JP7037779B2 - スクリーン印刷方法及びスクリーン印刷装置 - Google Patents

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本発明は、版離れ角度とクリアランスとの変動が大幅に低減されて安定化されたスクリーン印刷方法及びスクリーン印刷装置に関する。
スクリーン印刷法(厚膜印刷法とも称する)は、金属または高分子化合物繊維のメッシュシートで構成されたベースに、感光性樹脂等にて任意のパターンを形成したスクリーン版やメタルマスク(以下スクリーン版と総称する)を用いる。当該スクリーン版の上に、インキまたはペーストを搭載した後、ゴムあるいはプラスチック、金属等で形成されたブレードスキージ(単にスキージとも称する)を用いてスクリーン版の下方側におかれたワーク(被印刷物)に対して、上記形成されている任意のパターン等を押圧転写する。
このようなスクリーン印刷法は、大面積でのパターン形成が比較的低コストで実現できることから、その用途がさらに広がってきている。しかし、スクリーン版と被印刷物との間の距離(クリアランス)が印刷面内で均一である場合に、大きな版サイズであれば、スクリーン版の一端(スキージストロークの押圧開始位置)と他端(スキージストロークの押圧終了位置)とでは、いわゆる”版離れ角度”が無視できない程度に変化する。さらにこれに関連して、スキージストロークの進み具合に連動して版離れ遅れが大きくなっていくことが知られている。
一枚の高品質な印刷物は、最初から最後まで同一条件で同じように印刷できることが求められるところ、スキージの押圧開始位置と押圧終了位置とで版離れ角が異なるものとなると、同一面内印刷物の最初と最後とで印刷条件が異なることになる。すなわち、スクリーン版上をスキージがパターン印刷しながら移動する際に、印刷完了後のスクリーン版が被印刷物から離れる部分が為す角度(版離れ角度)が、スキージが移動するに従って次第に小さくなっていく現象が発生する。
さらに、使用するインキまたはペーストの粘性が大きい場合には、特に版離れ角度が小さくなったスキージストローク終了位置付近において、被印刷物とスクリーン版との離れが悪くなる現象、すなわち版離れの遅れが生じることが知られている。このような版離れの遅れにより、膜厚むら、線幅むら、印圧むら等が発生することから、特に、高品質・高精度・大面積の印刷において問題となっていた。
下記特許文献1には、版離れ性を改善する従来の方法によれば、印刷スタート時のクリアランスは小さくできても版をワークから離すに従ってクリアランスは広がっていくために、版の不可逆的な伸びが発生することは完全には回避できないのみならず、スキージストローク開始位置と終了位置とでクリアランスが大きく異なることになるため印刷時のパターンの歪みが不均一に発生するという新たな問題点が生じることが記載されている。
そして、このような新たな問題点を解決するために、下記特許文献1には、厚膜印刷方法において、スキージ移動中のワークとスクリーン版との間隔を、スキージストロークに連動して、スキージスタート側のスクリーン版の辺とスキージエンド側のスクリーン版の辺との2辺を各々独立に変化させることにより、印刷時の版離れ性を悪化させることなくスクリーン版のスキージによる伸び量の変化を十分に小さく抑えた印刷が可能になり、印刷時のパターン変形や伸縮を軽減させ、歩留まりを向上させることができ、且つスクリーン版の長寿命化が図れることが提案されている。
特開平11-129446号公報
しかし、従来、版離れ角度にフォーカスしてこれをスキージ移動中に一定にするように制御しようとすればクリアランスが変化するものとなり、逆に、クリアランスにフォーカスしてこれをスキージ移動中に一定にするように制御しようとすれば版離れ角度が変化するものとなり、両者のバランスを高い品質を得られるように充足する印刷方法は知られていない。仮に、版離れを向上させることを企図してクリアランスを大きく設定(典型的には版離れ角を増大)すれば、スクリーン版が伸びてスクリーン版の張力負荷が過剰に大きくなることは避けられず、スクリーン版の消耗が激しくなってその耐用寿命に大きく影響する。
このため、より高い品質で耐用寿命の長いスクリーン印刷を実現するためには、スキージの移動中に当該印刷面内において、クリアランスを一定に保つことが好ましく、さらに版離れ角度についても変動を抑制して安定化したスクリーン印刷方法とすることが好ましい。このような印刷により版離れ遅れも改善されることが期待できる。
本発明は上述の問題点に鑑み為されたものであり、スキージの移動中に当該印刷面内において、版離れ角度とクリアランスとの変動が大幅に低減されて安定化されたスクリーン印刷方法を実現することを目的とする。さらに好ましくはクリアランスを一定に保ちつつ、さらに版離れ遅れの増大を抑制して安定化した高品質なスクリーン印刷方法及びスクリーン印刷装置を実現することを目的とする。
本発明のスクリーン印刷方法は、スキージがスクリーン版を押圧移動する間、スキージの直下の被印刷物とスクリーン版との間のクリアランスを常に一定に維持し、かつ、スクリーン版のスキージの押圧移動開始側辺が、スクリーン版のスキージの押圧移動終了側辺よりも高く位置する状態を維持し、かつ、スクリーン版のスキージの押圧移動開始側辺と、スクリーン版のスキージの押圧移動終了側辺と、を共に、スキージの押圧移動に連動させて、上方に移動させることを特徴とする。
本発明のスクリーン印刷方法は、好ましくはスキージの押圧移動開始時点において、スクリーン版のスキージの押圧移動開始側辺がスキージの押圧移動終了側辺よりも高い高さに配置され、さらに好ましくは、スキージの押圧移動終了側辺とスキージの押圧移動開始側辺とを結ぶ側面視における直線は、直線の押圧移動終了側辺の外側に延伸された線上の一点を支点として、スキージの押圧移動に連動して上方に回動することを特徴とする。
スキージの移動中に当該印刷面内において、版離れ角度とクリアランスとの変動が大幅に低減されて安定化されたスクリーン印刷方法を実現できる。また、さらに好ましくはクリアランスを一定に保ちつつ、版離れ遅れを減少し、さらにその増大を抑制して安定化した高品質なスクリーン印刷方法及びスクリーン印刷装置を実現できる。
本発明の好ましい実施態様の一つとしての典型的なスクリーン印刷方法を例示して説明する概念図である。 (a)は、従来のスクリーン印刷方法における、スキージの移動量(横軸)に対する、版離れ角度(arctan)(右縦軸)の変化及びクリアランス量の一定性(左縦軸)を示す図であり、(b)は、本実施形態のスクリーン印刷方法におけるスキージの移動量(横軸)に対する、版離れ角度(arctan)(右縦軸)の変化及びクリアランス量の一定性(左縦軸)を示す図である。 (a)は、横軸をスキージのストローク量として、縦軸を版離れ角度θ(arctan)として、CL(支点の被印刷物平面からの高さ)及びPO(支点からスクリーン版の傾斜によるA位置までの高さ)を6通りに変化させた場合について説明するグラフであり、(b)は、(a)の各条件計6通り時のそれぞれについて版離れ遅れの大きさを説明する表である (a)はスクリーン印刷機の3種類のタイプについて説明する図であり、(b)はフラットヘッド型スクリーン印刷機の代表的な四パラメータについて説明する図である。 本実施形態で示すスクリーン印刷方法と従来の印刷方法とによる版離れ遅れの程度を比較実験した結果イメージを説明する図面代用写真である。 本実施形態で示すスクリーン印刷方法と従来の印刷方法とによる版離れ遅れの程度を比較実験した結果イメージを説明する図面代用写真である。 本実施形態で示すスクリーン印刷方法と従来の印刷方法とによる版離れ遅れの程度を比較実験した結果イメージを説明する図面代用写真である。 (a)はスクリーン印刷における版離れの機構概要を説明する概念模式図であり、(b)は従来の一定のクリアランス量Clを設定してスキージでスクリーン版を押し下げてストロークして印刷する態様を説明する概念模式図である。 (a)はスキージストローク開始位置Aから75mm毎に進んだ位置をB,C,D,E,F,Gとして各位置での従来印刷方法における版離れ角度θのarctanを示す図であり、(b)はスキージのストロークに同期させてスクリーン版の押圧移動開始側辺1000sを支点4000を支点として上昇させ、スキージ接触位置でのクリアランス量を常に一定になるように制御した場合の、各位置での版離れ角度θのarctanを示す表であり、(c)は本実施形態によるクリアランス量を、2.8mm、2.6mm、2.4mm、2.2mm、2.0mmとして、スキージ速度50mm/秒で印刷した際のパターン中央部と刷り終り部の版離れの遅れ量(cm)と併せて示しているものである。 は、版離れ角度(θ)とスキージストローク位置でのクリアランス量の変化をあらわすものであり、(a)は一般に使用されている一般のピールオフ(版離れ)装置によるもので、刷初めのクリアランスを2.0mmとして、スキージ移動に同期させ、等速でスクリーン枠片側を3.0mmリフトアップした時の、実際のクリアランス量と版離れ角度の変化の図であり、(b)はクリアランス3.0mmでの通常の印刷の時のものであり、(c)は本実施形態でクリアランスを3.0mm維持するようにした場合の図であり、(d)は本実施形態で、クリアランス量を4.5mm維持にした場合の図であり、スクリーン版のテンションが低い場合には、所定の反発力を得るために、クリアランス量を標準よりも大きく設定する必要があることを示す図である。 は本実施形態のスクリーン印刷方法における、支点を水平方向に実施形態の位置に対して変位させた場合の版離れ角度(θ)の変化程度を説明する図である。
本実施形態で説明するスクリーン印刷方法等は、クリアランス量を印刷面全面で常に実質的に一定の状態で、版離れ角度を角度arctan0.008以上を維持して印刷することで、印刷品質と均一性を向上させることができるものである。スクリーン版と印刷される基材(被印刷物)との間に隙間(クリアランス)設定するフラットベッドでのスクリーン印刷では、印刷時のスクリーン版の反発力を一定にするためにスクリーン枠内寸の60%以内での印刷が望ましいとされている。
しかしながら、現実のスクリーン印刷では、スキージストロークの中盤から後半にかけて版離れの遅れが増大する現象が出現し、印刷均一性を損なうことが多いことが知られている。これは、スクリーン印刷特有の原理的な最大の短所であると考えられてきた。印刷装置側の対策として、スキージの押圧移動に同期させて、スクリーン枠の片側をリフトアップさせる版離れ促進制御が用いられることがあるが、実質のクリアランス量を増加させることになる。これにより、スクリーン版の伸展量が増大するので、スクリーン版へのダメージや消耗を増すことになり、寸法安定性や版のテンション低下の不具合を引き起こし、根本的な解決策とはなっていない。
スクリーン印刷における版離れの遅れは、スクリーン版の反発力のみならず、スキージ接触位置後方の「版離れ角度」にも大きな影響を受けていると考えることができる。通常のフラットベッドのスクリーン印刷で標準的な版テンション、クリアランス量で印刷した場合の「版離れ角度」は、図2(a)に示すように刷り初めの角度arctanは、0.20であるが、中央部では0.07、刷り終り部では、0.004と非常に小さくなっており、これが印刷後半での版離れの遅れの増大現象の大きな原因であると考えることができる。図2(a)は、従来のスクリーン印刷方法における、スキージの移動量(横軸)に対する、版離れ角度(arctan)(右縦軸)の変化及びクリアランス量の一定性(左縦軸)を示す図である。
本実施形態で示すスクリーン印刷方法では、実質のクリアランス量を変えずに、刷り始めから刷り終りまでの印刷部全面において版離れの角度arctanを0.008以上に維持できることを特徴としたスクリーン印刷方法である。本方法を使用した一例を示す図2(b)では、版離れ角度(arctan)が、刷り始め部は0.023であり、印刷中央部で0.011、後半の最小部で0.010である。図2(b)は、本実施形態のスクリーン印刷方法におけるスキージの移動量(横軸)に対する、版離れ角度(arctan)(右縦軸)の変化及びクリアランス量の一定性(左縦軸)を示す図である。なお、図2(b)のグラフ下方に記載の”MSモードクリアランス3mm維持”とは本実施形態にかかるスクリーン印刷方法をクリアランス量3mm維持にて実施したモードを示すものである。
実際のスクリーン印刷テストでは、通常の印刷時のクリアランス量に対して、その約35%低減した場合(すなわちクリアランス量を従来の65%まで低減した本実施形態の印刷方法の場合)に、中央部の版離れの遅れが従来と同一となった。換言すれば、版離れ遅れ程度を従来並みとする場合には、クリアランス量を従来の65%程度にまで低減した本実施形態の印刷方法にできるものである。従って、クリアランス量を低減することに対応してスクリーン版の伸展量が低減されるので、そのダメージや消耗が抑えられてコストの低減やメンテナンスの容易性、スループット向上が期待できるものとなる。
さらに、本実施形態のスクリーン印刷方法では、現実の版離れの遅れ程度も中央部から刷り終り部まで略一定であり、スキージの移動量とともに増加することがないため印刷の均一性が向上したものとなる。つまり、本実施形態で説明するスクリーン印刷方法を採用することで、スクリーン版にダメージを与えないで、通常のスクリーン印刷でのクリアランス量で1.5倍相当の版離れ量を実現でき(すなわち版離れが良くなる)、さらに印刷後半部での版離れの遅れの増大を回避して、印刷均一性を向上できるものとなる。また、本方法により、スクリーン版と被印刷物の間にクリアランスを設定する、いわゆるオフコンタクト方式であるスクリーン印刷における原理的な短所を解消できるものとなる。
図1は、本発明の好ましい実施態様の一つとしての典型的なスクリーン印刷方法を例示して説明する概念図である。図1に示すように、本実施形態の典型例のスクリーン印刷方法では、当初スキージ2000がAの位置において押圧摺動開始する場合についてスキージ2000Aとして示している。また、スキージ2000がGの位置において押圧摺動終了する場合についてスキージ2000Gとして示している。
図1に示すように、スキージ2000は、Aの位置からB,C,D,E,Fと順次に紙面右から左へとスクリーン版1000を被印刷物3000へ押圧しながら摺動移動し、Gの位置において移動終了する。スクリーン版1000は、スキージ2000がAの位置で押圧移動開始する場合にはスクリーン版1000Aの位置(3次元配置のみならず配向や傾き等も含む)に配置されて、クリアランス5000が間隔Tに保たれる。クリアランス5000は、スキージ2000の押圧箇所におけるスクリーン版1000と被印刷物3000との間隔Tである。
また、スクリーン版1000は、スキージ2000がGの位置で押圧移動終了する場合にはスクリーン版1000Gの位置に配置されて、クリアランス5000が間隔Tに保たれる。そして、スキージ2000が、Aの位置からB,C,D,E,F,Gへと移動する間において、常に、クリアランス5000が間隔Tに維持されて一定に保持されるように、スクリーン版1000が位置制御される。
また、図1に示すスクリーン印刷方法では、スキージ2000が押圧移動する当該印刷の間、常に、スクリーン版1000の紙面右端に示す押圧移動開始側辺1000sが、スクリーン版1000の紙面左端に示す押圧移動終了側辺1000eよりも高い位置を維持するように位置制御される。さらにこのようなスクリーン版1000の位置制御は、非等速制御となるものである。すなわち、押圧移動開始側辺1000sは非等速で印刷の間に上方へ移動制御されるものとなり、押圧移動終了側辺1000eも非等速で印刷の間に上方へ移動制御されるものとなる。
また、上述の制御ファクターに加えて、スキージ2000は、印刷の間、常に、版離れ角度θが一定以上となるように制御されるものであり、好ましくは版離れ角度θがarctan0.008以上となるように位置制御される。すなわち、図1に示すスクリーン版1000Aの版離れ角度θはarctan0.008以上であり、かつ、スクリーン版1000Gの版離れ角度θもarctan0.008以上であり、スキージ2000がA~Gへ移動する間において、常に、版離れ角度θがarctan0.008以上となるように位置制御される。なお、スキージ2000は通常の技術常識として一般的なスクリーン印刷同様に、例えば50~600mm/秒の範囲内として等速制御されるものとする。
また、図1に示すスクリーン印刷方法の好ましい一態様においては、スクリーン版1000の押圧移動開始側辺1000sから押圧移動終了側辺1000eへと延伸した延伸直線が、被印刷物3000が載置される平面と交わる交点を支点4000として、スクリーン版1000全体を上方へ非等速制御で、上述した各条件を満足させるように移動させるものとできる。すなわち、この場合には支点4000とスクリーン版1000の押圧移動開始側辺1000sと押圧移動終了側辺1000eとが常に一直線に維持され、かつスキージ2000押圧箇所におけるクリアランス5000も常に一定に維持される。
これにより、クリアランス5000が常に一定の間隔T(典型的には、スクリーン版枠内寸900mmの場合、3mm以上の任意の値)に保持された状態で、かつ、版離れ角度θがarctan0.008以上に保持されるものとなるので、スクリーン版1000の消耗を低減しつつ、版離れ遅れを回避して、高品質で均一な印刷を実現可能となる。従って、上述の制御を実行するための制御装置や制御部を備えるスクリーン印刷機として構成してもよい。
支点4000とスクリーン版1000の押圧移動終了側辺1000eとの間の距離である支点距離6000は、図1におけるスクリーン版1000の左右寸法長さ(押圧移動開始側辺1000sと押圧移動終了側辺1000eとの間隔)が例えば100cmである場合に例えば20cmとすることができる。この100:20の比は、スクリーン版1000の大きさが変更された場合でも適用できるものとなる。
また、図1において支点4000は、被印刷物3000の平面に位置していたが、当該平面より上に嵩上げ配置するものとしてもよい。この場合には、クリアランス5000は、当該支点4000からスクリーン版1000に沿って高さ方向に高くなった相当分と前記嵩上げ配置された高さ相当分との和となる。また、スクリーン版1000は、金属メッシュ(例えばステンレスメッシュ版)、化学繊維マスク(例えばポリエステルメッシュ版)やメタルマスクを利用できる。
(版離れ角度θがarctan0.008以上であることについて)
本実施形態で説明するように、支点4000の位置を0すなわち被印刷物3000と同一平面上から0.5mmずつ上昇させることで、図3に示すように実質のクリアランス量を変えることなく、印刷中の版離れ角度の変化度合いを変えることができる。図3(a)は、横軸をスキージ2000のストローク量として、縦軸を版離れ角度θ(arctan)として、CL(支点4000の被印刷物3000平面からの高さ)及びPO(支点4000からスクリーン版1000Aの傾斜によるA位置までの高さ)を6通りに変化させた場合について説明するグラフであり、図3(b)は、図3(a)の各条件計6通り時のそれぞれについて版離れ遅れ量(cm)を説明する表である。
上述のように図3のCLが被印刷物3000面に対する支点4000の高さであり、印刷初めのスクリーン版1000Aの高さであるPOの数字と加算した値が現実のクリアランス量となる。換言すれば、図1に示す状態において、CLの値相当分だけスクリーン版1000が被印刷物3000に対して嵩上げされた状態での実験結果を示すのが図3である。なお、スクリーン版1000は、図1における位置Aから位置Gまでの長さが600mmのものを使用した。なお、スクリーン版1000の枠外寸は1000mmである。
図3に示す6通りの条件として、第1条件CL=0,PO=3、第2条件CL=0.5,PO=2.5、第3条件CL=1,PO=2、第4条件CL=1.5,PO=1.5、第5条件CL=2,PO=1、第6条件、CL=2.5,PO=0.5の6通りの条件である。いずれの条件においても、CLとPOとの和は3mmであるから、実質のクリアランス量はいずれも3mmで同一であることが理解できる。
この場合において、スクリーン版1000中央部の位置D(スキージストローク300mm)からさらに200mm進行した位置F(スキージストローク500mm)での版離れ角度θ(arctan)は、図3(a)に黒枠で示すように、0.011~0.006まで変化するものとなる。
また、図3に示すそれぞれの場合について版離れ角度θの影響を検証するために、粘度17Pa.SのUVインキを50mm/秒のスキージ速度で印刷した際の版離れの遅れの大きさを6通りについて比較した。内寸900mmのスクリーン枠を使用して、ポリエステルメッシュ250メッシュ、印刷パターンは、幅250mm長さ450mmの長方形とした。
刷り終り部の版離れの遅れは、表のとおりであり、版離れ角度0.007以下では、版離れ遅れが発生し、版離れ遅れが目視によっても確認できた。また、0.008以上では、目視による版離れの遅れは、認められなかった。このことから、版離れ角度をarctan0.008以上にすることが適当であるといえる。なお、インキの粘度がさらに高い場合や、スキージ速度を速くしたい場合でも版離れの遅れを生じさせないためには、版離れ角度arctanを0.010以上にすることが望ましいといえる。
また、図4(a)はスクリーン印刷機の3種類のタイプについて説明する図であり、図4(b)はフラットヘッド型スクリーン印刷機の代表的な四パラメータについて説明する図である。図4(a)に示すように、スクリーン印刷のひとつであるフラットベッド(平台)方式は、平坦なテーブル上に載置された被印刷物に対して平面状スクリーン版をスキージで押圧摺動して印刷する方法である。
また、図4(b)に示すように、シリンダー(曲面)方式は、円筒型にされた被印刷物の円筒側面に対して当該円筒を回転させながら平板上スクリーン版をスキージで押圧して印刷する方法である。この方法においては、スクリーン版が水平方向に往復移動し、スキージは移動せずにその場で押圧するのみであり、円筒型の被印刷物が円筒型にされて、スクリーン版の水平移動に同期して回転することにより、印刷位置が移動するものとなる。
さらに、ロータリースクリーン方式は、平坦テーブル上の被印刷物を移動させながら円筒型スクリーン版が被印刷物に接するようにスキージでその場押圧して、当該円筒型スクリーン版を回転させる印刷方法である。本実施形態においては、典型的にはスキージが摺動して移動するフラットベッド方式を対象としているものである。
また、図4(b)に示すように、フラットベッド方式のスクリーン印刷方法では、一般に、印刷の均一性や品質に大きく影響する主たる四つのパラメータがあることが知られている。図4(b)に説明するAクリアランスは、印刷箇所における被印刷物とスクリーン版との間隔であって、スキージがスクリーン版を押圧して被印刷物に当接するまでの押圧距離である。図4(b)に例示して示すように、スクリーン版が被印刷物と並行に配置されている状態では、スキージの移動や位置に拘わらずクリアランスは印刷動作の間常に一定となる。
また、図4(b)に説明するBスキージ印圧は、スキージがスクリーン版を押圧する力の強さ程度であって、スクリーン版の張架テンションが大きければより大きな押圧力が必要となる。大きすぎる場合には、スクリーン版への負担が大きくなるので、その消耗が大きくなってスクリーン版の耐用寿命に大きな影響を与えるものとなる。
同様に、クリアランスが大きければ被印刷物までの距離が大きくなるので、スキージがスクリーン版をより長い距離だけ押圧して引き下げる必要があることから、スクリーン版への負担が大きくなる。また、スキージ印圧は、被印刷物に印刷されるインキ等の膜厚(印刷されたインキの厚み)にも大きな影響を与え、印刷品質とも密接に関連するものであるが、求められる印刷品質やインキ特性に合わせて適宜調整することが可能である。
また、図4(b)に説明するCスキージ角度も被印刷物に印刷されるインキ等の膜厚や印刷解像性に大きな影響を与えるものとして知られている。さらに、図4(b)に示すDスキージ速度については、これが遅い場合にはインキの滲み、ラインの太りなどの印刷解像性の問題が生じやすく、これが速い場合には、低い粘度のインキやペースト及び高精細パターンにも比較的対応可能となることが知られており、いずれのパラメータも印刷特性に合わせて適宜調整され得るものである。
また、図5乃至図7は、本実施形態で示すスクリーン印刷方法と従来の印刷方法とによる版離れ遅れの程度を比較実験した結果イメージを説明する図面代用写真である。図5乃至図7において、背景白色の黒ドット破線で示すスキージと略平行なラインは、やや不鮮明な生じている版離れ遅れの位置を明確に示すために加筆した明示ラインである。
図5(a)は、クリアランス量を3mmとしスキージ速度を50mm/秒とした従来のスクリーン印刷における版離れ遅れの程度を説明する図であり、上段写真がスキージストロークの中央付近を示し、下段写真がスキージストロークの終了付近を示す図である。図5(a)に示す従来の印刷方法は、スクリーン版を被印刷物から3mm離間させて常に水平に保った状態で、スキージを押圧摺動している。このため、スキージの位置が全600mmのストロークの中央付近から終了時にかけて、版離れ角度θが次第に小さくなるにつれて、版離れ遅れが5cmから12cmまで次第に増大するものとなっている。
また、図5(b)は、当初のクリアランス量を2mmとし、押圧移動開始側辺のみをスキージの50mm/秒での全ストローク600mm移動の間に計3mm上昇させ(通常版離れ制御のピールオフ)た従来の印刷方法の版離れ遅れを説明する図であり、上段写真がスキージストロークの中央付近(約300mm位置)を示し、下段写真がスキージストロークの終了付近(約600mm位置)を示す図である。図5(b)に示す従来の印刷方法は、スクリーン版を被印刷物から当初2mm離間させて常に水平にした状態で、スキージを押圧摺動しながら次第に押圧移動開始側辺のみを等速上昇させている(通常ピールオフ)。このため、印刷中のクリアランス量は変動するものとなり、その最大値は約3mmである。スキージの位置が全600mmのストロークの中央付近から終了時にかけても、版離れ遅れは大凡6cmでほぼ一定で増大は観察されなかった。
また、図6(a)は、本実施形態として図1で説明するスクリーン印刷方法(MSモード)による版離れ遅れを説明する図であって、クリアランスを3mmと維持して、スキージ速度を50mm/秒とした試行実験結果である。図6(a)に示すように、スキージ位置が中央付近であっても終了時近辺であっても、いずれにおいても版離れ遅れは観察されなかった。ここで、本実施形態のスクリーン版は印刷工程中常に傾斜している状態であって水平ではないことから、スキージは当該傾斜したスクリーン版を水平な被印刷物へと垂直下方へ押圧するものとなる。さらに、図6(b)は図6(a)の印刷条件から実質クリアランスのみを2mmへと低減させた状態で試行印刷した結果を示すものである。この場合においてもクリアランスが2mmと小さいにも拘わらず、版離れ遅れはスキージストローク中央付近で5cm程度であって、スキージストローク終了地点においても増大することはなかった。
また、図7は、図6(a)に示す印刷条件からスキージ速度のみを100mm/秒へと2倍に増大させて行った試行結果を説明する図である。通常、従来公知の印刷方法では、スキージ速度を2倍に増やすと版離れ遅れが顕著に出現することが知られている。しかし、本実施形態で示すスクリーン印刷方法においては、図7に示すように、版離れ遅れはスキージストローク中央付近においても終了付近においてもいずれも1cm程度であって小さい値であって、スキージストロークの終了付近でも増大することは観察されなかった。
上述のように、図5に示す従来のスクリーン通常印刷方法や、図5(b)の通常版離れ抑制制御(ピールオフ)での印刷方法よりも、図6及び図7に示す本実施形態のスクリーン印刷方法のほうが版離れ遅れ状態が大きく改善されていることが理解できるものとなっている。
(版離れ角度の版離れ改善効果の検証と最適化)
(概要)
スクリーン印刷における版離れは、印刷プロセスの最適化のための前提条件として、最初に適正化すべき最も重要なメカニズムである。特に粘度が高いインキでのスクリーン印刷などにおいて、印刷パターン中央部から後半にかけて版離れが遅れる現象が観察され、特に、刷り終り部にかけて、版離れの遅れが増大することで印刷品質の不具合を引き起こすことが知られている。
版離れは、スクリーン版の反発力による基材へのインキ転移メカニズムであり、版の張力やクリアランス(スクリーン版と基板間の間隔)の条件のみに大きく影響を受けると考えられてきた。
しかしながら、クリアランスを設定した際のスクリーン版の反発力は、スクリーン枠内寸の50%以内では、ほぼ一定であると考えることができるため、刷り終り部での版離れ遅れの増大現象は、反発力の差だけでは説明を付けることはできない。
本発明者らは、版離れ遅れ増大の原因は、スキージストローク位置での「版離れ角度」が小さくなることであると考え、これを定量的に検証した。さらに、スクリーン印刷における実質クリアランス量を変えずに、「版離れ角度」の変化を最小にする版離れ角度維持モードでの最適化手法を提案する。
(1.はじめに)
スクリーン印刷における版離れとは、図8(a)に示すように、スクリーン版の表面を摺動するスキージが通り過ぎた後、クリアランス量分を押し下げたスクリーン版の反発力で基板に密着したインキから引き剥がすことである。図8(a)は、スクリーン印刷における版離れの機構概要を説明する概念模式図である。
厚みのあるスクリーン版のインキを均一に引き剥がすためには、適度な版離れに要する時間(t)と遅れ(d)が必要となる。適正は版離れの遅れは、数mm以内であり、肉眼で視認することはできない。一般には、この状態が「版離れの遅れがない」状態であり、適正であるとされている。仮に、極端に版離れ時間を短くすると、インキが均一にスクリーン版からは剥がされなくなり、途中でインキがちぎれ、いわゆる「欠け」や「ヌケ」の不具合が発生することがあるため、注意が必要である。
実際の印刷工程で、印刷パターンが大きく、インキの粘度が高くなると版離れに要する時間が長くなる傾向が表れて、「版離れが遅れる」状態となり易い。「版離れの遅れがない」状態にするためには、インキ粘度を低下させたり、スキージ速度を低下させたり、印刷パターンサイズを縮小する等の方法があるが、このような対処方法は印刷解像性や生産性に悪影響を与えるため現実的ではない。
強度の高いスクリーンメッシュを使用して、かつ大きなクリアランス量を設定して版離れ性を改善する方法が有効であるとされているが、これはスクリーン版コストの増加に繋がる。また、「版離れの遅れ」の現象は、印刷パターンの中央部から刷り終り部にかけて増大するが、この原因については、従来、明確には解明されてこなかった。
本発明者らは、版離れが、スクリーン版の反発力のみならず、スキージの後ろでスクリーン版が基板(被印刷物)から離れる「版離れ角度」にも影響を受けると考え、この影響度を定量的に測定することを試みた。併せて、スクリーン版へのダメージを増さずに「版離れの遅れ」を極小にする「版離れ角度」の制御方法を発明し、版離れの改善効果を検証した。
(2.通常従来印刷での版離れ角度と版離れの遅れ)
スクリーン印刷における版離れ特性について、視認可能な「版離れの遅れ」量(遅れ長さ)を測定することで、比較し検討した。通常のスクリーン印刷は、図8(b)に示すようにスクリーン版と被印刷物とを平行に配置して一定のクリアランス量Clを設定し、スキージでスクリーン版を押し下げてストロークして印刷する。
スクリーン枠内寸をFi(例えば900mm)、クリアランス量Cl(例えば3mm)、印刷パターンサイズPa(例えば450mm)、スキージのパターン端からの摺動距離をXとすると、その際の版離れ角度θのarctanは、
Figure 0007037779000001
となる。
スキージストローク開始位置Aから75mm毎に進んだ位置をB,C,D,E,F,Gとすると、版離れ角度θのarctanは図9(a)に示す表のようになる。図9(a)は、スキージストローク開始位置Aから75mm毎に進んだ位置をB,C,D,E,F,Gとして各位置での従来印刷方法における版離れ角度θのarctanを示す図である。スキージのストロークの刷り始め位置Aから中央部位置Dでは、版離れ角度は凡そ1/2の0.007となり、刷り終り位置Gでは凡そ1/3の0.004となっている。
この条件での版離れの遅れを定量的に計測するために現実の印刷を行い、「版離れの遅れ」動画を撮影観察し、版中央部D位置と刷り終わり部G位置での版離れ遅れ量の大きさを比較した。その場合の印刷条件を以下に示す。すなわち、スクリーン版は、ポリエステル250メッシュ、テンション1.3mm(テンションゲージSTG75B)、パターンサイズはストローク方向450mm×幅250mmとした。また、クリアランス量は3.0mmとした。インキは、粘度17Pa.Sの東洋インキ性UV型インキを使用し、スキージは、ミノグループ製ミノプレーン硬度80~85度、印圧は、押込み量で1.5mm、スキージ速度は、50mm/秒とした。
その結果、印刷開始直後から版離れが遅れ始め、中央部D位置では約5cm、刷り終り部位置Gでは約12cmと、スキージのストローク進度に伴い版離れ遅れが増大した。スキージ速度を100mm/秒,150mm/秒と上昇させると、それぞれの版離れの遅れは、8cm乃至15cmと10cm乃至20cmとさらに増大するものとなった。版離れの遅れの増大は、印刷部後半での版離れ角度の急激な減少に起因すると推測できる。
(3.本実施形態の印刷方法での版枠リフトアップ動作)
版離れ特性に対する「版離れ角度」の影響を調べるためには、印刷時のスクリーン版の反発力を一定にして、検証する必要がある。スクリーン版の反発力を一定にするためには、印刷時の実質クリアランス量を一定に維持する必要がある。
このため、図1に示すように実質のクリアランス量を変更しないで、版離れ角度ができるだけ小さくならないように維持するためにスクリーン版枠片端のリフトアップ動作を遂行した。先ず、スクリーン枠の外側200mm位置の支点部(図1の支点4000)をクリアランス量を「0」として、対向端をリフトアップして傾斜状態でスクリーン版を図1のようにセットする。この場合の刷り始めの位置Aの実質クリアランス量を3mmとした。但し、この方法においては、当該スクリーン版枠片端(対向端、支点4000から遠い端)のリフトアップ動作に伴い、スクリーン版枠他端(支点4000から近い端)も自然に少しリフトアップされるものとなる。
印刷実験の際、スキージのストロークに同期させてスクリーン版の片側(図1の押圧移動開始側辺1000s)を支点4000を支点として上昇させ、スキージ接触位置でのクリアランス量を常に一定になるように制御した。この場合の、各位置での版離れ角度θのarctanは図9(b)に示すようになる。図9(b)は、スキージのストロークに同期させてスクリーン版の押圧移動開始側辺1000sを支点4000を支点として上昇させ、スキージ接触位置でのクリアランス量を常に一定になるように制御した場合の、各位置での版離れ角度θのarctanを示す表である。
刷り始めから刷り終りまで、すべて、0.010以上と大きい版離れ角度を維持し、特に中央部位置Dから刷り終りのGまでがほとんど一定であることが理解できる。この条件で印刷し、版離れの遅れを観察・評価し、通常印刷と比較することで、版離れ角度の影響度を定量的に検証することができる。
(4.本実施形態の印刷方法での版離れ遅れの改善)
実質のクリアランス量を通常印刷と同じ、3.0mmとして、スキージ速度50mm/秒で印刷した。版離れの遅れは無く、全く視認できなかった。スキージ速度100/秒でも版離れの遅れは「0」で、150mm/秒で印刷した場合、版離れの遅れは、パターン中央部で2cm、刷り終り部でも2cmで、パターン中央部と刷り終り部で同じ遅れ量であった。
クリアランス量を、2.8mm、2.6mm、2.4mm、2.2mm、2.0mmとして、スキージ速度50mm/秒で印刷した際のパターン中央部と刷り終り部の版離れの遅れ量(cm)と併せて示しているのが図9(c)である。
本実施形態による印刷方法における実質クリアランス2.0mmでのパターン中央部で版離れの遅れ量が、クリアランス量3.0mmの通常印刷と同じであり、本実施形態による印刷方法での版離れ性改善効果は、クリアランス量換算で1.5倍に相当すると言える。さらに、印刷パターン中央部と刷り終り部での版離れの遅れの差が無い事でも「版離れ角度」が版離れ性に大きな影響を与えていることを証明している。
(5.まとめ)
スクリーン版と基板とのギャップを設定して印刷するスクリーン印刷においては、「版離れ角度」が版離れ性に非常に大きな影響を与えることが分かった。通常印刷において、印刷パターン中央部から後半部で、版離れが遅れるのは、「版離れ角度」が小さくなるからであると考えられる。
「版離れ角度」を大きいまま維持できる本実施形態の印刷方法による印刷では、従来の通常印刷方法におけるクリアランス量の1.5倍時での版離れ性に相当する版離れ効果を得ることができた。さらに、印刷パターン中央部と刷り終り部での版離れ性を均一にできることも判明した。
また、本実施形態の印刷方法による印刷では、印刷中の実質クリアランス量を一定に維持しているため、高粘度インキでもスクリーン版へのダメージのリスクがなく均一な版離れを実現できる最適な手法であると考えられる。また、上述したように、本実施形態の印刷方法による印刷では、版離れ角度を一定以上に維持しているため、良好な版離れ特性となる。
(1.版離れ角度)
図10(a)は、通常の版離れ制御での、初期クリアランス2.0mmで3.0mmの等速のリフトアップでの版離れ制御の時の実質のクリアランス量と版離れ角度である。また、図10(b)は、通常のスクリーン印刷でのクリアランス量と版離れ角度である。また、図10(c)は、本実施形態での印刷法で、実質のクリアランス量を3.0mmに維持した場合の実質のクリアランス量と版離れ角度である。また、図10(d)は、本実施形態での印刷法で、実質のクリアランス量を4.5mmに維持した場合の実質のクリアランス量と版離れ角度である。従って、上述の結果から、本実施形態での印刷法で、実質のクリアランス量を一定に維持して、版離れ角度を大きい状態で維持できる事が理解できる。
(2.支点ずらしの影響と効果について)
図11は、本実施形態のスクリーン印刷方法における、支点4000をその高さは変えずに被印刷物3000載置面上として水平方向に変位させた場合の版離れ角度(θ)の変化程度を説明する図である。図11のグラフは、上方から順に、支点距離0mm、本実施形態である支点距離200mm、支点距離300mm、支点距離400mm、支点距離1200mmとなっている。この結果から理解できるように、印刷後半部の版離れ角度の均一性の観点からは、支点距離6000を200mmから400mmの範囲内とするように支点位置を配置することがさらに好ましいことが理解できる。
上述した実施形態で説明したスクリーン印刷方法等は、実施形態での個別説明に限定されるものではなく、本発明の範囲内かつ自明な範囲内で自由にその構成や材料、動作・方法を変更し、組み合わせ適用して実現することが可能である。
本発明は、スクリーン印刷方法における特にフラットベッド方式の印刷に好適である。
1000・・スクリーン版、2000・・スキージ、3000・・被印刷物、4000・・支点、5000・・クリアランス、6000・・支点距離。

Claims (12)

  1. スキージがスクリーン版を押圧移動する間、
    前記スキージの直下の被印刷物と前記スクリーン版との間のクリアランスを常に一定に維持し、かつ、
    前記スクリーン版の前記スキージの押圧移動開始側辺が、前記スクリーン版の前記スキージの押圧移動終了側辺よりも高く位置する状態を維持し、かつ、
    前記スクリーン版の前記スキージの前記押圧移動開始側辺と、前記スクリーン版の前記スキージの前記押圧移動終了側辺と、を共に、前記スキージの押圧移動に連動させて、上方に移動させ、
    側面視において、前記スキージの前記押圧移動開始側辺から前記スキージの前記押圧移動終了側辺へ結ぶ直線は、前記直線の前記押圧移動終了側辺の外側に延伸された当該直線上の一点を支点として、前記スキージの押圧移動に連動して上方に回動する
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  2. 請求項1に記載のスクリーン印刷方法において、
    前記スキージの押圧移動開始時点において、前記スキージの前記押圧移動開始側辺が前記スキージの前記押圧移動終了側辺よりも高い高さに配置される
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のスクリーン印刷方法において、
    前記支点は、被印刷物が配置される平面より上方に位置する
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載のスクリーン印刷方法において、
    前記支点は、被印刷物が配置される平面上に位置する
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のスクリーン印刷方法において、
    スキージがスクリーン版を押圧移動する間、
    さらに、版離れ角度を常に所定角度以上に維持する
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  6. 請求項5に記載のスクリーン印刷方法において、
    前記所定角度は、arctan0.008である
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  7. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のスクリーン印刷方法において、
    前記支点と前記スクリーン版の前記押圧移動終了側辺との間の間隔である支点距離と、前記スクリーン版の長さと、の比は、20~40対100である
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  8. 請求項1乃至請求項7いずれか一項に記載のスクリーン印刷方法において、
    前記スクリーン版は、ステンレスメッシュ、ポリエステルメッシュまたはメタルまたは樹脂で形成されたメタルマスクである
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のスクリーン印刷方法において、
    前記スキージが押圧移動する速度は、50mm/秒乃至600mm/秒の範囲の一定速度である
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のスクリーン印刷方法において、
    前記スキージの押圧移動に連動した、前記スクリーン版の上方への移動は、非等速移動である
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  11. 請求項5に記載のスクリーン印刷方法において、
    前記所定角度は、arctan0.010である
    ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のスクリーン印刷方法を実行するように前記押圧移動開始側辺と、前記押圧移動終了側辺と、を前記スキージの押圧移動に連動させて制御するスクリーン版制御部を備える
    ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
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