JP7037165B2 - 抗adamタンパク質基質抗体及びその利用 - Google Patents

抗adamタンパク質基質抗体及びその利用 Download PDF

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本明細書は、抗ADAMタンパク質基質抗体及びその利用に関する。
ADAM(A Disintegrin And Metalloproteinase)ファミリータンパク質(以下、単に、ADAMタンパク質という。)は、プロテアーゼであるが、多くの機能を持つタンパク質である。ADAMタンパク質は、細胞表層タンパク質のshedding、細胞の形態変化、細胞シグナリングに関与することが知られている。ある種のADAMは、がん細胞の浸潤や転移、出血に関わるとされている。例えば、ADAMタンパク質の1つとして、出血性へび毒であるVAP1(Vascular Apoptosis-inducing protein)が知られている。VAP1は、血管内皮細胞に特異的にアポトーシスを誘導する。
こうしたADAMタンパク質の作用の阻害剤やそのスクリーニング方法については既に報告されている(特許文献1)。また、VAP1は、Wntシグナル伝達系の受容体である低比重リポタンパク質6(LRP6)を切断することも明らかとなっている(非特許文献1)。
特開2011-244814号公報
日本分子生物学会年会プログラム要旨集、2P、0078、2014年
特許文献1に開示されるADAMタンパク質の作用阻害剤は、プロテアーゼであるADAMタンパク質の活性を阻害するものである。また、当該ADAMタンパク質の作用阻害剤はある種の有機化合物である。しかしながら、こうしたADAMタンパク質の作用阻害剤は、ADAMタンパク質の他の機能も阻害することとなり、研究用途のみならず医薬用途を考慮すると必ずしも好適とはいえない。
一方、VAP1が、LRP6を切断することが報告されているものの、基質特異性の詳細は明らかになっていない。
本明細書は、かかる事情に鑑みて、ADAMタンパク質が作用する基質における作用部位を特定し、当該作用部位に対するADAMタンパク質の結合を阻害する阻害剤及びその利用を提供する。
本発明者らは、VAP1などのADAMタンパク質の作用基質であるLRP6及びLRP5の細胞外領域の作用部位を初めて特定した。本明細書によれば、かかる知見に基づき以下の手段が提供される。
(1)低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)又はその部分ペプチドにおける配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又は低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質6(LRP6)又はその部分ペプチドにおける配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する抗体である、ADAMタンパク質の作用阻害剤。
(2)前記抗体はモノクローナル抗体である、(1)に記載の阻害剤。
(3)低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)又はその部分ペプチドにおける配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又は低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質6(LRP6)又はその部分ペプチドにおける配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する抗体である、出血性ヘビ毒による出血阻害剤。
(4)低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)又はその部分ペプチドにおける配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる領域又は低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質6(LRP6)又はその部分ペプチドにおける配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる領域を認識して結合する抗体である、Wntシグナル伝達経路阻害剤。
(5)低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)又はその部分ペプチドにおける配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる領域又は低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質6(LRP6)又はその部分ペプチドにおける配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる領域を認識して結合する抗体である、Wntシグナル伝達経路の活性化によって促進される疾患の予防又は治療剤。
(6)ADAMタンパク質の作用阻害方法であって、
LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞において、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するADAMタンパク質の結合を、前記第1の領域又は第2の領域を認識して結合する抗体を用いて阻害する工程、
を備える、方法。
(7)ADAMタンパク質の作用阻害方法であって、
LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する細胞を有する非ヒト動物において、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる領域に対するADAMタンパク質の結合を、前記第1の領域又は第2の領域を認識して結合する抗体を用いて阻害する工程、
を備える、方法。
(8)Wntシグナル伝達の阻害方法であって、
LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞において、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するADAMタンパク質の結合を、前記第1の領域又は第2の領域を認識して結合する抗体を用いて阻害する工程、
を備える、方法。
(9)Wntシグナル伝達レベルの評価方法であって、
LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞に対して、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する抗体を供給する工程と、
前記第1の領域及び/又は前記第2の領域に結合する抗体量を評価する工程と、
を備える、方法。
(10)Wntシグナル伝達の促進に関連する疾患又は病態の診断を補助する方法であって、
LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞に対して、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する抗体を供給する工程と、
前記抗体の供給により阻害された前記第1及び/又は前記第2の領域に対するADAMタンパク質の結合の阻害程度を評価する工程と、
を備える、方法。
(11)ADAMタンパク質の作用阻害剤のスクリーニング方法であって、
LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞又は非ヒト動物に対して、1又は2以上の被検化合物を供給してLRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するADAMタンパク質の結合を阻害の程度を評価する工程、
を備える、方法。
(12)Wntシグナル伝達阻害剤のスクリーニング方法であって、
LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞又は非ヒト動物に対して、1又は2以上の被検化合物を供給してLRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するWntシグナル伝達経路関連タンパク質の結合を阻害の程度を評価する工程、
を備える、方法。
各種動物におけるLRP5におけるADAMタンパク質の作用部位を示す図である。 各種動物におけるLRP6におけるADAMタンパク質の作用部位を示す図である。 ヒトADAMタンパク質間における触媒部位近傍の同一性を示す図である。 ヒトADAMタンパク質間における触媒部位近傍の同一性を示す図である。 VAP1によるVE-カドヘリンとγカテニンの局在変化を示す図である。 VAP1によるLRP6を活性化部位の切断部位を示す図である。 VAP1によるLRP5の切断部位を示す図である。 VAP1によるLRP6切断の細胞間接着部(細胞間ジャンクション)の崩壊への関与す図である。 VAP1によるLRP6切断の生体での出血への関与を示す図である。 各種動物におけるLRP5/6の切断活性化に関する領域の欠失を示す図である。 ヒトADAM8とADAM12組み換え体によるLRP6の切断を示す図である。
本明細書の開示は、ADAMタンパク質の作用阻害剤及びその利用に関する。本発明者によれば、本発明者が特定したADAMタンパク質の作用基質における作用部位を特定できた。当該作用部位に対するADAMタンパク質の結合を阻害することで、ADAMタンパク質が当該部位に結合することで発揮する作用を阻害する阻害剤(以下、本阻害剤ともいう。)を提供できる。また、作用基質はWntの受容体でもあるLRP5及びLRP6である。したがって、ADAMタンパク質がこれらの作用基質に対して結合するのを阻害することで、Wntシグナル伝達経路を阻害することができる。このため、本阻害剤は、Wntシグナル伝達経路阻害剤としても作用することができる。
なお、従来のWntシグナルを阻害する抗体は、LRPの細胞表面に露出しているプロペラドメインを認識していた。これに対して、本阻害剤は、LRP6等のプロペラドメインLDLAドメインとの連結部位を作用部位として当該作用部位に対するADAMタンパク質タンパク質の結合を阻害するものである。後述する実施例では、ヒトLRP6の細胞外ドメイン全体の組み換え体に対するモノクローン抗体(MAB1505, R&Dシステムズ) 、ヒトLRP6の細胞外ドメイン全体の組み換え体に対するポリクローン抗体(AF1505, R&Dシステムズ)、及びLRP6に結合するタンパク質である、ヒトRAP (Receptor-associated protein) 組み換え体 (エンゾ・ライフサイエンシズ)では、VAP1作用を阻害することができないことを確認している。
以下、本明細書に開示される本阻害剤及びその利用について詳細に説明する。なお、本明細書において、ADAMタンパク質は、A Disintegrin And Metalloproteinase ファミリータンパク質に分類されるタンパク質である。ADAMタンパク質は、血小板凝集阻害タンパク質ディスインテグリン様配列(Dドメイン)とその上流にある蛇毒メタロプロテアーゼ様配列(Mドメイン)を有している。ADAMタンパク質は、細胞表層タンパク質のシェディング酵素である場合もある。本明細書におけるADAMタンパク質は、膜型ADAMタンパク質であるADAM1~41、DAMTS1~ADAMTS20及びADAMDEC1などの各種ADAMタンパク質のほか、VAP1やVAP2Bなどの各種の蛇毒メタロプロテアーゼであるADAMタンパク質ホモログを含むADAMタンパク質ファミリーに属するタンパク質である。VAP1は、ニシダイヤガラガラへび由来のホモ二量体P-III型蛇毒メタプロテアーゼである。VAP2Bは、単量体P-III型蛇毒メタプロテアーゼである。蛇毒メタプロテアーゼは、ヒトADAMタンパク質の細胞外ドメインと40%以上の同一性を有するほか、基本骨格を規定するアミノ酸残基が概して保存されている。例えば、ヒトのADAMタンパク質としては、ADAM2、7、8、9、10、11、12、15、17、19、20、21、22、23、28、30、33、ADAMTS1~ADAMTS20、ADAMDEC1が挙げられる。なかでも、プロテアーゼ活性を有するヒトADAMタンパク質としては、ADAM7、8、9、10、12、15、17、19、20、21、28、30、33、ADAMTS1~ADAMTS20、ADAMDEC1が挙げられる。
また、本明細書において、低比重リポタンパク質(LDL)受容体関連タンパク質(LRP)とは、低比重リポタンパク質(LDL)のほか、種々のリガンドの細胞内取り込みやシグナル伝達に関連すると考えられるタンパク質であって、当業者において周知である。例えば、ヒトLRP5及びLRPP6のアミノ酸配列等は、アクセッション番号:NP_002326及びNP_002327としてNCBIなどのデータベースにおいて開示されている。
本明細書において、Wntシグナル経路とは、細胞外分泌糖タンパク質であるWntを介するシグナル伝達経路をいう。Wntのアミノ酸配列等は、例えば、ヒトWnt-1は、アクセッション番号:NP_005421として、ヒトWnt-3aは、アクセッション番号:NP_149122として、データベースに開示されている。
(ADAMタンパク質の作用阻害剤)
本阻害剤は、LRP5又はその部分ペプチドにおける特定領域、及び/又は、LRP6又はその部分ペプチドにおける特定領域を認識して結合する抗体を有効成分とすることができる。以下、かかる結合性を有する抗体を本抗体ともいう。
本抗体は、LRP5又はその部分ペプチドにおける配列番号1で表されるアミノ酸配列、すなわち、VE-E/D-V/I-SLEEF(配列番号1)からなる第1の領域を認識して結合することができる。本抗体が第1の領域を認識して結合することにより、第1の領域に対してADAMタンパク質が結合して、第1の領域においてLRP5を切断するのを阻害し、ひいては、Wntシグナル伝達経路を阻害することができる。
LRP5における第1の領域は、LRP5の細胞外領域にある。LRP5の細胞外領域が切断されると、Wntシグナル伝達経路が活性化することが知られている(マオ、J他、2001)。LRP5における第1の領域は、図1に示すように、ヒト、チンパンジー、アカゲサル、マウス、ラット、イヌ及びウシ等の各種の哺乳類由来のLRP5において共通して存在している。
この第1の領域中、例えば、ADAMタンパク質であるVAP1等が切断するのは、図1に示すように、例えば、ヒトでは、1206Eと1207Vとの間である。この切断部位による切断により、LRP5の活性化を抑制している4つの全てのβ-プロペラドメインをLRP5から除去され、その結果、LRP5は活性化することになる。なお、図1において示すADAMタンパク質による切断部位はこれに限定するものではない。
また、本抗体は、LRP6又はその部分ペプチドにおける配列番号2で表されるアミノ酸配列、すなわち、VKELNLQEY(配列番号2)からなる第2の領域を認識して結合することができる。本抗体が第2の領域を認識して結合することにより、第2の領域に対してADAMタンパク質が結合して、第2の領域においてLRP6を切断するのを阻害し、ひいては、Wntシグナル伝達経路を阻害することができる。
LRP6における第2の領域は、LRP6の細胞外領域にある。LRP6の細胞外領域が切断されると、Wntシグナル伝達経路が活性化することが知られている(マオ、J他、2001)。LRP6における第2の領域は、図2に示すように、ヒト、チンパンジー、アカゲサル、マウス、ラット、イヌ及びウシ等の各種の哺乳類由来のLRP6において共通して存在している。
この第2の領域中、例えば、ADAMタンパク質であるVAP1等が切断するのは、図2に示すように、例えば、ヒトでは、1196Eと1197Lと間である。この切断部位による切断により、LRP6の活性化を抑制している4つの全てのβ-プロペラドメインをLRP6から除去し、その結果、LRP6は活性化することになる。なお、図2において示すADAMタンパク質による切断部位はこれに限定するものではない。
LRP5の部分ペプチドとは、少なくとも前記第1の領域を含むLRP5の部分ペプチドであって、LRP5に対する本抗体の結合能の少なくとも50%以上、また例えば、60%以上、また例えば70%以上、さらに例えば、80%以上、また例えば、90%以上を有する部分ペプチドであればよい。全長タンパク質の部分ペプチドは、遺伝子工学的にあるいは酵素による処理によっても適宜調製することができ、本抗体との結合能は、抗体を抗原-抗体反応を検出するELISAやウェスタンブロットなど各種の周知の方法で評価することで、適切な部分ペプチドを取得できる。LRP6の部分ペプチドについても同様に取得できる。
本抗体は、第1の領域のみを認識して結合するものであってもよいし、第2の領域のみを認識して結合するものであってもよいし、両者を認識するものであってもよい。抗体の有する識別能は、種々の抗原を用いることで評価することができるため、意図する結合特性を有する抗体を適宜取得することができる。なお、第1の領域を認識して結合する抗体とは、第1の領域の全てを認識することを必ず要するものでもなく、第1の領域の少なくとも一部を認識して結果として第1の領域に結合するものであればよい。第2の領域を認識して結合する抗体についても同様である。
本抗体は、既に説明したように、その作用の一態様は、ADAMタンパク質がその作用基質に作用することを阻害するものである。この場合において、本抗体の推測される主たる機能は、ADAMタンパク質の作用基質であるLRP5及び6における作用部位に結合して、ADAMタンパク質による作用(すなわち、LRP5及び6の細胞外領域の切断及び除去)を阻害することである。
本抗体が阻害するADAMタンパク質は、特に限定するものではないが、既述のとおりにADAMタンパク質に包含される各種タンパク質が挙げられる。すなわち、公知のADAM1~41、DAMTS1~ADAMTS20及びADAMDEC1などの各種ADAMタンパク質のほか、VAP1やVAP2Bなどの各種の蛇毒メタロプロテアーゼであるADAMタンパク質ホモログである。
例えば、ヒトのADAMタンパク質としては、ADAM2、7、8、9、10、11、12、15、17、19、20、21、22、23、28、30、33、ADAMTS1~ADAMTS20、ADAMDEC1が挙げられる。なかでも、プロテアーゼ活性を有するヒトADAMタンパク質としては、ADAM7、8、9、10、12、15、17、19、20、21、28、30、33、ADAMTS1~ADAMTS20、ADAMDEC1が挙げられる。
こうしたADAMタンパク質のうち、例えば、VAP1、ヒトADAM8及びヒトADAM12並びにこれらのADAMタンパク質の触媒部位ADAM8の触媒部位(ヒトADAM8のアミノ酸配列の第320位~345位)のアミノ酸配列と一定以上の同一性を有する他のADAMタンパク質を本阻害剤の阻害対象として好適なADAMタンパク質として挙げることができる。以下に、ヒトADAM8等の触媒活性部位と他のADAMタンパク質との触媒部位との同一性解析結果を、図3及び図4に示す。
図3に示すように、ヒトADAM8の触媒部位のアミノ酸配列を基準とすると、ヒトADAM12の触媒部位のアミノ酸配列の同一性は69%であり、VAP1の触媒部位のアミノ酸配列の同一性は77%である。後段の実施例により、ヒトADAM8、ヒトADAM12及びVAP1は、いずれも、LRP6をその活性化部位で切断できることが確認されている。また、VAP1の触媒部位と基準とすると、ヒトADAM8の触媒部位のアミノ酸配列の同一性は77%であり、ヒトADAM12の触媒部位のアミノ酸配列の同一性は54%であり、ヒトADAM12の触媒部位と基準とすると、ヒトADAM8の触媒部位のアミノ酸配列の同一性は69%であり、VAP1の触媒部位のアミノ酸配列の同一性は54%であった。
図3に示すヒトADAMタンパク質は、いずれもがん悪性化での発現上昇や転移・浸潤への関与が報告されているが、図3に示すアミノ酸配列の同一性から、本抗体は、図3に示すADAMタンパク質についても同様にADAMタンパク質の阻害剤として機能すると考えられる。
また、図4には、ADAM9、20、21、30、10及び17の各触媒部位と、ADAM8、VAP1及びADAM12との一致アミノ酸残基数、同一性(%)及びアミノ酸残基の類似性を示している。図4に示すADAMタンパク質は、必ずしもADAM8等の触媒活性部位とは高いアミノ酸配列の同一性を有してはいないが、ADAM12やVAP1とは高い同一性を有するほか、図3に示すADAMタンパク質の触媒部位と対比すると高度に保存されたアミノ酸残基も有することから、本抗体は、こうしたADAMタンパク質の阻害剤としても機能すると考えられる。
なお、ADAMタンパク質作用阻害剤として用いる場合の標的としてのADAMタンパク質は、ADAM8、ADAM12及びVAP1のいずれかのアミノ酸配列とアライメントしたとき、これらのいずれかの触媒部位のアミノ酸配列と、例えば、30%以上の同一性、また例えば、35%以上の同一性、また例えば、40%以上の同一性、また例えば、45%以上の同一性、また例えば、50%以上の同一性、また例えば、55%以上の同一性、また例えば、60%以上の同一性、また例えば、65%以上の同一性、また例えば、70%以上の同一性、また例えば、75%以上の同一性、また例えば、80%以上の同一性、また例えば、85%以上の同一性、さらに例えば90%以上の同一性、また例えば、95%以上の同一性、さらに例えば、97%以上の同一性、さらにまた例えば、98%以上の同一性、例えば、99%以上の同一性を有して、本発明者が特定した作用部位に結合する活性を有しているタンパク質が挙げられる。
なお、本抗体を、ADAMタンパク質作用阻害剤として用いる場合の標的としてのADAMタンパク質は、ADAM8、ADAM12及びVAP1のいずれかのアミノ酸配列とアライメントしたとき、これらのいずれかの触媒部位のアミノ酸配列と、例えば、30%以上の同一性、また例えば、35%以上の同一性、また例えば、40%以上の同一性、また例えば、45%以上の同一性、また例えば、50%以上の同一性、また例えば、55%以上の同一性、また例えば、60%以上の同一性、また例えば、65%以上の同一性、また例えば、70%以上の同一性、また例えば、75%以上の同一性、また例えば、80%以上の同一性、また例えば、85%以上の同一性、さらに例えば90%以上の同一性、また例えば、95%以上の同一性、さらに例えば、97%以上の同一性、さらにまた例えば、98%以上の同一性、例えば、99%以上の同一性のアミノ酸配列を有し、本発明者が特定した作用部位に結合する活性を有しているADAMタンパク質が挙げられる。
また、本抗体を、ADAMタンパク質作用阻害剤として用いる場合の標的としてのADAMタンパク質は、ADAM8、ADAM12及びVAP1のいずれかのアミノ酸配列とアライメントしたとき、これらのいずれかのアミノ酸配列と、例えば、30%以上の同一性、また例えば、35%以上の同一性、また例えば、40%以上の同一性、また例えば、45%以上の同一性、また例えば、50%以上の同一性、また例えば、55%以上の同一性、また例えば、60%以上の同一性、また例えば、65%以上の同一性、また例えば、70%以上の同一性、また例えば、75%以上の同一性、また例えば、80%以上の同一性、また例えば、85%以上の同一性、さらに例えば90%以上の同一性、また例えば、95%以上の同一性、さらに例えば、97%以上の同一性、さらにまた例えば、98%以上の同一性、例えば、99%以上の同一性のアミノ酸配列を有し、本発明者が特定した作用部位に結合する活性を有しているADAMタンパク質が挙げられる。
なお、本明細書において塩基配列又はアミノ酸配列の同一性又は類似性とは、当該技術分野で知られているとおり、配列を比較することにより決定される、2種以上のタンパク質あるいは2種以上のポリヌクレオチドの間の関係である。当該技術で“同一性 ”とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きのそのような配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の配列不変性の程度を意味する。また、類似性とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きの部分的な配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の相関性の程度を意味する。より具体的には、配列の同一性と保存性(配列中の特定アミノ酸又は配列における物理化学特性を維持する置換)によって決定される。なお、類似性は、後述するBLASTの配列相同性検索結果においてSimilarity と称される。同一性及び類似性を決定する方法は、対比する配列間で最も長くアラインメントするように設計される方法であることが好ましい。同一性及び類似性を決定するための方法は、公衆に利用可能なプログラムとして提供されている。例えば、AltschulらによるBLAST (Basic Local Alignment Search Tool) プログラム(たとえば、Altschul SF, Gish W, Miller W, Myers EW, Lipman DJ., J. Mol. Biol., 215: p403-410 (1990), Altschyl SF, Madden TL, Schaffer AA, Zhang J, Miller W, Lipman DJ., Nucleic Acids Res. 25: p3389-3402 (1997))を利用し決定することができる。BLASTのようなソフトウェアを用いる場合の条件は、特に限定するものではないが、デフォルト値を用いるのが好ましい。
こうしたADAMタンパク質のアミノ酸配列は、必要に応じてNCBIなどのデータベースから取得できる。例えば、ヒトADAM8は、アクセッション番号:NP_001100として、ヒトADAM12は、アクセッション番号:NP_003465として、ヒトADAM28は、アクセッション番号:NP_055080として、及びヒトADAM33はアクセッション番号:NP_079496として取得できる。
本抗体は、本願出願時における公知技術において、特異的に任意の抗原(本明細書においては、例えば、LRP5の第1の領域など)に対して結合能を有するインタクトな抗体又は当該結合能を有する抗原結合部分を含む部分ということができる。本抗体は、本願出願時における技術常識のほか以下に示す内容に基づいて各種態様を採ることができる。
抗体の「抗原結合部分」とは、特異的に任意の抗原(例えば、LRP5の第1の領域など)に結合する能力を保持するインタクトな抗体の1つ以上のフラグメントを意味する。「抗原結合部分」は、特に限定するものではなく、Fabフラグメント、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント;F(ab)2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド橋により連結された2つのFabフラグメント(一般的に重鎖および軽鎖から1つ)を含む二価フラグメント;VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;VHドメインからなる単一ドメイン抗体(dAb)フラグメント;および単離された相補性決定領域(CDR)など各種形態のフラグメント又はその組合せを含むことができる。また、抗原結合部分は、組換え方法を使用して、VLおよびVH領域が対になって一価分子を形成する一本のタンパク質鎖として作製可能とする人工ペプチドリンカーにより連結することができる。
このほか、抗原結合部分は、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NARおよびビス-scFvに組み込まれていてもよい。
本抗体の由来生物種は特に限定するものではないが、適用する生物体や目的によっても異なるが、ヒト抗体、マウス抗体、ヤギ抗体等とすることができる。なお、ヒト抗体というときには、抗体のフレームワークおよびCDR領域の両方がヒト起源の配列に由来している可変領域を有する抗体を含むことを意味している。さらに、抗体が定常領域を含むとき、定常領域は、また、このようなヒト配列、例えば、ヒト生殖細胞系列配列または突然変異型のヒト生殖細胞系列配列に由来することを意味している。また、2以上の生物種に由来するフラグメントに基づく抗体をキメラ抗体ということができる。
本抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体であれば、抗原に対して安定した結合性能を発揮することができる。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の取得は、当業者において周知である。例えば、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合させた遺伝子導入非ヒト動物(例えば、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する遺伝子導入マウス)から得られたB細胞を含むハイブリドーマにより製造される。
また、本抗体は、例えば、組換えヒト抗体などの組換え抗体であってもよい。組換えヒト抗隊は、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を遺伝子導入または染色体導入された動物(例えば、マウス)またはそれから製造されたハイブリドーマから単離された抗体;ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、例えば、トランスフェクトーマから単離された抗体;組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体;およびヒト免疫グロブリン遺伝子配列の全部または一部の他のDNA配列へのスプライシングを含む他の手段により製造、発現、作製または単離された抗体を含む。このような組換えヒト抗体はフレームワークおよびCDR領域がヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来している可変領域を有する。
本抗体は、例えば、以下のように製造することができる。すなわち、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列とリンカー用配列を含むペプチドを人工合成したのち、キャリアータンパク質(KLH(Keyhole limpet hemocyanin))とコンジュゲートさせ、抗原とする。SPFウサギに2週ごとに4回抗原を注射し、8週目に採決し、ELISAにより活性を確認後、全採血する。血液を凝固させたあと、血清を回収する。抗血清から抗体は、当業者に周知の方法によって取得することができる。
本抗体は、こうして取得された抗体が第1の領域及び/又は第2の領域を認識して結合する結合能を有している限り、その変異体であってもよい。例えば、出発物質としての抗体の少なくとも一部、例えば、全長重鎖および/または軽鎖配列、VHおよび/またはVL配列またはそれに結合した定常領域に変異を導入するなどの修飾することにより、新たな抗体を取得することもできる。また、取得した抗体に対していわゆるペグ鎖を導入するなどもできる。こうした抗体の改変の手法自体は、当業者において周知である。
なお、本製造方法において用いる抗体作製のための抗原化合物やハイブリドーマも本開示の一態様である。また、本抗体のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドも本開示の一態様である。係るポリヌクレオチドは、本抗体のアミノ酸配列の解析によって及び/又はハイブリドーマから得られる抗体コード領域の塩基配列解析によって得ることができる。さらに、係るポリヌクレオチドを意図した宿主細胞において発現可能に保持する発現ベクタ-も本発明の一態様である。なお、発現ベクターは、宿主の種類に応じて当業者に周知の適切な形態のほか、プロモーター、ターミネーター等の制御領域も適宜選択することができる。ポリヌクレオチドは、例えば、DNAであり、また例えば、cDNAである。
(出血性ヘビ毒による出血阻害剤)
本抗体は、出血性ヘビ毒による出血阻害剤の有効成分としても用いることができる。本発明者らは、VAP1の作用を本抗体によって阻害し結果として出血が抑制されたことを確認している。したがって、本抗体は、出血性ヘビ毒の種類に特定されず、LRP5及びLRP6の切断除去による出血に対して広く適用される。
(Wntシグナル伝達経路阻害剤等)
本抗体は、LRP5及びLRP6の細胞外領域を除去してこれらのタンパク質を活性化することを阻害する。この結果、本抗体は、当該活性化によるWntシグナル伝達経路の活性化を阻害する阻害剤として機能することができる。Wntシグナル伝達経路の活性化は、広く動物において遺伝子発現、細胞増殖、細胞運動、細胞極性に関わっていることが知られている。このため、Wntシグナル伝達経路阻害剤は、それ自体研究用途として有用である。
本抗体は、ADAMタンパク質が共通して作用するLRP5及びLRP6の切断部位をブロックするように第1の領域及び/又は第2の領域に結合することができる。また、本抗体は、LRP5及びLRP6を結合対象とするものであって、当該結合を切断又は妨げることができる全てのタンパク質(すなわち、ADAMタンパク質に限らない)によるWntシグナル伝達経路阻害剤として機能することができる。例えば、LRP5及びLRP6の細胞外領域の切断及び除去によるWntシグナル伝達経路に関与するタンパク質としては、補体プロテアーゼ(C1sなど)、マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP-2など)、BACE(βセクレターゼ)等が挙げられる。
(Wntシグナル伝達経路の活性化によって促進される疾患の予防又は治療剤)
本抗体は、Wntシグナル伝達経路の活性化によって促進される疾患の予防又は治療剤(以下、単に、本治療剤ともいう。)として用いることができる。本抗体は、Wntシグナル伝達経路を阻害できるからである。
ここで、Wntシグナル伝達経路の活性化によって促進される疾患としては、例えば、以下の疾患が挙げられる。
(1)癌
例えば、大腸癌(例えば、結腸直腸癌腫(CRC))、黒色腫、乳癌、肝臓癌、肺癌、胃癌、悪性髄芽腫および他の原発性CNS悪性神経外胚葉腫瘍、横紋筋肉腫、消化管由来腫瘍(食道、胃、膵臓および胆管系の癌、前立腺および膀胱癌が挙げられるが、これらに限定されない。なお、本開示を限定するものではないが、仮足の先端部分にADAMタンパク質が発現して癌の浸潤を促進すると推測されている。
(2)骨関連障害
例えば、骨折の場合、骨ミネラル密度(BMD)が健常対象と比較して異常におよび/または病理学的に高い障害および骨ミネラル密度(BMD)が健常対象と比較して異常におよび/または病理学的に低い障害又は疾患、骨硬化症、Van Buchem症候群、骨過成長障害およびSimpson-Golabi-Behmel症候群(SGBS)が挙げられるが、これらに限定されない。
(3)炎症(とくに、喘息)
ADAM33は喘息のリスクファクターであり、ADAM33及びADAM8が喘息患部で高発現している。Wntシグナルが喘息患部で活性化されており、Wnt阻害剤で抑制されることが報告されている。
(4)糖尿病性血管症(とくに糖尿病性網膜症)
ADAM9、15ノックアウトで糖尿病モデル動物の血管新生が抑制されることが報告されている。また、患部でWntシグナルの活性化が起こっていることが報告されている。
(5)動脈硬化(とくに冠動脈硬化)
ADAM8のSNPが喫煙と同程度の心筋梗塞のリスクファクターであることが報告されている。LRP6のSNPが心筋梗塞のリスクファクターであることが報告されている。
(6)そのほか
多発性嚢胞腎
本治療剤は、公知の薬学的に許容される担体とともに製剤化された組成物の形態を採ることができる。このような組成物は、1種又は2種以上の本抗体を有効成分として含むことができる。
本明細書において使用される“薬学的に許容される担体”は、生理学的に適合するあらゆる全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。担体は(例えば、注射または注入による)静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または上皮投与に適しているべきである。投与経路に依存して、活性化合物を、化合物を不活性にし得る酸および他の天然条件の作用から化合物を保護するために物質でコーティングし得る。
本治療剤は1つ以上の薬学的に許容される塩を含み得る。“薬学的に許容される塩”は所望の親化合物の生物学的活性を保持するが、望ましくない毒性作用を付与しない塩を意味する。このような塩の例は酸付加塩および塩基付加塩を含む。酸付加塩は無毒性の無機酸、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸など、ならびに無毒性の有機酸、例えば、脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などに由来するものを含む。塩基付加塩はアルカリ土金属、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、ならびに無毒性の有機アミン、例えば、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどに由来するものを含む。
本治療剤は、薬学的に許容される抗酸化剤を含み得る。薬学的に許容される抗酸化剤の例は:水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、アルファ-トコフェロールなど;および金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などを含む。
また、本治療剤は、適当な水性および非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれの適当な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、および注入可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルを含む。適当な流動性は、例えば、コーティング剤、例えば、レシチンの使用、分散物の場合、必要な粒径の維持および界面活性剤の使用により維持することができる。
本治療剤は、この他、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含み得る。微生物存在の防止は上記殺菌手順ならびに種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの包含により確保され得る。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物に包含させることが望ましいこともある。加えて、注射可能な医薬形態の吸収の延長は吸収を遅らせる薬物、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの包含により実現され得る。
本治療剤における本抗体量は、有効量、治療用途や製剤形態によって適宜設定されるが、例えば、約0.01%から約99%、約0.1%から約70%または約1%から約30%の範囲とすることができる。
本治療剤の投与量は、治療用途、有効量、投与経路、性別、疾患の程度等によって適宜設定される。概して、抗体の投与に関して、用量は約0.0001から100mg/kg、さらに通常、0.01から5mg/kg宿主体重の範囲である。例えば、用量は0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重または10mg/kg体重または1-10mg/kgの範囲内であり得る。典型的な処置レジメンは1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1月に1回、3月に1回または3から6月に1回の投与を必要とする。
本治療剤は、1つ以上の当分野で既知の種々の方法を使用して、1つ以上の投与経路により投与することができる。投与様式および/または投与経路は所望の結果に依存して変化することが、当業者に理解される。例えば、本治療剤の投与経路は、注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄または他の非経口経路の投与を含む。本明細書において使用されるフレーズ“非経口投与”は通常、注入による経腸および局所投与以外の投与方法を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管的、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入が含まれるが、これらに限定されない。本治療剤は、また、例えば、局所、上皮または粘膜経路の投与、例えば、鼻腔内、経口的、経膣的、経直腸的、舌下的または局所的により投与することができる。
(ADAMタンパク質の作用阻害方法)
本明細書に開示されるADAMタンパク質の作用阻害方法は、LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞において、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するADAMタンパク質の結合を本抗体を用いて阻害する工程、を備えることができる。かかる作用阻害方法によれば、各種動物の生体外細胞において、LRP5及びLRP6に
に対するADAMタンパク質の作用を阻害することができる。
また、ADAMタンパク質の作用阻害方法は、非ヒト動物に対して本抗体を投与することにより、LRP5及びLRP6に対するADAMタンパク質の作用を阻害することができる。
これらの作用阻害方法において、ADAMタンパク質の作用の阻害の程度は、例えば、ADAMタンパク質の作用によって切断除去されるLRP5又はLRP6の細胞外領域をウエスタンブロット等で評価してもよいし、細胞間接着部の崩壊を観察することによってもよいし、あるいは生体における出血程度を評価することによってもよい。さらには、細胞におけるアクチンリッチ仮足の形成程度を観察することなどによっても行うことができる。
ADAMタンパク質の作用阻害方法を、Wntシグナル伝達の阻害方法としても実施できる。LRP5の第1の領域及びLRP6の第2の領域を認識して結合する本抗体により、補体プロテアーゼ(C1sなど)、マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP-2など)、BACE(βセクレターゼ)などによるWntシグナル伝達経路を阻害することができるからである。Wntシグナル伝達経路の阻害の程度は、例えば、カドヘリンまたはカテニンの細胞膜から細胞質への移行を観察すること、あるいはそれを細胞分画後にELISAで評価すること、LRP5またはLRP6の細胞内リン酸化を抗リン酸化抗体を用いて評価すること等によって評価することができる。
(Wntシグナル伝達経路の活性化レベルの評価方法)
本明細書に開示されるWntシグナル伝達経路の活性化レベルの評価方法は、LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞に対して、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する抗体を供給する工程と、前記第1の領域及び/又は前記第2の領域に結合する抗体量を評価する工程と、を備えることができる。この評価方法によれば、細胞表層における抗体量を評価することで、当該細胞のWntシグナル伝達経路の状態を評価することができる。すなわち、細胞表層のLRP5及びLRP6の第1の領域及び第2の領域に結合した本抗体の量は、Wntシグナル伝達経路が活性化されていない、すなわち、抑制された状態にあることを意味するほか、ADAMタンパク質やその他のWntシグナル伝達経路関連タンパク質によって活性化されうる状態にあることを意味している。
細胞表層のLRP5及びLRP6に結合した本抗体の量はELISA、ウエスタンブロット、フローサイトメトリ等によって検出し評価することができる。
(Wntシグナル伝達経路の活性化に関連する疾患又は病態の診断を補助する方法)
本明細書に開示される診断補助方法は、LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞に対して、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する抗体を供給する工程と、前記第1の領域及び/又は前記第2の領域に結合する抗体量を評価する工程と、を備え得ることができる。この方法によれば、抗体量に基づいて細胞におけるWntシグナル伝達経路の活性化レベルを評価することができる。活性化レベルにより、Wntシグナル伝達経路の活性化に関連する疾患の、予兆、改善、予後、治療効果の判断などの診断を補助することができる。なお、抗体量は、既述のとおり周知の方法で測定することができる。
(ADAMタンパク質の作用阻害剤のスクリーニング方法)
本明細書に開示されるスクリーニング方法は、LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞又は非ヒト動物に対して、1又は2以上の被検化合物を供給してLRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するADAMタンパク質の作用の阻害の程度を評価する工程、を備えることができる。このスクリーニング方法によれば、被検化合物の添加によってADAMタンパク質によるLRP5及びLRP6の作用部位における切断除去が阻害される程度、すなわち、ADAMタンパク質の作用の阻害の程度を評価することで、有用な阻害剤候補をスクリーニングできる。なお、ADAMタンパク質の作用の阻害の程度は、ADAMタンパク質の作用の阻害方法と同様にして実施することができる。
被験化合物としては、抗体などのタンパク質、アプタマー、低分子化合物等、特に限定されない。
(Wntシグナル伝達経路の阻害剤のスクリーニング方法)
また、本明細書に開示される別のスクリーニング方法は、LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞又は非ヒト動物に対して、1又は2以上の被検化合物を供給してLRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するWntシグナル伝達経路関連タンパク質の結合の阻害の程度を評価する工程を備えることができる。このスクリーニング方法によれば、被検化合物の添加によってWntシグナル伝達経路関連タンパク質によるLRP5及びLRP6の作用部位における切断除去が阻害される程度、すなわち、Wntシグナル伝達経路関連タンパク質の作用の阻害の程度を評価することで、有用な阻害剤候補をスクリーニングできる。なお、被験化合物、シグナル伝達経路関連タンパク質の作用の阻害の程度は、ADAMタンパク質の作用の阻害方法と同様にして実施することができる。
以下、本明細書に開示される実施形態の具体例等について説明するが、本明細書の開示は、以下の実施例により限定されるものではない。
(材料と方法)
1.試薬
VAP1とVAP2は、参考文献のように精製した(増田ほか、1998)。 要約すると、ガラガラヘビCrotalus atrox(シグマアルドリッチ、セントルイーズ、MO、USA)の素毒から、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーと陰イオン・イオン交換クロマトグラフィーによって分離された。ヒトリコンビナントLRP6-Fcタグ、ヒトADAM8、ADAM12、VE-カドヘリンとマウスLRP6-Hisタグ、LRP5-Hisタグは、R&Dシステム社(ミネアポリス、MN、USA)から購入した。
2.細胞培養
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)、ベクトンディッキンソン社(フランクリンレイク、NJ、USA)から購入した。 FGFは参考文献に記述されるように、精製された。HUVECは10%ウシ胎児血清、FGFを含むMCDB105培地(シグマアルドリッチ、セントルイーズ、MO、USA)で37℃で培養された。マウスNIH3T3線維芽細胞(エンツォ・ライフサイエンス社、Farmingdale、USA)は37℃で10%ウシ胎児血清を含むMCDB105培地で培養された。
3.質量分析
切断断片と対照は、SDS-PAGEで分離された。ゲルは、SilverQuestTM銀染色試薬(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック、ウォルサム、MA、USA)で染色されたあと、断片バンドに切り分けられた。バンドは、ゲル内消化をし、 DTTとヨードアセトアミドによる処置の後、50mMの重炭酸アンモニウム中で0.01g/mLトリプシンで37℃一晩処理した。 消化物は、液体クロマトグラムUltimate3000(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック、ウォルサム、MA、USA)と質量分析計LTQ-XL(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック)を用いたLC/MS分析された。結果は、LC/MS分析で、3回確かめられた。
4.ウェスタンブロット
収集された細胞は、各々の溶解バッファで溶解した。 サンプルは、SDS電気泳動の後、PVDF膜に転写された。TBSTバッファ中、5%脱脂乳でブロッキングした後に、膜は抗ヒトLRP6ポリクローンヤギ抗体(R&Dシステム社、ミネアポリス、MN、USA)の示された量でインキュベートした。膜はTBSTで洗浄し、1/4000の抗ヤギIgG-HRP(サンタクルス・バイオテクノロジー社、ダラス、テキサス、USA)でインキュベートした。反応したバンドは化学発光(ECLプライム、GE Healthecare、リトル・チャルフォント、英国)によって検出した。
5.蛍光免疫染色
細胞は4%のパラホルムアルデヒドで固定され、1%脱脂乳でブロッッキングされ、0.1%のサポニンで透過処理し、1/200の抗VE-カドヘリン抗体(BECKMAN COULTER)または1/200の抗-γ-カテニン抗体(Novus Biologicals、ミネアポリス、MN、USA)で一晩インキュベートした。細胞は3回TBSで洗い、Alexa488を結合した抗マウスIgG抗体(インビトロゲン、カールズバッド、CA、USA)でインキュベートした。染色像は、倒立蛍光顕微鏡(IX83、オリンパス、東京)で観察した。
6.中和抗体実験
LRP6のVAP1-切断部位近傍のペプチド(VKELNLQEY)に対して常法に従いウサギ抗血清が作製された。ポリクローナル抗体と対照ウサギ血清は、Protein Aを用いて抗血清から常法に従い精製された。HUVECを1.35mg/mlの各々の抗体で1時間インキュベート後、140ng/ml のVAP1で1時間処理された。
7.出血実験
LRP6切断部抗血清または対照血清20μl と、5μg VAP1は、雄マウスの剃った背の皮膚の左右対称な2点に各々皮内注射された。1時間後に、マウスは処理され、皮膚は慎重に取り出された。その後、皮膚の内面の出血量が測定された。 出血斑の出血インデックスは、デンシトメトリー(CSアナライザー、ATTO、東京、日本)による赤色密度の総和として計算された。
8.統計解析
データ(平均±標準エラー)は、スチューデントのt検定を使って分析された。出血分析での2グループ解析は、ペアードt検定によって評価された。P値は0.05以下を有意差ありとした。
(VAP1によるVE-カドヘリンとγカテニンの局在変化の誘導)
ヘビ出血ADAM毒素VAP1は、培養血管内皮細胞の細胞間解離を誘導するかどうについて実験した。細胞間解離のメカニズムを解明するために、細胞間接着因子へのVAP1の作用を調査した。VAP1処置によって、VE-カドヘリンは細胞間接着部から消えて、局在が細胞質へ移動した(図5A)。ここで、VE-カドヘリンはADAM10によって切断され遊離されることがあることが報告されている(シュルツ、2008)。そこでVE-カドヘリンがVAP1によって切断されて、除去されるかどうかを調査した。
細胞のVE-カドヘリンの量はVAP1インキュベーションによって変わらなかった(図5B)。そして、VAP1はヒトVE-カドヘリン(図5C)の組み換え型タンパク質を切断しなかった。したがって、VE-カドヘリンはVAP1によって直接切断されないと考えられた。そこで、我々はVAP1処理された培養血管内皮細胞におけるカテニン類を観察した。今回の臍帯静脈血管内皮細胞の実験条件では、β-カテニンは細胞間接着部に存在せず、γカテニンが存在した(図5D)。VAP1は細胞間接着部の細胞膜から細胞質へγ-カテニン移動を誘導した(図5D)。したがって、VAP1はVE-カドヘリンとγ-カテニンの局在変化を誘導できることが実証された。
(VAP1によるLRP6活性化部位の切断)
VAP1がカテニンの局在変化を誘導したことから、我々はWnt受容体のLRP6を調べた。β-プロペラ領域を除去されたLRP6は、Wnt経路シグナリングの常時活性型であることが知られている。そこで我々はVAP1に、LRP6の切断活性があるかどうかを調べた。LRP6を多く持っているNIH3T3細胞で、VAP1とのインキュベーションにより、LRP6が消失した(図6A)。また、VAP1はヒトLRP6の細胞外領域の組み換え体タンパク質を140kDaと60kDaの断片に切断した。ほとんどすべてのADAMタイプのヘビの毒メタロプロテアーゼにおいてもっとも感度が高い基質であることが知られているフィブリノゲーンαチェーンよりも速く、VAP1はLRP6を切断した(図6B)。 同様に、VAP1は、マウスLRP6組み換え体も切断し、140kDaの断片を生産した(図6C)。 そして、より多くの量を必要とするが、VAP2(もう一つの出血ADAM毒素)もLRP6を切断した(データ非掲載)。
140kDaと60kDaの断片の質量分析により、VAP1が第4β-プロペラドメイン(第4-EGFドメインを含まない)(図6D)のC末端である glu1196-leu1197でLRP6を切断したことが示された。断片の配列から予測された分子量は、電気泳動での見た目の分子量に一致している。 切断部位のP1’位アミノ酸は疎水性アミノ酸(ロイシン)であり、それはVAP1の3次元構造のS1’の疎水的なポケットと一致している。このLRP6切断部位は、VAP1が、LRP6の活性を抑制する4つの全てのβ-プロペラドメインをLRP6から取り外すことを意味する(マオ、Bほか、2001;ブレナンほか、2004)。
残った細胞外LDLA領域は、LRP6の先端を失った常時活性型のミュータントにおいて活性を促進する領域であることが知られている(マオ、Bほか(2001);ブレナンほか、2004;チェンほか2014)。したがって、ADAM毒素VAP1は常時活性型になるとされる部位でLRP6を切断することが示唆された。
(VAP1によるLRP5の切断)
細胞外領域を欠失したLRP5変異体も、WNT経路の常時活性型であることが知られている(マオ、Jほか(2001)。そこで我々はADAM毒素が、LRP6と同様に、LRP5を切断するかどうかを調べた。VAP1はマウス組み換え体LRP5を切断したが、LRP5を切断するのにLRP6より多い量を必要とした(図7A)。LRP6と同様に、140kDの断片が得られた(図7B)。この140kDaの質量分析の結果、VAQHLTGIHAVEEのペプチドが検出され、VAP1がglu1206-val1207でLRP5を切断することが示唆された。それはVAP1のLRP6-切断部位と同じドメイン構造上の位置である(図7C)。P1’位アミノ酸はLRP6における場合と同じように疎水性アミノ酸であり、金属プロテアーゼの性質と一致する。
VAP1-切断部位のP2’とP1アミノ酸においては、LRP5とLRP6の間に共通の関係は見られなかった(図7D)。P3’位アミノ酸であるLRP5/6のロイシンは、VAP1の356-ロイシンと324-イソロイシンからなる潜在的S3’ポケットの疎水性部分と矛盾しない(図7E)。欠失したLRP5もWNT経路の常時活性型であるので(マオ、Jほか(2001))、より多くの量は必要とするが、このADAM毒素はLRP6だけでなくLRP5も活性化させる能力を持っていると考えられる。
(VAP1によるLRP6切断の細胞間接着部(細胞間ジャンクション)の崩壊への関与)
LRP6の切断がVAP1によって誘導された細胞反応に関与しているかどうか調べるために、我々はVAP1によるLRP6切断に対しての抑制抗体を作った。抗LRP6切断部抗体は、VAP1によるLRP6の切断と140kDa断片の生産を有意に妨げた(図8AB)。阻害抗体は、位相差顕微鏡による観察においてVAP1による内皮細胞の細胞間接着の解離を妨げた(図8C)。同時に、VAP1によって誘導された細胞間ジャンクションのVE-カドヘリンの消失も、抗体によって阻害された(図8C)。これらは、VAP1によるLRP6切断が細胞間ジャンクションの崩壊に関与していることを示唆する。なお、対照抗体として、ヒトLRP6の細胞外ドメイン全体の組み換え体に対するモノクローン抗体 (MAB1505, R&Dシステムズ) を用いたところ、図8に示すように、有意な断片生成、細胞間接着の解離の抑制は観察されなかった。同様に、ヒトLRP6の細胞外ドメイン全体の組み換え体に対するポリクローン抗体(AF1505, R&Dシステムズ)、及びLRP6に結合するタンパク質である、ヒトRAP (Receptor-associated protein) 組み換え体 (エンゾ・ライフサイエンシズ)を用いても、同様の結果が得られた。
(VAP1によるLRP6切断の生体での出血への関与)
我々は、生体でVAP1によって誘導される出血にLRP6切断が関係しているかどうかを調査した。切断抑制抗体は、VAP1の皮内注射において、対照抗体と比較して出血を有意に妨げた(図9)。これは、VAP1による生体内で出血にLRP6切断が関与することを示唆している。
(各種動物におけるLRP5/6の切断活性化に関する領域の欠失)
LRP5/6の切断活性化がヘビADAM毒素による出血に関係しているとすると、ヘビ毒抵抗性の動物の間で、出血耐性に都合がいいようにLRP5/6が変異している種が存在するかもしれない。 出血耐性は、毒蛇、フクロネズミ(オポッサム)、マングース、ハリネズミ、ジリス、ネズミ、ラクダなどで報告されている(ノグチ、1909; ガランほか、2004; マドセンとノグチ、1907;ハリソンほか2006)。NCBIデータベースを調査した結果、人間、マウス、モルモットを含む多くの動物で、LRP5/6が第1およびまたは第2β-プロペラ領域でしばしば欠失が見られた(図10AB)。
ADAM毒素を持っていないパイソンとグリーンアノール・トカゲの、ゲノムから予測されたLRP5/6には、欠失したアイソフォームは見つからなかった。タスマニアンデビル(それはフクロネズミと共に有袋類に属する)も欠失したアイソフォームは見つからなかった。蛇咬傷における出血耐性動物では、キングコブラは出血ADAM毒素を持ち、ADAM毒素に対する出血抵抗性を示すことが報告されている(Chanhomeほか、2003)。キングコブラでは、LPR6のVAP1切断部位が欠失していた(図10A)。グレイ・ショートテイル・フクロネズミでは、予測されたLPR6の3つのアイソフォームのうち2つのアイソフォームで、細胞外LDLAドメインが欠失していた(図10A)。
キングコブラLPR6もLDLA領域が欠失している。LDLA領域は、LPR6欠失変異体における常時活性化に貢献している(マオ、Bほか、2001;ブレナンほか、2004;チェンほか2014)。LPR5に関しては、ネズミ、ヒトコブラクダ、ヨーロッパハリネズミで、LPR5のLDLA領域の1つが欠失している(図10B)。サーティーンラインド・ジリスでは、LPR5のVAP1切断部が非相同配列に置換していた(図10B)。レッサーハリネズミでは、LPR5のVAP1切断部位の20アミノ酸ばかりだけが欠失していた(図10B)。上記を要約すると、ヘビ毒耐性と関連したこれらの動物はVAP1切断部位やLDLA領域を失った特徴的な欠失LRP5/6を持っていた。興味深いことには、これらの動物がLPR6とLPR5の両方ではなく、どちらか一方がその領域を欠失していた。これらの動物以外では、LPR5/6の特徴的欠失は、ヤギのような穏やかな蛇毒出血耐性を示すものや(マドセンとノグチ(1907))、トラ、クマ、オランウータンのような出血耐性についてよく知られていないものでも見られた。
(ヒトADAM8とADAM12組み換え体によるLPR6の切断)
VAP1のLPR6切断活性化が、ヒトを含む動物のADAMファミリーの間での共通な性質である可能性を知るために、我々は、VAP1と高い相同性のアミノ酸配列を持っているヒトADAM8とADAM12の組み替え体を用いた。ヒトADAM8とADAM12組み換え体の両方ともLPR6を切断し、VAP1の場合と同じサイズの140kDaの断片を作った(図11AB)。このとき、VAP1と比較すると活性は非常に弱かった。140kDaの断片の質量分析の結果、VAP1と同じ切断部位断片IAQLSDIHEVKEが、ADAM8とADAM12で検出された。それはこのLPR6切断とWNT信号の活性化が、ヘビADAM毒素とヒトなどの哺乳類のADAMの間の共通の機能であることを示唆している。

Claims (14)

  1. 低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)又はその部分ペプチドにおける配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域を認識して結合する第1の抗体、及び低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質6(LRP6)又はその部分ペプチドにおける配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する第2の抗体のいずれか又は双方を含む、ADAMタンパク質の作用阻害剤。
  2. 前記第1の抗体は、前記第1の領域に対する結合性に基づいて単離された抗体であり、前記第2の抗体は、前記第2の領域に対する結合性に基づいて単離された抗体である、請求項1に記載の作用阻害剤。
  3. 前記第1の抗体及び前記第2の抗体は、モノクローナル抗体である、請求項1又は2に記載の作用阻害剤。
  4. 低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)又はその部分ペプチドにおける配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域を認識して結合する第1の抗体、及び低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質6(LRP6)又はその部分ペプチドにおける配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する第2の抗体のいずれか又は双方を含む、出血性ヘビ毒による出血阻害剤。
  5. 低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)又はその部分ペプチドにおける配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域を認識して結合する第1の抗体、及び低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質6(LRP6)又はその部分ペプチドにおける配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する第2の抗体のいずれか又は双方を含む、Wntシグナル伝達経路阻害剤。
  6. 低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)又はその部分ペプチドにおける配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域を認識して結合する第1の抗体、及び低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質6(LRP6)又はその部分ペプチドにおける配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する第2の抗体のいずれか又は双方を含む、Wntシグナル伝達経路の活性化によって促進される疾患の予防又は治療剤。
  7. ADAMタンパク質の作用阻害方法であって、
    LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞において、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するADAMタンパク質の結合を、前記第1の領域を認識して結合する第1の抗体又は前記第2の領域を認識して結合する第2の抗体を用いて阻害する工程、
    を備える、方法。
  8. ADAMタンパク質の作用阻害方法であって、
    LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する細胞を有する非ヒト動物において、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するADAMタンパク質の結合を、前記第1の領域を認識して結合する第1の抗体又は前記第2の領域を認識して結合する第2の抗体を用いて阻害する工程、
    を備える、方法。
  9. Wntシグナル伝達の阻害方法であって、
    LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞において、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するADAMタンパク質の結合を、前記第1の領域を認識して結合する第1の抗体又は前記第2の領域を認識して結合する第2の抗体を用いて阻害する工程、
    を備える、方法。
  10. Wntシグナル伝達レベルの評価方法であって、
    LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞に対して、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域を認識して結合する第1の抗体又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する第2の抗体を供給する工程と、
    前記第1の領域又は前記第2の領域に結合する抗体量を評価する工程と、
    を備える、方法。
  11. Wntシグナル伝達の促進に関連する疾患又は病態の診断を補助する方法であって、
    LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞に対して、LRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域を認識して結合する第1の抗体又はLRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域を認識して結合する第2の抗体を供給する工程と、
    前記第1の抗体又は前記第2の抗体の供給により阻害された前記第1又は前記第2の領域に対するADAMタンパク質の結合の阻害程度を評価する工程と、
    を備える、方法。
  12. ADAMタンパク質の作用阻害剤のスクリーニング方法であって、
    LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞又は非ヒト動物に対して、1又は2以上の被検化合物を供給してLRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域、LRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するADAMタンパク質の結合の阻害程度を評価する工程、
    を備える、方法。
  13. Wntシグナル伝達阻害剤のスクリーニング方法であって、
    LRP5又はLRP6若しくはこれらの部分ペプチドを発現する生体外細胞又は非ヒト動物に対して、1又は2以上の被検化合物を供給してLRP5又はその部分ペプチドについては配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域、LRP6又はその部分ペプチドについては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対するWntシグナル伝達経路関連タンパク質の結合を阻害の程度を評価する工程、
    を備える、方法。
  14. ADAMタンパク質の作用阻害又はWntシグナル伝達阻害のための抗体の生産方法であって、
    前記抗体を、
    低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)の部分ペプチドにおける配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる第1の領域に対する結合性、又は
    低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質6(LRP6)の部分ペプチドにおける配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる第2の領域に対する結合性
    に基づいて取得する工程、
    を備える、方法。
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