調光層20のポリマーマトリックス21をなす樹脂と同様のものを用いることができる。
以上のように構成された調光素子10は、リバースタイプの液晶素子で構成されており、非重合性液晶22として、ネガ型の液晶分子25を含む液晶材料が使用されている。この場合、図2に示されているように、透明導電層14,17へ電源40から電圧を印加するためのスイッチ41が開いた状態(切れた状態)、すなわち透明導電層14,17により調光層20に電界が印加されていない状態において、ポリマーマトリックス21の配向規制能(配向規制力)により、液晶分子25は、特定の方向に沿うように、とりわけ本実施の形態では調光層20の法線方向に沿うように、配向される。このとき、非重合性液晶22の屈折率とポリマーマトリックス21の屈折率とが揃う。この状態において、調光素子10へ入射した光は、進行方向を大きく曲げることなく、調光素子10を透過することができる。すなわち、液晶分子25が配向されている状態において、調光素子10は透過状態(低ヘーズ状態)となる。この状態において、調光素子10は透明な状態となり、調光素子10を介した透視性が高くなる。
その一方、図3に示されているように、スイッチ41が閉じる(入る)と、すなわち透明導電層14,17により調光層20に電界が印加されると、非重合性液晶22に含まれる液晶分子25は、ポリマーマトリックス21の配向規制力に抗して、その配向方向を不規則的に変化させる。この状態において、調光素子10へ入射した光は、その進行方向を大きく曲げられて散乱する。すなわち、液晶分子25が配向されていない状態において、調光素子10は散乱状態(高ヘーズ状態)となる。このとき、調光素子10は白濁した状態となり、調光素子10を介した視認性が低くなる。
このように、本実施の形態の調光素子10では、透明導電層14,17による調光層20への電界の印加及び無印加に応じて、調光素子10を散乱状態及び透過状態の間で切り替えることができる。したがって、調光素子10を介した透視性を容易に変更することが可能となる。
次に、図4を参照して、調光素子10を製造するために用いられる調光素子製造装置30の一例について説明する。図4は、調光素子製造装置30の一部を概略的に示す斜視図である。
図4に示された調光素子製造装置30は、第1支持板11を給送する第1給送部31と、第2支持板12を給送する第2給送部32と、液晶混合材料27を塗布するための塗布装置33と、第1支持板11及び第2支持板12を、液晶混合材料27を介して貼合するための貼合装置34を有する。また、調光素子製造装置30は、第1支持板11の搬送方向dcに沿った貼合装置34の下流側に位置する、液晶混合材料27中の重合性液晶及び重合性樹脂を重合(硬化)させるための硬化装置36を有する。
第1給送部31は、第1支持板11が巻回された第1支持板ロール11aを保持する第1給送軸31aを有する。第1給送軸31aは、長尺状の第1支持板11がその長手方向に沿ってロール状に巻回された第1支持板ロール11aが取り付けられる部材である。また、第2給送部32は、第2支持板12が巻回された第2支持板ロール12aを保持する第2給送軸32aを有する。第2給送軸32aは、長尺状の第2支持板12がその長手方向に沿ってロール状に巻回された第2支持板ロール12aが取り付けられる部材である。給送部31,32は、給送軸31a,32aで支持板ロール11a,12aを保持しながら回転させ、支持板ロール11a,12aから支持板11,12を給送するように構成されている。そのために、給送部31,32は、給送軸31a,32aと接続された図示しない回転機構を有している。回転機構は、モータ等の駆動源からの駆動力を給送軸31a,32aに伝える伝動機構を有している。図示された例では、給送軸31a,32aは、水平方向と平行且つ第1支持板11の搬送方向dcと交差する方向に延びている。とりわけ図示された例では、給送軸31a,32aは、水平方向と平行且つ搬送方向dcと直交する方向(第1方向d1)と平行をなして延びている。
図4に示された例では、支持板ロール11a,12aにおいて、それぞれ透明導電層14,17及び配向膜15,18が基材13,16よりも内側に位置するようにして巻回されている。第1給送部31では、第1支持板11は、第1基材13の上側に第1透明導電層14が位置し、第1透明導電層14の上側に第1配向膜15が位置するようにして第1支持板ロール11aから巻き出される。また、第2支持板12は、第2基材16の上側に第2透明導電層17が位置し、第2透明導電層17の上側に第2配向膜18が位置するようにして第2支持板ロール12aから巻き出される。
塗布装置33は、第1支持板11上に液晶混合材料27を塗布するために用いられる。塗布装置33は、第1支持板11の第1配向膜15上に液晶混合材料27を塗布する。塗布装置33としては、例えばダイコーター、メイヤーバーコーター、ロールコーター、スプレーコーター等を用いることができる。
図示された例では、第1給送部31から給送された第1支持板11は、塗布装置33において液晶混合材料27が塗布された後、貼合装置34へ向かう。また、第2給送部32から給送された第2支持板12は、ガイドローラ38でその進行方向が変えられ、貼合装置34へ向かう。貼合装置34では、第1支持板11と第2支持板12とが、液晶混合材料27を介して貼合される。とりわけ、第1支持板11上に塗布された液晶混合材料27と、第2支持板12の第2配向膜18とが対面するようにして、第1支持板11と第2支持板12とが貼合される。
貼合装置34は、一対の貼合ローラ35を有し、液晶混合材料27が塗布された第1支持板11と、第2支持板ロール12aから給送された第2支持板12とを、当該一対の貼合ローラ35間に挟み込んで、第1支持板11と第2支持板12とを液晶混合材料27を介して貼合する。図4に示された例では、貼合ローラ35は、その回転軸がそれぞれ第1方向d1と平行をなして延びている。
硬化装置36は、液晶混合材料27に含まれる重合性液晶及び重合性樹脂を重合(硬化)させ、液晶混合材料27から調光層20を形成する。例えば、液晶混合材料27が紫外線によって活性化される光重合開始剤を含有する場合、硬化装置36は紫外線照射装置を含んで構成され得る。図4に示された例では、硬化装置36内を、第1支持板11、液晶混合材料27及び第2支持板12の積層体が通過する間に、液晶混合材料27に紫外線が照射され、これにより液晶混合材料27に含まれる重合性液晶及び重合性樹脂が重合する。
なお、調光素子製造装置30には、硬化装置36を通過した後の、第1支持板11、調光層20及び第2支持板12の積層体を切断する切断装置、切断された当該積層体の周縁部を封止材で封止する封止装置、当該積層体を搬送する搬送装置等が適宜設けられてもよい。
次に、調光素子製造装置30を用いた調光素子10の製造方法について説明する。ここでは、いわゆるロールトゥシート法を用いて調光素子10を製造する例について説明するが、これに限られず、例えばロールトゥロール法を用いて調光素子10を製造するようにしてもよい。
〔支持板準備工程〕
まず、基材13,16、透明導電層14,17及び配向膜15,18を有する支持板11,12を準備する。基材13,16としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース:TAC)等のセルロース系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)樹脂などを含有するフィルム材を用いることができる。
この基材13,16上に透明導電層14,17を形成する。例えば、長尺状の基材13,16をロール状に巻き取っておき、ここから基材13,16を連続的に給送する。給送された基材13,16上に透明導電層14,17を形成し、基材13,16及び透明導電層14,17の積層体をそれぞれロール状に巻き取る。
透明導電層14,17は、例えば透明導電材であるITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、GZO(Gallium-doped Zinc Oxide)、ATO(Antimony Tin Oxide)、ZNO(Zinc Oxide)等の金属酸化物を含有する層を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)、またはこれらの2以上を組み合わせた方法を用いて形成することができる。また、透明導電層14,17を導電性高分子材料を含有する層として形成する場合は、例えば導電性高分子材料を種々の塗布法又は印刷法等を用いて基材13,16上に形成することで、透明導電層14,17を形成することができる。さらに、透明導電層14,17を銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を含有する層として形成する場合は、例えば銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を水等の溶剤に分散させた分散液を基材13,16上に塗布した後に乾燥させることで、透明導電層14,17を形成することができる。
次に、基材13,16及び透明導電層14,17の積層体の透明導電層14,17上に配向膜15,18を形成する。これにより第1基材13、第1透明導電層14及び第1配向膜15を有する第1支持板11、及び、第2基材16、第2透明導電層17及び第2配向膜18を有する第2支持板12が作製される。例えば、まずロール状に巻き取られた積層体を巻出して連続的に給送する。給送された積層体の透明導電層14,17上に、すなわち透明導電層14,17の基材13,16と反対側に、配向膜15,18を形成する。配向膜15,18は、例えば配向膜材料を透明導電層14,17上に塗布することにより形成することができる。配向膜材料としては、特に限定されないが、例えばポリイミド等を用いることができる。その後、作製された支持板11,12をそれぞれロール状に巻き取り、支持板ロール11a,12aを作製する。
〔第1給送工程〕
第1給送部31の第1給送軸31aに保持された第1支持板ロール11aから第1支持板11が給送される。詳細には、第1支持板11は、第1透明導電層14及び第1配向膜15が第1基材13の上側に位置するようにして第1支持板ロール11aから巻き出され、塗布装置33へ向かう。
〔第2給送工程〕
第2給送部32の第2給送軸32aに保持された第2支持板ロール12aから第2支持板12が給送される。第2給送部32から給送された第2支持板12は、ガイドローラ38でその進行方向が変えられ、貼合装置34へ向かう。
〔塗布工程〕
第1給送部31から給送された第1支持板11上に、塗布装置33により液晶混合材料27が塗布される。とりわけ、塗布装置33では、第1支持板11の第1透明導電層14上に液晶混合材料27が塗布される。液晶混合材料27は、少なくとも非重合性液晶及び重合性液晶を含有している。また、液晶混合材料27は、重合性樹脂をさらに含有してもよい。さらに、液晶混合材料27は、重合開始剤を含有してもよい。本実施の形態では、液晶混合材料27が、重合性液晶、重合性樹脂、重合開始剤及び非重合性液晶22を含有する例について説明する。
調光層20に、第1支持板11と第2支持板12との間隔を所定の間隔に保つためのスペーサを設ける場合、塗布装置33において、スペーサが液晶混合材料27と混合されて第1支持板11上に塗布されてもよい。また、スペーサを液晶混合材料27とは別に用意し、例えば、液晶混合材料27の塗布工程後に当該液晶混合材料27上に、スペーサ散布装置を用いてスペーサを散布するようにしてもよい。また、第2支持板12の第2透明導電層17上にスペーサ散布装置を用いてスペーサを散布するようにしてもよい。この場合、貼合装置34の一対の貼合ローラ35により、第1支持板11と第2支持板12とが互いに向けて押圧されることで、スペーサが液晶混合材料27中に埋め込まれるようになる。
〔貼合工程〕
次に、貼合装置34を用いて、第1支持板11と第2支持板12とが、液晶混合材料27を介して貼合される。とりわけ、第1支持板11上に塗布された液晶混合材料27と、第2支持板12の第2配向膜18とが対面するようにして、第1支持板11と第2支持板12とが貼合される。貼合装置34は、一対の貼合ローラ35を有しており、当該一対の貼合ローラ35により第1支持板11及び第2支持板12が挟み込まれる。このとき、第1支持板11と第2支持板12とが互いに向けて押圧され、これにより第1支持板11、液晶混合材料27及び第2支持板12の積層体の厚さが、一対の貼合ローラ35間の間隔に対応する、所定の厚さを有するようになる。なお、液晶混合材料27にスペーサが埋め込まれている場合、液晶混合材料27の厚さが所定の厚さよりも小さくなることが防止される。すなわち、液晶混合材料27の厚さが所定の厚さに保持される。
ここで、液晶混合材料27が配向膜15,18に接触するようにして配置されることにより、液晶混合材料27に含まれる重合性液晶の液晶分子は、その長手方向が特定の方向に沿うように配向される。とりわけ支持板11,12の配向膜15,18として垂直配向膜が用いられる場合、液晶混合材料27が配向膜15,18に接触するようにして配置されることにより、液晶混合材料27に含まれる重合性液晶の液晶分子は、その長手方向が配向膜15,18の法線方向に沿うように配向される。
〔硬化工程〕
次に、硬化装置36を用いて、液晶混合材料27に含まれる重合性液晶及び重合性樹脂を重合させて液晶混合材料27を硬化させる。例えば、液晶混合材料27が紫外線によって活性化される光重合開始剤を含有する場合、第1支持板11、液晶混合材料27及び第2支持板12の積層体を硬化装置36内に搬入し、硬化装置36の紫外線照射装置で液晶混合材料27に紫外線を照射する。硬化した液晶混合材料27は、調光素子10の調光層20をなす。
液晶混合材料27への紫外線の照射により液晶混合材料27に含まれる重合性液晶及び重合性樹脂が重合すると、この重合(硬化)した重合性液晶及び重合性樹脂からポリマーマトリックス21が形成される。非重合性液晶22は、重合性液晶及び重合性樹脂から相分離され、ポリマーマトリックス21中に液滴状に分散された状態で保持される。このとき、重合性液晶に含まれる液晶分子は、その長手方向が配向膜15,18の法線方向に沿うように配向されたまま固定される。これにより、ポリマーマトリックス21は、当該ポリマーマトリックス21に直接接触して分散保持される非重合性液晶22に含まれる液晶分子25を配向する配向規制能(配向規制力)を有するようになる。
〔切断工程〕
次に、図示しない切断装置を用いて、第1支持板11、調光層20及び第2支持板12の積層体を第1方向d1に沿って切断し、図1に示す調光素子10を製造する。必要に応じて、図示しない封止装置を用いて、調光素子10の周縁部を封止材で封止するようにしてもよい。
本実施の形態の調光素子10は、第1導電層14を含む第1支持板11と、第2導電層17を含む第2支持板12と、第1支持板11及び第2支持板12の間に配置された調光層20と、を備え、調光層20は、配向規制能を有したポリマーマトリックス21と、ポリマーマトリックス21中に保持され、第1導電層14及び第2導電層17への電圧印加によって配向を変化する液晶分子25と、を有する。
このような調光素子10によれば、非重合性液晶22が配向規制能を有したポリマーマトリックス21と接触しているだけで、非重合性液晶22に含まれる液晶分子25は、電界無印加時にその長手方向が、特定の方向に沿うように配向される。すなわち、本実施の形態の調光素子10では、非重合性液晶22と配向膜15,18との接触部分を確保する必要がない。したがって、ポリマーマトリックス21と支持板11,12との接触面積を大きくすることが可能となり、これにより、調光素子10におけるポリマーマトリックス21と支持板11,12との間の密着性を効果的に向上させることができる。
本実施の形態の調光素子10では、ポリマーマトリックス21は、硬化した重合性液晶を含有する。
本実施の形態の調光素子の製造方法は、第1導電層14を含む第1支持板11を給送する第1給送工程と、第2導電層17を含む第2支持板12を給送する第2給送工程と、第1支持板11又は第2支持板12上に、重合性液晶及び非重合性液晶を含有する液晶混合材料27を塗布する塗布工程と、第1支持板11と第2支持板12とを液晶混合材料27を介して貼合する貼合工程と、重合性液晶を硬化させる硬化工程と、を有する。
このような調光素子10及び調光素子の製造方法によれば、ポリマーマトリックス21中の硬化した重合性液晶が、非重合性液晶22に含まれる液晶分子25に対する配向規制能を発揮することにより、液晶分子25を、電界無印加時にその長手方向が、特定の方向に沿うように配向させることができる。
本実施の形態の調光素子10では、ポリマーマトリックス21は、硬化した重合性樹脂をさらに含有する。
本実施の形態の調光素子の製造方法では、液晶混合材料27は、重合性樹脂をさらに含有し、硬化工程において、重合性液晶及び重合性樹脂を硬化させる。
このような調光素子10及び調光素子の製造方法によれば、ポリマーマトリックス21の硬化性を維持しつつも、ポリマーマトリックス21中の硬化した重合性樹脂の量を適切に制御することが可能となる。これにより、ポリマーマトリックス21による、非重合性液晶22に含まれる液晶分子25に対する配向規制力を適切に制御することができる。
本実施の形態の調光素子10では、重合性液晶及び重合性樹脂の合計重量Wに対する、重合性液晶の重量Wの割合(W/W)は、0.50以上0.69以下である。
本実施の形態の調光素子の製造方法では、重合性液晶及び重合性樹脂の合計重量Wに対する、重合性液晶の重量Wの割合(W/W)は、0.50以上0.69以下である。
このような調光素子10及び調光素子の製造方法によれば、W/Wが0.50以上であることにより、ポリマーマトリックス21に十分な配向規制能を付与することができる。また、W/Wが0.69以下であることにより、調光層20に電界を印加した際に、非重合性液晶22に含まれる液晶分子25が、ポリマーマトリックス21の配向規制力に抗してその配向方向を適切に変化させることができる。
以下、実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<配向膜の形成>
下記式(A)、(B)で表される液晶材料を用い、下記式(A)で表される側鎖型ポリマー80質量%と、下記式(B)で表される重合性液晶20質量%との液晶混合物と、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製,イルガキュア907)を液晶混合物に対して5質量%の割合で、トルエン溶液に固形分5質量%になるように溶解させ、さらにレベリング剤を添加して、配向膜組成液を作製した。
Figure 0007043846000001
100μm厚のPETフィルム基材上にシート抵抗150Ω/□のITO膜を成膜し、このITO膜上に上記の配向膜組成液を塗工して硬化させて配向膜材料から垂直配向膜を形成し、PETフィルム基材、ITO膜及び垂直配向膜が順に積層された積層体を作製した。なお、硬化後の垂直配向膜の膜厚は、約100nmであった。
<混合液晶材料の作製>
非重合性液晶としての負の誘電率異方性を有するネマチック液晶(誘電率異方性Δε=-4.5、屈折率異方性Δn=0.18)80重量部に対し、重合性樹脂としてのイソボルニルアクリレートをX重量部、重合性液晶としてのLC242(BASF社製)をY重量部、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製,イルガキュア651)を0.4重量部の割合でそれぞれ混合し、表1に示すサンプル番号1~6の6種類のリバースモード用液晶混合材料を作製した。表1には、各サンプルにおける、非重合性液晶、重合性樹脂、重合性液晶及び光重合開始剤の含有量(重量部)、並びに、重合性液晶及び重合性樹脂の合計重量に対する、重合性液晶の重量の割合(Y/(X+Y))が示されている。
Figure 0007043846000002
<調光素子の作製>
上述のようにして配向膜を形成させた積層体を2枚準備し、一方の積層体上(垂直配向膜上)に、スペーサードライ散布装置(株式会社アイエヌジー社製,SDI-12)を用いて直径6μmのスペーサ剤(積水化学株式会社製,ミクロパールSP206)を散布し、もう一方の積層体上(垂直配向膜上)に、表1のサンプル番号1~6の混合液晶材料をミヤバーにより塗布した。そして、2枚の積層体を、それぞれの垂直配向膜どうしが対面するようにして貼り合せ、0.4mW/cmの紫外線を10分間にわたって照射し、6種類の調光素子(リバースモード高分子分散型液晶素子)を作製した。
<電圧-ヘーズ特性>
各調光素子のITO膜に交流電圧を印加し、JIS K7136記載の方式で当該調光素子のヘーズ値を測定した。測定結果を図5に示す。図5では、表1のサンプル番号1~6の混合液晶材料を用いて作製された調光素子に、それぞれ同一のサンプル番号1~6を付している。
図5の測定結果から明らかなように、重合性液晶及び重合性樹脂の合計重量に対する、重合性液晶の重量の割合が0.38のサンプル番号1及び0.44のサンプル番号2の調光素子では、印加電圧に対しヘーズ値はほとんど変化せず、リバースモードPDLCとしての性能を有していない。当該割合が0.50のサンプル番号3の調光素子からリバースモードPDLCとしての挙動を示すようになり、当該割合が0.56のサンプル番号4の調光素子で最も高い特性を有することが確認できた。重合性液晶及び重合性樹脂の合計重量に対する、重合性液晶の重量の割合をさらに増加させると、高電圧を印加してもヘーズ値が増加せず、当該割合を0.69まで増加させた場合(サンプル番号6の調光素子)は、当該割合が0.63のサンプル番号5の調光素子とほぼ同様であり、特性が飽和することが確認できる。
10 調光素子
11 第1支持板
11a 第1支持板ロール
12 第2支持板
12a 第2支持板ロール
13 第1基材
14 第1透明導電層
15 第1配向膜
16 第2基材
17 第2透明導電層
18 第2配向膜
20 調光層
21 ポリマーマトリックス
22 非重合性液晶
27 液晶混合材料
30 調光素子製造装置
31 第1給送部
32 第2給送部
33 塗布装置
34 貼合装置
35 貼合ローラ
36 硬化装置

Claims (2)

  1. 第1導電層を含む第1支持板と、
    第2導電層を含む第2支持板と、
    前記第1支持板及び前記第2支持板の間に配置された調光層と、を備え、
    前記調光層は、配向規制能を有したポリマーマトリックスと、前記ポリマーマトリックス中に保持され、前記第1導電層及び前記第2導電層への電圧印加によって配向を変化する液晶分子と、を有
    前記ポリマーマトリックスは、硬化した重合性液晶及び硬化した重合性樹脂を含有し、
    前記重合性液晶及び前記重合性樹脂の合計重量に対する、前記重合性液晶の重量の割合は、0.50以上0.69以下である、調光素子。
  2. 第1導電層を含む第1支持板を給送する第1給送工程と、
    第2導電層を含む第2支持板を給送する第2給送工程と、
    前記第1支持板又は前記第2支持板上に、重合性液晶非重合性液晶及び重合性樹脂を含有する液晶混合材料を塗布する塗布工程と、
    前記第1支持板と前記第2支持板とを前記液晶混合材料を介して貼合する貼合工程と、
    前記重合性液晶及び前記重合性樹脂を硬化させる硬化工程と、を有
    前記重合性液晶及び前記重合性樹脂の合計重量に対する、前記重合性液晶の重量の割合は、0.50以上0.69以下である、調光素子の製造方法。
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