JP7038940B1 - 形状姿勢推定装置、形状姿勢推定方法及び形状姿勢推定システム - Google Patents
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Abstract
Description
当該監視システムは、目標対象物の輝度の時間的な変化を示す輝度変化パターン(以下「観測輝度変化パターン」という)を観測し、観測輝度変化パターンとデータベースに記憶されている複数の登録輝度変化パターンとのパターンマッチングを行う。当該監視システムは、複数の登録輝度変化パターンの中で、観測輝度変化パターンとの一致度が最も高い登録輝度変化パターンに対応付けられている形状及び姿勢のそれぞれを推定結果として出力する。
図1は、実施の形態1に係る形状姿勢推定システムを示す構成図である。
図1に示す形状姿勢推定システムは、光度測定装置10、計画装置30、地上局40及び形状姿勢推定装置50を備えている。
移動体1としては、例えば、地球周辺の宇宙空間を移動している隕石、デブリ、人工衛星、ロケット、太陽電池パネル、多層断熱材、又は、ねじ等の衛星材料がある。移動体1は、恒星と異なり、一般的には、自ら発光しないため、太陽等の照明光源によって照らされることで輝きを生じることが多い。
飛翔体2は、撮像装置3を実装しており、撮像装置3による移動体1の撮像画像を示す画像データを地上局40に送信する。
飛翔体2としては、例えば、既知の軌道上を移動する人工衛星がある。
撮像装置3は、移動体1を撮像する映像機器である。
図2に示す光度測定装置10は、後述する通信線路74と接続されている。
光度測定装置10は、監視対象の移動体1の光度を測定し、通信線路74を介して、光度の測定結果を形状姿勢推定装置50に出力する。
光度測定装置10は、集光装置11、光選択部12、遮光装置13、位置検出器14、時刻校正部15、カウンタ16、制御装置17、指向装置18及び解析装置19を備えている。
集光装置11は、移動体1の放射光、又は、移動体1の反射光を集光する。
移動体1の放射光は、移動体1が自ら発光する光を意味し、移動体1の反射光は、例えば、太陽等の恒星が発する光が移動体1に反射された光を意味する。 図1に示す形状姿勢推定システムでは、移動体1の反射光は、移動体1の散乱光を含むものである。
図1に示す形状姿勢推定システムでは、集光装置11が屈折型の望遠鏡によって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、集光装置11が、例えば、光の反射を利用する反射型の望遠鏡によって実現されているものであってもよいし、屈折型の望遠鏡と反射型の望遠鏡との双方によって実現されているものであってもよい。
光選択部12は、制御装置17から、選択対象の波長、又は、選択対象の偏光を示す選択信号を取得する。
光選択部12は、集光装置11により集光された光のうち、選択信号が示す波長の光、又は、選択信号が示す偏光を選択する。
図1に示す形状姿勢推定システムでは、光選択部12がフィルタホイールによって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、光選択部12が、例えば、集光装置11により集光された光に含まれている不必要な光を部分的に吸収するND(Neutral Density)フィルタによって実現されているものであってもよいし、不要な光を選択的に取り除く波長フィルタによって実現されているものであってもよい。
遮光装置13のシャッタは、制御装置17から出力された制御信号に従って開閉される。シャッタが位置検出器14の露光時間に応じて開閉されることで、光選択部12によって選択された光の遮断と光の透過とが交互に繰り返される。
位置検出器14は、遮光装置13を透過してきた光を検出して、移動体1が映っている光強度画像を撮像する。
位置検出器14が、CCDイメージセンサ、又は、CMOSイメージセンサによって実現されている場合、移動体1が位置検出器14の視野内に入っていれば、移動体1が視野の中心位置からずれた位置に存在していたとしても、移動体1を検出することができる。このため、集光装置11の指向方向の制御が容易になる利点がある。また、位置検出器14が、CCDイメージセンサ等によって実現されている場合、視野の上下方向、又は、視野の左右方向のうち、どちらの方向に向かって、移動体1が移動しているのかが光強度画像から分かる。また、視野内に恒星が入っていれば、恒星の位置及び恒星の光度のそれぞれも光強度画像から分かる利点がある。
図1に示す形状姿勢推定システムでは、位置検出器14が、CCDイメージセンサ等によって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、位置検出器14が、CCDイメージセンサ等のほかに、読み出し回路及びメモリ等を備えていてもよい。
時刻校正部15は、取得した基準時刻に基づいて、カウンタ16の時刻を校正する。
例えば、恒星は、日周運動によって、一秒間で15秒角(=15/3600度)ほど移動する。このため、位置の決定に秒角の精度が必要である場合、時刻校正部15は、少なくともサブ秒で時刻を校正する必要がある。
カウンタ16の時刻は、時刻校正部15によって校正される。
カウンタ16は、後述する時間帯情報が示す時間帯の先頭の時刻からの経過時間をカウントし、経過時間を制御装置17及び解析装置19のそれぞれに出力する。
制御装置17は、カウンタ16から出力された経過時間に基づいて、集光装置11の指向方向を示す制御信号を指向装置18に出力するほか、シャッタの開閉時刻を示す制御信号を遮光装置13に出力し、光強度画像の撮像時刻を示す制御信号を位置検出器14に出力する。
また、制御装置17は、選択対象の波長、又は、選択対象の偏光を示す選択信号を光選択部12に出力する。
指向装置18は、制御装置17から出力された制御信号に従って、集光装置11の指向方向を制御する。
集光装置11が回転ステージに実装されており、回転ステージに付加されているモータ等が、制御装置17から出力された制御信号に従って駆動することで、集光装置11の指向方向が制御される。
記録装置20は、例えば、RAM(Random Access Memory)、又は、ハードディスクによって実現される。
記録装置20は、例えば、位置検出器14により撮像された光強度画像と、位置検出器14により光強度画像が撮像されたときにカウンタ16から出力された経過時間と、処理装置21により算出された移動体1の画像上の位置及び移動体1の光度とを記録する。
処理装置21は、位置検出器14により撮像された光強度画像から、移動体1の画像上の位置と、移動体1の光度とを算出する。移動体1の画像上の位置は、集光装置11を実現している望遠鏡から移動体1を見た角度に相当する。移動体1の光度は、位置検出器14により受光された光の量に相当する。移動体1の光度の時間的な変化は、第1の光度曲線に相当する。
光選択部12が、集光装置11により集光された光のうち、選択信号が示す波長の光を選択するため、位置検出器14は、特定の波長の信号光を検出することができる。したがって、位置検出器14により受光された光は、特定の波長の光になり、位置検出器14により撮像された光強度画像は、特定の波長の光によって生成される。
また、通信装置22は、第1の光度曲線を、通信線路74を介して、形状姿勢推定装置50に出力する。
図3に示す計画装置30は、通信装置31、軌道計算装置32及び運用計画設定装置33を備えている。
通信装置31は、通信線路74と接続されている。
通信装置31は、軌道上物体データ記憶部72から、通信線路74を介して、宇宙空間に存在している移動体の中で、軌道が確定している移動体1の軌道を示す第1の軌道データを受信する。第1の軌道データは、複数の過去の観測時刻における移動体1の位置を示す位置データと、複数の過去の観測時刻における移動体1の速度を示す速度データとを含んでいる。
また、通信装置31は、軌道上物体データ記憶部72から、通信線路74を介して、軌道が確定している宇宙空間内の飛翔体2の軌道を示す第2の軌道データを受信する。第2の軌道データは、複数の観測時刻における飛翔体2の位置を示す位置データと、複数の観測時刻における飛翔体2の速度を示す速度データとを含んでいる。また、第2の軌道データは、将来の軌道における複数の時刻の位置及び速度のそれぞれを含んでいる。
通信装置31は、恒星データ記憶部73から、通信線路74を介して、複数の時刻における恒星の位置及び恒星から発せられる特定の波長帯の光の明るさのそれぞれを示す恒星情報を受信する。
通信装置31は、運用計画設定装置33により作成されたコマンドを地上局40に送信する。
軌道計算装置32は、通信装置31により受信された第1の軌道データに基づいて、移動体1の将来の軌道を算出する。
軌道計算装置32は、通信装置31により受信された恒星情報に基づいて、恒星に含まれる太陽の軌道を特定する。
軌道計算装置32は、太陽の軌道と、移動体1の将来の軌道と、第2の軌道データが示す飛翔体2の将来の軌道とから、将来の複数の時刻における、太陽と移動体1と飛翔体2との幾何学的な配置を特定する。
軌道計算装置32は、将来の複数の時刻における幾何学的な配置に基づいて、例えば、太陽からの光が地球に遮られて、太陽からの光が移動体1に照射されない将来の時刻を算出する。
軌道計算装置32は、移動体1の将来の軌道を示す将来軌道データと、第2の軌道データと、太陽からの光が移動体1に照射されない将来の時刻を示す時刻情報とを運用計画設定装置33に出力する。
運用計画設定装置33は、軌道計算装置32から、将来軌道データと第2の軌道データと時刻情報とを取得する。
運用計画設定装置33は、将来軌道データと第2の軌道データと時刻情報とに基づいて、飛翔体2を制御するためのコマンドを作成し、コマンドを通信装置31に出力する。
図4に示す地上局40は、通信装置41、信号送信部42、アンテナ43、信号受信部44、記録装置45、制御装置46及び指向装置47を備えている。
通信装置41は、記録装置45に記録された画像データを、計画装置30の通信装置31を介して、形状姿勢推定装置50に送信する。
図4に示す地上局40では、通信装置41が、画像データを、計画装置30の通信装置31を介して、形状姿勢推定装置50に送信している。しかし、これは一例に過ぎず、通信装置41が、画像データを形状姿勢推定装置50に直接送信するようにしてもよい。
図4に示す地上局40では、信号送信部42が、電波の送信信号を生成している。しかし、これは一例に過ぎず、信号送信部42が、光の送信信号を生成するようにしてもよい。
アンテナ43は、信号送信部42により生成された電波の送信信号を飛翔体2に向けて放射する。信号送信部42により光の送信信号が生成されていれば、アンテナ43の代わりに集光装置が用いられる。
アンテナ43は、飛翔体2から、撮像装置3による移動体1の撮像画像を示す画像データに係る電波を受信し、電波の受信信号を信号受信部44に出力する。
記録装置45は、信号受信部44から出力された画像データを記録する。
制御装置46は、通信装置41から出力されたコマンドに従ってアンテナ43の指向方向を示す制御信号を指向装置47に出力する。
また、制御装置46は、信号送信部42の送信タイミング及び信号受信部44の受信タイミングのそれぞれを制御する。
指向装置47は、制御装置46から出力された制御信号に従って、アンテナ43の指向方向を制御する。
アンテナ43が回転ステージに実装されており、回転ステージに付加されているモータ等が、制御装置47から出力された制御信号に従って駆動することで、アンテナ43の指向方向が制御される。
図6は、実施の形態1に係る形状姿勢推定装置50のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図5に示す形状姿勢推定装置50は、材料データ記憶部51、形状データ記憶部52、特性データ記憶部53、光度曲線取得部54、撮像画像取得部55、モデル生成部56、光度曲線算出部57及び形状姿勢推定部58を備えている。
形状姿勢推定装置50は、移動体1の形状及び姿勢のそれぞれを推定する。
材料データ記憶部51は、宇宙空間に存在している可能性のある物体の特徴を示す特徴データとして、当該物体の材料の特性を示す材料データを記憶している。
当該物体が人工衛星等の人工物であれば、例えば、人工物の表面を形成している材料の物性値を示すデータが、材料データとして材料データ記憶部51に記憶される。材料の物性値としては、例えば、材料の分光反射率、放射率、散乱特性、又は、密度がある。
当該物体が自然物であり、自然物が、例えば、隕石又は金属であれば、隕石の物性値を示すデータ又は金属の物性値を示すデータが、材料データとして材料データ記憶部51に記憶される。
形状データ記憶部52は、宇宙空間に存在している可能性のある物体の特徴を示す特徴データとして、当該物体の形状を示す形状データを記憶している。
当該物体が人工衛星等の人工物であれば、過去に作成された人工物の形状を示すデータが、形状データとして形状データ記憶部52に記憶される。人工物は、軌道上で分解又は破砕されることもある。このため、人工物の全体の形状を示す形状データだけでなく、人工物に含まれている複数の部品のそれぞれの形状を示す形状データについても形状データ記憶部52に記憶される。
特性データ記憶部53は、宇宙空間に存在している可能性のある物体の特徴を示す特徴データとして、宇宙空間に存在している物体の中で、軌道が確定していないものの、既知の軌道と対応している可能性のある物体の特性データを記憶している。当該物体の特性データとしては、例えば、形状、特性、画像、又は、光度曲線を示すデータがある。
光度曲線取得部54は、通信線路74と接続されている通信装置54aを備えている。
光度曲線取得部54は、通信装置54aを用いて、光度測定装置10の記録装置20に記録されている、移動体1の光度の時間的な変化を示す第1の光度曲線を取得する。
光度曲線取得部54は、第1の光度曲線を形状姿勢推定部58に出力する。
図5に示す形状姿勢推定装置50では、光度曲線取得部54が通信装置54aを備えている。しかし、これは一例に過ぎず、通信装置54aが、光度曲線取得部54の外部に設けられていてもよい。
撮像画像取得部55は、通信線路74と接続されている通信装置55aを備えている。
撮像画像取得部55は、通信装置55aを用いて、地上局40の記録装置45に記録されている、撮像装置3による移動体1の撮像画像を示す画像データを取得する。
撮像画像取得部55は、取得した画像データをモデル生成部56に出力する。
図5に示す形状姿勢推定装置50では、撮像画像取得部55が通信装置55aを備えている。しかし、これは一例に過ぎず、通信装置55aが、撮像画像取得部55の外部に設けられていてもよい。
モデル生成部56は、撮像画像取得部55から画像データを取得する。
また、モデル生成部56は、材料データ記憶部51、形状データ記憶部52及び特性データ記憶部53のそれぞれから、宇宙空間に存在している可能性のある物体の特徴を示す特徴データを取得する。
モデル生成部56は、画像データが示す移動体1の撮像画像と特徴データとを用いて、移動体1のモデルを生成する。移動体1のモデルは、例えば、移動体1の形状及び反射特性等のそれぞれが模擬されている3次元モデルである。
モデル生成部56は、移動体1のモデルを光度曲線算出部57及び形状姿勢推定部58のそれぞれに出力する。
光度曲線算出部57は、モデル生成部56により生成された移動体1のモデルに対して照明光源からの光が照射されたときのモデルの光度の時間的な変化をシミュレーションする。
即ち、光度曲線算出部57は、照明条件として、移動体1のモデルの姿勢を仮定するほか、移動体1のモデルに対して光を照射する照明光源と、照明光源により光が照射されるモデルを観測する飛翔体2との配置を仮定する。
光度曲線算出部57は、上記の照明条件の下で、光が照射されるモデルの光度の時間変化をシミュレーションする。
光度曲線算出部57は、モデルの光度の時間変化を示す第2の光度曲線を形状姿勢推定部58に出力する。
形状姿勢推定部58は、光度曲線取得部54から第1の光度曲線を取得し、光度曲線算出部57から第2の光度曲線を取得する。
形状姿勢推定部58は、モデル生成部56から、移動体1のモデルを取得する。
形状姿勢推定部58は、第1の光度曲線と第2の光度曲線とに基づいて、移動体1のモデルの形状及び姿勢のそれぞれを調整する。即ち、形状姿勢推定部58は、第2の光度曲線が第1の光度曲線に近づくように、移動体1のモデルの形状及び姿勢のそれぞれを調整する。
形状姿勢推定部58は、調整後のモデルから、移動体1の形状及び姿勢のそれぞれを推定する。
基準信号源71は、取得した時刻を基準時刻として、光度測定装置10の通信装置22に出力する。
軌道上物体データ記憶部72は、宇宙空間に存在している移動体の中で、軌道が確定している移動体1の軌道を示す第1の軌道データを記憶している。
また、軌道上物体データ記憶部72は、軌道が確定している宇宙空間内の飛翔体2の軌道を示す第2の軌道データを記憶している。
恒星データ記憶部73は、複数の時刻における恒星の位置及び恒星から発せられる特定の波長帯の光の明るさのそれぞれを示す恒星情報を記憶している。
通信線路74は、光度測定装置10、計画装置30、形状姿勢推定装置50、基準信号源71、軌道上物体データ記憶部72及び恒星データ記憶部73とを結んでいる。
ここで、材料データ記憶回路61、形状データ記憶回路62及び特性データ記憶回路63のそれぞれは、例えば、RAM、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、あるいは、DVD(Digital Versatile Disc)が該当する。
また、光度曲線取得回路64、撮像画像取得回路65、モデル生成回路66、光度曲線算出回路67及び形状姿勢推定回路68のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
図7は、形状姿勢推定装置50が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
図8は、移動体1と飛翔体2と光度測定装置10と計画装置30と地上局40と形状姿勢推定装置50との位置関係を示す説明図である。
図8には、光度測定装置10により得られる光強度画像と、地上局40により得られる撮像画像とが付記されている。
図8に示されている移動体1の形状は、直方体である。しかし、これは一例に過ぎず、移動体1の形状が直方体以外の形状であってもよいことは言うまでもない。
図8の例では、光度測定装置10からは、直方体の側面S1,S2,S3,S4のうち、側面S1,S2が見えている。また、飛翔体2からは、直方体の側面S1,S2,S3,S4のうち、側面S2,S3が見えている。
図1に示す形状姿勢推定システムでは、光度測定装置10の位置検出器14が、時刻tn(n=1,・・・,N)のときに移動体1を撮像し、飛翔体2に実装されている撮像装置3が、時刻tnのときに移動体1を撮像するものとする。Nは、2以上の整数である。図8は、N=5の例を示している。
よって、光度測定装置10は、光度測定装置10が設置されている地球が太陽光を遮断することなく、太陽光が移動体1を照らしているとき、移動体1の光度を測定する必要がある。
また、通信装置31は、恒星データ記憶部73から、通信線路74を介して、恒星の位置及び恒星から発せられる特定の波長帯の光の明るさのそれぞれを示す恒星情報を受信する。
通信装置31は、第1の軌道データ、第2の軌道データ及び恒星情報のそれぞれを軌道計算装置32に出力する。
軌道計算装置32は、第1の軌道データに基づいて、将来観測を予定している時刻tn(n=1,・・・,N)における移動体1の位置x1(tn),y1(tn),z1(tn)を予測する。移動体1の位置x1(tn),y1(tn),z1(tn)の予測処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
軌道計算装置32は、恒星情報に基づいて、時刻tnにおける照明光源の位置x3(tn),y3(tn),z3(tn)を特定する。
図1に示す形状姿勢推定システムでは、照明光源が太陽であり、太陽は、恒星に含まれる。
軌道計算装置32は、時刻tnのとき、地球が太陽光を遮断して、太陽光が移動体1を照らさなければ、観測の予定時刻tnを、地球が太陽光を遮断することなく、太陽光が移動体1を照らす時刻に変更する。軌道計算装置32は、時刻tnが、太陽光が移動体1を照らす時刻であっても、なす角θである位相角が0度に近くなる時刻に変更するようにしてもよい。ただし、位相角が0度に近くなる時刻は、太陽光が移動体1を照らす時刻である必要がある。
軌道計算装置32は、観測の予定時刻tnを変更すれば、時刻tnにおける移動体1の位置x1(tn),y1(tn),z1(tn)を再度予測し、時刻tnにおける照明光源の位置x3(tn),y3(tn),z3(tn)を再度特定する。
軌道計算装置32は、観測の予定時刻tnと、観測の予定時刻tnを含む時間帯Tとを示す時間帯情報を通信装置31及び運用計画設定装置33のそれぞれに出力する。時間帯Tは、例えば、時刻(t1-t0)から時刻t5に至る時間帯である。t0は、例えば、指向装置18による指向方向θnの制御に要する時間である。t0は、軌道計算装置32の内部メモリに格納されていてもよいし、計画装置30の外部から与えられるものであってもよい。
また、軌道計算装置32は、第1の軌道データ及び第2の軌道データのそれぞれを運用計画設定装置33に出力する。
運用計画設定装置33は、第1の軌道データ、第2の軌道データ及び時間帯情報に基づいて、時刻tnにおける移動体1の位置x1(tn),y1(tn),z1(tn)と、時刻tnにおける飛翔体2の位置x2(tn),y2(tn),z2(tn)との幾何学的な配置を特定する。
運用計画設定装置33は、移動体1及び飛翔体2におけるそれぞれの時刻tnでの幾何学的な配置に基づいて、飛翔体2等を制御するためのコマンドを作成する。
即ち、運用計画設定装置33は、それぞれの時刻tnでの幾何学的な配置に基づいて、飛翔体2に実装されている撮像装置3が、移動体1を撮影することができるように、飛翔体2の姿勢及びアンテナ43の指向方向のそれぞれを制御するための撮像時刻tn(n=1,・・・,N)のときのコマンドを作成する。
運用計画設定装置33は、撮像時刻tnのときのコマンドを通信装置31に出力する。
また、通信装置31は、運用計画設定装置33により作成された撮像時刻tn(n=1,・・・,N)のときのコマンドを地上局40に送信する。
以下、光度測定装置10による光度の測定処理を具体的に説明する。
光度測定装置10の通信装置22は、計画装置30から、通信線路74を介して、時間帯情報及び第1の軌道データのそれぞれを受信する。
通信装置22は、時間帯情報をカウンタ16に出力し、第1の軌道データを制御装置17に出力する。
また、通信装置22は、基準信号源71から、通信線路74を介して、基準時刻を受信し、基準時刻を時刻校正部15に出力する。
さらに、通信装置22は、恒星データ記憶部73から、通信線路74を介して、恒星情報を受信し、恒星情報を制御装置17に出力する。
時刻校正部15は、基準時刻に基づいて、カウンタ16の時刻を校正する。
カウンタ16は、通信装置22から、時間帯情報を取得する。
カウンタ16は、時刻校正部15によって時刻が校正されたのち、時間帯情報が示す時間帯Tの先頭の時刻t1-t0からの経過時間Eをカウントする。
カウンタ16は、経過時間Eを制御装置17及び解析装置19のそれぞれに出力し、時間帯情報を制御装置17に出力する。
制御装置17は、経過時間Eが、t0,t0+t2-t1,t0+t3-t1,t0+t4-t1,t0+t5-t1,・・・になると、現在の時刻tが、観測時刻tn(n=1,・・・,N)よりも時刻t0だけ前の時刻であると判定する。
制御装置17は、第1の軌道データが示す観測時刻tnにおける移動体1の位置x1(tn),y1(tn),z1(tn)と、観測時刻tnにおける光度測定装置10の位置x5(tn),y5(tn),z5(tn)との幾何学的な配置を特定する。観測時刻tnにおける光度測定装置10の位置x5(tn),y5(tn),z5(tn)は、既値である。
制御装置17は、特定した幾何学的な配置に基づいて、観測時刻tnのときに、集光装置11の指向方向が移動体1を向くように、集光装置11の指向方向θnを設定する。
制御装置17は、集光装置11の指向方向θnを示す制御信号を指向装置18に出力する。
また、制御装置17は、現在の時刻tが、観測時刻tnからΔtの時刻だけ経過すると、シャッタの閉時刻t1+Δt,t2+Δt,t3+Δt,t4+Δt,t5+Δtを示す制御信号を遮光装置13に出力する。Δtは、シャッタの開時間である。例えば、Δt=(t2-t1)/2=(t3-t2)/2=(t4-t3)/2=(t5-t4)/2である。
例えば、光選択部12が、恒星データ記憶部73に記憶されている恒星から発せられる光の波長帯と同じ波長帯の光を透過させることが可能なフィルタを選択することで、処理装置21が、当該波長帯の光の光度を正確に算出することができる。このため、制御装置17は、通信装置22から出力された恒星情報に基づいて、恒星から発せられる光の波長帯と同じ波長帯の光を透過させるフィルタを選択するための選択信号を生成する。
制御装置17は、選択信号を光選択部12に出力する。
指向装置18は、制御信号に従って回転ステージに付加されているモータ等を駆動することで、集光装置11の指向方向θnを制御する。
即ち、集光装置11は、移動体1の物体面を像面に射影する機能を有し、基準となる光軸を備えているので、指向装置18は、集光装置11の光軸を制御装置17から出力された制御信号が示す指向方向θnに合わせることで、集光装置11の指向方向を制御する。
集光装置11は、集光した移動体1の反射光を光選択部12に出力する。
図1に示す光度測定装置10では、集光装置11が、移動体1の反射光を集光している。しかし、移動体1が、自ら光を発している物体であれば、集光装置11が、移動体1の放射光を集光する。
光選択部12は、選択した波長の光、又は、選択した偏光を遮光装置13に出力する。
光選択部12により用いられるフィルタは、例えば、カメラによって一般的に使用される、赤青緑のようなカラーフィルタであってもよいし、公知のジョンソンフィルタ、又は、SDSS(Sloan Digitized Sky Survey)フィルタであってもよい。
光度測定装置10では、移動体1の明るさが分からないため、位置検出器14により検出される移動体1の像が飽和しないように、遮光装置13によって適切な時間Δtだけシャッタが開放される。
指向装置18が、集光装置11の指向方向θnを制御することで、光度測定装置10と移動体1との相対速度を小さくすることができる。指向装置18は、例えば、相対速度を地球の大気揺らぎである1~3秒角と同等の大きさに制御することができる。したがって、遮光装置13は、シャッタの開放時間を変えることで、飽和しないような露光時間を設定することができる。
具体的には、制御装置17が、シャッタの開放時間が短いフレームの光度と、シャッタの開放時間が長いフレームの光度とを比較し、飽和していない方のフレームの開放時間を露光時間に設定すればよい。
なお、光度測定装置10は、移動体1の像が飽和しない範囲で、光選択部12によって選択された光の増幅率を調整するようにしてもよい。
光度は、エネルギーであるため、位置検出器14がCCDのような半導体検出器であれば、電子の数を数えることで得られる。しかしながら、位置検出器14が光にさらされる時間は、シャッタの開放時間によって決まるため、光度の測定精度は、シャッタの開放時間の精度に依存する。また、シャッタの開閉時刻は、移動体1の位置の決定精度に依存する。
撮像時刻tnが、例えば、t1,t2,t3,t4,t5であれば、位置検出器14は、撮像時刻t1,t2,t3,t4,t5の光強度画像を撮像し、撮像時刻t1,t2,t3,t4,t5の光強度画像を処理装置21に出力する。図8には、撮像時刻t1,t2,t3,t4,t5の光強度画像が示されている。
処理装置21は、撮像時刻tn(n=1,・・・,N)の光強度画像に含まれているノイズを除去する等の前処理を実施する。処理装置21は、前処理後の光強度画像から、移動体1の画像上の位置と、移動体1の光度とを算出する。移動体1の画像上の位置は、集光装置11を実現している望遠鏡から移動体1を見た角度に相当する。移動体1の光度は、位置検出器14により受光した光の量に相当する。
処理装置21は、前処理後の光強度画像と、移動体1の画像上の位置と、移動体1の光度とを記録装置20に記録させる。
また、処理装置21は、制御装置17から、第1のステータス情報として、集光装置11の指向方向を示す制御信号と、シャッタの開閉時刻を示す制御信号と、光強度画像の撮像時刻を示す制御信号とを取得する。処理装置21は、前処理後の光強度画像と一緒に、第1のステータス情報を記録装置20に記録させる。
図9は、処理装置21による位置及び光度におけるそれぞれの算出処理等を示すフローチャートである。
まず、処理装置21は、撮像時刻tn(n=1,・・・,N)の光強度画像に対する前処理として、光強度画像に含まれている暗転流ノイズ及び背景光ノイズのそれぞれを除去する処理のほか、周辺光量の減衰等を補正する処理を実施する。
処理装置21は、撮像時刻tnの光強度画像に対する前処理を実施した後、集光装置11の指向方向が位置検出器14の視野中心であると仮定し、位置検出器14の視野角を求める(図9のステップST1)。
位置検出器14の1画素当りの視野角αは、撮像時刻tnの光強度画像における1画素の大きさpと、集光装置11の焦点距離fとから算出できる。α=tan-1(p/f)
したがって、位置検出器14の上下方向の視野角は、1画素当りの視野角αを光強度画像の上下方向の画素数倍することで算出できる。また、位置検出器14の左右方向の視野角は、1画素当りの視野角αを光強度画像の左右方向の画素数倍することで算出できる。
1つ以上の明点の集まり(以下「明点群」という)は、移動体1を表している可能性があるものの、移動体1の背景として恒星が光強度画像に映っていれば、明点群は、恒星を表している可能性もある。したがって、光強度画像に含まれている複数の明点群のそれぞれは、移動体1又は恒星のいずれかと対応している。
処理装置21は、明点群として、撮像時刻tnの光強度画像に含まれている複数の画素の中で、画素値が閾値以上である画素の集まりである画素群を検出する。処理装置21は、明点群である画素群の位置と光度とを求める(図9のステップST2)。閾値は、0よりも大きく、画素値の最大値よりも小さい値である。
撮像時刻tnの光強度画像に含まれている明点群の広がりは、集光装置11の大きさが有限であれば、回折限界で広がりを有する。実際には、大気の揺らぎによる広がりのほかに、シーイングの影響による広がりがあるため、移動体1が小さい場合に写る明点群は、回折限界よりも広がる。
このように明点群は、広がりを有するため、処理装置21は、明点群の位置として、例えば、広がりの重心位置を求める。また、処理装置21は、明点群の光度として、広がりに含まれている複数の画素の画素値の和を求める。
また、処理装置21は、恒星データ記憶部73に記憶されている恒星情報が示す恒星の明るさがカタログ等級で表されていれば、明点群の光度をカタログ等級の明るさに変換する。
カタログ等級は、明るさが100倍になると、-5等級になることが定義されている。このため、明点群の光度がF、カタログ等級がm、露光時間がTであるとすれば、カタログ等級mは、以下の式(1)又は式(2)のように表される。
m=-2.5log10(F/T)+m_zero (1)
m=-2.5log10(F)+m_zero’ (2)
m_zero’=m_zero+2.5log10(T) (3)
式(1)及び式(2)において、m_zero及びm_zero’のそれぞれは、機械等級である。
式(1)と式(2)との違いは、露光時間Tの影響を考慮して、ゼロ点がシフトされているだけの違いである。
m_zero = < v-2.5log10(F)> (4)
m_zero = < v-m > (5)
式(4)及び式(5)において、<□>は、□の平均の算出処理を意味する数学記号である。
ここでは、平均の算出処理を行うことで、機械等級m_zeroが算出されている。しかし、これは一例に過ぎず、例えば、中央値の算出処理を行うことで、機械等級m_zeroが算出されるものであってもよい。
処理装置21は、位置の比較結果及び光度の比較結果のそれぞれに基づいて、恒星に対応している明点群を特定することで、移動体1に対応している明点群を特定する(図9のステップST3)。
即ち、処理装置21は、撮像時刻tn(n=1,・・・,N)の光強度画像に含まれている複数の明点群の中で、恒星に対応している明点群以外の明点群を、移動体1に対応している明点群とする。
恒星に対応している明点群を特定する処理自体は、公知の処理である。明点群を特定する処理としては、例えば、SSD(Sum of Squared Difference)法、SAD(Sum of Absolute Difference)法、相互相関法(Cross Correlation)、正規化相互相関(NCC:Normalized Cross Correlation)法、零平均正規化相互相関(ZNCC:Zero means Normalized Cross Correlation)法、又は、位相限定相関(POC:Phase-Only Correlation)法を用いることができる。
また、処理装置21は、撮像時刻tnの光強度画像に含まれている複数の明点群の中で、移動体1に対応している光度変換後の明点群の光度を、移動体1の光度として、記録装置20に記録させる(図9のステップST4)。記録装置20に記録される移動体1における撮像時刻t1,・・・,tNの光度は、移動体1の光度の時間的な変化を示す第1の光度曲線に相当する。
図8の例では、撮像時刻t1,t2,t3,t4,t5における5つの光強度画像が得られているので、5つの光強度画像のそれぞれに含まれている明点群のうち、移動体1に対応している明点群の光度が、移動体1の光度として、記録装置20に記録される。
通信装置41は、撮像時刻tnのときのコマンドを信号送信部42及び制御装置46のそれぞれに出力する。
信号送信部42は、撮像時刻tnのときのコマンドに対する変調処理等を実施することで、撮像時刻tnのときのコマンドを示す送信信号を生成する。飛翔体2との通信が可能な波長帯が、例えば、Xバンド、又は、Sバンドであれば、信号送信部42は、Xバンドの送信信号、又は、Sバンドの送信信号を生成する。
信号送信部42は、撮像時刻tnのときの送信信号をアンテナ43に出力する。
制御装置46は、撮像時刻tnのときのコマンドに従ってアンテナ43の指向方向を示す制御信号を指向装置47に出力する。
指向装置47は、制御装置46から出力された制御信号に従って回転ステージに付加されているモータ等を駆動することで、アンテナ43の指向方向を制御する。
飛翔体2は、アンテナ43から放射された電波を受信すると、電波から送信信号を復調し、撮像時刻tnのときの送信信号が示すコマンドに従って、飛翔体2の姿勢として、撮像装置3の指向方向を制御する。
即ち、飛翔体2は、撮像時刻tnのときのコマンドに従って、撮像装置3を移動体1が存在している方向に向ける。
その後、撮像装置3は、時刻がtnのときに、移動体1を撮像する。飛翔体2は、図8に示すような、撮像時刻tnの撮像画像を示す画像データに係る電波を地上局40に送信する。
アンテナ43は、飛翔体2から、撮像時刻tnの撮像画像を示す画像データに係る電波を受信し、電波の受信信号を信号受信部44に出力する。
信号受信部44は、受信信号から、撮像時刻tnの撮像画像を示す画像データを復調し、画像データを記録装置45に記録させる。また、信号受信部44は、画像データと一緒に、撮像装置3の指向方向及び撮像装置3の撮像時刻のそれぞれを示す第2のステータス情報を記録装置45に記録させる。
通信装置41は、記録装置45に記録された画像データ及び第2のステータス情報のそれぞれを、計画装置30の通信装置31を介して、形状姿勢推定装置50に送信する。
図10及び図11は、形状姿勢推定装置50の処理手順である形状姿勢推定方法を示すフローチャートである。
図12は、形状姿勢推定装置50の処理内容を示す説明図である。
以下、形状姿勢推定装置50による形状及び姿勢の推定処理を具体的に説明する。
光度曲線取得部54は、第1の光度曲線を形状姿勢推定部58に出力する。
撮像画像取得部55は、画像データ及び第2のステータス情報のそれぞれをモデル生成部56に出力する。
また、撮像画像取得部55は、通信装置55aを用いて、軌道上物体データ記憶部72から、通信線路74を介して、移動体1の軌道を示す第1の軌道データと、飛翔体2の軌道を示す第2の軌道データとを受信する。さらに、撮像画像取得部55は、通信装置55aを用いて、恒星データ記憶部73から、通信線路74を介して、恒星情報を受信する。
撮像画像取得部55は、第1の軌道データ、第2の軌道データ及び恒星情報のそれぞれをモデル生成部56に出力する。
モデル生成部56は、画像データが示す移動体1の撮像画像(以下「取得撮像画像」という)と、宇宙空間に存在している可能性のある物体の特徴を示す特徴データとを用いて、移動体1のモデルを生成する。
以下、モデル生成部56によるモデルの生成処理を具体的に説明する。
ここでは、モデル生成部56が、複数の形状データが示す物体の形状の中で、撮像時刻t1の取得撮像画像に映っている移動体1の形状と最も類似している物体の形状を検索している。しかし、これは一例に過ぎず、モデル生成部56が、複数の形状データが示す物体の形状の中で、例えば、撮像時刻t2の取得撮像画像に映っている移動体1の形状と最も類似している物体の形状を検索してもよいし、撮像時刻t3の取得撮像画像に映っている移動体1の形状と最も類似している物体の形状を検索してもよい。
また、モデル生成部56は、材料データ記憶部51から、任意の物体の材料の特性を示す材料データを取得する。
モデル生成部56は、取得した形状データ及び材料データのそれぞれを用いて、移動体1のモデルを仮生成する(図10のステップST14)。モデルの形状は、形状データに従って仮生成され、モデルの材料は、材料データに従って仮生成される。
また、モデル生成部56は、第2の軌道データに基づいて、撮像装置3の撮像時刻tnにおける飛翔体2の位置x2(tn),y2(tn),z2(tn)を特定する。
また、モデル生成部56は、恒星情報に基づいて、撮像時刻tnにおける照明光源の位置x3(tn),y3(tn),z3(tn)を特定する。
モデル生成部56は、上記の照明条件の下で、位置x2(tn),y2(tn),z2(tn)に存在している飛翔体2の撮像装置3によって、移動体1のモデルが撮像される撮像画像(以下「模擬撮像画像」という)を模擬する照明解析処理を行う(図10のステップST15)。照明解析処理は、照明光源が光を移動体1に照射しているときに、撮像画像を模擬するコンピュータシミュレーションである。
モデル生成部56は、移動体1が例えば人工衛星であれば、人工衛星に実装されている太陽電池パネルの法線が太陽の方向を向くように、モデルの形状を調整し、人工衛星に実装されているアンテナの指向方向が地球の中心方向を向くように、モデルの姿勢を調整する。
即ち、モデル生成部56は、第2のステータス情報が示す撮像装置3の指向方向が撮像装置3の視野中心であると仮定し、撮像装置3の視野角を求める。撮像装置3の視野角は、位置検出器14の視野角と同様に求められる。モデル生成部56は、撮像装置3の視野角が分かれば、移動体1の見かけの位置を求めることができる。この場合、モデル生成部56は、撮像時刻tn(n=1,・・・,N)の模擬撮像画像に映っている移動体1のモデルの姿勢が、見かけの位置に存在している移動体1の姿勢と一致するように、姿勢調整処理を行う。
次に、モデル生成部56は、画像データが示す撮像時刻tn(n=1,・・・,N)の取得撮像画像と、撮像時刻tnにおける姿勢調整処理後のモデルの模擬撮像画像との相関度を算出する(図10のステップST17)。
モデル生成部56による相関度の算出に際し、モデル生成部56が、模擬撮像画像に対する公知のlog-polar変換、あるいは、公知のFourier-Mellin変換を行い、その後、取得撮像画像と変換後の模擬撮像画像との相関処理を行えば、模擬撮像画像の回転及び倍率のそれぞれを算出することができる。並進に関しては、モデル生成部56が、ピクセル画像の相関処理を行えばよい。いずれの相関処理においても、相関度の算出処理方法としては、例えば、SSD法、SAD法、相互相関法、NCC法、ZNCC法、又は、POC法を用いることができる。
モデル生成部56は、撮像時刻tnの取得撮像画像と姿勢調整処理後のモデルの模擬撮像画像との相関度が閾値以下であれば(図10のステップST18:NOの場合)、撮像時刻tnの取得撮像画像と姿勢調整処理後のモデルの模擬撮像画像との相関が低いと判定する。
モデル生成部56は、撮像時刻tnの取得撮像画像と姿勢調整処理後のモデルの模擬撮像画像との相関度が閾値よりも大きくなるまで、照明解析処理、姿勢調整処理、相関度の算出処理、相関の判定処理及び材料変更処理を繰り返し行う(図10のステップST15~ST19)。
モデル生成部56は、撮像時刻tnの取得撮像画像と姿勢調整処理後のモデルの模擬撮像画像との相関が高いと判定すれば、撮像時刻tnにおける材料変更後のモデル(以下「生成モデル」という)を光度曲線算出部57及び形状姿勢推定部58のそれぞれに出力する。
また、モデル生成部56は、撮像時刻tnにおける移動体1の位置x1(tn),y1(tn),z1(tn)と、撮像時刻tnにおける照明光源の位置x3(tn),y3(tn),z3(tn)とを光度曲線算出部57に出力する。
また、光度曲線算出部57は、モデル生成部56から、撮像時刻tnにおける移動体1の位置x1(tn),y1(tn),z1(tn)と、撮像時刻tnにおける照明光源の位置x3(tn),y3(tn),z3(tn)とを取得する。
光度曲線算出部57は、撮像時刻tnの生成モデル等を用いて、移動体1の光度の時間変化を示す第2の光度曲線を算出する(図11のステップST20)。
以下、光度曲線算出部57による第2の光度曲線の算出処理を具体的に説明する。
光度曲線算出部57は、上記の照明条件において、撮像時刻tnの生成モデルに対して照明光源からの光が照射されたときの生成モデルの光度の時間的な変化をシミュレーションする。即ち、光度曲線算出部57は、上記の照明条件において、生成モデルに対して照明光源からの光が照射されたときに、光度測定装置10により撮像される光強度画像(以下「模擬光強度画像」という)を模擬する照明解析処理を実施する。
tn=t1,・・・tNについてのN個の光度の時間変化は、第2の光度曲線に相当する。
光度曲線算出部57は、第2の光度曲線を形状姿勢推定部58に出力する。
また、形状姿勢推定部58は、モデル生成部56から、撮像時刻tnの生成モデルを取得する。
形状姿勢推定部58は、第2の光度曲線が第1の光度曲線に近づくように、撮像時刻tnの生成モデルの形状、姿勢及び材料のそれぞれを調整する。
ここでは、形状姿勢推定部58が、生成モデルの形状、姿勢及び材料のそれぞれを調整している。第2の光度曲線が第1の光度曲線に近づけばよいため、形状姿勢推定部58が、生成モデルの形状、姿勢、又は、材料のうちのいずれか1つを変更するものであってもよい。また、形状姿勢推定部58が、生成モデルの材料を調整せずに、生成モデルの形状及び姿勢のそれぞれを調整するものであってもよい。
以下、形状姿勢推定部58による形状、姿勢及び材料の調整処理を具体的に説明する。
ΔL(tn)=L2(tn)-L1(tn) (6)
形状姿勢推定部58は、差分ΔL(tn)の絶対値と閾値ThLとを比較し、差分ΔL(tn)の絶対値が閾値ThLよりも大きければ(図11のステップST22:YESの場合)、撮像時刻tnにおける生成モデルの形状、生成モデルの姿勢、又は、生成モデルの材料を変更する(図11のステップST23)。閾値ThLは、形状姿勢推定部58の内部メモリに格納されていてもよいし、形状姿勢推定装置50の外部から与えられるものであってもよい。
より具体的には、(1)光度曲線に小さい山であるサブピークがあることがある。サブピークは、生成モデルの形状に由来する可能性が高い。例えば、アンテナ等の構造に由来する可能性が高い。このため、形状姿勢推定部58は、生成モデルの形状を優先的に調整する。
(2)光度曲線のピークが左右にずれていることがある。左右のずれは、生成モデルの姿勢に由来する可能性が高い。このため、形状姿勢推定部58は、生成モデルの姿勢を優先的に調整する。
(3)全体的なピーク及びサブピークのそれぞれが一致したら、形状姿勢推定部58は、生成モデルの材料を調整する。
(4)最後に、形状姿勢推定部58は、生成モデルの形状、姿勢及び材料のそれぞれを微調整する。
撮像時刻tnにおける生成モデルの形状、生成モデルの姿勢、又は、生成モデルの材料を変更する処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略するが、生成モデルの形状の変更処理としては、例えば、生成モデルの形状を、形状データ記憶部52に記憶されている他の物体の形状に変更する処理を用いることができる。また、生成モデルの姿勢の変更処理としては、例えば、生成モデルの姿勢である指向方向を、事前に設定されている角度だけ変更する処理を用いることができる。また、生成モデルの材料の変更処理としては、例えば、生成モデルの材料を、材料データ記憶部51に記憶されている他の物体の材料に変更する処理を用いることができる。
形状姿勢推定部58は、L2(tn)<L1(tn)であれば、撮像時刻tnの移動体1の光度L2(tn)が大きくなるように、撮像時刻tnにおける生成モデルの形状、生成モデルの姿勢、又は、生成モデルの材料を変更する。
差分ΔL(tn)の絶対値が閾値ThL以下になるまで、第2の光度曲線の算出処理、差分の算出処理、比較処理及びモデルの変更処理が繰り返し行われる(図11のステップST20~ST23)。
形状姿勢推定部58は、変更処理が完了した生成モデルから、移動体1の形状及び姿勢のそれぞれを推定する(図11のステップST24)。
形状姿勢推定部58は、例えば、撮像時刻tnにおける移動体1の形状の推定結果として、変更処理が完了した撮像時刻tnの生成モデルの形状を示す形状データを外部に出力する。
形状姿勢推定部58は、例えば、撮像時刻tnにおける移動体1の姿勢の推定結果として、変更処理が完了した撮像時刻tnの生成モデルの姿勢を示す姿勢データを外部に出力する。
移動体1が例えば人工衛星であれば、形状姿勢推定部58が、移動体1に実装されているアンテナの指向方向、あるいは、移動体1に実装されている太陽電池パネルの法線方向を、モデルの姿勢としてもよい。アンテナの指向方向等は、モデルの画像を解析することで求まる。
また、移動体1が例えば隕石であれば、形状姿勢推定部58が、隕石の重心線の方向を、モデルの姿勢としてもよい。隕石の重心線の方向は、モデルの画像を解析することで求まる。
図2に示す光度測定装置10では、光選択部12が、集光装置11により集光された光の中から、1つの波長の光、又は、1つの偏光を選択している。
実施の形態2では、光選択部12が、集光装置11により集光された光の中から、M(Mは、2以上の整数)個の波長の光、又は、M個の偏光を選択する光度測定装置10について説明する。
実施の形態2に係る形状姿勢推定システムに含まれる光度測定装置10の構成は、実施の形態1に係る形状姿勢推定システムに含まれる光度測定装置10の構成と同様であり、実施の形態2に係る形状姿勢推定システムに含まれる光度測定装置10を示す構成図は、図2である。
実施の形態2に係る形状姿勢推定システムに含まれる計画装置30の構成は、実施の形態1に係る形状姿勢推定システムに含まれる計画装置30の構成と同様であり、実施の形態2に係る形状姿勢推定システムに含まれる計画装置30を示す構成図は、図3である。
実施の形態2に係る形状姿勢推定システムに含まれる地上局40の構成は、実施の形態1に係る形状姿勢推定システムに含まれる地上局40の構成と同様であり、実施の形態2に係る形状姿勢推定システムに含まれる地上局40を示す構成図は、図4である。
実施の形態2に係る形状姿勢推定装置50の構成は、実施の形態1に係る形状姿勢推定装置50の構成と同様であり、実施の形態2に係る形状姿勢推定装置50を示す構成図は、図5である。
図14は、実施の形態2に係る形状姿勢推定装置50の処理内容を示す説明図である。
実施の形態2に係る形状姿勢推定システムでは、光度測定装置10の制御装置17は、太陽光に含まれている複数の波長の光の中から、選択対象の波長をM個決定し、M個の波長を示す選択信号を光選択部12に出力する。
光選択部12は、太陽光に含まれている複数の波長の光の中から、制御装置17から出力された選択信号が示すM個の波長の光を順番に選択し、選択したそれぞれの波長の光を、遮光装置13を介して、位置検出器14に出力する。
位置検出器14は、遮光装置13を透過してきたそれぞれの波長の光を検出して、移動体1が映っている光強度画像を撮像する。
通信装置31は、選択信号を含むコマンドを地上局40に出力する。
飛翔体2は、アンテナ43から放射された電波を受信すると、電波から送信信号を復調し、撮像時刻tnのときの送信信号が示すコマンドに従って、飛翔体2の姿勢として、撮像装置3の指向方向を制御する。
撮像装置3は、時刻がtnのときに、移動体1を撮像する。
撮像装置3は、例えば、フィルタホイールを備えている。フィルタホイールは、コマンドに含まれている選択信号に従って、通過させる波長の光を変更する。撮像装置3は、フィルタホイールを用いて、撮像時刻tnの撮像画像から、それぞれの波長の光で表されている撮像画像をM個生成する。
飛翔体2は、図13に示すように、撮像時刻tnにおけるM個の撮像画像を示す画像データに係る電波を地上局40に送信する。
これにより、地上局40の記録装置45には、撮像時刻tnにおけるM個の撮像画像を示す画像データが記録される。
モデル生成部56は、地上局40の記録装置45に記録されている撮像時刻tn(n=1,・・・,N)における波長m(m=1,・・・,M)の取得撮像画像と、撮像時刻tnにおける波長mの模擬撮像画像との相関度を算出する。
モデル生成部56は、撮像時刻tnにおける波長mの取得撮像画像と撮像時刻tnにおける波長mの模擬撮像画像との相関度が閾値よりも大きくなるまで、照明解析処理、姿勢調整処理、相関度の算出処理、相関の判定処理及び材料変更処理を繰り返し行う。
モデル生成部56は、波長mの取得撮像画像と波長mの模擬撮像画像との相関が高いと判定すれば、相関が高いときの移動体1のモデルを光度曲線算出部57及び形状姿勢推定部58のそれぞれに出力する。
形状姿勢推定部58は、図14に示すように、波長m(m=1,・・・,M)の第2の光度曲線が波長mの第1の光度曲線に近づくように、移動体1のモデルの形状、姿勢及び材料のそれぞれを調整する。
撮像時刻tn(n=1,・・・,N)における移動体1の形状は、光の波長が異なっても、変化しない。しかし、光の波長が異なれば、移動体1における光の反射率が異なるため、撮像時刻tn(n=1,・・・,N)におけるM個の取得撮像画像に映っている移動体1の形状は、互いに異なることがある。このため、波長m毎に、モデルの材料を変更することで、移動体1のモデルを高精度に生成することができる。
Claims (6)
- 監視対象の移動体の光度を測定する光度測定装置から、前記光度の時間的な変化を示す第1の光度曲線を取得する光度曲線取得部と、
前記移動体を撮像する撮像装置を実装している飛翔体から、前記撮像装置による前記移動体の撮像画像を取得する撮像画像取得部と、
前記撮像画像取得部により取得された移動体の撮像画像と、宇宙空間に存在している可能性のある物体の特徴を示す特徴データとを用いて、前記移動体のモデルを生成するモデル生成部と、
前記モデル生成部により生成された移動体のモデルに対して照明光源からの光が照射されたときの前記モデルの光度の時間的な変化をシミュレーションし、前記モデルの光度の時間的な変化を示す第2の光度曲線を出力する光度曲線算出部と、
前記光度曲線取得部により取得された第1の光度曲線と前記光度曲線算出部から出力された第2の光度曲線とに基づいて、前記モデルの形状及び姿勢のそれぞれを調整し、調整後のモデルから、前記移動体の形状及び姿勢のそれぞれを推定する形状姿勢推定部と
を備えた形状姿勢推定装置。 - 前記形状姿勢推定部は、
前記光度曲線算出部から出力された第2の光度曲線が前記光度曲線取得部により取得された第1の光度曲線に近づくように、前記モデルの形状及び姿勢のそれぞれを調整することを特徴とする請求項1記載の形状姿勢推定装置。 - 前記形状姿勢推定部は、
前記第2の光度曲線が前記第1の光度曲線に近づくように、前記モデルの形状、姿勢及び材料のそれぞれを調整することを特徴とする請求項2記載の形状姿勢推定装置。 - 光度曲線取得部が、監視対象の移動体の光度を測定する光度測定装置から、前記光度の時間的な変化を示す第1の光度曲線を取得し、
撮像画像取得部が、前記移動体を撮像する撮像装置を実装している飛翔体から、前記撮像装置による前記移動体の撮像画像を取得し、
モデル生成部が、前記撮像画像取得部により取得された移動体の撮像画像と、宇宙空間に存在している可能性のある物体の特徴を示す特徴データとを用いて、前記移動体のモデルを生成し、
光度曲線算出部が、前記モデル生成部により生成された移動体のモデルに対して照明光源からの光が照射されたときの前記モデルの光度の時間的な変化をシミュレーションし、前記モデルの光度の時間的な変化を示す第2の光度曲線を出力し、
形状姿勢推定部が、前記光度曲線取得部により取得された第1の光度曲線と前記光度曲線算出部から出力された第2の光度曲線とに基づいて、前記モデルの形状及び姿勢のそれぞれを調整し、調整後のモデルから、前記移動体の形状及び姿勢のそれぞれを推定する
形状姿勢推定方法。 - 監視対象の移動体の光度を測定する光度測定装置と、
前記移動体の形状及び姿勢のそれぞれを推定する形状姿勢推定装置とを備え、
前記形状姿勢推定装置は、
前記光度測定装置から、前記光度の時間的な変化を示す第1の光度曲線を取得する光度曲線取得部と、
前記移動体を撮像する撮像装置を実装している飛翔体から、前記撮像装置による前記移動体の撮像画像を取得する撮像画像取得部と、
前記撮像画像取得部により取得された移動体の撮像画像と、宇宙空間に存在している可能性のある物体の特徴を示す特徴データとを用いて、前記移動体のモデルを生成するモデル生成部と、
前記モデル生成部により生成された移動体のモデルに対して照明光源からの光が照射されたときの前記モデルの光度の時間的な変化をシミュレーションし、前記モデルの光度の時間的な変化を示す第2の光度曲線を出力する光度曲線算出部と、
前記光度曲線取得部により取得された第1の光度曲線と前記光度曲線算出部から出力された第2の光度曲線とに基づいて、前記モデルの形状及び姿勢のそれぞれを調整し、調整後のモデルから、前記移動体の形状及び姿勢のそれぞれを推定する形状姿勢推定部とを備えている
ことを特徴とする形状姿勢推定システム。 - 前記光度測定装置は、
前記移動体からの光のうち、光度を測定する波長の光、又は、光度を測定する偏光を選択する光選択部を備えており、前記光選択部により選択された波長の光、又は、前記光選択部により選択された偏光の光度を測定することを特徴とする請求項5記載の形状姿勢推定システム。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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PCT/JP2021/037983 WO2023062765A1 (ja) | 2021-10-14 | 2021-10-14 | 形状姿勢推定装置、形状姿勢推定方法及び形状姿勢推定システム |
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